表面検査装置
【課題】感度の高い表面検査が可能な表面検査装置及び表面検査方法を提供する。
【解決手段】所定のパターンが形成されたウェハ20の表面に直線偏光L1を照射する照明部10と、ウェハ20から出射される楕円偏光を受光し、直線偏光L1と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子3と、ウェハ20の像の信号強度を検出し、信号強度に基づいて被検基板の表面におけるパターンが形成されている位置を検出する位置検出部8bと、パターンが形成されている位置の信号強度が最小となるように、楕円偏光及び検光子3のいずれか一方を他方に対して相対回転させ、上記位置の信号強度が最小となる楕円偏光に対する検光子3の相対位置を決定し、上記相対位置に相対回転させる回転駆動装置30と、検光子3を通過した第2の直線偏光成分を検出し、パターンを検査する表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】所定のパターンが形成されたウェハ20の表面に直線偏光L1を照射する照明部10と、ウェハ20から出射される楕円偏光を受光し、直線偏光L1と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子3と、ウェハ20の像の信号強度を検出し、信号強度に基づいて被検基板の表面におけるパターンが形成されている位置を検出する位置検出部8bと、パターンが形成されている位置の信号強度が最小となるように、楕円偏光及び検光子3のいずれか一方を他方に対して相対回転させ、上記位置の信号強度が最小となる楕円偏光に対する検光子3の相対位置を決定し、上記相対位置に相対回転させる回転駆動装置30と、検光子3を通過した第2の直線偏光成分を検出し、パターンを検査する表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、半導体ウェハや液晶基板等(以下、総じて「被検基板」と称する)の表面に形成された繰り返しパターン(ライン・アンド・スペース等)の異常検査を行う表面検査装置がある。この種の表面検査装置としては、繰り返しパターンの構造性複屈折による偏光状態の変化をクロスニコル光学系からの透過光量に基づいて検出することにより欠陥を検出するもの(クロスニコル検査とも称する)が周知となっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−343102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような表面検査装置においては、偏光子を透過する光の透過軸に対して、検光子が上記透過軸に対して直交している光を透過させる、いわゆるクロスニコル配置を用いている。ところで、上述した繰り返しパターンを有する被検基板に直線偏光(以下、第1の直線偏光と称する)を照射すると、その繰り返しパターンの形状や下地構造等の影響により、繰り返しパターンにおける欠陥の検出感度が低くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、感度の高い表面検査が可能な表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、第1の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の像の信号強度を検出し、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部において検出された前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記信号強度検出部により前記パターンが形成されている位置の信号強度が検出され、前記位置の信号強度が最小となるように、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させ、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の相対位置を決定し、前記相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させる相対回転制御部と、前記相対回転制御部により前記相対位置への前記相対回転がされた後に前記検光子を通過した前記第2の直線偏光成分を検出し、前記パターンを検査する表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
そして、第3の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記被検基板の表面における予め指定した領域の位置情報が記憶されている位置記憶部と、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置記憶部により記憶された前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、上述の表面検査装置において、前記相対回転制御部は、前記検光子を回転させる検光子回転駆動装置を備えることが好ましい。また、前記検光子の上流側に1/2波長板が設けられ、前記相対回転制御部が前記1/2波長板を前記検光子に対して回転させる波長板回転駆動装置を備えるようにしてもよい。
【0010】
そして、本発明に係る第1の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有する。
【0011】
なお、本発明に係る第2の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有する。
【0012】
また、本発明に係る第3の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている位置を検出する位置検出ステップと、前記被検基板における予め指定した領域の位置情報が記憶される記憶ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感度の高い表面検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る表面検査装置の概略構成図である。
【図2】複数の露光ショットをウェハ上方向から見た拡大図である。
【図3】ウェハ上に並ぶライン・アンド・スペースを示した図である。
【図4】パターンに直線偏光が入射する様子を示した図である。
【図5】パターンから楕円偏光が射出する様子を示した図である。
【図6】光源の概略構成図である。
【図7】パターンの構造性複屈折により入射直線偏光が楕円偏光へと変化した状態を示す図である。
【図8】パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットで比較した図である。
【図9】検光子の透過軸の向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させたときに検光子を透過する光を説明する図である。
【図10】表面検査装置の変形例を示す図である。
【図11】1/2λ板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1の概略構成を図1に示す。表面検査装置1は、偏光を用いて半導体ウェハや液晶基板等の表面の異常(欠陥)の有無を検査する装置である。表面検査装置1は、光源10と、偏光子2と、検光子3と、第1ミラー4及び第2ミラー5と、レンズ6と、2次元撮像素子7と、信号処理ユニット8と、モニター9と、回転駆動装置30とにより構成される。光源10は発散光束を照射し、当該発散光束は、偏光子2により直線偏光L1(第1の直線偏光)となる。偏光子2を通過した偏光光束は凹面鏡である第1ミラー4で反射され、略平行な光束となり半導体ウェハ20(以下、ウェハ20と称する)を照明するようになっている。
【0016】
第1ミラー4は凹面鏡であり、前側焦点が光源10の射出端と略一致するとともに、後側焦点がウェハ20の表面に略一致するように配設され、偏光子2からの直線偏光を反射させ平行光束にしてウェハ20の表面に導く。すなわち、光源10からの光は、偏光子2を介し直線偏光L1となって、第1ミラー4によりウェハ20の表面全体に入射する。なお、ウェハ20の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため同じになる。
【0017】
第2ミラー5は第1ミラー4と同様凹面鏡であり、第1ミラー4からウェハ20に平行光束が照射され、この照射によりウェハ20から正反射光が第2ミラー5に照射される。そして、第2ミラー5により当該正反射光は収束光となり、この収束光が検光子3を通過するようになっている。検光子3は、偏光子2による偏光成分と異なる成分の偏光を通過させることが可能となっている。検光子3を通過した光はレンズ6により略平行な光束となる。また、ウェハ20と2次元撮像素子7は、第2ミラー5とレンズ6が協働することにより、共役に結ばれた状態になっている。
【0018】
検光子3は、回転駆動装置30を用いて受光系の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子3の透過軸の方位は、上述した偏光子2の透過軸に対して90度をなすように設定される(クロスニコル状態とも称される)が、このクロスニコル状態を意図的に崩すことも可能にしている。また、楕円偏光L2が検光子3を透過するとその偏光成分、すなわち検光子3からの直線偏光L3(第2の直線偏光)が2次元撮像素子7の撮像面で受光される。その結果、2次元撮像素子7の撮像面には、直線偏光L3によるウェハ20の反射像が形成される。
【0019】
2次元撮像素子7は、図示省略するCCD撮像素子を有するCCDカメラであり、撮像面で受光されたウェハ20からの反射光を光電変換して、画像信号を信号処理ユニット8に出力する。信号処理ユニット8は、2次元撮像素子7から入力されたウェハ20の画像信号に基づいてウェハ20の画像を所定ビットのデジタル画像に変換し、ウェハ20の反射画像(デジタル画像)を生成することが可能となっている。信号処理ユニット8には、内部メモリ8aが設けられており、信号処理ユニット8に入力された画像信号は、この内部メモリ8aに記憶されるようになっている。また生成されたウェハ20の反対画像は、モニター9に出力表示されるようになっている。このモニター9を介してウェハ20の表面を観察することが可能になるが、後述するウェハ20上の繰り返しパターン23は、2次元撮像素子7の画素よりも微細となっているため、この繰り返しパターン23の形状まで表示することはできず、画像の明暗のみ表示できるようになっている。
【0020】
光源10は、図6に示すように、水銀ランプ11と、楕円鏡12と、コリメータレンズ13と、波長選択フィルタ14と、減光フィルタ15と、集光レンズ16と、ランダムファイバー17とにより構成される。水銀ランプ11は、248nm付近の波長の光を発することが可能なDEEP−UVランプであり、水銀だけでなくキセノンが混合されているタイプのものである。この水銀ランプ11から発せられた光は楕円鏡12で集光された後、コリメータレンズ13によりコリメートされ、後に詳述する波長選択フィルタ14、減光フィルタ15、及び集光レンズ16を通過した後、ランダムファイバー17に入射され、ランダムファイバー17に入射した光は射出端17aより発散され、この発散光が射出されるようになっている。このランダムファイバー17の射出端17aが図1における光源10の射出端に相当する。
【0021】
波長選択フィルタ14は、水銀ランプ11の波長を選択できる切り替え式になっており、e線(λ=546nm)、g線(λ=436nm)、h線(λ=405nm)、i線(λ=365nm)、波長λ=313nm、及び波長λ=248nmのフィルタを選択できるようになっている。波長選択フィルタ14により上述した波長λの光のみが選択的に透過するようになっている。
【0022】
ところで、構造性複屈折は波長が短い程偏光状態の変化が大きいことから、なるべく波長が短い光を使用することが望ましいが、波長が短い場合、ランプのスペクトル分布や光学素子の透過率等の影響により光量が低下されるなど好ましくない要素もあることから、波長選択フィルタ14は、パターンの状況等により波長を切り替えることが可能な状態になっている。また、減光フィルタ15は状況に応じて透過する光の透過率を切り替えられるようになっている。
【0023】
以上のように構成される表面検査装置1において、ウェハ20の表面を検査する検査方法について説明する。まず、ウェハ20は最上層へのレジスト膜への露光、現像後、搬送系(不図示)により、ウェハカセット(不図示)または現像装置から運ばれ、ウェハホルダ(不図示)に吸着保持される。検査対象となるウェハ20の表面は、図2に示すように、複数の露光ショット22が形成されており、各露光ショット22にはレジストが塗布、露光、現像され、図3に示すように、所定の繰り返しパターン(ライン・アンド・スペースパターン)23が形成される。繰り返しパターン23は、複数のライン部23aが所定の方向に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターンである。
【0024】
また、隣り合うライン部23a同士の間はスペース部23bであり、ライン部23aとスペース部23bとによりライン・アンド・スペースパターンが構成されている。このようなパターンとなっている露光ショット22に対して、図4または図5に示すように、直線偏光をその振動方向がパターンの繰り返し方向に対して0度、90度以外の角度をなすように照射すると、パターンが有する構造性複屈折の効果により反射光は楕円偏光32に変化する。一般にはパターンの繰り返し方向に対して45度の角度をなすように照射すると偏光の変化量が最大となる。
【0025】
また、このときのパターンにおけるラインとスペースの比、テーパー度、エッジラフネス等の周期構造の形状に異常または欠陥が生じている場合は、構造性複屈折に変化が生じるため、正反射光の偏光状態が変化する。偏光状態が変化すると検光子3を透過する光の光量が変化するので、ウェハ20上のパターンの中に正常なパターンと異常なパターンの両方が存在する場合には、モニター9上で明るさが異なったように見えることになる。
【0026】
上述したような正常なパターンと異常なパターンの両方が存在する場合について、この状態を予めSEM(走査型電子顕微鏡)等により測定し正常であることが確認されているパターンの明るさを内部メモリ8aに記憶しておけば、明るさが異なるパターンが存在していた場合にどちらが正常なパターンであるかに関する識別が可能となり、パターンの異常を検出することができる。
【0027】
ところで、前述したように、検光子3は、回転駆動装置30により受光系の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子3の透過軸が偏光子2の透過軸に対して90度から少しずれた角度になるように(すなわち、クロスニコル状態を少し崩すように)検光子3を回転させることで、繰り返しパターン23の形状変化に対する検出精度を向上させることができる。以下でその理由について、図7〜9を参照しながら説明する。
【0028】
図7は、繰り返しパターン23の構造性複屈折により入射した直線偏光L1が楕円偏光L2へ変化した状態を示している。図7に示すように、楕円偏光L2は、必ずしも長軸の方位角が直線偏光L1(入射面A2)の角度と一致するわけではなく、繰り返しパターン23(以下では、パターンと称する)の形状や下地構造等に応じて傾いた楕円偏光となる。
【0029】
図8は、パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットとで比較した図である。短軸の長い楕円偏光L2aは良品ショットによって変化した楕円偏光の状態を、短軸の短い楕円偏光L2bは不良ショットによって変化した楕円偏光の状態を示している。短軸の短い楕円偏光L2bは、パターンが不良であるために偏光状態の変化が小さく楕円偏光の太り具合(短軸の長さ)が小さくなっている。パターンの良、不良を判定するためには、この楕円の太り具合の差異を見ることが有効である。
【0030】
このとき、完全なクロスニコル状態とするために検光子3の透過軸42aを縦に(直線偏光L1と直交する方向に)配置した時に透過する光について考えてみると、図8に示すように、短軸の長い楕円偏光L2aからは縦の振動成分B1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2bからは縦の振動成分B2の振幅の光が透過してくることになる。光量は振幅の2乗であるから、このときの光量比は、(B1)2:(B2)2となる。ここで注目すべき点は、B1、B2共に楕円の太り具合に応じて発生した短軸方向の振動成分だけでなく、楕円の傾きによって発生した長軸方向の振動成分も含んでいるため、図8のようにB1とB2の差が小さく光量比が1:1に近くなり、パターンの形状変化の検出精度が低くなる。
【0031】
図9は、検光子3の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致(長軸の向きと略直交)させたときに検光子3を透過する光を説明する図である。図9においては、検光子3の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させているため、短軸の長い楕円偏光L2aからは振動成分C1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2bからは振動成分C2の振幅の光が透過してくることになる。
【0032】
このときの光量比は、図9に示すように、C1とC2は長さが2倍程度違うことから、(C1)2:(C2)2の値は4:1程度となり、2つの楕円偏光L2a,L2bにはその太り具合において大きな差があることがわかり、パターンの形状変化をより高感度に検出可能とすることができる。このように検光子3を回転させて透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させることによって、楕円の傾きによって発生する長軸方向の振動成分を透過させることなく、楕円の太り具合の変化に応じた振動成分のみを検出できるようになる。
【0033】
以上、パターンの形状変化をそのパターンによる偏光状態の変化から検出する光学系においては、必ずしも完全なクロスニコル系にするのが最良ではなく、楕円偏光の長軸の傾きに応じて検光子3の透過軸42aが偏光子の透過軸に対して90度から少しずれた角度になるようにすることが有効である。この検光子3の透過軸42aをずらす角度(以下、最適角度と称する)を検出する方法について以下で説明する。なお、上述したように、パターンから反射される反射光は直線偏光の方位に対して傾いた楕円偏光であるが、その長軸方位を正確に求めるにはエリプソメーター等を用いる必要があり、これらを用いると装置構成が複雑となる。従って、本実施形態においては、より簡便な方法で、上記最適角度を求める3つの方法(以下、第1〜第3最適角度検出方法と称する)について説明する。
【0034】
第1最適角度検出方法では、まず最初に、検光子3の透過軸42aを直線偏光L1の偏光方向に対して略直交する方向に配置して(クロスニコル配置)、この状態で、ウェハ20の画像を撮像する。ここで撮像したウェハ20の画像について、パターンがある領域では構造性複屈折により偏光状態が変化するが、パターンがない領域では偏光状態が変化しないため、パターンがない領域は真っ暗な画像となり、パターンがある領域は、パターンがない領域に対して明るい画像となる。このことを考慮して、第1最適角度検出方法においては、信号処理ユニット8に位置検出部8bを設け、上記パターンがある領域の位置を位置検出部8bに検出させる。すなわち、パターンがある領域とパターンがない領域とを区分するため、それを区分するための明度の閾値を設け、当該閾値より明るい部分はパターンがある領域、暗い部分はパターンがない領域というように、ウェハ20のパターンがある領域とパターンがない領域を位置検出部8bに検出させる。そして、回転駆動装置30により検光子3の透過軸42aの方位を偏光子2の透過軸に対して回転させながらパターンがある領域の明度を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0035】
第2最適角度検出方法は、検光子3を回転駆動装置30により回転させながら撮像を繰り返す点では第1最適角度検出方法と共通するが、第1最適角度検出方法のようにパターンがある領域の明度を記憶していくのではなく、ウェハ20全体の明度の平均値を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0036】
このように、第2最適角度検出方法では、ウェハ20全体の明度をみているため、検光子3を回転させたときにクロスニコル配置が崩れパターンがある領域は暗くなり、パターンがない領域は明るくなる。よって、その検出精度は第1最適角度検出手段より劣る。しかし、第1最適角度検出手段のように、パターンがある領域とパターンがない領域を検出する位置検出部8bが不要なため、第1最適角度検出手段より検査速度を高めることができる。
【0037】
第3最適角度検出方法は、検光子3を回転駆動装置30により回転させながら撮像を繰り返す点では第1及び第2最適角度検出方法と共通するが、予めSEM等によりウェハ20における正常であることが確認されているパターンの領域を位置記憶部8cに記憶させておき、当該正常なパターンがある領域の明度を内部メモリ8aに記憶していく点で第1及び第2最適角度検出方法と異なる。すなわち、回転駆動装置30により検光子3の透過軸の方位を回転させながら上記領域の明度を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0038】
このように、第3最適角度検出方法では、事前に正常なパターンの位置情報を入力する必要があるものの、当該入力により正常なパターンが形成されているとわかっている領域のみの明度を比較の対象とできるため、第1最適角度検出方法に比べて検出速度を高めることができる。また、第3最適角度検出方法では、パターンがない領域及び不良パターンが形成されている領域の明度の情報を排除しているため、第1及び第2最適角度検出方法と比較して、より検出精度を高めることができる。
【0039】
以上、上述した実施形態においては、上記第1〜第3最適角度検出方法により、最適角度を検出して、当該最適角度だけ検光子3を回転させてクロスニコル状態を崩すことにより、第2の直線偏光L3の進行方向と垂直な面内における振動方向(検光子3の透過軸の向き)が楕円偏光L2の楕円の短軸の向きと略一致する検光子3の傾斜角度を検出し設定することが可能となるため、精度の高い検査を行うことができる。
【0040】
また、上述の実施形態において、検光子3が、回転駆動装置30を用いて受光系の光軸を中心に透過軸の方位を回転可能に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、第2ミラー5と検光子3との間に1/2λ板45を配置し、1/2λ板45の遅相軸の方位を回転駆動装置48を用いて受光系の光軸を中心に回転させるようにしてもよい。例えば、1/2λ板45は、図11のように遅相軸45aが縦方向となるよう配置されており、この1/2λ板45に楕円偏光46が入射すると、通過する光は遅相軸45aに対して対称な形状をしている楕円偏光47に変換される。この現象を利用して、検光子3の前に1/2λ板45を配置し、その遅相軸45aの角度を適切に設定すれば、検光子3を回転させたときと同様に楕円偏光の短軸の方位を検光子3の透過軸の方位と略一致させることができ、検光子3を回転させた時と同様の効果が得られる。また、この現象により遅相軸45aの回転角の2倍の角度だけ楕円偏光を回転させることができるため、検光子3を直接回転させる時より高速に回転させることができる。
【0041】
さらに、上記1/2λ板45の代わりに、偏光方向を旋回可能な旋光子(不図示)を検光子3と第2ミラー5の間に配置してもよい。旋光子は、その光が透過する厚さを変化させるとそれに応じて偏光方向の回転量を変化させることが可能な素子である。例えば、その旋光子は、2枚の楔形から構成され、一方の楔を他方の楔に対して移動させることにより、旋光子の光が通過する領域の厚さを可変として偏光方向を変えることもできる。
【0042】
なお、上述の実施形態では、光源10と偏光子2を利用して、直線偏光L1を作り出す例を示しているが、これに限られることなく、直線偏光レーザを光源として使用すれば偏光子2を省略することもできる。
【0043】
また、上述の実施形態では検光子あるいは1/2λ板を光軸周りに回転させているが回転中心は必ずしも光軸と一致している必要はなく、検光子の透過軸角度、1/2λ板の進相軸角度を変えられるなら光軸以外を中心として回転しても問題はない。
【符号の説明】
【0044】
1 表面検査装置 3 検光子
8 信号処理ユニット(信号強度検出部、表面検査部)
8a 内部メモリ(信号強度検出部) 8b 位置検出部
8c 位置記憶部 10 光源(照明部)
20 ウェハ(被検基板) 23 繰り返しパターン(パターン)
30 回転駆動装置(検光子回転駆動装置)
45 1/2λ板(1/2波長板)
48 回転駆動装置(波長板回転駆動装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、半導体ウェハや液晶基板等(以下、総じて「被検基板」と称する)の表面に形成された繰り返しパターン(ライン・アンド・スペース等)の異常検査を行う表面検査装置がある。この種の表面検査装置としては、繰り返しパターンの構造性複屈折による偏光状態の変化をクロスニコル光学系からの透過光量に基づいて検出することにより欠陥を検出するもの(クロスニコル検査とも称する)が周知となっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−343102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような表面検査装置においては、偏光子を透過する光の透過軸に対して、検光子が上記透過軸に対して直交している光を透過させる、いわゆるクロスニコル配置を用いている。ところで、上述した繰り返しパターンを有する被検基板に直線偏光(以下、第1の直線偏光と称する)を照射すると、その繰り返しパターンの形状や下地構造等の影響により、繰り返しパターンにおける欠陥の検出感度が低くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、感度の高い表面検査が可能な表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、第1の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の像の信号強度を検出し、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部において検出された前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記信号強度検出部により前記パターンが形成されている位置の信号強度が検出され、前記位置の信号強度が最小となるように、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させ、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の相対位置を決定し、前記相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させる相対回転制御部と、前記相対回転制御部により前記相対位置への前記相対回転がされた後に前記検光子を通過した前記第2の直線偏光成分を検出し、前記パターンを検査する表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
そして、第3の発明に係る表面検査装置は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、前記被検基板の表面における予め指定した領域の位置情報が記憶されている位置記憶部と、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置記憶部により記憶された前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、上述の表面検査装置において、前記相対回転制御部は、前記検光子を回転させる検光子回転駆動装置を備えることが好ましい。また、前記検光子の上流側に1/2波長板が設けられ、前記相対回転制御部が前記1/2波長板を前記検光子に対して回転させる波長板回転駆動装置を備えるようにしてもよい。
【0010】
そして、本発明に係る第1の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有する。
【0011】
なお、本発明に係る第2の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有する。
【0012】
また、本発明に係る第3の表面検査方法は、所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている位置を検出する位置検出ステップと、前記被検基板における予め指定した領域の位置情報が記憶される記憶ステップと、前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感度の高い表面検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る表面検査装置の概略構成図である。
【図2】複数の露光ショットをウェハ上方向から見た拡大図である。
【図3】ウェハ上に並ぶライン・アンド・スペースを示した図である。
【図4】パターンに直線偏光が入射する様子を示した図である。
【図5】パターンから楕円偏光が射出する様子を示した図である。
【図6】光源の概略構成図である。
【図7】パターンの構造性複屈折により入射直線偏光が楕円偏光へと変化した状態を示す図である。
【図8】パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットで比較した図である。
【図9】検光子の透過軸の向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させたときに検光子を透過する光を説明する図である。
【図10】表面検査装置の変形例を示す図である。
【図11】1/2λ板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1の概略構成を図1に示す。表面検査装置1は、偏光を用いて半導体ウェハや液晶基板等の表面の異常(欠陥)の有無を検査する装置である。表面検査装置1は、光源10と、偏光子2と、検光子3と、第1ミラー4及び第2ミラー5と、レンズ6と、2次元撮像素子7と、信号処理ユニット8と、モニター9と、回転駆動装置30とにより構成される。光源10は発散光束を照射し、当該発散光束は、偏光子2により直線偏光L1(第1の直線偏光)となる。偏光子2を通過した偏光光束は凹面鏡である第1ミラー4で反射され、略平行な光束となり半導体ウェハ20(以下、ウェハ20と称する)を照明するようになっている。
【0016】
第1ミラー4は凹面鏡であり、前側焦点が光源10の射出端と略一致するとともに、後側焦点がウェハ20の表面に略一致するように配設され、偏光子2からの直線偏光を反射させ平行光束にしてウェハ20の表面に導く。すなわち、光源10からの光は、偏光子2を介し直線偏光L1となって、第1ミラー4によりウェハ20の表面全体に入射する。なお、ウェハ20の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため同じになる。
【0017】
第2ミラー5は第1ミラー4と同様凹面鏡であり、第1ミラー4からウェハ20に平行光束が照射され、この照射によりウェハ20から正反射光が第2ミラー5に照射される。そして、第2ミラー5により当該正反射光は収束光となり、この収束光が検光子3を通過するようになっている。検光子3は、偏光子2による偏光成分と異なる成分の偏光を通過させることが可能となっている。検光子3を通過した光はレンズ6により略平行な光束となる。また、ウェハ20と2次元撮像素子7は、第2ミラー5とレンズ6が協働することにより、共役に結ばれた状態になっている。
【0018】
検光子3は、回転駆動装置30を用いて受光系の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子3の透過軸の方位は、上述した偏光子2の透過軸に対して90度をなすように設定される(クロスニコル状態とも称される)が、このクロスニコル状態を意図的に崩すことも可能にしている。また、楕円偏光L2が検光子3を透過するとその偏光成分、すなわち検光子3からの直線偏光L3(第2の直線偏光)が2次元撮像素子7の撮像面で受光される。その結果、2次元撮像素子7の撮像面には、直線偏光L3によるウェハ20の反射像が形成される。
【0019】
2次元撮像素子7は、図示省略するCCD撮像素子を有するCCDカメラであり、撮像面で受光されたウェハ20からの反射光を光電変換して、画像信号を信号処理ユニット8に出力する。信号処理ユニット8は、2次元撮像素子7から入力されたウェハ20の画像信号に基づいてウェハ20の画像を所定ビットのデジタル画像に変換し、ウェハ20の反射画像(デジタル画像)を生成することが可能となっている。信号処理ユニット8には、内部メモリ8aが設けられており、信号処理ユニット8に入力された画像信号は、この内部メモリ8aに記憶されるようになっている。また生成されたウェハ20の反対画像は、モニター9に出力表示されるようになっている。このモニター9を介してウェハ20の表面を観察することが可能になるが、後述するウェハ20上の繰り返しパターン23は、2次元撮像素子7の画素よりも微細となっているため、この繰り返しパターン23の形状まで表示することはできず、画像の明暗のみ表示できるようになっている。
【0020】
光源10は、図6に示すように、水銀ランプ11と、楕円鏡12と、コリメータレンズ13と、波長選択フィルタ14と、減光フィルタ15と、集光レンズ16と、ランダムファイバー17とにより構成される。水銀ランプ11は、248nm付近の波長の光を発することが可能なDEEP−UVランプであり、水銀だけでなくキセノンが混合されているタイプのものである。この水銀ランプ11から発せられた光は楕円鏡12で集光された後、コリメータレンズ13によりコリメートされ、後に詳述する波長選択フィルタ14、減光フィルタ15、及び集光レンズ16を通過した後、ランダムファイバー17に入射され、ランダムファイバー17に入射した光は射出端17aより発散され、この発散光が射出されるようになっている。このランダムファイバー17の射出端17aが図1における光源10の射出端に相当する。
【0021】
波長選択フィルタ14は、水銀ランプ11の波長を選択できる切り替え式になっており、e線(λ=546nm)、g線(λ=436nm)、h線(λ=405nm)、i線(λ=365nm)、波長λ=313nm、及び波長λ=248nmのフィルタを選択できるようになっている。波長選択フィルタ14により上述した波長λの光のみが選択的に透過するようになっている。
【0022】
ところで、構造性複屈折は波長が短い程偏光状態の変化が大きいことから、なるべく波長が短い光を使用することが望ましいが、波長が短い場合、ランプのスペクトル分布や光学素子の透過率等の影響により光量が低下されるなど好ましくない要素もあることから、波長選択フィルタ14は、パターンの状況等により波長を切り替えることが可能な状態になっている。また、減光フィルタ15は状況に応じて透過する光の透過率を切り替えられるようになっている。
【0023】
以上のように構成される表面検査装置1において、ウェハ20の表面を検査する検査方法について説明する。まず、ウェハ20は最上層へのレジスト膜への露光、現像後、搬送系(不図示)により、ウェハカセット(不図示)または現像装置から運ばれ、ウェハホルダ(不図示)に吸着保持される。検査対象となるウェハ20の表面は、図2に示すように、複数の露光ショット22が形成されており、各露光ショット22にはレジストが塗布、露光、現像され、図3に示すように、所定の繰り返しパターン(ライン・アンド・スペースパターン)23が形成される。繰り返しパターン23は、複数のライン部23aが所定の方向に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターンである。
【0024】
また、隣り合うライン部23a同士の間はスペース部23bであり、ライン部23aとスペース部23bとによりライン・アンド・スペースパターンが構成されている。このようなパターンとなっている露光ショット22に対して、図4または図5に示すように、直線偏光をその振動方向がパターンの繰り返し方向に対して0度、90度以外の角度をなすように照射すると、パターンが有する構造性複屈折の効果により反射光は楕円偏光32に変化する。一般にはパターンの繰り返し方向に対して45度の角度をなすように照射すると偏光の変化量が最大となる。
【0025】
また、このときのパターンにおけるラインとスペースの比、テーパー度、エッジラフネス等の周期構造の形状に異常または欠陥が生じている場合は、構造性複屈折に変化が生じるため、正反射光の偏光状態が変化する。偏光状態が変化すると検光子3を透過する光の光量が変化するので、ウェハ20上のパターンの中に正常なパターンと異常なパターンの両方が存在する場合には、モニター9上で明るさが異なったように見えることになる。
【0026】
上述したような正常なパターンと異常なパターンの両方が存在する場合について、この状態を予めSEM(走査型電子顕微鏡)等により測定し正常であることが確認されているパターンの明るさを内部メモリ8aに記憶しておけば、明るさが異なるパターンが存在していた場合にどちらが正常なパターンであるかに関する識別が可能となり、パターンの異常を検出することができる。
【0027】
ところで、前述したように、検光子3は、回転駆動装置30により受光系の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子3の透過軸が偏光子2の透過軸に対して90度から少しずれた角度になるように(すなわち、クロスニコル状態を少し崩すように)検光子3を回転させることで、繰り返しパターン23の形状変化に対する検出精度を向上させることができる。以下でその理由について、図7〜9を参照しながら説明する。
【0028】
図7は、繰り返しパターン23の構造性複屈折により入射した直線偏光L1が楕円偏光L2へ変化した状態を示している。図7に示すように、楕円偏光L2は、必ずしも長軸の方位角が直線偏光L1(入射面A2)の角度と一致するわけではなく、繰り返しパターン23(以下では、パターンと称する)の形状や下地構造等に応じて傾いた楕円偏光となる。
【0029】
図8は、パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットとで比較した図である。短軸の長い楕円偏光L2aは良品ショットによって変化した楕円偏光の状態を、短軸の短い楕円偏光L2bは不良ショットによって変化した楕円偏光の状態を示している。短軸の短い楕円偏光L2bは、パターンが不良であるために偏光状態の変化が小さく楕円偏光の太り具合(短軸の長さ)が小さくなっている。パターンの良、不良を判定するためには、この楕円の太り具合の差異を見ることが有効である。
【0030】
このとき、完全なクロスニコル状態とするために検光子3の透過軸42aを縦に(直線偏光L1と直交する方向に)配置した時に透過する光について考えてみると、図8に示すように、短軸の長い楕円偏光L2aからは縦の振動成分B1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2bからは縦の振動成分B2の振幅の光が透過してくることになる。光量は振幅の2乗であるから、このときの光量比は、(B1)2:(B2)2となる。ここで注目すべき点は、B1、B2共に楕円の太り具合に応じて発生した短軸方向の振動成分だけでなく、楕円の傾きによって発生した長軸方向の振動成分も含んでいるため、図8のようにB1とB2の差が小さく光量比が1:1に近くなり、パターンの形状変化の検出精度が低くなる。
【0031】
図9は、検光子3の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致(長軸の向きと略直交)させたときに検光子3を透過する光を説明する図である。図9においては、検光子3の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させているため、短軸の長い楕円偏光L2aからは振動成分C1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2bからは振動成分C2の振幅の光が透過してくることになる。
【0032】
このときの光量比は、図9に示すように、C1とC2は長さが2倍程度違うことから、(C1)2:(C2)2の値は4:1程度となり、2つの楕円偏光L2a,L2bにはその太り具合において大きな差があることがわかり、パターンの形状変化をより高感度に検出可能とすることができる。このように検光子3を回転させて透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させることによって、楕円の傾きによって発生する長軸方向の振動成分を透過させることなく、楕円の太り具合の変化に応じた振動成分のみを検出できるようになる。
【0033】
以上、パターンの形状変化をそのパターンによる偏光状態の変化から検出する光学系においては、必ずしも完全なクロスニコル系にするのが最良ではなく、楕円偏光の長軸の傾きに応じて検光子3の透過軸42aが偏光子の透過軸に対して90度から少しずれた角度になるようにすることが有効である。この検光子3の透過軸42aをずらす角度(以下、最適角度と称する)を検出する方法について以下で説明する。なお、上述したように、パターンから反射される反射光は直線偏光の方位に対して傾いた楕円偏光であるが、その長軸方位を正確に求めるにはエリプソメーター等を用いる必要があり、これらを用いると装置構成が複雑となる。従って、本実施形態においては、より簡便な方法で、上記最適角度を求める3つの方法(以下、第1〜第3最適角度検出方法と称する)について説明する。
【0034】
第1最適角度検出方法では、まず最初に、検光子3の透過軸42aを直線偏光L1の偏光方向に対して略直交する方向に配置して(クロスニコル配置)、この状態で、ウェハ20の画像を撮像する。ここで撮像したウェハ20の画像について、パターンがある領域では構造性複屈折により偏光状態が変化するが、パターンがない領域では偏光状態が変化しないため、パターンがない領域は真っ暗な画像となり、パターンがある領域は、パターンがない領域に対して明るい画像となる。このことを考慮して、第1最適角度検出方法においては、信号処理ユニット8に位置検出部8bを設け、上記パターンがある領域の位置を位置検出部8bに検出させる。すなわち、パターンがある領域とパターンがない領域とを区分するため、それを区分するための明度の閾値を設け、当該閾値より明るい部分はパターンがある領域、暗い部分はパターンがない領域というように、ウェハ20のパターンがある領域とパターンがない領域を位置検出部8bに検出させる。そして、回転駆動装置30により検光子3の透過軸42aの方位を偏光子2の透過軸に対して回転させながらパターンがある領域の明度を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0035】
第2最適角度検出方法は、検光子3を回転駆動装置30により回転させながら撮像を繰り返す点では第1最適角度検出方法と共通するが、第1最適角度検出方法のようにパターンがある領域の明度を記憶していくのではなく、ウェハ20全体の明度の平均値を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0036】
このように、第2最適角度検出方法では、ウェハ20全体の明度をみているため、検光子3を回転させたときにクロスニコル配置が崩れパターンがある領域は暗くなり、パターンがない領域は明るくなる。よって、その検出精度は第1最適角度検出手段より劣る。しかし、第1最適角度検出手段のように、パターンがある領域とパターンがない領域を検出する位置検出部8bが不要なため、第1最適角度検出手段より検査速度を高めることができる。
【0037】
第3最適角度検出方法は、検光子3を回転駆動装置30により回転させながら撮像を繰り返す点では第1及び第2最適角度検出方法と共通するが、予めSEM等によりウェハ20における正常であることが確認されているパターンの領域を位置記憶部8cに記憶させておき、当該正常なパターンがある領域の明度を内部メモリ8aに記憶していく点で第1及び第2最適角度検出方法と異なる。すなわち、回転駆動装置30により検光子3の透過軸の方位を回転させながら上記領域の明度を検出し、この明度が最も小さくなったときの検光子3の角度を最適角度とする。
【0038】
このように、第3最適角度検出方法では、事前に正常なパターンの位置情報を入力する必要があるものの、当該入力により正常なパターンが形成されているとわかっている領域のみの明度を比較の対象とできるため、第1最適角度検出方法に比べて検出速度を高めることができる。また、第3最適角度検出方法では、パターンがない領域及び不良パターンが形成されている領域の明度の情報を排除しているため、第1及び第2最適角度検出方法と比較して、より検出精度を高めることができる。
【0039】
以上、上述した実施形態においては、上記第1〜第3最適角度検出方法により、最適角度を検出して、当該最適角度だけ検光子3を回転させてクロスニコル状態を崩すことにより、第2の直線偏光L3の進行方向と垂直な面内における振動方向(検光子3の透過軸の向き)が楕円偏光L2の楕円の短軸の向きと略一致する検光子3の傾斜角度を検出し設定することが可能となるため、精度の高い検査を行うことができる。
【0040】
また、上述の実施形態において、検光子3が、回転駆動装置30を用いて受光系の光軸を中心に透過軸の方位を回転可能に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、第2ミラー5と検光子3との間に1/2λ板45を配置し、1/2λ板45の遅相軸の方位を回転駆動装置48を用いて受光系の光軸を中心に回転させるようにしてもよい。例えば、1/2λ板45は、図11のように遅相軸45aが縦方向となるよう配置されており、この1/2λ板45に楕円偏光46が入射すると、通過する光は遅相軸45aに対して対称な形状をしている楕円偏光47に変換される。この現象を利用して、検光子3の前に1/2λ板45を配置し、その遅相軸45aの角度を適切に設定すれば、検光子3を回転させたときと同様に楕円偏光の短軸の方位を検光子3の透過軸の方位と略一致させることができ、検光子3を回転させた時と同様の効果が得られる。また、この現象により遅相軸45aの回転角の2倍の角度だけ楕円偏光を回転させることができるため、検光子3を直接回転させる時より高速に回転させることができる。
【0041】
さらに、上記1/2λ板45の代わりに、偏光方向を旋回可能な旋光子(不図示)を検光子3と第2ミラー5の間に配置してもよい。旋光子は、その光が透過する厚さを変化させるとそれに応じて偏光方向の回転量を変化させることが可能な素子である。例えば、その旋光子は、2枚の楔形から構成され、一方の楔を他方の楔に対して移動させることにより、旋光子の光が通過する領域の厚さを可変として偏光方向を変えることもできる。
【0042】
なお、上述の実施形態では、光源10と偏光子2を利用して、直線偏光L1を作り出す例を示しているが、これに限られることなく、直線偏光レーザを光源として使用すれば偏光子2を省略することもできる。
【0043】
また、上述の実施形態では検光子あるいは1/2λ板を光軸周りに回転させているが回転中心は必ずしも光軸と一致している必要はなく、検光子の透過軸角度、1/2λ板の進相軸角度を変えられるなら光軸以外を中心として回転しても問題はない。
【符号の説明】
【0044】
1 表面検査装置 3 検光子
8 信号処理ユニット(信号強度検出部、表面検査部)
8a 内部メモリ(信号強度検出部) 8b 位置検出部
8c 位置記憶部 10 光源(照明部)
20 ウェハ(被検基板) 23 繰り返しパターン(パターン)
30 回転駆動装置(検光子回転駆動装置)
45 1/2λ板(1/2波長板)
48 回転駆動装置(波長板回転駆動装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記信号強度検出部により検出された信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置検出部により検出された前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記被検基板の表面における予め指定した領域の位置情報が記憶されている位置記憶部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置記憶部により記憶された前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項4】
前記相対回転制御部は、前記検光子を回転させる検光子回転駆動装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記検光子の上流側に1/2波長板が設けられ、
前記相対回転制御部は、前記1/2波長板を前記検光子に対して回転させる波長板回転駆動装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項6】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、
前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項7】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項8】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている位置を検出する位置検出ステップと、
前記被検基板における予め指定した領域の位置情報が記憶される記憶ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項1】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記信号強度検出部により検出された信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置検出部により検出された前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させる検光子と、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記被検基板の表面における予め指定した領域の位置情報が記憶されている位置記憶部と、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度検出部が前記位置記憶部により記憶された前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対回転制御部と、
前記相対回転制御部により決定された前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査部とを備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項4】
前記相対回転制御部は、前記検光子を回転させる検光子回転駆動装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記検光子の上流側に1/2波長板が設けられ、
前記相対回転制御部は、前記1/2波長板を前記検光子に対して回転させる波長板回転駆動装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項6】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、
前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている領域の位置を検出する位置検出ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記パターンが形成されている領域の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項7】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記検光子を通過した光を受光し前記受光した光から前記被検基板の画像信号を生成し、前記画像信号の信号強度を検出する信号強度検出ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記信号強度を検出し、前記信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項8】
所定のパターンが形成された被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明ステップと、
前記第1の直線偏光が前記被検基板の表面に照射されることにより前記被検基板から出射される楕円偏光を受光し、検光子に前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分のみを通過させ前記第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記信号強度に基づいて前記被検基板の表面における前記パターンが形成されている位置を検出する位置検出ステップと、
前記被検基板における予め指定した領域の位置情報が記憶される記憶ステップと、
前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対して相対回転させながら前記所望の位置の信号強度を検出し、前記位置の信号強度が最小となる前記楕円偏光に対する前記検光子の最小強度相対位置を決定する相対位置制御ステップと、
前記最小強度相対位置に前記楕円偏光及び前記検光子のいずれか一方を他方に対し前記相対回転をさせた状態で、前記検光子を通過した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行う表面検査ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−286247(P2010−286247A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137840(P2009−137840)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]