説明

誘電体バリア放電を利用したプラズマ表面処理

大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを使用した粉末のインフライト表面処理の方法をここで説明する。前記方法は、減少した粉末凝集特性を示す粉末粒子を生成する誘電体バリア放電トーチへと粉末材料を供給する段階と、粒子の表面特性をインフライト修飾する段階と、被覆された粉末粒子を回収する段階と、を含む。大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを備えるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理のための装置もここで説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電を利用したマイクロ粒子及びナノ粒子のプラズマ表面処理に関する。本発明は特に、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチ(DBDT)を利用したマイクロ粒子及びナノ粒子の被覆方法に関するが、これに限定されるものではない。本発明はさらに、マイクロ粒子及びナノ粒子の被覆装置に関し、前記装置は大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを備える。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末は、その小さなサイズ及び高比表面積に直接関連する特有の物理的特性を有する。ナノ粉末は固有の凝集傾向を示し、結果として見掛け粒径が増大する。凝集は、触媒特性、導電性だけでなく光学特性、磁気特性等のナノ粉末の機能特性に直接影響を与える。
【0003】
ナノ粉末は高比表面積を有するため非常に反応性が高く取り扱いが困難である。薄膜又はその他の被覆材料をそれぞれの粒子の外表面に堆積することにより凝集を防止し、特有の特性を変化させることなく取り扱いを容易にすることが可能となる。
【0004】
被覆材料の選択(ポリマー型又はその他)により、粉末の表面特性を選択的に制御することが可能となる。粉末の表面処理及び/又は被覆材料の適切な選択によりその他の粉末固有の特性を制御することに加えて、さらに親水性を変更することができる。粒子表面をポリマー薄膜で被覆することにより、安定な自然発火性ナノアルミニウム粉末(周囲温度で直ちに発火する)を作り出すことができる。このような被覆により、高温での高エネルギー値に悪影響を及ぼすことなく低温で安定な粉末が得られる。
【0005】
プラズマ表面処理はこれまで、ポリマー膜を含む数多くの基板の疎水性、親水性、接着性、耐食性を向上させる表面修飾技術として利用されてきた。洗浄及びエッチングの用途においても幅広い利用が見られた。
【0006】
多様な基板上にポリマー膜等の薄い被覆を適用するためにプラズマ蒸着及びプラズマ重合法が開発された。これらの方法の多くはかなり低圧(100Pa未満)で実施される。
【0007】
薄膜被覆は、ナノ粉末の凝集性を軽減し分散性を向上すると同時に表面特性を変化させる方法として以前報告されている。RFプラズマトーチ(27MHz)を低圧(30Pa)で作動して使用したジルコニア(ZrO)ナノ粉末(〜130nm)のポリエチレン膜での被覆がHeらによって報告されている(1)。
【0008】
RFプラズマトーチ(13.56MHz)を低圧(25Pa)で作動して使用したアルミナ(Al)ナノ粒子(〜10−150nm)のポリピロール膜での被覆がShiらによって報告されている(2)。ポリピロール薄膜は放電出力10Wで堆積された。アルミナナノ粉末の導入には真空状態に保持された流動床が使用された(0.16g/min)。Shiらは同様の方法を使用したカーボンナノチューブへのポリスチレン膜の堆積も報告している(3)。
【0009】
RFプラズマトーチ(13.56MHz)を低圧(1kPa)で作動して使用したアルミナ(Al)ナノ粒子のエタンベースのポリマー層での1.5nmの厚さの被覆がSchallehnらによって報告されている(4)。被覆されたアルミナ(Al)ナノ粒子は、0.5−1g/hの速度で製造され、収率は約40%であった。
【0010】
マイクロ波(MW)プラズマトーチを高周波数(2.45GHz)及び低圧(1−5kPa)で作動して使用したジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、酸化タングステン(WO、WO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化スズ(SnO、SnO)、酸化鉄(Fe)等の酸化物ナノ粉末の被覆がVollathらによって報告されている(5、6)。膜被覆は、ポリマー前駆体としてメタクリル酸メチルを使用して実現された。モノマーはプラズマトーチ放電の出口で導入され、プラズマから放出される紫外線の影響下で重合された。
【0011】
MWプラズマトーチを高周波数(2.45GHz)及び低圧で作動して使用した銀ナノ粒子のポリマー層での調製及び被覆がLik Hang Chauらによって報告されている(7)。同著者はさらに、MWプラズマトーチを使用したコバルトナノ粒子のシリコンカーバイド層での調製及び被覆も報告している(8)。CoCl及びSiCl/ヘキサンがそれぞれ調製及び被覆の前駆体に使用された。
【0012】
容量性プラズマトーチ(13.6MHz)を低圧(1−5kPa)で作動して使用した30−80nmの範囲のサイズの微細シリカ粉末の被覆がKouprineらによって記載されている(9)。プラズマ放電出力は700−1500Wに設定され、プラズマガスにはアルゴンと、メタン又はエタンとの混合気体が含まれた。シリカ粉末供給材料の導入には流動床が使用された。
【0013】
連続波COレーザーを出力設定120W、波長(λ)10.6μm、圧力700mbarで作動して使用したレーザー熱分解を利用した鉄ナノ粒子の合成及び炭素被覆がDumitracheらによって報告されている(10)。鉄カルボニル及びアセチレンがそれぞれ粉末の合成及び被覆の前駆体であった。
【0014】
DCプラズマアーク放電トーチ(1−50V;30−150A)を大気圧で作動して使用したアルミニウム粒子の合成及び炭素被覆がErmolineらによって報告されている(11)。カソードは銅から成り、アノードは消耗アルミニウム棒を備えるものであると報告されている。被覆されたナノアルミニウム粒子を製造するためにパルスモードでアノードのアブレーションが実施された。炭素被覆は天然ガスを使用して実現された。
【0015】
特別に設計されたプラズマ放電トーチ(15kHz;100kPa;10W)において大気圧グロー放電(APGD)を使用した多孔質粒状シリカ粒子(〜150μm)のプラズマ重合テトラフルオロエチレン(TFE)薄膜での被覆がSawada らによって報告されている(12)。プラズマ供給ガスにはヘリウム及びTFE(1%)が含まれた。シリカ粒子はプラズマ領域を数回再循環させたと報告されている。
【0016】
DBDトーチを大気圧で作動して使用した銅ナノ粒子の炭素被覆がLeiらによって報告されている(13)。銅ナノ粒子は、銅ワイヤを高周波電磁コイルで加熱する流動浮上法(flow levitation method)を使用して製造された。続いて製造された銅ナノ粒子は、アルゴンと、水素と、メタンとを使用してDBDトーチを大気圧で作動して利用することでin situで炭素被覆された。
【0017】
Bretagnolらは、窒素とアンモニアとを処理ガスとして使用し、13.56MHzで作動する低圧RFプラズマにおいて、低密度ポリエチレン(LDPE)粉末の表面変更を研究した(19)。前記粉末は流動床リアクターで再循環された。粒子の湿潤性を変化させるためには300秒程度の滞留時間が必要であった。
【0018】
ポリエチレン粉末もLeroyらによって公開されているように処理された(20)。プラズマ放電は流動床リアクターと連結され、粉末はプラズマのアフターグロー領域において処理された。処理ガスは酸素と窒素との混合ガスであった。周波数2450MHzを有するマイクロ波プラズマを使用して0.1〜20mbarの低圧で作動させた。
【0019】
本発明は多くの文献を参照しており、その内容は参照によりここに全体が組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】He,W.; Guo、Z.; Pu, Y.; Yan, L.; and Si,W.; Polymer coating on the surface of zirconia nanoparticles by inductively coupled plasma polymerization. Journal of Applied Physics Letters,2004,85(6),896.
【非特許文献2】Shi,D.; Wang,S.X.; Van Ooij,W.J.; Wang, L.M.; Zhao,J.; and Yu,Z.; Uniform deposition of ultra−thin polymer films on the surfaces of Al2O3 nanoparticles by a plasma treatment. Journal of Applied Physics Letters,2001,78(9),1243.
【非特許文献3】Shi,D.; Lian,J.; He,P.; Wang,L.M.; Van Ooij,W.J.; Schulz,M.; Liu,Y.; and Mast,D.B.; Plasma deposition of ultra−thin polymer films on carbon nanotubes. Applied Physics Letters,2002,81(27),5216.
【非特許文献4】Schallehn,M.; Winterer,M.; Wirich,T.E.; Keiderling,U.; and Hahn,H.; In Situ Preparation of Polymer Coated Alumina Nanopowders by Chemical Vapor Synthesis. Chemical Vapor Deposition,2003,Vol.9(1),40
【非特許文献5】Vollath,D.; and Szabo,D.V.; Oxide−polymer nanocomposites as new luminescent materials. Journal of Nanoparticle Research,2004,6,181−191.
【非特許文献6】Vollath,D. and Szabo,D.V.; Coated nanoparticles: A new way to improve nanocomposites. Journal of Nanoparticle Research,1999,1,235.
【非特許文献7】Lik Hang Chau,J; Hsu,M.; Hsieh,C.; and Kao,C.; Microwave plasma synthesis of silver nanopowders. Materials Letters,2005,Vol59,905.
【非特許文献8】Lik Hang Chau,J; Hsu,M.; Hsieh,C.; and Kao,C.; Microwave plasma synthesis of Co and SiC−coated Co nanopowders. Materials Letters,2006,Vol60,947.
【非特許文献9】Kouprine,A.; Gitzhofer,F.; Boulos,M.; and Fridman,A.; Polymer like C:H thin film coating of nanopowders in capacitively coupled rf discharge. Plasma Chemistry and Plasma Processing,2004,24(2),189.
【非特許文献10】Dumitrache,F.; Morjan,L.; Alexandrescu,R.; Morjan,R.E.; Voicu,I.; Sandu,I.; Soare,I.; Ploscaru,M.; Fleaca,C.; Ciupina,V.; Prodan,G.; Rand,B.; Brydson,R; and Woodword,A. Nearly monodispersed carbon coated iron nanoparticles for the catalytic growth of nanotubes/nanofibers. Diamond and Related Materials,2004,13,362.
【非特許文献11】Ermoline,A.; Shoenitz,M.; Dreizen,E.; and Yao,N.; Production of carbon coated aluminum nanopowders in pulsed microarc discharge. Nanotechnology,2002,13,638.
【非特許文献12】Sawada,Y.; Kogoma,M.; Plasma polymerized tetrafluoroethylene coatings on silica particles by atmospheric pressure glow discharge. Powder Technology,1997,90,245.
【非特許文献13】Lei,H.; Tang,Y.; Li,J.; Luo,J.; and Li,X.; In−Situ Organic Coating of Metal Nanoparticles. Applied Physics Letter,2006,88.
【非特許文献14】Kogelschatz,U.; Filamentary, Patterned, and Diffuse Barrier Discharges.; IEEE Transactions on Plasma Science,2002,30(4),1400.
【非特許文献15】Becker,K.H.; Kogelschatz,U.; Schoenbach,K.H.; and Barker,R.J.Eds., Non−Equilibrium Air Plasmas at Atmospheric Pressure, IOP2004,Chapter6,276−306.
【非特許文献16】Kogelschatz,U.; Dielectric−barrier discharges: Their history, discharge physics, and industrial applications. Plasma Chemistry and Plasma Processing,2003,23(1),1.
【非特許文献17】Kogelschatz,U.; and Eliasson,B. Ozone Generation and Applications. Handbook of Electrostatic Processes: Chang,J.S.; Kelly A.J. and Crowley J.M.Eds.(Marcel Dekker, New York 1995),581−605.
【非特許文献18】Manley,T.C.; The electrical characteristics of the ozone discharge. Trans. Electrochem. Soc.1943,84,83.
【非特許文献19】Bretagnol,F.; Tatoulian,M.; Khonsari,F.A.; Lorang,G.; and Amouroux,J.; Surface modification of polyethylene powder by nitrogen and ammonia low pressureplasma in a fluidized bed reactor. Reactive and functional polymers,2004,61:0.221.
【非特許文献20】Leroy,J.B.; Fatah,N.; Mutel,B. and Grimbolt.J. Treatment of polyethylene powder using a remote nitrogen plasma reactor coupled with a fluidized bed: influence on wettability and flowability. Plasma and Polymers,2003,8(1):p.13.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、表面処理されたマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の調製方法に関する。一実施形態において、本発明は誘電体バリア放電トーチを大気圧又は低真空条件で作動して使用する表面処理されたマイクロ粒子及びナノ粒子の調製方法に関する。表面処理の一般的な実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の表面化学をプラズマ放電との反応を利用して修飾する方法に関する。表面処理のさらなる一般的な実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の表面化学を被覆材料の堆積を利用して修飾する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
一実施形態において、本発明は適用される被覆(膜)の厚さを好都合に制御することができる被覆されたマイクロ粒子及びナノ粒子の調製方法に関する。被覆の厚さは通常1nm以下から数百nmの範囲である。
【0023】
さらに具体的には、広義に主張すると本発明は大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用した粉末粒子の表面処理方法に関し、前記方法は(a)粉末供給材料を誘電体バリア放電トーチへ導入する段階と、(b)プラズマ放電との反応を利用して粉末供給材料の表面化学を修飾する段階と、(c)表面処理された粒子を回収する段階と、を含む。
【0024】
さらに具体的には、広義に主張すると本発明は粉末粒子の表面処理方法に関し、前記方法は、(a)微粒子粉末材料を誘電体バリア放電トーチアセンブリへ供給する段階と、(b)誘電体バリア放電トーチにおいて粒子の表面特性をインフライト修飾し、表面処理された粒子を製造する段階と、(c)表面処理された粒子を回収する段階と、を含む。本発明の一実施形態において、インフライト修飾は粒子表面のプラズマ放電との反応を含む。本発明のさらなる実施形態において、インフライト修飾は被覆材料前駆体の誘電体バリア放電トーチアセンブリへの注入を利用した被覆材料の生成と、前記被覆材料の粒子表面への堆積と、を含み、被覆された粒子を製造する。
【0025】
さらに具体的には、広義に主張すると本発明は大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用した粉末粒子の表面処理方法に関し、前記方法は、(a)粉末供給材料を誘電体バリア放電トーチに導入する段階と、(b)誘電体バリア放電トーチに少なくとも一つの表面処理材料を導入し、前記材料が表面処理された粉末粒子を製造する段階と、(c)表面処理された粒子を回収する段階と、を含む。
【0026】
さらに具体的には、広義に主張すると本発明は大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用した粉末粒子の表面処理方法に関し、前記方法は、(a)少なくとも一つの表面処理材料前駆体を誘電体バリア放電トーチに導入し、被覆種を製造する段階と、(b)被覆種を粉末供給材料と接触させる段階と、(c)表面処理された粉末粒子を回収する段階と、を含む。
【0027】
さらに具体的には、広義に主張すると本発明は大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用した粉末の表面処理方法に関し、前記方法は、(a)分散された粉末を含む噴霧液供給材料と、少なくとも一つの表面処理材料前駆体と、を誘電体バリア放電トーチに導入する段階と、(c)表面処理された粉末粒子を回収する段階と、を含む。
【0028】
一実施形態において、本発明は表面処理されたマイクロ粒子及びナノ粒子を製造するための大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを備えた装置に関する。
【0029】
一実施形態において、本発明は粉末粒子をインフライト表面処理する装置に関し、前記装置は、
(i)プラズマガスをトーチに供給するための第1注入口と、(ii)微粒子粉末材料をトーチに供給するための第2注入口と、(iii)微粒子粉末材料を処理するための放電チャンバであり、外表面に配置された電極構造を備えた反応チャンバと、
を含む誘電体バリア放電トーチと、
表面処理された粒子を回収する手段と、
を含み、
プラズマ形成ガスが放電チャンバを通過することでプラズマ放電が生成され、前記プラズマ放電により粒子の表面特性のインフライト修飾が起こる装置である。
【0030】
本発明はさらに、表面処理されたマイクロ粒子及びナノ粒子に関する。一実施形態において、本発明は有機被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。一実施形態において、本発明は無機被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。一実施形態において、本発明は金属被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。一般的な実施形態において、本発明は酸化物被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。さらなる一般的な実施形態において、本発明は窒化物被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。さらなる一般的な実施形態において、本発明はカーバイド被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子に関する。
【0031】
本発明はさらに、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用して製造された被覆を含むマイクロ粒子及びナノ粒子に関する。
【0032】
本発明はさらに、表面処理が大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用して実現される表面処理されたマイクロ粒子及びナノ粒子に関する。
【0033】
本発明はさらに、マイクロ粒子及び/又はナノ粒子を表面処理するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。一実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の表面化学を修飾するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。一実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を有機被覆で被覆するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。一実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を無機被覆で被覆するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。一実施形態において、本発明はマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を金属被覆で被覆するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。一実施形態において、本発明は酸化された表面を有するマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を製造するための、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチに関する。
【0034】
最後に一実施形態において、本発明は粉末粒子のインフライト表面処理のための誘電体バリア放電トーチの使用に関する。
【0035】
本発明の利点及び特徴は、添付図を参照してほんの一例として与えられた以下の具体的実施形態の非限定的な説明を読むことでさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
添付図において、
【図1a】図1aは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1b】図1bは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1c】図1cは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1d】図1dは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1e】図1eは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1f】図1fは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1g】図1gは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1h】図1hは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1i】図1iは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図1j】図1jは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆の多様な構成のブロック図を示す。
【図2a】図2aは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆のための誘電体バリア放電を生成する同心電極の構造を示す。
【図2b】図2bは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆のための誘電体バリア放電を生成する同軸電極構造を示す。
【図2c】図2cは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆のための誘電体バリア放電を生成するシェル電極構造を示す。
【図2d】図2dは、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆のための誘電体バリア放電を生成するマルチスタガード電極構造を示す。
【図3a】図3aは、本発明の一実施形態による酸化物層被覆又は有機被覆のいずれかを含むマイクロ粒子又はナノ粒子を製造するために作動している同心電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリの写真を示す。
【図3b】図3bは、本発明による誘電体バリア放電トーチアセンブリの概略的横断面図を示す。
【図3c】図3cは、中央の粉末又は表面処理材料前駆体注入プローブと、高圧電極及び接地電極とを示すトーチヘッドの概略的横断面図を示す。
【図4a】図4aは、本発明の一実施形態による作動しているマルチスタガードシェル電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリの写真を示す。
【図4b】図4bは、本発明の一実施形態による水冷マルチスタガードシェル電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリを図示する。
【図4c】図4cは、水冷マルチスタガードシェル電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリの概略的横断面図を示し、多様な注入ポートと水冷チャネルとを示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による複数の水冷シェル電極を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリの概略的横断面図を示す。アセンブリは、マイクロ粒子又はナノ粒子を帯電するよう設計されたモジュールの対を備えた上流部分と、帯電したマイクロ粒子又はナノ粒子を被覆するよう設計された一連のモジュールを備えた下流部分と、を含む。
【図6a】図6aは、ナノシリカ粒子の粉末透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【図6b】図6bは、ナノシリカ粒子の粉末透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【図6c】図6cは、ナノシリカ粒子の粉末透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【図7a】図7aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリエチレンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約10nmを有する実質的に均一なポリエチレン被覆を示す。
【図7b】図7bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリエチレンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約10nmを有する実質的に均一なポリエチレン被覆を示す。
【図7c】図7cは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリエチレンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約10nmを有する実質的に均一なポリエチレン被覆を示す。
【図8a】図8aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリイソプレンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約5nmを有する実質的に均一なポリイソプレン被覆を示す。
【図8b】図8bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリイソプレンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約5nmを有する実質的に均一なポリイソプレン被覆を示す。
【図9a】図9aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリブタジエンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約5nmを有する実質的に均一なポリブタジエン被覆を示す。
【図9b】図9bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリブタジエンで被覆されたナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、厚さ約5nmを有する実質的に均一なポリブタジエン被覆を示す。
【図10a】図10aは、マクロアルミニウム金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図10b】図10bは、マクロアルミニウム金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図10c】図10cは、マクロアルミニウム金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図11a】図11aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はテトラエチルオキシシリカン)を含むマクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図11b】図11bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はテトラエチルオキシシリカン)を含むマクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図11c】図11cは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はテトラエチルオキシシリカン)を含むマクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図12a】図12aは、ナノアルミニウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真を示す。
【図12b】図12bは、ナノアルミニウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真を示す。
【図13a】図13aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はジエチルジメチルシロキサン)を含むナノアルミニウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図13b】図13bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はジエチルジメチルシロキサン)を含むナノアルミニウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図14a】図14aは、ナノアルミナ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【図14b】図14bは、ナノアルミナ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【図15a】図15aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はジエチルジメチルシロキサン)を含むナノアルミナ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図15b】図15bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したシリカ様(SiO)被覆(被覆前駆体はジエチルジメチルシロキサン)を含むナノアルミナ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、実質的に均一なシリカ様被覆を示す。
【図16a】図16aは、ナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真を示す。
【図16b】図16bは、ナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真を示す。
【図16c】図16cは、ナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真を示す。
【図17a】図17aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した酸化ジスプロシウム(Dy)無機被覆を含むナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真であり、実質的に均一な酸化ジスプロシウム被覆を示す。
【図17b】図17bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した酸化ジスプロシウム(Dy)無機被覆を含むナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真であり、実質的に均一な酸化ジスプロシウム被覆を示す。
【図17c】図17cは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した酸化ジスプロシウム(Dy)無機被覆を含むナノチタン酸バリウム粒子の電界放射電子銃(FEG)顕微鏡写真であり、実質的に均一な酸化ジスプロシウム被覆を示す。
【図18a】図18aは、磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図18b】図18bは、磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図18c】図18cは、磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図19a】図19aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した鉄様被覆(被覆前駆体はフェロセン)を含む磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一な鉄様被覆を示す。
【図19b】図19bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した鉄様被覆(被覆前駆体はフェロセン)を含む磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一な鉄様被覆を示す。
【図19c】図19cは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造した鉄様被覆(被覆前駆体はフェロセン)を含む磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一な鉄様被覆を示す。
【図20】図20は、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したコバルト様被覆(被覆前駆体はコバルトセン)を含む磁性マクロ金属粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、実質的に均一なコバルト様被覆を示す。
【図21】図21は、コバルトで被覆された磁性粒子のエネルギー分散スペクトル(EDS)マッピングであり、コバルト被覆を青色で示し、磁性粒子を灰色で示す。
【図22a】図22aは、マクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図22b】図22bは、マクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図23a】図23aは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して製造したポリアセチレン被覆(被覆前駆体はアセチレン)を含むマクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図23b】図23bは、本発明の一実施形態による誘電体バリア放電トーチアセンブリを使用して得られたポリアセチレン被覆(被覆前駆体はアセチレン)を含むマクロアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図24】図24は、ポリアセチレンで被覆されたマクロアルミニウム粒子のエネルギー分散スペクトル(EDS)マッピングであり、アルミニウム粒子を赤色で示し、ポリアセチレン被覆を緑白色で示す。
【図25】図25は、高密度ポリエチレンで被覆されたアルミニウム粒子のアルゴン雰囲気下、温度範囲約100℃から約800℃、昇温速度10℃/minでの質量減少を示す熱重量分析(TGA)グラフであり、温度が550℃以下では質量減少は被覆工程の間に加えたポリマー被覆の量に実質的に対応し、より高温で観測された重量増加は酸化層の堆積に対応する。
【図26a】図26aは、ポリエチレンで被覆されたシリカ粒子の空気雰囲気下、温度範囲約100℃から約600℃での質量減少を示す熱重量分析(TGA)グラフであり、質量減少は被覆工程の間に加えたポリマー被覆の量に実質的に対応し、より高温で観測された重量増加は酸化層の堆積に対応する。
【図26b】図26bは、ポリブタジエンで被覆されたシリカ粒子の空気雰囲気下、温度範囲約100℃から約600℃での質量減少を示す熱重量分析(TGA)グラフであり、質量減少は被覆工程の間に加えたポリマー被覆の量に実質的に対応し、より高温で観測された重量増加は酸化層の堆積に対応する。
【図26c】図26cは、ポリイソプレンで被覆されたシリカ粒子の空気雰囲気下、温度範囲約100℃から約600℃での質量減少を示す熱重量分析(TGA)グラフであり、質量減少は被覆工程の間に加えたポリマー被覆の量に実質的に対応し、より高温で観測された重量増加は酸化層の堆積に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書中で使用する用語が明確に一貫して理解されるように、以下に多くの定義を提供する。さらに、ここで使用する技術用語及び科学用語は定義しない限り本発明が関連する分野の当業者が共通に理解するものと同じ意味を有する。
【0038】
本請求項及び/又は明細書中において“一つの”という単語を“含む”という用語とともに使用する場合、それは“一つ”を意味することもあるが“一つ以上”、“少なくとも一つ”、“一つ又は一つより多くの”とも矛盾しない。同様に、“もう一つの”という単語は少なくとも二つ以上を意味し得る。
【0039】
本明細書及び請求項において、“備える”(及び“備えられる”等の“備える”のあらゆる形態)、“有する”(及び“有す”等の“有する”のあらゆる形態)、又は“含む”(及び“含まれる”等の“含む”のあらゆる形態)という単語は、包括的又は制約がないことを意味し、追加の列挙されていない要素又は工程段階を除外しない。
【0040】
“約”という用語は、値が、値の測定に使用する装置又は方法に固有の誤差の変動を含むことを意味する目的で使用する。
【0041】
本明細書において“大気圧又は低真空条件”という用語は、約5気圧から約50Torrに至るまでの範囲の圧力を意味する。
【0042】
本明細書において“低周波数”という用語は、1MHz以下の周波数を意味する。
【0043】
本明細書において“表面処理”という用語は、粒子表面をガス環境(プラズマ放電)と反応させる方法又は被覆材料を粒子表面に堆積する方法のいずれかを意味する。被覆材料は一般的に粒子と異なる化学組成を含む。粒子の表面をガス環境と反応させる方法の限定的でない例は酸化方法を含む。このような方法の結果、一般的に酸化物層が形成される。粒子の表面をガス環境と反応させる方法の結果、一般的に表面の物理特性及び化学特性が変化する。“表面処理”の効果の限定的でない例は、酸化及び/又は燃焼に対する耐性の向上(表面パッシベーション)と、親水性及び疎水性の変更と、粉末凝集傾向の軽減と、を含む。
【0044】
本明細書において“金属”という用語は、全ての金属含有材料を意味する。これは純金属と、半金属と、金属合金と、熟練した技術者に明らかな同様の組み合わせと、を含むがそれに限定されるものではない。
【0045】
本明細書において“被覆”という用語は、全ての種類の被覆を意味する。これは多孔質(例えば被覆されない空間を含む)被覆と非孔質被覆とを含むがそれに限定されるものではない。非孔質被覆において、一般的に被覆は粒子の被覆前の表面が全く露出しないように、完全に連続的な方法で粒子の全表面にわたって適用する。多孔質被覆において、粒子の表面を少なくとも一部は被覆する。
【0046】
本明細書において同じ意味で使用する用語“実質的に一様”又は“実質的に均一”は被覆について説明する時に、被覆に著しい局所的変動がほぼ存在しないことを意味する。
【0047】
本発明は、大気圧又は低真空条件で作動する誘電体バリア放電トーチを利用した粉末粒子の表面処理方法に関する。本発明の一実施形態において、粉末粒子はポリマー性マイクロ粒子及びナノ粒子、金属性マイクロ粒子及びナノ粒子、又はそれらの組み合わせを含む。本発明のさらなる実施形態において、粉末粒子は金属酸化物マイクロ粒子及びナノ粒子を含む。表面処理の結果、マイクロ粒子及びナノ粒子の表面化学が修飾されるか、あるいは代わりに被覆層の厚さが約1nm以下から約50nmまでの範囲の被覆された粒子が製造される。本発明の一実施形態において、被覆はポリマー材料を含む。本発明のさらに追加的な実施形態において、被覆は金属、酸化物、窒化物、又はカーバイド被覆を含む。シリカ様被覆に限らずその他の被覆が当技術分野で周知であり熟練した技術者が対応できる範囲内である。
【0048】
誘電体バリア放電は一般的に、少なくとも一つの誘電体バリア(絶縁体)と、一対の電極間に位置する放電空間と、が存在することを特徴とする。さらに誘電体バリア放電は、化学結合、励起原子種、及び分子種を切断することができるものとしてこれまで説明されており、フリーラジカル等の活性種を生成する。本発明の文脈の中で活性種の限定的でない例は、電子基底状態又は励起状態のいずれかの状態のHe、Ar、Ne等の原子と、N、N、N等の電子基底状態又は励起状態のN等の分子と、CH、CH、CH、NH、NH等の分子フラグメントと、を含む。その他の活性種は当技術分野で周知であり熟練した技術者が対応できる範囲内である。誘電体バリア放電は、パターン化された形態(フィラメントパターン)から規則的及び明らかに均一なパターンの範囲に及ぶ多様な形態をとり得る(14、15)。
【0049】
誘電体バリア放電トーチは、非熱(非平衡システム)プラズマシステム又はコールドプラズマシステムとして分類される。熱プラズマは電子と重粒子とを同じ温度で有する(それらが互いに熱平衡の状態にある)。しかし非熱プラズマは一般的に、電子より低温でイオンと中性子(重粒子)とを含むことを特徴とする。プラズマの重粒子の温度は比較的低温のままであり不要にポリマーを分解しないため、誘電体バリア放電トーチは重合及び堆積方法に適するものであると言われてきた。他の従来の熱プラズマトーチと比較した誘電体バリア放電トーチ固有の利点は、非熱プラズマ条件が大気圧又は大気圧付近(大気圧又は低真空条件)で容易に設定できることである。特に粉塵の多い環境で動作させる場合、大気圧以上又は大気圧付近で作動することで、真空装置を維持するいかなる費用及び問題も必要としないという更なる利点がある。
【0050】
誘電体バリア放電技術を含む工業的応用の一般的例は、オゾン発生器、プラズマ表示パネルを含む(15−17)。作動周波数は一般的に回線周波数から数GHzまでの範囲であり、さらに一般的には1kHzから500kHzである。
【0051】
本発明の誘電体バリア放電トーチは大気圧又は低真空条件で作動し、粉末製造方法に容易に組み入れることができる。本発明の一実施形態によると、放電は二つの同心円筒石英管(溶融シリカ、石英ガラス)又はセラミック管の間の環状空間から開始される(例:図2a)。本発明の一実施形態によると、放電は円筒誘電管(例えば石英管又はセラミック管)の表面に配置された一対の同軸スリーブ電極間から開始される。本発明のさらなる実施形態によると、放電は一対の半円筒シェル電極間の円筒石英管又はセラミック管から開始される。セラミック管は誘電体バリアとして特に有用である。本発明のさらなる実施形態によると、放電は二枚の平行な石英板(溶融シリカ、石英ガラス)又はセラミック板の間から開始される。その他の放電構成は熟練した技術者が対応できる範囲内である。
【0052】
誘電体バリア放電トーチアセンブリの実施形態によっては、電極は水冷電極であってよい。水冷電極は一般的に有機被覆を含むマイクロ粒子又はナノ粒子を製造する誘電体バリア放電トーチアセンブリで使用する。水冷電極は一般的に優れた放電の冷却及び試験再現性を確保する。
【0053】
本発明の一実施形態によると、外部接地電極は一般的に外側の石英管又はセラミック管(同軸構造の場合)の外表面に適用され最低700℃の温度で燃焼された金属板もしくは金属箔、金属ワイヤメッシュ、又は金属塗料(例えば白金)を備える。本発明のさらなる実施形態によると、外部接地電極は一般的に平行な透明石英板又はセラミック板(平行構造の場合)の外表面に適用され最低700℃の温度で燃焼された金属板もしくは金属箔、金属ワイヤメッシュ、又は金属塗料(例えば白金)を備える。ワイヤメッシュを使用すると透明性の利点は得られるが、メッシュと外側の石英管又はセラミック管との間(同軸構造の場合)、又はメッシュと平行板との間で余計な放電を時々導入する。金属塗料(例えば白金)を使用するとそのような余計な放電を防ぐことができ、より一様な放電が得られる。金属塗料は多様なパターンで塗布してよく、パターンの限定的でない例は連続パターン、らせんパターン、又は環状パターンを含む。その他のパターンも熟練した技術者が対応できる範囲内である。本発明の一実施形態によると、金属塗料は白金塗料である。金又は銀等の導電塗料に限らずその他の金属塗料が当技術分野で周知であり、熟練した技術者が対応できる範囲内である。特定の金属塗装パターンを適用することで、粉末の帯電及び被覆を制御できるだけでなく粉末のとる軌道を制御することが可能となる。
【0054】
プラズマ領域を通過する粉末粒子は同符号に帯電すると考えられている。従って粉末粒子は互いに反発し合い、既存の凝集構造を破壊し新たな凝集の形成を防止する。凝集の形成を破壊し防ぐことでより効果的で均一な粒子被覆が実現される。正に帯電したイオンより電子は高速で粒子表面に衝撃を与えるため、プラズマ領域を通過する固体粒子は負に帯電する傾向にある。本発明の誘電体バリア放電トーチは、表面処理材料前駆体(例えばモノマー)を導入するための複数の注入ポートを備え、被覆される粉末粒子が、被覆処理を施される前より減少した粉末の凝集を確実に示すようにする。
【0055】
本発明の一実施形態によると、誘電体バリア放電トーチは連続放電モードで作動させてよい。本発明のさらなる実施形態によると、誘電体バリア放電トーチは間欠放電モードで作動させてよい。連続放電モードで作動する場合、放電を持続させるように誘電体バリア放電トーチに途切れることなく電力を供給する。間欠放電モードで作動する場合、誘電体バリア放電トーチに周期的に(スイッチオンとオフ)電力を供給する。連続するスイッチ切り替えの間の遅延時間は数ミリ秒の単位で短くてよく、あるいは数秒まで延長してよい。各周期の“オフ”の期間は“オン”の期間と同じ長さである必要はなく、独立に数ミリ秒に設定してよく、数秒まで延長してもよい。“オフ”と“オン”の期間はいずれも別々に及び独立に制御してよい。
【0056】
本発明の誘電体バリア放電トーチを間欠放電モードで作動することで、エネルギー負荷の減少を通じて被覆方法への制御が向上する。間欠放電モードで作動することで、連続放電モードで作動するより10倍以上エネルギー負荷を減少させ得る。さらに、間欠放電モードで作動するとプラズマから放射される紫外線が引き起こすいかなる潜在的損傷も軽減される。
【0057】
多様なポリマー被覆(例えばポリマー膜)が本発明の誘電体バリア放電トーチを使用して堆積され得る。本発明によって意図される被覆モノマー(表面処理材料前駆体)の限定的でない例は、アセチレン、エチレン、イソプレン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラエチルオキシシラン(TEOS)、テトラエチルオキシシリカン、ジエチルジメチルシロキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン(TFE)、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセチレン、エチレン、プロピレン、ベンゼン、イソプレン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラエチルオキシシラン、テトラエチルオキシシリカン、ジエチルジメチルシロキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン、ピロール、シクロヘキサン、1−ヘキサン、アリルアミン、アセチルアセトン、エチレンオキシド、メタクリル酸グリシジル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、無水酢酸、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、1−オクタノール、アクリル酸、フェロセン、コバルトセン、シクロオクタテトラエン鉄トリカルボニル、メチルシクロペンタジエニル鉄ジカルボニル、ジシクロペンタジエニル鉄ジカルボニル二量体、シクロペンタジエニルコバルトコバルトアセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナート、ジメチル−(2,4−ペンタン−ジオナト)金(III)、ニッケルカルボニル、鉄カルボニル、スズアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムテトラメチルヘプタンジオナトを含む。その他のモノマーもさらに本発明の文脈の中で使用することができ、熟練した技術者が対応できる範囲内であることを理解されたい。さらに、ポリマー被覆の厚さ及び分子量は変化してよく、ポリマー被覆の厚さ及び/又は分子量を制御するパラメータは熟練した技術者が対応できる範囲内である。本発明の一実施形態によると、被覆は有機被覆である。本発明のさらなる実施形態によると、被覆は無機被覆である。無機被覆前駆体の限定的でない例は、純金属、酸化物、窒化物、カーバイド、又はそれらの組み合わせを含む。
【0058】
本発明の誘電体バリア放電トーチを使用してナノメートルからマイクロメートル規模の範囲のサイズの多様な粒子を被覆することができる。ポリマー被覆(ポリマー膜)は、気体、液体、又は固体状態のいずれか前駆体を利用して堆積され得る。気体前駆体の限定的でない例は、アセチレンと、エチレンと、ブタジエンと、を含む。液体前駆体の限定的でない例は、イソプレンと、ジスプロシウムイソプロポキシドと、テトラオキシシロキサン(TEOS)と、ジエチルジメチルシロキサン(DEDMS)と、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と、メタクリル酸メチル(MMA)と、ピロールと、を含む。金属被覆を堆積するための固体前駆体の限定的でない例は、フェロセンと、コバルトセンと、を含む。
【0059】
図1(a−j)は、本発明による誘電体バリア放電トーチを使用して表面処理されたマイクロ粒子及びナノ粒子の調製の多様な構成を示すブロック図を示す。広義に説明すると前記方法は、粉末供給段階と、帯電及び表面処理段階と、回収段階と、を含む。粉末(マイクロ粒子及び/又はナノ粒子)は従来の粉末供給装置を使用して誘電体バリア放電トーチに供給してよい。粉末様材料をプラズマトーチに運ぶのに適したその他の供給手段を使用してよく、熟練した技術者が対応できる範囲内であることを理解されたい。本発明の一実施形態において、噴霧プローブを利用して粉末を誘電体バリア放電トーチに供給してよい。このような実施形態において、供給材料は分散された粉末を含む液体を含む。
【0060】
粉末様材料は、プラズマ形成ガスと共に主放電へと直接供給してよく(図1a、図1c、図1d、図1e)、あるいは一つ以上の注入ポートを通じて下流のアフターグロー内に供給してもよい(図1i)。本発明の一実施形態において、一つ以上の注入ポートは誘電体バリア放電トーチの中央の石英注入管に配置されている。さらなる実施形態において、粉末様材料は誘電体バリア放電トーチの中間部分に供給してよく(図1b、図1f、図1g)、あるいは縦一列で作動する連続した誘電体バリア放電トーチの間に供給してよい(図1h)。本発明のさらに追加的な実施形態において、粉末供給材料を含む溶液は噴霧プローブを利用して誘電体バリア放電トーチに供給してよい(図1j)。粉末供給材料を含む溶液は、任意でさらに表面処理材料前駆体を含んでよい。
【0061】
本発明の一実施形態において、モノマー又は被覆材料前駆体はプラズマ形成ガス及び粉末様材料と共に主放電へと注入してよい(図1c)。本発明のさらなる実施形態において、モノマー又は被覆材料前駆体はプラズマ形成ガスと共に主放電へと注入してよい(図1i)。本発明のさらなる実施形態において、モノマー又は被覆材料前駆体は粉末様材料と共に誘電体バリア放電トーチの中間部分に注入してよい(図1f)。本発明のさらなる実施形態において、モノマー又は被覆材料前駆体は粉末様材料と別々に誘電体バリア放電トーチの中間部分に注入してよく(図1d、図1g)、あるいは縦一列で作動する連続した誘電体バリア放電トーチの間に注入してよい(図1e、図1h)。
【0062】
モノマー又は被覆材料前駆体は気体、蒸気、又は液体状態のいずれかであってよい。本発明の一実施形態において、表面処理工程は粉末の帯電に続いて誘電体バリア放電トーチで実施する。本発明の一実施形態において、表面処理工程は下流のアフターグロー内で実施する(図1i)。表面処理された粉末は、最後に従来の粉末回収装置又は任意のその他の適当な粉末回収手段で回収する。
【0063】
図2は、本発明によるマイクロ粒子及びナノ粒子の表面処理及び/又は被覆のための誘電体バリア放電を発生させる多様な電極の構造を説明する。図2aは、同心電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチ10を示す。電極の対は二つの同心石英管又はセラミック管16によって分離される。中央の電極12は一般的に高圧源に接続され、外側の電極14は一般的に接地電位に接続される。プラズマ形成ガスは、一対の同心円筒石英管又はセラミック管16で画定される環状領域18に注入される。同心電極構造を使用して発生するプラズマ放電は、一般的に環状形状を含む。図2bは、同軸電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチ20を示す。電極の対は円筒形導体を備え、石英管又はセラミック管26の外表面に同軸上に配置される。電極22の一方は一般的に高圧源に接続され、第2の電極24は一般的に接地電位に接続される。プラズマ形成ガスは、石英管又はセラミック管26で画定される円筒形空間28に注入される。同軸電極構造を使用して発生するプラズマ放電は、石英管又はセラミック管26の円筒形空間を充填する。図2cは、シェル型電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチ30を示す。シェル型電極32は、一対の半円筒形電極34と36とを備える。本発明の一実施形態において、半円筒形電極は石英管又はセラミック管36の外表面に配置された一対の金属シートを備える。その他の導電電極材料も本発明の文脈の範囲内で使用することができ、熟練した技術者が対応できる範囲内であることを理解されたい。半円筒形電極34の一方は一般的に高圧源に接続され、第2の半円筒形電極36は一般的に接地電位に接続される。プラズマ形成ガスは石英管又はセラミック管36で画定される円筒形空間39に注入される。複数の対の半円筒形電極を石英管又はセラミック管36の外表面に配置してよいことを理解されたい。図2dは、複数のシェル型電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチ40を示す。誘電体バリア放電トーチ40は、互いに交互の構造に配置された二対のシェル型電極42と44とを備える。本発明の一実施形態において、半円筒形電極は石英管又はセラミック管49の外表面に配置された一対の金属シートを備える。その他の導電電極材料も本発明の文脈の範囲内で使用することができ、熟練した技術者が対応できる範囲内であることを理解されたい。本発明の一実施形態において、半円筒形電極の対42と44とは互いに90度の角度で交互に配置される。本発明の文脈の範囲内でその他の交互配置の角度を使用することができ、熟練した技術者が対応できる範囲内であることを理解されたい。半円筒形電極41と45とは一般的に高圧源に接続され、半円筒形電極43と46とは一般的に接地電位に接続される。プラズマ形成ガスは石英管又はセラミック管49で画定される円筒形空間48に注入される。シェル型電極の対が90度の角度で交互配置されることにより、石英管又はセラミック管の円筒形空洞内により一様にプラズマが分配される。図2の電極構造は、放電の出力定格によって水冷又は空冷のいずれかであってよい。
【0064】
図3bは、本発明による誘電体バリア放電トーチアセンブリ50の概略的横断面図を示す。アセンブリ50は少なくとも一つの接地電極54と高圧電極56とが内部に位置する外側の石英管52を備えた中心本体部分を備える。一般的に周波数約20kHzの交流高圧電流が高圧電極に印加される。本発明の一実施形態において、印加される電圧は一般的に約5kVから約15kVの範囲である。図3bに示すアセンブリは、酸化物層又は有機被覆のいずれかを含むマイクロ粒子又はナノ粒子を製造するために使用される。本発明の一実施形態において、高圧電極56は水冷してよい。環状放電ギャップ57は、少なくとも一つの接地電極54と高圧電極56との間の空間を画定する。放電は環状放電ギャップ(接地電極と高圧電極との間の空間)から開始される。本発明の一実施形態において、放電ギャップは一対の石英管又はトーチ本体の内部に位置する平行な石英板の間の空間によって画定され得る。中央の注入管58は、高圧電極56内で実質的に同軸上に延びる。本発明の一実施形態において、中央の注入管58は長さが調節可能であるよう構成してよい。誘電体バリア放電トーチ50はさらに、中央の注入管58が内部を通って延びているトーチ本体59を備え、前記トーチ本体は石英管52の上端部に動作可能なように装着され、複数の開口部60を備え、プラズマガス供給、任意でシースガス供給、水入出口(水冷型高圧電極の場合)、接地接続及び高圧接続を受けるよう構成されている。
【0065】
任意で一つ以上の接線注入ポート64を備える粉末回収チャンバ62は、表面処理された粉末を受けるために石英管52の下端部に位置する。本発明の一実施形態において、粉末回収チャンバ62は石英管52の下端部(実質的にはプラズマ放電の出口)に同軸上に搭載される。放電出口(粉末回収チャンバ62の直上領域)の雰囲気は、一つ以上の接線注入ポート64を通じて不活性ガス又は活性ガスを注入することで制御してよい。
【0066】
本発明の一実施形態において、誘電体バリア放電トーチは交換可能な石英管又はセラミック管を備え、さまざまな放電ギャップ構造を提供する。半径幅約1mmから約10mmの範囲を有する放電ギャップが形成され得る。より大きな放電ギャップも熟練した技術者が対応できる範囲内である。放電の長さは、外部接地電極の長さによって制御される(同心構造及びシェル型構造)。同軸構造の場合、放電の長さは高圧電極と、接地電極と、それらの間のギャップとの長さによって制御される。マルチシェル電極構造の場合、放電の長さはシェル型電極と、それらの間のギャップとの長さによって制御される。本発明のさらなる実施形態において、誘電体バリア放電トーチは約1mmから約10mmの範囲のギャップ幅によって分離された一対の平行な石英板(同心構造)を備える。より大きなギャップ幅の石英板も熟練した技術者が対応できる範囲内である。
【0067】
本発明の一実施形態によると、外部接地電極は一般的に外側の石英管又はセラミック管(例えば同軸構造)の外表面に適用された金属板もしくは金属箔、金属ワイヤメッシュ、又は金属塗料(例えば白金)を備える。金属塗料は多様なパターン及び形状で塗布してよく、限定的でない塗布例は連続パターン、らせんパターン、又は環状パターンを含む。
【0068】
図3bを参照すると、高圧電極56内を実質的に同軸上に延びる中央の注入管58は、誘電体バリア放電トーチに(主ガスフローと一緒に直接主放電に、中間部分のある箇所に、又は放電ギャップの出口に)粉末様材料及び/又はモノマーを注入する位置が制御できるよう高さが調整可能であってよい。本発明の一実施形態において、誘電体バリア放電トーチは放電出口を外気から分離する外側の管52を備える。このような構造により追加のガス(一般的に希ガス)を導入することが可能となる。
【0069】
図3cは、誘電体バリア放電トーチ70の高圧電極のための冷却回路の実施形態を示す。この特定の実施形態において、冷却システムは誘電体バリア放電トーチ70の内側の石英管72内に位置するステンレス鋼シリンダー71内に完全にシールされている。水の出入口はそれぞれ番号74と76とで表される。高圧電極と接地電極とはそれぞれ番号77と78とで表される。一対の外側の同軸石英管は番号79と80とで表される。中間の石英管79は誘電体として作用する。外側の石英管80は放電を外気から隔離する。冷却構造により、一般的な高温プラズマに到達することなく(コールドプラズマ)高圧電流が印加できるような高圧電極と放電ギャップとの効率的な冷却が可能となる。本発明の一実施形態において、冷却システムは冷却剤として水を使用して作動する。本発明のさらに追加的な実施形態において、冷却システムは冷却剤として純水を使用して作動する閉鎖システムを備える。その他の冷却剤(合成油又はポリオール)が当技術分野で周知であり、熟練した技術者が対応できる範囲内である。高圧電極の冷却剤として合成油を使用することによってより高温のプラズマ放電温度が達成され得る。プラズマ放電温度が高くなると、モノマー出発材料(被覆前駆体)を使用した粉末のポリマー被覆において、注入管内でモノマー出発材料が凝縮するのを防ぐのと同時に、より高温の蒸発温度が必要となる。
【0070】
図4(a−b)は、金属及び/又は金属酸化物マイクロ粒子又はナノ粒子に有機被覆を製造するよう一般的に構成された誘電体バリア放電トーチアセンブリの一実施形態を示す。この構成を無機被覆の製造に使用してもよい。前記誘電体バリア放電トーチは完全にシールされて二層の石英管内に位置する冷却システムを備える。
【0071】
図4cは、本発明の一実施形態による水冷マルチスタガードシェル電極構造を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリ90の概略的な横断面図を示す。誘電体バリア放電トーチアセンブリ90は、一対の同心石英管94と96とを備えた上流モジュール92を備える。一方の電極は高圧源へと接続され、もう一方の電極は接地電位に接続される。プラズマ形成ガスは注入ポート98を利用して放電空間へと導入される。プラズマは、第1のシェル電極を形成し石英管96の表面上に配置されている一対の半円筒形電極の間で、石英管96内部で発生する。区分100は上流モジュール92を下流モジュール102から分離するギャップを画定する。下流モジュール102はさらに、第1のシェル電極と同一の構造であるがそこに相対的に交互の構造に配列されたシェル電極を備える。プラズマはモジュール102より下流に配置されたチャンバ104へ放電する。チャンバ104は粉末輸送ガスを導入する注入ポート106を備える。輸送ガスは、微粒子生成物をポート108を通じて回収モジュールへと確実に輸送する。モジュール92と102とはいずれも、同心石英管94と96との間の環状空間に配置された水冷チャネル(図示せず)を備える。水は注入ポート112を利用して導入され、ポート110を通じて排出される。マイクロ粒子及び/又はナノ粒子はプラズマ形成ガスと共に注入ポート98を通じて誘電体バリア放電トーチアセンブリ90へと導入してよい。表面処理材料はモジュール92と102との間に配置されたポート114を通じて誘電体バリア放電トーチアセンブリ90へと導入してよい。注入ポート110は、追加のプラズマガス、あるいは代わりにウォールシースガスの導入を提供する。誘電体バリア放電トーチアセンブリ90は、本発明の精神と性質から逸脱することなく修正することができ、このような修正は熟練した技術者の理解の範囲内であることを理解されたい。
【0072】
図5は、本発明の一実施形態による水冷マルチスタガードシェル電極構造(5シェル電極モジュール)を備えた誘電体バリア放電トーチアセンブリ120の概略的な横断面図を示す。前記誘電体バリア放電トーチアセンブリ90は一対のシェル電極モジュール124を備えた上流区域122を備える。シェル電極128は、石英管又はセラミック管126の表面上に配置される。シェル電極モジュール124はポリマーマトリックス複合材料130で囲まれており、前記ポリマーマトリックス複合材料にシェル電極128が埋め込まれている。シェル電極モジュール124は、水冷チャネル(図示せず)を備える。水は注入ポート132を利用して導入されポート134を通じて排出される。注入ポート136は、石英管又はセラミック管126の内壁の内部周囲のまわりにシースガスの導入を提供する。プラズマ形成ガスは注入ポート138を利用して放電空間へと導入される。マイクロ粒子及び/又はナノ粒子はプラズマ形成ガスと共に注入ポート138を通じて誘電体バリア放電トーチアセンブリ120へと導入してよい。誘電体バリア放電トーチアセンブリ120はさらに、第1のシェル電極モジュール124の対と同一構造であるがそこに相対的に交互の構造に配列された3つのシェル電極モジュール142を備えた下流区域140を備える。シェル電極142は、石英管又はセラミック管126の表面上に配置され、水冷チャネル(図示せず)を備える。水は注入ポート144を利用して導入され、ポート146を通じて排出される。注入ポート148はさらに、石英管又はセラミック管126の内壁の内部周囲のまわりにさらなるシースガスの導入を提供する。プラズマ放電は、出口ポート150を通じて回収モジュール(図示せず)に入る。マルチシェル電極モジュール構造の使用により、モジュール数を工程要件に従って増加又は減少できるため工程の柔軟性が得られる。本発明の一実施形態において、上流区域122は表面処理されるマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を帯電するためだけに使用してよく、下流区域140は表面処理のためだけに使用してよい。粒子の帯電において加熱が制御パラメータであるため、粉末の温度を制御するために、区域122より上流に加熱管を配置してもよい。本発明のさらなる実施形態において、上流区域122と下流区域140との両方をマイクロ粒子及び/又はナノ粒子供給材料の表面処理に使用してよい。後者の実施形態では、粒子供給とプラズマ放電との間の接触時間が延長される。
【0073】
以下にマイクロ粒子及び/又はナノ粒子のプラズマ表面処理における本発明の誘電体バリア放電トーチの効果を説明する多くの例を示す。
【0074】
〈電力供給〉
一実施形態において、本発明の誘電体バリア放電トーチと接続して使用した電力供給は、3DTSOFTAL(ポリダイン1コロナ発生装置)コロナ発生装置であった。以下の表1に電力供給の主な特徴をまとめる。
【0075】
【表1】

【0076】
〈動作条件〉
本発明の誘電体バリア放電トーチの動作条件は粉末の性質、所望の表面処理、所望の被覆、表面処理材料(モノマー)によって変化してよい。適用する被膜の厚さを制御するために表面処理材料の残留時間を制御することが必須である。以下の表2に代表的な動作条件をまとめる。
【0077】
【表2】

【0078】
電圧及び電流の監視にはTekronixデジタルスコープ(TEK TDS 1002−TDS2MEM)とTekronix高圧プローブ(75MHz、40kV)とを使用した。電圧電荷リサージュ図形を表示できるようにするために電流を積分し、続いて放電電力を決定するために使用した(15−18)。以下の表3に代表的な放電の電気的特性をまとめた。
【0079】
【表3】

【0080】
〈金属及び金属酸化物粉末の被覆結果〉
被覆された粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(図10、11、18−20、22、23)。被覆された粉末の粉末比表面積等の物理特性(“Brauner Emmett Teller”BET法を使用して測定した)も示す。被覆工程の間に粉末の表面に加えた炭素の量に関するX線光電子分光(XPS)結果を表にした。本分析により存在する元素濃度(%)(原子組成)の正確な定量分析が可能となる。さらに、エネルギー分散スペクトル(EDS)マッピング結果を示しており、粉末表面の被覆位置に関する情報を提供する(図21、24)。最後に、熱重量分析(TGA)結果を示し、粉末に堆積した被覆(ポリマー)の量に関する定量的情報を提供する(図25、26)。
【0081】
シリカナノ粉末の被覆前後の比表面積(BET)を測定し、結果を以下の表4に示した。比表面積の著しい変化から被覆工程の間に起こった凝集の著しい分裂が明確に示唆される。
【0082】
【表4】

【0083】
アルミニウム粉末の被覆前後のX線光電子分光(XPS)結果を以下の表5及び6に示す。結合エネルギーEは酸化状態と電子が移動する原子の周りの化学結合とに依存する。100Å以下の深さの表面付近で発生した電子のみを検出する。炭素原子を低速スキャンすることで結合の種類に関する情報が得られる。
【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
アルミニウム粉末の場合、TGA分析によって0.5%を超えない質量減少が示され、薄膜の存在が示唆される。高密度ポリエチレン被覆されたアルミニウム粉末の約300℃においての少量の部分的熱分解により、連続的な質量減少が引き起こされた。約370℃から約500℃の範囲の温度では、質量減少は高密度ポリエチレン鎖の完全な熱分解に相当した。より高温で観測された質量増加は、アルミニウム粉末の酸化を示唆する。高密度ポリエチレンで被覆されたアルミニウム粉末で得られる一般的なTGAグラフを図25に示す。
【0087】
本発明はその応用においてここで説明した詳細な構造及び部分に限定されるものではないことを理解されたい。本発明はその他の実施形態にも適用することができ、多様な方法で実施することができる。さらにここで使用する用語又は専門用語は説明するためのものであり限定するためのものではないことを理解されたい。従って、たとえ本発明がそれに関して実施形態としてここで説明されていても、添付の特許請求の範囲で定義される発明の主題の精神、範囲、及び性質から逸脱することなく修正することができる。
【符号の説明】
【0088】
10、20、30、40、50、70、90、120 誘電体バリア放電トーチ
12、14、22、24、32、34、36、41、42、43、44、45、46、54、56、77、78、128 電極
16、26、38、49、52、72、79、80、94、96、126 石英管又はセラミック管
18 環状領域
28、39、48 円筒形空間
57 環状放電ギャップ
58 注入管
59 トーチ本体
60 開口部
62 粉末回収チャンバ
64、98、106、112、132、136、138、144 注入ポート
71 ステンレス鋼シリンダー
74、76 水出入口
92 上流モジュール
102 下流モジュール
104 チャンバ
108、110、114、134、150 ポート
122 上流区域
124、142 シェル電極モジュール
130 ポリマーマトリックス複合材料
140 下流区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末粒子の表面処理方法であり、
a)微粒子粉末材料を誘電体バリア放電トーチアセンブリに供給する段階と、
b)誘電体バリア放電トーチにおいて粒子の表面特性をインフライト修飾し、表面処理された粒子を製造する段階と、
c)表面処理された粒子を回収する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
(b)が、粒子表面のプラズマ放電との反応を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b)が、被覆材料前駆体の誘電体バリア放電トーチアセンブリへの注入を利用して被覆材料を製造し、前記被覆材料を粒子の表面に堆積させて被覆された粒子を製造することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
誘電体バリア放電トーチアセンブリを大気圧又は低真空条件で作動する請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
粉末粒子をマイクロ粒子、ナノ粒子、及びそれらの混合物からなるグループから選択する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
粉末粒子をポリマー粒子、金属粒子、金属酸化物粒子、及びそれらの混合物からなるグループから選択する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
被覆された粒子が、ポリマー、有機、無機、金属、酸化物、窒化物、及びカーバイドからなるグループから選択する被覆を含む請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記被覆材料前駆体がプラズマ重合を経るモノマーを含む請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーを、アセチレン、エチレン、イソプレン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラエチルオキシシラン、テトラエチルオキシシリカン、ジエチルジメチルシロキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセチレン、エチレン、プロピレン、ベンゼン、イソプレン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラエチルオキシシラン、テトラエチルオキシシリカン、ジエチルジメチルシロキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン、ピロール、シクロヘキサン、1−ヘキサン、アリルアミン、アセチルアセトン、エチレンオキシド、メタクリル酸グリシジル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、無水酢酸、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、1オクタノール、アクリル酸、フェロセン、コバルトセン、シクロオクタテトラエン鉄トリカルボニル、メチルシクロペンタジエニル鉄ジカルボニル、ジシクロペンタジエニル鉄ジカルボニル二量体、シクロペンタジエニルコバルトコバルトアセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナート、ジメチル−(2,4−ペンタン−ジオナト)金(III)、ニッケルカルボニル、鉄カルボニル、スズアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムテトラメチルへプタンジオナートからなるグループから選択する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
粉末粒子をインフライト表面処理する装置であり、前記装置は、
前記トーチにプラズマガスを供給する第1注入口と、
前記トーチに微粒子粉末材料を供給する第2注入口と、
前記微粒子粉末材料を処理する放電チャンバであり、その外表面に配置された電極構造を備えた前記反応チャンバと、
を備えた誘電体バリア放電トーチと、
表面処理された粒子を回収する手段と、
を備え、プラズマ形成ガスが前記放電チャンバを通過することによってプラズマ放電が生成し、前記プラズマ放電が粒子の表面特性をインフライト修飾する装置。
【請求項11】
前記表面処理が粒子表面のプラズマ放電との反応を含む請求項10に記載の装置。
【請求項12】
被覆材料前駆体を誘電体バリア放電トーチへと供給する手段と、
前記被覆材料前駆体を反応させて被覆材料を提供し、前記粒子を被覆する手段と、
を備えた請求項10に記載の装置。
【請求項13】
誘電体バリア放電トーチを大気圧又は低真空条件で作動する請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
粉末粒子をマイクロ粒子と、ナノ粒子と、それらの混合物と、からなるグループから選択する請求項10に記載の装置。
【請求項15】
電極構造がシェル電極を含む請求項13に記載の装置。
【請求項16】
電極構造が少なくとも二つのシェル電極を含み、前記シェル電極を互いに交互に配置した請求項13に記載の装置。
【請求項17】
電極構造が少なくとも二つのシェル電極を含み、前記シェル電極を互いに一列に配置した請求項13に記載の装置。
【請求項18】
電極構造が同心電極を含む請求項13に記載の装置。
【請求項19】
放電チャンバが誘電管を備えた請求項13に記載の装置。
【請求項20】
誘電管が石英管を含む請求項18に記載の装置。
【請求項21】
誘電管がセラミック管を含む請求項18に記載の装置。
【請求項22】
電極構造が、金属板と、金属箔と、金属ワイヤメッシュと、金属塗料と、からなるグループから選択する材料を含む請求項13、14、又は15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記第1注入口と第2注入口とが共通である請求項10に記載の装置。
【請求項24】
前記第1注入口と第2注入口とが異なる供給を定義する請求項10に記載の装置。
【請求項25】
粉末粒子のインフライト表面処理のための請求項10で定義した誘電体バリア放電トーチアセンブリの使用。
【請求項26】
請求項10で定義した誘電体バリア放電トーチアセンブリを利用して製造した表面処理された粒子。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図1g】
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【図1h】
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【図1i】
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【図1j】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図20】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【図23a】
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【図23b】
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【図24】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【図26c】
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【公表番号】特表2009−544854(P2009−544854A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522066(P2009−522066)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001349
【国際公開番号】WO2008/014607
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】