説明

車両のブレーキユニット取付構造

【課題】リザーブタンクをブレーキ装置にサブアセンブリした状態で組付けることができ、組付け作業性を高めることができる車両のブレーキユニット取付構造を提供する。
【解決手段】リザーブタンク10とハイドロユニット20とを備え、リザーブタンク10に、第1タンク側還流口11と、第2タンク側還流口12と、底壁部10fに形成された作動液供給口13とを設け、ハイドロユニット20に、第1タンク側還流口11と可撓性の第1ホース部材31を介して接続される第1ユニット側還流口21と、第2タンク側還流口12と可撓性の第2ホース部材32を介して接続される第2ユニット側還流口22と、ブレーキ液を導入する作動液導入口23とを設け、作動液供給口13がハイドロユニット20に支持された供給パイプ41にリザーブタンク10を下方から保持可能な可撓性の第3ホース部材33を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リザーブタンクとブレーキ装置とを備えた車両のブレーキユニット取付構造に関し、特にリザーブタンクとブレーキ装置とが可撓性のホースによって接続された車両のブレーキユニット取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のブレーキ装置は、エンジンから発生した負圧により運転者の踏力を増幅するマスタバックと、このマスタバックにより増幅された運転者の踏力に応じたブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、ブレーキ液圧が作用するホイールシリンダと、各種配管等により構成されている。作動液としてのブレーキ液を貯留するリザーブタンクと、マスタバックやマスタシリンダ等から構成された液圧制御手段とがハウジング内に一体形成されたブレーキユニットも知られている。
【0003】
この一体型ブレーキユニットは、車両組立てラインにおいてエンジンルームの上方からダッシュパネルの中段位置まで移送され、ダッシュパネルに設けられた複数のボルト穴に対してマスタバックから突出形成された複数のボルトを挿通した後、ナットを前記ボルトに締結することにより車体に対して組付けられる。この後、ダッシュパネルの開口を貫通させたマスタバックから延びるオペレーティングロッドの先端にブレーキペダルが装着される。
【0004】
前記一体型ブレーキユニットでは、マスタバックを組付けるための単一の組付け工程により、リザーブタンクとマスタシリンダとをマスタバックの組付けと同時に車体に対して組付けることが可能であるため、組付け作業性を高くすることができる。クラッチシリンダ(クラッチ用マスタシリンダとも言う)がマスタバックに装着されている場合には、マスタバックの組付けと同時にクラッチシリンダも同時に組付け可能である。
一方、この一体型ブレーキユニットでは、リザーブタンクの容量や形状等の仕様変更が生じたとき、ブレーキユニット全体について構造を変更する必要が生じる。また、リザーブタンクは、所定の容量を有するにも拘わらず、マスタバックの組付け位置によってその設置位置が規定されてしまうため、マスタバックの製造公差、リザーブタンクの製造公差及びマスタバックの組付け公差等がリザーブタンクの配置位置に影響を与え、リザーブタンクを設定された設置位置に配置できない虞や車体側の固定ブラケットに装着できない虞がある。
【0005】
特許文献1に記載の従来技術には、リザーブタンクと、クラッチシリンダと、マスタバックと一体化されたブレーキ用マスタシリンダとを別部材で形成し、リザーブタンクと各マスタシリンダとを所定の形状に形成された成形ホースによって接続した別体型ブレーキユニットの接続構造が開示されている。これにより、リザーブタンクの仕様変更に伴うブレーキユニット全体の構造変更は回避できるものの、依然として、リザーブタンクの装着性確保や成形ホースの配管作業性の点で課題が残る。そこで、特許文献1に記載された接続構造では、リザーブタンクと、クラッチシリンダと、マスタバックと一体化されたマスタシリンダとを別部材で形成し、リザーブタンクと各シリンダとを可撓性ホースによって接続すると共にリザーブタンクの各接続口を各マスタシリンダ側の側面に設けている。
【0006】
近年、エンジンと電動モータとを動力源としたハイブリッド車両が増加している。
このハイブリッド車両では、電動モータを駆動源として走行するとき、エンジンを停止することで燃費改善を図ることができる。そのため、エンジンを停止させた場合、吸気通路に吸気負圧が発生しないため、運転者の踏力を増幅することができず、必要なブレーキ液圧を発生させることができないという問題があった。そこで、エンジンが停止中であっても、必要なブレーキ液圧を発生可能な技術が提案されている。
【0007】
特許文献2に記載されたブレーキシステムは、リザーブタンクと、ブレーキ液を加圧する電動ポンプ装置と、この電動ポンプ装置によって加圧されたブレーキ液を蓄積可能なアキュムレータと、ブレーキ液圧を制御可能なハイドロユニットとを有し、このハイドロユニットが、アキュムレータから供給されたブレーキ液圧をマスタシリンダ圧に制御すると共に余剰なブレーキ液をリザーブタンクに還流するマスタシリンダと、このマスタシリンダから供給されたブレーキ液を制御して各ホイールシリンダに供給するための複数のバルブ類等によって構成されている。これにより、吸気負圧が発生しない状況であっても、必要なブレーキ液圧を発生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭58−63162号公報
【特許文献2】特開2001−294146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の別体型ブレーキユニットの接続構造は、リザーブタンクと各シリンダとを可撓性ホースにより接続しているため、可撓性ホースを許容曲げ範囲内で湾曲させることにより先に組付けられたマスタシリンダに対してリザーブタンクの設置位置を調整することができ、エンジンルーム内におけるリザーブタンクの装着性確保と配管作業性改善とを達成している。しかし、この接続構造では、リザーブタンクとマスタシリンダとが可撓性を備えたホースだけで連結され、マスタシリンダ単独によってリザーブタンクを保持することができないため、リザーブタンクを予めマスタシリンダにサブアセンブリしたサブアセンブリ体として取り扱うことが困難である。それ故、ブレーキユニットを車体に対して組付ける場合、車体に対してリザーブタンクとマスタシリンダとを別々に組付けた後、作業スペースが狭いにも拘わらず、夫々の接続口を可撓性ホースによって接続することになる。即ち、前述した一体型ブレーキユニットと比べて、リザーブタンク組付け工程とホース接続工程の2つの工程が増加するため、組付け作業性の低下や組立てステーションの追加に伴う設備投資の増加等を招く虞がある。
【0010】
特許文献2のようなハイブリッド車両では、マスタバックが省略されるものの、マスタバックに代えて電動ポンプ装置が設けられ、エンジン走行用部材以外に電動モータや、モータ駆動用ユニット及び各種電線等がエンジンルーム内に設置されている。しかも、ブレーキユニットの主要構成部材であるハイドロユニットは、マスタシリンダに加えて、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御して制動時のスリップを抑制するアンチロックブレーキ(ABS)機構や、加速時のスリップを抑制するトラクションコントロール(TRC)機構や、回生ブレーキ機構等を備え、ユニット自体大型化している。それ故、従前にも増してエンジンルーム内が過密状態になり、ブレーキユニット(リザーブタンク)を配置するための設置スペース、リザーブタンクを車体に組付けるための組付け作業スペース、リザーブタンクの接続口とハイドロユニットの接続口とを可撓性ホースにより接続するための接続作業スペース等を十分に確保することができない虞がある。
【0011】
本発明の目的は、リザーブタンクをブレーキ装置にサブアセンブリした状態で組付けることができ、単一の車両組立てラインにおいて複数の仕様のブレーキユニットを混流生産可能な車両のブレーキユニット取付構造、ブレーキユニットの組付け作業性を高めることができる車両のブレーキユニット取付構造等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の車両のブレーキユニット取付構造は、作動液を貯留するリザーブタンクと、前記作動液の液圧を制御する液圧制御手段を含むブレーキ装置とを備えた車両のブレーキユニットの取付構造において、前記リザーブタンクに、前記ブレーキ装置側の縦壁に形成されブレーキ装置に臨む第1タンク側還流口と、この第1タンク側還流口から離隔した部位から前記ブレーキ装置に臨む第2タンク側還流口と、このリザーブタンクの底部に形成された作動液供給口とを設け、前記ブレーキ装置に、前記第1タンク側還流口と可撓性の第1ホース部材を介して接続される第1ユニット側還流口と、前記第2タンク側還流口と可撓性の第2ホース部材を介して接続される第2ユニット側還流口と、このブレーキ装置に支持され前記作動液供給口に対向するように延設されたパイプ部材とを設け、前記作動液供給口が前記パイプ部材に可撓性の第3ホース部材を介して接続され、前記第3ホース部材が前記リザーブタンクを下方から保持可能なホース剛性を有することを特徴としている。
【0013】
この車両のブレーキユニット取付構造では、リザーブタンクとブレーキ装置とが可撓性の第1〜第3ホース部材を介して接続されているため、ブレーキ装置を共通化しながらリザーブタンクの容量や形状等の仕様を容易に変更することができ、また、可撓性ホース部材を許容曲げ範囲内で湾曲させることにより先に組付けられた状態のブレーキ装置に対してリザーブタンクの設置位置を調整することができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、 前記液圧制御手段は、作動液を加圧可能なポンプ手段から供給された作動液の液圧を制御するバルブ類と前記リザーブタンクに作動液を還流するシリンダ部材とを含むハイドロユニットを備え、前記リザーブタンクに、前記ハイドロユニット側の縦壁に形成されハイドロユニットに臨む第1タンク側還流口と、この第1タンク側還流口から離隔した部位から前記ハイドロユニットに臨む第2タンク側還流口と、このリザーブタンクの底部に形成されポンプ手段に供給パイプを介して作動液を供給する作動液供給口とを設け、前記ハイドロユニットに、前記第1タンク側還流口と可撓性の第1ホース部材を介して接続される第1ユニット側還流口と、前記第2タンク側還流口と可撓性の第2ホース部材を介して接続される第2ユニット側還流口と、前記ポンプ手段から供給される作動液を導入する作動液導入口とを設け、前記作動液供給口が前記ハイドロユニットに支持された前記供給パイプに可撓性の第3ホース部材を介して接続されたことを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ハイドロユニットをダッシュパネルに装着した後に組付けられる車幅方向に延びるカウルメンバに前記リザーブタンクが固定されたことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記ブレーキ液導入口とポンプ手段とを接続する導入パイプを設け、前記供給パイプと導入パイプとの途中部に屈曲部を夫々形成し、前記供給パイプと導入パイプの屈曲部上流側部分をクリップ部材を用いて束ねると共に、前記供給パイプと導入パイプの屈曲部下流側部分をクリップ部材を用いて束ねることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記液圧制御手段は、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、前記マスタバックに装着されたクラッチシリンダとを備え、前記パイプ部材が前記クラッチシリンダに形成されたことを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記液圧制御手段は、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、クラッチシリンダとを備え、前記パイプ部材がマスタバックに支持され且つ接続ホースを介して前記クラッチシリンダに接続可能に構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、ブレーキ装置を共通化しながらリザーブタンクの仕様を容易に変更することができるため、従来の一体型ブレーキユニットを含めて、単一の車両組立てラインにおいて複数の仕様のブレーキユニットを混流生産することができる。
リザーブタンクがブレーキ装置に第1〜第3ホース部材を介して3点支持されているため、リザーブタンクをブレーキ装置に対して位置調整可能に保持しつつブレーキ装置と一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、リザーブタンクをブレーキ装置の組付けと同時に車体へ組付けることができ、作業工程を増加させることなくブレーキユニットの組付け作業性を高くすることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、液圧制御手段が、作動液を加圧可能なポンプ手段から供給された作動液の液圧を制御するバルブ類と前記リザーブタンクに作動液を還流するシリンダ部材とを含むハイドロユニットであっても、リザーブタンクをハイドロユニットにサブアセンブリした状態で組付けることができ、単一の車両組立てラインにおいて複数の仕様のブレーキユニットを混流生産でき、ブレーキユニットの組付け作業性を高めることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、カウルメンバの組付け前は、リザーブタンクを他の支持部材を用いることなくハイドロユニットに保持させることができ、カウルメンバの組付け後は、リザーブタンクを車体に対して強固に固定することができる。
請求項4の発明によれば、ハイドロユニットに対するリザーブタンクの保持姿勢を、部品点数を増加することなく安定化することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、前記マスタバックに装着されたクラッチシリンダとを備えた液圧制御手段であっても、リザーブタンクをマスタバック等と一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、請求項1の発明と同様の効果を奏することができる。
請求項6の発明によれば、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、クラッチシリンダとを備えた液圧制御手段であっても、リザーブタンクをマスタバック等と一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、請求項1の発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1に係る車両のブレーキユニット取付構造の全体斜視図である。
【図2】ブレーキユニットの側面図である。
【図3】ブレーキユニットの平面図である。
【図4】ブレーキユニットを斜め下方から視た図である。
【図5】ブレーキユニットの回路図である。
【図6】クリップ部材の斜視図である。
【図7】ブレーキユニットの組付け工程を示すステップ図である。
【図8】ブレーキユニットの分解図である。
【図9】ハイドロユニット装着前のエンジンルームの斜視図である。
【図10】リザーブタンクとカウルメンバとの締結後のエンジンルームの斜視図である。
【図11】実施例2に係るブレーキユニットの分解図である。
【図12】実施例3に係るブレーキユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、本実施例では、ブレーキユニットが車体に組付けられた状態において、車両の進行方向に対して前後方向を前後方向とし、左右方向を左右方向として説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1について図1〜図10に基づいて説明する。
図1,図5に示すように、本実施例のブレーキユニット1が搭載された車両Vは、走行用電動モータ(図示略)とガソリンエンジン(図示略)とによって左右1対の前輪4a,4bを切換え駆動可能なハイブリッド車両である。走行用電動モータとガソリンエンジンは、ダッシュパネル3により車室と前後に仕切られたエンジンルーム2内に配置されている。エンジンルーム2内には、走行用電動モータ、ガソリンエンジン及びブレーキユニット1の他に、トランスミッション機構、発電機、インバータ、ラジエータ及び電動ポンプ6(ポンプ手段)等が設置されている。尚、電動ポンプ6は、ブレーキユニット1よりも前方に配置されている。
【0024】
図1〜図5,図8に基づき、ブレーキユニット1について説明する。
ブレーキユニット1は、ダッシュパネル3の左側中段且つエンジンルーム2の全幅に亙って設けられた桶状のカウルメンバ7の下側位置に設置されている。このブレーキユニット1は、合成樹脂製のリザーブタンク10と、液圧制御手段としてのハイドロユニット20と、第1〜第3ホース部材31〜33と、ブレーキ液供給パイプ41(パイプ部材)と、ブレーキ液導入パイプ42と等を備えている。
【0025】
図2〜図5,図8に示すように、リザーブタンク10は、ブレーキユニット1の車体組付け状態において、ハイドロユニット20よりも前側上方位置に配置され、車幅方向に延びるカウルメンバ7に固定されている。このリザーブタンク10は、ダッシュパネル3との間にハイドロユニット2とカウルメンバ7とを介在させた位置に設けられ、作動液としてのブレーキ液を貯留し且つ気液分離可能なタンクによって構成されている。
【0026】
リザーブタンク10は、前後左右上下に夫々6つの壁部10a〜10fを備えている。
後壁部10bには、第1タンク側還流口11と、第2タンク側還流口12とが設けられている。第1タンク側還流口11は、後壁部10bの左側下端位置からハイドロユニット20に臨むように突出形成されている。この第1タンク側還流口11は、後側へ略水平状に延設されている。第2タンク側還流口12は、後壁部10bの右側中段位置からハイドロユニット20に臨むように突出形成されている。この第2タンク側還流口12は、第1タンク側還流口11に対して右側上方に離隔配置され、後側へ略水平状に延設されている。
【0027】
左壁部10cの上部には、フランジ14aが左側へ延びるように形成され、このフランジ14aから上方へ延びるボルト部15aが設けられている。右壁部10dの上端部には、フランジ14bが右側へ延びるように形成され、このフランジ14bから上方へ延びるボルト部15bが設けられている。上壁部10eには、ブレーキ液を注入するための注入口と、この注入口を開閉可能な蓋部材16が設けられている。
【0028】
底壁部(底部)10fには、第1タンク側還流口11の下側部分の一部と、作動液供給口13が設けられている。底壁部10fは、ドーム状に下方に膨出した膨出部が形成され、後壁部10bと協働して第1タンク側還流口11の一部を形成している。
作動液供給口13は、平面視にてリザーブタンク10の重心に対応した底壁部10fの中央部に相当する位置からハイドロユニット20に臨むように突出形成されている。この作動液供給口13は、平面視にて第1タンク側還流口11と第2タンク側還流口12との略中間位置に両還流口11,12と略平行状に配置され、後側程下方に傾斜するように延設されている。
【0029】
図2〜図5,図8に示すように、ハイドロユニット20は、ブレーキユニット1の車体組付け状態において、リザーブタンク10よりも後側且つ正面視にて上部が一部重なるように配置され、ダッシュパネル3に固定されている。このハイドロユニット20は、マスタシリンダ(図示略)と、ブレーキアクチュエータ(図示略)等を含み、ブレーキ液の液圧をブレーキペダル8に作用する運転者の踏力に応じたマスタシリンダ圧に調圧し、調圧されたブレーキ液をブレーキアクチュエータを介して前後左右輪4a〜4dの各ホイールシリンダ5a〜5dへ供給している。
【0030】
マスタシリンダとブレーキアクチュエータの機能を簡単に説明する。
マスタシリンダは、電動ポンプ6により加圧されたブレーキ液を導入する導入通路(図示略)と、運転者の踏力に応じて作動するピストン(図示略)と、このピストンと協働してブレーキ液の液圧をマスタシリンダ圧まで加圧可能な加圧室(図示略)と、余剰なブレーキ液をリザーブタンク10へ還流するための2つの通路(図示略)等を備えている。
ブレーキアクチュエータは、複数のバルブ類を備え、マスタシリンダ圧を調圧して各ホイールシリンダ5a〜5dに供給すると共に、ブレーキ制御装置(図示略)によるアンチロックブレーキ(ABS)制御、トラクションコントロール(TRC)制御及び回生制動制御を実行するように運転者の踏力とは独立して各ホイールシリンダ5a〜5dの液圧を調整可能に構成されている。
【0031】
ハイドロユニット20は、前後左右上下に夫々6つの壁部20a〜20fを備えている。
前壁部20aは、上部がリザーブタンク10の後壁部10bと一部対向するように設置され、車幅方向中間部分に作動液導入口23と、ブレーキ液を各ホイールシリンダ5a〜5dへ供給するためのブレーキパイプ接続口24a〜24d等を備えている。
【0032】
作動液導入口23は、前壁部20aの車幅方向中間且つリザーブタンク10の底壁部10fと略同じ高さ位置から前方へ突出すると共に屈曲して右側へ延びるように形成され、電動ポンプ6により加圧されたブレーキ液を導入パイプ42を介してマスタシリンダに導入するように構成されている。ブレーキパイプ接続口24a〜24dは、車幅方向中間位置において、夫々が上下方向に配置されると共に前方へ突出するように設けられている。これらのブレーキパイプ接続口24a〜24dは、各ホイールシリンダ5a〜5dとブレーキパイプ25a〜25dを介して夫々接続されている。
【0033】
後壁部20bには、バルブプランジャ(図示略)から後方へストレート状に延びるオペレーティングロッド26と、このオペレーティングロッド26の外周部から後方へ延びる4本のボルト部27等が設けられている。オペレーティングロッド26は、後壁部20bの中央部分から延設され、その先端にブレーキペダル8が装着されている。
【0034】
上壁部20eには、第1ユニット側還流口21と、第2ユニット側還流口22とが設けられている。第1ユニット側還流口21は、上壁部20eの車幅方向中間置から上方へ突出形成されると共に第1タンク側還流口11に臨むように左斜め前方に向けて略水平状に屈曲形成されている。第2ユニット側還流口22は、上壁部20eの車幅方向中間置から第2タンク側還流口12に臨むように突出形成されると共に第2タンク側還流口12に臨むように左斜め前方に向けて略水平状に屈曲形成されている。この第2ユニット側還流口22は、第1ユニット側還流口21よりも前側に離隔配置されている
【0035】
図2〜図4,図8に示すように、第1〜第3ホース部材31〜33は、何れも同規格の可撓性ゴムホースにより構成されている。第1ホース部材31は、第1タンク側還流口11と第1ユニット側還流口21との間をストレート状に接続している。この第1ホース部材31は、左斜め前方に向けて略水平状に配置されている。第2ホース部材32は、第1ホース部材31よりも短く形成され、第2タンク側還流口12と第2ユニット側還流口22との間を略水平状且つ平面視にて略S字状に接続している。第3ホース部材33は、作動液供給口13と供給パイプ41の上流端との間をストレート状に接続している。この第3ホース部材33は、ブレーキ液を注入したリザーブタンク10の姿勢を下方から保持可能なホース剛性を有するように材質、ホース長、ホース厚及び内径等が設定されている。
【0036】
供給パイプ41は、金属製パイプにより形成され、上流端が作動液供給口13と第3ホース部材33を介して接続され、下流端が電動ポンプ6の吸込口に接続されている。供給パイプ41の上流端は、作動液供給口13よりも下方且つ後方位置に配置されている。それ故、第3ホース部材33は、前側程高くなるように前方上がり傾斜状に延設されている。この供給パイプ41は、上流端から前壁部20aの右側端部まで前壁部20aに沿って右側へ延びるパイプ部41aと、パイプ部41aの下流端から右壁部20dに沿って中間部分まで後側へ延びるパイプ部41bと、パイプ部41bの下流端からダッシュパネル3に沿って車幅方向右側へ延びるパイプ部41cとから構成されたクランク形状に形成されている。
【0037】
導入パイプ42は、金属製パイプにより形成され、上流端が電動ポンプ6の吐出口に接続され、下流端が作動液導入口23に接続されている。導入パイプ42は、リザーブタンク10よりも下方位置に配置されている。導入パイプ42は、下流端から前壁部20aの右側端部まで前壁部20aに沿って右側下方へ延びるパイプ部42aと、パイプ部42aの上流端から右壁部20dに沿って中間部分まで後側へ延びるパイプ部42bと、パイプ部42bの上流端からダッシュパネル3に沿って車幅方向右側へ延びるパイプ部42cとから構成されたクランク形状に形成されている。
【0038】
図1〜図4,図8に示すように、供給パイプ41のパイプ部41b,41cは、導入パイプ42のパイプ部42b,42cと平行状に近接して配置されている。
パイプ部41bとパイプ部42bとはクリップ部材43により束ねられ、パイプ部41cとパイプ部42cとはクリップ部材44により束ねられることにより、供給パイプ41と導入パイプ42とが連結されている。クリップ部材43は、パイプ部41bとパイプ部41cとの屈曲部の上流側部分(パイプ部42bとパイプ部42cとの屈曲部の下流側部分)に配置され、クリップ部材44は、パイプ部41bとパイプ部41cとの屈曲部の下流側部分(パイプ部42bとパイプ部42cとの屈曲部の上流側部分)に配置されている。
【0039】
図6に示すように、クリップ部材43は、直方体形状に形成され、各パイプ部41b,42bを同一方向から係合可能な1対の係合開口43aと、これら係合開口43aに対応して設けられ各パイプ部41b,42bの軸心方向に弾性変形可能な1対の係合爪43b等により形成されている。尚、クリップ部材44は、係合開口が形成される部分と反対側の底部分にダッシュパネル3の取付開口に対して挿入固定可能な楔状のビス部44a(図8参照)を備えている以外は、クリップ部材43と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0040】
これにより、ブレーキユニット1の車体組付け状態において、クリップ部材43がパイプ部41bを左側のパイプ部42bに連結するため、作動液導入口23がパイプ部42bを介して供給パイプ41の車幅方向の移動を抑制している。また、ブレーキユニット1の車体組付け状態において、クリップ部材44がパイプ部41cを上側のパイプ部42cに連結するため、作動液導入口23がパイプ部42cを介して供給パイプ41の上下方向の移動を抑制している。
【0041】
次に、図7のステップ図に基づき、ブレーキユニット1の組付け工程の手順を説明する。尚、Si(i=1,2…)は各ステップを示している。
まず、サブアセンブリ工程を行う(S1)。
図8に示すように、リザーブタンク10の作動液供給口13に第3ホース部材33を介して供給パイプ41を接続し、ハイドロユニット20の作動液導入口23に導入パイプ42を接続した後、タンク側還流口11,12とユニット側還流口21,22とを第1,第2ホース部材31,32によって接続し、供給パイプ41と導入パイプ42とをクリップ部材43,44によって束ねる。尚、ブレーキユニット1は、車両組立てラインとは別の専用の組立てステーションでサブアセンブリされる。
【0042】
次に、車体に対してハイドロユニット20の組付け工程を行う(S2)。
図9に示すように、ダッシュパネル3には、リザーブタンクとマスタバックとマスタシリンダ等がハウジング内に一体形成された一体型ブレーキユニット(図示略)と兼用可能なブレーキ取付部3aが形成されている。このブレーキ取付部3aには、開口3bと、この開口3bの外周部に形成された4つのボルト穴3cが設けられている。
【0043】
リザーブタンク10が第1〜第3ホース部材31〜33によってハイドロユニット20に保持された状態で、オペレーティングロッド26と4本のボルト部27を開口3bと4つのボルト穴3cに挿通し、4本のボルト部27をナット(図示略)により夫々締結する。 ハイドロユニット20の組付け後、クリップ部材44をダッシュパネル3に固定し、供給パイプ41と導入パイプ42を電動ポンプ6に接続すると共に、オペレーティングロッド26の先端にブレーキペダル8を装着する。
図10に示すように、リザーブタンク10は、第3ホース部材33によって下方から保持され、第1,第2ホース部材31,32によって後側から保持されているため、ダッシュパネル3に組付けられたハイドロユニット20に対して独立状態で姿勢が保持されている。
【0044】
次に、車体に対してカウルメンバ7の組付け工程を行う(S3)。
図1に示すように、エンジンルーム2の全幅に亙ってカウルメンバ7が組付けられる。カウルメンバ7には、前側の縦壁に前側へ延びる左右1対のブラケット45a,45bが予め固着されている。これらブラケット45a,45bには、上下方向に貫通可能な開口が夫々形成されている。
【0045】
最後に、カウルメンバ7に対してリザーブタンク10を固定する(S4)。
リザーブタンク10のボルト部15a,15bをブラケット45a,45bの開口に下方から夫々挿通し、ナット(図示略)により締結する。
リザーブタンク10は、可撓性の第1〜第3ホース部材31〜33によってハイドロユニット20に対して姿勢が保持されているため、組付け位置の微調整を容易に行うことができる。
【0046】
次に、実施例に係る車両Vのブレーキユニット取付構造の作用・効果について説明する。
この車両Vのブレーキユニット取付構造では、リザーブタンク10とハイドロユニット20とが可撓性の第1〜第3ホース部材31〜33を介して接続されているため、ハイドロユニット20を共通化しながらリザーブタンク10の容量や形状等の仕様を容易に変更することができ、また、可撓性ホース部材31〜33を許容曲げ範囲内で湾曲させることにより先に組付けられた状態のハイドロユニット20に対してリザーブタンク10の設置位置を調整することができ、従来の一体型ブレーキユニットを含めて、単一の車両組立てラインにおいて複数の仕様のブレーキユニット1を混流生産することができる。
リザーブタンク10がハイドロユニット20に第1〜第3ホース部材31〜33を介して3点支持されているため、リザーブタンク10をハイドロユニット20に対して位置調整可能に保持しつつハイドロユニット20と一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、リザーブタンク10をハイドロユニット20の組付けと同時に車体へ組付けることができ、作業工程を増加させることなくブレーキユニット1の組付け作業性を高くすることができる。
【0047】
ハイドロユニット20をダッシュパネル3に装着した後に組付けられる車幅方向に延びるカウルメンバ7にリザーブタンク10が固定されたため、カウルメンバ7の組付け前は、リザーブタンク10を他の支持部材を用いることなくハイドロユニット20に保持させることができ、カウルメンバ7の組付け後は、リザーブタンク10を車体に対して強固に固定することができる。
【0048】
作動液導入口23と電動ポンプ6とを接続する導入パイプ42を設け、供給パイプ41と導入パイプ42との途中部に屈曲部を夫々形成し、供給パイプ41と導入パイプ42の屈曲部上流側部分をクリップ部材43を用いて束ねると共に、供給パイプ41と導入パイプ42の屈曲部下流側部分をクリップ部材44を用いて束ねるため、ハイドロユニット20に対するリザーブタンク10の保持姿勢を、部品点数を増加することなく安定化することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、実施例2のブレーキユニット1Aについて図11に基づいて説明する。実施例1と同様の主要な構成要素には同じ参照符号を付けて図示し、それらについての説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。実施例1では、液圧制御手段をハイドロユニット20によって構成したが、実施例2では、マスタバック50と、このマスタバック50に装着されたマスタシリンダ51と、マスタバック50に装着されたクラッチシリンダ52等によって液圧制御手段を構成している。
【0050】
リザーブタンク10Aは、マスタシリンダ51とクラッチシリンダ52とに共用される作動液を貯留し且つ気液分離可能なタンクによって構成されている。このリザーブタンク10Aは、マスタシリンダ51に臨む第1タンク側還流口11Aと、この第1タンク側還流口11Aから離隔した部位からマスタシリンダ51に臨む第2タンク側還流口12Aと、底部に下方に向けて形成された作動液供給口13A等を備えている。このリザーブタンク10Aの構造は、実施例1のリザーブタンク10の構造と略同様に構成されている。
【0051】
マスタバック50は、ダイヤフラム、パワーピストン、プッシュロッド等を備え、吸気負圧や真空ポンプ(図示略)を利用してブレーキペダル8による踏力を増幅するように構成されている。マスタバック50の後壁には、バルブプランジャから後方へストレート状に延びるオペレーティングロッド26Aと、このオペレーティングロッド26Aの外周部から後方へ延びる4本のボルト部27A等が設けられている。
【0052】
マスタシリンダ51は、後端にフランジを備えた略筒状に形成され、マスタバック50の前壁中央部に装着されている。このマスタシリンダ51は、マスタバック50によって増幅された踏力により昇圧された作動液を調整し、ホイールシリンダ5a〜5dを作動可能に構成されている。マスタシリンダ51の周壁において上部には、第1ユニット側還流口61と、第2ユニット側還流口62とが突出形成され、それらの端部が前方へ向かうように屈曲状に構成されている。尚、説明の便宜上、マスタシリンダ51とホイールシリンダ5a〜5dを接続する接続配管を省略している。
【0053】
クラッチシリンダ52は、クラッチペダル(図示略)に加えられる踏力により昇圧された作動液を調整し、クラッチ機構(図示略)を作動可能に構成されている。クラッチシリンダ52は、後端にフランジを備えた略筒状に形成され、マスタバック50の後部にベースプレートを介して連結されている。このベースプレートは、4本のボルト部27Aと一体形成され、マスタバック50の下側まで延設され、クラッチシリンダ52がマスタバック50の下方乃至下側左方位置においてベースプレートに設けられた左右1対のボルト穴50aに左右1対のボルト53により締結されている。
クラッチシリンダ52の周壁において上部には、クラッチ接続口63(パイプ部材)が突出形成され、その端部が作動液供給口13Aに対向するように前方上がり傾斜状に構成されている。尚、説明の便宜上、クラッチシリンダ52とクラッチ機構を接続する接続配管を省略している。
【0054】
第1〜第3ホース部材31A〜33Aは、可撓性ゴムホースにより構成され、リザーブタンク10Aとこのリザーブタンク10Aよりも下方に配置されたマスタシリンダ51及びクラッチシリンダ52とを接続している。第1ホース部材31Aは、第1タンク側還流口11Aと第1ユニット側還流口61との間を接続し、第2ホース部材32Aは、第2タンク側還流口12Aと第2ユニット側還流口62との間を接続し、第3ホース部材33Aは、作動液供給口13Aとクラッチ接続口63との間をストレート状に接続している。第3ホース部材33Aは、作動液を注入したリザーブタンク10Aの姿勢を下方から保持可能なホース剛性を有するように材質、ホース長、ホース厚及び内径等が設定されている。
【0055】
これにより、リザーブタンク10Aが第1〜第3ホース部材31A〜33Aによってマスタバック50に保持された状態で、オペレーティングロッド26Aと4本のボルト部27Aを開口3bと4つのボルト穴3cに挿通し、4本のボルト部27Aをナット(図示略)により夫々締結することができる。それ故、マスタバック50と、このマスタバック50に装着されたマスタシリンダ51と、マスタバック50に装着されたクラッチシリンダ52とを備えた液圧制御手段であっても、リザーブタンク10Aをマスタバック50等と一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、ブレーキユニット1Aの組付け作業性を高めることができる。
【実施例3】
【0056】
次に、実施例3のブレーキユニット1Bについて図12に基づいて説明する。実施例1,2と同様の主要な構成要素には同じ参照符号を付けて図示し、それらについての説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。実施例2では、クラッチシリンダ52をマスタバック50と一体化されたサブアセンブリ体に構成したが、実施例3では、クラッチシリンダ52Aをマスタバック50Aから分離して構成している。
【0057】
マスタシリンダ51は、マスタバック50Aの前壁中央部に装着されている。マスタシリンダ51の周壁において上部には、第1ユニット側還流口61と第2ユニット側還流口62とが設けられ、下部には、作動液をホイールシリンダ5a〜5dへ送るための金属製配管54が連結されている。配管54は、車幅方向一方側(例えば、左側)に延びると共に、途中部においてクランク状に形成されている。
【0058】
クラッチシリンダ52Aは、後端にフランジを備えた略筒状に形成され、ブレーキ取付部3aに固定される。クラッチシリンダ52Aの周壁において上部には、クラッチ接続口63が突出形成され、このクラッチ接続口63は接続ホース34を介してパイプ部材としての接続管55の一端に接続されている。接続管55は、配管54のクランク部分に隣接して配置され、その軸心が前後方向に延びる部分では、車幅方向に束ねるクリップ56で配管54と連結され、その軸心が車幅方向に延びる部分では、前後方向に束ねるクリップ57で配管54と連結されている。
接続管55の他端には、作動液供給口13Aに対向するように前方上がり傾斜状に構成されたパイプ部64が形成されている。
【0059】
第1〜第3ホース部材31A,32A,33Bは、可撓性ゴムホースにより構成され、リザーブタンク10Aとこのリザーブタンク10Aよりも下方に配置されたマスタシリンダ51及び接続管55とを接続している。第1ホース部材31Aは、第1タンク側還流口11Aと第1ユニット側還流口61との間を接続し、第2ホース部材32Aは、第2タンク側還流口12Aと第2ユニット側還流口62との間を接続し、第3ホース部材33Bは、作動液供給口13Aと接続管55のパイプ部64との間をストレート状に接続している。第3ホース部材33Bは、作動液を注入したリザーブタンク10Aの姿勢を下方から保持可能なホース剛性を有するように設定されている。
【0060】
これにより、リザーブタンク10Aが第1〜第3ホース部材31A,32A,33Bによってマスタバック50Aに保持された状態で、オペレーティングロッド26Aと4本のボルト部27Aを開口3bと4つのボルト穴3cに挿通し、4本のボルト部27をナットにより夫々締結し、クラッチシリンダ52Aを別途ダッシュパネル3に固定することができる。それ故、マスタバック50Aと、このマスタバック50Aに装着されたマスタシリンダ51と、マスタバック50Aから分離されたクラッチシリンダ52Aとを備えた液圧制御手段であっても、リザーブタンク10Aをマスタバック50Aと一体化されたサブアセンブリ体に構成でき、ブレーキユニット1Bの組付け作業性を高めることができる。
【0061】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、第1〜第3ホース部材に同じ規格のゴムホースを用いた例を説明したが、少なくとも、ホース部材が可撓性であれば良く、第3ホース部材のみ異なる規格のゴムホース、或いは第1〜第3ホース部材の何れも異なる規格のゴムホースであっても良い。
【0062】
2〕前記実施例1においては、供給パイプと導入パイプを予めリザーブタンクとハイドロユニットに組み付けたサブアセンブリ体の例を説明したが、供給パイプと導入パイプをサブアセンブリ体から分離し、後から組付ける組付け手順でも良い。この場合、クリップ部材を用いてブレーキ液供給口に接続された第3ホース部材をハイドロユニットに位置固定することで同様の効果を奏することができる。
【0063】
3〕前記実施例1においては、導入パイプがブレーキ液導入口と電動ポンプの吐出口とを直接的に接続した例を説明したが、導入パイプの途中部に液圧を蓄積可能なアキュムレータを設置しても良い。これにより、ブレーキ液圧の供給遅れを抑制することができる。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、リザーブタンクとブレーキ装置とが可撓性のホースによって接続された車両のブレーキユニット取付構造において、リザーブタンクの底部に形成された接続口をブレーキ装置に支持されたパイプ部材に可撓性の第3ホース部材を介して接続することにより、リザーブタンクをブレーキ装置にサブアセンブリした状態で組付けることができ、組付け作業性を高めることができる
【符号の説明】
【0065】
1,1A,1B ブレーキユニット
3 ダッシュパネル
6 電動ポンプ
7 カウルメンバ
10 リザーブタンク
10b 後壁部
10f 底壁部
11,11A 第1タンク側還流口
12,12A 第2タンク側還流口
13,13A 作動液供給口
20 ハイドロユニット
21 第1ユニット側還流口
22 第2ユニット側還流口
23 作動液導入口
31,31A 第1ホース部材
32,32A 第2ホース部材
33,33A 第3ホース部材
,33B
34 接続ホース
41 供給パイプ
42 導入パイプ
43,44 クリップ部材
50,50A マスタバッグ
51 マスタシリンダ
52,52A クラッチシリンダ
55 接続管
61 第1ユニット側還流口
62 第2ユニット側還流口
63 クラッチ接続口
V 車両


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液を貯留するリザーブタンクと、前記作動液の液圧を制御する液圧制御手段を含むブレーキ装置とを備えた車両のブレーキユニットの取付構造において、
前記リザーブタンクに、前記ブレーキ装置側の縦壁に形成されブレーキ装置に臨む第1タンク側還流口と、この第1タンク側還流口から離隔した部位から前記ブレーキ装置に臨む第2タンク側還流口と、このリザーブタンクの底部に形成された作動液供給口とを設け、
前記ブレーキ装置に、前記第1タンク側還流口と可撓性の第1ホース部材を介して接続される第1ユニット側還流口と、前記第2タンク側還流口と可撓性の第2ホース部材を介して接続される第2ユニット側還流口と、このブレーキ装置に支持され前記作動液供給口に対向するように延設されたパイプ部材とを設け、
前記作動液供給口が前記パイプ部材に可撓性の第3ホース部材を介して接続され、
前記第3ホース部材が前記リザーブタンクを下方から保持可能なホース剛性を有することを特徴とする車両のブレーキユニット取付構造。
【請求項2】
前記液圧制御手段は、作動液を加圧可能なポンプ手段から供給された作動液の液圧を制御するバルブ類と前記リザーブタンクに作動液を還流するシリンダ部材とを含むハイドロユニットを備え、
前記リザーブタンクに、前記ハイドロユニット側の縦壁に形成されハイドロユニットに臨む第1タンク側還流口と、この第1タンク側還流口から離隔した部位から前記ハイドロユニットに臨む第2タンク側還流口と、このリザーブタンクの底部に形成されポンプ手段に供給パイプを介して作動液を供給する作動液供給口とを設け、
前記ハイドロユニットに、前記第1タンク側還流口と可撓性の第1ホース部材を介して接続される第1ユニット側還流口と、前記第2タンク側還流口と可撓性の第2ホース部材を介して接続される第2ユニット側還流口と、前記ポンプ手段から供給される作動液を導入する作動液導入口とを設け、
前記作動液供給口が前記ハイドロユニットに支持された前記供給パイプに可撓性の第3ホース部材を介して接続されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のブレーキユニット取付構造。
【請求項3】
前記ハイドロユニットをダッシュパネルに装着した後に組付けられる車幅方向に延びるカウルメンバに前記リザーブタンクが固定されたことを特徴とする請求項2に記載の車両のブレーキユニット取付構造。
【請求項4】
前記作動液導入口とポンプ手段とを接続する導入パイプを設け、
前記供給パイプと導入パイプとの途中部に屈曲部を夫々形成し、
前記供給パイプと導入パイプの屈曲部上流側部分をクリップ部材を用いて束ねると共に、前記供給パイプと導入パイプの屈曲部下流側部分をクリップ部材を用いて束ねることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両のブレーキユニット取付構造。
【請求項5】
前記液圧制御手段は、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、前記マスタバックに装着されたクラッチシリンダとを備え、
前記パイプ部材が前記クラッチシリンダに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のブレーキユニット取付構造。
【請求項6】
前記液圧制御手段は、マスタバックと、このマスタバックに装着されたマスタシリンダと、クラッチシリンダとを備え、
前記パイプ部材がマスタバックに支持され且つ接続ホースを介して前記クラッチシリンダに接続可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のブレーキユニット取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−112329(P2013−112329A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263539(P2011−263539)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】