説明

車両の制御装置

【課題】内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置であって、同車両に要求される駆動力を維持するとともに変速機の作動油の過熱を抑制する。
【解決手段】油温センサ25により検知される作動油の温度Toが所定温度Ta以上であるときには、変速機20の変速比が自動的に大きい側に変更されることを禁止する。そして、このように変速機20の変速比が大きい側に変更されることが禁止されるときには、車両1の要求駆動力が得られるように内燃機関10の出力トルクを増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される変速機では、同変速機内の各構成の潤滑や作動、動力伝達等のために作動油が用いられる。この作動油が過熱状態になると、この作動油を用いる機能が低下するおそれがある。
【0003】
こうした作動油の過熱を抑制する構成としては、例えば、特許文献1に記載の構成が提案されている。この特許文献1に記載の変速機は、内燃機関の発生トルクがトルクコンバータを介して伝達される自動変速機であって、作動油の過熱時にはダウンシフト変速線を高車速側にずらして低速段、すなわち変速比が大きい側の変速段が選択されやすくすることにより、トルクコンバータのスリップ量を減少させて同変速機での発熱量を減少させるようにしている。
【0004】
一方、内燃機関の始動時等において上記作動油が低温である場合には、変速機の駆動に伴う内燃機関の動力損失が大きくなって機関の燃費効率が低下する。そこで、こうした動力損失を低減して機関の燃費改善を図るべく、例えば特許文献2に記載されるように、機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた構成が提案されている。こうした構成によれば、機関の発熱によって昇温した冷却水の熱を熱交換機により作動油に伝達して同作動油を昇温させることができ、変速機を早期に暖機することができるようになる。これにより、機関の燃費を改善することができるようになる。
【特許文献1】特開平7−229556号公報
【特許文献2】特開2003−83427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2に記載されるように熱交換機を備える構成では、変速機を早期に暖機することができるようになるものの、冷却水の温度上昇に起因して変速機の作動油が過熱されるおそれがある。なお、こうした冷却水の温度上昇を抑制するべく内燃機関の燃料噴射量を減少させた場合には、それに伴い車両の駆動力が低下することとなり、ドライバビリティの悪化を招くため望ましくない。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置において、同車両に要求される駆動力を維持するとともに変速機の作動油の過熱を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置であって、前記車両に要求される駆動力を算出する要求駆動力算出手段と、前記作動油の温度を検知する油温検知手段と、前記車両の走行状態に応じて前記変速機の変速比を変更する自動変速比変更手段と、前記油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、前記自動変速比変更手段によって前記変速機の変速比が大きい側に変更されることを禁止する変速比調整手段と、前記変速比調整手段によって前記変速機の変速比が大きい側に変更されることが禁止されるときには、前記要求駆動力算出手段により算出される要求駆動力が得られるように前記機関の出力トルクを増大させる機関出力増大手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、自動変速比変更手段によって変速機の変速比が大きい側に変更されることを禁止する変速比変更手段を備えるため、大きい側の変速比に変更されることによる機関回転数の上昇を回避することができる。また、このように変速機の変速比が大きい側に変更されることが禁止されるときには、車両の要求駆動力が得られるように機関出力増大手段によって機関の出力トルクを増大させるため、変速比の大きい側への変更が禁止されて機関回転数が上昇されないことによる駆動力の低下を抑制することができる。
【0009】
ここで、こうした出力トルクの増大に基づき、同機関において発熱量の増加は生じるものの、その発熱量の増加は変速機の変速比が大きい側に変更されて機関回転数が上昇することに伴う発熱量の増加よりも少ないため、変速機の変速比が大きい側に変更される場合と比較して内燃機関での全体の発熱量を少なくすることができる。したがって、車両に要求される駆動力を維持するとともに変速機の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0010】
なお、所定温度は、例えば変速機の作動油が過熱状態であると判断することのできる温度に予め設定される。また、機関出力増大手段による機関の出力トルクの増大は、吸入空気量の増量や点火時期の進角等によって実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置であって、前記車両に要求される駆動力を算出する要求駆動力算出手段と、前記作動油の温度を検知する油温検知手段と、前記車両の走行状態に応じて前記変速機の変速比を変更する自動変速比変更手段と、前記油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、前記自動変速比変更手段によって変更される変速比よりも前記変速機の変速比を小さい側に設定する変速比調整手段と、前記変速比調整手段によって前記変速機の変速比が小さい側に設定されるときには、前記要求駆動力算出手段により算出される要求駆動力が得られるように前記機関の出力トルクを増大させる機関出力増大手段とを備えることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、自動変速比変更手段によって変更される変速比よりも変速機の変速比を小さい側に設定する変速比調整手段を備えるため、変速機の変速比が自動変速比変更手段により変更されて内燃機関の運転が行われる場合よりも機関回転数を低下させることができる。また、このように変速機の変速比が小さい側に設定されるときには、車両の要求駆動力が得られるように機関出力増大手段によって機関の出力トルクを増大させるため、変速機の変速比が小さい側に設定されて機関回転数が低下することによる駆動力の低下を抑制することができる。
【0013】
ここで、こうした出力トルクの増大に基づき、同機関において発熱量の増加が生じるものの、こうした発熱量の増加による影響よりも、変速機の変速比が小さい側に設定されて機関回転数が低下することに伴う発熱量の減少による影響の方が大きいため、変速機の変速比が小さい側に設定される前と比較して内燃機関での全体の発熱量を減少させることができる。したがって、車両に要求される駆動力を維持するとともに変速機の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両の制御装置において、前記変速比調整手段は、前記油温検知手段により検知される温度が高いほど前記変速機の変速比を小さい側に設定することを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、油温検知手段により検知される温度が高いほど変速機の変速比を小さい側に設定するため、より効果的に変速機の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両の制御装置において、前記変速比調整手段は、前記機関出力増大手段によって前記要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比に前記変速機の変速比を設定することを要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、機関出力増大手段によって要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比に変速機の変速比を設定するため、より効果的に変速機の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、前記機関出力増大手段による前記機関の出力トルクの増大によっても前記要求駆動力が得られないと判断されるときには、前記変速比調整手段による変速比の調整を禁止して前記自動変速比変更手段により前記変速機の変速比を変更することを要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、機関出力増大手段による機関の出力トルクの増大によっても要求駆動力が得られないと判断されるときには、変速比調整手段による変速比の調整を禁止して自動変速比変更手段により変速機の変速比を変更するため、要求駆動力を得ることを優先させることができ、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、前記変速機内の発熱量を推定する変速機内発熱量推定手段を更に備え、前記変速機内発熱量推定手段により変速機内の発熱量が所定量以上であると推定されるときには、前記変速比調整手段による変速比の調整を禁止することを要旨とする。
【0021】
ところで、上述したように変速機の変速比を変速比調整手段によって調整するようにすると、自動変速比変更手段によって変更される変速比よりも変速機の変速比が小さい側に設定されることにより変速機内部の発熱量が増加することがある。このように発熱量が増加する原因としては、例えばトルクコンバータでのスリップ量の増加が挙げられる。
【0022】
この点、上記構成によれば、変速機内の発熱量を推定する変速機内発熱量推定手段を更に備え、変速機内の発熱量が所定量以上であると推定されるときには、変速比調整手段による変速比の調整を禁止するため、変速機の作動油の温度上昇に関して、同変速機内部での発熱量も考慮することができるようになる。これにより、より効果的に変速機の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0024】
同図1に示されるように、内燃機関10には同機関10の燃焼室に空気を供給する吸気通路11が接続されるとともに、この吸気通路11には、同通路11を流通する吸入空気量を調整するスロットルバルブ12と、同バルブ12の開度を検出するスロットルバルブ開度センサ13と、同バルブ12を開閉駆動するスロットルバルブアクチュエータ14が設けられている。また、同通路11には、スロットルバルブ12により調整された吸入空気の量に応じた燃料を同通路11に噴射供給する燃料噴射弁16が設けられている。こうして供給される空気と燃料との混合気が燃焼室で燃焼されることにより機関10の回転力(出力トルク)が得られてクランクシャフト17が回転する。なお、機関10の排気系については説明を省略する。
【0025】
クランクシャフト17の回転は、変速機20を介して駆動輪40に伝達される。この変速機20は、トルクコンバータ21と変速部22を含んで構成されており、その内部には、各構成の潤滑や作動、動力伝達等のために用いる作動油が貯留されている。これにより、トルクコンバータ21の内部の作動油を介してクランクシャフト17の回転が変速部22に伝達される。
【0026】
変速機20は、トルクコンバータ21を介して変速部22に入力される回転の回転速度Ninと出力軸23の回転速度Noutとの比(Nin/Nout)、すなわち変速比Rが車両1の走行状態に応じて自動的に変更される自動変速機である。この自動変速機としては、変速比Rを無段階に調整可能な無段変速機や、同変速比Rを段階的に調整する有段変速機を採用することができる。
【0027】
そして、変速機20に入力されたクランクシャフト17の回転数(機関回転数)Neが変速部22において変速されることにより、内燃機関10の回転力(出力トルク)が調整されて、この調整された回転力が出力軸23に出力される。こうして出力された回転力は、差動ギヤ及び減速ギヤ(図示略)を介して駆動輪40に伝達される。
【0028】
ここで、駆動輪40を回転させる回転力である駆動力は、次式(1)のように表すことができる。
駆動力=(機関10の出力トルク)×(変速機20の変速比R)×(減速ギヤのギヤ比)/駆動輪40の半径 …(1)
すなわち、変速機20の変速比Rが大きい側に変更されると、機関10の出力トルクが一定であっても、駆動輪40を回転させる駆動力が増大する。例えば、有段変速機であれば、変速比Rを4速から3速に変更(ダウンシフト)して大きい側に変更することにより、駆動輪40を回転させる駆動力を増大させることができる。なお、このように変速比Rが大きい側に変更されると、これに伴い機関回転数Neが上昇して内燃機関10での発熱量が増加する。
【0029】
ところで、内燃機関10は、燃焼室での混合気の燃焼による発熱等によって加熱される。こうして加熱された内燃機関10の冷却は、同機関10に形成された冷却水通路31を流通する冷却水によって行われる。そして、機関10を冷却することにより同機関10の熱で温められた冷却水は、図示しないラジエータにおいて空気と熱交換することにより冷却される。なお、同機関10内を通過する冷却水通路31には、冷却水の温度Twを検知する冷却水温センサ15が取り付けられている。
【0030】
また、変速機20の作動油は、この作動油と内燃機関10の冷却水との間で熱交換を行うATFウォーマ30によって冷却または加熱が行われる。具体的には、機関10の冷却水が循環する冷却水通路31と、変速機20の作動油が循環する作動油通路32がATFウォーマ30の内部をそれぞれ通過しており、同ATFウォーマ30において冷却水と作動油との間で熱交換が行われる。そして、機関10の熱で温められた冷却水により作動油が温められるため、変速機20を早期に暖機することができる。また、作動油の温度が冷却水の温度よりも上昇した場合には、上述したようにラジエータによって冷却された冷却水と熱交換することにより、作動油を冷却することもできる。このATFウォーマ30が熱交換機に相当する。なお、変速機20内を通過する作動油通路32には、作動油の温度Toを検知する油温センサ25が取り付けられている。この油温センサ25が、油温検知手段に相当する。
【0031】
車両1には、同車両1の各装置を総括的に制御する電子制御装置50が設けられている。この電子制御装置50は、演算ユニット(CPU)をはじめ、各種制御プログラムや演算マップ、制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持するメモリを備えている。そして、この電子制御装置50には、上述した各種センサの他、同車両1に設けられる各種センサの出力信号がそれぞれ入力される。こうした各種センサとしては、例えば、車両1の車速を検知する車速センサ51、運転者により操作されるシフトレバー(図示略)の位置を検知するシフトポジションセンサ52、同じく運転者により操作されるアクセルペダル(図示略)の踏み込み量を検知するアクセルポジションセンサ53、機関回転数Neを検知する回転速度センサ54等がある。
【0032】
そして、電子制御装置50は、各種センサの出力信号に基づき車両1の走行状態を把握するとともに要求される駆動力(要求駆動力)を算出し、この算出した要求駆動力が得られるように、同車両1の走行状態に応じて各種制御を実行する。こうした各種制御としては、例えば、吸入空気量を調整するべくスロットルバルブ12の開度を調整するスロットルバルブアクチュエータ14の駆動量制御、燃料噴射弁16による燃料噴射量制御、内燃機関10の点火プラグ(図示略)の点火時期制御、変速機20の変速比Rを自動的に変更する自動変速比変更制御等の他、要求される機関回転数Ne及び出力トルクを得るべく実行する内燃機関10の各種制御が挙げられる。すなわち、この電子制御装置50が、要求駆動力算出手段および自動変速比変更手段としての処理を実行する。
【0033】
さらに、電子制御装置50は、変速機20の作動油の過熱を抑制するべく、変速機20の変速比Rを調整する「変速比調整処理」を実行するとともに、車両1の要求駆動力が得られるように機関10の出力トルクを増大させる「機関出力増大処理」を実行する。この「変速比調整処理」が変速比調整手段としての処理に相当するとともに、「機関出力増大処理」が機関出力増大手段としての処理に相当する。
【0034】
次に、図2を参照して、このように電子制御装置50により実行される「変速比調整処理」及び「機関出力増大処理」の一連の処理の実行手順を説明する。同図に示す一連の処理は、電子制御装置50によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0035】
この一連の処理では、まず、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上か否かが判定される(ステップS101)。具体的には、油温センサ25の出力信号に基づき判断される。この所定温度Taは、変速機20の作動油が過熱状態であると判断することのできる温度に予め設定されている。
【0036】
そして、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上ではない旨判定された場合には(ステップS101:NO)、変速機20の作動油が過熱状態ではないと判断することができるため、本処理を一旦終了する。これにより、自動変速比変更制御を続行させる。
【0037】
一方、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上である旨判定された場合には(ステップS101:YES)、続いて、要求駆動力が上昇したか否かが判定される(ステップS102)。具体的には、車速センサ51の出力信号に基づき把握される車両1の速度、アクセルポジションセンサ53の出力信号に基づき把握されるアクセルペダルの踏み込み量や踏み込み速度等に基づき運転者の要求する車両1の駆動力、すなわち車両1の要求駆動力が算出されて、この算出される要求駆動力が上昇したか否かが判定される。例えば、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量が増加した場合には、要求駆動力が上昇したと判断される。この判定処理を通じて要求駆動力が上昇していない旨判定された場合には(ステップS102:NO)、自動変速比変更制御によって変速機20の変速比Rが大きい側に変更されないと判断することができるため、本処理を一旦終了して自動変速比変更制御を続行させる。
【0038】
一方、要求駆動力が上昇した旨判定された場合には(ステップS102:YES)、この要求駆動力が現在の変速比で得られるか否かが判定される(ステップS103)。ここで、駆動輪40を回転させる駆動力と変速比Rとの関係は上記式(1)のように表される。そこで、本ステップにおいては、変速機20の変速比Rを大きい側に変更せずに現在の変速比Rに維持しつつ、機関10の出力トルクを増大させることによって、運転者の要求する駆動力が得られるまで駆動力を増大させることができるか否かが判定される。
【0039】
この判定処理を通じて、要求駆動力が現在の変速比で得られる旨判定された場合には(ステップS103:YES)、変速機の変速比が大きい側に変更されることが禁止される(ステップS104)。これにより、自動変速比変更制御による変速比Rの変更が禁止される。したがって、変速機20の変速比Rが大きい側に変更されることによる機関回転数Neの上昇を回避することができる。本ステップの処理が変速機20の変速比Rを調整する「変速比調整処理」に相当する。
【0040】
そして、要求駆動力が得られるように内燃機関の出力トルクを増大する(ステップS105)。この処理が「機関出力増大処理」に相当する。こうした機関10の出力トルクの増大は、例えば、吸入空気量および燃料噴射量の増量によって実行することができる。具体的には、アクセルポジションセンサ53の出力信号に基づき把握される運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じて調整されるスロットルバルブ12の開度よりも、実際の開度を大きくするべくスロットルバルブアクチュエータ14を駆動するとともに、それに応じて燃料噴射量が増加するように燃料噴射弁16を駆動する。これにより、アクセルペダルの踏み込み量に応じて内燃機関10に供給される吸入空気量よりも、実際に供給される吸入空気量を増量させるとともに、吸入空気量に見合うように燃料噴射量を増量させることができる。したがって、変速比Rの大きい側への変更が禁止されて機関回転数Neが上昇されないことによる駆動力の低下を抑制することができる。
【0041】
一方、ステップS103の判定処理において、要求駆動力が現在の変速比で得られない旨判定された場合(ステップS103:NO)には、この一連の処理を終了する。これにより、上記「変速比調整処理」を禁止して、基本制御である自動変速比変更制御を実行し、要求駆動力を得ることを優先させることができる。なお、このように否定判定される場合としては、例えば、スロットルバルブ12の開度を全開状態にするべくスロットルバルブアクチュエータ14を駆動したとしても、吸入空気量を十分に増量させることができず、これにより要求駆動力が得られるまで出力トルクを増大させることができない場合が挙げられる。
【0042】
以上説明した第1の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
(1)油温センサ25により検知される作動油の温度Toが所定温度Ta以上であるときに、変速機20の変速比Rが大きい側に自動変速比変更制御によって変更されることを禁止する(ステップS104)ため、大きい側の変速比Rに変更されることによる機関回転数Neの上昇を回避することができる。また、このように変速機20の変速比Rが大きい側に変更されることが禁止されるときには、車両1の要求駆動力が得られるように機関10の出力トルクを増大させるため(ステップS105)、変速比Rの大きい側への変更が禁止されて機関回転数Neが上昇されないことによる駆動力の低下を抑制することができる。ここで、こうした出力トルクの増大に基づき、内燃機関10において発熱量の増加は生じるものの、その発熱量の増加は、変速機20の変速比Rが大きい側に変更されて機関回転数Neが上昇することに伴う発熱量の増加よりも少ないため、変速機20の変速比Rが大きい側に変更される場合と比較して内燃機関10での全体の発熱量を少なくすることができる。したがって、上記「変速比調整処理」及び「機関出力増大処理」により、車両1に要求される駆動力を維持するとともに変速機20の作動油の過熱を抑制することができる。
【0043】
(2)内燃機関10の出力トルクの増大によっても要求駆動力が得られないと判断されるときには、変速比Rの調整を実行する「変速比調整処理」を禁止して自動変速比変更制御によって変速機20の変速比Rを変更するため、要求駆動力を得ることを優先させることができ、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第2の実施形態について図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略するとともに、同様の処理については具体的な態様の説明を省略する。
【0045】
本実施形態と上記第1の実施形態とでは、次の点において異なる。すなわち、上記第1の実施形態における「変速比調整処理」では、変速機20の変速比が自動変速比変更制御によって大きい側に変更されることを禁止(ステップS104)していたが、本実施形態における「変速比調整処理」では、自動変速比変更制御によって変更される変速比よりも、実際の変速比を小さい側に設定するようにする。また、上記第1の実施形態では、要求駆動力が上昇したことを条件として(ステップS102:YES)、「変速比調整処理」を実行するようにしていたが、本実施形態では、要求駆動力が上昇したか否かに関わらず、「変速比調整処理」を実行する。
【0046】
図3は、電子制御装置50により実行される「変速比調整処理」及び「機関出力増大処理」の一連の処理の実行手順を示すフローチャートであって、この一連の処理は、電子制御装置50によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0047】
この一連の処理では、まず、変速比調整中フラグFが「1」であるか否かが判定される(ステップS201)。この変速比調整中フラグFは初期値が「0」に設定されている。そして、自動変速比変更制御による変速比Rの自動的な変更が停止されて「変速比調整処理」が実行されると「1」に設定される。
【0048】
ここで、変速比調整中フラグFが「1」ではない旨判定された場合には(ステップS201:NO)、自動変速比変更制御によって変速比Rが自動的に変更されていると判断することができる。そこで、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上か否かが判定される(ステップS202)。そして、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上ではない旨判定された場合には(ステップS202:NO)、本処理を一旦終了する。
【0049】
一方、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上である旨判定された場合には(ステップS202:YES)、自動変速比変更制御によって変更されている変速比Rを把握する(ステップS203)。すなわち、現在の変速比Rを把握する。
【0050】
続いて、変速機の変速比Rが所定値αだけ小さい側に調整される場合に、要求駆動力が得られるか否かが判定される(ステップS204)。この所定値αは、変速比Rを一回の調整で小さくする変化量として適する値が予め設定されている。例えば、変速機20の変速比Rを所定値αだけ小さくするように調整する際に、運転者に違和感を与えない程度の値が設定される。なお、本実施形態の変速機20としては、有段変速機及び無段変速機のいずれも採用することができるが、変速比Rを連続的に幅広く変更することができる無段変速機を採用する方が好ましい。無段変速機を採用することにより、所定値αを細かく設定することができるようになる。
【0051】
ここで、駆動輪40を回転させる駆動力と変速比Rとの関係は上記式(1)のように表されるため、変速比Rを小さくする場合であっても機関10の出力トルクを増大させることにより駆動力を維持することができる。そこで、本ステップにおいては、変速機20の変速比Rが所定値αだけ小さい側に調整される場合であっても、機関10の出力トルクを増大させることにより要求駆動力が得られるか否かが判定される。
【0052】
この判定処理を通じて、要求駆動力が得られない旨判定された場合には(ステップS204:NO)、変速比調整中フラグFを初期値の「0」に設定する(ステップS208)。そして、変速機の変速比を現在の変速比Rに維持して(ステップS209)、一連の処理を終了する。これにより、「変速比調整処理」を行わずに自動変速比変更制御による変速比の変更を続行する。
【0053】
一方、変速機の変速比Rが所定値αだけ小さい側に調整された場合に要求駆動力が得られる旨判定された場合には(ステップS204:YES)、変速比Rを所定値αだけ小さい側に調整する(ステップS205)。すなわち、変速比調整処理の初回にはステップS203において把握された変速比Rが所定値αだけ減算されて、この減算値により変速比Rが更新される。これにより、機関回転数Neを低下させて機関10の発熱量を減少させることができる。
【0054】
そして、ステップS205の処理により自動変速比変更制御を停止して変速比を調整する「変速比調整処理」が開始されるため、変速比調整中フラグFが「1」に設定される(ステップS206)。次いで、要求駆動力が得られるように内燃機関の出力トルクを増大させて(ステップS207)、一連の処理を終了する。本ステップS207の処理が「機関出力増大処理」に相当する。この「機関出力増大処理」により、変速機20の変速比Rが小さい側に設定されて機関回転数Neが低下することによる駆動力の低下を抑制することができる。
【0055】
この場合において、ステップS201の判定処理が再び実行されると、変速比調整中フラグFが「1」に設定されている旨判定されるため(ステップS201:YES)、続いてステップS204の判定処理が実行される。本ステップでは、前回のステップS205の処理において更新された変速比Rを、さらに所定値αだけ小さい側に調整しても要求駆動力が得られるか否かが判定される(ステップS204)。そして、要求駆動力が得られる旨判定された場合には(ステップS204:YES)、前回のステップS205において更新された変速比Rを、さらに所定値αだけ小さい側に調整する(ステップS205)。これにより、変速比Rを再度更新する。そして、要求駆動力が得られるように内燃機関の出力トルクを増大して(ステップS207)、一連の処理を終了する。
【0056】
このように、ステップS204の判定処理において否定判定(ステップS204:NO)がなされて変速比調整中フラグFが「0」に設定される(ステップS208)まで、すなわち「変速比調整処理」が終了するまで、ステップS205において変速機20の変速比Rが所定値αずつ繰り返し更新される。こうして要求駆動力が得られない旨判定される(ステップS204:NO)まで変速比Rが繰り返し更新されることにより、変速機20の変速比を、要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比Rに設定することができるようになる。
【0057】
そして、ステップS208において変速比調整中フラグFが「0」に設定されると、変速機の変速比を現在の変速比Rに維持して(ステップS209)、一連の処理を終了する。なお、上述したように、上記ステップS203において把握された変速比Rが「変速比調整処理」によって調整されなかった場合には、このステップS203において把握された変速比Rが「現在の変速比R」に相当する。一方、上記ステップS203において把握された変速比Rが「変速比調整処理」によって調整されて更新された場合(ステップS205)には、調整後の変速比Rが「現在の変速比R」に相当する。
【0058】
以上説明した第2の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
(3)油温センサ25により検知される変速機20の作動油の温度Toが所定温度Ta以上であるときに、自動変速比変更制御によって変更される変速比Rよりも変速機20の変速比を小さい側に設定する(ステップS205)ため、変速機20の変速比Rが自動変速比変更制御により変更されて内燃機関10の運転が行われる場合よりも機関回転数Neを低下させることができる。また、このように変速機20の変速比Rが小さい側に設定されるときには、車両1の要求駆動力が得られるように機関10の出力トルクを増大させるため(ステップS207)、変速機20の変速比Rが小さい側に設定されて機関回転数Neが低下することによる駆動力の低下を抑制することができる。ここで、こうした出力トルクの増大に基づき、機関10において発熱量の増加が生じるものの、こうした発熱量の増加による影響よりも、「変速比調整処理」により変速機20の変速比が小さい側に設定されて機関回転数Neが低下することに伴う発熱量の減少による影響の方が大きいため、変速機20の変速比Rが小さい側に設定される前と比較して内燃機関10での全体の発熱量を減少させることができる。したがって、車両1に要求される駆動力を維持するとともに変速機20の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0059】
(4)要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比Rに変速機20の変速比Rを「変速比調整処理」において設定するため、より効果的に変速機20の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第3の実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略するとともに、同様の処理については具体的な態様の説明を省略する。
【0061】
上記第2の実施形態と本実施形態とは、次の点において異なる。すなわち、上記第2の実施形態における「変速比調整処理」では、要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比Rに変速機20の変速比Rを設定していたが、本実施形態における「変速比調整処理」では、変速機20の変速比Rを作動油の温度Toに基づき調整する。
【0062】
図4は、電子制御装置50により実行される「変速比調整処理」及び「機関出力増大処理」の一連の処理の実行手順を示すフローチャートであって、この一連の処理は、電子制御装置50によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0063】
この一連の処理では、まず、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上か否かが判定される(ステップS301)。そして、変速機の作動油が所定温度Ta以上ではない旨判定された場合には(ステップS301:NO)、本処理を一旦終了する。
【0064】
一方、変速機の作動油の温度Toが所定温度Ta以上である旨判定された場合には(ステップS301:YES)、自動変速比変更制御によって変更される変速比R1よりも小さい側の変速比R2(<R1)が作動油の温度Toに基づき設定される(ステップS302)。具体的には、油温センサ25によって検知される変速機20の作動油の温度Toが高いほど変速機20の変速比R2が小さくなるように設定される。これにより、作動油の実際の温度Toと所定温度Taからの差ΔTが大きくなるほど、変速比R2が小さく設定される。
【0065】
そして、変速機の変速比が設定された変速比R2に実際に調整される場合に、要求駆動力が得られるか否かが判定される(ステップS303)。つまり、変速機20の変速比Rが上記ステップS302において設定された変速比R2に実際に調整された場合であっても、機関10の出力トルクを増大させることにより要求駆動力を得ることができるか否かが判定される。
【0066】
この判定処理を通じて、変速機の変速比が設定された変速比R2に実際に調整される場合に、要求駆動力が得られる旨判定された場合には(ステップS303:YES)、設定された変速比R2に実際に調整して(ステップS304)、要求駆動力が得られるように内燃機関の出力トルクを増大させる(ステップS305)。一方、変速機の変速比が設定された変速比R2に調整されると要求駆動力が得られない旨判定された場合には(ステップS303:NO)、一連の処理を終了する。なおこの場合には、変速機20の変速比Rは、自動変速比変更制御によって変速比R1に変更される。
【0067】
以上説明した第3の実施形態によれば、上記(2),(3)に示す作用効果に加えて、以下に示す作用効果を奏することができる。
(5)油温センサ25により検知される作動油の温度Toが高いほど変速機20の変速比Rを小さい側の変速比R2に設定するため(ステップS302)、より効果的に変速機20の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【0068】
(その他の実施形態)
なお、この発明にかかる車両の制御装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0069】
・上記各実施形態において実行する処理では、「変速比調整処理」及び「機関出力増大処理」を実行することにより一連の処理を終了する例を示したが、この一連の処理に続けて、こうした処理を実行したことにより作動油の温度Toが十分低下した旨判定された場合には、自動変速比変更制御を再び実行させる処理を実行してもよい。この場合であっても、上述した作用効果を奏することができる。なお、作動油の温度Toが十分低下した旨は、上記所定温度Taより低い任意の温度を判定基準として予め設定するとともに、このように判定基準として設定した温度と作動油の温度Toとの比較により判定することができる。
【0070】
・上記各実施形態では、作動油の温度Toを油温センサ25によって検知する例を示した。しかし、油温検知手段としては、作動油の温度Toを検知することができる態様であればよく、例えば、機関冷却水の水温Twと作動油の温度Toとの関係を予め記憶したマップを参照することにより、機関冷却水の水温Twから作動油の温度Toを推定する態様を採用することもできる。
【0071】
・上記各実施形態では、所定温度Taを変速機20の作動油が過熱状態であると判断することのできる温度に予め設定する例を示したが、設定する温度はこの例に限られない。すなわち、過熱状態に達するよりも前の状態であっても、過熱されるおそれがあると判断することのできる温度を所定温度として設定する態様を採用することもできる。
【0072】
・上記各実施形態では、変速機20の変速比Rを調整する場合に要求駆動力を得ることができるか否かを判定し、要求駆動力が得られる旨判定される場合に「変速比調整処理」を実行する例を示した。しかし、この判定に加えて、こうした変速比の調整によって、いわゆる「変速ショック」が生じないか否かを判定することもできる。すなわち、変速比の調整によって「変速ショック」が生じ、運転者に違和感が生じる旨判定される場合には、ドライバビリティが悪化するおそれがあるため、「変速比調整処理」の実行を禁止して自動変速比変更制御を続行するようにする態様を採用することもできる。
【0073】
・ところで、上記各実施形態において実行する「変速比調整処理」によって変速比を調整すると、自動変速比変更制御によって変更される変速比よりも実際の変速比が小さい側に設定されることにより変速機20内部の発熱量が増加することがある。このように発熱量が増加する原因としては、トルクコンバータ21でのスリップ量の増加が挙げられる。そこで、上記各実施形態で示した一連の処理に続けて、このように変速機20内の発熱量を推定するとともに、この発熱量が所定量以上であると推定されるときには、上記「変速比調整処理」を禁止するようにする処理を実行するようにしてもよい。この所定量は、変速機20内の発熱量が多大であると判断することのできる量が予め設定される。
【0074】
こうした変速機20内の発熱量を推定する手段(変速機内発熱量推定手段)としては、例えば、上記油温センサ25とは別に変速機20内部に設けられて同変速機20内部の作動油の油温を検知する第2の油温センサを採用することができる。また、上記「変速比調整処理」により変速比Rを調整した後に、油温センサ25により検知される作動油の温度Toの変化量又は変化速度に基づき、変速機20内部の発熱量を推定することもできる。この場合には、以下に示す作用効果を奏することができるようになる。
【0075】
(6)変速機20内の発熱量を推定する変速機内発熱量推定手段を更に備え、変速機20内の発熱量が所定量以上であると推定されるときには、「変速比調整処理」による変速比Rの調整を禁止するため、変速機20の作動油の温度Toの上昇に関して、同変速機20内部での発熱量も考慮することができるようになる。これにより、より効果的に変速機20の作動油の過熱を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態にかかる車両の制御装置が適用された車両の概略構成図。
【図2】同実施形態にかかる制御について、その実行手順を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態にかかる制御について、その実行手順を示すフローチャート。
【図4】第3の実施形態にかかる制御について、その実行手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
1…車両、10…内燃機関、11…吸気通路、12…スロットルバルブ、13…スロットルバルブ開度センサ、14…スロットルバルブアクチュエータ、15…冷却水温センサ、16…燃料噴射弁、17…クランクシャフト、20…変速機、21…トルクコンバータ、22…変速部、23…出力軸、25…油温センサ、30…ATFウォーマ(熱交換機)、31…冷却水通路、32…作動油通路、40…駆動輪、50…電子制御装置、51…車速センサ、52…シフトポジションセンサ、53…アクセルポジションセンサ、54…回転速度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置であって、
前記車両に要求される駆動力を算出する要求駆動力算出手段と、
前記作動油の温度を検知する油温検知手段と、
前記車両の走行状態に応じて前記変速機の変速比を変更する自動変速比変更手段と、
前記油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、前記自動変速比変更手段によって前記変速機の変速比が大きい側に変更されることを禁止する変速比調整手段と、
前記変速比調整手段によって前記変速機の変速比が大きい側に変更されることが禁止されるときには、前記要求駆動力算出手段により算出される要求駆動力が得られるように前記機関の出力トルクを増大させる機関出力増大手段とを備える
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
内燃機関の冷却水と変速機の作動油との間の熱交換を行う熱交換機を備えた車両に適用される制御装置であって、
前記車両に要求される駆動力を算出する要求駆動力算出手段と、
前記作動油の温度を検知する油温検知手段と、
前記車両の走行状態に応じて前記変速機の変速比を変更する自動変速比変更手段と、
前記油温検知手段により検知される温度が所定温度以上であるときに、前記自動変速比変更手段によって変更される変速比よりも前記変速機の変速比を小さい側に設定する変速比調整手段と、
前記変速比調整手段によって前記変速機の変速比が小さい側に設定されるときには、前記要求駆動力算出手段により算出される要求駆動力が得られるように前記機関の出力トルクを増大させる機関出力増大手段とを備える
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の制御装置において、
前記変速比調整手段は、前記油温検知手段により検知される温度が高いほど前記変速機の変速比を小さい側に設定する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両の制御装置において、
前記変速比調整手段は、前記機関出力増大手段によって前記要求駆動力を得ることが可能な最も小さい変速比に前記変速機の変速比を設定する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、
前記機関出力増大手段による前記機関の出力トルクの増大によっても前記要求駆動力が得られないと判断されるときには、前記変速比調整手段による変速比の調整を禁止して前記自動変速比変更手段により前記変速機の変速比を変更する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、
前記変速機内の発熱量を推定する変速機内発熱量推定手段を更に備え、
前記変速機内発熱量推定手段により変速機内の発熱量が所定量以上であると推定されるときには、前記変速比調整手段による変速比の調整を禁止する
ことを特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−275626(P2009−275626A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128479(P2008−128479)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】