説明

車両制御装置及び車両制御システム

【課題】運転者への煩わしさを低減し、適切な制御を行える車両制御装置及び車両制御システムを提供する。
【解決手段】 車両制御装置2は、複数の車線の停止線の位置情報を取得するインフラ情報受信部21、取得した複数の停止線の位置情報に基づいて自車両Mから停止線までの残距離の最大値と最小値との差分を算出する演算部29、最大値と最小値との差分を閾値と比較して一時停止の介入制御可否を判定する判定部30、介入制御の場合に停止目標位置を設定する停止目標位置設定部31を備える。停止目標位置設定部31は、停止目標位置を、残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置及び車両制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両制御装置として、例えば特開2008−262481号公報に記載されるように、一時停止位置の情報を含む車外情報を無線で取得し、その車外情報に基づいて停止位置を特定して車両の一時停止の制御を行うものが知られている。この装置によれば、車載カメラで停止線を鮮明に撮影できない場合でも、確実に停止線を特定してその位置で車両を停車させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した装置は以下のような道路を走行する車両には対応し難い問題点がある。すなわち、車両の進行方向に複数の車線を有し車線毎に停止線の位置が異なる道路において、車両が自由に車線を変更することがあるので、停止目標位置としての停止線位置を確定し難い。このため、停止目標位置が実際の停止位置よりも手前にあるとみなした場合には、注意喚起が早だしされ、運転者に煩わしさを与える。一方、実際の停止位置よりも奥にあるとみなした場合には、注意喚起が遅れて実施されるため、運転者を混乱させる。その結果、停止制御のタイミングのズレが運転者にとって不都合になってしまい、適切な制御を行えない。
【0005】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、運転者への煩わしさを低減し、適切な制御を行える車両制御装置及び車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両制御装置は、進行方向に複数の車線を有し停止線の位置が車線毎に異なる道路を走行する車両に対し、車両制御を行う制御手段と、複数の車線の停止線の位置情報を含む情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得した複数の車線の停止線の位置情報に基づいて、車線毎に停止線までの残距離と、これらの残距離の差分とを算出する算出手段と、を備え、制御手段は、算出手段により算出した残距離の差分に応じて車両制御の態様を変更することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、複数の車線の停止線の位置情報を利用し停止線までの残距離の差分を算出し、その差分に応じて車両制御の態様を変更するので、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、適切な制御を行うことができる。また、このようにすることにより煩わしさのない制御を行うことが可能となるので、運転者への煩わしさを低減することができる。
【0008】
本発明に係る車両制御装置において、制御手段は、算出手段により算出した残距離の差分が閾値よりも大きい場合に、介入制御を禁止することが好適である。このように、残距離の差分と閾値との比較結果に応じて介入制御の可否を適切に判定することにより、不要な介入制御を防止し、運転者への煩わしさを低減することができる。
【0009】
本発明に係る車両制御装置において、制御手段は、停止線までの残距離の最大値と最小値との差分が閾値よりも大きい場合に、介入制御を禁止することが好適である。このようにすれば、残距離の変動幅を考慮するので、より適切な制御を行うことが可能となる。
【0010】
本発明に係る車両制御装置において、制御手段は、算出手段により算出した残距離の差分が閾値よりも小さい場合に、介入制御の停止目標位置を設定することが好適である。このようにすれば、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、適切な制御を行うことができる。しかも、運転者への煩わしさを低減し、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0011】
本発明に係る車両制御装置において、制御手段は、停止目標位置を、停止線までの残距離のうち最小値に対応する停止線に設定することが好適である。このようにすれば、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、適切な制御を行うことができる。しかも、運転者への煩わしさを低減し、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
本発明に係る車両制御装置において、制御手段は、停止目標位置を、停止線までの残距離の加重平均値に設定することが好適である。このようにすれば、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、適切な制御を行うことができる。しかも、運転者への煩わしさを低減し、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
本発明に係る車両制御システムは、進行方向に複数の車線を有し停止線の位置が車線毎に異なる道路を走行する車両に対して、車両制御を行う車両制御システムであって、道路に設置される路側装置と、車両に設けられ、路側装置から取得した複数の車線の停止線の位置情報に基づいて停止線までの残距離の差分を算出し、算出した差分に応じて車両に対する停止介入を制御する車両制御装置と、を備え、車両制御装置は、算出した残距離の差分が閾値よりも大きい場合に、停止介入制御を禁止することを特徴とする。
【0014】
この発明に係る車両制御システムでは、複数の車線の停止線の位置情報を利用し停止線までの残距離の差分を算出し、算出した残距離の差分が閾値よりも大きい場合に、車両の停止介入制御を禁止する。従って、不要な停止介入制御を防止し、運転者への煩わしさを低減することができ、適切な制御を行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転者への煩わしさを低減し、適切な制御を行える車両制御装置及び車両制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車両制御システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図3】案内経路上の停止線を利用した場合の説明図である。
【図4】残距離のうち最小値の停止線を利用した場合の説明図である。
【図5】残距離の車線での加重平均値を利用した場合の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車両制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係る車両制御システムの概略構成図である。この車両制御システムは、例えば車両の一時停止の制御を行うシステムであり、道路側に設置されるインフラ装置(路側装置)1と、車両に搭載される車両制御装置2とを備えて構成されている。
【0019】
インフラ装置1は、例えば交差点の手前の所定位置に設置され、通信制御部10及びインフラ通信部11を有する。通信制御部10は、インフラ通信部11における送信及び受信の制御、通信データの記録などを行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。この通信制御部10は、通信エリア内を走行する車両に対しその車両の走行経路に応じたインフラ情報を提供する機能を有している。
【0020】
インフラ情報としては、道路の幅、道路の勾配情報、車線の数、交差点情報、交差点に存在する信号機の表示状態、道路規制情報などがあげられる。また、インフラ情報には、車両の進行方向に位置する一時停止線の位置情報も含まれている。車両の進行方向に複数の車線があって停止線の位置が車線毎に異なる場合、このインフラ情報には、車両が走行している車線の停止線の位置のみならず、進行方向の全車線の停止線の位置情報も含まれている。
【0021】
インフラ通信部11は、情報信号の送受信を行うものであり、アンテナ12で受信した信号を通信制御部10に入力し、通信制御部10から出力される信号を送信する。このインフラ通信部11及びアンテナ12は、車両が走行する道路の近傍、例えば道路の上方又は側方に設置され、走行する車両に対しスポット通信できるようになっている。インフラ通信部11及びアンテナ12として、好ましくは光ビーコンが用いられるが、光ビーコン以外のものを用いてもよい。
【0022】
車両制御装置2は、インフラ装置1との路車間通信によりインフラ情報を取得し、取得した情報に基づいて車両の一時停止の制御を行うものである。この車両制御装置2は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)20、インフラ情報受信部21、カメラ22、車速センサ23及びカーナビゲーション24を備える。
【0023】
車両制御ECU20は、車両全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。この車両制御ECU20は、受信したインフラ情報に基づいて、車両の運転者に対し注意喚起、警告、一時停止の介入制御などを適宜実行する。
【0024】
インフラ情報受信部21は、情報取得手段として機能するものである。このインフラ情報受信部21には、例えば光ビーコンアンテナといったインフラ情報受信アンテナ25が接続されている。インフラ情報受信部21は、インフラ情報受信アンテナ25を通じてインフラ装置1から近赤外線によってインフラ情報を受信し、受信したインフラ情報を車両制御ECU20に出力する。
【0025】
カメラ22は、車両の前方を撮像するものであり、単眼カメラ、ステレオカメラ、赤外線カメラ等が適用される。このカメラ22は、道路の標識、他車両、歩行者、路側物等の対象物を撮像し、撮像した画像のデータを車両制御ECU20に送信する。
【0026】
車速センサ23は、車両の車速を検出し、検出した車速を車速信号として車両制御ECU20に出力する機能を有している。この車速センサ23は、例えば車輪に取り付けられ、車輪の回転速度を計測することにより車速を検出するものである。
【0027】
カーナビゲーション24は、図示しない地図情報記憶部とGPS(GlobalPositioning System)などを利用した車両の位置を検出し、地図情報、車両位置情報及び目的地情報に基づいて、ディスプレイやスピーカを介して目的地までの走行案内を行うものである。
【0028】
また、車両制御ECU20には、ブレーキECU26、エンジンECU27及び操舵ECU28が接続されている。ブレーキECU26は、車両のブレーキ制御を行うものであり、一時停止を制御する場合に車両制御ECU20から制御信号を受けて車両の強制的な制動を実行する。
【0029】
エンジンECU27は、車両のエンジン制御を行うものであり、一時停止を制御する場合に車両制御ECU20から制御信号を受けて車両の強制的な走行駆動を実行する。操舵ECU28は、車両の操舵制御を行うものであり、一時停止の介入制御を行う場合に車両制御ECU20から制御信号を受けて車両の強制的な操舵動作を実行する。
【0030】
車両制御ECU20は、演算部29、介入制御判定部30及び停止目標位置設定部31を有する。演算部29は、インフラ情報受信部21を介し取得したインフラ情報を基づいて各演算を行う。例えば、進行方向に複数の車線があって停止線の位置が車線毎に異なる場合、演算部29は、受信した停止線の位置情報に基づいて車線毎に車両から停止線までの残距離を算出し、算出した残距離から最大値及び最小値を抽出して最大値と最小値との差分を求める。この演算部29は、算出した各データを介入制御判定部30に出力する。
【0031】
介入制御判定部30は、演算部29により算出した残距離の最大値と最小値との差分を事前に入力される閾値と比較し、その結果に基づいて一時停止の介入制御を行うかを判定するものである。残距離の最大値と最小値との差分が閾値よりも大きい場合には、介入制御判定部30は、一時停止の介入制御を行わない(すなわち禁止する)と判定する。一方、差分が閾値以下である場合には、介入制御判定部30は、一時停止の介入制御を行うと判定する。
【0032】
停止目標位置設定部31は、残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であると判定された場合に、一時停止の介入制御の停止目標位置を設定するものである。この停止目標位置設定部31は、例えば停止目標位置を、停止線までの残距離のうち最小値に対応する停止線、又は残距離の加重平均値に設定する。
【0033】
次に、車両制御装置2の動作について説明する。以下の説明においては、図3〜図5に示すように、自車両Mの進行方向に複数の車線があって且つ車線毎に停止線の位置が異なる場合を想定して説明する。具体的には、図3〜図5に示すように、自車両MがT字路の交差点Tに向けて走行しており、交差点Tの近傍であって自車両Mの正面には、信号機Sが設置されている。
【0034】
自車両Mの進行方向において、左折及び直進用車線L1、直進専用車線L2、右折専用車線L3が並列されている。自車両Mの前方には、車線L1に位置する停止線SL1、車線L2に位置する停止線SL2、及び車線L3に位置する停止線SL3がある。車線L1の停止線SL1位置と及び車線L2の停止線SL2の位置が一致しているが、車線L3の停止線SL3の位置は、停止線SL1及びSL2と異なり、停止線SL1及びSL2よりも自車両M寄り側になっている。
【0035】
図2は本発明の実施形態に係る車両制御装置の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両制御ECU20によって所定の周期で繰り返し実行され、車両が通過する交差点毎に車線毎の停止線位置を認識して行われる。
【0036】
初めに、S11の処理では、光ビーコン受信が行われる。このとき、インフラ情報受信部21は、インフラ情報受信アンテナ25を通じてインフラ装置1からインフラ情報を受信し、受信したインフラ情報を車両制御ECU20に出力する。なお、受信したインフラ情報には、自車両Mが走行する車線L1における停止位置のみならず、車線L2の停止線SL1及び車線L3に位置する停止線SL3の位置情報も含まれている。
【0037】
S11の処理に続くS12の処理では、停止線までの残距離の最大値と最小値との差が閾値以下であるか否かの判定が行われる。このとき、演算部29は、まず取得した各車線の停止線の位置情報に基づいて車線毎に自車両Mから停止線までの残距離を算出する。続いて、演算部29は、算出した残距離から最大値及び最小値を抽出し、両者の差分を算出し、その結果を介入制御判定部30に出力する。
【0038】
介入制御判定部30は、算出した残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であるか否かを判定する。残距離の最大値と最小値との差分が閾値より大きいと判定された場合、制御処理がS13に移行し、一時停止の介入制御の禁止が行われ、制御処理が終了する。
【0039】
一方、残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であると判定された場合、制御処理がS14に進み、経路案内が設定されているか否かの判定が行われる。経路案内が設定されていると判定された場合に、案内経路上の停止線を利用すると決定される(S15)。
【0040】
図3は案内経路上の停止線を利用した場合の説明図である。図3に示すように、カーナビゲーション24で経路案内が設定されている場合(矢印F参照)には、車両制御ECU20は、自車両Mがその経路に沿って交差点を通過する可能性が高いと判断する。そして、停止目標位置設定部31は、介入制御の停止目標位置Bを案内経路上の停止線SL1に設定する。S15の処理に続くS17の処理では、車両制御ECU20は、設定された停止目標位置Bを利用して一時停止の制御を実行する。
【0041】
S14で経路案内が設定されていないと判定された場合、制御処理がS16に進み、停止線までの残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値を利用することが決定される。図4は残距離のうち最小値の停止線を利用した場合の説明図である。図4に示すように、自車両Mが位置する水平ラインAから停止線SL1、SL2、SL3までの残距離のうち、停止線SL3までの残距離が最も小さい。従って、停止目標位置設定部31は、停止目標位置Bを停止線SL3の位置に設定する。
【0042】
図5は残距離の車線での加重平均値を利用した場合の説明図である。この場合には、演算部29は、自車両Mが位置する水平ラインAから停止線SL1、SL2、SL3までの残距離を車線数にて加重平均を算出する。停止目標位置設定部31は、停止線目標位置を算出した加重平均値に対応する位置に設定する。
【0043】
S16の処理に続くS17の処理では、車両制御ECU20は、停止線までの残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値を利用して一時停止の制御を実行する。そして、S17の処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0044】
図6は本発明の実施形態に係る車両制御装置の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両制御ECU20によって所定の周期で繰り返し実行され、車両が通過する交差点毎に車線毎の停止線位置を認識して行われる。
【0045】
初めに、S21の処理では、光ビーコン受信が行われる。このとき、インフラ情報受信部21は、インフラ情報受信アンテナ25を通じてインフラ装置1からインフラ情報を受信し、受信したインフラ情報を車両制御ECU20に出力する。なお、受信したインフラ情報には、自車両Mが走行する車線L1における停止位置のみならず、車線L2の停止線SL1及び車線L3に位置する停止線SL3の位置情報も含まれている。
【0046】
S21の処理に続くS22の処理では、経路案内が設定されているか否かの判定が行われる。経路案内が設定されていると判定された場合、案内経路上の停止線を利用すると決定される(S23)。このとき、停止目標位置設定部31は、図3に示すように介入制御の停止目標位置Bを案内経路上の停止線SL1に設定する。S23の処理に続くS24の処理では、車両制御ECU20は、設定された停止目標位置Bを利用して一時停止の制御を実行する。
【0047】
一方、経路案内が設定されていないと判定された場合、制御処理がS25に進み、停止線までの残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であるか否かの判定が行われる。このとき、演算部29は、まず取得した車線L1,L2,L3の停止線SL1,SL2,SL3の位置情報に基づいて車線毎に自車両Mから停止線までの残距離を算出する。続いて、演算部29は、算出した残距離から最大値及び最小値を抽出し、両者の差分を算出し、その結果を介入制御判定部30に出力する。
【0048】
介入制御判定部30は、算出した残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であるか否かを判定する。残距離の最大値と最小値との差分が閾値より大きいと判定された場合、制御処理がS26に移行し、一時停止の介入制御の禁止が行われ、制御処理が終了する。
【0049】
一方、残距離の最大値と最小値との差分が閾値以下であると判定された場合、制御処理がS27に進み、停止線までの残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値を利用することが決定される。このとき、停止目標位置設定部31は、停止目標位置Bを停止線SL3の位置または算出した加重平均値に対応する位置に設定する。
【0050】
S24を終了すると処理がS24に移行し、停止線までの残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値を利用した一時停止の制御が実行される。そして、S17の処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0051】
上記のように構成された車両制御装置2によれば、複数の車線の停止線の位置情報を利用し停止線までの残距離の最大値と最小値との差分を算出し、算出した差分と閾値とを比較しその結果に応じて一時停止の制御を行うので、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、一時停止を適切に制御することが可能となる。最大値と最小値との差分が閾値よりも大きい場合、介入制御を禁止するので、不要な介入制御を防止し、運転者への煩わしさを低減することができる。
【0052】
一方、最大値と最小値との差分が閾値以下である場合、介入制御の停止目標位置を、残距離のうち最小値の停止線または残距離の車線での加重平均値に設定することにより、車線毎に停止線位置の違いによる制御への影響を抑制し、一時停止を適切に制御することができる。しかも、これによって運転者への煩わしさを低減し、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0053】
上述した実施形態は本発明に係る車両制御装置及び車両制御システムの一例を説明したものであり、本発明に係る車両制御装置及び車両制御システムは実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に車両制御装置及び車両制御システムは、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る車両制御装置及び車両制御システムを変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0054】
例えば、上記の実施形態において、介入制御として一時停止の介入制御の例を挙げて説明したが、介入制御はこれに限らず、一時停止するようドライバに対して報知する制御、信号が赤になる場合に停止させる制御、あるいは停止を促す制御を行うことも可能である。つまり、介入制御は車両を停止させる方向へ導くための制御であればこれに含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…インフラ装置(路側装置)、2…車両制御装置、20…車両制御ECU(制御手段)、21…インフラ情報受信部(情報取得手段)、29…演算部(算出手段)。SL1,SL2,SL3…停止線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に複数の車線を有し停止線の位置が車線毎に異なる道路を走行する車両に対して、車両制御を行う制御手段と、
前記複数の車線の停止線の位置情報を含む情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した前記複数の車線の停止線の位置情報に基づいて、車線毎に停止線までの残距離と、これらの残距離の差分とを算出する算出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記算出手段により算出した残距離の差分に応じて車両制御の態様を変更することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記算出手段により算出した残距離の差分が閾値よりも大きい場合に、介入制御を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、停止線までの残距離の最大値と最小値との差分が閾値よりも大きい場合に、介入制御を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記算出手段により算出した残距離の差分が閾値よりも小さい場合に、介入制御の停止目標位置を設定することを請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記停止目標位置を、停止線までの残距離のうち最小値に対応する停止線に設定することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記停止目標位置を、停止線までの残距離の加重平均値に設定することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項7】
進行方向に複数の車線を有し停止線の位置が車線毎に異なる道路を走行する車両に対して、車両制御を行う車両制御システムであって、
前記道路に設置される路側装置と、
車両に設けられ、前記路側装置から取得した前記複数の車線の停止線の位置情報に基づいて停止線までの残距離の差分を算出し、算出した差分に応じて車両に対する停止介入を制御する車両制御装置と、
を備え、
前記車両制御装置は、算出した残距離の差分が閾値よりも大きい場合に、停止介入制御を禁止することを特徴とする車両制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−211712(P2010−211712A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59581(P2009−59581)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】