車両用内装部品及びその製造方法
【課題】容易に製造できるとともに、端部の端末精度を向上させつつ、外観の形状や見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本車両用内装部品(ドアトリム1)は、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、その端部には、基材を第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成され、この舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする。また、第1スキン層側の面であって、折り曲げられた舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部4が設けられていることができる。
【解決手段】本車両用内装部品(ドアトリム1)は、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、その端部には、基材を第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成され、この舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする。また、第1スキン層側の面であって、折り曲げられた舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部4が設けられていることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、容易に製造できるとともに、端部の端末精度を向上させつつ、外観の形状や見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアトリム等の車両用内装部品として、金型間に形成した空間内に溶融樹脂を射出、充填する射出成形法により成形される射出成形品が広く利用されている。この射出成形法によると、複雑な形状の成形品を大量に生産することができるとともに、その製品外観も優れたものである。
【0003】
一方、車両の燃費向上のための部品の軽量化が進められており、車両用内装部品に対しての軽量化の要求も高まっている。しかしながら、上述の射出成形品では、所定肉厚以下の成形品の製造が困難であるため、軽量化にも限界があった。このため、車両用内装品の新たな成形品として、樹脂発泡層を備えるシート状基材をプレス成形するプレス成形品が採用されるようになっている。
【0004】
上述のプレス成形品からなる車両用内装部品の製造方法では、加熱軟化処理されたシート状基材の外周縁を固定しておき、成形用金型によりプレス成形し、端部の不要部分をトリミングするようにしている。また、このプレス成形による製造方法において、外周縁等の端部の外観を向上させるために、その端部を偏平状に押しつぶして巻き込みシロを形成し、この巻き込みシロをシート状基材の裏面側に巻き込むようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−346945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17に示すように、従来の内装部品101の端末では、巻き込みシロのシート状基材がある程度の剛性を有するため、巻き込みシロ103が浮いてしまう、具体的には、端末で浮きが発生してしまうことによって距離Lのふくらみが生じ、端末の外観(端末精度)がよくない、といった問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容易に製造できるとともに、端部の端末精度を向上させつつ、外観の形状や見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端には、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記舌片部の先端は、断面段状の段状部分とされており、前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項において、前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢されることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えることを要旨とする。
【0015】
尚、請求項1乃至6のいずれか一項において、前記舌片部は、前記第1スキン層側の面で、前記第1スキン層と熱溶着されていることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用内装部品によると、その端部には、意匠面となる第2スキン層側から第1スキン層側へ基材を押しつぶした偏平状の舌片部が形成される。そして、この舌片部は第1スキン層側に折り曲げられている。即ち、第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶされた舌片部は、従来のように端末を巻き込むことなく、そのまま第1スキン層側へ折り曲げられている。これにより、本車両用内装部品の端末には、巻き込みの際の浮きが生じることがないので、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0017】
また、前記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられている場合は、第1スキン層側の面を他部材への取り付け面とする際に、他部材に対して、予め所定寸法で突出するように形成されている突出部を当接させることができるため、他部品に対する取り付け精度が向上する。
【0018】
更に、前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端に、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されている場合は、容易に折り曲げ可能な起点部を設けたことにより、この起点部を折り曲げ起点とした所望の折り曲げがなされる。これにより、舌片部を折り曲げる際の折り曲げ起点のばらつき等の生じていない良好な外観の車両用内装部品を実現できる。
【0019】
また、前記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されている場合は、トリミング等された舌片部の先端にバリが生じている場合でも、このバリを収容部に収めることができる。これにより、バリが生じている場合であっても、舌片部を第1スキン層側の面に密着させることができ、端末の外観が良好な車両用内装部品を実現できる。
【0020】
更に、前記舌片部の先端が、断面段状の段状部分とされており、前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられている場合は、段状部分により舌片部の剛性を高めることができ、良好に折り曲げることができる。また、舌片部の段状部分と第1スキン層側の面に形成された段状部とが係合することにより、車両用内装部品の端末の剛性を高めることができる。これにより、端末の波打ち等の不具合の発生を防止することができ、良好な外観の車両用内装部品を実現できる。
【0021】
また、前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢される場合は、折曲部により本車両用内装部品と他部材との間がシールされる。これにより、本車両用内装部品と他部品との間のシール性が向上する。また、接着や溶着等の手段を用いることなく、折曲部の弾性を利用して、舌片部を第1スキン層側の面に密着させることができる。
更に、前記舌片部が、前記第1スキン層側の面で、前記第1スキン層と熱溶着されている場合は、舌片部を第1スキン層側の面に確実に固定することができ、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0022】
本発明の車両用内装部品の製造方法によると、基材を、意匠面となる第2スキン層側から第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、プレス成形時に車両用内装部品の端末の形状を成形することができるので、巻き込みにより端末を形成する場合と比較して、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る車両用内装部品の概略を示す図である。
【図2】図1のI−I部分断面図であって、実施例1に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図3】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図4】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図6】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図7】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図8】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】車両用内装部品の他部材への取り付けの例を説明するための説明図である。
【図10】図1のI−I部分断面図であって、実施例2に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図11】実施例2に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図12】実施例2に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】図1のI−I部分断面図であって、実施例3に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図14】実施例3に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図15】図1のI−I部分断面図であって、実施例4に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図16】実施例4に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図17】従来の車両用内装部品の例を示す図であって、端末の浮き状態を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0025】
1.車両用内装部品
本実施形態1.に係る車両用内装部品は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、本車両用内装部品の端部には、基材を第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、この舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする(例えば、図2,8等参照)。
尚、上記車両用内装部品としては、例えば、ドアトリム(例えば、図1等参照)、インストルメントパネル、ルーフトリム、デッキボード、パッケージトレイ等の車両用内装部品を挙げることができる。
【0026】
上記「基材」の構造、大きさ、形状、材質等は特に限定されない。この基材としては、例えば、上記各層を積層して形成されるシート状であることができる。また、この基材は、第1スキン層と樹脂発泡層との間及び樹脂発泡層と第2スキン層との間、の一方又は両方に、他の層が介在していてもよい。
【0027】
上記第1スキン層及び第2スキン層の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性の合成樹脂を挙げることができる。また、第1スキン層及び第2スキン層は、通常、これら熱可塑性樹脂からなるシート状である。
上記樹脂発泡層の材質としては、例えば、上記第1スキン層及び第2スキン層と同様の熱可塑性樹脂を採用することができる。この樹脂発泡層は、通常、それら熱可塑性樹脂に発泡剤を添加して発泡させたシート状である。
【0028】
上記「舌片部」の大きさ、個数等は特に限定されない。この舌片部は、例えば、その先端が断面段状の段状部分とされていることができる(例えば、図13,14等参照)。この段状部分の大きさ、段の方向、段数等は特に限定されない。また、この舌片部は、その先端に弾性を有する折曲部が設けられていることができる(例えば、図15,16等参照)。この折曲部の大きさ、形状等は特に限定されない。
【0029】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面には、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられていることができる(例えば、図2等参照)。この突出部の大きさ、形状、個数等は特に限定されない。この突出部は、例えば、本車両用内装部品をドアパネル等の他部材に取り付けられる際に、他部材に当接させる部位とすることができる。
【0030】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面の上記舌片部の基端には、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されていることができる(例えば、図2,8等参照)。この起点部の大きさ、個数等は特に限定されない。
【0031】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置に、舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されていることができる(例えば、図10,11等参照)。この収容部の大きさ、個数等は特に限定されない。
【0032】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部の先端が断面段状の上記段状部分とされており、第1スキン層側の面には、段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられていることができる。(例えば、図13,14等参照)。
【0033】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部の先端には、弾性を有する上記折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、上記折曲部はその弾性により他部品に付勢されることができる(例えば、図15,16等参照)。
【0034】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部は、第1スキン層側の面で、第1スキン層と接合されていることができる。接合方法としては、例えば、熱溶着、接着剤による接着等を挙げることができる。
【0035】
2.車両用内装部品の製造方法
本実施形態2.にかかる車両用内装部品の製造方法は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされた上記実施形態1.の車両用内装部品の製造方法であって、
基材を第2スキン層側から第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程(例えば、図3,4等参照)と、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程(例えば、図2,8等参照)と、を備えることを特徴とする。
【0036】
上記プレス成形工程では、例えば、上記舌片部の先端に、断面段状の段状部分を形成することができる(例えば、図14等参照)。
また、上記プレス成形工程では、例えば、上記舌片部の先端に、折曲部を形成することができる(例えば、図16等参照)。この折曲部は、弾性を有しており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、その弾性により他部品に付勢される。
【0037】
ここで、本実施形態2.における車両用内装部品の製造方法は、例えば、上記プレス成形工程の後に、真空成形工程を備えることができる(例えば、図4,5等参照)。この真空成形工程は、基材をプレスした状態の成形用金型の間の空間を真空引きすることにより、樹脂発泡層を拡厚させて所要形状に成形する工程である。
【0038】
ここで、本実施形態2.における車両用内装部品の製造方法は、例えば、(1)上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で第1スキン層側の面から突出する突出部、(2)上記第1スキン層側の面の上記舌片部の基端に、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部、(3)上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置に、舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部、(4)上記第1スキン層側の面に、上記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部、のうちの1種又は2種以上を形成する工程を更に備えることができる。これら(1)〜(4)の工程は、例えば、上記プレス成形工程に含まれていてもよいし、上記真空成形工程に含まれていてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、図面を用いて、実施例1〜4により本発明を更に具体的に説明する。尚、本実施例1〜4では、本発明に係る車両用内装部品として、図1に示すように、ドアの車室内側の面に取り付けられるドアトリム1を例示する。
【0040】
<実施例1>
(1)車両用内装部品の構成
本実施例1に係る車両用内装部品であるドアトリム1は、図2に示すように、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなる。このドアトリム1は、第2スキン層2C側の面が意匠面とされている。即ち、ドアトリム1の第2スキン層2C側の面は車両の室内側の面であり、第1スキン層2A側の面は車両のドアパネル側の面である。
ドアトリム1の端部には、基材2を第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成されている。舌片部3は、基材2の本体部2’から突出した形状をなしている。この舌片部3は、本体部2’の第1スキン層2A側に折り曲げられている。
【0041】
また、図2に示すように、本体部2’の第1スキン層2A側の面には、折り曲げられた舌片部3の先端が到達している位置よりも端部から離れた位置に、突出部4が設けられている。この突出部4は、舌片部3の厚さ寸法t(例えば、0.5mm)よりも大きい寸法T(例えば、0.75mm)で、第1スキン層2A側の面から突出するように形成されている。これにより、突出部4はドアトリム1がドアパネル10に取り付けられる際に、ドアパネル10に当接するようになっている。
更に、本体部2’の第1スキン層2A側の面において、舌片部3の基端の位置には、樹脂発泡層2B側に凹んだ断面凹状の起点部5が形成されている。この起点部5は、舌片部3を本体部2’の第1スキン層2A側に折り曲げた際の折り曲げ起点とされている。
【0042】
(2)車両用内装部品の製造方法
次に、上記構成の車両用内装部品であるドアトリム1の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、加熱軟化処理したシート状の基材2を、真空成形及びプレス成形する成形用金型20,30の間に配置する。このとき、基材2の成形用金型20,30からはみ出した外周縁の部分は図示しない固定手段により固定されている。また、成形用金型30には、図3に示すように、突出部4を形成するための凹状部30Aと、起点部5を形成するための凸状部30Bが設けられている。
次いで、図4に示すように、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形する(プレス成形工程)。これにより、舌片部3に相当する部分が形成される。このとき、基材2は、未だドアトリム1の形状に相当する所要形状をなしておらず、成形用金型20,30の間には空間S1,S2,S3が生じている。
【0043】
そして、図5に示すように、成形用金型20,30の間の各空間S1,S2,S3を真空引きすることにより樹脂発泡層2Bを拡厚させる(真空成形工程)。具体的には、基材2を成形用金型20の型面に沿うように真空引きをして、ドアトリムの意匠面を成形する。そして、この成形用金型20側の面を真空引きした状態で、成形用金型30側からも真空引きをして、樹脂発泡層2Bを拡厚するとともに、基材2に突出部4、起点部5を形成する。これにより、基材2の板厚が成形前よりも厚くなり、突出部4及び起点部5に相当する部分の形状を含む所要形状に成形される。
その後、図6に示すように、成形用金型20,30から成形された基材2を脱型し、図7に示すように、不要部分をトリミング刃40によりトリミングする。これにより、図8に示すような舌片部3が折り曲げられる前の状態となる。更に、舌片部3を本体部2’の第1スキン層側に折り曲げる折曲工程を経て、図2に示すドアトリム1となる。尚、本実施例におけるドアトリム1では、舌片部3の第1スキン層2A側の面は、本体部2’の第1スキン層2Aと熱溶着されている。
【0044】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用内装部品であるドアトリム1では、その端部に、意匠面となる第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ基材2を押しつぶした偏平状の舌片部3が形成される。そして、この舌片部3は第1スキン層2A側に折り曲げられている。即ち、第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ押しつぶされた舌片部3は、従来のように端末を巻き込むことなく、そのまま第1スキン層2A側へ折り曲げられている。これにより、ドアトリム1の端末には、巻き込みの際の浮きが生じることがないので、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0045】
また、第1スキン層2A側の面には、折り曲げられた舌片部3の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部3の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層2A側の面から突出するように形成された突出部4が設けられている。これにより、第1スキン層2A側の面を他部材であるドアパネル10への取り付け面とする際に、ドアパネル10に対して、予め所定寸法で突出するように形成されている突出部4を当接させることができる。その結果、ドアパネル10に対する取り付け精度が向上する。
【0046】
更に、第1スキン層2A側の面の舌片部3の基端には、舌片部3を第1スキン層2A側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部5が形成されている。このように、容易に折り曲げ可能な起点部5を設けたことにより、この起点部5を折り曲げ起点とした所望の折り曲げがなされる。この結果、舌片部3を折り曲げた際の折り曲げ起点のばらつき等が生じていない良好な外観のドアトリム1を実現できる。
【0047】
また、舌片部3が、第1スキン層2A側の面で、第1スキン層2Aと熱溶着されているので、舌片部3を第1スキン層2A側の面に確実に固定することができ、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0048】
更に、本実施例の車両用内装部品であるドアトリム1では、プレス成形時に端末形状が形成され、巻き込みの際の浮きが生じることがない。このため、例えば、図9に示すように、ドアトリム1の端末をドアパネル10等の他部材に当接させる場合であっても、端末形状に製品毎のばらつきが生じることがなく、略均一の取り付け寸法で取り付けることができる。
【0049】
また、本実施例の車両用内装部品の製造方法では、基材2を、意匠面となる第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品であるドアトリム1の端部に、基材2が第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へ押しつぶされた偏平状の舌片部3を形成するプレス成形工程と、舌片部3を第1スキン層2A側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、プレス成形時にドアトリム1の端末の形状を成形することができるので、巻き込みにより端末を形成する場合と比較して、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0050】
更に、プレス成形工程の後に、基材2の端末をプレスした状態の成形用金型20,30の間の空間S1〜S3を真空引きすることにより、樹脂発泡層2Bを拡厚させて所要形状に成形する真空成形工程を備えるので、突出部4及び起点部5に相当する部分の形状を含む所要形状に基材2を効率よく成形することができる。
【0051】
<実施例2>
次に、実施例2に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例2において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0052】
本実施例2に係る車両用内装部品であるドアトリム51は、図10及び11に示すように、上記実施例1の構成に加えて、本体部2’の第1スキン層2A側の面であって、折り曲げられた舌片部3の先端が到達する位置に、樹脂発泡層2B側に凹んだ断面凹状の収容部6が形成されている。本実施例2では、この収容部6は、上記突出部4や起点部5と同様に、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形した後に真空成形される。
図12に示すように、不要部分をトリミング刃40によりトリミングした際など、舌片部3の先端にバリ3Aが生じる場合がある。このようなバリ3Aが生じていると、折り曲げられた舌片部3を第1スキン層2Aに密着させることができない恐れがある。しかしながら、収容部6を設けることにより、舌片部3の先端にバリ3Aが生じた場合であっても、舌片部3を第1スキン層2A側の面に密着させることができ、端末の外観が良好なドアトリム1を実現できる。
【0053】
<実施例3>
次に、実施例3に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例3において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0054】
本実施例3に係る車両用内装部品であるドアトリム61は、図13及び14に示すように、上記実施例1の構成に加えて、舌片部3の先端が断面段状の段状部分3Bとされている。本実施例3では、この段状部分3Bは、プレス成形工程において形成される。また、本体部2’の第1スキン層2A側の面には、舌片部3の段状部分3Bと係合する断面段状の段状部7が設けられている。この段状部7は、上記突出部4や起点部5と同様に、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形した後の真空成形工程により形成される。
このように段状部分3Bを設けることにより、舌片部3の剛性を高めることができ、良好に折り曲げることができる。また、舌片部3の段状部分3Bと、第1スキン層2A側の面に形成された段状部7と、が係合することにより、ドアトリム61の端末の剛性を高めることができる。これにより、端末の波打ち等の不具合の発生を防止することができ、良好な外観のドアトリム61を実現できる。
【0055】
<実施例4>
次に、実施例4に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例4において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0056】
本実施例4に係る車両用内装部品であるドアトリム71は、上記実施例1の構成に加えて、図15及び16に示すように、舌片部3の先端に、弾性を有する折曲部3Cが設けられている。本実施例4では、この折曲部3Cは、プレス成形工程において形成される。この折曲部3Cは、ドアトリム71が、他部品であるドアパネル10と第1スキン層2A側の面で接するようにして取り付けられる際に、その弾性によりドアパネル10に付勢される。
このように折曲部3Cを設けることにより、本ドアトリム71とドアパネル10との間がシールされ、本ドアトリム71とドアパネルとの間のシール性を高めることができる。また、接着や溶着等の手段を用いることなく、折曲部3Cの弾性を利用して、舌片部3を第1スキン層2A側の面に密着させることができる。
【0057】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1〜4では、第1スキン層2A側の面に、突出部4と起点部5を設ける例を示したが、これに限定されず、例えば、これら突出部4と起点部5を設けない形態としてもよい。
【0058】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0059】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1,51,61,71;車両用内装部品(ドアトリム)、2;基材、2A;第1スキン層、2B;樹脂発泡層、2C;第2スキン層、3;舌片部、3A;バリ、3B;段状部分、3C;折曲部、4;突出部、5;起点部、6;収容部、7;段状部、10;ドアパネル、20,30;成形用金型、30A;凹状部、30B;凸状部、40;トリミング刃、L;距離、S1,S2,S3;空間、T;突出部の突出寸法、t;舌片部の厚さ寸法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、容易に製造できるとともに、端部の端末精度を向上させつつ、外観の形状や見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアトリム等の車両用内装部品として、金型間に形成した空間内に溶融樹脂を射出、充填する射出成形法により成形される射出成形品が広く利用されている。この射出成形法によると、複雑な形状の成形品を大量に生産することができるとともに、その製品外観も優れたものである。
【0003】
一方、車両の燃費向上のための部品の軽量化が進められており、車両用内装部品に対しての軽量化の要求も高まっている。しかしながら、上述の射出成形品では、所定肉厚以下の成形品の製造が困難であるため、軽量化にも限界があった。このため、車両用内装品の新たな成形品として、樹脂発泡層を備えるシート状基材をプレス成形するプレス成形品が採用されるようになっている。
【0004】
上述のプレス成形品からなる車両用内装部品の製造方法では、加熱軟化処理されたシート状基材の外周縁を固定しておき、成形用金型によりプレス成形し、端部の不要部分をトリミングするようにしている。また、このプレス成形による製造方法において、外周縁等の端部の外観を向上させるために、その端部を偏平状に押しつぶして巻き込みシロを形成し、この巻き込みシロをシート状基材の裏面側に巻き込むようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−346945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17に示すように、従来の内装部品101の端末では、巻き込みシロのシート状基材がある程度の剛性を有するため、巻き込みシロ103が浮いてしまう、具体的には、端末で浮きが発生してしまうことによって距離Lのふくらみが生じ、端末の外観(端末精度)がよくない、といった問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容易に製造できるとともに、端部の端末精度を向上させつつ、外観の形状や見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端には、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記舌片部の先端は、断面段状の段状部分とされており、前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項において、前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢されることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えることを要旨とする。
【0015】
尚、請求項1乃至6のいずれか一項において、前記舌片部は、前記第1スキン層側の面で、前記第1スキン層と熱溶着されていることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用内装部品によると、その端部には、意匠面となる第2スキン層側から第1スキン層側へ基材を押しつぶした偏平状の舌片部が形成される。そして、この舌片部は第1スキン層側に折り曲げられている。即ち、第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶされた舌片部は、従来のように端末を巻き込むことなく、そのまま第1スキン層側へ折り曲げられている。これにより、本車両用内装部品の端末には、巻き込みの際の浮きが生じることがないので、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0017】
また、前記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられている場合は、第1スキン層側の面を他部材への取り付け面とする際に、他部材に対して、予め所定寸法で突出するように形成されている突出部を当接させることができるため、他部品に対する取り付け精度が向上する。
【0018】
更に、前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端に、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されている場合は、容易に折り曲げ可能な起点部を設けたことにより、この起点部を折り曲げ起点とした所望の折り曲げがなされる。これにより、舌片部を折り曲げる際の折り曲げ起点のばらつき等の生じていない良好な外観の車両用内装部品を実現できる。
【0019】
また、前記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されている場合は、トリミング等された舌片部の先端にバリが生じている場合でも、このバリを収容部に収めることができる。これにより、バリが生じている場合であっても、舌片部を第1スキン層側の面に密着させることができ、端末の外観が良好な車両用内装部品を実現できる。
【0020】
更に、前記舌片部の先端が、断面段状の段状部分とされており、前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられている場合は、段状部分により舌片部の剛性を高めることができ、良好に折り曲げることができる。また、舌片部の段状部分と第1スキン層側の面に形成された段状部とが係合することにより、車両用内装部品の端末の剛性を高めることができる。これにより、端末の波打ち等の不具合の発生を防止することができ、良好な外観の車両用内装部品を実現できる。
【0021】
また、前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢される場合は、折曲部により本車両用内装部品と他部材との間がシールされる。これにより、本車両用内装部品と他部品との間のシール性が向上する。また、接着や溶着等の手段を用いることなく、折曲部の弾性を利用して、舌片部を第1スキン層側の面に密着させることができる。
更に、前記舌片部が、前記第1スキン層側の面で、前記第1スキン層と熱溶着されている場合は、舌片部を第1スキン層側の面に確実に固定することができ、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0022】
本発明の車両用内装部品の製造方法によると、基材を、意匠面となる第2スキン層側から第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、プレス成形時に車両用内装部品の端末の形状を成形することができるので、巻き込みにより端末を形成する場合と比較して、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る車両用内装部品の概略を示す図である。
【図2】図1のI−I部分断面図であって、実施例1に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図3】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図4】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図6】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図7】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図8】実施例1に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】車両用内装部品の他部材への取り付けの例を説明するための説明図である。
【図10】図1のI−I部分断面図であって、実施例2に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図11】実施例2に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図12】実施例2に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】図1のI−I部分断面図であって、実施例3に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図14】実施例3に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図15】図1のI−I部分断面図であって、実施例4に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図16】実施例4に係る車両用内装部品を説明するための説明図である。
【図17】従来の車両用内装部品の例を示す図であって、端末の浮き状態を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0025】
1.車両用内装部品
本実施形態1.に係る車両用内装部品は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、本車両用内装部品の端部には、基材を第2スキン層側から第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、この舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする(例えば、図2,8等参照)。
尚、上記車両用内装部品としては、例えば、ドアトリム(例えば、図1等参照)、インストルメントパネル、ルーフトリム、デッキボード、パッケージトレイ等の車両用内装部品を挙げることができる。
【0026】
上記「基材」の構造、大きさ、形状、材質等は特に限定されない。この基材としては、例えば、上記各層を積層して形成されるシート状であることができる。また、この基材は、第1スキン層と樹脂発泡層との間及び樹脂発泡層と第2スキン層との間、の一方又は両方に、他の層が介在していてもよい。
【0027】
上記第1スキン層及び第2スキン層の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性の合成樹脂を挙げることができる。また、第1スキン層及び第2スキン層は、通常、これら熱可塑性樹脂からなるシート状である。
上記樹脂発泡層の材質としては、例えば、上記第1スキン層及び第2スキン層と同様の熱可塑性樹脂を採用することができる。この樹脂発泡層は、通常、それら熱可塑性樹脂に発泡剤を添加して発泡させたシート状である。
【0028】
上記「舌片部」の大きさ、個数等は特に限定されない。この舌片部は、例えば、その先端が断面段状の段状部分とされていることができる(例えば、図13,14等参照)。この段状部分の大きさ、段の方向、段数等は特に限定されない。また、この舌片部は、その先端に弾性を有する折曲部が設けられていることができる(例えば、図15,16等参照)。この折曲部の大きさ、形状等は特に限定されない。
【0029】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面には、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられていることができる(例えば、図2等参照)。この突出部の大きさ、形状、個数等は特に限定されない。この突出部は、例えば、本車両用内装部品をドアパネル等の他部材に取り付けられる際に、他部材に当接させる部位とすることができる。
【0030】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面の上記舌片部の基端には、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されていることができる(例えば、図2,8等参照)。この起点部の大きさ、個数等は特に限定されない。
【0031】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置に、舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されていることができる(例えば、図10,11等参照)。この収容部の大きさ、個数等は特に限定されない。
【0032】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部の先端が断面段状の上記段状部分とされており、第1スキン層側の面には、段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられていることができる。(例えば、図13,14等参照)。
【0033】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部の先端には、弾性を有する上記折曲部が設けられており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、上記折曲部はその弾性により他部品に付勢されることができる(例えば、図15,16等参照)。
【0034】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品では、例えば、上記舌片部は、第1スキン層側の面で、第1スキン層と接合されていることができる。接合方法としては、例えば、熱溶着、接着剤による接着等を挙げることができる。
【0035】
2.車両用内装部品の製造方法
本実施形態2.にかかる車両用内装部品の製造方法は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされた上記実施形態1.の車両用内装部品の製造方法であって、
基材を第2スキン層側から第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程(例えば、図3,4等参照)と、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程(例えば、図2,8等参照)と、を備えることを特徴とする。
【0036】
上記プレス成形工程では、例えば、上記舌片部の先端に、断面段状の段状部分を形成することができる(例えば、図14等参照)。
また、上記プレス成形工程では、例えば、上記舌片部の先端に、折曲部を形成することができる(例えば、図16等参照)。この折曲部は、弾性を有しており、本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、その弾性により他部品に付勢される。
【0037】
ここで、本実施形態2.における車両用内装部品の製造方法は、例えば、上記プレス成形工程の後に、真空成形工程を備えることができる(例えば、図4,5等参照)。この真空成形工程は、基材をプレスした状態の成形用金型の間の空間を真空引きすることにより、樹脂発泡層を拡厚させて所要形状に成形する工程である。
【0038】
ここで、本実施形態2.における車両用内装部品の製造方法は、例えば、(1)上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で第1スキン層側の面から突出する突出部、(2)上記第1スキン層側の面の上記舌片部の基端に、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部、(3)上記第1スキン層側の面であって、折り曲げられた上記舌片部の先端が到達する位置に、舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部、(4)上記第1スキン層側の面に、上記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部、のうちの1種又は2種以上を形成する工程を更に備えることができる。これら(1)〜(4)の工程は、例えば、上記プレス成形工程に含まれていてもよいし、上記真空成形工程に含まれていてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、図面を用いて、実施例1〜4により本発明を更に具体的に説明する。尚、本実施例1〜4では、本発明に係る車両用内装部品として、図1に示すように、ドアの車室内側の面に取り付けられるドアトリム1を例示する。
【0040】
<実施例1>
(1)車両用内装部品の構成
本実施例1に係る車両用内装部品であるドアトリム1は、図2に示すように、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなる。このドアトリム1は、第2スキン層2C側の面が意匠面とされている。即ち、ドアトリム1の第2スキン層2C側の面は車両の室内側の面であり、第1スキン層2A側の面は車両のドアパネル側の面である。
ドアトリム1の端部には、基材2を第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成されている。舌片部3は、基材2の本体部2’から突出した形状をなしている。この舌片部3は、本体部2’の第1スキン層2A側に折り曲げられている。
【0041】
また、図2に示すように、本体部2’の第1スキン層2A側の面には、折り曲げられた舌片部3の先端が到達している位置よりも端部から離れた位置に、突出部4が設けられている。この突出部4は、舌片部3の厚さ寸法t(例えば、0.5mm)よりも大きい寸法T(例えば、0.75mm)で、第1スキン層2A側の面から突出するように形成されている。これにより、突出部4はドアトリム1がドアパネル10に取り付けられる際に、ドアパネル10に当接するようになっている。
更に、本体部2’の第1スキン層2A側の面において、舌片部3の基端の位置には、樹脂発泡層2B側に凹んだ断面凹状の起点部5が形成されている。この起点部5は、舌片部3を本体部2’の第1スキン層2A側に折り曲げた際の折り曲げ起点とされている。
【0042】
(2)車両用内装部品の製造方法
次に、上記構成の車両用内装部品であるドアトリム1の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、加熱軟化処理したシート状の基材2を、真空成形及びプレス成形する成形用金型20,30の間に配置する。このとき、基材2の成形用金型20,30からはみ出した外周縁の部分は図示しない固定手段により固定されている。また、成形用金型30には、図3に示すように、突出部4を形成するための凹状部30Aと、起点部5を形成するための凸状部30Bが設けられている。
次いで、図4に示すように、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形する(プレス成形工程)。これにより、舌片部3に相当する部分が形成される。このとき、基材2は、未だドアトリム1の形状に相当する所要形状をなしておらず、成形用金型20,30の間には空間S1,S2,S3が生じている。
【0043】
そして、図5に示すように、成形用金型20,30の間の各空間S1,S2,S3を真空引きすることにより樹脂発泡層2Bを拡厚させる(真空成形工程)。具体的には、基材2を成形用金型20の型面に沿うように真空引きをして、ドアトリムの意匠面を成形する。そして、この成形用金型20側の面を真空引きした状態で、成形用金型30側からも真空引きをして、樹脂発泡層2Bを拡厚するとともに、基材2に突出部4、起点部5を形成する。これにより、基材2の板厚が成形前よりも厚くなり、突出部4及び起点部5に相当する部分の形状を含む所要形状に成形される。
その後、図6に示すように、成形用金型20,30から成形された基材2を脱型し、図7に示すように、不要部分をトリミング刃40によりトリミングする。これにより、図8に示すような舌片部3が折り曲げられる前の状態となる。更に、舌片部3を本体部2’の第1スキン層側に折り曲げる折曲工程を経て、図2に示すドアトリム1となる。尚、本実施例におけるドアトリム1では、舌片部3の第1スキン層2A側の面は、本体部2’の第1スキン層2Aと熱溶着されている。
【0044】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用内装部品であるドアトリム1では、その端部に、意匠面となる第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ基材2を押しつぶした偏平状の舌片部3が形成される。そして、この舌片部3は第1スキン層2A側に折り曲げられている。即ち、第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へ押しつぶされた舌片部3は、従来のように端末を巻き込むことなく、そのまま第1スキン層2A側へ折り曲げられている。これにより、ドアトリム1の端末には、巻き込みの際の浮きが生じることがないので、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0045】
また、第1スキン層2A側の面には、折り曲げられた舌片部3の先端が到達する位置よりも端部から離れた位置に、舌片部3の厚さ寸法tよりも大きい寸法Tで第1スキン層2A側の面から突出するように形成された突出部4が設けられている。これにより、第1スキン層2A側の面を他部材であるドアパネル10への取り付け面とする際に、ドアパネル10に対して、予め所定寸法で突出するように形成されている突出部4を当接させることができる。その結果、ドアパネル10に対する取り付け精度が向上する。
【0046】
更に、第1スキン層2A側の面の舌片部3の基端には、舌片部3を第1スキン層2A側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部5が形成されている。このように、容易に折り曲げ可能な起点部5を設けたことにより、この起点部5を折り曲げ起点とした所望の折り曲げがなされる。この結果、舌片部3を折り曲げた際の折り曲げ起点のばらつき等が生じていない良好な外観のドアトリム1を実現できる。
【0047】
また、舌片部3が、第1スキン層2A側の面で、第1スキン層2Aと熱溶着されているので、舌片部3を第1スキン層2A側の面に確実に固定することができ、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0048】
更に、本実施例の車両用内装部品であるドアトリム1では、プレス成形時に端末形状が形成され、巻き込みの際の浮きが生じることがない。このため、例えば、図9に示すように、ドアトリム1の端末をドアパネル10等の他部材に当接させる場合であっても、端末形状に製品毎のばらつきが生じることがなく、略均一の取り付け寸法で取り付けることができる。
【0049】
また、本実施例の車両用内装部品の製造方法では、基材2を、意匠面となる第2スキン層2C側から第1スキン層2A側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品であるドアトリム1の端部に、基材2が第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へ押しつぶされた偏平状の舌片部3を形成するプレス成形工程と、舌片部3を第1スキン層2A側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、プレス成形時にドアトリム1の端末の形状を成形することができるので、巻き込みにより端末を形成する場合と比較して、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0050】
更に、プレス成形工程の後に、基材2の端末をプレスした状態の成形用金型20,30の間の空間S1〜S3を真空引きすることにより、樹脂発泡層2Bを拡厚させて所要形状に成形する真空成形工程を備えるので、突出部4及び起点部5に相当する部分の形状を含む所要形状に基材2を効率よく成形することができる。
【0051】
<実施例2>
次に、実施例2に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例2において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0052】
本実施例2に係る車両用内装部品であるドアトリム51は、図10及び11に示すように、上記実施例1の構成に加えて、本体部2’の第1スキン層2A側の面であって、折り曲げられた舌片部3の先端が到達する位置に、樹脂発泡層2B側に凹んだ断面凹状の収容部6が形成されている。本実施例2では、この収容部6は、上記突出部4や起点部5と同様に、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形した後に真空成形される。
図12に示すように、不要部分をトリミング刃40によりトリミングした際など、舌片部3の先端にバリ3Aが生じる場合がある。このようなバリ3Aが生じていると、折り曲げられた舌片部3を第1スキン層2Aに密着させることができない恐れがある。しかしながら、収容部6を設けることにより、舌片部3の先端にバリ3Aが生じた場合であっても、舌片部3を第1スキン層2A側の面に密着させることができ、端末の外観が良好なドアトリム1を実現できる。
【0053】
<実施例3>
次に、実施例3に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例3において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0054】
本実施例3に係る車両用内装部品であるドアトリム61は、図13及び14に示すように、上記実施例1の構成に加えて、舌片部3の先端が断面段状の段状部分3Bとされている。本実施例3では、この段状部分3Bは、プレス成形工程において形成される。また、本体部2’の第1スキン層2A側の面には、舌片部3の段状部分3Bと係合する断面段状の段状部7が設けられている。この段状部7は、上記突出部4や起点部5と同様に、基材2の端部を成形用金型20,30によりプレス成形した後の真空成形工程により形成される。
このように段状部分3Bを設けることにより、舌片部3の剛性を高めることができ、良好に折り曲げることができる。また、舌片部3の段状部分3Bと、第1スキン層2A側の面に形成された段状部7と、が係合することにより、ドアトリム61の端末の剛性を高めることができる。これにより、端末の波打ち等の不具合の発生を防止することができ、良好な外観のドアトリム61を実現できる。
【0055】
<実施例4>
次に、実施例4に係る車両用内装部品について説明する。尚、本実施例4において、上記実施例1の車両用内装部品であるドアトリム1と同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。
【0056】
本実施例4に係る車両用内装部品であるドアトリム71は、上記実施例1の構成に加えて、図15及び16に示すように、舌片部3の先端に、弾性を有する折曲部3Cが設けられている。本実施例4では、この折曲部3Cは、プレス成形工程において形成される。この折曲部3Cは、ドアトリム71が、他部品であるドアパネル10と第1スキン層2A側の面で接するようにして取り付けられる際に、その弾性によりドアパネル10に付勢される。
このように折曲部3Cを設けることにより、本ドアトリム71とドアパネル10との間がシールされ、本ドアトリム71とドアパネルとの間のシール性を高めることができる。また、接着や溶着等の手段を用いることなく、折曲部3Cの弾性を利用して、舌片部3を第1スキン層2A側の面に密着させることができる。
【0057】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1〜4では、第1スキン層2A側の面に、突出部4と起点部5を設ける例を示したが、これに限定されず、例えば、これら突出部4と起点部5を設けない形態としてもよい。
【0058】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0059】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1,51,61,71;車両用内装部品(ドアトリム)、2;基材、2A;第1スキン層、2B;樹脂発泡層、2C;第2スキン層、3;舌片部、3A;バリ、3B;段状部分、3C;折曲部、4;突出部、5;起点部、6;収容部、7;段状部、10;ドアパネル、20,30;成形用金型、30A;凹状部、30B;凸状部、40;トリミング刃、L;距離、S1,S2,S3;空間、T;突出部の突出寸法、t;舌片部の厚さ寸法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、
本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、
前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項2】
前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられている請求項1に記載の車両用内装部品。
【請求項3】
前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端には、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されている請求項1又は2に記載の車両用内装部品。
【請求項4】
前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項5】
前記舌片部の先端は、断面段状の段状部分とされており、
前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項6】
前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、
本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項7】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、
前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、
前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えることを特徴とする車両用内装部品の製造方法。
【請求項1】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされる車両用内装部品であって、
本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、
前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項2】
前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置よりも前記端部から離れた位置に、前記舌片部の厚さ寸法よりも大きい寸法で前記第1スキン層側の面から突出するように形成された突出部が設けられている請求項1に記載の車両用内装部品。
【請求項3】
前記第1スキン層側の面の前記舌片部の基端には、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる際の折り曲げ起点となる断面凹状の起点部が形成されている請求項1又は2に記載の車両用内装部品。
【請求項4】
前記第1スキン層側の面には、折り曲げられた前記舌片部の先端が到達する位置に、前記舌片部の先端のバリを収容可能な断面凹状の収容部が形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項5】
前記舌片部の先端は、断面段状の段状部分とされており、
前記第1スキン層側の面には、前記舌片部の段状部分と係合する断面段状の段状部が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項6】
前記舌片部の先端には、弾性を有する折曲部が設けられており、
本車両用内装部品が、本車両用内装部品以外の他部品と前記第1スキン層側の面で接するようにして取り付けられる際に、前記折曲部はその弾性により前記他部品に付勢される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用内装部品。
【請求項7】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、
前記基材を前記第2スキン層側から前記第1スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するプレス成形工程と、
前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えることを特徴とする車両用内装部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−16979(P2012−16979A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154338(P2010−154338)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]