説明

車両用障害物検出装置

【課題】交差路において歩行者などの障害物との衝突を有効に回避することが出来るように障害物を検出する車両用障害物検出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、交差路に設置された反射鏡に写る障害物の像を利用して障害物を検出する車両用障害物検出装置であって、交差路に設置される反射鏡を検出する反射鏡検出手段と、反射鏡に写る障害物の像を検出する障害物像検出手段と、検出された障害物の像からその障害物の反射鏡への接近度を算出する障害物接近度算出手段と、接近度に応じて警報システム及び/又は安全システムを制御するシステム制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用障害物検出装置に係り、特に、交差路に設置された反射鏡に写る障害物の像を利用して障害物を検出する車両用障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物の門の内側に歩行者が居る場合に、その建物に接近する車両に歩行者が居ること、及び、その歩行者に車両が接近していることを警報する歩行者飛び出し警報システムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−323666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路の交差路においては、車両、二輪車、歩行者などの障害物の飛び出しが非常に起こりやすい。特に、T字路などで側方の道路がブラインド(見えない)になっており、そのブラインドになっている道路から歩行者や車両などの障害物が道路を横断しようとする場合、こちらの道路の手前にいる車両は減速するのが好ましい。しかしながら、歩行者や車両などの障害物が直接見えないなどのときには、車両の運転手は減速しようとする意思が働かないのが普通である。
また、交差路にコーナミラー(反射鏡)がある場合であっても、そのコーナミラーに映る歩行者や車両が見えにくく、交差路から飛び出す可能性のある歩行者や車両などの障害物を見落とすことにより、それらの歩行者や車両との衝突を回避できない場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、交差路において歩行者などの障害物との衝突を有効に回避することが出来るように障害物を検出する車両用障害物検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、交差路に設置された反射鏡に写る障害物の像を利用して障害物を検出する車両用障害物検出装置であって、交差路に設置される反射鏡を検出する反射鏡検出手段と、反射鏡に写る障害物の像を検出する障害物像検出手段と、検出された障害物の像からその障害物の反射鏡への接近度を算出する障害物接近度算出手段と、接近度に応じて警報システム及び/又は安全システムを制御するシステム制御手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、交差路に設置される反射鏡に写る検出された障害物の像からその障害物の反射鏡への接近度を算出し、接近度に応じて警報システム及び/又は安全システムを制御するようになっているので、運転者によって視認性の悪い交差路において飛び出す危険がある障害物との衝突を避けることが出来る。
【0007】
また、本発明において、好ましくは、さらに、自車両の反射鏡までの接近度を算出する自車両接近度算出手段と、障害物接近度算出手段により算出された障害物の反射鏡への接近度と、自車両接近度算出手段により算出された自車両の反射鏡までの接近度とにより、自車両の障害物との衝突の危険度を算出する危険度算出手段を有し、システム制御手段は、この算出された危険度がしきい値を超えると警報システム及び/又は安全システムを制御する。
このように構成された本発明においては、自車両の反射鏡までの接近度と障害物の反射鏡までの接近度とにより、自車両の障害物との衝突の危険度を算出しているので、障害物との衝突の危険度を簡易に且つ精度良く算出することが出来る。また、システム制御手段は、この算出された危険度がしきい値を超えると警報システム及び/又は安全システムを制御するので、より確実に且つ精度良く、運転者によって視認性の悪い交差路において飛び出す危険がある障害物との衝突を避けることが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、自車両接近度算出手段は、自車両の反射鏡までの到達時間を算出し、障害物接近度算出手段は、障害物の反射鏡までの到達時間を算出し、危険度算出手段は、これらの自車両到達時間及び障害物到達時間により危険度を算出する。
このように構成された本発明においては、自車両の反射鏡までの到達時間と、障害物の反射鏡までの到達時間とにより危険度を算出しているので、障害物との衝突の危険度を簡易に且つ精度良く算出することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、接近度は、反射鏡の大きさと、その反射鏡に映る障害物の像の大きさとの比の変化により算出される。
このように構成された本発明においては、交差路へ接近する障害物の接近度合いを簡易に且つ精度良く算出することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、自車両と反射鏡との距離を検出する自車両距離検出手段を有し、この検出された距離が所定値以下のとき、障害物像検出手段による障害物像検出及び障害物接近度算出手段による障害物接近度検出を行うようになっている。
このように構成された本発明においては、自車両と反射鏡との距離が非常に大きいときなど、不要な警報や自動制御の作動を防止することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、反射鏡は円形のコーナミラーであり、さらに、自車両から見てコーナミラーの短径と長径との比からコーナミラーの傾斜角度を算出する反射鏡傾斜角度算出手段を有し、システム制御手段は、この算出された傾斜角度に応じて、危険度算出手段による危険度のしきい値を補正する。
このように構成された本発明においては、自車両から見てコーナミラーの短径と長径との比からコーナミラーの傾斜角度を算出し、システム制御手段は、この算出された傾斜角度に応じて、危険度算出手段による危険度のしきい値を補正するので、コーナミラーの傾斜角度による視認性の悪化を考慮した自動システムの作動を行わせることが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明による車両用障害物検出装置によれば、交差路において歩行者などの障害物との衝突を有効に回避することが出来るように障害物を検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置を適用した車両を示す図であり、図2は、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置を示すブロック図である。
先ず、図1及び図2に示すように、車両1は、車速センサ2及び障害物検出用カメラ(ステレオカメラ)4を有し、これらは、ECU6に接続されている。ECU6は、警報装置8、自動ブレーキ用アクチュエータ(油圧制御バルブ)10及び自動操舵用アクチュエータ(モータ)12に接続され、これらを制御するようになっている。
【0014】
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置の処理の概略を説明する。図3は、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置の処理の全体フローを示すフローチャートである。以降、Sは、各ステップを表す。
先ず、図3に示すように、ECU6では、S1において各種パラメータを初期値に戻すイニシャライズを行い、S2において、車速センサ2及び障害物検出用カメラ(ステレオカメラ)4からの信号の入力処理を行う。次に、図2及び図3に示すように、ECU6は、入力した障害物検出用カメラ4からの信号を基に、ミラー形状のマッチング用データ(図2の符号20)を利用してコーナミラーの検出処理を行う(図2の符号22、図3のS3)。
【0015】
次に、歩行者、車両、二輪車などの障害物形状のマッチングデータ(図2の符号24)を利用して、コーナミラー内の障害物の接近度の算出処理を行う(図2の符号26、図3のS4)。次に、この算出処理などで得られたデータを基にして、障害物及び自車両がどの程度の時間で交差路に到達するかの時間で表される障害物の危険度の算出処理を行う(図2の符号28、図3のS5)。
そして、算出された危険度の値に基づいて、警報装置8、自動ブレーキ用アクチュエータ(油圧制御バルブ)10及び自動操舵用アクチュエータ(モータ)12のいくつか或いは全部を作動させるか、安全な場合は作動させない(図2の符号30、図3のS6)。
【0016】
次に、図4及び図5により、図3のS3での処理であるコーナミラー検出処理を説明する。図4は、本発明の実施形態による車両用障害物検出装置のコーナミラー検出処理のフローを示すフローチャートであり、図5は、自車両、コーナミラー及び障害物の位置関係を示す概略図である。
先ず、S11において、障害物検出用カメラ4から、自車両の前方の画像を取得する。
次に、S12において、S11で検出した前方画像から、円形又は楕円形の物体を抽出する。このS12においては、図2に符号20で示すミラー形状のマッチング用データに、予め、複数の円形、楕円形の形状の画像を記憶しておき、それらの画像と、S11で検出した前方画像とのパターンマッチング度が所定値以上のものを、コーナミラーとして抽出する。なお、S11において、画像の探索範囲を地上から3〜5mに相当する範囲として円形又は楕円形の物体を抽出し、S12でマッチング処理を行っても良い。
【0017】
ここで、図2に符号20で示すミラー形状のマッチング用データには、コーナミラーや標識がそれぞれ持つ円形物の輝度や模様などのデータも記憶している。S13においては、S12で抽出した円形又は楕円形の中から円形物の輝度や模様などのデータを使用して、標識を除外する。
次に、S14において、S12及びS13の処理に基づき、自車両の前方にコーナミラーが存在するか否かを判定する。コーナミラーが存在しないときは、図3のS1の処理に戻る。
【0018】
S14においてコーナミラーが存在すると判定された場合にはS15に進み、ステレオカメラの視差角により、例えば図5に示すように自車両40からコーナミラー42までの距離LBを算出する。
次に、S16において、自車両からコーナミラーまでの距離LBが所定値L0未満であるときは、S17に進み、コーナミラーが存在するものとしてフラグMFLGを1とする。一方、自車両からコーナミラーまでの距離LBが所定値L0以上であるときは、コーナミラーが存在しないものとしてフラグMFLGを0とする。
【0019】
次に、図6乃至図8により、図3のS4での処理であるコーナミラー内障害物接近度算出処理を説明する。図6は、本発明の実施形態によるコーナミラー内障害物接近度算出処理のフローを示すフローチャートであり、図7は、コーナミラーの大きさとコーナミラーに写る障害物の像の大きさとの関係を示す概略図であり、図8は、接近度と障害物の移動速度との関係を示す線図である。
図6に示すように、先ず、S20において、図4のS17或いはS18で立てたフラグMFLGが1か否かを判定する。フラグMFLGが0の場合は、コーナミラーが存在しないとして、図3のS1の処理に戻る。MFLGが1の場合には、S21に進み、コーナミラー内の画像から障害物を検出する。
【0020】
次に、S22において、コーナミラー内に障害物の像が存在するか否かを判定する。このS22においては、図2に符号24で示す障害物形状マッチング用データに、予め、歩行者、車両、二輪車などの障害物の形状の画像を記憶しておき、それらの画像と、S21で検出した前方画像とのパターンマッチング度が所定値以上のものを、障害物として抽出する。障害物の像が抽出されない場合は、障害物が存在しないとして、図3のS1の処理に戻る。
【0021】
次に、S23において、図4のS13において識別されたコーナミラーの画像から、図7に示すようにコーナミラーの上下方向長さK1を算出すると共に、障害物の上下方向長さL1を算出する。
次に、S24において、S23で算出したコーナミラーの上下方向長さK1及び障害物の上下方向長さK1の比、R1=L1/K1を算出する。
【0022】
次に、S25において、図7に示すように、前回の単位時間ΔT秒前に識別されたコーナミラーの画像から算出したコーナミラーの上下方向長さK2及び障害物の上下方向長さL2をメモリ(図示せず)から読み出すと共に、コーナミラーの上下方向長さK2及び障害物の上下方向長さK2の比、R2=L2/K2を読み出す。
【0023】
次に、S26において、障害物の接近度S=R1−R2を算出する。図7に示すように、仮に歩行者が近づいているときには、コーナミラー42に映る歩行者44の画像は、コーナミラー42の大きさに対して、前回に比べてΔT秒後には大きくなる。従って、S>0のときには、障害物がコーナミラーの方向に接近している状態を表し、S=0のときには障害物が停止している状態であり、S<0のときには、障害物がコーナミラーから離れていく状態を表すことになる。
【0024】
次に、S27において、障害物接近度Sから、障害物移動速度VSPAを算出する。ここで、障害物接近度Sから障害物移動速度VSPAを算出するための図8に示すような換算テーブルが予めメモリ(図示せず)などに記憶されている。S27では、その図8に示すような換算テーブルと、S26で算出した障害物接近度Sとにより、障害物移動速度VSPAを算出する。障害物接近度Sは、単位時間ΔT秒あたりの障害物の像の大きさの変化を表すものであり、それにより、移動速度を求めて図8に示す線図として記憶されている。図8において、接近度がSのときは障害物の移動速度も0であり、接近度がプラスのときには障害物が接近しており、接近度がマイナスのときには障害物が離れていくことになる。
S28では、K1、L1、R1を、それぞれ、K2、L2、R2として保存する。これらは、次回のS25の処理で使用される。
【0025】
次に、図9により、図3のS5での処理である障害物危険度判定処理を説明する。図9は、本発明の実施形態による障害物危険度判定処理のフローを示すフローチャートである。
先ず、S30において、フラグMFLGが1、即ち、コーナミラーが存在するか否かを判定し、また、図6のS21、S22の処理により、コーナミラー内に障害物の像が存在するか否かを判定する。そして、S30では、コーナミラーが存在し且つコーナミラー内に障害物の像が存在する場合にS31に進む。そうでない場合には、図3のS1の処理に戻る。
【0026】
S31においては、車速センサ2の信号から自車両の速度VSPBを検出する。
次に、S32において、ステレオカメラの視差角により、例えば図5に示すように自車両40からコーナミラー42までの距離LBを検出する。これは、図4のS15の処理により得られた値を使用しても良い。
次に、S33において、S31で得られた自車速度VSPB及びS32で得られた距離LBとにより、自車両のコーナミラーまでの到達時間TBを算出する。
【0027】
次に、図5に示すように、コーナミラーには障害物が映っており、ステレオカメラでは虚像として認識出来る。従って、S34において、コーナミラーに映り込んでいる障害物の虚像に対するステレオカメラの視差角により、自車両と障害物までの距離(LA+LB)を検出する。
そして、S35において、S32で検出した自車両からコーナミラーまでの距離LBと、距離(LA+LB)とから、障害物とコーナミラーとの間の距離LAを算出する。
【0028】
次に、S36において、S35で算出した障害物とコーナミラーとの間の距離LAと、
図6のS27で算出した障害物移動速度VSPAとにより、障害物のコーナミラーまでの到達時間TAを算出する。
次に、S37では、危険度として、障害物のコーナミラーまでの到達時間TAと自車両のコーナミラーまでの到達時間TBとの差の絶対値TCを算出する。
【0029】
次に、図10乃至図8により、図3のS4での処理である警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理を説明する。図10は、本発明の実施形態による警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理のフローを示すフローチャートであり、図11は、自車両に対するコーナミラーの傾きθを説明するための概略図であり、図12は、自車両に対するコーナミラーの傾きθを検出するためのコーナミラーの長径及び短径を示す概略図であり、図13は、コーナミラーの傾きに応じて危険度を示すTCを補正するための補正係数を示す線図であり、図14は、危険度と警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理との関係を示す図である。
先ず、S40において、上述したS30と同様に、コーナミラーが存在し且つコーナミラー内に障害物の像が存在するか否かを判定する。コーナミラーが存在し且つコーナミラー内に障害物の像が存在する場合にはS41に進み、そうでない場合には、図3のS1の処理に戻る。
【0030】
次に、S41において、コーナミラーの傾きを算出する。コーナミラーの傾きを、図11にθで示す。このコーナミラーの傾きθは、図12に示すように、コーナミラーの長径Lと、短径Sを検出し、それらの比から求める。
次に、S42において、S41で算出したコーナミラーの傾きθに応じた補正係数Kθを算出する。このS42では、図13に示すように、短径Sと長径Lとの割合、即ち、コーナミラー傾きθに対して、予め補正係数Kθが設定されている。この図13では、例えばコーナミラー傾きθが大きくなるほど視認性が悪くなることに鑑みて、コーナミラー傾きθが大きいほど補正係数Kθが大きくなるように設定している。
【0031】
次に、S43において、S42で算出した補正係数Kθに基づいて、本実施形態では、警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理を行わせるときの3つのしきい値を算出する。しきい値は、Kθ×T0、Kθ×T1、Kθ×T2である。T0、T2、T3は、図14に示すように、図9のS37で算出した危険度としての時間差の絶対値TC(障害物のコーナミラーまでの到達時間TAと自車両のコーナミラーまでの到達時間TBとの差)に対するしきい値として設定されている。
本実施形態では、時間差TCがT0を上回るときには時間にゆとりがあるものとして、警報、自動ブレーキ、自動操舵のいずれの出力処理も行わず、T1を上回るときには警報を行い、T2を上回るときには警報と自動ブレーキを行い、T2を下回るときには時間的余裕がほとんどないものとして、警報、自動ブレーキ及び自動操舵の全ての出力処理を行う。
【0032】
また、図13に示すように、補正係数Kθが1より大きい場合には、T0、T1、T2に補正係数Kθを掛けて時間差TCのしきい値をより高く設定し、それにより、警報、自動ブレーキ及び自動操舵をそれぞれより早期に行わせるようにしている。
即ち、図10に示すように、S44において時間差TCがKθ×T0より大きい場合にはS45に進み、安全システム(警報、自動ブレーキ及び自動操舵)を作動させないようにしている。次に、S46において時間差TCがKθ×T1より大きい場合にはS47に進み、安全システムのうち警報のみを作動させるようにしている。次に、S48において時間差TCがKθ×T2より大きい場合にはS49に進み、安全システムのうち、警報及び自動ブレーキを作動させるようにしている。一方、S48において時間差TCがKθ×T2以下である場合にはS50に進み、警報、自動ブレーキ及び自動操舵の全ての安全システムを作動させるようにしている。
【0033】
これらの処理により、運転者によって視認性の悪い交差路において飛び出す危険がある障害物との衝突を避けることが出来る。
また、本発明によれば、上述したように、接近度Sを、コーナミラーの上下方向長さK1及び障害物の上下方向長さK1の比R1=L1/K1と、単位時間ΔT前のコーナミラーの上下方向長さK2及び障害物の上下方向長さK2の比R2=L2/K2とから、式S=R1−R2により算出しているので、交差路へ接近する障害物の接近度合いを簡易に且つ精度良く算出することが出来る。
【0034】
また、図4のS17、S18で判定しているように、コーナミラーまでの距離が所定値L0以上であるときには、衝突の可能性が小さいとしてフラグMFLGを0として上述した安全システムを作動させないので、不要な警報や自動制御の作動を防止することが出来る。
さらに、図9のS33、S36及びS37で算出しているように、危険度を自車両のコーナミラーまでの到達時間と、障害物のコーナミラーまでの到達時間により危険度である時間差TCを算出しているので、障害物との衝突の危険度を簡易に且つ精度良く算出することが出来る。
さらに、図10のS41でコーナミラーの長径Lと短径Sとによりコーナミラーの傾斜角度を算出し、S42及びS43で危険度TCのしきい値を補正するようにしているので、コーナミラーの傾斜角度による視認性の悪化を考慮した自動システムの作動を行わせることが出来る。
【0035】
ここで、本発明の実施形態の変形例を説明する。本発明の実施形態の変形例では、上述した図10の処理に代えて、図13に示すような処理を行っている。上述した実施形態では、危険度である時間差TCとしきい値(Kθ×T0、Kθ×T1、Kθ×T2)により、警報、自動ブレーキ及び自動操舵の出力処理を分けているが、本変形例では、上述した、図6のS26で算出した接近度Sにより、警報、自動ブレーキ及び自動操舵の出力処理を分けるようにしている。
【0036】
即ち、図15に示すように、S60で接近度Sを算出し(図6のS26参照)、S61でシステム作動判定しきい値を0、C1、C2と順に大きな数となるように設定する。そして、S62において接近度Sが0以下である場合にはS63に進み、安全システム(警報、自動ブレーキ及び自動操舵)を作動させないようにする。次に、S64において接近度SがC1≧S>0である場合にはS65に進み、安全システムのうち警報のみを作動させるようにする。次に、S66において接近度SがC2≧S>C1である場合にはS67に進み、安全システムのうち、警報及び自動ブレーキを作動させるようにする。一方、S66において接近度SがC2より大きい場合(S>C2)には、自車両と障害物との衝突までの時間が非常に短いと判断して早期に安全システム作動をさせるためにS68に進み、警報、自動ブレーキ及び自動操舵の全ての安全システムを作動させるようにするのである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態による車両用障害物検出装置を適用した車両を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による車両用障害物検出装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による車両用障害物検出装置の処理の全体フローを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態による車両用障害物検出装置のコーナミラー検出処理のフローを示すフローチャートである。
【図5】自車両、コーナミラー及び障害物の位置関係を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態によるコーナミラー内障害物接近度算出処理のフローを示すフローチャートである。
【図7】コーナミラーの大きさとコーナミラーに写る障害物の像の大きさとの関係を示す概略図である。
【図8】接近度と障害物の移動速度との関係を示す線図である。
【図9】本発明の実施形態による障害物危険度判定処理のフローを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態による警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理のフローを示すフローチャートである。
【図11】自車両に対するコーナミラーの傾きθを説明するための概略図である。
【図12】自車両に対するコーナミラーの傾きθを検出するためのコーナミラーの長径及び短径を示す概略図である。
【図13】コーナミラーの傾きに応じて危険度を示すTCを補正するための補正係数を示す線図である。
【図14】危険度と警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施形態の変形例による警報、自動ブレーキ、自動操舵の出力処理のフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
2 車速センサ
4 障害物検出用ステレオカメラ
6 ECU
8 警報装置
10 自動ブレーキ用アクチュエータ
12 自動操舵用アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差路に設置された反射鏡に写る障害物の像を利用して障害物を検出する車両用障害物検出装置であって、
交差路に設置される上記反射鏡を検出する反射鏡検出手段と、
上記反射鏡に写る障害物の像を検出する障害物像検出手段と、
検出された障害物の像からその障害物の上記反射鏡への接近度を算出する障害物接近度算出手段と、
上記接近度に応じて警報システム及び/又は安全システムを制御するシステム制御手段と、を有することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項2】
さらに、自車両の上記反射鏡までの接近度を算出する自車両接近度算出手段と、
上記障害物接近度算出手段により算出された障害物の上記反射鏡への接近度と、上記自車両接近度算出手段により算出された自車両の上記反射鏡までの接近度とにより、自車両の上記障害物との衝突の危険度を算出する危険度算出手段を有し、
上記システム制御手段は、この算出された危険度がしきい値を超えると警報システム及び/又は安全システムを制御する請求項1に記載の車両用障害物検出装置。
【請求項3】
上記自車両接近度算出手段は、自車両の上記反射鏡までの到達時間を算出し、
上記障害物接近度算出手段は、障害物の上記反射鏡までの到達時間を算出し、
上記危険度算出手段は、これらの自車両到達時間及び障害物到達時間により上記危険度を算出する請求項2に記載の車両用障害物検出装置。
【請求項4】
上記接近度は、上記反射鏡の大きさと、その反射鏡に映る障害物の像の大きさとの比の変化により算出される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用障害物検出装置。
【請求項5】
さらに、自車両と上記反射鏡との距離を検出する自車両距離検出手段を有し、
この検出された距離が所定値以下のとき、上記障害物像検出手段による障害物像検出及び上記障害物接近度算出手段による障害物接近度検出を行うようになっている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用障害物検出装置。
【請求項6】
上記反射鏡は円形のコーナミラーであり、
さらに、自車両から見て上記コーナミラーの短径と長径との比から上記コーナミラーの傾斜角度を算出する反射鏡傾斜角度算出手段を有し、
上記システム制御手段は、この算出された傾斜角度に応じて、上記危険度算出手段による危険度の上記しきい値を補正する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−116527(P2009−116527A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287455(P2007−287455)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】