説明

車両走行制御装置

【課題】 低速追従制御から高速追従制御への自動切替を可能とする車両走行制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 車両走行制御装置であって、低速用追従制御手段と、制御開始許可車速領域が低速用追従制御手段の制御車速領域と重なる車速領域を含む高速用追従制御手段と、低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する制御実行判定手段と、車速を検出する車速検出手段と、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する車速判定手段と、先行車両の走行状態を予測する予測手段とを備え、低速用追従制御手段による制御を実行中で、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内のときに、先行車両の走行状態が高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行すると予測される場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車両に追従するために車両の走行状態を制御する車両走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の運転負荷を軽減するために、運転支援を行う様々な車両走行制御装置が開発されている。車両走行制御装置には、先行車両を追従するために車速制御を行うものがある。このような追従制御には、高速道路などにおける高速走行時に支援を行う高速追従制御と渋滞などにおける低速走行時に支援を行う低速追従制御がある。高速追従制御では、通常、運転者が設定した車速を維持するように車速制御を行い、先行車両が存在する場合には先行車両を追従するように車速制御を行う。一方、低速追従制御では、所定車速以下において先行車両を追従するように車速制御を行う。
【0003】
高速追従制御と低速追従制御の両方の制御を行う装置の場合、高速追従制御から低速追従制御への切り替えや低速追従制御から高速追従制御への切り替えを行うときには運転者がモード切替スイッチあるいは各制御のON/OFFスイッチなどによる操作を行う。この場合、2つの制御にはそれぞれ制御起動車速や制御終了車速が設定されており、高速追従制御の場合には制御起動車速以上で起動可能状態となり、低速追従制御の場合には制御起動車速以下で制御可能状態となる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−240591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低速追従制御から高速追従制御に切り替えるときの状況としては、通常、渋滞が解消され、先行車両が加速しているときである。その際、運転者にとっては、各追従制御の制御終了車速や制御起動車速に関係なく、連続して先行車両に追従していってほしい。しかし、従来の装置の場合、運転者は、渋滞解消の判断、各追従制御の制御終了車速や制御起動車速の確認及び高速追従制御の起動操作が必要となる。そのため、同様の追従制御を行うにかかわらず、運転者にとっては、煩わしい各種作業が必要であり、負担が大きい。
【0005】
そこで、本発明は、低速追従制御から高速追従制御への自動切替を可能とする車両走行制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両走行制御装置は、先行車両に追従するために車両の走行状態を制御する車両走行制御装置であって、低速用追従制御手段と、制御開始許可車速領域が低速用追従制御手段の制御車速領域と重なる車速領域を含む高速用追従制御手段と、低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する制御実行判定手段と、車速を検出する車速検出手段と、車速検出手段で検出した車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する車速判定手段と、先行車両の走行状態を予測する予測手段とを備え、低速用追従制御手段による制御を実行中で、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内のときに、先行車両の走行状態が高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行すると予測される場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする。
【0007】
この車両走行制御装置は、低速側で先行車両に対して追従制御を行う低速用追従制御手段と高速側で先行車両に対して追従制御を行う高速用追従制御手段を備えている。車両走行制御装置では、高速用追従制御手段による制御を起動可能な車速領域である制御開始許可車速領域が、低速用追従制御手段の制御車速領域と重なるように設定されている。したがって、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替えるためには、低速用追従制御手段の制御車速領域の上限車速より高い車速まで車速を上昇させる必要はなく、低速用追従制御手段による制御中でも切り替えが可能である。車両走行制御装置では、制御実行判定手段により低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する。また、車両走行制御装置では、車速検出手段により車速を検出し、車速判定手段によりその検出した車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する。さらに、車両走行制御装置では、予測手段により先行車両の将来の走行状態(例えば、車速、加速度)を予測する。そして、車両走行制御装置では、低速用追従制御手段による制御を実行中に、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内であり、先行車両の走行状態が高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行すると予測される場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替える。つまり、低速用追従制御手段による制御中に高速用追従制御手段を起動可能な車速条件を満たしているときに、先行車両が高速用追従制御手段による高速側での追従制御を十分に行うことができるような車速になると予測される場合、渋滞などの低速側での走行状態から高速側での走行状態に移行したと判断できるので、装置側で高速用追従制御手段に切り替える。このように、車両走行制御装置では、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御への自動切替が可能であり、渋滞解消の判断や車速確認、起動操作などの切替時の煩わしい運転者作業が必要ない。そのため、運転者にとっては負担が軽減し、追従制御に対する使い勝手が向上する。
【0008】
本発明に係る車両走行制御装置は、先行車両に追従するために車両の走行状態を制御する車両走行制御装置であって、低速用追従制御手段と、制御開始許可車速領域が低速用追従制御手段の制御車速領域と重なる車速領域を含む高速用追従制御手段と、低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する制御実行判定手段と、車速を検出する車速検出手段と、車速検出手段で検出した車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する車速判定手段と、車両の走行環境情報を取得する取得手段とを備え、低速用追従制御手段による制御を実行中で、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内のときに、車両の走行環境が高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行可能な環境の場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする。
【0009】
この車両走行制御装置は、上記の車両走行制御装置と同様の低速用追従制御手段、高速用追従制御手段、制御実行判定手段、車速検出手段、車速判定手段を備えており、更に、予測手段の代わりに取得手段を備えている。車両走行制御装置では、取得手段により車両の走行環境情報を取得する。車両の走行環境情報は、車両が高速側での走行が可能な状態かを判断できるような情報であり、例えば、車両が走行している道路種別、渋滞情報である。車両走行制御装置では、低速用追従制御手段による制御を実行中に、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内であり、自車両の走行環境が高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行可能な環境の場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替える。つまり、低速用追従制御手段による制御中に高速用追従制御手段を起動可能な車速条件を満たしているときに、自車両が現在走行している道路の種別やその道路の状況などが高速用追従制御手段による高速側での追従制御を十分に行うことができるような車速で走行可能な環境となっている場合、渋滞などの低速側での走行状態から高速側での走行状態に移行したと判断できるので、装置側で高速用追従制御手段に切り替える。このように、車両走行制御装置では、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御への自動切替が可能であり、切替時の煩わしい作業が必要なくなり、運転者にとっては負担が軽減し、追従制御に対する使い勝手が向上する。
【0010】
本発明の上記車両走行制御装置では、取得手段は、車両が自動車専用道路を走行しているか否かの情報を取得し、車両が自動車専用道路を走行している場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替えるようにすると好適である。
【0011】
この車両走行制御装置では、取得手段により車両が自動車専用道路を走行しているか否かの情報を取得する。車両走行制御装置では、低速用追従制御手段による制御を実行中に、車速が高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内であり、走行している道路が自動車専用道路の場合、低速用追従制御手段による制御から高速用追従制御手段による制御に切り替える。つまり、低速用追従制御手段による制御中に高速用追従制御手段を起動可能な車速条件を満たしているときに、自車両が現在走行している道路が高速走行な可能な道路である場合、渋滞などの低速側での走行状態から高速側での走行状態に移行したと判断できるので、装置側で高速用追従制御手段に切り替える。自動車専用道路は、自動車のみの交通に供される道路であり、例えば、高速道路、各種有料道路、一般国道の自動車専用道路であり、特に、高速道路は、高速走行が可能なので、高速用追従制御手段による制御に適した道路である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低速追従制御から高速追従制御への自動切替が可能であり、運転者の負担が軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両走行制御装置の実施の形態を説明する。
【0014】
本実施の形態では、本発明に係る車両走行制御装置を、低速追従制御機能及び高速追従制御機能を有する車速制御装置に適用する。本実施の形態に係る車速制御装置は、低速追従制御機能については起動可能な車速領域である低速追従起動可能車速領域と制御可能な車速領域である低速追従制御車速領域を有しており、高速追従制御機能については起動可能な車速領域である高速追従起動可能車速領域と制御可能な車速領域である高速追従制御車速領域を有している。
【0015】
図1及び図2を参照して、車速制御装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る車速制御装置の構成図である。図2は、図1の車速制御装置の低速追従制御機能と高速低速追従機能における制御車速領域と起動可能車速領域の関係を示す図である。
【0016】
車速制御装置1は、低速追従制御機能による制御中または高速追従制御機能による制御中に、ブレーキ油圧及び/又はスロットル開度を制御し、車速を制御する。特に、車速制御装置1では、運転者の負担を軽減するために、低速追従制御機能による制御から高速追従制御機能による制御への自動切替を行う。車速制御装置1は、レーザセンサ2、ヨーレートセンサ3、車速センサ4、ブレーキスイッチ5、アクセル開度センサ6、低速追従制御用スイッチ7、高速追従制御用スイッチ8、ブレーキアクチュエータ9、スロットルアクチュエータ10、ブザー11、ディスプレイ12及びECU[Electronic Control Unit]13を備えており、車内LAN[Local Area Network]で接続されているナビゲーション装置NEから各種情報を取得する。
【0017】
なお、本実施の形態では高速追従制御機能が特許請求の範囲に記載する高速用追従制御手段に相当し、低速追従制御機能が特許請求の範囲に記載する低速用追従制御手段に相当し、車速センサ4が特許請求の範囲に記載する車速検出手段に相当し、ECU13が特許請求の範囲に記載する制御実行判定手段、車速判定手段、予測手段に相当し、ECU13及び車内LANが特許請求の範囲に記載する取得手段に相当する。
【0018】
レーザセンサ2は、前方にレーザ光を照射し、物体に反射して戻ってくるレーザ光を受光することによって物体までの距離を検出するセンサである。レーザセンサ2では、その検出値をレーザ信号としてECU13に送信する。ヨーレートセンサ3は、車両に作用しているヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ3では、その検出値をヨーレート信号としてECU13に送信する。車速センサ4は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサである。車速センサ4では、その回転速度を車速信号としてECU13に送信する。車速センサ4の検出値に基づいて車速を推測するが、車速センサ4以外にもトランスミッションの回転数を検出するセンサなどの他の車速センサを用いてもよい。
【0019】
ブレーキスイッチ5は、ブレーキペダルが踏まれたか否かを検出するスイッチである。ブレーキスイッチ5では、ブレーキペダルが踏まれた場合にはON信号、踏まれていない場合にはOFF信号を設定したブレーキ信号をECU13に送信する。アクセル開度センサ6は、アクセルペダルの開度を検出するセンサである。アクセル開度センサ6では、その検出値をアクセル開度信号としてECU13に送信する。
【0020】
低速追従制御用スイッチ7は、低速追従制御機能を起動/停止するための運転者操作用のスイッチである。低速追従制御用スイッチ7では、起動または停止を示す低速用スイッチ信号をECU13に送信する。高速追従制御用スイッチ8は、高速追従制御機能を起動/停止するための運転者操作用のスイッチである。高速追従制御用スイッチ8では、起動または停止を示す高速用スイッチ信号をECU13に送信する。なお、低速追従制御用スイッチ7では、低速追従制御機能による制御中に高速追従制御機能による制御に切り替えられた場合にはスイッチの状態が起動状態から停止状態に自動で変わる。また、各追従制御用スイッチ7,8では、各追従制御機能による制御中に自動終了した場合にはスイッチの状態が起動状態から停止状態に自動で変わる。
【0021】
ブレーキアクチュエータ9は、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ9では、ECU13からの目標油圧信号に応じて作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。スロットルアクチュエータ10は、スロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。スロットルアクチュエータ10では、ECU13からの目標スロットル開度信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
【0022】
ブザー11では、ECU13からブザー信号を受信すると、ブザー信号がON信号の場合にはブザー音を出力し、ブザー信号がOFF信号の場合にはブザー音の出力を停止する。ディスプレイ12では、ECU13から画像信号を受信すると、画像信号に応じた画像を表示する。
【0023】
ナビゲーション装置NEは、車両の現在位置や進行方向を地図上に表示するとともに、運転者が設定した目的地までの経路を探索し、探索した経路に従って案内を行うシステムである。ナビゲーション装置NEでは、地図情報を保持しており、その地図情報の中には各道路の種別情報も含んでいる。したがって、ナビゲーション装置NEでは、車両が現在走行している道路の種別情報を持っている。また、ナビゲーション装置NEでは、VICS[Vehicle Information and Communication System]を利用して車外からのインフラ情報である渋滞情報を取り入れており、現在走行している道路の渋滞情報を持っている。ナビゲーション装置NEでは、ECU13からの取得要求に応じて、現在走行している道路の種別情報及び渋滞情報をECU13に提供する。
【0024】
ECU13は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]などからなる電子制御ユニットである。ECU13では、各追従制御機能を起動可能な状態で運転者が各スイッチ7,8に対する起動操作を行った場合には各追従制御機能を起動する。特に、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、自動切替条件を満たした場合には高速追従制御機能に自動で切り替える。また、ECU13では、各追従制御機能による制御中に、運転者が各スイッチ7,8に対する停止操作を行った場合には各追従制御機能を終了し、あるいは、各追従制御機能の終了条件を満たした場合には各追従制御機能を自動終了する。ECU13では、各種センサ2,3,4から各種信号を取り入れ、各追従制御機能による制御中に、その各種信号に基づいて各種制御量を設定し、ブレーキアクチュエータ9及びスロットルアクチュエータ10を制御する。
【0025】
図2を参照して、ECU13において設定されている車速領域について説明する。高速側の車速領域には、高速追従起動可能車速領域と高速追従制御車速領域とが同じ車速領域で設定される。低速側の車速領域には、低速追従制御車速領域が設定される。高速追従起動可能車速領域の下限車速は低速追従制御車速領域の上限車速より低い車速に設定され、高速追従起動可能車速領域の低速側が低速追従制御車速領域の高速側にラップしている。したがって、ラップしている車速領域では、低速追従制御機能から高速追従制御機能への切り替えが可能である。低速追従制御車速領域の低速側には、低速追従起動可能車速領域が設定される。低速追従起動可能車速領域の上限車速は高速追従制御車速領域の下限車速より十分に低い車速に設定され、低速追従起動可能車速領域と高速追従制御車速領域とはラップしない。したがって、高速追従制御機能から低速追従制御機能への連続的な切り替えはできない。また、低速追従制御車速領域の上限車速から所定車速高い車速領域までには、加速禁止車速領域が設定される。加速禁止車速領域は、全領域が高速追従起動可能車速領域とラップしている。加速禁止車速領域は、低速追従制御機能による制御中に、制御による自動加速ができない車速領域である。
【0026】
ECU13では、車速センサ4からの車速信号に基づいて、自車両の車速を演算する。また、ECU13では、ヨーレートセンサ3からのヨーレート信号に基づいて、自車両の旋回方向を演算する。そして、ECU13では、自車両の旋回方向を考慮し、レーザセンサ2からのレーザ信号に基づいて、自車両と同一車線を走行している前方の車両(先行車両)の有無を判定するとともに先行車両が存在する場合にはその車両との車間距離や相対速度を演算する。さらに、ECU13では、先行車両が存在する場合(特に、自動切替条件判定を行っている場合)、自車両の車速と先行車両との相対速度から先行車両の車速及び加速度を演算し、その先行車両の車速及び加速度から先行車両の所定時間後の車速(予測車速)を演算する。所定時間としては、先行車両が高速走行を継続できるか否かを判断できる程度の時間である。
【0027】
また、ECU13では、自動切替条件判定を行っている場合、車内LANを介して、ナビゲーション装置NEに対して要求信号を送信し、ナビゲーション装置NEから現在走行している道路の種別情報及び渋滞情報を含む応答信号を受信する。道路の種別情報としては、少なくとも高速道路かあるいはそれ以外の道路かの情報であればよいが、国道、県道、市町村道、高速道路、高速道路以外の有料道路などの詳細な情報でもよい。渋滞情報としては、少なくとも渋滞解消位置付近か否かの情報であればよいが、現在位置付近の渋滞区間を示す情報と現在位置などの詳細な情報でもよい。
【0028】
ECU13では、自車速が高速追従起動可能車速領域内のときに、高速追従制御用スイッチ8から起動を示す高速用スイッチ信号を受信した場合には高速追従制御機能を起動させる。高速追従制御機能による制御中、ECU13では、高速追従制御機能による制御中であることを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信する。
【0029】
ECU13では、自車速が低速追従起動可能車速領域内かつ先行車両が存在するときに、低速追従制御用スイッチ7から起動を示す低速用スイッチ信号を受信した場合には低速追従制御機能を起動させる。ちなみに、高速追従制御機能による制御中のときには、低速追従制御機能は起動可能状態になることはない。低速追従制御機能による制御中、ECU13では、低速追従制御機能による制御中であることを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信する。
【0030】
ECU13では、低速追従制御機能による制御中に先行車両が存在する場合、自動切替条件を満たしているか否かを判定し、自動切替条件を満たした場合には高速追従制御機能を自動起動させるとともに低速追従制御機能を自動終了させる(つまり、低速追従制御機能から高速追従制御機能へ自動切替する)。自動切替条件には4つの条件があり、4つの条件を全てに満たしている場合にのみ自動切替条件が満たされたことになる。自動切替する場合、ECU13では、低速追従制御機能から高速追従制御機能へ自動切替することを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信する。
【0031】
第1条件は、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上であることを条件とする。高速追従制御機能の起動条件としては自車速が高速追従起動可能車速領域内であることが条件なので、高速追従起動可能車速領域内の車速である低速追従制御車速領域の上限車速以上を判断条件の1つとする。なお、高速追従起動可能車速領域の下限車速より高い車速である低速追従制御車速領域の上限車速で判断することにより、高速追従制御機能による制御で走行可能な状態である確度が高く、自車両が短時間の間に高速追従制御車速領域の下限車速未満になるような可能性が非常に低くなる。
【0032】
第2条件は、現在走行している道路が高速道路であることを条件とする。一般道路は、信号や交差点が存在するため、高速走行を継続することが困難であり、高速走行から低速走行への減速が頻繁に繰り返される状況になる可能性が高い。しかし、高速道路は、通常、高速走行を継続させることが可能であり、高速走行と低速走行とを頻繁に繰り返す状況が少ない。したがって、高速道路を走行している場合は、高速追従制御車速領域内の車速で走行可能な環境にある。
【0033】
第3条件は、インフラ情報として現在位置が渋滞解消位置付近であることを条件とする。渋滞解消位置付近では低速走行から高速走行に移行することができ、特に、高速道路の場合には高速走行を継続することができる。したがって、渋滞解消位置付近を走行している場合は、高速追従制御車速領域内の車速で走行可能な環境にある。
【0034】
第4条件は、先行車両の予測車速が車速閾値より高いことを条件とする。車速閾値は、低速追従制御車速領域の上限車速よりも十分に高い車速である。現時点から先に、先行車両が低速追従制御車速領域の上限車速近傍かあるいは上限車速以下の車速で走行していると予測される場合、先行車両が加速できない状況であり、渋滞が解消していない可能性が高い。しかし、先行車両が低速追従制御車速領域の上限車速よりも十分に高い車速で走行していると予測される場合、先行車両が加速していている状況であり、現時点から先、高速走行を継続できる可能性が高い。したがって、先行車両の予測車速が車速閾値より高い場合は、先行車両が高速追従制御車速領域内の車速で走行すると予測される状態にある。
【0035】
ECU13では、高速追従制御機能による制御中に、自車速が高速追従起動可能車速領域の下限車速未満になると高速追従制御機能を自動終了させる。また、ECU13では、高速追従制御機能による制御中に、ブレーキスイッチ5からON信号を示すブレーキ信号を受信した場合またはアクセル開度センサ6から全閉以外のアクセル開度信号を受信した場合には高速追従制御機能を自動終了させる。高速追従制御機能を自動終了させる際に、ECU13では、高速追従制御機能による制御を自動終了させることを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信する。また、ECU13では、高速追従制御機能による制御中に、高速追従制御用スイッチ8から停止を示す高速用スイッチ信号を受信した場合には高速追従制御機能を終了させる。
【0036】
ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、先行車両が存在しなくなると低速追従制御機能を自動終了させる。また、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速(加速禁止車速領域の下限車速)以上のとき(自動切替条件の第1条件を満たしているとき)に自動切替条件の第2条件〜第4条件のいずれかの条件を満たさない場合に先行車両との車間距離が距離閾値以上になると低速追従制御機能を自動終了させる。距離閾値は、実験やシミュレーションなどによって予め設定されており、先行車両を追従できないような長い距離が設定される。また、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、ブレーキスイッチ5からON信号を示すブレーキ信号を受信した場合には低速追従制御機能を自動終了させる。また、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、運転者によるアクセル操作に応じて加速し、自車速が加速禁止車速領域の上限車速以上になると低速追従制御機能を自動終了させる。低速追従制御機能を自動終了させる際に、ECU13では、低速追従制御機能による制御を自動終了させることを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信する。また、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、低速追従制御用スイッチ7から停止を示す低速用スイッチ信号を受信した場合には低速追従制御機能を終了させる。なお、低速追従制御機能による制御中に自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上になるのは、先行車両が低速追従制御車速領域の上限車速以上で走行し、自車両が低速追従制御車速領域の上限車速を維持している場合と運転者によるアクセル操作に応じて加速し、自車両が加速禁止車速領域内の車速で走行している場合である。
【0037】
高速追従制御機能を起動した場合について説明する。ECU13では、高速追従制御機能による制御中に先行車両が存在しない場合、運転者による設定車速を維持するように、ブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御する。設定車速は、運転者が高速追従制御用スイッチ8で起動操作を行ったときの車速でもよいし、あるいは、車速設定レバーなどの車速設定手段に設け、運転者が車速設定手段で設定した車速でもよい。ECU13では、通常、設定車速になるように目標スロットル開度を設定し、その目標スロットル開度に応じて設定した目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ10に送信する。また、ECU13では、下り坂などで自車速が設定車速を超える場合、目標ブレーキ油圧を設定し、その目標ブレーキ油圧に応じて設定した目標油圧信号をブレーキアクチュエータ9に送信する。
【0038】
ECU13では、高速追従制御機能による制御中に先行車両が存在する場合、先行車両に対して高速用車間距離を確保して追従するように、ブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御する。高速用車間距離は、実験やシミュレーションなどによって予め設定されており、車速が高いほど長い距離が設定される。ECU13では、先行車両との車間距離が高速用車間距離未満の場合、目標ブレーキ油圧を設定し、その目標ブレーキ油圧に応じて設定した目標油圧信号をブレーキアクチュエータ9に送信する。また、ECU13では、先行車両との車間距離が高速用車間距離以上の場合、目標スロットル開度を設定し、その目標スロットル開度に応じて設定した目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ10に送信する。したがって、車両は、先行車両が減速した場合には自動減速し、先行車両が加速した場合には自動加速する。
【0039】
低速追従制御機能を起動した場合について説明する。ECU13では、低速追従制御機能による制御中、先行車両に対して低速用車間距離を確保して追従するように、ブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御する。低速用車間距離は、実験やシミュレーションなどによって予め設定されており、車速が低いほど短い距離が設定され、高速用車間距離より短い距離である。なお、追従制御する際のブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10に対する具体的な制御は、高速追従制御機能で説明した追従制御と同様の制御である。
【0040】
ECU13では、低速追従制御機能による制御中に先行車両の車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上となった場合、低速追従制御車速領域の上限車速(=加速禁止車速領域の下限車速)を維持するように、ブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御する。なお、車速維持制御する際のブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10に対する具体的な制御は、高速追従制御機能で説明した車速維持制御と同様の制御である。
【0041】
なお、ECU13では、低速追従制御機能が起動していないときに自車速が低速追従起動可能車速領域の上限車速以下になった場合に、低速追従起動可能車速領域の上限車速以下になったことを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信するようにしてもよい。このように画像表示とブザーで運転者に知らせることにより、低速追従制御機能が起動可能な車速領域にあることを運転者が認識することができる。
【0042】
また、ECU13では、低速追従制御機能による制御中に、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上になったが自動切替条件の第2条件〜第4条件のいずれかの条件を満たさない場合(つまり、高速追従制御機能の起動条件を満たしているが自動切替できない場合)、低速追従制御車速領域の上限車速以上になったことを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信するようにしてもよい。あるいは、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上になった場合でなく、自車速が高速追従制御車速領域の下限車速以上になった場合に、高速追従制御車速領域の下限車速以上になったことを示す画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信するようにしてもよい。このように画像表示とブザーで運転者に知らせることにより、低速追従制御機能による制御中でも高速追従制御機能が起動可能な車速領域にあることを運転者が認識することができ、運転者に対して高速追従制御機能に切り替えるか否かの判断を委ねる。
【0043】
図1及び図2を参照して、車速制御装置1における低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替時の動作について図3のフローチャートに沿って説明する。図3は、図1の車速制御装置における低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替時の動作を示すフローチャートである。
【0044】
ECU13では、ヨーレートセンサ3からのヨーレート信号に基づいて、車両の旋回方向を求める。そして、ECU13では、その旋回方向を考慮し、レーザセンサ2からのレーザ信号に基づいて先行車両の有無を判定するとともに先行車両との車間距離や相対速度を演算する。また、EUU13では、車速センサ4からの車速信号に基づいて、自車速を演算する。
【0045】
渋滞によって先行車両が低速走行し、自車両が低速追従起動可能車速領域の下限車速以下になると、低速追従制御機能が起動可能状態になっている。このとき、運転者が、低速追従制御用スイッチ7によって起動操作を行う。すると、低速追従制御用スイッチ7では起動を示す低速用スイッチ信号をECU13に送信し、ECU13では、低速追従制御機能を起動する。
【0046】
ECU13では、低速追従制御機能による制御中か否かを判定する(S1)。S1にて制御中でないと判定した場合、ECU13では、低速追従制御を行わない。S1にて制御中と判定した場合、ECU13では、先行車両が存在しているか否か判定する(S2)。S2にて先行車両が存在していないと判定した場合、ECU13では、低速追従制御機能を自動終了する(S10)。そして、ECU13では、自動終了させることを表示する画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信する。ディスプレイ12では、低速追従制御機能を自動終了したことを表示する。ブザー11では、ブザー音を出力する。これによって、運転者は、低速追従制御機能が終了したことを知る。
【0047】
S2にて先行車両が存在すると判定した場合、ECU13では、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上か否かを判定する(S3)。S3にて上限車速未満と判定した場合、ECU13では、低速用車間距離をあけて先行車両に追従するようにブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御し、低速追従制御を行う(S4)。先行車両が車速維持や加速している場合、ECU13では、先行車両と低速用車間距離を保持するように設定した目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ10に送信する。スロットルアクチュエータ10では、その目標スロットル開度信号に応じてスロットルバルブの開度を調整する。その結果、車両が、先行車両に低速用車間距離をあけて追従走行する。先行車両が減速している場合、ECU13では、先行車両と低速用車間距離を保持するように設定した目標油圧信号をブレーキアクチュエータ9に送信する。ブレーキアクチュエータ9では、その目標油圧信号に応じてホイールシリンダの油圧を調整する。その結果、車両が、先行車両に低速用車間距離をあけて追従走行する。
【0048】
S3にて上限車速以上と判定した場合、ECU13では、ナビゲーション装置NEに対して情報の要求信号を送信する。そして、ECU13では、ナビゲーション装置NEからその応答信号を受信し、現在走行している道路の種別情報や現在位置付近の渋滞情報を取得する。ECU13では、現在走行している道路が高速道路か否かを判定する(S5)。S5にて高速道路と判定した場合、ECU13では、現在位置が渋滞解消位置付近か否かを判定する(S6)。S6にて渋滞解消位置付近と判定した場合、ECU13では、先行車両の車速及び加速度から先行車両の所定時間後の予測車速を演算する(S7)。そして、ECU13では、先行車両の予測車速が車速閾値より高いか否かを判定する(S8)S8にて車速閾値より高いと判定した場合、自動切替条件を満たしたことになり、渋滞が解消したと推測でき、高速追従が可能と判断できる。
【0049】
そこで、ECU13では、高速追従制御機能を自動起動し(S9)、更に、低速追従制御機能を自動終了する(S10)。そして、ECU13では、高速追従制御機能から低速追従制御機能へ自動切替することを表示する画像データを生成し、その画像信号をディスプレイ12に送信するとともに、ON信号のブザー信号をブザー11に送信する。ディスプレイ12では、自動切替したことを表示する。ブザー11では、ブザー音を出力する。これによって、運転者は、高速追従制御機能から低速追従制御機能へ切り替わったことを知る。ECU13では、高速用車間距離をあけて先行車両に追従するようにブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御し、高速追従制御を行う。先行車両に対する追従制御は、低速追従制御機能での追従制御と同様の制御である。したがって、運転者は渋滞解消の判断や車速確認、起動操作などの切替時の煩わしい作業を行うことなく、車両では低速追従制御機能による制御時と同様の追従制御が継続される。
【0050】
S5にて高速道路ではないと判定した場合、S6にて渋滞解消位置付近ではないと判定した場合、あるいは、S8にて車速閾値以下と判定した場合、自動切替条件を満たさなかったことになり、装置側では渋滞が解消されたか否かの判断ができない。このとき、ECU13では、先行車両との車間距離が距離閾値を超えたか否かを判定する(S11)。渋滞が解消し、先行車両が加速すると、先行車両と自車両との車間距離が長くなる。S11にて車間距離が距離閾値を超えたと判定した場合、ECU13では、低速追従制御機能による制御を自動終了する(S10)。そして、上記と同様に、自動終了したことを運転者に知らせる。ちなみに、車間距離が距離閾値を超えた場合、先行車両との車間がかなり離れ、渋滞が解消されたと推測できるので、低速追従制御機能を終了させる。
【0051】
S11にて車間距離が距離閾値以下と判定した場合、ECU13では、低速追従制御車速領域の上限車速を維持するようにブレーキアクチュエータ9又はスロットルアクチュエータ10を制御し、車速維持制御を行う(S12)。通常、ECU13では、低速追従制御車速領域の上限車速を維持するように設定した目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ10に送信する。スロットルアクチュエータ10では、その目標スロットル開度信号に応じてスロットルバルブの開度を調整する。その結果、自車速が、低速追従制御車速領域の上限車速に維持される。下り坂などで自車速がその上限車速を超えるようになると、ECU13では、上限車速を維持するように設定した目標油圧信号をブレーキアクチュエータ9に送信する。ブレーキアクチュエータ9では、その目標油圧信号に応じてホイールシリンダの油圧を調整する。その結果、自車速が、その上限車速に維持される。この制御によって、自車両は、低速追従制御車速領域の上限車速を維持して走行を続ける。車間距離が距離閾値以下の場合、未だ渋滞が続いていると推測されるので、低速追従制御機能を継続させる。そして、先行車両が低速追従制御車速領域の上限車速を超えている場合には自車速をその上限車速に維持し、先行車両が減速した場合には低速追従制御を行える状態としておく。
【0052】
なお、自車速が高速追従起動可能車速領域内であるが自動切替条件の第2条件〜第4条件を満たさなかった場合、ECU13では渋滞が解消したか否かを判断できなので、高速追従制御機能を起動させるか否かを運転者の判断に委ねる。渋滞が一時的に解消し、先行車両が加速したときでも、その直ぐ先で渋滞が継続している場合がある。そのような場合でも、運転者が、その状況を見て、判断できるようにしている。
【0053】
この車速制御装置1によれば、低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替を可能としたので、運転者の負担が軽減し、追従制御に対する使い勝手が向上する。特に、車速制御装置1では、現在走行している道路種別、渋滞情報及び先行車両の将来の走行状態から総合的に判断しているので、渋滞が解消したか否かを高精度に判定することができる。
【0054】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0055】
例えば、本実施の形態では低速追従制御機能及び高速追従制御機能を有し、1つのECUで制御を行う車速制御装置によって構成したが、低速追従制御機能と高速追従制御機能の構成については適宜構成してよく、例えば、別々のECUにより低速追従制御装置と高速追従制御装置との2つの装置で構成してもよいし、ブレーキ制御やスロットル制御(エンジン制御)については別々のECUで行う構成としてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では低速追従制御機能、高速追従制御機能では追従制御の他に車速維持制御を行う構成としたが、追従制御だけを行うものでもよい。
【0057】
また、本実施の形態では低速追従制御用スイッチと高速追従制御用スイッチを備える構成としたが、低速追従制御機能と高速追従制御機能に対する操作系については適宜構成してよく、例えば、追従制御のON/OFFスイッチと低速追従制御機能と高速追従制御機能とを切り替えるモード切替スイッチで構成してもよい。
【0058】
また、本実施の形態では先行車両との距離を検出する手段としてレーザセンサを適用したが、ミリ波センサ、ステレオカメラなどの他の検出手段でもよい。
【0059】
また、本実施の形態では車両の旋回状態を検出する手段としてヨーレートセンサを適用したが、操舵角センサなどの他の検出手段でもよい。
【0060】
また、本実施の形態では運転者に知らせる手段としてディスプレイによる表示とブザーを適用したが、音声出力などの他の手段でもよい。
【0061】
また、本実施の形態では加速禁止車速領域を設け、運転者のアクセル操作によって車速が加速禁止車速領域の上限車速を超えた時点で低速追従制御機能を終了する構成としたが、加速禁止車速領域を設けずに、運転者のアクセル操作によって低速追従制御車速領域の上限車速を超えた時点で低速追従制御機能を終了するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上かつ高速道路かつ渋滞解消位置付近かつ先行車予測車速が車速閾値より高い場合に低速追従制御機能から高速追従制御機能へ自動切替する構成としたが、自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上になったときに、高速道路、渋滞解消位置付近、先行車予測車速が車速閾値より高いの3つの条件のうちの少なくとも1つの条件を満たす場合に低速追従制御機能から高速追従制御機能へ自動切替する構成としてもよい。
【0063】
また、本実施の形態では低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替条件の1つとして自車速が低速追従制御車速領域の上限車速以上としたが、自車速が高速追従起動可能車速領域の下限車速以上としてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替条件の1つとして高速道路としたが、高速道路以外の自動車専用道路であってもよい。
【0065】
また、本実施の形態では先行車両の走行状態として車速を予測し、自動切替条件の1つとしてその予測車速を用いたが、先行車両の加速度などの他の先行車両の走行状態を予測して用いてもよい。
【0066】
また、本実施の形態ではナビゲーション装置から渋滞情報や走行道路情報を取得する構成としたが、ナビゲーション装置を搭載していない場合にはVICSなどから情報を取得できる装置を搭載し、その装置から渋滞情報を取得する構成としてもよい。
【0067】
また、本実施の形態ではナビゲーション装置に対して情報の要求信号を送信し、その応答信号を受信することによって渋滞情報や走行道路情報を取得する構成としたが、ナビゲーション装置から一定時間毎に渋滞情報や走行道路情報を提供するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態に係る車速制御装置の構成図である。
【図2】図1の車速制御装置の低速追従制御機能と高速低速追従機能における制御車速領域と起動可能車速領域の関係を示す図である。
【図3】図1の車速制御装置における低速追従制御機能から高速追従制御機能への自動切替時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1…車速制御装置、2…レーザセンサ、3…ヨーレートセンサ、4…車速センサ、5…ブレーキスイッチ、6…アクセル開度センサ、7…低速追従制御用スイッチ、8…高速追従制御用スイッチ、9…ブレーキアクチュエータ、10…スロットルアクチュエータ、11…ブザー、12…ディスプレイ、13…ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車両に追従するために車両の走行状態を制御する車両走行制御装置であって、
低速用追従制御手段と、
制御開始許可車速領域が前記低速用追従制御手段の制御車速領域と重なる車速領域を含む高速用追従制御手段と、
前記低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する制御実行判定手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段で検出した車速が前記高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する車速判定手段と、
先行車両の走行状態を予測する予測手段と
を備え、
前記低速用追従制御手段による制御を実行中で、車速が前記高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内のときに、先行車両の走行状態が前記高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行すると予測される場合、前記低速用追従制御手段による制御から前記高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項2】
先行車両に追従するために車両の走行状態を制御する車両走行制御装置であって、
低速用追従制御手段と、
制御開始許可車速領域が前記低速用追従制御手段の制御車速領域と重なる車速領域を含む高速用追従制御手段と、
前記低速用追従制御手段による制御を実行しているか否かを判定する制御実行判定手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段で検出した車速が前記高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内か否かを判定する車速判定手段と、
車両の走行環境情報を取得する取得手段と
を備え、
前記低速用追従制御手段による制御を実行中で、車速が前記高速用追従制御手段の制御開始許可車速領域内のときに、車両の走行環境が前記高速用追従制御手段による制御を行うときの車速で走行可能な環境の場合、前記低速用追従制御手段による制御から前記高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項3】
前記取得手段は、車両が自動車専用道路を走行しているか否かの情報を取得し、
車両が自動車専用道路を走行している場合、前記低速用追従制御手段による制御から前記高速用追従制御手段による制御に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の車両走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−248335(P2006−248335A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66025(P2005−66025)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】