説明

車載情報提供装置

【課題】乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示すること。
【解決手段】GPS11が特定した自車両の位置情報と地図情報記憶部12が記憶する地図データとを用い、店舗サーバ通信部16が店舗サーバ2から自車両近傍の店舗に関する情報を取得する。そして、GPS11が出力する現在日時やVICS通信部13が出力する天候情報、乗員情報取得部14が取得した乗員の情報、走行履歴蓄積部16が蓄積した走行履歴に基づいて取得した店舗から乗員にとって適切な店舗を選定し、選定した店舗をディスプレイなどによって提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の乗員に対して情報提供を行なう車載情報提供装置に関し、特に、乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地までの経路を設定し、経路に沿って走行するよう案内するナビゲーション装置が利用されてきた。さらに近年、このナビゲーション装置に情報提供機能を持たせ、飲食店の場所などを案内する技術が各種考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2は、ユーザ(自車両の乗員)によって選択された施設の近傍における食事場所などの施設を案内する技術を公開している。
【0004】
また、特許文献3は、ユーザの視線方向を検出して食事をとる意思があるか否かを判定し、食事をとる意思があると判定した場合に食事場所に案内する技術を開示している。同様に、特許文献4はユーザの発言を認識して、特許文献5は運転経過時間を計測して、特許文献6は現在位置と時刻に基づいて、食事をとる意思があるか否かを判定し、食事をとる意思があると判定した場合に食事場所に案内する技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平6−295307号公報
【特許文献2】特開2001−147127号公報
【特許文献3】特開2001−194161号公報
【特許文献4】特開2001−289661号公報
【特許文献5】特開2001−317951号公報
【特許文献6】特開2001−50762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、所定範囲内にあり、特定の分野(飲食店、小売店など)に含まれる全ての店舗がユーザの選択対象として表示される。そのため、ユーザはその中から自らの希望する店舗を絞込む操作、最終的に希望する店舗を指定する操作を行なう必要がある。
【0007】
特に車載装置では表示領域の制限が厳しく、画面内に同時に表示可能な情報量が限られるため、絞込み操作が煩雑なものとなる。また、操作者が運転者である場合には、車両走行中に表示画面を注視することは危険であるので、操作量の増大は大きな問題となる。
【0008】
そこで、表示すべき情報を自動的に絞り込む、特に乗員の構成(人数、子供やペットの有無など)や、乗員の嗜好(飲食物自体に関する好みやアレルギー、喫煙を希望するか否か、など)に基づいて、乗員に適応した店舗を選定することで、乗員の操作量を軽減する技術の実現が重要な課題となっていた。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る車載情報提供装置は、車両の乗員に対して情報提供を行なう車載情報提供装置であって、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得する店舗情報取得手段と、乗員の情報を取得する乗員情報取得手段と、前記乗員情報および前記店舗情報に基づいて、乗員に提示する店舗を選定する店舗制定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この請求項1の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得するとともに、乗員の情報を取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0012】
また、請求項2の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1の発明において、前記店舗情報は、前記店舗の種別を示す種別情報、前記店舗の営業日時を示す日時情報、混雑度を示す混雑度情報、入店条件を示す条件情報、価格帯を示す価格情報、店舗の設備を示す設備情報、対象顧客を示す対象顧客情報のいずれかを含むことを特徴とする。
【0013】
この請求項2の発明によれば車載情報提供装置は、店舗の種別を示す種別情報、店舗の営業日時を示す日時情報、混雑度を示す混雑度情報、入店条件を示す条件情報、価格帯を示す価格情報、店舗の設備を示す設備情報、対象顧客を示す対象顧客情報などを店舗情報として取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0014】
また、請求項3の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1または2の発明において、前記店舗情報を外部から取得する店舗情報取得手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
この請求項3の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を外部から取得するとともに、乗員の情報を取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0016】
また、請求項4の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1,2または3の発明において、前記乗員情報は、乗員の人員構成、店舗に対する条件、店舗に関する嗜好、予算のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする。
【0017】
この請求項4の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得するとともに、乗員の人員構成、店舗に対する条件、店舗に関する嗜好、予算など乗員情報として取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0018】
また、請求項5の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1〜4のいずれか一つの発明において、自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段および現在の時刻情報を取得する現在時刻取得手段をさらに備え、前記店舗選定手段は、前記位置情報および前記時刻情報をさらに用いて乗員に提示する店舗を選定することを特徴とする。
【0019】
この請求項5の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の店舗情報、自車両の位置情報、現在の時刻情報、乗員情報を用いて乗員に提示する店舗を選定する。
【0020】
また、請求項6の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1〜5のいずれか一つの発明において、前記店舗は飲食店であって、前記店舗選定手段は、乗員に情報を提示するタイミングを自動的に判断することを特徴とする。
【0021】
この請求項6の発明によれば車載情報提供装置は、乗員に飲食店に関する情報を提示するタイミングを自動的に判断し、自車両の近傍に存在する飲食店の店舗情報および乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0022】
また、請求項7の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1〜6のいずれか一つの発明において、自車両の走行履歴を蓄積する走行履歴蓄積手段をさらに備え、前記店舗選定手段は、前記走行履歴をさらに用いて乗員に提示する店舗を選定することを特徴とする。
【0023】
この請求項7の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の走行履歴を蓄積し、乗員情報、走行履歴および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定する。
【0024】
また、請求項8の発明に係る車載情報提供装置は、請求項1〜7のいずれか一つの発明において、乗員が希望の店舗を選択した場合に、当該店舗への走行経路を設定する経路設定手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0025】
この請求項8の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の店舗情報と乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定し、乗員が希望店舗を選択した場合にその店舗への経路設定を行う。
【0026】
また、請求項9の発明に係る車載情報提供装置は、請求項8の発明において、前記経路設定手段は、前記店舗選定手段が選定した店舗を乗員に提示し、かつ乗員が希望の店舗を未選択である場合に、乗員による選択がなされた場合に走行する可能性の高い経路を暫定経路として設定することを特徴とする。
【0027】
この請求項9の発明によれば車載情報提供装置は、車両の近傍に存在する店舗の店舗情報と乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定し、乗員が希望の店舗を未選択である場合に、乗員による選択がなされた場合に走行する可能性の高い経路を暫定経路として設定する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得するとともに、乗員の情報を取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項2の発明によれば車載情報提供装置は、店舗の種別を示す種別情報、店舗の営業日時を示す日時情報、混雑度を示す混雑度情報、入店条件を示す条件情報、価格帯を示す価格情報、店舗の設備を示す設備情報、対象顧客を示す対象顧客情報などを店舗情報として取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、乗員にとって適切な店舗を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0030】
また、請求項3の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を外部から取得するとともに、乗員の情報を取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、外部に記憶された情報から必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項4の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得するとともに、乗員の人員構成、店舗に対する条件、店舗に関する嗜好、予算など乗員情報として取得し、乗員情報および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏するので、乗員に適応した情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項5の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の店舗情報、自車両の位置情報、現在の時刻情報、乗員情報を用いて乗員に提示する店舗を選定するので、位置や時刻から乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項6の発明によれば車載情報提供装置は、乗員に飲食店に関する情報を提示するタイミングを自動的に判断し、自車両の近傍に存在する飲食店の店舗情報および乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、飲食店の情報提示の必要性を自動的に判断するとともに、必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項7の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の走行履歴を蓄積し、乗員情報、走行履歴および店舗情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定するので、過去の履歴から必要な情報を自動的に選定して提示する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項8の発明によれば車載情報提供装置は、自車両の近傍に存在する店舗の店舗情報と乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定し、乗員が希望店舗を選択した場合にその店舗への経路設定を行うので、乗員にとって必要な情報を自動的に選定し、経路を設定する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0036】
また、請求項9の発明によれば車載情報提供装置は、車両の近傍に存在する店舗の店舗情報と乗員情報に基づいて乗員に提示する店舗を選定し、乗員が希望の店舗を未選択である場合に、乗員による選択がなされた場合に走行する可能性の高い経路を暫定経路として設定するので、乗員にとって必要な情報を自動的に選定するとともに、乗員による最終決定が為されていない場合であっても適切な経路を設定する車載情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車載情報提供装置の好適な実施例であるナビゲーション装置について詳細に説明する。
【実施例】
【0038】
図1は、本発明の実施例であるナビゲーション装置の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、ナビゲーション装置1は、その内部にGPS(Global Positioning System)11、地図情報記憶部12、VICS(Vehicle Information and Communication System)通信部13、乗員情報取得部14、走行履歴記憶部15、店舗サーバ通信部16および主制御部20を有する。
【0039】
GPS11は、人工衛星との通信によって自車両の位置を特定する手段である。また、GPS11は自車両の位置を特定するために高精度の時刻情報を取得する。地図情報記憶部12は、道路の形状や周辺の施設を含む地図データを格納する記憶手段である。
【0040】
VICS通信部13は、道路に設置された路側通信装置と通信する通信手段であり、このVICS通信部13によって渋滞などの交通情報や天候情報などを取得することができる。
【0041】
乗員情報取得部14は、自車両の乗員に関する情報を取得する手段である。具体的には、カードなどの記憶媒体に予め記憶させた情報を読み出してもよいし、乗員自身に入力させてもよい。また、乗員の構成や人数などは、車内カメラが撮影した画像から認識することもできる。
【0042】
走行履歴記憶部15は、自車両が過去に走行した経路を走行履歴データとして記憶する記憶部であり、この走行履歴データによって自車両が過去、どの店舗に立ち寄ったかを判定することができる。
【0043】
店舗サーバ通信部16は、店舗に関する情報を格納した店舗サーバ2と通信し、自車両周辺の店舗に関する情報を取得する。また、予約可能な店舗に対して予約処理を行なうこともできる。
【0044】
主制御部20は、ナビゲーション装置1を全体制御する制御部であり、その内部に経路設定部21、店舗選定部22、予約処理部23を有する。経路設定部21は、GPS11が特定した現在位置や地図情報記憶部12が記憶する地図データ、VICS通信部13が取得した交通情報などを用いて自車両の走行予定経路を設定し、図示しないディスプレイへの表示出力やスピーカへの音声出力によって経路案内を行なう処理部である。この走行予定経路は、乗員から目的地の入力を受け付けて目的地への最適な経路を設定する他、所定の店舗に向かう最適な経路を設定することもできる。
【0045】
店舗選定部22は、GPS11、地図情報記憶部12、VICS通信部13、乗員情報取得部14、走行履歴記憶部15、店舗サーバ通信部16の出力を用い、自車両周辺の店舗から適切な店舗を選定して乗員に提示する処理を行なう。
【0046】
具体的には、GPS11が特定した自車両の位置情報と地図情報記憶部12が記憶する地図データとを用い、店舗サーバ通信部16が店舗サーバ2から自車両近傍の店舗に関する情報を取得する。そして、現在日時や天候、乗員の情報、走行履歴に基づいて取得した店舗をフィルタリング、すなわち乗員にとって適切な店舗を選定し、選定した店舗をディスプレイなどによって提示する。
【0047】
したがって、乗員は予め絞り込まれた店舗の提示を受けることとなり、少ない操作で自らの望む店舗を選択することができる。さらに、店舗選定部22は、乗員が希望する店舗を選択した場合に、その店舗の位置を経路設定部21に出力し、経路設定部21は乗員が選択した店舗に向かう最適な経路を設定する。また、乗員が選択した店舗が予約可能であるならば、予約処理部23によってその店舗に予約を行なう。
【0048】
ところで、店舗選定部22が選定した店舗を提示してから、乗員が希望の店舗を決定するまでの時間(思案時間)にも車両は走行しており、この思案時間の間に車両がどの経路を走行するかによって選択可能な店舗が変動することが考えられる。そこで、思案時間中には乗員の選択肢が適切に残る経路を暫定的に設定する暫定経路設定部24を経路設定部21の内部に設けている。
【0049】
つぎに、図2を参照し、店舗選定部22が店舗の選定に使用する情報について説明する。なお、ここでは、店舗の1分野である飲食店を例とし、乗員が飲食を行なう場合に、店舗選定部22が飲食店の選定に使用する情報を説明する。
【0050】
同図に示すように、まず、飲食店の種類(カテゴリ)が情報として使用可能である。このカテゴリ情報としては、「喫茶・軽食」や「和食」、「中華」、「蕎麦屋」、「ラーメン屋」などの種類を各店舗に対応付けて店舗サーバ2に記憶しておけば良い。
【0051】
また、各店舗の営業日や営業時間、例えば「9時〜22時、水曜定休」などの情報を店舗サーバ2に記憶しておくことで、車両側はGPS11から取得した現在日時を用いてその店舗が営業中であるか否かを判定することができる。
【0052】
さらに、店舗によっては天候に依存して営業するか否かが決定される場合や、営業態様が変更されることがあるので、例えば「オープンカフェ部分は雨天時閉鎖」などの情報を店舗サーバ2に記憶し、車両がVICSなどによって天候情報を取得することで店舗の営業状態を判定することができる。
【0053】
また、店舗の混雑状況によっては入店できない場合やサービスの提供までに時間がかかることがあるので、混雑度についても店舗サーバ2に記憶しておく。この混雑度など随時変動する情報に関しては、店舗側から店舗サーバ2の情報を更新するようにしてもよいし、店舗サーバ2から必要に応じて店舗に問い合わせるようにしてもよい。
【0054】
さらに、料金についても店舗サーバ2に価格帯の情報、例えば「1000円程度」などの情報を記憶しておき、乗員の予算に合わせて店舗の選定を行なうことができる。ここで、価格帯については、乗員自身による入力を受け付けてもよいし、乗員情報取得部13や走行履歴記憶部14が記憶する過去の店舗での使用金額から判断しても良い。
【0055】
また、店舗には入店に制限、例えば「ペットの入店不可」などの条件がある場合があるので、入店制限に関する情報についても店舗情報サーバ2に記憶するとともに、乗員情報を参照して入店が可能であるか否かを判定することができる。
【0056】
同様に、子供連れ、例えばベビーカーでの入店に対応できるかどうか、またレストランなどでは子供向けの食事が提供可能であるか否かの情報も店舗サーバ2に記憶しておく。そして、乗員情報が示す乗員の構成に子供が含まれている場合には、この情報に基づいて店舗の選定を行なう。
【0057】
また、バリアフリー対応、例えば車椅子で入店可能であるか否か(店舗内の段差の有無など)について店舗サーバ2に記憶しておき、乗員の構成に基づいた店舗の選定に使用する。
【0058】
さらに、喫煙席・禁煙席についても、喫煙席があるか、禁煙席があるか、禁煙席と喫煙席の分離状態はどうなっているか、などの情報を店舗サーバ2に記憶しておく。そして、乗員情報に含まれるユーザの嗜好(喫煙する、禁煙席希望、など)に基づいて店舗の選定を行なう。同様に、食品に対する好みやアレルギーのある食品などについても乗員情報に含めることで、店舗の選定に使用することができる。
【0059】
また、駐車場の有無や空き情報、入庫する車両の条件についても、例えば「駐車場有、ハイルーフ不可、現在5台分の空きあり」のように店舗情報として店舗サーバ2に記憶しておく。駐車場の空き情報についても店舗側から店舗サーバ2の情報を更新する、店舗サーバ2から必要に応じて店舗に問い合わせる、などによってその変化に対応することができる。そして、自車両の車種などに基づいて駐車可能であるか否かを判定し、店舗の選定に使用する。
【0060】
さらに、各店舗の評判についても、例えば「先月開店、落ち着いた雰囲気で人気有り」などのように店舗サーバ2に記憶する。また、店舗が主な対象とする顧客像についても「家族向け」、「女性向け」、「カップル向け」などの情報を店舗サーバ2に記憶し、乗員の人数、構成などに基づいて選定を行なう。
【0061】
また、店舗が予約可能であるか否かの情報を店舗サーバ2に記憶しておくことで、予約可能である場合には予約処理部23による予約を行なうことができる。さらに、走行履歴記憶部15が記憶する走行履歴データによって、連続性に基づいた選定(前日にラーメン屋に行ったので、ラーメン屋を除外して店舗を選ぶ、など)を行なうことができる。
【0062】
つづいて、ナビゲーション装置1の処理動作について、図3に示したフローチャートを参照して説明する。この処理フローは、ナビゲーション装置1が乗員に飲食店を提示する必要有りと判定した場合に開始される処理である。飲食店の提示の必要性は、乗員の入力に従ってもよいし、ナビゲーション装置1が自動的に判定しても良い。ナビゲーション装置1が自動的に判定する場合、例えば「日常的な食事時間になった場合(11時〜13時など)」、「前回の食事から所定時間(4時間など)経過した場合」に「食事を取る可能性有り」すなわち「飲食店の提示の必要性有り」と判定することができる。
【0063】
同図に示した処理フローでは、まず、位置情報、時刻情報、天候情報、乗員情報、走行履歴、店舗情報などの各種情報を取得する(ステップS101)。つぎに、取得した情報をもとに店舗選定部22が店舗の選定(フィルタリング)を実行する(ステップS102)。
【0064】
その後、選定した店舗をディスプレイなどを用いて乗員に提示する(ステップS103)。さらに、乗員から店舗の指定を受け付けたか否かを判定し(ステップS104)、乗員が店舗を指定していなければ(ステップS104,No)、暫定経路を設定し(ステップS108)、再度ステップS103に移行する。
【0065】
一方、乗員が店舗を指定したならば(ステップS104,Yes)、その店舗が予約可能であるか否かを判定する(ステップS105)。そして、店舗が予約可能であれば(ステップS105,Yes)予約処理部23による予約処理を実行する(ステップS1106)。予約処理の終了後、もしくは予約不可能である場合(ステップS105,No)、その店舗に到達する経路を経路設定部24が設定(ステップS107)し、処理を終了する。
【0066】
つぎに、暫定経路の設定について図4を参照してさらに説明する。同図では自車両が走行している道路は進行先でA路とB路とに分岐している。そして、A路側には多数の店舗が構成する店舗群51があり、B路側には店舗52がある。
【0067】
乗員に店舗の情報を提示した後、自車両がA路とB路の分岐点に到達するまでに乗員が店舗を決めたならば、その店舗が存在する側の道路に案内すればよい。しかし、乗員が希望の店舗を決定するまでの時間(思案時間)の間に自車両がA路とB路の分岐点に到達する場合に備え、思案時間中には乗員の選択肢が適切に残る経路、同図では多数の店舗が存在するA路を暫定経路として設定する。
【0068】
なお、ここでは店舗の数によって暫定経路を決定する場合について説明したが、乗員の嗜好や過去の走行履歴、各店舗の混雑状態など、他の要因を用いて暫定経路を設定してもよいことは言うまでも無い。
【0069】
上述してきたように、本実施例にかかるナビゲーション装置1は、店舗サーバ2から取得した店舗情報に対し、営業状態や設備などによってフィルタリングを行ない、また、乗員の嗜好などによって加工(カスタマイズ)することで、乗員にとって必要な情報を自動的に選定して提示することができる。
【0070】
そのため、少ない操作で自らの望む店舗を選択することができ、運転者を運転操作に集中させることで、もって車両走行の安全性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる車載情報提供装置は、車両の乗員に対する情報提供に有用であり、特に、乗員にとって必要な情報の自動的な選定に適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例であるのナビゲーション装置の概要構成を示す該要構成図である。
【図2】店舗の選定に使用する情報の具体例を説明する説明図である。
【図3】図1に示したナビゲーション装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】暫定経路の設定について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 ナビゲーション装置
2 店舗サーバ
11 GPS
12 地図情報記憶部
13 VICS通信部
14 乗員情報取得部
15 走行履歴記憶部
16 店舗サーバ通信部
20 主制御部
21 経路設定部
22 店舗選定部
23 予約処理部
24 暫定経路設定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員に対して情報提供を行なう車載情報提供装置であって、
自車両の近傍に存在する店舗の情報を示す店舗情報を取得する店舗情報取得手段と、
乗員の情報を取得する乗員情報取得手段と、
前記乗員情報および前記店舗情報に基づいて、乗員に提示する店舗を選定する店舗制定手段と、
を備えたことを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項2】
前記店舗情報は、前記店舗の種別を示す種別情報、前記店舗の営業日時を示す日時情報、混雑度を示す混雑度情報、入店条件を示す条件情報、価格帯を示す価格情報、店舗の設備を示す設備情報、対象顧客を示す対象顧客情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の車載情報提供装置。
【請求項3】
前記店舗情報を外部から取得する店舗情報取得手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車載情報提供装置。
【請求項4】
前記乗員情報は、乗員の人員構成、店舗に対する条件、店舗に関する嗜好、予算のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載の車載情報提供装置。
【請求項5】
自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段および現在の時刻情報を取得する現在時刻取得手段をさらに備え、前記店舗選定手段は、前記位置情報および前記時刻情報をさらに用いて乗員に提示する店舗を選定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載情報提供装置。
【請求項6】
前記店舗は飲食店であって、前記店舗選定手段は、乗員に情報を提示するタイミングを自動的に判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車載情報提供装置。
【請求項7】
自車両の走行履歴を蓄積する走行履歴蓄積手段をさらに備え、前記店舗選定手段は、前記走行履歴をさらに用いて乗員に提示する店舗を選定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の車載情報提供装置。
【請求項8】
乗員が希望の店舗を選択した場合に、当該店舗への走行経路を設定する経路設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の車載情報提供装置。
【請求項9】
前記経路設定手段は、前記店舗選定手段が選定した店舗を乗員に提示し、かつ乗員が希望の店舗を未選択である場合に、乗員による選択がなされた場合に走行する可能性の高い経路を暫定経路として設定することを特徴とする請求項8に記載の車載情報提供装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−184008(P2006−184008A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374455(P2004−374455)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】