説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合に当該時間帯を考慮した警告を行うと共に駐停車に関しての案内情報を提供し、ひいては当該区域における交通法規違反の未然防止と駐停車に関しての便宜を図ることに寄与することができる「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】交通法規に関する情報を含む地図データを格納した記憶手段と、自車の現在位置を検出する手段と、表示手段とを備えた車載用ナビゲーション装置において、自車の駐停車を検出したときに(S1)、自車の現在位置と地図データとを参照して、駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である場合に(S2,S4)、当該時間帯に応じた警告及び駐停車に関しての案内情報を表示手段の画面に表示する(S5,S6)。同時に、あるいは画面表示に代えて、スピーカから当該警告等を音声出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用ナビゲーション装置に関し、特に、駐停車禁止区域に駐停車した場合に警告及びそれに基づいた駐停車に関しての案内情報を提供するよう適応された車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な車載用ナビゲーション装置では、ナビゲーションに係る一切の処理を制御する制御装置、地図データを格納したCD−ROMやDVD−ROM等の記憶装置、LCDモニタ等の表示装置、自車の現在位置を検出するためのGPS受信機、自車の方位や走行速度等を検出するためのジャイロや車速センサ等(自立航法センサ)が設けられている。そして、制御装置により、自車の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、この地図データに基づいて自車位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に描画すると共に、自車の現在位置を示す自車位置マークを画面上に重ね合わせて表示し、自車の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定して自車位置マークを移動させたりして、自車が現在何処を走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、ユーザ(代表的には、運転者)が目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、地図データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って自動探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また車両が誘導経路上で進路を変更すべき交差点に所定距離内に近づいたとき、地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図と該交差点での進行方向を示す矢印など)を表示したりすることで、目的地に向けた最適な経路をユーザが把握できるようになっている。
【0004】
この場合、地図データを格納している記憶装置には、道路や施設等に関する情報のみならず、交通法規に関する情報(制限速度、一方通行、一時停止、駐(停)車禁止、時間制限駐車区間など)が格納されている場合が多く、また、道路渋滞等のリアルタイムな交通情報が得られるVICS(道路交通情報通信システム)と呼ばれる手段からの情報が得られるようになっている。そして、これらの交通法規に関する情報とリアルタイムな交通情報とに基づいて、走行中の道路の制限速度や、駐(停)車した場所が駐(停)車禁止区域である旨を表示画面に表示したり、道路渋滞の箇所を表示画面に表示している。
【0005】
上記の従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、交通法規情報の報知機能付きの車両走行誘導装置において、駐車禁止地帯に車両が駐車されたことが検出されたときに表示または音声アナウンスによって警告を行うようにしたものがある。
【特許文献1】特開2000−337915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように従来の車載用ナビゲーション装置では、一方通行や一時停止、駐(停)車禁止等の交通法規に関する情報は、道路や施設等に関する情報と共に地図データに含ませて既に格納されている場合が多いが、現状の技術では、十分に活用されていない場合が多い。
【0007】
また、一方通行道路の逆走等や駐(停)車禁止区域での駐(停)車等の交通法規に違反した行為を行った場合には、それをチェックできないために交通法規を遵守するかどうかは運転者の良識もしくは知識に依存していた。このため、運転経験の浅い運転者の知識不足を補うことができなかった。また、一方通行道路の逆走のみならず駐(停)車禁止の交通標識を運転者が見落としてしまった場合に、それを確認する手段がなかった。
【0008】
上述した特許文献1に記載された技術では、かかる不都合に対処できるようにしているが、この特許文献1に開示された技術では、駐車禁止地帯に車両を駐車したときに表示または音声アナウンスによって警告(交通法規違反となる旨の事前報知、又は交通法規違反を犯している旨の報知)を行うに留まり、駐停車に関してユーザの便宜を図る情報案内を行うまでには至っていない。
【0009】
また、その駐車禁止地帯が時間帯制限のある区域であるか否かにかかわらず、一律に警告のみを行うようにしているため、例えば、時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合においてその時刻が駐停車禁止時間外(駐停車可能な時間帯)であっても、その旨の情報案内が行われておらず、ユーザにとっては不便であり、改善の余地がある。
【0010】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合に当該時間帯を考慮した警告を行うと共に駐停車に関しての案内情報を提供し、ひいては当該区域における交通法規違反の未然防止と駐停車に関しての便宜を図ることに寄与することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明によれば、交通法規に関する情報を含む地図データを格納した記憶手段と、自車の現在位置を検出する位置検出手段と、画面を介して案内情報を提供する表示手段と、前記記憶手段、前記位置検出手段及び前記表示手段に動作可能に接続された制御手段とを備え、前記制御手段は、車両状態信号に基づいて自車の駐停車を検出したときに、前記位置検出手段により検出された自車位置と前記地図データとを参照して、駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である場合に、当該時間帯に応じた警告及び駐停車に関しての案内情報を前記表示手段の画面に表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0012】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、自車の駐停車を検出したときに、交通法規に関する情報を含む地図データと自車位置とを参照して、その駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域であるときは、その制限されている時間帯に応じた警告を表示手段の画面に表示すると共に、駐停車に関しての案内情報も併せて表示するようにしている。つまり、交通法規違反となる旨の警告のみならず、その警告に基づいた駐停車に関しての情報案内(例えば、「最寄の駐車場まで案内します」、「あと30分間駐停車できます」といった案内)も同時に行っている。
【0013】
これにより、当該区域における交通法規違反の未然防止を図ると共に、駐停車に関してユーザの便宜を図ることができる。また、制限されている時間帯を考慮した警告を行っているので、例えば、駐停車した時刻が駐停車禁止時間外(駐停車可能な時間帯)であってもそれに応じた情報案内が行われるため、ユーザにとっては非常に有用である。
【0014】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置の他の構成上の特徴及びそれに基づく具体的な処理態様等については、後述する発明の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成をブロック図の形態で示したものである。
【0017】
本実施形態の車載用ナビゲーション装置20は、図示のようにDVDドライブ1(DVD1aを含む)と、操作部2と、GPS受信機3と、自立航法センサ4と、通信機5と、VICS受信機6と、車載カメラ7と、表示装置8と、スピーカ9と、ナビゲーション装置本体10とを備えている。ナビゲーション装置本体10は、マイクロコンピュータ等により構成され、後述するように地図や自車位置マーク等の描画処理、経路探索処理、マップマッチング及びそれに基づいた自車位置修正処理などを行うものであり、特に本発明に関連する処理として、後述するように時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及びそれに基づいた駐停車に関しての案内情報の表示等を制御する。
【0018】
DVDドライブ1によって駆動されるDVD(DVD−ROM)1aには地図データが格納され、この地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、道路等は経緯度で表現された点(ノード)の座標集合で表されている。道路は2以上のノードの連結からなり、2つのノードを連結した部分はリンクと呼ばれる。地図データは各種のレイヤから構成され、例えば、道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト、交差点ネットリスト等からなるマップマッチング用及び経路探索用の道路レイヤ、地図画面上に道路、建物、施設、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、行政区画名、道路名、交差点名、建物や施設等の名称や住所等の文字、地図記号等を表示するための文字・記号レイヤ等から構成されている。このうち背景レイヤには、特に本発明に関連する情報として、交通法規に関する情報(「駐停車禁止」、「駐車禁止」、「時間制限駐車区間」等の交通標識のデータ)も含まれている。本実施形態では、地図データを格納する記録媒体としてDVD−ROMを使用しているが、これに代えて、CD−ROMやHDD等の他の記録媒体を使用してもよい。
【0019】
操作部2はナビゲーション装置本体10を操作するためのものであり、例えば、赤外線通信等によりナビゲーション装置本体10に接続されるリモコン送信器の形態を有している。特に図示はしないが、かかるリモコン送信器には、表示装置8に各種操作画面を表示させたり、画面上の各種メニュー、各種項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させるための各種操作ボタン、ジョイスティック等が設けられている。操作部2の形態としては、リモコン送信器以外にも、センターコンソール上に固定的に設けられた「操作パネル」であってもよい。GPS受信機3は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をアンテナで受信して自車の現在位置の経度及び緯度を検出し、3次元測位処理等を行って自車の絶対位置及び方位を算出する。車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間前の自車位置とに基づいて算出することができる。自立航法センサ4は、自車の車両方位を検出するためのジャイロ等の角度センサや一定の走行距離毎にパルスを発生する距離センサ等からなり、これらのセンサによって自車の相対位置及び方位を算出する。
【0020】
通信機5は車載電話機や携帯電話機等からなり、後述するように地図データの配信サービスを行う外部の情報センタ等と通信して所要の最新の地図情報を取得したり、各都道府県警から指定されている「重点取締り区域・時間帯」の情報を取得したり、自車を離れている間に所定のタイミングで警告情報をユーザに通知する際に使用される。VICS受信機6は、走行する道路の路肩に設置された電波ビーコンや光ビーコン等から送られてくる道路渋滞等のリアルタイムな交通情報を受信して制御部12に出力する。車載カメラ7は車両の適当な箇所に設置されており、例えば、車室内の運転席前方のルームミラーの近傍に1台(レンズを車両前方に向けて)設けられている。
【0021】
表示装置8はLCDモニタ等からなり、センターコンソール上で操作部2の上方に設置されている。この表示装置8は、基本的には、ナビゲーション装置本体10からの制御に基づいてナビゲーションに係る案内情報(自車位置の周囲の地図、出発地から目的地までの誘導経路、自車位置マーク等)を画面に表示し、さらに、後述するように本装置20において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及びそれに基づいた駐停車に関しての案内情報を画面に表示するものである。スピーカ9は、車室内の所定の場所に所要の個数(例えば、フロント席の左右の近傍とリア席(1列)の左右の近傍にそれぞれ2個ずつ)設置されており、ナビゲーション装置本体10からの制御に基づいて上記のナビゲーションに係る案内情報と上記の警告及びそれに基づいた案内情報を音声出力するものである。
【0022】
ナビゲーション装置本体10において、11はDVDドライブ1を介してDVD1aから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリ、12はナビゲーション装置本体10の中枢をなす制御部を示す。この制御部12は、特に図示はしないが、実行すべき処理を規定した各種プログラムを内蔵しており、さらに、後述するように特定の処理を行う際に利用するタイマ機能を内蔵している。
【0023】
制御部12は、内蔵した各種プログラムに従って処理を行い、基本的には、GPS受信機3から出力される自車の絶対位置及び方位のデータを格納し、自立航法センサ4から出力される自車の相対位置及び方位のデータに基づいて自車の推定車両位置を算出したり、DVDドライブ1を制御して表示させたい範囲(自車の現在位置を含む所要の範囲)の地図データをDVD1aからバッファメモリ11に読み出し、その地図データを用いて設定された探索条件で出発地(自車位置)から目的地までの誘導経路を探索したり、その地図データと自立航法センサ4から出力されるデータとを用いて所定走行距離毎あるいは所定時間毎にマップマッチング処理を行い自車位置を走行道路上に位置修正したり、地図データに含まれる交通法規に関する情報とVICS受信機6から出力されるリアルタイムな交通情報とに基づいて道路渋滞の箇所等を表示装置8の画面に表示させたりするなど、ナビゲーションに係る種々の処理を実行する。さらに制御部12は、本発明に関連する処理として、後述するように本装置20において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及びそれに基づいた駐停車に関しての案内情報の表示等に係る処理を制御する。また、特定の実施形態においては、ハザードランプ明滅用の制御信号もしくはクラクション鳴動用の制御信号を生成して当該機器に出力する。
【0024】
また、制御部12には、車載の各種センサ等から出力される車両状態信号が入力されている。例えば、シフト位置センサから出力される各シフト位置(AT車の場合、P,R,N,D)を指示する信号、操舵角センサから出力されるハンドル操作の回転量に応じた操舵角を指示する信号、イグニションキーのオン/オフ操作に基づいたエンジン起動/停止信号、ドアの開閉操作に基づいたドア開閉信号等が含まれる。このうち、シフト位置(信号)とエンジン起動/停止信号は、後述するように自車が駐停車したか否かを検出するのに用いられ、さらにこれら信号と併せてドア開閉信号は、ユーザが降車したか否かを検出するのに用いられる。
【0025】
13は制御部12からの制御に基づいてバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像の描画処理を行う地図描画部、14は動作状況に応じて各種メニュー画面(操作画面)及び自車位置マーク、カーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部、15は制御部12によって探索された誘導経路の出発地(自車位置)から目的地までの全てのノードに関するデータを格納しておくための誘導経路記憶部、16は制御部12からの制御に基づいて誘導経路記憶部15から誘導経路のデータを読み出し、当該誘導経路を他の道路とは異なる表示態様(例えば、色を変える、線幅を太くするなど)で描画する誘導経路描画部を示す。
【0026】
17は画像合成部を示し、制御部12からの制御に基づいて、地図描画部13で描画された地図画像に、誘導経路描画部16で描画された誘導経路、操作画面・マーク発生部14で生成された各種メニュー画面や各種マーク等を重ね合わせて、表示装置8の画面に表示させる機能を有している。さらに画像合成部17は、本発明に関連する処理として、後述するように本装置20において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及びそれに基づいた駐停車に関しての案内情報を表示装置8の画面に表示させる機能も有している。18は音声出力部を示し、制御部12からの制御に基づいて上記のナビゲーションに係る案内情報と上記の警告及びそれに基づいた案内情報を音声信号としてスピーカ9に出力する。
【0027】
以上の構成に係る車載用ナビゲーション装置20において、DVDドライブ1(DVD1aを含む)は「記憶手段」に、GPS受信機3は「位置検出手段」に、通信機5は「通信手段」に、車載カメラ7は「撮像手段」に、表示装置8は「表示手段」に、制御部12は「制御手段」に、それぞれ対応している。
【0028】
以下、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等に係る処理について、その一例を示す図2を参照しながら説明する。併せて、図3も参照しながら補足説明する。
【0029】
先ず初期状態として、自車が道路上を走行しているものとする。この状態で、最初のステップS1では、制御部12において、入力される車両状態信号(ここでは、シフト位置信号とエンジン起動/停止信号)に基づいて自車が駐停車した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS2に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0030】
次のステップS2では、制御部12において、GPS受信機3から取得したデータ(自車位置)とバッファメモリ11に読み出した所要範囲(自車の現在位置を含む)の地図データとを参照して、その駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である(YES)か否(NO)かを判定する。この判定は、その駐停車した場所に「駐停車禁止」の交通標識が設置されているか否かに基づいて行う。そして、判定結果がYESの場合にはステップS3に進み、判定結果がNOの場合にはステップS4に進む。
【0031】
ステップS3では、制御部12において、タイマ機能に基づき、その駐停車禁止区域に駐停車した時刻を参照して、その駐停車した時刻が駐停車禁止時間内にある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS5に進み、判定結果がNOの場合にはステップS6に進む。
【0032】
ステップS5では、制御部12からの制御に基づき画像合成部17を介して表示装置8に対し、その旨の警告を画面に表示させると共に、制御部12により検索した最寄の駐車場への経路案内情報を表示させる。この画面を介しての表示に代えて、制御部12からの制御に基づき音声出力部18を介してスピーカ9に対し、その旨の警告、及び最寄の駐車場への案内情報を音声出力させるようにしてもよい。あるいは、表示装置8の画面を介しての表示とスピーカ9を介しての音声出力を同時に行わせるようにしてもよい。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0033】
ステップS5で行う警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等の一例を図3(a)に示す。図示の例では、「駐停車禁止」の交通標識M1が設置された駐停車禁止区域に自車30を駐停車した場合において、例えば、その駐停車した時刻が19時30分であった場合に、「この時間帯は駐停車禁止です。」という警告メッセージと共に、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」という案内情報を表示(音声出力)させているときの様子をイメージ的に示している。案内情報については、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」の代わりに、「最寄の駐車場まで案内します」という内容でもよい。
【0034】
一方、ステップS6では、制御部12からの制御に基づき画像合成部17を介して表示装置8に対し、その旨の警告を画面に表示させると共に、制御部12のタイマ機能に基づいて算出した駐(停)車可能な残り時間の情報を表示させる。ステップS5の場合と同様に、画面を介しての表示に代えて、スピーカ9を介しての音声出力を行わせるようにしてもよいし、あるいは、表示と音声出力を同時に行わせるようにしてもよい。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0035】
ステップS6で行う警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等の一例を図3(b)に示す。図示の例では、「駐停車禁止」の交通標識M1が設置された駐停車禁止区域に自車30を駐停車した場合において、例えば、その駐停車した時刻が16時30分であった場合に、「ここは17時から駐停車禁止になります」という警告メッセージと共に、「あと30分間駐停車できます」という案内情報を表示(音声出力)させているときの様子をイメージ的に示している。
【0036】
一方、ステップS4では(駐停車した場所に「駐停車禁止」の交通標識が設置されていない場合)、制御部12において、GPS受信機3から取得したデータ(自車位置)とバッファメモリ11に読み出した所要範囲(自車の現在位置を含む)の地図データとを参照して、その駐停車した場所が時間制限駐車区間である(YES)か否(NO)かを判定する。この判定は、その駐停車した場所に「時間制限駐車区間」の交通標識が設置されているか否かに基づいて行う。そして、判定結果がYESの場合にはステップS6に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0037】
ステップS4(YES)からステップS6に進んだ場合に行う警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等の一例を図3(c)に示す。図示の例では、「時間制限駐車区間」の交通標識M2が設置された区域に自車30を駐停車した場合において、例えば、その駐停車した時刻が12時00分であった場合に、「ここは時間制限駐車区間です」という警告メッセージと共に、「あと60分間駐車できます」という案内情報を表示(音声出力)させているときの様子をイメージ的に示している。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等に係る処理(図2、図3)によれば、自車の駐停車を検出したときに、交通法規に関する情報を含む地図データと自車位置とを参照して、その駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域もしくは時間制限駐車区間であるときは、その制限されている時間帯に応じた警告を表示装置8の画面に表示(スピーカ9を介して音声出力)すると共に、駐停車に関しての案内情報(最寄の駐車場への案内情報、駐(停)車可能な残り時間の情報)も併せて表示(音声出力)するようにしている。つまり、交通法規違反となる旨の警告メッセージと共に、駐停車に関しての情報案内も同時に行っている。
【0039】
これによって、当該区域における交通法規違反の未然防止を図り、駐停車に関してユーザの便宜を図ることが可能となる。また、制限されている時間帯を考慮した警告を行っているので、例えば、駐停車した時刻が駐停車禁止時間外(駐停車可能な時間帯)であってもそれに応じた情報案内が行われるため、ユーザの便宜を大いに図ることができる。
【0040】
なお、上述した実施形態では、駐停車した場所・時刻(時間)が駐停車禁止区域・時間帯に該当するかどうかの判断を車載の地図データベースと自車位置と制御部12のタイマ機能とに基づいて行う場合を例にとって説明したが、駐停車した場所・時刻(時間)が各都道府県警から指定されている「重点取締り区域・時間帯」(2006/6/1からの駐停車違反取締りの民間委託で民間監視員が取り締まる区域・時間帯)に該当する場合も、本発明は同様に適用することができる。この場合、自車が駐停車した時に、自車の現在位置を含む区域を管轄している警察署などにアクセスして、当該場所・時刻(時間)が重点取締り区域・時間帯に該当する旨の情報を取得したときは、図2のステップS5で行った処理と同様にして、その旨の警告、及び最寄の駐車場への案内情報を表示(音声出力)させるようにする。
【0041】
この場合の警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等の一例を図4に示す。図示の例では、「駐停車禁止」の交通標識Mが設置された駐停車禁止区域に自車30を駐停車した場合において、さらに通信機5を介して外部から、その場所・時刻(時間)が重点取締り区域・時間帯に該当する旨の情報を受信した場合に、「この場所・この時間は、駐停車違反取締り民間委託の重点地域(重点路線)・重点時間帯に該当します。」という警告メッセージと共に、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」という案内情報を表示(音声出力)させているときの様子をイメージ的に示している。案内情報については、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」の代わりに、「最寄の駐車場まで案内します」という内容でもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、駐停車禁止区域に駐停車したときにユーザが乗車したままの状態でいることを前提にして警告及び駐停車に関しての情報案内を行う場合を例にとって説明したが、当該区域に駐停車したときにユーザが降車して車両から離れている場合には、上述したような処理(図2〜図4)を行っても意味はない。そこで、このような場合に対処し得る実施形態について、以下、図5を参照しながら説明する。併せて、図6も参照しながら補足説明する。
【0043】
先ず初期状態として、図2の処理フローの場合と同様に自車が道路上を走行しているものとし、さらに、ユーザは乗車/降車にかかわらず常に携帯電話(図6の携帯電話40)の電源をオンにしたままで所持しているものとする。
【0044】
この状態で、最初のステップS11では、図2のステップS1で行った処理と同様にして、制御部12において、車両状態信号(シフト位置とエンジン起動/停止信号)に基づいて自車が駐停車した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS12に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0045】
次のステップS12では、制御部12において、GPS受信機3で算出された自車位置とバッファメモリ11に読み出した所要範囲(自車の現在位置を含む)の地図データとを参照して、その駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である(YES)か否(NO)かを判定する。この判定は、その駐停車した場所に「時間制限駐車区間」の交通標識(図3(c)に示した交通標識M2)が設置されているか否かに基づいて行う。そして、判定結果がYESの場合にはステップS13に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0046】
次のステップS13では、制御部12において、車両状態信号(ここでは、シフト位置信号とエンジン起動/停止信号とドア開閉信号)に基づいてユーザが降車した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS14に進み、判定結果がNOの場合にはステップS15に進む。
【0047】
ステップS14では、制御部12において、タイマ機能に基づき、ユーザが降車した時刻を特定すると共に、ステップS12で認識した「時間制限駐車区間」の交通標識の情報から駐(停)車可能な残り時間を算出し、この駐(停)車可能な残り時間のカウントダウンを開始する。
【0048】
次のステップS16では、制御部12において、タイマ機能に基づき、カウントダウンを開始してから所定のタイミングに達した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS17に進み、判定結果がNOの場合には所定のタイミングに達するまで判定処理を繰り返す。この所定のタイミングは、例えば、駐(停)車可能な残り時間が60分あった場合に、その残り時間が経過する前5分の時点(55分が経過した時点)に設定されている。つまり、時間制限駐車区間に駐車している場合においてその駐車可能な時間が「時間切れ」になりそうな時点に設定されている。
【0049】
次のステップS17では、制御部12からの制御に基づいて、ユーザに、駐車可能な時間がまもなく時間切れになる旨の注意を喚起する。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0050】
注意を喚起する方法(手段)としては、制御部12から出力されるハザードランプ明滅用の制御信号により、図6(a)に模式的に示すように自車30のハザードランプ31を明滅させることが考えられる。あるいは、制御部12から出力されるクラクション鳴動用の制御信号により、クラクション(図示せず)を鳴動させることも考えられる。これにより、車両に戻ってきたユーザは駐車可能な時間がまもなく終わってしまうことを認識し、必要に応じて車両を別の場所に移動させるための準備を行うことができる。また、注意を喚起する他の方法(手段)として、制御部12からの制御に基づき通信機5を介して、図6(b)に示すように車両30側からユーザの所持する携帯電話40に対し、「駐車可能な時間がまもなく終わってしまう」旨の警告情報を通知するようにしてもよい。この方法によれば、所要の情報をユーザに対してのみ的確に報知することができるので、クラクションを鳴動させる方法(この方法では、騒々しい音によって周囲に迷惑を及ぼす可能性がある)よりも望ましいと考えられる。
【0051】
一方、ステップS15では(降車していない場合)、図2のステップS6で行った処理と同様にして、制御部12からの制御に基づき画像合成部17(音声出力部18)を介して表示装置8(スピーカ9)に対し、その旨の警告を表示(音声出力)させると共に、制御部12のタイマ機能に基づいて算出した駐(停)車可能な残り時間の情報を表示(音声出力)させる。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0052】
上述したように図5の実施形態によれば、時間帯制限のある駐停車禁止区域(時間制限駐車区間)に駐車した場合においてユーザが降車して車両から離れている場合でも、ユーザに対し、ハザードランプ31の明滅等により、駐車可能な時間がまもなく終わってしまう旨の注意を喚起することができる。これにより、当該区域における交通法規違反の未然防止を図り、駐停車に関してユーザの便宜を図ることができる。
【0053】
上述した各実施形態では、駐停車した場所が駐停車禁止区域であるかどうかの判断(図2のステップS2、図5のステップS12の処理)を車載の地図データベースを参照して行う場合を例にとって説明したが、本発明の要旨(時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合に当該時間帯を考慮した警告を行うと共に駐停車に関しての案内情報を提供すること)からも明らかなように、必ずしも車載の地図データベースを利用する必要がないことはもちろんである。
【0054】
例えば、制御部12からの制御に基づき通信機5を介して外部の情報センタ等から所要の地図データを取得するようにしてもよい。ユーザの要求に応じて地図データの配信サービスを行う情報センタ等では、定期的に最新の地図情報に更新する処理が行われているので、自車が駐停車した時に、自車の現在位置のデータを情報センタ等に送ることで、当該位置での最新の地図情報を取得することができる。このように情報センタ等の地図データベースを利用することで、以下のメリットがある。例えば、過去に駐停車禁止区域であった場所が現在では駐停車禁止区域でなくなっている場合、車載の地図データベース上ではその変更が反映されていないため、当該場所が「駐停車禁止区域である」と誤判断してしまうおそれがあるが、常に最新の情報に更新されている情報センタ等の地図データベースを利用すれば、当該場所が「駐停車禁止区域でない(つまり、駐停車が可能である)」と正しく判断することができる。
【0055】
また、外部の情報センタ等を利用する形態以外の他の実施形態としては、車載カメラ7で撮像した画像を利用することが考えられる。すなわち、自車が駐停車した時に、カメラ7で撮影した車両前方の画像(情報)を制御部12で読み取り、その画像内に道路交通標識(図3に示すM1,M2等)が映し出されている場合に、制御部12からの制御に基づいて、その時点で(ユーザが降車していない場合)その旨の警告及び所要の案内情報の表示等を行うことができ、また、ユーザが降車している場合には所定の時間が経過した時点でハザードランプの明滅等(図6(a))によりユーザに注意を喚起することができる。さらに、必要に応じて、制御部12により、カメラ7の撮像画像を車両上面から見た画像に視点変換する処理等を行い、自車が駐停車している区域を表示装置8の画面に表示させるようにしてもよい。
【0056】
また、図5に示した処理フローでは、時間制限駐車区間に駐車した場合においてユーザが降車してから所定のタイミングに達するまでの経過時間を、制御部12が内蔵するタイマ機能に基づいてカウントする場合を例にとって説明したが、当該経過時間をカウントするための「トリガ」の形態はこれに限らず、操作部2などを介して行うユーザ設定を「トリガ」として当該経過時間をカウントするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のナビゲーション装置において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合の警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図3】図2の処理フローを補足説明するための図(その1)である。
【図4】図2の処理フローを補足説明するための図(その2)である。
【図5】図1のナビゲーション装置において行う時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した場合において降車した場合の警告に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図6】図5の処理フローを補足説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
1a…DVD(地図データベース/記憶手段)、
3…GPS受信機(位置検出手段)、
4…自立航法センサ、
5…通信機(通信手段)、
6…VICS受信機、
7…車載カメラ(撮像手段)、
8…表示装置(表示手段)、
9…スピーカ、
12…制御部(制御手段)、
20…車載用ナビゲーション装置、
30…自車両、
31…ハザードランプ、
40…携帯電話(携帯端末)、
M,M1,M2…道路交通標識。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通法規に関する情報を含む地図データを格納した記憶手段と、
自車の現在位置を検出する位置検出手段と、
画面を介して案内情報を提供する表示手段と、
前記記憶手段、前記位置検出手段及び前記表示手段に動作可能に接続された制御手段とを備え、
前記制御手段は、車両状態信号に基づいて自車の駐停車を検出したときに、前記位置検出手段により検出された自車位置と前記地図データとを参照して、駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である場合に、当該時間帯に応じた警告及び駐停車に関しての案内情報を前記表示手段の画面に表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した時刻が駐停車禁止時間内に該当するときは、その旨の警告を前記表示手段の画面に表示させると共に、最寄りの駐車場を検索して当該駐車場への経路案内情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記時間帯制限のある駐停車禁止区域に駐停車した時刻が駐停車禁止時間外に該当するときは、その旨の警告を前記表示手段の画面に表示させると共に、駐停車可能な残り時間を算出してその旨の案内情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
さらに、外部との通信を行う通信手段を備え、
前記制御手段は、車両状態信号に基づいて自車の駐停車を検出したときに、前記通信手段を介して外部から、駐停車した場所及び時刻が重点取締り区域及び時間帯に該当する旨の情報を取得した場合に、その旨の警告及び駐停車に関しての案内情報を前記表示手段の画面に表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
さらに、スピーカを備え、
前記制御手段は、当該時間帯に応じた警告及び駐停車に関しての案内情報を、前記表示手段の画面に表示させると共に、あるいは画面に表示させる代わりに、前記スピーカから音声出力させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である場合においてユーザの降車を検出したときに、駐停車可能な残り時間をカウントダウンし、当該残り時間が経過する前の所定のタイミングに達したときに、自車のハザードランプを明滅もしくはクラクションを鳴動させることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
さらに、外部との通信を行う通信手段を備え、
前記制御手段は、前記駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域である場合においてユーザの降車を検出したときに、駐停車可能な残り時間をカウントダウンし、当該残り時間が経過する前の所定のタイミングに達したときに、その旨の案内情報を前記通信手段を介してユーザの所持する携帯端末に通知することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
さらに、外部との通信を行う通信手段を備え、
前記制御手段は、前記駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域であるかどうかの判定を、前記位置検出手段により検出された自車位置と、前記通信手段を介して外部から取得した所要の地図データとを参照して行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
さらに、自車の前方の画像を取得する撮像手段を備え、
前記制御手段は、前記撮像手段で取得された画像情報から、前記駐停車した場所が時間帯制限のある駐停車禁止区域であるかどうかの判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−64592(P2008−64592A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242525(P2006−242525)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】