説明

車載用処理装置、ナビゲーション装置、及び車両進行方位補正プログラム

【課題】自車両の進行方位を検出することができない電源オフ状態の間に方向転換装置によって自車両の方向転換が行われた場合であっても、自車両の進行方位を適切に表す進行方位情報を取得することが可能であるとともに、そのために電源オフ状態の間に画像情報を記憶しておく必要がない車載用処理装置及びナビゲーション装置等を提供する。
【解決手段】自車両の進行方位情報Dを取得する方位情報取得手段16と、自車両の周辺の画像情報Gに対する画像認識処理を行い、自車両の鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定手段35と、電源33のオン又はオフを検出する電源動作検出手段31と、電源動作検出手段31による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする所定の判定期間内に、鏡像判定手段35により自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両の進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する進行方位補正手段39と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両に搭載され、自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得することが可能な車載用処理装置及びナビゲーション装置、並びにそれらに用いることが可能な車両進行方位補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用のナビゲーション装置等においては、ジャイロスコープ等の方位センサの出力や、GPS(Global Positioning System)受信機により取得した位置情報の変化等に基づいて自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得する構成が既に知られている。このようなナビゲーション装置では、取得した進行方位情報を用いて、自車両の位置や進行方位を表す自車マークを地図とともに表示装置に表示し、或いは、目的地までの適切な経路を案内する等の処理が行われる。
【0003】
ところで、一般的に、自車両のアクセサリ(ACC)電源がオフの状態では、それに連動してナビゲーション装置の電源もオフとなっており、自車両の進行方位を検出することができない。したがって、従来のナビゲーション装置では、電源がオフの間に、例えば、立体駐車場に設置されているターンテーブル等の方向転換装置によって自車両の方向転換が行われた場合に、当該方向転換による自車両の進行方位の変化を検出することができなかった。そのため、電源がオンされた後に、ナビゲーション装置が保持している進行方位と自車両の実際の進行方位とが異なることになり、自車両が走行を開始した後に正しい自車位置を認識できないという問題があった。
【0004】
このような問題を解消するため、下記の特許文献1には、以下のような車載用処理装置の技術が開示されている。すなわち、この車載用処理装置は、例えば自車両の後方を撮像するバックカメラを備え、自車両のアクセサリ電源がオフされる前のオン状態の間に、所定時間毎にバックカメラにより取得した画像情報を第一メモリに取り込んで記憶しておく。そしてアクセサリ電源がオフ状態からオン状態になった際にバックカメラにより取得した画像情報を第二メモリに記憶し、第一メモリと第二メモリの画像情報のマッチングを行う。このマッチングの結果、マッチング率が所定のしきい値を超えなければ、自車両が回転したと判断し、進行方位を180度反転させる補正を行う。以上の処理を行うことにより、ターンテーブル等によって自車両の方向が回転させられた場合にも、それに合わせて自車両の進行方位を補正することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−188931号公報(第7−8頁、第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の車載用処理装置は、電源がオフされる前に撮像された画像情報と電源がオフからオンされた後に撮像された画像情報とを比較する構成である。そのため、電源がオフされる前に撮像された画像情報を、電源がオフ状態の間中ずっと第一メモリに記憶しておく必要がある。したがって、第一メモリにバックアップ電源を供給する構成とし、或いは第一メモリとしてEEPROM等の不揮発メモリを使用する構成とする等の対策が必要となり、装置構成が複雑になるという問題がある。また、このような構成を省くためには、地図データベースを兼ねたハードディスクドライブ等の既存の記憶媒体に画像情報を記憶させる必要がある。その場合、電源がオンの間に所定時間毎に取得した画像情報を記憶させるために記憶媒体へのアクセスが増加することになるため、装置の他の処理動作が遅くなることや、演算処理の負荷が増大する等の問題が生じる。更に、上記特許文献1に記載の車載用処理装置は、第一メモリ又は第二メモリに記憶された画像情報の全体を対象としてマッチング判定を行う。そのため、判定の対象となる画像の内容は様々なものとなる可能性があり、判定処理の内容が複雑なものとなるとともに、判定精度を高めることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、自車両の進行方位を検出することができない電源オフ状態の間に、例えばターンテーブル等の方向転換装置によって自車両の方向転換が行われた場合であっても、自車両の進行方位を適切に表す進行方位情報を取得することが可能であるとともに、それを可能とするために電源オフ状態の間に画像情報を記憶しておく必要がない車載用処理装置及びナビゲーション装置、並びにそれらに用いることが可能な車両進行方位補正プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車載用処理装置の特徴構成は、自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得する方位情報取得手段と、自車両の周辺を撮像する撮像装置により取得した画像情報に対する画像認識処理を行い、自車両の鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定手段と、前記方位情報取得手段を動作させる電源のオン又はオフを検出する電源動作検出手段と、前記電源動作検出手段による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする判定期間内に、前記鏡像判定手段により自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両の進行方位を反転させるように前記進行方位情報を補正する進行方位補正手段と、を備えた点にある。
【0009】
ところで、電源がオフの状態で車両の方向転換が行われることになる方向転換装置が存在する場所としては、車両を載せるための搬器自体を回転させることが可能なターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場が代表的である。このような駐車場では、車両は前進して搬器に進入した後に停止され、電源がオフされた状態で車両の方向転換が行われる。これにより、駐車場から出る際に、車両は前進して搬器から退出することができる。一方、その他の立体駐車場等では、方向転換装置が搬器の外に配置されており、車両が移動する途中で方向転換装置上に停止して方向転換を行うため、電源がオンの状態で車両の向きが反転させられることがほとんどである。そして、上記のようなターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等では、ほとんどの場合、搬器へ進入する車両を映すことにより運転者の操作を容易にするために、搬器への入口から見て正面に位置する奥側の壁に鏡が設けられている。このような場所では、自車両の搬器への進入中又は進入後であって電源オフ前の所定期間、或いは自車両の搬器からの退出前又は退出中であって電源オン後の所定期間の少なくともいずれかにおいて、自車両の鏡像を撮像装置により撮像できるはずである。なお、電源オフ前の所定期間に自車両の鏡像を撮像した場合には、その後電源オフされてから自車両が方向転換され、電源オン後の所定期間に自車両の鏡像を撮像した場合には、当該電源オン前の電源オフ状態で自車両が方向転換されることになる。
【0010】
この特徴構成によれば、電源のオン又はオフの検出時を基準とする判定期間内に自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合には、上記のターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等のような方向転換装置が存在する場所で、電源がオフの状態で自車両の方向転換が行われたと判断し、進行方位補正手段により、自車両の進行方位を反転させるように進行方位情報を補正する。これにより、電源がオフ状態の間に、ターンテーブル等の方向転換装置によって自車両の方向転換が行われたことを高精度に判定し、それに合わせて自車両の進行方位を適切に補正することができる。したがって、電源がオンされた後に、正しい進行方位を表す進行方位情報を取得することが可能となる。
【0011】
また、この特徴構成によれば、電源オフの検出前又は電源オンの検出後のいずれかの画像情報のみを用いて鏡像判定を行い、進行方位情報を補正することができる。そのため、電源オフの検出前に撮像された画像情報を電源オフ状態の間記憶しておく必要がない。したがって、画像情報を記憶しておくために車載用処理装置の構成が複雑化することを抑制でき、或いは記憶媒体へのアクセスが増加することによる処理動作の遅延や演算負荷の増大を抑制できる。更に、この特徴構成によれば、画像情報に対する処理として自車両の鏡像に特化した判定処理を行うため、判定処理を簡略化することができ、判定精度も高めることが可能となる。
【0012】
ここで、前記撮像装置は、自車両の後方を撮像するバックカメラである場合には、前記判定期間は、前記電源動作検出手段による電源オンの検出後の所定期間であると好適である。
【0013】
上記のとおり、ターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等では、ほとんどの場合、搬器への車両の進入時における運転者の操作を容易にするために、搬器への入口から見て正面に位置する奥側の壁に、搬器へ進入する車両を映す鏡が設けられている。したがって、この鏡は、搬器への進入時には自車両の前方にあり、方向転換後の搬器からの退出時には自車両の後方にあることになる。よって、この構成のように撮像装置としてバックカメラを用いる場合には、搬器からの退出時に相当する、電源オンの検出後の所定期間を判定期間として鏡像判定を行うことにより、電源がオフの状態で自車両の方向転換が行われたことを適切に判定することができる。また、この構成によれば、比較的多くの車両に搭載されているバックカメラにより撮像される画像情報を、自車両の進行方位情報の補正に有効利用することができる。
【0014】
また、前記撮像装置は、自車両の前方を撮像するフロントカメラである場合には、前記判定期間は、前記電源動作検出手段による電源オフの検出前の所定期間であると好適である。
【0015】
上記のとおり、ターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等に設けられた鏡は、搬器への進入時には自車両の前方にあり、方向転換後の搬器からの退出時には自車両の後方にあることになる。よって、この構成のように撮像装置としてフロントカメラを用いる場合には、搬器への進入時に相当する、電源オフの検出前の所定期間を判定期間として鏡像判定を行うことにより、電源がオフの状態で自車両の方向転換が行われるであろうことを適切に判定することができる。
【0016】
また、前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両を画像認識し、当該車両が、自車両から遠ざかる速度又は自車両へ近づく速度が、自車両の車速の2倍である場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する構成とすると好適である。
【0017】
撮像装置としてバックカメラを用いた場合、電源オン後の搬器からの退出時に撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報に含まれる自車両の鏡像は、自車両の車速の2倍の速度で自車両から遠ざかるはずである。また、撮像装置としてフロントカメラを用いた場合、電源オフ前の搬器への進入時に撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報に含まれる自車両の鏡像は、自車両の車速の2倍の速度で自車両に近づくはずである。この構成によれば、これらの事象を画像認識して鏡像判定に利用することにより、他車両の画像を自車両の鏡像と誤判定することを抑制し、撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたか否かを高精度に判定することができる。
【0018】
また、前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両のナンバープレートを画像認識し、当該車両のナンバープレートに含まれる左右非対称な文字が鏡像反転している場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する構成とすると好適である。
【0019】
撮像装置としてバックカメラ又はフロントカメラを用いた場合、撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報に含まれる自車両の鏡像には、自車両の前後に取り付けられたナンバープレートの鏡像が含まれるはずである。また、そのようなナンバープレートの鏡像には、左右非対称な文字が鏡像反転した画像が含まれているはずである。この構成によれば、このような事象を画像認識して鏡像判定に利用することにより、他車両の画像を自車両の鏡像と誤判定することを抑制し、撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたか否かを高精度に判定することができる。なお、ナンバープレートに含まれる文字としては、例えば、アラビア数字、ローマ数字、ひらがな、漢字、カタカナ、アルファベット、各種記号等が含まれる。
【0020】
また、前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両の灯火器を画像認識し、当該灯火器の点灯及び消灯の一方又は双方が、自車両の灯火器の動作に連動している場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する構成とすると好適である。
【0021】
撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報に含まれる灯火器の点灯及び消灯の一方又は双方のタイミングが自車両の灯火器の動作に連動することになるはずである。このような灯火器としては、例えば、ブレーキランプ、ヘッドライト、ターンシグナルランプ(方向指示器)、フォグランプ、バックアップライト(後進時に点灯するライト)等が含まれる。そして、例えば、撮像装置としてバックカメラを用いた場合、当該撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報にブレーキランプが含まれ、その点灯及び消灯の一方又は双方が自車両のブレーキ動作に連動するはずである。また、例えば、撮像装置としてフロントカメラを用いた場合、取得される画像情報にヘッドライトが含まれ、その点灯及び消灯の一方又は双方が自車両のヘッドライトの動作に連動するはずである。また、いずれの撮像装置を用いた場合にも、取得される画像情報にターンシグナルランプが含まれ、その点灯及び消灯の一方又は双方が自車両のターンシグナルランプの動作に連動するはずである。この構成によれば、これらの事象を画像認識して鏡像判定に利用することにより、他車両の画像を自車両の鏡像と誤判定することを抑制し、撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたか否かを高精度に判定することができる。
【0022】
また、前記鏡像判定手段は、自車両の鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、前記画像情報に含まれる車両を画像認識し、当該車両の特徴が、前記自車鏡像情報と一致する場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する構成とすると好適である。
【0023】
撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたとすれば、取得される画像情報に含まれる車両の特徴が、自車両の鏡像の特徴と一致するはずである。この構成によれば、このような車両の形態的特徴を画像認識し、予め用意した自車鏡像情報と対比して鏡像判定を行うことにより、他車両の画像を自車両の鏡像と誤判定することを抑制し、撮像装置により自車両の鏡像が撮像されたか否かを高精度に判定することができる。
【0024】
また、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正時を基準とする所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理手段を更に備える構成とすると好適である。
【0025】
一般的に、立体駐車場に車両を駐車させる場合等において、ターンテーブル等の方向転換装置により方向転換を行う回数は一回だけであり、複数回の方向転換を行うことはほとんどない。したがって、電源がオンの状態で、方向転換装置により自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われた場合には、進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正を行うべきではないと判断することができる。この構成によれば、進行方位補正手段により誤って進行方位情報を補正してしまうことを抑制でき、進行方位情報の精度を更に高めることが可能となる。
【0026】
ここで、前記補正キャンセル処理手段は、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正後の所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、前記進行方位補正手段により行った補正を取り消す構成とすると好適である。
【0027】
上記のとおり、立体駐車場に車両を駐車させる場合等において、ターンテーブル等の方向転換装置により方向転換を行う回数は一回だけであり、複数回の方向転換を行うことはほとんどない。したがって、電源がオフの間に方向転換装置によって自車両の方向転換が行われたと判定し、自車両の進行方位を反転させる補正を進行方位補正手段により行った場合であっても、その後の所定期間内に、電源がオンの状態で、方向転換装置により自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われた場合には、先の補正が誤りであった可能性が非常に高いと判断できる。この構成によれば、このような事象を適切に検知し、進行方位補正手段により行った誤補正を取り消すことができる。したがって、進行方位情報の精度を更に高めることが可能となる。
【0028】
また、前記補正キャンセル処理手段は、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、その判定後の所定期間内は、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正処理を停止する構成とすると好適である。
【0029】
上記のとおり、立体駐車場に車両を駐車させる場合等において、ターンテーブル等の方向転換装置により方向転換を行う回数は一回だけであり、複数回の方向転換を行うことはほとんどない。したがって、電源がオンの状態で、方向転換装置により自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われた場合には、その後の所定期間内に再び方向転換が行われる可能性は非常に低いと判断できる。この構成によれば、このような事象を適切に検知し、自車両の方向転換が行われた後の所定期間内の進行方位補正手段による補正処理を停止させ、誤った補正が行われることを防止できる。したがって、進行方位情報の精度を更に高めることが可能となる。
【0030】
また、自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、方向転換装置が存在する位置を表す方向転換装置情報を取得する方向転換装置情報取得手段と、を更に備え、前記進行方位補正手段は、前記自車位置情報に示される自車両の位置が、前記方向転換装置情報に示される方向転換装置が存在する位置と一致する場合に、前記進行方位情報の補正を行う構成とすると好適である。
【0031】
この構成によれば、予め用意されたターンテーブル情報を地図データベース等から取得し、当該ターンテーブル情報と照らし合わせることにより、自車両の現在位置がターンテーブルが存在する位置と一致する場合に、進行方位補正手段による補正を行う構成とすることができる。したがって、ターンテーブルが存在しない位置で進行方位情報の補正が誤って行われることを防止できる。
【0032】
また、自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、前記自車位置情報に基づいて自車両が存在する地域の区分を表す地域区分情報を取得する地域区分情報取得手段と、を更に備え、前記進行方位補正手段は、前記地域区分情報に示される自車両が存在する地域の区分が、方向転換装置を備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域の区分である場合に、前記進行方位情報の補正を行う構成とすると好適である。
【0033】
この構成によれば、自車両が存在する地域を表す地域情報を地図データベース等から取得し、当該地域情報に示される自車両が存在する地域が、都市部等の建築物の密集地域等であってターンテーブルを備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域である場合に、進行方位補正手段による補正を行う構成とすることができる。したがって、ターンテーブルが存在する可能性がほとんどない地域で進行方位情報の補正が誤って行われることを防止できる。
【0034】
ここで、方位情報取得手段を動作させる電源のオン又はオフは、自車両のバッテリ等の蓄電装置の電力消費を抑えるため、自車両の電源スイッチに連動する構成とされると好適である。
【0035】
また、前記判定期間は、ターンテーブル等の方向転換装置が設けられた場所において撮像装置により自車両の鏡像が撮像される可能性がある期間を、電源のオン又はオフの検出時を基準として規定するものである。したがって、前記判定期間は、自車両の移動距離及び時間のいずれか一方で規定される期間としてもよく、或いは自車両の移動距離及び時間の双方により規定される期間としてもよい。
【0036】
本発明に係るナビゲーション装置の特徴構成は、上記の各構成を備えた車載用処理装置と、前記車載用処理装置により取得した前記進行方位情報を用いて、所定の案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備える点にある。
【0037】
この特徴構成によれば、進行方位補正手段による補正後の進行方位情報に基づいて所定の案内情報を出力することができる。したがって、上記のターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等において電源がオフの状態で自車両が方向転換された後であっても、例えば自車位置の表示や経路案内等のための案内情報の出力を適切に行うことが可能となる。
【0038】
本発明に係る、自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得する方位情報取得手段を備えた車載用処理装置を制御するコンピュータにより実行される車両進行方位補正プログラムの特徴構成は、前記方位情報取得手段を動作させる電源のオン又はオフを検出する電源動作検出ステップと、前記電源動作検出ステップによる電源のオン又はオフの検出時を基準とする判定期間内に、自車両の周辺を撮像する撮像装置により取得した画像情報に対する画像認識処理を行い、自車両の鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定ステップと、前記鏡像判定ステップにより自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両の進行方位を反転させるように、前記進行方位情報を補正する進行方位補正ステップと、をコンピュータに実行させる点にある。
【0039】
この特徴構成によれば、電源のオン又はオフの検出時を基準とする判定期間内に自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合には、上記のターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場等のような方向転換装置が存在する場所で、電源がオフの状態で自車両の方向転換が行われたと判断し、自車両の進行方位を反転させるように進行方位情報を補正する。これにより、電源がオフの間に、ターンテーブル等の方向転換装置によって自車両の方向転換が行われたことを高精度に判定し、それに合わせて自車両の進行方位を適切に補正することができる。したがって、電源がオンされた後に、正しい進行方位を表す進行方位情報を取得することが可能となる。
【0040】
また、この特徴構成によれば、電源オフの検出前又は電源オンの検出後のいずれかの画像情報のみを用いて鏡像判定を行い、進行方位情報を補正することができる。そのため、電源オフの検出前に撮像された画像情報を電源オフの間記憶しておく必要がない。したがって、画像情報を記憶しておくために車載用処理装置の構成が複雑化することを抑制でき、或いは記憶媒体へのアクセスが増加することによる処理動作の遅延や演算負荷の増大を抑制できる。更に、この特徴構成によれば、画像情報に対する処理として自車両の鏡像に特化した判定処理を行うため、判定処理が簡略化することができ、判定精度も高めることが可能となる。
【0041】
また、上記車両進行方位補正プログラムは、前記進行方位補正ステップによる前記進行方位情報の補正時を基準とする所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、前記進行方位補正ステップによる前記進行方位情報の補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理ステップを更に備える構成とすると好適である。
【0042】
一般的に、立体駐車場に車両を駐車させる場合等において、ターンテーブル等の方向転換装置により方向転換を行う回数は一回だけであり、複数回の方向転換を行うことはほとんどない。したがって、電源がオンの状態で、方向転換装置により自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われた場合には、進行方位補正ステップによる前記進行方位情報の補正を行うべきではないと判断することができる。この構成によれば、進行方位補正ステップにおいて誤って進行方位情報を補正してしまうことを抑制でき、進行方位情報の精度を更に高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
1.第一の実施形態
まず、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る車載用処理装置2をナビゲーション装置1に適用した場合を例として説明する。また、本実施形態においては、撮像装置11として、自車両Cの後方を撮像するバックカメラを用いる場合の例について説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、自車両Cの現在位置を表す自車位置情報P及び進行方位を表す進行方位情報Dを取得するとともに、地図データベース26から地図情報Mを取得し、それらの情報に基づいて、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内等の案内処理を行う。そして、このナビゲーション装置1は、進行方位情報Dを取得できない電源33のオフ状態の間に、ターンテーブル等の方向転換装置(以下単に「ターンテーブル8」という。図4参照)によって自車両Cの進行方向が反転させられたことを検知し、進行方位情報Dを補正する機能を備えている。自車両Cの進行方位情報Dを取得し、このようなターンテーブル8による方向転換の有無に応じて進行方位情報Dを補正する処理を行う機能部が、本発明に係る車載用処理装置2により構成される。
【0044】
図1に示すナビゲーション装置1の各機能部、具体的には、画像情報取得部12、自車位置情報取得部16、ナビゲーション用演算部17、電源動作検出部31、鏡像判定部35、車両情報取得部38、進行方位補正部39、及び補正キャンセル部40は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、地図データベースD26は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0045】
1−1.地図データベース
地図データベース26は、所定の区画毎に分けられた地図情報Mが記憶された地図情報記憶手段として機能する。図2は、地図データベース26に記憶されている地図情報Mの構成の例を示す図である。この図に示すように、地図情報Mは、交差点に対応する多数のノードnと、各交差点間を結ぶ道路に対応するリンクkとの接続関係により道路ネットワークを表す道路情報Raを有している。各ノードnは、緯度及び経度で表現された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクkは、ノードnを介して接続されている。また、各リンクkは、その属性情報として、道路種別、リンク長、道路幅、リンク形状を表現するための形状補間点等の情報を有している。ここで、道路種別情報は、例えば、高速道路、国道、県道、一般道、細街路、導入路等のように、道路を複数の種別に区分した際の道路種別の情報である。なお、図2においては、一つの区画の道路情報Raのみを図示し、他の区画の道路情報Raは省略して示している。
【0046】
1−2.画像情報取得部
画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段として機能する。ここで、撮像装置11は、撮像素子を備えた車載カメラであって、自車両Cの周辺の少なくとも特定方向の状況を撮像するように、自車両Cから外方に向けて設置されている。上記のとおり、本実施形態においては、撮像装置11としてバックカメラを用いる。図3に示すように、バックカメラである撮像装置11は、自車両Cの後方の所定領域を撮像する。画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した撮像情報をフレームメモリ(不図示)などを介して所定の時間間隔で取り込む。この際の画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した複数フレームの画像情報Gを連続的に取得することができる。ここで取得された画像情報Gは、後述する鏡像判定部35へ出力される。
【0047】
1−3.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部16は、自車両Cの現在位置を表す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段として機能するとともに、自車両Cの進行方位を表す進行方位情報Dを取得する方位情報取得手段として機能する。この自車位置情報取得部16は、GPS受信機13、方位センサ14、及び距離センサ15と接続されている。GPS受信機13は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部16へ出力される。自車位置情報取得部16では、GPS受信機13で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、自車両Cの現在位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ14は、自車両Cの進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ14は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ14は、その検出結果を自車位置情報取得部16へ出力する。距離センサ15は、自車両Cの車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ15は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両Cの加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ15は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部16へ出力する。
【0048】
自車位置情報取得部16は、これらのGPS受信機13、方位センサ14及び距離センサ15からの出力に基づいて、自車両Cの現在位置及び進行方位を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部16は、地図データベース26から自車位置周辺の地図情報Mを取得し、それに基づいて公知のマップマッチングを行うことにより自車両Cの現在位置を地図情報Mに示される道路上に合わせるとともに、自車両Cの進行方位を道路に沿った方向に合わせる補正を行う。更に、本実施形態においては、自車位置情報取得部16により取得された進行方位情報Dは、後述する進行方位補正部39により、自車位置情報取得部16を動作させるための電力を供給する電源33がオフ状態の間に、ターンテーブル8(図4参照)によって自車両Cの進行方向が反転させられた場合に、それに合わせて自車両Cの進行方位を適切に表すように補正される。このような本実施形態における最も特徴的な進行方位情報Dの補正処理に関わる構成については、後で詳細に説明する。このようにして、自車位置情報取得部16は、座標(緯度及び経度)で表された自車両Cの現在位置を表す自車位置情報P、及び自車両Cの進行方位を表す進行方位情報Dを取得する。
【0049】
1−4.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部17は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラム18に従って動作する演算処理手段である。ここで、アプリケーションプログラム18は、自車位置情報P、進行方位情報D、及び地図情報M等を参照して、ナビゲーション用演算部17に各種のナビゲーション機能を実行させる。例えば、ナビゲーション用演算部17は、自車位置情報Pに基づいて地図データベース26から自車両C周辺の地図情報Mを取得して表示入力装置19の表示画面に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報P及び進行方位情報Dに基づいて自車両Cの現在位置及び進行方位を表す自車位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部17は、地図データベース26に記憶された地図情報Mに基づいて、所定の出発地から目的地までの経路探索を行う。更に、ナビゲーション用演算部17は、探索された出発地から目的地までの経路と自車位置情報P及び進行方位情報Dとに基づいて、表示入力装置19及び音声出力装置20の一方又は双方を用いて、運転者に対する経路案内を行う。表示入力装置19は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネルや操作スイッチ等の入力装置が一体となったものである。音声出力装置20は、スピーカ等を有して構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション用演算部17、表示入力装置19、及び音声出力装置20が、所定の案内情報を出力する案内情報出力手段21として機能する。
【0050】
1−5.電源動作検出部
電源動作検出部31は、方位情報取得手段としての自車位置情報取得部16を動作させる電源33のオン又はオフを検出する電源動作検出手段として機能する。本実施形態においては、電源33は、自車位置情報取得部16に電力を供給するだけでなく、車載用処理装置2を含むナビゲーション装置1の全体に電力を供給して動作させる。この電源33としては、例えば、自車両Cが備えるバッテリ等の蓄電装置が用いられる。そして、この電源33のオン又はオフは、ナビゲーション装置1の主電源スイッチ32により切り替えられる。本実施形態においては、この主電源スイッチ32の動作は、自車両Cが備える各電気機器に対する電源33からの電力供給のオン又はオフを切り替えるアクセサリスイッチ(ACC)等の車両電源スイッチ34に連動している。そして、電源動作検出部31は、このような主電源スイッチ32の状態が、ナビゲーション装置1に電力供給を行うオン状態であるか、そのような電力供給を遮断するオフ状態であるかを検出することにより、電源33のオン又はオフを検出する。
【0051】
1−6.方向転換を検知するための基本的な考え方
このナビゲーション装置1は、電源33がオフ状態の間にターンテーブル8(図4参照)によって自車両Cの進行方向を反転させる方向転換が行われたことを検知し、それに合わせて進行方位情報Dを補正する機能を備えている。以下では、このようなナビゲーション装置1の機能を担う車載用処理装置2の主要部の構成について詳細に説明するが、その前に、本発明における自車両Cの方向転換を検知するための基本的な考え方について、撮像装置11としてバックカメラを用いる場合を例として図4〜図6を用いて説明する。
【0052】
自車両Cの進行方向を反転させるターンテーブル8等の方向転換装置が備えられる場所として代表的なものに、機械式立体駐車場4がある。このような立体駐車場4としては、例えば図6に示すように、自車両Cを載せるための搬器6の外にターンテーブル8が配置されている構成も多く存在する。この場合、図6(a)に示すように、自車両Cは、搬器6へ進入するために移動する途中でターンテーブル8上に停止して方向転換を行う。そのため、自車両Cの車両電源スイッチ34はオン状態のまま(エンジンが動作したまま)で自車両Cの方向転換が行われることがほとんどである。したがって、このような立体駐車場4では、電源33がオン状態の間に自車両Cの方向転換が行われることになる。この場合、自車位置情報取得部16は、方位センサ14の出力等に基づいて、自車両Cの方向転換に応じた正しい進行方位情報Dを取得することができる。
【0053】
一方、ナビゲーション装置1の電源33がオフ状態の間に自車両Cの方向転換が行われることになるターンテーブル8等の方向転換装置が存在する場所としては、例えば図4に示すような、自車両Cを載せるための搬器6自体を回転させることが可能なターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場4が代表的である。このような駐車場4では、図4(a)に示すように、自車両Cは前進してターンテーブル8を備えた搬器6に進入する。自車両Cを搬器6に載せた後、運転者は自車両Cから出るために、自車両Cの車両電源スイッチ34をオフする。これにより、車両電源スイッチ34に連動するナビゲーション装置1の主電源スイッチ32もオフされ、電源33がオフ状態となる。その後、ターンテーブル8を備えた搬器6が回転され、自車両Cの進行方向を反転させる方向転換が行われる。これにより、図4(b)に示すように、自車両Cは、前進して搬器6から退出することになる。
【0054】
ところで、このようなターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場4等では、ほとんどの場合、搬器6へ進入する自車両Cを映すことにより運転者の操作を容易にするために、搬器6への入口から見て正面に位置する奥側の壁7に鏡5が設けられている。この鏡5は、図4(a)に示すように搬器6への進入時には自車両Cの前方にあり、方向転換後の搬器6からの退出時には自車両Cの後方にあることになる。そのため、撮像装置11としてバックカメラを用いる場合には、図4(b)に示すように、自車両Cの搬器6からの退出前又は退出中に、自車両Cの後方に位置する鏡5が撮像装置11の撮像領域内に入ることになり、自車両Cの鏡像をバックカメラである撮像装置11により撮像することができる。したがって、この事象を利用することにより、電源33のオン後の所定の判定期間内に撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像された場合であって、その前後で方位センサ14等による自車両Cの方向転換を検出しなかった場合には、電源33のオフ状態で自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定することが可能となる。
【0055】
したがって、本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、電源動作検出部31による電源オンの検出後の所定の判定期間内に、鏡像判定部35において撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合には、電源33がオフ状態の間に、ターンテーブル8によって自車両Cの方向転換が行われたと判定する。そして、ナビゲーション装置1は、進行方位補正部39により、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する。更に、ナビゲーション装置1は、補正キャンセル部40により、このような進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正の前後の所定期間内に、電源33がオン状態であって、かつ車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を判定させる方向転換が行われたと判定した場合には、進行方位情報Dの補正を停止し又は取り消す処理を行う。以上により、電源33がオフ状態の間に、ターンテーブル8によって自車両Cの進行方向が反転させられたことを高精度に判定し、それに合わせて自車両Cの進行方位を適切に補正し、正しい進行方位を表す進行方位情報Dを取得することが可能となる。
【0056】
1−7.鏡像判定部
鏡像判定部35は、自車両Cの周辺を撮像する撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行い、自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定手段として機能する。そのため、鏡像判定部35は、撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行う画像認識部36と、この画像認識部36による認識結果に基づいて自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する処理を行う判定処理部37とを有している。以下では、鏡像判定部35の機能について、画像認識部36の機能と判定処理部37の機能とに分けて詳細に説明する。
【0057】
また、本実施形態においては、鏡像判定部35は、電源動作検出部31による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする所定の判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたか否かの判定を行う。この判定期間は、撮像装置11の撮像方向に応じて予め定められる。上記のとおり、本実施形態では、撮像装置11として自車両Cの後方を撮像するバックカメラを用いる。この場合、判定期間は、電源動作検出部31による電源オンの検出後の所定期間として規定される。また、この判定期間は、自車両Cの移動距離及び時間の一方又は双方により規定される期間である。本実施形態においては、図4(b)に示すように、電源動作検出部31による電源オンの検出後の自車両Cの移動距離により規定される判定期間Lとしている。この判定期間Lの長さは、電源33がオンされてから画像情報取得部12により画像情報Gを取得し、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定するために通常必要な期間を時間及び移動距離の双方について勘案して決定し、当該決定された期間に対して所定の余裕分を加えた長さとすると好適である。例えば、判定期間Lは、電源動作検出部31による電源オンの検出後、自車両Cが5〔m〕移動するまでの間の期間として規定される。この際、自車両Cの移動距離は、距離センサ15等により検出される。鏡像判定部35は、この判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合には、そのことを示す信号を進行方位補正部39に対して出力する。
【0058】
1−7−1.画像認識部
画像認識部36は、画像情報取得部12を介して撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行う画像認識手段として機能する。本実施形態においては、画像認識部36は、例えば図5に示すように、画像情報Gに含まれる自車両Cの鏡像(以下「自車鏡像Cm」という。)や当該自車鏡像Cmに含まれる灯火器の鏡像L1m〜L3mやナンバープレートの鏡像Nm等の画像認識を行う。ここで、自車鏡像Cmに含まれる灯火器は、一般的に車両に設けられている各種の灯火器を含み、例えば、ブレーキランプ、ヘッドライト、ターンシグナルランプ(方向指示器)、フォグランプ、バックアップライト(後進時に点灯するライト)等が含まれる。そして、画像認識部37は、画像情報Gに対して、例えば色彩検出処理やエッジ抽出処理等を行うとともに、自車鏡像Cm、灯火器の鏡像L1m〜L3m、ナンバープレートの鏡像Nm等のそれぞれの形態的特徴に応じて予め定められた所定の特徴量情報とのパターンマッチングを行う。これにより、画像認識部37は、画像情報Gに含まれている自車鏡像Cm、灯火器の鏡像L1m〜L3m、ナンバープレートの鏡像Nm等を画像認識する。そして、画像認識部37は、そのような画像認識結果を、判定処理部37へ出力する。
【0059】
1−7−2.判定処理部
判定処理部37は、画像認識部36による認識結果に基づいて自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する処理を行う判定処理手段として機能する。本実施形態においては、判定処理部37は、鏡像判定を、図5に示すように、灯火器の鏡像L1m、L2mの画像認識結果に基づいて行う灯火器判定処理と、ナンバープレートの鏡像Nmの画像認識結果に基づいて行うナンバープレート判定処理と、自車鏡像Cmの遠ざかる速度又は近づく速度に基づいて行う車速判定処理と、自車鏡像Cmの形態に基づいて行う車両形態判定処理との4種類の判定処理を行う。そして、判定処理部37は、これら4種類のいずれかの判定処理により、画像情報Gに含まれる車両の画像が自車両Cの鏡像であると判定した場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。なお、鏡像判定部35は、このような判定処理部37による判定に用いるために、車両情報取得部38により、自車両Cの車両情報を取得する。ここで取得される車両情報としては、以下に説明するとおり、例えば、ブレーキランプ、ヘッドライト、ターンシグナルランプ、バックアップライト等の灯火器の動作状態を表す情報、ブレーキペダルの操作状態を表す情報、シフトレバーにより選択されているレンジを表す情報、車速情報等が含まれる。
【0060】
灯火器判定処理は、画像情報Gに含まれる車両の灯火器を画像認識部36により画像認識し、当該灯火器の点灯及び消灯の一方又は双方が、自車両Cの灯火器の動作に連動している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例では、判定処理部37は、灯火器判定処理として、画像認識されるブレーキランプの点滅のタイミングが、自車両Cのブレーキ操作に連動している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図5に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両のブレーキランプの画像Lm1の明るさの経時的変化と、車両情報取得部38により取得されるブレーキペダルの操作状態を表す情報とに基づいて、ブレーキランプの点滅のタイミングが、ブレーキペダルの操作されるタイミングと一致するか否かを判定する。そして、それらのタイミングが一致する場合には、当該ブレーキランプの画像Lm1が自車両Cのブレーキランプの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、それらのタイミングが一致しない場合には、画像情報Gに含まれるブレーキランプの画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0061】
ところで、灯火器判定処理において判定対象とする灯火器は、ブレーキランプに限定されず、自車両Cの後部に設けられている他の灯火器を判定対象とすることも可能である。したがって、例えば、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両のターンシグナルランプの画像Lm2(図5参照)の点滅のタイミングが、車両情報取得部38により取得されるターンシグナルランプの動作タイミングと一致するか否かを判定する。そして、それらのタイミングが一致する場合には、当該ターンシグナルランプの画像Lm2が自車両Cのターンシグナルランプの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。また、例えば、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両のバックアップライトの画像Lm3(図5参照)の消灯(又は点灯)のタイミングが、車両情報取得部38により取得されるシフトレバー操作のタイミングと一致するか否かを判定する。そして、それらのタイミングが一致する場合には、当該バックアップライトの画像Lm3が自車両Cのバックアップライトの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。なお、判定処理部37は、これらのブレーキランプ、ターンシグナルランプ、バックアップライト等の複数種類の灯火器を組み合せて鏡像判定に用いても好適である。
【0062】
ナンバープレート判定処理は、画像情報Gに含まれる車両のナンバープレートを画像認識部36により画像認識し、当該車両のナンバープレートに含まれる左右非対称な文字が鏡像反転している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。このようなナンバープレートに含まれる文字としては、例えば、アラビア数字、ローマ数字、ひらがな、漢字、カタカナ、アルファベット、各種記号等が含まれる。本例では、判定処理部37は、ナンバープレート判定処理として、ナンバープレートの枠内に存在する左右非対称なアラビア数字の鏡像を画像認識部36により画像認識できた場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図5に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識されるナンバープレートの画像Nmに含まれている「2」、「3」、又は「4」の数字の鏡像を画像認識できた場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、ナンバープレートの画像Nmに含まれている数字が鏡像判定していない場合には、画像情報Gに含まれるナンバープレートの画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。なお、画像認識の対象とする文字はアラビア数字に限定されるものではなく、各種の文字(数字を含む)や記号を対照とすることができる。
【0063】
車速判定処理は、画像情報Gに含まれる車両を画像認識し、当該車両が、自車両Cから遠ざかる速度又は自車両Cへ近づく速度が、自車両Cの車速の2倍である場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例では、撮像装置11としてバックカメラを用いているため、判定処理部37は、車速判定処理として、画像認識される車両が自車両Cから遠ざかる速度が自車両Cの車速の2倍である場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図5に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両の画像Cmの大きさが次第に小さくなる経時的変化に基づいて、当該画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度を演算する。そして、このように求めた相対速度が、距離センサ15や車両情報取得部38により取得される車速情報に示される自車両Cの車速の2倍であるであるか否かを判定する。当該画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度が自車両Cの車速の2倍である場合には、当該車両の画像Cmが自車両Cの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度が自車両Cの車速の2倍でない場合には、画像情報Gに含まれる車両の画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。なお、画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度が自車両Cの車速の2倍であると判定するための条件は、演算誤差を考慮して、所定範囲内(例えば、相対速度が自車両Cの車速の1.8〜2.2倍の範囲内)であれば、2倍であると判定するように設定すると好適である。
【0064】
車両形態判定処理は、自車両Cの鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、画像情報Gに含まれる車両を画像認識し、当該車両の特徴が、自車鏡像情報と一致する場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。ここで、自車鏡像情報は、画像情報Gに含まれる車両の画像の特徴が自車両Cの鏡像の特徴に一致するか否かを判定するために用いるパターンマッチング用のテンプレート情報である。したがって、この自車鏡像情報は、車両毎や車種毎に予め生成されており、判定処理部37により読み出し可能に設けられた所定の記憶手段に記憶されている。本例では、撮像装置11としてバックカメラを用いているため、判定処理部37は、車両形態判定処理として、自車両Cの後部の鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、画像情報Gに含まれる車両の特徴がそれと一致する場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図5に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両の画像Cmの特徴を自車鏡像情報と対比し、当該車両の画像Cmの特徴が自車両Cの鏡像の特徴に一致するか否かを判定する。そして、それらの特徴が一致する場合には、当該車両の画像Cmが自車両Cの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、それらの特徴が一致しない場合には、画像情報Gに含まれる車両の画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0065】
以上のように、鏡像判定部35は、電源動作検出部31による電源オンの検出後に設定された所定の判定期間内に撮像装置11により取得される画像情報Gのみを用いて鏡像判定を行い、電源33のオフ状態で自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたか否かを判定することができる。そのため、電源オフの検出前に撮像された画像情報Gを電源オフ状態の間記憶しておく必要がない。したがって、画像情報Gを記憶しておくためにナビゲーション装置1の構成が複雑化することを抑制でき、或いは記憶媒体へのアクセスが増加することによる処理動作の遅延や演算負荷の増大を抑制できる。更に、本実施形態の構成によれば、画像情報Gに対する処理として自車両Cの鏡像に特化した判定処理を行うため、判定処理が簡略化することができ、判定精度も高めることが可能となる。
【0066】
1−8.進行方位補正部
進行方位補正部39は、電源動作検出部31による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする所定の判定期間内に、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する進行方位補正手段として機能する。本実施形態においては、進行方位補正部39は、上記のとおり、鏡像判定部35が電源オンの検出後の所定の判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両Cの進行方位情報Dを補正する。すなわち、進行方位補正部39は、鏡像判定部35から判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたことを示す信号を受け取った場合には、自車位置情報取得部16により取得している進行方位情報Dに対して、自車両Cの進行方位を180°反転させる補正を行う。またこれに伴い、電源動作検出部31による電源オンの検出後に自車両Cが移動している場合には、その移動方向も逆方向であったことになるため、進行方位補正部39は、それに合わせて自車位置情報Pも補正すると好適である。これにより、電源33がオフ状態の間にターンテーブル8によって自車両Cの進行方向が反転させられたことに合わせて自車両Cの進行方位を適切に補正することができる。したがって、電源33がオンされた後に、正しい進行方位を表す進行方位情報Dを取得することが可能となる。
【0067】
1−9.補正キャンセル部
補正キャンセル部40は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正時を基準とする所定期間内に、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理手段として機能する。ここでは、補正キャンセル部40は、進行方位補正部39による補正の前後の所定期間内に、電源33がオン状態の間に、車速情報及び進行方位情報Dに基づいてターンテーブル8による自車両Cの方向転換が行われたと判定した場合に、進行方位情報Dの補正を停止し又は取り消す補正キャンセル処理を行う。自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたか否かは、自車位置情報取得部16により取得される進行方位情報Dに基づいて、自車両Cの進行方位が180°回転したか否かにより判定する。この際、自車両Cの進行方位が180°回転したか否かを判定するための条件は、方位センサ14の検出誤差等を考慮して、所定範囲内(例えば、160〜200°の範囲内)であれば、180°回転したと判定するように設定すると好適である。自車両Cの車速は、距離センサ15や車両情報取得部38により取得される。
【0068】
すなわち、補正キャンセル部40は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正後の所定の取消期間内に、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、進行方位補正部39により行った補正を取り消す処理を行う。具体的には、補正キャンセル部40は、このような条件を満たした場合には、進行方位補正部39により先に行った進行方位情報Dの補正を取り消し、自車両Cの進行方位を補正前に戻す処理を行う。ここで、取消期間は、自車両Cの移動距離及び時間の一方又は双方により規定される期間である。本実施形態においては、取消期間は、進行方位補正部39による補正後の自車両Cの移動距離により規定される期間とする。この取消期間の長さは、進行方位補正部39による補正が行われてからターンテーブル8による自車両Cの方向転換が完了するまでの間の自車両Cの平均的な移動距離に対して所定の余裕分を加えた長さとすると好適である。なお、このような取消期間の長さは、一般的な立体駐車場における搬器6とターンテーブル8との位置関係等を調査して決定すると好適である。
【0069】
また、補正キャンセル部40は、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、その判定後の所定の停止期間内は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正処理を停止する処理を行う。具体的には、補正キャンセル部40は、このような条件を満たした場合には、進行方位補正部39及び鏡像判定部35の一方又は双方を、所定の停止期間が経過するまで停止させ、進行方位補正部39による補正処理が行われない状態とする。ここで、停止期間は、自車両Cの移動距離及び時間の一方又は双方により規定される期間である。本実施形態においては、停止期間は、自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定されてからの自車両Cの移動距離により規定される期間とする。この停止期間の長さは、自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定されてから進行方位補正部39による補正が行われるまでの間の自車両Cの平均的な移動距離に対して所定の余裕分を加えた長さとすると好適である。なお、このような停止期間の長さは、一般的な立体駐車場における搬器6とターンテーブル8との位置関係等を調査して決定すると好適である。
【0070】
図6は、撮像装置11としてバックカメラを用いる場合であって、補正キャンセル部40による補正キャンセル処理が行われる具体例の一つを示した図である。この場合、図6(a)に示すように、自車両Cは、前進してターンテーブル8上に停止し、このターンテーブル8により方向転換された後、後進して立体駐車場4の搬器6に進入する。そして、搬器6内で自車両Cの車両電源スイッチ34がオフされ、ナビゲーション装置1の電源33もオフ状態となる。その後、駐車場4から出る際には、車両電源スイッチ34がオンされ、ナビゲーション装置1の電源33もオン状態とされた後、図6(b)に示すように、自車両Cは、前進して搬器6から退出する。この例に示す場合、補正キャンセル部40による補正キャンセル処理を行わなければ、ナビゲーション装置1は、電源33がオンされた際に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定するため、誤って自車両Cの進行方位を反転させる補正が行われることになる。しかし、本例の場合には、補正キャンセル部40は、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報D等に基づいて、自車両Cの車速がゼロの状態で、ターンテーブル8による方向転換が行われたと判定し、所定の停止期間内は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正処理を停止する。そして、駐車場4から出る際のナビゲーション装置1の電源オンから所定の判定期間L内は、上述した停止期間内に含まれる。したがって、誤って自車両Cの進行方位を反転させる進行方位情報Dの補正が行われることを防止できる。
【0071】
1−10.進行方位補正処理
次に、本実施形態に係る車載用処理装置2を含むナビゲーション装置1において実行される自車両Cの進行方位の補正処理の手順(車両進行方位補正プログラム)について説明する。図7は、本実施形態に係る車両進行方位補正処理の手順を示すフローチャートである。また、図8は、本実施形態に係る補正キャンセル部40による補正キャンセル処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理の手順は、上記の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、ナビゲーション装置1が有する演算処理装置が、車載用処理装置を制御し、上記の各機能部を構成する車両進行方位補正プログラムを実行するコンピュータとして動作する。以下では、まず、車両進行方位補正処理の手順について説明する。
【0072】
図7に示すように、車両進行方位補正処理においては、ナビゲーション装置1は、まず、電源動作検出部31により電源オンを検出したか否かを判定する(ステップ#01)。そして、電源動作検出部31により電源オンを検出した場合には(ステップ#01:Yes)、鏡像判定部35による判定期間Lの計測を開始する(ステップ#02)。また、鏡像判定部35により鏡像判定を行う(ステップ#03)。この鏡像判定は、上述のとおり、自車両Cの周辺を撮像する撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行い、自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する処理である。
【0073】
そして、自車両Cの鏡像が撮像された場合には(ステップ#03:Yes)、例えば図4(b)に示すようにターンテーブル8によって自車両Cの進行方向が反転させられたと判断し、進行方位補正部39により、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する(ステップ#05)。一方、自車両Cの鏡像が撮像されなければ(ステップ#03:No)、ステップ#02の判定期間Lの計測開始(すなわち電源オンの検出時)からの経過期間(本実施形態では自車両Cの移動距離)が判定期間L内か否かを判定する(ステップ#06)。判定期間内である場合には(ステップ#06:Yes)、ステップ#03へ戻り、鏡像判定処理を継続する。そして、自車両Cの鏡像が撮像されないまま(ステップ#03:No)、判定期間Lを過ぎた場合には(ステップ#06)、進行方位情報Dは補正しない。以上で処理は終了する。
【0074】
次に、本実施形態に係る補正キャンセル部40による補正キャンセル処理の手順について説明する。図8に示すように、補正キャンセル処理においては、補正キャンセル部40は、まず、進行方位補正部39により自車両Cの進行方位情報Dを補正したか否かについて判定する(ステップ#11)。そして、進行方位補正部39により進行方位情報Dを補正した場合には(ステップ#11:Yes)、補正キャンセル部40は、取消期間の計測を開始する(ステップ#12)。一方、進行方位補正部39により進行方位情報Dを補正しなければ(ステップ#11:No)、この取消期間の計測は開始しない。なお、上述のとおり、取消期間は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正後に設定される期間であって、この取消期間内に、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、進行方位補正部39により行った補正を取り消す処理を行う期間として設定されている。
【0075】
次に、補正キャンセル部40は、自車両Cの車速がゼロであるか否かを判定する(ステップ#13)。そして、自車両Cの車速がゼロである場合には(ステップ#13:Yes)、ターンテーブル8等による自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたか否かについて判定する(ステップ#14)。この判定は、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて、自車両Cの進行方位が180°回転したか否かにより行う。自車両Cの車速がゼロでなく(ステップ#13:No)、或いは進行方位が判定しなかった場合(ステップ#14:No)、すなわち車速がゼロとなっても進行方位が反転しないまま自車両Cが再び走行を開始した場合には、進行方位情報Dの補正をキャンセルすることなく、処理を終了する。
【0076】
自車両Cの車速がゼロの状態で(ステップ#13:Yes)、自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われた場合には(ステップ#14:Yes)、ステップ#12の取消期間の計測開始(すなわち自車両Cの進行方位情報Dの補正時)からの経過期間(本実施形態では自車両Cの移動距離)が取消期間内か否かを判定する(ステップ#15)。自車両Cの方向転換が行われたのが取消期間内であった場合には(ステップ#15:Yes)、進行方位補正部39により先に行った自車両Cの進行方位情報Dの補正を取り消す(ステップ#16)。
【0077】
一方、自車両Cの方向転換が行われたのが取消期間内ではなかった場合(ステップ#15:No)、すなわち、現時点から過去に向かって所定の取消期間内に、進行方位補正部39により自車両Cの進行方位情報Dの補正が行われていなかった場合には、補正キャンセル部40は、停止期間の計測を開始する(ステップ#17)。なお、上述のとおり、停止期間は、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した後に設定される期間であって、この停止期間内に、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正が行われないように、進行方位補正部39による補正処理を停止させる期間として設定されている。したがって、補正キャンセル部40は、進行方位補正部39による自車両Cの進行方位情報Dの補正を停止させる(ステップ#18)。この進行方位情報Dの補正の停止処理は、停止期間内(ステップ#19:Yes)は継続され、停止期間を経過したときに(ステップ#19:No)解除される(ステップ#20)。以上で処理は終了する。
【0078】
2.第二の実施形態
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態においては、撮像装置11として、自車両Cの前方を撮像するフロントカメラを用いる場合の例について説明する。すなわち、本実施形態に係る車載用処理装置2を含むナビゲーション装置1は、上記第一の実施形態と比べて、撮像装置11の撮像方向が自車両Cの後方から前方に変更され、それに伴って自車両Cの進行方位情報Dを補正する処理を行う機能部の具体的構成が変更されている。その他の構成は、基本的に上記第一の実施形態と同様である。したがって、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図は、上記第一の実施形態に係る図1と同じである。また、本実施形態においても、補正キャンセル部40による補正キャンセル処理の手順を示すフローチャートは、上記第一の実施形態に係る図8と同じである。以下では、本実施形態に係るナビゲーション装置1について、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。
【0079】
2−1.方向転換を検知するための基本的な考え方
図9は、本実施形態における自車両Cの方向転換を検知するための考え方を説明する説明図である。この図に示すように、本実施形態においては、撮像装置11としてフロントカメラを用いる。したがって、撮像装置11は、自車両Cの前方の所定領域を撮像する。このナビゲーション装置1は、上記第一の実施形態と同様に、電源33がオフ状態の間にターンテーブル8によって自車両Cの進行方向を反転させる方向転換が行われたことを検知し、それに合わせて進行方位情報Dを補正する機能を備えている。そこで、以下では、まず、撮像装置11としてフロントカメラを用いる場合における、自車両Cの方向転換を検知するための基本的な考え方について、図9〜図11を用いて説明する。
【0080】
図11には、自車両Cを載せるための搬器6の外にターンテーブル8が配置された機械式立体駐車場の例を示している。この例に示す駐車場4の場合、図11(b)に示すように、自車両Cは、搬器6から退出するために移動する途中でターンテーブル8上に停止して方向転換を行う。そのため、自車両Cの車両電源スイッチ34はオン状態のまま(エンジンが動作したまま)で自車両Cの方向転換が行われることがほとんどである。したがって、このような立体駐車場4では、電源33がオン状態の間に自車両Cの方向転換が行われることになる。この場合、自車位置情報取得部16は、方位センサ14の出力等に基づいて、自車両Cの方向転換に応じた正しい進行方位情報Dを取得することができる。
【0081】
一方、ナビゲーション装置1の電源33がオフ状態の間に自車両Cの方向転換が行われることになるターンテーブル8等の方向転換装置が存在する場所としては、例えば図9に示すような、自車両Cを載せるための搬器6自体を回転させることが可能なターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場4が代表的である。このような駐車場4では、図9(a)に示すように、自車両Cは前進してターンテーブル8を備えた搬器6に進入する。自車両Cを搬器6に載せた後、運転者は自車両Cから出るために、自車両Cの車両電源スイッチ34をオフする。これにより、車両電源スイッチ34に連動するナビゲーション装置1の主電源スイッチ32もオフされ、電源33がオフ状態となる。その後、ターンテーブル8を備えた搬器6が回転され、自車両Cの進行方向を反転させる方向転換が行われる。これにより、図9(b)に示すように、自車両Cは、前進して搬器6から退出することになる。
【0082】
ところで、このようなターンテーブル内蔵型の機械式立体駐車場4等では、ほとんどの場合、搬器6へ進入する自車両Cを映すことにより運転者の操作を容易にするために、搬器6への入口から見て正面に位置する奥側の壁7に鏡5が設けられている。この鏡5は、図9(a)に示すように搬器6への進入時には自車両Cの前方にあり、方向転換後の搬器6からの退出時には自車両Cの後方にあることになる。そのため、撮像装置11としてフロントカメラを用いる場合には、図9(a)に示すように、自車両Cの搬器6への進入中又は進入後に、自車両Cの前方に位置する鏡5が撮像装置11の撮像領域内に入ることになり、自車両Cの鏡像をフロントカメラである撮像装置11により撮像することができる。したがって、この事象を利用することにより、電源33のオフ前の所定の判定期間内に撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像された場合であって、その前後で方位センサ14等による自車両Cの方向転換を検出しなかった場合には、電源33のオフ状態で自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定することが可能となる。
【0083】
したがって、本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、電源動作検出部31による電源オフの検出前の所定の判定期間内に、鏡像判定部35において撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合には、その後、電源33がオフ状態の間に、ターンテーブル8によって自車両Cの方向転換が行われると判定する。そして、ナビゲーション装置1は、進行方位補正部39により、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する。更に、ナビゲーション装置1は、補正キャンセル部40により、このような進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正の前後の所定期間内に、電源33がオン状態であって、かつ車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を判定させる方向転換が行われたと判定した場合には、進行方位情報Dの補正を停止し又は取り消す処理を行う。以上により、電源33がオフ状態の間に、ターンテーブル8によって自車両Cの進行方向が反転させられたことを高精度に判定し、それに合わせて自車両Cの進行方位を適切に補正し、正しい進行方位を表す進行方位情報Dを取得することが可能となる。
【0084】
2−2.鏡像判定部
上記のとおり、本実施形態では、撮像装置11として自車両Cの前方を撮像するフロントカメラを用いる。したがって、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたか否かの判定を行うために設定される判定期間は、電源動作検出部31による電源オフの検出前の所定期間として規定される。この判定期間は、自車両Cの移動距離及び時間の一方又は双方により規定される期間である。ここでは、図9(a)に示すように、電源動作検出部31による電源オフの検出前の自車両Cの移動距離により規定される判定期間Lとしている。ところで、本実施形態においては、電源動作検出部31による電源オフの検出前に、鏡像判定部35による鏡像判定を行う必要があるが、電源オフがいつ行われるかを正確に予測することは困難である。そこで、鏡像判定部35は、自車両Cの車速が所定の判定しきい値以下(例えば5〔km/時〕以下)となったときに、自車両Cが駐車場4等に停車される可能性が高いと判断して鏡像判定を開始する。そして、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定されてから判定期間L内に電源オフが検出された場合に、判定期間L内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。この判定期間Lの長さは、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定されてから電源33がオフされるまでの平均的な期間を時間及び移動距離の双方について勘案して決定し、当該決定された期間に対して所定の余裕分を加えた長さとすると好適である。例えば、判定期間Lは、電源動作検出部31による電源オフの検出前の自車両Cの移動距離で5〔m〕の期間として規定される。この際、自車両Cの移動距離は、距離センサ15等により検出される。鏡像判定部35は、判定期間L内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合には、そのことを示す信号を進行方位補正部39に対して出力する。
【0085】
本実施形態においても、鏡像判定部35は、撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行う画像認識部36と、この画像認識部36による認識結果に基づいて自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する処理を行う判定処理部37とを有している。画像認識部36の構成は上記第一の実施形態と同様であるため、以下では、判定処理部37について詳細に説明する。
【0086】
2−2−1.判定処理部
本実施形態においても、上記第一の実施形態と同様に、判定処理部37は、鏡像判定を、図10に示すように、灯火器の鏡像L4m、L2mの画像認識結果に基づいて行う灯火器判定処理と、ナンバープレートの鏡像Nmの画像認識結果に基づいて行うナンバープレート判定処理と、自車鏡像Cmの遠ざかる速度又は近づく速度に基づいて行う車速判定処理と、自車鏡像Cmの形態に基づいて行う車両形態判定処理との4種類の判定処理を行う。そして、判定処理部37は、これら4種類のいずれかの判定処理により、画像情報Gに含まれる車両の画像が自車両Cの鏡像であると判定した場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。
【0087】
灯火器判定処理は、画像情報Gに含まれる車両の灯火器を画像認識部36により画像認識し、当該灯火器の点灯及び消灯の一方又は双方が、自車両Cの灯火器の動作に連動している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例では、判定処理部37は、灯火器判定処理として、画像認識されるヘッドライトの点灯及び消灯の一方又は双方のタイミングが、自車両Cのヘッドライトの動作タイミングに連動している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図10に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両のヘッドライトの画像Lm4の明るさの経時的変化と、車両情報取得部38により取得されるヘッドライトの動作タイミングを表す情報とに基づいて、ヘッドライトの点灯及び消灯の一方又は双方が、ヘッドライトの動作タイミングと一致するか否かを判定する。そして、それらのタイミングが一致する場合には、当該ヘッドライトの画像Lm4が自車両Cのヘッドライトの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、それらのタイミングが一致しない場合には、画像情報Gに含まれるヘッドライトの画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0088】
ところで、灯火器判定処理において判定対象とする灯火器は、ヘッドライトに限定されず、自車両Cの前部に設けられている他の灯火器を判定対象とすることも可能である。したがって、例えば、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両のターンシグナルランプの画像Lm2(図10参照)や、フォグランプ等の他の灯火器を対象として灯火器判定処理を行っても好適である。なお、判定処理部37は、これらのヘッドライト、ターンシグナルランプ、フォグランプ等の複数種類の灯火器を組み合せて鏡像判定に用いても好適である。
【0089】
ナンバープレート判定処理は、画像情報Gに含まれる車両のナンバープレートを画像認識部36により画像認識し、当該車両のナンバープレートに含まれる左右非対称な文字が鏡像反転している場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例でも、判定処理部37は、ナンバープレート判定処理として、ナンバープレートの枠内に存在する左右非対称なアラビア数字の鏡像を画像認識部36により画像認識できた場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図10に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識されるナンバープレートの画像Nmに含まれている「2」、「3」、又は「4」の数字の鏡像を画像認識できた場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、ナンバープレートの画像Nmに含まれている数字が鏡像判定していない場合には、画像情報Gに含まれるナンバープレートの画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0090】
車速判定処理は、画像情報Gに含まれる車両を画像認識し、当該車両が、自車両Cから遠ざかる速度又は自車両Cへ近づく速度が、自車両Cの車速の2倍である場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例では、撮像装置11としてフロントカメラを用いているため、判定処理部37は、車速判定処理として、画像認識される車両が自車両Cへ近づく速度が自車両Cの車速の2倍である場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図10に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両の画像Cmの大きさが次第に大きくなる経時的変化に基づいて、当該画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度を演算する。そして、このように求めた相対速度が、距離センサ15や車両情報取得部38により取得される車速情報に示される自車両Cの車速の2倍であるであるか否かを判定する。当該画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度が自車両Cの車速の2倍である場合には、当該車両の画像Cmが自車両Cの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、画像情報G中の車両と自車両Cとの相対速度が自車両Cの車速の2倍でない場合には、画像情報Gに含まれる車両の画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0091】
車両形態判定処理は、自車両Cの鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、画像情報Gに含まれる車両を画像認識し、当該車両の特徴が、自車鏡像情報と一致する場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する処理である。本例では、撮像装置11としてフロントカメラを用いているため、判定処理部37は、車両形態判定処理として、自車両Cの前部の鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、画像情報Gに含まれる車両の特徴がそれと一致する場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。例えば図10に示すような画像情報Gが画像情報取得部12により取得された場合、判定処理部37は、画像認識部37により認識される車両の画像Cmの特徴を自車鏡像情報と対比し、当該車両の画像Cmの特徴が自車両Cの鏡像の特徴に一致するか否かを判定する。そして、それらの特徴が一致する場合には、当該車両の画像Cmが自車両Cの鏡像であると判定できるので、判定処理部37は、撮像装置11により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。一方、それらの特徴が一致しない場合には、画像情報Gに含まれる車両の画像が他の車両のものであると判定できるので、判定処理部37は、自車両Cの鏡像が撮像されなかったと判定する。
【0092】
以上のように、鏡像判定部35は、電源動作検出部31による電源オフの検出前に設定された所定の判定期間内に撮像装置11により取得される画像情報Gのみを用いて鏡像判定を行い、電源33のオフ状態で自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたか否かを判定することができる。そのため、電源オフの検出前に撮像された画像情報Gを電源オフ状態の間記憶しておく必要がない。したがって、画像情報Gを記憶しておくためにナビゲーション装置1の構成が複雑化することを抑制でき、或いは記憶媒体へのアクセスが増加することによる処理動作の遅延や演算負荷の増大を抑制できる。更に、本実施形態の構成によれば、画像情報Gに対する処理として自車両Cの鏡像に特化した判定処理を行うため、判定処理が簡略化することができ、判定精度も高めることが可能となる。
【0093】
2−3.進行方位補正部
本実施形態においては、進行方位補正部39は、上記のとおり、鏡像判定部35が電源オフの検出前の所定の判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両Cの進行方位情報Dを補正する。すなわち、進行方位補正部39は、鏡像判定部35から判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたことを示す信号を受け取った場合には、自車位置情報取得部16により取得している進行方位情報Dに対して、自車両Cの進行方位を180°反転させる補正を行う。上記のとおり、本実施形態においては、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定されてから判定期間L内に電源オフが検出された場合に、判定期間L内に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する。すなわち、進行方位補正部39が鏡像判定部35から判定期間内に自車両Cの鏡像が撮像されたことを示す信号を受け取ったときは、電源33をオフする動作(具体的には車両電源スイッチ34のオフ動作)が行われたときである。そこで、進行方位補正部39は、まず、主電源スイッチ32に対して電源オフを遅延させる処理を行い、その後に自車両Cの進行方位情報Dを補正する処理を行う。そして、進行方位補正部39は、進行方位情報Dの補正後に、主電源スイッチ32に対して電源オフを行わせる。これにより、電源33がオフ状態の間にターンテーブル8によって自車両Cの進行方向が反転させられるであろうことを予測し、それに合わせて自車両Cの進行方位を適切に補正することができる。したがって、電源33がオンされた後に、正しい進行方位を表す進行方位情報Dを取得することが可能となる。
【0094】
2−4.補正キャンセル部
補正キャンセル部40は、上記第一の実施形態と同様に、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正時を基準とする所定期間内に、自車両Cの車速がゼロの状態で、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報Dに基づいて自車両Cの進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理手段として機能する。図11は、撮像装置11としてフロントカメラを用いる場合であって、補正キャンセル部40による補正キャンセル処理が行われる具体例の一つを示した図である。この場合、図11(a)に示すように、自車両Cは、前進して立体駐車場4の搬器6に進入する。そして、搬器6内で自車両Cの車両電源スイッチ34がオフされ、ナビゲーション装置1の電源33もオフ状態となる。その後、駐車場4から出る際には、車両電源スイッチ34がオンされ、ナビゲーション装置1の電源33もオン状態とされた後、図11(b)に示すように、自車両Cは、後進して搬器6から退出してターンテーブル8上に停止し、このターンテーブル8により方向転換された後、前進して走り去る。この例に示す場合、補正キャンセル部40による補正キャンセル処理を行わなければ、ナビゲーション装置1は、電源オフの検出前に自車両Cの鏡像が撮像されたと判定するため、誤って自車両Cの進行方位を反転させる補正が行われることになる。しかし、本例の場合には、補正キャンセル部40は、進行方位補正部39による進行方位情報Dの補正後の所定の取消期間内に、自車位置情報取得部16が取得する進行方位情報D等に基づいて、自車両Cの車速がゼロの状態で、ターンテーブル8による方向転換が行われたと判定し、進行方位補正部39により先に行った進行方位情報Dの補正を取り消し、自車両Cの進行方位を補正前に戻す処理を行う。したがって、誤って自車両Cの進行方位を反転させる進行方位情報Dの補正が行われた場合であっても、そのような補正を取り消すことができる。
【0095】
2−5.進行方位補正処理
次に、本実施形態に係る車載用処理装置2を含むナビゲーション装置1において実行される自車両Cの進行方位の補正処理の手順(車両進行方位補正プログラム)について説明する。図12は、本実施形態に係る車両進行方位補正処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理の手順は、上記の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、ナビゲーション装置1が有する演算処理装置が、車載用処理装置を制御し、上記の各機能部を構成する車両進行方位補正プログラムを実行するコンピュータとして動作する。
【0096】
図12に示すように、車両進行方位補正処理においては、ナビゲーション装置1は、まず、自車両Cの車速が所定の判定しきい値以下となったか否かを判定する(ステップ#31)。ここで判定しきい値は、上記のとおり、自車両Cが停車される可能性が高いと判断される車速に設定すると好適であり、例えば5〔km/時〕程度に設定する。そして、自車両Cの車速が所定の判定しきい値以下となった場合には(ステップ#31:Yes)、鏡像判定部35により鏡像判定を行う(ステップ#32)。この鏡像判定は、上述のとおり、自車両Cの周辺を撮像する撮像装置11により取得した画像情報Gに対する画像認識処理を行い、自車両Cの鏡像が撮像されたか否かを判定する処理である。
【0097】
そして、自車両Cの鏡像が撮像された場合には(ステップ#33:Yes)、鏡像判定部35による判定期間Lの計測を開始する(ステップ#34)。その後、判定期間L内に(ステップ#35)、電源動作検出部31により電源オフが検出されたか否か(ステップ#36)を判定する。判定期間L内に(ステップ#35:Yes)、電源オフが検出された(ステップ#36:Yes)場合には、進行方位補正部39により、主電源スイッチ32に対して電源オフを遅延させる処理を行う(ステップ#37)。そして、進行方位補正部39により、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する(ステップ#38)。その後、進行方位補正部39は、主電源スイッチ32に対して電源オフを行わせる(ステップ#39)。
【0098】
一方、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されないまま(ステップ#33;No)、自車両Cの車速が判定しきい値より大きくなった場合には(ステップ#31:No)、進行方位情報Dは補正しない。また、自車両Cの鏡像が撮像された場合であっても(ステップ#33:Yes)、判定期間L内に電源動作検出部31により電源オフが検出されなかった場合には(ステップ#35:No、ステップ#36:No)、進行方位情報Dは補正しない。以上で処理を終了する。
【0099】
3.第三の実施形態
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。図13は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、地図データベース26内に、ターンテーブル8が存在する位置を表すターンテーブル情報Tを備えている。したがって、このナビゲーション装置1は、ターンテーブル8が存在する位置を表すターンテーブル情報を地図データベース26から取得することが可能となっている。そして、本実施形態においては、進行方位補正部39は、自車位置情報取得部16により取得される自車位置情報Pに示される自車両Cの位置が、ターンテーブル情報Tに示されるターンテーブル8が存在する位置と一致する場合にのみ、進行方位情報Dの補正を行う構成となっている。その他の構成は、基本的に上記第一の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係るナビゲーション装置1について、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。
【0100】
図13に示すように、本実施形態においては、地図データベース26内に、上記第一の実施形態と同様の地図情報Mに加えて、ターンテーブル情報Tが記憶されている。図14は、地図データベース26に記憶されているターンテーブル情報Tの構成の例を示す図である。この図に示すように、ターンテーブル情報Tは、ターンテーブル8が現実に存在する位置に対応する位置に設けられたターンテーブルリンクt1〜t3の情報を有して構成されている。このターンテーブルリンクt1〜t3の情報は、地図情報Mに含まれるリンクkの情報と同様に、両端のノードnの位置(座標)の情報や、リンク属性情報等を有している。ターンテーブルリンクt1〜t3のリンク属性情報は、当該リンクがターンテーブル8の存在する位置を表すものであることを示す情報を有している。このターンテーブル情報Tは、地図情報Mと関連付けられて地図データベース26に記憶されている。地図データベース26に記憶されたターンテーブル情報Tは、進行方位補正部39により読み出され、進行方位情報Dの補正を行うか否かの判定のために用いられる。したがって、本実施形態においては、ターンテーブル情報Tが本発明における方向転換装置情報に相当し、地図データベース26からターンテーブル情報Tを取得する進行方位補正部39が、本発明における方向転換装置情報取得手段に相当する。
【0101】
また、図13に示すように、本実施形態に係るナビゲーション装置1は、地図データベース26に記憶されたターンテーブル情報Tを更新するための更新情報を受信する更新情報受信部41を備えている。この更新情報受信部41は、図示しない外部のサーバ装置と通信を行い、ターンテーブル情報Tを最新の状態に更新するための更新情報を定期的に受信する。そして、受信された更新情報により、地図データベース26に記憶されたターンテーブル情報Tが更新される。これにより、現実の状態と異なるターンテーブル情報Tに基づいて、誤った進行方位情報Dの補正が進行方位補正部39により行われることを抑制できる。
【0102】
本実施形態においては、進行方位補正部39は、自車位置情報取得部16により取得される自車位置情報Pに示される自車両Cの位置が、ターンテーブル情報Tに示されるターンテーブル8が存在する位置と一致する場合にのみ、進行方位情報Dの補正を行う構成となっている。すなわち、進行方位補正部39は、自車位置情報Pに示される自車両Cの位置がターンテーブル情報Tに示されるターンテーブル8が存在する位置と一致する場合であって、かつ、電源動作検出部31による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする所定の判定期間内に、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する。ここで、自車両Cの位置が、ターンテーブル情報Tに示されるターンテーブル8が存在する位置と一致するか否かは、具体的には、自車位置情報Pに示される自車両Cの位置が、図14に示すターンテーブルリンクt1〜t3上にあるか否かにより判定する。すなわち、自車両Cの位置がターンテーブルリンクt1〜t3上にある場合に、自車両Cの位置がターンテーブル8の存在する位置と一致すると判定する。
【0103】
4.第四の実施形態
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、地図データベース26に記憶された地図情報Mの一部として、各地域の区分を表す地域区分情報を備えている。そして、進行方位補正部39は、自車位置情報取得部16により取得される自車位置情報Pに基づいて、自車両Cが存在する地域の区分を表す地域区分情報を取得する。そして、進行方位補正部39は、取得した地域区分情報に示される自車両Cが存在する地域の区分が、ターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域の区分である場合に、進行方位情報Dの補正を行う構成となっている。その他の構成は、基本的に上記第一の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係るナビゲーション装置1について、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。
【0104】
地図データベース26に記憶された地域区分情報は、各地域の区分を表す情報である。各地域の区分は、所定の地域毎の特性、特に建築物の密集状態に応じて分けられた区分とすると好適である。したがって、地域区分情報を、所定の地域毎に、例えば、都市部、郊外部、山間部という区分に分類してなる情報とし、これらの中で「都市部」に分類された地域のみをターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性がある地域と規定すると好適である。また、地域区分情報を、所定の地域毎に、例えば、建築物の密集度を高、中、低の三段階の区分に分類してなる情報とし、これらの中で密集度が「高」に分類された地域のみをターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性がある地域と規定しても好適である。また、地域区分情報を、所定の地域毎に、例えば、ターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性があるか、ないかの2つの区分に分類してなる情報としても好適である。
【0105】
進行方位補正部39は、自車位置情報Pに基づいて、自車両Cが存在する地域の区分を表す地域区分情報を取得する。したがって、本実施形態においては、この進行方位補正部39が本発明における地域区分情報取得手段に相当する。また、進行方位補正部39は、取得した地域区分情報に示される自車両Cが存在する地域の区分が、ターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域の区分である場合にのみ、進行方位情報Dの補正を行う構成となっている。すなわち、進行方位補正部39は、自車位置情報Pに基づいて取得した、自車両Cが存在する地域についての地域区分情報が、ターンテーブル8を備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域の区分を表すものでああって、かつ、電源動作検出部31による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする所定の判定期間内に、鏡像判定部35により自車両Cの鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両Cの進行方位を反転させるように進行方位情報Dを補正する。
【0106】
5.その他の実施形態
(1)上記の各実施形態においては、図4(b)等に示すように、判定期間Lを、自車両Cの移動距離により規定される期間とする場合を例として説明した。しかし、判定期間Lは、このような期間に限定されるものではなく、時間により規定される期間、或いは自車両Cの移動距離及び時間の双方により規定される期間とすることも可能である。したがって、例えば撮像装置11としてバックカメラを用いる場合において、判定期間Lを、電源動作検出部31による電源オンの検出後の経過時間(例えば10秒)により規定される期間とし、或いは、電源動作検出部31による電源オンの検出後の自車両Cの移動距離により規定される期間、及び当該検出後の経過時間により規定される期間のいずれか長い方又は短い方の期間として規定することも本発明の好適な実施形態の一つである。同様に、例えば撮像装置11としてフロントカメラを用いる場合において、判定期間Lを、電源動作検出部31による電源オフの検出前の所定時間(例えば10秒)により規定される期間とし、或いは、電源動作検出部31による電源オフの検出前の自車両Cの移動距離により規定される期間、及び当該検出前の時間により規定される期間のいずれか長い方又は短い方の期間として規定することも本発明の好適な実施形態の一つである。また、判定期間Lは、予め定められた固定期間に限られるものではなく、車速等の自車両Cの動作状態に応じて変化する可変期間として規定しても好適である。
【0107】
(2)上記の各実施形態においては、鏡像判定部35は、灯火器判定処理、ナンバープレート判定処理、車速判定処理、及び車両形態判定処理の4種類のいずれかの判定処理によって画像情報Gに含まれる車両の画像が自車両Cの鏡像であると判定した場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する場合を例として説明した。しかし、本発明における鏡像判定の方法はこれに限定されない。したがって、例えば、上記4種類の判定処理の中の複数の判定処理によって画像情報Gに含まれる車両の画像が自車両Cの鏡像であると判定した場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、鏡像判定部35が、上記4種類の判定処理の一部のみを実行可能に構成されていてもよい。その場合、実行された判定処理の中の一又は二以上の判定処理によって画像情報Gに含まれる車両の画像が自車両Cの鏡像であると判定した場合に、自車両Cの鏡像が撮像されたと判定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0108】
(3)上記の各実施形態においては、ナビゲーション装置1への電源33のオン又はオフを切り替える主電源スイッチ32が、自車両Cの各電気機器に対する電源33からの電力供給のオン又はオフを切り替える車両電源スイッチ34に連動している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、ナビゲーション装置1への電源33のオン又はオフを切り替える主電源スイッチ32が、車両電源スイッチ34とは独立して動作する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、上記の各実施形態においては、方位情報取得手段としての自車位置情報取得部16を動作させる電源33が、車載用処理装置2を含むナビゲーション装置1の全体に電力を供給するとともに、自車両Cのその他の電気機器にも電力を供給する構成である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、電源33が、ナビゲーション装置1のみ、車載用処理装置2のみ、或いは方位情報取得手段としての自車位置情報取得部16のみに電力を供給する構成とすることも可能である。
【0109】
(4)上記の各実施形態では、本発明に係る車載用処理装置2をナビゲーション装置1に適用した場合の例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、自車両Cの進行方位情報を取得する必要がある様々な車載用の装置に適用される。したがって、例えば、本発明に係る車載用処理装置2を、ナビゲーション装置1とは無関係に動作する車両の走行制御装置等に利用する等のように、本発明を上記の実施形態とは異なる他の構成に適用することも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、自車両に搭載され、自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得することが可能な車載用処理装置及びナビゲーション装置、並びにそれらに用いることが可能な車両進行方位補正プログラム等に好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】地図データベースに記憶されている地図情報の構成の例を示す図
【図3】自車両への撮像装置の配置構成の一例を示す図
【図4】第一の実施形態における自車両の方向転換を検知するための考え方を説明する説明図
【図5】撮像装置により取得した画像情報の一例を示す図
【図6】補正キャンセル部による補正キャンセル処理が行われる具体例の一つを示した図
【図7】第一の実施形態に係る車両進行方位補正処理の手順を示すフローチャート
【図8】第一の実施形態に係る補正キャンセル処理の手順を示すフローチャート
【図9】本発明の第二の実施形態における自車両の方向転換を検知するための考え方を説明する説明図
【図10】撮像装置により取得した画像情報の一例を示す図
【図11】補正キャンセル部による補正キャンセル処理が行われる具体例の一つを示した図
【図12】第二の実施形態に係る車両進行方位補正処理の手順を示すフローチャート
【図13】本発明の第三の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図14】地図データベースに記憶されているターンテーブル情報の構成の例を示す図
【符号の説明】
【0112】
1:ナビゲーション装置
2:車載用処理装置
8:ターンテーブル(方向転換装置)
11:撮像装置
16:自車位置情報取得部(方位情報取得手段、自車位置情報取得手段)
21:案内情報出力手段
31:電源動作検出部(電源動作検出手段)
33:電源
34:車両電源スイッチ(自車両の電源スイッチ)
35:鏡像判定部(鏡像判定手段)
39:進行方位補正部(進行方位補正手段、方向転換装置情報取得手段、地域区分情報取得手段)
40:補正キャンセル部(補正キャンセル処理手段)
C:自車両
G:画像情報
P:自車位置情報
D:進行方位情報
L:判定期間
T:ターンテーブル情報(方向転換装置情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得する方位情報取得手段と、
自車両の周辺を撮像する撮像装置により取得した画像情報に対する画像認識処理を行い、自車両の鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定手段と、
前記方位情報取得手段を動作させる電源のオン又はオフを検出する電源動作検出手段と、
前記電源動作検出手段による電源オン又は電源オフの検出時を基準とする判定期間内に、前記鏡像判定手段により自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両の進行方位を反転させるように前記進行方位情報を補正する進行方位補正手段と、
を備えた車載用処理装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、自車両の後方を撮像するバックカメラであり、
前記判定期間は、前記電源動作検出手段による電源オンの検出後の所定期間である請求項1に記載の車載用処理装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、自車両の前方を撮像するフロントカメラであり、
前記判定期間は、前記電源動作検出手段による電源オフの検出前の所定期間である請求項1に記載の車載用処理装置。
【請求項4】
前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両を画像認識し、当該車両が、自車両から遠ざかる速度又は自車両へ近づく速度が、自車両の車速の2倍である場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する請求項2又は3に記載の車載用処理装置。
【請求項5】
前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両のナンバープレートを画像認識し、当該車両のナンバープレートに含まれる左右非対称な文字が鏡像反転している場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する請求項2から4のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項6】
前記鏡像判定手段は、前記画像情報に含まれる車両の灯火器を画像認識し、当該灯火器の点灯及び消灯の一方又は双方が、自車両の灯火器の動作に連動している場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する請求項1から5のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項7】
前記鏡像判定手段は、自車両の鏡像の特徴を表す自車鏡像情報を用い、前記画像情報に含まれる車両を画像認識し、当該車両の特徴が、前記自車鏡像情報と一致する場合に、自車両の鏡像が撮像されたと判定する請求項1から6のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項8】
前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正時を基準とする所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理手段を更に備える請求項1から7のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項9】
前記補正キャンセル処理手段は、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正後の所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、前記進行方位補正手段により行った補正を取り消す請求項8に記載の車載用処理装置。
【請求項10】
前記補正キャンセル処理手段は、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合には、その判定後の所定期間内は、前記進行方位補正手段による前記進行方位情報の補正処理を停止する請求項8又は9に記載の車載用処理装置。
【請求項11】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、方向転換装置が存在する位置を表す方向転換装置情報を取得する方向転換装置情報取得手段と、を更に備え、
前記進行方位補正手段は、前記自車位置情報に示される自車両の位置が、前記方向転換装置情報に示される方向転換装置が存在する位置と一致する場合に、前記進行方位情報の補正を行う請求項1から10のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項12】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、前記自車位置情報に基づいて自車両が存在する地域の区分を表す地域区分情報を取得する地域区分情報取得手段と、を更に備え、
前記進行方位補正手段は、前記地域区分情報に示される自車両が存在する地域の区分が、方向転換装置を備えた駐車場が存在する可能性があると予め規定された地域の区分である場合に、前記進行方位情報の補正を行う請求項1から10のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項13】
前記電源のオン又はオフは、自車両の電源スイッチに連動している請求項1から12のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項14】
前記判定期間は、自車両の移動距離及び時間の一方又は双方により規定される期間である請求項1から13のいずれか一項に記載の車載用処理装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の車載用処理装置と、
前記車載用処理装置により取得した前記進行方位情報を用いて、所定の案内情報を出力する案内情報出力手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項16】
自車両の進行方位を表す進行方位情報を取得する方位情報取得手段を備えた車載用処理装置を制御するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記方位情報取得手段を動作させる電源のオン又はオフを検出する電源動作検出ステップと、
前記電源動作検出ステップによる電源のオン又はオフの検出時を基準とする判定期間内に、自車両の周辺を撮像する撮像装置により取得した画像情報に対する画像認識処理を行い、自車両の鏡像が撮像されたか否かを判定する鏡像判定ステップと、
前記鏡像判定ステップにより自車両の鏡像が撮像されたと判定した場合に、自車両の進行方位を反転させるように、前記進行方位情報を補正する進行方位補正ステップと、
をコンピュータに実行させる車両進行方位補正プログラム。
【請求項17】
前記進行方位補正ステップによる前記進行方位情報の補正時を基準とする所定期間内に、自車両の車速がゼロの状態で、前記方位情報取得手段が取得する前記進行方位情報に基づいて自車両の進行方位を反転させる方向転換が行われたと判定した場合に、前記進行方位補正ステップによる前記進行方位情報の補正をキャンセルする処理を行う補正キャンセル処理ステップを更に備える請求項16に記載の車両進行方位補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−85628(P2009−85628A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252413(P2007−252413)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】