説明

運転支援方法及び運転支援装置

【課題】処理速度も速く、しかも、精度も落とすことなく安価に各種矢印信号灯を判別し、適切な運転支援を実行する運転支援方法及び運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転支援装置1の画像プロセッサ8が矢印信号灯を付設した信号機の赤色信号灯の点灯を判定すると、CPU2は、矢印信号灯が点灯していると推定する。そして、自車位置に基づいて前方の信号機の信号機データSDを読み出して、矢印信号灯の対象走行レーンデータと自車両が走行している自車両走行レーンに基づいて、CPU2は該矢印信号灯が自車両に対するものかどうかを判定する。対象走行レーンデータと自車両走行レーンが一致したとき、種別データの矢印方向を示す方向データに基づいて、点灯した矢印信号灯に即した走行をアナウンスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方の信号機を画像認識して、赤色の信号灯を認識し車両を走行制御する交通信号認識装置(運転支援装置)が提案されている(特許文献1)。この特許文献1では、3色の信号灯に矢印信号灯が付設された信号機では、その矢印信号灯まで画像認識して走行制御を行っている。例えば、右折可能信号灯の点灯を認識したとき、ドライバーに右折可能を伝え、車両を減速させて右折走行させるようになっている。
【特許文献1】特開平3−201100号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、矢印信号灯の画像認識では、点灯表示されている矢印の形状を、パターン認識を行うことによって、「右折矢印」、「左折矢印」、又は、「直進矢印」か、どうかの判断を行っていた。つまり、矢印信号灯に映し出される矢印の形状とその向きを、それぞれ画像認識しなければならないため、判断に時間を要し高速処理が可能な高価な信号処理装置が必要になっていた。また、形状及びその向きまで認識する必要から、画像認識のために使用されるカメラは高精細なカメラが使用され、非常に高価なものが使用されている。その結果、システムとして、非常に高価なシステムとなっていた。
【0004】
本発明の目的は、処理速度も速く、しかも、精度も落とすことなく安価に各種矢印信号灯を判別し、適切な運転支援を実行する運転支援方法及び運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、矢印信号灯を付設した信号機において車両の運転を支援する運転支援方法であって、矢印信号灯を付設した信号機の設置位置情報と、該矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンに関する種別情報とを含む信号機データを読み出し、自車位置及び自車両が走行している自車両走行レーンを認識し、前記自車位置に基づいて前記自車両前方の信号機の信号機データを取得し、前記信号機の赤色信号灯が点灯しているか否かを判定し、前記赤色信号灯が点灯していると判定されたとき、前記矢印信号灯の指示する方向に対する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致するか否かを判定し、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンが一致すると判定された場合、前記種別情報に応じて車両の運転を支援する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の運転支援方法において、前記車両の運転の支援は、音声案内手段によって、前記矢印信号灯の確認をする旨の運転操作指示を音声で案内する。
【0007】
請求項3の発明は、矢印信号灯を付設した信号機において車両の運転を支援する運転支援装置であって、矢印信号灯を付設した信号機の設置位置情報と、該矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンに関する種別情報とを含む信号機データを記憶する信号機データ記憶手段と、自車両の自車位置及び走行レーンを検出する自車位置及び走行レーン検出手段と、前記信号機データを取得する信号機データ取得手段と、前記自車両から前方の信号機を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が、撮影した画像データに基づいて、前方に位置する信号機の赤色信号灯が点灯しているか否かを判定する点灯判定手段と
、前記赤色信号灯が点灯していると判定されたとき、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致するか否かを判定し、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンが一致すると判定された場合に、前記種別情報に応じて車両の運転を支援する支援手段とを備えた。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載の運転支援装置において、前記支援手段は、音声案内手段を有し、前記支援手段は、前記赤色信号灯が点灯していると判定され、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致すると判定された場合に、前記音声案内手段により前記矢印信号灯を確認する旨の運転操作指示を音声案内する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の運転支援装置において、前記支援手段は、前記赤色信号灯が点灯していると判定され、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致すると判定された場合に、前記自車両運転手段を介して自車両の速度を制御する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、矢印信号灯は、少なくとも赤色信号灯が点灯している時に点灯し、それ以外の青色信号灯や黄色信号灯が点灯している時に点灯しない。従って、赤色信号灯が点灯しているとき、矢印信号灯が点灯していると推定できる。また、種別情報から、該矢印信号灯がどの走行レーンを対象にしているかが分かる。
【0011】
つまり、自車両走行レーンを知って、その矢印信号灯が自車両走行レーンのものかどうかが種別情報から分かると、赤色信号灯が点灯している時、自車両走行レーンが矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンであるとき、その矢印信号灯が点灯していると推定し、そのため車両の運転を支援する。
【0012】
従って、矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンを走行している自車両は、点灯している矢印信号灯の矢印形状をいちいち画像認識を行わなくても、即ち、赤色信号灯の点灯の有無を判定するだけで、簡単かつ短時間にしかも安価に車両の運転を支援することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、音声案内手段によって、矢印信号灯の確認が喚起され、矢印信号灯に従った交差点での運転走行が安全に行える。
請求項3の発明によれば、点灯判定手段が点灯を判定すると、信号機データ取得手段は、自車位置及び走行レーン検出手段から自車両の自車位置及び走行レーンを取得検出し、その自車位置に基づいて、信号機データ記憶手段から当該信号機の種別情報を取得する。支援手段は、取得した種別情報に基づいて矢印信号灯に対する運転支援をする。
【0014】
従って、赤色信号灯の点灯の有無を判定するという非常に簡単な判定だけで、矢印信号灯に対する車両の運転を支援することができる。
請求項4の発明によれば、音声案内手段によって、矢印信号灯の確認が喚起され、矢印信号灯に従った交差点での運転走行が安全に行える。
【0015】
請求項5の発明によれば、支援手段は車両の車速が制御され、矢印信号灯が付設された信号機が設置された交差点での運転走行が安全に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の運転支援装置を具体化した実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、自動車(自車両)に搭載された運転支援装置の構成を説明するブロック図である

【0017】
図1に示す運転支援装置1は、信号機データ取得手段、支援手段、自車位置及び走行レーン検出手段を構成する主制御を行うCPU2、そのCPU2の演算結果等を一時記憶するRAM3、経路案内プログラム、信号機検出支援プログラム等、各種の運転支援プログラムを記憶するROM4を備えている。また。運転支援装置1は、GPS受信部5及び車両側センサ入力インターフェース(車両側センサ入力I/F部6)を備えている。
【0018】
CPU2は、同CPU2とともに自車位置及び走行レーン検出手段を構成するGPS受信部5と接続され、そのGPS受信部5から入力した位置検出信号に基づいて、絶対座標を算出する。さらに、CPU2は、車両側センサ入力I/F部6を介して、自車両C(図5参照)に設けられた同じく自車位置及び走行レーン検出手段を構成する車速センサ6a及びジャイロ6bから、車速パルス信号及び方位検出信号を入力して、自律航法により基準位置からの相対座標を演算する。そして、CPU2は、GPS受信部5に基づく絶対座標と合わせて現在位置、即ち、自車位置を特定するとともに、後記する経路データRD及び地図データMDに基づいて自車両Cが走行している走行レーン(自車両走行レーン)を特定する。尚、車両用のXY座標系は、路面上の自車両Cの位置を示すための座標系(路面座標)である。CPU2は、その時々の自車位置の路面座標値をRAM3の所定の記憶領域に更新記憶する。また、CPU2は、車速センサ6aからの車速パルス信号に基づいてその時々の自車両Cの車速を演算している。
【0019】
また、車両側センサ入力I/F部6は、自車両Cに設けられたステアリングセンサ6c及びイグニッションスイッチ6dと接続されている。CPU2は、車両側センサ入力I/F部6を介して、ステアリングセンサ6cから、操舵角信号を入力して、その時の操舵角を演算するようになっている。
【0020】
また、運転支援装置1は、地理データ記憶部7を備えて、その地理データ記憶部7には経路データRD及び地図データMDが格納されている。経路データRDは、全国を各区域に区画したリージョン毎のデータであって、図2に示すように、ヘッダRDa、ノードデータRDb、リンクデータRDc、リンクコストRDd、座標データRDeを有している。ヘッダRDaは、各経路データRDを管理するためのデータを有している。ノードデータRDbは、交差点、道路の端点等を示す各ノードの識別データ、隣接するノードの識別データ等を有している。リンクデータRDcは、リンク列を構成し、接続ノードを示す各リンクレコード、通行規制を示すデータ等を有している。リンクコストRDdは、各リンクレコードに対して付与されたリンクID、リンク長、走行レーンの数(車線数)、平均旅行時間等から構成されたデータ群である。座標データRDeは、各ノードの絶対座標を示す。
【0021】
一方、地図データMDは、全国の地図を分割したエリア毎に格納され、広域の地図から狭域の地図まで各階層に分かれている。図3に示すように、各地図データMDは、ヘッダMDa、道路データMDb、背景データMDcを有している。ヘッダMDaは、その地図データMDの階層、エリア等を示し、管理目的のデータである。道路データMDbは、道路の形状・種類を示すデータであって、道路属性データMDd、リンク形状データMDe、接続データMDfを有している。道路属性データMDdは、道路名称、道路の方向、道路幅、車線数を有している。接続データMDfは、各リンクと各ノードの接続状態を表わすデータである。
【0022】
リンク形状データMDeは、座標データMDg、形状補間データMDhを有している。座標データMDgはリンク及びノードの座標を示している。形状補間データMDhは、リンクの途中に設定され、道路のカーブ形状を示すために設定された形状補間点に関するデ
ータであり、形状補間点の座標、リンクの方位等のデータである。また、背景データMDcは、道路、市街地、河川等を描画する描画データである。
【0023】
また、地理データ記憶部7は、信号機データ記憶手段を構成する記憶部であって、信号機データSDを格納している。信号機データSDは、全国の交差点CR(図5参照)に設置した各信号機SGに対して設けられ、図4に示すように、ヘッダSDa、設置位置情報としての設置位置座標データSDb、付設有無情報としての矢印信号灯付設データSDc、種別情報としての種別データSDdを有している。ヘッダSDaは、各信号機SGを指標するIDデータである。設置位置座標データSDbは、該信号機SGの設置位置の座標を示す。矢印信号灯付設データSDcは、該信号機SGに矢印信号灯ALが付設されているかいないかを示すデータである。
【0024】
種別データSDdは、付設されている矢印信号灯の数データSDe、対象走行レーンデータSDf及び矢印方向を示す方向データSDgから構成されている。
矢印信号灯の数データSDeは、付設されている矢印信号灯ALの数を指標するデータである。例えば、図6(a)に示すように、青色信号灯BL、黄色信号灯YL、赤色信号灯RLからなる信号機SGに、3個の矢印信号灯AL(図6(a)では左折矢印信号灯AL1、直進矢印信号灯AL2、右折矢印信号灯AL3)が付設されている場合には、その3の数がデータとなる。
【0025】
図6(b)に示すように、信号機SGに、2個の矢印信号灯AL(図6(b)では左折矢印信号灯AL1、直進矢印信号灯AL2)が付設されている場合には、その2の数がデータとなる。
【0026】
さらに、図6(c)に示すように、信号機SGに、1個の矢印信号灯AL(図6(c)では右折矢印信号灯AL3)が付設されている場合には、その1の数がデータとなる。
対象走行レーンデータSDfは、付設された矢印信号灯ALの指示する方向に対応する走行レーン(以下、対象走行レーンという)を指標するデータである。
【0027】
例えば、図7に示すように、交差点CRにおいて、信号機SGで走行指示される道路に3つの走行レーンTL1,TL2,TL3がある。そして、左側の走行レーンTL1は直進と左折可能な走行レーン、中央の走行レーンTL2は直進可能な走行レーン、右側の走行レーンTL3は右折と直進が可能な走行レーンである。このとき、該信号機SGに矢印信号灯ALとして右折矢印信号灯AL3が付設されているとき、対象走行レーンデータSDfは、右側の走行レーンTL3がデータとなる。
【0028】
尚、図7において、例えば右側の走行レーンTL3と中央の走行レーンTL2が直進と右折可能な走行レーンであるとすると、対象走行レーンデータSDfは、中央の走行レーンTL2と右側の走行レーンTL3がデータとなる。
【0029】
矢印方向を示す方向データSDgは、対象走行レーンデータSDfに対応づけられて設けられたものであって矢印信号灯ALの向き、つまり、「左折可能」、「直進可能」又は「右折可能」等を指標するデータである。例えば、図7において方向データSDgの「右折可能」と対象走行レーンデータSDfの右側走行レーンTL3が対応づけられて記憶されている。
【0030】
また、運転支援装置1は、点灯判定手段を構成する画像プロセッサ8及び外部入出力インターフェース(外部入出力I/F部9)を備えている。CPU2は、画像プロセッサ8を介してタッチパネルであるディスプレイDSPと接続されている。ディスプレイDSPは、そのディスプレイDSPに隣接した位置に設けられた操作スイッチSW1の入力操作
により、外部入出力I/F部9を介して、目的地を示すデータを受信する。この目的地のデータを受信すると、CPU2は、経路データRDを用いて、目的地と自車位置とを接続する推奨経路を探索する。
【0031】
また、CPU2は、前記車両側センサ入力I/F部6を介して、イグニッションスイッチ6dからのオンを入力すると、画像プロセッサ8を制御して、自車両Cの自車位置周辺の地図データMDを読出す。そして、CPU2は、画像プロセッサ8を介してその地図データMDに基づく地図画面P(道路案内画像)をディスプレイDSPに出力する。このとき、画像プロセッサ8は、地図画面Pに、その地図内での道路(探索して選択した目的地までの道路R)上に自車位置を示す指標Poを重畳して表示する。またこのとき、CPU2は、道路Rが図7に示すように複数の走行レーンTL1,TL2,TL3を有している場合、自車両Cがどの走行レーンを走行しているかを特定しRAM3に逐次更新し記憶している。
【0032】
運転支援装置1は、CPU2とともに音声案内手段を構成する音声プロセッサ10を備えている。CPU2は、音声プロセッサ10と接続され、その音声プロセッサ10にはスピーカSPが接続されている。音声プロセッサ10は、CPU2の制御により、スピーカSPを駆動して、その時々に経路案内や、交差点CRでの信号機SGに付設した矢印信号灯ALに基づく走行指示のための音声案内をする。その音声案内のための音声データは、予め音声プロセッサ10の記憶部に記憶されている。
【0033】
運転支援装置1は、画像データ入力部11を備えている。画像データ入力部11は、撮影手段としての前方カメラCAが接続されている。CPU2は、画像データ入力部11と接続され、画像データ入力部11を介して、常時、前方カメラCAを起動させる。前方カメラCAは、広角レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮像素子と(いずれも図示せず)を備えている。
【0034】
前方カメラCAは、図8に示すように、自車両Cのルームミラーを支持する支持部材が固着されている部分のルーフの前側に取付けられ、自車両Cのフロントガラスから前方に向いた光軸を有し、前方に広がる撮像領域Z1を撮像する。CPU2は、画像データ入力部11を制御して、前方カメラCAが撮像した前方画像の画像データを前方画像データG1として取得すると、画像プロセッサ8の図示しないVRAMに一時記憶する。
【0035】
画像プロセッサ8は、VRAMに一時記憶した前方画像データG1を補正処理し、補正した前方画像データG1に基づいて、前方に設置された信号機SGを画像認識する。まず、信号機SGがあるかどうかの判断は、本実施形態では、前方画像中の映った像の水平エッジと垂直エッジを前方画像データG1に基づいて検出し、その水平エッジ及び垂直エッジ検出に基づいて像が信号機SGかどうか判断する。
【0036】
そして、信号機SGが映っていると判断したとき、画像プロセッサ8は、その信号機SGの青色信号灯BL、黄色信号灯YL、赤色信号灯RLのうちどれが点灯しているか判定する。この判定は、予め用意したパターンデータと比較して行う。つまり、本実施形態では、図9(a)に示すように、青色信号灯BLが点灯しているパターンPT1、図9(b)に示すように、黄色信号灯YLが点灯しているパターンPT2、図9(c)に示すように、赤色信号灯RLが点灯しているパターンPT3の3種類のパターンデータと比較して
行う。この3つのパターンPT1〜PT3のパターンデータは、予め地理データ記憶部7に記憶されている。
【0037】
CPU2は、画像プロセッサ8が赤色信号灯RLの点灯を判定すると、その信号機SGに矢印信号灯ALが付設されていると、その矢印信号灯ALが点灯されていると推定し、
その矢印信号灯ALの対象走行レーンを自車両Cが走行しているかどうかを判定するようになっている。
【0038】
運転支援装置1は、車両用入出力インターフェース(車両用入出力I/F部12)を備えている。車両用入出力I/F部12は、走行制御手段を構成する車両用電子制御装置(車両用ECU13)に接続されている。車両用ECU13は、自車両Cの走行に関する駆動系を制御する制御装置であって、同じく走行制御手段を構成するブレーキ制御装置14、燃料噴射量制御装置15及び変速制御装置16と接続されている。
【0039】
ブレーキ制御装置14は、ブレーキペダルの操作量を調整して自車両Cに所定のブレーキを掛ける自車両運転手段としてのブレーキ装置(図示しない)を駆動制御する。燃料噴射量制御装置15は、エンジンの噴射量を調整し、自車両Cの加速度を制御する自車両運転手段としての燃料噴射装置(図示せず)を駆動制御する。変速制御装置16は、変速機の変速値を制御する自車両運転手段としてのシフト駆動装置(図示せず)を制御する。
【0040】
そして、車両用ECU13は、車両用入出力I/F部12を介して、CPU2からのブレーキ信号を入力すると、そのブレーキ信号をブレーキ制御装置14に出力する。ブレーキ制御装置14は、該ブレーキ信号に基づいてブレーキ装置を駆動制御し自車両Cにブレーキ力を加える。従って、自車両Cは、該ブレーキ力によって制動する。
【0041】
また、車両用ECU13は、CPU2からの加速度信号を入力すると、その加速度信号を燃料噴射量制御装置15に出力する。燃料噴射量制御装置15は、入力した該加速度信号に対する燃料噴射量を演算し、燃料噴射装置を駆動制御し自車両Cのエンジンに該燃料噴射量を供給する。従って、自車両Cは、エンジンに供給される燃料噴射量に基づいて加減速する。
【0042】
また、車両用ECU13は、CPU2からの変速信号を入力すると、該変速信号を変速制御装置16に出力する。変速制御装置16は、入力した該変速信号に対する変速値を演算し、シフト駆動装置を駆動制御し変速機をシフトする。従って、自車両Cは、変速機をシフトダウンさせてエンジンブレーキをかけて減速させることができる。
【0043】
次に、本実施形態の運転支援装置1の信号機検出支援処理を、図10に示す運転支援装置1の処理手順を示すフローチャートに従って説明する。
今、運転者によるイグニッションスイッチ6dのオン操作に基づいて、CPU2は「信号機検出支援モード」となり、図10のフローチャートに示す信号機検出支援プログラムを実行する。
【0044】
まず、CPU2は、GPS受信部5、車速センサ6a及びジャイロ6bからの各信号に基づいて自車両Cの自車位置を求める(ステップS1)。また、CPU2は、画像データ入力部11を介して、前方カメラCAを撮像動作させ前方画像データG1を画像データ入力部11に取り込ませている(ステップS2)。
【0045】
なお、本実施形態では、目的地までの案内経路が複数探索されその中の選択された1つの案内経路Rを案内表示する経路案内プログラムは実行されていないものとする。従って、CPU2は算出した自車位置に基づいて自車位置を示す指標Poを合わせた地図画面PをディスプレイDSPに表示しているだけで、目的地までの案内経路Rは表示されていない。勿論、経路案内プログラムを実行して走行してもよい。
【0046】
続いて、CPU2は、求めた自車位置と地理データ記憶部7に記憶した信号機データSD、経路データRD及び地図データMDに基づいて、自車両Cが走行している前方であっ
て予め定めた距離(本実施形態では100メートル)の先に交差点CRがあって、その交差点CRに矢印信号灯ALが付設された信号機SGが設置してあるかどうかを判断する(ステップS3)。
【0047】
前方に交差点CRがあって矢印信号灯ALが付設された信号機SGが設置してあると判断すると(ステップS3でYES)、CPU2は、その信号機SGに関する信号機データSDを地理データ記憶部7から読み出してRAM3に一時記憶する(ステップS4)。なお、前方に交差点CRがない、交差点CRがあっても信号機SGが設置してない、又は、信号機SGに矢印信号灯ALが付設されてない場合(ステップS3でNO)、CPU2は、ステップS10に移り、イグニッションスイッチ6dがオフされたかどうか判断し、オフ操作されてない場合には、ステップS1に戻る。すなわち、矢印信号灯ALが付設されている信号機SGが見つかるまで、自車位置を更新しながら走行する。
【0048】
ステップS4で信号機データSDを取得すると、CPU2は、ステップS1で求めた自車位置と、地理データ記憶部7に記憶した経路データRD及び地図データMDに基づいて、自車両Cが走行している自車両走行レーンを特定してRAM3に一時記憶する(ステップS5)。
【0049】
続いて、CPU2は前方カメラCAを撮像している前方画像の前方画像データG1を画像プロセッサ8に逐次転送して、画像プロセッサ8において前方画像データG1を使って前方の信号機SGの各信号灯BL,YL,RLの点灯の有無を判定するための画像認識を実行させる(ステップS6)。そして、画像プロセッサ8が、赤色信号灯RLが点灯していると判定すると(ステップS7でYES)、CPU2は、この信号機SGに付設した矢印信号灯ALが点灯していると推定しステップS8に移る。
【0050】
ステップ8において、CPU2は、ステップS5で取得した自車両走行レーンとステップS4で取得した信号機データSD(対象走行レーンデータSDf)と比較し、自車両走行レーンが点灯していると推定した矢印信号灯ALの対象走行レーンと一致しているかどうか判定する。
【0051】
自車両走行レーンが対象走行レーンと一致していると判定すると(ステップS8でYES)、CPU2は、音声プロセッサ10を介してスピーカSPから、注意を喚起するアナウンスする(ステップS9)。
【0052】
例えば、自車両走行レーンが右折走行レーンTL3であって、矢印信号灯ALの対象走行レーンが右折走行レーンTL3である場合には、対象走行レーンデータSDfに対する方向データSDgに基づいて「矢印信号灯を確認して、対向車に気を付けて右折して下さい。」という音声案内する。また、自車両走行レーンが左折走行レーンTL1であって、矢印信号灯ALの対象走行レーンが左折走行レーンTL1である場合には、「矢印信号灯を確認して、歩行者に気を付けて左折して下さい。」という音声案内する。また、自車両走行レーンが直進走行レーンTL2であって、矢印信号灯ALの対象走行レーンが直進走行レーンTL2である場合には、「矢印信号灯を確認して、直進して下さい。」という音声案内する。
【0053】
なお、このとき、自車両Cの車速が、交差点CRに進入する車速として適切でない速い車速であるとき、CPU2は、車両用入出力I/F部12を介して減速制御のための制御信号(ブレーキ信号、加速度信号、変速信号)を車両用ECU13に出力してもよい。車両用ECU13は、制御信号(ブレーキ信号、加速度信号、変速信号)に基づいて、ブレーキ制御装置14、燃料噴射量制御装置15及び変速制御装置16を介して、ブレーキ装置、燃料噴射装置、シフト駆動装置を駆動制御して、自車両Cを減速制御する。
【0054】
その後、イグニッションスイッチ6dがオフされたかどうか判断し(ステップS10)し、オフ操作されてない場合には、ステップS1に戻り、新たな矢印信号灯ALを付設した信号機SGのための支援処理を行う。
【0055】
一方、自車両走行レーンが対象走行レーンと一致していないと判定すると(ステップS8でNO)、CPU2は、自車両Cが自車位置から交差点CRの停止線で停止できる速度を演算し、停止できるように減速・停止制御を実行する(ステップS11)。詳述すると、CPU2は、車両用入出力I/F部12を介して減速・停止制御のための制御信号(ブレーキ信号、加速度信号、変速信号)を車両用ECU13に出力する。
【0056】
車両用ECU13は、制御信号(ブレーキ信号、加速度信号、変速信号)に基づいて、ブレーキ制御装置14、燃料噴射量制御装置15及び変速制御装置16を介して、ブレーキ装置、燃料噴射装置、シフト駆動装置を駆動制御して、交差点CRの停止線で停止できるように自車両Cを減速・停止制御する。
【0057】
なお、ステップS7において、画像プロセッサ8が、赤色信号灯RL以外の青色信号灯BL又は黄色信号灯YLが点灯していると判定すると(ステップS7でNO)、CPU2は、ステップS10に移り、イグニッションスイッチ6dがオフされたかどうか判断し、オフ操作されてない場合には、ステップS1に戻り、新たな矢印信号灯ALを付設した信号機SGのための支援処理を行う。
【0058】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態では、各交差点CRに設置した信号機SGに対してヘッダSDa、設置位置座標データSDb、矢印信号灯付設データSDc、種別データSDdからなる信号機データSDを、地理データ記憶部7に記憶した。そして、種別データSDdは、数データSDe、対象走行レーンデータSDf及び矢印方向を示す方向データSDgから構成した。
【0059】
従って、自車両Cの自車位置と信号機データSD(設置位置座標データSDb及び矢印信号灯付設データSDc)から、前方の矢印信号灯ALが付設された信号機SGが特定できる。さらに、矢印信号灯ALが付設された信号機SGが特定されると、種別データSDd(数データSDe、対象走行レーンデータSDf及び方向データSDg)から、該信号機SGの矢印信号灯ALの種別がわかる。
【0060】
その結果、前方カメラCAが撮影した前方の矢印信号灯ALが付設された信号機SGの画像データG1から、画像プロセッサ8は、赤色信号灯RLが点灯しているかどうかという非常に簡単な画像認識処理で判定するだけで、前方の信号機SGに付設された矢印信号灯ALが点灯していると推定することができる。そして、点灯していると推定した矢印信号灯ALがどんな種別かを判定することができる。そのため、画像プロセッサ8は、の負荷は小さなり、判定時間の短縮化を図ることができる。
【0061】
(2)本実施形態では、CPU2が、矢印信号灯ALが点灯していると推定したとき、自車両Cが走行している自車両走行レーンと種別データSDdの対象走行レーンデータSDfとに基づいて、CPU2は該矢印信号灯ALが自車両Cに対するものと簡単に判定することができる。
【0062】
そして、種別データSDdに矢印方向を示す方向データSDgを設けたことから、点灯した矢印信号灯ALに即した走行をアナウンスすることができる。
また、自車両走行レーンが、点灯していると推定した矢印信号灯ALの対象走行レーン
と一致してないとき、CPU2は、自車両Cが自車位置から交差点CRの停止線で停止できる速度を演算し、停止できるように減速・停止制御を実行するようにした。従って、交差点CRへの進入を未然に防止できる。
【0063】
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、信号機検出支援処理において、交差点CRの信号機SGに矢印信号灯ALが付設されていないとき、何も処理しなかった。これを、赤色信号灯RLが点灯しているときには、自車両Cの車速が、交差点CRに進入する車速として適切でない速い車速であるとき、CPU2は、車両用入出力I/F部12を介して減速制御のための制御信号(ブレーキ信号、加速度信号、変速信号)を車両用ECU13に出力して、自車両Cを減速制御してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、信号機検出支援処理において、交差点CRの信号機SGに矢印信号灯ALが付設されていないとき、何も処理しなかった。これを、例えば、「矢印信号灯ALがありません。右折又は左折する場合は、気を付けて走行して下さい。」という旨を音声案内して注意を喚起してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、信号機検出支援処理において、青色信号灯BL又は黄色信号灯YLが点灯しているとき、何も処理しなかった。これを、音声で青色信号灯BL又は黄色信号灯YLが点灯している旨を音声案内して注意を喚起してもよい。
【0066】
・上記実施形態では、撮像手段の前方カメラCAを、自車両Cのルームミラーを支持する支持部材が固着されている部分のルーフの前側に取付けて実施した。これを、自車両Cの前端部のグリル中央位置や、前部バンパーのコーナー部に取付けて実施してもよい。要は前方の信号機SGが撮像できる位置であればどんな位置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態の運転支援装置の構成を説明するブロック図。
【図2】経路データのデータ構成を説明するための説明図。
【図3】地図データのデータ構成を説明するための説明図。
【図4】信号機データのデータ構成を説明するための説明図。
【図5】交差点に設置された信号機を説明するための説明図。
【図6】(a)は3種類の矢印信号灯が付設された信号機の図、(b)は2種類の矢印信号灯が付設された信号機の図、(c)は1種類の矢印信号灯が付設された信号機の図。
【図7】走行レーンと矢印信号灯との関係を説明するための説明図。
【図8】前方カメラの撮像範囲を説明するための説明図。
【図9】信号灯の点灯のパターンを説明するための説明図であって、(a)は青色信号灯が点灯しているパターン、(b)は黄色信号灯が点灯しているパターン、(c)は赤色信号灯が点灯しているパターンを説明する図。
【図10】交差点での支援動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
1…運転支援装置、1…CPU、3…RAM、4…ROM、5…GPS受信部、6a…車速センサ、6b…ジャイロ、6d…イグニッションスイッチ、7…地図データ記憶部、8…画像プロセッサ、10…音声プロセッサ、13…車両用電子制御装置(車両用ECU)、14…ブレーキ制御装置、15…燃料噴射量制御装置、16…変速制御装置、AL,AL1,AL2,AL3…矢印信号灯、C…自車両、CA…前方カメラ、CR…交差点、BL…青色信号灯、YL…黄色信号灯、RL…赤色信号灯、TL1,TL2,TL3…走行レーン、SG…信号機、G1…前方画像データ、MD…地図データ、RD…経路データ
、SD…信号機データ、SDb…設置位置座標データ、SDd…種別データ、Df…対象走行レーンデータ、SDg…方向データ、SP…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矢印信号灯を付設した信号機において車両の運転を支援する運転支援方法であって、
矢印信号灯を付設した信号機の設置位置情報と、該矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンに関する種別情報とを含む信号機データを読み出し、
自車位置及び自車両が走行している自車両走行レーンを認識し、
前記自車位置に基づいて前記自車両前方の信号機の信号機データを取得し、
前記信号機の赤色信号灯が点灯しているか否かを判定し、
前記赤色信号灯が点灯していると判定されたとき、前記矢印信号灯の指示する方向に対する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致するか否かを判定し、
前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンが一致すると判定された場合、前記種別情報に応じて車両の運転を支援することを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援方法において、
前記車両の運転の支援は、音声案内手段によって、前記矢印信号灯の確認をする旨の運転操作指示を音声で案内することを特徴とする運転支援方法。
【請求項3】
矢印信号灯を付設した信号機において車両の運転を支援する運転支援装置であって、
矢印信号灯を付設した信号機の設置位置情報と、該矢印信号灯の指示する方向とその方向に対応する走行レーンに関する種別情報とを含む信号機データを記憶する信号機データ記憶手段と、
自車両の自車位置及び走行レーンを検出する自車位置及び走行レーン検出手段と、
前記信号機データを取得する信号機データ取得手段と、
前記自車両から前方の信号機を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が、撮影した画像データに基づいて、前方に位置する信号機の赤色信号灯が点灯しているか否かを判定する点灯判定手段と、
前記赤色信号灯が点灯していると判定されたとき、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致するか否かを判定し、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンが一致すると判定された場合に、前記種別情報に応じて車両の運転を支援する支援手段と、
を備えたこと特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転支援装置において、
前記支援手段は、音声案内手段を有し、
前記支援手段は、前記赤色信号灯が点灯していると判定され、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致すると判定された場合に、前記音声案内手段により前記矢印信号灯を確認する旨の運転操作指示を音声案内することを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の運転支援装置において、
前記支援手段は、前記赤色信号灯が点灯していると判定され、前記矢印信号灯の指示する方向に対応する走行レーンと前記自車両走行レーンとが一致すると判定された場合に、前記自車両の速度を制御することを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−242986(P2008−242986A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84963(P2007−84963)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】