説明

運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラム

【課題】特定の目標車速で走行することが望まれる特定の区間が連続する道路において、連続する特定の区間を走行した後にスムーズに走行することができなかった。
【解決手段】自車両の前方に設定された第1区間および当該第1区間より前方の第2区間に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記第1区間の終了地点と前記第2区間の開始地点との距離が、前記自車両を所定の減速量で減速させて前記第2区間の開始地点において前記第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いと判別されるときに、前記第2区間以降の第2加速区間にて前記自車両を加速させるための第2加速変速比を取得し、前記第1区間以前に前記自車両を減速させるための第1減速区間にて前記自車両の変速比を前記第2加速変速比に設定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の制動力を制御する装置として、目標減速度を超えない範囲で目標減速度に最も近い減速度が得られる変速段に切り替え、当該変速段におけるエンジンブレーキを利用しながら当該エンジンブレーキによる減速では不足する減速度をブレーキで補って減速する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3858952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、特定の目標車速で走行することが望まれる特定の区間が連続する道路において、スムーズな加減速を支援することができなかった。
すなわち、従来の技術においては、目標減速度に着目し、当該目標減速度を超えない範囲で目標減速度に最も近い減速度が得られる変速段に切り替えている。しかし、特定の区間が連続している道路において、連続する区間の一方を走行した後に加速する必要がなく、他方を走行した後に加速する場合、特定の区間の一方に向けて減速する際の目標減速度に合わせて変速段を切り替えると、連続する区間の間や連続する区間の双方を走行した後の加速の段階で加速に適した変速比になっていないことがあり、スムーズに加速を行うことができない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、特定の区間が連続する道路において、スムーズな加減速を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明においては、前記第1区間の終了地点と前記第2区間の開始地点との距離が、前記第1区間を走行する際の第1目標車速から前記自車両を所定の減速量で減速させて前記第2区間の開始地点において前記第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いときに第2加速変速比を取得する。そして、第1区間以前に自車両を減速させるための減速区間にて自車両の変速比を第2加速変速比に設定させる。すなわち、第1区間と第2区間との間にて加速を行うことなく減速を行ったとしても所定の減速量で減速させる限り第2区間で第2目標車速とすることができないという状況が発生している場合には、第1区間走行後に加速を行う必要がない。
【0005】
そこで、第1区間と第2区間との全体で一つの区間とみなして一定の加速変速比(第2加速変速比)で走行することとし、第1減速区間において、第2区間走行後の加速に着目した第2加速変速比に設定させるための制御を行う。従って、第1区間と第2区間との距離が短い場合に各区間の間で変速を行うことはなく、スムーズに走行することができる。また、第2加速変速比は第2区間走行後の加速に適した変速比になっているため、第1区間と第2区間とを走行した後にスムーズに加速することが可能である。
【0006】
ここで、加速変速比取得手段においては、第1区間と第2区間との関係に基づいて第2加速変速比を特定することができれば良く、例えば、所定の記録媒体に記録された第1区間および第2区間を示す情報を取得し、これらの情報に基づいて第1区間の終了地点と第1目標車速と第2区間の開始地点と第2目標車速とを特定することによって第1区間と第2区間との距離および第1目標車速から所定の減速量にて第2区間で第2目標車速まで減速させる場合の位置および車速の関係を特定する構成を採用可能である。また、第1区間および第2区間を示す情報には、各区間前後の加速区間や減速区間を特定するための情報や減速の要否を特定するための情報が含まれていても良い。なお、減速区間や加速区間は、各区間の開始地点や終了地点によって特定しても良いし、減速度や加速度、車速等のパラメータに基づいて特定しても良い。
【0007】
また、第1区間および第2区間は各区間に到達する前に自車両を減速させて目標車速にするとともに、目標車速で各区間を走行した後に自車両を加速させることが好ましい区間であれば良く、カーブ区間や所定形状の勾配のある区間であっても良い。さらに、第1目標車速および第2目標車速は第1区間、第2区間のそれぞれを走行する際の好ましい車速であり、予め設定されればよい。例えば、カーブ区間においては、カーブ区間における一定半径の区間を一定の速度で走行することが好ましいため、当該一定の速度を目標車速とする構成を採用可能である。また、勾配のある道路において勾配を含む区間を第1区間や第2区間とする場合には、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい目標車速まで減速することとして目標車速を定義する構成を採用可能である。
【0008】
第2加速変速比は、第2区間を走行した後に自車両をスムーズに加速させることができる変速比であればよい。従って、速度、加速度の急激な変化や自車両における挙動の不安定さを誘発することなく走行を続けて加速可能な変速比であればよい。例えば、第2区間を走行する際の第2目標車速から第2区間走行後の第2推奨車速に加速させるための第2必要加速量に基づいて加速変速比を取得する構成を採用可能であり、第2目標車速から第2推奨車速に加速させることが可能な変速比や、駆動源の回転数が特定の値であるときに第2目標車速よりも大きい第2推奨車速で走行させることが可能な変速比を第2区間について取得することができればよい。すなわち、第1区間の走行を完了する前に第2加速変速比としておくことにより、第1区間、第2区間を連続して走行した後の加速段階で変速比を変更することなく加速可能であればよい。
【0009】
なお、第2加速変速比は、少なくとも、第2目標車速よりも大きい第2推奨車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。また、必要加速量は、自車両を目標車速から推奨車速にするための加速量であれば良く、車速を目標車速から推奨車速にするために自車両にて出力されるエネルギーを評価するためのパラメータを必要加速量とすることができればよい。当該パラメータとしては、例えば、加速度,トルク,エンジン出力等を採用可能である。
【0010】
変速比制御手段は、第1区間に到達する以前に自車両の変速比を第2加速変速比に設定させることができればよい。すなわち、第1区間と第2区間とが近い場合には両区間について個別に変速比を設定するのではなく、両区間全体で一つの加速変速比に設定することによって、第1区間、第2区間をスムーズに走行させ、第2区間走行後にスムーズに加速させることができればよい。なお、変速比の設定は自車両に搭載された変速部(例えば、トルクコンバータ付き変速機)に対して実施することができれば良い。すなわち、当該変速部に対する変速比の指示によって変速比を設定し、当該指示に基づいて変速部が指示通りの変速比に切り替えることができればよい。
【0011】
さらに、本発明のように第1区間の終了地点と第2区間の開始地点との距離が、第1目標車速から自車両を所定の減速量で減速させて第2区間の開始地点において第2目標車速とすることが可能な距離よりも短い場合、第1区間以前に第2加速変速比に設定させるための制御を行う手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような運転支援装置、プログラム、方法は、単独の運転支援装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような運転支援装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、運転支援装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)運転支援処理:
(2−1)パラメータ算出処理:
(2−2)車両減速処理:
(2−3)減速開始判定処理:
(2−4)減速制御処理:
(2−5)車速制限処理:
(2−6)変速比選択処理:
(2−7)変速比取得処理:
(3)動作例:
(4)他の実施形態:
【0013】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる運転支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして加速区間における加速に適した変速比を設定して減速区間にて減速を実行させる機能を備えている。
【0014】
本実施形態における車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)は、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにGPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43と変速部44と制動部45とスロットル制御部46とを備えており、これらの各部と制御部20とが協働することによってナビゲーションプログラム21による機能を実現する。
【0015】
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。ジャイロセンサ43は、自車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の走行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43は、GPS受信部41の出力信号から特定される自車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、自車両の現在位置は、当該自車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。なお、車両の動作を示す情報を取得するための構成は、ほかにも種々の構成を採用可能であり、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での車両の軌跡,車車間通信,路車間通信等によって自車両動作情報を取得する構成等を採用可能である。
【0016】
変速部44は、前進について計6速、後進について計1速等の複数の変速段を有するトルクコンバータ付き有段変速機を備えており、各変速段に対応した変速比で回転数を調整しながらエンジンの駆動力を自車両の車輪に伝達することができる。制御部20は図示しないインタフェースを介して変速段を切り替えるための制御信号を出力し、変速部44は当該制御信号を取得して変速段を切り替えることが可能である。本実施形態においては、前進1速〜前進6速のように変速段がハイギアになるにつれて変速比が小さくなるように構成されている。
【0017】
制動部45は、自車両の車輪に搭載されたブレーキによる減速の程度を調整するホイールシリンダの圧力を制御する装置を含み、制御部20は当該制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を調整させることが可能である。従って、制御部20が当該制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を増加させると、ブレーキによる制動力が増加し、自車両が減速される。
【0018】
スロットル制御部46は、自車両に搭載されたエンジンに供給する空気の量を調整するためのスロットルバルブを制御する装置を含み、制御部20は当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力してスロットルバルブの開度を調整することが可能である。従って、制御部20が当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力して吸気量を増加させると、エンジンの回転数が増加する。なお、制御部20は変速部44およびスロットル制御部46に対する制御指示を行う構成であるため、当該制御部20においては変速部44によって設定された現在の変速比Snとスロットル制御部46によって設定された現在のスロットル開度Thを取得することができる。
【0019】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、GPS受信部41の出力情報や後述する地図情報等に基づいて車両の経路探索等を行い、図示しない表示部やスピーカーを介して経路案内等を行う。また、このとき、変速部44における変速比の設定と制動部45およびスロットル制御部46を利用した加減速制御を実施するため、ナビゲーションプログラム21は加速変速比取得部21c(車速情報取得部21a,必要加速量取得部21bを含む)と変速比制御部21dと減速制御部21eと加速制御部21fを備えている。
【0020】
また、記録媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含み、自車両の現在位置の特定や目的地への案内等に利用される。
【0021】
本実施形態においては、カーブ区間(一定半径の区間)に到達する以前に減速制御を行うように構成されており、カーブ区間およびその前後の道路を示す情報が地図情報30aに含まれている。図2は、カーブ区間Zrの例を示す図であり、自車両Cが細い一点鎖線で示すカーブ区間Zr1に向けて走行している状態を示している。なお、自車両Cの前方において自車両Cにもっとも近いカーブ区間を第1区間、第1区間の次に自車両Cに近いカーブ区間を第2区間と呼ぶ。また、図2等において各区間や地点を示す符号(Zr等)に付された数値の添え字の下一桁において"1"は第1区間に関する区間や地点であることを示し、添え字"2"は第2区間に関する区間や地点であることを示している。
【0022】
本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの開始地点Rsであることを示す情報が対応付けられ、カーブ区間Zrの終了地点Reに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの終了地点Reであることを示す情報が対応付けられている。また、当該開始地点Rsと終了地点Reとの間の道路形状を示す形状補間データはカーブ区間Zrの円弧上の位置を示すデータであり、当該形状補間データに基づいてカーブ区間Zrにおける一定の半径Rおよび当該半径Rの区間を一定の車速で走行する際の車速(目標車速V0)を特定することができる。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsと終了地点Reとその間の形状補間点を示す情報をカーブ区間情報30a1と呼ぶ。
【0023】
また、上述のカーブ区間Zr以前の区間においては、当該カーブ区間Zrに到達する前に減速を行うための減速区間Zd(図2にて細い破線で示す区間)が設定される。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rs以前の一定距離の区間を減速区間Zdとしており、カーブ区間の開始地点Rsから一定距離の地点が減速区間Zdの開始地点Caとして特定される。なお、本実施形態において、減速区間Zdの終了地点はカーブ区間Zrの開始地点Rsと一致する。また、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsとの位置を示す情報に基づいて減速区間Zdの距離L0を特定することができる。
【0024】
さらに、上述のカーブ区間Zr以降の区間においては、当該カーブ区間Zrを走行した後の所定地点(加速区間Zaの終了地点Ce)に向けて加速を行うための加速区間Za(図2にて細い二点鎖線で示す区間)が設定されている。本実施形態において、加速区間Zaの距離L1はカーブ区間Zrの半径Rに応じて決められ、距離L1はカーブ区間Zrの半径Rが小さいほど(カーブ区間Zrにおける目標車速V0が小さくなるほど)長くなるように設定されている。なお、本実施形態において、加速区間Zaの開始地点はカーブ区間Zrの終了地点Reと一致する。
【0025】
また、加速区間Zaの終了地点Ceを示すデータには、その地点における制限車速が対応付けられており、当該制限車速は本実施形態において加速区間を走行した後の推奨車速V1となる。さらに、後述の加速制御を行うために加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1が予め決められており、地図情報30aに対して記録されている。なお、第1区間以前にて自車両を減速させるための区間を第1減速区間、第1区間以後に自車両を加速させるための区間を第1加速区間と呼ぶ。同様に、第2区間以前にて自車両を減速させるための区間を第2減速区間、第2区間以後に自車両を加速させるための区間を第2加速区間と呼ぶ。
【0026】
本実施形態においては、以上のような区間に関する地点の定義を各カーブ区間について実施し、各カーブ区間のそれぞれについて減速区間における変速比の設定および減速制御を行い、加速区間における加速制御を行うが、短い範囲でカーブ区間が連続している場合には、カーブ区間の間でスムーズに走行させるための処理を行う。すなわち、第1区間の終了地点と第2区間の開始地点との距離が、第1目標車速から自車両を所定の減速量で減速させて第2区間の開始地点において第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短い場合には、第1区間走行後に加速は不要である。従って、第1区間走行後の加速に合わせた第1加速変速比に設定すると、第1区間と第2区間との間で不自然な変速が必要になる。そこで、本実施形態においては第1区間と第2区間との間において第1区間および第2区間に関する区間や車速の定義を後述のように補正する。
【0027】
車速情報取得部21aは、カーブ区間Zrを走行する際の目標車速V0とカーブ区間Zrを走行後の推奨車速V1とを取得するモジュールであり、地図情報30aを参照してこれらの車速情報を特定する。すなわち、制御部20は車速情報取得部21aの処理によりカーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの半径Rを特定し、当該半径Rの区間を一定の車速で走行するための車速を取得して目標車速V0とする。例えば、予め設定された横加速度Gt(例えば、0.2G)にて一定車速で走行するための車速(Gt・R)1/2を目標車速V0として取得する。また、地図情報30aを参照して推奨車速V1を取得する。
【0028】
必要加速量取得部21bは、自車両を目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速量を取得するためのモジュールであり、制御部20は必要加速量取得部21bの処理により加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとの位置を示す情報に基づいて加速区間Zaの距離L1を特定し、当該距離L1にて目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速度aを取得する。すなわち、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った開始地点Reと終了地点Ceとの間の長さを距離L1として取得する。そして、当該距離L1にて目標車速V0を推奨車速V1とするための必要加速度aを、例えば、等加速度運動を想定し、a=(V12−V02)/(2L1)などとして取得する。
【0029】
加速変速比取得部21cは、必要加速度aで自車両を走行させるための変速比である加速変速比Sa(Saは1〜6(上述の前進1速〜6速に対応)のいずれか)を取得するモジュールであり、制御部20は加速変速比取得部21cの処理により地図情報30aを参照してスロットル開度Th1を取得し、当該スロットル開度Th1と必要加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両における車速が目標車速V0であり、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数で走行している状態において、必要加速度aを発生させることが可能な変速比のうち、最も燃料消費量が少なくなる変速比を加速変速比Saとする。なお、ここでは、各区間走行後の必要加速度aに基づいて加速変速比を決定することで速度、加速度の急激な変化や自車両における挙動の不安定さを誘発することなく加速可能な変速比を選択することができれば良く、他にも種々の構成を採用可能である。
【0030】
この構成によれば、効率的に燃料を使用して自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができる。なお、ここで、変速比の選択は、例えば、エンジン回転数やスロットル開度Th1に対応付けられた燃料消費量マップを予め用意し、当該燃料消費量マップに基づいて実施する構成等を採用可能である。また、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0031】
変速比制御部21dは、各カーブ区間の減速区間において、自車両の変速比を各カーブ区間以後の加速を行うための加速変速比Saに設定させるモジュールであり、制御部20は変速比制御部21dの処理により、後述する処理手順に従った所定のタイミングで変速比を加速変速比Saとするための制御信号を変速部44に出力する。変速部44は、当該制御信号に応じて変速比を加速変速比Saに切り替える。
【0032】
減速制御部21eは、自車両がカーブ区間Zrに到達する以前に自車両の車速が目標車速V0になるように減速させるモジュールであり、制御部20は減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにおいて車速が目標車速V0となるようにフィードバック制御を行う。すなわち、目標車速V0を取得するとともに地図情報30aを参照して自車両の現在位置と減速区間の終了地点Rsとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った自車両の現在位置と終了地点Rsとの間の長さを距離Lcとして取得する。
【0033】
そして、当該距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度Gr(自車両の進行方向を正とした場合の負の加速度)を、例えば、等加速度運動を想定し、Gr=(V02−Vc2)/(2Lc)などとして取得する。さらに、本実施形態においては、必要減速度Grを逐次取得しており、当該必要減速度Grが予め決められた閾値(後述するLimG_hあるいはLimG_L(例えば0.2G))を超えたときに減速制御を開始する。すなわち、変速部44によって設定されている現在の変速比Snおよびスロットル制御部46によって調整された現在のスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させる。
【0034】
なお、本実施形態においては、減速区間Zdにて減速動作を行っている最中に変速比を加速変速比Saに切り替える。このとき、通常は変速比の切り替えによってよりトルクが大きい変速比となる。このため、変速比を加速変速比Saとすることでカーブ区間に到達する以前の減速を補助することが可能である。
【0035】
さらに、加速制御部21fは、自車両がカーブ区間Zrを走行した後の加速を制御するためのモジュールであり、制御部20は加速制御部21fの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Reから距離L1の間の加速区間Zaにおいて、車速を目標車速V0から推奨車速V1にするようにスロットル開度Thを制御する。すなわち、変速比を加速変速比Saに維持した状態で、スロットル制御部46に制御信号を出力してスロットル開度をTh1に設定し、その後、必要加速度aにて加速が行われるように適宜スロットル開度を調整する。
【0036】
以上の構成によれば、自車両にて減速区間Zdを走行している段階で加速変速比Saに設定するため、加速区間Zaを走行する段階では推奨車速V1に加速するために適した加速変速比Saとなっており、当該加速区間Zaにてスムーズに加速することが可能である。
【0037】
なお、本実施形態においては、自車両の直前のカーブ区間(第1区間)に関して逐次上述のような加減速を行うが、短い範囲でカーブ区間が連続している場合には、第1区間および第2区間の双方を考慮した制御を行う。このため、第1区間Zr1の終了地点Re1と第2区間Zr2の開始地点Rs2との距離が、第1目標車速V01から自車両Cを所定の減速量で減速させて第2区間Zr2の開始地点Rs2において第2区間Zr2を走行する際の第2目標車速V02とすることが可能な距離よりも短い場合には、加速変速比取得部21cが以下の補正を行う。すなわち、第1区間Zr1を走行する際の第1目標車速V01を車速Va'に補正する。ここで、車速Va'は、第1区間Zr1の終了地点Ce1から第2区間Zr2に向けて所定の減速度で減速させて第2区間Zr2の開始地点Rs2において第2目標車速V02とすることができる程度の車速Va'である。
【0038】
本実施形態においては、さらに、第1区間走行後の加速を行うための第1必要加速量(加速度a1)から第2区間走行後の加速を行うための第2必要加速量(加速度a2)に補正して新たな必要加速量(加速度a)とする。すなわち、第1区間と第2区間を一つの区間とみなして一定の第2加速変速比で第1区間,第2区間およびその前後を走行するように補正する。従って、第1区間と第2区間との間で不自然な変速を行うことはなく、スムーズに走行することができる。また、第2加速変速比は第2区間走行後の加速に適した変速比になっているため、第1区間と第2区間とを走行した後にスムーズに加速することが可能である。
【0039】
(2)運転支援処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する運転支援処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行されているとき、当該ナビゲーションプログラム21が備える各部は図3に示す処理を実行する。本実施形態においては、減速制御に関して3種類の異なる制御の状態(減速制御状態DSと呼ぶ)を設け、変速比制御に関して3種類の異なる制御の状態(変速比制御状態GSと呼ぶ)を設け、加速制御に関して2種類の異なる制御の状態(加速制御状態ASと呼ぶ)を設けており、制御部20は減速制御状態DS、変速比制御状態GSおよび加速制御状態ASを特定するための変数を"0"に初期化する(ステップS100)。
【0040】
なお、本実施形態において、車速の制御を実施しない状態がDS=0,車速を目標車速V0に減速させる状態がDS=1,カーブ区間において車速を維持する状態がDS=2である。また、変速比の制御を行わない状態がGS=0,変速比の算出処理を行う状態がGS=1,変速比の切り替え処理を行う状態がGS=2である。加速のための制御を実施しない状態がAS=0,車速を推奨車速V1に加速させる状態がAS=1である。
【0041】
減速制御状態DS、変速比制御状態GSおよび加速制御状態ASを初期化すると、制御部20は、自車両の前方に存在するカーブ区間の情報を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、地図情報30aを参照して当該現在位置の前方の所定範囲にカーブ区間が存在するか否かを判定する。そして、カーブ区間が存在する場合には、そのカーブ区間に関するカーブ区間情報30a1を含む地図情報30aを取得する。
【0042】
そして、制御部20は、当該地図情報30aに基づいて変速比および加減速の制御に必要なパラメータを算出するパラメータ算出処理を行う(ステップS120)。さらに、制御部20は、車両減速処理(ステップS130)、変速比選択処理(ステップS140)、加速制御処理(ステップS150)を実行し、図示しないイグニションスイッチの出力信号を取得してイグニションがオフにされたか否かを判定する(ステップS160)。そして、イグニションがオフにされたと判別されるまでステップS110以降の処理を繰り返す。なお、ステップS150の加速制御処理において制御部20は、加速制御部21fの処理により、加速制御状態ASが1であるか否かを判別し、加速制御状態ASが1であるときには車速を目標車速V0から推奨車速V1にするようにスロットル開度Thを制御する。
【0043】
(2−1)パラメータ算出処理:
図4は、ステップS120におけるパラメータ算出処理を示すフローチャートである。同図4に示すパラメータ算出処理において、まず、制御部20は、自車両Cから最も近いカーブ区間(第1区間)の第1目標車速V01,第1加速区間Za1の距離L11,第1推奨車速V11,第1必要加速量(加速度a1)を取得し、それぞれを目標車速V0,加速区間Zaの距離L1,推奨車速V1,加速度aに代入する(ステップS200,S202,S204)。
【0044】
すなわち、制御部20は、カーブ区間情報30a1を参照して第1区間Zr1について半径Rおよび予め設定された横加速度Gtを取得し、目標車速V01=(Gt・R)1/2とする。また、所定の規則に従って半径Rに対応付けられた距離L11を取得し、地図情報30aを参照して推奨車速V1を取得する。さらに、a1=(V112−V012)/(2L11)とする。なお、ステップS200〜S206にて設定された各パラメータは、以後の処理において必要に応じて適宜補正される。
【0045】
次に、制御部20は、地図情報30aを参照し、自車両Cの前方に存在するカーブ区間が1個であるか否かを判別する(ステップS210)。ここでは、第2減速区間Zd2と第1加速区間Za1とが重複し得るか否かを判別することができれば良く、例えば、第2減速区間Zd2の開始地点Ca2が第1加速区間Za1の終了地点Ce1よりも自車両Cに近いか否かを判別する構成等を採用可能である。ステップS210にて、自車両Cの前方に存在するカーブ区間が1個であると判別されたときにはステップS212以降の処理をスキップし、ステップS200〜S206にて取得したパラメータを確定の値として図3に示す処理に復帰する。
【0046】
ステップS210にて、自車両Cの前方に存在するカーブ区間が1個であると判別されないとき、制御部20は、第1加速区間Za1にて自車両Cを加速させる際の車速推移を示す加速曲線を取得する(ステップS212)。ここで、加速曲線は、第1区間Zr1走行時の車速(第1目標車速V01)と第1加速区間Za1において第1必要加速量で加速した場合の車速と第1加速区間Za1走行後の車速(補正前の第1推奨車速V11)とを地点毎に示す曲線であり、第1加速区間Za1の車速については第1目標車速V01から加速度a1で等加速度運動させたときの車速を地点毎に示している。次に、制御部20は、第2区間Zr2の第2目標車速V02を取得する(ステップS214)。すなわち、カーブ区間情報30a1を参照して第2区間Zr2について半径Rおよび予め設定された横加速度Gtを取得し、目標車速V02=(Gt・R)1/2とする。次に、制御部20は、第2減速区間Zd2にて自車両Cを減速させる際の車速推移を示す減速曲線を取得する(ステップS216)。
【0047】
ここで、減速曲線は、第2減速区間Zd2において所定の減速量で減速して第2区間Zr2にて第1目標車速V02とする場合の車速と第2区間Zr2走行時の車速(第1目標車速V02)とを地点毎に示す曲線であり、第2区間Zr2以前の車速については第2区間Zr2の開始地点Rs2に向けて等減速度運動を行って当該開始地点Rs2において第2目標車速V02としたときの車速を地点毎に示している。図5においては、上述の加速曲線を実線、減速曲線を一点鎖線で模式的に示しており、横軸は位置、縦軸は車速である。また、図5においては位置に対応して車速が定義されることを模式的に示しており、正確な曲線の形状は他の形状となり得る。
【0048】
次に、制御部20は、加速曲線と減速曲線との交点を取得する(ステップS218)。すなわち、加速時の車速と減速時の車速とが一致する一致地点を特定する。次に、制御部20は、地図情報30aを参照し、第2区間Zr2の開始地点Rs2がステップS218にて取得した交点よりも自車両Cに近いか否かを判別する(ステップS220)。ステップS220において、第2区間Zr2の開始地点Rs2が上述の交点よりも自車両Cに近いと判別されたときには図3に示す処理に復帰する。すなわち、この場合には、図5Aにて二点鎖線で示す減速曲線2のように、第1加速変速比によって加速を行っている過程において減速を行うことなく第2区間Zr2の開始地点Rs2に到達し、当該開始地点Rs2において車速を第2区間Zr2における第2目標車速V02とすることができるため、第1加速区間Za1における第1推奨車速V11を補正することなく図4に示す処理を終了する。
【0049】
ステップS220において、第2区間Zr2の開始地点Rs2が上述の交点よりも自車両Cに近いと判別されないとき、制御部20は、さらに、地図情報30aを参照し、上述の交点が第1区間Zr1の終了地点Re1よりも自車両Cに近いか否かを判別する(ステップS225)。なお、ステップS225においては、上述の交点と第1区間Zr1の終了地点Re1との関係が図6Bに示す関係であるか否かを判別しているが、本実施形態においては、当該ステップS225の判別によって、第1区間と第2区間の関係に基づいて第1区間走行後の加速が必要であるか否かを判別している。
【0050】
すなわち、上述の交点は、図5Bに示すように、所定の減速量で自車両を減速させる際の減速曲線上にある。従って、当該減速曲線と加速曲線との交点が第1区間Zr1の終了地点Re1以前の位置に存在するか否かを判別することで、減速曲線よりも絶対値の大きな減速度で減速させることが必要であるか否か(第1区間の終了地点と第2区間の開始地点との距離が、第1目標車速から自車両を所定の減速量で減速させて第2区間の開始地点において第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いか否か)を判別することができる。
【0051】
ステップS225において上述の交点が第1区間Zr1の終了地点Re1よりも自車両Cに近いと判別されない場合、ステップS210,S220の条件を含めると、加速曲線と減速曲線との関係は、例えば、図5Aに示す加速曲線と減速曲線1とのような関係である。従って、自車両Cからの距離は自車両Cから近い順に第1区間Zr1の終了地点Re1,上述の交点,第1減速区間Zd1の終了地点Ce1となっている。
【0052】
各地点がこのような位置関係にある状況において本実施形態では、自車両が第1加速変速比によって走行している過程で第2加速変速比に切り替えるための制御を行うため、推奨車速および必要加速量を補正する。このためにまず、上述の交点を第1加速区間Za1の終了地点Ce1とする補正を行う(ステップS240)。当該補正を行ったときには、第2減速区間Zd2の開始地点Ca2も補正する。すなわち、補正後の第1加速区間Za1の終了地点Ce1と補正後の第2減速区間Zd2の開始地点Ca2とを一致させる。なお、図5の横軸においては、以上の補正によって得られた第1加速区間Za1の終了地点を(Ce1)として示し、第2減速区間Zd2の開始地点を(Ca2)として示している。また、図6Aは、当該条件に合致した道路の例を示す図であり、補正後のパラメータに()を付し、補正前のパラメータに()を付さずに示している。また、図6Aにおいては、補正前の第1加速区間Za1および補正前の第2減速区間Zd2を細い二点鎖線および破線で示し、補正後の第1加速区間Za1および補正後の第2減速区間Zd2を太い二点鎖線および破線曲線で示している。
【0053】
次に、制御部20は、補正後の第1加速区間Za1の終了地点Ce1における車速Vzを取得する(ステップS241)。すなわち、制御部20は、加速曲線と減速曲線との交点における車速(図5Aに示すVz0)を取得し、上述の所定の係数を乗じて車速Vzとする。
【0054】
次に、制御部20は、推奨車速V1を車速Vzとする補正を行う(ステップS242)。そして、制御部20は、第1区間Zr1走行後に補正後の第1加速区間Za1を走行して車速Vzまで加速させるための必要加速量(加速度a1')を取得し(ステップS244)、加速度aを加速度a1'によって補正する(ステップS246)。すなわち、a1'=(V12−V012)/(2L11)とし(L11は補正後の第1加速区間Za1の距離)、得られた加速度a1'によって加速度aを補正する。以上の処理により、補正前の第1必要加速量を、第1区間Zr1走行後に補正後の第1加速区間Za1を走行して車速Vzまで加速させるための必要加速量で補正することになる。この結果、補正後の第1加速区間Za1によってスムーズに加速するための加速度が加速度aとして設定され、当該処理の後、図3に示す処理に復帰する。
【0055】
一方、ステップS225において上述の交点(補正後)が第1区間Zr1の終了地点Re1よりも自車両Cに近いと判別された場合、ステップS210,S220の条件を含めると、加速曲線と減速曲線との関係は、例えば、図5Bに示す加速曲線と減速曲線とのような関係である。従って、自車両Cからの距離は自車両Cから近い順に上述の交点,第1区間Zr1の終了地点Re1,第1加速区間Za1の終了地点Ce1となっている。なお、図6Bは、当該条件に合致した道路の例を示す図であり、ここでも補正後のパラメータに()を付し、補正前のパラメータに()を付さずに示している。
【0056】
各地点がこのような位置関係にある状況においては、第1区間Zr1の走行後に加速することなく減速のための制御を開始する必要がある。そこで、本実施形態においては、第1区間Zr1と第2区間Zr2とを走行した後にスムーズに加速させることができるように、第1減速区間Zd1において第1加速変速比ではなく第2加速変速比に設定させるための処理を行う。
【0057】
この処理において、制御部20は、上述の交点を第1加速区間Za1の終了地点Ce1とする補正を行う(ステップS230)。ここでも、ステップS240と同様に第2減速区間Zd2の開始地点Ca2も補正し、補正後の開始地点Ca2と第1加速区間Za1の終了地点Ce1とを一致させる。次に、制御部20は、第2区間Zr2の開始地点Rs2において目標車速V0が第2区間Zr2における第2目標車速V02となるように減速させることが可能な、第1区間Zr1での車速Va'を取得する(ステップS231)。すなわち、Va'=(2Le・Ge+V0221/2を算出する。ここで、Leは第1区間Zr1の終了地点Re1から第2区間Zr2の開始地点Rs2までの距離、Geは前記所定の減速量(例えば、0.2G)である。そして、目標車速V0をVa'とする補正を行う(ステップS232)。すなわち、第2区間Zr2において当該第2区間Zr2の目標車速V02で走行するため、第1区間Zr1の目標車速を第2区間Zr2に合わせて補正する。
【0058】
次に、制御部20は、第2区間Zr2走行後に第2加速区間Za2を走行して目標車速V02まで加速させるための必要加速量(加速度a2)を取得し(ステップS234)、加速度aを加速度a2によって補正する(ステップS236)。すなわち、a2=(V122−V022)/(2L12)とし、得られた加速度a2によって加速度aを補正する(ステップS236)。以上の処理により、第2加速区間Za2によってスムーズに加速するための加速度が加速度aとして設定され、当該処理の後、図3に示す処理に復帰する。
【0059】
(2−2)車両減速処理:
図7は、ステップS130における車両減速処理を示すフローチャートである。同図7に示す車両減速処理において、制御部20は、減速制御状態DSが"0"であるか否か(ステップS300)、"1"であるか否か(ステップS310)、"2"であるか否か(ステップS320)を判別する。そして、ステップS300にてDS=0であると判別されたときには減速開始判定処理(ステップS305)、ステップS310にてDS=1であると判別されたときには減速制御処理(ステップS315)、ステップS320にてDS=2であると判別されたときには車速制限処理(ステップS325)を実行する。他の判別結果であった場合およびステップS305,S315,S325を実施した後には、図3に復帰して処理を繰り返す。
【0060】
(2−3)減速開始判定処理:
図8は、ステップS305における減速開始判定処理を示すフローチャートである。当該減速開始判定処理においては、予め決められた条件に基づいて減速制御状態DSを"1"あるいは"2"にするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両の進行方向前方に存在する最も近い減速区間Zdの開始地点Caを自車両が通過したか否か判別する(ステップS400)。ステップS400にて、自車両が進行方向前方に存在する最も近い減速区間Zdの開始地点Caを通過したと判別されないときには、ステップS405以降の処理をスキップして図7に示す処理に復帰する。
【0061】
ステップS400にて、自車両が進行方向前方に存在する最も近い減速区間Zdの開始地点Caを通過したと判別されたとき、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS405)。すなわち、制御部20は、カーブ区間Zrの半径R、目標車速V0、自車両の現在位置と終了地点Rsとの距離Lc、に基づいて、必要減速度をGr=(V02−Vc2)/(2Lc)として取得する。
【0062】
次に、制御部20は、スロットルバルブが開状態(アクセルオン状態)であるか否かを判別する(ステップS410)。すなわち、制御部20は減速制御部21eの処理により、現在のスロットル開度Thを取得し、スロットルバルブが閉じられていない開状態であるか否かを判別する。ステップS410にてスロットルバルブが開状態であると判別されない(アクセルオフ状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_L以上であるか否かを判別する(ステップS415)。また、ステップS410にてスロットルバルブが開状態であると判別された(アクセルオン状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_h以上であるか否かを判別する(ステップS420)。
【0063】
ステップS415,S420にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されたとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、減速制御状態DSを"1"に設定する(ステップS425,S430)。すなわち、自車両が減速することなくカーブ区間Zrに近づくとき、自車両がカーブ区間Zrに近づくにつれて車速を目標車速V0にするための必要減速度Grが大きくなり、いずれかのタイミングで必要減速度Grが閾値を超えるので、閾値を超えた後に減速制御を実施するように減速制御状態DSを"1"に設定する。なお、本実施形態においては、スロットルバルブの状態によって減速を開始すべきタイミングが異なると見なし、スロットルバルブが開状態であるときと閉状態であるときの閾値LimG_h,LimG_Lを異なる値とし、LimG_h>LimG_Lと設定してある。
【0064】
一方、ステップS415,S420にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されないとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したか否かを判別する(ステップS435)。すなわち、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。ステップS435にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたときには減速制御状態DSを"2"に設定する。すなわち、必要減速度Grが閾値を超えることなくカーブ区間Zrに到達したときには、減速制御状態DSを"2"とする。ステップS435にて自車両が減速区間Zdの終了地点Rsに到達したと判別されないときには図7に示す処理に復帰する。
【0065】
(2−4)減速制御処理:
図9は、ステップS315における減速制御処理を示すフローチャートである。当該減速制御処理においては、自車両を減速させて目標車速V0とするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rs(減速区間Zdの終了地点)に到達したか否かを判別する(ステップS500)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。
【0066】
ステップS500にて、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されないときに、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS505)。当該処理は、上述のステップS405と同様である。
【0067】
そして、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS510)。すなわち、制御部20は、減速制御部21eの処理により、現在の変速比Snおよび現在のスロットル開度Thを取得し、当該変速比Snおよびスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。
【0068】
この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させ、自車両における減速度が必要減速度Grとなる。必要減速度Grは、上述のように、距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度であるため、以上の制御を繰り返すことにより、自車両の車速を目標車速V0に収束させることができる。なお、以上の減速制御における変速比は必要減速度Grではなく必要加速度aに基づいて決定され、自車両の変速比は後述する処理によって減速区間Zd内のいずれかの地点で加速変速比Saに切り替えられる。
【0069】
ステップS500にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたとき、制御部20は減速制御状態DSを"2"に設定する(ステップS515)。すなわち、カーブ区間Zrに到達したときには、減速ではなく車速を維持する処理を行うために減速制御状態DSを"2"とする。なお、ステップS510,S515の後に図7に示す処理に復帰する。
【0070】
(2−5)車速制限処理:
図10は、ステップS325における車速制限処理を示すフローチャートである。当該車速制限処理においては、自車両の車速を目標車速V0に維持するための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Re(加速区間Zaの開始地点)に到達したか否かを判別する(ステップS600)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの終了地点Reの位置を取得し、終了地点Reの位置が自車両の現在位置よりも進行方向の後方に存在するか否かを判別する。
【0071】
ステップS600にて、自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されないときに、制御部20は、減速制御部21eの処理により車速センサ42の出力情報に基づいて現在車速Vcを特定し、現在車速Vcが閾値V0を超えているか否かを判別する(ステップS605)。ステップS605にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されたとき、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS610)。当該ステップS610の処理は上述のステップS510と同様である。
【0072】
一方、ステップS600にて自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されたとき、減速制御を終了させ、加速制御を開始させるため、制御部20は減速制御状態DSを"0"に設定する(ステップS615)。また、第2減速区間Zd2の開始地点Ca2が第1区間Zr1の終了地点Re1よりも自車両進行方向の後方に存在するか否かを判別し(ステップS620)、自車両進行方向の後方に存在すると判別されない場合に加速制御状態ASを"1"に設定し(ステップS625)、自車両進行方向の後方に存在すると判別された場合にはステップS625をスキップする。そして、ステップS610,S625の後、およびステップS605にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されないときには図7に示す処理に復帰する。
【0073】
(2−6)変速比選択処理:
図11は、ステップS140における変速比選択処理を示すフローチャートである。当該変速比選択処理においては、変速比制御状態GSを特定し,加速変速比Saを取得し、変速比の設定を行うための処理を実行する。当該変速比選択処理において、制御部20は、変速比制御状態GSが"0"であるか否か(ステップS700)、"1"であるか否か(ステップS715)を判別する。そして、ステップS700にてGS=0であると判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定するための処理(ステップS705,S710)を実行し、ステップS715にてGS=1であると判別されたときには変速比取得処理(ステップS720)を実行する。
【0074】
なお、ステップS705において、制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両が減速区間Zdの開始地点Caを通過したか否か判別する。すなわち、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caよりも進行方向前方に存在するか否かを判別する。そして、ステップS705にて、自車両が減速区間Zdの開始地点Caを通過したと判別されないときには、ステップS710をスキップして図3に示す処理に復帰する。一方、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caを通過したと判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定する。
【0075】
ステップS720の変速比取得処理は後に詳述するが、当該変速比取得処理においては、変速比に対応した変速段を示す変数Nに加速変速比Saに対応した変速段を示す値を代入し、変速比制御状態GSを"2"にするための処理を行う。図11において、ステップS700にてGS=0であると判別されず、ステップS715にてGS=1であると判別されないとき、すなわち、変速比制御状態GSが"2"であるとき、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変数Nに対応した変速比で走行するように設定を行う(ステップS730)。ここで、変数Nには加速変速比Saに対応した変速段を示す値が代入されており、制御部20は、変速部44に制御信号を出力し、変数Nが示す変速段に変速させる。
【0076】
次に、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変速比を加速変速比Saに設定した状態を維持するか否かの判定を行う。すなわち、加速区間Zaの終了地点Ceに到達したか否かを判別する(ステップS735)。また、ステップS735にて終了地点Ceに到達したと判別されたとき、制御部20は変速比制御状態GSを"0"に設定し、加速制御状態ASを"0"に設定する(ステップS740)。一方、ステップS735にて終了地点Ceに到達したと判別されないとき、制御部20はステップS740をスキップする。なお、本実施形態においては、変速比制御状態GSが"0"になると、変速比を加速変速比Saに設定した状態を解除し、運転者の操作に応じた変速を実施することが可能になる。また、当該変速比制御状態GSが"0"の状態で新たなカーブ区間に関する減速区間Caまでの距離が所定距離以内になるとステップS705の判別により、当該新たなカーブ区間に関する変速比取得処理を行うことになる。
【0077】
(2−7)変速比取得処理:
図12は、ステップS720における変速比取得処理を示すフローチャートである。当該変速比取得処理においては、加速変速比Saに対応した変速段をNに代入し、当該加速変速比Saに対応した変速段に切り替えるための状態(GS=2)に設定するための処理を行う。
【0078】
当該変速比取得処理において、制御部20は、加速変速比Saに対応する変速段をNに代入する(ステップS800)。すなわち、制御部20は、車速情報取得部21a,必要加速量取得部21b,加速変速比取得部21cの処理により加速変速比Saを算出する。具体的には、制御部20は、図4にて特定された目標車速V0と推奨車速V1と加速度aとを取得する。
【0079】
さらに、地図情報30aを参照して加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1を取得し、加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両の車速が目標車速V0かつスロットル開度Th1であるときに各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6(1〜6は変速比に対応)と、加速度aに対応したトルクTraとを比較する。
【0080】
このため、まず、加速度aに対応したトルクTraを、例えば、加速度×車重×タイヤ半径/ディファレンシャルギア比などとして取得する。一方、目標車速V0において各変速比にて実現されるエンジン回転数(rpm)を、例えば、目標車速V0×1000/3600/(2π×タイヤ半径)×ディファレンシャルギア比×60×変速比×トルクコンバータスリップ比などとして取得する。この結果、変速比1〜6(変速段6〜1)に対応した目標車速V0でのエンジン回転数Re1〜Re6が取得される。さらに、各エンジン回転数Re1〜Re6かつスロットル開度Th1にて出力可能なトルクTr1〜Tr6を取得する。当該トルクTr1〜Tr6は、例えば、変速比毎にスロットル開度Th1およびエンジン回転数とトルクとを対応付けたトルク特性マップに基づいて各エンジン回転数Re1〜Re6に対応するトルクTr1〜Tr6を取得してもよい。
【0081】
以上のようにして加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得すると、トルクTraを超える変速比の中で最も燃料消費量が少なくなる変速比を選択して加速変速比Saとする。この結果、加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比で加速させるための変速比を設定することができ、スムーズに加速させるための設定を行うことができる。また、最も燃料消費量が少なくなる変速比を加速変速比Saとして設定することができる。なお、加速変速比Saが得られたら、当該加速変速比Saに対応した変速段を示す値を変数Nに代入する。
【0082】
さらに、制御部20は、加速変速比Saに設定することによって過度にエンジン回転数が上昇することを防止するための補正処理を行う(ステップS805)。例えば、上述の図6Bに示すように第1区間Zr1と第2区間Zr2との双方を一定の第2加速変速比で走行する場合には、第1区間Zr1を走行するための変速比としての第2加速変速比が過度に大きいと、変速比を第2加速変速比に設定することによって第1区間Zr1において過度にエンジン回転数が上昇してしまう。
【0083】
そこで、制御部20は、上述の変数Nが示す加速変速比Saと第1区間Zr1の第1目標車速V01とに基づいてエンジン回転数を、例えば、目標車速V01×1000/3600/(2π×タイヤ半径)×ディファレンシャルギア比×60×加速変速比Sa×トルクコンバータスリップ比などとして推定する。なお、この式において、上述のステップS240〜S246が実行された場合に加速変速比Saは第1加速変速比であり、上述のステップS230〜S236が実行された場合に加速変速比Saは第2加速変速比である。
【0084】
そして、当該推定されるエンジン回転数が所定の値(例えば、3000rpm)以上である場合には補正を行い、所定の値未満である場合には補正を行わない。補正を行う場合には、推定エンジン回転数が所定の値未満となるように加速変速比Saを設定する。すなわち、推定エンジン回転数が所定の値未満となるまで加速変速比Saを逐次小さくして(変速段を一段ずつハイギアにして)エンジン回転数の推定を行い、推定エンジン回転数が所定の値未満となったときにその変速比を加速変速比Saとし、当該加速変速比Saに対応した変速段を示す値を変数Nに代入する。
【0085】
さらに、制御部20は、ステップS810以降にて、車両の走行安定性の低下を防止するタイミングで変速比制御状態GSを"2"に設定して変速比を設定するための処理を行う。この処理において、制御部20は、自車両の変速段を加速変速比Saに対応した変速段に設定したときに、当該自車両に作用する減速力Fadを算出する(ステップS810)。ここで、減速力Fadは加速変速比Saに対応した変速段において現在車速かつ現在のエンジン回転数で走行する際に自車両に作用する減速力(自車両の後方に向けた力)を示している。当該減速力Fadは、例えば、上述のトルクTr1〜Tr6の算出と同様にして加速変速比Saに対応した変速段に対応するトルクを取得し、当該トルクと車重等に基づいて当該減速力Fadを算出すればよい。
【0086】
さらに、制御部20は自車両にスリップを生じさせる力を評価するための処理を行う。このためにまず、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、2秒先の地点における曲率γを取得する(ステップS815)。すなわち、制御部20は、自車両の現在車速にて2秒間走行したときの地点を推定し、当該地点に最も近い少なくとも3点の形状補間点あるいはノードを取得し、少なくとも3点の形状補間点あるいはノードに基づいて当該地点における曲率γを取得する。さらに、制御部20は、前記2秒先の地点における路面の摩擦係数μを取得する(ステップS820)。当該路面の摩擦係数μは、予め特定されていれば良く、予め計測した摩擦係数を地図情報30aに記録しておいても良いし、天候等に基づいて推測して路面の摩擦係数を決定しても良いし、プローブ情報を利用して摩擦係数を決定しても良い。
【0087】
次に、制御部20は変速比制御部21dの処理により、自車両にスリップを生じさせる力を評価するための閾値LimFadを取得する(ステップS825)。本実施形態において閾値LimFadは((μ・W・S)2−Fc(γ)21/2で表され、Wは自車両の重量、Sは0より大きく1以下の係数、Fc(γ)は曲率γを走行しているときに自車両に作用する横方向の力を示す関数である。なお、重量W、係数S、関数Fc(γ)は予め記録媒体30に記録されており、制御部20は、記録媒体30を参照してこれらの情報を取得して閾値LimFadを算出する。
【0088】
図13は、減速力Fadと閾値LimFadを説明するための説明図である。同図13においては、矢印Fwに向かって走行する自車両Cと当該自車両Cに作用する摩擦力μ・Wの大きさを実線の円で示している。同図13において、自車両Cに作用する力(横方向の力Fc(γ)と減速力との合力)を示すベクトルの先端が実線の円を超える場合に自車両Cにてスリップが生じる。すなわち、摩擦力μ・Wを横方向の力Fc(γ)と車両後方に向けた減速力とに分力すれば、当該減速力をスリップが生じる限界の減速力とみなすことができる。
【0089】
そこで、本実施形態においては、摩擦力μ・Wに対して一定のマージンを与え、摩擦力μ・Wに1以下の係数Sを乗じた値μ・W・Sを横方向の力Fc(γ)に基づいて車両後方に向けた力に分力して得られた値を閾値LimFadとしている。すなわち、図13に例示するように、減速力Fadを示すベクトルの先端が、ベクトルμ・W・Sの分力ベクトルの先端に相当する位置Pよりも円の外周に近い場合に自車両Cの走行安定性が低下するとみなす。
【0090】
このため、制御部20は減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいか否かを判別し(ステップS830)、減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されないときには、制御部20は、2秒先の地点がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたか否かを判別し(ステップS835)、開始地点Rsを超えたと判別されない場合には、図11に示す処理に復帰する。一方、ステップS830にて減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されたとき、または、ステップS835にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたと判別されたときには、変速比の設定を行わせるために変速比制御状態GSを"2"に設定する(ステップS840)。
【0091】
従って、ステップS830を経て変速比制御状態GSが"2"となり、さらに、ステップS715の判別を経てステップS730にて変速比を設定する処理が行われると、自車両に作用する力が自車両にスリップを生じさせる力となる以前に変速比が加速変速比Saに設定されることになる。従って、変速比を加速変速比Saに設定することによって自車両にスリップが生じないように変速比を設定することができ、変速が車両の挙動に与える影響を抑えながら変速比を設定することが可能である。なお、ここでは、自車両の前方において自車両に作用する力がスリップを生じさせる力となるか否かを評価することができれば良く、上述のように現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価する構成の他、現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を評価する構成を採用しても良い。なお、ステップS815,S835における「2秒」は一例であり、変速比制御部21dが変速部44に、変速比を加速変速比Saとするための制御信号を出力してから、当該制御信号に応じて変速部44による変速比の切り替えが完了するまでに要する時間より大きい値が設定されていればよい。例えば、ステップS835においては、開始地点Rsに自車両が到達する前に変速比を加速変速比Saに切り替えることができる時間であればよい。むろん、現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価するために、上述のように現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を採用したときには、現在位置にて変速のための処理を開始してから変速が完了するまでの距離より大きい距離を所定の距離とする構成を採用可能である。
【0092】
(3)動作例:
以上の処理によれば、例えば、図2に太い破線の矢印で示すように、減速区間Zd以前の道路を6速で走行している自車両Cがカーブ区間Zrに接近すると、減速制御がなされて減速区間Zdの終了地点Rsまでに目標車速V0とされる。当該減速区間Zdにおいては、変速比取得処理において加速変速比Saが算出される。また、当該変速比取得処理においては自車両Cより2秒先の道路の曲率γを取得しており、当該γが大きくなって減速力Fadが閾値LimFadを超えた段階で減速制御状態GSが"2"に設定されるので、加速変速比Saが例えば、3速の変速段に対応する変速比であれば、ステップS730の処理により変速段が3速となる。従って、図2にて太い一点鎖線で示すように、これ以後の減速区間Zd、カーブ区間Zr、加速区間Zaにおいて変速段は3速に維持され、加速区間Zaにて加速を開始したときにスムーズに加速を行うことができる。
【0093】
図2に示すように、第1区間と第2区間とが離れている(第2減速区間Zd2の開始地点Ca2が第1加速区間Za1の終了地点Ce1よりも自車両進行方向の前方に存在する)ときには、自車両Cが第1加速区間Za1の終了地点Ce1に到達することによって加速制御が終了する。従って、その後の走行によって例えば図2に示すように4速の変速段に対応した変速比となることもある。この状態でさらに自車両Cが第2区間Zr2に近づくと、第2減速区間Zd2において、自車両の変速比は第2区間Zr2の走行後に加速を行うための第2加速変速比となる。従って、第2加速変速比が3速に対応した変速比である場合には、図2に示すように第2減速区間Zd2で3速に変速され、第2加速区間Za2の終了地点Ce2まで3速が維持される。なお、図14Aは図2のような道路を走行する際の車速の推移を模式的に示す図である。
【0094】
一方、図6に示すように、第1区間と第2区間とが短い範囲で連続しているときには、第1区間と第2区間との間でスムーズに加速させるための処理が行われる。まず、図6Aに示すように、第1区間Zr1の終了地点Re1が第2減速区間Zd2の開始地点Ca2よりも自車両Cに近い場合を説明する。この場合において、自車両Cが第1減速区間Zd1を走行している過程において、図3等に示す処理が実施される。このとき、目標車速V0等に第1区間に関するパラメータが代入される(ステップS200〜S206)が、ステップS210の判別を経てステップS218において第1加速区間Za1の終了地点Ce1が補正される。また、ステップS225の判別を経てステップS240〜S246以降が実施されるため、推奨車速V1にはVz,加速度aには加速度a1'が代入される。
【0095】
次にステップS130,S140が実行されると、ステップS120による補正後のパラメータを利用して第1区間Zr1に関する減速および加速が実施される。従って、第1減速区間Zd1の途中から自車両Cの変速比が補正後のパラメータに対応した第1加速変速比とされて減速が行われ、第1区間Zr1走行後には補正後の第1加速区間Za1の終了地点(Ce1)まで第1加速変速比による加速が行われる。自車両が補正後の第1加速区間Za1の終了地点(Ce1)に到達すると、ステップS735を経て変速比制御状態GSが0,加速制御状態ASが0に設定される。
【0096】
従って、ステップS110以降で第2区間Zr2に関する処理が開始される。第2区間以降にカーブ区間が連続していない場合には、図4に示す処理の過程で直前のカーブ区間で第2区間Zr2に関するパラメータによって目標車速V0等が設定され、各パラメータに関して補正は行われない。この場合、第2減速区間Zd2においてはステップS415あるいはS420を経て減速が開始される。また、第2減速区間Zd2においてはステップS705を経て第2加速変速比が設定され、ステップS830あるいはS835を経て変速比制御状態GSが2に設定されると自車両Cの加速変速比が第2加速変速比となる。従って、第2減速区間Zd2の途中から自車両Cの変速比が第2加速変速比とされて減速が行われ、第2区間Zr2走行後には補正後の第2加速区間Za2の終了地点(Ce2)まで第2加速変速比による加速が行われる。なお、図14Bは図6Aのような道路を走行する際の車速の推移を模式的に示す図である。
【0097】
さらに、図6Bに示すように、第2減速区間Zd2の開始地点Ca2が第1区間Zr1の終了地点Re1よりも自車両Cに近い場合について説明する。この場合において、自車両Cが第1減速区間Zd1を走行している過程において、図6Aと同様に目標車速V0等に第1区間に関するパラメータが代入される(ステップS200〜S206)が、ステップS210の判別を経てステップS218において第1加速区間Za1の終了地点Ce1が補正される。また、ステップS225の判別を経てステップS230〜S236が実施されるため、目標車速V0にはVa',加速度aには加速度a2が代入される。
【0098】
次にステップS130,S140が実行されると、ステップS120による補正後のパラメータを利用して第1区間Zr1に関する減速および加速が実施される。従って、ステップS805において加速変速比の補正が行われていなければ、第1減速区間Zd1の途中から自車両Cの変速比が加速度a2に対応した第2加速変速比とされて減速が行われる。さらに、図6Bに示す例においては、第1区間Zr1の終了地点Re1に到達する以前に補正後の第1加速区間Za1の終了地点(Ce1)に到達するため、第1区間Zr1の終了地点Re1に到達する以前にステップS735を経て変速比制御状態GSが0,加速制御状態ASが0に設定される。この後、再びステップS110以降の処理を実行するとステップS705を経て変速比制御状態GSが1とされるため、第2区間Zr2に関する処理が開始される。
【0099】
なお、第1区間Zr1の終了地点Re1に到達すると、減速制御状態DSが0に設定される(ステップS615)が、ステップS620を経てステップS625がスキップされるため、加速制御状態ASは1に設定されない。従って、第1区間Zr1の終了地点Re1以降において加速することはない。再びステップS110以降の処理を実行する際に、第2区間以降にカーブ区間が連続していない場合には、図4に示す処理の過程で直前のカーブ区間である第2区間に関するパラメータによって目標車速V0等が設定され、各パラメータに関して補正は行われない。従って、第2減速区間Zd2における減速制御、第2区間Zr2における車速制限制御、第2加速区間Za2における加速制御が行われる。
【0100】
この過程において、ステップS735では加速変速比が設定されるが、当該加速変速比は第2加速変速比であり、第1減速区間Zd1にて設定された加速変速比と同じである。従って、第2減速区間Zd2を走行している過程において変速比は変更されず、第1減速区間Zd1において第2加速変速比に設定された後、第2加速区間Za2の終了地点Ce2を通過するまで変速比は第2加速変速比に維持される。なお、図14Cは図6Bのような道路を走行する際の車速の推移を模式的に示す図である。
【0101】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、第1区間の終了地点と第2区間の開始地点との距離が、第1目標車速から自車両を所定の減速量で減速させて第2区間の開始地点において第2目標車速とすることが可能な距離よりも短い場合、第1区間以前に第2加速変速比に設定させるための制御を行う限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、第1区間および第2区間に関するパラメータは予め決められているか、あるいは、予め決められた規則によって特定できればよい。例えば、減速を行うための減速量(減速度やトルク)と各区間における車速とによって減速が必要であるか否かを判断する構成であっても良く、種々の構成を採用可能である。
【0102】
さらに、本発明の適用対象はカーブ区間に限定されず、勾配のある道路に対して本発明を適用しても良い。例えば、勾配を含む区間を勾配区間として定義し、当該勾配区間に自車両が到達するときの目標車速と勾配区間を走行後の推奨車速を定義すれば、上述の構成と同様にして必要加速量を特定し、加速変速比を取得して勾配区間の前の段階で予め加速変速比としておく構成とすることができる。なお、この構成において目標車速は、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい車速に減速する際の車速として定義することが可能である。
【0103】
さらに、本発明は、必要加速量に対応した変速比を取得する構成に限定されることはなく、目標車速より大きい車速に加速することが可能な変速比を決定することができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、カーブ区間等の所定区間を走行した後のスロットル開閉操作に対応した駆動源(エンジンやモータ)の回転数を予め学習しておき、自車両にて所定区間を走行した後に当該学習した回転数にて駆動源を回転させ、目標車速からより大きい車速に加速するための加速変速比を特定する構成等を採用可能である。すなわち、推奨車速が特定されていない場合であっても、所定区間を走行後に自車両の車速を目標車速よりも大きい車速に加速させることができる限りにおいて、種々の構成を採用可能である。
【0104】
さらに、加速変速比は、少なくとも、目標車速よりも大きい車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。また、減速制御に際しては、上述のように減速度に基づいてフィードバック制御を行うほか、車速に基づいてフィードバック制御を行う構成を採用しても良い。
【0105】
さらに、必要加速量は車速を目標車速から推奨車速にするために自車両にて出力されるエネルギーを評価するためのパラメータであればよく、上述の必要加速度aに限定されない。例えば、トルク,エンジン出力等を採用可能である。また、上述の実施形態においては、必要減速度Grが閾値LimG_h,LimG_Lを超えたときに減速制御を行うように構成したが、むろん、他の構成、例えば、減速区間Zdの開始地点Caを通過した後に減速を開始する構成としても良い。
【0106】
また、車速制限処理においては、現在車速Vcが閾値V0を超えているときに減速を行う構成としたが、現在車速Vcが閾値V0を下回るときに加速を行う構成であっても良い。さらに、上述の実施形態においては、必要加速度aに対応したトルクTraを超える出力が可能な変速比の中で最も燃料消費量の少ない変速比を選択して加速変速比Saとしていたが、他の思想に基づいて加速変速比を決定しても良い。例えば、必要加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得し、トルクTraを超える変速比の中で最も小さな変速比を加速変速比Saとしてもよい。
【0107】
すなわち、変速比を維持しながら必要加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比であって、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数を低下させて出力側に伝達する際の当該回転数の低下度合いが最も小さい変速比を加速変速比Saとする。この構成によれば、エンジンの回転数をできるだけ上昇させずに自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができ、効率的に加速を行うことが可能である。なお、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0108】
さらに、本発明においては、第1区間以前の第1減速区間において第2加速変速比に設定させるための制御を行うことができれば良く、第1区間における補正後の第1目標車速は上述のVa'とする構成に限定されるわけではない。例えば、補正前の第1目標車速および第2目標車速とのうち、小さい方の車速を取得し、第1区間、第2区間および両者の間を当該小さい方の車速で走行する構成を採用しても良い。この場合、第2加速変速比は、当該小さい方の車速から第2推奨車速まで加速させるための変速比となる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】運転支援装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】カーブ区間の例を示す図である。
【図3】運転支援処理のフローチャートである。
【図4】パラメータ算出処理のフローチャートである。
【図5】加速曲線および減速曲線を模式的に示す図である。
【図6】(6A)および(6B)はカーブ区間の例を示す図である。
【図7】車両減速処理のフローチャートである。
【図8】減速開始判定処理のフローチャートである。
【図9】減速制御処理のフローチャートである。
【図10】車速制限処理のフローチャートである。
【図11】変速比選択処理のフローチャートである。
【図12】変速比取得処理のフローチャートである。
【図13】車両に作用する力を説明する説明図である。
【図14】車速の推移を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0110】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…車速情報取得部、21b…必要加速量取得部、21c…加速変速比取得部、21d…変速比制御部、21e…減速制御部、21f…加速制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30a1…カーブ区間情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…変速部、45…制動部、46…スロットル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方に設定された第1区間および当該第1区間より前方の第2区間に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記第1区間の終了地点と前記第2区間の開始地点との距離が、前記第1区間を走行する際の第1目標車速から前記自車両を所定の減速量で減速させて前記第2区間の開始地点において前記第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いと判別されるときに、前記第2区間以降の第2加速区間にて前記自車両を加速させるための第2加速変速比を取得する加速変速比取得手段と、
前記第1区間以前に前記自車両を減速させるための第1減速区間にて前記自車両の変速比を前記第2加速変速比に設定させる変速比制御手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記加速変速比取得手段は、前記第2区間を走行する際の第2目標車速から前記第2区間走行後の第2推奨車速に前記自車両を加速させるための第2必要加速量に基づいて前記第2加速変速比を取得する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
自車両の前方に設定された第1区間および当該第1区間より前方の第2区間に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記第1区間の終了地点と前記第2区間の開始地点との距離が、前記第1区間を走行する際の第1目標車速から前記自車両を所定の減速量で減速させて前記第2区間の開始地点において前記第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いと判別されるときに、前記第2区間以降の第2加速区間にて前記自車両を加速させるための第2加速変速比を取得する加速変速比取得工程と、
前記第1区間以前に前記自車両を減速させるための第1減速区間にて前記自車両の変速比を前記第2加速変速比に設定させる変速比制御工程と、
を含む運転支援方法。
【請求項4】
自車両の前方に設定された第1区間および当該第1区間より前方の第2区間に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記第1区間の終了地点と前記第2区間の開始地点との距離が、前記第1区間を走行する際の第1目標車速から前記自車両を所定の減速量で減速させて前記第2区間の開始地点において前記第2区間を走行する際の第2目標車速とすることが可能な距離よりも短いと判別されるときに、前記第2区間以降の第2加速区間にて前記自車両を加速させるための第2加速変速比を取得する加速変速比取得機能と、
前記第1区間以前に前記自車両を減速させるための第1減速区間にて前記自車両の変速比を前記第2加速変速比に設定させる変速比制御機能と、
をコンピュータに実現させる運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−1974(P2010−1974A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161618(P2008−161618)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】