説明

運転支援装置

【課題】後方車両の運転状態を監視することで、危険な状態がより具体的になった場合に警告を行うことができる運転支援装置を提供する。
【解決手段】WCコンピュータ22は、SCコンピュータ21により継続的に監視される自車両後方側に位置する他車両の走行状態に基づいて、当該他車両を運転している運転者の注意力を推定する。そして、上記運転者の注意力が低下していると判断すると、ナビゲーション装置23を介して自車両の運転者に警告を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の後方側に位置する他車両の走行状態を監視し、その監視結果に基づいて自車両の運転者に警告を行なう運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転を支援する技術として、カメラやレーダにより自車両の側方,後方に位置する他車両を検知して自車両の運転者に警告を行なったり(特許文献1)、後方車両との相対速度を監視し、後方車の方が速く且つ車間距離が短い場合には接触,追突のおそれがあると判断して警告を行なう技術(特許文献2)は提案されている。
【特許文献1】特開2002−49998号公報
【特許文献2】特開2005−308645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、自車両の前方において危険な状態が発生した場合は、その危険を回避するために自車両の制動や操舵を行うことは比較的容易である。これに対して、自車両の後方より接近してくる他車両によって危険な状態が発生した場合、運転者がその危険を認知した時点から取り得る回避行動は制限されてしまう。即ち、自車両が「衝突しない」ことよりも、「衝突されない」ことを回避するのはより困難であると言える。
また、単純に後方より接近する車両を検知したことのみを以って警告を行なうと、実際には危険レベルが低い場合でも警告が行われる場合があり、常に適切な状況に即しているとは言い難い。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、後方車両の運転状態を監視することで、危険な状態がより具体的になった場合に警告を行うことができる運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、監視手段により継続的に監視されている自車両の後方側に位置する他車両の走行状態に基づいて、当該他車両を運転している運転者の注意力を推定する。そして、警告手段は、注意力推定手段によって推定される上記運転者の注意力が低下していると判断すると、自車両の運転者に警告を行なう。即ち、後方車両の走行状態を継続的に監視してその結果を解析すれば、当該車両の運転者がどのような意識で運転を行っているかをある程度推定することが可能である。従って、推定結果に基づき他車両運転者の注意力低下が判定された場合に、自車両運転者に警告を行えば、その判定結果に応じてより適切な警告を行なうことができる。
【0006】
請求項2記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、監視手段による他車両との車間距離,並びに当該他車両速度の監視結果、また、当該他車両との間における道路状況の監視結果に基づいて、後方車両の運転者が不要な急ブレーキ操作を行ったと推定される場合に注意力の低下を判断する。即ち、上記の各パラメータを監視すれば、急ブレーキ操作が行われたことや、その操作状況が適切であったかどうかを判定できる。そして、急ブレーキ操作が行われた状況が不適切であれば、他車両運転者の注意力低下を判断することができる。
【0007】
請求項3記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、車間距離が所定距離以上で且つ他車両の速度が自車速度よりも遅い状態で当該他車両が急に減速すると、道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定する。即ち、このケースでは、後方車両が急減速を行う必要性がない可能性が高いので、他車両運転者の注意力が低下していることを適切に判断できる。
【0008】
請求項4記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合は、更に急減速が発生した時点から遡及した一定時間内の他車両の速度変動を参照し、その速度変動が比較的小さい場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定する。即ち、上記の期間における速度変動が比較的大きい場合は、他車両の運転者が元々そのような運転傾向を有していると推定される。これに対して、速度変動が比較的小さい場合は、急ブレーキ操作が突発的に行われた可能性がより高くなるので、推定精度を向上させることができる。
【0009】
請求項5記載の運転支援装置によれば、監視手段は、自車両後方側の照度を監視すると共に他車両の前照灯の点灯状態を画像により監視し、注意力推定手段は、他車両の前照灯の点消灯が前記照度に応じて適切に行なわれていないと推定される場合に、他車両の運転者の注意力低下を判断する。即ち、運転者の注意力が正常であれば、周囲の照度変化に応じて前照灯を適切に点消灯させるはずであるから、注意力の低下を適切に判断できる。
【0010】
請求項6記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、照度が比較的低い場合に他車両が前照灯を消灯させていれば、本来前照灯を点灯させるべき状況を適切に判断していないことを示すので、運転者の注意力低下を判断できる。
【0011】
請求項7記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、照度が比較的高い場合に他車両が前照灯を点灯させていれば、本来前照灯を消灯させるべき状況を適切に判断していないことを示すので、運転者の注意力低下を判断できる。
【0012】
請求項8記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、照度が比較的高い場合に前照灯を点灯させている他車両が四輪車であれば運転者の注意力低下を判断することで、その判断をより確実に行うことができる。
【0013】
請求項9記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、照度が比較的高い場合に前照灯を消灯させている他車両が二輪車であれば、本来前照灯を点灯させるべき状況を適切に判断していないことを示すので、運転者の注意力低下を判断できる。
【0014】
請求項10記載の運転支援装置によれば、監視手段は、他車両の前照灯を含む前部を画像により監視し、注意力推定手段は、他車両の前照灯の点灯状態に基き監視される当該車両の左右方向の重心と、当該車両の前部について画像に基き監視される同重心とが一致しない場合に、運転者の注意力低下を判断する。即ち、双方の重心が不一致である場合は、四輪車の左右に配置されている前照灯の何れか一方が故障していると推定されるので、その状態を放置したまま走行運転している運転者の注意力が低下していると判断できる。
【0015】
請求項11記載の運転支援装置によれば、監視手段は、他車両との車間距離並びに自車両後方側の道路勾配を監視し、注意力推定手段は、上記各監視結果に基づき他車両が適切に速度制御を行っていないと推定される場合に運転者の注意力低下を判断する。即ち、後方車両が道路勾配の上り/下りに応じて適切に速度制御を行わなければ車間距離が適切に維持されなくなるので、運転者の注意力低下を判断できる。
【0016】
請求項12記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、車間距離が比較的狭く、且つ道路勾配が水平又は下りである場合に自車速度が一定又は増加していれば、他車両が適切に速度制御を行なっていないと推定する。即ち、上記のケースでは、後続車が速度を出し過ぎていることになるので、不適切な速度制御を妥当に推定できる。
【0017】
請求項13記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、車間距離が拡がりつつあり、且つ道路勾配が上りである場合に自車速度が一定又は減少していれば、他車両が適切に速度制御を行っていないと推定する。即ち、上記のケースでは、後続車が速度を減少させ過ぎていることになるので、不適切な速度制御を妥当に推定できる。
【0018】
請求項14記載の運転支援装置によれば、監視手段は、他車両の速度と自車両後方側の死角領域及びその前方に車両が存在するか否かを監視し、注意力推定手段は、上記各監視結果に基づき他車両が死角領域に不要に滞留していると推定される場合に、他車両の運転者の注意力が低下していると判断する。即ち、ある車両の死角領域に他の車両が理由無く留まることは危険であり、また、走行状態としては不自然でもあるので、注意力の低下を適切に判断できる。
【0019】
請求項15記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、他車両が死角領域に入る際の速度が自車速度よりも速く、且つ他車両が自車両を追抜き可能な状態にある場合に、他車両が死角領域に不要に滞留していると推定する。即ち、上記のケースでは、本来は、他車両がそのまま自車両を追越して行くのが自然な運転の流れであると推定されるので、注意力の低下を適切に判断できる。
【0020】
請求項16記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、上記条件に加え、他車両が死角領域に入る際の相対速度が比較的速い場合に、死角領域に不要に滞留していると推定するので、注意力の低下をより確実に判断できる。
【0021】
請求項17記載の運転支援装置によれば、注意力推定手段は、監視手段による監視結果を、その結果を取得した時点から所定時間だけ保持し、その所定時間が経過した監視結果をクリアする。即ち、一般に、運転者の注意力が低下した状態は一時的である場合が多く、その状態が長い期間に亘って継続することは想定し難いので、監視結果を定期的にクリアすれば注意力低下の判断を妥当に行うことができる。
【0022】
請求項18記載の運転支援装置によれば、警告手段は、他車両運転者の注意力が低下していると判断すると、その判断元となった推定結果に応じた危険回避案を設定し、その回避案を自車両の運転車に提示するので、単に警告を行うだけでなく、具体的にどのようにして危険な状態を回避するのが適切であるかを情報提供して、自車両の運転支援に資することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は、運転支援装置を構成する主要な制御部の配置状態を示すものである。運転支援装置は、側後方監視センサコントロールコンピュータ(監視手段)21,後続車両監視・警告コンピュータ(注意力推定手段,警告手段)22,ナビゲーション装置(警告手段)23を備えており、それらは例えばCAN(登録商標),MOST(登録商標),IE−BUS(登録商標)等のプロトコルによる車内LAN24を介して接続され、相互に通信が可能となっている。
【0024】
図2は、ナビゲーション装置23の構成を示す機能ブロック図である。車両用ナビゲーション装置23は、マイコンを主体として構成された制御回路(案内手段)2、車両の現在位置を検出するための位置検出器(位置取得手段)3、地図データ入力器(地図データベース)4、操作スイッチ群5、外部メモリインターフェイス(I/F)6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置(報知手段)7、スピーカ(報知手段)8が接続された音声コントローラ9、マイク10から入力された音声を認識する音声認識装置11、リモコン12との間でコマンド等の送受信を行うリモコンセンサ13、及び外部、例えばVICS(登録商標)センター15や種々の情報センターとの間で無線通信によりデータの送受信を行う外部情報入出力装置(例えば、携帯電話機や自動車電話機,FM多重受信機やVICS用ビーコンなど)14から構成されている。
【0025】
位置検出器3は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ16、車両の走行距離を検出する距離センサ17、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機18を有している。各センサ16〜18は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御回路2は、各センサ16〜18の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器3を上述したセンサ16〜18の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0026】
地図データ入力器4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
上記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。そして、各道路については、一方通行又は進入禁止が設定されている場合には、その交通規則情報も併せて記録されている。
【0027】
また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0028】
入力手段である操作スイッチ群5は、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ユーザ(ドライバ)は、この操作スイッチ群5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、後述する有効化経路および有効化地点および表示装置7の画面や表示態様の切り替え(地図縮尺変更、メニュー表示選択、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、音量調整等)を行う各種のコマンドの入力を行う。また、リモコン12には複数の操作スイッチが設けられており、スイッチ操作によりリモコン12からリモコンセンサ13を介して各種の指令信号が制御回路2に送信される。なお、操作スイッチ群5とリモコン12は、何れの操作によっても制御回路2に同様の機能を実行させることができる。
【0029】
外部メモリI/F6は、例えばフラッシュメモリカード等のメモリ媒体に対応するものであり、ナビゲーションに関するものとしては、例えば経路案内時に制御回路2が設定した目的地までの経路のデータ、車両が通過した経路のデータ等を、例えばメモリカードのような記録媒体に書き込んで記憶するために使用される。
表示装置7(表示手段)の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には経路案内用の画面が表示される。さらに、ユーザが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示される。
【0030】
音声認識装置11は、マイク10を介して入力される音声と内部に記憶する認識用の辞書データとを照合し、入力された音声を認識する。音声コントローラ9は、音声認識装置11を制御して音声認識結果を制御回路2に出力するとともに、認識された音声をスピーカ8を介してトークバック出力する。また、制御回路2からの音声出力指令に基づいて音声出力信号をスピーカ8に出力する。スピーカ8から出力される音声は、案内に関する音声、操作説明に関する音声、上記のトークバック音声などである。
【0031】
制御回路2を構成するマイコンは、CPU、メモリ(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えている。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御回路2は、目的地設定手段、経路探索手段、表示制御手段、経路案内手段、通過経路特定手段、機能制御手段、現在位置修正手段として機能する。経路探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0032】
経路案内手段としての機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置7の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行われる。
【0033】
図3は、側後方監視センサコントロールコンピュータ(以下、SCコンピュータと称す)21を中心とする構成部分を示すものである。SCコンピュータ21には、車両の後方側並びに後部側方側に向けて配置されているカメラ(例えば、CCDやCMOSイメージセンサ,監視手段)31〜33や、後方側に向けて配置されているレーザレーダ(監視手段)34,ミリ波レーダ(監視手段)35が接続されている。そして、SCコンピュータ21は、ソフトウエア機能モジュールであるカメラ認識部21a,レーダ認識部21bにより、カメラ31〜33,レーダ34及び35を制御すると共に、それらが出力した情報を認識処理するようになっている。
【0034】
カメラ31,33は、夫々車両の右後側,左後側に、カメラ32は車両の後方側に向けて配置されており、カメラ認識部21aは、これらより得られる画像情報を合成することで、死角を生じることなく(側方を含む)後方側の画像を得ることが可能となっている。また、レーザレーダ34は、後方車両の灯具による反射波の検出や一様でない形状に対する認識精度が高く、ミリ波レーダ35は、雨天の場合や対象が黒色である場合の検出に優れている。即ち、これらは夫々長所・短所を有しているので、状況に応じて使い分けるようにする。
【0035】
また、レーダ34,35は、何れもアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダとして構成されている。その全体構成を図4(a)に示す。アクティブ・フェイズド・アレイは、低電力信号の送信機36が出力した信号を、サーキュレータ37及び分配/混合器38を介して、複数の送受信モジュール39及びアンテナ40に振り分けて送信する。また、複数のアンテナ40が夫々受信した信号は、上記と逆の経路を経て受信機41が受信する。
【0036】
図4(b)は、送受信モジュール39の内部構成を示す。分配/混合器38側には、移相器39aが配置されており、アンテナ40側には、互いに逆方向に接続された受信機39b,送信機39cが配置されている。そして、アクティブ・フェイズド・アレイは、各アンテナ40に対応する移相器39aによって与える信号の移相量を変化させることで、アンテナ40の全てを合成した指向性(ビーム方向)を変化させることが可能となっている。
【0037】
図5は、主として後続車両監視・警告コンピュータ(以下、WCコンピュータと称す)22によって実現される機能のソフトウエア構成を示すものである。WCコンピュータ22は、SCコンピュータ21を介して取得した各センサからの情報に基づいて後方車両の走行状態を認識し、その認識結果に基づいて後方車両の運転者の注意力レベルを認識する。また、その他自車両の運転者の注意力レベルや、自車両,後方車両の危険度も認識するようになっている。
尚、後方車両の走行状態については、「急ブレーキ開始認識」,「前照灯(ヘッドランプ)異常認識」,「勾配制御不良認識」,「死角滞留認識」などがある(これらの詳細については後述する)。それから、WCコンピュータ22は、上記各危険度に基づいて、自車両の運転者にその危険を回避させるための提案を決定し、その提案に基づく案内(報知)を行う。
【0038】
次に、本実施例の作用について図6乃至図11も参照して説明する。
<急ブレーキ開始認識処理>
図6は、SCコンピュータ21によって行われる急ブレーキ開始認識処理の内容を示すフローチャートである。SCコンピュータ21は、後続車両との車間距離を検出すると、その車間距離が狭い(十分確保されていない)か否かを判断する(ステップS1)。車間距離が狭い場合は(「YES」)、従来と同様に車間距離が不足していることを自車両の運転者に警告する(ステップS7)。
【0039】
ステップS1において車間距離が十分確保されている場合(「NO」)、SCコンピュータ21は、自車両の速度と後続車両との速度を比較し、後者の速度の方が速いか否かを判断する(ステップS2)。後続車両の速度の方が速い場合は(「YES」)追突の危険があるので、従来と同様にその追突発生の危険を警告する(ステップS8)。
【0040】
ステップS2において「NO」と判断される場合は、車間距離が十分確保されており、且つ自車両速度が速い状態であるから、基本的には自車−後続車間の走行状態について問題はない。この状態から、SCコンピュータ21は、後続車が急減速を開始したか否かを判断する(ステップS3)。後続車が急減速しなければ(「NO」)、その運転者の状況把握は適切であると言えるので、そのまま処理を終了する。尚、急減速,即ち、急ブレーキ操作の有無は、例えば後続車両の相対速度を2階微分することで対地加加速度、即ち、加速変化の急激度を得ることで検出する。
【0041】
一方、ステップS3において後続車が急減速した場合は(「YES」)、後方カメラ32が撮像した画像やレーダ34,35の検出結果に基づき、自車両と後続車両との間において、後続車が急ブレーキ操作を要する現象(例えば、人や他車両の飛び出しなど)が発生しているかどうかを判断する(ステップS4)。上記現象が発生していれば(「YES」)、後続車の運転者は状況に応じた適切な対処を行っていると推定される。従って、そのまま処理を終了する。
【0042】
また、ステップS4において上記現象が発生していない場合(「NO」)、SCコンピュータ21は、後続車が急減速を行った時点から遡及した一定時間内について、後続車の対地速度(絶対速度)変動度合いを参照する(ステップS5)。ここで、その速度変動の度合いが比較的大である場合は、後続車の運転者が、元々そのような運転を行う傾向があることを示している。従って、この場合は処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS5における速度変動が比較的小さい場合は、例えば、道路勾配等に対応したような緩やかな速度変化しか発生していない状況(惰性的な運転)から、特に理由無く急ブレーキ操作が行われたものと推定される。従って、この場合、後続車の運転者の注意力は低下していると推定されるので、その注意力低下レベルを評価・記憶して(ステップS6)処理を終了する。この時、上記のレベル評価に応じたポイントを付与するなどする。
【0044】
尚、上述の処理または以降の処理において、各判定は、予め設定された閾値との比較に基づいて行う。また、判定内容により、データのサンプリングを1回のみ行ったり、必要に応じて複数回のサンプリング結果を平均処理するなどして微小な変動は排除する。更に、自車速度、道路形状、制限速度データや天候,気温などのデータも必要に応じて取得し、それらを適宜加味して判定する。
【0045】
<前照灯異常認識処理>
図7は、SCコンピュータ21によって行われる前照灯異常認識処理の内容を示すフローチャートである。尚、ここでの「前照灯」はヘッドライトに限るものとする。SCコンピュータ21は、自車と後続車間の照度を検出し(ステップS11)、その照度が比較的高い(明るい)場合、低い(暗い)場合の夫々に応じて、後続車の前照灯の状態(ON/OFF)をカメラ32などにより検出する(ステップS12,S15)。尚、照度が低い場合は、夕方や夜間の場合,若しくはトンネル内などを走行中の場合である。
【0046】
ステップS12において前照灯がONである場合は、照度が高い状態であり、続くステップS13において後続車両が二輪車/四輪車(自動車)の何れであるかを、やはりカメラ32の画像などから判定する。ここで、後続車が二輪車である場合は、昼間のように明るい場合でも前照灯の点灯が義務付けられているので、運転者の判断は適切であると推定される。従って、ステップS18(処理内容は後述する)に移行する。
一方、ステップS13において後続車両が四輪車である場合は、前照灯を点灯させる必要がない状況にある。従って、運転者の判断は不適切であり、注意力が低下していると推定する(ステップS14)。それから、ステップS18に移行する。
【0047】
また、ステップS15において前照灯がONである場合は、照度が低い状態であり、運転者の判断は適切であると推定されるから、そのままステップS18に移行する。一方、前照灯がOFFである場合は、続くステップS16において後続車両が二輪車/四輪車の何れであるかを判定する。ここで、後続車が二輪車である場合は、本来前照灯が自動的に点灯するようになっているはずであるから(現状ではそのような車両が多い)、その機能が働かないということは故障状態を放置していることを意味する。従って、後続車の運転者の注意力が低下していると判断して(ステップS17)処理を終了する。
一方、ステップS16において後続車両が四輪車である場合は、前照灯を点灯させる必要があるにもかかわらず点灯させていない状況にある。従って、運転者の判断は不適切であり、ステップS14に移行する。
【0048】
ステップS18では、再び後続車の前照灯の点灯状態を確認し、OFFであればそのまま処理を終了する。一方、ONである場合は、カメラ32による画像より、前照灯の点灯状態に基づく後続車の左右方向における重心と、レーダ34,35の検出結果に基づく同重心とが不一致かどうかを確認する。即ち、二輪車の場合、一般に前照灯は車両の中心に1つだけであるから両者の重心は一致するはずである。
【0049】
これに対して四輪車の場合は、左右両端に配置されている前照灯が双方とも点灯していれば両者の重心は一致するが、前照灯の何れか一方が故障等により点灯していない場合も想定され、この場合、両者の重心は不一致となる。従って、両者の重心が一致する場合は(「NO」)そのまま処理を終了し、両者の重心が不一致となる場合は(「YES」)、ステップS17と同様に運転者が故障をそのまま放置していると思われるため、注意力が低下していると推定する(ステップS20)。
【0050】
<勾配制御不良認識処理>
図8は、SCコンピュータ21によって行われる勾配制御不良認識処理の内容を示すフローチャートである。SCコンピュータ21は、自車と後続車との車間距離の増減状態を監視し(ステップS21)、車間距離が略一定であるか,又は車間距離が十分確保されている状態から減少している場合は、後続車の運転状態に問題はないと推定し、そのまま処理を終了する。
一方、車間距離が比較的短い状態から減少している場合は、後続車が位置している道路の勾配を判定する(ステップS22)。上り勾配である場合は、後続車の運転者の注意力に関しては基本的に問題がない、即ち、自車両が減速しているとすれば、その状況に応じた車間状況であり、自車両が定速又は加速している場合でも同様である。従って、そのまま処理を終了する。
【0051】
また、ステップS22において水平又は下り勾配である場合は、自車両の車速変化を判定する。自車両が減速しているとすれば、やはりその状況に応じた車間状況であるから処理を終了する。一方、自車両が定速を維持しいている場合,又は加速している場合は、それにも関わらず車間距離が減少していれば後続車の運転者が速度を出し過ぎている結果であると推測される。従って、注意力が低下していると判断する(ステップS24)。
【0052】
また、ステップS21において車間距離が増加している場合も、後続車が位置している道路の勾配を判定する(ステップS25)。水平又は下り勾配である場合は、その状況に応じて車間距離が増加しているので問題はなく、処理を終了する。一方、上り勾配である場合は、自車の車速変化を参照し(ステップS26)、加速している場合は上記と同様に問題がないので処理を終了する。自車両が定速又は減速している場合、それにも関わらず車間距離が増加しているのは、後続車の運転者が上り勾配に応じて加速していない結果であるから、注意力が低下している、若しくは後続車の動力が不足していると判断する(ステップS27)。
【0053】
<死角滞留認識処理>
図9は、SCコンピュータ21によって行われる死角滞留認識処理の内容を示すフローチャートである。SCコンピュータ21は、先ず、自車の車速変化を判定し(ステップS31)、停止又は徐行程度の低速である場合は問題がないのでそのまま処理を終了する。一方、自車速度が中速又は高速の場合は、カメラ31,33の画像に基づいて後続車が斜め後方の死角に位置しているか否かを判断する(ステップS32)。その死角に後続車が位置していなければ(「NO」)そのまま処理を終了する。また、死角に後続車が位置していれば(「YES」)、従来技術と同様にその状態を自車の運転者に警告報知する(ステップS33)。
【0054】
それから、続くステップS34において、上記後続車が死角に進入した場合の速度を自車速度と比較する。ここで、自車速度の方が高い場合は、前方に位置していた他車両を自車が追い抜こうとする過程で後方の死角に入ったことを意味する。従って、後続車の運転に問題はないので処理を終了する。一方、後続車の速度の方が高い場合は、その後続車の前方、即ち、自車が走行中の車線の隣となる車線において、その前方に「空き」があるか(他車両が存在しないか)否かを判断する(ステップS35)。
【0055】
ここで、後続車の前方に「空き」がない場合(「NO」)、後続車は、その状況に応じて死角に滞留していることになる。従って、後続車の運転に問題はないので処理を終了する。一方、後続車の前方に「空き」がある場合は(「YES」)後続車は自車を追い抜くことが可能な状況であるにもかかわらず、理由無く死角に滞留している可能性がある。
そこで、更に、後続車が死角に進入した場合の相対速度の大小を判定する(ステップS36)。相対速度が小さい場合は、その状態のまま短時間だけ死角に滞留していると推定され、自然な運転の流れであると考えられる。従って、処理を終了する。一方、相対速度が大きい場合は、後続車の運転挙動は極めて不自然であり、理由無く死角に滞留している可能性が高い。従って、注意力が低下していると推定する(ステップS37)。
【0056】
<後続車両運転者危険度・危険種別判定処理>
図10は、WCコンピュータ22によって実行される、後続車両運転者危険度・危険種別判定処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS41〜S43では、図6〜図9の各認識処理について、注意力低下の推定結果につき何らかの変化があった場合(ステップS42,「YES」)、又は定期検出が行われた場合は(ステップS43,「YES」)、注意力の低下状況に応じて評価される危険度(ポイント)と、危険種別を示すパラメータに各認識処理結果の出力値を代入する(ステップS44)。
【0057】
続いて、その時点で保持しているパラメータ値について、所定の保持時間(例えば、数分程度)が経過することで「タイムアウト」となったものがあれば(ステップS45,「YES」)そのパラメータを消滅させる(ステップS46)。即ち、一般に運転者の注意力が低下した状態は一時的である場合が多く、その状態が長い期間に亘って継続することは想定し難いからである。そして、残っているパラメータ値について累積危険度が警戒値を超えたものがある場合は(ステップS47,「YES」)、その時のパラメータが示す値に応じて、自車両の運転者に提供する回避提案を決定する(ステップS48)。
【0058】
ここで、図11は、回避提案を決定するためのテーブルの一例を示す。「対象物車両ID」とは、自車両の後方側に複数の他車両が位置している場合に、それらを区別するために付与するIDである。「警告開始条件」は、他車両が位置している方向に応じてどのような距離関係(位置)になった場合に、自車両の運転者に対して警告を行のかを設定したものである。例えば、他車両の方向が「後方」である場合は、「自車両が(その時点の走行速度で)2秒間に進む距離」となった場合に警告を開始する。また、他車両の方向が「側後方」である場合は、「自車両が4秒間に進む距離」となった場合に警告を開始する。
【0059】
「警告対象」は、他車両の危険状態がどのようであり(「運転注意力低下」,「右側のライト切れ」,「目的不明」等)、現在どのような走行を行っているか(「後方より接近中」,「60m後方を走行中」,「緩い下り勾配に入った」等)などである。そして、「回避提案」は、上記の「警告対象」に応じて、自車両の運転者にどのように回避行動をさせるかである。例えば、「減速時には早めにブレーキランプを点ける」,「挙動不審であれば(運転者の判断により)安全な場所でやり過ごす」,「二輪車と間違えないように走行する」等である。これらを、ナビゲーション装置23のスピーカ8より音声メッセージとして出力し、自車両の運転者に報知する。
【0060】
以上のように本実施例によれば、WCコンピュータ22は、SCコンピュータ21により継続的に監視されている、自車両の後方側に位置する他車両の走行状態に基づいて、当該他車両を運転している運転者の注意力を推定する。そして、上記運転者の注意力が低下していると判断すると、ナビゲーション装置23を介して自車両の運転者に警告を行なうようにした。従って、他車両運転者の注意力低下状況に応じて、自車両運転者に適切な警告行なうことができる。
【0061】
具体的には、SCコンピュータ21は、他車両との車間距離並びに当該他車両速度の監視結果、また、当該他車両と間の道路状況を監視し、WCコンピュータ22は、車間距離が所定距離以上で且つ他車両の速度が自車速度よりも遅い状態で当該他車両が急に減速すると、道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定することで、他車両運転者の注意力が低下していることを適切に判断できる。
更に、WCコンピュータ22は、上記条件に加えて、道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合は、更に急減速が発生した時点から遡及した一定時間内の他車両の速度変動を参照し、その速度変動が比較的小さい場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定するので、不要な急ブレーキ操作についての推定精度が向上する。
【0062】
また、SCコンピュータ21は、自車両後方側の照度を監視すると共に他車両の前照灯の点灯状態を画像により監視し、WCコンピュータ22は、他車両の前照灯の点消灯が前記照度に応じて適切に行なわれていないと推定される場合に、他車両の運転者の注意力低下を判断する。具体的には、照度が比較的低いのに他車両が前照灯を消灯させている場合、照度が比較的高いのに他車両が前照灯を点灯させている場合、照度が比較的高いのに前照灯を点灯させている他車両が四輪車の場合、照度が比較的高いのに前照灯を消灯させている他車両が二輪車の場合に、注意力低下を適切に判断できる。
更に、WCコンピュータ22は、他車両の前照灯の点灯状態に基き監視される当該車両の左右方向の重心と、当該車両の前部について画像に基き監視される同重心とが一致しない場合に、運転者の注意力低下を判断するので、四輪車の左右に配置されている前照灯の何れか一方が故障していると推定される場合に、その状態を放置したまま走行運転している運転者の注意力低下を判断できる。
【0063】
また、SCコンピュータ21は、他車両との車間距離並びに自車両後方側の道路勾配を監視し、WCコンピュータ22は、上記各監視結果に基づき他車両が適切に速度制御を行っていないと推定される場合に運転者の注意力低下を判断する。具体的には、車間距離が比較的狭く且つ道路勾配が水平又は下りの状況で自車速度が一定又は増加している場合、車間距離が拡がりつつあり且つ道路勾配が上りの状況で自車速度が一定又は減少している場合を不適切な速度制御であるとして、運転者の注意力低下を妥当に判断できる。
また、SCコンピュータ21は、他車両の速度と自車両後方側の死角領域及びその前方に車両が存在するか否かを監視し、WCコンピュータ22は、上記各監視結果に基づき他車両が死角領域に不要に滞留していると推定される場合に、他車両の運転者の注意力が低下していると判断する。具体的には、他車両が死角領域に入る際の速度が自車速度よりも速く、且つ他車両が自車両を追抜き可能な状態にある場合、またその条件に加え、他車両が死角領域に入る際の相対速度が比較的速い場合に、他車両が死角領域に不要に滞留していると推定するので、注意力の低下をより適切に判断できる。
【0064】
更に、WCコンピュータ22は、SCコンピュータ21による監視結果を監視時点から所定時間だけ保持し、その所定時間が経過した監視結果をクリアするので、注意力低下の判断を妥当に行うことができる。
加えて、WCコンピュータ22は、他車両運転者の注意力が低下していると判断すると、その判断元となった推定結果に応じた危険回避案を設定し、その回避案を自車両の運転車に提示するので、単に警告を行うだけでなく、具体的にどのようにして危険な状態を回避するのが適切であるかを情報提供して、自車両の運転支援に資することができる。
【0065】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
カメラ31〜33は、必要な視野を確保できる台数を設置すれば良い。
また、レーザレーダ34,ミリ波レーダ35は、何れか一方だけを使用しても良い。
図6〜図9における認識処理は、必要と思われるものを適宜選択して実行すれば良い。
図6において、ステップS5は削除しても良い。
図7において、ステップS18〜S20の処理は、必要に応じて行えば良い。
図9において、ステップS36は削除しても良い。
危険に応じた回避案の案内は、必要に応じて行えば良い。
必ずしもナビゲーション装置を利用して構成する必要は無く、運転支援装置として要求される機能のみを備えた専用の装置を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施例であり、運転支援装置を構成する主要な制御部の配置状態を示す図
【図2】ナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図
【図3】側後方監視センサコントロールコンピュータを中心とする構成を示す図
【図4】(a)はアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダの全体構成、(b)は送受信モジュールの内部構成を示す図
【図5】後続車両監視・警告コンピュータによって実現される機能のソフトウエア構成を示す図
【図6】センサコントロールコンピュータにより実行される、急ブレーキ開始認識処理の内容を示すフローチャート
【図7】同前照灯異常認識処理の内容を示すフローチャート
【図8】同勾配制御不良認識処理の内容を示すフローチャート
【図9】同死角滞留認識処理の内容を示すフローチャート
【図10】監視・警告コンピュータによって実行される、後続車両運転者危険度・危険種別判定処理を示すフローチャート
【図11】回避提案決定テーブルの一例を示す図
【符号の説明】
【0067】
図面中、21は側後方監視センサコントロールコンピュータ(監視手段)、22は後続車両監視・警告コンピュータ(注意力推定手段,警告手段)、23はナビゲーション装置(警告手段)、31〜33はカメラ(監視手段)、34はレーザレーダ(監視手段)、35はミリ波レーダ(監視手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方側に位置する他車両の走行状態を監視する監視手段と、
この監視手段により継続的に監視されている前記他車両の走行状態に基づいて、前記他車両を運転している運転者の注意力を推定する注意力推定手段と、
この注意力推定手段によって推定される前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断すると、自車両の運転者に警告を行なう警告手段とを備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記監視手段は、前記他車両との車間距離並びに当該他車両の速度を監視すると共に、当該他車両との間の道路状況を画像により監視し、
前記注意力推定手段は、上記の各監視結果に基づいて、後方車両の運転者が不要な急ブレーキ操作を行ったと推定される場合に、運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記注意力推定手段は、前記車間距離が所定距離以上で且つ前記他車両の速度が自車速度よりも遅い状態で当該他車両が急に減速した場合に、前記道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定することを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記注意力推定手段は、前記道路状況が急ブレーキ操作を要するものでなかった場合は、更に前記急減速が発生した時点から遡及した一定時間内の前記他車両の速度変動を参照し、その速度変動が比較的小さい場合に不要な急ブレーキ操作を行ったと推定することを特徴とする請求項3記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記監視手段は、前記自車両後方側の照度を監視すると共に、当該他車両の前照灯の点灯状態を画像により監視し、
前記注意力推定手段は、前記他車両の前照灯の点灯又は消灯が、前記照度に応じて適切に行なわれていないと推定される場合に、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記注意力推定手段は、前記照度が比較的低い場合に、前記他車両が前照灯を消灯させていれば、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項5記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記注意力推定手段は、前記照度が比較的高い場合に、前記他車両が前照灯を点灯させていれば、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項5又は6記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記注意力推定手段は、前記照度が比較的高い場合に前照灯を点灯させている他車両が四輪車であれば、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項7記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記注意力推定手段は、前記照度が比較的高い場合に前照灯を消灯させている他車両が二輪車であれば、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項7又は8記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記監視手段は、当該他車両の前照灯を含む前部を画像により監視し、
前記注意力推定手段は、前記他車両が前照灯を点灯させている場合、その点灯状態に基き監視される当該車両の左右方向の重心と、当該車両の前部を画像に基き監視される同重心とが一致しない場合に、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記監視手段は、前記他車両との車間距離並びに自車両後方側の道路勾配を監視し、
前記注意力推定手段は、上記各監視結果に基づいて、前記他車両が適切に速度制御を行っていないと推定される場合に、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記注意力推定手段は、前記車間距離が比較的狭く、且つ前記道路勾配が水平又は下りである場合に自車速度が一定又は増加していれば、前記他車両が適切に速度制御を行なっていないと推定することを特徴とする請求項11記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記注意力推定手段は、前記車間距離が拡がりつつあり、且つ前記道路勾配が上りである場合に自車速度が一定又は減少していれば、前記他車両が適切に速度制御を行っていないと推定することを特徴とする請求項11又は12記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記監視手段は、前記他車両の速度と、自車両後方側の死角領域に及びその前方に車両が存在するか否かを監視し、
前記注意力推定手段は、上記各監視結果に基づいて、前記他車両が前記死角領域に不要に滞留していると推定される場合に、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断することを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記注意力推定手段は、前記他車両が前記死角領域に入る際の速度が自車速度よりも速く、且つ、前記他車両が自車両を追抜き可能な状態にある場合に、前記他車両が前記死角領域に不要に滞留していると推定することを特徴とする請求項14記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記注意力推定手段は、上記の条件に加えて、前記他車両が前記死角領域に入る際の相対速度が比較的速い場合に、前記死角領域に不要に滞留していると推定することを特徴とする請求項15記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記注意力推定手段は、前記監視手段による監視結果を、当該結果を取得した時点から所定時間だけ保持し、前記所定時間が経過した監視結果はクリアすることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記警告手段は、前記他車両の運転者の注意力が低下していると判断すると、その判断元となった推定結果に応じた危険回避案を設定し、その回避案を自車両の運転車に提示することを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の運転支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−129772(P2008−129772A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312893(P2006−312893)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】