配信システム及びセンター装置
【課題】ユーザに有用なコンテンツ情報を配信するとともに、その配信量の削減を図る。
【解決手段】車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、前記センター装置は、サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と(ステップS22、S23、S28、S29)、を備える。
【解決手段】車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、前記センター装置は、サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と(ステップS22、S23、S28、S29)、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及びセンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている(例えば、特許文献1、2参照)。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、広告情報等の各種コンテンツ情報を配信するのである。
【特許文献1】特開2001−101578号公報
【特許文献2】特開2004−279509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、センター装置から配信されるコンテンツ情報は、車載器が路側無線装置と通信接続しているエリア周辺の情報に限られていた。そのため、車両がこれから向かう目的地や目的地までの経路付近の情報は得ることができず、有用な情報提供ができなかった。一方、車両の目的地や目的地までの経路付近の情報全てを、配信するコンテンツ情報に含めると、配信量が膨大となる。この場合、車載器において全てのコンテンツ情報を受信しきるまでのユーザの待機時間が長くなるため、利便性が損なわれる。
【0004】
本発明の課題は、ユーザに有用なコンテンツ情報を配信するとともに、その配信量の削減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明によれば、 車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、
前記センター装置は、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備える配信システムが提供される。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、
車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置において、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備えるセンター装置が提供される。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記車両の目的地及び/又は経由地の情報に基づいて、前記車両の予想される走行経路を算出し、当該走行経路から所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する請求項2に記載のセンター装置が提供される。
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、
前記情報提供地点の情報は、情報提供地点への車両の進入方向の情報を含み、
前記制御部は、前記算出された車両の走行経路に基づいて予想される車両の進入方向を判断し、前記記憶部から取得した情報提供地点の情報のうち、当該判断した車両の進入方向に一致する情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2又は3に記載のセンター装置が提供される。
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記記憶部から複数の情報提供地点の情報が取得された場合、この複数の情報提供地点のうち所定数の情報提供地点を選択し、当該選択した情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2〜4の何れか一項に記載のセンター装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の目的地等の付近の情報提供を行うことができ、ユーザに有用な情報を提供することが可能となる。また、車両の目的地等の付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、車両の目的地及び経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する例を説明する。
【0012】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成されている。路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続され、路側無線装置20と車両CとはDSRC通信が可能である。配信システム100では、センター装置30が路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツ情報を配信する。コンテンツ情報については後述する。
【0013】
以下、各構成装置について説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して路側無線装置20近傍に相互通信エリアZを形成する。この相互通信エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。
【0014】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20がそれぞれ形成する相互通信エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0015】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツ情報を車載器10に転送する。本体装置20aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータを適用することができる。なお、ここでは本体装置20aはセンター装置30と別体として説明したが、本体装置20aがセンター装置30の一部又は全部の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0016】
車載器10は、車両Cに搭載され、誘導経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electric Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、VICS(Vehicle Information and Communication System)モジュール2、DSRC部3、制御部4、無線通信部5を備えて構成されている。
【0017】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、DSRC部3のDSRC通信動作を制御する。なお、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。その他、センター装置30から受信したコンテンツ情報やVICSモジュール2を介して受信した交通情報等の保存、再生制御等を行う。
また、制御部4は、CPUのクロックを利用して計時が可能であり、内部タイマーとしての機能を有する。
【0018】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1fを備えて、車両Cを誘導経路へ誘導する等のナビゲーションに係る処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図DB(データベース)等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの誘導経路を算出する。そして、地図記憶部1cに記憶されている地図DBを用いて算出した誘導経路を含む地図画面を作成し、表示部1eにより表示させる。
【0019】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車両Cの加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行って車両Cの絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両Cの現在地を示す現在地の情報(緯度、経度等)を作成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0020】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図DB、駐車場DB、VICSモジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。地図DBは、表示用の地図画像、経路探索用の情報、施設や公園等の地点の情報等を含んでいる。地点の情報は、例えば地点の名称、緯度経度、住所、電話番号等である。駐車場DBは、各駐車場に個々に割り振られたID(以下、駐車場IDという)、駐車場名称、駐車場の位置する緯度経度、住所、駐車場の営業所等の電話番号、駐車場での車両制限(車幅や車高、重量等の制限)、駐車場の営業時間、料金、特典等を含んでいる。
【0021】
入力部1dは、操作キーや表示部1eのモニタと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を作成し、カーナビ制御部1aに出力する。
表示部1eはモニタを備え、制御部4やカーナビ制御部1aの表示制御に従って各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツ情報の表示画面等である。
【0022】
記憶部1fはメモリから構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
また、記憶部1fは車両情報を記憶している。車両情報は車両Cに関する情報であり、例えば車両Cの車幅、車高、重量、排気量等である。
また、記憶部1fはセンター装置30から受信したコンテンツ情報を記憶する。
【0023】
VICSモジュール2は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、VICSセンターと光通信、FM通信、電波通信を行う。VICSモジュール2はVICSセンターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。
【0024】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツ情報を受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、DSRC通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0025】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、DSRC通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツ情報を受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、DSRC通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、DSRC通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツ情報を受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0026】
DSRC通信部3bは、車両Cのダッシュボート上でフロントガラス近傍に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0027】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に情報を提供するために専用に設けられた記憶領域であり、アップリンク情報の他、車載器10の特性情報が記憶される。
【0028】
特性情報とは、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10に個々に割り振られたID(以下、車載器IDという)、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、対応可能な著作権管理技術、表示部1eのモニタの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、コンテンツ情報の蓄積可能記憶容量等の項目の情報が含まれる。
【0029】
アップリンク情報とは、センター装置30において配信するコンテンツ情報を選択するために用いる情報である。アップリンク情報には、図4にその一例を示すように、サービス事業者コード(ユーザがコンテンツ情報の配信について契約をしたサービス事業者を示すコード)、車両Cの目的地、経由地数識別フラグ、経由地、累計走行距離、嗜好情報バージョン、嗜好情報、会員情報の他、図4に図示されていないが車両Cの過去の立ち寄り地情報、コンテンツ情報の受信履歴、再生履歴等の情報が含まれている。アップリンク情報は、制御部4によってサービス事業者に応じた内容でサービス事業者毎に作成され、最新の内容となるように制御部4が常に更新を行っている。
【0030】
目的地の情報には、目的地の設定の有無を示す目的地有無識別フラグの他、カーナビ部1で設定された目的地の緯度、経度の情報が含まれる。
経由地数識別フラグは、カーナビ部1で設定された目的地までの誘導経路において経由する地点、つまり経由地の設定数を示すフラグである。アップリンク情報では、車両Cが走行した経由地を所定数、例えば5つまで設定することができる。
経由地の情報には、設定された5つの経由地1〜5につき、それぞれ経由地の緯度、経度等の情報が含まれる。
また、累計走行距離の情報には、DSRC部3のセットアップ(起動)時点から現在までの車両Cの累計走行距離の情報が含まれる。
【0031】
嗜好情報は、センター装置30においてユーザの嗜好に応じたコンテンツ情報を選択するのに用いる情報である。嗜好情報は、コンテンツ情報を分類する複数のカテゴリ毎にユーザが好むか好まないかを示す情報を含む。このカテゴリは、「暮らし」、「買い物」等のようにコンテンツ情報の分類を示すものであり、サービス事業者が任意に設定できるものである。
過去の立ち寄り地情報は、過去に車両Cが停車した(つまり車載器10の電源がON又はOFFされた)地点の緯度、経度の情報及び時刻情報等である。
【0032】
コンテンツ情報の受信履歴の情報は、受信したコンテンツ情報に付与されている情報コードの情報である。また、コンテンツ情報の再生履歴の情報は、受信したコンテンツ情報のうち、実際に表示部1eに表示される等して再生されたコンテンツ情報の情報コード等であり、さらに再生時の緯度経度情報や時刻情報等が含まれることもある。
【0033】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eとの間で情報のやりとりを仲介する。
【0034】
無線通信部5は、携帯電話等の無線通信デバイス40を用いるPDC(Personal Digital Cellular)、CDMA(Code Division Multiple Access)の他、WiMAX(World wide Interoperability for Microwave Access)等による無線通信が可能な通信モジュールを備えて、センター装置30と無線通信を行う。
なお、このような無線通信手段だけでなく、有線通信手段(例えば、PLC;Power Line Communication等)を備えてデータのやり取りを行ってもよい。
【0035】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、コンテンツ情報を記憶し、これを車載器10に配信する。なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、センター装置30はコンテンツ情報を配信するサービス事業者毎に備えられるものである。
図5に、センター装置30の機能的構成を示す。
図5に示すように、センター装置30は制御部31、入力部32、表示部33、記憶部34、通信部35を備えて構成されている。
【0036】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、記憶部34に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部を集中制御する。例えば、制御部31は車載器10に配信するコンテンツ情報の編成を行う。編成とは、コンテンツ情報をはじめから作り出すことの他、予めコンテンツ情報を構成するのに必要なパーツの情報を記憶しておき、パーツの情報を用いてコンテンツ情報を組み立てたり、予め作成して記憶しておいたコンテンツ情報を変更、一部削除したり、他の情報を追加したりすることも含む。
【0037】
入力部32はキーボード等を備えて操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部31に出力する。
表示部33はディスプレイを備え、制御部31の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0038】
記憶部34は、制御部31により実行されるプログラムの他、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。
ユーザはコンテンツ情報の配信サービスに加入する契約を行う際、会員登録を行うので、記憶部34はこの会員登録されたユーザの氏名、住所等の特定情報を会員データベースとして記憶する他、ユーザが所有する車載器10の車載器ID、ユーザの嗜好情報等の情報をユーザ毎にデータベース化して記憶する。
【0039】
また、記憶部34は配信すべきコンテンツ情報(或いはコンテンツ情報の作成に用いるパーツの情報)のデータベースを記憶している。センター装置30では、記憶部34に記憶されているデータベースからコンテンツ情報を取得し、必要であれば情報の削除、追加、変更等の編集を行って、配信するコンテンツ情報の編成を行う。配信するコンテンツ情報が複数ある場合には、その複数のコンテンツ情報をひとまとまりの配信グループとして車載器10に送信する。
【0040】
コンテンツ情報とは、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音情報)だけではなく、コンテンツを提供するサービス事業者の情報等の他の配信すべき情報を含めたひとまとまりの情報をいう。
コンテンツ情報は、ヘッダ部と、実情報部とから構成されている。実情報部にはコンテンツ情報の実体的な情報(以下、実情報という)が格納され、ヘッダ部には実情報に付加する情報が格納される。一例として、図6にヘッダ部のフォーマットを示し、図7に実情報部のフォーマットを示す。
【0041】
図6に示すように、ヘッダ部には情報コード、実情報量の情報が含まれる。ヘッダ部に格納される情報コードは各コンテンツ情報を識別できるように付される識別子である。この情報コードは実情報のID=02に含まれる情報コードと同じである。実情報量は実情報部に格納される全実情報の情報量をいう。
【0042】
図7に示すように、実情報部には、個々にIDが付された情報、例えば構成ID、事業者、情報提供、再生条件、有効期限、時間提供、対象地点、情報提供地点、遷移情報、駐車場情報、運転支援情報、嗜好情報等が含まれている。
【0043】
ID=00の構成IDの情報は、コンテンツ情報内に含まれる情報のIDの一覧を表す情報である。ID=00の構成IDを参照することによりコンテンツ情報内にどのIDの情報が含まれているかを判断することができる。
ID=01の事業者の情報は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えば事業者コード等を含む。
ID=02の情報提供はコンテンツ情報に関する詳細な情報であり、例えばサービス事業者が各コンテンツ情報に対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツ情報が属する嗜好情報のカテゴリ等を含む。このID=02に含まれる情報コードは、各コンテンツ情報を識別できるように付される識別子である。
【0044】
ID=03の再生条件はコンテンツ情報の再生条件に関する情報であり、例えば即時/蓄積コード等を含む。即時/蓄積コードとは受信完了後即時に再生するコンテンツであるか、受信したコンテンツ情報を相互通信エリアZ外でも利用可能なコンテンツとして蓄積するかを表す識別子である。
【0045】
ID=04の有効期限はコンテンツの再生についての有効期限を示す情報であり、有効期限の開始時期及び終了時期を示す日時で表される。
ID=05の時間提供は対象地点においてサービスを提供できる営業時間等の情報である。
【0046】
ID=10の対象地点の情報は、サービスの提供が可能な店舗や施設等の対象地点についての情報である。対象地点情報としては、例えば対象地点の位置(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、対象地点の説明や広告、お知らせ等の情報提供すべきコンテンツであるテキスト、画像、音声、対象地点の情報を無線通信により提供する際のURL、提携駐車場情報等からなる。提携駐車場情報とは、対象地点において提携指定されている駐車場に関する情報であり、例えば提携指定されている駐車場を示す駐車場IDの情報である。
【0047】
ID=20の情報提供地点の情報は、情報提供地点で再生させるコンテンツを含む。
図8を参照して、情報提供地点について説明する。
情報提供地点は、特定の場所で特定の方向から車両Cが進入した際に、特定のコンテンツ情報を再生する地点をいう。情報提供地点は図8に示すように指定された位置を中心とする円状の提供範囲で規定される。
ID=20の情報提供地点の情報は、この情報提供地点として指定された位置(緯度経度)、提供範囲、車両Cの進入方向を示す提供方向、情報提供地点で再生する画像、音声等からなる。
【0048】
情報提供地点で再生される画像や音声は、特定の対象地点についてのポップアップ通知に係るものである。蓄積したコンテンツ情報を利用者の情報検索以外の手段に自律的に適切な提供を行うことができる。
情報提供地点は、図8に示すように1つの対象地点について情報提供地点1、情報提供地点2と、複数設定することができるが、1つのID=20の情報提供地点の情報に含めることができる地点数には例えば5地点までと限りがある。
【0049】
ID=30の遷移情報は、複数のコンテンツ情報の画像(ID=10の対象地点情報の画像)を遷移させて表示する場合に用いる情報である。遷移情報は、次再生情報コードを含む。次再生情報コードとは、次の遷移先の画像のコンテンツ情報を示す情報コードである。
【0050】
ID=50の駐車場情報は、センター装置30において予め登録されている駐車場に関する情報である。駐車場情報は、例えばセンター装置30において予め登録されている駐車場の駐車場ID、満空情報の他、車両制限、予約可否、料金、特記事項等である。満空情報とは満車、空車の状況を示す情報をいう。また、特記事項には「雨よけ」等の情報を含ませることができるので、この特記事項の情報を参照することにより雨に濡れない駐車場等、ユーザの要望に応じた駐車場を選択することが可能となる。
【0051】
ID=60の運転支援情報は、駐車場の出入口付近や駐車場内の合流分岐、速度案内等、敷地内の運転に関して運転の補助となる情報である。運転支援情報は、例えば運転支援のための画像、当該コンテンツ情報を受信した際に情報の内容を発話することによりユーザに知らせるための音声案内を行うのに用いられる表音文字列、圧縮音声、音声の再生順の情報等である。
【0052】
ID=80の嗜好情報は、上述したように配信するコンテンツ情報の選択に用いる情報である。嗜好情報は、例えば嗜好情報のバージョン、そのバージョンで定められているカテゴリの名称を示す表示用テキスト、表音文字列、カテゴリの詳細情報等からなる。
【0053】
以上が、コンテンツ情報のフォーマットであるが、図6及び図7に示した各情報の全てが上記フォーマットに組み込まれて記憶部34に記憶されているわけではない。例えば、ヘッダ部の情報コードは送信時に追記される。また、実情報部のID=50の満空情報等はリアルタイムな情報提供を行うため、予め記憶はせずコンテンツ情報の送信時に取得した満空情報が追加される。
【0054】
通信部35は、路側無線装置20とDSRC通信又はその他の無線通信を行うための通信用インターフェイスを備え、制御部31の通信制御に従って通信処理を実行する。
【0055】
次に、動作について説明する。
図9を参照して、コンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の処理の流れを説明する。
図9に示すように、まず車両Cのエンジンが起動し、車載器10の電源が投入されると(ステップS1)、制御部4は車載器10の特性情報を作成し、記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに書き込む(ステップS2)。特性情報は、制御部4が表示部1eや記憶部1f等の各部に問い合わせるか、或いは予め記憶部1fに記憶されている情報を読み出す等して取得し、アップリンク情報記憶領域Mの対応する領域に書き込む。なお、実際には書込を指示する制御情報をDSRC制御部3aに出力し、このDSRC制御部3aがアップリンク情報記憶領域Mに書き込む。
【0056】
その後、車両Cが走行を開始、路側無線装置20の相互通信エリアZに進入すると(エリアイン)、路側無線装置20は車両Cを検出し、車載器10のDSRC部3とDSRC通信による接続処理を開始する(ステップS3a、S3b)。すなわち、路側無線装置20からDSRCの電波を送出し、車載器10からの応答が得られると、通信路を確立する。通信路を確立すると、路側無線装置20はセンター装置30に対し接続が完了した旨の通知情報を送信する(ステップS4a)。一方、車載器10のDSRC部3は制御部4に対し接続が完了した旨の通知情報を出力する(ステップS4b)。なお、DSRC接続時には、車載器10の記憶部3c等に記憶されている車載器10を識別するための車載器IDがセンター装置30に対して送信されている。
【0057】
次いで、路側無線装置20が車載器10のDSRC部3に対し、特性情報の送信要求を行うと、DSRC部3は記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに書き込まれている特性情報を路側無線装置20に送信する(ステップS5)。特性情報は路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される。
【0058】
センター装置30は、受信した特性情報に含まれる車載器IDを元に車載器10のユーザが配信サービスの会員か否かの認証を行った後、デフォルトのコンテンツ情報を車載器10に送信する(ステップS6)。デフォルトのコンテンツ情報とは会員向けのウェルカム画面であったり、非会員にも提供される電車の遅延情報、納税通知情報等の公共の広告情報等の一般向けの内容の情報である。認証は会員データベースに登録されている車載器IDと一致するかどうかで判断し、会員であると認証された場合にはデフォルトのコンテンツ情報に加えて配信事業者の事業者コードの通知情報を車載器10に送信する。車載器10ではデフォルトのコンテンツ情報が記憶部1fに保存される。
【0059】
車載器10では、路側無線装置20を介して事業者コードの通知情報が受信されると、車載器10の制御部4は記憶部1fに記憶されているアップリンク情報に含まれる事業者コードと、通知された事業者コードとを照合し、一致する場合には正規の配信事業者であると判断し、制御部4は当該事業者コードに対応するアップリンク情報を記憶部1fから読み出してアップリンク情報記憶領域Mに書き込む(ステップS7)。前述のようにアップリンク情報は各配信事業者に応じて制御部4が作成し、更新を行っているので、配信事業者に応じた内容かつ最新の内容となっている。なお、照合した事業者コードが一致しない場合にはアップリンク情報の書込は行わずに処理を終了する。
【0060】
センター装置30は、デフォルトのコンテンツ情報を送信後、車載器10に対し定期的にポーリングを行って(ステップS8)、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれたアップリンク情報を要求する。
車載器10のDSRC部3は、センター装置30からのポーリングに応じてアップリンク情報記憶領域Mに記憶されているアップリンク情報を、路側無線装置20を介してセンター装置30に送信する(ステップS9)。
【0061】
センター装置30は、アップリンク情報を受信すると、当該アップリンク情報及び先に受信している特性情報に基づいて、車載器10に配信するコンテンツ情報を編成する(ステップS10)。このコンテンツ情報の編成処理については後述する。
次いで、センター装置30は編成したコンテンツ情報を車載器10に送信する(ステップS11)。車載器10は受信を終了したコンテンツ情報を記憶部1fに保存する(ステップS12)。
【0062】
センター装置30では、配信すべきコンテンツ情報を全て配信すると配信終了を通知するコンテンツ情報を制御部31が作成して車載器10に送信する(ステップS13)。この配信終了のコンテンツ情報はユーザに対しエリアアウトを促す画像等を含むものであり、車載器10は受信したコンテンツ情報を再生して画像の表示等を行う。その後、一定時間路側無線装置20との通信が途絶えると、車載器10の制御部4は配信を終了したと判断する。
【0063】
次に、図10を参照して、センター装置30が実行するコンテンツ情報の編成処理(図9のステップS10)について説明する。
図10に示すように、センター装置30の制御部31は車載器10から取得したアップリンク情報から目的地の情報を取得し、目的地の位置(緯度、経度)を判断する(ステップS21)。次いで、目的地から所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報を記憶部34から取得する(ステップS22)。
【0064】
コンテンツ情報の作成例を、図11を参照して説明する。図11は、記憶部34に記憶されているコンテンツ情報のデータベース(以下、DB341という)から、ID=10の対象地点情報、ID=20の情報提供地点情報の情報部分を抽出して示した図である。
図11に示すように、DB341には、ある対象地点とその対象地点について設定されている情報提供地点の関係毎にNo.1〜5のコンテンツ情報が作成され、記憶されている。例えば、No.1で示すコンテンツ情報では、対象地点「○×センター」に対して2つの情報提供地点1、2が設定されており、「○×センター」の対象地点情報(ID=10)と各情報提供地点1、2の情報提供地点情報(ID=20)が組み合わせて記憶されている。
【0065】
ID=10の対象地点情報、ID=20の情報提供地点情報の内容は、図7を参照して説明した通りである。すなわち、ID=10の対象地点情報には、図11に示すように対象地点の位置を示す緯度、経度、コンテンツ情報の再生時に表示される対象地点表示テキスト、提携駐車場として設定された3つの駐車場1〜3についての駐車場コード、コンテンツであるテキスト、画像、表音文字、圧縮音声、動画等が含まれている。
ID=20の情報提供地点情報には、図11に示すように1つの対象地点について設定された各情報提供地点1〜5について、情報提供地点の位置を示す緯度、経度、提供範囲(情報提供地点の位置からの半径で示す)、提供方向(車両Cの情報提供地点への進入方向)、コンテンツである画像、表音文字、圧縮音声等が含まれている。
【0066】
例えば、前記所定範囲が3kmである場合、DB341(図11参照)の情報提供地点情報(ID=20)に設定されている各情報提供地点1〜5の緯度、経度を参照し、目的地の緯度、経度で示される位置から3kmの範囲内に位置する情報提供地点1〜5を検索する。ここで、No.2の情報提供地点1と、No.5の情報提供地点5が検索された場合、制御部31はNo.2及びNo.5の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。なお、情報提供地点情報は、検索されなかった他の情報提供地点1〜5の情報も含んだそのままの状態でコンテンツ情報を取得する。
【0067】
同様に、制御部31は目的地から所定範囲内に対象地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS23)。例えば、所定範囲を3kmとした場合、目的地の緯度、経度で示される位置から3kmの範囲内に位置する対象地点をDB341(図11参照)において検索する。ここで、No.1の対象地点が検索された場合、制御部31はNo.1の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。
【0068】
次いで、制御部31はアップリンク情報の経由地数識別フラグを参照し、経由地の有無を判断する(ステップS24)。経由地数識別フラグが0である場合、経由地が無いと判断し(ステップS24;無)、ステップS32の処理へ移行する。一方、経由地識別フラグが1以上である場合、経由地が有ると判断し(ステップS24;有)、経由地識別フラグの数値から経由地の設定数を取得する(ステップS25)。取得した設定数はkで表す。
【0069】
制御部31は、参照する経由地の番号をnとすると、nを初期値1に設定する(ステップS26)。そして、アップリンク情報からn番目の経由地nの情報を取得する(ステップS27)。最初は、n=1に設定されているので、経由地1の情報を取得する。
【0070】
制御部31は、取得した経由地nの情報から経由地nの位置(緯度、経度)を判断する。そして、この経由地nから所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS28)。次いで、経由地nから所定範囲内に対象地点が存在する対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS29)。DB341からのコンテンツ情報の具体的な取得方法は、上述した目的地の場合と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0071】
その後、制御部31はnを+1インクリメントし、インクリメント後のnについて経由地の設定数kを超えたか否かを判断する(ステップS31)。設定数kを超えていない場合(ステップS31;N)、ステップS27の処理へ戻り、そのn番目の経由地nについてステップS27〜S31の処理を繰り返す。すなわち、設定されている全ての経由地nについて、経由地n付近の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報を取得する処理を行う。
【0072】
一方、nが設定数kを超えた場合(ステップS31;Y)、制御部31は特性情報及びアップリンク情報に基づくコンテンツ情報の編成を行う(ステップS32)。ここでの編成は、DB341に基づいて作成したコンテンツ情報のうち配信するコンテンツ情報を選択して絞り込むことや、新たに配信するコンテンツ情報を編成することを含む。例えば、特性情報において「日本語」の言語が指定されている場合、DB341から取得した対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を用いて作成したコンテンツ情報のうち、日本語対応のものを選択する。
【0073】
また、上記目的地や経由地に関係なく、新たにコンテンツ情報を編成することもできる。例えば、アップリンク情報に含まれる嗜好情報に基づいてコンテンツ情報の編成を行う。コンテンツ情報には、他のコンテンツ情報と関連して再生するものがあり、この場合は他のコンテンツ情報と階層構造を形成する。例えば、「エンターテイメント」のカテゴリのコンテンツ情報を頂点として、「映画」、「音楽」、「ゲーム」等のカテゴリのコンテンツ情報が従属し、「映画」のカテゴリにはさらに「邦画」、「洋画」、「アニメ」等のカテゴリのコンテンツ情報が従属している。よって、アップリンク情報に含まれる嗜好情報カテゴリが「洋画」である場合には、上記の階層構造のうち「エンターテイメント」、「映画」、「洋画」のカテゴリのコンテンツ情報を選択して記憶部34から取得する。
なお、新たにコンテンツ情報を編成する場合は、路側無線装置20の通信エリアZ付近に対象地点又は情報提供地点が位置するもの等、ある一定範囲内に存在するコンテンツ情報のみ配信対象とすればよい。
【0074】
このようにして、配信するコンテンツ情報が準備されると、図9に示すステップS11に移行し、これらコンテンツ情報が1つの配信グループとして車載器10に送信される。
図12に、送信されるコンテンツ情報の例を示す。
例えば、上述したコンテンツ情報の編成処理において、DB341からNo.1、2、5のコンテンツ情報が取得された場合、送信時には、図12に示すようにNo.1の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報c1を先頭として、No.2、No.5に係るコンテンツ情報c2、c3、さらに他にも嗜好情報等によって編成されたコンテンツ情報がある場合には、当該コンテンツ情報も加えてこれらコンテンツ情報c1〜cnが1つの配信グループとして順次送信されることとなる。
【0075】
以上のように、第1実施形態によれば、センター装置30では、ID=10の対象地点情報及びID=20の情報提供地点情報を含むコンテンツ情報を記憶部34のDB341に記憶し、車載器10からのアップリンク情報によって取得した車両Cの目的地及び経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報(ID=10、20)を含むコンテンツ情報を、制御部31がDB341から取得し、車載器10に送信する。これにより、車両Cの目的地、経由地付近の対象地点、情報提供地点について情報提供を行うことができ、ユーザにとって有用な情報を提供することが可能となる。また、車両Cの目的地、経由地付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【0076】
なお、コンテンツ情報には、ID=10の対象地点情報を含まないものもある。このようなコンテンツ情報も配信対象から除外しないようにするため、図13に示すように、コンテンツ情報の編成処理において、コンテンツ情報が対象地点情報を含むか否かを判断するステップS61等を追加することとしてもよい。なお、図13において、追加したステップS61、S62以外は図10に示したコンテンツ編成処理の各ステップと同一であるので、同一の符号を付している。
【0077】
すなわち、ステップS61では制御部31がDB341内の各コンテンツ情報について、ID=10の対象地点情報の対象地点位置を含むか否かを判断する。対象地点情報を含むコンテンツ情報については(ステップS61;Y)、ステップS22の処理に移行してID=10の対象地点情報を含むコンテンツ情報の取得を行う。一方、対象地点情報を含まないコンテンツ情報については(ステップS61;N)、制御部31は特性情報、嗜好情報等に基づき、ID=10の対象地点位置を含まないコンテンツ情報のうち、配信するコンテンツ情報を選択し、絞り込みを行う(ステップS62)。例えば、嗜好カテゴリが「映画」である場合、対象地点情報を含まないコンテンツ情報のうち、「映画」のカテゴリに属するコンテンツ情報を選択して、DB341から取得する。同様にS31でYESと判定された場合のコンテンツ情報の絞込みを行う(ステップS62)。制御部31は対象地点位置を含まないコンテンツ情報とID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報で、目的地や経由地から所定範囲内に位置するID=10、20の情報を含むコンテンツ情報とを、特性情報や嗜好情報等に基づいて絞り込んだ情報の両方をあわせて、1つの配信グループとして配信する。
【0078】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、車両の走行経路から所定範囲内に位置する、対象地点及び情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する例を説明する。
【0079】
第2実施形態に係る配信システム及びセンター装置は、第1実施形態に係る配信システム100及びセンター装置30と同一構成であり、コンテンツ情報の編成処理の内容が異なるのみである。よって、同一構成部分には同一の符号を付して図示及びその説明を省略し、異なる動作部分であるコンテンツ情報の編成処理についてのみ説明を行う。
【0080】
なお、第2実施形態において、センター装置30では制御部31がカーナビ制御部1aと同様に経路の探索機能を有し、車両Cの走行経路の探索処理を実行することができる。すなわち、記憶部34は地図DBを記憶しており、制御部31は当該地図DBを用いて目的地までの走行経路を算出する。
【0081】
図14は、第2実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
図14に示すように、センター装置30ではまず制御部31によりアップリンク情報から目的地の情報を取得する(ステップS41)。次いで、制御部31は制御部31はアップリンク情報の経由地数識別フラグを参照し、経由地の有無を判断する(ステップS42)。経由地数識別フラグが0である場合、経由地が無いと判断し(ステップS42;無)、ステップS51の処理へ移行する。
【0082】
一方、経由地数識別フラグが1以上である場合、経由地が有ると判断し(ステップS42;有)、経由地数識別フラグの数値から経由地の設定数を取得する(ステップS43)。取得した設定数はkで表す。次いで、制御部31は参照する経由地の番号をnとすると、nを初期値1に設定する(ステップS44)。制御部31はアップリンク情報からn番目の経由地nの情報を取得する(ステップS45)。最初は、n=1に設定されているので、1番目の経由地1の情報を取得する。
【0083】
経由地nの情報を取得後、制御部31はnを+1インクリメントし(ステップS46)、インクリメント後のnについて経由地の設定数kを超えたかどうかを判断する(ステップS47)。超えていない場合(ステップS47;N)、ステップS45に戻ってステップS45〜S47の処理を繰り返す。これにより、全ての経由地nの情報を取得する。
【0084】
nが設定数kを超えた場合(ステップS47;Y)、取得した目的地、経由地nの位置(緯度、経度)から、車両Cについて予想される走行経路の探索処理を行う(ステップS48)。探索処理において算出する経路は、例えば主要幹線道路を中心とする走行経路、走行時間が最短となる走行経路、有料道路を含む走行経路等、1つだけでなく複数あってもよい。主要幹線道路や有料道路を含む走行経路の場合、主要幹線道路近辺に存在する対象地点や、サービスエリアの対象地点の情報をより多く情報提供できるし、走行時間が最短となる走行経路の場合、車両Cが走行する可能性が高いため、提供した情報が利用されやすくなる。
【0085】
走行経路が探索されると、制御部31は探索された走行経路から所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS49)。同様に、制御部31は探索された走行経路から所定範囲内に対象地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS50)。DB341からのコンテンツ情報の取得方法は第1実施形態で説明したのと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0086】
その後、制御部31は特性情報及びアップリンク情報に基づくコンテンツ情報の編成を行う(ステップS51)。この処理は、第1実施形態で説明した図10のステップS32と同様の処理である。
このようにして、配信するコンテンツ情報が準備されると、図9に示すステップS11に移行し、これらコンテンツ情報が1つの配信グループとして車載器10に送信される。
【0087】
以上のように、第2実施形態によれば、センター装置30では、ID=10の対象地点情報及びID=20の情報提供地点情報を含むコンテンツ情報を記憶部34のDB341に記憶し、制御部31が車両Cからのアップリンク情報によって取得した目的地、経由地の情報に基づいて車両Cの予想される走行経路を算出する。そして、この走行経路から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報(ID=10、20)を含むコンテンツ情報を、制御部31がDB341から取得する。そして、取得したコンテンツ情報を車載器10に送信する。
【0088】
これにより、車両Cが走行する経路付近の対象地点、情報提供地点について情報提供を行うことができ、ユーザに有用な情報の情報提供が可能となる。また、車両Cが走行する経路付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【0089】
第2実施形態においても、ID =10の対象地点情報を含まないコンテンツ情報が配信対象から除外されないようにするためには、図15に示すようにコンテンツ情報の編成処理においてコンテンツ情報がID =10の対象地点情報を含むか否かを判断するステップS71等を追加すればよい。図15のステップS71、S72以外の他のステップは、図14に示したステップと同一であるので同一の符号を付している。
【0090】
ステップS71では、制御部31がDB341内の各コンテンツ情報について、ID=10の対象地点情報の対象地点位置を含むか否かを判断する。そして、対象地点情報が含むコンテンツ情報については(ステップS71;Y)、ステップS49の処理に移行してID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報の取得を行う。一方、対象地点位置を含まないコンテンツ情報については(ステップS71;N)、制御部31は特性情報、嗜好情報等に基づき、ID=10の対象地点位置を含まないコンテンツ情報のうち、配信するコンテンツ情報を選択し、絞り込みを行う(ステップS72)。例えば、嗜好カテゴリが「映画」である場合、対象地点情報を含まないコンテンツ情報のうち、「映画」のカテゴリに属するコンテンツ情報を選択して、DB341から取得する。同様にS50でYESと判定された場合のコンテンツ情報の絞込みを行う(ステップS72)。制御部31は対象地点位置を含まないコンテンツ情報とID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報で、探索した経路から所定範囲内に位置するID=10、20の情報を含むコンテンツ情報とを、特性情報や嗜好情報等に基づいて絞り込んだ情報の両方をあわせて、1つの配信グループとして配信する。
【0091】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、第1実施形態と第2実施形態と組み合わせて、車両の目的地、経由地、走行経路の全て又はそのうちの1つ以上について、所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点を判断することとしてもよい。
【0092】
また、DB341から取得したコンテンツ情報の情報提供地点情報(ID=20)に複数の情報提供地点が含まれ、その中に目的地、経由地或いは探索された走行経路から所定範囲内に位置すると判断されなかった情報提供地点が含まれる場合、当該情報提供地点の情報を削除してコンテンツ情報を作成することとしてもよい。例えば、図11に示すNo.1のコンテンツ情報において、情報提供地点1は所定範囲内と判断されたが、情報提供地点2は所定範囲外と判断された場合、情報提供地点1の情報のみを情報提供地点(ID=20)とするコンテンツ情報を作成する(図10、図13のステップS22、S23、S28、S29、図14、図15のステップS49、S50において作成する)。
これにより、ユーザに不要と予測される情報を削除して配信する情報量の削減を図ることができる。
【0093】
また、1つの情報提供地点情報(ID=20)に含められる情報提供地点の地点数には限りがあるが、図16に示すように、DB341において同じ内容の対象地点情報に係るコンテンツ情報を、No.5、6と複数用意し、各No.5、6に異なる位置の情報提供地点1〜5をそれぞれ設定することにより、1つの対象地点について設定できる情報提供地点を実質的に増加させることも可能である。なお、図16の例では、No.5とNo.6のコンテンツ情報で対象地点の情報に全く同じ情報を有しているが、少なくとも対象地点の位置(緯度、経度)、対象地点表示テキスト等の対象地点を識別できる情報があれば、テキストや画像等の他の情報を重複して備える必要はない。
【0094】
また、DB341に情報提供地点が複数設定されている場合、コンテンツ情報に含める情報提供地点の情報を絞り込むこととしてもよい。絞り込みの方法としては、予めDB341において情報提供地点1〜5に優先順位を定めておき、この優先順位の高いものから順に所定数だけ情報提供地点を選択することが挙げられる。また、対象地点に位置が近いものから優先的に選択する方法でもよい。
【0095】
上述した図16に示す例を用いて具体例を説明する。図16に示す例では、1つの対象地点に対しNo.5では5地点、No.6では2地点で、合計7つの情報提供地点が設定されている。対象地点に位置が近いものから優先的に4つの情報提供地点を選択する場合、7点のうち対象地点に位置が近いNo.5の情報提供地点1、2、No.6の情報提供地点1、2を選択する。そして、選択した情報提供地点のみをID=20の情報提供地点情報とするコンテンツ情報を作成する(図10、図13のステップS22、S23、S28、S29、図14、図15のステップS49、S50において作成する)。
このように、ユーザにとって有用な情報をさらに選択して他は削除することにより、配信する情報量の削減を図ることができる。
【0096】
また、ID=20の情報提供地点情報には、車両Cの進入方向の情報が含まれているので、この進入方向も考慮してコンテンツ情報に含める情報提供地点を絞り込むこととしてもよい。具体的には、車載器10から取得した目的地、経由地の情報に基づいて車両Cの予想される走行経路の探索処理を行う。そして、探索処理によって算出された走行経路にから所定範囲内に対象地点、情報提供地点が位置する対象地点情報、情報提供地点情報を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。
【0097】
例えば、図11に示すDB341においてNo.4のコンテンツ情報の情報提供地点1が検索されたとする。このとき、取得されたコンテンツ情報には、検索された情報提供地点1以外の情報提供地点2〜5の情報も含まれる。この情報提供地点2〜5が図17に示すように位置し、図14のステップS48に示すように制御部31によって車両Cの走行経路が走行経路1、2と2つ算出されている場合、算出された走行経路1、2と各情報提供地点1〜5を照合した結果、情報提供地点1、2の提供方向は走行経路上での車両Cの進行方向と一致するが、他の情報提供地点3〜5は一致しない。よって、情報提供地点3〜5の情報は削除して、情報提供地点1、2の情報のみをID=20の情報提供地点情報とするコンテンツ情報を作成する。これによれば、車両Cが走行する可能性の高い情報提供地点についてのみ情報提供を行うことができ、ユーザにとって有用な情報提供を行うとともに配信量の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の相互通信エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】アップリンク情報の一例である。
【図5】図1のセンター装置の機能的構成を示す図である。
【図6】コンテンツ情報のヘッダ部の一例である。
【図7】コンテンツ情報の実情報部の一例である。
【図8】対象地点、情報提供地点について説明する図である。
【図9】配信システムにおいて、コンテンツ情報を配信する際の処理の流れを示す図である。
【図10】第1実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
【図11】コンテンツ情報のDBの一例である。
【図12】配信するコンテンツ情報の配信グループを説明する図である。
【図13】他のコンテンツ情報の編成処理例を説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
【図15】他のコンテンツ情報の編成処理例を説明するフローチャートである。
【図16】情報提供地点を増やす場合のDB例を示す図である。
【図17】走行経路と情報提供地点への車両の進入方向との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1a カーナビ制御部
1e 表示部
1f 記憶部
3 DSRC部
3b DSRC通信部
3c 記憶部
5 無線通信部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
20 路側無線装置
30 センター装置
31 制御部
34 記憶部
341 DB
35 通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及びセンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている(例えば、特許文献1、2参照)。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、広告情報等の各種コンテンツ情報を配信するのである。
【特許文献1】特開2001−101578号公報
【特許文献2】特開2004−279509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、センター装置から配信されるコンテンツ情報は、車載器が路側無線装置と通信接続しているエリア周辺の情報に限られていた。そのため、車両がこれから向かう目的地や目的地までの経路付近の情報は得ることができず、有用な情報提供ができなかった。一方、車両の目的地や目的地までの経路付近の情報全てを、配信するコンテンツ情報に含めると、配信量が膨大となる。この場合、車載器において全てのコンテンツ情報を受信しきるまでのユーザの待機時間が長くなるため、利便性が損なわれる。
【0004】
本発明の課題は、ユーザに有用なコンテンツ情報を配信するとともに、その配信量の削減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明によれば、 車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、
前記センター装置は、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備える配信システムが提供される。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、
車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置において、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備えるセンター装置が提供される。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記車両の目的地及び/又は経由地の情報に基づいて、前記車両の予想される走行経路を算出し、当該走行経路から所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する請求項2に記載のセンター装置が提供される。
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、
前記情報提供地点の情報は、情報提供地点への車両の進入方向の情報を含み、
前記制御部は、前記算出された車両の走行経路に基づいて予想される車両の進入方向を判断し、前記記憶部から取得した情報提供地点の情報のうち、当該判断した車両の進入方向に一致する情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2又は3に記載のセンター装置が提供される。
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記記憶部から複数の情報提供地点の情報が取得された場合、この複数の情報提供地点のうち所定数の情報提供地点を選択し、当該選択した情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2〜4の何れか一項に記載のセンター装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の目的地等の付近の情報提供を行うことができ、ユーザに有用な情報を提供することが可能となる。また、車両の目的地等の付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、車両の目的地及び経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する例を説明する。
【0012】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成されている。路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続され、路側無線装置20と車両CとはDSRC通信が可能である。配信システム100では、センター装置30が路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツ情報を配信する。コンテンツ情報については後述する。
【0013】
以下、各構成装置について説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して路側無線装置20近傍に相互通信エリアZを形成する。この相互通信エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。
【0014】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20がそれぞれ形成する相互通信エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0015】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツ情報を車載器10に転送する。本体装置20aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータを適用することができる。なお、ここでは本体装置20aはセンター装置30と別体として説明したが、本体装置20aがセンター装置30の一部又は全部の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0016】
車載器10は、車両Cに搭載され、誘導経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electric Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、VICS(Vehicle Information and Communication System)モジュール2、DSRC部3、制御部4、無線通信部5を備えて構成されている。
【0017】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、DSRC部3のDSRC通信動作を制御する。なお、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。その他、センター装置30から受信したコンテンツ情報やVICSモジュール2を介して受信した交通情報等の保存、再生制御等を行う。
また、制御部4は、CPUのクロックを利用して計時が可能であり、内部タイマーとしての機能を有する。
【0018】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1fを備えて、車両Cを誘導経路へ誘導する等のナビゲーションに係る処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図DB(データベース)等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの誘導経路を算出する。そして、地図記憶部1cに記憶されている地図DBを用いて算出した誘導経路を含む地図画面を作成し、表示部1eにより表示させる。
【0019】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車両Cの加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行って車両Cの絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両Cの現在地を示す現在地の情報(緯度、経度等)を作成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0020】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図DB、駐車場DB、VICSモジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。地図DBは、表示用の地図画像、経路探索用の情報、施設や公園等の地点の情報等を含んでいる。地点の情報は、例えば地点の名称、緯度経度、住所、電話番号等である。駐車場DBは、各駐車場に個々に割り振られたID(以下、駐車場IDという)、駐車場名称、駐車場の位置する緯度経度、住所、駐車場の営業所等の電話番号、駐車場での車両制限(車幅や車高、重量等の制限)、駐車場の営業時間、料金、特典等を含んでいる。
【0021】
入力部1dは、操作キーや表示部1eのモニタと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を作成し、カーナビ制御部1aに出力する。
表示部1eはモニタを備え、制御部4やカーナビ制御部1aの表示制御に従って各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツ情報の表示画面等である。
【0022】
記憶部1fはメモリから構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
また、記憶部1fは車両情報を記憶している。車両情報は車両Cに関する情報であり、例えば車両Cの車幅、車高、重量、排気量等である。
また、記憶部1fはセンター装置30から受信したコンテンツ情報を記憶する。
【0023】
VICSモジュール2は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、VICSセンターと光通信、FM通信、電波通信を行う。VICSモジュール2はVICSセンターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。
【0024】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツ情報を受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、DSRC通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0025】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、DSRC通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツ情報を受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、DSRC通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、DSRC通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツ情報を受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0026】
DSRC通信部3bは、車両Cのダッシュボート上でフロントガラス近傍に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0027】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に情報を提供するために専用に設けられた記憶領域であり、アップリンク情報の他、車載器10の特性情報が記憶される。
【0028】
特性情報とは、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10に個々に割り振られたID(以下、車載器IDという)、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、対応可能な著作権管理技術、表示部1eのモニタの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、コンテンツ情報の蓄積可能記憶容量等の項目の情報が含まれる。
【0029】
アップリンク情報とは、センター装置30において配信するコンテンツ情報を選択するために用いる情報である。アップリンク情報には、図4にその一例を示すように、サービス事業者コード(ユーザがコンテンツ情報の配信について契約をしたサービス事業者を示すコード)、車両Cの目的地、経由地数識別フラグ、経由地、累計走行距離、嗜好情報バージョン、嗜好情報、会員情報の他、図4に図示されていないが車両Cの過去の立ち寄り地情報、コンテンツ情報の受信履歴、再生履歴等の情報が含まれている。アップリンク情報は、制御部4によってサービス事業者に応じた内容でサービス事業者毎に作成され、最新の内容となるように制御部4が常に更新を行っている。
【0030】
目的地の情報には、目的地の設定の有無を示す目的地有無識別フラグの他、カーナビ部1で設定された目的地の緯度、経度の情報が含まれる。
経由地数識別フラグは、カーナビ部1で設定された目的地までの誘導経路において経由する地点、つまり経由地の設定数を示すフラグである。アップリンク情報では、車両Cが走行した経由地を所定数、例えば5つまで設定することができる。
経由地の情報には、設定された5つの経由地1〜5につき、それぞれ経由地の緯度、経度等の情報が含まれる。
また、累計走行距離の情報には、DSRC部3のセットアップ(起動)時点から現在までの車両Cの累計走行距離の情報が含まれる。
【0031】
嗜好情報は、センター装置30においてユーザの嗜好に応じたコンテンツ情報を選択するのに用いる情報である。嗜好情報は、コンテンツ情報を分類する複数のカテゴリ毎にユーザが好むか好まないかを示す情報を含む。このカテゴリは、「暮らし」、「買い物」等のようにコンテンツ情報の分類を示すものであり、サービス事業者が任意に設定できるものである。
過去の立ち寄り地情報は、過去に車両Cが停車した(つまり車載器10の電源がON又はOFFされた)地点の緯度、経度の情報及び時刻情報等である。
【0032】
コンテンツ情報の受信履歴の情報は、受信したコンテンツ情報に付与されている情報コードの情報である。また、コンテンツ情報の再生履歴の情報は、受信したコンテンツ情報のうち、実際に表示部1eに表示される等して再生されたコンテンツ情報の情報コード等であり、さらに再生時の緯度経度情報や時刻情報等が含まれることもある。
【0033】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eとの間で情報のやりとりを仲介する。
【0034】
無線通信部5は、携帯電話等の無線通信デバイス40を用いるPDC(Personal Digital Cellular)、CDMA(Code Division Multiple Access)の他、WiMAX(World wide Interoperability for Microwave Access)等による無線通信が可能な通信モジュールを備えて、センター装置30と無線通信を行う。
なお、このような無線通信手段だけでなく、有線通信手段(例えば、PLC;Power Line Communication等)を備えてデータのやり取りを行ってもよい。
【0035】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、コンテンツ情報を記憶し、これを車載器10に配信する。なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、センター装置30はコンテンツ情報を配信するサービス事業者毎に備えられるものである。
図5に、センター装置30の機能的構成を示す。
図5に示すように、センター装置30は制御部31、入力部32、表示部33、記憶部34、通信部35を備えて構成されている。
【0036】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、記憶部34に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部を集中制御する。例えば、制御部31は車載器10に配信するコンテンツ情報の編成を行う。編成とは、コンテンツ情報をはじめから作り出すことの他、予めコンテンツ情報を構成するのに必要なパーツの情報を記憶しておき、パーツの情報を用いてコンテンツ情報を組み立てたり、予め作成して記憶しておいたコンテンツ情報を変更、一部削除したり、他の情報を追加したりすることも含む。
【0037】
入力部32はキーボード等を備えて操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部31に出力する。
表示部33はディスプレイを備え、制御部31の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0038】
記憶部34は、制御部31により実行されるプログラムの他、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。
ユーザはコンテンツ情報の配信サービスに加入する契約を行う際、会員登録を行うので、記憶部34はこの会員登録されたユーザの氏名、住所等の特定情報を会員データベースとして記憶する他、ユーザが所有する車載器10の車載器ID、ユーザの嗜好情報等の情報をユーザ毎にデータベース化して記憶する。
【0039】
また、記憶部34は配信すべきコンテンツ情報(或いはコンテンツ情報の作成に用いるパーツの情報)のデータベースを記憶している。センター装置30では、記憶部34に記憶されているデータベースからコンテンツ情報を取得し、必要であれば情報の削除、追加、変更等の編集を行って、配信するコンテンツ情報の編成を行う。配信するコンテンツ情報が複数ある場合には、その複数のコンテンツ情報をひとまとまりの配信グループとして車載器10に送信する。
【0040】
コンテンツ情報とは、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音情報)だけではなく、コンテンツを提供するサービス事業者の情報等の他の配信すべき情報を含めたひとまとまりの情報をいう。
コンテンツ情報は、ヘッダ部と、実情報部とから構成されている。実情報部にはコンテンツ情報の実体的な情報(以下、実情報という)が格納され、ヘッダ部には実情報に付加する情報が格納される。一例として、図6にヘッダ部のフォーマットを示し、図7に実情報部のフォーマットを示す。
【0041】
図6に示すように、ヘッダ部には情報コード、実情報量の情報が含まれる。ヘッダ部に格納される情報コードは各コンテンツ情報を識別できるように付される識別子である。この情報コードは実情報のID=02に含まれる情報コードと同じである。実情報量は実情報部に格納される全実情報の情報量をいう。
【0042】
図7に示すように、実情報部には、個々にIDが付された情報、例えば構成ID、事業者、情報提供、再生条件、有効期限、時間提供、対象地点、情報提供地点、遷移情報、駐車場情報、運転支援情報、嗜好情報等が含まれている。
【0043】
ID=00の構成IDの情報は、コンテンツ情報内に含まれる情報のIDの一覧を表す情報である。ID=00の構成IDを参照することによりコンテンツ情報内にどのIDの情報が含まれているかを判断することができる。
ID=01の事業者の情報は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えば事業者コード等を含む。
ID=02の情報提供はコンテンツ情報に関する詳細な情報であり、例えばサービス事業者が各コンテンツ情報に対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツ情報が属する嗜好情報のカテゴリ等を含む。このID=02に含まれる情報コードは、各コンテンツ情報を識別できるように付される識別子である。
【0044】
ID=03の再生条件はコンテンツ情報の再生条件に関する情報であり、例えば即時/蓄積コード等を含む。即時/蓄積コードとは受信完了後即時に再生するコンテンツであるか、受信したコンテンツ情報を相互通信エリアZ外でも利用可能なコンテンツとして蓄積するかを表す識別子である。
【0045】
ID=04の有効期限はコンテンツの再生についての有効期限を示す情報であり、有効期限の開始時期及び終了時期を示す日時で表される。
ID=05の時間提供は対象地点においてサービスを提供できる営業時間等の情報である。
【0046】
ID=10の対象地点の情報は、サービスの提供が可能な店舗や施設等の対象地点についての情報である。対象地点情報としては、例えば対象地点の位置(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、対象地点の説明や広告、お知らせ等の情報提供すべきコンテンツであるテキスト、画像、音声、対象地点の情報を無線通信により提供する際のURL、提携駐車場情報等からなる。提携駐車場情報とは、対象地点において提携指定されている駐車場に関する情報であり、例えば提携指定されている駐車場を示す駐車場IDの情報である。
【0047】
ID=20の情報提供地点の情報は、情報提供地点で再生させるコンテンツを含む。
図8を参照して、情報提供地点について説明する。
情報提供地点は、特定の場所で特定の方向から車両Cが進入した際に、特定のコンテンツ情報を再生する地点をいう。情報提供地点は図8に示すように指定された位置を中心とする円状の提供範囲で規定される。
ID=20の情報提供地点の情報は、この情報提供地点として指定された位置(緯度経度)、提供範囲、車両Cの進入方向を示す提供方向、情報提供地点で再生する画像、音声等からなる。
【0048】
情報提供地点で再生される画像や音声は、特定の対象地点についてのポップアップ通知に係るものである。蓄積したコンテンツ情報を利用者の情報検索以外の手段に自律的に適切な提供を行うことができる。
情報提供地点は、図8に示すように1つの対象地点について情報提供地点1、情報提供地点2と、複数設定することができるが、1つのID=20の情報提供地点の情報に含めることができる地点数には例えば5地点までと限りがある。
【0049】
ID=30の遷移情報は、複数のコンテンツ情報の画像(ID=10の対象地点情報の画像)を遷移させて表示する場合に用いる情報である。遷移情報は、次再生情報コードを含む。次再生情報コードとは、次の遷移先の画像のコンテンツ情報を示す情報コードである。
【0050】
ID=50の駐車場情報は、センター装置30において予め登録されている駐車場に関する情報である。駐車場情報は、例えばセンター装置30において予め登録されている駐車場の駐車場ID、満空情報の他、車両制限、予約可否、料金、特記事項等である。満空情報とは満車、空車の状況を示す情報をいう。また、特記事項には「雨よけ」等の情報を含ませることができるので、この特記事項の情報を参照することにより雨に濡れない駐車場等、ユーザの要望に応じた駐車場を選択することが可能となる。
【0051】
ID=60の運転支援情報は、駐車場の出入口付近や駐車場内の合流分岐、速度案内等、敷地内の運転に関して運転の補助となる情報である。運転支援情報は、例えば運転支援のための画像、当該コンテンツ情報を受信した際に情報の内容を発話することによりユーザに知らせるための音声案内を行うのに用いられる表音文字列、圧縮音声、音声の再生順の情報等である。
【0052】
ID=80の嗜好情報は、上述したように配信するコンテンツ情報の選択に用いる情報である。嗜好情報は、例えば嗜好情報のバージョン、そのバージョンで定められているカテゴリの名称を示す表示用テキスト、表音文字列、カテゴリの詳細情報等からなる。
【0053】
以上が、コンテンツ情報のフォーマットであるが、図6及び図7に示した各情報の全てが上記フォーマットに組み込まれて記憶部34に記憶されているわけではない。例えば、ヘッダ部の情報コードは送信時に追記される。また、実情報部のID=50の満空情報等はリアルタイムな情報提供を行うため、予め記憶はせずコンテンツ情報の送信時に取得した満空情報が追加される。
【0054】
通信部35は、路側無線装置20とDSRC通信又はその他の無線通信を行うための通信用インターフェイスを備え、制御部31の通信制御に従って通信処理を実行する。
【0055】
次に、動作について説明する。
図9を参照して、コンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の処理の流れを説明する。
図9に示すように、まず車両Cのエンジンが起動し、車載器10の電源が投入されると(ステップS1)、制御部4は車載器10の特性情報を作成し、記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに書き込む(ステップS2)。特性情報は、制御部4が表示部1eや記憶部1f等の各部に問い合わせるか、或いは予め記憶部1fに記憶されている情報を読み出す等して取得し、アップリンク情報記憶領域Mの対応する領域に書き込む。なお、実際には書込を指示する制御情報をDSRC制御部3aに出力し、このDSRC制御部3aがアップリンク情報記憶領域Mに書き込む。
【0056】
その後、車両Cが走行を開始、路側無線装置20の相互通信エリアZに進入すると(エリアイン)、路側無線装置20は車両Cを検出し、車載器10のDSRC部3とDSRC通信による接続処理を開始する(ステップS3a、S3b)。すなわち、路側無線装置20からDSRCの電波を送出し、車載器10からの応答が得られると、通信路を確立する。通信路を確立すると、路側無線装置20はセンター装置30に対し接続が完了した旨の通知情報を送信する(ステップS4a)。一方、車載器10のDSRC部3は制御部4に対し接続が完了した旨の通知情報を出力する(ステップS4b)。なお、DSRC接続時には、車載器10の記憶部3c等に記憶されている車載器10を識別するための車載器IDがセンター装置30に対して送信されている。
【0057】
次いで、路側無線装置20が車載器10のDSRC部3に対し、特性情報の送信要求を行うと、DSRC部3は記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに書き込まれている特性情報を路側無線装置20に送信する(ステップS5)。特性情報は路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される。
【0058】
センター装置30は、受信した特性情報に含まれる車載器IDを元に車載器10のユーザが配信サービスの会員か否かの認証を行った後、デフォルトのコンテンツ情報を車載器10に送信する(ステップS6)。デフォルトのコンテンツ情報とは会員向けのウェルカム画面であったり、非会員にも提供される電車の遅延情報、納税通知情報等の公共の広告情報等の一般向けの内容の情報である。認証は会員データベースに登録されている車載器IDと一致するかどうかで判断し、会員であると認証された場合にはデフォルトのコンテンツ情報に加えて配信事業者の事業者コードの通知情報を車載器10に送信する。車載器10ではデフォルトのコンテンツ情報が記憶部1fに保存される。
【0059】
車載器10では、路側無線装置20を介して事業者コードの通知情報が受信されると、車載器10の制御部4は記憶部1fに記憶されているアップリンク情報に含まれる事業者コードと、通知された事業者コードとを照合し、一致する場合には正規の配信事業者であると判断し、制御部4は当該事業者コードに対応するアップリンク情報を記憶部1fから読み出してアップリンク情報記憶領域Mに書き込む(ステップS7)。前述のようにアップリンク情報は各配信事業者に応じて制御部4が作成し、更新を行っているので、配信事業者に応じた内容かつ最新の内容となっている。なお、照合した事業者コードが一致しない場合にはアップリンク情報の書込は行わずに処理を終了する。
【0060】
センター装置30は、デフォルトのコンテンツ情報を送信後、車載器10に対し定期的にポーリングを行って(ステップS8)、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれたアップリンク情報を要求する。
車載器10のDSRC部3は、センター装置30からのポーリングに応じてアップリンク情報記憶領域Mに記憶されているアップリンク情報を、路側無線装置20を介してセンター装置30に送信する(ステップS9)。
【0061】
センター装置30は、アップリンク情報を受信すると、当該アップリンク情報及び先に受信している特性情報に基づいて、車載器10に配信するコンテンツ情報を編成する(ステップS10)。このコンテンツ情報の編成処理については後述する。
次いで、センター装置30は編成したコンテンツ情報を車載器10に送信する(ステップS11)。車載器10は受信を終了したコンテンツ情報を記憶部1fに保存する(ステップS12)。
【0062】
センター装置30では、配信すべきコンテンツ情報を全て配信すると配信終了を通知するコンテンツ情報を制御部31が作成して車載器10に送信する(ステップS13)。この配信終了のコンテンツ情報はユーザに対しエリアアウトを促す画像等を含むものであり、車載器10は受信したコンテンツ情報を再生して画像の表示等を行う。その後、一定時間路側無線装置20との通信が途絶えると、車載器10の制御部4は配信を終了したと判断する。
【0063】
次に、図10を参照して、センター装置30が実行するコンテンツ情報の編成処理(図9のステップS10)について説明する。
図10に示すように、センター装置30の制御部31は車載器10から取得したアップリンク情報から目的地の情報を取得し、目的地の位置(緯度、経度)を判断する(ステップS21)。次いで、目的地から所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報を記憶部34から取得する(ステップS22)。
【0064】
コンテンツ情報の作成例を、図11を参照して説明する。図11は、記憶部34に記憶されているコンテンツ情報のデータベース(以下、DB341という)から、ID=10の対象地点情報、ID=20の情報提供地点情報の情報部分を抽出して示した図である。
図11に示すように、DB341には、ある対象地点とその対象地点について設定されている情報提供地点の関係毎にNo.1〜5のコンテンツ情報が作成され、記憶されている。例えば、No.1で示すコンテンツ情報では、対象地点「○×センター」に対して2つの情報提供地点1、2が設定されており、「○×センター」の対象地点情報(ID=10)と各情報提供地点1、2の情報提供地点情報(ID=20)が組み合わせて記憶されている。
【0065】
ID=10の対象地点情報、ID=20の情報提供地点情報の内容は、図7を参照して説明した通りである。すなわち、ID=10の対象地点情報には、図11に示すように対象地点の位置を示す緯度、経度、コンテンツ情報の再生時に表示される対象地点表示テキスト、提携駐車場として設定された3つの駐車場1〜3についての駐車場コード、コンテンツであるテキスト、画像、表音文字、圧縮音声、動画等が含まれている。
ID=20の情報提供地点情報には、図11に示すように1つの対象地点について設定された各情報提供地点1〜5について、情報提供地点の位置を示す緯度、経度、提供範囲(情報提供地点の位置からの半径で示す)、提供方向(車両Cの情報提供地点への進入方向)、コンテンツである画像、表音文字、圧縮音声等が含まれている。
【0066】
例えば、前記所定範囲が3kmである場合、DB341(図11参照)の情報提供地点情報(ID=20)に設定されている各情報提供地点1〜5の緯度、経度を参照し、目的地の緯度、経度で示される位置から3kmの範囲内に位置する情報提供地点1〜5を検索する。ここで、No.2の情報提供地点1と、No.5の情報提供地点5が検索された場合、制御部31はNo.2及びNo.5の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。なお、情報提供地点情報は、検索されなかった他の情報提供地点1〜5の情報も含んだそのままの状態でコンテンツ情報を取得する。
【0067】
同様に、制御部31は目的地から所定範囲内に対象地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS23)。例えば、所定範囲を3kmとした場合、目的地の緯度、経度で示される位置から3kmの範囲内に位置する対象地点をDB341(図11参照)において検索する。ここで、No.1の対象地点が検索された場合、制御部31はNo.1の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。
【0068】
次いで、制御部31はアップリンク情報の経由地数識別フラグを参照し、経由地の有無を判断する(ステップS24)。経由地数識別フラグが0である場合、経由地が無いと判断し(ステップS24;無)、ステップS32の処理へ移行する。一方、経由地識別フラグが1以上である場合、経由地が有ると判断し(ステップS24;有)、経由地識別フラグの数値から経由地の設定数を取得する(ステップS25)。取得した設定数はkで表す。
【0069】
制御部31は、参照する経由地の番号をnとすると、nを初期値1に設定する(ステップS26)。そして、アップリンク情報からn番目の経由地nの情報を取得する(ステップS27)。最初は、n=1に設定されているので、経由地1の情報を取得する。
【0070】
制御部31は、取得した経由地nの情報から経由地nの位置(緯度、経度)を判断する。そして、この経由地nから所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS28)。次いで、経由地nから所定範囲内に対象地点が存在する対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS29)。DB341からのコンテンツ情報の具体的な取得方法は、上述した目的地の場合と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0071】
その後、制御部31はnを+1インクリメントし、インクリメント後のnについて経由地の設定数kを超えたか否かを判断する(ステップS31)。設定数kを超えていない場合(ステップS31;N)、ステップS27の処理へ戻り、そのn番目の経由地nについてステップS27〜S31の処理を繰り返す。すなわち、設定されている全ての経由地nについて、経由地n付近の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報を取得する処理を行う。
【0072】
一方、nが設定数kを超えた場合(ステップS31;Y)、制御部31は特性情報及びアップリンク情報に基づくコンテンツ情報の編成を行う(ステップS32)。ここでの編成は、DB341に基づいて作成したコンテンツ情報のうち配信するコンテンツ情報を選択して絞り込むことや、新たに配信するコンテンツ情報を編成することを含む。例えば、特性情報において「日本語」の言語が指定されている場合、DB341から取得した対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を用いて作成したコンテンツ情報のうち、日本語対応のものを選択する。
【0073】
また、上記目的地や経由地に関係なく、新たにコンテンツ情報を編成することもできる。例えば、アップリンク情報に含まれる嗜好情報に基づいてコンテンツ情報の編成を行う。コンテンツ情報には、他のコンテンツ情報と関連して再生するものがあり、この場合は他のコンテンツ情報と階層構造を形成する。例えば、「エンターテイメント」のカテゴリのコンテンツ情報を頂点として、「映画」、「音楽」、「ゲーム」等のカテゴリのコンテンツ情報が従属し、「映画」のカテゴリにはさらに「邦画」、「洋画」、「アニメ」等のカテゴリのコンテンツ情報が従属している。よって、アップリンク情報に含まれる嗜好情報カテゴリが「洋画」である場合には、上記の階層構造のうち「エンターテイメント」、「映画」、「洋画」のカテゴリのコンテンツ情報を選択して記憶部34から取得する。
なお、新たにコンテンツ情報を編成する場合は、路側無線装置20の通信エリアZ付近に対象地点又は情報提供地点が位置するもの等、ある一定範囲内に存在するコンテンツ情報のみ配信対象とすればよい。
【0074】
このようにして、配信するコンテンツ情報が準備されると、図9に示すステップS11に移行し、これらコンテンツ情報が1つの配信グループとして車載器10に送信される。
図12に、送信されるコンテンツ情報の例を示す。
例えば、上述したコンテンツ情報の編成処理において、DB341からNo.1、2、5のコンテンツ情報が取得された場合、送信時には、図12に示すようにNo.1の対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報c1を先頭として、No.2、No.5に係るコンテンツ情報c2、c3、さらに他にも嗜好情報等によって編成されたコンテンツ情報がある場合には、当該コンテンツ情報も加えてこれらコンテンツ情報c1〜cnが1つの配信グループとして順次送信されることとなる。
【0075】
以上のように、第1実施形態によれば、センター装置30では、ID=10の対象地点情報及びID=20の情報提供地点情報を含むコンテンツ情報を記憶部34のDB341に記憶し、車載器10からのアップリンク情報によって取得した車両Cの目的地及び経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報(ID=10、20)を含むコンテンツ情報を、制御部31がDB341から取得し、車載器10に送信する。これにより、車両Cの目的地、経由地付近の対象地点、情報提供地点について情報提供を行うことができ、ユーザにとって有用な情報を提供することが可能となる。また、車両Cの目的地、経由地付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【0076】
なお、コンテンツ情報には、ID=10の対象地点情報を含まないものもある。このようなコンテンツ情報も配信対象から除外しないようにするため、図13に示すように、コンテンツ情報の編成処理において、コンテンツ情報が対象地点情報を含むか否かを判断するステップS61等を追加することとしてもよい。なお、図13において、追加したステップS61、S62以外は図10に示したコンテンツ編成処理の各ステップと同一であるので、同一の符号を付している。
【0077】
すなわち、ステップS61では制御部31がDB341内の各コンテンツ情報について、ID=10の対象地点情報の対象地点位置を含むか否かを判断する。対象地点情報を含むコンテンツ情報については(ステップS61;Y)、ステップS22の処理に移行してID=10の対象地点情報を含むコンテンツ情報の取得を行う。一方、対象地点情報を含まないコンテンツ情報については(ステップS61;N)、制御部31は特性情報、嗜好情報等に基づき、ID=10の対象地点位置を含まないコンテンツ情報のうち、配信するコンテンツ情報を選択し、絞り込みを行う(ステップS62)。例えば、嗜好カテゴリが「映画」である場合、対象地点情報を含まないコンテンツ情報のうち、「映画」のカテゴリに属するコンテンツ情報を選択して、DB341から取得する。同様にS31でYESと判定された場合のコンテンツ情報の絞込みを行う(ステップS62)。制御部31は対象地点位置を含まないコンテンツ情報とID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報で、目的地や経由地から所定範囲内に位置するID=10、20の情報を含むコンテンツ情報とを、特性情報や嗜好情報等に基づいて絞り込んだ情報の両方をあわせて、1つの配信グループとして配信する。
【0078】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、車両の走行経路から所定範囲内に位置する、対象地点及び情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する例を説明する。
【0079】
第2実施形態に係る配信システム及びセンター装置は、第1実施形態に係る配信システム100及びセンター装置30と同一構成であり、コンテンツ情報の編成処理の内容が異なるのみである。よって、同一構成部分には同一の符号を付して図示及びその説明を省略し、異なる動作部分であるコンテンツ情報の編成処理についてのみ説明を行う。
【0080】
なお、第2実施形態において、センター装置30では制御部31がカーナビ制御部1aと同様に経路の探索機能を有し、車両Cの走行経路の探索処理を実行することができる。すなわち、記憶部34は地図DBを記憶しており、制御部31は当該地図DBを用いて目的地までの走行経路を算出する。
【0081】
図14は、第2実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
図14に示すように、センター装置30ではまず制御部31によりアップリンク情報から目的地の情報を取得する(ステップS41)。次いで、制御部31は制御部31はアップリンク情報の経由地数識別フラグを参照し、経由地の有無を判断する(ステップS42)。経由地数識別フラグが0である場合、経由地が無いと判断し(ステップS42;無)、ステップS51の処理へ移行する。
【0082】
一方、経由地数識別フラグが1以上である場合、経由地が有ると判断し(ステップS42;有)、経由地数識別フラグの数値から経由地の設定数を取得する(ステップS43)。取得した設定数はkで表す。次いで、制御部31は参照する経由地の番号をnとすると、nを初期値1に設定する(ステップS44)。制御部31はアップリンク情報からn番目の経由地nの情報を取得する(ステップS45)。最初は、n=1に設定されているので、1番目の経由地1の情報を取得する。
【0083】
経由地nの情報を取得後、制御部31はnを+1インクリメントし(ステップS46)、インクリメント後のnについて経由地の設定数kを超えたかどうかを判断する(ステップS47)。超えていない場合(ステップS47;N)、ステップS45に戻ってステップS45〜S47の処理を繰り返す。これにより、全ての経由地nの情報を取得する。
【0084】
nが設定数kを超えた場合(ステップS47;Y)、取得した目的地、経由地nの位置(緯度、経度)から、車両Cについて予想される走行経路の探索処理を行う(ステップS48)。探索処理において算出する経路は、例えば主要幹線道路を中心とする走行経路、走行時間が最短となる走行経路、有料道路を含む走行経路等、1つだけでなく複数あってもよい。主要幹線道路や有料道路を含む走行経路の場合、主要幹線道路近辺に存在する対象地点や、サービスエリアの対象地点の情報をより多く情報提供できるし、走行時間が最短となる走行経路の場合、車両Cが走行する可能性が高いため、提供した情報が利用されやすくなる。
【0085】
走行経路が探索されると、制御部31は探索された走行経路から所定範囲内に情報提供地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS49)。同様に、制御部31は探索された走行経路から所定範囲内に対象地点が位置する、対象地点情報(ID=10)及び情報提供地点情報(ID=20)を含むコンテンツ情報をDB341から取得する(ステップS50)。DB341からのコンテンツ情報の取得方法は第1実施形態で説明したのと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0086】
その後、制御部31は特性情報及びアップリンク情報に基づくコンテンツ情報の編成を行う(ステップS51)。この処理は、第1実施形態で説明した図10のステップS32と同様の処理である。
このようにして、配信するコンテンツ情報が準備されると、図9に示すステップS11に移行し、これらコンテンツ情報が1つの配信グループとして車載器10に送信される。
【0087】
以上のように、第2実施形態によれば、センター装置30では、ID=10の対象地点情報及びID=20の情報提供地点情報を含むコンテンツ情報を記憶部34のDB341に記憶し、制御部31が車両Cからのアップリンク情報によって取得した目的地、経由地の情報に基づいて車両Cの予想される走行経路を算出する。そして、この走行経路から所定範囲内に位置する対象地点及び情報提供地点の情報(ID=10、20)を含むコンテンツ情報を、制御部31がDB341から取得する。そして、取得したコンテンツ情報を車載器10に送信する。
【0088】
これにより、車両Cが走行する経路付近の対象地点、情報提供地点について情報提供を行うことができ、ユーザに有用な情報の情報提供が可能となる。また、車両Cが走行する経路付近に無い情報を配信対象外とすることにより、配信量を削減することができる。
【0089】
第2実施形態においても、ID =10の対象地点情報を含まないコンテンツ情報が配信対象から除外されないようにするためには、図15に示すようにコンテンツ情報の編成処理においてコンテンツ情報がID =10の対象地点情報を含むか否かを判断するステップS71等を追加すればよい。図15のステップS71、S72以外の他のステップは、図14に示したステップと同一であるので同一の符号を付している。
【0090】
ステップS71では、制御部31がDB341内の各コンテンツ情報について、ID=10の対象地点情報の対象地点位置を含むか否かを判断する。そして、対象地点情報が含むコンテンツ情報については(ステップS71;Y)、ステップS49の処理に移行してID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報の取得を行う。一方、対象地点位置を含まないコンテンツ情報については(ステップS71;N)、制御部31は特性情報、嗜好情報等に基づき、ID=10の対象地点位置を含まないコンテンツ情報のうち、配信するコンテンツ情報を選択し、絞り込みを行う(ステップS72)。例えば、嗜好カテゴリが「映画」である場合、対象地点情報を含まないコンテンツ情報のうち、「映画」のカテゴリに属するコンテンツ情報を選択して、DB341から取得する。同様にS50でYESと判定された場合のコンテンツ情報の絞込みを行う(ステップS72)。制御部31は対象地点位置を含まないコンテンツ情報とID=10の対象地点位置を含むコンテンツ情報で、探索した経路から所定範囲内に位置するID=10、20の情報を含むコンテンツ情報とを、特性情報や嗜好情報等に基づいて絞り込んだ情報の両方をあわせて、1つの配信グループとして配信する。
【0091】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、第1実施形態と第2実施形態と組み合わせて、車両の目的地、経由地、走行経路の全て又はそのうちの1つ以上について、所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点を判断することとしてもよい。
【0092】
また、DB341から取得したコンテンツ情報の情報提供地点情報(ID=20)に複数の情報提供地点が含まれ、その中に目的地、経由地或いは探索された走行経路から所定範囲内に位置すると判断されなかった情報提供地点が含まれる場合、当該情報提供地点の情報を削除してコンテンツ情報を作成することとしてもよい。例えば、図11に示すNo.1のコンテンツ情報において、情報提供地点1は所定範囲内と判断されたが、情報提供地点2は所定範囲外と判断された場合、情報提供地点1の情報のみを情報提供地点(ID=20)とするコンテンツ情報を作成する(図10、図13のステップS22、S23、S28、S29、図14、図15のステップS49、S50において作成する)。
これにより、ユーザに不要と予測される情報を削除して配信する情報量の削減を図ることができる。
【0093】
また、1つの情報提供地点情報(ID=20)に含められる情報提供地点の地点数には限りがあるが、図16に示すように、DB341において同じ内容の対象地点情報に係るコンテンツ情報を、No.5、6と複数用意し、各No.5、6に異なる位置の情報提供地点1〜5をそれぞれ設定することにより、1つの対象地点について設定できる情報提供地点を実質的に増加させることも可能である。なお、図16の例では、No.5とNo.6のコンテンツ情報で対象地点の情報に全く同じ情報を有しているが、少なくとも対象地点の位置(緯度、経度)、対象地点表示テキスト等の対象地点を識別できる情報があれば、テキストや画像等の他の情報を重複して備える必要はない。
【0094】
また、DB341に情報提供地点が複数設定されている場合、コンテンツ情報に含める情報提供地点の情報を絞り込むこととしてもよい。絞り込みの方法としては、予めDB341において情報提供地点1〜5に優先順位を定めておき、この優先順位の高いものから順に所定数だけ情報提供地点を選択することが挙げられる。また、対象地点に位置が近いものから優先的に選択する方法でもよい。
【0095】
上述した図16に示す例を用いて具体例を説明する。図16に示す例では、1つの対象地点に対しNo.5では5地点、No.6では2地点で、合計7つの情報提供地点が設定されている。対象地点に位置が近いものから優先的に4つの情報提供地点を選択する場合、7点のうち対象地点に位置が近いNo.5の情報提供地点1、2、No.6の情報提供地点1、2を選択する。そして、選択した情報提供地点のみをID=20の情報提供地点情報とするコンテンツ情報を作成する(図10、図13のステップS22、S23、S28、S29、図14、図15のステップS49、S50において作成する)。
このように、ユーザにとって有用な情報をさらに選択して他は削除することにより、配信する情報量の削減を図ることができる。
【0096】
また、ID=20の情報提供地点情報には、車両Cの進入方向の情報が含まれているので、この進入方向も考慮してコンテンツ情報に含める情報提供地点を絞り込むこととしてもよい。具体的には、車載器10から取得した目的地、経由地の情報に基づいて車両Cの予想される走行経路の探索処理を行う。そして、探索処理によって算出された走行経路にから所定範囲内に対象地点、情報提供地点が位置する対象地点情報、情報提供地点情報を含むコンテンツ情報をDB341から取得する。
【0097】
例えば、図11に示すDB341においてNo.4のコンテンツ情報の情報提供地点1が検索されたとする。このとき、取得されたコンテンツ情報には、検索された情報提供地点1以外の情報提供地点2〜5の情報も含まれる。この情報提供地点2〜5が図17に示すように位置し、図14のステップS48に示すように制御部31によって車両Cの走行経路が走行経路1、2と2つ算出されている場合、算出された走行経路1、2と各情報提供地点1〜5を照合した結果、情報提供地点1、2の提供方向は走行経路上での車両Cの進行方向と一致するが、他の情報提供地点3〜5は一致しない。よって、情報提供地点3〜5の情報は削除して、情報提供地点1、2の情報のみをID=20の情報提供地点情報とするコンテンツ情報を作成する。これによれば、車両Cが走行する可能性の高い情報提供地点についてのみ情報提供を行うことができ、ユーザにとって有用な情報提供を行うとともに配信量の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の相互通信エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】アップリンク情報の一例である。
【図5】図1のセンター装置の機能的構成を示す図である。
【図6】コンテンツ情報のヘッダ部の一例である。
【図7】コンテンツ情報の実情報部の一例である。
【図8】対象地点、情報提供地点について説明する図である。
【図9】配信システムにおいて、コンテンツ情報を配信する際の処理の流れを示す図である。
【図10】第1実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
【図11】コンテンツ情報のDBの一例である。
【図12】配信するコンテンツ情報の配信グループを説明する図である。
【図13】他のコンテンツ情報の編成処理例を説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態に係るコンテンツ情報の編成処理を説明するフローチャートである。
【図15】他のコンテンツ情報の編成処理例を説明するフローチャートである。
【図16】情報提供地点を増やす場合のDB例を示す図である。
【図17】走行経路と情報提供地点への車両の進入方向との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1a カーナビ制御部
1e 表示部
1f 記憶部
3 DSRC部
3b DSRC通信部
3c 記憶部
5 無線通信部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
20 路側無線装置
30 センター装置
31 制御部
34 記憶部
341 DB
35 通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、
前記センター装置は、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備える配信システム。
【請求項2】
車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置において、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備えるセンター装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両の目的地及び/又は経由地の情報に基づいて、前記車両の予想される走行経路を算出し、当該走行経路から所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する請求項2に記載のセンター装置。
【請求項4】
前記情報提供地点の情報は、情報提供地点への車両の進入方向の情報を含み、
前記制御部は、前記算出された車両の走行経路に基づいて予想される車両の進入方向を判断し、前記記憶部から取得した情報提供地点の情報のうち、当該判断した車両の進入方向に一致する情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2又は3に記載のセンター装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部から複数の情報提供地点の情報が取得された場合、この複数の情報提供地点のうち所定数の情報提供地点を選択し、当該選択した情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2〜4の何れか一項に記載のセンター装置。
【請求項1】
車載器と、前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを含む配信システムにおいて、
前記センター装置は、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備える配信システム。
【請求項2】
車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置において、
サービスが利用可能な対象地点の情報及びコンテンツ情報の再生を行う情報提供地点の情報を記憶する記憶部と、
前記車載器から車両の目的地及び/又は経由地の情報を取得し、この目的地及び/又は経由地から所定範囲内に位置する対象地点及び/又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する制御部と、
を備えるセンター装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両の目的地及び/又は経由地の情報に基づいて、前記車両の予想される走行経路を算出し、当該走行経路から所定範囲内に位置する対象地点又は情報提供地点の情報を前記記憶部から取得し、取得した対象地点及び/又は情報提供地点の情報を含むコンテンツ情報を編成する請求項2に記載のセンター装置。
【請求項4】
前記情報提供地点の情報は、情報提供地点への車両の進入方向の情報を含み、
前記制御部は、前記算出された車両の走行経路に基づいて予想される車両の進入方向を判断し、前記記憶部から取得した情報提供地点の情報のうち、当該判断した車両の進入方向に一致する情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2又は3に記載のセンター装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部から複数の情報提供地点の情報が取得された場合、この複数の情報提供地点のうち所定数の情報提供地点を選択し、当該選択した情報提供地点の情報をコンテンツ情報の編成に用いる請求項2〜4の何れか一項に記載のセンター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−276299(P2009−276299A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130095(P2008−130095)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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