説明

酸素バリア組成物および関連する方法

【課題】電気デバイス用の酸素バリア組成物およびそれに関連する方法を提供する。
【解決手段】特定の態様例では、酸素バリア組成物は、メタ置換芳香族樹脂および添加された芳香族エポキシ樹脂を含む。いくつかの態様例では、組成物は、約1000ppm未満の塩素含量を有する。組成物は、ほぼ0%の相対湿度および約23℃にて、約0.4cm・mm/m・atm・日の酸素透過性を有し得る。特定の実施例では、酸素バリア組成物を硬化させる方法は組成物を部分的に硬化させることを含んでおり、その部分的硬化は紫外線照射または熱によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、酸素バリア組成物およびその硬化方法に関する。より詳細には、本発明の開示は、電気デバイスを保護するための酸素バリア組成物およびその硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気デバイスの電気的性質は、酸素または防湿バリアシーラントの保護が無ければ、経時的に劣化し得る。特に、ポリマー正温度係数(PPTC)デバイスは、部分的に結晶質のポリマーマトリックス中に、空気感受性および低抵抗率のニッケル粒子が分散されて形成されていることがあり、時間とともに、周囲酸素はコンポジットの非晶質領域に浸入して、ニッケル粒子の表面を酸化させ得る。その結果、トリップ事象(trip event)または熱サイクルの後、復旧した電気経路は、相互に接触する、表面が酸化されたニッケル粒子によって構成される。酸化した接点の数が多くなることは、電気抵抗の増大をもたらす。この増大は、規格外であって、使用に耐えないデバイスを生成する。酸化を防止するために、電気デバイスの外側は二液型エポキシ系酸素バリア組成物によって被覆することができる。
【0003】
今日の二液型組成物は、バッテリストラップPPTCデバイスの保護などの特定の用途のための有効な酸素および防湿バリアを提供し得るが、使用および用途の範囲はある程度限られている。二液型組成物の不都合な点には、ポットライフ(すなわち可使時間)が短いこと、有機溶剤の実質的な成分であること(例えば、20%以上)、ハロゲン汚染物質であること、および、より大きいフォームファクターのPPTCデバイスの外側に薄くコーティングを適用することの制限などが含まれる。これらのコーティングは、一般に、多段階方式の上塗りプロセスで適用することもできる。これらの含溶媒製剤は、能動素子を含む積層体やその他の構造体の層間に溶媒が入り込む問題があるため、アンダーフィルやギャップフィル(または充填)型の用途に用いることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、改良されたポットライフ、揮発性有機化合物(「VOC」)が少ない若しくは無いこと、ならびに、塩素および臭素などのハロゲン汚染物質が低レベルであることを有する電気デバイス用の改良された酸素バリア組成物が必要とされている。より小さいフォームファクターのPPTCデバイス、例えば表面実装デバイス(SMD)は、ニッケルフィラー酸化をより受けやすいが、より大きな表面積対体積比を有しており、標準的な方法を用いてコーティングを行うことは困難であるため、それらのデバイスの酸化を防止することも必要とされている。最後に、デバイスの製造プロセスにおける種々の段階で、特にSMD-PPTCデバイスの製造に関して、樹脂系の硬化の程度を制御することも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様例は、一般に、酸素バリア組成物およびその組成物を硬化させる方法を提供する。
【0006】
1つの態様例において、酸素バリア組成物は、メタ置換された芳香族樹脂および追加の芳香族エポキシ樹脂を含む。いくつかの態様例では、メタ置換芳香族樹脂は、メタ置換されたレゾルシノールエポキシ樹脂(メタ置換されたアクリルレゾルシノール樹脂)は、メタクリル酸レゾルシノール樹脂、メタ置換されたテトラグリシジルキシレンジアミン樹脂、レゾルシノールおよびそれらの組み合わせをメタ置換した。いくつかの態様例において、芳香族エポキシ樹脂は、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、多環式エポキシ樹脂、ナフタレンジエポキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。いくつかの態様例では、組成物は、Bステージ化硬化を受けることができる。特定の態様例では、組成物は、例えば、可視光線もしくは紫外線による光開始事象によって硬化され得る。特定の態様例では、組成物は、約23℃で少なくとも約3ヶ月のポットライフ(すなわち可使時間)を有する。他の態様例では、組成物は約1000ppm未満の塩素含量を有する。さらにもう1つの態様例において、組成物は、約2000ppm未満の全ハロゲン含量を有する。特定の態様例では、組成物は、約0%の相対湿度および約23℃にて、約0.4cm・mm/m・atm・日の未満の酸素透過性を有する。いくつかの態様例では、組成物は実質的に100%固体であり、組成物は溶剤を実質的に含まず、そして、組成物は揮発性有機化合物(VOC)を実質的に含まない。
【0007】
この組成物のいくつかの態様例において、組成物は、熱潜在性硬化を行うことができるアミン硬化剤を含む。特定の態様例では、アミン硬化剤は、芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。他の態様例では、組成物は、熱潜在性硬化(thermal latent cure)の温度または時間を低減し得る促進剤を含む。さらに他の態様例において、促進剤は、フェニル尿素、イミダゾール、三塩化ホウ素アミン錯体、脂肪族ビス尿素、メタ−置換フェノール、レゾルシノール、フロログルシノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。更に他の態様例では、酸素バリア組成物は、板状フィラー、補強型フィラー(例えば、ガラス繊維もしくはその他の構造要素)、アルミナ型フィラー、および、シリカ型フィラー、窒化ホウ素、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるフィラーを含む。
【0008】
ある特定の態様例では、酸素バリア組成物は、全樹脂重量の約10重量%〜約40重量%のレゾルシノールジグリシジルエーテルもしくはオリゴマーもしくはそのアダクト;全樹脂重量の約10重量%〜約80重量%の追加の芳香族エポキシ樹脂;0重量%〜約80重量%の、板状フィラー、補強型フィラー(例えば、ガラス繊維もしくはその他の構造要素)、アルミナ型フィラー、および、シリカ型フィラー、窒化ホウ素、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるフィラー(ここでのフィラーの重量%の値は、フィラー重量を全樹脂およびフィラー重量で除して計算される);約0.1phr〜約40phrの、熱潜在性硬化を行うことができるアミン硬化剤であって、芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアミン硬化剤;ならびに、約0.1phr〜約40phrの、熱硬化の温度または時間を低減し得る促進剤を含んでなり、塩素含量は約900ppm未満であり、全ハロゲン含量は約1500ppm未満である。
【0009】
もう1つの態様例では、酸素バリア組成物は、全樹脂重量の約25重量%のレゾルシノールジグリシジルエーテルもしくはオリゴマーもしくはそのアダクト;全樹脂重量の約75重量%のビスフェノール−Fエポキシ樹脂;約5phrのジシアンジアミド;および、約5phrの4,4’−メチレンビス−(フェニル‐ジメチル尿素)を含む。
【0010】
さらにもう1つの態様例において、電気デバイスを酸素バリア組成物でコーティングする方法は、酸素バリア組成物と、第1および第2の部品を有する電気デバイスとを提供する。いくつかの態様例では、方法は、酸素バリア組成物を加熱して、組成物の硬化を開始させることを含む。他の態様例において、方法は、硬化の完了前に組成物を冷却することを含むが、そこで、部分的に硬化したコーティングを形成する。更に他の態様例において、方法は、部分的に硬化したコーティングを電気デバイスの第1の部品に適用することを含む。さらに他の態様例において、方法は、電気デバイスの第1の部品を電気デバイスの第2の部品にハンダ付けすることを含み、そこでは、部分的に硬化したコーティングをハンダ付の間に完全に硬化させる。
【0011】
この方法のいくつかの態様例において、酸素バリア組成物は、メタ置換されたレゾルシノールエポキシ樹脂、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリレートレゾルシノール樹脂、メタ置換テトラグリシジルキシレンジアミン樹脂、レゾルシノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるメタ置換芳香族樹脂を含む。もう1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、レゾルシノールジグリシジルエーテルまたはそのオリゴマーである。さらに他の態様例において、組成物は、芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアミン硬化剤を含む。更に別の態様例において、方法は、加熱の温度または時間を低減させることができる促進剤を提供することを含む。いくつかの態様例では、促進剤は、フェニル尿素、イミダゾール、三塩化ホウ素アミン錯体、脂肪族ビス尿素、メタ−置換フェノール、レゾルシノール、フロログルシノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0012】
もう1つの態様例では、酸素バリア組成物を硬化させる方法は、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる酸素バリア組成物を提供することを含む。方法は、フリーラジカル光重合開始硬化剤を提供することを更に含む。いくつかの態様例では、方法は、組成物に紫外線の照射を適用し、部分的に硬化した組成物を生じさせることを含んでおり、そこで組成物はフリーラジカル重合を受ける。
【0013】
この方法の他の態様例において、フリーラジカル光重合開始剤は、ベンゾインのアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルフェノール−1−プロパノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、ハロゲン化アセトフェノン誘導体、芳香族化合物のスルホニルクロリド、アシルホスフィンオキシドおよびビス−アシルホスフィンオキシド、ベンズイミダゾール、ベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、ハロゲン化およびアミノ官能ベンゾフェノン、フルオレノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサントン(zanthone)誘導体、チオキサントン(thiozanthone)誘導体、カンファキノン、ベンジルおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0014】
さらにもう1つの態様例において、酸素バリア組成物を硬化させる方法は、レゾルシノールエポキシ樹脂およびメタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリル酸レゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせを含む酸素バリア組成物を提供することを含む。方法は、フリーラジカル光重合開始硬化剤および熱硬化剤を提供することを更に含む。いくつかの態様例では、方法は、組成物に紫外線照射を適用すること、および、部分的に硬化した組成物を形成することを含み、そこで、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリル酸レゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせはフリーラジカル重合を受け、レゾルシノールエポキシ樹脂は実質的に重合されない状態で残る。特定の態様例では、方法は、部分的に硬化した組成物を加熱することを更に含み、そこで、レゾルシノールエポキシ樹脂は硬化して、完全に硬化した組成物を形成する。いくつかの態様例では、熱硬化剤は、芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアミン硬化剤である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「典型的に(typically)」の語句は、本発明の範囲を限定したり、何らかの特徴が特許請求の範囲に記載する発明の構造または機能について、特に決定的であるとか重要であるとかいうことを意味することを意図するものではない。むしろ、これらの語句は、本発明の特定の態様例において用いることも用いないこともある、別の特徴や追加の特徴を強調するためのものである。
【0016】
本明細書において、「A−ステージ(A-stage)」または「A−ステージ化された(A-staged)」物理的状態は、線形の構造、溶解性および可融性を有する組成物によって特徴付けられる。特定の態様例では、A−ステージ化された組成物は、高い粘性液体であって、規定された分子量を有しており、主として未反応の化合物を含む。この状態において、組成物は、(B−ステージ化(B-staged)もしくはC−ステージ化(C-staged)された材料と対比して)最大の流動性を有することになる。特定の態様例では、A−ステージ化された組成物は、光開始反応または熱反応のいずれかによって、A−ステージ化された状態からB−ステージ化された状態かまたはC−ステージ化された状態へ変化し得る。
【0017】
本明細書において、「B−ステージ」または「B−ステージ化された」物理的状態はA−ステージ材料を部分的に硬化させることによって達成され、そこでは、A−ステージ組成物の少なくとも一部が架橋されて、材料の分子量が増大している。特に明記しない限り、B−ステージ化可能な組成物は、熱潜在性硬化か紫外線硬化によって達成することができる。特定の態様例では、B−ステージ化可能な組成物は、熱潜在性硬化によって達成される。B−ステージ化反応は、生成物が、事前と比べてより高い軟化点および溶融粘度を有するが、まだ可融性および可溶性である間は抑制することができる。B−ステージ化された組成物は、その後の加熱によって架橋を行うのに充分な硬化剤を含む。特定の態様例において、B−ステージ組成物は流体または半流動性であって、従って特定の状況では流動を行わせることができる。半流動性の形態において、熱硬化性ポリマーは、例えば、オペレータが手で更に処理することができる。特定の態様例において、B−ステージ組成物は、加工可能で、完全に硬化しておらず、電気デバイスのまわりで組成物を成形させたり流動させたりすることができる、順応性のある半硬化乾燥フィルムを含む。
【0018】
本明細書において使用するように、「C−ステージ」または「C−ステージ化された」物理的状態は、組成物を完全に硬化させることによって達成される。いくつかの態様例において、C−ステージ化組成物は、A−ステージ化状態から完全に硬化される。他の態様例において、C−ステージ化組成物は、B−ステージ化状態から完全に硬化される。典型的に、C−ステージにおいて、組成物は、妥当な条件下ではもはや流動性を示さない。この状態において、組成物は硬質であり得るし、一般に、異なる形状に再形成することができない。
【0019】
電気デバイス用の改良された酸素バリア組成物を開発するうえで、発明者らは、改良された酸素バリア組成物は、結晶ドメイン、高比重、密鎖充填、低自由体積、水素結合および他の極性相互作用、酸素をブロックする芳香族基、および/または最適化されたポリマー鎖充填のための芳香族基上のメタ置換などの種々の特性および特徴を有し得るということを見出した。特に、発明者らは、改良されたポットライフ(可使時間)、低いハロゲン濃度、B−ステージ化可能な硬化であること、および、VOCを実質的に含まないことを伴うメタ置換芳香族樹脂組成物を見出した。これらの樹脂組成物特性は、高い酸素バリア特性、優れた耐薬品性、柔軟性、多様な粘性、および、種々の物質に対する優れた付着性を有することに加えてのものである。特定の態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂、メタ置換されたアクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリル酸レゾルシノール樹脂、メタ置換キシレンジアミン樹脂、レゾルシノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂はメタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂である。もう1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリル酸レゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせである。さらにもう1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、テトラグリシジルキシレンジアミン樹脂である。
【0020】
特定の態様例において、
酸素バリア組成物のメタ置換レゾルシノール樹脂は、一般構造(I):



(I)
[一般構造はそのオリゴマーを含む。]
で示される構造を有する。
【0021】
いくつかの態様例において、RおよびRは、O結合基を含むかまたはO結合基に連結しており、グリシジル(例えば、グリシジルエーテル)、脂肪族エポキシ、アクリル(例えば、アクリレート)、メタクリル(例えば、メタクリレート)、イタコネート、脂環式エポキシ、ヒドロキシル、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、クロチルエーテル、スチレン、マレイミド、マレエート、フマレート、シンナメート、アクリルアミド、メタクリルアミド、カルコン、チオール、アリル、アルキニル、アルケニル、およびシクロアルケニル基からなる群から選ばれる硬化性官能基をそれぞれ独立して形成する。特定の態様例において、RおよびRは、同じである。
【0022】
特定の態様例において、R、R、RおよびRは、水素、アルキル、ビニル、アクリル、メタクリル、アリール、置換アルキル、置換アリール、ハロゲン、およびシアノ基からなる群から独立して選ばれる。他の態様例において、R、R、RおよびRは、上述の群に加えて、RおよびRについて上述した群から独立して選ばれてもよい。
【0023】
1つの態様例において、メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂は、一般式(II):

(II)
で示される一般構造を有するレゾルシノールジグリシジルエーテル樹脂である。
【0024】
1つの態様例において、メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂は、レゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE(resorcinol diglycidyl ether))(ここで、一般式(II)において、R、R、RおよびRは水素である。)である。RDGEは、良好な酸素バリア特性(または遮断性)と、良好な耐薬品性、柔軟性および種々の物質に対する付着性を有する。RDGEは、低い粘性(25℃にて約200〜500cps)を有することをも特徴としており、それによって酸素バリア組成物製剤において、例えば高い粘性のエポキシ成分、フィラーまたはチキソトロープ剤の添加などの柔軟性が付与される。RDGE系の樹脂は、他のエポキシ樹脂と対比して、有利なコンホーマ充填(conformer packing)、向上した水素結合、および樹脂内での鎖間/鎖内相互作用を提供し得る。
【0025】
特定の態様例において、RDGE樹脂はERISYS(登録商標) RDGE-Hであって、これはCVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance Materials(Cuyahoga Falls、オハイオ州、米国)から入手可能な、精製された形態のRDGEである。RDGE−Hは、25℃で約200〜325cpsの粘度および約2300〜2500ppmの塩素を有する。
【0026】
追加の態様例において、RDGE樹脂は、R、R、Rおよび/もしくはR位において、ならびにグリシジルエーテルのいずれかの水素の位置において、水素の代わりの置換基を有することができる。
【0027】
追加の態様例において、RDGE樹脂は、式(III):

(III)
[式中、nは、1、2、3またはそれ以上である。]
で示される構造のようにオリゴマー化されていてもよい。nが増加するにつれて、組成物の粘度も同様に増加する。特定の態様例において、より高い、より粘性のオリゴマーまたはアダクトを、高粘度用途、例えばプリプレグ調製のために使用することができる。特定の態様例において、加工できる組成物は、約200〜約50,000cpsの範囲;約200cps〜約10,000cpsの範囲;または約200cps〜約1000cpsの範囲の粘度を有する。特定の態様例において、nの値は、粘度が約50,000cpsを超え、約10,000cpsを超え、または約1000cpsを超えるように大きくなってはならない。
【0028】
更に、もう1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂もしくはそれらの組み合わせであって、そのオリゴマーもしくはそのアダクトを含み、例えば、式(IV):

(IV)
[式中、nは、0、1、2、3、またはそれ以上である。]
で示されるレゾルシノールエポキシアクリレート構造を有する。nが増加するにつれて、組成物の粘度も同様に増加する。特定の態様例において、加工できる組成物は、約200〜約50,000cpsの範囲;約200cps〜約10,000cpsの範囲;または約200cps〜約1000cpsの範囲の粘度を有する。特定の態様例において、nの値は、粘度が約50,000cpsを超え、約10,000cpsを超え、または約1000cpsを超えるように大きくなってはならない。
【0029】
1つの態様例において、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせは、Japan U-PiCA Co.(東京、日本)から供給されるNEOPOL 8312またはNEOPOL 8313などのレゾルシノール型エポキシアクリレートを含む。
【0030】
いくつかの態様例において、メタ置換芳香族樹脂は、式:

で示される構造を有するテトラグリシジルキシレンジアミンであって、そのオリゴマーまたはアダクトを含み、式中、R”は独立して何らかの置換基であってよい。1つの態様例において、各R”は水素であり、テトラグリシジルキシレンジアミン樹脂はN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンである。市販されているものの例は、Mitsubishi Gas Chemical Co.(東京、日本)からのTETRAD-X 、またはCVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance Materials(Cuyahoga Falls、オハイオ州、米国)からのERISYS(登録商標)GA-240 である。
【0031】
特定の態様例において、酸素バリア組成物におけるメタ置換芳香族樹脂の量は、約1重量%〜約100重量%の範囲、約5重量%〜約50重量%の範囲、約10重量%〜約40重量%の範囲、または、約20重量%および30重量%の範囲で変動することができ、ここで、「重量部」は、特に明記しない限り、酸素バリア組成物内の総樹脂重量によって定義される。さらにもう1つの態様例において、メタ置換芳香族樹脂の量は、組成物中に存在する樹脂の全重量の約25重量%である。
【0032】
いくつかの態様例において、酸素バリア組成物の特性は、追加の成分を組成物に加えることによって、例えば、ハロゲン含量(例えば、塩素含量)の減少、粘度の上昇、または、酸素バリア組成物のガラス転移温度(Tg)の上昇などの調整がなされる。1つの態様例において、芳香族エポキシ樹脂がメタ置換芳香族樹脂を含有するバリア組成物に加えられる。1つの態様例において、芳香族化合物エポキシ樹脂は、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(例えば、Mitsubishi Gas Chemical Co.からのTETRAD-X またはCVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance MaterialsからのERISYS(登録商標)GA-240 )、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、多環式エポキシ樹脂、ナフタレンジエポキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。特定の態様例において、芳香族エポキシ樹脂は、約900ppm未満の低い塩素含量を有する。1つの態様例において、芳香族エポキシ樹脂は、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテルを含み、強い酸素バリア性および低い塩素含量を有する。約300ppmのClを含むビスフェノール−FであるJER Y983Uは、ジャパン・エポキシ・レジン社(東京、日本)から入手可能である。
【0033】
もう1つの態様例において、芳香族エポキシ樹脂は、高い耐薬品性、高いガラス転移温度、および良好な酸素バリア性を提供して、メタ置換芳香族樹脂を補足するナフタレンジグリシジルエーテルである。ナフタレンジグリシジルエーテルの1つのソースは、約900ppmの塩素を含有する、DIC Japan(東京、日本)からのEPICLONR(登録商標)HP-4032Dである。
【0034】
特定の態様例において、芳香族エポキシ樹脂を追加することによって、酸素バリア組成物内の塩素および/もしくは全ハロゲン含量が減少し、それによって電子部品を焼却または燃焼して処分またはリサイクルする際の有毒なハロゲン化副生物、例えばダイオキシンおよびフランが低減される。いくつかの態様例において、芳香族エポキシ樹脂を追加することによって、塩素含量は、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、または900ppm未満に減少する。いくつかの態様例において、芳香族エポキシ樹脂をメタ置換芳香族樹脂に添加することによって、全ハロゲン含量を、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、または約900ppm未満とすることができる。1つの態様例において、塩素含量は約1000ppm未満に減少し、全ハロゲン含量は約2000ppm以下に減少する。もう1つの態様例において、塩素含量は約900ppm未満に減少し、全ハロゲン含量は約1500ppm未満に減少する。1つの態様例において、RDGEと芳香族エポキシ樹脂とを組み合わせることによって、塩素レベルを約900ppm未満へ減少させ、臭素は実質的に検出されない(例えば、10ppm未満の臭素)結果がもたらされる。
【0035】
特定の態様例において、芳香族エポキシ樹脂をメタ置換芳香族樹脂に添加することによって、ガラス転移温度(Tg)は約150℃以上に上昇する。別の態様例では、その添加によってTgは約160℃またはそれ以上に上昇する。他の態様例において、その添加によって、Tgは約10℃〜約60℃上昇する。組成物のガラス転移温度を考慮することは、特にPPTCデバイスには重要である。PPTCデバイスは、使用の間、10%以上膨張し得る。使用中にデバイスが暖まるにつれて、デバイスが膨張し始める、特定の「トリップ温度(trip temperature)」に達する。膨張を許容するために、PPTCデバイスを包囲しまたは被覆する酸素バリア組成物のTgは、そのデバイスのトリップ温度に等しいかまたはそれ以下であることが一般的に推奨され、トリップ温度にてバリア組成物がより弾性のある状態であることによって、デバイスの膨張が許容される。望ましい酸素バリア組成物は、この弾性のある状態でのそれらのバリア性を維持する。発明者らは、これらの酸素バリア組成物がそれらの特性を維持できるということを発見した。
【0036】
酸素バリア組成物に添加される芳香族エポキシ樹脂の量は、所望する酸素バリア性、例えば、酸素透過性、ハロゲン含量、および粘度などに基づいて、 変化できる。特定の態様例において、酸素バリア組成物中の芳香族エポキシ樹脂の量は、酸素バリア組成物中の全樹脂重量の0重量%〜約99重量%の範囲である。もう1つの態様例において、その量は、全樹脂重量の約1重量%〜約80重量%の範囲である。他の態様例において、その量は、全樹脂重量の約1重量%〜約25重量%の範囲である。1つの態様例において、酸素バリア組成物中の芳香族エポキシ樹脂の量は、全樹脂重量の約75重量%である。
【0037】
他の態様例において、メタ置換芳香族樹脂(例えば、RDGE)の芳香族エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール−Fエポキシ樹脂)に対する割合は、約1:10〜約10:1の範囲である。他の態様例において、その割合は、約1:5〜約5:1の範囲である。他の態様例において、その割合は、約1:2〜約2:1の範囲である。他の態様例において、メタ置換芳香族樹脂(例えば、RDGE)と芳香族エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール−F)との割合はおよそ1:1である。
【0038】
芳香族エポキシ樹脂をメタ置換芳香族樹脂に添加することに加えて、または、芳香族エポキシ樹脂を添加することに代えて、酸素バリア組成物は、種々のフィラー、例えば板状フィラー、補強型フィラー(例えば、ガラス繊維もしくはその他の構造要素)、アルミナ型フィラー、および、シリカ型フィラー、窒化ホウ素、または他の好適なフィラーを含むことができる。これらのフィラーは、減少するハロゲンレベル(例えば、塩素レベル)の低下、粘度の上昇、硬化樹脂の収縮の低減、または、入り組んだ経路を提供することによるバリア性の上昇などの酸素バリア組成物特性を調整するために用いることができる。いくつかの態様例において、シリカフィラーは、組成物に添加して、1つには、粘度の明らかな上昇を伴うことなく、全塩素または全ハロゲン含量を減少させることができる。シリカフィラーの1つの例は、Denka(東京 、日本)から入手可能なFB-5D 溶融シリカフィラーである。もう1つの態様例において、フィラーは、より容易な適用およびより少ない流動のために、粘度を上昇させることができる。このタイプのシリカフィラーは、Cabot Corp.(Boston、マサチューセッツ州、米国)から入手可能なCAB-0-SIL TS-720である。
【0039】
特定の態様例において、フィラーは、板状フィラー、例えば板状シリカ(例えば、粉砕されたマイカ)、フレーク状にされたガラス、化学修飾されたシリカ質のミネラル(例えば、オルガノクレイ)またはそれらの組み合わせを含む。1つの態様例において、板状フィラーは、オルガノクレイフィラーである。オルガノクレイフィラーの1つの例は、Southern Clay Products((Gonzales、テキサス州、米国)からのCloisite 10Aである。酸素バリア組成物のための追加の典型的な板状フィラーは、米国特許第5,840,825号に開示されており、参照することによって本明細書に含まれる。
【0040】
酸素バリア組成物に添加される芳香族エポキシ樹脂の量と同様に、フィラーの量は、酸素透過性、塩素含量、粘度、エポキシ使用(すなわち製造コスト)の減少などの所望する酸素バリア性に基づいて、変化させることができる。これらのフィラーはハロゲン/塩素含量を実質的に含まないので、添加するフィラーの重量パーセントは塩素のppmレベルの減少に直接的に関連させることができる。例えば、約25重量%のフィラーを組成物に添加することによって、総塩素含量を約25%低下させることができる(ここで、組成物中のフィラーの重量パーセントは、組成物中の何らかの硬化剤または促進剤を除いて、樹脂とフィラーとの混合重量に関して規定される)。更に、フィラーは、酸素バリア組成物の全体の粘度を上昇させ得る。例えば、少量(約2重量%)のCAB-0-SIL TS-720をRDGE/芳香族エポキシ組成物に添加することによって、全体の粘度を10倍に(例えば、約1000cpsから、約10,000cpsへ)増加させることができる。従って、添加されるフィラーの量は、所望する組成物特性に基づいて変化させることができる。特定の態様例において、フィラーの量は、約0.1重量%〜約80重量%のフィラー/樹脂およびフィラー混合物の範囲である。他の態様例において、その量は、約1重量%〜約50重量%のフィラー/樹脂およびフィラー混合物の範囲である。他の態様例において、その量は、約20重量%〜約80重量%のフィラー/樹脂およびフィラー混合物の範囲である。
【0041】
芳香族エポキシ樹脂および/またはフィラーに加えて、特定の硬化剤(すなわち開始剤)を酸素バリア組成物に添加して、酸素バリア性および硬化の容易さを向上させることができる。
以下に詳述するように、特定の硬化剤を酸素バリア組成物に添加することは、(i)包囲および/もしくはプリプレグ作成(即ち、「B−ステージ」硬化のための熱潜在性硬化;(ii)一段階での完全な硬化、ならびに/または、(iii)ハンダ・リフロー工程での完全な硬化を支援し得る。特定の態様例において、硬化剤は、アミン硬化剤である。アミン硬化剤は、良好な酸素バリア性を樹脂組成物に種々の方法で提供することを支援し得る。例えば、窒素分子の極性および水素結合能力は鎖間/鎖内相互作用によってより高い密度での充填をもたらすと、考えられている。更に、窒素原子上の複数の活性な水素原子を有するアミン硬化剤は、より高密度であって、従って向上した酸素ブロッキング能力を提供できる、枝分れしたおよび架橋された構造を形成することができる。いくつかのアミン硬化剤の中のもう1つの顕著な特徴は、硬化の間およびその後に、エーテル性の直鎖状の構造を形成する硬化剤よりも向上した、緻密な架橋された構造を得ることができる、多様な熱分解経路を呈するということである。
最後に、アミンは、湿性の二酸化炭素を捕捉してそれを重炭酸塩に添加し、更に酸素バリア組成物マトリクスのギャップを埋めて、酸素の進入を遅延させる能力を有する。
【0042】
1つの態様例において、アミン硬化剤は、芳香族アミン硬化剤である。芳香族アミン硬化剤は、芳香族基に直接的に結合する窒素基を有する化合物を含み、
そのような芳香族基は、式(V):

(V)
[式中、各R”は独立して、いずれかの置換基、例えば水素、アルキル基、およびその他の好適な基を有し得る。]
で示されるメタ置換芳香族アミンなどであってよいが、これに限定されない。オルト置換およびパラ置換された芳香族アミンも使用できる。特定の態様例において、メタ置換芳香族アミンは、それらの酸素バリア性のために選択される。
【0043】
追加の態様例において、アミン硬化剤は芳香族置換アミン硬化剤を含んでおり、そこにおいて、組成物は、アルキル基などの連結基(connector)によって芳香族基に連結される窒素基を有し、連結基は約20原子のスペーサ(下記のR’)、またはそれ以下のスペーサ(例えば、CH、O、Nおよびその他の好適なスペーサ)であってよい。芳香族置換アミン硬化剤は、式(VI):

(VI)
[式中、両R’基は、独立して、芳香族置換基と窒素との間で少なくとも1つのスペーサ原子として機能し、各R”は、独立して、いずれかの置換基、例えば水素、アルキル基など)を有しており、nは、1もしくはそれ以上のいずれかの整数である。]
で示されるが、これに限定されない。オルト置換およびパラ置換されたアミンも使用できる。特定の態様例において、メタ置換アミンが用いられる。いくつかの態様例において、nは1〜20の範囲の整数である。1つの態様例において、芳香族置換アミン硬化剤は、メタキシレンジアミンである。
【0044】
ある特定の態様例において、芳香族アミン硬化剤は、ジアミノジフェニルスルホンである。1つの市販されているものの例は、CVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance Materials(Cuyahoga Falls、オハイオ州、米国)から入手可能な3,3−ジアミノジフェニルスルホンであるOMICURE(登録商標)33 DDSである。
【0045】
1つの態様例において、芳香族アミンは、メタ−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メラミンなどのメタ置換芳香族アミン、およびそれらの組み合わせである。
【0046】
特定の態様例において、芳香族アミン中に存在する活性水素がエポキシ基の化学当量数と反応することになるため、酸素バリア組成物に含まれる芳香族アミン硬化剤の量は、組成物中に存在するレゾルシノールエポキシ樹脂および他の芳香族エポキシ樹脂の量に基づく。いくつかの態様例において、芳香族アミン硬化剤の量は、レゾルシノール/芳香族エポキシ樹脂の化学当量の10%または20%の範囲内である。
【0047】
他の態様例において、硬化剤は、無水物硬化剤である。ある特定の態様例において、無水物硬化剤は、芳香族無水物硬化剤である。無水物硬化剤の一例は、無水フタル酸である。
【0048】
特定の態様例において、硬化剤は、(i)一度に全硬化(即ち、A−ステージからC−ステージへの硬化)、(ii)B−ステージ硬化および/または(iii)B−ステージ組成物の完全な硬化を、ハンダ・リフロー工程で行うことができる熱硬化剤である。特定の態様例において、硬化剤は、ジシアンジアミド(DICY)、ジヒドラジド化合物、芳香族アミン、三フッ化ホウ素−アミン錯体、およびそれらの組み合わせから選択される。1つの態様例において、硬化剤は、DICYを含む。DICYの1つの市販されているものの例は、CVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance Materials(Cuyahoga Falls、オハイオ州、米国)から入手可能なOMICURE(登録商標)DDA 5である。
【0049】
特定の態様例において、硬化剤は、可視光硬化剤または紫外線硬化剤であってよい。これらの態様例において、硬化剤の目的は、光または紫外線照射にさらした場合に、メタ置換芳香族樹脂の重合を開始させることである。特定の態様例において、光硬化剤または紫外線硬化剤は、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせに結合する。いくつかの態様例において、光硬化剤または紫外線硬化剤は、フリーラジカル光重合開始剤である。メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂およびメタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂(例えば、レゾルシノールエポキシアクリレートまたはレゾルシノールエポキシメタクリレート)に有用なフリーラジカル光重合開始剤には、限定はされないが、光フラグメンテーション光重合開始剤および電子移動光重合開始剤が含まれるが、これに限定されるものではない。その例は、ベンゾインのアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−1−メチルフェノール−1−プロパノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、ハロゲン化アセトフェノン誘導体、芳香族化合物の塩化スルホニル、アシルホスフィンオキシドおよびビス−アシルホスフィンオキシド、ベンズイミダゾール、ベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、ハロゲン化されたアミノ官能性ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、フルオレノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、カンファキノン、ベンジル、ジメチルエタノールアミン、チオキサンテン−9−1誘導体、アセトフェノンキノン、メチルエチルケトン、バレロ−フェノン、ヘキサノフェノン、ガンマ−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン(dibenzosuberone)、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、ベンズアルデヒド、アルファ−テトラリン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[デ]−アントラセン−7−オン、1−ナフタアルデヒド、4,5’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、フルオレン−9−オン、1’−アセトナフトン、2’−アセトナフトン、2,3−ブタンジオン、およびそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。市販されているものの例には、Ciba(Tarrytown, ニュ−ヨーク州、米国)からのベンジルジメチル−ケタールであるCiba IRGACURE 651(登録商標)、Cytec Industries(West Paterson、ニュージャージー州、米国)からのベンゾフェノンフェニルケトン共晶であるAdditol BCPK、およびCiba(Tarrytown, ニュ−ヨーク州、米国)からのホスフィンオキシドであるCiba IRGACURE(登録商標)を含む。
【0050】
酸素バリア組成物に添加することが可能である硬化剤の量に関して、添加する量は、通常、酸素バリア組成物中に存在する樹脂全体を百部とした場合の、硬化剤の部数(「phr」)で記される。特定の態様例において、その量は、約0.1phr〜約40phr(すなわち、全樹脂100グラムあたり40グラムの硬化剤)の範囲、約0.1phr〜約5phrの範囲、または約10phr〜約40phrの範囲である。1つの態様例において、硬化剤の量は、約5phr(すなわち、全樹脂100グラムあたり5グラムの硬化剤)である。
【0051】
硬化剤が光硬化剤または紫外線硬化剤である場合における特定の態様例では、添加される硬化剤の量は約0.1phr〜約5phrの範囲である。
【0052】
特定の態様例において、促進剤を添加して、硬化プロセスの速度を上げるか、または熱潜在性硬化またはワンタイム硬化のための温度を低下させることができる。特定の態様例において、促進剤は、硬化剤と組み合わせて添加される。特定の態様例において、促進剤の量は、約0.1phr〜約40phrの範囲、約0.1phr〜約5phrの範囲、または約10phr〜約40phrの範囲である。1つの態様例において、促進剤の量は、約5phrである。
【0053】
種々の熱硬化促進剤は、従来技術において知られており、フェニル尿素、三塩化ホウ素アミン錯体、イミダゾール、脂肪族ビス尿素、フェノール、レゾルシノールおよびそれらの組み合わせを含む。1つの態様例において、酸素バリア組成物のための有効な促進剤はフェニル尿素であり、ここで、フェニル尿素は、より緻密な充填および鎖間/鎖内相互作用によって良好な酸素バリア特性を提供することを更に支援し得る窒素含量を有する。フェニル尿素促進剤の例は、フェニルジメチル尿素、4,4’−メチレンビス(フェニル‐ジメチル尿素)、2,4’−トルエンビス(ジメチル尿素)およびそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。フェニル‐ジメチル尿素の市販されているものの例は、CVC Thermoset Specialties Division of Emerald Performance Materials(Cuyahoga Falls、オハイオ州、米国)から入手可能なOMICURE(登録商標)U-405またはU-405Mである。4,4’−メチレン−ビス−(フェニル‐ジメチル尿素)の市販されているものの例は、OMICURE(登録商標) U−52またはU−52Mである。2,4’−トルエンの市販されているものの例は、OMICURE(登録商標) U−52またはU−52Mである。もう1つの態様例において、促進剤は、三塩化ホウ素アミン錯体(OMICURE(登録商標)BC−120として入手できる)である。もう1つの態様例において、促進剤は、2−エチル−4−メチル−イミダゾール(OMICURE(登録商標)24 EMIとして入手できる)である。もう1つの態様例において、促進剤は、脂肪族ビス尿素(OMICURE(登録商標) U-35 or U-35Mとして入手できる)である。
【0054】
もう1つの態様例において、メタ置換フェノールを、芳香族エポキシ樹脂およびDICYと結合する場合の促進剤(accelerator )として使用することができる。1つの態様例において、フェノールは、レゾルシノールである。もう1つの態様例において、フェノールはフロログルシノールである。レゾルシノールなどのメタ置換フェノールを促進剤として使用することは、それによって樹脂マトリクスの中に追加のメタ置換芳香族樹脂を導入して、酸素バリア特性を更に向上させ得るため、有利であり得る。
【0055】
1つの態様例において、DICYおよびフェニル尿素促進剤の組合せは、極性および向上したバリア特性のための高いアミン含量、ならびに、架橋および分岐のための多官能性部位を提供する。1つの態様例において、DICYは、フェニル‐ジメチル尿素と組み合わされる。1つの態様例において、DICYは、4,4’−メチレンビス−(フェニル‐ジメチル尿素)と組み合わされる。もう1つの態様例において、DICYは、2,4’−トルエン−ビス−(ジメチル尿素)と組み合わされる。もう1つの態様例において、DICYは、脂肪族ビス尿素(特に、OMICURE(登録商標) U-35 or U-35M)と組み合わされる。
【0056】
1つの態様例において、酸素バリア組成物は、組成物の約1重量%〜約100重量%の範囲のメタ置換芳香族樹脂(例えば、RDGE)、および場合により、
(i)約0.1重量%〜約99重量%の範囲の芳香族エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール−F);
(ii)約0.1重量%〜約80重量%の範囲のフィラー(例えば、アルミナ、シリカ、または板状フィラー);
(iii)約0.1phr〜約40phrの範囲の硬化剤(例えば、DICYまたは芳香族アミン硬化剤);ならびに
(iv)約0.1phr〜約40phrの範囲の、硬化剤と共に使用される促進剤(例えば、フェニル尿素)
の少なくとも1つを含む。
【0057】
もう1つの態様例において、酸素バリア組成物は、樹脂の全重量の約10重量%〜約40重量%の範囲のレゾルシノール系樹脂(例えば、RDGE);樹脂の全重量の約10重量%〜約80重量%の範囲の芳香族エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール−F);フィラー/樹脂およびフィラー混合物で、約0重量%〜約80重量%の範囲のフィラー(例えば、アルミナ、シリカまたは板状フィラー);約0.1phr〜約40phrの範囲のアミン硬化剤(例えば、DICY);ならびに約0.1phr〜約40phrの範囲の、硬化剤と共に使用される、促進剤(例えば、フェニル尿素)を含む。
【0058】
1つの態様例において、酸素バリア組成物は、全樹脂重量の約25重量%のRDGE、全樹脂重量の約75重量%のビスフェノール−F芳香族化合物エポキシ樹脂、アミン硬化剤としての約5phrのDICY;および約5phrのフェニル尿素促進剤を含む。
【0059】
種々の物理的またはパフォーマンスベース特性は、酸素バリア組成物を目標として、特定の成分を特定の量で使用する選択を指示することができる。例えば、酸素バリア組成物は、目標の塩素または全ハロゲン含量、低い粘度、高い酸素バリア性、特定の固形分(すなわち、限定された量の溶媒もしくはVOC)、優れた耐薬品性、電気デバイスまわりのバリアコーティングを加工する際の可撓性、および種々の物質に対する優れた付着性を有し得る。
【0060】
特定の態様例において、酸素バリア組成物は、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、または約900ppm未満の塩素含量を有する。もう1つの態様例において、酸素バリア組成物は、約1500ppm未満の塩素含量を有する。いくつかの態様例において、酸素バリア組成物は、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、または約900ppm未満の(臭素および塩素を合わせた)全ハロゲン含量を有する。
【0061】
特定の態様例において、低粘度は、適用を容易にするために望ましい特性である。1つの態様例において、酸素バリア組成物の粘度は、約200〜約50,000cpsの範囲である。もう1つの態様例において、粘度は、約200〜約10,000cpsの範囲である。もう1つの態様例において、粘度は、約200〜約1000cpsの範囲である。
【0062】
特定の態様例において、酸素バリア組成物は、酸素についての高いバリア特性を目標とすることができる。1つの態様例において、組成物の酸素透過性は、1平方メートルの面積あたりで1ミリメートルの厚みを有するサンプルを透過する酸素を立方センチメートルとして測定して、約0.4cm・mm/m・atm・日(1cmmil/100in2atm日)未満である。透過速度は、0%の相対湿度、および1気圧の部分的圧力差の下、23℃の温度にて、24時間にわたって測定する。酸素透過性は、Mocon, Inc.(Minneapolis、ミネソタ州、米国)から供給される装置で、ASTM F−1927を用いて測定することができる。特に規定しない限り、酸素透過性は約0%の相対湿度での測定値に基づく。
【0063】
いくつかの態様例において、組成物の酸素透過性は、約0.3cm・mm/m・atm・日未満;約0.2cm・mm/m・atm・日未満;約0.1cm・mm/m・atm・日未満;約0.05cm・mm/m・atm・日未満;または約0.01cm・mm/m・atm・日未満である。
【0064】
特定の態様例において、酸素バリア組成物は、全酸素バリア組成物の約90重量%を超える固形分を有する。他の態様例において、固形分は、組成物の約95重量%より高い。他の態様例において、酸素バリア組成物は、溶剤を実質的に含まず(すなわち、溶媒は組成物全体の約1重量%未満であるか、または組成物全体のほぼ100重量%が固体である)、揮発性有機化合物を実質的に含まない(すなわち、VOC含量は組成物全体の1重量%未満である)。
【0065】
酸素バリア組成物のゲル化時間は、有意義なパラメータであり得る。ゲル化時間は、特定の温度(例えば、171℃)で組成物の成分の混合を開始してから、組成物が粘性液体から、所定の記憶を有するエラストマ−へ変化するまでに要する時間である。特定の態様例において、約171℃で混合した場合に、酸素バリア組成物についてのゲル化時間は、約150秒〜約250秒の範囲である。
【0066】
本願明細書に記載する種々の態様例は、種々の電気デバイスまたはそのたのデバイスに用いることができる。特定の態様例において、酸素バリア組成物は、例えば過電流デバイスまたは過電圧デバイスなどの回路保護デバイスに用いられる。特定の態様例において、酸素バリア組成物は、例えば、米国特許第7,371,459号(参照することによって本明細書に含まれる)に規定されるようなPPTCデバイスに使用される。種々のPPTCデバイスは、表面実装部デバイス(SMD)およびバッテリストラップデバイスを含む。特定の態様例において、酸素バリアは、例えば、本願と同時に出願された、「Oxygen-Barrier Packaged Surface Mount Device」という表題の、米国特許出願第12/460,349 号(Navarro ら)(参照することによって本明細書に含まれる)に記載されているような種々のSMDを包囲することができる。特定の態様例では、使用する特定の電子デバイスに基づいて、酸素バリア組成物の厚みは約0.05−0.65mm(2−25mil)の範囲で変動し得る。
【0067】
酸素バリア組成物は、種々の形態の電気デバイスに適用することができる。1つの態様例において、酸素バリア組成物は、電気デバイスに対するコーティングまたは封入剤として適用することができる。特に、酸素バリア組成物は、SMDまたはバッテリストラップデバイスを封止することができる。
【0068】
もう1つの態様例において、酸素バリア組成物は、B−ステージ化可能な「プリプレグ」シートにより電気デバイスに適用することができる。例えば、酸素バリア組成物は、(典型的には、布を組成物樹脂に浸漬することによる)ガラス繊維の布に適用され、その後、ガラス繊維および酸素バリア組成物を部分的に硬化させて、B−ステージとすることができる。部分的に硬化させた樹脂は、完全に硬化しておらず、加工可能な状態で残り、該プリプレグは成形したり、電気デバイスのまわりで流動させたりすることができ、その時点でデバイスは充分に硬化させることができる(即ち、C−ステージ硬化)。1つの態様例において、電気デバイス(例えば、PPTCデバイス)は、プリプレグシートどうしの間にラミネートすることができる。
【0069】
もう1つの態様例において、酸素バリア組成物は、部分的に硬化させた、B−ステージパウダー、ペレット、テープ、フィルムまたはプリプレグシートとして、電気デバイスに適用することができる。いくつかの態様例において、組成物は、粉体塗装、トランスファー成形またはシート積層として適用される。1つの態様例において、B−ステージ組成物は、電気デバイスなどの基材の裏層を被覆することができる。もう1つの態様例において、B−ステージ組成物は、電気デバイスなどの基材上に静電的に吹き付けることができる。このことは、R−線、遠隔通信、または半導体パッケージングなどの電気デバイスへの適用に有用な方法であり得る。
【0070】
特定の態様例において、酸素バリア組成物は、約23℃(すなわち室温)にて、既知の2液式エポキシ製剤と比較して、ポットライフ(貯蔵寿命)を改良することができ、そこでのポットライフは23℃にて約6〜24時間である。ある態様例において、酸素バリア組成物のポットライフは、少なくとも約3ヶ月、または約23℃にて少なくとも約6ヶ月である。ある態様例において、硬化剤としてDICYを含有する酸素バリア組成物のポットライフは、少なくとも約3ヶ月、または約23℃にて少なくとも約6ヶ月である。もう1つの態様例において、硬化剤としてDICYを含有する酸素バリア組成物のポットライフは、約23℃にて、約3ヶ月〜約6ヶ月の範囲である。いくつかの態様例において、酸素バリア組成物のポットライフは、0℃では無限である。
【0071】
酸素バリア組成物は、多くの異なる方法によって硬化させることができる。1つの態様例において、組成物は、単一の熱ステージにおいて、充分に硬化させられる(即ち、C−ステージ硬化)。組成物を充分に硬化させるための操作温度は、組成物の成分(すなわち、促進剤が存在する場合もしくはしない場合)およびその高温に保持される時間などを含む特定の変数に基づいて変動し得る。特定の態様例において、促進剤の有無にかかわらず、ワンタイム完全硬化は、約150℃〜約260℃間の温度範囲にて、約1〜6時間で達成することができる。
【0072】
もう1つの態様例において、酸素バリア組成物は、熱不顕性(B−ステージ硬化)で、部分的に硬化できる。上述したように、この部分硬化方法は、他の態様例の中でもプリプレグに有用である。部分的に硬化させた樹脂によって、酸素バリア組成物を、加工可能で、完全に硬化しておらず、電気デバイスのまわりでバリア組成物を成形させたり流動させたりすることができる、順応性のある半硬化乾燥フィルムにすることができる。B−ステージ硬化のための操作温度は、組成物の成分を含む特定の変数(すなわち、促進剤の有無にかかわらず)および高温に保たれる時間に基づいて、変動し得る。特定の態様例において、部分硬化の温度は、促進剤の有無にかかわらず、約5分から数時間までの時間(例えば、約2〜24時間)の間に、約25℃〜約150℃の範囲で変動できる。
【0073】
特定の態様例において、組成物を部分的に硬化させ、B−ステージ組成物を電気デバイスに適用した後に、組成物を充分に硬化させることができる。特定の態様例において、約125℃〜約170℃の範囲の高温で、最終的な硬化を行うことができる。もう1つの態様例において、B−ステージ組成物の最終硬化は、組成物のハンダ・リフローによって達成される。ハンダ・リフローは、典型的に、約260℃程度の高温で行われる。ハンダ・リフロー工程は、初期の硬化および電気デバイスコーティングのサイトで、または、いくつかの中間での経由地で、または、エンドユーザーによって行うことができる。1つの態様例において、最終硬化はハンダ・リフロー工程によって達成されるが、そこで酸素バリア組成物および電気デバイスは約260℃まで加熱される。1つの態様例において、ハンダ付け工程は、同時に2つの目的を達成する。そこにおいて、両方のバリア組成物は充分に硬化して、第1の電気部品は同時に第2の電気部品にハンダ付けされる。
【0074】
もう1つの硬化態様例において、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂またはそれらの組み合わせを含む酸素バリア組成物は、紫外光によって、硬化させることができる。紫外線硬化は、フリーラジカル光重合開始剤によって達成することができる。発明者らは、より劣る酸素バリア特性を有するポリエーテル構造を形成し得るカチオン硬化よりも、より強い架橋およびより高い密度を有する向上した酸素バリア性を有するポリマーをフリーラジカル硬化が形成し得るということを見出した。
【0075】
メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂またはメタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂(例えば、レゾルシノールエポキシアクリレートまたはレゾルシノールエポキシメタクリレート)に有用なフリーラジカル光重合開始剤には、限定はされないが、光フラグメンテーション光重合開始剤および電子移動光重合開始剤が含まれるが、これに限定されるものではない。その例は、ベンゾインのアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−1−メチルフェノール−1−プロパノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、ハロゲン化アセトフェノン誘導体、芳香族化合物の塩化スルホニル、アシルホスフィンオキシドおよびビス−アシルホスフィンオキシド、ベンズイミダゾール、ベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、ハロゲン化されたアミノ官能性ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、フルオレノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、カンファキノン、ベンジル、ジメチルエタノールアミン、チオキサンテン−9−1誘導体、アセトフェノンキノン、メチルエチルケトン、バレロ−フェノン、ヘキサノフェノン、ガンマ−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン(dibenzosuberone)、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、ベンズアルデヒド、アルファ−テトラリン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[デ]−アントラセン−7−オン、1−ナフタアルデヒド、4,5’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、フルオレン−9−オン、1’−アセトナフトン、2’−アセトナフトン、2,3−ブタンジオン、およびそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。市販されているものの例には、Ciba(Tarrytown, ニュ−ヨーク州、米国)からのベンジルジメチル−ケタールであるCiba IRGACURE 651(登録商標)、Cytec Industries(West Paterson、ニュージャージー州、米国)からのベンゾフェノンフェニルケトン共晶であるAdditol BCPK、およびCiba(Tarrytown, ニュ−ヨーク州、米国)からのホスフィンオキシドであるCiba IRGACURE(登録商標)を含む。
【0076】
追加の態様例において、組成物は、紫外線−熱「二重硬化(dual cure)」を受ける。この態様例において、酸素バリア組成物は、熱潜在性硬化することができる(B−ステージ化され得る)メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂(例えば、RDGE)およびメタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、または紫外線硬化することができるメタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂(例えば、レゾルシノールエポキシアクリレートまたはメタクリレート)を含む。所定量のフリーラジカル光重合開始剤(例えば、上述した化合物)を組成物に添加することによって、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂もしくはメタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂の紫外線硬化を支援することができる。更に、所定量の熱潜在性硬化剤を組成物に添加することによって、レゾルシノールエポキシ樹脂(例えば、芳香族アミン、無水物、DICYなど)の熱硬化を支援することができる。組成物は、2種の硬化剤含めて、UVフリーラジカル重合によって部分的に硬化させて半硬化乾燥状態とすることができる。この硬化工程の間、レゾルシノールエポキシ樹脂は、実質的に未重合の状態にとどめることができる。組成物は、それから、熱によって、エポキシ成分の最終的な熱硬化を受けることができる。
【実施例】
【0077】
実施例1
電子デバイス用の、RDGEを含有する100%固体の低塩素酸素バリア封入剤製剤
プラスチックビーカー内で、約2500ppmの総塩素濃度を有する、溶融させたレゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE、CVC Thermoset Specialties)25gを、約300ppmの総塩素濃度を有するビスフェノール−Fエポキシ(YL-983U、ジャパン・エポキシ・レジン社)75グラムと合わせて充分に混合した。この均質で清澄な薄黄色の溶液に、ジシアンジアミド(Omicure DDA 5、CVC Thermoset Specialties)5グラム、および、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)(Omicure U-52、CVC Thermoset Specialties)5グラムを添加して充分に混合して不透明な懸濁液を作成した。混合物の総塩素含量は、個々の成分の塩素分析から773ppmであると計算された。Parr bomb酸化的熟成(oxidative digestion)を用いて組成物の独立した実験室分析を行った後、イオンクロマトグラフィーによって798ppmの全塩素であることが報告された。
【0078】
低抵抗率金属フィラーを含む酸化感受性のPPTCデバイスを、上述した製剤製剤を用いて手作業でまたは自動化手段でコーティングまたは封止し、炉内で125℃、1時間で部分的に硬化させて、デバイスのフォームファクターまたはパッケージングスキームに応じて、約0.05〜0.065mm(2〜25mil)の厚さの、順応性のある半硬化乾燥フィルムを作成した。このようにして部分的に硬化させた固体エポキシ内に封入されたデバイスを更に処理して、機能的なパッケージを作成した。最終的硬化は、示差走査熱量測定によって確認しながら、260℃のハンダ・リフロー工程の間に達成した。
【0079】
別法として、エポキシ製剤を170℃の熱に2時間さらすことによって、ワンステップで硬化させた。封入した製剤の、酸素および湿分バリア特性は、Mocon Industriesからの装置を用いて試験することができる、ASTM F-1927などの工業規格を用いる試験によって確認することができる。
【0080】
上記の処理およびパッケージングによって得られるPPTCデバイスは、リードが付けられ、高い酸素分圧での促進酸化テストに付された。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0081】
実施例2
テトラグリシジルメタ−キシレンジアミンを含有する、電子デバイス用の100%固体の低塩素酸素バリア封入剤製剤
プラスチックビーカー内で、約2500ppmの総塩素濃度を有する、テトラグリシジルメタ−キシレンジアミン(ERISYS(登録商標) GA-240、CVC Thermoset Specialties)25gを、約300ppmの総塩素濃度を有するビスフェノール−Fエポキシ(YL-983U、ジャパン・エポキシ・レジン社)75グラムと合わせて充分に混合する。この均質で清澄な薄黄色の溶液に、ジシアンジアミド(Omicure DDA 5、CVC Thermoset Specialties)4グラム、および、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)(Omicure U-52、CVC Thermoset Specialties)3グラムを添加して充分に混合して不透明な懸濁液を作成する。混合物の総塩素含量は773ppmである。
【0082】
低抵抗率金属フィラーを含む酸化感受性のPPTCデバイスを、上述した製剤製剤を用いて手作業でまたは自動化手段でコーティングまたは封止し、炉内で125℃、1時間で部分的に硬化させて、デバイスのフォームファクターまたはパッケージングスキームに応じて、約0.05〜0.065mm(2〜25mil)の厚さの、順応性のある半硬化乾燥フィルムを作成する。このようにして部分的に硬化させた固体エポキシ内に封入されたデバイスを更に処理して、機能的なパッケージを作成する。最終的硬化は、260℃のハンダ・リフロー工程の間に達成する。
【0083】
実施例3
電子デバイス用の、高ガラス転移温度で100%固体の低塩素酸素バリア封入剤製剤
実施例1の製剤のガラス転移温度(Tg)を、二機能性樹脂の量を変化させたり、添加したり、置換したりして、許容される酸素バリア性および低い総塩素レベルを維持しながら、調整または操作した。実施例1に記載した充分に硬化させたエポキシ製剤のガラス転移温度を、以下のようにして、110℃から160℃に上昇させた:
プラスチックビーカー内で、約2500ppmの総塩素濃度を有する、溶融させたレゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE、CVC Thermoset Specialties)25gを、低塩素(約900ppm)二機能性蒸留ナフタレン型液体エポキシ樹脂(EPICLON HP-4032D、DIC Corporation、日本)と合わせて充分に混合した。この均質で清澄な薄黄色の溶液に、ジシアンジアミド(Omicure DDA 5、CVC Thermoset Specialties)5グラム、および、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)(Omicure U-52、CVC Thermoset Specialties)5グラムを添加して充分に混合して不透明な懸濁液を作成する。混合物の総塩素物質収支は、1182ppmであると計算された。この製剤のガラス転移温度(Tg)は、実施例1に記載した硬化スケジュール後の示差走査熱量測定によって、160℃であることが判った。実施例1に記載したような工業規格の方法を用いてテストすることによって、この製剤に封入されるPPTCデバイスの確認を行った。
【0084】
実施例4
電子デバイス用の、極低塩素高ガラス転移温度で100%固体の低塩素酸素バリア封入剤製剤
実施例3に記載した製剤にDenka FB-5D溶融シリカフィラー(24重量%のフィラー/樹脂およびフィラー混合物)を添加することによって変更を加え、製剤の総塩素レベルを1182ppmから約897ppmへ低下させた。
【0085】
実施例5
電子デバイス用の、高充填された極低塩素低粘度100%固体低塩素酸素バリア封入剤製剤
50:50重量%比のRDGE:YL983UとDenka FB-SD溶融シリカフィラー(D50=4.8ミクロン)とを用いて、実施例1に記載したものと同様の900ppm未満の塩素レベルを有する低収縮性アンダーフィル製剤を調製した。Denka製品を添加することによって、低い塩素濃度(900ppm未満)、良好なバリア特性、低粘度、および低減したエポキシの使用などの複数の目標が達成された。50重量%シリカ充填製剤によって、636ppmの総塩素を有する硬化した樹脂マトリクスが提供された。上記の処理およびパッケージングによって得られるPPTCデバイスは、リードが付けられ、高い酸素分圧での促進酸化テストに付された。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0086】
実施例6:
電子デバイス用の、高粘度の100%固体低塩素酸素バリア封入剤製剤
実施例1に記載した製剤は、1000cpsのブルックフィールド粘度を有していた。実施例1の製剤に、2重量%のCabot CAB-0-SIL TS-720ヒュームドシリカを添加することによって、Flak-Tek Speed mixer内で混合した後の粘度は10倍に増大した。このようにして得られた製剤は、バリアコーティングの滴下(drip)及び流動(run)による自由な適用が可能であった。
【0087】
実施例7
電子デバイス用の、高粘度100%固体低塩素酸素バリア封入製剤
電子デバイスの封入またはB−ステージエポキシ含浸ガラス繊維シートの調製に好適な、高粘度酸素バリア製剤を、以下のようにして調製した。10gの2270エポキシ当量重量の固体ビスフェノール−F樹脂(Epikote 4007P、ジャパン・エポキシ・レジン社)を、25gの溶融させたレゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE、CVC Thermoset Specialties) に50℃で溶かして、1時間攪拌した。この暖かい混合物に、65グラムのビスフェノール−Fエポキシ(YL-983U, ジャパン・エポキシ・レジン社)を添加して、均質になるまで充分に攪拌した。25℃まで冷却した後、溶液のブルックフィールド粘度は、15,000cps(速度10、スピンドル3および4)であった。適量の溶媒(例えば、メチルエチルケトン)を添加することによって、粘稠溶液の希釈化(thinning)またはカットを(必要に応じて)達成することができる。混合物の総塩素含量は、837ppmであった。
以下の表1に示すように、所望の粘度を達成すべく成分を変動させることによって、種々の混合物を調製した。
【0088】
10gのビス−F/25gのRDGE/65gのビス−F混合物の硬化は、5グラムのジシアンジアミド(Omicure DDA 5、CVC Thermoset Specialties)の添加によって達成される。そして、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)(Omicure U-52、CVC Thermoset Specialties)を添加して充分に混合して、不透明な懸濁液が生成する。実施例1に概説したものと同様の方式を用いることができる。別法として、5phrDICY及び2phrフェニル尿素促進剤を含む製剤を、150℃にて、2時間で硬化させる。最終的硬化は、窒素雰囲気でのハンダ・リフロー工程において達成される。
【0089】
実施例8:
B−ステージ化可能な低塩素酸素バリアガラス繊維プリプレグシートの製造
エポキシ含浸させたB−ステージ化可能なガラス繊維シートを作成するために、RDGEおよびビスフェノール−F ノボラック樹脂をベースとする酸素バリアエポキシ製剤を調製した。熱および圧力を適用することによって、PPTCデバイスを酸素バリアプリプレグの中に順応的に封入して、最終的硬化またはC−ステージを達成し、これによって酸素の侵入から保護した。後述するプリプレグシートの総塩素含量は、適切なフィラーおよび/またはガラス繊維補強布によって総エポキシ塩素を希釈することによって、1500ppm未満である。
【0090】
合計4種の製剤を開発し、1080 Eグレードのガラス織布にコーティングした。下記の表1に示すように、2種の樹脂(ERISYS RDGE-H (CVC Thermoset Specialties)および3.6官能性のエポキシフェノールノボラック樹脂EPPALOY 8350 (CVC Thermoset Specialties))をビーカー内で合せて、充分に混合した。製剤のための硬化パッケージは、3.5phrジシアンジアミド(DICY, Omicure DDA 5, CVC Thermoset Specialties)および促進剤としての0.03phr 2−メチルイミダゾール(2MI)から形成されていた。粘度の増大および容易な取り扱いのために、オルガノクレイフィラー(Cloisite 10A、Southern Clay Products)の、約2重量%のフィラー/樹脂およびフィラー混合物を製剤3に使用した。ゲルテスターを用いて、種々の割合での反応性について樹脂をスクリーンして、ゲル化時間を測定した。ゲル化時間および粘度に基づいて、以下の製剤は、手で引くプリプレグの調製に適すると考えた:
【表1】

表1 酸素バリア組成物の製剤およびそれらのゲル化時間
【0091】
ゲル化時間を決定して、B−ステージ化条件を最適化した。典型的に、150〜250秒のゲル化時間は、実行可能なB−ステージ化条件と解釈される。4つの製剤すべてにおいて、約60+/−2重量%のバリア組成物/ガラス繊維混合物が樹脂含量(残りの約40重量%はガラス繊維であるとする)の対象となり、10〜20%の樹脂流れは樹脂流れについてのIPC試験法TM−650−2.3.17を使用した。B−ステージ化条件は171℃で5〜6分の範囲であった。ハンドプリングステーションを使用して、樹脂含有率を60+/−2重量%(樹脂)にすることを試み、そして維持した。標準的エポキシラミネートサイクル(360°Fで90分)を用いて、各製剤についての単一層ラミネートを作成し、そして、ガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。結果を以下の表2にまとめる:
【表2】

表2 ガラス溶融温度比較
【0092】
実施例9
B−ステージ化可能な超低塩素酸素バリアガラス繊維プリプレグシートの製造
B−ステージ化可能なプリプレグシートを、実施例8と同様にして調製するが、実施例7に記載したような高粘性樹脂系を使用した。プリプレグシート(60重量%の樹脂)の総塩素含量は502ppmである。
【0093】
実施例10:
PPTCデバイスの封入のためのB−ステージ化可能な低塩素酸素バリアガラス繊維プリプレグシートの使用方法
CNCルーテッドポケット(即ち、2.46mm×2.13mm×0.41mm)を有する、0.41mm厚さのC−ステージFR4コア層を、1層の1060E−グレードガラス酸素バリアプリプレグシートおよび0.25オンス/平方フィートの銅箔に粘着ラミネートした。プリプレグシートは、実施例8に詳述した4種の製剤のうちの1つを利用した。粘着ラミネーションは、油圧ラミネーションプレス(hydraulic lamination press)において圧力および熱を用いて行った。粘着ラミネーションプロファイルは、1〜2分間の150℃の温度および100〜150psiの圧力を使用した。粘着ラミネーションの後、PPTCデバイス(すなわち2.25mm×1.84mm×0.38mm)を、タックラミネートしたC−ステージFR4コアのポケットに装着した。B−ステージ化されたプリプレグ樹脂をPPTCチップのまわりでゲル化、流動化および充填させるラミネーションプロセスを用いて、PPTCチップをC−ステージFR4コアの中でB−ステージ化された酸素バリアプリプレグシートにより封入した。ラミネーションプロセスは、バキュームアシストされた油圧ラミネーションプレスによって行った。封入ラミネーションプロファイルは、以下の表3に示すパラメータを使用した。
【表3】

表3:封入ラミネーションプロセス条件
【0094】
実施例11:
PPTCデバイス封入のための、A−ステージ樹脂およびB−ステージ化可能な低塩素酸素バリアガラス繊維プリプレグシートの使用方法
PPTCデバイス(すなわち2.25mm××1.84mm×0.38mm)を、厚さ0.41mmのC−ステージFR4コアの中にCNCルーテッドポケット(即ち、2.46mm×2.13mm×0.41mm)を用いて装着した。C−ステージFR4コアの片側に、接着剤(すなわち、ポリイミドフィルム)を用いて一時的フィルムを適用する。実施例1に記載したA−ステージバリアエポキシ樹脂製剤を、C−ステージコアポケットに適用して、PPTCデバイスのまわりを充填した。適用されたバリアエポキシ樹脂を有するコアは、30mmHg真空下、6〜24時間で脱気された。適用されたバリアエポキシ樹脂を有するコアを、その後、150℃の熱対流炉内で60分間ベークして、A−ステージバリアエポキシをほぼC−ステージ状態へ硬化させた。過剰硬化エポキシは、研磨プロセスにてコアの表面を平坦化することによって除去した。コアは、その後、酸素燃焼プラズマプロセスで処理して、ラミネーションのためのエポキシ表面を調製した。プラズマサイクルの条件は、以下の表4に示す。
【表4】

表4:プラズマサイクル条件
【0095】
プラズマ処理の後、銅箔は、106E−ガラスFR4プリプレグシートを用いて、コアの両側にラミネートした。ラミネーションプロセスは、表3のプロセス条件用いる真空支援油圧プレスを用いて行った。
【0096】
上記の処理およびパッケージングから得られたPPTCデバイスは、リードが付けられ、高い酸素分圧での促進酸化テストに付された。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0097】
実施例12:
電子デバイス用の、B−ステージ化可能な芳香族アミンを硬化させた低い塩素酸素バリア封入剤製剤
芳香族アミン硬化剤3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(OMICURE(登録商標)33DDS、62.1 g/H mole eq.、CVC Thermoset Specialties)を使用して、1ポットB−ステージ化可能製剤を調整した。OMICURE 33DDSは、その低いハロゲン含量で知られている。適切な硬化を達成するように製剤中のエポキシ基のモル数を計算し(所与のEEWまたはエポキシ当量重量)、そして、それらのエポキシ基と反応させるのに必要な活性アミン水素のモル数を決定する。例えば、プラスチックビーカー内で、25gの溶融させたレゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE、120EEW、CVC Thermoset Specialties)を、75グラムのビスフェノール−Fエポキシ(YL-983U、ジャパン・エポキシ・レジン社)と合わせて充分に混合した。25gのRDGEのエポキシの総モル数は0.21である。75gのYL983Uのエポキシの総モル数は、0.44である。充分に撹拌された混合物に、40.4gのOMICURE 33DDS(62.1g/モルH)を30℃で添加して、均一化する。このように得られた混合物は、直接使用してもよいし、あるいは、好適なフィラーが添加されて粘度特性が調整されてもよい。酸化感受性PPTCデバイスへの適用の後、コーティングを炉内で100℃にて2〜6時間で部分硬化させて、デバイスのフォームファクターまたはパッケージングスキームに応じて、約0.05〜0.065mm(2〜25mil)の厚さの順応性のある半硬化乾燥フィルムを作成する。部分的に硬化した固体エポキシの中にこのように封入したデバイスを更に処理して、機能的なパッケージを作成した。最終的硬化は、示差走査熱量測定によって確認されるように、260℃ハンダ・リフロー工程の間に達成される。
【0098】
実施例13
電子デバイス用の、DICY硬化およびレゾルシノール促進した、低塩素酸素バリア封入剤製剤
DICY硬化剤およびレゾルシノール促進剤を用いる1ポット製剤について説明する。本願明細書において、レゾルシノールは、硬化の温度を低下させること、および、組成物の酸素バリア特性を更に向上させることの両方の促進剤として機能する。レゾルシノール促進および向上した酸素バリア特性のために、使用するモル比は、1エポキシ≧0.4OH≧0.6NHという関係である。この比に従って、そして、適切な硬化を達成するように製剤中のエポキシ基のモル数(所与のEEWまたはエポキシー当量重量)、ならびに、それらのエポキシ基と反応する活性なレゾルシノール水素のモル数及び活性なDICYを計算する。例えば、プラスチックビーカー内で、75グラムのビスフェノール−Fエポキシ(YL-983U、ジャパン・エポキシ・レジン社)と、9.7gのレゾルシノール(INDSPEC Chemical Corporation、Petrolia、ペンシルベニア州、米国)とを合わせて充分に混合した。75gのYL983Uのエポキシの総モル数は、0.44である。よく撹拌された混合物に、5.5gのOMICURE DDA 5(21g/モルH、CVC Thermoset Specialties)を添加し、更に10分間撹拌する。このように得られた混合物は、直接使用してもよいし、あるいは、好適なフィラーが添加されて粘度特性が調整されてもよい。酸化感受性PPTCデバイスへの適用の後、コーティングを炉内で125℃にて2時間で部分硬化させて、デバイスのフォームファクターまたはパッケージングスキームに応じて、約0.05〜0.65mmの厚さ(2〜25milの厚さ)の順応性のある半硬化乾燥フィルムを作成する。部分的に硬化した固体エポキシの中にこのように封入したデバイスを更に処理して、機能的なパッケージを作成した。最終的硬化は、示差走査熱量測定によって確認されるように、260℃ハンダ・リフロー工程の間に達成される。この組成物の塩素含量は、約600ppmである。
【0099】
実施例14
電子デバイス用の、照射線硬化可能な100%固体酸素バリア封入剤製剤
バイアル中で、9グラムのレゾルシノールエポキシアクリレート、(NEOPOL 8312、Japan U-PiCA, 10Cps、酸素透過速度:0.1cm・mm/m・日・atm)と、1グラムのリン酸エステルアクリレート(Sartomer CD 9050、20 cps)とを合わせて充分に混合して、PPTC回路保護デバイスに対する付着性及び向上したウェットアウト性を有する均一な溶液を生じさせた。この溶液に、1:1のベンゾフェノンフェニルケトン共晶光重合開始剤(Additol BCPK、Cytec industries)0.3gを添加して、充分に混合した。酸化感受性の高い3×4mmの放射状にリード付けされたPPTCチップに製剤を、ブラシを用いてまたは浸漬して、手作業でコーティングし、炉内で50℃にて20分間暖め、気泡を除去し、コーティングの順応性を向上させた。炉から取り出した後、エポキシの過剰にプールされたドロップを軽くはたくことによってパーツから除去し、パーツをLoctite 紫外線硬化システムへ移し、300Wの水銀ランプからの800mJ/cmの線量の紫外線にさらした。露光を繰り返して、デバイスの両側を三次元的に確実に硬化させた。
【0100】
上記の処理によって得られるPPTCデバイスを、高い酸素分圧での促進酸化テストに付した。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0101】
実施例15
電子デバイス用の、照射線硬化可能な100%固体低塩素酸素バリア封入剤製剤
実施例14における方法に従って、低塩素NEOPOL 8312(特別に精製した低塩素レゾルシノールジグリシジルエーテル(1000ppmの総Cl)に由来する)を、環式のアクリル酸エステル(Sartomer CD 420、6 cps)およびCytec Additol BCPKと混合する。硬化の後、製剤の酸素バリア性は、1週間の促進酸化曝露の後、熱トリップの前後で、PPTCデバイスの電気抵抗をテストすることによって確認することができる。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0102】
実施例16
電子デバイス用の、照射線硬化可能な100%固体酸素バリア封入剤製剤
実施例14の方法に従って、NEOPOL 8312を、N−ビニルピロリドン(ISP、6cps)およびCytec Additol BCPKと混合した。硬化の後、製剤の酸素バリア性は、1週間の促進酸化曝露の後、熱トリップの前後で、PPTCデバイスの電気抵抗をテストすることによって確認した。熱トリップの前後での電気抵抗の変化は、2倍未満であった。
【0103】
実施例17
電子デバイス用の、非反応性希釈剤/溶媒中の照射線硬化可能な酸素バリア封入剤製剤
実施例14の方法に従って、9グラムのNEOPOL 8312を、1〜2グラムの以下の希釈用非反応性溶媒と混合した:メチルエチルケトン、酢酸エチルまたは1−メトキシ−2−プロパノール。硬化工程の間、溶媒は、蒸発によって実質的に除去される。硬化の後、製剤の酸素バリア性は、1週間の促進酸化曝露の後、熱トリップの前後で、PPTCデバイスの電気抵抗をテストすることによって確認した。トリップの前後での、トリップジャンプまたは抵抗値変化は、3倍未満であることがわかった。
【0104】
実施例18
電子デバイス用の、清澄で不透明でない、照射線硬化、B−ステージ化可能な100%の固体酸素バリア封入剤製剤
2.5グラムのレゾルシノールエポキシアクリレート(NEOPOL 8312、Japan U-PiCA, 10 Cps)(粘稠性シロップ)と、7.5グラムの溶融させたレゾルシノールジグリシジルエーテル(RDGE、CVC Thermoset Specialties)および1.0グラムのメタフェニレンジアミン(DuPont)とを合わせて充分に混合する。環境光を除いて、1:1のベンゾフェノンフェニルケトン共晶光重合開始剤(Additol BCPK、Cytec industries)0.4gを添加する。混合物の総塩素含量は、約875ppmであると計算出される。
【0105】
酸化感受性の高い3×4mmのPPTCチップに製剤を、ブラシを用いてまたは浸漬して、手作業でコーティングし、パーツをLoctite 紫外線硬化システムへ移し、300Wの水銀ランプからの800mJ/cmの線量の照射線にさらした。露光を繰り返して、デバイスの両側を三次元的に確実に硬化させた。PPTCチップ上のコーティング厚さは、典型的に、約0.025〜0.13mm(1〜5mil)の範囲である。
【0106】
部分的に硬化させた樹脂封入剤で被覆されているデバイスを更に3時間処理して、機能的リード付けされたパッケージを作成した。最終的硬化は260℃ハンダ・リフロー工程の間に達成され、示差走査熱量測定によって確認された。製剤の酸素バリア性は、1週間の促進酸化曝露の後、熱トリップの前後で、PPTCデバイスの電気抵抗をテストすることによって確認する。トリップの前後での、トリップジャンプまたは抵抗値変化は、3倍未満であることがわかった。
【0107】
本願明細書において、実施例を記載してきたが、当然のことながら、同じまたは同様の目的を達成するように構成された何らかの後続の改良は、示されている特定の実施例について置換し得るということが理解されるべきである。この開示は、種々の実施例のバリエーションまたは後続の適応のいずれかおよびすべてをカバーすることを意図している。上記の実施例の組合せおよび、本明細書において、詳細に記載されていないその他の実施例は、明細書に接した当業者であれば、明白な事項である。
【0108】
要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味内容を限定したり、解釈したりするために用いるべきではないという理解と共に、提供されている。更に、前述の詳細な説明において、開示事項を合理化することを目的として、種々の特徴をグループに集めたり、単一の実施例に記載したりもしている。この開示は、クレームした例は、各クレームに明確に記載したものよりも、より多くの特徴を必要とするという意図を反映するように解釈してはならない。むしろ、請求項が反映するように、発明の主題は、いずれかの開示した実施例の特徴の全てよりも少ない特徴に関する。このように、請求項に記載の発明は発明の詳細な説明に含まれており、独立している(それ自身に従属する)請求項は独立してクレームされている主題を規定している。
【0109】
本明細書に開示した内容は、説明を目的とするものであって、発明を限定するものではなく、特許請求の範囲がそのような変更、改良、およびその他の態様をカバーするものであって、説明の精神と範囲内のものである。このように、発明の範囲は、各請求項およびそれと均等な事項に許容される最も広い解釈によって、法律によって許容される最大限度まで認められ、詳細な説明の記載によって何らかの制約もしくは制限を受けるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品のための酸素バリア組成物であって、
メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換テトラグリシジルキシレンジアミン樹脂、レゾルシノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるメタ置換芳香族樹脂;ならびに
ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、多環式エポキシ樹脂、ナフタレンジエポキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる追加の芳香族エポキシ樹脂
を含んでなり、
酸素バリア組成物は、(a)B−ステージ化可能な硬化または光開始硬化を受け得ること;および(b)約0%の相対湿度および約23℃にて、約0.4cm・mm/m・atm・日未満の酸素透過性を有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
組成物が、(i)実質的に100%の固体、(ii)溶剤を実質的に含まないこと、および(iii)揮発性有機化合物を実質的に含まないことの少なくとも1つを有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メタ置換芳香族樹脂がレゾルシノールジグリシジルエーテルまたはそのオリゴマーもしくはそのアダクトである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
追加の芳香族エポキシ樹脂がビスフェノール−Fジグリシジルエーテルまたはそのオリゴマーである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる熱潜在性硬化を行うことができるアミン硬化剤であって、好ましくは、アミン硬化剤はジシアンジアミドを含み、追加の芳香族エポキシ樹脂はビスフェノール−Fジグリシジルエーテルを含み、メタ置換芳香族樹脂はレゾルシノールを含み、レゾルシノールは熱潜在性硬化の時間または温度を低減させることができる促進剤として機能する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
熱潜在性硬化の時間または温度を低減させることができる促進剤を更に含み、該促進剤は、フェニル尿素、イミダゾール、三塩化ホウ素アミン錯体、脂肪族ビス尿素、メタ置換フェノール、レゾルシノール、フロログルシノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、好ましくは、該促進剤は、フェニルジメチル尿素、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、2,4’−トルエンビス(ジメチル尿素)およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるフェニル尿素促進剤である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
板状フィラー、補強型フィラー(例えば、ガラス繊維もしくはその他の構造要素)、アルミナ型フィラー、シリカ型フィラー、窒化ホウ素、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選ばれるフィラーを更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が約1000ppm未満の塩素含量を有し、組成物が約2000ppm未満の総ハロゲン含量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
総樹脂重量の約10重量%〜約40重量%の範囲のレゾルシノールジグリシジルエーテルまたはそのオリゴマーもしくはアダクト;
総樹脂重量の約10重量%〜約80重量%の範囲の追加の芳香族エポキシ樹脂;
板状フィラー、補強型フィラー(例えば、ガラス繊維もしくはその他の構造要素)、アルミナ型フィラー、シリカ型フィラー、窒化ホウ素、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、0重量%〜約80重量%のフィラー(ここで、フィラーの重量パーセントはフィラー重量を樹脂重量およびフィラー重量の総和で除して計算される);
芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、熱潜在性硬化を行うことができる約0.1phr〜約40phrの範囲のアミン硬化剤;ならびに
促進剤のない同様の酸素バリア組成物に関して熱硬化の時間または温度を低減させることができる、約0.1phr〜約40phrの範囲の促進剤
を含み、塩素含量は約900ppm未満であり、総ハロゲン含量は約1500ppm未満である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
可視光もしくは紫外光によって組成物を硬化させることができるフリーラジカル光開始硬化剤を更に含み、メタ置換芳香族樹脂はメタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれること、好ましくはフリーラジカル光開始硬化剤は、ベンゾインのアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−1−メチルフェノール−1−プロパノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、ハロゲン化アセトフェノン誘導体、芳香族化合物の塩化スルホニル、アシルホスフィンオキシドおよびビス−アシルホスフィンオキシド、ベンズイミダゾール、ベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、ハロゲン化されたおよびアミノ官能性のベンゾフェノン、フルオレノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、カンファキノン、ベンジルならびにそれらの組み合わせからなる群から選ばれる光フラグメンテーション光開始剤または電子移動光開始剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、パウダー、ペレット、テープ、フィルムおよびプリプレグシートからなる群から選ばれる形状のB−ステージ化された組成物である請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
電気デバイスをコーティングする方法であって、(i)メタ置換レゾルシノールエポキシ樹脂、メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換テトラグリシジルキシレンジアミン樹脂、レゾルシノール、オリゴマー、アダクトおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるメタ置換芳香族樹脂;(ii)ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、多環式エポキシ樹脂、ナフタレンジエポキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる追加の芳香族エポキシ樹脂;および(iii)芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアミン硬化剤を含む酸素バリア組成物を供給すること;
組成物を加熱して、組成物の硬化を開始させること;
硬化の完了前に組成物を冷却して、部分的に硬化したコーティングを形成すること;
第1および第2の部品を有する電気デバイスを供給すること;
電気デバイスの第1の部品に部分的に硬化したコーティングを適用すること;ならびに
電気デバイスの第1の部品を電気デバイスの第2の部品にハンダ付けして、部分的に硬化したコーティングをハンダ付の間に充分に硬化させること
を含む方法。
【請求項13】
メタ置換アクリルレゾルシノール樹脂、メタ置換メタクリルレゾルシノール樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる酸素バリア組成物を供給すること;
フリーラジカル光重合開始硬化剤を供給すること;
紫外線照射を前記組成物に適用して、部分的に硬化した組成物を作成し、組成物にフリーラジカル重合を行わせること;
好ましくは更に
芳香族アミン硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる熱硬化剤を供給すること;および
酸素バリア組成物にレゾルシノールエポキシ樹脂を供給し、レゾルシノールエポキシ樹脂は、紫外線照射を適用する間は実質的に未重合の状態にとどめること、
部分的に硬化させた組成物を加熱し、レゾルシノールエポキシ樹脂を硬化させ、充分に硬化した組成物を作成する
酸素バリア組成物を硬化させる方法。

【公表番号】特表2012−533643(P2012−533643A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520628(P2012−520628)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/002005
【国際公開番号】WO2011/008295
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】