説明

金属含有有機シリカ触媒、その製造方法及び使用

本発明は、金属含有有機シリカ触媒、及び金属触媒による反応における、それらの使用に関する。本発明は、(i)ケイ素源と加水分解作用のある溶媒とを混合すること;(ii)1つ又はそれ以上の金属触媒又はそれらの前駆体を加えること;(iii)工程(ii)の混合物を縮合触媒で処理すること、及び(iv)随意に、工程(iii)で得られた混合物を、前記金属触媒に必要な酸化レベルを与えるように、1つ又はそれ以上の還元剤又は酸化剤で処理することを含有してなる、金属含有有機シリカ触媒を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願番号第61/086,022号の優先権を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的に、金属含有有機シリカ触媒、その製造方法、及び金属触媒反応におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
金属含有触媒反応は、重要な研究ツールであり、重要な工業用ツールである。化学反応に関与する他の試薬とは異なり、金属触媒は、一般には消費されない。従って、触媒は、多くの触媒サイクルに関与する可能性を有している。
【0004】
金属含有触媒は、化学量論的な化学と比較すると、「環境に優しい化学」として好ましく、他の方法では行うことが困難であるか、又は不可能な反応を行うことも可能である。例えば、パラジウム触媒によるクロスカップリング反応は、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合、炭素−ケイ素結合を構築するのに最も強力な方法のひとつである。パラジウム及び他の遷移金属は、一般的に、レドックスプロセスを触媒するのに使用される。白金、パラジウム、及びロジウムは、例えば、水素化反応で使用される。
【0005】
金属含有触媒反応は、特に、パラジウムクロスカップリング反応のような均一系反応では、コストに影響する制限された再利用性、及び生成物の金属汚染のような、いくつかの欠点を有する場合がある。反応生成物中の残留金属を除去することは、難易度の高い仕事になる場合もある。
【発明の概要】
【0006】
ある態様では、金属含有有機シリカ触媒が提供される。
【0007】
ある態様では、本明細書に記載される方法によって得ることが可能な、金属含有有機シリカ触媒が提供される。
【0008】
さらなる態様では、(i)ケイ素源と加水分解作用のある溶媒とを混合すること;(ii)1つ又はそれ以上の金属触媒又はそれらの前駆体を加えること;(iii)工程(ii)の混合物を縮合触媒で処理すること;及び(iv)随意に、工程(iii)で得られた混合物を、金属触媒に必要な酸化レベルを与えるように、1つ又はそれ以上の還元剤または酸化剤で処理することを含む、金属含有有機シリカ触媒を製造する方法も提供される。
【0009】
ある態様では、本発明は、金属触媒反応を行うための、本明細書で定義されるような金属含有有機シリカ触媒の使用に関する。
【0010】
ある態様では、本発明は、本明細書に記載されるような金属含有有機シリカ触媒を含む不均一系触媒に関する。
【0011】
ある態様では、本明細書に記載されるような金属含有有機シリカ触媒を提供すること、当該触媒反応に参入することが可能な少なくとも1つの反応剤を提供すること、当該少なくとも1つの反応剤を拡散させ、当該金属含有有機シリカ触媒の金属に吸着させること、及び当該触媒反応で得られた生成物を当該金属から脱離させ、当該固体表面から拡散させ、当該金属含有有機シリカ触媒の金属にある触媒部位を再生させること、を含む、触媒反応を行うための方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
「ケイ素源」という表現は、本明細書で使用される場合、式R4−xSi(L)の化合物を示し、式中のRは、アルキル、アリール又はアルキル−アリール、例えば、ベンジルであり、Lは、独立して、Cl、Br、I又はOR’であり、ここで、R’は、アルキル又はベンジルであり、xは、1〜4の整数であるか、又は、xは、1〜3の整数である。「ケイ素源」は、Si−O−Si結合の網目構造を形成できるように選択される。「ケイ素源」は、式R4−xSi(L)の1つ又はそれ以上の当該化合物を含むと理解される。
【0013】
ある実施態様では、ケイ素源は、ケイ素アルコキシドであり、例えば、モノアルキル−トリアルコキシシラン、又はジアルキル−ジアルコキシシランである。さらなる実施態様では、ケイ素アルコキシドは、モノアルキル−トリアルコキシシラン及びジアルキル−ジアルコキシシランの混合物である。さらなる実施態様では、モノアルキル−トリアルコキシシラン及びジアルキル−ジアルコキシシランの混合物は、トリアルキル−アルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランをさらに含んでいる。
【0014】
ある実施態様では、ケイ素源は、テトラアルコキシシランである、ケイ素アルコキシドである。ある実施態様では、ケイ素源は、モノアルキル−トリアルコキシシラン、ジアルキル−ジアルコキシシラン、トリアルキル−アルコキシシラン、及びテトラアルコキシシランのうち、2つ以上を含む、ケイ素アルコキシドの混合物である。
【0015】
さらなる実施態様では、ケイ素アルコキシドのアルキル残基及びアルコキシ残基は、独立して、直鎖であるか、又は分枝しており、1〜10個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子を含む。
【0016】
ある実施態様では、ケイ素アルコキシドは、メチルトリエトキシシラン(MTES)である。
【0017】
ある実施態様では、ケイ素アルコキシドは、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)である。
【0018】
ある実施態様では、ケイ素源は、メチルトリエトキシシラン及びオルトケイ酸テトラメチルの混合物である。
【0019】
ある実施態様では、ケイ素源は、式 RSiLのハロゲン化ケイ素であり、例えば、MeSiI、MeSiCl、MeSiBr、EtSiBr、EtSiCl、EtSiIである。
【0020】
本開示で使用する、加水分解作用のある溶媒は、ケイ素源を加水分解して−Si−OH種を形成するのに好都合な溶媒又は溶媒混合物である。このような溶媒の例としては、水性溶媒、例えば、水と、HCl、HPO、HSO、HNOのような無機酸との混合物が挙げられる。HCl又はHNOのような酸を使用する場合、約10−4〜約10−2モル当量のHを用いることができる(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.003モル当量が用いられる。
【0021】
ある実施態様では、加水分解作用のある溶媒は、HCl(水溶液)である。ある実施態様では、加水分解作用のある溶媒は、HNO(水溶液)である。
【0022】
当該金属含有有機シリカ触媒における「金属」は、シリカの網目構造に組み込むことができ、化学反応を触媒するのに有用な、何れかの適切な酸化レベルをもつ、何れの金属であってもよい。
【0023】
「金属前駆体」は、それ自体で、又は適切な酸化レベルに還元又は酸化されるか、若しくは配位子の脱錯化によって、必要な触媒活性を与えることが可能な、金属錯体、金属塩、又はこれらの対応する無水形態若しくは溶媒和形態の何れかを意味する。溶媒和金属前駆体は、水和物形態を含む。
【0024】
本発明の金属含有有機シリカ触媒における金属の例としては、遷移金属(すなわち、周期表のIVB族〜IIB族のもの)、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd及びHg、並びに周期表のIIIa族〜VIa族の金属、例えば、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが含まれる。ある実施態様では、金属は、これに限定されないが、何れかの適切な酸化レベルを有するNi、Ru、Rh、Pt、Sn、Zr、In、Co、Cu、Cr、Mo、Os、Fe、Ag、Au、Ir、及びPdを含んでいる。
【0025】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、パラジウム化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、Pd(OAc)、KPdCl、(CFCOPd、MPdX[M=Li、Na、K;X=Cl、Br]、PdX[X=Cl、Br、I;Y=O、CHCN、THF、PhCN]、MPdCl[M=Na、K]を含んでいる。好ましくは、パラジウム化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量のパラジウム化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.004〜約0.018モル当量が用いられる。
【0026】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、白金化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、PtCl及びPt(acac)[acac=アセチルアセトネート]、MPtX[M=Li、Na、K;X=Cl、Br]、例えば、KPtCl、(NHPtCl、HPtCl、NaPtCl、KPtCl、LiPtCl、PtCl、例えば、Pt(C、Pt(COD)、Pt(PPhを含んでいる。好ましくは、白金化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量の白金化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.004〜約0.018モル当量が用いられる。
【0027】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、ロジウム化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、RhX[X=Cl、Br]、例えば、RhClxHO、RhxHO、Rh(OAc)、酢酸ロジウム(II)二量体、Rh(NORh(acac)、[RhCl(オレフィン);[RhCl(ジオレフィン)]を含んでいる。好ましくは、ロジウム化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量のロジウム化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.004〜約0.018モル当量が用いられる。
【0028】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、ニッケル化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、NiX[X=Cl、Br]、例えば、NiCl、Ni(OAc)、Ni(NO、Ni(acac)、Ni(OH)、NiSO、(EtN)NiClを含んでいる。好ましくは、ニッケル化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量のニッケル化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.01〜約0.04モル当量が用いられる。
【0029】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、ルテニウム化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、RuClを含むRuX[X=Cl、Br、I]、KRuCl、Ru(OAc)、Ru(acac)、又は、何れかのRu錯体、例えば、[RuCl(CO)、RuCl(PPh、CpRu(PPhClを含んでいる。好ましくは、ルテニウム化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量のルテニウム化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.004〜約0.009モル当量が用いられる。
【0030】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、銅化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、CuX[X=Cl、Br、I]、Cu(OAc)、CuX[X=Cl、Br、I]、Cu(OAc)、Cu(CFCO、Cu(NO、CuSO、Cu(acac)、CuCO、又は何れかのCu錯体、例えば、CuNO(PPh、CuBr(PPhが挙げられる。好ましくは、銅化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量の銅化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.004〜約0.028モル当量が用いられる。
【0031】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、鉄化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、FeX[X=Cl、Br、I]、FeSO、Fe(OAc)、Fe(acac)、FeX[X=Cl、Br、I]、例えば、FeCl、Fe(SO、Fe(acac)、Fe(NO、FePO、又は何れかのFe錯体、例えば、(FeCp(CO)を含んでいる。好ましくは、鉄化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量の鉄化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.005〜約0.01モル当量が用いられる。
【0032】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、イリジウム化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、IrX[X=Cl、Br]、例えば、IrCl、Ir(acac)を含んでいる。好ましくは、イリジウム化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量のイリジウム化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.005〜約0.01モル当量が用いられる。
【0033】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、銀化合物である。ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、これに限定されないが、AgX[X=Cl、Br]、AgNO、AgNO、AgSOを含んでいる。好ましくは、銀化合物は、溶液として加えられる。典型的には、約0.001〜約0.1モル当量の銀化合物を使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.01〜約0.02モル当量が用いられる。
【0034】
ある実施態様では、金属触媒又はそれらの前駆体は、当該金属触媒又はそれらの前駆体の2種以上の混合物である。ある実施態様では、この混合物は、Ni、Ru、Rh、Pt、Sn、Zr、In、Co、Cu、Cr、Mo、Fe、Ag、Au、Ir、Os又はPdを含む、2種以上の金属触媒又はそれらの前駆体を含んでいる。
【0035】
さらなる実施態様では、当該金属触媒又はそれらの前駆体の混合物は、Pt/Pd、Pt/Rh、Pt/Ir、Pt/Ni、Pt/Co、Pt/Cu、Pt/Ru、Pt/Ag、Pt/Au、Pd/Ag、Pd/Au、Rh/Ir、Rh/Ru、Ru/Ir、Ru/Fe、Ni/Co又はRh/Pdを含む組み合わせである。好ましくは、当該金属触媒又はそれらの前駆体の混合物は、Rh/Pd、Pt/Ni、Pt/Pd又はRh/Ptを含んでいる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「縮合触媒」は、重縮合して−Si−O−Si−結合を生成するのに好都合な、当該技術分野で公知の何れかの試薬を意味する。
【0037】
縮合触媒は、例えば、NaOH、HCl、KOH、LiOH、NHOH、Ca(OH)、NaF、KF、TBAF、TBAOH、TMAOHであってもよい。典型的には、約0.01〜約0.1モル当量の縮合触媒、例えば、NaOHを使用してもよい(ケイ素アルコキシドのモル量を基準とする)。好ましくは、約0.023〜約0.099モル当量が用いられる。
【0038】
ある実施態様では、縮合触媒は、NaOHである。
【0039】
本開示によれば、還元剤は、ヒドリド系還元剤を含んでいる。ある実施態様では、還元剤は、(CHCOBHM[M:Na、K、N(CH]、MBH[M:Na、K、Li]、M−トリエチル水素化ホウ素(M=Li、K、Na)溶液、MBHCN(M:Na、Li、K、N(CH、N(Bu))、LiAlH、RN(BH)(R:Me、Et、Bu)、DIBAL、X−Selectride(X=N、K、L)、KPhBH、M(CBH(M:Li、Na、K)、(CHNBHLi、NaB(OCHH、又はこれらの組み合わせである。典型的には、1:2〜約1:20当量(金属:還元剤)、又は還元される金属のモル量を基準として、約1:2〜約1:8モル当量の還元剤を使用してもよい(例えば、当該化合物のモル量を基準とする)。
【0040】
ある実施態様では、還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素ナトリウムである。
【0041】
「金属触媒又はそれらの前駆体を、Si−O−Si結合の網目構造に組み込むこと」と称される場合、このような組み込みは、当該金属触媒又は前駆体が、反応媒体中で、又は、従来の有機系溶媒又は水性溶媒の何れかで触媒を洗い流すことによって、当該金属含有有機シリカ触媒から除去されることが阻止されることを意味すると理解される。理論によって束縛されないが、金属触媒又は前駆体は、カプセル化することによって有機シリカのマトリックスに組み込まれ、保持されると考えられる。
【0042】
ある実施態様では、金属含有有機シリカ触媒が提供される。
【0043】
ある実施態様では、(i)モノアルキル−トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、及びこれらの混合物から選択されるケイ素源と、加水分解作用のある溶媒とを混合すること;(ii)Ni、Ru、Rh、Pt、Sn、Zr、In、Co、Cu、Cr、Mo、Fe、Ag、Au、Ir、Os又はPdを含む、1つ又はそれ以上の金属触媒又はそれらの前駆体を加えること;(iii)工程(ii)の混合物を縮合触媒で処理すること;及び(iv)随意に、工程(iii)で得られた混合物を、金属触媒に必要な酸化レベルを与えるように、1つ又はそれ以上の還元剤又は酸化剤で処理すること;を含む、金属含有有機シリカ触媒を製造する方法も提供される。
【0044】
ある実施態様では、当該工程(ii)は、1種類の金属触媒又はそれらの前駆体を加えることを含んでいる。
【0045】
ある実施態様では、当該工程(ii)は、2種類の金属触媒又はそれらの前駆体を加えることを含んでいる。
【0046】
ある実施態様では、(i)ケイ素源と加水分解作用のある溶媒とを混合すること;(ii)金属化合物を加えること;(iii)工程(ii)の混合物を縮合触媒で処理すること;及び(iv)随意に、ステップ(iii)で得られた混合物を、当該金属に必要な酸化レベルを与えるように、1つ又はそれ以上の薬剤で処理することを含む、金属含有有機シリカ触媒を製造する方法も提供される。
【0047】
ある実施態様では、本発明の何れかの実施態様における、工程(i)が、随意に、減圧若しくは熱、又は減圧と熱の両方を適用して、当該工程(i)で得られた揮発性生成物を除去することをさらに含む。
【0048】
ある実施態様では、本発明は、芳香族環、炭素環、及びヘテロ環の水素添加;カルボニル化合物の水素添加;ニトロ化合物及びニトロソ化合物の水素添加;ハロニトロ芳香族の水素添加;還元的アルキル化;ニトリルの水素添加;ヒドロシリル化;一級アルコールからアルデヒドへの選択的な酸化;一級アルコール及びアルデヒドからカルボン酸への選択的な酸化、炭素−炭素多重結合の水素添加;オキシムの水素添加;ヒドロホルミル化;カルボニル化;炭素−炭素結合、炭素−酸素結合及び/又は炭素−窒素結合の形成;加水分解;脱水素化;グルコースの水素添加;酸素含有化合物の結合の合成を含む、金属触媒反応を行うための、本明細書に定義されるような、金属含有有機シリカ触媒の使用に関する。
【0049】
ある実施態様では、本発明は、例えば、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合を作り出すため、及び還元(水素添加、水素化分解)又は酸化を行うためのような、触媒反応を行うための金属含有有機シリカ触媒の使用に関する。ある実施態様では、本発明は、炭素−炭素結合を作り出すための、金属含有有機シリカ触媒の使用に関する。
【0050】
本開示の金属含有有機シリカ触媒を用いる、炭素−炭素結合を形成する反応の例は、Heck反応、鈴木反応、薗頭反応、Stille反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、及び福山反応として知られる反応を含んでいる。本開示の金属含有有機シリカ触媒を用いる、炭素−窒素結合を形成する反応の例は、Buchwald−Hartwigアミノ化、ヒドロアミノ化として知られる反応を含んでいる。
【0051】
金属含有有機シリカ触媒は、通常均一相で実施可能な反応を行うことができるという特徴を有する。この触媒は、典型的には、触媒1gあたり、約0.01〜約1.00ミリモルの金属担持率を有し、そしてあるいは触媒1gあたり、約0.025〜約0.52ミリモルの金属担持率を有する。比表面積は、約50〜約1500m/触媒g、そしてあるいは約200〜1000m/触媒gの範囲で変化してもよい。
【0052】
本明細書で定義される金属含有有機シリカ触媒は、それ自体を使用することもでき、又は、触媒デバイス若しくは他の支持材料の一部分であってもよい。
【0053】
プロセス、方法、触媒又は使用に関する開示において述べられている(典型的なもの、好ましいもの、及び/又は代替のものとして記載されている)特徴を、自由に組み合わせるか、又は組み込むことができる。例えば、典型的な量の縮合触媒(例えば、約0.002〜約0.12モル当量)とともに、好ましい量の還元剤と合わせて、典型的なパラジウム塩(例えば、上記のいずれかのPd塩)を、好ましい量(例えば、約0.004〜約0.018モル当量)で使用することができる。すべてのこのような組み合わせが、具体的にも、文言的にも列挙されていないが、これらは、本明細書に直接及び明らかに開示されていると考えられる。
【実施例】
【0054】
(実施例1:パラジウム含有有機シリカ触媒の調製)
【0055】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO)10mLの混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールを除去するまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認される)。得られたヒドロゲルに、KPdCl(0.004〜0.018当量)を、溶解度を上げるための蒸留及び脱イオン水と、アセトニトリル60mLとに溶解した溶液を加えてドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.023〜0.053当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのTHF溶液(Pd:Na(AcO)BH=モル比1:6;80mL)を用いて、室温で還元し、THF及びHOで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Pd−1からSi−Pd−4として表1に報告されている。
【0056】
【表1】

【0057】
(サンプルの特性決定)
77Kでの窒素の吸着脱離等温線は、Micrometrics TriStarTM 3000システムを用いて測定する。TristarTM 3000 4.01モデルを用いてデータを分析する。吸着枝と脱離枝の両方を、孔径分布を算出するために用いる。
【0058】
生成物中の金属含有量を、材料表面で、ミクロンサイズの容積を非破壊元素分析して、完全に定性及び定量が行える方法である、ppmのレベルの感度をもつEPMA分析技術を装備した、CAMECA SX100装置を用いて測定する。
【0059】
表1に記載されている項目Si−Pd−4のIR吸光スペクトルは、ABB Bomem MBシリーズFTIR分光計を用い、室温で、解像度4cm−1で、4000〜500cm−1の範囲のスペクトルあたり30スキャンを行って得られる。Si−O結合に特徴的な主要ピークは、以下のように、文献に従って割り当てられる(Galeener,EG.、Phys.Rev.B 1979、19、4292、及び、Park,E.S.;Ro,H.W.;Nguyen,C.V.;Jaffe,R.L.;Yoon,D.Y.Chem.Mater 2008、20(4)、1548を参照されたい)。ほぼ1023cm−1にある主要な大きな周波数バンドは、酸素原子の対称伸縮であると帰属され、この酸素原子の非対称伸縮であると帰属される、約1116cm−1のバンドを伴っており;771cm−1付近の周波数にあるバンドは、酸素原子の対称伸縮振動によるものであり;550cm−1の少し低い周波数のピークは、Si−O−Siに対して垂直方向の酸素原子の横揺れ振動によるものであると帰属することができる。Si原子に結合しているメチル基は、1270cm−1に、CH基の対称的な変形振動による、特徴的で非常に鋭いバンドと、2978cm−1に、C−H結合の伸縮振動によるバンドを示す(Galeener,EG.Phys.Rev.B 1979、19、4292、及び、Brown,J.F.,Jr.;Vogt,L.H.,Jr.;Prescott,P.I.J.Am.Chem.Soc.1964、86、1120を参照されたい)。
【0060】
(実施例2 パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−鈴木カップリング)
【0061】
所望のハロアレーン、フェニルボロン酸及び炭酸カリウムKCOの混合物を、メタノール、1−ブタノール又はエタノール中で、15分間又はそれ以上、均一になるまで、還流する。実施例1に記載されている触媒を、この基質に対して加える。反応が終了した後(TLC及びGC/MSでモニタリングする)、触媒を濾過し、溶媒を蒸発して、残渣を、酢酸エチルで処理する。この溶液を濾過して、溶媒を蒸発するとカップリング生成物が得られ、フラッシュクロマトグラフィーで精製する(使用する溶出液は、ヘキサン−アセトン5:1である)。結果を、表2にまとめている。
【0062】
【表2】

【0063】
(実施例3 パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−薗頭カップリング)
【0064】
4−ヨード−ニトロベンゼン(237mg、0.952ミリモル、1当量)、フェニルアセチレン(102mg、0.997ミリモル、1.05当量)及び炭酸カリウム(420mg、3.04ミリモル、3.2当量)の混合物を、EtOH/HO 40mL中で、15分間又はそれ以上、均一になるまで、還流する。実施例1に記載されている触媒を、この基質に対して加える。反応が終了した後(TLC及びGC/MSでモニタリングする)、触媒を濾過し、溶媒を蒸発して、残渣を酢酸エチルで処理する。この溶液を濾過して、溶媒を蒸発すると、カップリング生成物が得られる。結果を、表3にまとめている。
【0065】
【表3】

【0066】
(実施例4:メチルトリエトキシシラン系キセロゲルの調製)
【0067】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮して(終了は、秤量によって確認する)、アセトニトリル60mLを加える。ゲル化プロセスを好都合にするために、3.5mL(0.023当量)の1MのNaOH(水溶液)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。これによって得られたキセロゲルを、HO、MeOH及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られたメチルトリエトキシシラン系キセロゲルは、項目Si−0−A(基準物質)として報告される。
【0068】
(実施例5:白金含有有機シリカ触媒の調製)
【0069】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、KPtCl(0.004〜0.018当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.023〜0.053当量)を加える。得られた均一で透明なゲルは、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF:HO=1:1溶液(Pt:NaBH=モル比1:12;180mL)を用いて、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Pt−1からSi−Pt−3として表4に報告されている。
【0070】
(実施例6 白金含有有機シリカ触媒による反応−ハロゲン化物存在下、アリールニトロ基の水素添加)
【0071】
ニトロ基質(2ミリモル、1当量)及び実施例5で調製されたSi−Pt触媒(5〜0.1モル%)を、メタノール(10mL)中で混合して、GC/MS分析が最大の転化率を示すまで、水素雰囲気(1atm)下、室温で撹拌する。表5に得られた結果をまとめている。
【0072】
(実施例7 白金含有有機シリカ触媒による反応−アレーンの水素添加)
【0073】
基質(2ミリモル、1当量)及び実施例5で調製されたSi−Pt触媒(1〜2.5モル%)を、メタノール(10mL)中で混合して、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。この基質に関する転化率を、GC/MS分析によって決定する。表6に得られた結果をまとめている。
【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
(実施例8:ロジウム含有有機シリカ触媒の調製)
【0078】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、RhClxHO(0.004〜0.018当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.026〜0.099当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF溶液0.07M(Rh:NaBH=モル比1:12)を用いて、アルゴン条件下、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Rh−1からSi−Rh−3として表7に報告されている。
【0079】
(実施例9 ロジウム含有有機シリカ触媒による反応−アレーンの水素添加)
【0080】
基質(2ミリモル、1当量)及び実施例8で調製されたSi−Rh触媒(1〜2.5モル%)を、溶媒中で混合して、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。この基質に関する転化率を、GC/MS分析によって決定する。結果を表8にまとめている。
【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
(実施例10:ロジウム−パラジウム含有二金属有機シリカ触媒の調製)
【0084】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルは、RhClxHO及びKPdCl(0.002〜0.054当量;Rh:Pd=モル比1:3、1:1、3:1)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.053〜0.079当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、第1回目に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Pd:Na(AcO)BH=モル比1:6、0.03M)を用いて、第2回目に、水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Rh:NaBH=モル比1:12、0.02M)を用いて、アルゴン条件下、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Rh−Pd−1からSi−Rh−Pd−3として表9に報告されている。表10は、BET分析による、二金属触媒の特徴を示している。
【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
(実施例11 ロジウム−パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−アレーンの水素添加)
【0088】
基質及び実施例10で調製されたSi−Rh−Pd二金属触媒(基質に対し、1〜0.5モル%)を、溶媒中で混合して、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。この基質に関する転化率は、GC/MS分析によって決定する。結果を表11にまとめている。
【0089】
(実施例12:オルトケイ酸テトラメチル系キセロゲルの調製)
【0090】
オルトケイ酸テトラメチル、TMOS、(39.27g、38.5mL、0.258モル)及び0.045MのHCl(水溶液)(1.0ミリモルH及び1.191モルHO、21.5mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にメタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮して(終了は、秤量によって確認する)、アセトニトリル75mLを加える。ゲル化プロセスを好都合にするために、0.1MのNaOH(水溶液)10ml(0.004当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。これによって得られたキセロゲルを、HO、MeOH及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られたオルトケイ酸テトラメチル系キセロゲルが、項目Si−0−Bとして報告されている。
【0091】
【表11】

【0092】
(実施例13 ニッケル含有有機シリカ触媒の調製)
【0093】
TMOS(78.54g、77mL、0.516モル)と0.045MのHCl(水溶液)(1.9ミリモルH及び2.382モルHO、43mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にメタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、NiCl(0.014〜0.041当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、0.1MのNaOH(水溶液)(0.003〜0.005当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Ni−1からSi−Ni−3として表12に報告されている。
【0094】
(実施例14A ニッケル含有有機シリカ触媒による反応−ハロゲン化物存在下、アリールニトロ基の水素添加)
【0095】
ニッケル(0)触媒を系中で作成するために、実施例13で得られたSi−NiIIキセロゲル(1g、0.5ミリモルNi、NiIIの担持率0.5ミリモル/g)を、水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Ni:NaBH=モル比1:2、0.02M)を用いて、アルゴン条件下、室温で還元する。1時間後、キセロゲルは、最初は淡緑色であるが、ニッケル(0)が生成していることを示す黒色に変化した。この黒色固体を、アルゴン条件下で洗浄する(無水THF50mLで3回、無水MeOH 50mlで2回)。この黒色固体を、減圧下で乾燥して、アルゴン下で保存する。基質である4−クロロニトロベンゼン(0.788g、5ミリモル、1当量)を無水メタノールに溶解し、これを当該黒色触媒に加え、混合物を減圧/水素で2回パージして、室温、水素条件(1atm)下で、磁気撹拌する。反応(24時間)が終了した後、触媒を濾過によって除去し、濾液を、GC/MSによって分析する(表13、項目13−1)。
【0096】
(実施例14B ニッケル含有有機シリカ触媒による反応−ハロゲン化物存在下、アリールニトロ基の水素添加)
【0097】
ニッケル(0)触媒を系中で作成するために、実施例13で得られたSi−NiIIキセロゲル(1g、0.5ミリモルNi、NiIIの担持率0.5ミリモル/g)を、4−ブロモニトロベンゼン(0.505g、2.5ミリモル)存在下、水素化ホウ素ナトリウムの無水DMF溶液(Ni:NaBH=モル比1:5、0.05M)を用いて、水素条件(1atm)下、室温で還元する。この基質に関する転化率を、GC/MS分析によって決定する(表13、項目13−2、13−3)。
【0098】
【表12】

【0099】
【表13】

【0100】
(実施例15 ルテニウム含有有機シリカ触媒の調製)
【0101】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、RuCl(0.004〜0.009当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.033〜0.066当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF/HO溶液(4:1、80mL;Ru:NaBH=モル比1:6)を用いて、室温、アルゴン下で還元し、THF及びHOで洗浄して、室温でアルゴン下、減圧下で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Ru−1及びSi−Ru−2として表14に報告されている。
【0102】
【表14】

【0103】
(実施例16 ルテニウム含有有機シリカ触媒による反応−二重結合の還元)
【0104】
実験条件:基質であるn−オクテン(0.5ミリモル、1当量)及び実施例15で調製されたSi−Ru触媒(0.02〜0.055当量)を、エタノール(5mL)中、水素雰囲気(1〜3atm)下、室温で撹拌する。反応が終了した後、触媒を濾別し、エタノールで洗浄する。目的の生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を、表15にまとめている。
【0105】
【表15】

【0106】
(実施例17 銅含有有機シリカ触媒の調製)
【0107】
手順A:MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、Cu(NO(又はCu(OAc))(0.004〜0.028当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.023〜0.073当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF/HO溶液(4:1、80mL;Cu:NaBH=モル比1:6)を用いて、室温でアルゴン下還元し、THF及びHOで洗浄して、室温でアルゴン下、減圧下で乾燥する。結果を表16にまとめている。
【0108】
手順B:MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)、0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、Cu(NO(0.004〜0.028当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル30mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.023〜0.073当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルは、水素化ホウ素ナトリウムのTHF/HO溶液(4:1、80mL;Cu:NaBH4=モル比1:6)を用いて、室温でアルゴン下還元して、THF及びHOで洗浄して、室温でアルゴン下、減圧下で乾燥する。結果を表16にまとめている。
【0109】
手順C。MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)、0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、Cu(NO(0.004〜0.028当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を挙げるため)に溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.023〜0.073当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF/HO溶液(3:1、80mL;Cu:NaBH=モル比1:6)を用いて、室温でアルゴン下還元し、THF及びHOで洗浄して、室温でアルゴン下、減圧下で乾燥する。結果を表16にまとめている。
【0110】
【表16】

【0111】
(実施例18 銅含有有機シリカ触媒による反応−二重結合の還元)
【0112】
基質(0.5ミリモル、1当量)及び実施例17で調製されたSi−CuO触媒(0.02〜0.1当量)を、エタノール(5mL)中、水素雰囲気(1atm)下、室温で撹拌する。触媒を濾別し、エタノールで洗浄する。目的の生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表17にまとめている。
【0113】
【表17】

【0114】
(実施例19 鉄含有有機シリカ触媒の調製)
【0115】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、FeCl(0.005〜0.010当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.066当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF/HO溶液(4:1、80mL;Fe:NaBH=モル比1:20)を用いて、室温で還元し、THF及びHOで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Fe−1及びSi−Fe−2として表18に報告されている。
【0116】
【表18】

【0117】
(実施例20 鉄含有有機シリカ触媒による反応−二重結合の還元)
【0118】
基質(0.5ミリモル、1当量)及び実施例19で調製されたSi−Fe触媒(0.02〜0.04当量)の混合物を、エタノール(5mL)中、水素雰囲気(1atm)下、室温で撹拌する。触媒を濾別して、エタノールで洗浄する。目的の生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表19にまとめている。
【0119】
【表19】

【0120】
(実施例21 パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−アセトフェノン類縁(似)体の合成)
【0121】
【化1】

【0122】
式Ar−Iの4−置換ヨードベンゼン(0.5ミリモル、1当量)、無水酢酸(0.997ミリモル、1.05当量)、塩化リチウム(3.04ミリモル、3.2当量)、ジイソプロピルエチルアミン(3.04ミリモル、3.2当量)及び実施例1で調製されたSi−Pd触媒(0.02当量)の混合物を、DMF(5mL)中、100℃で撹拌する。触媒を濾別して、ジクロロメタンで洗浄する。カップリング生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表20にまとめている。
【0123】
【表20】

【0124】
(実施例22 パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−Buchwald−Hartwigアミノ化)
【0125】
【化2】

【0126】
1−ハロ−4−ニトロベンゼン(0.5ミリモル、1当量)、アミン(1.5ミリモル、3当量)、ナトリウム tert−ブトキシド(0.7ミリモル、1.4当量)及び実施例1で調製されたSi−Pd触媒(0.02〜0.06当量)の混合物を、ジオキサン(5mL)中、100℃で撹拌する。触媒を濾別して、ジクロロメタンで洗浄する。カップリング生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表21にまとめている。
【0127】
【表21】

【0128】
(実施例22 パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−触媒的水素添加及び水素化分解)
【0129】
基質(0.5ミリモル、1当量)及び実施例1で調製されたSi−Pd触媒(0.01〜0.04当量)の混合物を、エタノール(5mL)中、水素雰囲気(1atm)下、室温で撹拌する。触媒を濾別して、エタノールで洗浄する。目的の生成物への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表22にまとめている。
【0130】
【表22】

【0131】
(実施例23 銀含有有機シリカ触媒の調製)
【0132】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)と0.042MのHNO(水溶液)(0.42ミリモルH及び554ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、AgNO(0.01〜0.02当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.033〜0.063当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF溶液(Ag:NaBH=モル比1:12;180mL)を用いて、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Ag−1及びSi−Ag−2として表23に報告されている。
【0133】
【表23】

【0134】
(実施例24 銀含有有機シリカ触媒による反応−ニトリルの水和)
【0135】
シュレンク(Schlenck)管中、ベンゾニトリル(0.5ミリモル、1当量)及び実施例23で調製されたSi−Ag触媒を、水(10mL)中、アルゴン雰囲気下、140℃で4時間撹拌する。反応が終了した後、触媒を濾別して、ジクロロメタンで洗浄する。水相をジクロロメタンで抽出する。有機画分を合わせて、生成物(ベンズアミド)への転化率を、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表24にまとめている。
【0136】
【表24】

【0137】
(実施例25 銀含有有機シリカ触媒による反応−アルコールの脱水素化)
【0138】
1−フェニル−1−プロパノール(0.1mL、0.729ミリモル)及び実施例23で調製されたSi−Ag触媒の混合物を、m−キシレン(10mL)中、アルゴン雰囲気下、130℃で17時間撹拌する。触媒を濾別して、ジクロロメタンで洗浄する。脱水素化生成物への転化率は、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表25にまとめている。
【0139】
【表25】

【0140】
(実施例26 白金−ニッケル含有二金属有機シリカ触媒の調製)
【0141】
TMOS(30.6g、30mL、201.03ミリモル)及び0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び831.13ミリモルHO、15mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にメタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、KPtCl/NiCl(0.004〜0.01当量のKPtCl及び0.003〜0.008当量のNiCl)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、0.1MのNaOH(水溶液)(0.005〜0.012当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、このようにして得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムの無水テトラヒドロフラン溶液(Pt+Ni:NaBH=モル比1:12;0.15M)を用いて、室温でアルゴン条件下還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Pt−Ni−1からSi−Pt−Ni−4として表26に報告されている。表27は、BET分析による、二金属触媒の特徴を示している。
【0142】
【表26】

【0143】
【表27】

【0144】
(実施例27 白金−ニッケル含有有機シリカ触媒による反応−ハロゲン化物存在下、アリールニトロ基の水素添加)
【0145】
ニトロ基質(2ミリモル、1当量)及び実施例26で調製されたSi−Pt−Ni触媒を、メタノール(10mL)中で混合して、GC/MS分析が最大の転化率を示すまで、水素雰囲気(1atm)下、室温で撹拌する。結果を表28にまとめている。
【0146】
【表28】

【0147】
(実施例28 白金−パラジウム含有有機シリカ触媒の調製)
【0148】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)及び0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、KPtCl及びKPdCl(0.0036〜0.011当量、Pt:Pd=モル比1:3、1:1、3:1)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.053〜0.079当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、第1回目に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Pd:Na(AcO)BH=モル比1:6、0.06M)を用いて、アルゴン条件下、室温で還元し、第2回目に、水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Pt:NaBH=モル比1:12、0.04M)を用いて、アルゴン条件下、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Pt−Pd−1からSi−Pt−Pd−3として表29に報告されている。表30は、BET分析による、二金属触媒の特徴を示している。
【0149】
【表29】

【0150】
【表30】

【0151】
(実施例29 白金−パラジウム含有有機シリカ触媒による反応−穏和な条件でのアレーンの水素添加)
【0152】
基質(2ミリモル、1当量)及び実施例28で調製されたSi−Pt−Pd触媒を、メタノール又はヘキサン(10mL)中で混合して、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。この基質に関する転化率は、GC/MS分析によって決定する。結果を表31にまとめている。
【0153】
【表31】

【0154】
(実施例30 ロジウム−白金含有有機シリカ触媒の調製)
【0155】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)及び0.042MのHCl(水溶液)(0.42ミリモルH及び555ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、RhClxHO及びKPtCl(0.0018〜0.0054当量、Rh:Pt=モル比1:3、1:1、3:1)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.053〜0.079当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムの無水THF溶液(Rh+Pt:NaBH=1:12、0.12M)を用いて、室温でアルゴン条件下還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Rh−Pt−1からSi−Rh−Pt−3として表32に報告されている。表33は、BET分析による、二金属触媒の特徴を示している。
【0156】
【表32】

【0157】
【表33】

【0158】
(実施例31 ロジウム−白金含有有機シリカ触媒による反応−穏和な条件でのアレーンの水素添加)
【0159】
基質(2.5ミリモル、1当量)及び実施例30で調製されたSi−Rh−Pt触媒を、ヘキサン(10mL)中で混合して、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。この基質に関する転化率は、GC/MS分析によって決定する。結果を表34にまとめている。
【0160】
【表34】

【0161】
(実施例32 イリジウム含有有機シリカ触媒の調製)
【0162】
MTES(27g、30mL、151.4ミリモル)、0.042MのHNO(水溶液)(0.42ミリモルH及び554ミリモルHO、10mL)の混合物を、15分間(又は、溶液が均一になるまで)勢いよく撹拌する。得られた溶液を、減圧下、30℃で、完全にエタノールが除去されるまでロータリーエバポレーターで濃縮する(終了は、秤量によって確認する)。得られたヒドロゲルを、IrCl(0.005〜0.1当量)を蒸留及び脱イオン水(溶解度を上げるため)及びアセトニトリル60mLに溶解した溶液を加えることによってドーピングする。ゲル化プロセスを好都合にするために、この混合物に、1MのNaOH(水溶液)(0.026〜0.053当量)を加える。得られた均一で透明なゲルを、常温で約4日間、開放状態で乾燥する。次いで、これによって得られたキセロゲルを、水素化ホウ素ナトリウムのTHF溶液(Ir:NaBH=モル比1:12;0.9M)を用いて、室温で還元し、HO及びTHFで洗浄して、室温で、開放状態で乾燥する。得られた触媒は、項目Si−Ir−1及びSi−Ir−2として表35に報告されている。
【0163】
【表35】

【0164】
(実施例33 イリジウム含有有機シリカ触媒による反応−二重結合の還元)
【0165】
基質(0.5ミリモル、1当量)及び実施例32で調製されたSi−Ir触媒を、エタノール(5mL)中、水素雰囲気下(1atm)、室温で撹拌する。反応が終了した後、触媒を濾別して、エタノールで洗浄する。目的の生成物への転化率は、基質に関して、GC/MS分析によって決定する。結果を表36にまとめている。
【0166】
【表36】

【0167】
(実施例34 29Si固体NMR)
【0168】
固体NMRスペクトルを、Bruker Avance分光計(Milton,ON)で、ケイ素の周波数79.5MHzで記録する。サンプルを、4mmのZrOローター中、室温、マジック角、8kHzで回転する。データ採取中、TPPM15コンポジットパルスデカップリングを適用しつつ、回転速度と同期させたHahnエコー系列を使用する。待ち時間30秒間で、2400回の採取結果を記録する。分析される触媒は、実施例1、5、17の触媒に対応している。結果を表37に示している。
【0169】
【表37】

【0170】
(実施例35 X線回折分析(XRD))
【0171】
触媒の活性相の結晶化度を、Siemens D−5000X線回折計で行うX線粉末回折(XRD)技術を用いて確認する。触媒を、単色Cu Kα照射源(λ=1.5418)にさらし、スペクトルを、スキャン速度1°/分、ステップスキャン0.02°で、10〜90°の範囲を2θ幅で記録する。0−M基準物質の結晶格子は連続的な鋭いピークを示したが、この物質によって示される特徴的な広範囲の回折図を観察することによって、アモルファスRSiO1/2,SiOの吸着を確認する。平均粒径を、(111)反射の広がりを分析することによって概算して、Scherrer式によって算出する(Scherrer式:d=0.9λ/βcosθ、式中、λは、X線照射波長であり、βは、ラジアンであらわした、半値幅の線幅である)。結果を表38に示している。
【0172】
【表38】

【0173】
(実施例36 GC/MS分析)
基質に関する転化率は、Perkin Elmer Clarus 600C Mass Spectrometerを装備したPerkin Elmer Clarus 600 Gas Chromatographを用いてGC/MS分析によって決定する。
【0174】
GC法:カラム: RTX−5ms、30M×0.25mm×0.25um;
インジェクション:スプリットモード(20:1)で1uL;
インジェクタ温度:280℃;
オーブン温度:50℃で4.5分保持、300℃に到達するまで25℃/分の勾配、0.5分保持(合計実行時間=15.00分);
トランスファーライン温度:280℃;
キャリア:ヘリウム 1mL/分。
MS法:イオン化モード:EI+;
スキャン質量:2〜600のm/z;
スキャン時間:0〜15分。
【0175】
本発明は、本発明の特定の実施態様と関連させて記載されているが、さらなる改変が可能であり、本出願が、一般的に、本発明の原理に従って、既知の範囲内であるか、または、本発明が関連する技術分野の範囲内にある通常の実施の範囲内にあるような、本開示からの逸脱を含め、本明細書で上に記載されている本質的な特徴に適用可能なように、また、添付の特許請求の範囲に従うように、本発明のあらゆる変法、使用、または適用例にも及ぶことが意図されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の金属触媒又はそれらの前駆体、及びシリカを含有してなり、当該金属触媒又はそれらの前駆体が、当該シリカのSi−O−Si結合の網目構造に組み込まれている、金属含有有機シリカ触媒。
【請求項2】
当該金属含有有機シリカ触媒中の金属が、遷移金属であるか、又は周期表のIIIa族〜VIa族の金属である、請求項1に記載の金属含有有機シリカ触媒。
【請求項3】
(i)ケイ素源と加水分解作用のある溶媒とを混合すること;(ii)1つ又はそれ以上の金属触媒又はそれらの前駆体を加えること;(iii)工程(ii)の混合物を縮合触媒で処理すること及び(iv)随意に、工程(iii)で得られた混合物を、金属触媒に必要な酸化レベルを与えるように、1つ又はそれ以上の還元剤で処理することを含有してなる、金属含有有機シリカ触媒を製造する方法。
【請求項4】
当該工程(iv)が、工程(iii)で得られた混合物を1つ又はそれ以上の還元剤で処理することを含有してなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
当該還元剤が、ヒドリド系還元剤を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該工程(ii)が、当該金属触媒の1つ又はそれ以上の前駆体を加えることである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
当該金属前駆体が、金属錯体、金属塩、又はこれらの対応する無水形態若しくは溶媒和形態である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
当該ケイ素源が、式R4−xSi(L)(式中、Rは、アルキル、アリール又はアルキル−アリール、例えば、ベンジルであり、Lは、独立して、Cl、Br、I又はOR’であり、ここで、R’は、アルキル又はベンジルであり、xは、1〜4の整数である)の化合物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
金属触媒による反応を行うための、請求項1に定義されるような金属含有有機シリカ触媒の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の金属含有有機シリカ触媒を提供すること、当該触媒反応に参入することが可能な少なくとも1つの反応剤を提供すること、当該少なくとも1つの反応剤を拡散させ、当該金属含有有機シリカ触媒の金属に吸着させること、及び当該触媒反応で得られた生成物を当該金属から脱離させ、そしてその固体表面から拡散させて、当該金属含有有機シリカ触媒の金属にある触媒部位を再生させることを含有してなる、触媒反応を行う方法。

【公表番号】特表2011−529780(P2011−529780A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521415(P2011−521415)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001098
【国際公開番号】WO2010/015081
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511029383)シリサイクル インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SILICYCLE INC.
【Fターム(参考)】