説明

集積回路装置及び電子機器

【課題】センサーデバイスからの検出信号の精度の高いA/D変換を実現できる集積回路装置及び電子機器等の提供。
【解決手段】集積回路装置は、電源電圧VDDAを生成する電源回路60と、電源回路60から電源電圧VDDAが供給され、供給された電源電圧VDDAに基づいて動作し、電源電圧VDDAにより規定されるA/D変換範囲で、センサーデバイス30からの検出信号に対応する信号についてのA/D変換を行うA/D変換器ADCと、電源回路60から電源電圧VDDAが供給され、供給された電源電圧VDDAをセンサーデバイス30に供給する電源端子PVDAを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ジャイロセンサーや加速度センサーなどのモーションセンサーが脚光を浴びている。このようなモーションセンサーを用いることで、例えば、カメラの手ブレ補正や、ゲーム機における直感的な操作入力などを実現できる。このようなセンサーデバイスからの検出信号を受けて、A/D変換処理やフィルター処理を行う装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
ところで、ジャイロセンサーや加速度センサーでは、角速度(或いは角加速度)や加速度の検出信号が、DC電圧の検出電圧信号として出力される。そして、アプリケーション側は、検出電圧信号により得られた角速度、加速度をソフトウェア処理により積算して、角度、速度、距離などを求める。
【0004】
しかしながら、ジャイロセンサーや加速度センサーからの検出電圧信号のDC電圧レベルには、プロセスバラツキ等に起因するDCオフセットが存在する。従って、このようなDCオフセットが存在する検出電圧信号を、上述のように積算して角度、速度、距離を求めると、誤差が非常に大きくなってしまう。
【0005】
この点、上述の特許文献1の従来技術では、センサーデバイスからの検出電圧信号を増幅回路に入力し、増幅回路の出力信号をA/D変換器でA/D変換することで、検出信号に対応するデジタルデータを得ている。
【0006】
しかしながら、この場合にセンサーデバイスの動作電源電圧が変動すると、検出電圧信号のDC電圧レベルも変動してしまう。従って、A/D変換器により得られるデジタルデータも変動してしまい、例えば後段のソフトウェア処理の積算により得られる角度、速度、距離の誤差が大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−20829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、センサーデバイスからの検出信号の精度の高いA/D変換を実現できる集積回路装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電源電圧を生成する電源回路と、前記電源回路から前記電源電圧が供給され、供給された前記電源電圧に基づいて動作し、前記電源電圧により規定されるA/D変換範囲で、センサーデバイスからの検出信号に対応する信号についてのA/D変換を行うA/D変換器と、前記電源回路から前記電源電圧が供給され、供給された前記電源電圧を前記センサーデバイスに供給する電源端子とを含む集積回路装置に関係する。
【0010】
本発明の一態様によれば、電源回路は、電源電圧を生成し、生成された電源電圧をA/D変換器に供給する。するとA/D変換器は、この電源電圧が供給されて動作し、供給された電源電圧により規定されるA/D変換範囲で、センサーデバイスからの検出信号に対応する信号についてのA/D変換を行う。また電源回路は、生成された電源電圧を、電源端子を介してセンサーデバイスに供給する。するとセンサーデバイスは、供給された電源電圧に基づき動作して、検出信号を集積回路装置に出力する。このようにすれば、センサーデバイスの電源電圧とA/D変換器の電源電圧の間にレシオメトリックな関係を成り立たせることが可能になる。従って、電源電圧の変動が生じた場合にも、A/D変換器の出力デジタルデータの変動等が最小限に抑えられるようになり、センサーデバイスからの検出信号の精度の高いA/D変換を実現できる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記電源回路は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、生成された前記基準電圧に基づいて前記電源電圧を生成するレギュレーターとを含んでもよい。
【0012】
このようにすれば、基準電圧生成回路で生成された基準電圧を、レギュレーターにより調整することで、高い精度の電源電圧を生成できるようになる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記レギュレーターは、前記電源電圧と低電位側電源電圧との間の電圧を分割する電圧分割回路と、第1入力ノードに前記基準電圧が供給され、前記電圧分割回路の電圧分割タップからの電圧が第2入力ノードに供給される演算増幅器とを含んでもよい。
【0014】
このようにすれば、例えば第1入力ノードの電圧と第2入力ノードの電圧が等しくなるように演算増幅器が動作することで、高電位側電源等が変動しても、レギュレーターは、一定の電源電圧を出力ノードに出力できるようになる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記電圧分割回路は、複数の抵抗を有し、前記複数の抵抗の複数の電圧分割タップの各電圧分割タップに分割電圧を出力するラダー抵抗回路と、前記ラダー抵抗回路と直列に設けられ、抵抗値が可変の電源電圧設定用抵抗回路と、前記ラダー抵抗回路の前記複数の電圧分割タップのうちの1つの電圧分割タップを前記電圧微調整用タップとして選択し、選択された前記電圧微調整用タップからの電圧を、前記演算増幅器の前記第2入力ノードに供給する第1選択回路とを含んでもよい。
【0016】
このようにすれば、ラダー抵抗回路の複数の電圧分割タップの中から電圧微調整用タップを第1選択回路が選択することで、出力ノードから出力される電源電圧を微調整することが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記電源電圧に基づいて動作するアナログフロントエンド回路を含み、前記電圧分割回路は、前記ラダー抵抗回路の前記複数の電圧分割タップのうちの1つの電圧分割タップをアナロググランド用タップとして選択し、選択された前記アナロググランド用タップからのアナロググランド電圧を、前記アナログフロントエンド回路に対して供給する第2選択回路を含んでもよい。
【0018】
このようにすれば、1つの電圧分割回路を用いて、電源電圧のみならずアナロググランド電圧も生成できるようになる。また、電源電圧が変化した場合に、それに連動してアナロググランド電圧も変化するようになり、電源電圧とアナロググランド電圧を連動させることが可能になる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記第2選択回路は、前記複数の電圧分割タップの中から、前記電源電圧設定用抵抗回路での電源電圧の設定結果に応じた電圧分割タップを、前記アナロググランド用タップとして選択してもよい。
【0020】
このようにすれば、ラダー抵抗回路の複数の電圧分割タップの中からアナロググランド用タップを第2選択回路が選択することで、電源電圧に応じたアナロググランド電圧を設定できるようになる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記電源電圧に基づいて動作するアナログフロントエンド回路を含み、前記レギュレーターは、前記電圧分割回路のアナロググランド用タップからのアナロググランド電圧を、前記アナログフロントエンド回路に対して供給してもよい。
【0022】
このようにすれば、同じ電圧分割回路により生成される電源電圧とアナロググランド電圧をアナログフロントエンド回路に供給して、アナログフロントエンド回路を動作させることが可能になり、センサーデバイスからの検出信号の精度の高いA/D変換等を実現できる。
【0023】
また本発明の一態様では、前記アナログフロントエンド回路は、前記センサーデバイスからの検出信号が入力され、前記アナロググランド電圧がA/D変換範囲のセンター電圧となる信号を前記A/D変換器に出力する増幅回路を含んでもよい。
【0024】
このようにすれば、同じ電圧分割回路により生成される電源電圧とアナロググランド電圧が供給されたアナログフロントエンド回路の増幅回路が、アナロググランド電圧がA/D変換範囲のセンター電圧となる信号をA/D変換器に出力するようになる。そしてA/D変換範囲のセンター電圧はアナロググランド電圧により規定され、上限電圧は電源電圧により規定されるため、A/D変換器がこの増幅回路からの信号をA/D変換することで、より精度の高いA/D変換を実現できるようになる。
【0025】
また本発明の一態様では、前記増幅回路は、前記アナロググランド電圧に対して、前記センサーデバイスからのチャネル信号を構成する第1信号と第2信号の差分に対応する電圧を加算した電圧信号を出力してもよい。
【0026】
このようにすれば、第1信号と第2信号の差分に対応する電圧によりセンサーデバイスの検出信号が伝えられる場合にも、A/D変換範囲を、アナロググランド電圧を中心にした広い範囲に設定して、A/D変換を行うことが可能になる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記増幅回路は、前記増幅回路が有する演算増幅器のオフセット電圧をキャンセルするスイッチドキャパシター回路により構成されてもよい。
【0028】
このようにすれば、スイッチドキャパシター回路を用いることで、演算増幅器のオフセット電圧が重畳することによる測定誤差を低減できるため、より精度の高いA/D変換を実現できるようになる。
【0029】
また本発明の一態様では、前記アナログフロントエンド回路は、前記センサーデバイスの第1チャネルの信号を構成する第1チャネル第1信号と、前記センサーデバイスの第2チャネルの信号を構成する第2チャネル第1信号と、前記センサーデバイスからの第3チャネルの信号を構成する第3チャネル第1信号とが入力され、第1チャネル計測期間においては前記第1チャネル第1信号を第1信号として出力し、第2チャネル計測期間においては前記第2チャネル第1信号を前記第1信号として出力し、第3チャネル計測期間においては前記第3チャネル第1信号を前記第1信号として出力する第1マルチプレクサーと、前記第1チャネルの信号を構成する第1チャネル第2信号と、前記第2チャネルの信号を構成する第2チャネル第2信号と、前記第3チャネルの信号を構成する第3チャネル第2信号とが入力され、前記第1チャネル計測期間においては前記第1チャネル第2信号を第2信号として出力し、前記第2チャネル計測期間においては前記第2チャネル第2信号を前記第2信号として出力し、前記第3チャネル計測期間においては前記第3チャネル第2信号を前記第2信号として出力する第2マルチプレクサーとを含み、前記増幅回路は、前記第1マルチプレクサーからの前記第1信号と前記第2マルチプレクサーからの前記第2信号の差分に対応する信号を出力しもよい。
【0030】
このようにすれば、各チャネルの信号が第1、第2信号により構成される場合に、各チャネルの第1、第2信号の差分に対応する信号が、時分割でA/D変換されるようになる。従って、第1、第2信号の差分に対応する信号のA/D変換を、少ない回路規模で実現できる。
【0031】
また本発明の一態様では、前記増幅回路からの信号と、前記センサーデバイスからの第4チャネルの信号と、第5チャネルの信号と、第6チャネルの信号とが入力され、前記第1チャネル計測期間、前記第2チャネル計測期間、前記第3チャネル計測期間においては前記増幅回路からの信号を第3信号として出力し、第4チャネル計測期間においては前記第4チャネルの信号を前記第3信号として出力し、第5チャネル計測期間においては前記第5チャネルの信号を前記第3信号として出力し、第6チャネル計測期間においては前記第6チャネルの信号を前記第3信号として出力する第3マルチプレクサーを含み、前記A/D変換器は、前記第3マルチプレクサーからの前記第3信号についてのA/D変換を行ってもよい。
【0032】
このようにすれば、第1チャネル計測期間〜第3チャネル計測期間では、センサーデバイスからの第1、第2信号の差分に対応する信号を時分割でA/D変換し、第4チャネル計測期間〜第6チャネル計測期間においては、センサーデバイスからの信号を時分割でA/D変換できるようになる。
【0033】
また本発明の一態様では、前記センサーデバイスは、前記第1チャネルの信号、前記第2チャネルの信号、前記第3チャネルの信号を出力するジャイロセンサーと、前記第4チャネルの信号、前記第5チャネルの信号、前記第6チャネルの信号を出力する加速度センサーを含み、前記ジャイロセンサーからの前記第1チャネルの信号、前記第2チャネルの信号、前記第3チャネルの信号は、各々、X軸回りの角速度又は角加速度検出信号、Y軸回りの角速度又は角加速度検出信号、Z軸回りの角速度又は角加速度検出信号であり、前記加速度センサーからの前記第4チャネルの信号、前記第5チャネルの信号、前記第6チャネルの信号は、各々、X軸方向の加速度検出信号、Y軸方向の加速度検出信号、Z軸方向の加速度検出信号であってもよい。
【0034】
このようにすれば、3軸ジャイロセンサーからの角速度又は角加速度検出信号を構成する第1、第2信号については、増幅回路においてその差分信号を生成して、A/D変換器によりA/D変換できる。一方、3軸加速度センサーからの加速度検出信号については、そのままA/D変換器に入力してA/D変換できるようになる。従って、3軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーからなる6軸モーションセンサーに好適な計測システムを提供できる。
【0035】
また本発明の一態様では、前記第1マルチプレクサー、前記第2マルチプレクサー、前記第3マルチプレクサーは、前記増幅回路と前記A/D変換器の間にレイアウト配置されてもよい。
【0036】
このようにすれば、センサーデバイスから集積回路装置の端子を介して入力される第1チャネル〜第3チャネルの信号を、第1マルチプレクサー、第2マルチプレクサーを介して効率的に増幅回路に入力できるようになる。またセンサーデバイスから集積回路装置の端子を介して入力される第4チャネル〜第6チャネルの信号を、第3マルチプレクサーを介して効率的にA/D変換器に入力できるようになる。これにより、各信号の電圧がノイズ等により変動したり、電圧ドロップが生じる事態などを最小限に抑えること可能になる。
【0037】
また本発明の一態様では、前記A/D変換器は、前記アナログフロントエンド回路よりも前記電源回路に近い位置にレイアウト配置されてもよい。
【0038】
このようにすれば、電源回路からA/D変換器に電源電圧を供給する際の電源電圧の電圧ドロップを最小限に抑えることができる。従って、センサーデバイスの電源電圧とA/D変換器の電源電圧の間にレシオメトリックな関係が保たれるようになり、センサー検出信号の測定精度を向上できる。
【0039】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の集積回路装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態の集積回路装置の構成例。
【図2】センサーデバイスからの検出信号のA/D変換についての説明図。
【図3】電源回路の構成例。
【図4】電源回路の詳細な構成例。
【図5】電源電圧設定、アナロググランド電圧設定、電圧微調整についての説明図。
【図6】本実施形態の集積回路装置の詳細な構成例。
【図7】本実施形態の集積回路装置の動作説明図。
【図8】図8(A)〜図8(C)は各チャネル信号を構成する第1、第2信号の説明図。
【図9】図9(A)は増幅回路の動作説明図であり、図9(B)は各チャネル信号を構成する第1、第2信号が差動信号である場合の例。
【図10】図10(A)、図10(B)はスイッチドキャパシター回路により構成される増幅回路の構成例。
【図11】スイッチドキャパシター回路により構成される増幅回路の動作説明図。
【図12】サンプリング用スイッチ素子とマルチプレクサーのスイッチ素子を共用する場合の構成例。
【図13】集積回路装置のレイアウト配置例。
【図14】本実施形態の集積回路装置を含む電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0042】
1.構成例
図1に本実施形態の集積回路装置(回路装置)の構成例を示す。この集積回路装置は、アナログフロントエンド回路AFE、A/D変換器ADC、制御部50、電源回路60を含む。なお本実施形態の集積回路装置は図1に示す構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば制御部、AFE)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0043】
電源回路60は、アナログ回路用の電源電圧VDDAを生成する。またデジタル回路用の電源電圧VDDLやアナロググランド電圧AGND(アナログ基準電圧)を生成する。この電源回路60は、例えば、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、生成された基準電圧に基づいて電源電圧VDDAやアナロググランド電圧AGNDを生成するレギュレーターを含むことができる。
【0044】
アナログフロントエンド回路AFEは、電源回路60から電源電圧VDDAが供給されて動作するアナログ回路である。このアナログフロントエンド回路AFEには、センサーデバイス30からの検出信号VQが端子PVQを介して入力される。そしてアナログフロントエンド回路AFEは、検出信号VQに対応する信号AQをA/D変換器ADCに出力する。ここで検出信号VQに対応する信号AQは、検出信号VQそのものであってもよいし、検出信号VQが他の回路素子(マルチプレクサー等)を介してA/D変換器ADCに入力される信号であってもよい。
【0045】
電源回路60は、電源電圧VDDAに基づいて動作するアナログフロントエンド回路AFEに対して、アナロググランド電圧AGNDを供給する。そしてアナログフロントエンド回路AFEは増幅回路AMPを含む。この増幅回路AMPは、センサーデバイス30からの検出信号VQが入力され、後述する図9(A)に示すようにアナロググランド電圧AGNDがA/D変換範囲RADのセンター電圧VCTとなる信号をA/D変換器ADCに出力する。具体的には、例えば増幅回路AMPは、アナロググランド電圧AGNDに対して、センサーデバイス30のチャネル信号VQを構成する第1信号と第2信号の差分に対応する電圧を加算した電圧信号を出力する。
【0046】
この増幅回路AMPは、後述する図10(A)、図10(B)で説明するように、増幅回路AMPが有する演算増幅器OPのオフセット電圧をキャンセルするスイッチドキャパシター回路により構成できる。
【0047】
A/D変換器ADCは、電源回路60から電源電圧VDDAが供給され、供給された電源電圧VDDAに基づいて動作する。そしてセンサーデバイス30からの検出信号VQに対応する信号AQについてのA/D変換を行う。具体的には、電源電圧VDDAで規定されるA/D変換範囲(例えばVDDAを上限電圧とするA/D変換範囲)で信号AQについてのA/D変換を行う。そして、得られたデジタルデータDQを制御部50に出力する。ここで検出信号VQに対応する信号AQのA/D変換とは、検出信号VQそのもののA/D変換であってもよいし、検出信号VQが、マルチプレクサーや増幅回路AMP等のアナログフロントエンド回路AFE内の他の回路素子を介して入力される信号のA/D変換であってもよい。
【0048】
A/D変換器ADCとしては例えば逐次比較型のA/D変換器(例えば10〜16ビット)を採用できる。逐次比較型のA/D変換器は、例えば、比較回路と、逐次比較レジスターと、D/A変換器を備え、入力信号をサンプリング(サンプル・ホールド)した信号を逐次比較動作によりA/D変換することでデジタルデータを出力する。なおA/D変換器ADCとして、逐次比較型以外のA/D変換器を採用することも可能である。
【0049】
制御部50は、A/D変換器ADCからのデジタルデータDQに基づいて種々のデジタル処理を行う。具体的にはデジタルデータDQに基づいてデジタルフィルター処理を行う。また制御部50は集積回路装置内の各回路ブロックの制御も行う。即ち、アナログフロントエンド回路AFE、A/D変換器ADC、アナログフロントエンド回路AFE、電源回路60に制御信号を出力して、これらの回路ブロックの動作制御を行う。この制御部50の機能は、例えばゲートアレイ(G/A)などのロジック回路により実現できる。
【0050】
そして本実施形態の集積回路装置は電源端子PVDAを含む。この電源端子PVDAは、電源回路60から電源電圧VDDAが供給され、供給された電源電圧VDDAをセンサーデバイス30に供給する端子(パッド)である。そしてセンサーデバイス30は、この供給された電源電圧VDDAに基づいてセンサー動作を行い、センサー動作により得られた検出信号VQを、集積回路装置の端子(パッド)PVQに出力する。
【0051】
即ち図2に示すように、加速度センサー等のセンサーデバイス30は、検出信号VQとしてDC電圧の信号を出力する。またA/D変換器ADCは、電源回路60からの電源電圧VDDAに基づいて動作するため、A/D変換器ADCのA/D変換範囲RADは、その上限電圧が電源電圧VDDAであり、下限電圧が低電位側電源電圧VSS(=0V)となる範囲になる。即ちA/D変換範囲(ダイナミックレンジ)は、電源電圧VDDAにより規定される範囲となっている。またアナロググランド電圧AGND=VDDA/2がA/D変換範囲RADのセンター電圧になっており、A/D変換器ADCへの入力信号AQの電圧がAGND=VDDA/2の場合に、A/D変換器ADCはセンターコードのデジタルデータDQを出力する。そして例えばセンサーデバイス30が加速度センサーである場合には、加速度が0である場合には、A/D変換器ADCからセンターコードが出力されるようになる。
【0052】
ところが、これまでの集積回路装置では、センサーデバイス30の電源電圧と、A/D変換器ADCの電源電圧が、別の電源回路から供給される異なる電源電圧になっており、センサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧の間にレシオメトリックな関係が保たれていなかった。このため、例えばセンサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧が電源変動等により異なる電圧になってしまうと、A/D変換器ADCから出力されるデジタルデータDQのコードも変動してしまう。例えば加速度が0である場合には、センターコードのデジタルデータDQが出力されるべきあるのに、電源電圧が変動すると、センターコードとは異なるデジタルデータDQが出力されてしまう。従って、後段のアプリケーション側は、加速度センサーが搭載された電子機器(カメラ、ゲームコントローラ等)が実際には動いていないのに動いていると判定してしまう。特に、後段のアプリケーション側が、加速度を積算して速度、距離を演算している場合には、電源電圧の変動によるデジタルデータの変動が積算処理により累積されて、誤差が非常に大きくなってしまう。
【0053】
この点、本実施形態では図1に示すように、電源回路60が電源電圧VDDAを生成し、生成された電源電圧VDDAが、集積回路装置内のA/D変換器ADCに供給されると共に、電源端子PVDAを介してセンサーデバイス30にも供給される。このため、センサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧の間にレシオメトリックな関係が成り立つようになる。従って、電源電圧VDDAの変動が生じた場合にも、A/D変換器ADCの出力デジタルデータDQの変動が最小限に抑えられるようになる。従って、例えばセンサーデバイス30が加速度センサーであり、加速度センサーが搭載される電子機器が動いておらず、加速度が0である場合には、A/D変換器ADCからはセンターコードのデジタルデータDQが出力されるようになる。このため、後段のアプリケーション側が、加速度を積算して速度、距離を演算している場合でも、デジタルデータの変動が積算処理により累積されて誤差が大きくなってしまう事態の発生を抑止できる。従って、センサーデバイス30からの検出信号の精度の高いA/D変換を実現できるようになる。
【0054】
2.電源回路の構成
図3に本実施形態の集積回路装置に用いられる電源回路60の構成例を示す。図3の電源回路は、基準電圧VREFを生成する基準電圧生成回路62と、レギュレーターREGを含む。
【0055】
レギュレーターREGは、基準電圧生成回路62により生成された基準電圧VREFに基づいて電源電圧VDDAを生成する。そして図1に示すように、生成された電源電圧VDDAをA/D変換器ADCに供給する。また電源端子PVDAを介してセンサーデバイス30に電源電圧VDDAを供給する。このレギュレーターREGは電圧分割回路64と演算増幅器OPRを含む。
【0056】
電圧分割回路64は、電源電圧VDDAと低電位側の電源電圧VSSとの間の電圧を分割する回路であり、VDDノード(高電位側電源ノード)とVSSノード(低電位側電源ノード)との間に設けられる。具体的には、電圧分割回路64は複数の抵抗R1〜RNを含む。この複数の抵抗R1〜RNは、VDDAの出力ノードNVDAとVSSの間に直列に設けられる。また電圧分割回路64は、演算増幅器OPからの出力信号VOPによりそのゲートが制御される駆動トランジスターTRD(P型トランジスター)を含む。この駆動トランジスターTRDは、VDDノードとVDDAの出力ノードNVDAの間に設けられる。
【0057】
演算増幅器OPRは、その第1入力ノードNA1(非反転入力ノード)に、基準電圧生成回路62からの基準電圧VREFが供給される。また、その第2入力ノードNA2に、電圧分割回路64の電圧分割タップTP1からの電圧VFBが供給される。図3では、電圧分割タップTP1は、抵抗Rmと抵抗Rm+1の間の接続ノードになっている。
【0058】
演算増幅器OPRは、基準電圧VRと電圧分割タップTP1からの電圧VFBとが等しくなるように動作する。従って、抵抗R1〜RNの総抵抗値をRAとし、抵抗Rm+1〜RNの総抵抗値をRBとすると、出力ノードNVDAからは電源電圧VDDA=(RA/RB)・VREFが出力されることになる。そして例えば電圧分割タップTP1の位置を可変にすれば、VDDAを電圧を微調整することが可能になる。
【0059】
図4に電源回路60の詳細な構成例を示す。図4には電圧分割回路64の詳細な構成例が示されている。この電圧分割回路64は、ラダー抵抗回路RLACと電源電圧設定用抵抗回路RAJCを含む。また第1選択回路SEL1と第2選択回路SEL2を含む。
【0060】
ラダー抵抗回路RLACは、複数の抵抗を有する。これらの複数の抵抗は、電源電圧VDDAの出力ノードNVDAとVSSノードの間に設けられる。そしてラダー抵抗回路RLACは、複数の抵抗の複数の電圧分割タップの各電圧分割タップに分割電圧を出力(生成)する。例えばTP21〜TP2j、TP11〜TP1iの各電圧分割タップに、対応する分割電圧を出力する。
【0061】
電源電圧設定用抵抗回路RAJCは、ラダー抵抗回路RLACと直列に設けられ、抵抗値が可変の抵抗回路である。この電源電圧設定用抵抗回路RAJCは、複数の抵抗と、スイッチ素子SW31〜SW3kを有する。電源電圧設定用抵抗回路RAJCの複数の抵抗は、ラダー抵抗回路RLACとVSSノードの間に直列に設けられる。そしてスイッチ素子SW31〜SW3kは、これらの複数の抵抗の複数の電圧分割タップTP31〜TP3kと、VSSノードとの間に設けられる。
【0062】
そして図4では、スイッチ素子SW32がオンしているため、電圧分割タップTP32が、電源電圧設定用タップとして選択され、電圧分割タップTP32がVSS=0Vに設定される。即ち、スイッチ素子SW32を介したVSSノードへのバイパスにより、電圧分割タップTP32とVSSノードの間に設けられる抵抗は、電圧分割用の抵抗として機能しなくなる。従って、電圧分割回路64の総抵抗値は、出力ノードNVDAとタップTP32の間に設けられる抵抗の総抵抗値に設定される。
【0063】
第1選択回路SEL1は、ラダー抵抗回路RLACの複数の電圧分割タップTP11〜TP1iのうちの1つの電圧分割タップを電圧微調整用タップとして選択する。そして選択された電圧微調整用タップからの電圧VFBを、演算増幅器OPRの第2入力ノードNA2に供給する。具体的には第1選択回路SEL1は複数のスイッチ素子SW11〜SW1iを有する。これらのスイッチ素子SW11〜SW1iは、ラダー抵抗回路RLACの電圧分割タップTP11〜TP1iと、演算増幅器OPRの第2入力ノードNA2の間に設けられる。
【0064】
そして図4では、スイッチ素子SW12がオンしているため、電圧分割ノードTP12が電圧微調整用タップとして選択され、電圧分割ノードTP12からの電圧VFBが演算増幅器OPRの第2入力ノードNA2に供給されることになる。なお、ここで電圧微調整用タップによる電圧の微調整とは、電源電圧設定用抵抗回路RAJCによるVDDAの電圧設定の調整よりも、その調整幅が狭い調整を意味する。
【0065】
第2選択回路SEL2は、ラダー抵抗回路RLACの複数の電圧分割タップTP21〜TP2jのうちの1つの電圧分割タップをアナロググランド用タップとして選択する。そして、選択されたアナロググランド用タップからのアナロググランド電圧AGNDを出力する。これによりレギュレーターREGは、電圧分割回路64のアナロググランド用タップからのアナロググランド電圧AGNDを、図1に示すように電源電圧VDDAに基づいて動作するアナログフロントエンド回路AFEに対して供給できるようになる。
【0066】
具体的には第2選択回路SEL2は、複数のスイッチ素子SW21〜SW2jと、演算増幅器OPAGを有する。スイッチ素子SW21〜SW2jは、ラダー抵抗回路RLACの複数の電圧分割タップTP21〜TP2jと、演算増幅器OPAGの第1入力ノードNB1(非反転入力ノード)との間に設けられる。演算増幅器OPAGは、その出力ノードと第2入力ノードNB2(反転入力ノード)とが接続されるボルテージフォロワ接続の演算増幅器になっている。
【0067】
そして図4では、スイッチ素子SW22がオンしているため、電圧分割ノードTP22がアナロググランド用タップとして選択され、電圧分割ノードTP22からの電圧が演算増幅器OPAGの第1入力ノードNB1に供給される。そして、電圧分割ノードTP22からの電圧が、ボルテージフォロワ接続の演算増幅器OPAGによりインピーダンス変換されて、アナロググランド電圧AGNDとして出力される。
【0068】
また第2選択回路SEL2は、複数の電圧分割タップTP21〜TP2jの中から、電源電圧設定用抵抗回路RAJCでの電源電圧VDDAの設定結果に応じた電圧分割タップを、アナロググランド用タップとして選択する。
【0069】
即ち第2選択回路SEL2のスイッチ素子SW21〜SW2jと、電源電圧設定用抵抗回路RAJCのスイッチ素子SW31〜SW3kは、連動してオン・オフ制御される。具体的には、電源電圧設定用抵抗回路RAJCのスイッチ素子SW31〜SW3kのオン・オフ制御により、VDDAの電圧設定が変更されると、その設定の変更に連動して、例えばAGND=VDDA/2の関係が成り立つように、第2選択回路SEL2のスイッチ素子SW21〜SW2jがオン・オフ制御される。
【0070】
なお、スイッチ素子SW11〜SW1i、SW21〜SW2j、SW31〜SW3kのオン・オフ制御は、図1の制御部50により行われる。またこれらのスイッチ素子SW11〜SW1i、SW21〜SW2j、SW31〜SW3kは、CMOSのトランジスター(N型トランジスター)やトランスファーゲートなどにより実現される。
【0071】
図5は、本実施形態の電源電圧設定、アナロググランド電圧設定、電圧微調整についての説明図である。
【0072】
例えば電源電圧設定用抵抗回路RAJCのスイッチ素子SW31〜SW3kのオン・オフを制御することにより、図5に示すように、3.4V、3.3V、3.2V・・・・というように、電源電圧VDDAの設定が行われる。
【0073】
例えば本実施形態の集積回路装置が接続されるセンサーデバイス30としては様々な種類のものが考えられる。そして集積回路装置が接続されるセンサーデバイス30の動作電源電圧が3.4Vである場合には、電源電圧設定用抵抗回路RAJCのスイッチ素子SW31〜SW3kのオン・オフ制御により、図5に示すように電圧分割回路64の抵抗総段数を例えば3456にすることで、VDDA=3.4Vに設定する。そして電源端子PVDAを介して、VDDA=3.4Vをセンサーデバイス30に供給する。
【0074】
一方、集積回路装置が接続されるセンサーデバイス30の動作電源電圧が3.3Vである場合には、スイッチ素子SW31〜SW3kのオン・オフ制御により、電圧分割回路64の抵抗総段数を例えば3520にすることで、VDDA=3.3Vに設定する。そして電源端子PVDAを介して、VDDA=3.3Vをセンサーデバイス30に供給する。
【0075】
このようにすることで、様々な種類のセンサーデバイス30を本実施形態の集積回路装置に接続したとしても、そのセンサーデバイス30の動作電源電圧に対応した電源電圧VDDAを電源端子PVDAを介して供給できるようになる。
【0076】
そして、このように電圧分割回路64の抵抗総段数が変わると、アナロググランド電圧がAGND=VDDA/2からずれてしまう。
【0077】
そこで本実施形態では、第2選択回路SEL2は、電源電圧設定用抵抗回路RAJCでのスイッチ素子SW31〜SW3kのオン・オフ制御による電源電圧VDDAの設定結果に応じた電圧分割タップを、アナロググランド用タップとして選択する。
【0078】
例えば図5に示すように、VDDA=3.4Vに設定するために電源電圧設定用抵抗回路RAJCにより抵抗総段数が3456に設定された場合には、第2選択回路SEL2は、段数が1728=3456/2となる電圧分割タップを、アナロググランド用タップとして選択する。このようにすることで、VDDA=3.4Vに設定された場合に、AGND=VDDA/2=1.7Vのアナロググランド電圧を、図1のアナログフロントエンド回路AFEに供給できるようになる。これにより図2や後述する図9(A)に示すようなA/D変換を実現できるようになる。
【0079】
そして、この時には図5に示すように、第1選択回路SEL1が1200〜1263の段数に対応する電圧分割タップの選択を行うことで、電源電圧VDDAの微調整を行う。即ち、例えばプロセス変動等により基準電圧VREFが変動することなどにより、電源電圧VDDAが変動した場合に、第1選択回路SEL1により電源電圧VDDAが3.4VになるようにVDDAの微調整が行われる。この微調整は、例えば集積回路装置の製造後の出荷工程等において行われ、その時の第1選択回路SEL1のスイッチ素子SW11〜SW1iのオン・オフ設定の情報は、ヒューズ回路や不揮発性メモリーに記憶される。このようにすることで、集積回路装置のプロセス変動等を原因とする電源電圧VDDAの変動を最小限に抑えることが可能になる。
【0080】
一方、VDDA=3.3Vに設定するために電源電圧設定用抵抗回路RAJCにより抵抗総段数が3520に設定された場合には、第2選択回路SEL2は、段数が1760=3520/2となる電圧分割タップを、アナロググランド用タップとして選択する。このようにすることで、VDDA=3.3Vに設定された場合に、AGND=VDDA/2=1.65Vのアナロググランド電圧を、アナログフロントエンド回路AFEに供給できるようになる。
【0081】
そして、この時には図5に示すように、第1選択回路SEL1が1264〜1327の段数に対応する電圧分割タップの選択を行うことで、電源電圧VDDAの微調整を行う。これにより、集積回路装置のプロセス変動等が原因とする電源電圧VDDAの変動を微調整することが可能になる。
【0082】
以上のように図4の電源回路60によれば、例えばセンサーデバイス30の種類等に応じて、電源電圧VDDAを様々な電圧に設定できる。そして、このように電源電圧VDDAの設定が変更された場合にも、図5に示すように、電源電圧設定用抵抗回路RAJCでのスイッチ素子のオン・オフと、第2選択回路SEL2でのスイッチ素子のオン・オフが連動して制御される。従って、AGND=VDDA/2となるアナロググランド電圧をアナログフロントエンド回路AFEに供給して、図2、図9(A)に示すようなA/D変換を実現できるようになる。そして、更に選択回路SEL1による電源電圧VDDAの微調整により、集積回路装置のプロセス変動による電源電圧VDDAの変動も最小限に抑えることが可能になる。
【0083】
そして、これらの電源電圧の設定、AGNDの設定、電源電圧の微調整を、図4に示すように複数の抵抗の直列接続の経路が1本である1つの電圧分割回路64を用いて実現できる。従って、複数の抵抗の直列接続の経路が2本以上である場合に比べて、集積回路装置の回路規模を削減できると共に、抵抗の経路に流れる電流値を減らすことができ、省電力化を図れるようになる。
【0084】
3.詳細な構成例
図6に本実施形態の集積回路装置の詳細な構成例を示す。図6の詳細な構成例では、センサーデバイス30は、ジャイロセンサー10と加速度センサー20を有する。ジャイロセンサー10としては、振動子が回転することによるコリオリ力から角速度を検出する振動型などの角速度センサーや、静電容量の変化や慣性力の変化から角加速度を検出する角加速度センサーなどを採用できる。加速度センサー20としては、梁構造で支えられた可動部での位置変化を静電容量の変化として検出する静電容量型のセンサーや、ダイヤフラムの位置変化をピエゾ抵抗素子によって検出するピエゾ抵抗型のセンサーや、ガス温度分布型のセンサーなどを採用できる。なおジャイロセンサー10と加速度センサー20は、同じパッケージ(筺体)内に一体に実装されるものであってもよいし、異なるパッケージに実装されるものであってもよい。
【0085】
図6では、X軸回りでの角速度(又は角加速度)の検出信号、Y軸回りでの角速度(又は角加速度)の検出信号、Z軸回りでの角速度(又は角加速度)の検出信号が、各々、チャネルCH1、CH2、CH3の検出電圧信号VQ1、VQ2、VQ3として、センサーデバイス30(ジャイロセンサー)から出力される。またCH1、CH2、CH3の検出電圧信号VQ1、VQ2、VQ3の基準電圧となる基準電圧信号VR1、VR2、VR3がセンサーデバイス30(ジャイロセンサー)から出力される。
【0086】
またセンサーデバイス30(加速度センサー)からの第4チャネルCH4の信号VQ4、第5チャネルCH6の信号VQ5、第6チャネルCH6の信号VQ6は、各々、X軸方向の加速度検出信号、Y軸方向の加速度検出信号、Z軸方向の加速度検出信号になる。
【0087】
なお、信号VQ1〜VR3の端子(パッド)には、抵抗及びキャパシター(R11、C11等)からなる外付けのパッシブフィルターが設けられている。また信号VQ4〜VQ6の端子には、電位安定化用のキャパシター(C4等)が設けられている。
【0088】
図6の集積回路装置は、第1マルチプレクサーMUX1、第2マルチプレクサーMUX2、第3マルチプレクサーMUX3、増幅回路AMPを含む。これらの第1マルチプレクサーMUX1〜第3マルチプレクサーMUX3と増幅回路AMPによりアナログフロントエンド回路AFEが構成される。また集積回路装置は、A/D変換器ADC、制御部50、電源回路60を含む。なお本実施形態の集積回路装置は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0089】
第1マルチプレクサーMUX1は、第1チャネルCH1の信号を構成する第1チャネル第1信号VQ1と、第2チャネルCH2の信号を構成する第2チャネル第1信号VQ2と、第3チャネルCH3の信号を構成する第3チャネル第1信号VQ3が入力され、第1信号SG1を出力する。具体的には、第1チャネル計測期間においては、第1チャネル第1信号VQ1を第1信号SG1として出力する。一方、第2チャネル計測期間においては、第2チャネル第1信号VQ2を第1信号SG1として出力し、第3チャネル計測期間においては、第3チャネル第1信号VQ3を第1信号SG1として出力する。
【0090】
第2マルチプレクサーMUX2は、第1チャネルCH1の信号を構成する第1チャネル第2信号VR1と、第2チャネルCH2の信号を構成する第2チャネル第2信号VR2と、第3チャネルCH3の信号を構成する第3チャネル第2信号VR3が入力され、第2信号SG2を出力する。具体的には、第1チャネル計測期間においては、第1チャネル第2信号VR1を第2信号SG2として出力する。一方、第2チャネル計測期間においては、第2チャネル第2信号VR2を第2信号SG2として出力し、第3チャネル計測期間においては、第3チャネル第2信号VR3を第2信号SG2として出力する。
【0091】
増幅回路AMPは、第1マルチプレクサーMUX1からの第1信号SG1と、第2マルチプレクサーMUX2からの第2信号SG2とが入力される。そして第1信号SG1と第2信号SG2の差分(差分電圧)に対応する信号AMQを出力する。ここで、第1、第2信号SG1、SG2の差分に対応する信号とは、第1、第2信号SG1、SG2の差分信号そのものや、差分信号をゲイン倍した信号などである。
【0092】
第3マルチプレクサーMUX3には、増幅回路AMPからの信号AMQと、センサーデバイス30(加速度センサー)からの第4チャネルCH4の信号VQ4と、第5チャネルCH5の信号VQ5と、第6チャネルCH6の信号VQ6が入力される。そして第3マルチプレクサーMUX3は、第1チャネル計測期間、第2チャネル計測期間、第3チャネル計測期間においては、増幅回路AMPからの信号AMQを第3信号SG3と出力する。また第4チャネル計測期間においては第4チャネルCH4の信号VQ4を第3信号SG3として出力し、第5チャネル計測期間においては第5チャネルCH5の信号VQ5を第3信号SG3として出力する。また第6チャネル計測期間においては第6チャネルCH6の信号を第3信号SG3として出力する。
【0093】
A/D変換器ADCは、第3マルチプレクサーMUX3からの第3信号SG3についてのA/D変換を行う。ここで第3信号SG3についてのA/D変換とは、第3マルチプレクサーMUX3から直接出力される第3信号SG3そのもののA/D変換や、第3マルチプレクサーMUX3から他の回路素子を介してA/D変換器ADCに入力された信号のA/D変換などである。
【0094】
制御部50は、A/D変換器ADCからのデジタルデータDQに基づいて種々のデジタル処理を行う。具体的には制御部50のデジタルフィルター52がデジタルデータDQに基づいてデジタルフィルター処理を行う。この制御部50の機能は、例えばゲートアレイ(G/A)などのロジック回路により実現できる。
【0095】
デジタルフィルター52は、A/D変換器ADCのサンプリング周波数の1/2以下のカットオフ周波数のローパスフィルター処理を行うものであり、所望信号の周波数成分以外の周波数成分の信号を除去する。例えばA/D変換器ADCが1kHzの周波数でサンプリングを行っている場合には、デジタルフィルター52は、例えば250Hzや125Hzのカットオフ周波数のローパスフィルター処理を行う。このように集積回路装置内でローパスフィルター処理を行うことで、集積回路装置に接続される後段のマイクロコンピューター(MCU)等の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0096】
また制御部50は、集積回路装置内の各回路ブロックの制御を行う。例えば制御部50は、制御信号SCAM、SCAD、SCPWを出力して、増幅回路AMP、A/D変換器ADC、電源回路60を制御する。また制御信号SCM1、SCM2、SCM3を出力して、マルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3での信号選択の制御を行う。
【0097】
電源回路60は、アナログ回路用の電源電圧VDDAやアナロググランド電圧AGND(アナログ基準電圧)を生成する。そして、生成された電源電圧VDDAを、増幅回路AMP、A/D変換器ADCに供給し、アナロググランド電圧AGNDを増幅回路AMPに供給する。また電源回路は、電源電圧VDDAを、電源端子を介してセンサーデバイス30に供給する。
【0098】
増幅回路AMP、A/D変換器ADCは、電源回路60から供給される電源電圧VDDAに基づいて動作する。また増幅回路AMPは、A/D変換器ADCのA/D変換範囲のセンター電圧となるアナロググランド電圧AGNDに対して、第1、第2信号SG1、SG2の差分に対応する電圧を加算した電圧信号を、信号AMQとして出力する。
【0099】
図7は図6の構成例の動作説明図である。図7に示すように第1チャネル計測期間TCH1では、マルチプレクサーMUX1、MUX2により、各々、信号VQ1、VR1が選択され、増幅回路AMPが、出力信号AMQとしてVQ1、VR1の差分電圧信号VDF1を出力する。そしてマルチプレクサーMUX3は、この差分電圧信号VDF1を第3信号SG3としてA/D変換器ADCに出力する。同様に、第2チャネル計測期間TCH2においては、マルチプレクサーMUX3は、信号VQ2、VR2の差分電圧信号VDF2を第3信号SG3としてA/D変換器ADCに出力する。また第3チャネル計測期間TCH3においては、マルチプレクサーMUX3は、信号VQ3、VR3の差分電圧信号VDF3を第3信号SG3としてA/D変換器ADCに出力する。
【0100】
一方、マルチプレクサーMUX3は、第4チャネル計測期間TCH4においては、センサーデバイス30からの信号VQ4を選択して、第3信号SG3としてA/D変換器ADCに出力する。同様にマルチプレクサーMUX3は、第5、第6チャネル計測期間TCH5、TCH6においては、各々、信号VQ5、VQ6を選択して、第3信号SG3としてA/D変換器ADCに出力する。
【0101】
図8(A)は、信号VQ1、VQ2と信号VR1、VR2の関係を示す説明図である。同図に示すように第1チャネル第1信号VQ1は、チャネルCH1の第1検出電圧の信号であり、第1チャネル第2信号VR1は、第1検出電圧の基準となる第1基準電圧の信号である。また第2チャネル第1信号VQ2は、第2チャネルの第2検出電圧の信号であり、第2チャネル第2信号VR2は、第2検出電圧の基準となる第2基準電圧の信号である。第3チャネル第1信号VQ3と第3チャネル第2信号VR3の関係も同様である。
【0102】
なお、以下では、信号VQ1、VQ2、VQ3で示される検出電圧を、適宜、検出電圧VQ1、VQ2、VQ3と表記し、信号VR1、VR2、VR3で示される基準電圧を、適宜、基準電圧VR1、VR2、VR3と表記する。
【0103】
図6のセンサーデバイス30のジャイロセンサー10は、X軸回りの角速度を検出するX軸用センサー、Y軸回りの角速度を検出するY軸用センサー、Z軸回りの角速度を検出するZ軸用センサーを内蔵する。即ち、これらの独立したX軸用センサー、Y軸用センサー、Z軸用センサーが、1つのパッケージ(筐体)内に実装される。そしてX軸用センサーがチャネルCH1の信号VQ1、VR1を出力し、Y軸用センサーがチャネルCH2の信号VQ2、VR2を出力し、Z軸用センサーがチャネルCH3の信号VQ3、VR3を出力する。
【0104】
そしてX軸回りの角速度は、検出電圧VQ1と基準電圧VR1の差分電圧VDF1で表され、Y軸回りの角速度は、検出電圧VQ2と基準電圧VR2の差分電圧VDF2で表される。Z軸回りの角速度も同様である。
【0105】
この場合にX軸用、Y軸用、Z軸用の各センサーは、独立のセンサーユニットにより構成されるため、検出電圧の基準となる基準電圧(各センサーユニットのアナロググランド電圧)は、プロセスバラツキ等が原因で異なった電圧になってしまう。例えば図8(A)では、チャネルCH1の基準電圧VR1は、チャネルCH2の基準電圧VR2よりも低くなっており、VR1とVR2の間には電圧差ΔVRが存在する。
【0106】
例えば図8(B)に、ジャイロセンサー10のX軸用、Y軸用、Z軸用の各センサーの構成例を示す。各センサーは、振動子310(広義には物理量トランスデューサ)、駆動回路320、検出回路330を含み、検出回路330は、増幅回路332、同期検波回路334、フィルター部336を含む。そして駆動回路320が駆動信号により振動子310を駆動し、振動子310からの検出信号が検出回路330の増幅回路(QV変換回路)332に入力される。同期検波回路334は、駆動回路320からの同期信号に基づいて、増幅回路332の出力信号に対して同期検波を行い、所望信号を抽出する。そしてフィルター部336が不要信号を除去するためのローパスフィルター処理を行い、検出電圧VQ(VQ1、VQ2、VQ3)の信号と基準電圧VR(VR1、VR2、VR3)の信号を出力する。
【0107】
ここで図8(C)に示すように、検出電圧VQは角速度(dps)に比例するDC電圧になっており、例えば角速度が速くなるほどVQの電圧が高くなる。
【0108】
そして図6のX軸用、Y軸用、Z軸用の各センサーは、検出電圧と基準電圧をペアーとして出力し、図8(C)に示すように、検出電圧と基準電圧の差分電圧が、角速度の大きさを表すものになる。
【0109】
このため図6のマルチプレクサーMUX1が、図7に示すようにチャネルCH1、CH2、CH3の各計測期間において、各々、検出電圧VQ1、VQ2、VQ3を選択して、増幅回路AMPに出力する。またマルチプレクサーMUX2が、チャネルCH1、CH2、CH3の各計測期間において、各々、基準電圧VR1、VR2、VR3を選択して、増幅回路AMPに出力する。そして増幅回路AMPが、チャネルCH1、CH2、CH3の各計測期間において、各々、VDF1=VQ1−VR1、VDF2=VQ2−VR2、VDF3=VQ3−VR3の差分電圧を生成する。
【0110】
このように本実施形態によれば、図6のX軸用、Y軸用、Z軸用の各センサーが検出電圧と基準電圧をペアーとして出力する場合にも、検出電圧と基準電圧の差分電圧を、A/D変換器ADCにより適正にA/D変換できる。従って、図8(A)のように、チャネル間で基準電圧が異なっていても、高い精度の測定を実現できる。
【0111】
また本実施形態によれば、センサーデバイス30が図6のように6チャネルの信号を出力する場合にも、6つの増幅回路を設けなくてもよく、1つの増幅回路AMPだけを設ければ済むようになる。即ち、マルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3を用いた時分割処理を行うことで、増幅回路AMPの個数を減らすことができる。これにより、集積回路装置の回路規模を大幅に削減することが可能になり、検出精度の向上と集積回路装置の小規模化を両立できるようになる。
【0112】
また図6では増幅回路AMPには、アナロググランド電圧AGNDが供給される。図9(A)に示すように、このアナロググランド電圧AGNDは、A/D変換器ADCのA/D変換範囲RADのセンター電圧VCTとなっている。
【0113】
そして増幅回路AMPは、センター電圧VCTであるアナロググランド電圧AGNDに対して、信号SG1、SG2の差分に対応する電圧VDF(検出電圧と基準電圧の差分電圧)を加算した電圧信号AMQを出力する。
【0114】
このようにすれば、検出電圧と基準電圧の差分電圧により角速度検出信号が伝えられる場合にも、A/D変換範囲RADを、AGNDを中心にした広い範囲に設定して、差分電圧をA/D変換することが可能になる。これによりA/D変換器ADCのダイナミックレンジを最大限に活用した角速度検出信号のA/D変換が可能になり、検出精度の向上等を図れる。
【0115】
また図6の構成によれば、3軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーからなる6軸モーションセンサーに最適な計測システムを提供できる。即ち、6軸モーションセンサーからの角速度検出信号を構成する第1、第2信号については、増幅回路AMPにおいてその差分電圧信号を生成して、A/D変換器ADCによりA/D変換できる。一方、モーションセンサーからのシングルエンドの加速度検出信号については、マルチプレクサーMUX3を介してA/D変換器ADCに入力してA/D変換できるようになる。そして、モーションセンサーからの3チャネルの角速度検出信号と3チャネルの加速度検出信号を図7に示すように時分割に計測してA/D変換することで、集積回路装置の小規模化を実現できる。また図8(A)等で説明したように、角速度検出信号や加速度検出信号を高精度で検出できるようになる。
【0116】
例えば後段のマイクロコンピューター等により角速度、加速度を積算して、角度、速度、距離を求める場合に、角速度、加速度のDCオフセットが大きいと、そのDCオフセットが積算されて、角度、速度、距離の誤差が大きくなってしまう事態が生じる。このような事態が生じると、モーションセンサーが搭載される電子機器が、実際には回転や移動をしていなくても、回転や移動をしているものとして検出されてしまう。
【0117】
この点、本実施形態によれば、角速度、加速度のDCオフセットを最小限に抑えることができる。従って、電子機器が実際には回転や移動をしていなくても回転や移動をしているものとして検出されてしまう事態を抑止できる。
【0118】
なお、以上では、センサーデバイス30のチャネルCH1、CH2、CH3から出力される第1、第2信号が、図8(A)に示すような検出電圧の信号と基準電圧の信号である場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば図9(B)に示すように、チャネルCH1〜CH3から出力される第1信号と第2信号は、所定電圧レベル(センター電圧)を基準に平衡な関係にある差動信号VP、VNであってもよい。即ち第1信号は差動信号を構成する正極性の信号であり、第2信号は差動信号を構成する負極性の信号であってもよい。図6を例にとれば、第1チャネル第1信号VQ1と第1チャネル第2信号VR1が、所定電圧レベルを基準に平衡な関係にある第1差動信号であり、第2チャネル第1信号VQ2と第2チャネル第2信号VR2が、所定電圧レベルを基準に平衡な関係にある第2差動信号であってもよい。VQ3、VR3の信号も同様である。
【0119】
このように第1、第2信号が差動信号である場合にも、マルチプレクサーMUX1、MUX2を設け、増幅回路AMPが差分電圧を出力して、A/D変換器ADCがA/D変換することで、検出精度の向上と集積回路装置の小規模化を両立して実現することが可能になる。
【0120】
4.増幅回路
図10(A)に増幅回路AMPの構成例を示す。この増幅回路AMPは、増幅回路AMPが有する演算増幅器OPのオフセット電圧をキャンセルするスイッチドキャパシター回路により構成される。ここで演算増幅器OPのオフセット電圧は、入力換算オフセット電圧であり、例えば演算増幅器OPの第1、第2入力ノードNI1、NI2の間のオフセット電圧である。
【0121】
なお本実施形態の増幅回路AMPは図10(A)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、その接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。また増幅回路AMPとしてスイッチドキャパシター回路ではない構成の回路(例えば増幅器とD/A変換器とオフセット調整レジスターを有する回路等)を用いてもよい。
【0122】
図10(A)の増幅回路AMPは、演算増幅器OPと、オフセットキャンセル用キャパシターCOFを含む。オフセットキャンセル用キャパシターCOFは、その第2入力ノードNI2(非反転入力ノード)にアナロググランド電圧AGNDが設定された演算増幅器OP(ボルテージフォロワ接続の演算増幅器)の第1入力ノードNI1(反転入力ノード)と、ANGDノードとの間に設けられる。そして演算増幅器OPのオフセット電圧に対応する電荷を記憶(蓄積)する。具体的には、キャパシターCOFの一端は、第1入力ノードNI1に接続されると共に、スイッチ素子SW3を介して演算増幅器OPの出力ノードNPQに接続される。一方、キャパシターCOFの他端は、スイッチ素子SW1を介してAGNDノードに接続される。
【0123】
なお演算増幅器OPの第2入力ノード(非反転入力ノード)はアナロググランド電圧AGNDに設定される。このようにすることで、図9(A)で説明したように、増幅回路AMPは、A/D変換範囲RADのセンター電圧VCTとなるアナロググランド電圧AGNDに対して、第1、第2信号の差分電圧を加算した電圧信号を出力することが可能になる。
【0124】
また増幅回路AMPは、増幅回路AMPの入力ノードNIと演算増幅器OPの第1入力ノードNI1との間に設けられるサンプリング用キャパシターCSを含む。具体的には、サンプリング用キャパシターCSの一端は、演算増幅器OPの第1入力ノードNI1に接続され、サンプリング用キャパシターCSの他端は、第1サンプリング用スイッチ素子SWS1及び第2サンプリング用スイッチ素子SWS2の他端に接続される。そして第1サンプリング用スイッチ素子SWS1、第2サンプリング用スイッチ素子SWS2の一端には、各々、第1信号SG1、第2信号SG2が入力される。
【0125】
また図10(A)に示すように、オフセットキャンセル用キャパシターCOFは、演算増幅器OPの第1入力ノードNI1と第1ノードNOFとの間に設けられる。そして増幅回路AMPは、第1スイッチ素子SW1、第2スイッチ素子SW2、第3スイッチ素子SW3を更に含む。
【0126】
第1スイッチ素子SW1は、第1ノードNOFとアナロググランド電圧AGNDのノードとの間に設けられる。そして第1スイッチ素子SW1は、第1期間T1においてオンになり、第2期間T2においてオフになる。
【0127】
第2スイッチ素子SW2は、第1ノードNOFと演算増幅器OPの出力ノードNPQとの間に設けられる。そして第2スイッチ素子SW2は、第1期間T1においてオフになり、第2期間T2においてオンになる。
【0128】
第3スイッチ素子SW3は、演算増幅器OPの出力ノードNPQと第1入力ノードNI1との間に設けられる。そして第3スイッチ素子SW3は、第1期間T1においてオンになり、第2期間T2においてオフになる。
【0129】
また増幅回路AMPは第4スイッチ素子SW4を含む。第4スイッチ素子SW4は、演算増幅器OPの出力ノードNPQと増幅回路AMPの出力ノードNQとの間に設けられる。そして第4スイッチ素子SW4は、第1期間T1においてオフになり、第2期間T2においてオンになる。
【0130】
なおスイッチ素子SW1〜SW4、SWS1、SWS2は、例えばCMOSのトランジスター(N型トランジスター)やトランスファーゲートなどにより実現される。また本実施形態では、第1期間T1に続く期間が第2期間T2である場合を例にとり説明するが、第2期間T2に続く期間が第1期間T1であってもよい。
【0131】
図11は増幅回路AMPは動作を説明する信号波形図である。図11において、信号のHレベルは、それに対応するスイッチ素子がオンであることを示し、信号のLレベルは、それに対応するスイッチ素子がオフであることを示す。
【0132】
図10(A)は、スイッチドキャパシター回路のサンプリング期間である第1期間T1での各スイッチ素子のオン・オフ状態を示しており、図10(B)は、ホールド期間(出力期間)である第2期間T2での各スイッチ素子のオン・オフ状態を示している。
【0133】
図10(A)、図11に示すように第1期間T1では、スイッチ素子SWS1、SW1、SW3がオンになり、スイッチ素子SWS2、SW2、SW4がオフになる。スイッチ素子SWS1、SW1がオンになることで、信号SG1の電圧と、アナロググランド電圧AGNDに演算増幅器OPのオフセット電圧を加算した電圧との差分電圧に対応する電荷が、キャパシターCSに蓄積される。またスイッチ素子SW3がオンになることで、演算増幅器OPが、いわゆるボルテージフォロワ接続になり、演算増幅器OPのオフセット電圧に対応する電荷がキャパシターCOFに蓄積される。またスイッチ素子SW4がオフになることで、演算増幅器OPの出力ノードNPQと増幅回路AMPの出力ノードNQとの間の接続が遮断される。
【0134】
図10(B)、図11に示すように第2期間T2では、スイッチ素子SWS2、SW2、SW4がオンになり、スイッチ素子SWS1、SW1、SW3がオフになる。スイッチ素子SWS2、SW2、SW4がオンになることで、信号SG1と信号SG2の差分電圧をアナロググランド電圧AGNDに加算した電圧が、増幅回路AMPの出力ノードNQに出力されるようになる。
【0135】
例えば図10(A)において、信号SG1、SG2の電圧を、各々、VQ、VRと表し、キャパシターCS、COFの容量値をC1、C2と表す。また演算増幅器OPのオフセット電圧をVOFと表し、アナロググランド電圧をAGNDと表す。
【0136】
すると図10(A)の第1期間T1では、ノードNIの電位はVQになり、ノードNI1の電位はAGND+VOFになり、ノードNOFの電位はAGNDになる。従って、キャパシターCS、COFに蓄積される電荷Q1、Q2は、下式(1)(2)のように表される。
【0137】
Q1=C1・(VQ−AGND−VOF) (1)
Q2=−C2・VOF (2)
一方、図10(A)の第2期間T2でのノードNQの出力電圧をVPQと表す。すると第2期間T2では、ノードNIの電位はVRになり、ノードNI1の電位はAGND+VOFになり、ノードNOFの電位はVPQになる。従って、キャパシターCS、COFに蓄積される電荷Q1’、Q2’は、下式(3)(4)のように表される。
【0138】
Q1’=C1・(VR−AGND−VOF) (3)
Q2’=C2・(VPQ−AGND−VOF) (4)
そして電荷保存の法則により下式(5)が成立する。
【0139】
Q1+Q2=Q1’+Q2’ (5)
そして上式(5)に上式(1)〜(4)を代入することで、下式(6)が得られる。
【0140】
VPQ=(C1/C2)・(QV−VR)+AGND (6)
従って、図9(A)で説明したように、増幅回路AMPの出力ノードNQには、信号SG1、SG2の差分に対応する電圧VDF=(C1/C2)・(QV−VR)がAGNDに加算された電圧VPQが出力されるようになる。
【0141】
また上式(6)から明らかなように、演算増幅器OPのオフセット電圧VOFはキャンセルされ、出力電圧VPQには現れないようになる。従って、いわゆるオフセットフリーの増幅回路AMPを実現できる。
【0142】
即ち、前述の特許文献1の従来技術では、演算増幅器等のオフセット電圧をキャンセルするために、複数のD/A変換器と複数のオフセット調整レジスターが必要になり、回路規模が大きくなるという問題がある。特に計測の精度を高めるためには、D/A変換器のビット数が大きくなってしまい、これは回路の更なる大規模化を招く。更に、従来技術ではオフセットキャンセル処理が複雑になり、制御部の処理負荷が過大になるという問題もある。
【0143】
この点、図10(A)の構成の増幅回路AMPによれば、アナログ処理により演算増幅器OPのオフセット電圧がキャンセルされる。このように演算増幅器OPのオフセット電圧をキャンセルすることで、計測電圧である出力電圧VPQも高精度になり、センサー出力を高精度に計測できるようになる。また、D/A変換器やオフセット調整レジスターが不要になるため、回路規模を大幅に削減できると共に省電力化も実現できる。また、ビット数が大きなD/A変換器を用いなくても、高精度な計測が可能になるという利点もある。
【0144】
特に図6のようにセンサーデバイスのチャネル数が多い場合に、図10(A)のようなスイッチドキャパシター回路の増幅回路AMPを用いることは効果的である。即ち増幅回路AMPとして、オフセットキャンセル機能を有するスイッチドキャパシター回路を用いることで、複数チャネルの信号を時分割に高精度に計測できるようになる。また、従来技術のように各チャネルに対応して増幅回路を設ける必要がなく、1つの増幅回路AMPを設けるだけで済むため、回路の小規模化や低消費電力を実現できる。また制御部50の制御処理は、マルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3の信号選択の切り替えや、増幅回路AMP、A/D変換器ADCの動作制御だけで済むため、制御部50の処理負荷も軽減できる。
【0145】
なお図10(A)、図10(B)のサンプリング用のスイッチ素子SWS1、SWS2は、図6のマルチプレクサーMUX1、MUX2のスイッチ素子と共用することができる。図12は、このようにマルチプレクサーMUX1、MUX2のスイッチ素子と共用した場合の構成例を示す図である。
【0146】
例えば第1チャネル計測期間TCH1では、図12のマルチプレクサーMUX1、MUX2のスイッチ素子SWQ1、SWR1により、図10(A)、図10(B)のスイッチ素子SWS1、SWS2の機能が実現される。
【0147】
即ち第1チャネル計測期間TCH1の第1期間T1では、図12のスイッチ素子SWQ1がオンになり、スイッチ素子SWR1がオフになる。これにより図10(A)に示すスイッチ素子SWS1のオンとスイッチ素子SWS2のオフが実現され、検出電圧VQ1がキャパシターCSの一端に印加されるようになる。
【0148】
また第1チャネル計測期間TCH1の第2期間T2では、図12のスイッチ素子SWQ1がオフになり、スイッチ素子SWR1がオンになる。これにより図10(B)に示すスイッチ素子SWS1のオフとスイッチ素子SWS2のオンが実現され、基準電圧VR1がキャパシターCSの一端に印加されるようになる。
【0149】
また第2チャネル計測期間TCH2では、マルチプレクサーMUX1、MUX2のスイッチ素子SWQ2、SWR2により、図10(A)、図10(B)のスイッチ素子SWS1、SWS2の機能が実現される。
【0150】
即ち第2チャネル計測期間TCH2の第1期間T1では、スイッチ素子SWQ2がオンになり、スイッチ素子SWR2がオフになる。これにより図10(A)に示すスイッチ素子SWS1のオンとスイッチ素子SWS2のオフが実現され、検出電圧VQ2がキャパシターCSの一端に印加されるようになる。
【0151】
また第2チャネル計測期間TCH2の第2期間T2では、スイッチ素子SWQ2がオフになり、スイッチ素子SWR2がオンになる。これにより図10(B)に示すスイッチ素子SWS1のオフとスイッチ素子SWS2のオンが実現され、基準電圧VR2がキャパシターCSの一端に印加されるようになる。
【0152】
また第3チャネル計測期間TCH3も上述と同様であり、マルチプレクサーMUX1、MUX2のスイッチ素子SWQ3、SWR3によりスイッチ素子SWS1、SWS2の機能が実現される。
【0153】
このようにマルチプレクサーのスイッチ素子とスイッチドキャパシター回路のサンプリング用スイッチ素子を共用することで、回路の更なる小規模化や簡素化を図れる。
【0154】
5.集積回路装置のレイアウト
図13に、本実施形態の集積回路装置(IC)のレイアウト配置例を示す。図13の集積回路装置では、アナログフロントエンド回路AFEを構成する増幅回路AMP及びマルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3と、A/D変換器ADCと、制御部50(ゲートアレイ回路)と、電源回路60がレイアウト配置されている。
【0155】
I/O領域RIO1には、図6のジャイロセンサー10からの信号VQ1〜VR3の端子(パッド)が配置されている。そして信号VQ1〜VR3の信号線がI/O領域RIO1からマルチプレクサーMUX1、MUX2に配線されて、信号VQ1〜VR3がマルチプレクサーMUX1、MUX2に入力される。このマルチプレクサーMUX1、MUX2の出力信号SG1、SG2の信号線がマルチプレクサーMUX1、MUX2から増幅回路AMPに配線される。
【0156】
またI/O領域RIO2には、加速度センサー20からの信号VQ4〜VQ6の端子(パッド)が配置されている。そして信号VQ4〜VQ6の信号線がI/O領域RIO2からマルチプレクサーMUX3に配線されて、信号VQ4〜VQ6がマルチプレクサーMUX3に入力される。また増幅回路AMPの出力信号AMQの信号線が、増幅回路AMPからマルチプレクサーMUX3に入力される。そしてマルチプレクサーMUX3の出力信号SG3の信号線がマルチプレクサーMUX3からA/D変換器ADCに配線される。
【0157】
図13に示すように、マルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3は、増幅回路AMPとA/D変換器ADCの間にレイアウト配置されている。例えば図13において第1の方向をD1として、D1に直交する方向を第2の方向D2とし、第1の方向D1の反対方向を第3の方向D3とし、第2の方向D2の反対方向を第4の方向D4とする。するとマルチプレクサーMUX1、MUX2のD2方向側に増幅回路AMPが配置される。またマルチプレクサーMUX1、MUX2のD4方向側にマルチプレクサーMUX3が配置される。そしてマルチプレクサーMUX3のD4方向側にA/D変換器ADCが配置される。
【0158】
そして、このようにマルチプレクサーMUX1、MUX2、MUX3を、増幅回路AMPとA/D変換器ADCの間に配置することで、I/O領域RIO1からの信号VQ1〜VR3をマルチプレクサーMUX1、MUX2を介して効率的に増幅回路AMPに入力できるようになる。またI/O領域RIO2からの信号VQ4〜VQ6をマルチプレクサーMUX3を介して効率的にA/D変換器ADCに入力できるようになる。これにより、信号VQ1〜VR3、VQ4〜VQ6の電圧がノイズ等により変動したり、電圧ドロップが生じるなどの事態を最小限に抑えること可能になる。また、センサーデバイス30のチャネル数が多い場合にも、センサーデバイス30からの信号VQ1〜VR3、VQ4〜VQ6の配線領域の大きさを最小限に抑えることができ、集積回路装置の小面積化を図れる。
【0159】
また図13では、A/D変換器ADCのD1方向側に電源回路60が配置されている。また電源回路60のD2方向側であって、且つ、アナログフロントエンド回路AFEのD1方向側に制御部50が配置されている。このような配置にすることで、デジタル回路ブロックである制御部50と、アナログ回路ブロックである電源回路60、アナログフロントエンド回路AFE、A/D変換器ADC等の効率的なレイアウト配置を実現できる。
【0160】
また図13では、電源回路60のD4方向側に電源電圧VDDAの端子(パッド)PVDAが配置されている。即ち電源回路60の直近にVDDAの端子PVDAが配置されている。そして電源回路60は、生成した電源電圧VDDAを端子PVDAを介して外部のセンサーデバイス30に供給する。この時、電源回路60の近傍に端子PVDAが配置されることで、センサーデバイス30に電源電圧VDDAを供給する際のVDDAの電圧ドロップ等を最小限に抑えることが可能になる。そして電源電圧VDDAの電圧ドロップが最小限に抑えられることで、図2で説明したように、センサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧の間にレシオメトリックな関係が保たれ、センサー検出信号の測定精度を向上できる。
【0161】
また図13では、A/D変換器ADCは、アナログフロントエンド回路AFE(増幅回路AMP、マルチプレクサーMUX1〜MUX3)よりも電源回路60に近い位置にレイアウト配置される。即ち電源回路60とA/D変換器ADCの間の距離は、電源回路60とアナログフロントエンド回路AFEの間の距離よりも短くなっている。
【0162】
例えば電源回路60は、生成された電源電圧VDDAを、電源線を介してA/D変換ADCや増幅回路AMPに対して供給している。そして図2で説明したように、センサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧の間にレシオメトリックな関係が保たれないと、センサー検出信号の測定精度が悪化する。
【0163】
この点、図13では、A/D変換器ADCは、アナログフロントエンド回路AFE(増幅回路AMP等)よりも電源回路60に近い位置にレイアウト配置されており、電源回路60とA/D変換器ADCとの間でVDDAの電源線がショートパスで接続される。従って、電源回路60からA/D変換器ADCに電源電圧VDDAを供給する際のVDDAの電圧ドロップを最小限に抑えることができる。従って、センサーデバイス30の電源電圧とA/D変換器ADCの電源電圧の間にレシオメトリックな関係が保たれるようになり、センサー検出信号の測定精度を向上できる。
【0164】
このように図13では、電源回路60から電源端子PVDAへの電源線と、電源回路60からA/D変換器ADCへの電源線の両方を、ショートパスで接続できるため、センサー検出信号の測定精度を更に向上できる。
【0165】
6.電子機器
次に本実施形態の集積回路装置を含む電子機器の構成例について、図14を用いて説明する。なお本実施形態の電子機器は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0166】
図14の電子機器は、センサーデバイス30と本実施形態の集積回路装置500を含む。また処理部510、記憶部520、無線回路530、アンテナ540を含むことができる。
【0167】
センサーデバイス30(物理量トランスデューサ)が、各種の物理量(角速度、加速度、角加速度、力、質量等)を検出する。そして物理量を電流(電荷)や電圧等に変換して、検出信号として出力する。
【0168】
集積回路装置500は、センサーデバイス30からの検出信号を受け、検出信号のA/D変換を行ったり、必要であればA/D変換後のデジタルデータに対する演算処理(信号処理)を行う。そして、得られたデジタルデータを、処理部510などに出力する。
【0169】
処理部510は、デジタルデータに対する種々のデジタル処理を行う。この処理部510の機能は、例えばマイクロコンピューターなどにより実現される。記憶部520は、デジタルデータ等を一時的に記憶する。この記憶部520の機能は、RAMなどのメモリーにより実現される。
【0170】
無線回路530は、集積回路装置500により得られたデジタルデータに対して変調処理などを行い、アンテナ540を用いて外部機器(相手側の電子機器)に送信する。またアンテナ540を用いて、外部機器からのデータを受信し、ID認証を行ったり、センサーデバイス30の制御等を行ってもよい。
【0171】
図14の構成によれば、センサーデバイス30により検出された情報を、外部機器に送信することが可能になり、無線機能とセンサー機能を有する種々の電子機器を実現できる。
【0172】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また集積回路装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0173】
AFE アナログフロントエンド回路、AMP 増幅回路、ADC A/D変換器、
PVDA 電源端子、VDDA 電源電圧、
AGND アナロググランド電圧、RAD A/D変換範囲、
REG レギュレーター、OPR、OPAG 演算増幅器、R1〜RN 抵抗、
RLAC ラダー抵抗回路、RAJC 電源電圧設定用抵抗回路、
SEL1 第1選択回路、SEL2 第2選択回路、
TP11〜TP1i、TP21〜TP2j、TP31〜TP3k 電圧分割タップ、
SW11〜SW1i、SW21〜SW2j、SW31〜SW3k スイッチ素子、
MUX1〜MUX3 第1マルチプレクサー〜第3マルチプレクサー、
CH1〜CH6 第1チャネル〜第6チャネル、
VQ1〜VQ3 第1チャネル第1信号〜第3チャネル第1信号、
VR1〜VR3 第1チャネル第2信号〜第3チャネル第2信号、
VQ4〜VQ6 第4チャネル〜第6チャネルの信号、
TCH1〜TCH6 第1チャネル計測期間〜第6チャネル計測期間、
OP 演算増幅器、SW1〜SW4、SWS1、SWS2 スイッチ素子、
CS サンプリング用キャパシター、COF オフセットキャンセル用キャパシター、
10 ジャイロセンサー、20 加速度センサー、30 センサーデバイス、
50 制御部、52 デジタルフィルター、60 電源回路、
62 基準電圧生成回路、64 電圧分割回路、
310 振動子、320 駆動回路、330 検出回路、332 増幅回路、
334 同期検波回路、336 フィルター部、500 集積回路装置、
510 処理部、520 記憶部、530 無線回路、540 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を生成する電源回路と、
前記電源回路から前記電源電圧が供給され、供給された前記電源電圧に基づいて動作し、前記電源電圧により規定されるA/D変換範囲で、センサーデバイスからの検出信号に対応する信号についてのA/D変換を行うA/D変換器と、
前記電源回路から前記電源電圧が供給され、供給された前記電源電圧を前記センサーデバイスに供給する電源端子と、
を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記電源回路は、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
生成された前記基準電圧に基づいて前記電源電圧を生成するレギュレーターとを含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記レギュレーターは、
前記電源電圧と低電位側電源電圧との間の電圧を分割する電圧分割回路と、
第1入力ノードに前記基準電圧が供給され、前記電圧分割回路の電圧分割タップからの電圧が第2入力ノードに供給される演算増幅器とを含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記電圧分割回路は、
複数の抵抗を有し、前記複数の抵抗の複数の電圧分割タップの各電圧分割タップに分割電圧を出力するラダー抵抗回路と、
前記ラダー抵抗回路と直列に設けられ、抵抗値が可変の電源電圧設定用抵抗回路と、
前記ラダー抵抗回路の前記複数の電圧分割タップのうちの1つの電圧分割タップを電圧微調整用タップとして選択し、選択された前記電圧微調整用タップからの電圧を、前記演算増幅器の前記第2入力ノードに供給する第1選択回路とを含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記電源電圧に基づいて動作するアナログフロントエンド回路を含み、
前記電圧分割回路は、
前記ラダー抵抗回路の前記複数の電圧分割タップのうちの1つの電圧分割タップをアナロググランド用タップとして選択し、選択された前記アナロググランド用タップからのアナロググランド電圧を、前記アナログフロントエンド回路に対して供給する第2選択回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2選択回路は、
前記複数の電圧分割タップの中から、前記電源電圧設定用抵抗回路での電源電圧の設定結果に応じた電圧分割タップを、前記アナロググランド用タップとして選択することを特徴とする集積回路装置。
【請求項7】
請求項3又は4において、
前記電源電圧に基づいて動作するアナログフロントエンド回路を含み、
前記レギュレーターは、
前記電圧分割回路のアナロググランド用タップからのアナロググランド電圧を、前記アナログフロントエンド回路に対して供給することを特徴とする集積回路装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記アナログフロントエンド回路は、
前記センサーデバイスからの検出信号が入力され、前記アナロググランド電圧がA/D変換範囲のセンター電圧となる信号を前記A/D変換器に出力する増幅回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記増幅回路は、
前記アナロググランド電圧に対して、前記センサーデバイスからのチャネル信号を構成する第1信号と第2信号の差分に対応する電圧を加算した電圧信号を出力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記増幅回路は、
前記増幅回路が有する演算増幅器のオフセット電圧をキャンセルするスイッチドキャパシター回路により構成されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかにおいて、
前記アナログフロントエンド回路は、
前記センサーデバイスの第1チャネルの信号を構成する第1チャネル第1信号と、前記センサーデバイスの第2チャネルの信号を構成する第2チャネル第1信号と、前記センサーデバイスからの第3チャネルの信号を構成する第3チャネル第1信号とが入力され、第1チャネル計測期間においては前記第1チャネル第1信号を第1信号として出力し、第2チャネル計測期間においては前記第2チャネル第1信号を前記第1信号として出力し、第3チャネル計測期間においては前記第3チャネル第1信号を前記第1信号として出力する第1マルチプレクサーと、
前記第1チャネルの信号を構成する第1チャネル第2信号と、前記第2チャネルの信号を構成する第2チャネル第2信号と、前記第3チャネルの信号を構成する第3チャネル第2信号とが入力され、前記第1チャネル計測期間においては前記第1チャネル第2信号を第2信号として出力し、前記第2チャネル計測期間においては前記第2チャネル第2信号を前記第2信号として出力し、前記第3チャネル計測期間においては前記第3チャネル第2信号を前記第2信号として出力する第2マルチプレクサーとを含み、
前記増幅回路は、
前記第1マルチプレクサーからの前記第1信号と前記第2マルチプレクサーからの前記第2信号の差分に対応する信号を出力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記増幅回路からの信号と、前記センサーデバイスからの第4チャネルの信号と、第5チャネルの信号と、第6チャネルの信号とが入力され、前記第1チャネル計測期間、前記第2チャネル計測期間、前記第3チャネル計測期間においては前記増幅回路からの信号を第3信号として出力し、第4チャネル計測期間においては前記第4チャネルの信号を前記第3信号として出力し、第5チャネル計測期間においては前記第5チャネルの信号を前記第3信号として出力し、第6チャネル計測期間においては前記第6チャネルの信号を前記第3信号として出力する第3マルチプレクサーを含み、
前記A/D変換器は、
前記第3マルチプレクサーからの前記第3信号についてのA/D変換を行うことを特徴とする集積回路装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記センサーデバイスは、
前記第1チャネルの信号、前記第2チャネルの信号、前記第3チャネルの信号を出力するジャイロセンサーと、
前記第4チャネルの信号、前記第5チャネルの信号、前記第6チャネルの信号を出力する加速度センサーを含み、
前記ジャイロセンサーからの前記第1チャネルの信号、前記第2チャネルの信号、前記第3チャネルの信号は、各々、X軸回りの角速度又は角加速度検出信号、Y軸回りの角速度又は角加速度検出信号、Z軸回りの角速度又は角加速度検出信号であり、
前記加速度センサーからの前記第4チャネルの信号、前記第5チャネルの信号、前記第6チャネルの信号は、各々、X軸方向の加速度検出信号、Y軸方向の加速度検出信号、Z軸方向の加速度検出信号であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項14】
請求項12又は13において、
前記第1マルチプレクサー、前記第2マルチプレクサー、前記第3マルチプレクサーは、前記増幅回路と前記A/D変換器の間にレイアウト配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項15】
請求項7乃至14のいずれかにおいて、
前記A/D変換器は、前記アナログフロントエンド回路よりも前記電源回路に近い位置にレイアウト配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−43877(P2012−43877A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182091(P2010−182091)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】