説明

難溶性固体、接着剤組成物及びデバイス、並びに関連する方法

【課題】微細化された難溶性固体及び関連する方法を提供すること。
【解決手段】当該固体は、1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有する。当該固体は、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有する。また、硬化性組成物、硬化層及び当該硬化層を含む電子デバイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この特許出願は、2003年9月3日に出願された米国特許出願第10/654378号の一部継続出願である2003年12月16日に出願された米国特許出願第10/737,943号の一部継続出願である2005年4月1日に出願された米国特許出願第11/096,160号、2003年12月16日に出願された米国特許出願第10/736946号、2002年11月22日に出願された米国特許出願第10/301,904号の一部継続出願である2004年12月7日に出願された米国特許出願第11/006,265号、及び2003年9月2日に出願された米国特許出願第10/653,371号の一部継続出願である。本出願は、これらの特許出願に基づく利益及び優先権の主張を伴う。これらの特許出願の全内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、接着剤組成物に用いられる充填剤に関する実施態様を含む。本発明は、接着剤組成物及び当該該接着剤組成物を用いるデバイスに関する実施態様を含む。本発明は、充填剤を製造及び/又は使用する方法に関する実施態様を含む。
【背景技術】
【0003】
より小型でより高度な電子デバイスに対する要求により、電子産業の関心は引き続き、入力/出力(「I/O」)密度の向上と共に、小さなダイ面積(die areas)での性能の向上をサポートすることができる集積回路用パッケージに向かわせている。産業上の要求に応えるためにフリップチップ技術が開発された。しかし、フリップチップ構造では、熱サイクルの間に、望ましくない機械的応力がはんだバンプに加わるおそれがある。機械的応力は、シリコンダイと基板との熱膨張係数(CTE)の不適合に起因すると思われる。このミスマッチにより、結果として、電子デバイスに機械的又は電子的に不具合が発生する。近年、シリコンチップと基板との間の空隙を埋め、機械的応力を低減させるために、アンダーフィル樹脂が用いられている。さらに、アンダーフィル樹脂は、CTEのミスマッチを低減させるために、ケイ素充填剤を含んでいてよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケイ素充填剤を用いることは、充填剤を含むアンダーフィル樹脂により、ウェーハのダイシングのために用いられるガイドマークが見えにくくなり、はんだのリフロー操作の際に、良好な電気的接触の形成を阻害すると共に、加工が困難であるという問題を有している。1種類以上の充填材料、充填樹脂系、及び現在市販されているものとは異なる性質を有する電子デバイスを得ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、微細化された難溶性固体に関する実施態様を含む。当該固体は、1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有していてよい。当該固体は、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有していてよい。
【0006】
本発明の実施態様は、接着剤組成物に関するものであってよい。接着剤組成物は、固体と硬化性樹脂とを含んでよい。当該固体は、1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有していてよい。当該固体は、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有していてよい。
【0007】
本発明の実施態様は、電子デバイスに関するものであってよい。当該デバイスは、チップ(半導体素子)と、基板と、チップを基板に密着させる接着剤組成物とを有してよい。接着剤組成物は、固体と硬化性樹脂とを含んでいてよい。当該固体は、1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有していてよい。当該固体は、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有していてよい。
【0008】
また、本発明の実施態様は、安定な、充填剤を含む樹脂系の製造方法に関するものであってよい。当該方法は、複数種類の粒子の活性末端部位の第1の部分を、官能基化された組成物と反応させる工程と、複数種類の粒子の活性末端部位の第2の部分を不活性(不動態)化組成物と反応させる工程とを有していてよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、微細化された難溶性固体及び関連する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、接着剤組成物に用いるための充填剤に関する実施態様を含む。本発明は、接着剤組成物及び接着剤組成物を用いた電子デバイスに関する実施態様を含む。さらに、本発明は、充填剤の製造及び/又は使用方法に関する実施態様を含む。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲の全範囲において用いられる場合、任意の近似的表現は、関連する基本的機能に変化をもたらさない範囲内で変動させることができる定量的表現を修飾するために用いることができる。したがって、「約」、「ほぼ」等の語句により修飾された数値は、特定された厳密な値に限定されない。硬化したとは、反応性基の約50%より多くが反応した、反応性基を有する組成物全体を意味する。Bステージ樹脂とは、部分的に硬化した樹脂がゴム状であってよく、通常の溶媒に部分的にしか溶解しない、熱硬化性樹脂の硬化の後段階を意味する。ガラス転移温度とは、硬質又はもろい状態から、柔軟又は可塑性を有する状態の非晶質物質に変化する温度でよい。透明とは、ヘイズの最大値が15%であることを意味する。基板は、チップ又は部品が密着する表面を有している。低沸点成分とは、1気圧で200℃以下の沸点を有する、混合物又は溶液の成分でよい。樹脂は、本明細書及び特許請求の範囲の全範囲において、特定の名称を有する樹脂及び樹脂の名称になっている残基を有する分子の両者を表すことがある。さらに、樹脂には、樹脂の単量体単位、オリゴマー、及び部分的に硬化した樹脂分子、及び単量体単位から形成され、完全に硬化した樹脂材料を含んでよい。アルキルは、アルキル、分岐アルキル、アラルキル、及びシクロアルキル基のうち1種類以上を含んでよい。
【0012】
ある実施態様において、シリカの充填剤は、少なくとも1種類の有機アルコシキシラン、及び少なくとも1種類の有機シラザンで処理されてよい。処理は、連続的に又は同時に行うことができ、連続処理を行う場合には、充填剤の表面の活性末端部位の少なくとも一部に、有機アルコシキシランを塗布又は反応させ、有機アルコシキシランとの反応後に残った充填剤の表面の活性末端部位の少なくとも一部に、有機シラザンを塗布又は反応させてよい。
【0013】
有機アルコシキシランとの反応後、他の相と相溶性を有しなかった充填剤は、有機樹脂等の有機相に対し、より相溶性となる。有機アルコシキシランとの反応により形成されるペンダント有機官能基によって相溶性となるが、充填剤の表面に残った活性末端部位が、有機樹脂の早期硬化を開始させるおそれがある。
【0014】
活性末端部位を有機シラザンでキャッピングすることにより、相溶性の充填剤を不活性化することができる。相溶性の、不活性化された充填剤は、樹脂と混合可能であり、安定な充填樹脂系を形成することができる。有機アルコシキシラン及び有機シラザンは、それぞれ、相溶化剤及び不活性化剤の一例である。
【0015】
溶媒改質樹脂組成物は、少なくとも1種類の芳香族エポキシ樹脂と、少なくとも1種類の環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、若しくはドロキシ芳香族化合物、これらの混合物又はこれらの組み合わせの硬化性樹脂マトリックスを含んでいてよい。樹脂マトリックスには、少なくとも1種類の溶媒、及び粒子充填剤分散物が混合されていてよい。芳香族エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール樹脂より誘導されるエポキシであってよい。他の実施態様において、粒子充填剤分散物は、水性溶媒中に分散した少なくとも1種類の官能基化コロイド状シリカを含む。溶媒改質樹脂組成物は、他の添加剤と共に1種類以上の硬化剤及び/又は触媒を含んでいてもよい。加熱して溶媒を除去すると、当該組み合わせは透明なBステージ樹脂を形成する。ある実施態様において、アンダーフィル材料として有用である溶媒改質樹脂組成物は、フリップチップ技術に応用することができる。溶媒を除去後、アンダーフィル材料は、加熱して、透明なBステージの硬化した、硬質で低いCTEと高いガラス点移転温度とを有する樹脂にすることにより、最終的に硬化することができる。コロイド状シリカ充填剤は、溶媒を含む本発明の組成物の全体にわたってほぼ均一に分散しており、この分散状態は、室温で、そして溶媒の除去及び硬化の全工程の間、安定に保つことができる。得られる樹脂の透明性は、ウェーハダイシング操作の間、ウェーハダイシング用のガイドマークを見えるようにする、ウェーハダイシング操作のためのアンダーフィル材料、特にウェーハレベルアンダーフィル材料として有用である。開示された組成物は、アンダーフィル材料、例えば、ウェーハレベルアンダーフィル材料として有用である。ある実施態様において、アンダーフィル材料は、自溶(セルフ・フラクシング)性を有していてもよい。
【0016】
硬化性樹脂マトリックスに用いるために適切な樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、アクリル樹脂、他の有機官能基化ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ化炭素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素化ポリアリルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノールクレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、及び硬化して高度に架橋した熱硬化性物質を形成する、当業者に公知の他のポリマー系の1種類以上が挙げられるが、これらに限定されない。(通常のポリマーについては、「Polymer Handbook」、Branduf,J.、Immergut,E.H.、Grulke,Eric A.、Wiley Interscience Publication、New York、第4版(1999)、「Polymer Data Handbook」、Mark,James、Oxford University Press,New York (1999)を参照のこと)。熱硬化性材料は、フリーラジカル重合、原子移動、ラジカル重合、開環重合、開環メタセシス重合、アニオン重合又はカチオン重合、により架橋を形成することができる、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、及び他の有機官能基化ポリシロキサン樹脂であってよい。適切な硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、「Chemstry and Technology of Silicone」、Noll,W.、Academic Press(1968)に記載の、付加及び縮合により硬化可能なマトリックスが挙げられる。
【0017】
第1の樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂は、少なくとも1種類の芳香族エポキシ樹脂と、少なくとも1種類の環状脂肪族エポキシ単量体、脂肪族エポキシ単量体、若しくはヒドロキシ芳香族化合物、又はこれらの混合物とを含むエポキシ樹脂マトリックスであってよい。エポキシ樹脂は、エポキシ官能基を有する有機系又は無機系を含んでいてもよい。有用なエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂について開示されている範囲内で、参照として本明細書に組み込まれる、「Chemistry and Technology of the Epoxy Resins」、B.Ellis(編)、Chapman Hall、1993、New York、及び「Epoxy Resins Chemistry and Technology」、C.May及びY.Tanaka、Marcel Dekker、New York(1972)に記載のものが挙げられる。エポキシ樹脂は、充填剤分散物と混合することができる硬化性の単量体又はオリゴマーである。エポキシ樹脂は、分子中に2つ以上のエポキシ基を有する芳香族エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂を含んでいてよい。エポキシ樹脂は、2つ以上の官能基を有していてよい。有用なエポキシ樹脂は、塩基触媒存在下での、ヒドロキシル、カルボキシル又はアミンを含む化合物と、エピクロロヒドリンとの反応により製造されるものを含んでいてもよい。エポキシ樹脂は、少なくとも1つ、及び2つ以上の炭素−炭素二重結合を含む化合物と、過酸等の過酸化物との反応により製造することができる。
【0018】
多官能性芳香族樹脂を加えることにより、ガラス転移温度(T)を上昇させることができる。好適な芳香族エポキシ樹脂としては、クレゾール−ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノール−ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルエポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシド、及び2−グリシジルフェニルグリシジルエーテルを含んでよい。三官能性芳香族エポキシ樹脂の例としては、三井化学株式会社製のイソシアヌル酸トリグリシジルエポキシVG3101L等を、四官能性芳香族エポキシ樹脂の例としては、チバ・ガイギー社製のAraldite MTO163等を含んでよい。ある実施態様において、本発明の方法に用いられるエポキシ樹脂は、クレゾール−ノボラック樹脂と、ビスフェノールより誘導されるエポキシ樹脂とを含んでいてよい。
【0019】
本発明の第1の樹脂組成物には、多官能性エポキシ単量体が、組成物の全重量に対して約1重量%〜約5重量%、約5重量%〜約35重量%、約35重量%〜約70重量%、又は約70重量%よりも多量に含まれていてよい。本明細書及び特許請求の範囲の全範囲において、範囲の限定は、組み合わせ及び/又は交換することができ、このような範囲は、文脈から又は明示的に示されない限り、全ての部分範囲を示すと共に含んでいる。エポキシ樹脂の量を、ノボラック樹脂硬化剤等の他の試薬のモル量に対応して調整してもよい。
【0020】
好適な環状脂肪族エポキシ樹脂としては、3−(1,2−エポキシエチル)−7−オキサビシクロヘプタン、ヘキサン二酸ビス(7−オキサビシクロヘプチルメチル)エステル、2−(7−オキサビシクロヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサ−5,3’−(7)−オキサビシクロヘプタン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチル、3−シクロヘキセニルカルボン酸3−シクロヘキセニルメチルジエポキシド、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキサンジオキシド、アジピン酸ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、exo−exoビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、endo−exoビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノレン酸二量体のジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、1,2−ビス(5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンオキシル)エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びジペンテンジオキシド及びヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルが挙げられる。好適な環状脂肪族エポキシ樹脂は、3−シクロヘキセニルカルボン酸3−シクロヘキセニルメチルジエポキシドでよい。環状脂肪族エポキシ単量体は、溶媒改質樹脂組成物中に、第1の樹脂組成物の重量の約0.3重量%〜約0.5重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、又は約15重量%よりも多量に含まれてよい。
【0021】
好適な脂肪族エポキシ樹脂は、C〜C20脂肪族樹脂又はポリグリコール型樹脂等の、少なくとも1つの脂肪族基を含む化合物を含んでよい。脂肪族エポキシ樹脂は、1分子あたり1つのエポキシ基を有する単官能性、又は1分子あたり2つ以上のエポキシ基を有する多官能性のいずれであってもよい。ある実施態様において、脂肪族エポキシ樹脂としては、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びジペンテンジオキシドジグリシジオキシドが挙げられる。このような脂肪族エポキシ樹脂としては、Dow社(米国ミシガン州ミッドランド)製のDER732及びDER736等が市販されている。
【0022】
脂肪族エポキシ樹脂は、溶媒改質樹脂組成物中に、第1の組成物の約0.3重量%〜約0.5重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、又は約15重量%よりも多量に含まれてよい。
【0023】
好適なシリコーンエポキシ樹脂は、式(I)を有してよい。
M’D’T’(I)
[式中、添字a、b、c、d、e、f、及びgは、添字b、d、及びfの和が1以上であるという条件下でゼロ又は正の整数であり、Mは式RSiO1/2で表され、M’は式(Z)RSiO1/2で表され、Dは式RSiO2/2で表され、D’は式(Z)RSiO2/2で表され、Tは式RSiO3/2で表され、T’は式(Z)SiO3/2で表され、Qは式SiO4/2でよい。R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、約C1〜22アルキル、約C1〜22アルコキシ、約C2〜22アルケニル、約C6〜14アリール、約C6〜22アルキル置換アリール、及び約C6〜22アリールアルキルであり、これらの基はハロゲン化、例えば、約C1〜22フルオロアルキル等のフッ化炭素を含むようにフッ素化されていてもよく、又はアミノプロピル若しくはアミノエチルアミノプロピル等のアミノアルキルを形成するようにアミノ基を含んでいてもよく、又は式(CHCHRO)で表されるポリエーテル基を含んでいてもよい。式中、Rはメチル又は水素であり、kは約4〜20であり、Zはそれぞれ独立してエポキシ基を有する基でよい。]ノルマル及び分岐鎖アルキル基は、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含んでおり、非限定的な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三ブチル、ペンチル、ネオペンチル及びヘキシルが挙げられる。示されたシクロアルキル基は、好ましくは約4〜約12個の環式炭素原子を含むものである。これらのシクロアルキル基の非限定的な具体例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。好ましいアラルキル基は、約7〜約14個の炭素原子を含むものであり、これらには、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の種々の実施態様において用いられるアリール基は、約6〜約14個の炭素原子を含むものである。これらのアリール基のいくつかの非限定的な具体例としては、フェニル、ビフェニル及びナフチルが挙げられる。ハロゲン化基の非限定的な具体例は、3,3,3−トリフルオロプロピルである。エポキシ単量体とオリゴマーとの組み合わせも、本発明において用いられることが意図されている。
【0024】
ある実施態様において、樹脂材料の組み合わせは、アンダーフィル材料として有用である。アンダーフィル材料は、第1の硬化性透明樹脂組成物及び第2の硬化性フラックス樹脂組成物の、2種類以上の樹脂を含んでいてよい。第1の硬化性樹脂組成物は、好ましくはウェーハの段階で塗布され、溶媒を除去することにより、硬質で透明なBステージ樹脂を形成する。ウェーハはその後、ダイシング又は同様な操作に供され、個々のチップが製造される。しかし、ある実施態様において、ダイシング後の個々のチップに第1の硬化性樹脂を塗布してもよい。第2の硬化性フラックス樹脂は、チップが設置される基板又はデバイス上に塗布される。第2の硬化性フラックス樹脂は、リフロー操作の間、チップを所定の位置に保持することにより、チップのずれを抑制する。
【0025】
ある実施態様において、第1の硬化性樹脂組成物は、少なくとも1種類のエポキシ樹脂を有する樹脂マトリックスを含んでよい。第1の硬化性樹脂組成物は、上述の好適な樹脂組成物からなる群より選択することができる。具体的には、第1の硬化性樹脂組成物は、少なくとも1種類の芳香族エポキシ樹脂と、少なくとも1種類の環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、若しくはヒドロキシ芳香族化合物、又はこれらの混合物とを含んでよい。樹脂マトリックスは、少なくとも1種類の溶媒及び粒子充填剤分散物と混合してよい。ある実施態様において、芳香族エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール樹脂より誘導されるエポキシ樹脂でよい。他の実施態様において、粒子充填剤分散物は、少なくとも1種類の官能基化コロイド状シリカを含んでいる。第1の硬化性樹脂組成物は、他の添加剤のうち、1種類以上の硬化剤及び/又は触媒を含んでいてよい。加熱して溶媒を除去すると、第1の硬化性樹脂は透明なBステージ樹脂を形成し、本明細書中において、「溶媒改質樹脂」と称されることがある。第1の溶媒改質樹脂材料の透明性は、ウェーハダイシング操作の間、ウェーハダイシング用のガイドマークを見えるようにするウェーハレベルアンダーフィルとして、特に有用である。
【0026】
本発明の第2の硬化性フラックス樹脂は、好ましくは少なくとも1種類のエポキシ樹脂の樹脂マトリックスを含んでよい。フラックス樹脂は、低粘度の液体であってよく、エポキシ硬化剤を含んでいてよく、ある実施態様において、第2の硬化性フラックス樹脂は、少なくとも1種類の官能基化コロイド状シリカを含んでよい。
【0027】
2種類の樹脂を組み合わせることにより、加熱により最終的に硬化可能であり、低いCTEと高いガラス転移温度とを有する、硬化した硬質の樹脂を形成するアンダーフィル材料が得られる。ある実施態様において、アンダーフィル材料は、自溶性を有していてよい。コロイド状シリカ充填剤は、本発明の組成物中にほぼ均一に分散しており、この分散状態は、室温で、そして溶媒の除去及び硬化の全工程の間、安定に保たれる。
【0028】
樹脂(単一の樹脂又は樹脂の組み合わせ)と共に用いるのに有用な溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、メトキシプロパノールアセテート、酢酸ブチル、メトキシエチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及び酢酸エチル、酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、及び酢酸ブチルカルビトール等のセロソルブ類が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上の成分の組み合わせとして用いてもよい。ある実施態様において、本発明において用いるのに好ましい溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノールでよい。溶媒は、溶媒改質樹脂組成物中に、約5重量%〜約70重量%又は約15重量%〜約40重量%存在してよい。溶媒を加えるため、第1の硬化性透明樹脂は、本明細書において「溶媒改質樹脂」と称されることがあり、これらの用語は、交換可能に用いることができる。
【0029】
本発明の第1の硬化性樹脂組成物に含まれる改質樹脂の製造に用いられる充填剤の出発物質は、コロイド状シリカを含んでいてよい。シリカは、水性溶媒又は他の溶媒中へのサブミクロンサイズのシリカ(SiO)粒子の分散物であってよい分散物は、シリカ含量が約10重量%未満、約10重量%〜約30重量%、約30重量%〜約60重量%、約60重量%〜約85重量%、又は約85重量%よりも多量の二酸化ケイ素(SiO)を含んでいてよい。
【0030】
第1の樹脂組成物中のコロイド状シリカの平均粒子径は、通常、約1ナノメートル(nm)〜約5nm、約5nm〜約50nm、又は約50nm〜約75nmであってよい。平均粒子径は、通常、約75nm〜約100nm、約100nm〜約250nm、又は約250nm以上であってよい。ある実施態様において、上述の範囲の限定は、平均粒子径ではなく、最大粒子径を表していてもよい。
【0031】
コロイド状シリカは、有機アルコキシシランで処理され、有機又は非極性液体相に相溶性を有し、分散可能な官能基化コロイド状シリカを形成していてよい。コロイド状シリカの官能基化に用いられる有機アルコキシシランは、下記の式に含まれてよい。
(RSi(OR4−a
[式中、Rは、それぞれ独立してC1〜18の1価の炭化水素基で、場合によっては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル又はエポキシ基、又は約C6〜14のアリール若しくはアルキル基でさらに置換されており、Rは、それぞれ独立してC〜C18の1価の炭化水素基又は水素基でよく、「a」は、1〜3の整数でよい。]本発明に含まれる有機アルコキシシランは、フェニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のうち1種類以上を含んでいてよい。ある実施態様において、フェニルトリメトキシシランを用いてコロイド状シリカを官能基化することができる。異なる種類の官能基の組み合わせも好適である。
【0032】
有機アルコキシシランは、溶媒改質樹脂組成物中に、第1の樹脂組成物中のコロイド状シリカに含まれる二酸化ケイ素の重量に対して、約0.5重量%未満、又は約0.5重量%〜約5重量%、又は約5重量%〜約60重量%存在してよい。
【0033】
コロイド状シリカの官能基化は、脂肪族アルコールを加えた市販のコロイド状シリカの水性分散物中に、官能基化剤を添加することにより行うことができる。このようにして得られる、官能基化コロイド状シリカと官能基化剤とを脂肪族アルコール中に含む組成物は、本明細書では前分散物と称してよい。脂肪族アルコールは、イソプロパノール、t−ブタノール、2−ブタノール及びこれらの混合物から選択してよい。脂肪族アルコールの量は、水性コロイド状シリカ前分散物中に存在する二酸化ケイ素の量の、通常約1倍〜10倍でよい。
【0034】
得られる有機官能基化コロイド状シリカは、酸又は塩基で処理してpHを中和することができる。官能基化の過程を促進するために、酸又は塩基と同様に、シラノールとアルコキシシランとの縮合を促進する他の触媒を用いてもよい。このような触媒としては、チタン酸テトラブチル、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジラウリン酸ジブチルスズ、又はこれらの混合物等の有機チタン酸及び有機スズ化合物が挙げられる。場合によっては、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ(4−ヒドロキシTEMPO)等の安定剤を前分散物に加えてもよい。得られる前分散物を、通常約50℃〜約100℃で、約1時間〜約12時間加熱してよい。約1時間〜約5時間の硬化時間が適当である。
【0035】
冷却した透明な前分散物をさらに処理して、最終分散物を形成してよい。場合によっては、硬化性単量体又はオリゴマーを加えてもよく、場合によっては、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、トルエン及びこれらの組み合わせから選択されるがこれらに限定されない脂肪族溶媒をさらに加えてもよい。この、官能基化コロイド状シリカの最終分散物を、酸又は塩基又はイオン交換樹脂で処理して、酸性又は塩基性の不純物を除去してもよい。
【0036】
最終分散物組成物は、手で混合してもよく、生地ミキサー、チェインカンミキサー、及び遊星(プラネタリー)ミキサー等の通常の撹拌機で混合してもよい。分散物成分の混合は、当業者に用いられる任意の手段を用いて、バッチ式、連続式、又は半連続式のいずれの方式で行ってもよい。
【0037】
この、官能基化コロイド状シリカの最終分散物は、約0.5Torr〜約250Torrの減圧下、約20℃〜約140℃の温度で濃縮され、溶媒、残った水、及びこれらの混合物等の全ての低沸点成分をほぼ完全に除去し、場合によっては硬化性樹脂を含んでいる官能基化コロイド状シリカの透明な分散物が得られ、本明細書では最終濃縮分散物と称する。低沸点成分をほぼ完全に除去するとは、低沸点成分を除去して、約15%〜約80%のシリカを含むシリカ分散物を得ることであると定義してよい。
【0038】
硬化性樹脂(単一の樹脂成分を用いる場合)又は第1の樹脂組成物(2種類の樹脂を含む組成物を用いる場合)のBステージ化は、通常、約50℃〜約250℃、さらには約70℃〜約100℃の温度で、約25mmHg〜約250mmHg、又は約100mmHg〜約200mmHgの減圧下で進行する。さらに、Bステージ化は、通常約30分〜約5時間、さらには、約45分〜約2.5時間の時間をかけて進行してよい。場合によっては、Bステージ樹脂を、約100℃〜約250℃、さらには約150℃〜約200℃の温度で、約45分〜約3時間、後硬化してもよい。
【0039】
得られる硬化性樹脂又は(2種類の樹脂組成物のうち)第1の樹脂組成物は、好ましくは、官能基化された二酸化ケイ素を、官能基化コロイド状シリカとして含んでいる。このような場合、最終組成物中の二酸化ケイ素の量は、最終組成物の重量の約15重量%〜約80重量%、約25重量%〜約75重量%、又は最終的に硬化した樹脂組成物の重量の約30重量%〜約70重量%でよい。コロイド状シリカ充填剤は、本発明の組成物中にほぼ均一に分散しており、この分散状態は、室温で安定に保たれる。本明細書で用いる場合、「均一に分散している」とは、視認される沈殿が全くなく、このような分散物が透明であることを意味する。
【0040】
場合によっては、官能基化コロイド状シリカの前分散物又は最終組成物は、さらに官能基化されていてよい。低沸点成分が、少なくとも部分的に除去された後、前分散物又は最終分散物中に存在する二酸化ケイ素の量の約0.05倍〜約10倍の、官能基化コロイド状シリカの残りのヒドロキシル基と反応する適当な封止(キャッピング)剤を加えてもよい。低沸点成分の部分的な除去とは、全低沸点成分量のうち少なくとも約10重量%の除去、全低沸点成分量のうち約10重量%〜約50重量%、又は全低沸点成分量の約50重量%よりも多量の除去であってよい。
【0041】
有効量のキャッピング(封止)剤は、官能基化コロイド状シリカを封止(キャッピング)し、本明細書において、「キャッピング(封止)された官能基化コロイド状シリカ」とは、対応するキャッピングされていない官能基化コロイド状シリカ中に存在する遊離のヒドロキシル基の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、、少なくとも約35重量%が、キャッピング剤との反応によりキャッピングされていることであると定義してよい。
【0042】
場合によっては、官能基化コロイド状シリカをキャッピングすると、樹脂組成物の室温での安定性が向上することにより、硬化性樹脂組成物全体の硬化が効果的に促進されるキャッピングされた官能基化コロイド状シリカを含む組成物は、官能基化コロイド状シリカがキャッピングされていない同様の組成物に比べてはるかに高い室温での安定性を示す。
【0043】
キャッピング剤の例としては、シリル化剤等のヒドロキシル基に対し反応性を有する物質が挙げられる。シリル化剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン(「HMDZ」)、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン、1−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルクロロシラン、ペンタメチルクロロジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン等のうち1種類以上が挙げられる。ある実施態様において、ヘキサメチルジシラザンが、キャッピング剤として用いられる。分散物が、キャッピング剤等によりさらに官能基化されている場合、少なくとも1種類の硬化性単量体を加えて最終分散物を形成してもよい。次いで、約20℃〜約140℃の温度で、約0.5時間〜約48時間、分散物を加熱してよい。次いで、得られる混合物をろ過してよい。硬化性単量体中の官能基化コロイド状シリカの混合物を、約0.5Torr〜約250Torrの圧力下で濃縮し、最終濃縮分散物を形成してよい。この過程の間、溶媒、残りの水、キャッピング剤とヒドロキシル基との副生成物、過剰量のキャッピング剤、及びこれらの混合物等の低沸点成分は、ほぼ完全に除去され、シリカ含量の約15重量%〜約75重量%のキャッピングされた官能基化コロイド状シリカを含む分散物が得られる。
【0044】
任意に、アミンエポキシ硬化剤、フェノール樹脂、ヒドロキシ芳香族化合物、カルボン酸無水物、又はノボラック硬化剤等のエポキシ硬化剤を加えることができる。ある実施態様において、二官能性シロキサン無水物を、場合によっては少なくとも上述の硬化剤と共に、エポキシ硬化剤として用いてもよい。さらに、硬化触媒又はヒドロキシル基を含む有機化合物を、場合によってはエポキシ硬化剤と共に加えてもよい。
【0045】
アミンエポキシ硬化剤の例としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、又はこれらの混合物が挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、トルエンジアミン、ジアニシデン及びアミンの混合物が挙げられる。脂肪族アミンとしては、例えば、エチレンアミン、シクロヘキシルジアミン、アルキル置換ジアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン及び芳香族ジアミンの水素化物が挙げられる。アミンエポキシ硬化剤を組み合わせて用いてもよい。アミンエポキシ硬化剤の具体例は、「Chemistry and Technology of the Epoxy Resins」、B.Ellis(編)、Chapman Hall、1993、New Yorkにも記載されている。
【0046】
好ましいフェノール樹脂は、通常、ノボラックと称されるフェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物又はクレゾール樹脂を通常含んでよい。これらの樹脂は、種々のフェノールと、種々のモル比のホルムアルデヒドとの縮合生成物であってもよい。このようなノボラック樹脂硬化剤としては、それぞれ、荒川化学工業及びSchenectady Internationalより市販されている、TAMANOL 758又はHRJ 1583オリゴマー樹脂等の市販のものが挙げられる。フェノール樹脂硬化剤の他の例は、「Chemistry and Technology of the Epoxy Resins」、B.Ellis(編)、Chapman Hall、1993、New Yorkにも記載されている。これらの物質は、エポキシ組成物の硬化を促進するために用いられる添加剤の代表例であるが、アミノホルムアルデヒド樹脂等、これに限定されない他の物質を硬化剤として用いてもよく、したがって本発明の範囲内であることは、当業者に自明である。
【0047】
好適なヒドロキシ芳香族化合物は、本発明の組成物の樹脂マトリックスを阻害しないものでよい。このような、ヒドロキシ含有単量体としては、下記の式で表されるヒドロキシ芳香族化合物が挙げられる。
【化1】

式中、R〜Rは、独立してC1〜10の分岐鎖若しくは鎖状の脂肪族若しくは芳香族基又はヒドロキシルである。このようなヒドロキシ芳香族化合物の例としては、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、メチルヒドロキノン、メチルレソルシノール、及びメチルカテコールが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合には、ヒドロキシ芳香族化合物は、約0.3重量%〜約15重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%存在してよい。
【0048】
好ましい無水物硬化剤としては、通常、無水メチルヘキサヒドロフタル酸(「MHHPA」)、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、無水メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ドデシルコハク酸、無水ジクロロマレイン酸、無水クロレンド酸、無水テトラクロロフタル酸等が挙げられる。少なくとも2種類の無水物硬化剤を含む混合物を用いてもよい。具体例は、「Chemistry and Technology of the Epoxy Resins」、B.Ellis(編)、Chapman Hall、1993、New York、及び「Epoxy Resins Chemistry and Technology」、C.May、Marcel Dekker編、New York、第2版(1988)に記載されている。
【0049】
典型的な二官能性シロキサン無水物及びその製造方法は当業者に公知であり、例えば、米国特許第4,542,226号及び4,381,396号明細書に開示された無水物が挙げられる。好適な無水物は、下記の式で表されるものである。
【化2】

式中、Xは0〜50であり、好ましくは、Xは0〜10であってもよく、最も好ましくは、Xは1〜6であってもよく、R’及びR”は、それぞれ独立して、C1〜22アルキル、C1〜22アルコキシ、C2〜22アルケニル、C6〜14アリール、C6〜22アルキル置換アリール、及びC6〜22アリールアルキルであり、Yは下式で表される。
【化3】

式中、R〜R15は、水素、ハロゲン、C1〜13の1価の炭化水素基及びC1〜13の1価の置換炭化水素基からなる群より選択され、Wは、−O−、及びCR−より選択され、式中、Rは、R〜R15と同様に定義される。
【0050】
ある実施態様において、R’及びR”は、ハロゲン化、例えば、C1〜22フルオロアルキル等のフッ化炭素を与えるようにフッ素化されていてもよい。R’及びR”は、メチル、エチル、3,3,3−トリフルオロプロピル又はフェニルであってよく、R’及びR”は共にメチルであってよい。本発明において、エポキシ硬化剤として用いられる二官能性シロキサン無水物は、単一の化合物、又はシロキサン鎖の長さが異なり、末端にY残基を有するオリゴマーの混合物であってよい。
【0051】
好適な二官能性シロキサン無水物は、下記の式で表される。
【化4】

式中、X、R’、及びR”は、上記の式(1)で定義されるとおり、すなわち、Xは0〜50であり、好ましくは、Xは0〜10であってもよく、最も好ましくは、Xは1〜6であってもよく、R’及びR”は、それぞれ独立して、C1〜22アルキル、C1〜22アルコキシ、C2〜22アルケニル、C6〜14アリール、C6〜22アルキル置換アリール及びC6〜22アリールアルキルである。ある実施態様において、R’及びR”は、ハロゲン化、例えば、C1〜22フルオロアルキル等のフッ化炭素を与えるようにフッ素化されていてもよい。R’及びR”は、メチル、エチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、フェニル、又はメチルである。上述のとおり、単一の化合物又はシロキサン鎖の長さが異なるオリゴマーの混合物を用いることができる。
【0052】
ある実施態様において、本発明のオリゴシロキサン二無水物は、2モルの無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸による、Karstedtの白金触媒(米国特許第3,775,442号明細書に記載の、ジビニルテトラメチルジシロキサンとのPt錯体)の存在下での、1モルの1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシロキサンのヒドロシリル化によって合成される。ある実施態様において、5,5’−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5,−トリシロキサンジイル)ビス[ヘキサヒドロ−4,7−メタノイソベンゾフラン−1,3−ジオン]を、二官能性シロキサン無水物として用いることができる。
【0053】
エポキシ組成物の形成のために加えることができる硬化触媒は、アミン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、アルミニウムアセチルアセトナート(Al(acac))等の金属塩、含窒素化合物と酸性化合物との塩、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、通常のエポキシ硬化触媒から選択することができる。含窒素化合物としては、例えば、アミン化合物、ジアザ化合物、トリアザ化合物、ポリアミン化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。酸性化合物としては、フェノール、有機置換フェノール、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な触媒は、含窒素化合物の塩であってよい。含窒素化合物の塩としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカンが挙げられる。含窒素化合物の塩は、例えば、Air Product社から、Polycat SA−1及びPolycat SA−102等として販売されているもの等が市販されている。触媒としては、トリフェニルホスフィン(TPP)、N−メチルイミダゾール(NMI)、及びジラウリン酸ジブチルスズ(DiBSn)のうち1種類以上が挙げられる。
【0054】
ヒドロキシル基を有する基として用いられる有機化合物としては、ジオール等のアルコール、1以上ののヒドロキシル基を有する高沸点アルキルアルコール、及びビスフェノールが挙げられる。アルキルアルコールは、直鎖状、分岐鎖状、又は環状脂肪族であってよく、2〜12個の炭素原子を含んでいてもよい。このようなアルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、(1,2−及び1,3−プロピレングリコール)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル、2−メチル、1,3−プロパンジオール、1,3−及び1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1、5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びその具体的なcis−及びtrans−異性体、メチレングリコール、1,10−デカンジオール、及び上記の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルコールの他の例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン(Dow Chemicals社より、UVR6000として市販)及びビスフェノールが挙げられる。
【0055】
好適なジヒドロキシ置換芳香族化合物としては、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)−ジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)メタン(別名ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニルエタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1’−スピロビ{1H−インデン}−6,6’−ジオール(「SBI」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(別名「DMBPC」)、及びC1〜13アルキル置換レソルシノールが挙げられる。より典型的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンが、好ましいビスフェノール化合物である。ヒドロキシル基を含む有機化合物の組み合わせも、本発明において用いることができる。
【0056】
反応性の有機希釈剤を、全硬化性エポキシ組成物に加え、組成物の粘度を低下させてもよい。反応性の有機希釈剤の例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、ドデシルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキサンジエポキシド、ジ(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)−テトラメチルジシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。反応性の有機希釈剤は、単官能性エポキシド及び/又は少なくとも1つのエポキシ官能基を含む化合物を含んでいてもよい。このような希釈剤の代表例としては、3−(2−ノニルフェニルオキシ)−1,2−エポキシプロパン又は3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−エポキシプロパンフェノールグリシジルエーテル等のアルキル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。用いることができる他の希釈剤としては、フェノール自体、又は2−メチルフェノール、4−メチルフェノール、3−メチルフェノール、2−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、3−オクチルフェノール、4−オクチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール及び4−(フェニルイソプロピリデン)フェノール等の置換フェノールのグリシジルエーテルが挙げられる。
【0057】
トリアルコキシ有機シラン(例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びフマル酸ビス(トリメトキシシリルプロピル))等の接着促進剤を、第1の硬化性樹脂と共に用いることができる。存在する場合には、接着促進剤は、通常、全最終分散物の重量の約0.01重量%〜約2重量%の有効量加えられる。
【0058】
場合によっては、ミクロンサイズの溶融シリカ充填剤を、樹脂に加えてもよい。存在する場合には、溶融シリカ充填剤は、さらにCTEを低下させるのに有効な量加えられる。
【0059】
全最終組成物の量の約0.5重量%〜約20重量%の難燃剤を、場合によっては第1の硬化性樹脂中で用いてもよい。難燃剤の例としては、ホスホアミド、リン酸トリフェニル(TPP)、レソルシノール二リン酸(RDP)、ビスフェノールA二リン酸(BPA−DP)、有機ホスフィンオキシド、ハロゲン化エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノールA)、金属酸化物、金属水酸化物、及びこれらのうち2種類以上の混合物が挙げられる。
【0060】
上述のエポキシ樹脂マトリックス以外に、2種類以上のエポキシ樹脂、例えば、脂肪族エポキシと芳香族エポキシとの混合物を組み合わせて、第1の硬化性樹脂の芳香族エポキシ樹脂の代わりに用いてもよい。このような組み合わせにより、透明性及びフロー特性が改善される。エポキシ混合物は、3つ以上の官能基を有する少なくとも1種類のエポキシ樹脂を含んでいてよく、それにより、低いCTE、良好なフラックス特性、及び高いガラス転移温度を有するアンダーフィル樹脂が形成される。エポキシ樹脂は、少なくとも1種類の二官能性脂肪族エポキシ及び二官能性芳香族エポキシ以外に、三官能性エポキシ樹脂を含んでいてよい。
【0061】
組成物が2種類の樹脂の組み合わせを含む本発明の実施態様において、第2の硬化性フラックス樹脂組成物は、少なくとも1種類のエポキシ樹脂の樹脂マトリックスを含んでいてよい。第2のフラックス組成物のエポキシ樹脂は、第1の溶媒改質樹脂に用いるのに好適な上述のエポキシ樹脂のうち任意のもの、及びそれらの組み合わせであってよい。第2の硬化性フラックス樹脂は、上述の任意のエポキシ硬化剤を、溶媒改質樹脂に用いるのに好適な上述の任意の触媒、ヒドロキシル基を含む残基、反応性有機希釈剤、接着促進剤、難燃剤、又はこれらの組み合わせと共に含んでいてよい。
【0062】
ある実施態様において、用いられている場合には、脂肪族エポキシ単量体は、第2のフラックス組成物の重量の約1重量%〜約50重量%第2のフラックス樹脂組成物に含まれていてよく、約5重量%〜約25重量%の範囲であってよい。
【0063】
ある実施態様において、用いられている場合には、環状脂肪族エポキシ単量体は、第2のフラックス組成物の重量の約1重量%〜100重量%第2のフラックス樹脂組成物に含まれていてよく、約25重量%〜約75重量%の範囲であってよい。
【0064】
ある実施態様において、用いられている場合には、芳香族エポキシ単量体は、第2のフラックス組成物の重量の約1重量%〜100重量%第2のフラックス樹脂組成物に含まれていてよく、又は約25重量%〜約75重量%の範囲であってよい。
【0065】
ある実施態様において、エポキシ樹脂は、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボン酸ジエポキシド(Dow Chemical社より、UVR 6105として市販)及びビスフェノールFエポキシ樹脂(Resolution Performance Product社より、RSL−1739として市販)の組み合わせであってよい。他の実施態様において、好適なエポキシ樹脂としては、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボン酸ジエポキシド及びビスフェノールAエポキシ樹脂(Resolution Performance Product社より、RSL−1462として市販)の組み合わせが挙げられる。上述の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
ある実施態様において、第2の効果性フラックス樹脂は、上述の二官能性シロキサン無水物を含んでおり、場合によっては、上述のアミンエポキシ硬化剤、フェノール樹脂、カルボン酸無水物、又はノボラック硬化剤と組み合わせてよい。ある実施態様において、本発明の二官能性シロキサン無水物は、液体のカルボン酸無水物と相溶性を有していてよい。したがって、二官能性シロキサン無水物は、カルボン酸無水物と混合されて、溶液を形成していてもよい。これらの実施態様において、エポキシ硬化剤は、二官能性シロキサン無水物を、無水ヘキサヒドロフタル酸、MHHPA又は無水テトラヒドロフタル酸等の液体状の有機酸無水物と共に含んでいてよい。
【0067】
用いられている場合には、二官能性シロキサン無水物は、第2の硬化性フラックス樹脂組成物の硬化剤成分中に、第2の硬化性フラックス樹脂組成物の硬化剤成分の約1重量%〜100重量%含まれていてよい。この成分は、約10重量%〜約40重量%、約40重量%〜約90重量%の量、存在していてよい。
【0068】
用いられている場合には、カルボン酸無水物は、第2の硬化性フラックス樹脂組成物の硬化剤成分中に、約1重量%〜約95重量%含まれており、約10重量%〜約90重量%の範囲であることが好ましく、約60重量%〜約90重量%の範囲であることが最も好ましい。
【0069】
第2のフラックス樹脂の例としては、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボン酸ジエポキシド(Dow Chemical社より、UVR 6105として市販)、ビスフェノールFエポキシ樹脂(Resolution Performance Product社より、RSL−1739として市販)、MHHPA、Polycat SA−1(Air Products社製)等の含窒素化合物の塩を含む触媒及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(Dow Chemicals社よりUVR 6000として市販)等のヒドロキシル基を含む残基を有する有機化合物の組み合わせが挙げられる。ある実施態様において、ビスフェノールAエポキシ樹脂(Resolution Preformance Product社よりRSL−1462として市販のもの等)を、ビスフェノールF樹脂の代わりに用いることができる。他の実施態様において、5,5’
−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−トリシロキサジイル)ビス[ヘキサヒドロ−4,7−メタノイソベンゾフラン−1,3−ジオン](TriSDA)等の二官能性シロキサン無水物エポキシ硬化剤をさらに含んでいてよい。ビスフェノールエポキシ樹脂が用いられている場合、ビスフェノールエポキシ樹脂は、好ましくは、第2の硬化性フラックス樹脂中のエポキシ樹脂成分の約1重量%〜100重量%存在しており、又は約25重量%〜約75重量%の範囲であってよい。
【0070】
第2の硬化性フラックス樹脂組成物は、好ましくは、25℃で、組成物の硬化前に、約50センチポワズ〜約100,000センチポワズ、又は約1000センチポワズ〜約20,000センチポワズの粘度を有する液体である。第2のフラックス樹脂は、ある実施態様において、約1nm〜約500nm、より典型的には約5nm〜約200nmの粒子径を有し、有機アルコキシシランで官能基化された少なくとも1種類の上述のコロイド状シリカを含む粒子状充填剤分散物と、任意に混合されていてもよい。
【0071】
本発明の組成物の製造方法により、改善されたアンダーフィル材料が得られる。第1の溶媒改質樹脂組成物については、ある実施態様において、組成物は、コロイド状シリカを、安定なコロイド状シリカの濃厚分散物が得られるように官能基化し、約15%〜約75%のシリカを含む官能基化コロイド状シリカの濃厚分散物を形成し、少なくとも1種類の芳香族エポキシ樹脂を、場合によっては少なくとも1種類の環状脂肪族エポキシ単量体、脂肪族エポキシ単量体、及び/又はヒドロキシ芳香族化合物と共に含み、さらに、任意に硬化剤、触媒、又は他の上述の添加剤等の1種類以上の添加剤を含み、少なくとも1種類の溶媒を含むエポキシ単量体の溶液を、官能基化コロイド状シリカの分散物と混合し、溶媒を除去して、硬質で透明なBステージ樹脂を形成することにより調製される。
【0072】
第2の硬化性フラックス樹脂組成物も、同様に調製することができる。ある実施態様において、第2の硬化性フラックス樹脂組成物は、エポキシ単量体と、場合によっては、硬化剤、触媒又は上述の他の添加剤を含む溶液を混合することにより調製される。ある場合には、第2のフラックス樹脂組成物は、官能基化コロイド状シリカの分散物を充填剤として含んでおり、第1の溶媒改質樹脂において用いられる官能基化コロイド状シリカの分散物と同様に調製される。他の実施態様において、第2のフラックス樹脂は、充填剤として官能基化コロイド状シリカの分散物を含んでいない。
【0073】
Bステージ樹脂の薄膜を、第2のフラックス樹脂と共に硬化することは、アンダーフィル材料として用いるための、低いCTEと、高いTとを有する熱硬化性樹脂を形成する上で有用である。
【0074】
第1の樹脂組成物を、ウェーハレベルアンダーフィルとして塗布することができる。ウェーハレベルでのアンダーフィリング方法は、アンダーフィル材料をウェーハ上に塗布する工程と、その後溶媒を除去して固体状の、透明なBステージ樹脂を形成後、次いで、フリップチップ型の操作により最終構造上にマウントされる個々のチップにダイシングする工程とを含んでいる。
【0075】
第2の硬化性フラックス樹脂は、フロー性を有しないアンダーフィルとして基板上に塗布される。この方法は、通常、最初に第2の樹脂材料を基板又は半導体デバイス上に塗布する工程と、本発明の溶媒改質樹脂で被覆されたフリップチップをフラックス樹脂の上に設置する工程と、次いではんだバンプリフロー操作を行い、同時に、はんだ接合を形成し、2つの樹脂組成物を硬化させてアンダーフィル材料を製造する工程とを含んでいてよい。結合した樹脂は、このようにして、チップと基板との間の封止剤として作用する。
【0076】
好ましくは、本発明の2つの樹脂組成物は、以下のように用いられる。第1の溶媒改質樹脂を、ウェーハ又はチップ状に塗布し、上述のように硬化させてBステージ樹脂を形成する。第1の溶媒改質樹脂をウェーハレベルアンダーフィルとして塗布した場合、Bステージ樹脂の形成後に、ダイシング又は同様の操作を行い、個々のチップを製造する。
【0077】
チップの調製後、第2のフラックス樹脂を基板に塗布する。第2のフラックス樹脂を塗布する方法は、当業者に公知であり、ニードル又は印刷による塗布が挙げられる。本発明の第2のフラックス樹脂を、部品の設置領域の中心に、ニードルを用いてドット状に塗布することができる。第2のフラックス樹脂の量は、フラックス樹脂を塗布しすぎることに起因する「チップ浮き」と呼ばれる現象を避けるために注意深く制御される。自動ピックアンドプレース装置を用いて、Bステージ化された溶媒改質樹脂で被覆されたフリップチップダイを、塗布された第2のフラックス樹脂の上に設置する。設置時の荷重及び設置ヘッドの滞留時間を制御して、サイクル時間及び工程の歩留りを最適化することができる。
【0078】
構築物を加熱してはんだボールを溶融させ、はんだ接合を形成し、Bステージ樹脂をフラックス樹脂と共に硬化させる。加熱操作は、通常、リフローオーブン中のコンベア上で行われる。アンダーフィルは、2つの明らかに異なるリフロープロファイルにより硬化することができる。第1のプロファイルは「台地状(プラトー)」プロファイルと呼ばれ、はんだの融点よりも低い浸漬領域を含んでいる。第2のプロファイルは、「火山状」プロファイルと呼ばれ、最高温度に到達するまで一定の加熱速度で昇温させる。硬化サイクルの間の最高温度は、約200℃〜約260℃の範囲であってよい。
【0079】
リフローの間の最高温度は、はんだの組成に強く依存し、はんだボールの融点よりも約10℃〜約40℃高くてよい。加熱サイクルは約3分〜約10分、より典型的には約4分〜約6分である。アンダーフィルは、はんだ接合が完全に形成されてから硬化してもよく、さらに後硬化を必要としてもよい。任意に、後硬化は、約100℃〜約140℃、約140℃〜約160℃、約160℃〜約180℃又は180℃より高い温度で、1時間未満又は約1時間〜約4時間行うことができる。
【0080】
このように、第1の溶媒改質エポキシ樹脂は、Bステージ樹脂薄膜を形成するのに有用であり、一旦第2のフラックス樹脂と結合させ、2つの樹脂を共に硬化させることは、低いCTE、高いガラス転移温度を有する熱硬化性樹脂を製造する上で有用である。本発明の第1の溶媒改質樹脂から形成されるBステージ樹脂は透明であるので、ウェーハのダイシングに用いられるガイドマークを見えにくくせず、そのためウェーハレベルアンダーフィル材料として特に有用である。
【0081】
第2のフラックス樹脂は、リフロー操作の間、第1の溶媒改質樹脂が塗布されたチップを所定の位置に保持する。さらに、第2のフラックスが充填剤を含まない本発明の方法により、材料のCTEが基材側からチップ側に向かって減少する傾斜アンダーフィル材料が得られる。
【0082】
驚くべきことに、本発明の方法により、現行法では得ることができない、高濃度の官能基化コロイド状シリカを有するアンダーフィル材料が得られることがわかった。さらに、Bステージ樹脂を第2のフラックス樹脂と組み合わせると、はんだのリフロー操作の間に良好な電気的接続が得られ、硬化後に低いCTEと高いTとを有する熱硬化性樹脂が得られる。
【0083】
本発明に記載のアンダーフィル材料は、固体デバイス、及び/又はコンピュータ等の電子デバイス若しくは半導体、又はアンダーフィル、オーバーモールド、又はこれらの組み合わせが必要な任意の装置等であるがこれらに限定されない装置に塗布し、使用することができる。アンダーフィル材料は、通常チップと基板とを接続するはんだバンプの、物理的、機械的、及び電気的性質の強化のための接着剤として用いることができる。アンダーフィル材料は、優れた性能を示し、経済的な利点を有しており、アンダーフィル材料がゲル化点に到達する前にはんだ接合を形成することができ、その後、固体状の封止を形成することができる。接着剤組成物は、約30〜約500ミクロンの深さを有する空隙を埋めることができる。ある実施態様において、硬化した接着剤組成物の熱膨張係数は、1℃あたり100万分の50(ppm/℃)以下であってよい。
【0084】
ある実施態様において、アンダーフィル組成物は、低い粘度を有していてよい。硬化前の全組成物の低い粘度とは、硬化前のアンダーフィル材料の粘度が、室温で、約50センチポワズ〜約100,000センチポワズ、又は約1000センチポワズ〜約20,000センチポワズであることを意味する。粘度は、ブルックフィールド粘度計等により測定することができる。
【0085】
ある実施態様において、微細化された難溶性固体は、1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有していてよく、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有していてよい。
【0086】
本明細書及び特許請求の範囲の全範囲で用いられる場合、安定性とは、まず混合直後に、次に、例えば、1週間、2週間等の期間の経過後に測定した、固体と硬化性樹脂との混合物の粘度の比を意味する。
【0087】
好適な固体は、1グラムあたり約20平方メートルを上回る、1グラムあたり約60平方メートルを上回る、又は1グラムあたり約150平方メートルを上回る表面積を有していてよい。固体は、平均直径が約1ナノメートル〜約100ナノメートルである複数種類のナノ粒子を含んでいてよい。ナノ粒子は、球形、不定形、又は幾何学形状のうち1種類以上の構造を有していてよい。ある実施態様において、ナノ粒子は不定形であってよい。好適なナノ粒子は、多孔性、無孔性、又はこれらの組み合わせであってよい。空孔の形状及びサイズは均一及び/又はランダムであってよい。
【0088】
好適な固体としては、1種類以上の金属又は半金属が挙げられる。ある実施態様において、固体は、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ベリリウム、ホウ素、炭素、クロム、銅、ガリウム、金、ゲルマニウム、インジウム、鉄、ハフニウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、ケイ素、銀、チタン、タングステン、又はジルコニウム等、又はこれらのうち2種類以上の合金を含んでいてよい。ある実施態様において、固体は、ヒ素、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、又はアルミナ、シリカ、チタニア、窒化ホウ素等のこれらの酸化物若しくは窒化物のうち1種類以上を含んでいてよい。
【0089】
好適な金属酸化物としては、酸化ケイ素が挙げられ、その活性表面末端部位は、シラノール基を有していてよい。他の好適な金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)が挙げられ、その活性表面終端部位は、ヒドロキシル基を有していてよい。好適な固体窒化物は、アミド又はイミド等の活性表面末端部位を有していてよい。
【0090】
ある実施態様において、活性末端部位の密度は、約6以下、約5以下、約4.75以下、約10〜約1、約5〜約3、又は約4.5〜約4.0に制御されていてよい。好適な安定性比は、粘度の比(2週間後の値/初期値)として、約5未満、約4未満、約3未満、約2未満、又は約1であってよい。
【0091】
上述のとおり、活性末端部位の不活性化又はキャッピングは、例えば、連続処理により行うことができる。活性表面末端部位の第1の部分を、官能基化組成物又は相溶化組成物と反応させることができる。好適な官能基化組成物は、アクリレート、アルキル、フェニル、シクロヘキシルオキシ又はグリシジルのうち1種類以上であってよい有機残基を有するアルコキシシラン等の上述のものを含んでいてよい。残った活性末端部位のうち、第2の部分を、シラザン又は本明細書に開示された他のキャッピング剤等の不活性化組成物と反応させることができる。
【0092】
難溶性固体を、硬化性樹脂に加えて接着剤系を形成することができる。好適な硬化性樹脂としては、アクリル系、ウレタン、イソシアネート、シアン酸エステル、イミド、又はエポキシ樹脂等の、本明細書に開示された樹脂が挙げられる。樹脂は多官能性であってよく、例えば、エポキシ樹脂は、多官能性であってよい。
【0093】
当然ながら、大部分の接着剤系と同様、硬化性樹脂は1種類以上の添加剤を含んでいてよい。特定の用途において要求される性能に応じて、好適な添加剤を選択することができる。例えば、難溶性が望まれる場合には、難燃剤を選択することができ、レオロジー又はチキソトロピーに影響を及ぼすためにフロー改変剤を用いてもよく、熱伝動性が望まれる場合には、熱伝動性材料を加えることができ、他についても同様である。
【0094】
接着剤系に含まれる固体の好適な量は、約1重量%よりも多く又は約99重量%未満である。ある実施態様において、上記固体は、接着剤組成物の熱膨張係数を、接着剤系と共に用いるために選択したチップとほぼ適合させるための適当量だけ存在することができる。ある実施態様において、上記固体は、約5重量%〜約25重量%、約25重量%〜約35重量%、約35重量%〜約45重量%、約45重量%〜約55重量%、約55重量%〜約65重量%、又は約65重量%よりも多量に接着剤系中に存在していてよい。
【0095】
充填剤の量などの因子により、硬化後の接着剤組成物の熱膨張係数が、約50ppm/℃、約40ppm/℃、又は約30ppm/℃となるよう選択することができる。ある実施態様において、熱膨張係数は、約10ppm/℃〜約20ppm/℃、約20ppm/℃〜約30ppm/℃、約30ppm/℃〜約40ppm/℃、又は約40ppm/℃を上回っていてよい。ある実施態様において、接着剤組成物の硬化後のガラス転移温度は、約150℃よりも高く、約200℃よりも高く、約250℃よりも高く、約300℃よりも高く、又は約350℃よりも高くてよい。
【0096】
電子デバイスは、接着剤組成物を用いてチップを基板上にアセンブルすることにより形成することができる。好適なチップとしては、ケイ素、ガリウム、ゲルマニウム若しくはインジウム又はこれらのうち2種類以上の組み合わせ等の半導体材料が挙げられる。アセンブリーが適していれば、アンダーフィル材料として接着剤組成物を用いることができる。
【0097】
本発明の実施態様に係る充填樹脂系は、複数種類の粒子の活性末端部位の第1の部分を、官能基化された組成物と反応させ、複数種類の粒子の活性末端部位の第2の部分を、不活性化組成物と反応させることにより製造することができる。活性末端部位の第2の部分の反応は、複数の微粒子それぞれの表面の活性末端部位をキャッピング又は不活性化し、活性末端部位を表面積1平方ナノメートルあたり10個以下とし、樹脂系を安定化させることを含んでいてよい。ある実施態様において、残存する活性末端部位は、約6未満、約5未満、約4未満、又は約3未満であってよい。
【0098】
残存する活性末端部位の数は、充填剤材料の選択、充填剤の表面の性質及び任意の前処理、充填剤材料の粒子径、用いる官能基化剤又は相溶化剤、用いる不活性化剤又はキャッピング剤、反応パラメータ(長さ、温度、圧力等)、並びにこれらのうち2種類以上の組み合わせによって決定することができる。
【0099】
ある実施態様において、充填剤材料は、低沸点溶媒又は液体成分の除去の前に、キャッピング又は不活性化を行うことにより調製することができる。低沸点溶媒又は液体成分は、キャッピング又は不活性化工程の後に、少なくともその一部を除去してよい。他の実施態様において、硬化性樹脂組成物又は接着剤系において充填剤材料として用いられる難溶性固体は、室温よりも高い温度、例えば、約30℃〜約50℃、50℃〜約75℃、75℃〜約100℃、又は100℃を上回る温度で、比較的高い安定性又は保管寿命を有している。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明の方法及び実施態様を説明するためのみのものであり、特許請求の範囲に限定を課すような態様で解釈されない。特記しない限り、全ての原料は、Alpha Aesar社(米国マサチューセッツ州ワードヒル)、Spectrum Chemical Manufacturing社(米国カリフォルニア州ガルデナ)等の化学品メーカーから入手可能である。
【0101】
実施例1 官能基化コロイド状シリカ(FCS)の前分散物の調製
官能基化コロイド状シリカは、以下の手順の組み合わせにより調製する。イソプロパノール935gを、粒径20nmのSiO粒子を34重量%含む水性コロイド状シリカ675gに、撹拌しながらゆっくり加える。次いで、イソプロパノール100gに溶解したフェニルトリメトシキシラン(PTS)58.5gを、混合物に撹拌しながら加える。混合物を80℃に1〜2時間加熱すると、透明な懸濁液が得られる。得られる官能基化コロイド状シリカの懸濁液を、室温で保存する。実施例2で用いるために、種々のSiO濃度(10〜30%)を有する複数の懸濁液を調製する。
【0102】
実施例2 官能基化コロイド状シリカのエポキシ樹脂分散物の調製
2000ml丸底フラスコに、実施例1で調製したそれぞれの分散物540gを加える。他の前分散物の組成を、以下の表1に示す。1−メトキシ−2−プロパノール(750g)を、それぞれのフラスコに加える。得られた官能基化コロイド状シリカの分散物を、60℃、60mmHgで減圧蒸発させ、約1リットル(L)の溶媒を除去する。圧力を徐々に減少させ、分散物の重量が140gになるまで、十分撹拌しながら溶媒留去を続ける。フェニル基で官能基化したコロイド状シリカの透明な分散物は、50%のSiOを含み、沈降シリカを含まない。この分散物は、室温で3ヶ月以上安定である。表1の結果は、濃厚で安定なFCSの1−メトキシ−2−プロパノール分散物を調製するためには、ある程度の量のフェニル官能基が必要であることを示している(分散物1〜5)。官能基の量を調節して、透明で安定な酢酸メトキシプロパノールエステル分散物を得ることができる。調節の結果は、官能基の量を最適化することにより、他の溶媒中への分散物の調製が可能であることを示している(分散物6及び7)。
【0103】
表1−FCS分散物の調製
【表1】

PTSは、フェニルトリメトキシシランである。
【0104】
実施例3 キャッピングされた官能基化コロイド状シリカのエポキシ樹脂分散物の調製
エポキシクレゾールノボラック(住友化学株式会社より市販のECN 195XL−25)5.33g、ノボラック硬化剤(荒川化学工業より市販のTamanol 758)2.6gを3.0gの1−メトキシ−2−プロパノール中で混合した溶液を、約50℃に加熱する。溶液のうち7.28gを、10.0gのFCS分散物に、50℃で撹拌しながら滴下する(表1のエントリー#3参照。上記のとおり、メトキシプロパノール中に50%SiO含有)。透明な懸濁液を冷却し、N−メチルイミダゾールの50%w/wメトキシプロパノール触媒溶液60μlを、撹拌しながら加える。透明な溶液を、評価のための樹脂フィルムのキャストに直接用いるか−10℃で保存する。最終の樹脂組成を示す表2に示したように、異なる量の種々の触媒及び種々のエポキシを用いて、さらにフィルムの調製を行う。
【0105】
フィルムは、エポキシ−シリカ分散物の一部をガラス板上に塗布し、85℃に設定したオーブン中150mmHgの減圧下で溶媒を除去することによりキャストする。1〜2時間後、ガラス板を除去すると、残ったフィルムは透明で硬い。場合によっては、乾燥したフィルムを、220℃で5分間、次いで160℃で60分間硬化させる。ガラス転移温度の測定結果は、Perkin Elmer社より市販のDSC装置を用いた示差走査熱量分析より得る。ガラス転移温度の測定に用いた組成を表2に示す。
【0106】
表2−コロイド状シリカの組成
【表2】

ECNは、住友化学工業株式会社より市販のECN 195XL−25を意味し、Epon 1002Fは、Resolution Performance Products社より市販のオリゴ化BPAジグリシジルエーテル樹脂を意味する。
**T758は、荒川化学工業より市販のTamanol 758を意味する。
***溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール(MeOPrOH)、酢酸ブチル(BuAc)又はメトキシエチルエーテル(ジグライム)である。
****触媒は、トリフェニルホスフィン(TPP)、N−メチルイミダゾール(NMI)又はジラウリン酸ジブチルスズ(DiBSn)である。
*****FCS量とは、実施例2に記載の、50%SiOフェニル官能基化コロイド状シリカのグラム数を意味する。
******ガラス転移温度とは、DSC(変曲部の中間点)により測定したガラス転移温度を意味する。
【0107】
実施例4
ウェーハレベルアンダーフィル(WLU)の熱膨張係数を決定する。実施例3で調製した材料の10ミクロンのフィルムを、テフロン(登録商標)の板上にキャスト(寸法4インチ×4インチ×0.25インチ)し、40℃、100mmHgで終夜乾燥すると、透明で硬いフィルムが得られ、その後、85℃、150mmHgでさらに乾燥する。実施例3の方法にしたがってフィルムを硬化し、熱機械分析(TMA)により熱膨張係数(CTE)の値を測定する。サンプルを、外科用メスの刃で4mm幅に切断し、TMAの薄膜用プローブを用いてCTEを測定する。
【0108】
熱機械分析は、TA Instruments社製のTMA 2950熱機械分析装置を用いて行う。実験パラメータは、荷重0.05N、静荷重5.000g、窒素パージ100mL/分、サンプリング間隔2.0秒/ポイントに設定する。サンプルを30℃で2分間恒温にし、5.00℃/分で250℃に加熱後、2分間恒温にし、次いで10.00℃/分で0.00℃に冷却後、2分間恒温にし、その後、5.00℃/分で250.00℃に加熱する。
【0109】
下記の表3に、得られたCTEのデータを示す。表3のエントリー2及び3の結果は、5ミクロンの溶融シリカを用いた同様の組成物から生成されたフィルムとの対比のために、透明なフィルムを用いて得られたものである。5ミクロンの溶融シリカ、及び官能基化コロイド状シリカを、50重量%の同一の仕込み比で用いる。さらに、これらの材料(表3、エントリー2及び3)は、充填剤を含まない樹脂に対しCTEの減少を示す。表3のエントリー1は、官能基化コロイド状シリカが、樹脂のCTEを減少させる上で効果的であることを示している。
【0110】
表3 樹脂のCTE
【表3】

【0111】
実施例5 はんだの濡れ及びリフロー実験
上述の実施例で調製したウェーハレベルアンダーフィルの存在下におけるはんだバンプの濡れ挙動を示すために、以下の実験を行う。
【0112】
パートA
バンプを設けたチップダイを実施例3で得られる供試アンダーフィル材料でコートする。アンダーフィルのコーティングは、約30%の溶媒を含んでいる。溶媒を除去するために、コートしたチップを85℃、150mmHgでの真空オーブン中でベークする。このようにすることにより、はんだバンプが露出しており、透明なBステージ樹脂層が活性な表面の全体を被覆されているチップが得られる。
【0113】
パートB
はんだバンプの濡れ性がBステージ層の存在によって阻害されないようにするために、フラックスを銅クラッドFR−4基板(MG Chemicals社より市販の銅積層ガラスエポキシシート)に塗布する。フラックス(Kester TSF 6522 Tacflux)は、はんだバンプが銅の表面と接触する部位にのみ塗布する。このアセンブリーを、Zepher対流リフローオーブン(MannCorp社)中でリフローに供する。リフロー後、ダイを手で剥がし、銅表面のはんだの濡れを目視で検査する。銅の表面を濡らした溶融したはんだは、基板に接合した状態で残留しており、このことは、粘着性のフラックスの存在下での濡れ性が、ウェーハレベルアンダーフィル材料のBステージ層によって阻害されないことを示している。
【0114】
パートC
パートAに記載の方法を用いてコートされたチップを調製する。これらのチップを、デイジーチェーン用のテストパターンが形成された基板上に組み付ける。用いたテスト用基板は、MG Chemicals社より市販の、厚さ62ミルのFR−4基板である。パッドを、Ni/Auで冶金処理する。粘着性フラックス(Kester TSF 6522)を、テスト用基板の露出した表面に、30ゲージ針とEFDマニュアルディスペンサー(EFD社)を用いて、シリンジにより塗布する。MRSI 505自動ピックアンドプレース装置(米国ニューポート/MRSI社)を用いて、ダイを基板上に設置する。このアセンブリーを、Zepher対流リフローオーブン(MannCorp社)中でリフローに供する。電気抵抗値(Fluke社製マルチメーターにより測定)が2オーム以下であったことは、ウェーハレベルアンダーフィルの存在下ではんだがパッドを濡らしていることを示している。対照ダイ及び本発明の組成物でコートされたチップの両者について、銅パッドに接合したチップアセンブリーのX線分析は、MICROFOCUS X線管を有するX線装置を用いて行う。X線分析の結果は、はんだバンプが、対照及び実験樹脂の両者について、リフロー後にはんだボールが同様の構造を示す銅パッドのはんだによる濡れを示す。
【0115】
実施例6 官能基化コロイド状シリカ(FCS)分散物の調製
官能基化コロイド状シリカは、以下の手順の組み合わせにより調製する。イソプロパノール1035gを、粒径50nmのSiO粒子を20〜21重量%含む水性コロイド状シリカ(日産化学製Snowtex OL)675gに、撹拌しながらゆっくり加える。次いで、フェニルトリメトシキシラン(PTS)(Aldrich社製)17.6gを、混合物に撹拌しながら加える。混合物を80℃に1〜2時間加熱すると、官能基化コロイド状シリカの前分散物が得られ、室温で保存する。
【0116】
実施例7 官能基化コロイド状シリカの溶媒分散物の調製
2000ml丸底フラスコに、実施例6で調製したそれぞれの前分散物540gを加える。他の前分散物の組成を、以下の表4に示す。1−メトキシ−2−プロパノール(750g)を、それぞれのフラスコに加える。得られた官能基化コロイド状シリカの分散物を、60℃、60mmHgで減圧蒸発させ、約1Lの溶媒を除去する。圧力を徐々に減少させ、分散物の重量が80gになるまで、十分撹拌しながら溶媒留去を続ける。フェニル基で官能基化したコロイド状シリカの透明な分散物は、50%のSiOを含み、沈降シリカを含まない。この分散物は、室温で3ヶ月以上安定である。表4の結果は、濃厚で安定なFCSの1−メトキシ−2−プロパノール分散物を調製するためには、ある程度の量のフェニル官能基が必要であることを示している(分散物1〜4、6)。比較のために、実施例2、表1のエントリー3の組成物を共に示している(表4、エントリー6)。
【0117】
【表4】

【0118】
実施例8 官能基化コロイド状シリカのエポキシ樹脂分散物の調製
エポキシクレゾールノボラック(住友化学株式会社より市販のECN 195XL−25)5.33g、ノボラック硬化剤(荒川化学工業より市販のTamanol 758)2.6gを3.0gの1−メトキシ−2−プロパノール中で混合した溶液を、約50℃に加熱する。溶液のうち7.28gを、10.0gのFCS分散物に、50℃で撹拌しながら滴下する(表4のエントリー#3参照。上記のとおり、メトキシプロパノール中に50%SiO含有)。透明な懸濁液を冷却し、N−メチルイミダゾールの50%w/wメトキシプロパノール触媒溶液60μlを、撹拌しながら加える。透明な溶液を、評価のための樹脂フィルムのキャストに直接用いるか−10℃で保存する。最終の樹脂組成を示す表5に示したように、異なる量の種々の触媒及び種々のエポキシ/硬化剤組成物及び種々のFCS分散物を用いて、さらにフィルムの調製を行う。
【0119】
フィルムは、エポキシ−シリカ分散物の一部をガラス板上に塗布し、真空オーブン中、90℃/200mmで1時間、90℃/100mmでさらに1時間、溶媒を除去することによりキャストする。ガラス板を除去すると、残ったフィルムは透明で硬質のBステージ樹脂が得られる。場合によっては、乾燥したフィルムを、220℃で5分間、次いで160℃で60分間硬化させる。ガラス転移温度の測定結果は、Perkin Elmer社より市販のDSC装置を用いた示差走査熱量分析より得る。DSC分析の結果を、表6に示す。メトキシプロパノールをMPolと略す。
【0120】
【表5】

充填剤は、表4に示すように、最終組成物中に官能基化コロイド状シリカの形態で含まれるSiOの重量を意味する。Denkaと特定された充填剤は、デンカ株式会社より市販の5ミクロンの溶融シリカ充填剤(FB−5LDX)である。
**ECNは、住友化学工業株式会社より市販のESCN 195XL−25を意味し、Epoxy Bは、Dow Chemicals社(米国ミシガン州ミッドランド)より市販の3−エポキシ−3−シクロヘキセニルカルボン酸ジエポキシドを意味し、DER 732は、ポリグリコールジエポキシドであり、DER 736は、ポリグリコールジエポキシドであり、両者はDow Chemicals社より市販されている。
***硬化剤は、それぞれ荒川化学工業及びSchenectady International社より市販のTamanol 758又はHRJ 1583オリゴマー樹脂、又はAldrich Chemicals社より購入したヒドロキノン又はレソルシノール単量体である。
****触媒(N−メチルイミダゾール)の仕込み量は、溶媒を除く有機成分に対する値である。
【0121】
実施例9 50nm官能基化コロイド状シリカ組成物のフロー特性
鉛共晶はんだボールを含む樹脂フィルムを、表5に記載の樹脂組成物のフィルムをガラス板上にキャストすることにより調製する。2枚のガラススライドで圧縮することにより、樹脂フィルム中に確実に埋め込まれるようにして、このフィルム中に鉛共晶はんだボール(直径25ミル、融点183℃)を配置する。これらのアセンブリーをオーブン中90℃/200mmで1時間、90℃/100mmでさらに1時間加熱して、溶媒を全て除去し、樹脂フィルムを、はんだボールが埋め込まれたBステージ樹脂に変換する。室温まで冷却すると、表6に示したように、通常、フィルムは硬化する。樹脂のフロー及びフラックス能力は、ガラススライドを、Kesterフラックス(Northrup GrumanのKester事業部より市販の製品番号TSF−6522)を滴下した銅クラッドFR−4サーキットボード上に配置することにより行う。はんだボール/樹脂フィルムがフラックスと接触するように、ガラススライドを設置する。次いで、全アセンブリーを、230〜240℃に保持したホットプレート上に載せる。はんだボールが崩壊し、一緒になって流動する現象が見られれば、フロー及びフラックス能力は良好であると考えられる。一方、フロー及びフラックス特性に劣る樹脂は、はんだボールが崩壊するのを阻害し、元のはんだボールの形状をはっきりと視認することができる。はんだボールの溶融及び崩壊を可能にする良好なフロー及びフラックス特性は、デバイスにおいて良好な電気的接触を形成する上で決定的であると考えられており、上述の試験結果は、デバイスにおける有用性の尺度となる。
【0122】
表6にまとめた結果は、フィルムが本質的に改善された透明性を有し、50nm官能基化コロイド状シリカ(エントリー6、7及び12〜16)を用いて調製することができ、それに対して、従来の5ミクロンの充填剤(エントリー2)を用いた組成物は、許容される程度の透明性を有しているが、20nmの溶融シリカ(エントリー3〜5)を用いた組成物よりも透明性は劣っていたことを示している。しかしながら、少量の環状脂肪族エポキシ単量体、UVR 6105を添加すると、50nmの官能基化コロイド状シリカを多量に仕込んだ場合でも、フィルムに優れた透明性が付与される(エントリー8〜11)。さらに、エントリー8〜11の結果は、UVR 6105の添加量に関わらずフィルムの硬度が保持されていたことを示している。
【0123】
【表6】

ガラス転移温度は、DSCを用いて測定した、通常のリフロー条件下で硬化させた、ある材料のガラス転移温度を意味する。
**Bステージとは、溶媒を除去した後のフィルムの状態に対応する。
***溶媒除去後のフィルムの目視検査に基づく透明とは、最良の透明性を示すのに用いられ、半透明とは、この用途において許容される(ダイシング工程に悪影響を与えない)透明性を示すのに用いられ、不透明とは、許容されない透明性を示すのに用いられる。
****200〜400℃に加熱中及び加熱後の目視結果に基づく。
【0124】
表6の結果は、はんだボールの優れた崩壊性が示すように、基材樹脂(エントリー1)は、優れたフロー特性を示すが、この樹脂は許容できないほど高いCTEを有しており、フリップチップデバイスにおいてウェーハレベルアンダーフィル材料として用いた場合に、信頼性に乏しいと思われることを示している。従来の5ミクロンの充填剤(エントリー2)を用いると、低いCTEをもたらしつつ、優れたはんだボールの崩壊性を保持しているが、ウェーハのダイシング操作に要求される透明性が失われてしまう。20nmの充填剤系は、優れた透明性をもたらすが、5ミクロンの充填剤と同程度の仕込みを行うと、許容されないはんだボールの低い崩壊性(エントリー3)が示すように、フローが失われてしまう。SiO10重量%の20nmの充填剤において、良好であるが、SiO15重量%の20nmの充填剤には及ばない、はんだボールの崩壊性が観測される(エントリー3及び4)。50nmの充填剤(表4、エントリー6及び7)は、30重量%以下の充填剤における良好なはんだボールの崩壊性が示すように、フローを大幅に改善させる。さらに、環状脂肪族エポキシ樹脂の組成物への添加により、脂肪族エポキシ樹脂を添加した場合と同様な、フローの大幅な増大及び良好なフィルムの透明性がもたらされる(表6の、それぞれ、エントリー8〜11、及び17〜18)。さらに、フローに関する同様の改善が、50nmの充填剤と、数種類のヒドロキシル化合物を含む単量体硬化剤とを組み合わせて用いた場合にも見られる(表6、エントリー19〜22)。
【0125】
実施例10 二官能性シロキサン無水物の調製
メカニカルスターラー、温度計、濃縮器、滴下漏斗及び窒素導入口を取り付けた500ミリリットル(ml)フラスコに、127g(0.77モル)の無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、150gのトルエン及びKarstedt触媒(米国特許第3,775,442号明細書に記載のPtとジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体)として20ppmの白金を加える。溶液を80℃に加熱しながら、84.3g(0.4モル)の1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを、反応混合物に滴下する。温和な発熱反応が起こり、温度が100℃に上昇する。ケイ素水素化物の添加は、1時間で完了する。反応混合物を80℃でさらに1時間加熱する。Avatar 370 FT−IR(Thermo Electron社)を用いて赤外(IR)分析を行ったところ、Si−H基の75%が変換されたことが示される。さらに20ppmの白金触媒を追加し、反応混合物を、窒素下80℃で終夜撹拌する。翌朝、IR分析を再度行うと、99%以上のSi−Hが消失したことを示す結果が得られる。反応混合物を室温まで冷却する。
【0126】
冷却した反応混合物を、300mlのヘキサンと混合する。白色粉末の沈殿が観測される。固体状の物質を、ろ過によって分離し、真空オーブン中50℃で乾燥すると、180gの、所望の二官能性シロキサン無水物が得られる。H、29Si NMRについては、400MHzのBruker社製Avance 400を用いて測定し、無水物の構造及び純度を共に確認する。BRUKER Avance400は、Bruker Biospin社(米国マサチューセッツ州ビレリカ)より市販されている。
【0127】
実施例11 官能基化コロイド状シリカの前分散物の調製
以下の手順を用いて、官能基化コロイド状シリカの前分散物を調製する。粒径20nmのSiO粒子を34重量%含む水性コロイド状シリカ(Nalco 1034A、Nalco Chemicals社製)465gを、800gのイソプロパノール(Aldrich社製)及び56.5gのフェニルトリメトキシシラン(Aldrich社製)と、撹拌しながら混合する。混合物を60〜70℃に2時間加熱すると、透明な懸濁液が得られる。得られた前分散物を、室温まで冷却し、ガラス瓶中で保存する。
【0128】
実施例12 安定化された官能基化コロイド状シリカを含む樹脂組成物の調製
1000ミリリットル(ml)フラスコに、300gの、実施例11で調製したコロイド状シリカの前分散物、溶媒として150gの1−メトキシ−2−プロパノール(Aldrich社製)、及び0.5の架橋ポリビニルピリジンを加える。混合物を70℃で撹拌する。1時間後、懸濁液を、4gのCelite(登録商標)545(市販の珪藻土ろ過助剤)と混合し、室温に冷却後、ろ過する。得られた官能基化コロイド状シリカの懸濁液を、30gの3,4−エポキシシクロヘキサンジカルボン酸3,4−エポキシ−3−シクロヘキシルメチル(Dow Chemical社より市販のUVR6105)及び10gのビスフェノールFエポキシ樹脂(RSL−1739)と混合し、75℃、1Torrで恒量まで減圧蒸発させ、88.7gの粘稠な液体樹脂を得る。
【0129】
実施例13 エポキシフラックス組成物の調製
5gの、実施例12の官能基化コロイド状シリカを、1.56gの無水4−メチルヘキサヒドロフタル酸(MHHPA)(Aldrich社製)、及び1.56gの5,5’−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−トリシロキサンジイル)ビス[ヘキサヒドロ−4,7−メタノイソベンゾフラン−1,3−ジオン](TriSDA)(実施例10の二官能性シロキサン無水物生成物)を、室温で混合する。0.01gの触媒(Air Products社製Polycat SA−1)及び0.07gのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE Silicones社製)を、室温で加える。処方品を室温で約10分間混合する。処方品を高真空下室温で20分間脱気する。得られた物質を−40℃で保存する。
【0130】
実施例14 チップのコーティング手順
シリコンダイ及び石英ダイを、実施例3の、表2のエントリー9に記載のウェーハレベルアンダーフィルでコーティングする。シリコンダイは、8ミルピッチで、窒化物で不活性化されており、Delphi Delco Electronics社より購入したウェーハよりダイシングしたペリメータアレイPB08である。石英ダイは、8ミルピッチ配列されており、Practical Components社より購入したウェーハよりダイシングしたものである。はんだボールの上部が被覆されるように、マスクフィギュアを用いてアンダーフィル材料を、個々のダイの上に印刷する。Bステージ化工程は、コートされたダイの表面温度が95℃、真空度200mmHgで1時間、その後、100mmHgでさらに1時間となるように設定された真空オーブン中で行われる。ダイを真空オーブンから取り出し、室温まで冷却させる。
【0131】
銅クラッドFR4基板(MG Chemicals社より市販)を、180番のサンドペーパーで研磨し、次いでイソプロパノールと柔らかい布でよく洗浄する。2種類の異なるフラックス樹脂について試験を行う。それぞれの場合、EFD 1000シリーズディスペンサーを用いて、洗浄した基板の表面の中心に、フラックス剤をドット状に塗布し、コートした石英ダイを設置する。テスト用アセンブリーを、通常のリフロープロファイル(2.1℃/秒の速度で最高温度まで昇温させ、130〜160℃である時間は53秒であり、160℃以上の温度に昇温させている時間は120秒であり、160〜183℃である時間は74秒であり、183℃以上である時間は70秒であり、最高温度は216℃であり、その後、2.5℃/秒で温度を低下させた)を用いて、Zepher対流リフローオーブン中を通過させる。
【0132】
3種類のチップ/基板アセンブリーを調製する。第1のアセンブリーでは、粘着性のフラックス(Kester TSF6522 Tacflux)をFR4銅クラッド基板の上に塗布し、フラックス剤として用いる。実施例3の、表2のエントリー9に記載のウェーハレベルアンダーフィル組成物でコートした石英ダイを、フラックス樹脂上に載せ、リフローに供する。リフロー後に、このアセンブリーを試験したところ、良好な濡れ性が見られたが、多数の許容されない空隙が見られる。
【0133】
第2のアセンブリーでは、上述の実施例13のフラックス樹脂を、FR4銅クラッド基板上に塗布する。実施例3の、表2のエントリー9に記載のウェーハレベルアンダーフィル組成物でコートした石英ダイを、フラックス樹脂上に載せ、リフローに供する。リフロー後のこのアセンブリーの試験では、空隙の発生は見られず、優れた接合性が示される。
【0134】
第3のアセンブリーでは、上述の実施例13のフラックス樹脂を、FR4銅クラッド基板上に塗布する。実施例3の、表2のエントリー9に記載のウェーハレベルアンダーフィル組成物でコートしたシリコンダイを、フラックス樹脂上に載せ、リフローに供する。リフロー後のこのアセンブリーの試験では、空隙の発生は見られず、優れた接合性が示される。ダイを除去しても、空隙が存在しないことが示される。この実施例は、Bステージ樹脂フィルムの製造において、溶媒改質エポキシ樹脂を、第2のフラックス樹脂と共に用いることが、空隙がなく、高い接合性を有し、導電性を有するチップアセンブリーの製造に有益であることを示している。
【0135】
実施例13 活性末端部位密度と安定性の関係
【0136】
以下のように、サンプル13A〜13Hを調製する。32.9重量%の固体を有する官能基化コロイド状シリカナノ粒子のスラリーに、表7に示す不活性化剤を加える。不活性化剤は、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)であり、充填剤及び不活性化剤を混合、反応後冷却する。13A〜13Hの個々のサンプルについて固体含量を測定し、その結果を表7に列挙する。個々のサンプルに、7.5グラムの第1の硬化性樹脂(3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボン酸ジエポキシド(UVR6105))、2.5gグラムの第2の硬化性樹脂(ビスフェノールFエポキシ樹脂(RSL−1739))、及び溶媒(SR83−068)を加える。サンプルを混合し、高真空下で減圧留去させる。
【0137】
表7−異なる量の不活性化剤を含む、硬化性樹脂系中の充填剤組成物サンプル13A〜13H
【表7】

【0138】
ブルックフィールド型粘度計を用いて、サンプルについて初期粘度の測定を行う。スピンドル1、毎秒133、全ての粘度の結果は、特記しない限りセンチポワズ単位であり、表8に列挙する。さらに、データをグラフ1にプロットすると、不活性化剤の量が増加すると、初期粘度が低下することが示される。水素結合が減少すると、充填系中での粒子の運動が増大すると思われる。
【0139】
表8−初期粘度の測定結果
【表8】

【0140】
図1は、活性末端部位の密度と初期粘度との関係を示す。シリカについては、粘度曲線の頂点が約4.5に現れる。すなわち、活性末端部位が1平方ナノメートルあたり約4.5個未満になると、比較的初期粘度の低い樹脂系が得られる。
【0141】
初期粘度の測定と同様であるが、初期粘度の測定後、60℃で1週間エージングした後に、サンプルの粘度を測定する。結果を表9に示す。
【0142】
表9−60℃で1週間エージングした後の粘度の測定結果(cPs)
【表9】

【0143】
初期粘度の測定と同様であるが、初期粘度の測定後、60℃で2週間エージングした後に、サンプルの粘度を測定する。結果を表10に示す。
【0144】
表10−60℃で2週間エージングした後の粘度の測定結果(cPs)
【表10】

【0145】
まず、サンプルについて、核磁気共鳴イメージング(NMR)を用いて活性末端部位又はBronsted部位の測定を行った。また、補正されたBET−Cを用いて充填剤の表面積を測定した。結果を表11に示す。
【0146】
表11−サンプル13A〜13Hの表面積データ
【表11】

【0147】
図2は、活性末端部位の密度と安定性との関係を示すグラフである。すなわち、この場合、粘度の関数は、1平方ナノメートルあたりのシラノール基の数に関連するように、時間の経過と共に増大する。注目すべき点は、活性末端部位の数は測定可能であり、その数は制御可能であることである。活性末端部位の数を制御することにより、硬化性単量体の早期架橋に起因する、組成物の不安定性又は粘度の上昇を制御することができる。
【0148】
上述の実施例は、本発明のいくつかの特徴を説明するためにのみ用いられる単なる説明である。添付された特許請求の範囲は、着想された範囲内でできるだけ広く発明を主張するものであり、本明細書に示した実施例は、種々の可能な実施態様全体から選択された実施態様を説明するものである。したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の特徴を説明するために用いられる実施例の選択によって制限されないことが、本出願人の意図するところである。特許請求の範囲で用いられる場合、「〜を有する(comprises)」という用語及びその文法上の変化形は、「ほぼ〜からなる」、及び「〜からなる」等が挙げられるがこれらに限定されない程度の異なる種々の語句に内在されると共に、これらの語句を含んでいる。必要な場合、範囲が示され、これらの範囲は、その間の部分範囲を含んでいる。これらの範囲内での変形例は、通常の能力を有する実施者が想到可能であり、公衆の用に供されていないこれらの変形例は、可能であれば、添付された特許請求の範囲に含まれることが期待される。科学技術の進歩によって、言語の不正確さのため、現時点では想定されない均等物及び代替物が生み出され、これらの変形例も、可能であれば、添付された特許請求の範囲に含まれることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、活性末端部位密度と粘度との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、活性末端部位密度対安定性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1グラムあたり約5平方メートルよりも大きな表面積を有していてよく、表面積1平方ナノメートルあたり、約99重量%未満の固体を含む硬化性樹脂を含む硬化性組成物が、約2週間経過後に安定比が約3未満となるような、十分に低い密度の活性表面末端部位を有する微細化された難溶性固体。
【請求項2】
1グラムあたり約20平方メートルより大きい表面積を有する、請求項1に記載の固体。
【請求項3】
1グラムあたり約60平方メートルより大きい表面積を有する、請求項2に記載の固体。
【請求項4】
1グラムあたり約150平方メートルより大きい表面積を有する、請求項3に記載の固体。
【請求項5】
安定性比が約1である、請求項1に記載の固体。
【請求項6】
活性末端部位の密度が約4.75以下である、請求項5に記載の固体。
【請求項7】
活性末端部位の密度が約4.5〜約4.0である、請求項5に記載の固体。
【請求項8】
前記固体が、平均直径が約1ナノメートル〜約100ナノメートルである複数種類のナノ粒子を含む、請求項1に記載の固体。
【請求項9】
前記複数種類のナノ粒子が球形、不定形又は幾何学形状である、請求項8に記載の固体。
【請求項10】
前記複数種類のナノ粒子が無孔性である、請求項8に記載の固体。
【請求項11】
前記固体が、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ベリリウム、ホウ素、炭素、クロム、銅、ガリウム、金、ゲルマニウム、インジウム、鉄、ハフニウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、ケイ素、銀、チタン、タングステン又はジルコニウムを含む、請求項1に記載の固体。
【請求項12】
前記固体が、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ベリリウム、ホウ素、炭素、クロム、銅、ガリウム、金、ゲルマニウム、インジウム、鉄、ハフニウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、ケイ素、銀、チタン、タングステン又はジルコニウムの酸化物若しくは窒化物を含む請求項11に記載の固体。
【請求項13】
前記固体が酸化ケイ素を含み、その活性表面末端部位はシラノール基を有する、請求項12に記載の固体。
【請求項14】
前記固体が窒化物であって、その活性表面末端部位はアミド又はイミドを有する、請求項12に記載の固体。
【請求項15】
前記固体が酸化アルミナを含み、その活性表面終端部位はヒドロキシル基を有する、請求項12に記載の固体。
【請求項16】
前記固体は連続処理により調製され、前記処理は活性表面末端部位の第1の部分に官能基化された組成物を反応させ、活性表面末端部位の第2の部分に不活性化組成物を反応させる工程からなる、請求項1に記載の固体。
【請求項17】
前記官能基化された組成物がシランからなる、請求項16に記載の固体。
【請求項18】
前記不活性化組成物がシラザンからなる、請求項16に記載の固体。
【請求項19】
請求項1に記載の固体及び硬化性樹脂からなる、接着剤組成物。
【請求項20】
前記硬化性樹脂が、アクリル系、ウレタン、イソシアネート、シアン酸エステル、イミド又はエポキシ樹脂の1種類以上からなる、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項21】
前記エポキシ樹脂が多官能性である、請求項20に記載の接着剤組成物。
【請求項22】
前記硬化性樹脂が1種類以上の添加剤を含む、請求項20に記載の接着剤組成物。
【請求項23】
前記固体が約1重量%より多く存在する、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項24】
前記固体が約50重量%より多く存在する、請求項23に記載の接着剤組成物。
【請求項25】
前記固体が接着剤組成物の熱膨張係数を、接着剤系と共に用いるために選択したチップとほぼ適合させるための適当量だけ存在する、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項26】
硬化後の接着剤組成物の熱膨張係数が、約40ppm/℃未満である、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項27】
硬化層のガラス転移温度が約150℃より高い、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項28】
チップ、基板及び前記チップを前記基板上に固定する請求項28に記載の硬化層からなる、電子デバイス。
【請求項29】
前記チップがケイ素、ガリウム、ゲルマニウム又はインジウムの1種類以上からなる、請求項29に記載の電子デバイス。
【請求項30】
前記硬化層が、前記チップの表面に対向する内側と前記基板の表面に対向する内側により規定される領域内に配置されるアンダーフィル材料である、請求項29に記載の電子デバイス。
【請求項31】
複数種類の粒子の活性末端部位の第1の部分を、官能基化された又は相溶化組成物と反応させる工程、複数種類の粒子の活性末端部位の第2の部分を、不活性化組成物と反応させる工程並びに第1及び第2の部分の反応の後に複数種類の粒子を含む溶液又はスラリーから溶媒を除去する工程からなる、樹脂系のための充填剤の製造方法。
【請求項32】
活性末端部位の第2の部分の反応は、複数の微粒子それぞれの表面の活性末端部位をキャッピング又は不活性化し、活性末端部位を表面積1平方ナノメートルあたり約4個以下とし、樹脂系を安定化させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項33】
前記相溶化組成物が有機シランからなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記不活性化組成物がシラザンからなる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
さらに、約室温より高い温度で所定の期間安定な、充填された樹脂系を形成するのに十分な量の充填剤を前記樹脂系と混合する工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
チップ、基板及び前記チップを前記基板上に固定する手段からなる、電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−545019(P2008−545019A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504256(P2008−504256)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011314
【国際公開番号】WO2006/107660
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507267193)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (23)
【Fターム(参考)】