説明

電子カメラ付携帯型移動通信装置

【課題】 画質を劣化させることなく装置の大型化やコストアップを極力抑えて、光学ズーム付の電子カメラ付携帯型移動通信装置を提供すること。
【解決手段】 撮影画角変更可能なレンズ群を介して被写体を撮影する画像撮影手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、画像撮影手段の画角変更が前記アクチュエータによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被写体像を撮影する電子カメラを備えた携帯型移動通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯型電子機器、特に携帯電話、PHS、携帯情報端末、携帯型コンピュータ(モバイルコンピュータ)などの携帯型移動通信装置には、電子カメラを内蔵して撮影した画像を他の通信機器に伝送する使用方法が普及してきている。また、電子ズームにより撮影画角を変更可能な携帯電話も販売されている。また、携帯電話やPHSでは着信を知らせる手段の1つとして、振動によって着信を知らせるいわゆるマナーモードを有しているものが一般的になってきている。このマナーモードは、小型のモータの出力軸に半円形状もしくは半円筒状のロータが偏芯して取り付けられており、モータを回転させることによりロータも回転し振動するようになっている。
【0003】
又、従来例としては、例えば特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2002-107612号公報
【特許文献2】国際公開WO02/067036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子カメラ付携帯型移動通信装置の中には電子ズームで撮影画角を変更可能なものも有るが、近年ではより高画質のカメラ付携帯型移動通信装置が求められるようになっている。電子ズームはレンズなどの光学素子を移動させることなく電気的に画像を拡大処理するために、装置を大型化することなくズームが可能というメリットがある。しかしながら電子ズームではズームを高倍率にすればするほど画質が劣化してしまうというデメリットも有る。また、光学ズームを搭載するとズームさせるためのアクチュエータや駆動部材が必要となり、装置の大型化やコストの増大を招くといった問題があった。
【0005】
本発明は画質を劣化させることなく装置の大型化やコストアップを極力抑えて、光学ズーム付の電子カメラ付携帯型移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために請求項1の発明は、撮影画角変更可能なレンズ群を介して被写体を撮影する画像撮影手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、前記画像撮影手段の画角変更が前記アクチュエータによって行われることを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、前記アクチュエータの駆動出力を画角変更時と着信報知時とで異ならせる駆動制御手段を有することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、画像撮影手段と、画像表示手段と、被写体に向けて照明する発光手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータによる振動により着信を知らせる報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、前記画像撮影手段と前記発光手段と前記アクチュエータとを前記画像表示手段の背面側に配置したことを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、装置の略中央部から折り畳み可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の携帯型移動通信装置において、前記画像撮影手段と、前記発光手段と、前記アクチュエータとを前記画像表示手段と同じ筐体側に配置したことを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、折りたたみ状態から使用状態にしたときに、前記アクチュエータの駆動力の伝達先を切り替える切り替え手段を有することを特徴としている。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6の携帯型移動通信装置において、アクチュエータの駆動力を折り畳み状態では着信時に振動を発生する報知手段として使用し、使用状態では撮影レンズの画角変更の駆動力として使用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上述べてきたように、本出願に係る第一の発明によれば、撮影画角変更可能なレンズ群を介して被写体を撮影する画像撮影手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、前記画像撮影手段の画角変更が前記アクチュエータによって行われることにより、複数のアクチュエータを配置する必要がないので、コストの低減及び小型化に有効である。
【0014】
本出願に係る第二の発明によれば、アクチュエータの駆動出力を画角変更時と着信報知時とで異ならせる駆動制御手段を有することによりズーム時に不快な振動を抑えることが可能である。
【0015】
また、アクチュエータの回転方向により、ズームと装置に振動を与えることを容易に切り替えることが可能である。
【0016】
本出願に係る第三の発明によれば、画像撮影手段と、画像表示手段と、被写体に向けて照明する発光手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータによる振動により着信を知らせる報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、前記画像撮影手段と前記発光手段と前記アクチュエータとを前記画像表示手段の背面側に配置することにより駆動源と駆動力の伝達先を集中的に配置することが可能となり、動力の伝達ロスが少なく、コンパクトにレイアウトすることが可能となる。
【0017】
本出願に係る第四の発明によれば、装置の略中央部から折り畳み可能に構成されていることにより装置の未使用時にコンパクトに収納可能となる。
【0018】
本出願に係る第五の発明によれば、装置の略中央部から折り畳み可能な携帯型移動通信装置において、画像撮影手段と、発光手段と、アクチュエータとを前記画像表示手段と同じ筐体側に配置することにより駆動源と駆動力の伝達先を集中的に配置することが可能となり、動力の伝達ロスが少なく、コンパクトにレイアウトすることが可能となる。
【0019】
本出願に係る第六、七の発明によれば、無線回線を通じて相手先通信装置との間で通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有し、装置の略中央部から折り畳み可能に構成されている携帯型移動通信装置に於いて、折りたたみ状態と使用状態とで、アクチュエータの駆動力の伝達先を切り替える切り替え手段を有することにより、使い勝手がよく確実に動力の切り替えが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施例)
図1は、本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置の構成を示すブロック図である。図2は本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置の外観図であり、図2aは正面、図2bは背面から見た図であり、図2cは装置上側の断面の概略図である。本実施例では電子カメラ付携帯電話を例に説明する。図1、図2において、1は電子カメラ付携帯型移動通信装置の本体である。10は撮影レンズであり、複数のレンズの相対移動により焦点距離が可変な構成となっている。本実施例ではレンズ2群3枚構成であり、10aが第一群、10bが第二群となっている。12は絞り機能を備えるシャッター或いは電子シャッターなどの露光手段である。14は光学像を電気信号に変換するCCDなどの撮像素子である。16はA/D変換器であり、撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換する。18はタイミング発生回路であり、撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するもので、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0021】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行うTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行っている。さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0022】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータは画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いは直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いは画像記録メモリ30に書き込まれる。
【0023】
24は画像表示メモリである。26はD/A変換器である。28はTFT LCD等からなる画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、動画表示を実現することが可能である。また画像表示部28は、電話の着信時の着信表示やメールの表示、電池残量表示、ストロボ充電完了表示、装置のモード設定時の選択画面表示、時刻・日付表示などにも用いられる。画像表示部28に用いられている表示素子28aはTFT方式などの液晶表示板である。液晶表示板28aは導電ゴム28bを介して回路基板29に電気的に接続されている。回路基板29には、システム制御回路50やCCD14やスイッチ類など本装置のほとんどの電気素子が実装されている。
【0024】
30は画像記録メモリであり、撮影した静止画像や動画像を格納する。画像記録メモリ30は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影や動画撮影など、高速かつ大量の画像書き込みを画像記録メモリ30に対して行うことが可能となる。また、画像記録メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0025】
32は圧縮・伸長回路であり、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する。圧縮・伸長回路32では、画像記録メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを画像記録メモリ30に書き込む。
【0026】
40は絞り機能を備えるシャッター或いは電子シャッターなどの露光手段12を制御する露光制御手段であり、42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御手段である。46は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御手段である。露光制御手段40、測距制御手段42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行う。48はストロボであり、被写体に向けて閃光発光を行い被写体を照明する。48aは閃光発光管であるXe(キセノン)管であり、48bはXe管48aの光を被写体方向に反射する反射笠である。
【0027】
50はシステム制御回路であり、本発明の携帯型移動通信装置全体を制御する中央演算ユニット(CPU)である。52はメモリであり、システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶する。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられ電話番号や着信メロディ、メール等を記憶する。
【0028】
60、62、64、は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。具体的には60は十字キースイッチになっており、メニューの選択や画像撮影モード時にはズームスイッチになり、撮影レンズの焦点距離の変更を指示する。62はレリーズスイッチであり、スイッチONでAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の動作開始を指示し、引き続き撮像素子12から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、画像記録メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0029】
70は電源制御回路であり、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。72、74はコネクタである。76は電源であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、リチウムイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。78は電源収納部をカバーする電池カバーである。
【0030】
80はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェースである。82はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタである。さらに、インタフェース90、そしてコネクタ92を規格に準拠したメモリカードを用いて構成した場合、LANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、P1284カード、SCSIカード、PHS等の通信カード等の各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことができる。84はメモリカード収納部をカバーするメモリカバーである。
【0031】
100はメモリカードやハードディスク等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部102、装置本体側とのインタフェース104、装置本体側コネクタ80と接続を行うコネクタ106とを備えており、装置本体に着脱可能に設けられている。この記録媒体100と画像記録メモリ30は、互いに記録されている画像ファイルの移動やコピーが可能である。
【0032】
無線処理部は、アンテナ112が接続されており、アンテナ112によって送受信される携帯電話通信網からの電波を変調、あるいは送信電波へと復調し、その周波数やスロットの指定、出力の制御等を行う。
【0033】
音声処理部120は、スピーカ122およびマイク124と接続されており、マイク124から入力される音声信号を変調、あるいは音声信号に復調しスピーカ122へ出力したり、電話着信等の呼出音の制御等を行う。
【0034】
アンテナ112から着信信号が無線処理部120を介してシステム制御回路50に伝達されると、システム制御回路50は装置の現状の着信設定がマナーモードか否かを判断して制御信号を着信制御手段130に送る。着信制御手段130はシステム制御回路50から送られてきた信号をうけて着信音表示するか振動表示するかを決定し、駆動信号を音声処理部120又はモータ140におくる。
【0035】
モータ140はマナーモード時に回転して振動を発生するバイブレータ機能と、撮影レンズ10を光軸方向に移動させてズームやフォーカスを行うアクチュエータである。
【0036】
図3は本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置のモータからの動力伝達を説明する構成の概略図である。図4は本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置の動作を説明するフローチャートである。
【0037】
図3よりモータ140は両軸タイプのモータであり、160はモータ140の回転軸に取り付けられた偏芯重りでありモータ140が高速回転することにより振動を発生し、バイブレータとして機能する。151はウォームギアで152は2段ギアとなっており、152aがハスバギアでウォームギア151と噛み合っている。152bは平歯車でギア153に噛み合っている。ギア153はレンズ鏡筒159に噛み合っており、レンズ鏡筒159が回転する。レンズ鏡筒159の内壁にはカム溝(不図示)が形成されており、そのカム溝にレンズ10a及びレンズ10bが勘合しており、レンズ鏡筒159の回転によってレンズ10a及び10bが光軸方向に移動してズームを行う。
【0038】
図4より、ステップs301にて画像撮影モードが選択されて、画像撮影モード中に着信信号を受けた場合(ステップs302)は着信信号を受信した旨の着信音表示とモニタ28に着信表示を行う。ステップs302で着信信号を受けない場合はそのまま待機する。ステップs302で受信した場合は、受信信処理を行い(ステップs304)、ステップs304で受信処理が行われない場合は受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで待機する。ステップs305でズームスイッチ60が押された場合は、ステップs306でモータ140をマナーモード動作時より低速回転で駆動してズームを行う。図3で示された駆動系ではモータ140の回転により、偏芯重り160も回転し振動が発生するので、ズーム時はあまり高速で回転させないほうが撮影者に不快な振動を与えないためには良い。
【0039】
ズーム動作が終わるとステップs307にてレリーズスイッチ62がONされるまで待機する。ステップs307でレリーズスイッチ62がONされたらステップs308にて前述した一連の画像記録処理が行われてシーケンスを終了する。
【0040】
ステップ301にて画像撮影モードが選択されていない場合は、ステップs311でマナーモードであるかどうかを判断する。マナーモードの場合でステップs312で着信信号を受けた場合はステップs313でモータ140を高速で回転させ装置に振動を発生させる。その後ステップs314で受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまでモータ140を回転させる。ステップs312で着信信号を受けない場合は着信待ち受け状態となる。
【0041】
ステップs311でマナーモードであるかどうかを判断して、マナーモードでない場合はステップs321で着信信号を受信した場合は、着信信号を受信した旨の着信音表示とモニタ28に着信表示を行う。ステップs321で着信信号を受けない場合は着信待ち受け状態となる。
【0042】
図4のフローにはないが画像撮影モードが選択されていてマナーモードも選択されている場合は、モニタ28上に着信表示を行い受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで待機する。
【0043】
(第2の実施例)
図5は図3とは別の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置のモータからの動力伝達を説明する構成の概略図である。
【0044】
図5より151はウォームギアで152は2段ギアとなっており、152aがハスバギアでウォームギア151と噛み合っている。152bは平歯車で太陽ギア154に噛み合っている。156は太陽ギア154と遊星ギア155を連結している遊星アームである。遊星ギア155は不図示のバネなどによりフリクションを与えられており、ギア154の周りを公転しモータ140の回転方向により、ギア157もしくはギア161に噛み合う。本実施例では第一の回転方向でギア161に噛み合い、第二の回転方向でギア157に噛み合う。ギア161には偏芯重り162が同軸上に取り付けられておりギア161の回転により振動を発生する。ギア157、ギア158はアイドラギアでレンズ鏡筒159に動力を伝達する。レンズ鏡筒159は第一の実施例と同様に内壁にカム溝(不図示)が形成されており、回転によってレンズが光軸方向に移動してズームを行う。従って本実施例でのズーム動作は、モータ140の1方向の回転で行うためズームスイッチを押しっぱなしにするとwide→tele→wideの動作を繰り返すこととなる。
【0045】
図6は図5に示す構成の本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置の動作を説明するフローチャートである。図6のフローは図4のフローと大部分同様の動作であるので図4のフローと異なる動作のみ説明する。ステップs215にてズームスイッチ60がONされたなら、モータ140を第二の回転方向に駆動してズーム動作を行う。ズーム動作が終わるとステップs217にてレリーズスイッチ62がONされるまで待機する。ステップs217でレリーズスイッチ62がONされたらステップs218にて前述した一連の画像記録処理が行われてシーケンスを終了する。
【0046】
ステップ211にて画像撮影モードが選択されていない場合は、ステップs221でマナーモードであるかどうかを判断する。マナーモードの場合でステップs222で着信信号を受けた場合はステップs222でモータ140を第一の回転方向で駆動させ装置に振動を発生させる。その後ステップs224で受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまでモータ140を回転させる。ステップs224で着信信号を受けない場合は着信待ち受け状態となる。
【0047】
図6のフローにはないが画像撮影モードが選択されていてマナーモードも選択されている場合は、モニタ28上に着信表示を行い受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで待機する。
【0048】
(第3の実施例)
図7は装置の略中央部から折り畳み可能な携帯型移動通信装置の外観斜視図である。ヒンジ3を中心として未使用時は折りたたんでコンパクトに収納可能である。撮影レンズ10及びストロボ48、モータ140は不図示のモニタを含む本体1b側に配置されており、もう一方の本体1aには操作スイッチの大部分や電池などが配置されている。
【0049】
図8は本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置のモータからの動力伝達を説明する構成の概略図である。図9は装置の使用時と折り畳み時での動力切り替えを説明する図である。図8は前述の図5の構成に一部構成を追加したものであるため、前述の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0050】
図5の構成ではモータ140の回転方向を変える事により動力伝達先を切り替えていたが、本実施例の構成では装置の開閉に連動してモータ140の動力伝達先を切り替えるようにしている。
【0051】
図9aは装置を開いた状態即ち使用状態、図9bは装置を折り畳んだ状態即ち未使用状態のレバー163の動きを表した図である。
【0052】
ヒンジ3の回動部3aにワイヤー165が固定されており、ワイヤー165のもう一端はレバー163に固定されている。レバー163には引張りバネ164が掛けられておりバネ164のもう一端は本体に形成されたバネ掛け1dに掛けられており、レバー163は常にバネ164によってギア155側に付勢されている。ヒンジ回動部3aが回動することによりワイヤー165が巻き取られたり、緩められたりしてレバー163がスライドする。このときレバー163が確実にスライドしたかどうかをセンサなどでレバー163の位置を検出した方が望ましい。またこの検出信号を装置の開閉状態の検出にも兼用できる。
【0053】
装置が開いた状態のときはレバー163の先端部163aが遊星アームの先端部156aを押して遊星ギア155がギア157に噛み合いズーム動作が可能となる。レバー163はバネ164によって常にギア157の方に付勢されている為、モータ140がどちらの方向に回転しても連結が外れることはない。
【0054】
図10は図8、図9に示す構成の本実施の形態の電子カメラ付携帯型移動通信装置の動作を説明するフローチャートである。
【0055】
ステップs401にて折り畳み状態か否かを判定する。ステップs401にて折り畳み状態の場合はステップs402にて着信信号を受信するまで待機する。ステップs402にて着信信号を受信してステップs403でマナーモードが選択されている場合は、モータ140を駆動して(ステップs404)装置を振動させ、ステップs405で受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまでモータ140を回転させる。
【0056】
ステップs403にてマナーモードが選択されていない場合は、ステップs411にて着信音表示を行い、ステップs412で受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで着信音を鳴らす。
【0057】
ステップs401にて装置が開いた状態だと判断され、ステップs421にてマナーモードが選択されていない場合でステップs422にて着信信号を受信すると、ステップs423にて着信音表示及びモニタ画面に着信表示する。その後ステップs424で受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで表示を続ける。ステップs421にてマナーモードが選択されている場合にステップs431にて着信信号を受信した場合は、ステップs432にてモニタ上に着信表示を行いステップs424にて受信処理が行われるか着信信号が来なくなるまで表示を続ける。ステップs421及びステップs431にて着信信号を受信していない場合は、着信信号若しくはズームスイッチなどの動作信号が来るまで待機する。
【0058】
ステップs425でズームスイッチ60がONされるとモータ140を駆動してズームを行う(ステップs426)。ズーム動作が終わるとステップs427にてレリーズスイッチ62がONされるまで待機する。ステップs427でレリーズスイッチ62がONされたらステップs428にて前述した一連の画像記録処理が行われてシーケンスを終了する。
【0059】
本実施例では装置の開閉でアクチュエータの動力をマナーモード時の振動用とズーム駆動用に切り替えているがこれに限定されるものではなく、装置の開閉により例えば開状態ではアクチュエータによってアンテナを進退させたり、レンズのバリアを開閉したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】カメラ付携帯型移動通信装置の構成を示すブロック図
【図2】aはカメラ付携帯型移動通信装置の正面外観図、bはカメラ付携帯型移動通信装置の背面外観図、cはカメラ付携帯型移動通信装置の部分断面図
【図3】実施例1の動力伝達を説明する構成の概略図
【図4】実施例1の動作を説明するフローチャート
【図5】実施例2の動力伝達を説明する構成の概略図
【図6】実施例2の動作を説明するフローチャート
【図7】折り畳み可能なカメラ付携帯型移動通信装置の外観斜視図
【図8】実施例3の動力伝達を説明する構成の概略図
【図9】aは実施例3の装置の開状態を説明する図、bは実施例3の装置の折り畳み状態を説明する図
【図10】実施例3の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0061】
1 電子カメラ付携帯型移動通信装置本体
10 撮影レンズ
28 画像表示部
48 ストロボ
140 モータ
159 レンズ鏡筒
160、162 偏芯重り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画角変更可能なレンズ群を介して被写体を撮影する画像撮影手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、
前記画像撮影手段の画角変更が前記アクチュエータによって行われることを特徴とする携帯型移動通信装置。
【請求項2】
前記アクチュエータの駆動出力を画角変更時と着信報知時とで異ならせる駆動制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯型移動通信装置。
【請求項3】
画像撮影手段と、画像表示手段と、被写体に向けて照明する発光手段と、無線回線を通じて相手先通信装置との間で画像を含む通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータによる振動により着信を知らせる報知手段とを有する携帯型移動通信装置に於いて、
前記画像撮影手段と前記発光手段と前記アクチュエータとを前記画像表示手段の背面側に配置したことを特徴とする携帯型移動通信装置。
【請求項4】
装置の略中央部から折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1,2,3に記載の携帯型移動通信装置。
【請求項5】
請求項4の携帯型移動通信装置において、前記画像撮影手段と、前記発光手段と、前記アクチュエータとを前記画像表示手段と同じ筐体側に配置したことを特徴とする携帯型移動通信装置。
【請求項6】
無線回線を通じて相手先通信装置との間で通信を行う通信手段と、着信時にアクチュエータにより振動を発生する報知手段とを有し、装置の略中央部から折り畳み可能に構成されている携帯型移動通信装置に於いて、折りたたみ状態と使用状態とで、前記アクチュエータの駆動力の伝達先を切り替える切り替え手段を有することを特徴とする携帯型移動通信装置。
【請求項7】
請求項6の携帯型移動通信装置において、アクチュエータの駆動力を折り畳み状態では着信時に振動を発生する報知手段として使用し、使用状態では撮影レンズの画角変更の駆動力として使用することを特徴とする携帯型移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−173886(P2006−173886A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361442(P2004−361442)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】