説明

電子部品の回路基板への取付方法およびシートスイッチ

【課題】電子部品の回路基板への確実な取付方法を提供する。
【解決手段】樹脂製の本体ケース101の外周側面101a〜dにつば部103を設け且つ外周側面101a,cから金属端子105を突出する電子部品100と、導電パターン25を設けた回路基板20と、金型200,300とを用意する。導電パターン25と金属端子105とを接合した状態で電子部品100と回路基板20を金型200,300内に収納し、金型200,300内の電子部品100の外周側面101a〜dを囲む部分と、回路基板20の電子部品100を載置した反対面側とにキャビティーC1,C2を形成する。キャビティーC1,C2内につば部103を配置する。頭部109を位置決め収納部201に収納して電子部品100を位置決めする。キャビティーC1,C2内に樹脂を成形して形成される電子部品取付体130によって電子部品100を回路基板20に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の電子部品を回路基板に電気的・機械的に取り付けるのに用いて好適な電子部品の回路基板への取付方法、および前記回路基板を用いて構成されるシートスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略矩形状で樹脂製の本体ケースの左右両側面から金属端子を突出してなるチップ型の電子部品を回路基板上に載置して取り付けるために、回路基板上に載置した電子部品の周囲に合成樹脂製の電子部品取付体を成形することが行われている(例えば特許文献1参照)。具体的には、電子部品を載置した回路基板を金型内に収納して金型内に設けた前記電子部品取付体成形用のキャビティー内に溶融成形樹脂を充填し、冷却によって溶融成形樹脂が固化した後に金型を取り外すことによって電子部品取付体を成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−172713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の電子部品の回路基板への取付方法には、以下のような問題があった。すなわち電子部品が比較的寸法の大きいものであれば電子部品の金属端子とこの金属端子を接続する回路基板の導電パターンとの接続位置に多少のズレが生じても問題ないが、電子部品が小型化(たとえばその本体ケースの長手方向の長さが2〜3mm程度)し、その金属端子および導電パターンの寸法及びピッチが非常に小さくなると、前記金属端子と導電パターンとの接続位置の少しのズレが両者間の接続不良などを生じさせてしまう。このため電子部品が小型化すればするほど金型内にセットした電子部品と回路基板間の精度の良い位置合わせが必要となる。特許文献1(その段落「0033」参照)においては、電子部品から突出する金属端子を位置決めすることで電子部品のキャビティー内における位置決めを行っていた。
【0005】
しかしながら電子部品の小型化に伴って前記金属端子の本体ケースからの突出寸法も短くなり、前記特許文献1のようにこの金属端子を電子部品の金型内における位置決めに使用することが困難になってきていた。
【0006】
また特許文献1においては、主として電子部品の金属端子の部分に電子部品取付体を成形することでこの電子部品を回路基板上に取り付けているが、前述のように電子部品が小型化して金属端子が短くなると、前記電子部品取付体による金属端子の取付強度が弱くなってしまう。これを防止するため電子部品の金属端子の部分だけでなく、さらに本体ケースの外周側面にも電子部品取付体を成形することが考えられるが、本体ケースも小型化されているので、さらなる取付強度の向上が求められていた。
【0007】
一方オン・オフ用のスイッチを形成した回路基板の一部に上記電子部品を取り付け、この回路基板の上部にスペーサを介して薄いキートップ板を積層してシートスイッチを構成した場合であって、前記電子部品の回路基板上での高さがスイッチの高さより高いような場合、シートスイッチの薄型化が阻害されてしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、たとえ電子部品が小型化しても、これを確実に回路基板上に機械的・電気的に取り付けることができる電子部品の回路基板への取付方法を提供することにある。
【0009】
また本発明の目的は、スイッチを形成した回路基板の一部に電子部品を取り付けてシートスイッチを構成する場合であっても、薄型化が阻害されないシートスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、樹脂製の本体ケースの外周側面に本体ケースと一体のつば部を設けるとともに、本体ケースの外周側面から金属端子を突出してなる電子部品と、前記電子部品の金属端子を接合する導電パターンを設けた回路基板と、金型とを用意し、前記回路基板の導電パターンと電子部品の金属端子とを接合した状態で前記電子部品と回路基板を金型内に収納し、その際金型内の電子部品の外周側面を囲む部分と、回路基板の電子部品を載置した反対面側とにキャビティーを形成するとともに、このキャビティー内に前記電子部品のつば部を配置し、同時に前記本体ケースの頭部を金型に設けた位置決め収納部に収納ガイドして前記電子部品を位置決めし、キャビティー内に溶融成形樹脂を充填して冷却した後に金型を取り外すことによって形成される電子部品取付体によって電子部品を回路基板に取り付けることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法にある。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品の回路基板への取付方法において、前記金属端子は前記つば部の外周先端辺から突出しており、且つこのつば部の外周先端辺には本体ケース成形の際に形成されるゲート跡があることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法にある。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子部品の回路基板への取付方法において、前記回路基板の導電パターンと電子部品の金属端子との接合部分は、前記金型内に突出する当接ピンにてその表裏から挟持され、且つ前記挟持の際は前記当接ピンの先端面の一部のみを、前記導電パターンと接合している金属端子の先端部分に当接させることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法にある。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1または2または3に記載の方法によって電子部品を取り付けるとともに所定位置にスイッチを形成してなる回路基板と、前記スイッチを収納するスイッチ収納部と前記電子部品取付体を収納する電子部品取付体収納部とを有し、前記回路基板のスイッチを形成した側の面上に積層されるスペーサと、前記スイッチ収納部と前記電子部品取付体収納部とを覆うように前記スペーサの面上に積層されるキートップ板と、を有してなるシートスイッチにある。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシートスイッチにおいて、前記電子部品は前記回路基板の前記スペーサを積層する反対面側に設置されていることを特徴とするシートスイッチにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、電子部品と回路基板を金型内に収納した際に、電子部品(本体ケース)の頭部が金型の位置決め収納部に収納ガイドされることによって電子部品が位置決めされる。このためたとえ電子部品が小型化しても(本体ケースのみでなく金属端子が小さくなって金属端子を用いて位置決めができなくても)、電子部品の金型内におけるガイド(位置決め)を確実に行うことができる。したがってキャビティー内に溶融成形樹脂を充填する際に電子部品に位置ずれが生じることはなく、確実に回路基板の導電パターンに電子部品の金属端子を接続したまま電子部品取付体を成形することができる。
同時に電子部品のつば部がキャビティー内に配置されることでこのつば部が電子部品取付体の内部に埋設される。これによってつば部が電子部品取付体内に係止されることで、電子部品は電子部品取付体から外れなくなり、この点からもたとえ電子部品が小型化しても、電子部品を確実に回路基板上に機械的・電気的に取り付けることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、たとえつば部の外周先端辺から金属端子が突出したり、この外周先端辺にゲート跡があって微小なバリが突出していても、これら金属端子やつば部の外周先端辺の部分は電子部品の金型に対する位置決めには使用されない。このため前記金属端子やゲート跡に影響されてキャビティー内において電子部品が位置ずれすることはなく、確実に回路基板の導電パターンに電子部品の金属端子を接続したまま電子部品取付体を成形することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、当接ピンの先端面の一部のみを金属端子の先端部分に当接しているので、電子部品が非常に小型化してその金属端子全体を当接ピンに当接できない場合でも、金属端子およびこれに接合している回路基板の溶融成形樹脂充填時の挟持を確実に行うことができる。さらには金属端子の多くの部分を電子部品取付体を構成する樹脂にて覆うことができ、それによって導電パターンと金属端子の機械的・電気的接続が確実となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1または2または3に記載の方法によって電子部品を取り付けた回路基板を用いて、容易に薄型のシートスイッチを構成することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、スペーサやキートップ板を積層する側の回路基板上には電子部品の裏面側の電子部品取付体が配置されるが、この電子部品取付体の厚み(高さ)寸法は電子部品の厚み(高さ)寸法に比べて容易に薄く(低く)することができる。従って回路基板の上面側(キートップ板側)の厚み寸法を容易に薄く構成することができる。なお回路基板の下面側においては電子部品が少し突出することとなるが、このシートスイッチを取り付ける電子機器側に位置するので、シートスイッチの下面全体ではなく、電子部品を取り付けた部分のみを避けるように電子機器に凹部を設ければよいだけなので、電子機器の薄型化の大きな障害にはならない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】シートスイッチ1を上側から見た斜視図である。
【図2】シートスイッチ1を下側から見た斜視図である。
【図3】シートスイッチ1を上側から見た分解斜視図である。
【図4】回路基板20を下面側から見た斜視図である。
【図5】図1のA−A断面拡大図である。
【図6】図1のB−B断面拡大図である。
【図7】図1のC−C断面拡大図である。
【図8】回路基板20の電子部品100を取り付けた部分を拡大して上側から見た要部拡大斜視図である。
【図9】回路基板20の電子部品100を取り付けた部分を拡大して下側から見た要部拡大斜視図である。
【図10】電子部品100を示す図であり、図10(a)は上側から見た斜視図、図10(b)は下側から見た斜視図である。
【図11】電子部品100の回路基板20への取付方法説明図である。
【図12】電子部品100の回路基板20への取付方法説明図である。
【図13】電子部品100−2を下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明を適用してなるシートスイッチ1を上側から見た斜視図、図2はシートスイッチ1を下側から見た斜視図、図3はシートスイッチ1を上側から見た分解斜視図である。これらの図に示すようにシートスイッチ1は、剥離シート10上に、回路基板20と、スペーサ40と、キートップ板60とをそれぞれ接着層45,47,37(図5参照)によって積層一体化して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは回路基板20からキートップ板60を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0022】
剥離シート10は合成樹脂フイルム製または紙フイルム製であり、回路基板20の下面を略覆う外形形状(略矩形状)を有している。また回路基板20に取り付ける下記する電子部品取付体130に対向する位置には、この電子部品取付体130を挿通する寸法の略矩形状の貫通孔11が設けられている。また剥離シート10の外周の所定位置には外方に矩形状に突出して剥離シート10を剥がす際に使用する把持部13が設けられている。
【0023】
図4は回路基板20を下面側から見た斜視図である。同図および図3に示すように回路基板20は、厚み0.1mm程度の可撓性を有する略矩形状の合成樹脂フイルム(この例ではPETフイルム)21の表面(上面)の所定の複数位置にスイッチ30を設けるとともに、所定の1か所にチップ型の電子部品100を取り付けて構成されている。回路基板20の外周には帯状の引出部23が接続され、前記各スイッチ30や電子部品100の入出力用の図示しない回路パターンが配線されている。図5は図1のA−A断面拡大図である。同図および図3に示すようにスイッチ30は、合成樹脂フイルム21上に接点パターン31と接点パターン31の周囲を囲む接点パターン33とを形成し、その上に略ドーム形状の弾性金属板製の反転板35を設置して構成されている。反転板35の外周には接点パターン33が接触しており、反転板35の下面中央は中央の接点パターン31上部に所定の隙間を介して対向している。なお合成樹脂フイルム21の材質が上記材質に限定されないことは言うまでもなく、必要に応じて他の各種熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の合成樹脂フイルムを用いてもよい。
【0024】
図8,図9は回路基板20の電子部品100を取り付けた部分を拡大して示す図であり、図8は上側から見た要部拡大斜視図、図9は下側から見た要部拡大斜視図である。これらの図に示すように電子部品100の回路基板20への取付構造は、回路基板20の下面上に載置した電子部品100の外周側面101a〜d(図10参照)を囲む部分と、回路基板20の電子部品100を載置した反対面側(つまり上面側)とに、回路基板20に設けた樹脂挿通孔29(図11参照)を介して一体となるように電子部品取付体130を成形することで、これら回路基板20と電子部品100と電子部品取付体130とを一体化して構成されている。
【0025】
回路基板20の下面の電子部品100を取り付ける部分には、図11に示すように、合成樹脂フイルム21の下面に複数(4つ)の導電パターン25を形成している。導電パターン25は何れも略矩形状であって左右2つずつ併設する位置に設けられている。これら各導電パターン25の位置は、下記する電子部品100の各金属端子105に対向する位置と一致している。導電パターン25は導電ペーストを印刷(スクリーン印刷など)することによって形成されているが、金属箔のエッチングや蒸着などの別の方法によって形成してもよい。各導電パターン25には、前記引出部23に引き出される回路パターン27が接続されている。合成樹脂フイルム21の前記各導電パターン25の周囲の部分(併設された導電パターン25の間の位置と両導電パターン25の両外側の位置)には、上下に貫通する略矩形状の複数(左右3つずつ)の樹脂挿通孔29が設けられている。つまり各樹脂挿通孔29は各導電パターン25に隣接して設けられている。
【0026】
図10は電子部品100を示す図であり、図10(a)は上側から見た斜視図、図10(b)は下側から見た斜視図である。この図に示すように電子部品100は樹脂製で略矩形状(底面が長方形状の略四角錐台)の本体ケース101の外周側面101a〜101dの底面部分から外方に向けてつば部103を突出して一体に設け、また本体ケース101の外周側面101a〜101dの内の左右の外周側面101a,101cのつば部103の外周先端辺103aからそれぞれ一対ずつの金属端子105を突出して構成されている。4つの金属端子105の下面は本体ケース101の下面と同一面(載置面)となっている。この電子部品100はこの例では磁気センサ(ホール素子)であり、ホール効果を利用して磁界を電気信号に変換するものであり、たとえば磁石が接近したか否かを検出するものである。つば部103の外周先端辺103aの所定位置には本体ケース101の成形の際に形成されるゲート跡107がある。ゲート跡107は、本体ケース101を金型を使って成形する際に使用される金型のゲートの切断面である。電子部品100の上部(つば部103側の面の反対面側の部分)は頭部109となっている。
【0027】
図8,図9に戻って、電子部品取付体130は合成樹脂(この例ではPBT樹脂を用いているが、他の各種合成樹脂材を用いてもよい)の一体成型品であり、回路基板20に設けた樹脂挿通孔29(図11参照)を通して回路基板20の上下面に全体として略矩形状に形成されている。なお電子部品取付体130の回路基板20の下側(電子部品100を載置している面側)の部分を第1取付部140といい、上側(電子部品100を載置していない面側)の部分を第2取付部150ということにする。第1取付部140は電子部品100の外周側面101a〜101d(図10参照)全体を囲んで形成されており、電子部品100の頭部109の下面(先端面)は露出し、また第1取付部140の下面は電子部品100の頭部109の下面よりも高い位置に位置している(すなわち薄く形成されている)。第1取付部140の前記電子部品100の金属端子105の真下に位置する部分には、金属端子105の面に達する円形の凹部131が設けられている。各凹部131の底面の一部(一部のみ)には、図7に示すように、金属端子105の先端部分の下面が露出している。一方第2取付部150は第1取付部140の外形形状と同じ外形形状を有し、前記第1取付部140の各凹部131に対向する位置には回路基板20の上面に達する円形の凹部141が設けられている。また第2取付部150の中央のゲート接続箇所は凹部143となっている。第2取付部150の厚みはスペーサ40の厚みと同じ厚みにしている。
【0028】
図3に戻って、スペーサ40は、合成樹脂(この例ではPET樹脂)を板状に形成して構成されており、前記回路基板20の各スイッチ30に対向する位置に上下に貫通するスイッチ収納部41を設け、また前記回路基板20の電子部品取付体130の第2取付部150に対向する位置に上下に貫通する電子部品取付体収納部43を設けて構成されている。スペーサ40の上下面には接着層45,47が設けられている(図5参照)。このスペーサ40の厚みは0.5mm程度であり、スイッチ板30(反転板35)と下記する押圧部70の厚みを合わせた厚みとなっている。またスペーサ40は、上下に接着層45,47を設けたPET板をプレス加工することで形成される。もちろんスペーサ40は成形によって形成してもよいし、スクリーン印刷などによって形成してもよい。
【0029】
キートップ板(銘板でもある)60は、合成樹脂(この例ではPET樹脂)を可撓性が生じる程度まで薄板状に成形してなるキートップ板本体61の下面に押圧部材71(図5参照)を貼り付けることで押圧部70を形成して構成されている。キートップ板本体61は、前記回路基板20の各スイッチ30に対向する位置に上方向に突出する平板状のキートップ部63を設けている。このキートップ板本体61のキートップ部63以外の部分の厚みは0.16mm程度である。シートスイッチ1は電子機器の操作部に取り付けられて電子機器の表面に露出する部分なので、キートップ板本体61の上面には所望の色彩や模様などの装飾(塗装など)が施されている。
【0030】
押圧部材71は図5に示すように、厚み0.18mm程度の可撓性を有する合成樹脂フイルム(この例ではPETフイルム)を円板状に形成して構成されている。押圧部材71は接着層79によってキートップ板本体61(そのキートップ部63)の下面に貼り付けられることでキートップ板60の押圧部70になる。押圧部70は前記回路基板20の各スイッチ30中央に対向する位置に設けられている。
【0031】
次に上記電子部品100の回路基板20への取付方法を説明する。図11,図12は電子部品100の回路基板20への取付方法説明図であり、図11は回路基板20に電子部品100を載置する状態を示す斜視図、図12は電子部品100と回路基板20とを第1,第2金型200,300内に収納した状態の断面図(図7に相当する部分の断面図)である。まず図11において、回路基板20の下面に電子部品100を載置する。このとき電子部品100の各金属端子105を回路基板20の各導電パターン25上に接合する。次に図12に示すように、電子部品100および回路基板20の上下を金型(第1,第2金型)200,300によって挟持し、第1,第2金型200,300内に電子部品100および回路基板20を収納する。これによって第1,第2金型200,300内には、電子部品100の外周側面101a〜101dを囲むキャビティーC1と、回路基板20の電子部品100を載置した反対面側のキャビティーC2とが形成される。キャビティーC1は前記第1取付部140を成形するためのものであり、キャビティーC2は第2取付部150を成形するためのものである。
【0032】
第1金型200のキャビティーC1の内底面のほぼ中央には、電子部品100の本体ケース101の頭部109をがたつきなくぴったり挿入してガイドする位置決め収納部201が設けられている。また第1金型200のキャビティーC1の内底面の前記位置決め収納部201を囲む位置には、キャビティーC1内に向かって4本(図12では2本のみ示す)の当接ピン230を突出するように設けている。各当接ピン230はその先端面の一部のみが、回路基板20の導電パターン25と接合している4本の各金属端子105の先端部分に当接している。一方第2金型300のキャビティーC2の内底面のほぼ中央には真下方向に向けて1つの樹脂注入口(ゲート)301が設けられている。また第2金型300のキャビティーC2の内底面の前記各当接ピン230に対向する位置には、キャビティーC2内に向かって4本(図12では2本のみ示す)の当接ピン330が突出している。各当接ピン330はその先端面が回路基板20に当接し、前記当接ピン230と協働して回路基板20の導電パターン25と金属端子105との接合部分をその表裏から挟持・固定する。また各当接ピン230によって前記4つの凹部131(図9参照)が形成され、各当接ピン330によって前記4つの凹部141(図8参照)が形成される。
【0033】
そして樹脂注入口301からキャビティーC2,C1内に溶融成形樹脂を充填し、その後冷却した後に第1,第2金型200,300を取り外せば、電子部品取付体130が成形され、この電子部品取付体130によって電子部品100が回路基板20に取り付けられる。
【0034】
ところでキャビティーC2,C1内への溶融成形樹脂の充填時には、回路基板20および電子部品100に溶融成形樹脂の流体圧力が加わり、回路基板20に対する電子部品100の位置がずれたり、導電パターン25と金属端子105との接合面間に隙間が生じたりしようとする。しかしながら電子部品100はその頭部109がぴったり位置決め収納部201に収納ガイドされることによってその位置が位置決めされており、また回路基板20は第1,第2金型200,300によって挟持されることで固定されているので、たとえ電子部品100が小型化しても(本体ケース101のみでなく金属端子105が小さくなって金属端子105を用いて位置決めができなくても)、電子部品100の金型200,300内におけるガイド(位置決め)を確実に行うことができる。したがってキャビティーC2,C1内に溶融成形樹脂を充填する際に電子部品100に位置ずれが生じることはなく、確実に回路基板20の導電パターン25に電子部品100の金属端子105を接続したまま電子部品取付体130を成形することができる。また各導電パターン25と金属端子105はその両側から当接ピン230,330によって挟持されているので、溶融樹脂の流体圧力によって回路基板20の電子部品100を載置していない面側から強い流体圧力が加わっても、金属端子105およびこれに接合している回路基板20が溶融成形樹脂の圧力などによって撓むなどして位置ずれを起こすことがなくなり、確実に導電パターン25と金属端子105との接合面間の接続状態を維持でき、確実に回路基板20の導電パターン25に電子部品100の金属端子105を接続したまま電子部品取付体130を成形することができる。
【0035】
同時に電子部品100のつば部103がキャビティーC1内に配置されることでこのつば部103が電子部品取付体130の内部に埋設される(図6参照)。これによってつば部103が電子部品取付体130内に係止されることで、電子部品100は電子部品取付体130から外れなくなり、この点からもたとえ電子部品100が小型化しても、電子部品100を確実に回路基板20上に機械的・電気的に取り付けることができる。
【0036】
またこの実施形態によれば、つば部103の外周先端辺103aから金属端子105が突出しており、またこの外周先端辺103aにゲート跡107があって微小なバリが突出している場合もある(ゲート跡107以外の外周先端辺103a中にもバリのある場合がある)が、これら金属端子105やつば部103の外周先端辺103aの部分は電子部品100の金型200,300に対する位置決めには使用されない。このため金属端子105やゲート跡107の部分がキャビティーC1内面に当接するなどして金型200,300内で電子部品100が位置ずれすることはなく、確実に回路基板20の導電パターン25に電子部品100の金属端子105を接続したまま電子部品取付体130を成形することができる。
【0037】
一方この実施形態の場合、当接ピン230の先端面の一部のみを金属端子105の先端部分に当接しているので、電子部品100が非常に小型化してその金属端子105全体を当接ピン230に当接できない場合でも、金属端子105およびこれに接合している回路基板20の溶融成形樹脂充填時の挟持を確実に行うことができる。また当接ピン230のほぼ全面を金属端子105の上面に当接すると、電子部品取付体130の成形後に金属端子105の上面の露出面の面積が大きくなり、その分金属端子105を押えておく押え強度が弱くなり、金属端子105と導電パターン25との接続が阻害される恐れがあるが、これを防止することもできる。
【0038】
次に上記各構成部品を用いて前記シートスイッチ1を製造する方法を説明する。シートスイッチ1の製造は、図3に示すように、キートップ板60の下面に、上下面に接着層45,47(図5〜図7参照)を設けたスペーサ40の上面を接着し、次にスペーサ40の下面に回路基板20の上面を接着し、次に回路基板20の下面に設けた接着層37(図5〜図7参照)の下面に剥離シート10を貼り付けることによって行われる。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0039】
このとき図5に示すように各スイッチ30(反転板35)と各スイッチ30の上面中央に当接する押圧部70はスペーサ40の各スイッチ収納部41内に位置している。同時に図6,図7に示すように電子部品取付体130(第2取付部150の部分)はスペーサ40の電子部品取付体収納部43内に位置している。
【0040】
このシートスイッチ1は、剥離シート10を剥がして露出させた接着層37を電子機器などの表面に貼り付けることで電子機器などに取り付けられる。そして図5に示すキートップ板60のキートップ部63上面を押圧すれば、キートップ部63とともに押圧部70が下降し、押圧部70によって押圧されたスイッチ30の反転板35が反転し、スイッチがオンする。前記キートップ部63への押圧を解除すれば、反転板35の弾性復帰力によって反転板35は元の形状に自動復帰し、スイッチ30がオフすると同時にキートップ部63も元の位置に上昇する。
【0041】
以上のようにシートスイッチ1は、電子部品100を取り付けるとともに所定位置にスイッチ30を形成してなる回路基板20と、スイッチ30を収納するスイッチ収納部41と電子部品取付体130(第2取付部150)を収納する電子部品取付体収納部43とを有し、回路基板20のスイッチ30を形成した側の面上に積層されるスペーサ40と、スイッチ収納部41と電子部品取付体収納部43とを覆うようにスペーサ40の面上に積層されるキートップ板60とを有して構成されており、これによって電子部品100を取り付けた回路基板20を用いて、容易に薄型のシートスイッチ1を構成することができる。
【0042】
また上記シートスイッチ1においては、電子部品100は回路基板20のスペーサ40を積層する反対面側(すなわちスイッチ30を載置する反対面側)に設置され、これによって回路基板20の電子部品100を載置した反対面側の電子部品取付体130である第2取付部150をスペーサ40の電子部品取付体収納部43内に配置している。すなわちスペーサ40やキートップ板60を積層する側の回路基板20上には電子部品100の裏面側の第2取付部150が配置されるが、この第2取付部150の厚み(高さ)寸法は電子部品100の厚み(高さ)寸法に比べて容易に薄く(低く)することができる。従って回路基板20の上面側(キートップ板60側。すなわちこのシートスイッチ1を取り付ける図示しない電子機器の表面側)の厚み寸法を容易に薄く構成することができる。なお回路基板20の下面側(図示しない電子機器側)においては電子部品100および第1取付部140がシートスイッチ1の他の部分よりも少し下方向に突出することになるが(図6,図7参照)、突出するのは電子機器側である。このためシートスイッチ1の下面全体ではなく、電子部品100および第1取付部140を取り付けた部分のみを避けるように電子機器表面(シートスイッチ接着面)に凹部を設けるだけでよいので、電子機器の薄型化の大きな障害にはならない。
【0043】
ところで電子部品100の形状・構造は種々の変更が可能であり、たとえば図13に示すような構造の電子部品100−2であってもよい。この電子部品100−2もホール素子であり、樹脂製で略矩形状の本体ケース101−2の外周側面101−2a〜dの中央部分から外方に向けてつば部103−2を突出して一体に設け、また本体ケース101−2の外周側面101−2a〜dの内の左右の外周側面101−2a,cのつば部103−2の外周先端辺103−2aからそれぞれ1つと2つの金属端子105−2を突出して構成されている。各金属端子105−2はつば部103−2から突出した部分においてほぼ直角に下方向に折り曲げられ、さらに本体ケース101−2の下面とほぼ同一面上で本体ケース101−2から離れる方向にほぼ直角に折り曲げられている。つまり各金属端子105−2の下面は本体ケース101−2の下面とほぼ同一面(載置面)となっている。この電子部品100−2においても、つば部103−2の外周先端辺103−2aの所定位置に本体ケース101−2の成形の際に形成されるゲート跡107−2がある。電子部品100−2の上部は頭部109−2となっており、この電子部品100−2を金型内にセットした際はこの頭部109−2が前記実施形態と同様に第1金型に設けた位置決め収納部に挿入されガイドされ、上記実施形態と同じ方法によって電子部品100−2は図示しない回路基板に取り付けられる。
【0044】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。たとえば、上記実施形態では電子部品100,100−2としてホール素子を用いたが、電子部品100,100−2はホール素子以外の各種磁気センサーでもよく、また磁気センサー以外の各種電子部品でもよい。上記実施形態では回路基板20としてフレキシブル回路基板を用いたが、硬質基板などの他の各種回路基板を用いてもよい。また上記実施形態では金型として2つの第1,第2金型200,300を用いたが、他の各種構造の金型を用いてもよい。キャビティーC1,C2の形状も種々の変更が可能であることはいうまでもない。また上記実施形態ではキートップ板60にキートップ部63などを設けて凹凸状に形成しているが、すべてを平面状としてもよい。その場合、キートップ板60を可撓性を有する合成樹脂フイルムで構成してもよい。また金属端子105はつば部103の外周先端辺103a〜dから突出させる必要はなく、外周側面101a〜dのつば部103とは別の位置から突出させてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 シートスイッチ
10 剥離シート
20 回路基板
25 導電パターン
30 スイッチ
40 スペーサ
41 スイッチ収納部
43 電子部品取付体収納部
60 キートップ板
100 電子部品
101 本体ケース
101a〜d 外周側面
103 つば部
103a 外周先端辺
105 金属端子
107 ゲート跡
109 頭部
130 電子部品取付体
200 第1金型
201 位置決め収納部
230 当接ピン
300 第2金型
330 当接ピン
C1,C2 キャビティー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の本体ケースの外周側面に本体ケースと一体のつば部を設けるとともに、本体ケースの外周側面から金属端子を突出してなる電子部品と、
前記電子部品の金属端子を接合する導電パターンを設けた回路基板と、
金型とを用意し、
前記回路基板の導電パターンと電子部品の金属端子とを接合した状態で前記電子部品と回路基板を金型内に収納し、その際金型内の電子部品の外周側面を囲む部分と、回路基板の電子部品を載置した反対面側とにキャビティーを形成するとともに、このキャビティー内に前記電子部品のつば部を配置し、同時に前記本体ケースの頭部を金型に設けた位置決め収納部に収納ガイドして前記電子部品を位置決めし、
キャビティー内に溶融成形樹脂を充填して冷却した後に金型を取り外すことによって形成される電子部品取付体によって電子部品を回路基板に取り付けることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品の回路基板への取付方法において、
前記金属端子は前記つば部の外周先端辺から突出しており、且つこのつば部の外周先端辺には本体ケース成形の際に形成されるゲート跡があることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品の回路基板への取付方法において、
前記回路基板の導電パターンと電子部品の金属端子との接合部分は、前記金型内に突出する当接ピンにてその表裏から挟持され、
且つ前記挟持の際は前記当接ピンの先端面の一部のみを、前記導電パターンと接合している金属端子の先端部分に当接させることを特徴とする電子部品の回路基板への取付方法。
【請求項4】
請求項1または2または3に記載の方法によって電子部品を取り付けるとともに所定位置にスイッチを形成してなる回路基板と、
前記スイッチを収納するスイッチ収納部と前記電子部品取付体を収納する電子部品取付体収納部とを有し、前記回路基板のスイッチを形成した側の面上に積層されるスペーサと、
前記スイッチ収納部と前記電子部品取付体収納部とを覆うように前記スペーサの面上に積層されるキートップ板と、を有してなるシートスイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のシートスイッチにおいて、
前記電子部品は前記回路基板の前記スペーサを積層する反対面側に設置されていることを特徴とするシートスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−278055(P2010−278055A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126465(P2009−126465)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】