説明

電子部品の樹脂封止用の成形型及び樹脂封止方法

【課題】 流動性樹脂の樹脂圧に起因する基板の変形によって発生する、チップ装着面に装着されたチップの割れ、チップ装着面からのチップのはく離等の問題を抑制する。
【解決手段】 下型17と上型12とからなる電子部品の樹脂封止用の成形型において、下型17の型面に載置された基板1が有する複数の外部電極9に平面的に重ならないようにしてその型面に凸部18を設ける。凸部18は複数の外部電極9の厚さと実質的に等しい厚さを有する。これにより、下型17と上型12とが型締めした状態において流動性樹脂14の樹脂圧が基板1に加えられることに起因して発生する、基板1がチップ非装着面8の側に凸になるような変形を、凸部18が基板1を支えることによって防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等(以下、「チップ」という)が装着された基板を成形型の型面に固定し、該チップを樹脂封止する際に使用される、電子部品の樹脂封止用の成形型及び樹脂封止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップを樹脂封止して電子部品を製造することについて、図1を参照して説明する。図1(1)は電子部品を製造する工程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図1(2)はその電子部品を製造する従来の工程において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図1(1)のA−A線に沿って示す部分断面図である。なお、本出願書類に含まれるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。
【0003】
従来、基板に装着したメモリ、CPU等のチップを樹脂封止して電子部品を製造するには、次のようにしている。まず、プリント基板からなる基板1のチップ装着面2に設けられたダイボンディング用のパターン3に、1個又は複数個のチップ4を装着する。次に、相対向する1対の型からなる樹脂封止用の成形型(後述)を使用して、チップ4を樹脂封止する。ここで、基板1の基材(ベース材)としては、ガラスエポキシ等の樹脂ベース材に加えて、アルミナ等のセラミックベース材も使用されている。
【0004】
図1に示されているように、チップ4のボンディングパッド5と基板1のボンディングパッド6とは、ワイヤ7によって電気的に接続されている。基板1におけるチップ装着面とは反対側の面、言い換えればチップ非装着面8には、パッド、ランド等と呼ばれる複数の外部電極9が設けられている。外部電極9は、電子部品とその電子部品の外部に存在する機器との間を電気的に接続する目的で設けられている。外部電極9は、所定の厚さ(例えば、17μm厚、35μm厚、70μm厚等)の銅箔によって構成されている。更に、チップ非装着面8の全体にわたって、外部電極9の所定の領域を開口させるようにして、保護膜であるソルダーレジスト10が形成されている。
【0005】
外部電極9がチップ非装着面8に配置されている態様は、電子部品の仕様に対応して様々である。例えば、図1(1)に示されているように、外部電極9がチップ非装着面8の周辺付近に配置されている場合がある。また、外部電極9がチップ非装着面8に一様に配置されている場合がある。また、外部電極9がチップ非装着面8に不規則に配置されている場合、言い換えれば外部電極9の配置密度に大小があるようにして外部電極9が配置されている場合がある。更に、外部電極9同士を接続するためのパターン(図示なし)、外部電極9と基板1のボンディングパッド6とを接続するためのパターン(図示なし)等が設けられている場合もある。なお、最終的には、外部電極9に球状又は柱状の突起状電極(バンプ)が形成される。
【0006】
図1(2)に示されているように、チップ4を樹脂封止するための樹脂成形方式としては、トランスファ成形が使用される。そして、樹脂封止用の成形型として、相対向する下型11と上型12とが使用される。下型11と上型12とは、併せて樹脂封止用の成形型を構成する。下型11には、基板1が固定される窪み13が設けられている。上型12には、チップ4とワイヤ7とを完全に含むようにして、樹脂封止用の流動性樹脂14が充填されるべき空間であるキャビティ15が設けられている。また、上型12には、キャビティ15につながる空間であって流動性樹脂14が流動する流路16が設けられている。また、上型12のキャビティ15と流路16との周辺においては、ヒータ(図示なし)が設けられている。
【0007】
チップ4を樹脂封止する際の工程は以下の通りである。まず、下型11の窪み13に、チップ4が装着された基板1を配置する。基板1は、吸着等の周知の手段によって、窪み13において固定される。次に、下型11と上型12とを型締めする。次に、流路16を経由して、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂からなる流動性樹脂14をキャビティ15に注入して充填する。その後に、ヒータ(図示なし)を使用して流動性樹脂14を加熱することによって、流動性樹脂14を硬化させて硬化樹脂(図示なし)を形成する。これにより、キャビティ15において硬化樹脂が形成され、その硬化樹脂によってチップ4を樹脂封止したことになる。次に、下型11と上型12とを型開きした後に、基板1とチップ4と硬化樹脂とを含む成形品、すなわち封止済基板を取り出す(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−214430号(第9頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、電子部品に対する薄型化の要請がいっそう強まってきたことに伴い、基板1の薄型化が進んできた。これにより、キャビティ16に流動性樹脂14を充填する際に、流動性樹脂14の樹脂圧によって基板1に下向きの力が加わり、基板1において下向きに凸になるような変形が発生する場合が生じてきた。特に、外部電極9がチップ非装着面8の周辺付近に配置されている場合には、基板1の変形は大きくなる。これにより、チップ装着面2に装着されたチップ4が割れること、チップ装着面2からチップ4がはく離すること等の問題が発生している。また、基板1のベース材としてセラミックベース材を使用する場合には、基板1自体の破損を生じるおそれもある。
【0010】
本発明の課題は、流動性樹脂の樹脂圧に起因する基板の変形によって、チップ装着面に装着されたチップの割れ、チップ装着面からのチップのはく離等の問題が発生することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、「課題を解決するための手段」と「発明の効果」との説明におけるかっこ内の符号は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの符号等は、「図面に示された構成要素に限定して、説明における用語の意義を解釈すること」を意味するものではない。
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明に係る電子部品の樹脂封止用の成形型は、チップ(4)が装着されたチップ装着面(2)と、該チップ装着面(2)の反対面からなるチップ非装着面(8)と、該チップ非装着面(8)に設けられた複数の外部電極(9)とを有する基板(1)が載置される第1の型(17、20)と、該第1の型(17、20)に相対向する第2の型(12、19)と、チップ(4)が収容される空間からなり第2の型(12、19)に設けられるキャビティ(15)とを備える電子部品の樹脂封止用の成形型であって、第1の型(17、20)の型面において複数の外部電極(9)に平面的に重ならないようにして設けられた凸部(18)を備えるとともに、凸部(18)は、複数の外部電極(9)の厚さと実質的に等しい厚さを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止用の成形型は、上述の成形型において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面における凸部(18)以外の部分が所定の量だけ機械加工によって除去されることによって形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止用の成形型は、上述の成形型において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面における凸部(18)以外の部分が所定の量だけエッチングによって除去されることによって形成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止用の成形型は、上述の成形型において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面においてめっきによって形成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止方法は、チップ(4)が装着されたチップ装着面(2)と、該チップ装着面(2)の反対面からなるチップ非装着面(8)と、該チップ非装着面(8)に設けられた複数の外部電極(9)とを有する基板(1)が載置される第1の型(17、20)と、該第1の型(17、20)に相対向する第2の型(12、19)と、チップ(4)が収容される空間からなり第2の型(12、19)に設けられるキャビティ(15)とを備える電子部品の樹脂封止用の成形型を使用する電子部品の樹脂封止方法であって、第1の型(17、20)の型面に基板(1)を載置する工程と、流動性樹脂(14、21)によってキャビティ(15)を満たされた状態にする工程と、第1の型(17、20)と第2の型(12、19)とを型締めする工程と、キャビティ(15)に満たされた流動性樹脂(14、21)を硬化させることによって硬化樹脂を形成する工程と、第1の型(17、20)と第2の型(12、19)とを型開きする工程と、基板(1)とチップ(4)と硬化樹脂とを含む成形品を取り出す工程とを備えるとともに、型締めする工程では、第1の型(17、20)の型面において複数の外部電極(9)に平面的に重ならないようにして設けられた凸部(18)を使用して基板(1)を支え、凸部(18)は複数の外部電極(9)の厚さと実質的に等しい厚さを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止方法は、上述の樹脂封止方法において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面における凸部(18)以外の部分が所定の量だけ機械加工によって除去されることによって形成されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止方法は、上述の樹脂封止方法において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面における凸部(18)以外の部分が所定の量だけエッチングによって除去されることによって形成されたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止方法は、上述の樹脂封止方法において、凸部(18)は第1の型(17、20)の型面においてめっきによって形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流動性樹脂(14、21)の樹脂圧が基板(1)に加えられることに起因して発生する、基板(1)がチップ非装着面(8)側に凸になるような変形を、凸部(18)が基板(1)を支えることによって防止することができる。これにより、チップ装着面(2)に装着されたチップ(4)の割れ、チップ装着面(2)からのチップ(4)のはく離等の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図1(2)はその電子部品を製造する従来の工程において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図1(1)のA−A線に沿って示す部分断面図である。
【図2】図2(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図2(2)は実施例1に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図2(1)のB−B線に沿って示す部分断面図である。
【図3】図3(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図3(2)は実施例1に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図3(1)のC−C線に沿って示す部分断面図である。
【図4】図4(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図4(2)は実施例2に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図4(1)のD−D線に沿って示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明に係る電子部品の樹脂封止用の成形型及び樹脂封止方法の実施例1を、図2及び図3を参照して説明する。図2(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図2(2)は本実施例に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図2(1)のB−B線に沿って示す部分断面図である。図3(1)は電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図、図3(2)は本実施例に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が下型に固定され成形型が型締めされた状態を図3(1)のC−C線に沿って示す部分断面図である。
【0024】
図2及び図3に示されているように、本実施例では、電子部品の樹脂封止用の成形型として下型17と上型12とを使用する。下型17の窪み13における型面には、その型面の中央部におけるテーブル状の凸部18と、その型面の周辺部における棚状の凸部18とが、それぞれ設けられている。それらの凸部18は、基板1が窪み13に配置された状態においてチップ非装着面8における外部電極9が配置されていない部分に、平面視した場合にほぼ対応して設けられている。また、凸部18は、基板1の外部電極9の厚さにほぼ等しい高さ(実質的に等しい高さ)を有する。図2及び図3においては、棚状の凸部18が窪み13の両端に示されており、テーブル状の凸部18が窪み13の両端以外の部分に示されている。凸部18は、例えば、振動切削加工を含む切削加工等の機械加工によって形成される。
【0025】
本実施例に係る電子部品の樹脂封止用の成形型によれば、キャビティ15に流動性樹脂14が充填される際に、流動性樹脂14の樹脂圧によって基板1に加えられる下向きの力が、基板1を介して凸部18に加えられる。このことにより、下向きの力を受けた基板1を凸部18が支える。したがって、流動性樹脂14の樹脂圧が基板1に加えられることに起因して発生する、基板1が下向きに凸になるような変形が、凸部18によって防止される。
【0026】
本実施例に係る電子部品の樹脂封止方法によれば、キャビティ15に流動性樹脂14を注入する工程において、下向きの力を受けた基板1を凸部18によって支える。したがって、流動性樹脂14の樹脂圧が基板1に加えられることに起因して発生する、基板1が下向きに凸になるような変形を、凸部18によって防止することができる。そして、基板1が下向きに凸になるような変形を防止した状態のもとで、流動性樹脂14を硬化させて硬化樹脂(図示なし)を形成することにより、その硬化樹脂によってチップ4を樹脂封止することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施例によれば、流動性樹脂14の樹脂圧が基板1に加えられることに起因する基板1が下向きに凸になるような変形を、凸部18によって防止することができる。これにより、チップ装着面2に装着されたチップ4の割れ、チップ装着面2からのチップ4のはく離等の問題を防止することができる。
【0028】
なお、本実施例では、チップ4を樹脂封止するための樹脂成形方式、言い換えれば流動性樹脂14をキャビティ15に注入する方式として、トランスファ成形を使用した。これに限らず、流動性樹脂14をキャビティ15に注入する方式として、射出成形を使用することもできる。
【実施例2】
【0029】
以下、本発明の実施例2を、図4を参照して説明する。図4(1)は、本発明の対象である電子部品を製造する過程におけるチップが装着された基板を示す平面図である。図4(2)は、本実施例に係る電子部品の樹脂封止方法において基板が上型に固定され成形型が型締めされた状態を図4(1)のD−D線に沿って示す部分断面図である。本実施例においては、チップ4を樹脂封止するための樹脂成形方式として、圧縮成形を使用する。
【0030】
図4(2)に示されているように、本実施例では、電子部品の樹脂封止用の成形型として下型19と上型20とを使用する。基板1は、吸着等の周知の手段によって、上型20の型面に固定される。本実施例では、上型20の型面において、その型面の中央部におけるテーブル状の凸部18と、その型面の周辺部における棚状の凸部18とが、いずれも図の下向きに突出するようにして形成されている。また、下型19にキャビティ15が設けられ、そのキャビティ15が流動性樹脂21によって満たされた状態になっている。
【0031】
本実施例に係る電子部品の樹脂封止方法は、次の通りである。まず、上型20の型面に基板1を位置合わせした後に固定する。
【0032】
次に、キャビティ15を流動性樹脂21によって満たされた状態にする。ここで、次の方法を使用することができる。第1の方法は、固体の樹脂材料をキャビティ15に供給した後に、その樹脂材料を加熱して軟化させ溶融させる方法である。固体の樹脂材料としては、シート状、粉状、顆粒状、錠剤状等の形態を有する材料を使用することができる。第2の方法は、常温で液状の樹脂材料(液状樹脂)を、ディスペンサ等を使用してキャビティ15に供給する方法である。
【0033】
次に、下型19と上型20とを型締めする。このことによって、チップ4とワイヤ7とを流動性樹脂21に浸漬させた状態で、下型19と上型20とを型締めすることになる。したがって、流動性樹脂21による上向きの樹脂圧が基板1に加えられる。その後に、流動性樹脂21を引き続き加熱することによって、流動性樹脂21を硬化させる。
【0034】
次に、下型19と上型20とを型開きする。その後に、基板1とチップ4と硬化樹脂(図示なし)とを含む成形品、すなわち封止済基板を取り出す。
【0035】
本実施例に係る電子部品の樹脂封止用の成形型及び樹脂封止方法によれば、チップ4とワイヤ7とを流動性樹脂21に浸漬させた状態で下型19と上型20とを型締めする工程において、樹脂圧による上向きの力を受けた基板1を凸部18によって支える。したがって、樹脂圧が基板1に加えられることに起因して発生する、基板1が上向きに凸になるような変形を、凸部18によって防止することができる。これにより、チップ装着面2に装着されたチップ4の割れ、チップ装着面2からのチップ4のはく離等の問題を防止することができる。
【0036】
本実施例の説明では、圧縮成形に使用される金型について、図2(2)に示されたトランスファ成形に使用される金型と同様に、中央部における凸部18を説明した。圧縮成形に使用される金型が、言い換えれば上型20が、外部電極9の間に位置する凸部18を有していることは、図3(2)に示されている場合と同様である。
【0037】
なお、ここまでの各実施例では、図2(1)等に示されているように、外部電極9がチップ非装着面8の周辺付近に配置されている場合について説明した。これに限らず、外部電極9がチップ非装着面8に一様に配置されている場合、及び、外部電極9がチップ非装着面8に不規則に配置されている場合においても、本発明を適用することができる。加えて、外部電極9同士を接続するためのパターンや、外部電極9と基板1のボンディングパッド6とを接続するためのパターン等がチップ非装着面8に設けられている場合においても、本発明を適用することができる。
【0038】
また、切削加工等の機械加工を使用して凸部18が形成されることとした。機械加工に限らず、次のような周知の方法を使用して凸部18が形成されることとしてもよい。第1の方法は、図1(2)に示された状態の下型11から、図中の窪み13の型面における所定の部分を必要な厚さだけ除去することによって、除去されなかった部分を凸部18として形成する方法である。所定の部分を除去する方法としては、エッチングを使用することができる。この方法においては、適当なマスク用部材を使用して、除去される部分(凸部18に相当する部分以外の部分)を露出させる。そして、その露出させた部分において、エッチングを使用して適当な量(深さ)だけ、下型11を除去する。
【0039】
第2の方法は、図1(2)に示された状態の下型11から、必要な部分にめっきを施すことによって凸部18を形成する方法である。この方法においては、適当なマスク用部材を使用して、必要な部分、すなわち凸部18に相当する部分を露出させる。そして、その露出した部分において、周知の方法によってめっきを使用した電鋳加工を施すことによって、凸部18を形成する。
【0040】
なお、第1の方法と第2の方法とのいずれにおいても使用されるマスク用部材として、光反応性のレジストフィルム、レジストインク等を使用することができる。そして、フォトリソグラフィ技術によって、光反応性のレジストフィルム等をパターニングする。
【0041】
上述した第1の方法及び第2の方法によれば、フォトリソグラフィ技術によって、光反応性のレジストフィルム等をパターニングする。このことにより、型面に対して一括して作用して、型面から所定の部分を除去すること、及び、型面の露出した部分において電鋳加工を施すことができる。したがって、機械加工に比べて短時間に凸部18を形成することができる。また、機械加工に比べて、複雑な形状の凸部18を容易に形成することができる。
【0042】
また、1枚の基板1に1個のチップ4が装着された例を説明した。これに限らず、1枚の基板1に複数個のチップ4が装着され、それらのチップ4が樹脂封止されて1個の電子部品が製造される場合に本発明を適用することもできる。
【0043】
また、1枚の基板1に複数個の領域を設け、それらの領域に1個又は複数個のチップ4がそれぞれ装着された場合に、本発明を適用することもできる。この場合には、樹脂封止後の1枚の基板1が1個の電子部品に相当する構成を採用してもよい。また、1枚の基板1が個片化されることによって形成された各領域に相当する部分が1個の電子部品にそれぞれ相当する構成を、採用してもよい。更に、1枚の基板1が個片化されることによって形成された複数の領域に相当する部分が1個の電子部品にそれぞれ相当する構成を、採用してもよい。
【0044】
また、チップ4としてメモリ、CPU等の半導体チップを例に挙げて説明した。これに限らず、チップ4として、パワー半導体チップ等の他の種類の半導体チップや、半導体以外のチップ状の素子等を使用することもできる。更に、チップ4として、発光ダイオード(LED)、レーザ・ダイオード等の発光素子を使用することもできる。この場合には、流動性樹脂14として透光性を有する樹脂が使用される。
【0045】
また、チップ4のボンディングパッド5と基板1のボンディングパッド6とを電気的に接続するためには、ワイヤ7によるワイヤボンディングを使用した。これに限らず、上述した接続を、フリップチップボンディングを使用して行ってもよい。
【0046】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 基板
2 チップ装着面
3 ダイボンディング用のパターン
4 チップ
5 チップのボンディングパッド
6 基板のボンディングパッド
7 ワイヤ
8 チップ非装着面
9 外部電極
10 ソルダーレジスト
11、17、19 下型
12、20 上型
13 窪み
14 流動性樹脂
15 キャビティ
16 流路
18 凸部
21 流動性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップが装着されたチップ装着面と、該チップ装着面の反対面からなるチップ非装着面と、該チップ非装着面に設けられた複数の外部電極とを有する基板が載置される第1の型と、該第1の型に相対向する第2の型と、前記チップが収容される空間からなり前記第2の型に設けられるキャビティとを備える電子部品の樹脂封止用の成形型であって、
前記第1の型の型面において前記複数の外部電極に平面的に重ならないようにして設けられた凸部を備えるとともに、
前記凸部は、前記複数の外部電極の厚さと実質的に等しい厚さを有することを特徴とする電子部品の樹脂封止用の成形型。
【請求項2】
請求項1に記載された電子部品の樹脂封止用の成形型において、
前記凸部は前記第1の型の型面における前記凸部以外の部分が所定の量だけ機械加工によって除去されることによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止用の成形型。
【請求項3】
請求項1に記載された電子部品の樹脂封止用の成形型において、
前記凸部は前記第1の型の型面における前記凸部以外の部分が所定の量だけエッチングによって除去されることによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止用の成形型。
【請求項4】
請求項1に記載された電子部品の樹脂封止用の成形型において、
前記凸部は前記第1の型の型面においてめっきによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止用の成形型。
【請求項5】
チップが装着されたチップ装着面と、該チップ装着面の反対面からなるチップ非装着面と、該チップ非装着面に設けられた複数の外部電極とを有する基板が載置される第1の型と、該第1の型に相対向する第2の型と、前記チップが収容される空間からなり前記第2の型に設けられるキャビティとを備える電子部品の樹脂封止用の成形型を使用する電子部品の樹脂封止方法であって、
前記第1の型の型面に前記基板を載置する工程と、
流動性樹脂によって前記キャビティを満たされた状態にする工程と、
前記第1の型と前記第2の型とを型締めする工程と、
前記キャビティに満たされた前記流動性樹脂を硬化させることによって硬化樹脂を形成する工程と、
前記第1の型と前記第2の型とを型開きする工程と、
前記基板と前記チップと前記硬化樹脂とを含む成形品を取り出す工程とを備えるとともに、
前記型締めする工程では、前記第1の型の型面において前記複数の外部電極に平面的に重ならないようにして設けられた凸部を使用して前記基板を支え、
前記凸部は前記複数の外部電極の厚さと実質的に等しい厚さを有することを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項6】
請求項5に記載された電子部品の樹脂封止方法において、
前記凸部は前記第1の型の型面における前記凸部以外の部分が所定の量だけ機械加工によって除去されることによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項7】
請求項5に記載された電子部品の樹脂封止方法において、
前記凸部は前記第1の型の型面における前記凸部以外の部分が所定の量だけエッチングによって除去されることによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項8】
請求項5に記載された電子部品の樹脂封止方法において、
前記凸部は前記第1の型の型面においてめっきによって形成されたことを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−274495(P2010−274495A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128361(P2009−128361)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】