説明

電子部品装置集合体およびその製造方法

【課題】アライメントマークを使用しなくても精度良くダイシングできる電子部品装置集合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】実装基板2上に設置された複数個の電子部品3をエポキシ樹脂、フェノール樹脂、エラストマー、および無機質充填剤よりなるシート状封止材料4で覆い、加熱プレスすることにより封止した電子部品装置集合体であって、電子部品3の周端部上において、封止材料4をその厚み方向に隆起させて25〜200um高さの凸状部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品装置集合体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、コンデンサ等の電子部品を実装基板上に実装した電子部品装置は、一般に、複数個の電子部品を実装基板上に実装した電子部品装置集合体を作製した後に、得られた電子部品装置集合体を、ダイシングにより個々の電子部品装置に分断するという方法により製造されている。
【0003】
従来、上記電子部品装置集合体における電子部品の封止は、液状エポキシ樹脂組成物によるポッティングにより行われ、ついで、実装基板上の封止樹脂がない領域に形成されたアライメントマークにより電子部品装置の位置を認識して、ダイシングしている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−59348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポッティングによる封止では、用いる液状樹脂組成物が流出して実装基板上のアライメントマークを覆い、ダイシングに支障が生じやすかった。このため、実装基板上の電子部品の周囲にダム材等を設置することにより、樹脂組成物の流出を防止することが考えられるが、製造工程が複雑になるために生産効率が低下する。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、アライメントマークを使用しなくても精度良くダイシングできる電子部品装置集合体およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は、実装基板上に設置された複数個の電子部品を封止材料で封止してなる電子部品装置集合体であって、
前記電子部品の周端部上において、前記封止材料がその厚み方向に隆起して凸状部を形成していることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、実装基板上に設置された複数個の電子部品をエポキシ樹脂組成物の硬化体で封止してなる電子部品装置集合体の製造方法であって、
実装基板上に電子部品を設置する工程、
シート状エポキシ樹脂組成物を、前記電子部品を覆うように前記実装基板上に設置する工程、
前記シート状エポキシ樹脂組成物を、温度60〜120℃、圧力100〜2000kPaでプレスすることにより、前記電子部品および実装基板と接着する工程、
前記シート状エポキシ樹脂組成物を、プレスの圧力を解放し、温度100〜200℃で熱硬化することにより、前記電子部品の周端部上において前記シート状エポキシ樹脂組成物の硬化体がその厚み方向に隆起して凸状部を形成するように前記電子部品を封止する工程、
を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品装置集合体は、電子部品の周端部上において、封止材料がその厚み方向に隆起して凸状部を形成しているため、その凸状部の位置を基準にしてダイシングすることができる。したがって、従来のようにアライメントマークを使用しなくても精度良くダイシングすることができる。
【0010】
また、本発明の電子部品装置集合体の製造方法は、上記の電子部品装置集合体を簡便かつ歩留まり良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子部品装置集合体の厚み方向における断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0013】
本発明の電子部品装置集合体は、実装基板上に設置された複数個の電子部品を封止材料で封止してなり、かつ前記電子部品の周端部上において、前記封止材料がその厚み方向に隆起して凸状部を形成している。
【0014】
図1に本発明の電子部品装置集合体の厚み方向における断面図の一例を示す。電子部品1に設けられた接続用電極3と実装基板2に設けられた接続用電極(図示せず)が接続された状態で、実装基板2上に複数個の電子部品1が設置されている。この時、電子部品1は、その面積や厚み、機能が異なっていてもよい。また、電子部品1と実装基板2との接続方式については特に限定されるものではなく、接続用電極3として、例えば、金属バンプや半田電極等を用いることができる。そして、実装基板2上に搭載された電子部品1を覆うように、封止材料からなる封止樹脂層4が形成されて電子部品1が封止されており、かつ封止樹脂層4は、電子部品1の周端部上でその厚み方向に隆起して凸状部を形成している。このとき、凸状部の高さ5は25〜200μmであることが好ましい。25μm未満では、ダイシング工程において電子部品の視認性が低下する傾向がみられ、200μmを超えると、ダイシング後、電子部品装置のピックアップや搬送にトラブルが起こりやすくなる。なお、凸状部の高さは、封止材料の組成、電子部品1の接着時または封止時の温度および圧力等を適宜変化させることにより、調整することができる。
【0015】
上記封止材料としては、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物およびシリコーン樹脂組成物等、封止材料として従来用いられるものが適用可能であるが、低コストで信頼性の高い封止樹脂層が得られるという観点から、エポキシ樹脂組成物が好ましく用いられる。
【0016】
上記エポキシ樹脂組成物としては、下記A〜D成分を含み、かつC成分がエポキシ樹脂組成物全体の5〜40重量%であることが好ましい。
A:エポキシ樹脂
B:フェノール樹脂
C:エラストマー
D:無機質充填剤
エポキシ樹脂(A成分)としては、特に限定されるものではない。例えば、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等の各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。エポキシ樹脂の反応性およびエポキシ樹脂組成物の硬化体の靭性を確保する観点からは、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃の常温で固形のものが好ましく、中でも、信頼性の観点から、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。また、低応力性の観点から、アセタール基やポリオキシアルキレン基等の柔軟性骨格を有する変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく、アセタール基を有する変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、液体状で取り扱い性が良いことから、特に好適に用いることができる。
【0017】
エポキシ樹脂(A成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して3〜20重量%の範囲に設定することが好ましい。
【0018】
フェノール樹脂(B成分)は、エポキシ樹脂(A成分)との間で硬化反応を生起するものであれば特に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、レゾール樹脂等が用いられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。エポキシ樹脂(A成分)との反応性の観点から、水酸基当量が70〜250、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましく、中でも硬化反応性が高いという観点から、フェノールノボラック樹脂を好適に用いることができる。また、信頼性の観点から、フェノールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂のような低吸湿性のものを好適に用いることができる。
【0019】
そして、エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)の配合割合は、硬化反応性という観点から、エポキシ樹脂(A成分)中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂(B成分)中の水酸基の合計が0.7〜1.5当量となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2当量である。
【0020】
エポキシ樹脂(A成分)およびフェノール樹脂(B成分)とともに用いられるエラストマー(C成分)は、エポキシ樹脂組成物に柔軟性および可撓性を付与するものであり、このような作用を奏するものであれば特にその構造を限定するものではない。例えば、ポリアクリル酸エステル等の各種アクリル系共重合体、スチレンアクリレート系共重合体、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、イソプレンゴム、アクリロニトリルゴム等のゴム質重合体を用いることができる。中でも、エポキシ樹脂(A成分)へ分散させやすく、またエポキシ樹脂(A成分)との反応性も高いために、得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性や強度を向上させることができるという観点から、アクリル系共重合体を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよい。アクリル系共重合体は、例えば、所定の混合比にしたアクリルモノマー混合物を、常法によってラジカル重合することにより合成することができる。ラジカル重合の方法としては、有機溶剤を溶媒に行う溶液重合法や、水中に原料モノマーを分散させながら重合を行う懸濁重合法が用いられる。その際に用いる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイドおよびメチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が用いられる。なお、懸濁重合の場合は、例えばポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのような分散剤を加えることが望ましい。
【0021】
エラストマー(C成分)の含有量は、好ましくはエポキシ樹脂組成物全体の5〜40重量%であり、より好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。エラストマー(C成分)の含有量が5重量%未満では、エポキシ樹脂組成物の柔軟性および可撓性を得るのが困難となるとともに、電子部品の周端部上にある樹脂組成物の硬化体が凸状に形成されにくい傾向がみられ、40重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が高くなるために、電子部品と実装基板の間のギャップに樹脂が充填されにくくなるとともに、エポキシ樹脂組成物の硬化体の強度が不足する傾向がみられ、耐熱性が低下する傾向もみられる。さらには、電子部品の周端部上にある樹脂組成物の硬化体が凸状に形成されるが、凸部の段差が大きくなりすぎるために、ダイシング後の電子部品装置のピックアップや搬送に支障が生じる場合がある。
【0022】
無機質充填剤(D成分)は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種充填剤を用いることができる。例えば、石英ガラス、タルク、シリカ(溶融シリカや結晶性シリカ等)、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等の粉末が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。中でも、エポキシ樹脂組成物の硬化体の熱線膨張係数が低減することにより内部応力を低減し、その結果、封止後の基板の反りを抑制できるという点から、シリカ粉末を用いることが好ましく、シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることがより好ましい。溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末が挙げられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが特に好ましい。中でも、平均粒径が0.1〜30μmの範囲のものを用いることが好ましく、0.3〜15μmの範囲のものを用いることが特に好ましい。なお、平均粒径は、例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することにより導き出すことができる。
【0023】
無機質充填剤(D成分)の含有量は、好ましくはエポキシ樹脂組成物全体の50〜80重量%であり、より好ましくは55〜75重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。すなわち、無機質充填剤(D成分)の含有量が50重量%未満では、エポキシ樹脂組成物の硬化体の線膨張係数が大きくなるために、硬化体の反りが大きくなる傾向がみられる。一方、80重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の柔軟性や流動性が悪くなるために、電子部品や実装基板との接着性が低下する傾向がみられる。
【0024】
なお、本発明において、上記エポキシ樹脂組成物には、上記成分以外にも必要に応じて、硬化促進剤、難燃剤、カーボンブラックをはじめとする顔料等、他の添加剤を適宜配合することができる。
【0025】
本発明の電子部品装置集合体は、以下に示す製造工程によって簡便かつ歩留まり良く得ることができる。
【0026】
まず、実装基板上に電子部品を、実装基板の接続用電極部と電子部品の接続用電極部が接続するように設置する。
【0027】
シート状エポキシ樹脂組成物を、電子部品を覆うように実装基板上に設置する。その際、0.1〜1kPaに減圧すると、ボイドが生じにくくなるので好ましい。
【0028】
ついで、シート状エポキシ樹脂組成物を、温度60〜120℃、圧力100〜2000kPaでプレスすることにより、電子部品および実装基板と接着する。より好ましい温度は70〜110℃であり、さらに好ましくは80〜100℃である。より好ましい圧力は100〜1000kPa、さらに好ましくは100〜500kPaである。温度が60℃未満では、シート状エポキシ樹脂組成物の実装基板および電子部品に対する密着性が不十分となる場合があり、120℃を超えると、溶融したシート状エポキシ樹脂組成物が流出することにより、実装基板側面や底面の汚染や電子部品上面の露出が起こる場合があるためである。圧力が100kPa未満では、エポキシ樹脂組成物の十分な密着性、凹凸追従性が得られない場合があり、2000kPaを超えると、エポキシ樹脂組成物が流出することにより、実装基板側面や底面の汚染や電子部品上面の露出が起こる場合があるためである。また、プレス時間は0.5〜5分が好ましい。プレス時間が0.5分未満であるとエポキシ樹脂組成物の十分な密着性が得られにくく、5分を超えると生産性が低下するためである。プレスの際、電子部品および実装基板の凹凸形状に対するシート状エポキシ樹脂組成物の追従性および密着性を向上させるため、真空条件下で加圧することが好ましい。真空条件としては、真空度が0.06〜0.6kPaであることが好ましい。0.06kPa未満では、真空到達までに時間を要するため生産効率が悪く、0.6kPaを超えると、シート状エポキシ樹脂組成物と実装基板および電子部品との界面に剥離を生じやすくなるためである。
【0029】
最後に、シート状エポキシ樹脂組成物を、プレスの圧力から解放し、温度100〜200℃で熱硬化することにより、電子部品の周端部上において、シート状エポキシ樹脂組成物の硬化体がその厚み方向に隆起して凸状部を有する封止樹脂層を形成し、電子部品装置集合体(図1)を得る。より好ましい熱硬化の温度は130〜190℃であり、さらに好ましくは150〜180℃である。温度が100℃未満ではエポキシ樹脂組成物の熱硬化が進みにくく、200℃を超えた場合は硬化物の熱劣化が起こる可能性があるためである。また、速やかにかつ完全に熱硬化を進行させるため、加熱時間は30〜120分であることが好ましい。また、上記熱硬化は、大気圧下で行うことが可能である。
【0030】
なお、電子部品の周端部上において、シート状エポキシ樹脂組成物が、硬化時にその厚み方向に隆起して凸状部を形成する理由は定かではないが、つぎのように推測している。シート状エポキシ樹脂組成物を、温度60〜120℃、圧力100〜2000kPaでプレスして電子部品および実装基板と接着した際に、電子部品の周端部上において、シート状エポキシ樹脂組成物に応力が発生し、ついで、プレスの圧力を解放し、温度100〜200℃で熱硬化した際に、先に発生した応力が開放されることにより、シート状エポキシ樹脂組成物の硬化体がその厚み方向に隆起して凸状部を形成すると推測している。
【0031】
また、本発明の電子部品装置集合体の製造方法に用いるシート状エポキシ樹脂組成物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0032】
まず、各配合成分を混合することによりエポキシ樹脂組成物を調製するが、各配合成分が均一に分散混合される方法であれば特に限定するものではない。たとえば、各配合成分を有機溶剤等に溶解または分散したワニスを塗工してシート状に形成する。あるいは、各配合成分を直接ニーダー等で混練することにより固形樹脂組成物を調製し、このようにして得られた固形樹脂組成物を押し出してシート状に形成してもよい。簡便に均一な厚みのシートを得ることができるという点から、上記ワニス塗工を用いることが好ましい。
【0033】
より具体的には、上記A〜D成分および必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜混合し、有機溶剤に均一に溶解あるいは分散させ、ワニスを調製する。ついで、上記ワニスをポリエステル等の基材上に塗布し乾燥させることによりシート状エポキシ樹脂組成物を得ることができる。そして必要により、シート状エポキシ樹脂組成物の表面を保護するためにポリエステルフィルム等の剥離シートを貼り合わせてもよい。剥離シートは封止時に剥離する。
【0034】
上記有機溶剤としては、特に限定するものではなく従来公知の各種有機溶剤、例えばメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジエチルケトン、トルエン、酢酸エチル等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよい。また通常、ワニスの固形分濃度が30〜60重量%の範囲となるように有機溶剤を用いることが好ましい。
【0035】
有機溶剤乾燥後のシートの厚みは、特に制限されるものではないが、厚みの均一性と残存溶剤量の観点から、5〜100μmとすることが好ましく、20〜70μmとするのがより好ましい。このようにして得られたシート状エポキシ樹脂組成物は、必要により所望の厚みとなるように積層して使用してもよい。すなわち、シート状エポキシ樹脂組成物は、単層構造にて使用してもよいし、2層以上の多層構造に積層してなる積層体として使用してもよい。
【実施例】
【0036】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0037】
まず、下記に示す各成分を準備した。
〔エポキシ樹脂a〕
変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社、EPICLON EXA−4850−150)
〔エポキシ樹脂b〕
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社、EPPN−501HY)
〔フェノール樹脂〕
ノボラック型フェノール樹脂(荒川化学工業株式会社、P−200)
〔エラストマー〕
アクリル系共重合体(ブチルアクリレート:アクリロニトリル:グリシジルメタクリレート=85:8:7重量%からなる共重合体。重量平均分子量80万)
上記アクリル系共重合体は次のように合成した。ブチルアクリレート、アクリロニトリルおよびグリシジルメタクリレートを重量比率が85:8:7となるように仕込み、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤に用いて、窒素気流下、メチルエチルケトン中にて70℃で5時間および80℃で1時間のラジカル重合を行うことにより、目的とするアクリル系共重合体を得た。
〔無機質充填剤〕
平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ粉末
〔硬化促進剤〕
2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社、2PHZ)
〔シート状エポキシ樹脂組成物の作製〕
表1に示す割合で各成分を分散混合し、これに各成分の合計量と同量のメチルエチルケトンを加えて、塗工用ワニスを調製した。
【0038】
つぎに、上記ワニスを、厚さ38μmのポリエステルフィルム(三菱樹脂株式会社、MRF−38)の剥離処理面上にコンマコーターにて塗工し、乾燥することにより厚みが50μmのシート状エポキシ樹脂組成物を得た。
【0039】
ついで、別途用意したポリエステルフィルムの剥離処理面を、シート状エポキシ樹脂組成物に貼り合わせて巻き取った。その後、ポリエステルフィルムを適宜剥離しながら、ロールラミネーターにより上記シート状エポキシ樹脂組成物を4枚積層することにより、厚さ200μmのシート状エポキシ樹脂組成物を得た。
〔実施例1〜6〕
電子部品として積層セラミックコンデンサ(コンデンサ厚み500μm)を碁盤目状に1万個配列設置した縦150mm、横150mm、厚み300μmのガラス−エポキシ(FR−4)基板を準備し、上記で得られた厚さ200μmのシート状エポキシ樹脂組成物(縦150mm、横150mmにカットしたもの)を基板上の全ての電子部品を覆うように配置した。配置したシート状エポキシ樹脂組成物を、真空下(0.1kPa)、温度80℃、圧力300kPaでプレスすることにより、電子部品および実装基板と接着した。ついで、プレスの圧力を解放し、シート状エポキシ樹脂組成物を熱硬化(150℃、1時間)させて電子部品を封止し、常温まで自然冷却させることにより電子部品装置集合体を得た。
〔実施例7〕
シート状エポキシ樹脂組成物を電子部品および実装基板と接着する際に、大気圧下、温度80℃、圧力300kPaでプレスすること以外は、実施例1と同様にして電子部品装置集合体を得た。
〔実施例8〕
シート状エポキシ樹脂組成物を電子部品および実装基板と接着する際に、真空下(0.1kPa)、温度50℃、圧力300kPaでプレスすること以外は、実施例1と同様にして電子部品装置集合体を得た。
〔実施例9〕
シート状エポキシ樹脂組成物を電子部品および実装基板と接着する際に、真空下(0.1kPa)、温度80℃、圧力80kPaでプレスすること以外は、実施例1と同様にして電子部品装置集合体を得た。
〔凸状部高さ〕
実施例1〜9で得られた電子部品装置集合体における、電子部品の周端部上にあるエポキシ樹脂組成物の硬化体の凸状部高さを触針式表面形状測定器(株式会社アルバック、Dektak 8)により測定した。表1に実施例1〜9の凸状部高さを、接着時の真空度、温度およびプレス圧力とあわせて示した。
〔ダイシング性〕
実施例1〜9で得られた電子部品装置集合体を、ダイサーを用いて電子部品の周端部上にあるエポキシ樹脂組成物の硬化体の凸状部を基準としてダイシングし、個々の電子部品装置に分断した。得られた電子部品装置は、設計における寸法規格に対して寸法誤差が±5%未満であり、ダイシング性が良好であった。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【符号の説明】
【0042】
1 電子部品
2 実装基板
3 電子部品の接続用電極部
4 封止樹脂層
5 凸状部高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板上に設置された複数個の電子部品を封止材料で封止してなる電子部品装置集合体であって、
前記電子部品の周端部上において、前記封止材料がその厚み方向に隆起して凸状部を形成していることを特徴とする、電子部品装置集合体。
【請求項2】
凸状部の高さが25〜200μmであることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品装置集合体。
【請求項3】
封止材料がエポキシ樹脂組成物の硬化体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子部品装置集合体。
【請求項4】
エポキシ樹脂組成物が下記A〜D成分を含み、かつC成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の5〜40重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の電子部品装置集合体。
A:エポキシ樹脂
B:フェノール樹脂
C:エラストマー
D:無機質充填剤
【請求項5】
実装基板上に設置された複数個の電子部品をエポキシ樹脂組成物の硬化体で封止してなる電子部品装置集合体の製造方法であって、
実装基板上に電子部品を設置する工程、
シート状エポキシ樹脂組成物を、前記電子部品を覆うように前記実装基板上に設置する工程、
前記シート状エポキシ樹脂組成物を、温度60〜120℃、圧力100〜2000kPaでプレスすることにより、前記電子部品および実装基板と接着する工程、
前記シート状エポキシ樹脂組成物を、前記プレスの圧力から解放し、温度100〜200℃で熱硬化することにより、前記電子部品の周端部上において前記シート状エポキシ樹脂組成物の硬化体がその厚み方向に隆起して凸状部を形成するように前記電子部品を封止する工程、
を含むことを特徴とする、電子部品装置集合体の製造方法。
【請求項6】
エポキシ樹脂組成物が下記A〜D成分を含み、かつC成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の5〜40重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の電子部品装置集合体の製造方法。
A:エポキシ樹脂
B:フェノール樹脂
C:エラストマー
D:無機質充填剤


【図1】
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【公開番号】特開2011−35313(P2011−35313A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182560(P2009−182560)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】