電極接続構造
【課題】複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を向上することができる電極接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の基材5に形成された第1の電極2に微細な凹部7が形成されるとともに、第2の基材6に形成された第2の電極4に凹部7に嵌合される微細な凸部8が形成されている。そして、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される。また、凹部7と凸部8には、凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された第1、第2の電極2、4が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する移動防止部9が形成されている。
【解決手段】第1の基材5に形成された第1の電極2に微細な凹部7が形成されるとともに、第2の基材6に形成された第2の電極4に凹部7に嵌合される微細な凸部8が形成されている。そして、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される。また、凹部7と凸部8には、凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された第1、第2の電極2、4が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する移動防止部9が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際の電極接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、高機能化の流れの中で、構成部品(例えば、液晶製品における電子部品)内の接続端子の微小化が進んでいる。このため、エレクトロニクス実装分野においては、そのような端子間の接続を容易に行える接着剤として、フィルム状の接着剤が広く使用されている。例えば、銅電極からなる金属電極が形成されたフレキシブル配線板と、ITO電極が形成されたガラス基板等のリジッド配線板の接合や、ICチップ等の電子部品とリジッド配線板の接合に使用されている。
【0003】
この電極接続用の接着剤は、絶縁性の樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた接着剤であり、接続対象の間に挟まれ、加熱、加圧されて、接続対象を接着する。即ち、加熱、加圧により接着剤中の樹脂が流動し、例えば、フレキシブル配線板の表面に形成された銅電極と、リジッド配線板の表面に形成されたITO電極の隙間を封止すると同時に、導電性粒子の一部が対峙する銅電極とITO電極の間に噛み込まれて電気的接続が達成される。
【0004】
また、上記接着剤による電極間の接続では、多数の電極間を接続する場合に、加熱・加圧用の接続装置が複雑になるとともに、当該接続装置の小型化が困難であるとの観点から、接続される電極の一部に、微少凹凸構造を形成し、当該微少凹凸構造の凹部と凸部を嵌め合うことにより、電極間を電気的に接続する電極の接続構造が提案されている。より具体的には、図17に示すように、第1の基材50に形成された第1の電極51と、第2の基材52に形成された第2の電極53を接続する電極接続構造において、第1の電極51の凹部54と、第2の電極53の凸部55を嵌め合うことにより、第1、第2の電極51、53間を電気的に接続する電極接続構造が開示されている。このような構成により、多数の電極間を容易に接続することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−222276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の電極接続構造においては、図17に示す、第1、第2の電極51、53が接続された配線板接合体を、例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合、第1、第2の電極51、53の長手方向Xに引張応力が加わると、図18に示すように、第1、第2の電極51、53が、当該長手方向Xに移動してしまう。そうすると、第1、第2の電極51、53間の接続状態が解除されてしまい、第1、第2の電極51、53間の導電接続を得ることができないという問題があった。また、第1、第2の電極51、53間の接続状態の解除が発生しない場合であっても、第1、第2の電極51、53の長手方向Xにおける移動により、第1、第2の電極51、53間の接触面積が減少するため、第1、第2の電極51、53間の接続抵抗が上昇するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を向上することができる電極接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、第1の基材に形成された第1の電極と、第2の基材に形成された第2の電極とを電気的に接続する電極接続構造において、第1の電極に、微細な凹部が形成されるとともに、第2の電極に、凹部に嵌合される微細な凸部が形成され、凹部と凸部が嵌合することにより、第1の電極の上面が、第2の電極の上面と略面一となるように、第1、第2の電極が接続され、凹部と凸部には、凹部と凸部が嵌合することにより接続された第1、第2の電極が、第1、第2の電極の長手方向に移動するのを規制する移動防止部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
同構成によれば、凹部と凸部が嵌合することにより接続された第1、第2の電極において、第1、第2の電極の長手方向における移動が規制されるため、例えば、第2の電極が形成された第2の基材からなるフレキシブル配線板を屈曲して使用する場合(例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合)であって、第1、第2の電極の長手方向に引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極間の導電接続を確実に得ることが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性を向上することができる。また、第1、第2の電極の長手方向における移動による、第1、第2の電極間の接触面積の減少を防止することができるため、第1、第2の電極間の接続抵抗の上昇を抑制することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電極接続構造であって、移動防止部は、凹部に形成された第1の係合部と、凸部に形成された第2の係合部とからなり、凹部と凸部を嵌合する際に、第1、第2の係合部が係合することにより、第1、第2の電極の、長手方向における移動が規制されることを特徴とする。同構成によれば、簡単な構成で、第1、第2の電極の長手方向における移動を規制することが可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電極接続構造であって、第1の基材に、第1、第2の電極の接続部分を覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする。同構成によれば、第1、第2の電極間の接続部分が補強されるため、第1、第2の電極間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性をより一層向上することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電極接続構造であって、第1、第2の電極が、導電性物質を含有する導電性接着剤を介して、電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
同構成によれば、第1、第2の電極間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性をより一層向上することができる。また、第1、第2の電極間を低い導電抵抗によって接続することが可能になるため、第1、第2の電極間の導電性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。なお、本実施形態においては、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における電極接続構造としては、第1の配線板であるリジッド配線板1に形成された第1の電極2と、第2の配線板であるフレキシブル配線板3に形成された第2の電極4を嵌合することにより、第1の電極2−第2の電極4間を電気的に接続する構成となっている。
【0016】
リジッド配線板1は、図2に示すように、ガラス基材等により形成されたリジッドな第1の基材5の片面に、第1の電極2が複数個(本実施形態においては、2個)設けられたものである。また、フレキシブル配線板3は、図3に示すように、柔軟な樹脂フィルムにて形成されたフレキシブルな第2の基材6の片面に、導体回路層を構成する第2の電極4を複数個(本実施形態においては、2個)設けた、いわゆる片面フレキシブル配線板である。なお、接着剤層(不図示)を介して、第2の基材6上に第2の電極4を設ける構成としても良い。
【0017】
第2の基材6を構成する樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムなどの、フレキシブル配線板用として汎用性のある樹脂のフィルムがいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているのが好ましく、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムやポリエチレンナフタレ−トが好適に使用される。また、第2の電極4により構成される導体回路層としては、銅箔等の金属箔が好適に使用される。
【0018】
また、本発明の第1の電極2は、例えば、第1の基材5上に形成された銅箔などの金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成される。また、同様に、第2の電極4は、例えば、第2の基材6上に形成された銅箔などの金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成される。
【0019】
また、第1の電極2としては、5μm〜100μmの幅W1を有するとともに、0.1μm〜36μmの高さH1を有するものが使用される。また、第2の電極4としては、5μm〜100μmの幅W2を有するとともに、0.1μm〜36μmの高さH2を有するものが使用される。
【0020】
ここで、本実施形態においては、第1の電極2に、微細な凹部7が形成されるとともに、第2の電極4に、当該凹部7に嵌合される微細な凸部8が形成されている。そして、凹部7と凸部8には、当該凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向(即ち、図1に示す矢印Xの方向)における移動を規制する移動防止部9が形成されている点に特徴がある。
【0021】
この移動防止部9は、図2、図3に示すように、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11とにより構成される。そして、凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される構成となっている。
【0022】
このような構成により、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、例えば、フレキシブル配線板3を屈曲して使用する場合(例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合)であって、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極2、4間の導電接続を確実に得ることができる。
【0023】
なお、図1に示すように、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される構成となっている。
【0024】
また、第1の電極2に形成される微細な凹部7としては、3μm〜90μmの幅W3を有するとともに、5μm〜90μmの長さL1を有するものが使用できる。また、第2の電極4に形成される微細な凸部8としては、3μm〜90μmの幅W4を有するとともに、5μm〜90μmの長さL2を有するものが使用できる。なお、微細な凹部7の高さは、第1の電極2の高さH1と同じ高さに設定できるとともに、微細な凸部8の高さは、第2の電極4の高さH2と同じ高さに設定できる。また、これらの微細な凹部7と凸部8は、例えば、上述の第2の電極4の場合と同様に、常法により、露光、エッチングすることにより形成することができる。
【0025】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図4に示すように、リジッドな第1の基材5を有するリジッド配線板1の上方に、フレキシブルな第2の基材6を有するフレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8を嵌合し、図1に示すように、第1の電極2−第2の電極4間を接続する。そうすると、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。
【0026】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、リジッド配線板1に形成された第1の電極2に、微細な凹部7を形成するとともに、フレキシブル配線板3の第2の電極4に、凹部7に嵌合される微細な凸部8を形成する構成としている。そして、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される構成となっている。さらに、凹部7と凸部8に、当該凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された第1、第2の電極2、4が、当該第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する移動防止部9を形成する構成としている。従って、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極2、4間の導電接続を確実に得ることが可能になる。その結果、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性を向上することができる。また、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動による、第1、第2の電極2、4間の接触面積の減少を防止することができるため、第1、第2の電極2、4間の接続抵抗の上昇を抑制することが可能になる。
【0027】
(2)本実施形態においては、移動防止部9を、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11により構成している。また、凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4が、当該第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する構成としている。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図6は、本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための側面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、第2の電極が設けられた第2の配線板については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0029】
本実施形態においては、図5、図6に示すように、リジッド配線板1の第1の基材5に、第1、第2の電極2、4の接続部分を覆う被覆部材12が設けられている点に特徴がある。当該被覆部材12としては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるフィルム状のものが使用される。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムなどの、配線板用として汎用性のある樹脂のフィルムがいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているのが好ましく、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムやポリエチレンナフタレートが好適に使用される。
【0030】
また、被覆部材12には、フレキシブル配線板3の第2の電極4と第2の基材6を挿入するための挿入口13が形成されており、第2の電極4に形成された凸部8が嵌合される、第1の電極2に形成された凹部7が、外部に露出される構成となっている。
【0031】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図7に示すように、リジッドな第1の基材5を有するリジッド配線板1に対向させて、フレキシブルな第2の基材6を有するフレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、フレキシブル配線板3を、図中の矢印Yの方向に移動させて、被覆部材12の挿入口13に、フレキシブル配線板3の第2の電極4と第2の基材6を挿入する。そうすると、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8が嵌合して、図5に示すように、第1の電極2−第2の電極4間が接続される。そして、上述の第1の実施形態の場合と同様に、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。また、この際、図5に示すように、第1、第2の電極2、4の接続部分が被覆部材12により覆われる構成となっている。
【0032】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)、(2)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(3)本実施形態においては、第1の基材5に、第1、第2の電極2、4の接続部分を覆う被覆部材12を設ける構成としている。従って、第1、第2の電極2、4間の接続部分が補強されるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性をより一層向上することが可能になる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図9は、本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。また、図10は、図8のA−A断面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態においても、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0034】
本実施形態においては、図8、図10に示すように、第1、第2の電極2、4が、導電性物質を含有する導電性接着剤14を介して、電気的に接続されている点に特徴がある。このような構成により、第1、第2の電極2、4間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。
【0035】
この導電性接着剤14としては、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に導電性粒子が分散されたものが使用できる。例えば、エポキシ樹脂に、ニッケル、銅、銀、金あるいは黒鉛等の導電性粒子の粉末が分散されたものが挙げられる。
【0036】
ここで、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。このうち、特に、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用することにより、導電性接着剤14のフィルム形成性、耐熱性、および接着力を向上させることが可能になる。また、導電性接着剤14は、上述の熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1種を主成分としていれば良い。
【0037】
なお、使用するエポキシ樹脂は、特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0038】
また、エポキシ樹脂の分子量は、導電性接着剤14に要求される性能を考慮して、適宜選択することができる。高分子量のエポキシ樹脂を使用すると、フィルム形成性が高く、また、接続温度における樹脂の溶解粘度を高くでき、後述の導電性粒子の配向を乱すことなく接続できる効果がある。一方、低分子量のエポキシ樹脂を使用すると、架橋密度が高まって耐熱性が向上するという効果が得られる。また、加熱時に、上述の硬化剤と速やかに反応し、接着性能を高めるという効果が得られる。従って、分子量が15000以上の高分子量エポキシ樹脂と分子量が2000以下の低分子量エポキシ樹脂とを組み合わせて使用することにより、性能のバランスが取れるため、好ましい。なお、高分子量エポキシ樹脂と低分子量エポキシ樹脂の配合量は、適宜、選択することができる。また、ここでいう「平均分子量」とは、THF展開のゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
【0039】
また、本発明に使用される導電性接着剤14として、潜在性硬化剤を含有する接着剤が使用できる。この潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。この潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、および、これらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用できる。
【0040】
また、これらの潜在性硬化剤中でも、低温での貯蔵安定性、および速硬化性に優れているとの観点から、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができる。より具体的には、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示される。イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが例示される。
【0041】
また、特に、これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜およびケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立を図ることができるため、好ましい。従って、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が、特に好ましい。
【0042】
また、導電性接着剤14として、図11に示すように、導電性粒子15を含む異方導電性接着剤も使用することができる。より具体的には、当該異方導電性接着剤として、例えば、上述のエポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成された導電性粒子15が分散されたものを使用することができる。なお、ここで言うアスペクト比とは、図11に示す、導電性粒子15の短径(導電性粒子15の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子15の長さ)Lの比のことを言う。
【0043】
また、本発明に使用される金属粉末は、その一部に強磁性体が含まれるものが良く、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかであることが好ましい。例えば、ニッケル、鉄、コバルトおよびこれらを含む2種類以上の合金等を挙げることができる。
【0044】
なお、導電性粒子15のアスペクト比は、CCD顕微鏡観察等の方法により直接測定するが、断面が円でない導電性粒子15の場合は、断面の最大長さを短径としてアスペクト比を求める。また、導電性粒子15は、必ずしもまっすぐな形状を有している必要はなく、多少の曲がりや枝分かれがあっても、問題なく使用できる。この場合、導電性粒子15の最大長さを長径としてアスペクト比を求める。
【0045】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図9に示すように、リジッド配線板1の第1の電極2上に、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とし、導電性物質を含有する導電性接着剤14を載置し、当該導電性接着剤14を所定の温度に加熱した状態で、第1の基材5の方向へ所定の圧力で加圧し、導電性接着剤14を第1の基材5上に仮接着する。次いで、図9に示すように、リジッド配線板1の上方に、フレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、フレキシブル配線板3の第2の電極4を導電性接着剤14上に載置することにより、リジッド配線板1とフレキシブル配線板3との間に導電性接着剤14を介在させる。
【0046】
次いで、導電性接着剤14を所定の温度に加熱した状態で、フレキシブル配線板3を介して、当該導電性接着剤14をリジッド配線板1の方向へ、所定の圧力で加圧することにより、導電性接着剤を加熱溶融させるとともに、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8を嵌合する。なお、上述のごとく、導電性接着剤14は、熱硬化性樹脂を主成分としているため、当該導電性接着剤14は、上述の温度にて加熱をすると、一旦、軟化するが、当該加熱を継続することにより、硬化することになる。そして、予め設定した導電性接着剤14の硬化時間が経過すると、導電性接着剤14の硬化温度の維持状態、および加圧状態を開放し、冷却を開始することにより、導電性接着剤14を介して、第1の電極2と第2の電極4を接続し、フレキシブル配線板3をリジッド配線板1上に実装する。また、この際、上述の第1の実施形態の場合と同様に、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。
【0047】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)、(2)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(4)本実施形態においては、第1、第2の電極2、4を、導電性物質を含有する導電性接着剤14を介して、電気的に接続する構成としている。従って、第1、第2の電極2、4間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。その結果、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性をより一層向上することができる。また、第1、第2の電極2、4間を低い導電抵抗によって接続することが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の導電性を向上することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・フレキシブル配線板3に形成された第2の電極4に微細な凹部7を形成するとともに、リジッド配線板1に形成された第1の電極2に、当該凹部7に嵌合される微細な凸部8を形成する構成としても良い。この場合、移動防止部9は、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様に、第2の電極4の凹部7に形成された第1の係合部10と、第1の電極2の凸部8に形成された第2の係合部11により構成され、当該凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制されることになる。このような構成により、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能になる。
【0049】
・上述の実施形態において使用したリジッド配線板1の代わりに、第1の配線板として、他のフレキシブル配線板を使用し、複数のフレキシブル配線板を被接合部材として使用する構成としても良い。また、同様に、上述の実施形態において使用したフレキシブル配線板3の代わりに、第2の配線板として、他のリジッド配線板を使用し、複数のリジッド配線板を被接合部材として使用する構成としても良い。このような構成においても、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能になる。
【0050】
・また、上述の微細な凹部7と凸部8の形状については、特に限定はなく、当該凹部7と凸部8が嵌合できるとともに、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制する移動防止部9が形成できるものであれば、どのような形状であっても良い。
【0051】
・また、上記実施形態においては、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11とにより、移動防止部9を構成したが、図12〜図14に示すように、凹部7に、当該凹部7の幅W3が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける第1の電極2側から第2の電極4側にかけて(即ち、図中のX1の方向にかけて)漸減するように第1のテーパ部20を形成するとともに、凹部7に嵌合する凸部8に、当該凸部8の幅W4が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける第2の電極4側から第1の電極2側にかけて(即ち、図中のX2の方向にかけて)漸増するように第2のテーパ部21を形成し、当該第1、第2のテーパ部20、21により、移動防止部9を構成しても良い。
【0052】
このような構成により、凹部7と凸部8を嵌合することにより、第1、第2のテーパ部20、21が密着するため、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【0053】
・また、図15〜図16に示すように、凹部7の表面に、摩擦係数の大きな第1の移動防止層22を設けるとともに、凹部7に嵌合する凸部8の表面に、摩擦係数の大きな第2の移動防止層23を設け、当該第1、第2の移動防止層22、23により、移動防止部9を構成しても良い。このような構成により、凹部7と凸部8を嵌合することにより、摩擦係数の大きな第1、第2の移動防止層22、23が接触するため、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の活用例としては、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際の電極接続構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための側面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態において使用される導電性微粒子を説明するための図である。
【図12】本発明の電極接続構造における他の移動防止部を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示す移動防止部に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図14】図12に示す移動防止部に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図15】本発明の電極接続構造における他の移動防止部に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図16】本発明の電極接続構造における他の移動防止部に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図17】従来の電極接続構造を説明するための図である。
【図18】図12に示す電極接続状態が解除された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…リジッド配線板、2…第1の電極、2a…第1の電極の上面、3…フレキシブル配線板、4…第2の電極、4a…第2の電極の上面、5…第1の基材、6…第2の基材、7…微細な凹部、8…微細な凸部、9…移動防止部、10…第1の係合部、11…第2の係合部、12…被覆部材、14…導電性接着剤、X…第1、第2の電極の長手方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際の電極接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、高機能化の流れの中で、構成部品(例えば、液晶製品における電子部品)内の接続端子の微小化が進んでいる。このため、エレクトロニクス実装分野においては、そのような端子間の接続を容易に行える接着剤として、フィルム状の接着剤が広く使用されている。例えば、銅電極からなる金属電極が形成されたフレキシブル配線板と、ITO電極が形成されたガラス基板等のリジッド配線板の接合や、ICチップ等の電子部品とリジッド配線板の接合に使用されている。
【0003】
この電極接続用の接着剤は、絶縁性の樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた接着剤であり、接続対象の間に挟まれ、加熱、加圧されて、接続対象を接着する。即ち、加熱、加圧により接着剤中の樹脂が流動し、例えば、フレキシブル配線板の表面に形成された銅電極と、リジッド配線板の表面に形成されたITO電極の隙間を封止すると同時に、導電性粒子の一部が対峙する銅電極とITO電極の間に噛み込まれて電気的接続が達成される。
【0004】
また、上記接着剤による電極間の接続では、多数の電極間を接続する場合に、加熱・加圧用の接続装置が複雑になるとともに、当該接続装置の小型化が困難であるとの観点から、接続される電極の一部に、微少凹凸構造を形成し、当該微少凹凸構造の凹部と凸部を嵌め合うことにより、電極間を電気的に接続する電極の接続構造が提案されている。より具体的には、図17に示すように、第1の基材50に形成された第1の電極51と、第2の基材52に形成された第2の電極53を接続する電極接続構造において、第1の電極51の凹部54と、第2の電極53の凸部55を嵌め合うことにより、第1、第2の電極51、53間を電気的に接続する電極接続構造が開示されている。このような構成により、多数の電極間を容易に接続することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−222276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の電極接続構造においては、図17に示す、第1、第2の電極51、53が接続された配線板接合体を、例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合、第1、第2の電極51、53の長手方向Xに引張応力が加わると、図18に示すように、第1、第2の電極51、53が、当該長手方向Xに移動してしまう。そうすると、第1、第2の電極51、53間の接続状態が解除されてしまい、第1、第2の電極51、53間の導電接続を得ることができないという問題があった。また、第1、第2の電極51、53間の接続状態の解除が発生しない場合であっても、第1、第2の電極51、53の長手方向Xにおける移動により、第1、第2の電極51、53間の接触面積が減少するため、第1、第2の電極51、53間の接続抵抗が上昇するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を向上することができる電極接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、第1の基材に形成された第1の電極と、第2の基材に形成された第2の電極とを電気的に接続する電極接続構造において、第1の電極に、微細な凹部が形成されるとともに、第2の電極に、凹部に嵌合される微細な凸部が形成され、凹部と凸部が嵌合することにより、第1の電極の上面が、第2の電極の上面と略面一となるように、第1、第2の電極が接続され、凹部と凸部には、凹部と凸部が嵌合することにより接続された第1、第2の電極が、第1、第2の電極の長手方向に移動するのを規制する移動防止部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
同構成によれば、凹部と凸部が嵌合することにより接続された第1、第2の電極において、第1、第2の電極の長手方向における移動が規制されるため、例えば、第2の電極が形成された第2の基材からなるフレキシブル配線板を屈曲して使用する場合(例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合)であって、第1、第2の電極の長手方向に引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極間の導電接続を確実に得ることが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性を向上することができる。また、第1、第2の電極の長手方向における移動による、第1、第2の電極間の接触面積の減少を防止することができるため、第1、第2の電極間の接続抵抗の上昇を抑制することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電極接続構造であって、移動防止部は、凹部に形成された第1の係合部と、凸部に形成された第2の係合部とからなり、凹部と凸部を嵌合する際に、第1、第2の係合部が係合することにより、第1、第2の電極の、長手方向における移動が規制されることを特徴とする。同構成によれば、簡単な構成で、第1、第2の電極の長手方向における移動を規制することが可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電極接続構造であって、第1の基材に、第1、第2の電極の接続部分を覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする。同構成によれば、第1、第2の電極間の接続部分が補強されるため、第1、第2の電極間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性をより一層向上することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電極接続構造であって、第1、第2の電極が、導電性物質を含有する導電性接着剤を介して、電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
同構成によれば、第1、第2の電極間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極間の接続信頼性をより一層向上することができる。また、第1、第2の電極間を低い導電抵抗によって接続することが可能になるため、第1、第2の電極間の導電性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。なお、本実施形態においては、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における電極接続構造としては、第1の配線板であるリジッド配線板1に形成された第1の電極2と、第2の配線板であるフレキシブル配線板3に形成された第2の電極4を嵌合することにより、第1の電極2−第2の電極4間を電気的に接続する構成となっている。
【0016】
リジッド配線板1は、図2に示すように、ガラス基材等により形成されたリジッドな第1の基材5の片面に、第1の電極2が複数個(本実施形態においては、2個)設けられたものである。また、フレキシブル配線板3は、図3に示すように、柔軟な樹脂フィルムにて形成されたフレキシブルな第2の基材6の片面に、導体回路層を構成する第2の電極4を複数個(本実施形態においては、2個)設けた、いわゆる片面フレキシブル配線板である。なお、接着剤層(不図示)を介して、第2の基材6上に第2の電極4を設ける構成としても良い。
【0017】
第2の基材6を構成する樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムなどの、フレキシブル配線板用として汎用性のある樹脂のフィルムがいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているのが好ましく、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムやポリエチレンナフタレ−トが好適に使用される。また、第2の電極4により構成される導体回路層としては、銅箔等の金属箔が好適に使用される。
【0018】
また、本発明の第1の電極2は、例えば、第1の基材5上に形成された銅箔などの金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成される。また、同様に、第2の電極4は、例えば、第2の基材6上に形成された銅箔などの金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成される。
【0019】
また、第1の電極2としては、5μm〜100μmの幅W1を有するとともに、0.1μm〜36μmの高さH1を有するものが使用される。また、第2の電極4としては、5μm〜100μmの幅W2を有するとともに、0.1μm〜36μmの高さH2を有するものが使用される。
【0020】
ここで、本実施形態においては、第1の電極2に、微細な凹部7が形成されるとともに、第2の電極4に、当該凹部7に嵌合される微細な凸部8が形成されている。そして、凹部7と凸部8には、当該凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向(即ち、図1に示す矢印Xの方向)における移動を規制する移動防止部9が形成されている点に特徴がある。
【0021】
この移動防止部9は、図2、図3に示すように、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11とにより構成される。そして、凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される構成となっている。
【0022】
このような構成により、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、例えば、フレキシブル配線板3を屈曲して使用する場合(例えば、携帯電話のヒンジ部分等の、電子機器類の稼動部への配線に使用する場合)であって、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極2、4間の導電接続を確実に得ることができる。
【0023】
なお、図1に示すように、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される構成となっている。
【0024】
また、第1の電極2に形成される微細な凹部7としては、3μm〜90μmの幅W3を有するとともに、5μm〜90μmの長さL1を有するものが使用できる。また、第2の電極4に形成される微細な凸部8としては、3μm〜90μmの幅W4を有するとともに、5μm〜90μmの長さL2を有するものが使用できる。なお、微細な凹部7の高さは、第1の電極2の高さH1と同じ高さに設定できるとともに、微細な凸部8の高さは、第2の電極4の高さH2と同じ高さに設定できる。また、これらの微細な凹部7と凸部8は、例えば、上述の第2の電極4の場合と同様に、常法により、露光、エッチングすることにより形成することができる。
【0025】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図4に示すように、リジッドな第1の基材5を有するリジッド配線板1の上方に、フレキシブルな第2の基材6を有するフレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8を嵌合し、図1に示すように、第1の電極2−第2の電極4間を接続する。そうすると、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。
【0026】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、リジッド配線板1に形成された第1の電極2に、微細な凹部7を形成するとともに、フレキシブル配線板3の第2の電極4に、凹部7に嵌合される微細な凸部8を形成する構成としている。そして、凹部7と凸部8が嵌合することにより、第1の電極2の上面2aが、第2の電極4の上面4aと略面一となるように、第1、第2の電極2、4が接続される構成となっている。さらに、凹部7と凸部8に、当該凹部7と凸部8が嵌合することにより接続された第1、第2の電極2、4が、当該第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する移動防止部9を形成する構成としている。従って、第1、第2の電極2、4の長手方向Xに引張応力が加わる場合においても、第1、第2の電極2、4間の導電接続を確実に得ることが可能になる。その結果、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性を向上することができる。また、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動による、第1、第2の電極2、4間の接触面積の減少を防止することができるため、第1、第2の電極2、4間の接続抵抗の上昇を抑制することが可能になる。
【0027】
(2)本実施形態においては、移動防止部9を、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11により構成している。また、凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4が、当該第1、第2の電極2、4の長手方向Xに移動するのを規制する構成としている。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図6は、本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための側面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、第2の電極が設けられた第2の配線板については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0029】
本実施形態においては、図5、図6に示すように、リジッド配線板1の第1の基材5に、第1、第2の電極2、4の接続部分を覆う被覆部材12が設けられている点に特徴がある。当該被覆部材12としては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるフィルム状のものが使用される。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムなどの、配線板用として汎用性のある樹脂のフィルムがいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているのが好ましく、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムやポリエチレンナフタレートが好適に使用される。
【0030】
また、被覆部材12には、フレキシブル配線板3の第2の電極4と第2の基材6を挿入するための挿入口13が形成されており、第2の電極4に形成された凸部8が嵌合される、第1の電極2に形成された凹部7が、外部に露出される構成となっている。
【0031】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図7に示すように、リジッドな第1の基材5を有するリジッド配線板1に対向させて、フレキシブルな第2の基材6を有するフレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、フレキシブル配線板3を、図中の矢印Yの方向に移動させて、被覆部材12の挿入口13に、フレキシブル配線板3の第2の電極4と第2の基材6を挿入する。そうすると、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8が嵌合して、図5に示すように、第1の電極2−第2の電極4間が接続される。そして、上述の第1の実施形態の場合と同様に、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。また、この際、図5に示すように、第1、第2の電極2、4の接続部分が被覆部材12により覆われる構成となっている。
【0032】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)、(2)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(3)本実施形態においては、第1の基材5に、第1、第2の電極2、4の接続部分を覆う被覆部材12を設ける構成としている。従って、第1、第2の電極2、4間の接続部分が補強されるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。従って、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性をより一層向上することが可能になる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。また、図9は、本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。また、図10は、図8のA−A断面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態においても、複数の被接合部材として、リジッドな基材上に形成された第1の電極を有するリジッド配線板と、フレキシブルな基材上に形成された第2の電極を有するフレキシブル配線板を例に挙げて説明する。
【0034】
本実施形態においては、図8、図10に示すように、第1、第2の電極2、4が、導電性物質を含有する導電性接着剤14を介して、電気的に接続されている点に特徴がある。このような構成により、第1、第2の電極2、4間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。
【0035】
この導電性接着剤14としては、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に導電性粒子が分散されたものが使用できる。例えば、エポキシ樹脂に、ニッケル、銅、銀、金あるいは黒鉛等の導電性粒子の粉末が分散されたものが挙げられる。
【0036】
ここで、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。このうち、特に、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用することにより、導電性接着剤14のフィルム形成性、耐熱性、および接着力を向上させることが可能になる。また、導電性接着剤14は、上述の熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1種を主成分としていれば良い。
【0037】
なお、使用するエポキシ樹脂は、特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0038】
また、エポキシ樹脂の分子量は、導電性接着剤14に要求される性能を考慮して、適宜選択することができる。高分子量のエポキシ樹脂を使用すると、フィルム形成性が高く、また、接続温度における樹脂の溶解粘度を高くでき、後述の導電性粒子の配向を乱すことなく接続できる効果がある。一方、低分子量のエポキシ樹脂を使用すると、架橋密度が高まって耐熱性が向上するという効果が得られる。また、加熱時に、上述の硬化剤と速やかに反応し、接着性能を高めるという効果が得られる。従って、分子量が15000以上の高分子量エポキシ樹脂と分子量が2000以下の低分子量エポキシ樹脂とを組み合わせて使用することにより、性能のバランスが取れるため、好ましい。なお、高分子量エポキシ樹脂と低分子量エポキシ樹脂の配合量は、適宜、選択することができる。また、ここでいう「平均分子量」とは、THF展開のゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
【0039】
また、本発明に使用される導電性接着剤14として、潜在性硬化剤を含有する接着剤が使用できる。この潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。この潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、および、これらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用できる。
【0040】
また、これらの潜在性硬化剤中でも、低温での貯蔵安定性、および速硬化性に優れているとの観点から、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができる。より具体的には、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示される。イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが例示される。
【0041】
また、特に、これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜およびケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立を図ることができるため、好ましい。従って、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が、特に好ましい。
【0042】
また、導電性接着剤14として、図11に示すように、導電性粒子15を含む異方導電性接着剤も使用することができる。より具体的には、当該異方導電性接着剤として、例えば、上述のエポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成された導電性粒子15が分散されたものを使用することができる。なお、ここで言うアスペクト比とは、図11に示す、導電性粒子15の短径(導電性粒子15の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子15の長さ)Lの比のことを言う。
【0043】
また、本発明に使用される金属粉末は、その一部に強磁性体が含まれるものが良く、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかであることが好ましい。例えば、ニッケル、鉄、コバルトおよびこれらを含む2種類以上の合金等を挙げることができる。
【0044】
なお、導電性粒子15のアスペクト比は、CCD顕微鏡観察等の方法により直接測定するが、断面が円でない導電性粒子15の場合は、断面の最大長さを短径としてアスペクト比を求める。また、導電性粒子15は、必ずしもまっすぐな形状を有している必要はなく、多少の曲がりや枝分かれがあっても、問題なく使用できる。この場合、導電性粒子15の最大長さを長径としてアスペクト比を求める。
【0045】
次に、第1の電極2と第2の電極4の接続方法について説明する。まず、図9に示すように、リジッド配線板1の第1の電極2上に、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とし、導電性物質を含有する導電性接着剤14を載置し、当該導電性接着剤14を所定の温度に加熱した状態で、第1の基材5の方向へ所定の圧力で加圧し、導電性接着剤14を第1の基材5上に仮接着する。次いで、図9に示すように、リジッド配線板1の上方に、フレキシブル配線板3を下向き(フェースダウン)にした状態で配置する。次いで、第1の基材5の表面に形成された第1の電極2と、第2の基材6の表面に形成された第2の電極4との位置合わせをしながら、フレキシブル配線板3の第2の電極4を導電性接着剤14上に載置することにより、リジッド配線板1とフレキシブル配線板3との間に導電性接着剤14を介在させる。
【0046】
次いで、導電性接着剤14を所定の温度に加熱した状態で、フレキシブル配線板3を介して、当該導電性接着剤14をリジッド配線板1の方向へ、所定の圧力で加圧することにより、導電性接着剤を加熱溶融させるとともに、第1の電極2に形成された微細な凹部7に、第2の電極4に形成された微細な凸部8を嵌合する。なお、上述のごとく、導電性接着剤14は、熱硬化性樹脂を主成分としているため、当該導電性接着剤14は、上述の温度にて加熱をすると、一旦、軟化するが、当該加熱を継続することにより、硬化することになる。そして、予め設定した導電性接着剤14の硬化時間が経過すると、導電性接着剤14の硬化温度の維持状態、および加圧状態を開放し、冷却を開始することにより、導電性接着剤14を介して、第1の電極2と第2の電極4を接続し、フレキシブル配線板3をリジッド配線板1上に実装する。また、この際、上述の第1の実施形態の場合と同様に、第1、第2の係合部10、11が係合して、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。
【0047】
以上に説明した本実施形態によれば、上述の(1)、(2)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(4)本実施形態においては、第1、第2の電極2、4を、導電性物質を含有する導電性接着剤14を介して、電気的に接続する構成としている。従って、第1、第2の電極2、4間の接続強度を向上させることが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の接続状態をより一層確実に維持することが可能になる。その結果、第1、第2の電極2、4間の接続信頼性をより一層向上することができる。また、第1、第2の電極2、4間を低い導電抵抗によって接続することが可能になるため、第1、第2の電極2、4間の導電性を向上することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・フレキシブル配線板3に形成された第2の電極4に微細な凹部7を形成するとともに、リジッド配線板1に形成された第1の電極2に、当該凹部7に嵌合される微細な凸部8を形成する構成としても良い。この場合、移動防止部9は、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様に、第2の電極4の凹部7に形成された第1の係合部10と、第1の電極2の凸部8に形成された第2の係合部11により構成され、当該凹部7と凸部8を嵌合する際に、第1、第2の係合部10、11が係合することにより、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制されることになる。このような構成により、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能になる。
【0049】
・上述の実施形態において使用したリジッド配線板1の代わりに、第1の配線板として、他のフレキシブル配線板を使用し、複数のフレキシブル配線板を被接合部材として使用する構成としても良い。また、同様に、上述の実施形態において使用したフレキシブル配線板3の代わりに、第2の配線板として、他のリジッド配線板を使用し、複数のリジッド配線板を被接合部材として使用する構成としても良い。このような構成においても、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能になる。
【0050】
・また、上述の微細な凹部7と凸部8の形状については、特に限定はなく、当該凹部7と凸部8が嵌合できるとともに、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制する移動防止部9が形成できるものであれば、どのような形状であっても良い。
【0051】
・また、上記実施形態においては、凹部7に形成された第1の係合部10と、凸部8に形成された第2の係合部11とにより、移動防止部9を構成したが、図12〜図14に示すように、凹部7に、当該凹部7の幅W3が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける第1の電極2側から第2の電極4側にかけて(即ち、図中のX1の方向にかけて)漸減するように第1のテーパ部20を形成するとともに、凹部7に嵌合する凸部8に、当該凸部8の幅W4が、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける第2の電極4側から第1の電極2側にかけて(即ち、図中のX2の方向にかけて)漸増するように第2のテーパ部21を形成し、当該第1、第2のテーパ部20、21により、移動防止部9を構成しても良い。
【0052】
このような構成により、凹部7と凸部8を嵌合することにより、第1、第2のテーパ部20、21が密着するため、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【0053】
・また、図15〜図16に示すように、凹部7の表面に、摩擦係数の大きな第1の移動防止層22を設けるとともに、凹部7に嵌合する凸部8の表面に、摩擦係数の大きな第2の移動防止層23を設け、当該第1、第2の移動防止層22、23により、移動防止部9を構成しても良い。このような構成により、凹部7と凸部8を嵌合することにより、摩擦係数の大きな第1、第2の移動防止層22、23が接触するため、接続された、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動が規制される。従って、簡単な構成で、第1、第2の電極2、4の長手方向Xにおける移動を規制することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の活用例としては、複数の基材の各々に形成された電極間を接続する際の電極接続構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための側面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続した後の状態を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る電極接続構造を説明するための斜視図であり、電極間を接続する前の状態を示す図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態において使用される導電性微粒子を説明するための図である。
【図12】本発明の電極接続構造における他の移動防止部を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示す移動防止部に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図14】図12に示す移動防止部に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図15】本発明の電極接続構造における他の移動防止部に使用される第1の電極が設けられた第1の配線板を説明するための上面図である。
【図16】本発明の電極接続構造における他の移動防止部に使用される第2の電極が設けられた第2の配線板を説明するための上面図である。
【図17】従来の電極接続構造を説明するための図である。
【図18】図12に示す電極接続状態が解除された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…リジッド配線板、2…第1の電極、2a…第1の電極の上面、3…フレキシブル配線板、4…第2の電極、4a…第2の電極の上面、5…第1の基材、6…第2の基材、7…微細な凹部、8…微細な凸部、9…移動防止部、10…第1の係合部、11…第2の係合部、12…被覆部材、14…導電性接着剤、X…第1、第2の電極の長手方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材に形成された第1の電極と、第2の基材に形成された第2の電極とを電気的に接続する電極接続構造において、
前記第1の電極に、微細な凹部が形成されるとともに、前記第2の電極に、前記凹部に嵌合される微細な凸部が形成され、前記凹部と凸部が嵌合することにより、前記第1の電極の上面が、前記第2の電極の上面と略面一となるように、前記第1、第2の電極が接続され、前記凹部と凸部には、前記凹部と凸部が嵌合することにより接続された前記第1、第2の電極が、該第1、第2の電極の長手方向に移動するのを規制する移動防止部が形成されていることを特徴とする電極接続構造。
【請求項2】
前記移動防止部は、前記凹部に形成された第1の係合部と、前記凸部に形成された第2の係合部とからなり、前記凹部と凸部を嵌合する際に、前記第1、第2の係合部が係合することにより、前記第1、第2の電極の、前記長手方向における移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の電極接続構造。
【請求項3】
前記第1の基材に、前記第1、第2の電極の接続部分を覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極接続構造。
【請求項4】
前記第1、第2の電極が、導電性物質を含有する導電性接着剤を介して、電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極接続構造。
【請求項1】
第1の基材に形成された第1の電極と、第2の基材に形成された第2の電極とを電気的に接続する電極接続構造において、
前記第1の電極に、微細な凹部が形成されるとともに、前記第2の電極に、前記凹部に嵌合される微細な凸部が形成され、前記凹部と凸部が嵌合することにより、前記第1の電極の上面が、前記第2の電極の上面と略面一となるように、前記第1、第2の電極が接続され、前記凹部と凸部には、前記凹部と凸部が嵌合することにより接続された前記第1、第2の電極が、該第1、第2の電極の長手方向に移動するのを規制する移動防止部が形成されていることを特徴とする電極接続構造。
【請求項2】
前記移動防止部は、前記凹部に形成された第1の係合部と、前記凸部に形成された第2の係合部とからなり、前記凹部と凸部を嵌合する際に、前記第1、第2の係合部が係合することにより、前記第1、第2の電極の、前記長手方向における移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の電極接続構造。
【請求項3】
前記第1の基材に、前記第1、第2の電極の接続部分を覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極接続構造。
【請求項4】
前記第1、第2の電極が、導電性物質を含有する導電性接着剤を介して、電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−130610(P2008−130610A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310526(P2006−310526)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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