説明

電気光学装置および電子機器

【課題】画素領域とその周辺領域において安定した電気光学特性を有する電気光学装置およびこれを備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の電気光学装置としての液晶装置100は、一対の基板間に電気光学素子としての液晶層が挟持され、一対の基板のうちの素子基板10側に設けられた、複数の画素回路を有する画素領域Eと、画素領域Eの周辺に設けられた、画素回路の駆動に係る周辺回路を有する周辺回路領域E1,E2,E3と、画素領域Eを囲むように周辺回路領域E1,E2,E3との間に設けられた、ダミー画素を有するダミー画素領域Edとを備え、ダミー画素が画素回路を模したものであって、画素領域Eにおける画素回路のパターン密度と、ダミー画素領域Edにおけるダミー画素のパターン密度とがほぼ等しくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置およびこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、駆動回路および画素層が形成された半導体基板と、透明基板と、これらの基板間に注入された液晶と、画素領域の周辺領域に設けられたダミーパターンとを備えた反射型液晶装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記反射型液晶装置は、ダミーパターンを半導体基板からの高さ方向の位置が駆動回路および画素層と同じ範囲に設け、画素領域の表面と周辺領域の表面とが実質的に同一平面内に位置するとしている。これにより、半導体基板と透明基板との間に注入された液晶からなる液晶層の厚みを画素領域だけでなく、その周辺領域に亘って均一にすることにより、表示むらを低減できるとしている。
また、画素領域の表面と周辺領域の表面とを実質的に同一平面内に位置させる方法として、画素領域および周辺領域を覆う表面層にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施すことや、平坦な層間絶縁膜を得るためにSOG(Spin On Glass)処理することが開示されている。周辺領域に上記ダミーパターンを配置することで、CMP処理後やSOG処理後の被処理面の平坦性が確保されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−231113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画素領域における駆動回路や画素層(画素電極など)のパターン密度と、周辺領域における上記駆動回路に繋がる配線およびダミーパターンのパターン密度との間に差が生じている場合には、CMP処理において研磨レートのむらが発生するおそれがある。CMP処理における研磨レートのむらが発生すると、被処理面が必ずしも平坦にならず、液晶層の厚みばらつきが改善されないので、表示むらが思ったほど解消されないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の電気光学装置は、一対の基板間に電気光学素子が挟持された電気光学装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板側に設けられ、複数の画素回路を有する画素領域と、前記画素領域の周辺に設けられ、前記画素回路の駆動に係る周辺回路を有する周辺回路領域と、前記画素領域を囲むように前記周辺回路領域との間に設けられ、ダミー画素を有するダミー画素領域とを備え、前記ダミー画素が前記画素回路を模したものであって、前記画素領域における前記画素回路のパターン密度と、前記ダミー画素領域における前記ダミー画素のパターン密度とがほぼ等しいことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、画素領域を囲んで、画素回路のパターン密度とほぼ同じパターン密度のダミー画素を有するダミー画素領域が設けられているので、少なくとも画素領域の周辺において、電気光学素子を挟む一対の基板間の間隔を画素領域と同等とすることができる。つまり、画素領域とこれを囲むダミー画素領域とにおいて、電気光学特性のむらが目立ち難い電気光学装置を提供することができる。
なお、パターン密度とは、単位面積に対してパターンが占める面積の割合だけでなく、基板上における厚み方向のパターン配置の有無に伴う割合も含むものである。
なお、電気光学素子としては、例えば電気光学的な異方性を有する液晶層や電気泳動層などを含むものである。
【0009】
[適用例2]上記適用例の電気光学装置において、前記画素回路は、画素電極と、前記画素電極のスイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続されたデータ線および走査線ならびに容量電極とを少なくとも有し、前記ダミー画素は、前記一方の基板上において前記画素回路の構成とそれぞれ同層に設けられた、ダミー画素電極と、ダミーデータ線およびダミー走査線のうち少なくとも一方と、ダミー容量電極と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ダミー画素の構成が画素回路の構成を忠実に反映しているので、相互のパターン密度の差を小さくすることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の電気光学装置において、前記容量電極は、前記一方の基板上において前記画素電極と異なる層に設けられ、電気的に前記画素電極に接続された第1容量電極と、前記第1容量電極に誘電層を介して対向するように設けられた第2容量電極とを有し、前記第2容量電極は同層に設けられた容量線に接続され、前記ダミー画素は、前記ダミー容量電極としてのダミー第1容量電極およびダミー第2容量電極と、ダミー容量線とを含むことを特徴とする。
この構成によれば、画素電極と容量電極とを対向させて保持容量とする場合に比べて、第1容量電極と第2容量電極とによって保持容量が構成されるので、所望の電気容量を確保する構成の自由度が高まる。また、第1容量電極と第2容量電極に対応したダミー画素の構成を備えることにより、ダミー画素におけるパターン密度を画素回路に近づけることができる。
【0011】
[適用例4]上記適用例の電気光学装置において、複数の前記ダミー画素電極および/または複数の前記ダミー容量電極のそれぞれに同電位が与えられていることが好ましい。
この構成によれば、ダミー画素電極間またはダミー容量電極間、あるいはダミー画素電極とダミー容量電極との間に寄生容量が生ずることを避けることができる。つまり、ダミー画素電極やダミー容量電極が例えば他の配線と接続していたとしても、寄生容量に伴う電気光学特性の不具合の発生を防ぐことができる。
【0012】
[適用例5]上記適用例の電気光学装置において、前記同電位は、前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた共通電極に与えられる電位と同じであるとしてもよい。
この構成によれば、一方の基板に対向する他方の基板の共通電極に与えられる電位と同電位になるので、共通電極とダミー画素電極あるいはダミー容量電極との間の寄生容量の発生を防止できる。
【0013】
[適用例6]上記適用例の電気光学装置において、前記ダミー画素領域における前記データ線または前記ダミーデータ線と、前記走査線または前記ダミー走査線との交差部分では、前記ダミーデータ線と前記ダミー走査線とのうちいずれか一方が切り欠かれており、切り欠かれた部分に相当する面積を有するダミーパターン部が、前記ダミーデータ線または前記ダミー走査線が設けられた配線層において、前記交差部分の近傍に配置されていることが好ましい。
ダミー画素領域において2つの配線を単純に交差させると、電気光学素子に面する交差部分の表面が凸状になる。この構成によれば、切り欠いた交差部分に相当する面積のダミーパターン部を同層に残すので、画素回路に対するパターン密度をほぼ同等としつつ、一方の基板のダミー画素領域における表面の凹凸を低減することができる。さらに、ダミー画素領域において2つの配線を単純に交差させると、交差部分において、寄生容量が発生する。この構成によれば、切り欠いた部分においては、2つの配線が交差することがないので、2つの配線が積層配置されることによる不要な寄生容量の発生を低減することができる。
【0014】
[適用例7]上記適用例の電気光学装置において、前記ダミーパターン部が前記ダミーデータ線または前記ダミー走査線に接続しているとしてもよい。
この構成によれば、ダミーパターン部が孤立して電気的に浮遊した状態になることを避けることができる。つまり、ダミーパターン部に起因する電気的な不具合を低減できる。
【0015】
[適用例8]上記適用例の電気光学装置において、前記一対の基板は所定の間隔を置いてシールを介して接合され、前記周辺回路は、前記一方の基板において平面的に前記シールで囲まれた領域内に設けられ、前記周辺回路領域および前記ダミー画素領域と前記シールとの間には、前記ダミー画素のうちの少なくとも前記ダミー画素電極が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、画素領域からシール側に遠ざかった部分においても、一対の基板間の間隔をほぼ画素領域と同等にすることができる。
【0016】
[適用例9]上記適用例の電気光学装置において、隣り合う前記ダミー画素電極が互いに接続するようにパターニングされているとしてもよい。
この構成によれば、隣り合うダミー画素電極同士を電気的に接続させ、その一部に所定の電位を与えれば、複数のダミー画素電極間をほぼ同電位とすることができる。
【0017】
[適用例10]上記適用例の電気光学装置において、前記一対の基板のうちの他方の基板の前記電気光学素子に面する側に、少なくとも前記周辺回路領域と重なるように額縁状に設けられた遮光性の見切り部を有することが好ましい。
この構成によれば、一方の基板に周辺回路を設けることに起因して、一対の基板間の間隔がばらつき、電気光学特性のむらが発生する部分を見切り部で遮光して、目立たなくすることができる。また、他方の基板に入射された光により、周辺回路が誤作動を起こすことを防ぐことが出来る。さらに、ダミー画素領域を含めて重なるように見切り部を設ける場合に比べて、見切り部と画素領域との間にはダミー画素領域が設けられているので、見切り部で反射した迷光が画素領域における光と混ざりあって光学的なむらとなる確率を低減することができる。
【0018】
[適用例11]本適用例の電子機器は、上記適用例の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、安定した電気光学特性を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】液晶装置の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A'線で切った断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】液晶装置における各種回路の配置を示す概略平面図。
【図4】画素の構成を示す概略平面図。
【図5】図4のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図6】(a)はダミー画素の構成を示す概略平面図、(b)はダミー画素電極を示す概略平面図。
【図7】図6(a)のC−C’線で切ったダミー画素の構造を示す概略断面図。
【図8】周辺回路領域におけるダミー画素電極の配置を示す概略断面図。
【図9】(a)はスリット構造領域におけるダミーパターンの配置を示す概略平面図、(b)は(a)のF−F’線で切ったダミーパターンの構造を示す概略断面図。
【図10】(a)はその他の領域におけるダミー画素の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のG−G’線で切ったダミー画素の構造を示す概略断面図。
【図11】(a)および(b)は変形例のダミーパターンの配置を示す概略平面図。
【図12】投射型表示装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0021】
(第1実施形態)
本実施形態では、電気光学装置として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0022】
<電気光学装置>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置について図1〜図3を参照して説明する。図1は液晶装置の構成を示す概略図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は同図(a)のA−A'線で切った断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図、図3は液晶装置における各種回路の配置を示す概略平面図である。
【0023】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100は、一対の基板としての素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された電気光学素子としての液晶層50とを有する。
一対の基板のうちの一方の基板としての素子基板10は、透明な例えば石英基板や不透明な例えばシリコン基板を用いることができる。サイズは対向基板20よりも大きく、対向基板20の1辺部側に突出した端子部10aを有する。
一対の基板のうち他方の基板としての対向基板20は、透明な例えば石英基板を用いることができる。両基板は、シール40を介して接合され、その隙間に負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。具体的には、一対の基板のいずれか一方に額縁状にシール40を配置した後に、シール40が配置された方の基板を下方にして両基板を減圧雰囲気下に対向配置する。そして、シール40の内側に所定量の液晶を滴下した後に、両基板を重ね合わせて接合するODF(One Drop Fill)方式によって液晶が封入されている。なお、液晶を封入する方法はODFに限るものではなく、シール40に注入口を設けて液晶を注入した後に、該注入口を封止する方式であってもかまわない。
【0024】
額縁状に配置されたシール40の内側には、複数の画素Pがマトリックス状に配置された画素領域Eが設けられている。また、画素領域Eとシール40との間には、素子基板10の端子部10aに沿ってデータ線駆動回路101が設けられている。該端子部10aと直交し互いに対向する他の2辺部に沿って走査線駆動回路102が設けられている。該端子部10aと対向する他の1辺部に沿って検査回路103が設けられている。これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103を周辺回路と呼ぶ。
周辺回路のうちデータ線駆動回路101と走査線駆動回路102とにそれぞれ電気的に接続された配線105aが端子部10aに配列した複数の外部接続用端子104にそれぞれ接続している。また、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105bが該端子部10aと対向する他の1辺部に沿って検査回路103との間に設けられている。
【0025】
同図(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光反射性を有する画素電極15と、画素電極15の電気的な制御に係るスイッチング素子としての薄膜トランジスター(Thin Film transistor;TFT)30と、TFT30に繋がる信号線類と、画素電極15を覆う保護膜17と、保護膜17を覆う配向膜18とが形成されている。
【0026】
対向基板20の液晶層50側の表面には、額縁状の見切り部21と、見切り部21を覆う平坦化層22と、平坦化層22を覆うように成膜された共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが形成されている。
【0027】
見切り部21は、遮光性を有する例えば、NiやCrなどの金属材料またはその酸化物などの金属化合物や、遮光性の顔料などを含有した樹脂材料を用いて形成されている。
【0028】
平坦化層22は、透明な例えばシリコン酸化膜などの無機材料やアクリル系樹脂など有機材料を用いて形成されている。
【0029】
共通電極23は、透明であって、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの導電性材料を用いて蒸着法やスパッタ法により成膜されている。
【0030】
配向膜18および配向膜24は、例えば無機材料からなる無機配向膜であって、無機材料としてのSiO2(酸化シリコン)を斜方蒸着して得られたものである。液晶層50における液晶分子は配向膜18,24の表面において所定の方位角とプレチルト角とが与えられ、配向膜面に対してほぼ垂直に配向している。
【0031】
対向基板20に設けられた共通電極23は、同図(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線105cに電気的に接続している。配線105cの一方の端は、端子部10aに向けて延設され、外部接続用端子104に接続している。
【0032】
上記配線105a,105b,105cは、例えばAl(アルミニウム)やその合金などの低抵抗金属材料からなるものであり、これに接続された外部接続用端子104は、該低抵抗金属材料からなる基部にさらに低抵抗なAu(金)などのメッキが施されたものである。図示省略したが、外部接続用端子104だけが端子部10aに露出するように、これに繋がる上記配線105a,105b,105cは保護膜17で覆われている。
【0033】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも画素領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aと複数のデータ線6aとを有する。また、走査線3aに対して一定の間隔を置いて平行するように配置された容量線3bを有する。
【0034】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により格子状に区画された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0035】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0036】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0037】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0038】
次に、液晶装置100における各種回路の配置について、図3を参照して説明する。図3は、素子基板10における各種回路の平面的な配置を模式的に示したものである。
【0039】
図3に示すように、素子基板10において、ほぼ中央部分に位置する画素領域Eには、上述した画素回路がマトリックス状に配置されている。画素領域Eの周辺に位置する、データ線駆動回路101を有する領域をデータ線駆動回路領域E1、走査線駆動回路102を有する領域を走査線駆動回路領域E2、検査回路103を有する領域を検査回路領域E3と呼ぶ。また、これらの周辺回路が設けられた領域を総称して周辺回路領域E1〜E3と呼ぶこともある。各周辺回路領域E1〜E3は、画素領域Eに対して間隔を置いて設けられている。画素領域Eと周辺回路領域E1〜E3との間に画素領域Eを囲んで画素回路を模したダミー画素を有するダミー画素領域Edが設けられている。
【0040】
ダミー画素領域Edおよび周辺回路領域E1〜E3とシール40との間にはその他の領域E6が設けられ、その他の領域E6の対向する辺部に沿ってスリット構造領域E4,E5が設けられている。シール40はスリット構造領域E4,E5と重なるように額縁状に設けられている。
【0041】
一方で、対向基板20の液晶層50に面する側には、少なくとも周辺回路領域E1〜E3と重なると共に、ダミー画素領域Edを区画するように、すなわちダミー画素領域Edと重ならないダミー画素領域Edよりも外側の領域に額縁状の見切り部21が設けられている。これは、画素領域Eの近傍の周囲に額縁状の見切り部21を配置すると、額縁状の見切り部21によって入射光が反射してしまい、画素領域Eに迷光として進入してしまうことを防止するためである。
なお、対向基板20における見切り部21の形成位置精度と、素子基板10と対向基板20とのシール40を介した接合における位置精度とを考慮すると、額縁状の見切り部21の一部がわずかにダミー画素領域Edに入り込んで重なっていてもよい。
【0042】
画素領域Eの画素回路は、図2に示したように直交するデータ線6aと走査線3a、そして、走査線3aに並行する容量線3bを有するものである。したがって、画素領域Eとデータ線駆動回路領域E1との間および画素領域Eと検査回路領域E3との間のダミー画素領域Edには、データ線駆動回路101から延びるデータ線6aが存在する。また、画素領域Eと走査線駆動回路領域E2との間のダミー画素領域Edには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aや容量線3bが存在する。
本実施形態のダミー画素領域Edには、これらの周辺回路から延びたデータ線6aと走査線3aおよび容量線3bを含むダミー画素が画素回路を模して設けられており、画素領域Eにおける画素回路のパターン密度と、ダミー画素領域Edにおけるダミー画素のパターン密度とがほぼ等しくなっている。
【0043】
次に、画素回路およびダミー画素の詳細について、図4〜図7を参照して説明する。図4は画素の構成を示す概略平面図、図5は図4のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図、図6(a)はダミー画素の構成を示す概略平面図、(b)はダミー画素電極を示す概略平面図、図7は図6(a)のC−C’線で切ったダミー画素の構造を示す概略断面図である。
【0044】
<画素領域>
図4に示すように、液晶装置100の画素P(画素回路)は、直交するデータ線6aと走査線3a、ならびに走査線3aに並行して配置された容量線3bとを有する。容量線3bには画素P内において幅が拡張され第2容量電極として機能する拡張部3cが設けられている。この拡張部3cを含めた容量線3bに平面的に重なるように第1容量電極として機能する中継電極16aが設けられている。容量線3bに接続された拡張部3cと、これに対向配置された中継電極16aとの間に誘電層が挟まれて保持容量16を構成している。
【0045】
TFT30は、データ線6aと走査線3aの交差点付近に設けられている。また、細長い半導体層30aが走査線3aと交差すると共に、半導体層30aのソース30sがデータ線6aから画素P内に突出した突出部6bと重なり、半導体層30aのドレイン30d側が中継電極16aと重なるように配置されている。
【0046】
画素電極15は、例えばAl(アルミニウム)やその合金などの金属材料からなり、光反射性を有している。また、データ線6a、走査線3a、容量線3b、中継電極16a、TFT30と重なるようにして配置されている。
【0047】
図5に示すように、TFT30は、素子基板10上に形成された例えば高温ポリシリコンからなるLDD(Lightly Doped Drain)構造の半導体層30aを有する。半導体層30aは、例えば酸化シリコンからなるゲート絶縁膜11によって覆われ、ゲート絶縁膜11上において半導体層30aのチャンネル領域に重なるようにして走査線3aが設けられている。つまり、TFT30は走査線3aの一部がゲート電極となるトップゲート構造の薄膜トランジスターである。
【0048】
走査線3aを覆うようにして第1層間絶縁膜12が設けられ、第1層間絶縁膜12上に容量線3bならびにその拡張部3cが設けられている。容量線3bおよび拡張部3cを覆うように第2層間絶縁膜13が設けられ、第2層間絶縁膜13上にデータ線6aおよび突出部6b、中継電極16aがパターニング形成されている。第2層間絶縁膜13は、保持容量16における誘電層として機能する。
【0049】
データ線6aおよび突出部6b、中継電極16aを覆うように第3層間絶縁膜14が設けられ、第3層間絶縁膜14上に画素電極15が設けられている。また、画素電極15を覆って、保護膜17、配向膜18が順に形成されている。
【0050】
走査線3a、容量線3b、データ線6a、中継電極16aは、いずれもAlやその合金などの低抵抗配線材料からなり、データ線6aの突出部6bは、ゲート絶縁膜11、第1層間絶縁膜12、第2層間絶縁膜13を貫通するように設けられた開口部を低抵抗配線材料によって埋めたコンタクトホール13aを介して半導体層30aのソース30sと接続している。
【0051】
中継電極16aは、ゲート絶縁膜11、第1層間絶縁膜12、第2層間絶縁膜13を貫通するように設けられた開口部を低抵抗配線材料によって埋めたコンタクトホール13bを介して半導体層30aのドレイン30dと接続している。
【0052】
また、中継電極16aは、第3層間絶縁膜14を貫通するように設けられた開口部を画素電極15の形成材料を用いて埋めたコンタクトホール14aを介して画素電極15と接続している。
【0053】
<ダミー画素領域>
上記画素P(画素回路)の構成とその平面的且つ厚み方向における立体的な配置に対して、ダミー画素領域Edに設けられたダミー画素は、これを模した構成と構造とを有するものである。
【0054】
具体的には、図6(a)に示すようにダミー画素Pdは、画素回路の構成に対してTFT30を除いた構成を模したものであって、ダミー走査線3d、ダミー容量線3e、ダミー容量線3eの拡張部3f(ダミー第2容量電極)、ダミー中継電極16d(ダミー第1容量電極)、ダミーデータ線6dの構成中から、ダミー画素領域Edにおけるダミー画素Pdの配置位置に基づいて選択されて構成される。
【0055】
より具体的には、データ線駆動回路領域E1と画素領域Eとの間のダミー画素領域Edでは、図3に示したようにデータ線6aが延在している。したがって、当該ダミー画素領域Edに配置されるダミー画素Pdは、ダミーデータ線6dを有する必要はなく、データ線6aとその突出部6b、ダミー走査線3d、ダミー容量線3eとその拡張部3f、ダミー中継電極16dとから構成される。
同じく、走査線駆動回路領域E2と画素領域Eとの間のダミー画素領域Edでは、図3に示したように走査線3aおよび容量線3bが延在している。したがって、当該ダミー画素領域Edに配置されるダミー画素Pdは、走査線3a、容量線3bとその拡張部3c、ダミー中継電極16d、ダミーデータ線6dとその突出部6eとから構成される。
画素領域Eを囲むダミー画素領域Edの四隅では、実際の駆動に用いる走査線3a、容量線3b、データ線6aはいずれも配置されていないので、当該ダミー画素領域Edに配置されるダミー画素Pdは、ダミー走査線3d、ダミー容量線3e、ダミー容量線3eの拡張部3f、ダミー中継電極16d、ダミーデータ線6dとから構成される。
【0056】
図7に示すように、素子基板10において、ダミー走査線3dはゲート絶縁膜11上に設けられ、ダミー容量線3eとその拡張部3fは第1層間絶縁膜12上に設けられている。同様に、ダミー中継電極16dおよびダミーデータ線6dは、第2層間絶縁膜13上に設けられ、ダミー画素電極15dは第3層間絶縁膜14上に設けられている。つまり、画素回路の各構成と同層において、それぞれが設けられているので、単位面積あたりにダミーパターンが占める割合だけでなく、素子基板10における厚み方向においてダミーパターンが占める割合も、画素回路と同じになっている。
【0057】
これにより、画素領域Eにおける画素回路のパターン密度とダミー画素領域Edにおけるダミー画素Pdのパターン密度とがほぼ等しくなるので、例えば、第3層間絶縁膜14の表面における凹凸を緩和して、平坦化するためにCMP処理を施すと、CMP処理における研磨むらが減少し、より平坦な処理面が得られる。このようなCMP処理は、画素電極15やダミー画素電極15dを覆う保護膜17に対して適用してもよい。
CMP処理の処理面がより平坦になることで、素子基板10と対向基板20との間隔のばらつきを低減して均一にすることができる。すなわち、液晶層50の厚みが均一になり、表示むらが低減され安定した表示品質を有する液晶装置100を実現できる。
【0058】
また、図6(a)に示すように、ダミー画素Pdのダミー画素電極15dは、ダミー画素領域Edにおいて島状に孤立させた状態としてもよいが、電気的には対向して配置されたダミー画素Pdの他の構成との間に寄生容量が発生するおそれがある。前述したようにダミー画素Pdをどこに配置するかによって、ダミー画素Pdは、実際の駆動に用いられる走査線3a、容量線3b、データ線6aのいずれかを含む場合があるので、発生した寄生容量によって画素Pに伝達されるべき各種の駆動信号に鈍りが生ずると、例えばクロストークなどの表示むらを招いてしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、図6(b)に示すように、ダミー画素領域Edに設けられた複数のダミー画素Pdのうち隣り合うダミー画素電極15dが互いに接続されるようにパターン形成した。これにより、互いに接続されたダミー画素電極15dを同電位とすることができる。
【0060】
同様な技術思想をダミー中継電極16dにも当てはめると、例えば、図6(a)において、ダミー中継電極16dに重なるようにコンタクトホール13cを設けてダミー中継電極16d同士を繋ぐ配線に接続させてもよい。
【0061】
さらに、相互に接続されたダミー画素電極15dおよびダミー中継電極16dとが同電位となるように接続してもよい。とりわけ安定した同電位とし、且つ対向基板20に設けられた共通電極23との間においても寄生容量を発生させないという観点において、上記同電位が共通電極23に与えられるコモン(COM)電位であることが好ましい。
図1(a)に示したように、素子基板10には、四隅に設けられた上下導通部106を介して共通電極23に繋がる配線105cを有しているので、この配線105cとダミー画素電極15dおよびダミー中継電極16dとを接続するようにパターニングすることが好ましい。
【0062】
続いて、ダミー画素領域Ed以外の領域におけるダミーパターンの構成について、図8〜図11を参照して説明する。図8は周辺回路領域におけるダミー画素電極の配置を示す概略断面図、図9(a)はスリット構造領域におけるダミーパターンの配置を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のF−F’線で切ったダミーパターンの構造を示す概略断面図、図10(a)はその他の領域におけるダミー画素の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のG−G’線で切ったダミー画素の構造を示す概略断面図、図11(a)および(b)は変形例のダミーパターンの配置を示す概略平面図である。
【0063】
<周辺回路領域>
図8に示すように、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103の各周辺回路は、画素領域Eおける画素回路の製造工程において素子基板10に同時に造りこまれるものである。したがって、画素回路に設けられたTFT30と同じ構成を有する薄膜トランジスターを有して構成され、データ線駆動回路101や検査回路103には、当然のことながらデータ線6aが含まれ、走査線駆動回路102には、走査線3aが含まれる。本実施形態では、このような周辺回路101,102,103を覆う第3層間絶縁膜14上にもダミー画素電極15dを設けている。
【0064】
つまり、図3に示したデータ線駆動回路領域E1、2つの走査線駆動回路領域E2、検査回路領域E3の少なくとも4つの周辺回路領域には、例えば、図6(b)に示したように隣り合うダミー画素電極15dを繋ぎ合わせたダミーパターンを形成することが好ましい。
【0065】
<スリット構造領域>
図3に示すように、素子基板10におけるスリット構造領域E4,E5は、シール40と重なる位置に設けられている。シール40は素子基板10と対向基板20とを所定の間隔を置いて接合させるものであり、一定の径を有するガラスなどの粒子や繊維(グラスファイバー)などのギャップ剤が含まれている。それでも、接合部位の基板表面に凹凸が生じていると上記所定の間隔が安定しない。そのため、シール40と重なる領域においても基板表面の平坦性が求められる。したがって、上記周辺回路領域と同様にしてダミーパターンを配置することが望ましいが、この領域には、図1に示したように複数の外部接続用端子104に接続される複数の配線105a,105b,105cが配置される。それゆえに、周辺回路領域と同様な構造のダミーパターンを配置することは困難である。
【0066】
また、本実施形態では、シール40として紫外線硬化型の接着剤を用いている。したがって、シール40と重なる領域に遮光性を有する配線105a,105b,105cに加えてダミーパターンを多数配置すると、紫外線の照射が阻害され、シール40が十分に硬化しないという課題がある。
【0067】
そこで、本実施形態では、図9(a)に示すように、スリット構造領域E4,E5には、互いに孤立した状態で間隔をおいて配置されたダミーパターン15eを設けた。
【0068】
また、図9(b)に示すように、上記ダミーパターン15eは、第3層間絶縁膜14上において配置されたものであって、素子基板10においては、上記ダミーパターン15eに対応して、その下方における各配線層においても同様にダミーパターン3d,3f(3e),16dを配することが好ましい。これによって、外部から照射された紫外線がシール40にむらなく届きやすくなる。また、例えば、第3層間絶縁膜14にCMP処理を施す際に処理面の平坦性を確保しやすくなる。
【0069】
前述したようにスリット構造領域E4,E5には、配線105a,105b,105cが配置される。各配線105a,105b,105cを素子基板10のどの配線層に配置するかは設計上の課題となる。したがって、上記ダミーパターン3d,3f(3e),15e,16dは、素子基板10における配線105a,105b,105cの延在方向を考慮して、該延在方向に沿った状態で邪魔にならないように配置することが好ましい。
【0070】
<その他の領域>
図3に示すように、その他の領域E6は、シール40の内側であってデータ線駆動回路領域E1、走査線駆動回路領域E2、検査回路領域E3の周辺回路領域と、ダミー画素領域Edとの間の領域である。その他の領域E6の一部には、図1に示すように配線105a,105bが設けられている。したがって、配線105a,105bに邪魔にならないように、先に示したスリット構造領域E4,E5と同様なダミーパターンを配置する。
【0071】
その一方で、上記周辺回路領域やダミー画素領域Edに近接する部分では、図10(a)に示すように、画素回路の構成に模したダミー画素Pd1を配置することが好ましい。
【0072】
具体的には、ダミー画素Pd1は、ダミー走査線3d、ダミー容量線3eおよび拡張部3f、ダミーデータ線6d、ダミー画素電極15dを有する。これらのダミーパターンの素子基板10における配置構造は、図10(b)に示すように、画素回路の構成にそれぞれ対応して同層に設けられている。
【0073】
なお、ダミー画素Pd1は、ダミー画素領域Edに配置されたダミー画素Pdに対して、ダミー中継電極16dが削除されている。ダミー中継電極16dを削除することで、拡張部3fやダミー画素電極15dとの間で、無用な寄生容量の発生を防止することが可能となる。
【0074】
その他の領域E6のうちダミー画素Pd1を設けることが可能な部分のほとんどは、図3に示すように、対向基板20に設けられた見切り部21によって遮光されるので、この部分の平坦性に纏わる不具合が目立ち難い。よって、ダミーパターンのパターン密度を厳密に画素領域Eの画素回路と等しくしなくてもよい。
【0075】
次に、ダミー走査線3dやダミーデータ線6dのように互いに交差するダミーパターンの変形例について、図11を参照して説明する。図11(a)および(b)は変形例のダミーパターンの配置を示す概略平面図である。
【0076】
例えば、ダミー走査線3dとダミーデータ線6dとを平面的に交差するように配置する場合、それぞれは、素子基板10において別な配線層に形成されるものの、交差した部分の例えば第3層間絶縁膜14上には凹凸が生じ易い。また、それぞれが、異なる電位であった場合、寄生容量が発生する。
【0077】
変形例では、図11(a)に示すように、交差する部分のダミーデータ線6dを切り欠き、切り欠かれた部分の面積とほぼ同じ面積のダミーパターン部6cを交差点の近傍に配置する。これにより、パターン密度を変化させずに、すなわち凹凸を生じさせることなく、ダミーパターンを配置することができる。また、切り欠いた部分においては、2つの配線が交差することがないので、2つの異なる電位の配線が積層配置されることによる不要な寄生容量の発生を低減することができる。変形例では、ダミーデータ線6dを切り欠いたが、ダミー走査線3dを切り欠いてもよい。
【0078】
また、前述したように、このような交差が予測されるのは、ダミー画素領域Edであって、その一部には、駆動に用いられる走査線3a、容量線3b、データ線6aが含まれるので、これらを切り欠くことはできない。したがって、問題にならない方のダミーパターンを切り欠くことは言うまでもない。
【0079】
さらには、図11(b)に示すように、切り欠いた部分の面積と同じダミーパターン部6cをダミーデータ線6dに接続させてもよい。ダミーパターン部6cが同層において孤立しないので、無用な寄生容量の発生を防止することができる。
【0080】
同様な考え方に基づけば、図6(a)のダミー画素Pdにおいて、素子基板10の同層に設けられるダミーデータ線6dとダミー中継電極16dとを接続させるようにパターニングしてもよい。これによれば、ダミー画素Pd間において、ダミーデータ線6dを利用してダミー中継電極16d同士を電気的に同電位とすることができる。
【0081】
以上に述べた第1実施形態によれば、画素領域Eを取り囲んでダミー画素Pdを有するダミー画素領域Edが設けられており、画素回路のパターン密度とダミー画素Pdのパターン密度とがほぼ等しくなっているので、CMP処理による処理面の平坦化が図られる。
それゆえに、少なくとも画素領域Eおよびダミー画素領域Edに亘る領域において、素子基板10と対向基板20との間隔を均一にすることができる。すなわち、液晶層50の厚みが当該領域で均一となるので、表示むらが低減され、優れた表示品位を有する液晶装置100を実現できる。
【0082】
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)について、図12を参照して説明する。図12は投射型表示装置の構成を示す模式図である。
【0083】
図12に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)1000は、システム光軸Lに沿って配置した光源部710と、インテグレーターレンズ720と、偏光変換素子730から概略構成される偏光照明装置700とを備えている。また、この偏光照明装置700から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面741により反射させる偏光ビームスプリッター740と、偏光ビームスプリッター740のS偏光光束反射面741から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロックミラー742と、分離された青色光(B)を変調する反射型液晶ライトバルブ745Bとを備えている。同様にして、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロックミラー743と、分離された赤色光(R)を変調する反射型液晶ライトバルブ745Rとを備えている。また、ダイクロックミラー743を通過する残りの光の緑色光(G)を変調する反射型液晶ライトバルブ745Gを備えている。さらには、3つの反射型液晶ライトバルブ745R,745G,745Bにて変調された光をダイクロックミラー743,742、偏光ビームスプリッター740にて合成し、この合成光をスクリーン760に投射する投射レンズからなる投射光学系750を備えている。
【0084】
光源部710から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレーターレンズ720により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレーターレンズを光入射側に有する偏光変換素子730により偏光光束がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッター740に至るようになっている。偏光変換素子730から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッター740のS偏光光束反射面741によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロックミラー742の青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ745Bによって変調される。また、ダイクロックミラー742の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロックミラー743の赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ745Rによって変調される。一方、ダイクロックミラー743の赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ745Gにより変調される。以上のようにして反射型液晶ライトバルブ745R,745G,745Bによって色光の変調がなされる。
これらの反射型液晶ライトバルブ745R,745G,745Bの画素から反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッター740を通過せず、P偏光成分は通過する。この偏光ビームスプリッター740を透過した光により画像が形成される。
【0085】
上記反射型液晶ライトバルブ745R,745G,745Bは、上記第1実施形態の液晶装置100を適用したものである。具体的には、対向基板20側から偏光光束が入射するように、それぞれ配置されている。対向基板20に設けられた見切り部21は、実際の画像が表示される画素領域Eを囲んだダミー画素領域Edの外側において、これを囲むように設けられている。したがって、見切り部21を画素領域Eに近接させて囲むように設ける場合に比べて、見切り部21によって反射した偏光光束の一部が画素領域Eに配置された画素電極15から反射し変調された反射光に混ざり難くなっている。例えば、画素領域Eにおいて、黒表示がなされた場合には、ダミー画素領域Edにおいても黒表示状態が維持され、且つ見切り部21からの偏光光束の反射に伴う迷光の影響が低減されるので、高いコントラストの画像表示が可能となる。
【0086】
本実施形態によれば、従来のものよりも高コントラストな画像表示が可能な投射型表示装置(液晶プロジェクター)1000を提供できる。
【0087】
なお、反射型液晶ライトバルブ745R,745G,745Bの偏光光束の入射(および射出)側に、液晶層50における液晶分子のプレチルトに起因する位相差(リターデーション)を光学的に補償する光学補償素子を配置した構造としてもよい。
【0088】
本実施形態では、電子機器の一例として上記第1実施形態の液晶装置100を備えた投射型表示装置1000について説明したが、上記第1実施形態の液晶装置100は、投射型表示装置1000に限らず、種々の電子機器に搭載することができる。
この電子機器としては例えば、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた情報機器などがあり、液晶装置100はこれらの表示手段として好適に用いることができる。
【0089】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0090】
(変形例1)上記第1実施形態の液晶装置100は、反射型であるが、これに限定されない。素子基板10を透明な基板材料を用いて構成し、画素電極15を透明なITOなどの導電膜とすれば透過型の液晶装置100を提供することができる。また、透過型の液晶装置100を用いても高いコントラストの画像表示が得られる投射型表示装置を構成することができる。
【0091】
(変形例2)上記第1実施形態の液晶装置100における画素P(画素回路)の構成は、これに限定されない。とりわけ、反射型の液晶装置100においては、素子基板10において画素電極15の下層に配置されるTFT30やこれに繋がる配線類は、表示に影響を及ぼさないので、透過型に比べて自由に配置することができる。
【0092】
(変形例3)上記第1実施形態では、電気光学装置の一例として液晶装置100を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、共に電極を有する一対の基板間に、電気光学素子としての電気泳動層を備えた電気泳動装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
3a…走査線、3b…容量線、3c…第2容量電極としての拡張部、3d…ダミー走査線、3e…ダミー容量線、3f…ダミー第2容量電極としての拡張部、6a…データ線、6c…ダミーパターン部、6d…ダミーデータ線、10…一対の基板のうちの一方の基板としての素子基板、15…画素電極、15d…ダミー画素電極、16a…第1容量電極としての中継電極、16d…ダミー第1容量電極としてのダミー中継電極、20…一対の基板のうちの他方の基板としての対向基板、21…見切り部、23…共通電極、30…スイッチング素子としてのTFT、40…シール、50…電気光学素子としての液晶層、100…電気光学装置としての液晶装置、101…周辺回路としてのデータ線駆動回路、102…周辺回路としての走査線駆動回路、103…周辺回路としての検査回路、1000…電子機器としての投射型表示装置、E…画素領域、Ed…ダミー画素領域、E1〜E3…周辺回路領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に電気光学素子が挟持された電気光学装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板側に設けられ、
複数の画素回路を有する画素領域と、
前記画素領域の周辺に設けられ、前記画素回路の駆動に係る周辺回路を有する周辺回路領域と、
前記画素領域を囲むように前記周辺回路領域との間に設けられ、ダミー画素を有するダミー画素領域とを備え、
前記ダミー画素が前記画素回路を模したものであって、前記画素領域における前記画素回路のパターン密度と、前記ダミー画素領域における前記ダミー画素のパターン密度とがほぼ等しいことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画素回路は、画素電極と、前記画素電極のスイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続されたデータ線および走査線ならびに容量電極とを少なくとも有し、
前記ダミー画素は、前記一方の基板上において前記画素回路の構成とそれぞれ同層に設けられた、ダミー画素電極と、ダミーデータ線およびダミー走査線のうち少なくとも一方と、ダミー容量電極と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記容量電極は、前記一方の基板上において前記画素電極と異なる層に設けられ、電気的に前記画素電極に接続された第1容量電極と、前記第1容量電極に誘電層を介して対向するように設けられた第2容量電極とを有し、
前記第2容量電極は同層に設けられた容量線に接続され、
前記ダミー画素は、前記ダミー容量電極としてのダミー第1容量電極およびダミー第2容量電極と、ダミー容量線とを含むことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
複数の前記ダミー画素電極および/または複数の前記ダミー容量電極のそれぞれに同電位が与えられていることを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記同電位は、前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた共通電極に与えられる電位と同じであることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記ダミー画素領域における前記データ線または前記ダミーデータ線と、前記走査線または前記ダミー走査線との交差部分では、前記ダミーデータ線と前記ダミー走査線とのうちいずれか一方が切り欠かれており、切り欠かれた部分に相当する面積を有するダミーパターン部が、前記ダミーデータ線または前記ダミー走査線が設けられた配線層において、前記交差部分の近傍に配置されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記ダミーパターン部が前記ダミーデータ線または前記ダミー走査線に接続していることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記一対の基板は所定の間隔を置いてシールを介して接合され、
前記周辺回路は、前記一方の基板において平面的に前記シールで囲まれた領域内に設けられ、
前記周辺回路領域および前記ダミー画素領域と前記シールとの間には、前記ダミー画素のうちの少なくとも前記ダミー画素電極が設けられていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
隣り合う前記ダミー画素電極が互いに接続するようにパターニングされていることを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記一対の基板のうちの他方の基板の前記電気光学素子に面する側に、少なくとも前記周辺回路領域と重なるように額縁状に設けられた遮光性の見切り部を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−164189(P2011−164189A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24077(P2010−24077)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】