説明

電磁気バンドギャップパターン及びその製造方法、並びに電磁気バンドパターンを利用した保安製品

【課題】 多様な保安コードを生成することができる電磁気バンドギャップパターン及びその製造方法、並びに電磁気バンドギャップパターンを利用した保安製品を提供する。
【解決手段】 不導体の基板、及び基板上に伝導性物質で形成され、複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターンが組み合せられて規則的に配列されたパターン部を含む。これは、伝導性物質層が形成された基板上に感光性フィルムを被着し、前記感光性フィルム上に、前記パターン部が描かれた陰性感光性フィルムを被着し、前記陰性感光性フィルムが被着された感光性フィルムを露光処理し、前記露光処理された感光性フィルムを現像することで、前記感光性フィルム上に前記パターン部を形成し、前記現像された感光性フィルムを利用して前記基板上の前記伝導性物質層の一部をエッチングし、前記基板上に前記伝導性物質でなる前記パターン部を形成することで製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁気バンドギャップ(Electromagnetic Band Gap;EBG)パターンに係り、より詳しくは電磁気バンドギャップパターン及びその製造方法、並びに電磁気バンドギャップパターンを利用した保安製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マイクロ波バンドギャップ(Microwave Bandgap;MBG)構造または電磁気波バンドギャップ構造はマイクロストリップ上に具現されて、アンテナの性能改善、増幅器の電力効率の向上、共振器の高Qの実現、及び高調波成分の抑制、新類型のデュープレクサーの設計などの多様な目的で利用されている。電磁気波バンドギャップ構造に応用されたマイクロストリップ回路は、誘電体基板を穿孔する方法、接地面を周期的な形状に食刻する方法、マイクロストリップライン自体を変形させる方法などによって製造されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような問題点を解決するために、本発明は、多様な保安コードを生成することができる電磁気バンドギャップパターン及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明によるEBGパターンは、不導体の基板;及び前記基板上に伝導性物質で形成され、複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターンが組み合せられて規則的に配列されたパターン部;を含む。
【0005】
前記パターン部は、前記基板上に伝導性物質で形成され、前記複数の開ループパターンまたは前記複数の閉ループパターンと組み合せられて規則的に配列された複数のバー(bar)パターンをさらに含むことができる。
【0006】
前記伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含むことができる。
【0007】
前記基板は、紙、PVC(Polyvinylchloride)シート、PC(Polycarbonate)シート、PET(Polyethylene terephthalate)シート、PETG(Glycol modified Polyethylene terephthalate)シート、PVC(Polyvinylchloride)とABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂の混合物でなるシート、PC(Polycarbonate)とPETG(Glycol modified Polyethylene terephthalate)樹脂の混合物でなるシート、ポリエステル(Polyester)系合成紙、及び金属薄膜が形成された基板の中でいずれか1種を含むことができる。
【0008】
前記パターン部は一定周波数帯域で共振し、前記共振の際、共振周波数の値は、前記基板の誘電率、前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンのライン幅及び長さ、前記組み合せられた複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターン間の間隔、または前記ギャップの大きさによって変わることができる。
【0009】
前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンは四角形であり、前記四角形の開ループパターンのそれぞれに形成されたギャップは4方向の中でいずれか一方向に形成され、前記パターン部は、一定周波数帯域で共振し、前記四角形の開ループパターンのそれぞれに形成されたギャップの方向によって1回以上共振することができる。
【0010】
前記パターン部は一定周波数帯域で共振し、前記共振の際、共振周波数の値は、前記基板の誘電率、前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンのライン幅及び長さ、前記組み合せられた複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターン間の間隔、前記ギャップの大きさ、または前記バーパターンの長さによって変わることができる。
【0011】
前記目的を達成するために、本発明によるEBGパターンを製造する方法は、伝導性物質層が形成された基板上に感光性フィルムを被着し、前記感光性フィルム上に、前記パターン部が描かれた陰性感光性フィルムを被着する段階;前記陰性感光性フィルムが被着された感光性フィルムを露光処理する段階;前記露光処理された感光性フィルムを現像することで、前記感光性フィルム上に前記パターン部を形成する段階;及び前記現像された感光性フィルムを利用して前記基板上の前記伝導性物質層の一部をエッチングし、前記基板上に前記伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;を含む。
【0012】
前記伝導性物質層は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む薄膜であってもよい。
【0013】
前記基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明によるEBGパターンを製造する方法は、スクリーン板を利用して前記パターン部が形成されたマスクを形成する段階;前記基板上に前記マスクを密着させ、前記マスクを通じて前記基板上に伝導性物質を塗布する段階;及び前記伝導性物質が塗布された基板を塑性することで、前記基板上に前記伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;を含む。
【0015】
前記伝導性物質層は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む伝導性インクであってもよい。
【0016】
前記基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0017】
前記目的を達成するために、本発明によるEBGパターンを製造する方法は、インクジェットプリンティング方式によって前記基板上に伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;及び前記基板上に形成された前記パターン部を塑性してEBGパターンを形成する段階;を含む。
【0018】
前記伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む伝導性インクであってもよい。
【0019】
前記基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0020】
前記目的を達成するために、本発明による保安製品はID識別及び偽造防止のための保安製品であって、不導体の基板、及び前記基板上に伝導性物質で形成され、複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターンが組み合せられて規則的に配列されたパターン部でなるEBGパターンを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、EBGパターンによる周波数特性を有価証券またはID分野などに適用することで、新しい保安要素として活用することができる。
【0022】
また、EBGパターンの変数を調整することによって多様な保安コードを生成することができるので、偽造や変造の防止のための保安技術として多様に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例によるEBGパターンを示す図である。
【図2】本発明の一実施例による閉ループパターン、開ループパターン及びバーパターンの一例を示す図である。
【図3a】周波数反射特性において、基板の誘電率変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図3b】周波数透過特性において、基板の誘電率変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図4a】周波数反射特性において、ギャップの大きさ変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図4b】周波数透過特性において、ギャップの大きさ変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図5a】周波数反射特性において、パターンの厚さ変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図5b】周波数透過特性において、パターンの厚さ変化による共振周波数値の変化を示す図である。
【図6】パターンの位置による周波数透過特性の変化を示す図である。
【図7】共振周波数が一つの周波数で現れるパターンとその周波数特性を示す図である。
【図8】共振周波数が二つの周波数で現れるパターンとその周波数特性を示す図である。
【図9】共振周波数が三つの周波数で現れるパターンとその周波数特性を示す図である。
【図10】本発明のEBGパターンを利用した保安コード生成方法の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法を示す図である。
【図12】本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法を示す図である。
【図13】本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法を示す図である。
【図14】本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な一実施例によるEBGパターンについて詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施例によるEBGパターンを示す図である。図1を参照するに、本発明の一実施例によるEBGパターンは、基板10及びパターン部20を含む。
【0026】
基板10は不導体のもので、通常2〜5の誘電率(ε)を持つ誘電体基板であることができる。また、基板10は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、ポリエステル系合成紙、及び金属薄膜が形成された基板の中でいずれか1種を含んで形成できる。
【0027】
パターン部20は、基板10上に伝導性物質で形成された閉ループパターンと開ループパターンでなる。すなわち、パターン部20は、図2に示すように、ラインが切れた部分であるギャップを持つ開ループパターン20bとギャップがない閉ループパターン20aが組み合せられており、このようなパターンらが規則的に配列されている。ここで、閉ループパターン20aと閉ループパターン20bは円形または四角形などの多角形構造に形成されたものであることができる。
【0028】
一方、基板10上には、伝導性物質でなるバーパターン20cが形成できる。バーパターン20cは閉ループパターン20aまたは閉ループパターン20bと組み合せられて規則的に配列できる。
【0029】
閉ループパターン20a、開ループパターン20b、及びバーパターン20cの伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、NiまたはFeなどの金属成分を含むことができる。最後に、基板10とパターン部20でなるEBGパターン層はその上下部にそれぞれ印刷層と保護層が形成されたカード状に製作できる。
【0030】
本発明の一実施例によるEBGパターンは、CLL(Capacitively loaded loop)でなる閉ループパターン20aと開ループパターン20bをセル単位で持ち、閉ループパターン20aと開ループパターン20bが組み合せられて基板10上に規則的に配列された形態である。このようなEBGパターンはLC共振回路に近似することができ、共振による特定周波数帯域で反射及び透過特性を示す。このような周波数透過/反射特性を利用して保安コードを生成するのに活用することができる。
【0031】
パターン部20の共振の際、共振周波数の値は、下記の数式のように、等価インダクタンス(L)と等価キャパシタンス(C)によって決まる。
【0032】
【数1】

共振周波数(f)において、等価インダクタンス(L)と等価キャパシタンス(C)の値を変えることができる変数としては、基板10の誘電率(ε)、閉ループパターン20aと開ループパターン20bをなすライン幅21及び長さ、ルーフパターン間の間隔23、開ループパターン20bに形成されたギャップの幅25またはバーパターン20cの長さ27などがある。
【0033】
本発明の一実施例では、それぞれの変数を変えながら共振周波数の値の変化を調べた。
【0034】
図3〜図9は本発明の一実施例による保安装置の周波数特性を示す図である。図3〜図9に示すグラフにおいて、横軸(Frequency(GHz))の周波数範囲は8GHz〜12GHzにし、縦軸のS11及びS21は入力に対する出力値をログスケールで示す値で、0に近いほど低い遮蔽能を示し、絶対値が大きくなるほど高い遮蔽能を示す。
【0035】
図3aは、周波数反射特性において、基板の誘電率(ε)変化による共振周波数値の変化を示すグラフであり、図3bは、周波数透過特性において、基板の誘電率(ε)の変化による共振周波数値の変化を示すグラフである。
【0036】
図3a及び図3bに示すように、基板の誘電率(ep)を3.8から2.2まで減らしながら共振周波数値の変化を観察した。その結果、基板の誘電率(ep)が小さくなるほど等価インダクタンス(L)と等価キャパシタンス(C)の値が減少し、これにより共振周波数値(f)が増加することを確認することができる。
【0037】
図4aは、周波数反射特性において、ギャップの幅変化による共振周波数値の変化を示すグラフであり、図4bは、周波数透過特性において、ギャップの幅変化による共振周波数値の変化を示すグラフである。
【0038】
図4a及び図4bに示すように、ギャップの幅25を0.5mmから2mmまで減らしながら共振周波数値の変化を観察した。その結果、ギャップの幅25が増加するにつれて等価キャパシタンス(C)が小さくなり、これにより共振周波数値(f)が増加することを確認することができる。
【0039】
図5aは、周波数反射特性において、パターンの厚さ21の変化による共振周波数値の変化を示すグラフであり、図5bは、周波数透過特性において、パターンの厚さ21の変化による共振周波数値の変化を示すグラフである。
【0040】
図5a及び図5bに示すように、パターンの厚さ21を0.2mmから0.8mmまで増やしながら共振周波数値の変化を観察した。その結果、パターンの厚さ21が増加するにつれて等価インダクタンス(L)が小さくなり、これにより共振周波数値(f)が増加することを確認することができる。
【0041】
また、同じ形態のEBGパターンを適用したとき、そのパターンが形成された位置によって周波数の透過特性の変化が起こることができる。すなわち、図6に示すように、EBGパターンが形成されたコア層が保安装置の中央(Height=0mm)から遠くなるほど実効誘電率が小さくなるため、等価インダクタンス(L)と等価キャパシタンス(C)が減少し、これにより共振周波数値(f)が増加することを確認することができる。
【0042】
この外に、共振周波数値を変化させることができる方法としては、それぞれのパターンを伝導性物質で形成し、それぞれのパターンの一部を非伝導性物質で形成する方法がある。
【0043】
図7〜図9は開ループパターンに形成されたギャップの方向による多様な周波数特性を示すグラフである。
【0044】
本発明の一実施例では、EBGパターンを四角形のルーフパターンにし、8GHz〜12GHzの特定周波数の範囲で開ループパターン20bのギャップの方向を変えながら周波数特性を観察した。実験では、EBGパターンが四角形パターンであるので、ギャップの方向を4方向の中でいずれか1方向にギャップを形成した。その結果、ギャップの方向によって、図7に示すように、共振周波数が一つの周波数で現れる‘Single Band’特性と、図8に示すように、二つの周波数で現れる‘Dual Band’特性と、図9に示すように、三つの周波数で現れる‘Triple Band’特性を示す。
【0045】
したがって、本発明の一実施例によるEBGパターンは、基板の誘電率(ε)、ギャップの大きさ、パターンの厚さ、パターンの位置などの変数を調整することで、多様な共振周波数値を得ることができ、ギャップの方向によって多様なバンド特性を示すことができる。
【0046】
このような特性は多様なEBG保安コードを生成するのに活用することができる。すなわち、任意の周波数帯域でEBGパターンの出力値を検査し、この際に共振が起これば‘0’、共振が起こらなければ‘1’で示してEBG保安コードを生成することができる。例えば、本発明によるEBGパターンが図10に示すような周波数遮断特性を示す場合、8GHz、9GHz、10GHz、11GHz、12GHzでその出力値を検査すれば、11GHzでだけ共振が起こるので、これをコード値‘0’で示すことができ、残りの検査した周波数をコード値‘1’で示すことができる。よって、図10の周波数検査結果を用いて、‘11101’の保安コードで具現することができる。
【0047】
本発明による基板10及びパターン部20でなるEBGパターンは、ID識別及び偽造防止などのための保安製品に応用できる。このような保安製品は、EBGパターンが挿入された有価証券、身分証または保安カードであることができる。
【0048】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な一実施例によるEBGパターンの製造方法について詳細に説明する。
【0049】
図11〜図14は本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法を示す図である。以下に説明するEBGパターンは、閉ループパターン及び開ループパターンが組み合せられて規則的に配列された形態の図1に示すパターン部20であることができる。
【0050】
本発明の一実施例によるEBGパターンの製造方法は、エッチングによる方法、スクリーンプリンティングによる方法、及びインクジェットプリンティングによる方法である。
【0051】
1−1)エッチングによるEBGパターンの製造方法
伝導性物質層が形成された基板上に感光性フィルムを被着した後、感光性フィルム上にEBGパターンが描かれた陰性(Negative)感光性フィルムを被着する。ここで、EBGパターンは、閉ループパターン及び開ループパターンが組み合せられて規則的に配列された形態の図1に示すパターン部20であることができる。また、この際のEBGパターンにはバーパターンがさらに含まれることができる。基板上に形成された伝導性物質層はAu、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む薄膜であることが好ましい。基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0052】
ついで、感光性フィルムが密着された基板を露光処理した後、現像することで、基板上に必要なパターンを得る。感光性フィルムでマスキングされなかった基板上の伝導性物質層の一部をエッチングして食刻する。その後、不要な感光性フィルムを除去し、基板上に伝導性物質でなるEBGパターンを形成する。
【0053】
1−2)実験例
EBGパターン構造が持つ特定周波数に対する透過/反射特性を確認するために、図11aに示すように、誘電率3.5を持つ銅箔(Cu)が被着されたTACONIC RF 35基板を利用して保安装置を製造した。
【0054】
まず、図11に示すように、誘電率3.5の銅箔(Cu)が被着されたTACONICRF 35基板を準備し、基板上に感光性フィルム(S930、日立化成工業社製)を被着し、感光性フィルム上にEBGパターンが描かれた陰性感光性フィルムを被着して図11bのように形成する。EBGパターンにおいて、ルーフパターンの形態は四角形パターンにした。また、四角形パターンの一辺の長さは3.55mm、ギャップの大きさは0.7mm、パターンの厚さは0.7mm、パターン間の間隔は0.5mmにした。
【0055】
ついで、陰性感光性フィルムが被着された感光性フィルムをXenon lamp(6KW)に約50秒〜120秒間露出させた後、現像及びエッチング過程を行うことで、図11cのように、基板上にCuでなるEBGパターンを形成した。
【0056】
このような方法で形成されたパターンに対する周波数特性を確認した結果、8GHz〜12GHzの周波数帯域の中で9.52GHzと11.46GHzで周波数遮断特性を示した。
【0057】
1−3)実験例
実験例1と同様な方式でTACONIC RF 35基板の両面に同一形態のEBGパターンを図12の(b)+(b)’のように形成した。このような方法に形成されたパターンに対する周波数特性を確認した結果、8GHz〜12GHzの周波数帯域の中で9.28GHzと10.4GHzで周波数遮断特性を示した。
【0058】
2−1)スクリーンプリンティングによるEBGパターンの製造方法
まず、スクリーン板を利用して、EBGパターンが形成されたマスクを形成する。
【0059】
ついで、基板上にマスクを密着させ、マスクを通じて基板上に伝導性物質を塗布する。ここで、伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む伝導性インクであることが好ましい。また、基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0060】
最後に、伝導性物質が印刷された基板をUVまたは熱風で塑性するかあるいは基板上に複数のEBGパターンを繰り返し形成する。
【0061】
2−2)実験例
まず、スクリーン板を利用して、EBGパターンが形成されたマスクを製作する。マスクの製造方法を説明すれば次のようである。まず、スクリーン板(300mesh)に感光液を塗布し充分に乾燥させた後、乾燥したスクリーン板に、EBGパターンが形成されたポジティブフィルムを密着させる。この際、EBGパターンにおいて、それぞれのルーフパターンの形態は四角形パターンにし、四角形パターンの一辺の長さは3.55mm、ギャップの大きさは0.5mm、パターンの厚さは0.5mm、パターン間の間隔は0.5mmにした。ついで、Xenon lamp(6KW)に約180秒〜200秒間露出させ、水を噴射して洗浄過程を経った後、図13aに示すように、EBGパターンが形成されたマスクを製作する。
【0062】
その後、誘電率3.3266のPCシート上に、EBGパターンが形成されたマスクを配置し、配置されたマスクを通じて伝導性インクを塗布することで、PCシート上にEBGパターンを印刷する。ついで、約130℃〜150℃で20分間伝導性インクを塑性することで、図13bのEBGパターンを形成した。
【0063】
このような方法で形成されたパターンに対する周波数特性を確認した結果、8GHz〜12GHzの周波数帯域の中で8GHzと11.4GHzで周波数遮断特性を示した。
【0064】
3−1)インクジェットプリンティングによる製造方法
インクジェットプリンティングによる製造方法は、インクジェットプリンターを利用して基板上にEBGパターンを印刷し、印刷されたEBGパターンを塑性することで、EBGパターンを形成する方法である。この際、使用される伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む伝導性インクであることが好ましい。また、基板は、紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことができる。
【0065】
3−2)実験例
まず、誘電率3.3266のPCシートを印刷用紙として準備し、インクジェットプリンター(Xenjet 3000)を利用してPCシート上にEBGパターンを印刷することで、図14dに示すようなEBGパターンを形成する。この際、EBGパターンにおいて、ルーフパターンは四角形パターンにし、四角形パターンの一辺の長さは3.55mm、ギャップの大きさは0.8mm、ラインの厚さは0.8mm、パターン間の間隔は0.5mmにした。また、伝導性インクはナノタイプのCuインクにした。
【0066】
このような方法で形成されたパターンに対する周波数特性を確認した結果、8GHz〜12GHzの周波数帯域の中で9.07GHzと11.72GHzで周波数遮断特性を示した。
【0067】
以上説明したように、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明の技術的思想及び必須特徴を変えず、本発明を他の具体的な形態に実施することができるということが理解可能であろう。
【0068】
したがって、以上に開示した実施例はすべての面で例示的なもので限定的なものではないことを理解しなければならなく、本発明の範囲は前述の詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって決められ、特許請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価の概念から導出されるすべての変更または変形の形態は本発明の範囲に属するものとして解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0069】
10 基板
20 パターン部
20a 閉ループパターン
20b 開ループパターン
20c バーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁気バンドギャップパターンであって、
不導体の基板;及び
前記基板上に伝導性物質で形成され、複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターンが組み合せられて規則的に配列されたパターン部;
を含む、EBGパターン。
【請求項2】
前記パターン部は、
前記基板上に伝導性物質で形成され、前記複数の開ループパターンまたは前記複数の閉ループパターンと組み合せられて規則的に配列された複数のバー(bar)パターンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のEBGパターン。
【請求項3】
前記伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のEBGパターン。
【請求項4】
前記基板は、
紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、ポリエステル系合成紙、及び金属薄膜が形成された基板の中でいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のEBGパターン。
【請求項5】
前記パターン部は一定周波数帯域で共振し、
前記共振の際、共振周波数の値は、前記基板の誘電率、前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンのライン幅及び長さ、前記組み合せられた複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターン間の間隔、または前記ギャップの大きさによって変わることを特徴とする、請求項1に記載のEBGパターン。
【請求項6】
前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンは四角形であり、
前記四角形の開ループパターンのそれぞれに形成されたギャップは4方向の中でいずれか一方向に形成され、
前記パターン部は、一定周波数帯域で共振し、前記四角形の開ループパターンのそれぞれに形成されたギャップの方向によって1回以上共振することを特徴とする、請求項1に記載のEBGパターン。
【請求項7】
前記パターン部は一定周波数帯域で共振し、
前記共振の際、共振周波数の値は、前記基板の誘電率、前記複数の閉ループパターン及び前記複数の開ループパターンのライン幅及び長さ、前記組み合せられた複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターン間の間隔、前記ギャップの大きさ、または前記バーパターンの長さによって変わることを特徴とする、請求項2に記載のEBGパターン。
【請求項8】
請求項1に記載のEBGパターンを製造する方法であって、
伝導性物質層が形成された基板上に感光性フィルムを被着し、前記感光性フィルム上に、前記パターン部が描かれた陰性感光性フィルムを被着する段階;
前記陰性感光性フィルムが被着された感光性フィルムを露光処理する段階;
前記露光処理された感光性フィルムを現像することで、前記感光性フィルム上に前記パターン部を形成する段階;及び
前記現像された感光性フィルムを利用して前記基板上の前記伝導性物質層の一部をエッチングし、前記基板上に前記伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;
を含むことを特徴とする、EBGパターンの製造方法。
【請求項9】
前記伝導性物質層は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む薄膜であることを特徴とする、請求項8に記載のEBGパターンの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のEBGパターンを製造する方法であって、
スクリーン板を利用して前記パターン部が形成されたマスクを形成する段階;
前記基板上に前記マスクを密着させ、前記マスクを通じて前記基板上に伝導性物質を塗布する段階;及び
前記伝導性物質が塗布された基板を塑性することで、前記基板上に前記伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;
を含むことを特徴とする、EBGパターンの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載のEBGパターンを製造する方法であって、
インクジェットプリンティング方式によって前記基板上に伝導性物質でなる前記パターン部を形成する段階;及び
前記基板上に形成された前記パターン部を塑性してEBGパターンを形成する段階;
を含むことを特徴とする、EBGパターンの製造方法。
【請求項12】
前記伝導性物質は、Au、Al、Ag、Cu、Ni及びFeの中でいずれか1種以上を含む伝導性インクであることを特徴とする、請求項10または11に記載のEBGパターンの製造方法。
【請求項13】
前記基板は、
紙、PVCシート、PCシート、PETシート、PETGシート、PVCとABS樹脂の混合物でなるシート、PCとPETG樹脂の混合物でなるシート、及びポリエステル系合成紙の中でいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項8、10または11に記載のEBGパターンの製造方法。
【請求項14】
ID識別及び偽造防止のための保安製品であって、
不導体の基板、及び前記基板上に伝導性物質で形成され、複数の閉ループパターン及び複数の開ループパターンが組み合せられて規則的に配列されたパターン部でなるEBGパターンを含む、保安製品。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−272865(P2010−272865A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115423(P2010−115423)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(510139117)
【Fターム(参考)】