説明

非均一な磁界を有する磁気励起プラズマチャンバ

【課題】 ワークピースの表面の上に一様なイオン流束の瞬間分布を生成する。具体的には、我々の発明において磁気励起は、新規な磁界パターンを生成するマグネットによってなされる。ワークピースに平行且つこれに隣接する領域内では、その地点における磁界の方向が、(1)その点における磁界の大きさの勾配と(2)ワークピース面から垂直にプラズマの方へ延びるベクトルとのベクトル外積となるように、瞬間磁界の大きさと方向が関連している。
【解決手段】 磁気励起は、新規な磁界パターンを生成するマグネットによってなされる。ワークピースに平行且つこれに隣接する領域内では、その地点における磁界の方向が、(1)その点における磁界の大きさの勾配と(2)ワークピース面から垂直にプラズマの方へ延びるベクトルとのベクトル外積となるように、瞬間磁界の大きさと方向が関連している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気励起プラズマを用いる半導体製造プロセスチャンバに関する。特に、本発明は、半導体ワークピースへのイオン衝突の瞬間的な均一性を向上させるような非均一な磁界を有する上記のチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
半導体製造プロセスチャンバは一般に、プラズマを用いて、シリコンウエハ又はその他のワークピース上への半導体デバイス製造のための様々なプロセスの性能を向上させる。このようなプロセスには、スパッタエッチング、プラズマ励起化学エッチング、プラズマ励起化学気相堆積(CVD)やイオン化スパッタ堆積が含まれる。プラズマ中の成分のエネルギーレベルは高いため、これにより製造プロセスの速度が一般に増加し、また、プロセス実行のため半導体ワークピースが維持されるべき温度をしばしば低減する。
【0003】
磁気励起型のプラズマチャンバは、磁界を利用してプラズマ中の荷電粒子密度を増加させ、それによってさらに、プラズマ励起製造プロセスの速度を増加させる。半導体デバイス製造コストが製造のために必要な時間に直接比例するため、プロセス速度を増加させることは非常に有利となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの利点にもかかわらず、実用において多くのプラズマチャンバは磁気励起を採用しておらず、その理由は、磁気励起がウエハ上の半導体デバイスにダメージを与える可能性を増大させることが見出されたからである。( Fang & McVittie, "Charging damage to gate oxides in an O2magnetron plasma", J.Appl. Phys., vol. 72, no. 10, pp. 4865-4872, 15November 1992; 及び Fang &McVittie, "The role of antenna structure on thinoxide damage from plasma induced wafer charging", Mat. Res. Soc. Symp.Proc., vol. 265, pp. 231236, 1992.を参照)。したがって、半導体デバイス損傷の危険を減じつつも従来の磁気励起の利益を享有するような、磁気励起プラズマチャンバが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
我々は、従来の磁気励起プラズマチャンバ中で半導体デバイスがダメージを受ける主な原因について、従来においては理想的であると思われていた一様な磁界が実は、プレシース内で電子のExBドリフトを引き起こし、次いでこれがイオン流束を発生させて半導体ウエハ又はワークピースに衝突させ、ワークピースの表面全体に対しての分布を不均一にすると考える。我々の発明は、ワークピースの表面の上に一様なイオン流束の瞬間分布を生成する磁気励起プラズマチャンバである。
【0006】
具体的には、我々の発明において磁気励起は、新規な磁界パターンを生成するマグネットによってなされる。ワークピースに平行且つこれに隣接する領域内では、その地点における磁界の方向が、(1)その点における磁界の大きさの勾配と(2)ワークピース面から垂直にプラズマの方へ延びるベクトルとのベクトル外積となるような関係を、瞬間磁界の大きさと方向が有している。
【0007】
我々の磁界の方向のため、プレシースの中で電子のExBドリフトが、磁界強度が最大である領域から離れるように且つ強度が最低の領域の方に向かうように発生すると我々は考える。生じたExBドリフトは、磁界強度が高い領域において自由電子の発生速度が最大になる傾向を相殺する。それゆえに、ExBドリフトの効果と強度の不均一性とを均衡させて、半導体ワークピースに隣接するプレシース内で、自由電子密度の瞬間的均一性を向上させることが可能である。このように電子分布の瞬間的均一性が向上することにより、ワークピースに衝突するイオン流束の瞬間的均一性を向上させると我々は考える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体デバイス損傷の危険を減じつつも従来の磁気励起の利益を享有するような、磁気励起プラズマチャンバが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.磁気励起型のプラズマチャンバ
本発明を説明する前に、従来の磁気励起プラズマチャンバ中におけるイオン流束(ion flux)の瞬間的な不均一性の理由を説明する。図1は、エッチング又は化学気相堆積(CVD)の何れかに適する磁気励起プラズマチャンバを示す。
【0010】
真空チャンバは、円筒状の側壁12と、円形の底壁14と、円の頂壁(あるいはリッド)16とによって囲まれる。リッド16と底壁14は、誘電体又はメタルであってもよい。電気的に接地されたアノード電極18は、リッド16の底部に装着される。アノード電極は、処理ガスがチャンバに流入するガス流入口として機能するために、多孔体であってもよい。側壁12は、誘電体かメタルであってもよい。メタルである場合は、チャンバの外側の電磁コイルにより発生した磁界を妨害しないよう、メタルは非磁性体(陽極処理アルミニウム等)である必要がある。側壁がメタルである場合は、アノードの一部として作用する。
【0011】
半導体ウエハないしワークピース20は、カソード電極22の上に載置され、これは次いでそのチャンバの下側の端の中に載置される。真空ポンプ(図示せず)により、チャンバから排気マニホルド23を介してガスが排気され、チャンバの中の全ガス圧力を、プラズマの生成を容易にするに十分低いレベルに維持するが、この範囲は代表的には、10ミリトール〜20トールであり、この下端はエッチングプロセスに、上端はCVDプロセスに、それぞれ代表的な圧力である。
【0012】
RF電源24は、直列結合コンデンサー26を介してカソード電極22に接続される。RF電源は、チャンバの内部でガスを励起してプラズマ状態とするためのRF電圧を、カソード電極と接地アノード電極18の間に与える。プラズマ本体は、イオン化したプロセスガスの成分を加速してカソード電極及びアノード電極に衝突させるだけの、カソード電極又はアノード電極に対する時間平均正DC電位又は電圧を有している。
【0013】
プラズマの磁気励起は最も一般的には、カソード電極とアノード電極の間の領域にあるDC磁界によって実現される。この磁界の方向は、チャンバの縦軸に交差し、すなわちカソード電極とアノード電極の間に延びる軸に交差する。従来技術では、このような横磁界を提供するためには、永久磁石か電磁石の様々な構成が用いられる。この構成は、円筒状のチャンバ側壁12の反対側の上で配置される1対のコイル30(図1に示される)である。2つのコイル30は、直列且つ同調にDC電源(図示せず)に接続されるため、これら2つのコイルの間の領域に加えられる横磁界が生成される。この横磁界は、x軸に沿ってマイナス側に向いているベクトルBにより、図1(a)及び図1(b)に示されている。好ましい具体例では、各コイルの直径は、2つのコイルの間の間隔にほぼ等しい。(図1(b)に示されるコイル32の第2の対については後述するが、ここでの説明ために無視してもよい)。この磁気励起のプラズマエッチングチャンバの例が、1993年6月1日発行のChengらの米国特許第5,215,619号に記載される。
【0014】
プラズマ本体がカソード電極22に対して正の時間平均ポテンシャルないし電圧を有しているため、カソードに隣接するプラズマプレシース中の時間平均電界Eが、プラズマからカソードの方に下向きになっており、このため、ベクトルVeにより図1(a)に表現されるように、その時間平均値がプラズマ本体の方に上向きに指向されるドリフト速度ベクトルVをプレシース中の自由電子に与える。DC磁界ベクトルBに応答して、これらの自由電子は、その時間平均値が半導体ウエハ20と共面で磁界ベクトルBに直交するq(vxB)力(これは一般にExBドリフトと称される)を経験し、これは、図1(b)においてy軸に沿った方向を有するExBベクトルで例示される如きである。(この説明の中で、「時間平均」の語は、プラズマが励起されるRF周波数(複数のRF周波数の場合を含む)の1周期についての平均を意味し、この周期は典型的には10の−7乗秒未満である。1RF周期に対する時間平均は、磁界に対して相対的にワークピースが随意回転することによる時間平均には無関係であり、この回転周期は典型的には0.1〜2秒のオーダーである)。
【0015】
我々は、自由電子のこのExBドリフトが、従来の磁気励起プラズマチャンバにおける半導体デバイス損傷の主要な原因であると考える。具体的には、ExBドリフトがプラズマプレシース中で非一様に自由電子を分布させるため、電子密度が負のy軸から正のy軸へ、最小値から最大値へと変化すると我々は考える。換言すれば、プレシース中の電子密度は、ウエハ20の6時(方位角270゜)の位置の近隣で最低となり、ウエハ20の12時(方位角90゜)の位置の近隣で最高となる。電子密度が高い場合は、高いイオン濃度を生じさせ、このためウエハに衝突するイオンの流束は、ウエハの6時の位置で最低となり12時の位置で最高となる。我々は、ウエハに衝突するイオン流束がこのように空間的に非均一であることによって、ウエハ上の半導体デバイスにたびたび損傷を与える電流をウエハに発生させると考える。
【0016】
本発明はこの理論に依拠するものではないが、イオン流束の瞬間的な空間的非均一性による損傷の機構が次のようであると我々は考える。イオン流束の空間的非均一性は、空間的に非均一な電荷の蓄積をウエハに引き起こす。この電荷における差は、ウエハ上の別々の点の間に電圧と電流を発生させる。ウエハ上に形成された誘電構造体の何れかの間の電圧が、この誘電構造体の最大安全電圧を上回るならば、この構造体を介して電流が流れ誘電構造体に損傷を与え、これによりウエハ上の一つ以上の半導体デバイスに損傷を与えるだろう。我々は、ウエハに衝突するイオン流束の瞬間的な空間分布の均一性が高くなれば、このような損傷の可能性が減ると考える。
【0017】
従来の磁気励起プラズマチャンバでは、磁界をウエハに対して低速で回転させることによってこの非均一性を改良しようとし、この低速とは典型的には、毎秒1.5〜5回転の範囲の回転数である。デザインによっては、ウエハ20又はマグネット30を物理的に回転するものもある。別のデザインでは、図1(b)に例示されるように、第1のコイル対30に直交する第2のコイル対32を与えることによって、回転を電子的に行っている。DC電源を周期的且つ連続的に、(1) 第1のコイル対30に正の極性で接続し、(2) 第2のコイル対32に正の極性で接続し、(3) 第1のコイル対30に負の極性で接続し(4) 第2のコイル対32に負の極性で接続することにより、磁界を90度づつの増加量で回転させることができる。あるいは、DC電源に代えて、第2のコイル対32に与えられる電流から位相が90゜ずれた電流を第1のコイル対30に与える直交出力を有する周波数の非常に低い(0.1〜10Hzの範囲)電源を用いることにより、磁界を連続的に回転させることができる。
【0018】
ウエハに対して磁界を回転させることにより、ウエハに衝突するイオン流束時間平均の空間的非均一性を大きく減少させ、従って、この磁界により、ウエハ表面上におけるエッチング速度(エッチングチャンバ中)又は堆積速度(CVDチャンバ中)の空間的均一性を許容できる程度に提供することができる。しかし、磁界を回転することは、何れにせよウエハ表面上のイオン流束の瞬間的な空間的均一性を向上させることはなく、したがって、磁気励起のプラズマチャンバ内における半導体デバイス損傷の問題を解決しない。従って、磁気励起は、半導体製造のための実用レベルのプラズマチャンバにおいて小さな割合でしか用いられてこなかった。
【0019】
2.本発明の概要
我々の発明は、ウエハ面の上で電子がExBドリフトによって電子がそこへ掃引されて入るプラズマプレシースの領域で最も微弱となりExBドリフトによって電子がそこから掃引され出ていく領域で最も強力となる磁界を提供することによってイオン流束の瞬間的な空間的均一性を改善する。更に数学的に述べるならば、我々の発明は、ウエハの平面における点での強度が、ウエハの平面の中のExBベクトルの投射の反対の方向に指向する(即ち、この投射から約180゜の方向を有する)勾配ベクトルで特性が与えられる磁界を提供する(この磁界は、ウエハ表面全体に対してこのような性質を具備する必要はなく、この磁界がウエハ表面の大部分において係る性質を具備するならば、我々の発明の利点は維持される。)。
【0020】
より高い磁界強度を有しているプラズマの領域では、自由電子の密度はより高くなる。ExBドリフトが電子密度を減少させる傾向があるプラズマプレシースの領域に最も強い磁界強度を提供することにより、そしてExBドリフトが電子密度を増やす傾向がある領域に最も弱い磁界を提供することにより、我々の発明は、ウエハに隣接のプレシース全体について電子密度を等しくすることを促進する。プレシースの中の空間的電子密度の一様性をより高めることにより、ウエハに衝突するイオン流束の空間的一様性を更に高める。このように、我々の発明は、ウエハに衝突するイオンの瞬間的な空間的均一性を改善することにより、ウエハ上の半導体デバイス損傷の危険を減少させるものである。
【0021】
3.1対の隣接の磁極によって生成する曲磁界
図2(a)は、2つの隣接した直交コイルを用いて磁界を発生させる本発明の一具体例を示す。2つの同じ環状コイルは、直列に、又は図中に例示されるように並列に接続される。この系列又は並列の結合は、DC電源60に接続される。好ましくは、DC電源60の出力電流は、従来のマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサー65により制御され、人間のオペレーターによる磁界強度の調整を容易にする。
【0022】
第1のコイル40は、ウエハ20の9時の位置(方位角180゜)に配置され、x軸に垂直に指向し、x軸に沿って指向する(即ちx軸正方向又は方位角0゜)磁界を生成する極性を有するDC電源に接続する。第2のコイル42は、ウエハ20の12時の位置(方位角90゜)に配置され、y軸に垂直に指向し、y軸に沿って指向する(即ちy軸正方向又は方位角90゜)磁界を生成する極性を有するDC電源に接続する(図を単純化するため、ウエハを囲むチャンバ壁12は、図2(a)以下の図において省略される。)。
【0023】
この2つのコイルにより、領域の中でウエハ表面の真上の領域に磁界が生成する(具体的には、プラズマシース及びプレシースをウエハに隣接して有する領域において)が、これは、ウエハの上方からウエハを見下ろした場合に反時計回りである。ここで数学的には、ウエハ表面の真上の領域における磁界のベクトル「カール(curl)」関数(▽xB)は、ウエハ表面からプラズマ本体の方に上向きである。図2(a)では、反時計回りの磁界パターンが、第2のコイル42の方に向かいそこで終わっている44a、44b、44c、44dによって表現される。ウエハ20の表面上方では、磁界強度はウエハの周縁上の方位角135゜の場所の点Pで最強となるが、その理由は、この点で2つのコイル相互が最も接近するからであり、すなわち、その点Pを通る磁界線44aは、ウエハの表面に交差する他のどの磁界線よりも短くなるからである。また磁界強度はウエハの周縁上の方位角315゜の場所の点Qで最弱となるが、その理由は、この点で2つのコイル相互が最も遠くなるからであり、すなわち、その点Qを通る磁界線44dは、ウエハの表面に交差する他のどの磁界線よりも長くなるからである。点P及び点Qを決めるまた別の方法としては、2つの電磁石コイル40と42との間の角の頂点Vから最も近い点と最も遠い点をとることが挙げられる。
【0024】
図2(a)においてExBベクトルによって例示されるように、この反時計回りの磁界パターンにより、自由電子のExBドリフトが、プラズマプレシース中で磁界線に直交の方向に生成する。より具体的には、ウエハ表面の上の異なる点においてExBベクトルは異なる方向を指向するが、常に、これらは最強の磁界線44aから離れる方へ、そして、最弱の磁界線44dへ向かう方に向く。例えば、自由電子のExBドリフトは、最強の磁界強度を有している点Pから離れ、且つ、最弱の磁界強度を有している点Qの方へ向かう。
【0025】
磁界強度の空間的変化については、プレシース中の点Pの近くで電子密度が最大となりプレシース中の点Qの近くで電子密度が最小となる傾向がある。しかし、ExBベクトルの方向は、正反対の結果(即ちプレシース中では点Pで電子密度が最小、点Qで電子密度が最高)を生じがちである。従って、磁界強度変化の効果とExBドリフトの効果が互いに相殺されるため、ウエハ表面に隣接するプレシース中では、自由電子の瞬間的な分布の空間的均一性が高くなる。
【0026】
プレシース中で自由電子の瞬間的分布の空間均一性がこのように高くなることにより、ウエハに衝突するイオン流束の瞬間的な空間分布の均一性が高くなり、それによって、ウエハ上の半導体デバイスへの損傷のリスクが低減する。
【0027】
従来の設計におけると同様に、エッチングチャンバにおけるエッチング速度やCVDチャンバにおける堆積速度の時平均の均一性は、マグネットをウエハに対して低速で回転させることにより、あるいはウエハをマグネットに対して回転させることにより、更に改善することができる。ワークピースを取り囲む電磁石のアレイを提供し、磁界がワークピースの中心の周りで回転させるシーケンスで電磁石に動力を供給することによって、この回転は、機械的にではなく電気的に実行することができる。この電気による回転の方法については、下記に詳述する。
【0028】
2つの電磁石は直交であるように記載されているが、何故なら、この幾何的関係により、電磁石が円形半導体ウエハ20にできるだけ近く配置されるようになるからである。しかし、たとえ2つの電磁石の間の角が劇的に変化した場合でも、本発明の磁界パターンは生成されるだろう。この原理を極端な例で例示するため、図2(b)に、同一平面上の4つの電磁石40及び42により形成された磁界を示すが、これらマグネットの角度は見る場所にもよるが0゜又は180゜である。磁界の勾配が磁界の方向に対して略垂直であるので、ウエハ20の上方の磁界パターンは本発明の要求を満たしており、また、ウエハ上方の磁界が最も強力な場所では、磁界曲線は、点Pに対して反時計方向である。
【0029】
図2(b)に示される同一平面の場合よりも実用的価値の高い幾何的関係としては、2つの隣接する電磁石40と42の間の角が45゜〜150゜の範囲となる幾何的関係が挙げられるだろう。この角度を上げれば、点Pから点Qへの磁界強度勾配が増加することが予想されるため、ウエハ20の上方のイオン流束の空間的均一性に影響を及ぼすだろう。この均一性は、2つの電磁石の間の角を調節することによって最適化されてもよい。例えば、2つの垂直な電磁石により点Pにおけるよりも大きなイオン流束を点Qで生成する場合は、2つのコイルの間の角度を上げれば、点Qでイオン流束が減少しそのため空間的均一性が向上すると予想される。
【0030】
90゜以外の角度で2つの電磁石を配向させるもう一つの見込まれる理由は、ウエハの周縁のまわりに4個以上の電磁石のアレイを用いることができることである。マグネットの数を増やすことにより、ウエハ表面上方の磁界パターンを精密に調整することができ、イオン流束の空間的均一性を最適化することができる。電磁石が、ウエハを包囲する多角形として配列される場合は、2つの隣接の電磁石の間の角は180゜−(360゜/N)であり、Nは電磁石の数(すなわち多角形の中の面の数)である。
【0031】
また別の代替的な具体例では、2つの電磁石について、電磁石40に代えて40とほぼ同じ場所にN磁極片、電磁石42に代えて42とほぼ同じ場所にS磁極片を配置させた場合、本発明の磁界パターンを生成することができる。このN磁極片とS磁極片は、永久磁石や電磁石を含むあらゆるタイプの単一マグネットのN極とS極に接続することができる。これら2つの磁極片と共に単一マグネットを使う一つの利点は、これら2つの磁極片の間でウエハ20が配置される領域において磁界の集中度が進む点にある。
【0032】
4.2対の直交コイルからの曲線磁界
ここまで説明した2つのコイルの具体例についての我々の実験では、図2(a)の中で示された特定のコイル幾何学的形状に対して、磁界強度の空間的変化に起因する電子密度の差がExBドリフトに起因する差を上回ることを示す。従って、イオン流束の空間的均一性が従来の磁気励起のプラズマチャンバの上に大きく改善される一方、点Pの近隣のイオン流束は点Qの近隣のイオン流束より大きくなる。
【0033】
図3(a)に示される具体例では、直交コイル50,52の第2の対を加えることによって空間的均一性を更に向上させる。コイルの第2の対は点Q近くの磁界強度を増強して、点Pから点Qへの磁界強度減少の率を低減する。好ましくは、2つのコイル対からの結合された磁界が強さの中で点Pから点Qまで傾いたままとなるよう、全磁束は、第2のコイル対によって生成される全磁束は、第1のコイル対によって生成するそれに較べて十分に小さくなければならない。換言すれば、第2のコイル対がこの減少の率を低減しつつも点Pから点Qへの磁界強度の減少を排除ないし逆転させることはないことが好ましい。第1ないし主のコイル対40、42により生成した全磁束と第2のコイル対50、52により生成した全磁束の比R(ここでR>1)は、以下に説明する手段により、ウエハ20の表面上方のイオン流束の空間的均一性を最大にするように調節されるべきである。
【0034】
第2のコイル対50、52の何れかは、第1の対と同じDC電源60に接続されるか、あるいは、第2のDC電源62に接続される。これは後者の方が好ましいが、その理由は、マイクロコントローラ65が2つの電源を調節することによってコイルの2つの対に供給される電圧又は電流を別々に調節できるようにするからである。
【0035】
第2の対の2つのコイル50、52は互いに同じものであるが、第1の2つのコイル40、42まで同一である必要はない。第1のコイル50は、ウエハ20の6時の側(方位角270゜)に配置され、y軸に垂直な方向を有し、y軸に沿う方向を有する(即ちy軸の正方向又は方位角90゜の)磁界を生成する極性で、第2のDC電源62に接続する。第2のコイル52は、ウエハ20の3時の側(方位角0゜)に配置され、x軸に垂直な方向を有し、x軸と反対の方向を有する(即ちx軸の負方向又は方位角180゜の)磁界を生成する極性で、第2のDC電源62に接続する。
【0036】
コイルの第2の対50、52は、ウエハ表面の真上の領域で時計回りの円パターンの磁界を生成するが、この領域とは具体的には、プラズマシース及びウエハ隣接のプレシースを有する領域のことである。数学的には、ウエハ表面真上の領域における磁界(▽xB)のベクトル「カール(curl)」関数は、ウエハのすぐ植えのプラズマ本体の方向からウエハ表面に向かって下向きに向いている。図3では、矢印の先が第2のコイル52に向かいこれに到達する円弧54a、54b、54c、54dによって、時計回りの磁界パターンが表現される。これは、第1の対のコイル40及び42により生成した磁界の反時計回りのパターン44とは反対である。
【0037】
ウエハ20の表面の上方では、コイルの第2の対からの磁界強度は、ウエハの周縁上の方位角315゜である点Qで最大となり、その理由は、この点でコイルの第2の対の2つのコイル50、52が互いに最も接近するからである。ウエハの周縁上の方位角135゜である点Pでは、コイルの第2の対からの磁界強度は最小となり、その理由は、この点でコイルの第2の対の2つのコイルが互いに最も遠くなるからである。
【0038】
図3(b)は、図3(a)とは異なる代替的な具体例を例示するが、ここでは、4つのコイルが一緒になって八角形の横断面を有するよう、各コイルの側部は、45゜の角度に内側に曲げられる。この具体例は、コイルを側壁が八角形の外部表面を有するプロセスチャンバの側壁12の上で装着するのを容易にするために設計されたものである。そのようなプロセスチャンバの例が、米国特許5,215,619号(6/1/93発行、Chengら)及び米国特許5,225,024号(7/6/93発行、Hanleyら)に記載されている。
【0039】
このように八角形の形状とする目的は単に方形のチャンバで実現されるよりも多くのチャンバを詰めて設置し易いからであり、このことにより装置が占める床面積を最小にするのである。この八角形の形状は、磁界パターンを改良するために選択されたわけではない。
【0040】
コイル50,52の第2ないし「2次的な」対は、コイル40、42の第1ないし「主の」対より弱い磁界を生成するように設計又は調整される。例えば、R倍大きな磁界を発生させるため、第1の対のコイル40、42それぞれのワイヤの巻き数は、第2の対のコイル50、52それぞれの巻き数よりR倍大きくてもよい。より好ましくは、コイルの第1の対と第2の対は同じであるが、第1の対は第1の電源60に、第2の対は第2のDC電源62にそれぞれ接続され、また、第1の電源60により第1のコイル対40、42に供給される電流が第2の電源62により第2のコイル50、52に供給される電流のR倍大きくなるように、コントローラ65はこれら2つの電源の一方又は何れかを調節する。
【0041】
図4は、ここまで図3(b)で説明した直径200mmのウエハにおいて中心及び周縁上の4点における磁界強度の測定を示す。4つのコイルのそれぞれは、同じであった。各コイルのワイヤは300巻きであり、チップとチップの間の長さは33cmであった。各コイルのまっすぐな中心の部分は、長さ29cmであった。ウエハの反対側にあるコイル同士の間隔(例えば、コイル42と50の間隔)は、36cmであった。これらの測定に対して、第1の電源60は第1の対のコイルに4Aの電流を与え、第2の電源62は第2の対のコイルに、電流1Aを与えた(従って、R=4)。
【0042】
この比Rは、ウエハ20に衝突するイオン流束の空間的均一性を最大にするように調節されるべきである。点Qよりも点Pの方が磁界強度が高いため点Pの近くでイオン発生の速度が大きくなることにより、プラズマシース中で点Pから点QへのイオンのExBドリフトがオフセットになる場合に、均一性は最大になる。
【0043】
我々は、プラズマチャンバの中で実行できる様々なプロセスに対して、ウエハに衝突するイオン流束の空間的均一性を最適化する比Rの値を見出した。特に、下記に説明するように、Rに対する最適値がチャンバ圧力に依存すること我々は見出した。従って、本発明の磁気励起方法を用いて従来のプラズマエッチングプロセスやプラズマCVDプロセスを改良する場合は、第1のコイル対と第2のコイル対に異なるレベルの電流を供給するように調節された2つの電源を用いて、一連のウエハに所望のエッチングプロセスやCVDプロセスを行うことを推奨する。ウエハそれぞれへのエッチング又は堆積の空間的均一性は、従来のレーザー干渉計を用いて測定することができる。プロセス速度と空間的均一性の最高の組合わせを実現するコイル電流の値は、この測定値に基づいて選択することができる。
【0044】
下記に説明するように、磁界パターンがウエハに対して回転する場合は、上記の空間的均一性の試験を実行している間は、この回転を停止させなければならない。そうでなければ、この回転が、方位的に平均化する効果を発揮し、プロセスの瞬間的な非均一性を偽装的なものとするだろう。
【0045】
また別の代替的な具体例では、2つの主の電磁石について、電磁石40に代えて40とほぼ同じ場所にN磁極片、電磁石42に代えて42とほぼ同じ場所にS磁極片を配置させた場合、本発明の磁界パターンを生成することができる。このN磁極片とS磁極片は、永久磁石や電磁石を含むあらゆるタイプの単一マグネットのN極とS極に接続することができる。同様に、2つの2次的な電磁石について、電磁石50に代えて50とほぼ同じ場所にN磁極片、電磁石52に代えて52とほぼ同じ場所にS磁極片を配置させた場合、本発明の磁界パターンを生成することができる。この2次的なN磁極片とS磁極片は、あらゆるタイプの単一マグネットのN極とS極に接続することができ、これは2次マグネットと呼ぶことができる。主のマグネットの磁力強度は、2次的のマグネットのそれよりR倍大きくあるべきである。
【0046】
比較例
我々は、第1のコイル対を流れる電流と第2のコイル対(第1のコイルと同じ)を流れる電流の比Rの異なるプラズマエッチングプロセスに対し、直径200mmのシリコンウエハ上の酸化シリコン層のエッチングについて空間的均一性を測定した。各ケースにおいて、プロセスガス混合物は、CHF3が45sccm、CF4が15sccm、Arが150sccmから成っていた。このチャンバは、図1に示されたと同様の容量結合のデザインであり、また、そして、カソード22とアノード18の間に接続されるRF電源24は、13.56MHzの周波数で1000ワットのRF動力を供給するよう調節された。干渉計(interferometer)により、ウエハ表面の上に一様に分布する225点における酸化物層の厚さを測定した。我々は、225個の厚さ測定値の標準偏差(1シグマ)と、最大厚さ及び最小厚さと平均厚さとの間の差とに基づき、瞬間的なエッチング速度の空間的均一性を判断した。
【0047】
この一連の試験において、瞬間的なエッチング速度均一性について、図2のコイル2本の具体例と、図3(b)のコイル4本の具体例とを比較した。チャンバ圧力が200mT、磁界がウエハ中心で約30G(一次コイル40、42のそれぞれへの電流が4A)の条件で、1シグマエッチング速度非均一性について、コイル2本の具体例では10.6%と測定され、これはコイル4本の具体例においてR=4で6.9%、R=6.7で7.4%と比較された。従って、約30%だけ瞬間的なエッチング速度均一性が改善されているため、図3(b)のコイル4本の具体例は、図2のコイル2本の具体例より優れている。
【0048】
図3(b)のコイル4本の具体例においてRの最適値を決定するため、我々は、ウエハの中心における磁界強度が20Gと60Gの場合について、R=3.3とR=5に対する付加試験を実行した。20Gの試験では、瞬間的なエッチング速度の1シグマ不均一性は、R=3.3で5.4%、R=5で4.7%であった。60Gの試験では、この不均一性はR=3.3で8.5%、R=5で7.4%であった。これらの試験では、チャンバ圧力が200mTのエッチングプロセスに対して、不均一性がR=3.3とR=6.7について増加したので、Rの最適値は、約4〜5であると示唆される。
【0049】
我々は、75のmTのチャンバ圧力と約20G及び約60Gの磁界で、これらの試験を繰り返した。20Gの試験において、不均一性は、R=3.3では4.7%、R=5では6.7%であった。60Gの試験では、不均一性はR=3.3では7.1%、R=5では10.0%であった。75mTチャンバ圧力でのエッチングプロセスに対して、これらの試験では、不均一性についてR=5よりもR=3.3の方が良好であったことを示唆しており、これは200mTでの結果とは反対である。従って、Rのための最適値の設定はチャンバ圧力に依存する。
【0050】
5.時計回りの曲線を有する磁界
図2及び図3のそれぞれにおいて示される本発明の具体例では、磁界強度が最大の点Pに対して反時計回りの曲線を有している磁界パターンを採用する。図5で示されるまた別の具体例では、ウエハ20の表面の近くの磁界パターン(ウエハの上から見た場合が、磁界曲線56a〜56dによって表現される)は、磁界強度が最小の点Qに対して時計回りの曲線を有している。ここで数学的には、ウエハ表面の真上における磁界のベクトル「カール(curl)」関数(▽xB)は、ウエハの真上のプラズマ本体の方向からウエハに向けて下向きである。
【0051】
図2と3の具体例とは対称的に、図5の具体例では、磁界強度は磁界曲線の中心の近くで最も弱く、曲線中心から離れるにつれて次第に増加する。この4つの例示磁界曲線56a〜56dでは、磁界は磁界線56aに沿って最も強く、磁界曲線56b、56c、56dとなるに従い次第に弱くなる。
【0052】
図5でExBベクトルで説明されるように、この時計回りの磁界パターンにより、磁界線に直交する方向でプラズマプレシース中の自由電子のExBドリフトが発生する。より具体的には、ウエハ表面上の異なるExBベクトルは異なる方向を指向するが、これら常に、最大強度の磁界線56aから離れるように且つ最低強度磁界線56dの方に向かうように指向する。例えば、自由電子のExBドリフトは、最大の磁界強度の点Pから離れるように且つ最低の磁界強度の点Qの方に向いている。
【0053】
この磁界強度の変化により、プレシースの中で点Pの近傍で最大電子密度が発生し、プレシース中の点Qの近傍で最低電子密度が発生する傾向がある。しかし、ExBベクトルの配向は、反対の結果(即ちプレシース中で点P近傍では最低電子密度、点Qの近傍では最大電子密度)を生成する傾向がある。従って、磁界強度変化の効果とExBドリフトの効果は、互に相殺し合う傾向があり、このため、ウエハ表面に隣接のプレシースの中で、自由電子の瞬間的分布の空間的一様性が高くなる。
【0054】
6.線形磁界パターン
図6は、本発明のもう一つの具体例を例示し、ここでは、ウエハ20の表面上方の磁界は曲線ではなく直線的である。より具体的には、ウエハ表面(の上の全ての点の上方では、磁界線はx‐軸方向に指向しており、即ち方位角方向が0゜である。従って、磁界曲線58a〜58dは、x‐軸に平行である。
【0055】
しかし、この磁界は均一でない。磁界強度は、y‐軸の方向に沿って漸次増加する。図6を参照すれば、磁界強度は最高のy‐座標を有している磁界線58aに沿って最高であり、そして、磁界強度は最小のy‐座標を有している磁界線58dに沿って最小である。従って、ウエハ表面上で磁界強度が最高となる場所は、ウエハ周縁上の12時の位置(方位角90゜)である点Pである。同様に、ウエハ表面上で磁界強度が最小となる場所は、ウエハ周縁上の6時の位置(方位角270゜)である点Qである。
【0056】
ウエハ表面上のあらゆる点において磁界ベクトルBがx‐軸方向(方位角0゜の方向)に指向しているため、ウエハ表面上のあらゆる点においてExBベクトルはy‐軸の負方向(方位角270゜の方向)に指向する。従って、ExBドリフトは、プラズマプレシース中でy‐軸の負方向に向かって自由電子密度を増加させる傾向があるだろう。一方、磁界強度は正のy‐軸方向の方に向かって最大となり、このため、プレシース中でy‐軸の正方向に向かって自由電子密度を増加させる傾向がある。したがって、この磁界強度の空間的差とExBドリフトとは、これらの蓄積効果において、プラズマプレシース中の自由電子密度の空間的分布について互に相殺し合う傾向がある。この結果、自由電子の空間的分布がより均一になり、またこれに対応して、ウエハ表面に衝突するイオン流束の瞬間的な空間的分布がより均一になる。
【0057】
7.ワークピースに対する回転磁界
上述の本発明の代替的なあらゆる態様においては、ワークピースに対して行われるプラズマ励起製造プロセスの半径方向の均一性を長期的な時平均につき改善する目的で、ワークピースに対して磁界を低速で回転させてもよい。例えば、エッチングプロセスでは、回転はバイア及びその他のステップ状の表面形状におけるエッチング速度、エッチング選択性とエッチングプロファイルの長期的な時平均の均一性を改善する。ワークピースと磁界の間の相対的な回転は、先行技術においては、半導体製造のための磁気励起プラズマシステムに従来から用いられている。
【0058】
ワークピース又はマグネットを、機械的に回転してもよい。
【0059】
更に好ましくは、ワークピースの軸を囲むように配置されワークピースの方位角の周りに均一に間隔をおく電磁石コイルのアレイによって、磁界が発生する場合は、磁界を機械的にではなく電気的に回転させてもよい。ここで2つの実施例について、ワークピース20のまわりに90゜の方位角の間隔で間隔をおく4つのコイル40、42、52、50を有する具体例が、図3(a)及び3(b)に示される。
【0060】
具体的には、DC電源60と62がそれぞれのコイルに供給する電流と、コイルのアレイとの対応関係を定期的にシフトすることによって、磁界を電気的に回転することができる。例えば、初期時間T1の間、電源がコイル40には電流I1を、コイル42には電流I2を、コイル52には電流I3を、コイル50には電流I4を、それぞれ供給する場合を想定する。磁界を回転するためには、第2の時間T2の間、電源は、コイル40には電流I2を、コイル42には電流I3を、コイル52には電流I4を、コイル50には電流I1を、それぞれ供給する。同様に、第3の時間T3の間、4つのコイルに供給される電流はコイルの上記順に、I3、I4、I1、I2であり、第4の時間T4では順に、I4、I1、I2、I3であり、第5の時間T5では、I1、I2、I3、I4と初期時間T1と同じものである。以下の説明のため、これらの「時間」は、「回転のステップ」と称することにする。
【0061】
前のパラグラフで説明したように、電気的回転は、4本のコイルそれぞれに独立制御可能な4つの電源を接続して4本のコイルそれぞれに電流を供給ことにより、最も容易に実現される。この4つの電源は、1つのマイクロコントローラ65によって制御されてもよい。4つの電源は、1つの供給源ユニットにおける独立制御可能な4つの出力チャンネルであってもよい。各DC電源の出力電流を制御する従来のマイクロコントローラ65の直接的なプログラミングによって回転を実現することができる。
【0062】
図7(a)〜7(d)は、図3(a)又は図3(b)の曲線の磁界を改善して、前の2パラグラフで説明される回転方法を含めることができる場合において、4つのDC電源がそれぞれ4つの電磁石コイル40、42、52と50に印加する電流の波形を表す図である。図7は、R=5、I1=+4A、I2=−4A、I3=−0.8A、I4=+0.8Aの場合の波形を示している。
【0063】
一般に、2次的な電磁石の各々を通る電流フローが1規格化電流単位と考えるならば、主の電磁石の各々を通る電流フローはR電流単位となる。何れかの回転ステップTiから次の回転ステップTi+1への遷移の時点では、電流フローの4つの遷移101〜104が、4つのそれぞれの電磁石に存在するだろう。図7の転移101で表現されるように、何れの電磁石がその電源から受ける場合でも、ステップTiの+R電流はステップTi+1で−R電流に遷移するだろう。もう一つの電磁石は、−Rから−1へ遷移102を経る。3番めの電磁石は、−1から+1へ遷移103を経る。4番めの電磁石は、+1から+Rへ転移104を経る。各遷移は、4つの電磁石コイルに接続されたそれぞれの電源を制御している制御装置65によって実現される。
【0064】
この電気的回転は、前に引用したChengらの米国特許第5,215,619号に記載したプラズマエッチングチャンバの等の先行技術の磁気励起プラズマシステムで従来から行われている。従来においては、回転数は約0.5Hz〜10Hzである。
【0065】
このような低速の回転では、本発明によって言及された基本的な性能指標であるワークピース20上のイオン流束の空間的分布の瞬間的な均一性を改善するものではない。それにもかかわらず、低速の回転は一般には、エッチングや堆積等のワークピース上で実行される半導体製造プロセスの長期間時平均の空間的均一性を改善するために望ましい。
【0066】
典型的には、回転数を上げれば、低速の回転数の場合よりも、プロセスの時平均の均一性が改善される。しかし、各電磁石コイルのインダクタンスにより、このコイルを通る電流波形の立ち上がり時間に起因して相殺効果が生じるという不利益が生じないところまで上げることができる回転数が、制限される(電源60、62が電圧制御型の場合、コイルのいずれか1つを通る電流の立上り時間は、コイルのインダクタンスを、電源出力とコイルの間の抵抗(そのコイル自体の抵抗と電源の出力抵抗を含めた)で除したものに比例する。電源60、62が電流制御型の場合は、コイルのいずれか1つを通る電流の立上り時間は、コイルのインダクタンスを、電源60、62がコイルに提供することができる最大の電圧で除したものに比例する。)。
【0067】
回転数が非常に高くそのため各回転ステップの所要時間がコイル電流の立ち上がり時間の5〜10倍未満となるような場合は、次の2つの望ましくない結果が生じることがある。望ましくない結果の1つは、電流を定常状態値まで上昇させるために時間を要することから、各コイルを通る電流の時平均が減少することである。
【0068】
第2の望ましくない結果は、一部のコイルを流れる電流が上昇しその他のコイルを流れる電流が降下すれば、各回転ステップの開始時における立ち上がり時間に、プラズマシースでの磁界の強度が変化し得ることである。磁界強度が少しでも変化すれば、プラズマシースの近傍でイオン密度が変化し、これにより、RF電源24が電力を供給する必要があるプラズマ負荷の全インピーダンスを変える。RF電源の出力回路は一般に、RFインピーダンス整合回路網を有しており、これは、実際のプラズマ負荷インピーダンスに整合するように調節されなければならない。RFインピーダンス整合回路網は、変化し続ける負荷インピーダンスを自動的に制御することができるが、これらは典型的には、新しいインピーダンス適応するために数十〜数百ミリ秒が必要である。従って、各回転ステップの開始時に、RF電源24の出力インピーダンスがプラズマ負荷インピーダンスにミスマッチしている期間が存在するだろう。このようなインピーダンス不整合から大きな定在波比(SWR:standing wave ratio)が発生してプラズマに印加されるRFの電力及び電圧を変化させることがあり、これがプラズマプロセスを思わぬ方向へと変え、あるいはプラズマを不安定にする場合もある。
【0069】
インピーダンス不整合の程度と時間は、各回転ステップの開始時においてコイル電流立上り時間の磁界強度の中の変化の程度と時間を増加させる作用を有する。回転数を増やすことは、各回点ステップにおいて整合回路網がプラズマ負荷インピーダンスにミスマッチしている時間の割合を増加させる。
【0070】
前2パラグラフで説明したインピーダンス不整合の問題は、各回転ステップの開始時の磁界不連続の程度を減少することにより改良できる。これをなしとげる一つの方法としては、多数の電磁石をウエハの周縁の周りに均等な方位角の間隔で用い、これに応じた小さい角度の増加量で磁界を回転させることが挙げられる。
【0071】
不連続を減らす第2の方法は、各回転ステップの開始時にRFインピーダンス整合回路網が良好なインピーダンス整合を維持することができる十分低速の制御された速度で、各電磁石コイルを通る電流を変えることである。図8(a)〜8(d)は、各回転ステップの開始時に電流の線形遷移を与えるよう図7の波形を修正した場合における、4つの電磁石40、42、52、50を通る電流の波形を示す。これらの波形は、制御装置65の直接的なプログラミングによって発生してもよい。制御装置プログラミングは、線形遷移周期においてDC電源60、62の出力電流を連続的に制御するよう、あるいは、多数の個別のステップにおいてこれら出力電流を調節するように、DC電源60、62に命令を出すことができる。
【0072】
図9は、開始時の磁界(図9(a))、3つの連続した中間点(図9(b)〜(d))、並びに、ステップT3からステップT4までの線形遷移の終了時(図9(e))を示す。図9(c)はこの線形遷移の中間値を示しており、このアプローチの一つの短所を示している。この経時的な点においては、磁界が線形且つ均一であり、即ち従来技術のMERIE(magnetic enhanced reactive ion etching)チャンバにおいてチャージアップ損傷を引き起こす電磁界パターンである。しかし、これは回転周期の中で僅かな部分にだけしか存在しないので、我々は、この線形磁界パターンの影響が最小となると予想する。
【0073】
図10は、回転ステップの間の遷移の間、磁界の不連続をさらに減少させると我々が理解する第3の方法を描写する。具体的に、図10(a)〜10(d)は、それぞれ4つのDC電源が4つの電磁石コイル40、42、52、50に印加する電流波形を示している。コイルを流れる電流の極性を逆にすることを要請する遷移101と103は、極性を変わらずに電流の強度が変化する遷移102と104よりも低速(図10に例示される具体例の2倍低速)で実行される。更に、電流極性を変えない2つの高速の遷移102と104については、電流強度が増加する遷移104は、電流強度が減少する遷移102より早期に実行される。この方法は、全ての4つの電磁石電流遷移が同時に実行される図7及び図8の方法よりも、全磁界強度を一定に維持する。従って、この方法によれば、回転ステップと回転ステップの間の遷移において、RF整合回路網が更に正確なインピーダンス整合(すなわち、低いSWR)を維持できるようになる。
【0074】
図11は、図10で示される線形遷移ではなく、図10の方法を、各遷移が1つないし2つの個別の小ステップから成るように変形した方法を表す。図10の方法で低速で実行される遷移101及び103は、図11の方法においては2ステップで実行される。具体的には、遷移101が、2つの連続した小ステップ101a及び101bで実行され、各小ステップは、完全な遷移101の半分の振幅である。同じように、転移103は、2つの等価な小ステップ103a及び103bの中で実行される。図10の方法で迅速に実行される遷移102と104は、図11の方法においてそれぞれ小ステップ1つで実行される。この小ステップの各々は、等しい操作時間とすることができる。
【0075】
図11では、電磁石のインダクタンスに起因した電流の立ち上り時間を表現するために、各小ステップの電流波形を有限の勾配を有するように表現している。この勾配は、線形的に変化する電流をコイルに供給するように、わざと電源をプログラミングしたものではない。
【0076】
図11の方法は、各遷移が1つないし2つの個別な小ステップから成るが、4つの電磁石に電流を供給する電源を制御する制御装置65を簡単にプログラムすることが好ましい。本実施例の好ましい実施態様において、各小ステップは0.1秒の操作時間を有する。磁界を0.25Hz(すなわち、4秒の回転周期)の回転数で回転するため、制御装置65は、各回転ステップ時間のそれぞれに0.1秒の40回の小ステップで進むようにプログラムされる。換言すれば、1つの回転サイクル全体の4つの回転ステップT1〜T4の各々は、10の小ステップから成る。10の小ステップのうちの2つが、図11の中で描写された2ステップ遷移のために用いられ、そして、電磁石電流は、各回転ステップの残りの8つの小ステップの間は一定のままである。
【実施例】
【0077】
次に説明する試験は、図1に示すチャンバに類似のアプライドマテリアルズ社製のモデルMxP+ エッチングチャンバにより実施された。このチャンバは、1枚の200mmシリコンウエハ20上の二酸化珪素(silicon dioxide)をエッチングするために設計したものであった。4つの電磁石コイル40、42、50、52を有するチャンバは、これらが組み合わさって図3(b)に示される八角形の形状を有していた。前述の図3(b)説明で記載されるように、複数のマグネットの構成であった。
【0078】
試験は、二酸化珪素をエッチングするためのプロセスを用いて実行された。プロセスガス混合物は、CHF3が45sccm 、CF4が15sccm、Arが150sccmであり、全チャンバ圧力が200mTであった。プラズマは、カソード22に接続された13.56MHzのRF電源24から1000ワットの電力で励起された。磁界なしの場合では、プロセスのエッチング速度は、3800オングストローム/minであった。
【0079】
図11に示される回転ステップと回転ステップの間の遷移するコイル電流に対するスタガの方法(staggered method)を、図7の中で示された急速な遷移の方法と比較した。磁界がウエハの中心の近くで30Gとなるように、主の電磁石は4A、二次電磁石が1Aの電流をそれぞれ受け、R=4であった。回転数は、0.25Hzであった。スタガの方法において、電磁石電流の各遷移は、先に述べたように0.1秒の小ステップ1つないし2つから成っていた。反射電力計に接続された蓄積型オシロスコープを用いて、反射電力を時間の関数として測定した。
【0080】
図7の急激な遷移方法では、各遷移中に2つの反射電力のピークが発生し、このピークはそれぞれ約75ワットであった。2つの連続した反射電力スパイクの全持続時間は、約75msであった。対称的に、図11のスタガの遷移方法では、12ワットほどの2つの反射電力ピークを各遷移中に生成しただけであった。2つの反射電力スパイクの全持続時間は、約65msであった。従って、図11のスタガ遷移方法では、最大反射電力が6倍減少し、また、高い反射電力条件の持続時間が僅かに低減された。従って、このスタガの遷移方法は、チャンバ内で行われる半導体製造プロセスの安定性と信頼性を向上させたというべきである。
【0081】
また、エッチング速度と瞬間的なエッチング均一性に対する回転数の影響を調べるため次の試験を実行した。テスト条件は、特に言及しない限り、上記と同じものであった。
【0082】
一つの試験では、図2(a)に示されるように、DC電源60が2つの隣接の電磁石コイルの各々に4Aの電流を供給することにより、200mmウエハの中心近くに約30Gの磁界を発生させた。2つのコイルだけに一度に電力を供給された(即ち1/R=0、あるいはR=無限大)点を除いて図7の中で図で示された方法によって、磁界が電気的に回転され、図7で+/−0.8Aのコイル電流を有するように示された時間の間、零電流が各コイルに供給された。2.5Hz 0.25Hzと25 Hzのそれぞれの回転数で実行された3つの試験において、それぞれのエッチング速度は順に、13%、10%、7%であり、これらは磁界ゼロでのエッチング速度より大きい。これらの結果によれば、0.25Hzから25Hzへ回転数を増加させれば、磁界により与えられるエッチング速度における改善が半減し、このため磁界の目的が一部損なわれることが、示される。更に、長期間時平均エッチング速度不均一性は、回転数を増やすことでごく僅かではあるが悪化した。従って、これら3つの試験で回転数が最も低いものが最も望ましいと考えられる。
【0083】
前述の試験は、図3(b)の4つのコイル形状で、R=4、I1=−I2=5.3A、I3=−I4=1.3A、チャンバ圧力が150mTの条件で再び行われた。ここで試験装置はDC電源2つだけであったため、図7で示した4ステップの回転方法の奇数番号のステップT1及びT3を実施することができるだけだった。換言すれば、回転は2つの180゜のステップから成っていた。具体的には、図3(a)の中で示されるように、コイル40及び42は一方のDC電源60に接続され、コイル50及び52は他方のDC電源62に接続され、これら2つの電源は、2x5.3Aと2x1.3Aの交流を供給した。回転数0.17Hz、1.7Hz、17Hzではそれぞれ、エッチング速度は20%、10%、5%であり、ゼロ磁界の場合のエッチング速度より大きかった。更に、長期間時平均エッチング速度不均一性は、回転数を増やすことで悪化した。従って、3つの試験では回転数の最も低いものが最も望ましいと考えられた。
【0084】
前述の試験では低速の回転数の方が時平均空間的均一性を良好にすることが示されているにもかかわらず、より高い回転数を支持するとの対立的な考え方が存在する。具体的にウエハ上に加工されるべき集積回路に対しては、プラズマシースからウエハへの荷電粒子の流束の非均一により、集積回路の電界効果トランジスターのゲートキャパシタンスがチャージアップされる時間は、この回転数を減じれば増加する。従って、過度に低い回転数は、ゲート誘電体への損傷の危険を増大する。これらの対立する考えに基づけば、現時点で好ましい回転数は、0.25Hz〜1.0Hzである。
【0085】
8.ウエハを取り囲むRF結合リング
反時計回りの曲線(図2〜4)を有しているマグネット電界を用いる前述の本発明の具体例において、ウエハを囲んでいる狭い区域を提供しそこを介してRF電力をカソード電極22からプラズマに結合するようにすることによって、プラズマからのイオン流束のうちウエハ20表面上の空間的均一性が、更に改善されることができることを見出した。
【0086】
プラズマチャンバ内で実行されるプラズマ励起による半導体製造プロセスの速度を最大にするためには、ウエハ20の直後にある(即ちウエハに覆われる)領域以外のカソード電極の領域からプラズマへのRF電力のあらゆる結合を最小にすることが非常に望ましいと、通常は考えられる。換言すれば、カソードの側からのRF電力の結合を最小にすること、あるいはカソード直径がウエハ直径より大きい場合はカソード上面のうちウエハ周囲を囲む部分からのRF電力の結合を最小にすることが、非常に望ましいと考えられる。これにより、プラズマシースからカソード電極へのイオン流束を、ウエハが占めているカソードの表面領域へ可能な限り集中させる。
【0087】
従来では、カソード電極の望まない表面から結合するRF電力を、それらの表面を誘電体の十分に厚い層で覆うことによって最小にしていた。例えば、図1(a)は、円筒状のカソード電極22の側部を囲む円筒状の誘電シールド70と、ウエハ20を囲むカソードの部分上面を覆う誘電リング72とを示しているシリコンウエハ処理のためのチャンバでは、高純度クオーツが、一般に用いられる誘電材料であり、それは、クオーツはチャンバに汚染物をさほど放出しないからである。RF電力結合は、誘電体の厚さを増大し低い誘電率の誘電材料を選ぶことによって最小にすることができる。このデザインでは、カソードに面しているプラズマシースの領域は、本質的にウエハの領域と同じである。
【0088】
誘電リング72(図1)を、カソード上面のウエハ20の周縁のすぐ外側を覆う薄い環状の部分74とカソードの残りの上面を覆う厚い誘電部分76とを有する誘電リング72’(図12)に交換することにより、ウエハ20の上方のイオン流束の空間的均一性を更に改善することができることを見出した。誘電リングの薄い内側の部分74は十分に薄くなければならず、すなわち、RF電源24の振動数(典型的には13.56MHz)における電気的インピーダンスを十分に低くして、RF電源24からプラズマ80まで内側誘電体74を通して十分なRF電力を結合し、図12で示されるように、ウエハ表面上方のプラズマシース82が半径方向外側へ内側誘電体74を超えて延びるようにするべきである。
【0089】
ここに説明した試験では、図12の改良型誘電リング72’が、半径方向の幅Wが、14mm、厚さないし深さDが、4mmの薄い内側部分74を有していた。対称的に、図1(a)の誘電リング72は、ウエハエッジで厚さないし深さが8mmであり、また厚さは、ウエハの周縁を越えて約15mmまで急激に増加した。
【0090】
図14〜16は、直径200mmのシリコンウエハ20から二酸化珪素の層をエッチングを行うためのプロセスにおいて、改良型誘電リング72’の利点を例証する試験結果を示す。図14及び15は、干渉計(interferometer)によって得られたアイソメトリック(等大)チャートであり、エッチング速度の差がウエハの表面上に示されている。太い黒線の等大線は、平均エッチング速度を表わしている。+符号と−符号は、エッチング速度平均より大きな領域と小さな領域を表現する。各等大線の間の増加量は、100オングストローム/minである。
【0091】
図16は、平均エッチング速度、最小エッチング速度及び最大エッチング速度並びにエッチング速度の1シグマ不均一性を示す表である。「内側誘電体74」と表記された欄において、「厚い」との表記は、ウエハエッジでの厚さないし深さDが8mmである図1(a)の誘電リング72を意味し、「薄い」との表記は、ウエハエッジでの厚さないし深さDが4mmの図12の改良型誘電リング72’を意味する。それぞれ、「最小」と表記された欄と「最大」と表記された欄は、平均エッチング速度に対しての、最小エッチング速度と最大エッチング速度の差をそれぞれ示す。
【0092】
これら試験は、図1のプラズマチャンバデザインと、図3(b)の八角形の電磁石デザインを用いて実施したDC電源60が、第1のコイル対のコイル40と42の各々に、4Aの電流を供給し、ウエハ中心の磁界強度が約30Gとなるようにした。プロセスガスフローは、CHF3が45sccm、CF4が15sccm、Arが150sccmであった。排気ポンプにより、チャンバ圧力を200mTに維持した。RF電源24は、13.56MHzでカソードに1000ワットの電力を供給した。ウエハに60秒間エッチングが行われ、約4000オングストローム〜4400オングストロームの二酸化珪素がウエハ表面からエッチングされた。
【0093】
図14は、DC電源62が第2のコイル対のコイル50及び52に零電流を供給(すなわち、R=0)して、図2(a)で示される2コイルの磁界パターンを発生させた試験の結果を示す。図14(a)は、図1で示される厚い誘電シールド72を用いた結果を示し、図14(b)は、図12で示される薄い内側の部分74を有している改良型誘電シールド72’を用いた結果を示す。改良型誘電シールド72’は、ウエハ上の点Pの近傍でエッチング速度を平均値に対して増加させることにより、エッチング速度の空間的均一性を改善するが、ここで点Pは磁界強度が最大の地点であり、その理由は2つのコイルの間の角の頂点「V」に最も近い点だからである。図16によれば、最小エッチング速度と最大エッチング速度の両方が、改良型誘電シールド72’によって平均値に近づくようになり、平均からの負量偏差の最も悪い値が、−1060オングストローム/min.から−850/オングストロームmin.まで減じられ、平均からの正量偏差の最も悪い値が、+1250オングストローム/min.から+1050オングストローム/minまで減じられたことが示される。
【0094】
点Pの近くのエッチング速度は平均値よりも小さいが、その理由は、磁界曲線が反時計回りであるため、点Pからプラズマシース及びプレシース中の荷電粒子の点Qの方へExBドリフトが生じ、点Pについて荷電粒子が相対的に減じられるからである。本発明では、磁界強度は点Pにおいて、このドリフトの減少効果を相殺するために、最大となっている。しかし、図14(a)は、点P近くの磁界強度の勾配がドリフトを相殺するに十分な大きさではないことを例示する。図14Bは、改良型誘電シールド72’が点P近くの荷電粒子の空乏を部分的に改善してエッチング速度均一性を向上させることを示している。
【0095】
図12で示されるように改良型誘電シールド72’の薄い内側の部分74が、プラズマシースを横方向にウエハの周囲の外側まで延ばしているため、最大荷電粒子空乏の領域が点Pからウエハの周囲の外側の頂点Vにより近い点まで移動するという理論を立てる。これは、改良型誘電シールド72が平均値からのエッチング速度の正及び負の空間的偏差を減少することの理由であると我々は考える。しかし、我々の発明は、この理論に依存又は限定されるものではない。
【0096】
図15は、DC電源62が第2のコイル対のコイル50と52の各々に1Aを供給して、R=4である図3(b)で示されたコイル4本の磁界パターンを発生させることを示す。図15(a)は、図1で示される厚い誘電シールド72を用いた場合の結果を示し、図15(b)は、図12で示される薄い内側部分74を有する改良型誘電シールド72’を用いた場合の結果を示す。改良型誘電シールド72’は、ウエハ上の点Pの近傍でエッチング速度を平均値に対して増加させることにより、エッチング速度の空間的均一性を改善するが、ここで点Pは磁界強度が最大の地点であり、その理由は2つのコイルの間の角の頂点「V」に最も近い点だからである。
【0097】
図16は、改良型誘電シールド72’がエッチング速度の1シグマ不均一性を6.9%から4.9%に引き下げ、約30%の向上があったことを示す。加えて、最小エッチング速度と最大エッチング速度の平均からの偏差は30%以上減じられ、平均値からの負量偏差の最も悪い値は−1340オングストローム/min.から−770オングストローム/minにまで減じられ、平均値からの正量偏差の最も悪い値は、+750オングストローム/min.から+520オングストローム/minまで減じられた。
【0098】
改良型誘電シールド72’を用いた上述の試験では、シリコンリング84は、シールド72’の薄い部分74をカバーする。シリコンリングの主要な目的は、二酸化珪素エッチングプロセスによるシールドの薄い部分74の消耗から保護するためにあるが、それは、クオーツシールド72’は、シリコンウエハ20上でエッチングされる二酸化珪素と化学的に同じだからある。これら試験で用いられたエッチングプロセスにおいて、シリコンは、クオーツのエッチング速度の少なくとも10倍低速でエッチングされる。シリコンリング84の表面がエッチングプロセスのため凹凸が目立つようになったときは、シリコンリングは簡易に交換可能である。さらに、上面が凹凸になった後これを裏返せば、シリコンリングの実用寿命を2倍にすることが可能である。
【0099】
シリコンリングは、チャンバへの汚染物の放出を最小にするため、高純度材料製でなければならない。純度を最大にするため、現時点ではシリコンリングは単結晶シリコン製であることが好ましい。
【0100】
カソード電極22の表面は、陽極処理されたものである。シリコンリングの内部表面がカソードに接触した場合でも、陽極酸化層はシリコンリング84からカソードを電気的に絶縁する。
【0101】
我々は、エッチング速度の空間的均一性に影響を及ぼす改良型シールド72の寸法のパラメータは、薄い内側部分74の軸の深さD、薄い部分74の半径方向幅W、及び、ウエハ上方の厚い外側部分76の高さHであると考える。
【0102】
カソード電極22とプラズマ80の間のRF電力の容量結合は、シールドの薄い内側の部分の半径方向幅Wを深さDで除したものに比例する。RF電力の結合が、薄い部分74の上方のプラズマプレシース及びシース82中で荷電粒子濃度を対応的に増加させ、薄いシールドのうちの部分74へのイオン流束を対応的に増加させる。
【0103】
このセクションの当初で言及したように、カソードからウエハに占められた領域の外側のプラズマへRF電力を結合することにより、ウエハ表面におけるイオンと反応化学種の濃度を低減する。従って、誘電シールドの薄い部分74を介してRF電力を結合して実現した空間的均一性のあらゆる改善は、その結果生ずるウエハの上で実行するプロセスの平均速度の減少と均衡すべきである。
【0104】
せり上がった外側の部分76の高さHの効果は、これよりも複雑である。多くの構成では、せり上がった外側のシールド部分76の優れた効果は「シャドウ効果」であり、即ち、このせり上がり部分76により、半球方向全体からの反応化学種への曝露からウエハ周縁を遮蔽して、ウエハ周縁でプロセス速度を減じるものである。しかし、2つの付加効果がシャドウ効果をある程度相殺した。具体的には、シールドのせり上がり部分は、ウエハの周囲の近くでイオン流束を増やす焦準効果を有し、その理由は、プラズマシースからの下向きに加速されたイオンが、このせり上がり部分に衝突しウエハの方へ跳飛するからである。また、この焦準効果はウエハ表面とウエハに面するせり上がり部分76の面78のとの角度にも大きく依存し、ここでは、ウエハの中心の方へ向かうイオンの最大偏向を生じさせる角度は45゜と予想される。また、このせり上がり部分は、反応化学種のウエハ周縁近くの滞留時間を増大させ、ウエハ周縁近くのプロセス速度を、行なおうとする特定のプロセスの化学系によって増加又は減少させる。
【0105】
高さHが増加すれば、シャドウ効果、焦準効果及び滞留時間効果の全てが顕著になる傾向がある。また、これらの効果の全ては、シールドの薄い内側部分74の半径方向幅Wによって影響を受けるが、それは、この幅が、せり上がり部分76とウエハの周縁との間隔を構成するからである。焦準効果は、幅W(経験的に決定される必要がある)がある値で最大になると予想されるが、滞留時間と陰影効果は幅Wを大きくすれば漸次的に減少する。
【0106】
改良型誘電シールド72の望ましい厚さに影響を及ぼすもう1つの因子は、チャンバがカソード電極22上でウエハ20を保持するため静電的なチャック86(図12参照)を用いるか否かである。用いる場合は、静電的なチャックがカソードとウエハの間に誘電体を介在させ、即ちカソードとプラズマの間に容量インピーダンスが介在することになる。ウエハを流れるRF電力と誘電シールドの薄い内側部分74を流れるRF電力のバランスを維持するため、誘電シールド72’の内側部分74と外側部分76の厚さは、静電チャックのRFインピーダンスに比例して増加されるべきである。
【0107】
以前に説明された試験では、図12の改良型シールド72’は、幅Wが14mmの薄い内側部分74を有していた。本発明の曲線磁界では試験を行っていないものの、従来のMERIEチャンバにおいて、幅Wが6mmである特徴を有する同様のシールドで、更に良好な結果を得た。具体的には、従来のMERIEチャンバにおいてWを14mmから6mmへ小さくした場合、W=14mmのデザインの均一性改善を保持しつつ、平均エッチング速度が向上した。従って、我々は、本発明の曲線磁界のデザインにおいてW=6mmが好ましいのではないかと推測する。
【0108】
我々は、シリコンリング84の軸方向深さ(すなわち、厚さ)が、カソード電極とプラズマの間のRF電力の結合にほとんど影響を与えないと予測し、そしてそれゆえに、ウエハの上のイオン流束分布にほとんど影響を与えないと予測する。実際上は、シリコンリングは、メンテナンス要員によって設置される際の偶然の破損を防ぐに十分厚くなければならない。また、シリコンリングが厚ければ、交換までより多くの消耗に耐えることができる。
【0109】
図13は、シリコンウエハ20がシリコンリング84を押圧し電気的に接触する代替的なシールドデザインを示す。シールドは、リップシール89を有している例示のOリング88等のスプリング又はエラストマーを有して、ウエハ20とシリコンリング84の間に等圧力を維持することが好ましい。電気的にウエハを接触するシリコンリングを用い、シリコンリングが、効果的にウエハの延長、即ちカソード電極22の延長になる。従って、この誘電体76のデザインには、カソード電極のシリコンリング84の下となる部分を覆う必要がない。シリコンリング84を介して結合されたRF電力は、図12のデザインの薄い誘電部分74の幅Wではなくむしろシリコンリングの半径方向幅W’に比例するまた、結合RF電力は、シリコンリングの電気抵抗に反比例する。
【0110】
ウエハがカソードに誘電層86を有している静電チャックによって装着されるケースの如く、ウエハ20がカソードから電気的に絶縁されるならば、シリコンリング84もカソードから電気的に絶縁されることが重要である。カソードがアルミニウムであるならば、後者の絶縁はカソードの表面に陽極処理を行うことによってなされてもよい。ウエハがカソードから絶縁されるがシリコンリングは絶縁されていない場合、シリコンリングを、ウエハより低いインピーダンスでカソードに結合して、過多なRF電力を、ウエハの代わりにシリコンリングを通して迂回させることができる。
【0111】
荷電粒子密度の空間的均一性は、ステップ状の上表面を有するシリコンリング84によって改良される。具体的には、ウエハ20の周縁の外側に延びるシリコンリングの部分は、ウエハの上の表面で同一平面上の上面を有する。この形状により、プラズマシース中のウエハの周縁に隣接するあらゆる不連続を最小にし、それにより、ウエハに行うべきプロセスの空間的均一性を向上する。
【0112】
9.その他の熟考された修正
最も広い意味では、本発明は、ウエハの表面上方の磁界の方向と勾配によって画定され、そしてそれは、この磁界を生成するマグネットの数にも配列にも限定されない。例えば、例示された好ましい具体例で用いられる電磁石に変えて永久磁石を用いることが可能である。また、異なる数の永久磁石又は電磁石を用いて、本発明の方向及び勾配を有している磁界発生することができる。
【0113】
実施態様によっては、要求された特性曲線をワークピースの全体の表面の上に有する磁界を発生することは、非実用的である場合もありまた望ましくない場合もある。例えば、ワークピースの一つ以上のエッジの近傍の磁界パターンを変化させて、本発明によって言及された荷電粒子ドリフト効果と無関係な物理的又は化学的現象に起因する不均一性を相殺することが望ましい場合がある。ワークピースの表面の大部分の上で磁界の方向と勾配が前述の本発明の要請を満たすような磁界を発生する場合は、この磁界が、ワークピース表面の残りの小さな部分の上で本発明の要請から外れたとしても、本発明の範囲内の実施であると考えられる。
【0114】
もう一つの考察は、ワークピースに衝突するイオンの電磁束密度がワークピースの近くのプラズマシースの領域の中の磁界によるものと、ワークピース自身に占められる領域の磁界によるものとが量的に同じであると定義することである。従って、我々の発明の代替的な定義としては、プラズマ励起チャンバであって、このチャンバ内では、予め決めた磁界勾配の配向が、ワークピース上方の平坦な領域に存在し、この平坦な領域はワークピース領域に平行であり、ワークピースの表面積の少なくとも半分(好ましくはほぼ100%)の表面積を有している。
【0115】
明細書と請求の範囲において方向に関する指示、例えば「上」「下」、「上方」や「下側」等は要素相互間の相対的配置を単に示すものであり、重力方向に対する要素の方向を示すものではない。地球の重力の方向は、本発明とは無関係である。例えば、ここに例示のデザインを、半導体ウエハのフェースダウン処理に対して逆転させてもよく、その場合、実際には地球の重力に対しては、本発明の明細書及び請求の範囲に記載の「上」は「下方」に、「下」は「上方」にそれぞれなる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1(a)は磁気励起プラズマチャンバ内の模式的な縦断面図、図1(b)は模式的な平面図である。
【図2】図2(a)は、1対の直交のコイルを用いる本発明の具体例の模式的な平面図である。図2(b)は、同一平面上の1対のコイルを有する同様の具体例を示す図である。
【図3】図3(a)は、2対の直交のコイルを使っている発明の具体例の概要の平面図である。図3(b)は、各々のコイルの端が内向きに45度の角をなす同様の具体例を示す。
【図4】図4は、図3(b)の具体例の概要の平面図であり、5箇所における磁界強度測定を示している。
【図5】図5は、また別の具体例における磁界パターンの概要の平面図であり、その磁界が、図3(a)及び3(b)の場合とは反対であるローテーションないしベクトルのカール関数を有している。
【図6】図6は、また別の具体例の磁界パターンの概要の平面図であり、その磁界は、方向において線形であるが、強度が非均一である。
【図7】図7は、コイル電流が各回転ステップの開始時に突然変化した場合における、図3の4つの電磁コイルを介した電流のタイミングダイアグラムである。
【図8】図8は、コイル電流が各回転ステップの開始時に徐々に且つ線形に変化した場合における、図3の4つの電磁コイルを介した電流のタイミングダイアグラムである。
【図9】図9は、図8の回転の方法により、回転ステップと回転ステップの間の過渡の間に生成された磁界パターンの模式的な平面図である。
【図10】磁界強度を一定に維持するため、コイル電流を各回転ステップの開始時に、スタガ状の速度及び時間で変化させた場合における、図3の4つの電磁コイルを介した電流のタイミングダイアグラムであり、回転ステップ間における線形過渡を示す図である。
【図11】磁界強度を一定に維持するため、コイル電流を各回転ステップの開始時に、スタガ状の速度及び時間で変化させた場合における、図3の4つの電磁コイルを介した電流のタイミングダイアグラムであり、2ステップ過渡を示す図である。
【図12】図12は、クオーツシールドの上にあるシリコンリングのエッジの側面図であり、ここでは、ウエハがシリコンリングと接触していない図である。
【図13】図13は、クオーツシールドの上のシリコンリングのエッジの側面図であり、ここでは、ウエハがシリコンリングと接触している図である。
【図14】誘電性のシールドリングと磁界パターンの種類の関数としてのエッチング速度の空間分布のアイソメトリックチャートである。
【図15】誘電性のシールドリングと磁界パターンの種類の関数としてのエッチング速度の空間分布のアイソメトリックチャートである。
【図16】図16は、誘電性のシールドリングと磁界パターンの種類の関数としてエッチング速度と均一性を示している表である。
【符号の説明】
【0117】
12…チャンバ壁、20…ウエハ、40、42,50,52…コイル、60…DC電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ワークピースを処理するための磁気励起プラズマチャンバであって、
ワークピース支持領域でワークピースを保持するためのワークピース支持体と、
該ワークピース支持領域の周縁の周りに間隔をおいて配置される複数の電磁石と、
該電磁石が共働して経時的に回転する磁界を発生するよう、連続する時間インターバルに対して決まった電流値の電流信号を連続して各電磁石に与えるための、電源と
を備え、
前記時間インターバルのそれぞれは、各電磁石に与えられる電流の値を該電源が変化させる遷移時間によって隔てられ、
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが変化する電流変化が電源により与えられる電磁石に対して、該遷移時間の短い部分の間、該電源が前記電流変化を与え、
各遷移時間の間、磁極の変化を含む電流変化が電源により与えられる電磁石に対して、該遷移時間の長い部分の間、該電源が前記電流変化を与え、
それぞれの遷移時間の該長い部分が、それぞれの遷移時間の該短い部分よりも長い磁気励起プラズマチャンバ。
【請求項2】
それぞれの遷移時間の該長い部分が、それぞれの遷移時間全体と等しく、
それぞれの遷移時間の該短い部分が、それぞれの遷移時間の半分に等しい請求項1に記載の磁気励起プラズマチャンバ。
【請求項3】
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが増加する電流変化が電源により与えられる電磁石に対して、該遷移時間の最初のセグメントの間、該電源が前記電流変化を与え、
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが減少する電流変化が電源により与えられる電磁石に対して、該遷移時間の最後のセグメントの間、該電源が前記電流変化を与える請求項1に記載の磁気励起プラズマチャンバ。
【請求項4】
半導体ワークピースへのプラズマプロセスを磁気励起する方法であって、
周縁で仕切られるワークピース支持領域で半導体ワークピースを保持するステップと、
該ワークピース支持領域の周縁の周りに複数の電磁石を間隔をおいて配置するステップと、
該電磁石が共働して経時的に回転する磁界を発生するよう、連続する時間インターバルに対して決まった連続する電流値の電流信号を各電磁石に供給する供給のステップであって、前記時間インターバルのそれぞれは、各電磁石に与えられる電流の値が変化する遷移時間によって隔てられ、前記供給のステップが、
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが変化する電流変化が与えられる電磁石に対して、該遷移時間の短い部分の間、前記電流変化が与えられ、
各遷移時間の間、磁極の変化を含む電流変化が与えられる電磁石に対して、該遷移時間の長い部分の間、前記電流変化が与えられ、
それぞれの遷移時間の該長い部分が、それぞれの遷移時間の該短い部分よりも長い
前記供給のステップと
を有する方法。
【請求項5】
それぞれの遷移時間の該長い部分が、それぞれの遷移時間全体と等しく、
それぞれの遷移時間の該短い部分が、それぞれの遷移時間の半分に等しい請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが増加する電流変化が与えられる電磁石に対して、該遷移時間の最初のセグメントの間、前記電流変化を与える工程と、
各遷移時間の間、磁極が変化せず大きさが減少する電流変化が与えられる電磁石に対して、該遷移時間の最後のセグメントの間、前記電流変化を与える工程と
を更に有する請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−27194(P2009−27194A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272473(P2008−272473)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願平9−360401の分割
【原出願日】平成9年12月26日(1997.12.26)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】