説明

面取り機能つき洗浄装置

【課題】
ウェーハを効率的に洗浄、枚葉化するとともに、ウェーハ表面の加工の際にウェーハに欠損や割れを生じさせない面取り機能つき洗浄装置を提供すること。
【解決手段】
剥離洗浄部10と端面研削部20と洗浄収納部30とが設けられた面取り機能つき洗浄装置1により、ウェーハWの洗浄、枚葉化、端面研削、再洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インゴットの状態から切断機で多数枚同時に切断されたウェーハを洗浄する面取り機能つき洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や電子部品等の素材となるシリコン等のウェーハは、インゴットの状態から内周刃やワイヤーソー等のスライシング装置でスライスされてウェーハ状になり、その後各種工程を経て半導体装置や電子部品となる。インゴットをスライスする際には、インゴットは切り終わり部分の欠損を防止するためスライスベースに接着されて切断される。このため、切り出されたウェーハは全てスライスベースに接着されたバッチ状態で切り出され、後の工程の為に一枚ずつ剥離し枚葉化する必要がある。また、インゴットをスライスする際には切断用のスラリを使用し、スライス後のウェーハは極めて汚れた状態にあるため各種工程前にウェーハを洗浄する必要がある。このようなウェーハの剥離、洗浄用の装置としては例えば、特許文献1または特許文献2に記載される剥離装置または洗浄装置が提案されている。
【特許文献1】特開平10−116803号公報
【特許文献2】特開平10−189503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、切断されたインゴットを工程毎に各装置へ搬送し処理することは非効率的であって、量産化、低コスト化が望まれる半導体装置や電子部品等の製造においては大きな問題となっていた。
【0004】
また、洗浄、枚葉化された切断後のウェーハは、厚みが均一ではない、必要とするウェーハ厚みよりも非常に厚い、または表面が非常に粗いなど、そのままの状態では後の工程で使用出来ない為、枚葉直後にウェーハ表面に対し研磨または研削等の加工を行う場合がある。このような加工を行う際には、ウェーハの端部には切断の際に生じたバリや歪みなどが存在するため、ウェーハに欠損や割れが生じる問題が発生する。
【0005】
本発明は、このような問題に対して成されたものであり、ウェーハを効率的に洗浄、枚葉化するとともに、ウェーハ表面の加工の際にウェーハに欠損や割れを生じさせない面取り機能つき洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、切断機により多数枚同時に切断されたバッチ状態のウェーハの洗浄、スライスベースからの剥離枚葉化、検査を行う剥離洗浄部と、前記剥離洗浄部にて枚葉化されたウェーハの端面を研削する端面研削装置を1つ以上備えた端面研削部と、前記端面研削部にて端面が研削された前記ウェーハをカセットに収納し、前記カセットとともに前記ウェーハを洗浄する洗浄収納部とを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は前記発明において、前記端面研削部には、前記剥離洗浄部からウェーハを受け取り前記端面研削装置へ供給する第1の搬送アームと、前記端面研削装置にて端面が研削されたウェーハを端面研削装置より搬出し前記洗浄収納部へ搬送する第2の搬送アームとが備えられていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、ワイヤーソー等の切断機で切断され、スライスベースに固定されたままのバッチ状態のウェーハはまず剥離洗浄部に搬送される。剥離洗浄部では、まずバッチ状態のまま粗洗浄され、剥離枚葉化された後に再び洗浄し、割れや欠けの検査を行い良品のウェーハのみ次の端面研削部へ搬送される。端面研削部に搬送されたウェーハは、1つ以上備えられた端面研削装置のいずれかでウェーハ端面が所定の形状に粗研削される。
【0009】
このとき、端面研削装置への搬送は、第1の搬送アームにより空いている端面研削装置へ搬送され、端面研削装置からの搬出は、第2の搬送アームにより行われる。
【0010】
端面が粗研削されたウェーハは続いて洗浄収納部へ搬送され、複数枚毎にカセットに収納されて洗浄が行われる。
【0011】
これにより、夫々の工程間を移動する距離が最小限に設定され、複数台の端面研削装置で待ち時間無くウェーハの端面が研削されるので、効率的なウェーハの加工が可能となる。また、ウェーハの剥離後に端面が研削されているので、後の工程でウェーハ表面への研磨等が行われてもウェーハに欠損や割れを生じさせず、高品質で効率的な加工を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の面取り機能つき洗浄装置によれば、近接配置された剥離洗浄部と端面研削部と洗浄収納部とにより、ウェーハを効率的に洗浄、枚葉化するとともにウェーハ端面を粗研削し、ウェーハ表面の加工の際にウェーハに欠損や割れを生じさせない高品質で効率的な加工を可能にする
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係る面取り機能つき洗浄装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
まず初めに、本発明に係わる面取り装置の構成について説明する。図1は面取り機能つき洗浄装置の全体上面図である。
【0015】
面取り機能つき洗浄装置1には、剥離洗浄部10と端面研削部20と洗浄収納部30とが設けられ、ワイヤーソー等の切断機により切断され、スライスベースに固定されたままのバッチ状態のウェーハの洗浄、剥離枚葉化、端面研削、カセットへの収納と洗浄が行われていく。
【0016】
剥離洗浄部10は、受け取り部11、粗洗浄部12、剥離枚葉部13、洗浄部14、検査部15を備えている。切断されスライスベースに固定されたままのバッチ状態のウェーハは、切断機から搬送装置等によりまずウェーハ受け取り部11へ載置される。載置されたバッチ状態のウェーハは不図示の搬送装置により粗洗浄部12へ搬送される。
【0017】
粗洗浄部12では、洗浄槽と複数の噴射口が一定ピッチで配設された洗浄液噴射装置が複数備えられ、洗浄槽内に載置された切断直後のバッチ状態のウェーハをシャワー洗浄して切断時に付着したスラリの除去を行う。洗浄の際には、洗浄液噴射装置がスライドして往復移動するとともに揺動運動を行い、洗浄液をウェーハとウェーハの間に効果的に入り込ませ、水圧でその内部まで十分に洗浄を行なう。洗浄後の洗浄液は洗浄槽底部の排水穴より面取り機能つき洗浄装置1外部へ排出される。
【0018】
粗洗浄部12で粗洗浄されたバッチ状態のウェーハは続いて剥離枚葉部13へ搬送される。剥離枚葉部13には、ウェーハとスライスベースとを接着している接着剤を熱軟化させるための熱水を貯留する熱水槽、ウェーハを吸着して剥離を行う剥離装置、剥離するウェーハをロット単位で分けておく仕切り装置が備えられている。剥離枚葉部13に搬送された洗浄後のバッチ状態のウェーハは、まず熱水槽で熱水に浸漬されて接着剤が軟化され、一枚毎に剥離装置で吸着して剥離されていく。剥離されたウェーハはコンベア16へ載置され洗浄部14へ搬送される。
【0019】
洗浄部14には、ウェーハの上下に洗浄液を噴射する一対のノズル、ウェーハの上下を洗浄する回転ブラシ、洗浄後のウェーハ上から液を除去するエアーノズルが備えられている。洗浄部14内をコンベア16に載置されて移動していくウェーハは、上下面に洗浄液を噴射されるとともに回転ブラシにより洗浄され、洗浄後にエアーノズルで洗浄液を除去される。
【0020】
洗浄部14で洗浄されたウェーハは更にコンベア16により搬送され、検査部15を通過し、ウェーハの割れや欠け、接着剤残り等がレーザー光を使用する光学式のセンサにより検査される。ウェーハに割れや欠け、接着剤残り等の不良がある場合は、不図示の搬送装置により面取り機能つき洗浄装置1外部へ搬出される。
【0021】
以上のように剥離洗浄部10により粗洗浄、剥離、洗浄、検査が行われ枚葉化されたウェーハは続いて端面研削部20へ搬送される。端面研削部20には、複数の端面研削装置21、21・・・、第1の搬送アーム22、第2の搬送アーム23、受け取りアーム24、センタリング装置25が備えられている。
【0022】
端面研削装置21は、図2に示すように、砥石26をモータにより回転させる研削部27と、ウェーハWをテーブル上に載置して回転させるとともに、砥石26に向って移動させるウェーハ載置部28とを備えている。ウェーハW端面の研削では、回転するとともに純水等の切削液が不図示の噴射装置より噴射されている砥石26へ、回転するウェーハWが接近接触して研削される。
【0023】
砥石26の端部には、ウェーハ端面を所望の形状に粗研磨するための溝が形成されており、例えば図3(a)に示す砥石26AようにウェーハW端面の上下を同時に研削する溝や、図3(b)に示す砥石26Bのように、ウェーハW端面の上下を別々に研削する溝が形成されている。また、砥石26はダイヤモンド砥粒等により形成された砥石であって、ウェーハWの端面の研削では、砥石26の粒度は#400から#600程度の物が望ましく、ウェーハWの送り速度が35mm/secから50mm/secが望ましく、削り代は直径方向に400μmから500μmであるのが望ましい。
【0024】
第1の搬送アーム22は多軸のロボットアームであって、リニアガイドレール29上を移動可能に取り付けられている。第1の搬送アーム22は、同じく多軸のロボットアームである受け取りアーム24により、剥離洗浄部10から吸着搬送され、センタリング装置25により回転中心が合わせられたウェーハを端面研削装置21へ搬送する。第1の搬送アーム22による端面研削装置21へのウェーハの搬送の際には、第1の搬送アーム22はリニアガイドレール29上を移動して、研削加工を行っていない端面研削装置21を選択してウェーハを搬送する。
【0025】
第2の搬送アーム23は、第1の搬送アーム22と同様に多軸のロボットアームであって、リニアガイドレール29上を移動可能に取り付けられている。第2の搬送アーム23は、端面研削装置21により端面の研削が終了したウェーハを端面研削装置21より搬出し、次の洗浄収納部30へ搬送する。
【0026】
これにより、ウェーハは複数の端面研削装置21。21・・で滞留することなく効率的に端面が研削することが可能となる。また、搬入するアームと搬出するアームが異なるので搬送待ちとなることがなく、更には研削前の汚れを研削後のウェーハに付けることもないので効率的で高品質な研削加工が出来る。このように端面が研削されたウェーハは後の工程で表面が研磨される際には割れや欠損を生じさせないので、後の工程においても高効率の加工を可能とする。
【0027】
以上のように端面研削部20で端面が研削されたウェーハは続いて洗浄収納部30へ搬送される。洗浄収納部30には、直径測定部31、カセット洗浄部32、収納部33が備えられている。
【0028】
直径測定部31では、端面研削部20の第2の搬送アーム23よって搬送されてきたウェーハの直径を計測し、外径サイズ毎にカセットCへ収納し、カセット洗浄部32へ搬送する。
【0029】
カセット洗浄部32は、第1洗浄部34、第2洗浄部35、乾燥部36を備えている。外径サイズ毎にカセットCに収納されたウェーハはカセットに収納された状態でカセット洗浄部32内へ不図示の搬送装置で搬入され、第1洗浄部34、第2洗浄部35の順にカセットとともに洗浄される。洗浄後のカセットCは、乾燥部36のノズル37により乾燥され、収納部33へ載置される。収納部33に載置されたカセットCは、不図示の外部搬送装置、または手動で後の工程へ搬送される。
【0030】
以上、説明したように、本発明に係わる面取り機能つき洗浄装置によれば、近接配置された剥離洗浄部と端面研削部と洗浄収納部とにより、最小限の移動距離でウェーハの洗浄、枚葉化、端面研削、再洗浄を行うことが可能であり、端面が研削されたウェーハは後の工程で表面が研磨される際には割れや欠損を生じさせないので、効率的にウェーハを処理することができる。
【0031】
また、端面研削部は一つ以上の端面研削装置を備えているので滞留することなく効率的に端面が研削することが可能である。また、端面研削部は搬入するアームと搬出するアームが異なるので搬送待ちとなることがなく、更には研削前の汚れを研削後のウェーハに付けることもないので効率的で高品質な研削加工が出来る。
【0032】
なお、本実施の形態では、端面研削部に複数の端面研削装置が備えられているが、端面研削装置が1つのみでも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わる面取り機能つき洗浄装置の全体上面図。
【図2】端面研削装置の側面図。
【図3】砥石の側面断面図。
【符号の説明】
【0034】
1…面取り機能つき洗浄装置,10…剥離洗浄部,11…受け取り部,12…粗洗浄部,13…剥離枚葉部,14…洗浄部,15…検査部,20…端面研削部,21…端面研削装置,22…第1の搬送アーム,23…第2の搬送アーム,24…受け取りアーム,25…センタリング装置,26…砥石,29…リニアガイドレール,30…洗浄収納部,31…直径測定部,32…カセット洗浄部,33…収納部,カセット…C,W…ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断機により多数枚同時に切断されたバッチ状態のウェーハの洗浄、スライスベースより剥離枚葉化、検査を行う剥離洗浄部と、
前記剥離洗浄部にて枚葉化されたウェーハの端面を研削する端面研削装置を1つ以上備えた端面研削部と、
前記端面研削部にて端面が研削された前記ウェーハをカセットに収納し、前記カセットとともに前記ウェーハを洗浄する洗浄収納部とを備えたことを特徴とする面取り機能つき洗浄装置。
【請求項2】
前記端面研削部には、前記剥離洗浄部からウェーハを受け取り前記端面研削装置へ供給する第1の搬送アームと、前記端面研削装置にて端面が研削されたウェーハを端面研削装置より搬出し前記洗浄収納部へ搬送する第2の搬送アームとが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の面取り機能つき洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−54708(P2009−54708A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218585(P2007−218585)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】