説明

(ビフェニル)カルボン酸およびその誘導体

本発明は、一般式(I)(A、X、R1〜R6の定義は下記)を有する化合物、および/またはその塩もしくはエステルに関する。さらに、本発明は、アルツハイマー病治療のための化合物の使用およびγ-セクレターゼ活性調節のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)(A、X、R1〜R6の定義は下記)を有する化合物、および/またはその塩もしくはエステルに関する。
【0002】
さらに、本発明は、アルツハイマー病治療のための化合物の使用およびγ-セクレターゼ活性調節のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病は年齢関連の神経変性病の最も一般的な形である。
【0004】
この疾患は主に加齢に関連するが、それだけではなく、臨床では記憶、認知、推理力および判断の進行性喪失だけでなく、感情不安定も呈し、徐々に深刻な痴呆および死亡につながる。
【0005】
アルツハイマー病の定義となる病理学的特徴は、脳に神経原線維濃縮体およびアミロイド斑が見られることで、これらはこの疾患の病因において中心的役割を果たしていると考えられてもいる。
【0006】
これらの斑は主に、695アミノ酸のタンパク質であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断産物として生じるペプチドからなり、APPの機能はこれまでは様々な仮説が立てられているにすぎない。
【0007】
APPは二段階で処理される;第一段階(β-セクレターゼによって触媒される)は分泌ペプチドおよび膜結合C99断片を生じる。
【0008】
C99はγ-セクレターゼによって仲介される第二のタンパク質分解活性の基質であり、特に37〜42残基の範囲のペプチドを生成することになる。
【0009】
より長いアイソフォームであるAβ42の量は、特定のタンパク質(プレセニリン)に特定の突然変異を有する患者で選択的に増加し、これらの突然変異は早期発症家族性アルツハイマー病と互いに関係があるとされている。
【0010】
したがって、Aβ42は多くの人によってアルツハイマー病の病因の主な原因であると考えられている。
【0011】
今やγ-セクレターゼ活性は単一の特定のタンパク質によるとは言えないことが明らかになってきたが、事実、Aph1、ニカストリン、プレセニリンおよびPen-2を含む異なるタンパク質の組み合わせに関連している(De Strooper (2003) Neuron 38, 9による総説(非特許文献1))。
【0012】
したがって、第二の切断段階の分子メカニズムはこれまで不明のままであるが、アルツハイマー病治療のための化合物探索において、γ-セクレターゼ複合体が主な標的の一つとなってきている。
【0013】
新規治療薬の探索における他のヒントは疫学的研究から得られ、その一例は特定の非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)の取り込みがアルツハイマー病発生のリスク低減と相関しているらしいとの知見である(Akiyama et al (2000) Neurobiol. Aging 21, 383(非特許文献2); McGeer et al (1996) Neurology 47, 425(非特許文献3); Rogers et al (1993) Neurology 43, 1609(非特許文献4); Anthony et al (2004) Neurology 54, 2066(非特許文献5); Stewart et al (1997) Neurology 48, 626(非特許文献6); In't Veld et al (1999) Neurobiol. Aging 19, 607(非特許文献7))。
【0014】
事実、この知見は最近、特定のNSAIDのγ-セクレターゼに対する効果を示す生化学的研究によって裏付けられた(Weggen et al (2001) Nature 414, 6860, 212(非特許文献8); Morihara et al (2002) J. Neurochem. 4, 1009(非特許文献9); Eriksen (2003) J. Clin. Invest. 112, 440(非特許文献10))。
【0015】
類似の効果を示すさらなる化合物の開発はこれまで、前述の効果の分子メカニズムが理解されていないために妨害されてきた。
【0016】
したがって、γ-セクレターゼ活性を調節し、それによってアルツハイマー病治療のための新しい道を開く新規化合物が強く必要とされている。
【0017】
本発明の目的はそのような化合物を提供することである。
【0018】
【非特許文献1】De Strooper (2003) Neuron 38, 9による総説
【非特許文献2】Akiyama et al (2000) Neurobiol. Aging 21, 383
【非特許文献3】McGeer et al (1996) Neurology 47, 425
【非特許文献4】Rogers et al (1993) Neurology 43, 1609
【非特許文献5】Anthony et al (2004) Neurology 54, 2066
【非特許文献6】Stewart et al (1997) Neurology 48, 626
【非特許文献7】In't Veld et al (1999) Neurobiol. Aging 19, 607
【非特許文献8】Weggen et al (2001) Nature 414, 6860, 212
【非特許文献9】Morihara et al (2002) J. Neurochem. 4, 1009
【非特許文献10】Eriksen (2003) J. Clin. Invest. 112, 440
【発明の開示】
【0019】
目的は一般式(I)を有する化合物および/またはその塩もしくはエステルによって達成される:

式中
Aはフェニル;C3-7シクロアルキル;およびヘテロシクリルからなる群より選択される環であり;
XはF、Cl、Br、Iおよび一つまたは複数のF、Cl、Br、Fで置換されていてもよいC1-C4アルキル基の群からの一つまたは複数の置換基で置換されていてもよい直鎖C1-C4アルキレン基であり;
R1およびR2は、互いに独立に、H;CH3、C2H5、i-C3H7、n-C3H7、i-C4H9、n-C4H9、sec-C4H9、tert-C4H9の群から選択されるアルキル;C2H3、i-C3H5、n-C3H5、n-C4H7、i-C4H7、sec-C4H7から選択されるアルケニルからなる群より選択されるか;またはR1およびR2は、3から6個のC原子を有する、飽和もしくは不飽和いずれかの環の一部であり、この環はその中にN、SもしくはOの群から一つもしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、このヘテロ原子は複数個存在する場合には同じでも、異なっていてもよく;
R3、R4、R5およびR6はH;F;Cl;Br;I;CN;OH;C(O)N(R7R8);S(O)2R7;SO2N(R7R8);S(O)N(R7R8);N(R7)S(O)2R8;N(R8)S(O)R8;S(O)2R7;N(R7)S(O)2N(R8R8a);SR7;N(R7R8);N(R7)C(O)R8;N(R7)C(O)N(R8R8a);N(R7)C(O)OR8;OC(O)N(R7R8);C(O)R7;置換および無置換C1-C4-アルキルならびに置換および無置換C1-C4-アルコキシからなる群より独立に選択され、ここで基C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシ両方の置換基はF、Cl、Br、I、CF3から選択され;
R7、R8、R8aはH;C1-C4-アルキル;ヘテロシクリル;およびC3-7シクロアルキルからなる群より独立に選択され、ここでC1-C4-アルキル;ヘテロシクリル;およびC3-7シクロアルキルはF、Cl、Br、IおよびCF3からなる群より独立に選択される一つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
本明細書において用いられる「置換(された)」なる用語は部分的および完全置換の両方を含む。置換基は飽和または不飽和のいずれであってもよい。
【0021】
エステルは、カルボキシル基のHが有機残基R7aで置き換えられた、式(I)のものである。適当な有機残基は当業者には公知である。好ましいR7aには下記が含まれる:
無置換または少なくともモノ置換アルキル、好ましくはC1-C10アルキル、アルケニル、好ましくはC2-C10-アルケニル、アルキニル、好ましくはC3-C10-アルキニル、および3から6個のC原子を有する、無置換または少なくともモノ置換、飽和または不飽和、非芳香または芳香環であって、環の中にN、SまたはOの群から一つもしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、このヘテロ原子は複数個存在する場合には同じでも、異なっていてもよい環。この置換基はハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、N、S、O、カルボキシル、スルホニルなどからなる群より選択され、これらはさらに置換されていてもよい。
【0022】
現行の芳香族基の例には、アリール基、例えばフェニル基、およびヘテロアリール基が含まれ、このアリールおよびヘテロアリール基は、好ましくは前述の置換基で置換されていてもよい。
【0023】
「C1-C4-アルキル」なる用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチルおよびtert-ブチルを意味する。
【0024】
「C3-7シクロアルキル」または「C3-7シクロアルキル環」とは、3〜7個の炭素原子を有する環式アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルを意味する。シクロアルキル炭素の各水素は置換基で置き換えられてもよい。
【0025】
「ヘテロシクリル」または「複素環」とは、最大数までの二重結合を含んでいてもよいシクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタン環(完全、部分または不飽和である芳香または非芳香環)を意味し、ここで少なくとも一つの炭素原子で、4個までの炭素原子は硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素および窒素(=N(O)-を含む)からなる群より選択されるヘテロ原子で置き換えられており、ここで環は分子の残りに炭素または窒素原子を介して連結されている。複素環の例には、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、イソキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、アゼピンまたはホモピペラジンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。「複素環」とは、アゼチジンも意味する。
【0026】
好ましい態様において、本発明は、A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が互いに独立に下記の意味を有する一般式(I)を有する化合物および/またはその塩もしくはエステルに関する:
Aはフェニル;シクロプロピル;シクロヘキシル;または6員芳香族複素環である。
XはF、Cl、Br、Iおよび一つまたは複数のF、Cl、Br、Iで置換されていてもよいC1-C4アルキル基の群からの一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいCH2基であり;かつ/または
R1およびR2はHであるか;またはR1はHであり、R2はCH3、C2H5、C3H7もしくはC4H9またはその異性体であるか;またはR1およびR2はCH3であるか、またはR1、R2はそれらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し;かつ/または
R3、R4、R5およびR6はH;OH;F、Cl、Br、Iで部分的または完全に置換されているC1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシ;C(O)NH2、S(O)2-C1-C4-アルキル、S(O)2-ヘテロシクリルからなる群より独立に選択される。
【0027】
この態様群において、すべての基A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が前述の定義の意味を有する場合により好ましい。
【0028】
A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が互いに独立に下記の意味を有する場合および/またはその塩もしくはエステルの場合により好ましい:
Aはフェニルであり;かつ/または
XはCH2またはCHCH3であり;かつ/または
R1およびR2はHであるか;またはR1はHであり、R2はCH3、C2H5、C3H7もしくはC4H9またはその異性体であるか;またはR1およびR2はCH3であるか、またはR1、R2はそれらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し;かつ/または
R3、R4、R5およびR6はH、OH、CH3、OCH3、CF3、OCF3、C(O)NH2、S(O)2-C1-C4-アルキル、S(O)2-ヘテロシクリル、F、およびClからなる群より独立に選択される。
【0029】
この態様群において、すべての基A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が前述の定義の意味を有する場合により好ましい。
【0030】
さらにより好ましい態様において、本発明は下記からなる群より選択される化合物および/またはその塩もしくはエステルに関する:
I)[5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
II)[5-(4-イソプロピル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
III)[4'-トリフルオロメチル-5-(4-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
IV)[5-(4-メタンスルホニル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
V)(5-シクロヘキシルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
VI){ 5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸;
VII)(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
VIII)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
IX)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
X)5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XI)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ビス-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル-酢酸;
XII)(5-ベンジルオキシ-3',4'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIII)(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIV)(5-ベンジルオキシ-3'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XV)(5-ベンジルオキシ-3'-カルバモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XVI)(5-ベンジルオキシ-3'-ヒドロキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XVII)(5-ベンジルオキシ-4'-メタンスルホニル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIII)(5-ベンジルオキシ-4'-スルファモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIX)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-プロピオン酸;
XX)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸;
XXI)1-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-シクロプロパンカルボン酸;
XXII)(5-ベンジルオキシ-4'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIII)(5-ベンジルオキシ-4'-クロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIV)(4'-アセチルアミノ-5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXV)(5-ベンジルオキシ-4'-ヒドロキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVI)(5-ベンジルオキシ-4'-イソプロポキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVII)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジフルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVIII)(5-ベンジルオキシ-3'-イソプロポキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIX)(5-ベンジルオキシ-4'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXX)(5-ベンジルオキシ-2'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXI)(5-ベンジルオキシ-2'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXII)(5-ベンジルオキシ-3'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIII)(5-ベンジルオキシ-3'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIV)(5-ベンジルオキシ-2'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXV)(5-ベンジルオキシ-4'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVI)(5-ベンジルオキシ-3'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVII)(5-ベンジルオキシ-3'-クロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVIII)(5-ベンジルオキシ-3'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIX)2-{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-ペンタン酸;
XL)2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
XLI)[5-(4-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLII)(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XLIII)[5-(5-メチル-イソキサゾル-3-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLIV)[5-(3,5-ジクロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLV)[5-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVI)[5-(4-ジメチルスルファモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVII)[5-(1-フェニル-エトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVIII){5-[4-(モルホリン-4-カルボニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸;
XLIX)[4'-トリフルオロメチル-5-(3-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
L)[4'-トリフルオロメチル-5-(2-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LI)(5-フェネチルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
LII)[5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIII)[5-(4-ジメチルカルバモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIV)[5-(4-メチルカルバモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LV){5-[4-(ピロリジン-1-カルボニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル }-酢酸;
LVI){5-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル }-酢酸;
LVII)[5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LVIII)[5-(2-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIX)[5-(3-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LX)[5-(4-メチル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LXI)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタ-4-エノン酸;
LXII)(R)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXIII)(S)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXIV)R)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXV)(S)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸。
【0031】
本発明の化合物および/またはその塩もしくはエステルのいくつかは、異なる立体異性体型で存在することになる。これらの型はすべて本発明の対象である。
【0032】
以下に記載するものは本発明の化合物の例示的塩であって、これらは本明細書に含まれる。下記の異なる塩のリストは完全かつ限定的であることを意図するものではない。
【0033】
一つまたは複数の酸性基を含む本発明の化合物は、本発明に従い、例えばそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として用いることができる。そのような塩のより厳密な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩あるいはアンモニアまたは例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンもしくはアミノ酸などの有機アミンとの塩が含まれる。
【0034】
一つまたは複数の塩基性基、すなわちプロトン化することができる基を含む本発明の化合物は、本発明に従い、無機または有機酸とのそれらの付加塩の形で用いることができる。
【0035】
適当な酸の例には、塩酸、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸および当業者には公知の他の酸が含まれる。
【0036】
「薬学的に許容される」なる用語は、EMEA(欧州)および/もしくはFDA(米国)などの規制機関ならびに/または任意の他の国の規制機関によって、動物、好ましくはヒトにおける使用が承認されていることを意味する。
【0037】
いくつかの塩基性基を含む本発明の化合物は、同時に異なる塩を形成することができる。
【0038】
本発明の化合物が分子内に同時に酸性基と塩基性基とを含む場合、本発明は前述の塩の形に加えて、内部塩またはベタインも含む。
【0039】
本発明の化合物のそれぞれの塩は、当業者には公知の通常の方法、例えば、これらを溶媒もしくは分散媒中で有機もしくは無機酸もしくは塩基と接触させることにより、または他の塩との陰イオン交換または陽イオン交換により、得ることができる。
【0040】
さらに、本発明は、生理的適合性が低いため、医用薬剤における使用に直接適していないが、例えば、化学反応もしくは薬学的に許容される塩調製のための中間体として用いることができるか、または本発明の化合物のγ-セクレターゼ調節活性を、任意の適当なインビトロアッセイなどの任意の適当な様式で試験するのに適当と考えられる、本発明の化合物のすべての塩を含む。
【0041】
本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物をさらに含む。
【0042】
本発明は、生理的に耐容され、切断可能な基を含み、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおいて代謝されて本発明の化合物となる、本発明の化合物の誘導体/プロドラッグ(その塩を含む)をさらに含む。
【0043】
本発明は、本発明の化合物の代謝物をさらに含む。
【0044】
「代謝物」なる用語は、細胞または生物、好ましくは哺乳動物における任意の本発明の化合物由来のすべての分子を意味する。
【0045】
好ましくは「代謝物」なる用語は、生理的条件下でいかなるそのような細胞または生物に存在するいかなる分子とも異なる分子を意味する。
【0046】
本発明の化合物の代謝物の構造は、当業者であれば、様々な適当な方法を用いて明らかになると思われる。
【0047】
一般式(I)の化合物は、文献中に報告されている方法または類似の方法により調製することができる。
【0048】
化合物の合成法は、例えば、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie (Methods of Organic Chemistry), Thieme-Verlag, Stuttgart、およびOrganic Reactions, John Wiley & Sons, New Yorkに記載されている。
【0049】
個々の場合の状況に応じて、一般式(I)の化合物合成中の副反応を避けるために、保護基を導入することにより官能基を一時的にブロックし、合成の後半の段階でそれらを脱保護すること、または前駆基の形で官能基を導入し、後半の段階でそれらを所望の官能基に変換することが必要または有利でありうる。適当な合成戦略、保護基および前駆基は当業者には公知である。
【0050】
望まれる場合には、式(I)の化合物は通常の精製法、例えば、再結晶またはクロマトグラフィによって精製することができる。式(I)の化合物調製の出発原料は市販されているか、または文献法に従い、もしくはそれと同様に調製することができる。
【0051】
これらは、当業者には周知のいくつかの方法により、本発明の他の化合物調製の基礎として役立ちうる。
【0052】
特に、本発明の化合物はアルツハイマー病の治療に適している。
【0053】
この使用に関する詳細を以下にさらに開示する。
【0054】
化合物はγ-セクレターゼ活性調節のために用いることができる。
【0055】
本明細書において用いられる「γ-セクレターゼ活性の調節」なる用語は、γ-セクレターゼ複合体によるAPPの処理に対する効果を意味する。好ましくは、APP処理の全体の速度は基本的に化合物を適用しない場合のままであるが、処理生成物の相対量が変わる、より好ましくは生成するAβ42-ペプチドの量が減少するように変わる効果を意味する。
【0056】
γ-セクレターゼ複合体はNotchタンパク質の処理にも関与していることが以前に明らかにされている。Notchは発生過程において非常に重要な役割を果たすシグナリングタンパク質である(例えば、Schweisguth F (2004) Curr. Biol. 14, R129に総説掲載)。
【0057】
治療におけるγ-セクレターゼ活性調節のための化合物の使用に関して、推定される望ましくない副作用を避けるために、γ-セクレターゼ活性のNotch処理活性を妨害しないことが特に有利であると思われる。
【0058】
したがって、γ-セクレターゼ複合体のNotch処理活性に対する効果を示さない化合物が好ましい。
【0059】
本発明の意味の範囲内で、「Notch処理活性に対する効果」は特定の因子によるNotch処理活性の阻害または活性化の両方を含む。
【0060】
化合物は、Shimizu et al (2000) Mol. Cell. Biol, 20: 6913に記載のとおり、それぞれのアッセイにおいて、30μMの濃度で因子が20未満、好ましくは10未満、より好ましくは5未満、最も好ましくは2未満である場合に、Notch処理活性に対して効果がないと定義される。
【0061】
そのようなγ-セクレターゼ調節は、例えば、哺乳動物などの動物で行うことができる。例示的哺乳動物はマウス、ラット、モルモット、サル、イヌ、ネコである。調節はヒトでも行うことができる。
【0062】
本発明の特定の態様において、調節はインビトロまたは細胞培養中で実施する。
【0063】
当業者には公知のとおり、いくつかのインビトロおよび細胞培養アッセイが利用可能である。
【0064】
そのようなアッセイの一例が国際公開公報第03/008635号に記載されている。
【0065】
γ-セクレターゼ切断の様々な生成物(Aβ-ペプチド)の濃度は、当業者には公知の様々な方法により定量することができる。そのような方法の例には、質量分析または抗体での検出によるペプチドの定量が含まれる。
【0066】
適当な抗体は、例えば、The Genetics Company, Inc., Switzerlandから入手可能である。
【0067】
さらなる情報は、例えば、N. Ida et al. (1996) J. Biol. Chem. 271, 22908、およびM. Jensen et al. (2000) Mol.Med. 6, 291に開示されている。抗体を用いたキットもInnogenetics, Belgiumから入手可能である。
【0068】
そのようなアッセイにおいて用いることができる細胞には、生理的にγ-セクレターゼ複合体を発現する細胞およびγ-セクレターゼ複合体のいくつか、またはすべてのインタラクター(interactors)を一過性または安定に発現する細胞が含まれる。
【0069】
そのようなアッセイに適した多くの利用可能な細胞株は当業者には公知である。
【0070】
ニューロンまたはグリア由来の細胞および細胞株が特に適している。さらに、脳の細胞および組織ならびにそのホモジネートおよび膜調製物も用いることができる。
【0071】
そのようなアッセイは、例えば、異なる実験条件および構成において本発明の化合物の効果を試験するために行うこともある。
【0072】
さらに、そのようなアッセイはγ-セクレターゼ複合体の機能試験の一部として行うこともある。
【0073】
例えば、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトのγ-セクレターゼ複合体の一つまたは複数のインタラクター(それらの野生型または特定の突然変異および/もしくは改変を有する形のいずれか)を特定の細胞株で発現させ、本発明の化合物の効果を試験してもよい。
【0074】
用いるインタラクターの突然変異型は、特定の動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて記載されている突然変異型または動物において過去に記載されたことがない突然変異型のいずれでもありうる。
【0075】
γ-セクレターゼ複合体のインタラクターの改変には、インタラクターの任意の生理的改変および生体系におけるタンパク質の改変として記載されている他の改変の両方が含まれる。
【0076】
そのような改変の例には、グリコシル化、リン酸化、プレニル化、ミリスチル化およびファルネシル化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0077】
さらに、本発明の化合物はγ-セクレターゼ活性調節用の薬剤調製のために用いることができる。
【0078】
本発明はさらに、γ-セクレターゼ活性調節用の薬剤調製のための化合物の使用に関する。
【0079】
γ-セクレターゼの活性は異なる様式で調節することができ、すなわち様々なAβ-ペプチドの異なる特性を生じる。
【0080】
生成するAβ42-タンパク質の相対量の減少を引き起こす、γ-セクレターゼ活性調節のための化合物の使用が好ましい。
【0081】
それぞれの用量、投与経路、製剤などを以下にさらに開示する。
【0082】
本発明はさらに、Aβ42-生成のレベル上昇に関連する疾患治療のための本発明の化合物の使用に関する。
【0083】
本明細書において用いられる「治療」なる用語は、疾患の進行の遅延、妨害、停止、または中止があるが、必ずしもすべての症状の完全な除去を示すものではない、すべての過程を意味するように意図される。
【0084】
本明細書において用いられる「Aβ42-生成のレベル上昇」なる用語は、Aβ42-ペプチドの生成速度が、APPの処理における全般的増大により上昇する状態を意味するか、または好ましくは、Aβ42ペプチドの生成が、野生型/非病的状況に比べてAPP処理特性の改変により増大する状態を意味する。
【0085】
上に概略を示したとおり、Aβ42-レベルの上昇はアルツハイマー病を発症しつつある、またはアルツハイマー病を患っている患者の特徴である。
【0086】
さらに、本発明は、本発明の化合物を不活性担体との混合物で含む組成物に関する。
【0087】
好ましい態様において、本発明は、本発明の化合物を不活性担体との混合物で含む組成物であって、ここで不活性担体は薬学的担体である組成物に関する。
【0088】
「担体」なる用語は、化合物を共に投与する、希釈剤、補助剤、賦形剤、または媒体を意味する。そのような薬学的担体は、水、および落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含むが、それらに限定されるわけではない、石油、動物、植物または合成由来のものを含む油などの無菌の液体でありうる。水は、薬学的組成物を経口投与する場合の好ましい担体である。食塩水および水性デキストロースは、薬学的組成物を静脈内投与する場合の好ましい担体である。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、好ましくは、注射溶液用の液体担体として用いる。適当な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、望まれる場合には、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形を取ることができる。組成物は、通常の結合剤およびトリグリセリドなどの担体と共に坐剤として製剤することもできる。経口製剤は、薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準の担体を含むことができる。適当な薬学的担体の例は、E.W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための剤形を提供するために、治療上有効な量の、好ましくは精製した形の化合物を、適当な量の担体と共に含むことになる。製剤は投与様式に適合しているべきである。
【0089】
さらに、本発明は、本発明の化合物の調製法であって、任意に保護されているフェニル酢酸誘導体を適当な芳香族化合物とカップリングさせる段階と、そのようにして得られたビフェニル化合物の任意のさらなる官能基付加および脱保護の段階とを含む方法に関する。
【0090】
一つの態様において、ジヒドロキシフェニル酢酸誘導体を、アセトニトリルなどの適当な溶媒中、アルカリ金属炭酸塩、典型的には炭酸カリウムなどの無機塩基を用い、ハロゲン化ベンジル、典型的には臭化ベンジルでアルキル化することができる。得られたアルコールを、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中、例えば、無水トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジンなどの有機塩基を用いてトリフレートに変換することができる。次いで、このトリフレートを、鈴木カップリングのために当技術分野において公知の様々な条件下、典型的には1,2-ジメトキシエタンなどの溶媒、フッ化セシウムなどのハロゲン化金属、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム化合物を用いて、ボロン酸にカップリングさせることができる。
【0091】
任意に、本発明の化合物の調製法は、ビフェニル化合物を適当なハロゲン化物または二ハロゲン化物と反応させて、R1、R2の少なくとも一つがH以外である本発明の化合物を得る段階をさらに含む。
【0092】
エステルの酸への変換は、水と、テトラヒドロフランおよびメタノールなどの他の適当な溶媒存在下、水酸化アルカリ金属、典型的には水酸化リチウムなどの塩基を用いて行うことができる。
【0093】
本発明の化合物調製のためのもう一つの態様において、ジブロモフルオロベンゼンを、テトラヒドロフランなどの適当な非プロトン性溶媒中、水素化アルカリ金属、典型的には水素化ナトリウム存在下、ベンジルアルコールで処理することができる。生成物を水素化アルカリ金属、典型的には水素化ナトリウムおよびハロゲン化金属、典型的にはハロゲン化銅、好ましくは臭化銅存在下、マロン酸tert-ブチルエステルエチルエステルなどの適当なマロン酸誘導体で処理することができる。酢酸などの酸性溶媒中、高温でさらに処理して、ベンジルオキシ-ブロモフェニル酢酸エステルを得る。これを鈴木カップリングのために当技術分野において公知の様々な条件下、典型的には1,2-ジメトキシエタンおよび水などの溶媒、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ならびにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム化合物を用いて、ボロン酸にカップリングさせることができる。
【0094】
エステルの酸への変換は、水と、テトラヒドロフランおよびメタノールなどの他の適当な溶媒存在下、水酸化アルカリ金属、典型的には水酸化リチウムなどの塩基を用いて行うことができる。
【0095】
必要な場合には、ビフェニルカルボン酸を、テトラヒドロフランなどの適当な非プロトン性溶媒中、適当な温度、典型的には-15℃で、金属ヘキサメチルジシラジド、典型的にはLiHMDSなどの適当な塩基、および適当なハロゲン化物で処理して、アルキル化することができる。
【0096】
もう一つの態様において、そのような基は、エステルをDMFなどの適当な溶媒中、-4℃などの適当な温度で、水素化アルカリ金属、典型的には水素化ナトリウムなどの適当な塩基、および適当なハロゲン化物で処理することにより組み込むことができる。
【0097】
エステルの酸への変換は、水と、テトラヒドロフランおよびメタノールなどの他の適当な溶媒存在下、水酸化アルカリ金属、典型的には水酸化リチウムなどの塩基を用いて行うことができる。
【0098】
さらに、本発明は、下記の段階を含む薬剤の調製法に関する:
a)本発明の化合物を調製する段階と
b)化合物を含む薬剤を製剤する段階。
【0099】
本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、アリセプト(Eisai)、ドネペジル(Pfizer)、コグネックス(Warner-Lambert)、タクリン(Warner-Lambert)、アクスラ(Merz)、メマンチン(Merz)またはアルツハイマー病を治療もしくは予防するのに適した当業者には公知の任意の他の薬物などの、アルツハイマー病を治療または予防するのに適した他の薬学的に活性な化合物と任意に組み合わせて、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトに、それらだけの医用薬剤として、互いの混合物で、または医用製剤の形で投与することができる。
【0100】
様々な送達系、例えば、リポソーム、微小粒子、およびマイクロカプセルへの封入が公知で、本発明の化合物をアルツハイマー病治療/γ-セクレターゼ活性調節用に投与するために用いることができる。
【0101】
中枢神経系、好ましくは脳に直接送達しない場合、薬学的化合物が血液脳関門を通過できるように、投与法を選択および/または改変することが有利である。
【0102】
導入法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0103】
化合物は任意の好都合な経路、例えば、注入、ボーラス注射、上皮または粘膜皮膚層からの吸収により投与してもよく、他の生物活性物質と共に投与してもよい。
【0104】
投与は全身でも局所でもよい。加えて、本発明の薬学的組成物を、脳室内およびクモ膜下注射を含む任意の適当な経路により、中枢神経系に導入することが望ましく;脳室内注射は、例えば、オマヤレザバーなどの貯蔵器に連結した脳室内カテーテルにより容易に行うことができる。肺投与も、例えば、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤との製剤を用いて行うことができる。
【0105】
もう一つの態様において、化合物は小胞、特にリポソーム中で送達することができる(Langer (1990) Science 249, 1527;Treat et al. (1989) Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler, eds., Liss, New York, 353;Lopez-Berestein, ibid., 317)。
【0106】
さらにもう一つの態様において、化合物は制御放出系により送達することができる。一つの態様において、ポンプを用いてもよい(Sefton (1987) CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14, 201;Buchwald et al. (1980) Surgery 88, 507;Saudek et al. (1989) N. Engl. J. Med. 321, 574)。もう一つの態様において、ポリマー材料を用いることもできる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise, eds., CRC Press, Boca Raton, Florida (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball, eds., Wiley, New York (1984);Ranger and Peppas (1983) Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23, 61;Levy et al. (1985) Science 228, 190;During et al. (1989) Ann. Neurol. 25, 351;Howard et al. (1989) J. Neurosurg. 71, 858)。さらにもう一つの態様において、制御放出系を治療標的、すなわち脳の近くに設置することもでき、その場合、全身用量の一部しか必要としない(例えば、Goodson, 1984, In: Medical Applications of Controlled Release, supra, Vol. 2, 115)。他の制御放出系がLangerの総説に論じられている(1990, Science 249, 1527)。
【0107】
適当な投与様式を選択するために、当業者であれば、他の公知の抗アルツハイマー薬に対して選択されている投与経路も考慮することになる。
【0108】
例えば、アリセプト/ドネペジルおよびコグネックス/タクリン(すべてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤)は経口摂取されており、アクスラ/メマンチン(NMDA受容体アンタゴニスト)は錠剤/液剤および静脈注射液剤の両方で始められた。
【0109】
さらに、当業者であれば、NSAIDファミリーのメンバーのアルツハイマー病に対する効果を調べる臨床試験および他の試験におけるそれらの投与経路に関して、入手可能なデータを考慮すると考えられる。
【0110】
適当な用量を選択するために、当業者であれば、前臨床および/または臨床試験で毒性ではないことが明らかにされており、事前に示されている値に一致していてもよく、またはそれらの値からはずれることもある用量を選択すると思われる。
【0111】
製剤において用いる厳密な用量は、投与経路、および疾患または障害の重症度にも依存し、医師の判断およびそれぞれの患者の状況に従って決定すべきである。しかし、静脈内投与に適した用量範囲は一般に、体重1キログラムあたり活性化合物約20〜500マイクログラムである。鼻腔内投与に適した用量範囲は一般に、体重1キログラムあたり約0.01mgから1mgである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導した用量-反応曲線から外挿してもよい。
【0112】
例示的動物モデルは、二重突然変異KM670/671NLを伴うAPP-695型を含むトランスジェニックマウス系統「Tg2576」である。文献は、例えば、米国特許第5877399およびHsiao et al. (1996) Science 274, 99ならびにKawarabayahsi T (2001) J. Neurosci. 21, 372;Frautschy et al. (1998) Am. J. Pathol. 152, 307;Irizarry et al. (1997) J. Neuropathol. Exp. Neurol. 56, 965;Lehman et al. (2003) Neurobiol. Aging 24, 645を参照されたい。
【0113】
当業者にはいくつかの試験から多くのデータが入手可能で、これらは当業者にとって選択した治療法の適当な用量を選ぶために有益である。
【0114】
γ-セクレターゼ活性に対する分子の効果を記載している多くの試験が報告されている。例示的試験は、Lim et al. (2001) Neurobiol. Aging 22, 983;Lim et al. (2000) J Neurosci. 20, 5709;Weggen et al. (2001) Nature 414, 212;Eriksen et al. (2003) J Clin Invest. 112, 440;Yan et al. (2003) J Neurosci. 23, 7504である;
【0115】
一般
すべての反応は不活性雰囲気下で行った。NMRスペクトルはBruker dpx400で記録した。LCMSはAgilent 1100で、方法AおよびBでは登録商標ZORBAX SB-C18、4.6×150mm、5ミクロンカラム、方法Cでは登録商標ZORBAX SB-C18、4.6×75mm、3.5ミクロンカラムを用いて実施した。カラム流速は1ml/分で、用いた溶媒は水およびアセトニトリル(0.1%TFA)で、注入量10ulであった。波長は254および210nmであった。方法を以下に記載する:
【0116】

【0117】
略語


【0118】
実施例
実施例1:[5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(I)の調製
MeCN(5ml)中の(3,5-ジヒドロキシ-フェニル)-酢酸メチルエステル(0.500g、2.75mmol)をK2CO3(0.095g、6.88mmol)および臭化4-フルオロベンジル(0.520g、2.75mmol)で処理した。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:イソ-ヘキサン)で直接精製して、[3-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-5-ヒドロキシ-フェニル]-酢酸メチルエステル(0.15g)を得た。
【0119】
DCM(5ml)中の[3-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-5-ヒドロキシ-フェニル]-酢酸メチルエステル(0.14g)をピリジン(116μl、1.44mmol)で処理し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.16g、0.58mmol)を滴下した。混合物を室温で3h撹拌した。混合物をさらにDCMで希釈し、HCl水溶液(1M)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、[3-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-5-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-フェニル]-酢酸メチルエステル(0.16g)を橙褐色油状物で得た。
【0120】
[3-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-5-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-フェニル]-酢酸メチルエステル(0.15g)をDME(4ml)中でCsF(0.13g、0.83mmol)、4-トリフルオロメチルベンゼンボロン酸(0.086g、0.45mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.013g、0.011mmol)と混合した。混合物をCEMマイクロ波中、90℃で10min加熱した。混合物をEtOAcで希釈し、水およびNaHCO3飽和水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:イソ-ヘキサン)で精製して、5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸メチルエステル(0.035g)を白色固体で得た。
【0121】
THF(2ml)中の5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸メチルエステル(0.035g)をLiOH水溶液(210ul、1M)および数滴のMeOHで処理した。混合物を室温で2h撹拌し、次いで水で希釈し、HCl水溶液(2M)で酸性化し、EtOAc(×3)で抽出した。抽出物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。粗生成物を調製用HPLCで精製して、5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(0.012g、0.03mmol)を白色固体で得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.65 (q, 4H), 7.41 (q, 2H) 7.07 (m, 4H), 6.94 (s, 1H), 5.06 (s, 2H), 3.68 (s, 2H); LCMS法(A)、5.2min。
【0122】
実施例2:本発明の化合物のγ-セクレターゼ調節活性についてのスクリーニング
スクリーニングを、1%非必須アミノ酸、100U/ml Pen/Strepを補足した5%血清/Feを含む、Gibco(カタログno.31330-38)提供のDMEM/NUT-mix F12(HAM)中で培養したAPP-「スウェーデン突然変異」(595および596位に点突然変異、番号づけはApp695に基づく)を有するSKN神経芽腫細胞を用いて行った。
【0123】
細胞をコンフルエントに近づくまで培養した。
【0124】
スクリーニングをCitron et al (1997) Nature Medicine 3: 67に記載のアッセイを用いて行った。
【0125】
選択した本発明の化合物のγ-セクレターゼ活性に対するIC-50値
活性範囲:A=<1uM;B=1〜10uM;C=10〜100uM;D=100〜300uM



【0126】
実施例3:本発明の化合物のシクロオキシゲナーゼ-1およびシクロオキシゲナーゼ-2(Cox-1、Cox-2)に対する効果の評価
Cox-1およびCox-2の阻害を、Cayman Chemical Company, Ann Arbor, MI, USA.(カタログNo. 760111)提供の比色Cox阻害剤スクリーニングアッセイを製造者の指示に従い用いて評価した。
【0127】
下記の化合物は100uMで<50%阻害を示す:
[5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
[4'-トリフルオロメチル-5-(4-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
(5-シクロヘキシルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸;
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-プロピオン酸;
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸;
1-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-シクロプロパンカルボン酸;
2-{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル }-ペンタン酸;
2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
[5-(3,5-ジクロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
[5-(4-ジメチルスルファモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
[5-(1-フェニル-エトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸。
【0128】
実施例4:[5-(4-イソプロピル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(II)の調製
臭化4-フルオロベンジルを臭化4-イソプロピルベンジルに置き換えての、実施例1と同様の方法。

【0129】
実施例5:[4'-トリフルオロメチル-5-(4-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸(III)の調製
臭化4-フルオロベンジルを臭化4-トリフルオロメチルベンジルに置き換えての、実施例1と同様の方法。

【0130】
実施例6:[5-(4-メタンスルホニル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(IV)の調製
臭化4-フルオロベンジルを1-ブロモメチル-4-メタンスルホニル-ベンゼンに置き換えての、実施例1と同様の方法。

【0131】
実施例7:(5-シクロヘキシルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(V)の調製
臭化4-フルオロベンジルをブロモメチル-シクロヘキサンに置き換えての、実施例1と同様の方法。

【0132】
実施例8:{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸(VI)の調製
臭化4-フルオロベンジルを臭化4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルに置き換えての、実施例1と同様の方法。

【0133】
実施例9:(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(VII)の調製
1-ベンジルオキシ-3,5-ジブロモベンゼンの調製
THF(150ml)中のNaH(鉱油中60%懸濁液4.0g、100mmool)の懸濁液にベンジルアルコール(9.7ml、94mmol)を室温で滴下し、混合物を室温で1h撹拌した後、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼン(15.9g、62.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で12h撹拌した。水を注意深く加え、THFを減圧下で蒸発させた。残渣をイソ-ヘキサン(×3)で抽出し、合わせた有機抽出物をNaOH水溶液(1M)、水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、1-ベンジルオキシ-3,5-ジブロモベンゼン(14.7g、65mmol)を無色液体として収率69%で得た。

【0134】
(3-ベンジルオキシ-5-ブロモ-フェニル)-酢酸エチルエステルの調製
ジオキサン(200ml)中のNaH(鉱油中60%懸濁液2.2g、53.8mmol)の懸濁液にマロン酸tert-ブチルエステルエチルエステル(10.2ml、53.8mmol)を室温で滴下し、混合物をこの温度で1h撹拌した後、CuBr(7.7g、53.8mmol)および1-ベンジルオキシ-3,5-ジブロモベンゼン(9.2g、26.9mmol)を加えた。反応混合物を5h加熱還流した。HCl水溶液(1M、100ml)を注意深く加え、混合物をイソ-ヘキサン(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をHCl水溶液(1M)、水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、溶出順に、1-ベンジルオキシ-3,5-ジブロモベンゼン(3.2g、9.4mmol)を収率35%で回収し、2-(3-ベンジルオキシ-5-ブロモ-フェニル)-マロン酸tert-ブチルエステルエチルエステル(7.2g、1.4当量のマロン酸tert-ブチルエステルエチルエステルを含む、10mmol)を無色液体として収率37%で得た。
【0135】
2-(3-ベンジルオキシ-5-ブロモフェニル)マロン酸tert-ブチルエステルエチルエステル(7.2g、1.4当量のマロン酸tert-ブチルエステルエチルエステルを含む、10mmol)を氷酢酸(50ml)に溶解し、12h加熱還流した。AcOHを減圧下で除去した。残渣をNa2CO3飽和水溶液に注ぎ、混合物をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、(3-ベンジルオキシ-5-ブロモ-フェニル-)酢酸エチルエステル(6.8g、9.7mmol)を黄色液体として収率97%で得た。

【0136】
(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの調製
(3-ベンジルオキシ-5-ブロモフェニル)-酢酸エチルエステル(0.250g、0.72mmol)、ベンゼンボロン酸(0.10g、0.86mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.04g、0.04mmol)をK2CO3水溶液(0.72ml、1.44mmol、2M)およびDME(2ml)の混合物に懸濁した。この反応混合物をCEMマイクロ波中、120℃で30min照射した。反応混合物を水で希釈し、Et2O(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(0.12g、0.35mmol)を無色ガムとして収率48%で得た。

【0137】
(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)酢酸の調製
EtOH(2ml)中の(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(0.12g、0.35mmol)の溶液にNaOH水溶液(1ml、1M)を加え、混合物を室温で12h撹拌した。反応混合物をHCl水溶液(2M)で希釈し、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、(5-ベンジルオキシビフェニル-3-イル)酢酸(0.12g、0.31mmol)を無色固体として収率90%で得た。

【0138】
実施例10:2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(VIII)の調製
THF(1.2ml)中の(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(0.09g、0.23mmol)をヘキサン中のLHMDSの溶液(0.49ml、0.49mmol、1.0M)に-15℃で滴下した。30min後、THF(0.3ml)中のヨードプロパン(0.08ml、0.82mmol)を加え、混合物を-15℃でさらに30min撹拌した。次いで、混合物を氷およびHCl水溶液(2M)の混合物に注ぐことにより反応停止した。次いで、これをEtOAc(×2)で抽出し、NaHSO3水溶液(10%)で洗浄し、有機層を乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、黄色油状物を得た。油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(0.016g、0.04mmol)を収率18%で得た。

【0139】
実施例11:(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(IX)の調製
ベンゼンボロン酸を3,5-ジクロロベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0140】
実施例12:5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(X)の調製
ベンゼンボロン酸を4-トリフルオロメチル-ベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0141】
実施例13:(5-ベンジルオキシ-3',5'-ビス-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XI)の調製
ベンゼンボロン酸を3,5-ビストリフルオロメチルベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0142】
実施例14:(5-ベンジルオキシ-3',4'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XII)の調製
ベンゼンボロン酸を3,4-ジクロロベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0143】
実施例15:(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XIII)の調製
ベンゼンボロン酸を4-トリフルオロメトキシベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0144】
実施例16:(5-ベンジルオキシ-3'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XIV)の調製
ベンゼンボロン酸を3-メトキシベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0145】
実施例17:(5-ベンジルオキシ-3'-カルバモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XV)の調製
ベンゼンボロン酸をベンズアミド-3-ボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0146】
実施例18:(5-ベンジルオキシ-3'-ヒドロキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XVI)の調製
ベンゼンボロン酸を3-ヒドロキシベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0147】
実施例19:(5-ベンジルオキシ-4'-メタンスルホニル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XVII)の調製
ベンゼンボロン酸を4-メタンスルホニルベンゼンボロン酸に置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0148】
実施例20:(5-ベンジルオキシ-4'-スルファモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(XVIII)の調製
ベンゼンボロン酸をベンゼンスルホンアミド-4-ボロン酸ピナコールエステルに置き換えての、実施例9と同様の方法。

【0149】
実施例21:2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-プロピオン酸(XIX)の調製
ヨウ化プロピルをヨウ化メチルに置き換えての、実施例10と同様の方法。

【0150】
実施例22:2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸(XX)の調製
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸メチルの調製
DMF(1.5ml)中の(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸メチルエステル(0.15g、0.37mmol)をDMF(1ml)中のNaH(鉱油中60%懸濁液0.072g、1.79mmol)の懸濁液に-4℃で滴下し、混合物を1h撹拌した後、ヨウ化メチル(0.12ml、1.86mmol)を加えた。反応混合物を-4℃から0℃の間で2.5h撹拌し、DMFで希釈し、室温に戻して終夜撹拌した。NH4Cl飽和水溶液を注意深く加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸メチルエステル(0.12g、0.28)を無色油状物として収率76%で得た。

【0151】
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸の調製
THF(4ml)中の2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸メチルエステル(0.12g、0.28mmol)の溶液を室温でメタノールおよび水(3ml、6:1)中のKOH(0.17g、3.00mmol)の溶液で処理した。二日後、混合物をクエン酸で酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をNaHCO3飽和水溶液、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸(0.045g、0.11mmol)を白色固体として収率39%で得た。

【0152】
実施例23:1-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-シクロプロパンカルボン酸(XXI)の調製
ヨウ化メチルを1,2-ジブロモエタンに置き換えての、実施例22と同様の方法。1-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-シクロプロパンカルボン酸を白色固体で得た。

【0153】
ベンゼンボロン酸を適当なボロン酸に置き換え、実施例9と同様の方法で、下記を合成した:


【0154】
実施例41:2-{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-ペンタン酸(XXXIX)の調製
(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸を5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル-酢酸(これ自体はベンジルアルコールを4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルアルコールに置き換えて、実施例9の方法により調製した)に置き換え、実施例10と同様の方法により、2-{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-ペンタン酸を得た。LC法B、保持時間12.6min。
【0155】
実施例42:2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)ペンタン酸(XL)の調製
(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸を5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル-酢酸(これ自体はベンジルアルコールをシクロプロピルメチルアルコールに置き換えて、実施例9の方法により調製した)に置き換え、実施例10と同様の方法により、2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸を得た。LC法B、保持時間12.8min。
【0156】
実施例43:[5-(4-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(XLI)の調製
EtOH(50mL)中の(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸(2.5g、5.5mmol)の溶液に、10%Pd/C(5重量%)を加え、得られた黒色懸濁液をH2雰囲気下で5時間撹拌した。得られた混合物をセライトを通してろ過し、蒸発乾固させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、(5-ヒドロキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(2.3g、93%)を白色固体で得た。
【0157】
MeCN(2mL)中の(5-ヒドロキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(70mg、0.22mmol)、K2CO3(60mg、2.0当量)、臭化4-クロロベンジル(50mg、1.1当量)の懸濁液を80℃で2時間加熱した。得られた懸濁液をろ過し、蒸発乾固させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:石油エーテル)で精製して、[5-(4-クロロ-ベンゾキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル(85mg、83%)を澄明油状物で得た。
【0158】
[5-(4-クロロ-ベンゾキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル(3)(85mg、0.19mmol)を実施例9に記載のとおりに加水分解して、[5-(4-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(71mg、90%)を白色固体で得た。LC法C、保持時間3.4min。
【0159】
類似の様式で、アルキル化剤として適当なハロゲン化物を用い、下記を調製した:


【0160】
実施例63:2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタ-4-エン酸(LXI)の調製
ヨードプロパンをヨウ化アリルに置き換え、実施例10に従って調製し、2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタ-4-エン酸を得た。LC法C、保持時間3.5min。
【0161】
実施例64:(R)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(LXII)および(S)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(LXIII)の調製
2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸の鏡像異性体を5cm Chiralpak ADカラムで溶離剤として0.1%酢酸を含む70/30ヘプタン/イソプロパノールを用い、流速80ml/minで分離した。カラムから溶出された最初のピークをR*、第二のピークをS*とした。
【0162】
実施例65:(R)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(LXIV)および(S)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸(LXV)の調製
2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸の鏡像異性体を8cm Chiralpak ADで溶離剤としてメタノールおよび0.1%TFAを用い、流速80ml/minで分離した。カラムから溶出された最初のピークをR*、26minの第二のピークをS*とした。
【0163】
実施例66:本発明の化合物のγ-セクレターゼ調節活性についてのスクリーニング
スクリーニングを、1%非必須アミノ酸を補足した5%血清/Feを含む、Gibco(カタログno.31330-38)提供のDMEM/NUT-mix F12(HAM)中で培養したAPP-695-野生型を有するSKN神経芽腫細胞を用いて行った。
【0164】
細胞をコンフルエントに近づくまで培養した。
【0165】
スクリーニングをCitron et al (1997) Nature Medicine 3: 67に記載のアッセイを用いて行った。
【0166】
選択した本発明の化合物のγ-セクレターゼ活性に対するIC50値
下記の化合物は<10uMのIC50を示す:
(R)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
(S)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
(R)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
(S)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸。
【0167】
実施例67:CNS浸透
インビボ試験:合計24匹のマウス(C57)に10%プロピレングリコール、7.5%エタノールおよび82.5%ソルトール(solutol)中の薬物化合物100mg/kgを経口投与した。指定の時間(2、4および8時間)に、8匹のマウス群を屠殺し、血漿および脳組織試料をNIHガイドラインに従って採取した。
【0168】
生物分析:血漿試料を下記のとおりに調製した。内部標準を含むアセトニトリル200μLを血漿100μLに加え、タンパク質を沈殿させた。ボルテックスにかけた後、試料を10000gで10min遠心分離し、上清をHPLC試料バイアルに移して、LC-MS-MS分析を行った。較正標準を、適量の薬物保存溶液をブランク血漿(未処置マウスより)に直接加えることにより調製し、採取血漿試料と同じように処理した。
【0169】
脳組織をまず二倍量のPBS緩衝液中(例えば、PBS 200μl中の組織100mg)でホモジナイズした。内部標準を含むアセトニトリル200μLを組織ホモジネート100μLに加え、タンパク質を沈殿させた。各組織ホモジネートごとに三つの重複試料を処理した。ボルテックスにかけた後、試料を10000gで10min遠心分離し、上清をHPLC試料バイアルに移して、LC-MS-MS分析を行った。較正標準を、適量の保存溶液をブランク脳組織(未処置マウスより)に直接加えることにより調製し、採取血漿試料と同じように処理した。
【0170】
LC-MS-MS分析をESI正イオンモードで操作して実施した。Agilent 1100 HPLCシステムに接続したSciex 4000三連4重極質量分析計で、95%水から95%アセトニトリルの一般的なLC勾配を用いた。質量分析計は11分かかった。
【0171】
前述の条件下で、血漿に対する脳の濃度比%は、(R*)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸で28.6、および(S*)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸で32.0であった。
【0172】
実施例68:インビボ有効性
本発明のAβ42低下剤を用いて、ヒトなどの哺乳動物、またはマウス、ラット、もしくはモルモットなどの有効性確認された動物モデルにおけるADを治療することができる。哺乳動物はADと診断されていなくてもよく、またはADの遺伝的素因を有していなくてもよいが、ヒトで見られるものと類似の様式でAβを過剰産生または最終的に沈着するような形質転換体であってもよい。
【0173】
Aβ42低下剤を任意の標準的な形で、任意の標準的方法を用いて投与することができる。例えば、Aβ42低下剤は経口または注射により投与する液剤、錠剤またはカプセル剤でありうるが、それらに限定されるわけではない。Aβ42低下剤は、血漿、CSF、または脳におけるAβ42のレベルを著しく低下させるのに十分な任意の用量で投与することができる。
【0174】
Aβ42低下剤の短期投与がインビボでAβ42レベルを低下させるかどうかを調べるために、「スウェーデン」変異体を含むAPP695を発現する2〜3ヶ月齢のTg2576マウス、またはDr. Fred Van Leuven (K.U.Leuven, Belgium)らによって開発された、ヒトアミロイド前駆体タンパク質[V7171]の臨床突然変異体(Moechars et al., 1999 J. Biol. Chem. 274, 6483)のニューロン特異的発現を示すトランスジェニックマウスを用いることができる。このモデルの商業的権利はreMYND NVに移されている。1匹のトランスジェニックマウスは脳内のβ-アミロイド(Aβ)の自発的、進行的蓄積を示し、最終的には海馬台、海馬および皮質内のアミロイド斑を生じる。この月齢のマウスは脳内に高いレベルのAβを有するが、検出可能なAβ沈着はない。Aβ42低下剤で処置したマウスを試験して、未処置または媒体処置したマウスと比較し、可溶性Aβ42および全Aβ42の脳レベルを標準的技術、例えば、ELISAを用いて定量する。処置期間は数時間から数日まで変動し、効果開始の時間経過を確立することができれば、Aβ42減少の結果に基づいて調節する。
【0175】
インビボでAβ42減少を測定するための典型的プロトコルを示すが、これは検出可能なAβのレベルを最適化するために用いうる多くの変形の一つにすぎない。例えば、化合物の一定量をDMSO(最終製剤量の1/10量)に溶解し、ボルテックスにかけ、PBS中10%(w/v)ヒドロキシプロトコルβシクロデキストリン(HBC, Aldrich, Ref No 33,260-7)溶液でさらに希釈(1:10)し、その後20秒間超音波処理することができる。
【0176】
Aβ低下剤は、屠殺および分析の3〜4時間前に1回で経口投与してもよく、または数日間かけて投与し、最終投与の3〜4時間後に動物を屠殺することもできる。
【0177】
血液を屠殺時に採取する。採血は、ケタラール(ケタミン)、ロンプン(キシラジン2%)およびアトロピン(2:1:1)の混合物で麻酔中の心穿刺により行い、EDTA処置採血管に採取する。血液を4℃、4000gで5分間遠心分離し、分析のために血漿を回収する。
【0178】
マウスをケタラール(ケタミン)、ロンプン(キシラジン2%)およびアトロピン(2:1:1)の混合物で麻酔し、4℃で生理的血清により経心的に洗浄する。
【0179】
脳を頭蓋から摘出し、冠状/前額面で切断して後脳および前脳を分離する。小脳を摘出する。前脳を正中矢状断を用いて左および右半球に均等に分割する。
【0180】
一方の半球をただちに液体窒素に漬け、生化学アッセイ用にホモジナイズするまで-70℃で保存する。
【0181】
脳をPotter、ガラス管(界面活性剤を含まない、2cm3)およびホモジナイザー(650rpm)を用いてホモジナイズする。脳重量の6,5×1/2量の新しく調製した20mMトリス/HCl緩衝液(pH8,5)およびプロテイナーゼ阻害剤(トリス/HCl緩衝液50mlあたり1錠、登録商標Complete, Roche, Mannheim, Germany)をホモジナイゼーション緩衝液として用いる。
【0182】
試料を-70℃から液体窒素を含む試料ホルダーに移し、個々の試料をホモジナイゼーションの前にベンチ上で数秒間インキュベートすることにより、あらかじめ暖める。ホモジネートをBeckman遠沈管TLXに回収し、遠心分離の前に氷上に集める。二つの試料間でPotterおよびガラス管を界面活性剤を含まない蒸留水(AD)で注意深く洗浄し、吸収紙で乾燥する。
【0183】
試料をあらかじめ冷却した超遠心分離機(Beckman, Mannheim, Germany)で48000rpm(135.000×g)、4℃で1時間20分間遠心分離する。上清(分泌APPおよびアミロイドペプチドを含む可溶性画分)をペレット(膜結合APP断片および老齢マウスの場合には斑結合アミロイドペプチドを含む膜画分)から分離する。
【0184】
小さい逆相カラム(C18-Sep-Pack Vac 3ccカートリッジ, Waters, Massachusetts, MA)を真空系に取り付け、80%アセトニトリル/0,1%トリフルオロ酢酸(A-TFA)と、続いて0,1%TFAで二回洗浄する。次いで、試料を注入し、カラムを5%および25%A-TFAで逐次洗浄する。アミロイドペプチドは75%A-TFAで溶出され、溶出液を氷上の2mlチューブに回収する。溶出液をspeedvac concentrator(Savant, Farmingdale, NY)で終夜凍結乾燥し、240μlに溶解する。
【0185】
脳ホモジネートの可溶性画分におけるヒトAβ-42を定量するために、市販の酵素結合免疫吸着検定(ELISA)キットを用いる(h Amyloid β42 ELISA high sensitive, The Genetics Company, Zurich, Switzerland)。ELISAは製造者のプロトコルに従って行う。簡単に言うと、標準(合成Aβ1-42の希釈液)および試料をタンパク質結合能力のない96穴ポリプロピレンプレート(Greiner bio-one, Frickenhausen, Germany)内で調製する。最終濃度1000、500、250、125、62.5、31.3および15.6pg/mlの標準希釈液ならびに試料をELISAキットに備え付けの試料希釈液中で調製し、最終量60μlとする。試料、標準およびブランク(50μl)を、選択的抗Aβ抗体複合体(ビオチン化検出抗体)に加えて、抗Aβコーティングポリスチロールプレート(抗原のC末端を選択的に認識する捕捉抗体)に加え、4℃で終夜インキュベートして、抗体-アミロイド-抗体-複合体を形成させる。翌日、ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ-複合体を加え、30分後、TMB/ペルオキシド混合物を加えることにより、基質の着色生成物への変換が起こる。この反応を、硫酸(1M)の添加によって停止し、色強度を450nmフィルターを備えたELISA読み取り器での測光法により測定する。試料のAベータ含量を、吸光度を合成Aβ1-42で作成した標準曲線と比較することによりもとめる。
【0186】
そのようなモデルにおいて、未処置動物と比べて少なくとも20%のAβ42低下が有益であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)を有する化合物および/またはその塩もしくはエステル:

式中
Aはフェニル;C3-7シクロアルキル;およびヘテロシクリルからなる群より選択される環であり;
XはF、Cl、Br、Iおよび一つまたは複数のF、Cl、Br、Fで置換されていてもよいC1-C4アルキル基の群からの一つまたは複数の置換基で置換されていてもよい直鎖C1-C4アルキレン基であり;
R1、R2は、互いに独立に、H;CH3、C2H5、i-C3H7、n-C3H7、i-C4H9、n-C4H9、sec-C4H9、tert-C4H9の群から選択されるアルキル;C2H3、i-C3H5、n-C3H5、n-C4H7、i-C4H7、sec-C4H7から選択されるアルケニルからなる群より選択されるか;またはR1およびR2は、3から6個のC原子を有する、飽和もしくは不飽和いずれかの環の一部であり、この環はその中にN、SもしくはOの群から一つもしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、このヘテロ原子は複数個存在する場合には同じでも、異なっていてもよく;
R3、R4、R5およびR6はH;F;Cl;Br;I;CN;OH;C(O)N(R7R8);S(O)2R7;SO2N(R7R8);S(O)N(R7R8);N(R7)S(O)2R8;N(R8)S(O)R8;S(O)2R7;N(R7)S(O)2N(R8R8a);SR7;N(R7R8);N(R7)C(O)R8;N(R7)C(O)N(R8R8a);N(R7)C(O)OR8;OC(O)N(R7R8);C(O)R7;置換および無置換C1-C4-アルキルならびに置換および無置換C1-C4-アルコキシからなる群より独立に選択され、ここで基C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシ両方の置換基はF、Cl、Br、I、CF3から選択され;
R7、R8、R8aはH;C1-C4-アルキル;ヘテロシクリル;およびC3-7シクロアルキルからなる群より独立に選択され、ここでC1-C4-アルキル;ヘテロシクリル;およびC3-7シクロアルキルはF、Cl、Br、IおよびCF3からなる群より独立に選択される一つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【請求項2】
A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が互いに独立に下記の意味を有する、請求項1記載の化合物および/またはその塩もしくはエステル:
Aはフェニル;シクロプロピル;シクロヘキシル;または6員芳香族複素環である。
XはF、Cl、Br、Iおよび一つまたは複数のF、Cl、Br、Iで置換されていてもよいC1-C4アルキル基の群からの一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいCH2基であり;かつ/または
R1およびR2はHであるか;またはR1はHであり、R2はCH3、C2H5、C3H7もしくはC4H9またはその異性体であるか;またはR1およびR2はCH3であるか、またはR1、R2はそれらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し;かつ/または
R3、R4、R5およびR6はH;OH;F、Cl、Br、Iで部分的または完全に置換されているC1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシ;C(O)NH2、S(O)2-C1-C4-アルキル、S(O)2-ヘテロシクリルからなる群より独立に選択される。
【請求項3】
A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6がすべて請求項2の定義の意味を有する、請求項2記載の化合物および/またはその塩もしくはエステル。
【請求項4】
A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6が互いに独立に下記の意味を有する、請求項1から3のいずれか一項記載の化合物および/またはその塩もしくはエステル:
Aはフェニルであり;または
XはCH2またはCHCH3であり;または
R1およびR2はHであるか;またはR1はHであり、R2はCH3、C2H5、C3H7もしくはC4H9またはその異性体であるか;またはR1およびR2はCH3であるか、またはR1、R2はそれらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し;または
R3、R4、R5およびR6はH、OH、CH3、OCH3、CF3、OCF3、C(O)NH2、S(O)2-C1-C4-アルキル、S(O)2-ヘテロシクリル、F、およびClからなる群より独立に選択される。
【請求項5】
A;X;R1およびR2;ならびにR3、R4、R5およびR6がすべて請求項4の定義の意味を有する、請求項4記載の化合物および/またはその塩もしくはエステル。
【請求項6】
下記からなる群より選択される、請求項1記載の化合物および/またはその塩もしくはエステル:
I)[5-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
II)[5-(4-イソプロピル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
III)[4'-トリフルオロメチル-5-(4-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
IV)[5-(4-メタンスルホニル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
V)(5-シクロヘキシルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
VI){ 5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸;
VII)(5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
VIII)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
IX)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
X)5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XI)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ビス-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル-酢酸;
XII)(5-ベンジルオキシ-3',4'-ジクロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIII)(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIV)(5-ベンジルオキシ-3'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XV)(5-ベンジルオキシ-3'-カルバモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XVI)(5-ベンジルオキシ-3'-ヒドロキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XVII)(5-ベンジルオキシ-4'-メタンスルホニル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIII)(5-ベンジルオキシ-4'-スルファモイル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XIX)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-プロピオン酸;
XX)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-2-メチル-プロピオン酸;
XXI)1-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-シクロプロパンカルボン酸;
XXII)(5-ベンジルオキシ-4'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIII)(5-ベンジルオキシ-4'-クロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIV)(4'-アセチルアミノ-5-ベンジルオキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXV)(5-ベンジルオキシ-4'-ヒドロキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVI)(5-ベンジルオキシ-4'-イソプロポキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVII)(5-ベンジルオキシ-3',5'-ジフルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXVIII)(5-ベンジルオキシ-3'-イソプロポキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXIX)(5-ベンジルオキシ-4'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXX)(5-ベンジルオキシ-2'-メトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXI)(5-ベンジルオキシ-2'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXII)(5-ベンジルオキシ-3'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIII)(5-ベンジルオキシ-3'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIV)(5-ベンジルオキシ-2'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXV)(5-ベンジルオキシ-4'-メチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVI)(5-ベンジルオキシ-3'-フルオロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVII)(5-ベンジルオキシ-3'-クロロ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXVIII)(5-ベンジルオキシ-3'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XXXIX)2-{5-[4-(ピロリジン-1-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-ペンタン酸;
XL)2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
XLI)[5-(4-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLII)(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
XLIII)[5-(5-メチル-イソキサゾル-3-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLIV)[5-(3,5-ジクロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLV)[5-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVI)[5-(4-ジメチルスルファモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVII)[5-(1-フェニル-エトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
XLVIII){5-[4-(モルホリン-4-カルボニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル}-酢酸;
XLIX)[4'-トリフルオロメチル-5-(3-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
L)[4'-トリフルオロメチル-5-(2-トリフルオロメチル-ベンジルオキシ)-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LI)(5-フェネチルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸;
LII)[5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIII)[5-(4-ジメチルカルバモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIV)[5-(4-メチルカルバモイル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LV){5-[4-(ピロリジン-1-カルボニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル }-酢酸;
LVI){5-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-ベンジルオキシ]-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル }-酢酸;
LVII)[5-(4-トリフルオロメトキシ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LVIII)[5-(2-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LIX)[5-(3-クロロ-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LX)[5-(4-メチル-ベンジルオキシ)-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸;
LXI)2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタ-4-エノン酸;
LXII)(R)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXIII)(S)-2-(5-シクロプロピルメトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXIV)R)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸;
LXV)(S)-2-(5-ベンジルオキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-ペンタン酸。
【請求項7】
薬剤として使用するための、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
γ-セクレターゼ調節用の薬剤調製のための、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項9】
Aβ42-生成のレベル上昇に関連する疾患治療用の薬剤調製のための、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項10】
アルツハイマー病治療用の薬剤調製のための、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を不活性担体との混合物で含む、薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の調製法であって、
任意に保護されたフェニル酢酸誘導体であって、任意に保護されている誘導体を適当な芳香族化合物とカップリングさせる段階と、そのようにして得られたビフェニル化合物の任意のさらなる官能基付加および脱保護の段階とを含む方法。
【請求項13】
ビフェニル化合物を適当なハロゲン化物または二ハロゲン化物と反応させて、R1、R2の少なくとも一つがH以外である請求項1記載の化合物を得る段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の調製法であって、
フェニル酢酸誘導体であって、任意に保護されている誘導体を適当な芳香族化合物とカップリングさせる段階と、そのようにして得られたビフェニル化合物の任意のさらなる官能基付加および脱保護の段階とを含む方法。
【請求項15】
ビフェニル化合物を適当なハロゲン化物または二ハロゲン化物と反応させて、R1、R2の少なくとも一つがH以外である請求項1記載の化合物を得る段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
下記の段階を含む薬剤の調製法:
a)請求項1記載の化合物を調製する段階と;
b)化合物を含む薬剤を製剤する段階。
【請求項17】
γ-セクレターゼ調節のための哺乳動物の治療法であって、哺乳動物に請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を投与する段階を含む方法。
【請求項18】
哺乳動物のAβ42-生成のレベル上昇に関連する疾患の治療法であって、哺乳動物に請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を投与する段階を含む方法。
【請求項19】
哺乳動物のアルツハイマー病の治療法であって、哺乳動物に請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を投与する段階を含む方法。

【公表番号】特表2008−517028(P2008−517028A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537225(P2007−537225)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011349
【国際公開番号】WO2006/045554
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(505000022)セルゾーム アーゲー (7)
【Fターム(参考)】