説明

2分周インジェクションロックリング発振器回路

【解決手段】周波数分周器は、複数のインジェクションロックリング発振器(ILRO)を含む。第1ILROは、クロスカップルされたNチャネルトランジスタの対、負荷抵抗の対、インテグレイトキャパシタ、及び電流注入回路を含む。各トランジスタのドレインは、他方のトランジスタのゲートに結合される。各負荷抵抗は、各トランジスタのドレインを回路電圧源に結合する。インテグレイトキャパシタは、各トランジスタのソースに結合する。電流注入回路は、第1周波数の発振入力信号に応答して、各トランジスタのソースから回路グランドへのパスを交互にオープン及びクローズする。これに応答して、各トランジスタのドレインの電圧状態は交互にラッチ及びトグルされて、2分周された発振信号の差動対が生成される。逆位相で駆動される第1及び第2ILROは、位相直交する2つの差動出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は概して、無線通信システムで動作可能な周波数分周器を含む周波数分周器(frequency divider)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムのようないくらかのアプリケーションでは、周波数分周器回路を含むことが有用である。一例では、周波数分周器は発振入力信号を受信し、入力信号を分周し、そして低周波数側に分割された発振出力信号(divided-down oscillatory output signal)を生成する。分周は、整数による周波数分割として特徴付けられる。無線通信システムでは、分周器は無線送受信機(送信機/受信機)の一部として頻繁に使用される。無線送受信機内の一例では、周波数分周器は、局部発振器(LO:Local Oscillator)から発振信号を受信し、この発振信号を低周波数側に分割し(divide-down)、そして2つのより低い周波数の出力信号(差動同相(I:in-phase)出力信号及び差動直交位相(Q:quadrature)出力信号)を生成するために用いられ得る。出力信号I及びQの周波数は、例えば入力信号の周波数の半分であり得る。Q出力信号は、I出力信号と同じ周波数であるが、I出力信号に対して90°位相がシフトされている。そのようなものとして、差動出力信号I及びQは、位相直交にある(in phase quadrature)と呼ばれる。低周波数側に分割された出力信号(divided-down output signals)の組は、例えば無線送受信機の受信チェーンにおけるミキサに供給され得る。これは、無線通信システム内の周波数分周器の一応用例に過ぎない。周波数分周器はまた、局部発振器内の位相ロックループ内で使用され、または無線通信システム回路内の他の領域において信号を周波数分割するために使用され得る。
【0003】
図1(先行技術)は、周波数分周器回路1のあるタイプのダイアグラムである。周波数分周器1は、2つの一般的なインジェクションロック周波数分周器(ILFD:Injection-locked Frequency Dividers)2及び3を含む。周波数分周器1は、コンダクタ4上の信号LO+とコンダクタ5上の信号LO−とを含む差動入力信号LOを受信する。分周器1は、2つの差動出力信号I及びQを生成する。差動出力信号Iは、コンダクタ6上の信号I+とコンダクタ7上の信号I−とを含む。差動出力信号Qは、コンダクタ8上の信号Q+とコンダクタ9上の信号Q−とを含む。ILFD2及び3の両方は、発振回路の類である。例えば、一定電圧の入力信号がILFD2に供給される場合、単にその固有の周波数で発振する。しかしながら、許容可能な周波数ウィンドウ内にある十分な振幅の発振入力信号がILFD2に供給される場合には、発振入力信号の周波数にロックし、発振入力信号の周波数の半分で発振する。よって、周波数分周器2は、入力信号LOを整数2で周波数分割して、位相直交の出力信号を生成するように動作可能である。図1の回路は、あるアプリケーションでは満足に動作するが、制限がある。誘導性負荷を使用するため、一般的なILFDの物理的なサイズは大きく、望ましくない。更に、このインダクタは、より大きな回路のコンテキスト内で、電磁的干渉(EMI:Electro-Magnetic Interference)の送信機及び受信機の両方として振る舞う。よって、このインダクタは、他の回路素子の性能を阻害し、周波数分周器1の性能は他の回路素子によって阻害される。更に、一般的なILFDが確実に“ロック”し、従って分周する入力周波数レンジは、典型的な入力信号振幅の場合のチューニングされた中央の入力周波数(center tuned input frequency)の、比較的小さいパーセンテージに制限される。より広いレンジは、入力信号振幅を増加させること、またはインダクタのクオリティファクター(quality factor)を低減することによって得られることが出来るが、このアプローチはより多くの電力を消費する。ILFDの実効的なレンジを、チューニングされた中央の入力周波数の30〜40%の実用的なレンジに広げるためには、複雑なデジタル制御キャパシタチューニングバンクが使用出来るが、しかしこのアプローチは複雑で、ダイ面積を多く取り、望ましくない。
【0004】
図2(先行技術)は、周波数分周器回路10の別のタイプのダイアグラムである。周波数分周器10は、2つのクロスカップルコモンモードロジック(CML:cross-coupled Common Mode Logic)回路11及び12を含む。周波数分周器10は、コンダクタ13上の信号LO+とコンダクタ14上の信号LO−を含む差動入力信号LOを受信する。分周器10は、差動出力信号I及びQの2組を生成する。差動出力信号Iは、コンダクタ15上の信号I+とコンダクタ16上の信号I−を含む。差動出力信号Qは、コンダクタ17上の信号Q+とコンダクタ18上の信号Q−を含む。CML回路11は、トランジスタTR1〜TR6を含む。LO−はトランジスタTR3に供給され、LO+はトランジスタTR4に供給される。TR3がLO−によってhighレベルでクロックされている際には、トランジスタTR1及びTR2はCML回路12の状態をセンスし、この状態をCML回路11の負荷抵抗に転送する。TR3がLO−によってlowレベルでクロックされ、TR4がLO+によってhighレベルでクロックされている際には、トランジスタTR5及びTR6は、このクロックサイクルのフェーズの間、CML11の抵抗の状態をラッチする。このようにして、出力信号I+及びI−は、LOの周波数の半分で発振する。同様にして、出力信号Q+及びQ−は、LOの周波数の半分で発振する。しかしながら、CML12はCML11に対して反対の極性でLO+及びLO−を受信するので、差動出力の組(Q+、Q−)と差動出力の組(I+、I−)は、位相直交にある。周波数分周器10の制限は、分周器の出力電圧のスイングが、レールtoレール(rail to rail)では無いことである。実際には、周波数分周器10のlow出力スイングは、グランド(VSS)上の数百ミリボルトにしか達しないだろう。この低減されたレンジの結果、分周器の位相ノイズ性能は、他のソリューションに比べて低い。更に、周波数分周器10と、インバータタイプのパッシブミキサバッファステージとを結合するために、レールtoレールコンバータが使用されなければならない。レールtoレールコンバータは、数百メガヘルツから数ギガヘルツの周波数レンジにおいて、多くの電力を消費する。
【0005】
別のタイプの周波数分周器は、トランジスタベースのインバータを用いたダイナミックロジック分周器である。望ましくないことに、このインバータは、分周のために、比較的高い電源電圧レールを必要とする。実際には、2つの閾値電圧と2つのドレイン−ソース飽和電圧との和よりも大きい電源電圧が、正確に動作させるための十分なゲインをインバータに持たせるために必要とされる。第2の欠点は、ダイナミックロジック分周器が、分周のためにレールtoレールの入力信号を必要とすることである。実際の回路設計では、局部発振器からの入力信号は、しばしば1ミリメータを超える長さの信号線上を伝送される。この距離にわたって、配線に沿った電力損失が、発振信号の振幅を減衰させる傾向にある。この損失を解決し、レールtoレールの信号を分周器に伝達するためには、より強力な信号が発振器によって送信されなければならず、望ましくないレベルの電力消費という結果となる。バッテリ駆動の携帯電話の無線送受信機におけるようなアプリケーションでは、減衰された発振入力信号を受信して、低位相ノイズで最小限の電力消費のレールtoレールI及びQ信号を生成する周波数分周器を提供することが望まれ得る。
【発明の概要】
【0006】
周波数分周器は、インジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)を含む。一実施形態では、周波数分周器は2つのILROを含む。周波数分周器は差動入力信号を受信し、入力信号を周波数において整数2で分割し、そして2つの差動出力信号を出力する。第1の差動信号は、第1ILROによって生成された同相(I:in-phase)差動信号である。第2の差動信号は、第2ILROによって生成された直交位相(Q:quadrature)差動出力信号である。このI及びQ信号は、互いにほぼ90°位相がずれており、よって位相直交にある。
【0007】
各ILROは、クロスカップルされたトランジスタ対、クロスカップルされたトランジスタ対の各トランジスタに対応する負荷抵抗、インテグレイトキャパシタ(integrating capacitor)、及び電流注入回路を含む。I差動出力信号は、第1ILROのクロスカップルされたトランジスタ対のドレイン間に与えられる。Q差動出力信号は、第2ILROのクロスカップルされたトランジスタ対のドレイン間に与えられる。各ILRO内において、各トランジスタのドレインは、クロスカップルされたトランジスタ対の各トランジスタのゲートに結合される。負荷抵抗は、回路電圧源と各トランジスタのドレインとの間に結合される。インテグレイトキャパシタ(integrating capacitor)は、各トランジスタのソースに結合される。電流注入回路は、第1周波数の発振入力信号に応答して、各トランジスタのソースから回路グランドへのパスを交互にオープン及びクローズする。それに応答して、各トランジスタのドレインの電圧状態は、交互にラッチ及びトグルされ、これにより2分周された発振出力信号周波数の差動対が生成される。このようにして、差動入力信号により逆位相で駆動される2つのILROは、2つの差動出力信号I及びQを生成する。
【0008】
第2実施形態では、周波数分周器は、シングルエンドの入力信号を受信し、入力信号を整数2で周波数分割し、そして位相直交にある2つの差動出力信号I及びQを出力する。この実施形態では、周波数分周器は単一のILROを含む。クロスカップルされたトランジスタ対のドレイン間に現れる差動出力信号Iは、クロスカップルされたトランジスタ対のソース間に与えられる差動信号とほぼ90°位相がずれている。よって、クロスカップルされたトランジスタ対のソース間に現れた差動信号は、差動直交位相信号Qに近似する。
【0009】
第3実施形態では、周波数分周器は4分周動作(a divide by four operation in frequency)を実行する。この実施形態では、シングルエンドの入力信号は、第1ILROによって低周波数側に2で周波数分割される。第1ILROのクロスカップルされたトランジスタ対の各トランジスタのドレインに現れた出力信号は、それぞれ第2及び第3ILROの入力に伝送される。よって、第2及び第3ILROは、差動の低周波数側に分割された入力信号によって逆位相で駆動される。第2及び第3ILROは、低周波数側に分割された入力信号を2で周波数分割し、そして2つの差動出力信号I及びQを生成する。この実施形態では、周波数分周器への入力信号は、低周波数側に4で周波数分割されている。第1ILROは入力信号を2で周波数分割し、そして第2及び第3ILROは再度2で周波数分割し、位相直交の出力信号を生成する。
【0010】
第4実施形態では、改善された出力信号スルーレート(slew rate)を有する周波数分周器が実現される。この実施形態では、周波数分周器は2つのILROを含む。周波数分周器は、差動入力信号を受信し、入力信号を整数2で周波数分割し、位相直交にある2つの差動出力信号I及びQを出力する。交流(AC)結合キャパシタは、第1ILROのクロスカップル対の第1トランジスタのソースを、第3トランジスタのゲートに結合する。第3トランジスタのソースは、電流源に結合される。第3トランジスタのドレインは、第2ILROのクロスカップルされたトランジスタ対の第1トランジスタのドレインに結合される。このようにして、第1トランジスタのソースに現れた信号は反転され、増幅され、そして第2ILROの第1出力ノードに供給される。よって、第2ILROの第1負荷抵抗は2つのトランジスタで駆動され、これにより第2ILROの第1ノード上に現れた出力信号のスルーレートが改善される。更に、差動入力信号の両成分は、第2ILROの第1ノード上に現れた出力信号を駆動する。これは、入力ノイズ及びデバイスミスマッチにも関わらず性能を改善する。類似した方法では、各ILROのクロスカップルされたトランジスタ対の各トランジスタのソースは、反対側のILROのクロスカップルされたトランジスタ対のドレインにそれぞれ結合される。よって、周波数分周器の差動出力信号I及びQにおいて、性能の利点が得られる。
【0011】
上記はサマリであり、従って当然ながら、単純化、一般化、及び詳細の省略を含み、よって当業者は、このサマリが例示的なものにすぎず、多少なりとも限定することを意味しないことを理解するだろう。特許請求の範囲においてもっぱら定義されるように、本明細書で述べられるデバイス及び/またはプロセスの別の側面、進歩的な特徴、及び有利な点は、本明細書で説明される非限定的な詳細な説明において明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(先行技術)は、2つの一般的なインジェクションロック周波数分周器(ILFD:Injection-locked Frequency Dividers)のダイアグラム。
【図2】図2(先行技術)は、2つのクロスカップルコモンモードロジック(CML:Common Mode Logic)回路を含む周波数分周器のダイアグラム。
【図3】図3は、新規な一側面に従ったインジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)を用いるモバイル通信デバイス100の単純化されたダイアグラム。
【図4】図4は、図3のRF送受信機集積回路102のより詳細なダイアグラム。
【図5】図5は、図4のRF送受信機集積回路102の受信チェーン108内における周波数分周器113の動作のダイアグラム。
【図6】図6は、図4のRF送受信機集積回路102の受信チェーン108内における周波数分周器113のより詳細なダイアグラム。
【図7A】図7Aは、図6の周波数分周器113のインジェクションロックリング発振器130の動作時におけるより詳細なダイアグラム。
【図7B】図7Bは、図6の周波数分周器113のインジェクションロックリング発振器130の動作時におけるより詳細なダイアグラム。
【図7C】図7Cは、図6の周波数分周器113のインジェクションロックリング発振器130の動作時におけるより詳細なダイアグラム。
【図7D】図7Dは、図6の周波数分周器113のインジェクションロックリング発振器130の動作時におけるより詳細なダイアグラム。
【図8】図8は、周波数分周器113の動作時における入出力波形の例示。
【図9】図9は、周波数分周器113の第2実施形態の例示。
【図10】図10は、第3実施形態における周波数分周器113の4分周動作の例示。
【図11】図11は、第4実施形態における周波数分周器113の例示。
【図12】図12は、一側面に従った方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、携帯電話のようなモバイル通信デバイス100の非常に単純化されたハイレベルのブロック図である。デバイス100は、(図示せぬ別の部分のうち)携帯電話通信の受信及び送信に使用可能なアンテナ101、RF送受信機集積回路102、及びデジタルベースバンド集積回路103を含む。
【0014】
図4は、図3のRF送受信機集積回路102のより詳細な図である。携帯電話の動作の非常に単純化された一説明において、携帯電話通話の一部として携帯電話が音声情報を受信するように使用されていれば、到来する送信104はアンテナ101で受信される。この信号はデュプレクサ105及びマッチングネットワーク106をパススルーして、受信チェーン108の低ノイズ増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)107により増幅される。ミキサ109により周波数においてダウンコンバートされた後、そしてベースバンドフィルタ110によりフィルタリングされた後、この情報はアナログ/デジタル変換及びデジタル領域での更なる処理のためにデジタルベースバンド集積回路103に伝送される。ダウンコンバート処理の一部として、ミキサ109は、周波数分周器113で生成された、低周波数側に分割された発振信号(divided-down oscillatory signal)LO1/Nを受信し、この信号を用いて、受信チェーン108で処理された情報をダウンコンバートする。低周波数側に分割された発振信号LO1/Nが指すのは、実際には2つの差動信号I及びQを含む。差動信号I及びQの各々は、2つのコンダクタ(conductor)を介して伝送される。周波数分周器113は、受信チェーン108の回路と物理的に近接している。周波数分周器113は、局部発振信号LO1を受信し、この信号を整数Nで周波数分割し、そして低周波数側に分割された発振信号LO1/Nを出力する。局部発振信号LO1は、局部発振器111によって生成される。LO1は、例えば2つのコンダクタを介して伝送された差動信号であり得る。別の例では、LO1は、単一のコンダクタを介して伝送されるシングルエンド信号であっても良い。LO1は、損失を伴う(“lossy”)長い配線112を介して周波数分周器113に伝送される。以下で説明するように、信号LO1は、損失を伴う長い配線112を介した伝送の間、寄生的な電力損失を受ける。これらの損失は、LO1のピークtoピーク(peak to peak)の信号振幅及びLO1の高周波数成分を減衰させる。
【0015】
他方で、もし携帯電話100が、携帯電話通話の一部として音声情報を送信するように使用されていれば、送信すべきこの音声情報は、デジタルベースバンド集積回路103においてアナログ形式に変換される。このアナログ情報は、RF送受信機集積回路102の送信チェーン115のベースバンドフィルタ114に供給される。フィルタリングの後、この信号はミキサ116によって周波数においてアップコンバートされる。このアップコンバージョン処理の一部として、ミキサ116は、周波数分周器119によって生成された低周波数側に分割された発振信号LO2/Nを受信し、この信号を用いて、送信チェーン115で処理された情報をアップコンバートする。その結果得られたアップコンバートされた信号は、駆動増幅器120及び外部の電力増幅器121に供給される。この増幅された信号は、発信する送信122として、送信のためにアンテナ101に供給される。低周波数側に分割された発振信号LO2/Nは、2つの差動信号I及びQを含む。周波数分周器119は局部発振信号LO2を受信し、この信号を整数の除数Nで周波数において分割し、そして低周波数側に分割された(divided-down)発振信号LO2/Nを出力する。局部発振信号LO2は、局部発振器117によって生成される。LO2は、例えば2つのコンダクタを介して伝送される差動信号であり得る。別の例では、LO2は、単一のコンダクタを介して伝送されるシングルエンド信号であっても良い。LO2は、損失を伴う(”lossy”)長い配線118を介して、送信チェーン115の回路に近接して設けられた周波数分周器119に伝送される。信号LO2は、損失を伴う長い配線118を介した伝送の間、寄生的な電力損失を受ける。これらの損失は、ピークtoピークの振幅及び高周波数成分を減衰させる。
【0016】
図5は、図4のRF送受信機集積回路102の受信チェーン108内における周波数分周器113の動作のより詳細な図である。周波数分周器113は、コンダクタ132、133、144、及び145によってミキサ109に結合される。周波数分周器113は、コンダクタ131及び143によって局部発振器111に結合される。周波数分周器113は、コンダクタ131上の信号LO+とコンダクタ143上の信号LO−とを含む差動入力信号LO1を受信する。周波数分周器113は、整数Nで入力信号LO1を周波数分割することにより、低周波数側に分割された出力信号LO1/Nを生成する。LO1/Nは、2つの差動出力信号I及びQを含む。差動出力信号Iは、コンダクタ132上の信号I+とコンダクタ133上の信号I−とを含む。差動出力信号Qは、コンダクタ144上の信号Q+とコンダクタ145上の信号Q−とを含む。I+、I−、Q+、及びQ−は共に、位相直交にある4つの周波数分割された発振信号である。以下に説明するように、4つの全信号は、入力波形LO1の周波数分割されたバージョンに近似しているが、しかし4つの信号の表示のそれぞれは、約90°の位相差で特徴付けられている。
【0017】
ミキサ109は、コンダクタ132、133、144、及び145を介して差動出力信号I及びQを受信するミキサバッファステージを含む。ミキサバッファステージは、インバータ回路を含む。インバータベースのミキサバッファステージは、それらの電力効率動作特性のために用いられる。しかしながらそれらは、信頼出来る動作のために、ほぼレールtoレール(rail to rail)の入力波形を必要とする。よって、差動出力信号I及びQは、確実にミキサ109を駆動するために、理想的なレールtoレールの振幅波形に近似しなければならない。動作時には、出力信号I+、I−、Q+、及びQ−は、回路電源電圧VDDから数十ミリボルト以内の最大電圧と、回路グランド電圧VSSから数十ミリボルト以内の最小電圧との間で発振する。ミキサ109のミキサバッファステージは、周波数分周器113からの出力信号I+、I−、Q+、及びQ−から駆動される際に、信頼性良く動作する。
【0018】
局部発振器111は、損失を伴う長い配線112によって周波数分周器113に結合される。本例では、局部発振器111は差動信号LO1を生成する。損失を伴う長い配線112は、信号LO+を含むコンダクタ131と、信号LO−を含むコンダクタ143とを含む。その他の例では、局部発振器111はシングルエンド信号を生成し、配線112はシングルエンド入力信号を含む単一のコンダクタのみを含んでも良い。バッテリ駆動の携帯電話のような無線通信システムでは、局部発振器111は種々のサブ回路に発振信号を供給する。よって、局部発振器111を各サブ回路に物理的に近接して構成することは可能では無い。その結果、局部発振器111はしばしば、受信チェーン108の周波数分周器113に物理的に近接していない。例えば、損失を伴う長い配線112は、1ミリメータまたはそれ以上の長さである。この長さのため、配線112上を伝送される発振信号は、様々な電力損失メカニズムに襲われる。ダイ基板への容量性結合は、配線112上を伝送される高周波数発振信号に対するローパスフィルタ効果を有する。電磁放射損失(electro-magnetic radiation losses)もまた、配線112上を伝送される高周波数信号の振幅を減衰させ、配線112の充電/放電は、1/2cvfの損失をもたらす。その長さのため、配線112はアンテナのように振る舞い、そして配線112上を伝送される高周波信号は放射損失(radiation losses)を受ける。これらの電力損失の結果、配線112上を伝送される発振信号は、ピークtoピークの信号振幅の減衰、及び高周波数成分の減衰を被る。例えば、局部発振器111に物理的に近接して測定された局部発振器111からの信号LOの波形は、理想的な方形波に極めて似ているだろう。しかしながら、周波数分周器113の入力に物理的に近接して測定された同じ信号は、振幅及び高周波成分が減衰されているだろう。例示の目的で、方形波の遷移はひどく減衰され、各遷移において角部が丸まって見える。これらの電力損失は送信電力を増大することによって解消出来るが、これは望ましくないことに電力消費を増大させる。よって、周波数分周器113は、減衰された入力信号を確実に分割出来るべきである。
【0019】
図6は、図4のRF送受信機集積回路102の受信チェーン108の周波数分周器113のより詳細な図である。周波数分周器113は、2つのインジェクションロックリング発振器(ILRO:injection-locked ring oscillators)130及び142を含む。インジェクションロックリング発振器130は、負荷抵抗138及び139の組、クロスカップルされたトランジスタ対137、インテグレイトキャパシタ(integrating capacitor)136、及び電流注入回路135を含む。本例では、抵抗138及び139の各々の抵抗値は200オームである。別の例では、他の抵抗値が用いられても良い。第1抵抗138の第1リード及び第2抵抗139の第1リードは、電圧基準ノード148に結合される。回路電源電圧VDDは、電圧基準ノード148に供給される。例えば、VDDは700ミリボルト程度に小さいだろう。抵抗138の第2リードは発振ノード140に結合され、抵抗139の第2リードは発振ノード141に結合される。出力信号I−は発振ノード140に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ132に伝送される。出力信号I+は発振ノード141に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ133に伝送される。クロスカップルされたトランジスタ対137は、Nチャネルトランジスタ152(TR1)及びNチャネルトランジスタ153(TR2)を含む。TR1のドレインは発振ノード140に結合され、TR2のドレインは発振ノード141に結合される。更に、TR1のゲートはTR2のドレインに結合され、TR2のゲートはTR1のドレインに結合される。負荷抵抗値で乗算したTR1及びTR2のトランスコンダクタンス値は、ILRO130のゲインを決める。ゲインは、分割するために1より大きくなければならない。本例では、2より大きいゲインが、信頼できる分割のために用いられる。インテグレイトキャパシタ136は、TR1のソースに結合された第1リードと、TR2のソースに結合された第2リードとを含む。本例では、インテグレイトキャパシタ136は、数十から数百フェムトファラッドのキャパシタンス値を有する金属to金属キャパシタ(metal to metal capacitor)である。電流注入回路135は、Nチャネルトランジスタ154(TR3)及びNチャネルトランジスタ155(TR4)を含む。TR3のドレインはインテグレイトキャパシタ136の第1リードに結合され、TR4のドレインはインテグレイトキャパシタ136の第2リードに結合される。この例では、TR3及びTR4はTR1とTR2と同様のサイズである。TR3のソースとTR4のソースは、第2電圧参照ノード149に結合される。第2電圧参照ノード149は、第2回路電源電圧VSSを供給する。例えば、VSSは回路グランドであっても良い。更に、TR3のゲートとTR4のゲートは、インジェクションロックリング発振器130の入力ノード150に結合される。入力ノード150はコンダクタ131に結合される。
【0020】
インジェクションロックリング発振器(ILRO)142は、インジェクションロックリング発振器130に類似している。ILRO142は、負荷抵抗182及び183の対、Nチャネルトランジスタ184及び185を含むクロスカップルされたトランジスタ対、インテグレイトキャパシタ186、及び電流注入回路187を含む。出力信号Q−は発振ノード146に与えられ、周波数発振器113からコンダクタ144上に伝送される。出力信号Q+は発振ノード147に与えられ、周波数発振器113からコンダクタ145上に伝送される。インジェクションロックリング発振器142の入力ノード151は、コンダクタ143に結合される。ILRO130及びILRO142は、ILRO130の入力電圧ノード150へのLO+信号の伝送と、ILRO142の入力電圧ノード151へのLO−信号の伝送とにより、入力信号LOの逆位相でクロックされる。本例では、各LO+及びLO−信号は発振波形を有し、およそ100ミリボルトと1.3ボルトの間で発振する。
【0021】
図7A〜7Dは、動作時における周波数分周器113のインジェクションロックリング発振器130のより詳細な図である。入力信号LO+は、コンダクタ131上に伝送されて、ILRO130の電圧ノード150に入力される。本例では、LO+は数百メガヘルツから数ギガヘルツの発振周波数を有する方形波信号であり得る。図7A〜7Dはそれぞれ、4つのステージにおける時刻T0から時刻T4のILRO130の動作の全出力サイクルを例示する。図7A〜7Dは、時刻T0から時刻T4のLO+、I+、及びI−の電圧波形の例示である。時刻T0〜T4の期間にわたって、LO+は2つの完全なサイクル周期を推移する。同じ時間の周期で、I−及びI+は1つの完全なサイクル周期を推移する。よって、ILRO131の動作は、LO+を2で周波数分割することによる分周、という結果となる。
【0022】
図7Aは、「ラッチ(latch)」状態のILRO130の例示である。「ラッチ」状態は、入力信号LO+がデジタルhigh状態である期間によって特徴付けられる。図7Aは、LO+がhigh状態であるT0からT1の期間におけるラッチ状態を例示する。入力電圧ノード150における信号LO+は、TR3及びTR4のゲートに伝送される。ILRO130のトランジスタTR3及びTR4は、LO+によりトランジスタ動作の非線形領域で駆動される。よって、これらはLO+がhigh状態の際、導通する。時刻T0では、TR1のドレインは低電圧状態にあり、TR2のドレインは高電圧状態にある。TR2のドレインにおける高電圧状態がTR1のゲートに伝送されるので、TR1は実質的に導通する。TR1とTR3の両方がT0において導通状態であるので、電流134が回路電源電圧ノード148から、負荷抵抗138、TR1、及びTR3を介して、回路グランドノード149に流れる。導通状態のトランジスタTR1及びTR3の抵抗値は負荷抵抗138の抵抗値よりも十分に小さいので、電流134は、ノード148における回路電源電圧を負荷抵抗138の抵抗値で割ったものにほぼ等しい。TR1のドレインにおける低電圧状態がTR2のゲートに伝送されるので、TR2は実質的に導通しない。TR2が実質的に導通しないので、TR2には実質的に電流が流れず、TR2のドレインにおける電圧状態はhighを維持する。T0からT1の「ラッチ」状態の間中、TR2のドレインにおける電圧状態はhighに駆動され続け、TR1のドレインにおける電圧状態はlowに駆動され続ける。「ラッチ」状態なる用語は、TR1及びTR2のドレインにそれぞれ与えられた信号I−及びI+が、「ラッチ」状態の間、それらの最初の状態で駆動され続ける、という考え方に着目している。図7Aに例示されたケースでは、「ラッチ」状態は時刻T0から時刻T1まで継続する。
【0023】
図7Bは、「トグル(toggle)」状態のILRO130の例示である。「トグル」状態は、入力信号LO+がデジタルlow状態である期間によって特徴付けられる。図7Bは、LO+がlowであるT1からT2の期間におけるトグル状態を例示する。LO+がlow状態の際、トランジスタTR3及びTR4は非導通である。なぜなら、TR3及びTR4は、LO+によってトランジスタ動作の非線形領域で駆動されるからである。TR3及びTR4の導通及び非導通状態間の遷移は、LO+の発振周期に比して時間的に非常に短い。更に、導通状態及び非道通状態なる用語は、完全な導通状態、または完全な非導通状態という意味を含むべきでは無く、現実的なNチャネルトランジスタ実装によって判断される。時刻T1では、TR1のドレインは低電圧状態であり、TR2のドレインは高電圧状態である。TR2のドレインにおける高電圧状態はTR1のゲートに伝送されるので、TR1は実質的に導通する。しかしながら、T1の初期においてTR1が実質的に導通し、TR3が実質的に非導通であるので、回路電源電圧ノード148から負荷抵抗138を介してインテグレイトキャパシタ136に電流が流れる。時刻T1からT2に時間が進むにつれて、TR1のソースで電圧が徐々に上昇し、そしてTR1及びTR2がトランジスタ動作の線形領域で動作するので、TR1のドレインでもまた電圧が徐々に上昇する。TR1のドレインで上昇する電圧信号は、TR2のゲートに伝送される。これに応答して、TR2は導通し始める。その結果、回路電源電圧ノード148から、負荷抵抗139を介して、インテグレイトキャパシタ136に電流が流れ始める。この電流が流れ始めるため、TR2のドレインの電圧が降下する。TR2のドレインにおける電圧信号がTR1のゲートに伝送されるため、TR1は、実質的に導通している状態から実質的に非導通している状態に遷移し始める。よって、TR1のドレインにおける信号I−は、2つのメカニズムの組み合わせにより、低電圧状態から高電圧状態に駆動される。第1のメカニズムは、TR1をパススルーする電流がインテグレイトキャパシタ136を充電することでTR1のソースにおける電圧を増大させることによる。第2のメカニズムは、TR1のドレインとTR2のゲート、及びTR2のドレインとTR1のゲートのクロスカップリングである。このクロスカップリングは、TR1のドレインにおける電圧の立ち上がりに応答して、TR1のゲートへ低電圧信号を伝送することにより、TR1のシャットオフを高速にする。よって、インテグレイトキャパシタ136は、これらの2つのメカニズムをイネーブルにすることにより、出力ノード140における信号I−の電圧スイングを増大させる。T1からT2の「トグル」状態の間中、TR1のドレインにおける電圧状態はlowに駆動され、TR2のドレインにおける電圧状態はhighに駆動される。「トグル」状態なる用語は、TR1及びTR2のドレインにそれぞれ与えられた信号I−及びI+が、「トグル」状態の間、それらの最初の状態と逆の状態で駆動される、という考え方に着目している。図7Aに例示されたケースでは、「トグル」状態は時刻T1から時刻T2まで継続する。
【0024】
図7Cは、LO+が再度デジタルhigh状態になることによる「ラッチ(latch)」状態のILRO130の例示である。図7Cは、T2からT3の期間におけるラッチ状態を例示する。トランジスタTR3及びTR4は、LO+のhigh状態への遷移に応答して、導通状態に即座に切り替わる。時刻T2において、TR1のドレインは高電圧状態にあり、TR2のドレインは低電圧状態にある。TR2のドレインにおける低電圧状態はTR1のゲートに伝送されるため、TR1は実質的に非道通である。TR1は実質的に非道通であるので、TR1またはTR3を介して実質的に電流は流れず、TR1のドレインにおける電圧状態はhighを維持する。TR1のドレインにおける高電圧状態はTR2のゲートに伝送されるので、TR2は実質的に導通する。TR2及びTR4の両方がT2で導通するので、回路電源電圧ノード148から負荷抵抗139を介して回路グランドノード149に電流が流れる。導通状態のトランジスタTR2及びTR4の抵抗値は負荷抵抗139の抵抗値よりも十分に小さいので、この電流は、ノード148における回路電源電圧を負荷抵抗139の抵抗値で割ったものにほぼ等しい。T2からT3の「ラッチ」状態の間中、TR1のドレインにおける電圧状態はhighに駆動され続け、TR2のドレインにおける電圧状態はlowに駆動され続ける。よって、TR1及びTR2のドレインにそれぞれ与えられた信号I−及びI+が、時刻T2から時刻T3の「ラッチ」状態の間、それらの最初の状態で駆動され続ける。
【0025】
図7Dは、「トグル(toggle)」状態のILRO130の例示である。図7Dは、LO+がlowであるT3からT4の期間におけるトグル状態を例示する。トランジスタTR3及びTR4は、LO+のlow状態への遷移に応答して、非導通状態に即座に遷移する。時刻T3では、TR1のドレインは高電圧状態にあり、TR2のドレインは低電圧状態にある。TR1のドレインにおける高電圧状態がTR2のゲートに伝送されるため、TR2は実質的に導通する。しかしながら、T3でTR2は実質的に導通しTR4は実質的に非道通であるので、回路電源電圧ノード148から負荷抵抗139を介してインテグレイトキャパシタ136に電流が流れる。時刻T3からT4に時間が進むにつれて、TR2のソースで電圧が徐々に上昇し、そしてTR1及びTR2がトランジスタ動作の線形領域で動作するので、TR2のドレインでもまた電圧が徐々に上昇する。TR2のドレインで上昇する電圧信号は、TR1のゲートに伝送される。これに応答して、TR1は導通し始める。その結果、回路電源電圧ノード148から、負荷抵抗138を介して、インテグレイトキャパシタ136に電流が流れ始める。この電流が流れ始めるため、TR1のドレインの電圧が降下する。TR1のドレインにおける電圧信号がTR2のゲートに伝送されるため、TR2は、実質的に導通している状態から実質的に非導通している状態に遷移し始め、これによりTR2を流れる電流が制限され、更にTR2のドレインにおける電圧を上昇させる。よって、TR2のドレインにおける電圧信号は、2つのメカニズムの組み合わせにより、低電圧状態から高電圧状態に駆動される。第1のメカニズムは、TR2をパススルーする電流がインテグレイトキャパシタ136を充電することにより、TR2のソースにおける電圧を増大させることである。第2のメカニズムは、TR2のドレインとTR1のゲート、及びTR1のドレインとTR2のゲートのクロスカップリングである。このクロスカップリングは、TR2のドレインにおける電圧の立ち上がりに応答して、TR2のゲートへ低電圧信号を伝送することにより、TR2のシャットオフを高速にする。よって、インテグレイトキャパシタ136は、これらの2つのメカニズムをイネーブルにすることにより、出力ノード141における信号I+の電圧スイングを増大させる。T3からT4の「トグル」状態の間中、TR2のドレインにおける電圧状態はhighに駆動され、TR1のドレインにおける電圧状態はlowに駆動される。「トグル」状態なる用語は、TR1及びTR2のドレインにそれぞれ与えられた信号I−及びI+が、「トグル」状態の間、それらの最初の状態と逆の状態で駆動される、という考え方に着目している。図7Dに例示されたケースでは、「トグル」状態は時刻T3から時刻T4まで継続する。
【0026】
図8は、動作時における周波数分周器113の入出力波形の例示である。図7A〜7Dで詳細に議論したように、第1のILRO130はLO+を受信し、周波数の2分周動作を行い、低周波数側に分割された逆位相の発振信号I+及びI−を出力する。同様にして、ILRO142はLO−を受信し、周波数の2分周動作を行い、低周波数側に分割された逆位相の発振信号Q+及びQ−を出力する。入力信号LOの発振周波数は、入力信号LOにつき、完全なサイクルをトレースするように経過する時間の周期によって特徴付けられる。この時間の周期は、入力サイクル周期(input cycle period)と呼ばれ得る。低周波数側に分割された発振信号の各々の発振周波数は、この信号の各々につき、完全なサイクルをトレースするように経過する時間の周期によって特徴付けられる。この時間の周期は、出力サイクル周期と呼ばれ得る。ILRO130及び142は周波数において2で分割するので、出力サイクル周期は入力サイクル周期の2倍である。LO+及びLO−は入力信号LOの逆位相であるので、LO−は、LO+を入力サイクル周期の1/2、または等価的に出力サイクル周期の1/4だけ遅らせたものとして特徴付けられる。この遅延は、信号Q+及びQ−がそれぞれ信号I+及びI−を出力サイクル周期の1/4だけ遅らせるように、ILRO142中を直接伝播する。あるいは、この遅延は、90°の位相遅れとして表現され得る。よって、周波数分周器113の出力は、位相直交にある4つの信号(I+、I−、Q+、Q−)のセットであり、それぞれ入力信号LOの半分の周波数で発振する。
【0027】
図9は、周波数分周器113の第2実施形態の例示である。周波数分周器113はILRO130のみを含む。図9に示すように、ILRO13は図6で説明した通りである。しかし本例であると、ILRO130はTR1のソースに結合された出力ノード160と、TR2のソースに結合された出力ノード161とを含む。出力信号Q+は出力ノード160に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ156に伝送される。出力信号Q−は出力ノード161に与えられ、そして周波数分周器113からコンダクタ157に伝送される。ILRO130は、コンダクタ131を介して入力信号LO+を受信し、周波数において2分周動作を行い、低周波数側に分割された発振信号I+、I−、Q+、及びQ−を、それぞれコンダクタ133、132、156、及び157に出力する。出力ノード160に与えられた信号Q+は、発振ノード140に与えられた信号I−を、約90°遅延させる。同様に、発振ノード161に与えられた信号Q−は、発振ノード141に与えられた信号I+を、約90°遅延させる。よって、この組み合わせにより、発振ノード140、141、160、及び161に与えられた信号は、位相直交となる。よって、シングルエンドの発振信号により駆動される単一のILROは、2分周の周波数分割を行い、低周波数側に分割された位相直交にある4つの発振信号を出力出来る。第2実施形態は、第1実施形態のノイズ性能とは等しくない。しかし、位相直交出力で2分周の周波数分割を行うために、2つでは無く唯1つのILROを用いることで、電力を節約出来る。更に、局部発振器111からの発振信号を周波数分周器113に伝送するのに唯1つのコンダクタのみが必要とされ、よって集積回路ダイの面積を節約出来る。よって、性能が、より低いコスト及び電力消費とトレードされ得るアプリケーションにおいては、第2実施形態の周波数分周器113は、第1実施形態よりも好適であり得る。
【0028】
図10は、第3実施形態における周波数分周器の4分周動作の例示である。本例では、周波数分周器113は、ILRO130、ILRO142、及びILRO162を含む。図10に示すように、ILRO130及びILRO142は図6で説明した通りであり、ILRO162もILRO130と同様である。出力信号I−はILRO130の発振ノード140に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ132に伝送される。出力信号I+はILRO130の発振ノード141に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ133に伝送される。出力信号Q−はILRO142の発振ノード146に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ144に伝送される。出力信号Q+はILRO142の発振ノード147に与えられ、周波数分周器113からコンダクタ145に伝送される。入力信号I1+は、ILRO162の入力ノード167に与えられる。入力ノード167はコンダクタ131に結合され、入力信号I1+はコンダクタ131で周波数分周器113によって受信される。ILRO162の発振ノード165は、コンダクタ163によりILRO130の入力ノード150に結合される。ILRO162の発振ノード166は、コンダクタ164によってILRO142の入力ノード151に結合される。
【0029】
ILRO162はコンダクタ131を介して発振入力信号I1+を受信し、ILRO130につき上述したようにして2分周動作を実行する。ILRO162は、出力ノード165に与えられた低周波数側に分割された発振信号LO+及び出力ノード166に与えられた低周波数側に分割された発振信号LO−として、差動出力信号LOを出力する。LO+信号のノード165からコンダクタ163上のILRO130の入力電圧ノード150への伝送、及びLO−信号のノード166からコンダクタ164上のILRO142の入力電圧ノード151への伝送により、ILRO130及びILRO142は、入力信号LOの逆位相でクロックされる。ILRO130は発振入力信号LO+を受信し、2分周動作を実行し、低周波数側に分割された発振信号I+、I−を出力する。同様に、ILRO142は発振入力信号LO−を受信し、2分周動作を実行し、低周波数側に分割された発振信号Q+、Q−を出力する。信号I+、I−、Q+、及びQ−は位相直交にある。ILRO162は2分周による第1の分割を行い、ILRO130及び142は2分周による次の分割を行うので、周波数分周器113は、図10に示すように4分周で周波数分割する。同様にして、N分周動作が可能である(Nは2の累乗)。例えば、Y個のILROが直列に構成され、ここで直列の最初のILROが入力信号I1+を受信し、直列の最後のものが低周波数側に分割された差動信号を出力してILRO130及び142を駆動する。Y個のILROの各々は、2分周の周波数分割動作を実行する。ILRO130及びILRO142は、最後の2分周動作を実行し、位相直交にある4つの出力信号を生成する。あるいは、第2実施形態の周波数分周器113が直列の最後のILROとして使用されても良く、位相直交にある4つの出力信号が単一のILROによって出力されても良い。
【0030】
図11は、第4実施形態の周波数分周器113を例示する。本例では、周波数分周器113はILRO130及びILRO142を含む。図11に示すように、ILRO130及びILRO142は図6に示す通りである。しかし本例では追加の素子が含まれる。ILRO130は、トランジスタ174及び175を含む。トランジスタ174のソース及びトランジスタ175のソースは、電流源180の第1リードに結合される。電流源180の第2リードは、回路電源電圧源VSSに結合される。トランジスタ174のゲートは、交流(AC)結合キャパシタ172を介してILRO130の発振ノード160に結合される。AC結合キャパシタ172は、直流(DC)オフセット電圧信号をブロックし、高周波数交流(AC)電圧信号を通すようなサイズとされている。同様にして、AC結合キャパシタ173は、トランジスタ175のゲートをILRO130の発振ノード161に結合する。トランジスタ174のドレインは、ILRO142の発振ノード146に結合される。互いに結合されることで、電流源180、トランジスタ174、及び抵抗182は、トランジスタ174のゲートに与えられた電圧信号の反転増幅器として動作する。トランジスタ175のドレインは、ILRO142の発振ノード147に結合される。互いに結合されることで、電流源180、トランジスタ175、及び抵抗183は、トランジスタ175のゲートに与えられた電圧信号の反転増幅器として動作する。ILRO142は、トランジスタ178及び179を含む。トランジスタ178のソース及びトランジスタ179のソースは、電流源181の第1リードに結合される。電流源181の第2リードは、回路電源電圧源VSSに結合される。トランジスタ178のゲートは、交流(AC)結合キャパシタ176を介してILRO142の発振ノード170に結合される。AC結合キャパシタ176は、直流(DC)オフセット電圧信号をブロックし、高周波数交流(AC)電圧信号を通すようなサイズとされている。同様にして、AC結合キャパシタ177は、トランジスタ179のゲートをILRO142の発振ノード171に結合する。トランジスタ179のドレインは、ILRO130の発振ノード140に結合される。互いに結合されることで、電流源181、トランジスタ179、及び抵抗138は、トランジスタ179のゲートに与えられた電圧信号の反転増幅器として動作する。トランジスタ178のドレインは、ILRO130の発振ノード141に結合される。互いに結合されることで、電流源181、トランジスタ178、及び抵抗139は、トランジスタ178のゲートに与えられた電圧信号の反転増幅器として動作する。
【0031】
第2実施形態に関して言及したように、信号Q+はILRO130の発振ノード160に与えられる。この信号はAC結合キャパシタ172によって通過され、そして電流源180、トランジスタ174、及び抵抗182の動作により反転及び増幅されて、反転電圧信号188が生成される。信号188は、ILRO142の発振ノード146上に与えられた信号Q−と結合される。発振ノード146でこれらの信号を結合することで、発振ノード146における状態をスイッチングする2つのトランジスタとなる。このことは、発振ノード146における電圧信号の遷移レート(rate of transition)を増大させる。更に、発振ノード146の電圧状態は、ILRO130を介した同相信号LO+及びILRO142を介した逆位相信号LO−の両方によって駆動されている。同様にして、信号Q−はILRO130の発振ノード161上に与えられる。この信号はAC結合キャパシタ173によって通過され、電流源180、トランジスタ175、及び抵抗183の動作によって反転及び増幅され、ILRO142の発振ノード147に与えられた信号Q+と整合(match)される。同様にして、ILRO130の発振ノード140及び141は、ILRO142にクロスカップルされている。各発振ノードでのILRO130及び142のクロスカップリングにより、位相ノイズは低減され、位相直交精度へのデバイスミスマッチの有害な効果を低減し、そしてより大きな容量性負荷が、与えられた電源電流につき、周波数分周器113によって駆動されることが出来る。
【0032】
図12は、新規な一側面に従った方法200のフローチャートである。デジタルhigh入力信号値に応答して、インジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)130が、ILRO130の第1ノードに与えられた電圧をラッチする(ステップ201)。ラッチ状態の間、第1ノードに結合された負荷抵抗の抵抗値で割った回路電源電圧VDDに実質的に等しい電流が、第1ノードに結合されたNチャネルトランジスタを流れる。一例では、電流134は図7Aに示される。別の例では、第1ノードに与えられた電圧は、回路グランドVSSから100ミリボルト以内である。
【0033】
次に(ステップ202)、デジタルlow入力信号値に応答して、ILRO130は、第1ノードに与えられた電圧状態を第2電圧状態にトグルする。トグル状態の間、第1出力ノードに与えられた電圧は、インテグレイトキャパシタの両端のインテグレイトチャージによって増加される。一例では、ステップ202は図7Bに示される。別の例では、第2電圧状態は、回路電源電圧VDDから50ミリボルト以内である。
【0034】
一つまたはそれ以上の典型的な実施形態では、述べられた機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実現され得る。ソフトウェアで実装される場合、この機能は1つまたはそれ以上の命令またはコードとして、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され、或いは伝送され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの持ち運びを助ける任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体及び通信媒体の双方を含む。記録媒体は、汎用または特殊用途のコンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であって良い。例として、これに限定するもので無いものとして、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記録デバイス、または命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを搬送または保持するために使用され、そして汎用または特殊用途のコンピュータまたは汎用または特殊用途のプロセッサによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことが出来る。また、あらゆる接続が、適切にコンピュータ読み取り可能な媒体と呼ばれる。例えば、そのソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他の遠隔源から送信されるならば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk and disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、及びブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、一般的に、磁気によってデータを再生し、ディスク(disc)はレーザによって光学的にデータを再生する。上記の組合せもまたコンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0035】
ある例示的な例では、プロセッサ実行可能な命令191のセットが、図2のデジタルベースバンド集積回路103におけるメモリ(プロセッサ読み取り可能な媒体)に記憶される。プロセッサ190は、バスを介してメモリ192にアクセスし、命令191を実行し、これにより集積回路103に対して、RF送受信機集積回路102の受信チェーン108における周波数分周器を構成させ、制御させ、モニタさせる。
【0036】
説明の目的である具体的な実施形態が上で述べられたが、この特許文書の教示は一般的な適用可能性を有し、そして上記の具体的な実施形態に限定されない。例えば、2分周周波数分周器はこのアプリケーションではインジェクションロックリング発振器として述べられてきたが、周波数分周器は別のインジェクションロック発振器であっても良い。従って、述べられた具体的な実施形態の様々な特徴の様々な修正、適応、及び組み合わせは、以下で説明される特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく実行出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1Nチャネルトランジスタ及び第2Nチャネルトランジスタを備え、第1Nチャネルトランジスタのドレインが第1出力ノードであり、第2Nチャネルトランジスタのドレインが第2出力ノードであり、第1Nチャネルトランジスタのゲートが前記第2出力ノードに結合され、前記第2Nチャネルトランジスタのゲートが前記第1出力ノードに結合された第1クロスカップルトランジスタ対と、
前記第1Nチャネルトランジスタのソースに結合された第1リードと、前記第2Nチャネルトランジスタのソースに結合された第2リードとを有する第1キャパシタと、
前記第1Nチャネルトランジスタのソースに結合された第1リードと、前記第2Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第2リードと、第1入力ノードとを有する第1電流注入回路と
を備える第1インジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)を備える周波数分周器(frequency divider)。
【請求項2】
第1周波数の入力信号が前記第1電流注入回路の前記第1入力ノードに与えられ、
第2周波数の出力信号が、前記第1ILROの前記第1、第2出力ノード間に与えられ、
前記第1周波数は、前記第2周波数の2倍である、請求項1の周波数分周器。
【請求項3】
前記第1電流注入回路は、
ソース、ドレイン、及びゲートを有する第3Nチャネルトランジスタであって、前記第3Nチャネルトランジスタの前記ドレインが前記第1Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合され、前記第3Nチャネルトランジスタの前記ゲートが前記第1電流注入回路の前記第1入力ノードに結合された前記第3Nチャネルトランジスタと、
ソース、ドレイン、及びゲートを有する第4Nチャネルトランジスタであって、前記第4Nチャネルトランジスタの前記ドレインが前記第2Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合され、前記第4Nチャネルトランジスタの前記ゲートが前記第1電流注入回路の前記第1入力ノードに結合された前記第4Nチャネルトランジスタと
を備える請求項1の周波数分周器。
【請求項4】
第3Nチャネルトランジスタ及び第4Nチャネルトランジスタを含み、前記第3Nチャネルトランジスタのドレインが第3出力ノードであり、前記第4Nチャネルトランジスタのドレインが第4出力ノードであり、前記第3Nチャネルトランジスタのゲートが前記第4出力ノードに結合され、前記第4Nチャネルトランジスタのゲートが前記第3出力ノードに結合された第2クロスカップルトランジスタ対と、
前記第3Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第1リードと、前記第4Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第2リードとを有する第2キャパシタと、
前記第3Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第1リードと、前記第4Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第2リードと、第2入力ノードとを有する第2電流注入回路と
を備える第2インジェクションロックリング発振器(ILRO)を更に備える請求項1の周波数分周器。
【請求項5】
差動入力信号が、前記第1電流注入回路の前記第1入力ノードと前記第2電流注入回路の前記第2入力ノードとの間に与えられ、
同相(I:in-phase)差動出力信号が、前記第1ILROの前記第1及び第2出力ノード間に与えられ、
直交位相(Q:quadrature)差動出力信号が、前記第2ILROの前記第3及び第4出力ノード間に与えられる、請求項4の周波数分周器。
【請求項6】
入力信号が、前記第1電流注入回路の第1入力ノードに与えられ、
同相(I:in-phase)差動出力信号が、前記第1及び第2出力ノード間に与えられ、
直交位相(Q:quadrature)差動出力信号が、前記第1Nチャネルトランジスタの前記ソースと前記第2Nチャネルトランジスタの前記ソースとの間に与えられる、請求項1の周波数分周器。
【請求項7】
第2入力ノード、第3出力ノード、及び第4出力ノードを有する第2インジェクションロックリング発振器(ILRO)と、
第3入力ノード、第5出力ノード、及び第6出力ノードを有する第3インジェクションロックリング発振器(ILRO)と
を備え、前記第3ILROの前記第5出力ノードは前記第1ILROの前記第1入力ノードに結合され、前記第3ILROの前記第6出力ノードは前記第2ILROの前記第2入力ノードに結合される、請求項1の周波数分周器。
【請求項8】
第1周波数の入力信号が前記第3ILROの前記第3入力ノードに与えられ、
第2周波数の同相(I:in-phase)差動出力信号が、前記第1ILROの前記第1及び第2出力ノード間に与えられ、
直交位相(Q:quadrature)差動出力信号が、前記第2ILROの前記第3及び第4出力ノード間に与えられ、
前記第1周波数は前記第2周波数の4倍である、請求項7の周波数分周器。
【請求項9】
前記第1ILROは、
ソース、ドレイン、及びゲートを有する第5Nチャネルトランジスタであって、前記第5Nチャネルトランジスタの前記ドレインが前記第2ILROの前記第3出力ノードに結合され、前記第5Nチャネルトランジスタの前記ゲートが第1交流(AC)結合キャパシタを介して前記第1Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された前記第5Nチャネルトランジスタと、
ソース、ドレイン、及びゲートを有する第6Nチャネルトランジスタであって、前記第6Nチャネルトランジスタの前記ドレインが前記第2ILROの前記第4出力ノードに結合され、前記第6Nチャネルトランジスタの前記ゲートが第2交流(AC)結合キャパシタを介して前記第2Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合され、前記第5Nチャネルトランジスタの前記ソース及び前記第6Nチャネルトランジスタの前記ソースが電流源に結合された前記第6Nチャネルトランジスタと
を更に備える請求項4の周波数分周器。
【請求項10】
第1リード及び第2リードを有する第1負荷抵抗であって、前記第1負荷抵抗の前記第1リードが前記第1出力ノードに結合された前記第1負荷抵抗と、
第1リード及び第2リードを有する第2負荷抵抗であって、前記第2負荷抵抗の前記第1リードが前記第2出力ノードに結合され、前記第1負荷抵抗の前記第2リード及び前記第2負荷抵抗の前記第2ノードが電源電圧ノードに結合された前記第2負荷抵抗と
を更に備え、前記電流注入回路の前記第3Nチャネルトランジスタの前記ソース及び前記第4Nチャネルトランジスタの前記ソースはグランドノードに結合される、請求項3の周波数分周器。
【請求項11】
第1周波数の第1発振信号を受信する第1入力リードと、第2周波数の同相(I:in-phase)差動出力信号を出力する第1出力リード及び第2出力リードとを有し、前記第1周波数が前記第2周波数の2倍である第1インジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)を備え、該ILROは、
第1Nチャネルトランジスタ及び第2Nチャネルトランジスタを含み、前記第1Nチャネルトランジスタのドレインが前記第1出力リードに結合され、前記第2Nチャネルトランジスタのドレインが前記第2出力リードに結合されたクロスカップルトランジスタ対と、
前記第1Nチャネルトランジスタのソースに結合された第1リードと、前記第2Nチャネルトランジスタのソースに結合された第2リードとを有するキャパシタと、
前記第1Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第1リードと、前記第2Nチャネルトランジスタの前記ソースに結合された第2リードと、前記第1ILROの前記第1入力リードに結合された第3リードとを有する電流注入回路と
を備える周波数分周器。
【請求項12】
前記第1ILROと実質的に等しい構成であり、第2発振信号を受信する第2入力リードと、直交位相(Q:quadrature)差動出力信号を出力する第3出力リード及び第4出力リードとを有する第2ILROを更に備え、
前記第1発振信号と前記第2発振信号は差動入力信号であり、
前記同相(I)信号と前記直交位相(Q)信号は、約90°位相がずれている、請求項11の周波数分周器。
【請求項13】
第1入力信号のデジタルhigh状態に応答して、第1インジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)の第1出力ノードに与えられた電圧を第1電圧状態にラッチすることであって、回路電源電圧を第1負荷抵抗値で割った値に実質的に等しい電流が前記第1ILROの第1Nチャネルトランジスタに流れることと、
前記第1入力信号のデジタルlow状態に応答して、第1出力ノードに与えられた前記電圧を第2電圧状態にトグルすること(toggling)であって、前記第1出力ノードに与えられた前記電圧が第1キャパシタの両端のインテグレイトチャージ(integrating charge)によって増大されることと
を備える方法。
【請求項14】
回路グランド電圧及び前記回路電源電圧は前記第1ILROに供給され、
前記第1電圧状態は前記回路グランド電圧から100ミリボルト以内であり、前記第2電圧状態は前記回路電源電圧から50ミリボルト以内である、請求項13の方法。
【請求項15】
前記第1入力信号の前記デジタルhigh状態に応答して、前記第1ILROの第2出力ノードに与えられた電圧を前記第2電圧状態にラッチすることであって、前記第1ILROの第2Nチャネルトランジスタに実質的に電流が流れないことと、
前記第1入力信号の前記デジタルlow状態に応答して、第2出力ノードに与えられた前記電圧を前記第1電圧状態にトグルすることであって、前記第2出力ノードの前記電圧が前記第1キャパシタの両端のインテグレイトチャージによって低減されることと
を更に備える請求項13の方法。
【請求項16】
前記第1ILROは、周波数分周器回路の一部である、請求項15の方法。
【請求項17】
前記第1ILROの前記第1出力ノードと前記第2出力ノードとの間に与えられた差動出力信号を受信すること
を更に備える請求項15の方法。
【請求項18】
第2入力信号のデジタルhigh状態に応答して、第2ILROの第3出力ノードに与えられた電圧と前記第2ILROの第4出力ノードに与えられた電圧とをラッチすることと、
前記第2入力信号のデジタルhigh状態に応答して、前記第2ILROの前記第3出力ノードに与えられた前記電圧と前記第2ILROの前記第4出力ノードに与えられた前記電圧とをトグルすることと
を更に備え、前記第1入力信号は、前記第2入力信号に対して約180°位相がずれている、請求項15の方法。
【請求項19】
第3入力信号のデジタルhigh状態に応答して、第3ILROの第5出力ノードに与えられた前記電圧と前記第3ILROの第6出力ノードに与えられた前記電圧とをラッチすることと、
前記第3入力信号のデジタルhigh状態に応答して、前記第3ILROの前記第5出力ノードに与えられた前記電圧と前記第3ILROの前記第6出力ノードに与えられた前記電圧とをトグルすることと
を更に備え、前記第5出力ノードは前記第1入力信号を前記第1ILROに供給し、前記第6出力ノードは前記第2入力信号を前記第2ILROに供給する、請求項18の方法。
【請求項20】
前記第1ILROの第3電圧ノードに与えられた電圧信号を反転することであって、これにより反転電圧信号を生成することと、
前記反転電圧信号を前記第2ILROの前記第1出力ノードに送信することと
を更に備える請求項18の方法。
【請求項21】
周波数分周器回路への第1入力信号を受信するコンダクタ(conductor)と、
前記入力信号を固定された整数(fixed-integer)によって周波数分割し(frequency dividing)、これにより同相(in-phase)差動出力信号を生成する手段と
を備え、前記手段は第1キャパシタを含み、少なくとも部分的に(at least in part)前記第1キャパシタは、前記I差動出力信号の電圧スイングを増加させる、周波数分周器回路。
【請求項22】
前記手段はインジェクションロックリング発振器(ILRO:Injection-locked Ring Oscillator)であり、
前記ILROは、第1Nチャネルトランジスタ及び第2Nチャネルトランジスタを含むクロスカップルトランジスタ対を含み、
前記第1キャパシタの第1リードは前記第1Nチャネルトランジスタのソースに結合され、前記第1キャパシタの第2リードは前記第2Nチャネルトランジスタのソースに結合される、請求項21の周波数分周器回路。
【請求項23】
前記周波数分周器回路への第2入力信号を受信する第2コンダクタを更に備え、
前記第1入力信号及び前記第2入力信号は差動入力信号であり、
前記手段は前記第2入力信号を周波数分割して、これにより直交位相(Q:quadrature)差動出力信号を生成し、
前記手段はまた、第2キャパシタを備え、
少なくとも部分的に(at least in part)前記第2キャパシタは、前記Q差動出力信号の電圧スイングを増加させる、請求項21の周波数分周器回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−504268(P2013−504268A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528100(P2012−528100)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/047877
【国際公開番号】WO2011/029041
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】