3次元形状測定装置
【課題】簡単な構成で共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される表面光学像情報と顕微干渉計測法によって取得される高さ情報を関連付けて管理し、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示する3次元形状測定装置を提供する。
【解決手段】共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aと、顕微干渉計測法の光学系400bを組み合わせ、光学系400aから表面光学像情報(全焦点画像81)を取得する際の視野と光学系400bから高さ情報(高さ画像82)を取得する際の視野を、光学系400aと光学系400bの両方に用いられる対物レンズ31によって同一にし、全焦点画像81と高さ画像82を関連付け、試料17の3次元空間座標を管理する。
【解決手段】共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aと、顕微干渉計測法の光学系400bを組み合わせ、光学系400aから表面光学像情報(全焦点画像81)を取得する際の視野と光学系400bから高さ情報(高さ画像82)を取得する際の視野を、光学系400aと光学系400bの両方に用いられる対物レンズ31によって同一にし、全焦点画像81と高さ画像82を関連付け、試料17の3次元空間座標を管理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の3次元形状を測定する3次元形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に微細な試料の3次元形状を非接触にて測定する際に、例えば共焦点レーザ走査型顕微鏡や顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)などを使用することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、共焦点レーザ走査型顕微鏡による試料の3次元形状(画像)の取り込み方法、3次元形状の測定方法について開示されている。この共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射されたレーザ光を対物レンズによって試料表面に集光させる。次に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、集光されたレーザ光を試料に対して平面方向に走査させ、試料から反射した反射レーザ光を受光する。さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズと試料との相対距離を変えながら反射レーザ光を受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、試料表面の光学的な特徴である表面光学像情報を有する高精度な観察画像(全焦点画像)を得る。その際、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、反射レーザ光の受光強度が最大になったときの対物レンズと試料との相対距離情報(試料の高さ情報)と、上述した全焦点画像と、を合成する。これにより試料の表面光学像情報と高さ情報を有する3次元画像を得る。共焦点レーザ走査型顕微鏡は、この3次元画像から試料の形状を測定する。
【0004】
一般的に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射される光にレーザ光を使用することで試料表面における集光性を増加させている。また共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズによって集光されたレーザ光の集光位置に対する共役な位置にピンホールを配置し、ピンホールを通過した反射レーザ光のみを受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、フレアが少なく、コントラストの高い高分解能な3次元画像を得ることができるという利点を有する。
【0005】
また例えば特許文献2には、顕微干渉計測法による試料の3次元形状の取り込み、3次元形状の測定方法について開示されている。顕微干渉計測法は、可干渉性が抑えられている低コヒーレントな照明光を例えばビームスプリッタ等によって分岐させる。顕微干渉計測法は、分岐した一方の光を対物レンズによって試料表面に集光させ、分岐した他方の光を参照ミラーなどに集光させる。次に顕微干渉計測法は、試料表面から反射した反射光と参照ミラーから反射した反射光を干渉させ、干渉像を取りこむ。顕微干渉計測法は、この干渉像を対物レンズと試料の相対距離を変えながら取り込み、この干渉像の強度分布から高精度な試料の高さ情報を有する観察画像を形成する。顕微干渉計測法は、この画像から試料の形状を測定する。
【0006】
一般的に顕微干渉計測法は、対物レンズのNAに依存しないため、NAの小さい低倍率の対物レンズでも、高精度な高さ情報を得ることができるという利点を有する。
【特許文献1】特開平09−068413号公報
【特許文献2】特開2004−028647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した共焦点レーザ走査型顕微鏡の分解能は、対物レンズのNAに依存するため、一般にNAが小さい低倍率の対物レンズでは分解能が落ちる。したがって、より高精度な3次元画像を得るためには、一般にNAが大きい高倍率の対物レンズを使用する必要がある。しかし高倍率の対物レンズでは一般に試料の観察視野が狭くなるという欠点が生じる。
【0008】
このように共焦点レーザ走査型顕微鏡において、試料の表面光学像情報及び高さ情報を有する試料の3次元画像を広範囲の領域に渡って高分解能に取得することは容易ではない。
【0009】
また上述した顕微干渉計測法によって得られる観察画像は、フレアがかかったコントラストの悪い画像になりやすく、また干渉縞によって平面方向における試料表面の状態がわかりにくくなる。また顕微干渉計測法に用いられる光源には、低コヒーレントな白色光を出射する例えば白色光源などが用いられるが、対物レンズを出射した白色光の試料表面における集光性は、レーザ光の集光性に比べて高くはない。そのため顕微干渉計測法と共焦点レーザ走査型顕微鏡で取得される試料の表面光学像情報を比較すると、顕微干渉計測法は観察画像の平面方向の分解能が劣るという欠点が生じる。つまり顕微干渉計測法は、ダイナミックフォーカス的な処理による全焦点画像を構築しても表面光学像情報を高精度に得ることが出来ない。
【0010】
したがって、試料の3次元形状を広範囲かつ高精度に測定する場合、低い倍率の対物レンズを用いて観察視野を広くさせた状態で、高精度な(高分解能でコントラストの高い)表面光学像情報を有する全焦点画像を取得することができる共焦点レーザ走査型顕微鏡と、高精度な高さ情報を取得することができる顕微干渉計測法を併用する必要がある。そのために、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法の両方が使用可能となる3次元形状測定装置が望まれている。
【0011】
しかしながら上述した異なる原理によって取得される全焦点画像と高さ情報には直接の関連が無い。つまり、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される全焦点画像は、高精度な表面光学像情報のみであり、表面光学像情報に対する高分解能な高さ情報は包含されていない。また、顕微干渉計測法によって取得される高さ情報は、試料の高さに関して高分解能であるが、面内方向には表面光学像情報などと対応があるわけではない。
【0012】
実際に試料の3次元形状が観察、測定される際、一般的に使用者は試料表面の所望する部位の光学的な特徴を目印として、観察位置や計測位置を決定している。このような使用状況を考慮すると、表面光学像情報と高さ情報に関連性がないと、同一試料の同一部位の3次元形状を効率的に測定することができない。
【0013】
よって、本発明は上記事情を鑑みて、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される表面光学像情報と顕微干渉計測法によって取得される高さ情報を関連付けて管理し、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示する3次元形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は目的を達成するために、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、照明光を出射する照明光源と、2次元走査機構によって偏向されたレーザ光と、照明光源から出射された照明光を試料に結像させる対物レンズと、対物レンズと試料の間に配置され、照明光源から出射された照明光を分岐することで一方の照明光を試料に向けて透過させ、他方の照明光を反射させる光分割部材と、光分割部材によって分岐された光路上に配置され、光分割部材から反射された他方の照明光によって照射される参照面と、対物レンズ、または試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における対物レンズと試料の相対距離を変える駆動機構と、干渉しあう試料から反射する照明光と参照面から反射する照明光を受光する照明光受光部と、レーザ光受光部によって出力される出力信号から試料の表面光学像情報を記憶し、照明光受光部によって出力される出力信号から試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から試料の3次元形状を測定する制御部と、制御部によって測定された3次元形状を表示する表示部と、を具備することを特徴とする3次元形状測定装置を提供する。
【0015】
本発明は目的を達成するために、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、2次元走査機構によって偏向されたレーザ光を試料に結像させる第1の対物レンズと、第1の対物レンズが光路上に配置された際に、試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、照明光を出射する照明光源と、照明光源から出射された照明光を試料に結像させる第2の対物レンズと、第2の対物レンズと試料の間に配置され、照明光源から出射された照明光を分岐することで一方の照明光を試料に向けて透過させ、他方の照明光を反射させる光分割部材と、光分割部材によって分岐された光路上に配置され、光分割部材から反射された他方の照明光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、干渉対物レンズが光路上に配置された際に、干渉しあう試料から反射する照明光と参照面から反射する照明光を受光する照明光受光部と、第1の対物レンズが光路上に配置された際に、光軸方向における第1の対物レンズと試料の第1の相対距離を調整し、干渉対物レンズが光路上に配置された際に、光軸方向における干渉対物レンズと試料の第2の相対距離を変える駆動機構と、レーザ光受光部によって出力される出力信号から試料の表面光学像情報を記憶し、照明光受光部によって出力される出力信号から試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から試料の3次元形状を測定する制御部と、制御部によって測定された試料の3次元形状を表示する表示部と、を具備することを特徴とする3次元形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される表面光学像情報と顕微干渉計測法によって取得される高さ情報を関連付けて管理し、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示する3次元形状測定装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る3次元形状測定装置100の構成図である。
【0018】
本実施形態における3次元形状測定装置100は、試料17を載置するステージ200と、試料17の上方に配置される干渉対物レンズ300と、ステージ200と干渉対物レンズ300を有する顕微鏡本体400と、試料17の3次元形状を測定する際に画像処理を行う画像処理部500と、から構成されている。
【0019】
顕微鏡本体400は、干渉対物レンズ300の上方に、さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)における光学系400bを搭載している。
【0020】
共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aについて説明する。この光学系400aには、直線偏光の特性を有するレーザ光2を出射するレーザ光源1と、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を透過させ、また後述する試料17から反射したレーザ光2を反射する偏光ビームスプリッタ3と、回動することによって偏光ビームスプリッタ3を透過したレーザ光2を試料17の表面に対して2次元方向に走査する2次元走査機構4が順次配置されている。偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2が有する偏光特性に応じてレーザ光2を反射、または透過させる。2次元走査機構4は、例えば、レゾナントスキャナやガルバノスキャナなどであり、後述する対物レンズ31の瞳と共役な位置に配置されている。
【0021】
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、2次元走査機構4によって走査されるレーザ光2の光路上に瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6と、1/4波長板7と、第1のビームスプリッタ8が順次配置されている。1/4波長板7は、2次元走査機構4によって走査され、瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6を透過したレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光源1から出射されたレーザ光2は、円偏光に変換される。第1のビームスプリッタ8は、例えばダイクロイックプリズム、またはダイクロイックミラーであり、レーザ光2を反射し、また後述する試料17から反射した白色光13(干渉光)を透過させる。なお第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性については後述する。
【0022】
第1のビームスプリッタ8の反射光路上には、後述する顕微干渉計測法における光学系400bに設けられている第2のビームスプリッタ14と、干渉対物レンズ300と、試料17を載置しているステージ200が順次配置されている。第2のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ8によって反射されたレーザ光2やサンプル17から反射したレーザ光2を透過させ、後述する白色光13を一定の分岐比で分岐(反射、または透過)させる。第2のビームスプリッタ14の反射透過率特性については後述する。干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31は、レーザ光2を試料17の表面上に集光(結像)させる。なお干渉対物レンズ300には、対物レンズ31の下方にハーフミラー32が設けられており、ハーフミラー32はレーザ光2を透過させる。なおハーフミラー32の反射透過特性については後述する。
【0023】
またレーザ光2は、試料17から反射された後、上述した同じ光路を通り、偏光ビームスプリッタ3に戻る。その際、1/4波長板7は、試料17から反射されたレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光2は、再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。そのため偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2を反射する。
【0024】
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、偏光ビームスプリッタ3によって反射されるレーザ光2の反射光路上に第2の結像レンズ9と、ピンホール10と、レーザ光受光部であるレーザ用受光素子11が順次配置されている。ピンホール10は、対物レンズ31の焦点位置と共役な位置に配置されており、対物レンズ31によって試料17の表面上に集光され、試料17の表面上にてピントのあったレーザ光2のみを通過させる。レーザ用受光素子11は、ピンホール10を透過したレーザ光2を受光し、受光したレーザ光2の光量に応じて変化する出力信号(レーザ光2の光の強度)を制御部60に出力する。なおレーザ用受光素子11には、例えば光電子増倍管やフォトダイオードなどが用いられる。
【0025】
次に顕微干渉計測法における光学系400bについて説明する。この光学系400bには、可干渉性が抑えられた(低コヒーレントな)照明光である白色光13を出射する白色(照明)光源12と、白色光源12から出射された白色光13を、白色光13の波長域に応じて一定の分岐比で分岐する第2のビームスプリッタ14が順次配置されている。なお白色光源12は、例えば可視域から赤外域までの広い領域の光を出射するハロゲンランプなどである。第2のビームスプリッタ14は、分岐した白色光13の一部を干渉対物レンズ300に向けて反射させる。
【0026】
干渉対物レンズ300において、対物レンズ31は、白色光13を試料17の表面に集光(結像)させる。その際、光分割部材であるハーフミラー32は、対物レンズ31を透過した白色光13を白色光13の波長域に応じて一定の分岐比にて分岐させる(試料17に向けて透過または参照板(参照面)33に向けて反射させる)。ハーフミラー32の反射透過率特性については後述する。参照板33は、ハーフミラー32から反射した白色光13をハーフミラー32に向けて反射する。ハーフミラー32は、参照板33から反射した白色光13を対物レンズ31に向けて反射する。またハーフミラー32を透過した白色光13は、試料17によって反射される。ハーフミラー32は、試料17から反射したこの白色光13を対物レンズ31に向けて透過させる。これにより試料17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光は、干渉する。
【0027】
なお上述した第2のビームスプリッタ14は、この干渉光を一定の分岐比にて分岐(透過)する。また第1のビームスプリッタ8は、第2のビームスプリッタ14によって分岐された干渉光を透過させる。
【0028】
また顕微干渉計測法の光学系400bには、第1のビームスプリッタ8を透過した干渉光を結像させる第3の結像レンズ15と、第3の結像レンズ15の焦点位置に配置され、試料17の干渉像(干渉しあう試料17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光)を撮像する撮像素子16が順次配置されている。第3の結像レンズ15と撮像素子16は、第1のビームスプリッタ8の上方(透過光路上)に配置されている。撮像素子16には、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどが用いられ、撮像素子16によって撮像される干渉像には試料17の表面画像に干渉縞(干渉像情報)が重なっている。撮像素子16は、この干渉像情報を出力信号として制御部60に出力する。
【0029】
次に干渉対物レンズ300の構成について説明する。干渉対物レンズ300は、上述したようにレーザ光2と白色光13を試料17の表面に集光させる対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13を分岐させる(白色光13の一方を試料17に向けて透過させ、白色光13の他方を反射させる)ハーフミラー32と、ハーフミラー32から反射される白色光13によって照射される参照板33を有している。対物レンズ31と、ハーフミラー32と、参照板33は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されており、ミラウ型の干渉光学系を構成している。またハーフミラー32は、対物レンズ31と試料17の間に配置されている。参照板33は、ハーフミラー32を介して干渉対物レンズ300の物体側焦点位置と光学的に共役な位置(ハーフミラー32によって分岐された光路上)に配置されている。参照板33の表面(ハーフミラー32に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13をハーフミラー32に反射する。ハーフミラー32は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。
【0030】
干渉対物レンズ300における対物レンズ31は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法に対する共通の部材であるため、共焦点レーザ走査型顕微鏡における視野と顕微干渉計測法における視野を同一のものにしている。
【0031】
なお本実施形態は、ミラウ型の干渉光学系を例としているが図2に示すようにマイケルソン型の干渉光学系でも基本構成、動作、作用は同様である。
【0032】
図2に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズ300は、対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13の一方を透過させ、白色光13の他方を反射させる対物用ビームスプリッタ34と、対物用ビームスプリッタ34によって反射された白色光13によって照射される参照ミラー(参照面)35を有している。対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されている。参照ミラー35は、対物用ビームスプリッタ34の反射光路上に配置され、対物用ビームスプリッタ34を介して対物レンズ31の物体側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。参照ミラー35の表面(対物用ビームスプリッタ34に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13を対物用ビームスプリッタ34に反射する。対物用ビームスプリッタ34は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性は、後述する。このように対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34と、参照ミラー35は、マイケルソン型の干渉光学系を構成している。
【0033】
次に第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性(第1のビームスプリッタ8の反射率と透過率と、第1のビームスプリッタ8を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図3を参照して説明する。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性(第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射率と透過率と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図4を参照して説明する。図3、図4に示すように第1のビームスプリッタ8と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、光の波長域に応じて反射率及び透過率がそれぞれ異なる。このように第1のビームスプリッタ8は、所望する光の波長域に応じて光を反射、または透過させる。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、所望する光の波長域に応じて光を透過、または所望する比率にて分岐する。分岐した光は、透過、または反射される。つまり本実施形態における第1のビームスプリッタ8は、レーザ光2を略100%反射させ、白色光13を略100%透過させる分光特性を有する。また本実施形態における第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、レーザ光2を略100%透過させ、白色光13を一定の分岐比にて透過及び反射させる分光特性を有する。
【0034】
次に画像処理部500の構成について説明する。画像処理部500には、3次元形状測定装置100を制御する制御部60と、ステージコントローラ40と、顕微鏡コントローラ50と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90が設けられており、制御部60は、ステージコントローラ40と、顕微鏡コントローラ50と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90と接続している。これら制御部60と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90は、パーソナルコンピュータを構成する。
【0035】
ステージコントローラ40は、ステージ200と接続し、ステージ200を面内方向(XY方向)、または焦点方向(Z方向、光軸方向)に移動させ、試料17の表面に位置する測定部位の面内方向(XY方向)位置決めと、焦点方向(Z方向)の位置決めを行う。このようにステージコントローラ40は、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を制御(調整)する。ステージコントローラ40は、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変える(調整する)ことができればよく、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変える駆動機構である。
【0036】
顕微鏡コントローラ50は、レーザ光源1の照明強度と、2次元走査機構4の走査と、レーザ用受光素子11の感度調節と、白色光源12の照明強度と、撮像素子16の感度調節と、撮像素子16のシャッタ速度などを制御する。
【0037】
入力指示部70は、3次元形状測定装置100の動作指示と、表示部80に表示する画像のサイズの指示と、3次元形状測定に関連する指示を行い、例えばマウス及びキーボードなどが用いられる。
【0038】
制御部60は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得し、この出力信号を輝度情報(I)として処理する。これにより制御部60は、試料17の表面上にてピントのあった部分だけの輝度情報(I)を得て、この輝度情報(I)を表面光学像情報として記憶部90の画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0039】
また、制御部60は、撮像素子16から出力される出力信号を取得し、撮像素子16によって撮像される干渉像情報を画像情報メモリ90aに記憶させる。また、制御部60は、後述する動作によって撮像素子16により取得される試料17の高さ情報を記憶部90の高さ情報メモリ90bに記憶させる。この高さ情報は、試料17の高さを表す。さらに制御部60は、画像情報メモリ90a、高さ情報メモリ90bに記憶された各情報を表示部80へ表示させる。
【0040】
なお制御部60は、輝度情報(I)を演算することで試料17の高さ情報を算出する。この制御部60は、高さ情報を高さ情報メモリ90bに記憶させる。この高さ情報は、試料17の高さを表す。しかしながらこの輝度情報(I)から取得された高さ情報は、対物レンズのNAに依存するため、特に低倍率では撮像素子16により取得される高さ情報に比べて精度が低い。よって制御部60は、表面光学像情報と、撮像素子16により取得される高さ情報と、を使用して試料17の3次元形状を測定する。
【0041】
また制御部60は、画像情報メモリ90aに記憶されている表面光学像情報を基に試料17の全焦点画像(図6A参照)と、高さ情報メモリ90bに記憶されている高さ情報を基に高さ画像(図6A参照)を形成する。なお制御部60は、高さ情報を基に試料17の高さを示すライン82a(図6B参照)を形成しても良い。
【0042】
制御部60は、表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から図8に示す試料17の3次元形状を測定する測定部である。
【0043】
表示部80は、3次元形状測定装置100を使用する使用者が3次元形状測定装置100への動作指示をする制御画面を有している。また表示部80は、図6Aに示すような全焦点画像や高さ画像を同時に、並べて表示する。また表示部80は、図6Bに示すような全焦点画像81やライン82aを同時に、並べて表示する。また表示部は、図8に示す測定された試料17の3次元形状(測定結果)85や、図9Aに示す全焦点画像81と3次元形状画像83を貼り合わせて形成された図9Bに示すような試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を表示する。表示部80は、例えば、液晶ディスプレイまたはCRTディスプレイである。
【0044】
記憶部90は、上述したように試料17の表面光学像情報と、干渉像情報を記憶する画像情報メモリ90aと試料17の高さ情報を記憶する高さ情報メモリ90bを有する。
【0045】
次に3次元形状測定装置100が試料17の3次元形状を測定する際の動作方法について説明する。ここでは試料17は、例えば、反射率がそれぞれ異なる面17a,17b,17c、面17dを有し、図5に示すように段差構造によって各面の高さ位置がそれぞれ異なる。なお各面の反射率は、面17bが一番高く、面17b,17a,17c,17dの順で低くなっている。また各面の高さ位置は、面17aが一番高く、面17a,17b,17c,17dの順で低くなっている。
【0046】
まず本実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡の動作方法について説明する。
レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3を透過し、2次元走査機構4によって反射され、試料17の表面に対して2次元方向に走査される。その際、走査されたレーザ光2は、瞳投影レンズ5を透過し、第1の結像レンズ6によって結像され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって反射される。反射されたレーザ光2は、第2のビームスプリッタ14を透過し、対物レンズ31によって試料17の表面上に結像される。なおレーザ光2は、ハーフミラー32を透過する。
【0047】
なお直線偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を通過することで円偏光に変換される。変換されたレーザ光2は、対物レンズ31によって試料17に結像され、回折により点(スポット)状の光を生じる。点状の光は、2次元走査機構4によって試料17上を二次元走査される。この走査範囲は、2次元走査機構4で偏向されるレーザ光2の振れ幅による。
【0048】
また図3、図4に示すように、レーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって略100%反射され、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32を略100%透過する。
【0049】
試料17から反射されたレーザ光2(反射光)は、ハーフミラー32と、対物レンズ31と、第2のビームスプリッタ14を透過し、第1のビームスプリッタ8によって反射され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1の結像レンズ6によって結像され、瞳投影レンズ5を透過し、2次元走査機構4を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
【0050】
このようにレーザ光2は、試料17に入射した時と全く同じ経路を逆に通過して偏光ビームスプリッタ3に入射する。円偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を透過することで再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。よって偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3によって反射される。
【0051】
偏光ビームスプリッタ3により反射されたレーザ光2は、第2の結像レンズ9へと導かれる。また2次元走査機構4は、対物レンズ31の瞳位置と共役な位置に配置されているため、2次元走査機構4が軸外を走査しても、レーザ光2は第2の結像レンズ9上では動かない。
【0052】
レーザ光2は、第2の結像レンズ9によって点状に絞られ、ピンホール10を通過する。上述したようにピンホール10は、対物レンズ31を通過したレーザ光2の結像位置(対物レンズ31の焦点位置)と共役な位置に配置され、試料17の表面上にピントのあったレーザ光2のみを通過させる。これによりレーザ用受光素子11には、対物レンズ31によって試料17の表面に集光され、試料17の表面から反射され、ピンホール10を通過したレーザ光2のみが受光される。このようにレーザ光2は、対物レンズ31により試料17にて結像した場合のみ、ピンホール10によって遮光されることなく、レーザ用受光素子11にて受光される。レーザ用受光素子11は、受光したレーザ光2の光量に応じた出力信号を制御部60に出力する。
【0053】
制御部60は、この出力信号を輝度情報(I)として処理し、この輝度情報(I)を表面光学像情報として画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0054】
次に本実施形態における顕微干渉計測法の動作方法について説明する。
白色光源12から出射された白色光13は、第2のビームスプリッタ14によって図4に示すように一定の分岐比にて分岐される。分岐によって下方に反射された白色光13は、対物レンズ31によって試料17の表面上にスポット状に結像される。なおこの白色光13は、ハーフミラー32によって分岐される。分岐によって透過した一方の白色光13は、上述したように試料17の表面上にスポット状に結像される。また分岐によって反射した他方の白色光13は、参照板33の表面を照射する。参照板33の表面は鏡面であるため、この白色光13は、参照板33によって反射される。
【0055】
試料17から反射した白色光13は、ハーフミラー32と、対物レンズ31を透過する。また参照板33から反射した白色光13は、ハーフミラー32によって反射され、対物レンズ31を透過する。これにより試料17の表面から反射した白色光13と、参照板33から反射した白色光13は、干渉する。この干渉している白色光13(干渉光)は、第2のビームスプリッタ14によって分岐される。分岐によって第2のビームスプリッタ14を透過した白色光13(干渉光)は、第1のビームスプリッタ8を透過した後、第3の結像レンズ15によって撮像素子16の撮像面に結像される。この白色光13は、干渉像情報を有しており、撮像素子16は、干渉像情報(試料17の表面画像に干渉縞が重なっている)を有した画像を撮像する。
【0056】
撮像素子16は、撮像した画像に含まれる干渉像情報を出力信号として制御部60に出力する。制御部60は、この干渉像情報を画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0057】
次に本実施形態における画像処理部500の動作方法について説明する。
制御部60は、ステージコントローラ40によってステージ200を光軸に沿って移動させ、干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における相対距離を一定のピッチだけ変え、整定させる。制御部60は、レーザ用受光素子11からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から表面光学像情報を取得する。同様に制御部60は、撮像素子16からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から干渉像情報を取得する。取得された表面光学像情報と干渉像情報は、画像情報メモリ90aに記憶される。
【0058】
さらに制御部60は、対物レンズ31によって集光されるスポット状のレーザ光2と白色光13が、試料17の表面上の3次元形状に対して十分補足できる(図5に示す試料17の面17aから面17dが包含される)範囲において、ステージコントローラ40によってステージ200を移動させ、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変化させながら上述した動作を繰り返す。
【0059】
この過程で、制御部60はレーザ用受光素子11から各画素の出力信号を取得し一時保持する。制御部60は、保持した出力信号から各画素の最大出力信号(光量)のみを演算し、この最大出力信号に対応する表面光学像情報を画像情報メモリ90aに記憶していく。これにより制御部60は、表面光学像情報を基に共焦点レーザ走査型顕微鏡による平面方向に高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像を形成する。
そして制御部60は、撮像素子16により取得される試料17の干渉像情報についても同様の処理を行う。その際、制御部60は、撮像素子16から出力信号の各画素に干渉縞の最大値を与えたステージ200の焦点方向位置座標(高さ情報)をステージコントローラ40から取得し、焦点方向位置座標を高さ情報メモリ90bに記憶させる。これにより、広視野でNAの小さい低倍の対物レンズ31でも、顕微干渉計測法によって高分解能な試料17の高さ情報が取得される。制御部60は、この高さ情報を基に高分解能な試料17の高さ画像を形成する。
【0060】
表示部80には、例えば図6Aに示すように全焦点画像81と、高さ画像82が並べて、同時に表示されている。図6Aに示す全焦点画像81において、面17a,17b,17c,17dの反射率をハッチングによって表している。反射率は、上述したように面17bが一番高く、面17b,17a,17c,17dの順で低くなっている。このようにハッチングによって反射率を容易に判別できる。またハッチングではなく、例えば色の明暗によって反射率の高低を表示しても良い。
【0061】
また表示部80には、例えば図6Bに示すように上述した全焦点画像81とライン82aによって試料17の高さを表している高さ画像82が、並べて同時に表示されていてもよい。高さ画像82には、全焦点画像81に引かれているライン81aの位置における試料17の高さ位置が表示される。つまり高さ画像82には、試料17の面17b,17a,17cにおける試料17の高さ位置が表示されている。ライン82aは、例えば位置が高いほど、試料17が高く、ラインが低いほど、試料17が低いことを示している。なお図6Cは、図6Bに示す全焦点画像81に引かれているライン81bの位置における試料17の高さ位置を表示する高さ画像82を示している。つまり高さ画像82には、試料17の面17b,17a,17dにおける試料17の高さ位置が表示されている。
【0062】
このように図6B、図6Cに示す高さ画像82は、ラインによって試料17の断面形状を表示している。
【0063】
次に3次元形状測定装置100が試料17の3次元形状を測定する際に、3次元形状測定装置100が上述したようにして得られた共焦点レーザ走査型顕微鏡による平面方向に高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像81(表面光学像情報)と、顕微干渉計測法による高さ方向に高分解能な試料17の高さ画像82(高さ情報)を管理する管理方法について説明する。ここでは図6Aを基に説明する。
【0064】
画像情報メモリ90aに記憶される表面光学像情報の画像領域(全焦点画像の画像領域)は、試料17を測定した際の視野(平面)に対応しており、各画素を試料17のXY平面座標に対応させる。例えば、画像サイズが1024画素×768ラインから構成されている場合、1ライン目は試料17の(X1、Y1)〜(X1024、Y1)に対応し、768ライン目は(X1、Y768)〜(X1024、Y768)に対応している。
【0065】
また全焦点画像における画像領域と高さ画像における画像領域(高さ情報メモリ90bに記憶される高さ情報の画像領域)は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法の両方に用いられる干渉対物レンズ300における対物レンズ31によって同一である。
【0066】
これにより制御部60は、高さ画像における画像領域と、全焦点画像における画像領域を1対1に対応させることができる。よって制御部60は、高さ画像と全焦点画像を関連付けることができる。ステージコントローラ40によってステージ200が移動した際に、干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における相対距離が100回変わると(高さ情報が100ステップ取得されると)、制御部60は、試料17の3次元空間座標を図7に示すように(X1、Y1、Z1)〜(X1024、Y768、Z100)の範囲で管理できる。
【0067】
このように制御部60は、高さ画像(高さ情報)と全焦点画像(表面光学像情報)を測定する試料17の3次元空間座標に対応させて管理することができる。
【0068】
制御部60は、図示しない外部の記憶装置にこの3次元空間座標を保存する際は、3次元空間座標に画像情報メモリ90aに記憶されている輝度情報(I)を付加し、4次元情報(Xi、Yj、Zk、I)として保存・管理させる。これにより制御部60は、表面光学像情報を管理している(Xi、Yj、I)を用いて全焦点画像81を表示部80に表示させ、高さ情報を管理している(Xi、Yj、Zk)を用いて高さ画像82を表示部80に表示させる。
【0069】
次に外部の記憶装置が管理している4次元情報を用いて制御部60が試料17の3次元形状を測定する方法について説明する。
【0070】
図8は、表示部80に表示される測定画面の一例を示している。表示部80には、左側に共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得された試料17の全焦点画像81が表示され、右側には顕微干渉計測法によって取得された試料17の高さ画像82が表示されている。ハッチングについては図6Aと同様である。
【0071】
ここで、例えば全焦点画像81において、測定対象にする測定開始ポイント81dが、入力指示部70(例えばマウスなど)から指定される。これにより全焦点画像81内でマウスカーソルが十字カーソル81cに切り替わり、測定開始ポイント81dが交点81eとなり、測定開始ポイント81dは指定座標として例えば画像情報メモリ90aに登録される。同時に、高さ画像82にも交点81eに対応する座標を示す十字カーソル82cが表示される。全焦点画像81に表示される十字カーソル82cと、高さ画像82に表示される十字カーソル82cは、リンクしている。
【0072】
次に全焦点画像81と高さ画像82において、認識しやすい画像を参照して、測定終了ポイント81fが入力指示部70によって指定される。そして、測定開始ポイント81d、測定終了ポイント81fが指定されると、2点間の測定が制御部60によって行われる。これにより試料17の3次元形状、例えば2点間の相対距離ΔX(μm),ΔY(μm),ΔZ(μm)が制御部60によって算出され、3次元形状は、測定結果85として表示部80に表示される。測定項目にはその他、直線距離(μm)、角度(°)など必要な情報を表示すればよい。
【0073】
このように本実施形態の3次元形状測定装置100は、共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aと、顕微干渉計測法の光学系400bを組み合わせている。また本実施形態の3次元形状測定装置100は、光学系400aから表面光学像情報(全焦点画像81)を取得する際の視野と光学系400bから高さ情報(高さ画像82)を取得する際の視野を、光学系400aと光学系400bの両方に用いられる干渉対物レンズ300における対物レンズ31によって同一にしている。また本実施形態の制御部60は、全焦点画像81と高さ画像82を関連付け、試料17の3次元空間座標を管理する。本実施形態の制御部60は、管理している高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像81(表面光学像情報)と、顕微干渉計測法による高さ方向に高分解能な試料17の高さ画像82(高さ情報)から試料17の3次元形状を測定する。
【0074】
よって本実施形態は、簡単な構成で表面光学像情報と高さ情報を関連付けて、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示することができる。
【0075】
また本実施形態は、全焦点画像81と高さ画像82を同時に並べて表示させているために、相補的に利用し、試料17の3次元形状を効率的に測定することができる。
【0076】
なお図8では、全焦点画像81において、測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fが指定されたが、十字カーソル81cは、全焦点画像81と、高さ画像82においてリンクしている。そのため本実施形態は、高さ画像82において測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fを指定してもよい。また本実施形態は、測定開始ポイント81dを全焦点画像81にて指定し、測定終了ポイント81fを高さ画像82にて指定してもよい。このように本実施形態において制御部60は、管理している全焦点画像81と高さ画像82において、例えば認識しやすい少なくとも一方の画像を参照して測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fを指定し、3次元形状を測定すればよい。
【0077】
次に本発明に係る第2の実施形態について図9A、図9Bを参照して説明する。
前述した第1の実施形態と同じ箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また本実施形態における3次元形状測定装置100の構成と、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法と画像処理部500の動作方法と、表面光学像情報と高さ情報を取得する過程は、前述した第1の実施形態と同様であるために詳細な説明は省略する。
【0078】
以下に本実施形態における3次元形状測定装置100が管理している表面光学像情報と、高さ情報から画像を構築する際の構築方法について説明する。図9Aは、第1の実施形態と同様の全焦点画像81と、高さ情報を基に形成された試料17の3次元形状画像83を示す図である。図9Bは、全焦点画像81と、3次元形状画像83と、を貼り合わせて(合成して)形成された試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を示す図である。
【0079】
上述した第1の実施形態は、全焦点画像81と高さ画像82から3次元形状を測定したが、これに限定する必要はない。
【0080】
例えば入力指示部70は、画像情報メモリ90aに記憶されている表面光学像情報から全焦点画像81を形成する指示と、画像情報メモリ90aに記憶されている干渉縞情報と高さ情報メモリ90bに記憶されている高さ情報から試料17の3次元形状画像(立体形状)83を形成する指示を制御部60に出力する。制御部60は、表面光学像情報から図9Aに示すような全焦点画像81を形成し、高さ情報から図9Aに示すような試料17の3次元形状画像83を形成する。
【0081】
次に制御部60は、3次元形状画像83に全焦点画像81を貼り合わせ、図9Bに示すように試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を構築する。制御部60は、貼り合わせる際、各画像の画素を試料17に対するXY平面内の座標に対応させている。表示部80は、制御部60によって構築された3次元形状画像86を表示する。
【0082】
本実施形態において、図9Bに示す3次元形状画像86から試料17の3次元形状を測定する方法は、第1の実施形態と同様である。つまり3次元形状画像において、測定開始ポイント81dと測定終了ポイント81fが入力指示部70によって指定される。これにより試料17の測定結果85である3次元形状、例えば2点間の相対距離ΔX(μm),ΔY(μm),ΔZ(μm)が制御部60によって算出され、測定結果85として表示部80に表示される。
【0083】
このように本実施形態は、試料17の高さを顕微干渉計測法の特徴を活かして対物レンズの観察倍率に関らず高分解能に取得した高さ情報(3次元形状画像83)に、共焦点レーザ走査型顕微鏡の面内に高分解能な全焦点画像81を貼り合わせて試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を構築することができる。よって本実施形態は、試料17の表面状態をより実体に近く、高精度に表示することができ、3次元形状を測定する際に幅広く利用することができる。
【0084】
また本実施形態は、所望であれば、図9Bに示した3次元形状画像86を回転させて、傾けさせて、反転させて表示することも可能である。
【0085】
なお上述した各実施形態においてステージコントローラ40は、試料17と干渉対物レンズ300の光軸方向における相対距離を調整するためにステージ200を移動させたが、これに限定する必要はなく、干渉対物レンズ300を移動させても良い。またステージコントローラ40は、ステージ200と干渉対物レンズ300の両方を移動させても良い。
【0086】
なお本実施形態において、対物レンズ31は、共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法における光学系400bの共通の部材であるが、それぞれに設けられていても良い。図10に示すように例えば光学系400aには、光路上に配置された際に2次元走査機構4によって偏向されたレーザ光2を試料17に結像させる対物レンズ31a(第1の対物レンズ)が設けられ、光学系400bには光路上に配置された際に白色光源12から出射された白色光13を試料17に結像させる対物レンズ31b(第2の対物レンズ)を有する干渉対物レンズ300が設けられていても良い。この対物レンズ31aと干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31bは、測定の際に同一視野(倍率)を有していればよい。図10に示すように対物レンズ31aと干渉対物レンズ300は、対物レンズ配置である例えばレボルバ45によって保持され、レボルバ45が回転することで、どちらか一方が光路上に配置される。
【0087】
またこの場合、ステージコントローラ40は、レボルバ45を光軸に沿って移動させることで試料17と干渉対物レンズ300、または試料17と対物レンズ31の相対距離を調整できる。またステージコントローラ40は、第1の実施形態と同様にステージ200を光軸に沿って移動させて、レボルバ45によって光軸上に配置されている干渉対物レンズ300、または対物レンズ31と試料17の相対距離を調整することもできる。このようにステージコントローラ40は、相対距離を変える(調整する)ことができればよい。またステージ200と、レボルバ45と、対物レンズ31と、干渉対物レンズ300とは電動のみならず手動によって移動させ、相対距離を調整しても良い。
【0088】
また本発明は、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせて、第1の実施形態における全焦点画像81と高さ画像82と、第2の実施形態における3次元形状画像86を同時に表示させても良い。
【0089】
(付記1)
レーザ光源から出射されたレーザ光を2次元走査機構によって走査させつつ、試料に照射し、前記試料から反射した反射レーザ光を受光部に受光させる第1の光学系と、
照明光源から出射された照明光を前記試料と参照面に照射し、前記試料と前記参照面から反射されたそれぞれの反射照明光から像を撮像する第2の光学系と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光と、前記照明光源から出射された前記照明光が、前記試料を照射する際に、前記レーザ光と前記照明光を前記試料に結像させる対物レンズと、
前記対物レンズ、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における前記対物レンズと前記試料の相対距離を変える駆動機構と、
前記受光部に受光された前記反射レーザ光から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記第2の光学系において受光された前記反射照明光から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記試料の3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【0090】
(付記2)
前記駆動機構が前記相対距離を変えた際に、
変えられた前記相対距離において、前記第2の光学系は前記反射照明光を受光し、前記受光部は前記反射レーザ光を受光することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0091】
(付記3)
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報を基に前記試料の全焦点画像と、前記記憶部に記憶されている前記高さ情報を基に前記試料の高さを示す高さ画像と、を形成し、
前記表示部は、前記制御部によって形成された前記全焦点画像と前記高さ画像を表示することを特徴とする付記2に記載の3次元形状測定装置。
【0092】
(付記4)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を同時に表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0093】
(付記5)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を並べて表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0094】
(付記6)
前記制御部は、前記全焦点画像、または前記高さ画像の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定すること特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0095】
(付記7)
前記制御部は、前記高さ情報を基に前記試料の高さを示すラインを形成し、
前記表示部は、前記ラインを表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0096】
(付記8)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを同時に表示することを特徴とする付記7に記載の3次元形状測定装置。
【0097】
(付記9)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを並べて表示することを特徴とする付記7に記載の3次元形状測定装置。
【0098】
(付記10)
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている高さ情報から前記試料の3次元形状画像を形成し、形成された前記3次元形状画像に前記全焦点画像を貼り合わせて前記表面光学像情報を有する3次元形状画像を構築し、
前記表示部は、前記制御部によって構築された前記3次元形状画像を表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0099】
(付記11)
前記第1の光学系は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0100】
(付記12)
前記第2の光学系は、顕微干渉計測法を構成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0101】
(付記13)
前記照明光源は、可視域から赤外域までの前記照明光を出射することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0102】
(付記14)
前記対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射された前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を前記参照面に反射させる光分割部材と、
を有し、
前記対物レンズと、前記光分割部材と、前記参照面は、干渉対物レンズを形成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る3次元形状測定装置の構成図である。
【図2】図2は、干渉対物レンズの変形例を示し、マイケルソン型の干渉光学系を示している。
【図3】図3は、第1のビームスプリッタの反射透過率特性を示している。
【図4】図4は、第2のビームスプリッタ、ハーフミラー、対物用偏光ビームスプリッタの反射透過率特性を示している。
【図5】図5は、段差構造を有する試料の斜視図である。
【図6A】図6Aは、画像処理部が動作することで、画像情報メモリから読み出された表面光学像情報を基に形成された全焦点画像と、高さ情報メモリから読み出された高さ情報を基に形成された高さ画像が並べて表示されている表示部80の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、全焦点画像と、この全焦点画像に引かれているライン81aの位置における試料の高さ位置をライン82aによって示す高さ画像を示している。
【図6C】図6Cは、図6Bに示された全焦点画像に引かれているライン81bの位置における試料の高さ位置をライン82aによって示す高さ画像を示している。
【図7】図7は、試料の3次元空間座標(X1、Y1、Z1)〜(X1024、Y768、Z100)を示す図である。
【図8】図8は、表示部に表示される測定画面の一例を示している。
【図9A】図9Aは、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって形成された試料17の全焦点画像と、顕微干渉計測法によって形成された試料17の3次元形状画像を示す図である。
【図9B】図9Bは、全焦点画像と3次元形状画像を貼り合わせて形成された試料17の表面反射情報を有する3次元形状画像を示す図である。
【図10】図10は、対物レンズ31と干渉対物レンズ300を有するレボルバ45の構成図である。
【符号の説明】
【0104】
1…レーザ光源、2…レーザ光、3…偏光ビームスプリッタ、4…2次元走査機構、5…瞳投影レンズ、6…第1の結像レンズ、7…1/4波長板、8…第1のビームスプリッタ、9…第2の結像レンズ、10…ピンホール、11…レーザ用受光素子、12…白色光源、13…白色光、14…第2のビームスプリッタ、15…第3の結像レンズ、16…撮像素子、17…試料、17a,17b,17c,17d…面、31…対物レンズ、32…ハーフミラー、33…参照板、34…対物用ビームスプリッタ、35…参照ミラー、40…ステージコントローラ、50…顕微鏡コントローラ、60…制御部、70…入力指示部、80…表示部、81…全焦点画像、82…高さ画像、90…記憶部、90a…画像情報メモリ、90b…高さ情報メモリ、100…3次元形状測定装置、200…ステージ、300…干渉対物レンズ、400…顕微鏡本体、400a…共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系、400b…顕微干渉計測法の光学系、500…画像処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の3次元形状を測定する3次元形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に微細な試料の3次元形状を非接触にて測定する際に、例えば共焦点レーザ走査型顕微鏡や顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)などを使用することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、共焦点レーザ走査型顕微鏡による試料の3次元形状(画像)の取り込み方法、3次元形状の測定方法について開示されている。この共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射されたレーザ光を対物レンズによって試料表面に集光させる。次に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、集光されたレーザ光を試料に対して平面方向に走査させ、試料から反射した反射レーザ光を受光する。さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズと試料との相対距離を変えながら反射レーザ光を受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、試料表面の光学的な特徴である表面光学像情報を有する高精度な観察画像(全焦点画像)を得る。その際、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、反射レーザ光の受光強度が最大になったときの対物レンズと試料との相対距離情報(試料の高さ情報)と、上述した全焦点画像と、を合成する。これにより試料の表面光学像情報と高さ情報を有する3次元画像を得る。共焦点レーザ走査型顕微鏡は、この3次元画像から試料の形状を測定する。
【0004】
一般的に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射される光にレーザ光を使用することで試料表面における集光性を増加させている。また共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズによって集光されたレーザ光の集光位置に対する共役な位置にピンホールを配置し、ピンホールを通過した反射レーザ光のみを受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、フレアが少なく、コントラストの高い高分解能な3次元画像を得ることができるという利点を有する。
【0005】
また例えば特許文献2には、顕微干渉計測法による試料の3次元形状の取り込み、3次元形状の測定方法について開示されている。顕微干渉計測法は、可干渉性が抑えられている低コヒーレントな照明光を例えばビームスプリッタ等によって分岐させる。顕微干渉計測法は、分岐した一方の光を対物レンズによって試料表面に集光させ、分岐した他方の光を参照ミラーなどに集光させる。次に顕微干渉計測法は、試料表面から反射した反射光と参照ミラーから反射した反射光を干渉させ、干渉像を取りこむ。顕微干渉計測法は、この干渉像を対物レンズと試料の相対距離を変えながら取り込み、この干渉像の強度分布から高精度な試料の高さ情報を有する観察画像を形成する。顕微干渉計測法は、この画像から試料の形状を測定する。
【0006】
一般的に顕微干渉計測法は、対物レンズのNAに依存しないため、NAの小さい低倍率の対物レンズでも、高精度な高さ情報を得ることができるという利点を有する。
【特許文献1】特開平09−068413号公報
【特許文献2】特開2004−028647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した共焦点レーザ走査型顕微鏡の分解能は、対物レンズのNAに依存するため、一般にNAが小さい低倍率の対物レンズでは分解能が落ちる。したがって、より高精度な3次元画像を得るためには、一般にNAが大きい高倍率の対物レンズを使用する必要がある。しかし高倍率の対物レンズでは一般に試料の観察視野が狭くなるという欠点が生じる。
【0008】
このように共焦点レーザ走査型顕微鏡において、試料の表面光学像情報及び高さ情報を有する試料の3次元画像を広範囲の領域に渡って高分解能に取得することは容易ではない。
【0009】
また上述した顕微干渉計測法によって得られる観察画像は、フレアがかかったコントラストの悪い画像になりやすく、また干渉縞によって平面方向における試料表面の状態がわかりにくくなる。また顕微干渉計測法に用いられる光源には、低コヒーレントな白色光を出射する例えば白色光源などが用いられるが、対物レンズを出射した白色光の試料表面における集光性は、レーザ光の集光性に比べて高くはない。そのため顕微干渉計測法と共焦点レーザ走査型顕微鏡で取得される試料の表面光学像情報を比較すると、顕微干渉計測法は観察画像の平面方向の分解能が劣るという欠点が生じる。つまり顕微干渉計測法は、ダイナミックフォーカス的な処理による全焦点画像を構築しても表面光学像情報を高精度に得ることが出来ない。
【0010】
したがって、試料の3次元形状を広範囲かつ高精度に測定する場合、低い倍率の対物レンズを用いて観察視野を広くさせた状態で、高精度な(高分解能でコントラストの高い)表面光学像情報を有する全焦点画像を取得することができる共焦点レーザ走査型顕微鏡と、高精度な高さ情報を取得することができる顕微干渉計測法を併用する必要がある。そのために、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法の両方が使用可能となる3次元形状測定装置が望まれている。
【0011】
しかしながら上述した異なる原理によって取得される全焦点画像と高さ情報には直接の関連が無い。つまり、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される全焦点画像は、高精度な表面光学像情報のみであり、表面光学像情報に対する高分解能な高さ情報は包含されていない。また、顕微干渉計測法によって取得される高さ情報は、試料の高さに関して高分解能であるが、面内方向には表面光学像情報などと対応があるわけではない。
【0012】
実際に試料の3次元形状が観察、測定される際、一般的に使用者は試料表面の所望する部位の光学的な特徴を目印として、観察位置や計測位置を決定している。このような使用状況を考慮すると、表面光学像情報と高さ情報に関連性がないと、同一試料の同一部位の3次元形状を効率的に測定することができない。
【0013】
よって、本発明は上記事情を鑑みて、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される表面光学像情報と顕微干渉計測法によって取得される高さ情報を関連付けて管理し、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示する3次元形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は目的を達成するために、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、照明光を出射する照明光源と、2次元走査機構によって偏向されたレーザ光と、照明光源から出射された照明光を試料に結像させる対物レンズと、対物レンズと試料の間に配置され、照明光源から出射された照明光を分岐することで一方の照明光を試料に向けて透過させ、他方の照明光を反射させる光分割部材と、光分割部材によって分岐された光路上に配置され、光分割部材から反射された他方の照明光によって照射される参照面と、対物レンズ、または試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における対物レンズと試料の相対距離を変える駆動機構と、干渉しあう試料から反射する照明光と参照面から反射する照明光を受光する照明光受光部と、レーザ光受光部によって出力される出力信号から試料の表面光学像情報を記憶し、照明光受光部によって出力される出力信号から試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から試料の3次元形状を測定する制御部と、制御部によって測定された3次元形状を表示する表示部と、を具備することを特徴とする3次元形状測定装置を提供する。
【0015】
本発明は目的を達成するために、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、2次元走査機構によって偏向されたレーザ光を試料に結像させる第1の対物レンズと、第1の対物レンズが光路上に配置された際に、試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、照明光を出射する照明光源と、照明光源から出射された照明光を試料に結像させる第2の対物レンズと、第2の対物レンズと試料の間に配置され、照明光源から出射された照明光を分岐することで一方の照明光を試料に向けて透過させ、他方の照明光を反射させる光分割部材と、光分割部材によって分岐された光路上に配置され、光分割部材から反射された他方の照明光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、干渉対物レンズが光路上に配置された際に、干渉しあう試料から反射する照明光と参照面から反射する照明光を受光する照明光受光部と、第1の対物レンズが光路上に配置された際に、光軸方向における第1の対物レンズと試料の第1の相対距離を調整し、干渉対物レンズが光路上に配置された際に、光軸方向における干渉対物レンズと試料の第2の相対距離を変える駆動機構と、レーザ光受光部によって出力される出力信号から試料の表面光学像情報を記憶し、照明光受光部によって出力される出力信号から試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から試料の3次元形状を測定する制御部と、制御部によって測定された試料の3次元形状を表示する表示部と、を具備することを特徴とする3次元形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される表面光学像情報と顕微干渉計測法によって取得される高さ情報を関連付けて管理し、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示する3次元形状測定装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る3次元形状測定装置100の構成図である。
【0018】
本実施形態における3次元形状測定装置100は、試料17を載置するステージ200と、試料17の上方に配置される干渉対物レンズ300と、ステージ200と干渉対物レンズ300を有する顕微鏡本体400と、試料17の3次元形状を測定する際に画像処理を行う画像処理部500と、から構成されている。
【0019】
顕微鏡本体400は、干渉対物レンズ300の上方に、さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)における光学系400bを搭載している。
【0020】
共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aについて説明する。この光学系400aには、直線偏光の特性を有するレーザ光2を出射するレーザ光源1と、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を透過させ、また後述する試料17から反射したレーザ光2を反射する偏光ビームスプリッタ3と、回動することによって偏光ビームスプリッタ3を透過したレーザ光2を試料17の表面に対して2次元方向に走査する2次元走査機構4が順次配置されている。偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2が有する偏光特性に応じてレーザ光2を反射、または透過させる。2次元走査機構4は、例えば、レゾナントスキャナやガルバノスキャナなどであり、後述する対物レンズ31の瞳と共役な位置に配置されている。
【0021】
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、2次元走査機構4によって走査されるレーザ光2の光路上に瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6と、1/4波長板7と、第1のビームスプリッタ8が順次配置されている。1/4波長板7は、2次元走査機構4によって走査され、瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6を透過したレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光源1から出射されたレーザ光2は、円偏光に変換される。第1のビームスプリッタ8は、例えばダイクロイックプリズム、またはダイクロイックミラーであり、レーザ光2を反射し、また後述する試料17から反射した白色光13(干渉光)を透過させる。なお第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性については後述する。
【0022】
第1のビームスプリッタ8の反射光路上には、後述する顕微干渉計測法における光学系400bに設けられている第2のビームスプリッタ14と、干渉対物レンズ300と、試料17を載置しているステージ200が順次配置されている。第2のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ8によって反射されたレーザ光2やサンプル17から反射したレーザ光2を透過させ、後述する白色光13を一定の分岐比で分岐(反射、または透過)させる。第2のビームスプリッタ14の反射透過率特性については後述する。干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31は、レーザ光2を試料17の表面上に集光(結像)させる。なお干渉対物レンズ300には、対物レンズ31の下方にハーフミラー32が設けられており、ハーフミラー32はレーザ光2を透過させる。なおハーフミラー32の反射透過特性については後述する。
【0023】
またレーザ光2は、試料17から反射された後、上述した同じ光路を通り、偏光ビームスプリッタ3に戻る。その際、1/4波長板7は、試料17から反射されたレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光2は、再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。そのため偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2を反射する。
【0024】
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、偏光ビームスプリッタ3によって反射されるレーザ光2の反射光路上に第2の結像レンズ9と、ピンホール10と、レーザ光受光部であるレーザ用受光素子11が順次配置されている。ピンホール10は、対物レンズ31の焦点位置と共役な位置に配置されており、対物レンズ31によって試料17の表面上に集光され、試料17の表面上にてピントのあったレーザ光2のみを通過させる。レーザ用受光素子11は、ピンホール10を透過したレーザ光2を受光し、受光したレーザ光2の光量に応じて変化する出力信号(レーザ光2の光の強度)を制御部60に出力する。なおレーザ用受光素子11には、例えば光電子増倍管やフォトダイオードなどが用いられる。
【0025】
次に顕微干渉計測法における光学系400bについて説明する。この光学系400bには、可干渉性が抑えられた(低コヒーレントな)照明光である白色光13を出射する白色(照明)光源12と、白色光源12から出射された白色光13を、白色光13の波長域に応じて一定の分岐比で分岐する第2のビームスプリッタ14が順次配置されている。なお白色光源12は、例えば可視域から赤外域までの広い領域の光を出射するハロゲンランプなどである。第2のビームスプリッタ14は、分岐した白色光13の一部を干渉対物レンズ300に向けて反射させる。
【0026】
干渉対物レンズ300において、対物レンズ31は、白色光13を試料17の表面に集光(結像)させる。その際、光分割部材であるハーフミラー32は、対物レンズ31を透過した白色光13を白色光13の波長域に応じて一定の分岐比にて分岐させる(試料17に向けて透過または参照板(参照面)33に向けて反射させる)。ハーフミラー32の反射透過率特性については後述する。参照板33は、ハーフミラー32から反射した白色光13をハーフミラー32に向けて反射する。ハーフミラー32は、参照板33から反射した白色光13を対物レンズ31に向けて反射する。またハーフミラー32を透過した白色光13は、試料17によって反射される。ハーフミラー32は、試料17から反射したこの白色光13を対物レンズ31に向けて透過させる。これにより試料17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光は、干渉する。
【0027】
なお上述した第2のビームスプリッタ14は、この干渉光を一定の分岐比にて分岐(透過)する。また第1のビームスプリッタ8は、第2のビームスプリッタ14によって分岐された干渉光を透過させる。
【0028】
また顕微干渉計測法の光学系400bには、第1のビームスプリッタ8を透過した干渉光を結像させる第3の結像レンズ15と、第3の結像レンズ15の焦点位置に配置され、試料17の干渉像(干渉しあう試料17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光)を撮像する撮像素子16が順次配置されている。第3の結像レンズ15と撮像素子16は、第1のビームスプリッタ8の上方(透過光路上)に配置されている。撮像素子16には、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどが用いられ、撮像素子16によって撮像される干渉像には試料17の表面画像に干渉縞(干渉像情報)が重なっている。撮像素子16は、この干渉像情報を出力信号として制御部60に出力する。
【0029】
次に干渉対物レンズ300の構成について説明する。干渉対物レンズ300は、上述したようにレーザ光2と白色光13を試料17の表面に集光させる対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13を分岐させる(白色光13の一方を試料17に向けて透過させ、白色光13の他方を反射させる)ハーフミラー32と、ハーフミラー32から反射される白色光13によって照射される参照板33を有している。対物レンズ31と、ハーフミラー32と、参照板33は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されており、ミラウ型の干渉光学系を構成している。またハーフミラー32は、対物レンズ31と試料17の間に配置されている。参照板33は、ハーフミラー32を介して干渉対物レンズ300の物体側焦点位置と光学的に共役な位置(ハーフミラー32によって分岐された光路上)に配置されている。参照板33の表面(ハーフミラー32に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13をハーフミラー32に反射する。ハーフミラー32は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。
【0030】
干渉対物レンズ300における対物レンズ31は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法に対する共通の部材であるため、共焦点レーザ走査型顕微鏡における視野と顕微干渉計測法における視野を同一のものにしている。
【0031】
なお本実施形態は、ミラウ型の干渉光学系を例としているが図2に示すようにマイケルソン型の干渉光学系でも基本構成、動作、作用は同様である。
【0032】
図2に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズ300は、対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13の一方を透過させ、白色光13の他方を反射させる対物用ビームスプリッタ34と、対物用ビームスプリッタ34によって反射された白色光13によって照射される参照ミラー(参照面)35を有している。対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されている。参照ミラー35は、対物用ビームスプリッタ34の反射光路上に配置され、対物用ビームスプリッタ34を介して対物レンズ31の物体側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。参照ミラー35の表面(対物用ビームスプリッタ34に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13を対物用ビームスプリッタ34に反射する。対物用ビームスプリッタ34は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性は、後述する。このように対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34と、参照ミラー35は、マイケルソン型の干渉光学系を構成している。
【0033】
次に第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性(第1のビームスプリッタ8の反射率と透過率と、第1のビームスプリッタ8を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図3を参照して説明する。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性(第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射率と透過率と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図4を参照して説明する。図3、図4に示すように第1のビームスプリッタ8と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、光の波長域に応じて反射率及び透過率がそれぞれ異なる。このように第1のビームスプリッタ8は、所望する光の波長域に応じて光を反射、または透過させる。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、所望する光の波長域に応じて光を透過、または所望する比率にて分岐する。分岐した光は、透過、または反射される。つまり本実施形態における第1のビームスプリッタ8は、レーザ光2を略100%反射させ、白色光13を略100%透過させる分光特性を有する。また本実施形態における第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、レーザ光2を略100%透過させ、白色光13を一定の分岐比にて透過及び反射させる分光特性を有する。
【0034】
次に画像処理部500の構成について説明する。画像処理部500には、3次元形状測定装置100を制御する制御部60と、ステージコントローラ40と、顕微鏡コントローラ50と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90が設けられており、制御部60は、ステージコントローラ40と、顕微鏡コントローラ50と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90と接続している。これら制御部60と、入力指示部70と、表示部80と、記憶部90は、パーソナルコンピュータを構成する。
【0035】
ステージコントローラ40は、ステージ200と接続し、ステージ200を面内方向(XY方向)、または焦点方向(Z方向、光軸方向)に移動させ、試料17の表面に位置する測定部位の面内方向(XY方向)位置決めと、焦点方向(Z方向)の位置決めを行う。このようにステージコントローラ40は、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を制御(調整)する。ステージコントローラ40は、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変える(調整する)ことができればよく、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変える駆動機構である。
【0036】
顕微鏡コントローラ50は、レーザ光源1の照明強度と、2次元走査機構4の走査と、レーザ用受光素子11の感度調節と、白色光源12の照明強度と、撮像素子16の感度調節と、撮像素子16のシャッタ速度などを制御する。
【0037】
入力指示部70は、3次元形状測定装置100の動作指示と、表示部80に表示する画像のサイズの指示と、3次元形状測定に関連する指示を行い、例えばマウス及びキーボードなどが用いられる。
【0038】
制御部60は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得し、この出力信号を輝度情報(I)として処理する。これにより制御部60は、試料17の表面上にてピントのあった部分だけの輝度情報(I)を得て、この輝度情報(I)を表面光学像情報として記憶部90の画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0039】
また、制御部60は、撮像素子16から出力される出力信号を取得し、撮像素子16によって撮像される干渉像情報を画像情報メモリ90aに記憶させる。また、制御部60は、後述する動作によって撮像素子16により取得される試料17の高さ情報を記憶部90の高さ情報メモリ90bに記憶させる。この高さ情報は、試料17の高さを表す。さらに制御部60は、画像情報メモリ90a、高さ情報メモリ90bに記憶された各情報を表示部80へ表示させる。
【0040】
なお制御部60は、輝度情報(I)を演算することで試料17の高さ情報を算出する。この制御部60は、高さ情報を高さ情報メモリ90bに記憶させる。この高さ情報は、試料17の高さを表す。しかしながらこの輝度情報(I)から取得された高さ情報は、対物レンズのNAに依存するため、特に低倍率では撮像素子16により取得される高さ情報に比べて精度が低い。よって制御部60は、表面光学像情報と、撮像素子16により取得される高さ情報と、を使用して試料17の3次元形状を測定する。
【0041】
また制御部60は、画像情報メモリ90aに記憶されている表面光学像情報を基に試料17の全焦点画像(図6A参照)と、高さ情報メモリ90bに記憶されている高さ情報を基に高さ画像(図6A参照)を形成する。なお制御部60は、高さ情報を基に試料17の高さを示すライン82a(図6B参照)を形成しても良い。
【0042】
制御部60は、表面光学像情報と高さ情報を試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している表面光学像情報と高さ情報の少なくとも一方から図8に示す試料17の3次元形状を測定する測定部である。
【0043】
表示部80は、3次元形状測定装置100を使用する使用者が3次元形状測定装置100への動作指示をする制御画面を有している。また表示部80は、図6Aに示すような全焦点画像や高さ画像を同時に、並べて表示する。また表示部80は、図6Bに示すような全焦点画像81やライン82aを同時に、並べて表示する。また表示部は、図8に示す測定された試料17の3次元形状(測定結果)85や、図9Aに示す全焦点画像81と3次元形状画像83を貼り合わせて形成された図9Bに示すような試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を表示する。表示部80は、例えば、液晶ディスプレイまたはCRTディスプレイである。
【0044】
記憶部90は、上述したように試料17の表面光学像情報と、干渉像情報を記憶する画像情報メモリ90aと試料17の高さ情報を記憶する高さ情報メモリ90bを有する。
【0045】
次に3次元形状測定装置100が試料17の3次元形状を測定する際の動作方法について説明する。ここでは試料17は、例えば、反射率がそれぞれ異なる面17a,17b,17c、面17dを有し、図5に示すように段差構造によって各面の高さ位置がそれぞれ異なる。なお各面の反射率は、面17bが一番高く、面17b,17a,17c,17dの順で低くなっている。また各面の高さ位置は、面17aが一番高く、面17a,17b,17c,17dの順で低くなっている。
【0046】
まず本実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡の動作方法について説明する。
レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3を透過し、2次元走査機構4によって反射され、試料17の表面に対して2次元方向に走査される。その際、走査されたレーザ光2は、瞳投影レンズ5を透過し、第1の結像レンズ6によって結像され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって反射される。反射されたレーザ光2は、第2のビームスプリッタ14を透過し、対物レンズ31によって試料17の表面上に結像される。なおレーザ光2は、ハーフミラー32を透過する。
【0047】
なお直線偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を通過することで円偏光に変換される。変換されたレーザ光2は、対物レンズ31によって試料17に結像され、回折により点(スポット)状の光を生じる。点状の光は、2次元走査機構4によって試料17上を二次元走査される。この走査範囲は、2次元走査機構4で偏向されるレーザ光2の振れ幅による。
【0048】
また図3、図4に示すように、レーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって略100%反射され、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32を略100%透過する。
【0049】
試料17から反射されたレーザ光2(反射光)は、ハーフミラー32と、対物レンズ31と、第2のビームスプリッタ14を透過し、第1のビームスプリッタ8によって反射され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1の結像レンズ6によって結像され、瞳投影レンズ5を透過し、2次元走査機構4を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
【0050】
このようにレーザ光2は、試料17に入射した時と全く同じ経路を逆に通過して偏光ビームスプリッタ3に入射する。円偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を透過することで再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。よって偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3によって反射される。
【0051】
偏光ビームスプリッタ3により反射されたレーザ光2は、第2の結像レンズ9へと導かれる。また2次元走査機構4は、対物レンズ31の瞳位置と共役な位置に配置されているため、2次元走査機構4が軸外を走査しても、レーザ光2は第2の結像レンズ9上では動かない。
【0052】
レーザ光2は、第2の結像レンズ9によって点状に絞られ、ピンホール10を通過する。上述したようにピンホール10は、対物レンズ31を通過したレーザ光2の結像位置(対物レンズ31の焦点位置)と共役な位置に配置され、試料17の表面上にピントのあったレーザ光2のみを通過させる。これによりレーザ用受光素子11には、対物レンズ31によって試料17の表面に集光され、試料17の表面から反射され、ピンホール10を通過したレーザ光2のみが受光される。このようにレーザ光2は、対物レンズ31により試料17にて結像した場合のみ、ピンホール10によって遮光されることなく、レーザ用受光素子11にて受光される。レーザ用受光素子11は、受光したレーザ光2の光量に応じた出力信号を制御部60に出力する。
【0053】
制御部60は、この出力信号を輝度情報(I)として処理し、この輝度情報(I)を表面光学像情報として画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0054】
次に本実施形態における顕微干渉計測法の動作方法について説明する。
白色光源12から出射された白色光13は、第2のビームスプリッタ14によって図4に示すように一定の分岐比にて分岐される。分岐によって下方に反射された白色光13は、対物レンズ31によって試料17の表面上にスポット状に結像される。なおこの白色光13は、ハーフミラー32によって分岐される。分岐によって透過した一方の白色光13は、上述したように試料17の表面上にスポット状に結像される。また分岐によって反射した他方の白色光13は、参照板33の表面を照射する。参照板33の表面は鏡面であるため、この白色光13は、参照板33によって反射される。
【0055】
試料17から反射した白色光13は、ハーフミラー32と、対物レンズ31を透過する。また参照板33から反射した白色光13は、ハーフミラー32によって反射され、対物レンズ31を透過する。これにより試料17の表面から反射した白色光13と、参照板33から反射した白色光13は、干渉する。この干渉している白色光13(干渉光)は、第2のビームスプリッタ14によって分岐される。分岐によって第2のビームスプリッタ14を透過した白色光13(干渉光)は、第1のビームスプリッタ8を透過した後、第3の結像レンズ15によって撮像素子16の撮像面に結像される。この白色光13は、干渉像情報を有しており、撮像素子16は、干渉像情報(試料17の表面画像に干渉縞が重なっている)を有した画像を撮像する。
【0056】
撮像素子16は、撮像した画像に含まれる干渉像情報を出力信号として制御部60に出力する。制御部60は、この干渉像情報を画像情報メモリ90aに記憶させる。
【0057】
次に本実施形態における画像処理部500の動作方法について説明する。
制御部60は、ステージコントローラ40によってステージ200を光軸に沿って移動させ、干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における相対距離を一定のピッチだけ変え、整定させる。制御部60は、レーザ用受光素子11からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から表面光学像情報を取得する。同様に制御部60は、撮像素子16からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から干渉像情報を取得する。取得された表面光学像情報と干渉像情報は、画像情報メモリ90aに記憶される。
【0058】
さらに制御部60は、対物レンズ31によって集光されるスポット状のレーザ光2と白色光13が、試料17の表面上の3次元形状に対して十分補足できる(図5に示す試料17の面17aから面17dが包含される)範囲において、ステージコントローラ40によってステージ200を移動させ、干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変化させながら上述した動作を繰り返す。
【0059】
この過程で、制御部60はレーザ用受光素子11から各画素の出力信号を取得し一時保持する。制御部60は、保持した出力信号から各画素の最大出力信号(光量)のみを演算し、この最大出力信号に対応する表面光学像情報を画像情報メモリ90aに記憶していく。これにより制御部60は、表面光学像情報を基に共焦点レーザ走査型顕微鏡による平面方向に高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像を形成する。
そして制御部60は、撮像素子16により取得される試料17の干渉像情報についても同様の処理を行う。その際、制御部60は、撮像素子16から出力信号の各画素に干渉縞の最大値を与えたステージ200の焦点方向位置座標(高さ情報)をステージコントローラ40から取得し、焦点方向位置座標を高さ情報メモリ90bに記憶させる。これにより、広視野でNAの小さい低倍の対物レンズ31でも、顕微干渉計測法によって高分解能な試料17の高さ情報が取得される。制御部60は、この高さ情報を基に高分解能な試料17の高さ画像を形成する。
【0060】
表示部80には、例えば図6Aに示すように全焦点画像81と、高さ画像82が並べて、同時に表示されている。図6Aに示す全焦点画像81において、面17a,17b,17c,17dの反射率をハッチングによって表している。反射率は、上述したように面17bが一番高く、面17b,17a,17c,17dの順で低くなっている。このようにハッチングによって反射率を容易に判別できる。またハッチングではなく、例えば色の明暗によって反射率の高低を表示しても良い。
【0061】
また表示部80には、例えば図6Bに示すように上述した全焦点画像81とライン82aによって試料17の高さを表している高さ画像82が、並べて同時に表示されていてもよい。高さ画像82には、全焦点画像81に引かれているライン81aの位置における試料17の高さ位置が表示される。つまり高さ画像82には、試料17の面17b,17a,17cにおける試料17の高さ位置が表示されている。ライン82aは、例えば位置が高いほど、試料17が高く、ラインが低いほど、試料17が低いことを示している。なお図6Cは、図6Bに示す全焦点画像81に引かれているライン81bの位置における試料17の高さ位置を表示する高さ画像82を示している。つまり高さ画像82には、試料17の面17b,17a,17dにおける試料17の高さ位置が表示されている。
【0062】
このように図6B、図6Cに示す高さ画像82は、ラインによって試料17の断面形状を表示している。
【0063】
次に3次元形状測定装置100が試料17の3次元形状を測定する際に、3次元形状測定装置100が上述したようにして得られた共焦点レーザ走査型顕微鏡による平面方向に高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像81(表面光学像情報)と、顕微干渉計測法による高さ方向に高分解能な試料17の高さ画像82(高さ情報)を管理する管理方法について説明する。ここでは図6Aを基に説明する。
【0064】
画像情報メモリ90aに記憶される表面光学像情報の画像領域(全焦点画像の画像領域)は、試料17を測定した際の視野(平面)に対応しており、各画素を試料17のXY平面座標に対応させる。例えば、画像サイズが1024画素×768ラインから構成されている場合、1ライン目は試料17の(X1、Y1)〜(X1024、Y1)に対応し、768ライン目は(X1、Y768)〜(X1024、Y768)に対応している。
【0065】
また全焦点画像における画像領域と高さ画像における画像領域(高さ情報メモリ90bに記憶される高さ情報の画像領域)は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法の両方に用いられる干渉対物レンズ300における対物レンズ31によって同一である。
【0066】
これにより制御部60は、高さ画像における画像領域と、全焦点画像における画像領域を1対1に対応させることができる。よって制御部60は、高さ画像と全焦点画像を関連付けることができる。ステージコントローラ40によってステージ200が移動した際に、干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における相対距離が100回変わると(高さ情報が100ステップ取得されると)、制御部60は、試料17の3次元空間座標を図7に示すように(X1、Y1、Z1)〜(X1024、Y768、Z100)の範囲で管理できる。
【0067】
このように制御部60は、高さ画像(高さ情報)と全焦点画像(表面光学像情報)を測定する試料17の3次元空間座標に対応させて管理することができる。
【0068】
制御部60は、図示しない外部の記憶装置にこの3次元空間座標を保存する際は、3次元空間座標に画像情報メモリ90aに記憶されている輝度情報(I)を付加し、4次元情報(Xi、Yj、Zk、I)として保存・管理させる。これにより制御部60は、表面光学像情報を管理している(Xi、Yj、I)を用いて全焦点画像81を表示部80に表示させ、高さ情報を管理している(Xi、Yj、Zk)を用いて高さ画像82を表示部80に表示させる。
【0069】
次に外部の記憶装置が管理している4次元情報を用いて制御部60が試料17の3次元形状を測定する方法について説明する。
【0070】
図8は、表示部80に表示される測定画面の一例を示している。表示部80には、左側に共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得された試料17の全焦点画像81が表示され、右側には顕微干渉計測法によって取得された試料17の高さ画像82が表示されている。ハッチングについては図6Aと同様である。
【0071】
ここで、例えば全焦点画像81において、測定対象にする測定開始ポイント81dが、入力指示部70(例えばマウスなど)から指定される。これにより全焦点画像81内でマウスカーソルが十字カーソル81cに切り替わり、測定開始ポイント81dが交点81eとなり、測定開始ポイント81dは指定座標として例えば画像情報メモリ90aに登録される。同時に、高さ画像82にも交点81eに対応する座標を示す十字カーソル82cが表示される。全焦点画像81に表示される十字カーソル82cと、高さ画像82に表示される十字カーソル82cは、リンクしている。
【0072】
次に全焦点画像81と高さ画像82において、認識しやすい画像を参照して、測定終了ポイント81fが入力指示部70によって指定される。そして、測定開始ポイント81d、測定終了ポイント81fが指定されると、2点間の測定が制御部60によって行われる。これにより試料17の3次元形状、例えば2点間の相対距離ΔX(μm),ΔY(μm),ΔZ(μm)が制御部60によって算出され、3次元形状は、測定結果85として表示部80に表示される。測定項目にはその他、直線距離(μm)、角度(°)など必要な情報を表示すればよい。
【0073】
このように本実施形態の3次元形状測定装置100は、共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aと、顕微干渉計測法の光学系400bを組み合わせている。また本実施形態の3次元形状測定装置100は、光学系400aから表面光学像情報(全焦点画像81)を取得する際の視野と光学系400bから高さ情報(高さ画像82)を取得する際の視野を、光学系400aと光学系400bの両方に用いられる干渉対物レンズ300における対物レンズ31によって同一にしている。また本実施形態の制御部60は、全焦点画像81と高さ画像82を関連付け、試料17の3次元空間座標を管理する。本実施形態の制御部60は、管理している高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像81(表面光学像情報)と、顕微干渉計測法による高さ方向に高分解能な試料17の高さ画像82(高さ情報)から試料17の3次元形状を測定する。
【0074】
よって本実施形態は、簡単な構成で表面光学像情報と高さ情報を関連付けて、広い倍率範囲に渡って高精細、高分解能な試料の3次元形状を容易に取得し、効率的にこの3次元形状を測定、表示することができる。
【0075】
また本実施形態は、全焦点画像81と高さ画像82を同時に並べて表示させているために、相補的に利用し、試料17の3次元形状を効率的に測定することができる。
【0076】
なお図8では、全焦点画像81において、測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fが指定されたが、十字カーソル81cは、全焦点画像81と、高さ画像82においてリンクしている。そのため本実施形態は、高さ画像82において測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fを指定してもよい。また本実施形態は、測定開始ポイント81dを全焦点画像81にて指定し、測定終了ポイント81fを高さ画像82にて指定してもよい。このように本実施形態において制御部60は、管理している全焦点画像81と高さ画像82において、例えば認識しやすい少なくとも一方の画像を参照して測定開始ポイント81dと、測定終了ポイント81fを指定し、3次元形状を測定すればよい。
【0077】
次に本発明に係る第2の実施形態について図9A、図9Bを参照して説明する。
前述した第1の実施形態と同じ箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また本実施形態における3次元形状測定装置100の構成と、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法と画像処理部500の動作方法と、表面光学像情報と高さ情報を取得する過程は、前述した第1の実施形態と同様であるために詳細な説明は省略する。
【0078】
以下に本実施形態における3次元形状測定装置100が管理している表面光学像情報と、高さ情報から画像を構築する際の構築方法について説明する。図9Aは、第1の実施形態と同様の全焦点画像81と、高さ情報を基に形成された試料17の3次元形状画像83を示す図である。図9Bは、全焦点画像81と、3次元形状画像83と、を貼り合わせて(合成して)形成された試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を示す図である。
【0079】
上述した第1の実施形態は、全焦点画像81と高さ画像82から3次元形状を測定したが、これに限定する必要はない。
【0080】
例えば入力指示部70は、画像情報メモリ90aに記憶されている表面光学像情報から全焦点画像81を形成する指示と、画像情報メモリ90aに記憶されている干渉縞情報と高さ情報メモリ90bに記憶されている高さ情報から試料17の3次元形状画像(立体形状)83を形成する指示を制御部60に出力する。制御部60は、表面光学像情報から図9Aに示すような全焦点画像81を形成し、高さ情報から図9Aに示すような試料17の3次元形状画像83を形成する。
【0081】
次に制御部60は、3次元形状画像83に全焦点画像81を貼り合わせ、図9Bに示すように試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を構築する。制御部60は、貼り合わせる際、各画像の画素を試料17に対するXY平面内の座標に対応させている。表示部80は、制御部60によって構築された3次元形状画像86を表示する。
【0082】
本実施形態において、図9Bに示す3次元形状画像86から試料17の3次元形状を測定する方法は、第1の実施形態と同様である。つまり3次元形状画像において、測定開始ポイント81dと測定終了ポイント81fが入力指示部70によって指定される。これにより試料17の測定結果85である3次元形状、例えば2点間の相対距離ΔX(μm),ΔY(μm),ΔZ(μm)が制御部60によって算出され、測定結果85として表示部80に表示される。
【0083】
このように本実施形態は、試料17の高さを顕微干渉計測法の特徴を活かして対物レンズの観察倍率に関らず高分解能に取得した高さ情報(3次元形状画像83)に、共焦点レーザ走査型顕微鏡の面内に高分解能な全焦点画像81を貼り合わせて試料17の表面光学像情報を有する3次元形状画像86を構築することができる。よって本実施形態は、試料17の表面状態をより実体に近く、高精度に表示することができ、3次元形状を測定する際に幅広く利用することができる。
【0084】
また本実施形態は、所望であれば、図9Bに示した3次元形状画像86を回転させて、傾けさせて、反転させて表示することも可能である。
【0085】
なお上述した各実施形態においてステージコントローラ40は、試料17と干渉対物レンズ300の光軸方向における相対距離を調整するためにステージ200を移動させたが、これに限定する必要はなく、干渉対物レンズ300を移動させても良い。またステージコントローラ40は、ステージ200と干渉対物レンズ300の両方を移動させても良い。
【0086】
なお本実施形態において、対物レンズ31は、共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法における光学系400bの共通の部材であるが、それぞれに設けられていても良い。図10に示すように例えば光学系400aには、光路上に配置された際に2次元走査機構4によって偏向されたレーザ光2を試料17に結像させる対物レンズ31a(第1の対物レンズ)が設けられ、光学系400bには光路上に配置された際に白色光源12から出射された白色光13を試料17に結像させる対物レンズ31b(第2の対物レンズ)を有する干渉対物レンズ300が設けられていても良い。この対物レンズ31aと干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31bは、測定の際に同一視野(倍率)を有していればよい。図10に示すように対物レンズ31aと干渉対物レンズ300は、対物レンズ配置である例えばレボルバ45によって保持され、レボルバ45が回転することで、どちらか一方が光路上に配置される。
【0087】
またこの場合、ステージコントローラ40は、レボルバ45を光軸に沿って移動させることで試料17と干渉対物レンズ300、または試料17と対物レンズ31の相対距離を調整できる。またステージコントローラ40は、第1の実施形態と同様にステージ200を光軸に沿って移動させて、レボルバ45によって光軸上に配置されている干渉対物レンズ300、または対物レンズ31と試料17の相対距離を調整することもできる。このようにステージコントローラ40は、相対距離を変える(調整する)ことができればよい。またステージ200と、レボルバ45と、対物レンズ31と、干渉対物レンズ300とは電動のみならず手動によって移動させ、相対距離を調整しても良い。
【0088】
また本発明は、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせて、第1の実施形態における全焦点画像81と高さ画像82と、第2の実施形態における3次元形状画像86を同時に表示させても良い。
【0089】
(付記1)
レーザ光源から出射されたレーザ光を2次元走査機構によって走査させつつ、試料に照射し、前記試料から反射した反射レーザ光を受光部に受光させる第1の光学系と、
照明光源から出射された照明光を前記試料と参照面に照射し、前記試料と前記参照面から反射されたそれぞれの反射照明光から像を撮像する第2の光学系と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光と、前記照明光源から出射された前記照明光が、前記試料を照射する際に、前記レーザ光と前記照明光を前記試料に結像させる対物レンズと、
前記対物レンズ、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における前記対物レンズと前記試料の相対距離を変える駆動機構と、
前記受光部に受光された前記反射レーザ光から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記第2の光学系において受光された前記反射照明光から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記試料の3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【0090】
(付記2)
前記駆動機構が前記相対距離を変えた際に、
変えられた前記相対距離において、前記第2の光学系は前記反射照明光を受光し、前記受光部は前記反射レーザ光を受光することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0091】
(付記3)
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報を基に前記試料の全焦点画像と、前記記憶部に記憶されている前記高さ情報を基に前記試料の高さを示す高さ画像と、を形成し、
前記表示部は、前記制御部によって形成された前記全焦点画像と前記高さ画像を表示することを特徴とする付記2に記載の3次元形状測定装置。
【0092】
(付記4)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を同時に表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0093】
(付記5)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を並べて表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0094】
(付記6)
前記制御部は、前記全焦点画像、または前記高さ画像の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定すること特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0095】
(付記7)
前記制御部は、前記高さ情報を基に前記試料の高さを示すラインを形成し、
前記表示部は、前記ラインを表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0096】
(付記8)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを同時に表示することを特徴とする付記7に記載の3次元形状測定装置。
【0097】
(付記9)
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを並べて表示することを特徴とする付記7に記載の3次元形状測定装置。
【0098】
(付記10)
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている高さ情報から前記試料の3次元形状画像を形成し、形成された前記3次元形状画像に前記全焦点画像を貼り合わせて前記表面光学像情報を有する3次元形状画像を構築し、
前記表示部は、前記制御部によって構築された前記3次元形状画像を表示することを特徴とする付記3に記載の3次元形状測定装置。
【0099】
(付記11)
前記第1の光学系は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0100】
(付記12)
前記第2の光学系は、顕微干渉計測法を構成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0101】
(付記13)
前記照明光源は、可視域から赤外域までの前記照明光を出射することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【0102】
(付記14)
前記対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射された前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を前記参照面に反射させる光分割部材と、
を有し、
前記対物レンズと、前記光分割部材と、前記参照面は、干渉対物レンズを形成することを特徴とする付記1に記載の3次元形状測定装置。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る3次元形状測定装置の構成図である。
【図2】図2は、干渉対物レンズの変形例を示し、マイケルソン型の干渉光学系を示している。
【図3】図3は、第1のビームスプリッタの反射透過率特性を示している。
【図4】図4は、第2のビームスプリッタ、ハーフミラー、対物用偏光ビームスプリッタの反射透過率特性を示している。
【図5】図5は、段差構造を有する試料の斜視図である。
【図6A】図6Aは、画像処理部が動作することで、画像情報メモリから読み出された表面光学像情報を基に形成された全焦点画像と、高さ情報メモリから読み出された高さ情報を基に形成された高さ画像が並べて表示されている表示部80の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、全焦点画像と、この全焦点画像に引かれているライン81aの位置における試料の高さ位置をライン82aによって示す高さ画像を示している。
【図6C】図6Cは、図6Bに示された全焦点画像に引かれているライン81bの位置における試料の高さ位置をライン82aによって示す高さ画像を示している。
【図7】図7は、試料の3次元空間座標(X1、Y1、Z1)〜(X1024、Y768、Z100)を示す図である。
【図8】図8は、表示部に表示される測定画面の一例を示している。
【図9A】図9Aは、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって形成された試料17の全焦点画像と、顕微干渉計測法によって形成された試料17の3次元形状画像を示す図である。
【図9B】図9Bは、全焦点画像と3次元形状画像を貼り合わせて形成された試料17の表面反射情報を有する3次元形状画像を示す図である。
【図10】図10は、対物レンズ31と干渉対物レンズ300を有するレボルバ45の構成図である。
【符号の説明】
【0104】
1…レーザ光源、2…レーザ光、3…偏光ビームスプリッタ、4…2次元走査機構、5…瞳投影レンズ、6…第1の結像レンズ、7…1/4波長板、8…第1のビームスプリッタ、9…第2の結像レンズ、10…ピンホール、11…レーザ用受光素子、12…白色光源、13…白色光、14…第2のビームスプリッタ、15…第3の結像レンズ、16…撮像素子、17…試料、17a,17b,17c,17d…面、31…対物レンズ、32…ハーフミラー、33…参照板、34…対物用ビームスプリッタ、35…参照ミラー、40…ステージコントローラ、50…顕微鏡コントローラ、60…制御部、70…入力指示部、80…表示部、81…全焦点画像、82…高さ画像、90…記憶部、90a…画像情報メモリ、90b…高さ情報メモリ、100…3次元形状測定装置、200…ステージ、300…干渉対物レンズ、400…顕微鏡本体、400a…共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系、400b…顕微干渉計測法の光学系、500…画像処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を偏向して試料に走査する2次元走査機構と、
前記試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、
照明光を出射する照明光源と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光と、前記照明光源から出射された前記照明光と、を前記試料に結像させる対物レンズと、
前記対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射され、前記対物レンズを透過した前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を反射させる光分割部材と、
前記光分割部材によって分岐された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記照明光によって照射される参照面と、
前記対物レンズ、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における前記対物レンズと前記試料の相対距離を変える駆動機構と、
干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光する照明光受光部と、
前記レーザ光受光部によって出力される出力信号から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記照明光受光部によって出力される出力信号から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項2】
前記レーザ光源と、前記2次元走査機構と、前記対物レンズと、前記レーザ光受光部は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項3】
前記対物レンズと、前記参照面と、前記光分割部材は、干渉対物レンズを形成することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項4】
前記駆動機構が前記相対距離を変えた際に、
変えられた前記相対距離において、前記照明光受光部は干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光し、前記レーザ光受光部は前記反射レーザ光を受光することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項5】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光を前記試料に結像させる第1の対物レンズと、
前記第1の対物レンズが光路上に配置された際に、前記試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、
照明光を出射する照明光源と、
前記照明光源から出射された前記照明光を前記試料に結像させる第2の対物レンズと、前記第2の対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射された前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を反射させる光分割部材と、前記光分割部材によって分岐された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記照明光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、
前記干渉対物レンズが前記光路上に配置された際に、干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光する照明光受光部と、
前記第1の対物レンズが前記光路上に配置された際に、光軸方向における前記第1の対物レンズと前記試料の第1の相対距離を調整し、前記干渉対物レンズが前記光路上に配置された際に、前記光軸方向における前記干渉対物レンズと前記試料の第2の相対距離を変える駆動機構と、
前記レーザ光受光部によって出力される出力信号から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記照明光受光部によって出力される出力信号から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記試料の3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項6】
前記レーザ光源と、前記2次元走査機構と、前記第1の対物レンズと、前記レーザ光受光部は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項7】
前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズを保持し、前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズのいずれか1つを前記光路上に配置する対物レンズ配置部と、
を具備し
前記対物レンズ配置部が前記前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズのいずれか1つを前記光路上に配置した際に、前記駆動機構は、前記第1の相対距離、または前記第2の相対距離を変えることを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、前記対物レンズ配置部、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を前記光軸に沿って移動させて、前記第1の相対距離、または前記第2の相対距離を変えることを特徴とする請求項7に記載の3次元形状測定装置。
【請求項9】
前記駆動機構が、前記第1の相対距離と、前記第2の相対距離を調整した際に、
変えられた前記第1の相対距離において、前記レーザ光受光部は、前記試料から反射した前記反射レーザ光を受光し、変えられた前記第2の相対距離において、前記照明光受光部は、干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光することを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項10】
前記照明光源と、前記干渉対物レンズと、前記照明光受光部は、顕微干渉計測法を構成することを特徴とする請求項1及び請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項11】
前記照明光源は、可視域から赤外域までの前記照明光を出射することを特徴とする請求項1及び請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報を基に前記試料の全焦点画像と、前記記憶部に記憶されている前記高さ情報を基に前記試料の高さを示す高さ画像と、を形成し、
前記表示部は、前記制御部によって形成された前記全焦点画像と前記高さ画像を表示することを特徴とする請求項4及び請求項9に記載の3次元形状測定装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を同時に表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を並べて表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記全焦点画像、または前記高さ画像の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定すること特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記高さ情報を基に前記試料の高さを示すラインを形成し、
前記表示部は、前記ラインを表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項17】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを同時に表示することを特徴とする請求項16に記載の3次元形状測定装置。
【請求項18】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを並べて表示することを特徴とする請求項16に記載の3次元形状測定装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている高さ情報から前記試料の3次元形状画像を形成し、形成された前記3次元形状画像に前記全焦点画像を貼り合わせて前記表面光学像情報を有する3次元形状画像を構築し、
前記表示部は、前記制御部によって構築された前記3次元形状画像を表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を偏向して試料に走査する2次元走査機構と、
前記試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、
照明光を出射する照明光源と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光と、前記照明光源から出射された前記照明光と、を前記試料に結像させる対物レンズと、
前記対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射され、前記対物レンズを透過した前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を反射させる光分割部材と、
前記光分割部材によって分岐された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記照明光によって照射される参照面と、
前記対物レンズ、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を光軸に沿って移動させて、光軸方向における前記対物レンズと前記試料の相対距離を変える駆動機構と、
干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光する照明光受光部と、
前記レーザ光受光部によって出力される出力信号から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記照明光受光部によって出力される出力信号から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元空間座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項2】
前記レーザ光源と、前記2次元走査機構と、前記対物レンズと、前記レーザ光受光部は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項3】
前記対物レンズと、前記参照面と、前記光分割部材は、干渉対物レンズを形成することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項4】
前記駆動機構が前記相対距離を変えた際に、
変えられた前記相対距離において、前記照明光受光部は干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光し、前記レーザ光受光部は前記反射レーザ光を受光することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項5】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を偏向して試料を走査する2次元走査機構と、
前記2次元走査機構によって偏向された前記レーザ光を前記試料に結像させる第1の対物レンズと、
前記第1の対物レンズが光路上に配置された際に、前記試料から反射した反射レーザ光を受光するレーザ光受光部と、
照明光を出射する照明光源と、
前記照明光源から出射された前記照明光を前記試料に結像させる第2の対物レンズと、前記第2の対物レンズと前記試料の間に配置され、前記照明光源から出射された前記照明光を分岐することで一方の前記照明光を前記試料に向けて透過させ、他方の前記照明光を反射させる光分割部材と、前記光分割部材によって分岐された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記照明光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、
前記干渉対物レンズが前記光路上に配置された際に、干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光する照明光受光部と、
前記第1の対物レンズが前記光路上に配置された際に、光軸方向における前記第1の対物レンズと前記試料の第1の相対距離を調整し、前記干渉対物レンズが前記光路上に配置された際に、前記光軸方向における前記干渉対物レンズと前記試料の第2の相対距離を変える駆動機構と、
前記レーザ光受光部によって出力される出力信号から前記試料の表面光学像情報を記憶し、前記照明光受光部によって出力される出力信号から前記試料の高さを表す高さ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報と前記高さ情報を前記試料の3次元座標に対応させて管理し、管理している前記表面光学像情報と前記高さ情報の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定する制御部と、
前記制御部によって測定された前記試料の3次元形状を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項6】
前記レーザ光源と、前記2次元走査機構と、前記第1の対物レンズと、前記レーザ光受光部は、共焦点レーザ走査型顕微鏡を構成することを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項7】
前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズを保持し、前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズのいずれか1つを前記光路上に配置する対物レンズ配置部と、
を具備し
前記対物レンズ配置部が前記前記第1の対物レンズと、前記干渉対物レンズのいずれか1つを前記光路上に配置した際に、前記駆動機構は、前記第1の相対距離、または前記第2の相対距離を変えることを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、前記対物レンズ配置部、または前記試料を載置するステージの少なくとも一方を前記光軸に沿って移動させて、前記第1の相対距離、または前記第2の相対距離を変えることを特徴とする請求項7に記載の3次元形状測定装置。
【請求項9】
前記駆動機構が、前記第1の相対距離と、前記第2の相対距離を調整した際に、
変えられた前記第1の相対距離において、前記レーザ光受光部は、前記試料から反射した前記反射レーザ光を受光し、変えられた前記第2の相対距離において、前記照明光受光部は、干渉しあう前記試料から反射する前記照明光と前記参照面から反射する前記照明光を受光することを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項10】
前記照明光源と、前記干渉対物レンズと、前記照明光受光部は、顕微干渉計測法を構成することを特徴とする請求項1及び請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項11】
前記照明光源は、可視域から赤外域までの前記照明光を出射することを特徴とする請求項1及び請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記表面光学像情報を基に前記試料の全焦点画像と、前記記憶部に記憶されている前記高さ情報を基に前記試料の高さを示す高さ画像と、を形成し、
前記表示部は、前記制御部によって形成された前記全焦点画像と前記高さ画像を表示することを特徴とする請求項4及び請求項9に記載の3次元形状測定装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を同時に表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記高さ画像を並べて表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記全焦点画像、または前記高さ画像の少なくとも一方から前記試料の3次元形状を測定すること特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記高さ情報を基に前記試料の高さを示すラインを形成し、
前記表示部は、前記ラインを表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【請求項17】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを同時に表示することを特徴とする請求項16に記載の3次元形状測定装置。
【請求項18】
前記表示部は、前記全焦点画像と前記ラインを並べて表示することを特徴とする請求項16に記載の3次元形状測定装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている高さ情報から前記試料の3次元形状画像を形成し、形成された前記3次元形状画像に前記全焦点画像を貼り合わせて前記表面光学像情報を有する3次元形状画像を構築し、
前記表示部は、前記制御部によって構築された前記3次元形状画像を表示することを特徴とする請求項12に記載の3次元形状測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2008−281492(P2008−281492A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127272(P2007−127272)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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