説明

Cu/低KBEOL洗浄用ストリッパー

【課題】フォトレジストならびに電子素子基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去するための化学的ストリッパー調合物の提供。
【解決手段】脱イオン水、カルボン酸、グリコール、グリコールエーテルおよびフッ化物を含むストリッパー調合物。および、電子素子基板に、脱イオン水、カルボン酸、グリコール、グリコールエーテルおよびフッ化物を含む調合物を接触させることによって、そのフォトレジストならびに基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年3月14日に出願された米国仮出願61/036707号の利益を主張するものである。
【0002】
ウエハ上の半導体回路の製造では、回路、電子素子ならびにビアおよびインターコネクトの様々な層を作製するために、ウエハは、周期的にフォトレジストで被覆される。フォトレジストが現像されて使用された後、エッチングおよびアッシング(灰化)が行われ、その結果、次の処理の前に除去しなければならない残留物が生じる。ストリッパーは、不必要なフォトレジストならびにエッチングおよびアッシングの残留物を除去するために使用されてきた。所望の回路構造に損傷を与えることなく、フォトレジスト、エッチ残留物またはアッシュ残留物は選択的に除去することが難しい。ストリッパーは、誘電体および金属伝導物質と適合されなければならない。これらの異なるタイプの材料のいずれの腐食速度も、ストリッピング処理の間、許容レベル内でなければならない。
【0003】
以上述べた問題と取り組むために、本発明は、以下に述べるように、Cu/低kでパターン形成されたウエハを洗浄するための新しい低pHフッ化物ストリッパーを用いて、これらの存在する当該技術分野の問題を克服する。市販されているフッ化物ストリッパーに比べて、このプラットフォームは、金属/誘電体基板上で、より少ない誘電率変化で、匹敵する洗浄性能のエッチ速度を有する。
【0004】
(発明の簡単な説明)
本発明は、フォトレジストならびに電子素子基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去するための化学的ストリッパー調合物であり、脱イオン水、酢酸のようなカルボン酸、ポリエチレングリコールのようなグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル、およびフッ化アンモニウムのようなフッ化物を含む。
【0005】
また、本発明は、電子素子基板に、脱イオン水、酢酸のようなカルボン酸、ポリエチレングリコールのようなグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル、およびフッ化アンモニウムのようなフッ化物を含む調合物を接触させることによって、フォトレジストならびにその基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去するための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明を使用したストリッピングの前および本発明を使用した処理の後のパターンが形成された電子素子基板の3枚の走査電子顕微鏡写真(SEM)の2組である。
【図2】図2は、本発明を使用した洗浄した後にTEOSから堆積したフィルムを含む電子素子基板上の単一形状または孔のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
低pHの新しいプラットフォームのフッ化物ストリッパーは、Cu/低kでパターン形成されたウエハの洗浄のために提供された。市販のフッ化物ストリッパーに比べて、このプラットフォームは、より低いpH値を有する。この調合物を使用して、金属/誘電体基板上で、より少ない誘電率変化で、匹敵する洗浄能力のエッチ速度が観察される。この調合物は、湿式ストリッピングの後、全ての市販のストリッパー製品に比べて、より少ない誘電率変化を提供する。これは、後工程(BEOL)における銅および多孔質低誘電率誘電体フィルム複合物の洗浄で使用される。このプラットフォームによる本発明のストリッパーの1つの態様は以下の表1で説明される。
【表1】

【0008】
誘電率の増加を防止するため塩含有量を低く保つために、アセテート塩は添加されなかった。それゆえ、この調合物のpH値は、他の市販のフッ化物ストリッパーに比べて非常に酸性である、pH3.0まで下げられた。
【0009】
前駆体、つまりテトラエチルオルソシリケート(TEOS)および多孔質ジエチルメチルシラン(pDEMS)から堆積されたフィルム上の低いエッチング速度を維持するために、フッ化物の含有量は0.1gまで少なくされ、[H]/[F]比は高い。
【0010】
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)およびポリエチレングリコール(PG)は、有機残留物を溶かすことを助けるために添加された。脱イオン水(D/W)は主相である。
【表2】

【0011】
フィルムの中のポロゲンがあったところに気孔を残すためにポロゲンが除去され、その結果、2.5の誘電率値になる場合、APpDEMS2.5は、多孔質誘電体フィルムを生成するためのジエトキシメチルシランおよびポロゲンから堆積された誘電体フィルムである。ジエトキシメチルシランおよびポロゲンは、米国、ペンシルバニア州、アレンタウンにあるエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテド製のものを使用できる。
【0012】
好例となるカルボン酸は、これらに限定されないが、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ドデカン二酸、2−メチルヘプタン酸、2−ヘキシルデカン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、イタコン酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、アクリル酸、メタクリル酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、アントラニル酸、没食子酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、サリチル酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸等を含む。好ましいカルボン酸は、低級アルキルカルボン酸である。
【0013】
好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを含む。「低級アルキル」の表現は、1〜4個の炭素元素のアルキル基を示す。
【0014】
本発明で使用されることができるグリコールエーテルの例は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシ−2−メチルブタノール、1,1−ジメトキシエタンおよび2−(2−ブトシキエトキシ)エタノールを含む。
【0015】
本発明で使用される多価アルコールは、好ましくは、(C4−C20)アルカノール、(C2−C20)アルカンジオールおよび(C3−C20)アルカントリオールのような1価、2価または3価のアルコール、環式アルコールならびに置換アルコールである。好例となるアルコールは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1−オクタノール、ジアセトンアルコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。
【0016】
フッ化物は、本明細書に記載された組成の中に存在する。フッ化物含有化合物は、一般式R1234NF(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素、アルコール基、アルコキシ基、アルキル基またはこれらを混合したものである。)の化合物を含む。そのような化合物の例は、フッ化アンモニウム、テトラメチルフッ化アンモニウム、テトラエチルフッ化アンモニウムである。フルオロホウ酸もまたフッ化物化合物として使用されることができる。フッ化物含有化合物のさらなる追加例は、フルオロホウ酸、フッ化水素酸およびフッ化コリンを含む。フッ化物は、好ましくは、0.001重量%〜20重量%または0.1重量%〜10重量%の量で存在する。フッ化アンモニウムは、40%濃度水溶液で0.01重量%の量であることが好ましい。これらの態様では、フッ化アンモニウムは、40%水溶液として商業的に入手可能である。
【0017】
水は本発明の1つの要素として存在する。水は、水溶性フッ化アンモニウム溶液のように本発明の別の要素の成分として同時に存在することもできるし、または、別々に加えられることもできる。好ましくは、水は、0.5重量%〜90重量%の量で存在する。ある態様では、水の存在は、本発明の混合物内のフッ化アンモニウムの溶解性を改善することができ、フォトレジストの除去および無機エッチ残留物の洗浄を促進する。
【0018】
20重量%までの量の腐食抑制剤は、本発明の混合物に添加されることができる。好ましくは、腐食抑制剤の濃度は、約0.5重量%〜8重量%である。言及することによって本明細書に組み入れられた米国特許第5417877号明細書に開示されている腐食抑制剤のような同じ用途の当該技術分野で公知の腐食抑制剤は、どのような腐食抑制剤でも使用されることができる。ある態様では、約3〜約6のpH範囲のシステムでは、6よりも大きいpKaの抑制剤混合物は、約6よりも小さいpKaを有する抑制剤混合物と同じようには機能しないことがわかっている。それゆえ、好ましい抑制剤混合物は、約6またはそれよりも小さなpKaを有する抑制剤混合物である。腐食抑制剤は、有機酸、有機酸塩、フェノール、トリアゾール、またはヒドロキシルアミンにすることができる。好ましい抑制剤混合物の例は、アントラニル酸、没食子酸、安息香酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、D,L−リンゴ酸、マロン酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、カルボキシベンゾトリアゾール、ジエチルヒドロキシルアミンならびにこれらの乳酸およびクエン酸塩等が含まれる。使用されることができる腐食抑制剤の追加例は、カテコール、ピロガロールおよび没食子酸のエステルを含む。
【0019】
ある態様では、約3から約9の範囲のpH、または約3から約7の範囲のpH、または約3から約6までの範囲のpHは、最も腐食しやすい金属を最小の腐食で不動態化することを許容することになる。非常に無機であるエッチ残留物の除去および酸化物のスキミは、わずかな酸性のpHを必要である場合がある。本明細書で開示された化合物のpHは、エッチ残留物の洗浄および金属の不動態化で最高の有効性のために3に調整される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱イオン水、カルボン酸、グリコール、グリコールエーテルおよびフッ化物を含む、
フォトレジストならびに電子素子基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去するための化学的ストリッパー調合物。
【請求項2】
脱イオン水、酢酸、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびフッ化アンモニウムを含む請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
前記調合物が、以下の表に示す調合物の各成分を、記載した量で含有する請求項1に記載の調合物。
【表1】

【請求項4】
電子素子基板に、脱イオン水、カルボン酸、グリコール、グリコールエーテルおよびフッ化物を含む調合物を接触させることによって、フォトレジストならびに該基板のエッチングおよびアッシングの残留物を除去するための方法。
【請求項5】
脱イオン水、酢酸、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびフッ化アンモニウムを含む請求項4に記載の調合物。
【請求項6】
前記調合物が、以下の表に示す調合物の各成分を、記載した量で含有する請求項5に記載の方法。
【表2】


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−230134(P2009−230134A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−62004(P2009−62004)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】