説明

アクチュエータ

【課題】アクチュエータを安定して動作させる。
【解決手段】本発明のアクチュエータ1は、可動部5と、可動部5を支持する固定部10と、可動部5を駆動する駆動電極部8および9と、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部6とを備える。斥力発生部6は、固定部10のうちの可動部5と対向する位置に設けられている。斥力発生部6の少なくとも一部は、ヒンジ7よりも可動櫛型電極9側に位置する可動部5の端部と対向している。可動部5と斥力発生部6とに同じ駆動電圧を印加することで、斥力が発生する。斥力は、可動部5の平面方向に垂直な軸を中心とする可動部5の回転を抑制する方向に働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマシニング技術を応用した微小機械構造体であるアクチュエータに関し、例えば、レーザープリンター等に用いられる光走査装置、バーコードリーダー等の読み取り装置、レーザープロジェクタなどに用いられる。
【背景技術】
【0002】
マイクロマシニング技術で形成されるアクチュエータでは、例えば、可動部はヒンジで支持されており、可動部と対向する電極と可動部との間の静電引力で、ヒンジを軸として可動部を運動させている。
【0003】
マイクロマシニング技術で形成されるこのようなアクチュエータは、従来の機械構造体と比較して、構造が簡単で半導体プロセスでの一括形成が可能なため、小型化が容易で製造コストも低く抑えることができ、飛躍的な性能向上の効果が期待できる。
【0004】
特許文献1には、回動時のミラー部の変形を小さくするために、ミラー部の壁部にも静電引力を発生させる1軸回動型の振動ミラー素子が開示されている。
【0005】
特許文献2には、回動軸と直交する軸を基準に対称に静電引力を発生させて安定動作を図る1軸回動型のミラー素子が開示されている。
【特許文献1】特開2004−341364号公報
【特許文献2】特開2005−205577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像表示装置用の走査ミラー素子や画像取込用の走査ミラー素子といった広範囲走査を必要とする用途において、可動部を大きく変位させようとすると、次のような問題があった。
【0007】
可動部を大きく変位させるためには、駆動力である静電引力を増大させるか、ヒンジのバネ定数を低下させるという方法が考えられるが、両方の方法ともに駆動安定性を低下させてしまうという問題がある。
【0008】
また、静電引力を用いて安定動作を図る方法では、可動部を大きく変位させるとバランスが崩れ、駆動安定性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大きな変位量が得られるとともに駆動安定性に優れたアクチュエータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアクチュエータは、可動部と、前記可動部を支持する固定部と、前記可動部を駆動する駆動電極部と、前記可動部と前記固定部との間に働く斥力を発生させる斥力発生部とを備えることを特徴とする。
【0011】
ある実施形態によれば、前記斥力発生部は、前記固定部のうちの前記可動部と対向する位置に設けられており、前記可動部と前記斥力発生部とに同じ電圧を印加することで、前記斥力が発生する。
【0012】
ある実施形態によれば、前記斥力は、前記可動部の平面方向に垂直な軸を中心とする前記可動部の回転を抑制する方向に働く。
【0013】
ある実施形態によれば、前記可動部と前記固定部とを連結するヒンジをさらに備え、前記駆動電極部は、前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極とを備え、前記斥力発生部の少なくとも一部は、前記ヒンジよりも前記第1櫛型電極側に位置する前記可動部の端部と対向している。
【0014】
ある実施形態によれば、前記斥力発生部の少なくとも一部は、前記可動部の中心から最も離れた前記可動部の端部と対向している。
【0015】
ある実施形態によれば、前記駆動電極部は、前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極とを備え、前記可動部と前記斥力発生部との間の空隙の一部は、前記可動部の回動軸に平行な方向における前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の空隙よりも狭い。
【0016】
ある実施形態によれば、前記可動部の少なくとも一部は弾性を有し、前記可動部と前記斥力発生部とが接触した場合に、前記可動部と前記斥力発生部とを離そうとする方向に弾性力が発生する。
【0017】
ある実施形態によれば、前記斥力発生部は、前記可動部の回動軸を基準として対称に設けられている。
【0018】
ある実施形態によれば、前記可動部と前記固定部とを連結するヒンジをさらに備え、前記駆動電極部は、前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極とを備え、前記可動部は、前記ヒンジの延びる方向と垂直な方向に沿って直進し、前記可動部と前記斥力発生部との間の空隙の一部は、前記ヒンジの延びる方向と平行な方向における前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の空隙よりも狭い。
【0019】
ある実施形態によれば、前記可動部の直進方向と平行な方向において、前記可動部のうちの前記斥力発生部と対向する部分と前記斥力発生部との間の距離は、前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の距離以下である。
【0020】
ある実施形態によれば、前記斥力発生部は、前記ヒンジに沿った軸を基準として対称に設けられている。
【0021】
ある実施形態によれば、前記斥力発生部は、前記可動部の一部を取り囲んでいる。
【0022】
ある実施形態によれば、前記固定部は、前記可動部を取り囲んでいる。
【0023】
ある実施形態によれば、前記可動部の少なくとも一部は、平板状のシリコン層から形成されている。
【0024】
ある実施形態によれば、前記固定部は、絶縁層を介して第1および第2シリコン層を接合したSOIウエハから形成されている。
【0025】
本発明の画像投射装置は、上述したアクチュエータと、光ビームを出射する光源と、前記光ビームを前記アクチュエータへ導く光学系と、前記アクチュエータを駆動する駆動部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アクチュエータは可動部と固定部との間に働く斥力を発生させる斥力発生部を備える。可動部と固定部との間に働く斥力を発生させることにより、可動部を大きく変位させた場合でも不具合動作を抑制し、動作安定性の高いアクチュエータを提供することができる。ここで不具合動作とは駆動方向とは異なる方向への動作である。平板状の可動部をその平面を通る軸周りに回動駆動させる構成では、不具合動作とは例えば可動部の平面方向に垂直な軸を中心とする可動部の回転であり、斥力はそのような回転を抑制する方向に働く。また、斥力により可動部と固定部との接触を抑制することができる。
【0027】
また、本発明のアクチュエータは簡素な製造プロセスで製造することができるため、大きな変位量が得られ且つ駆動安定性に優れたアクチュエータを低コストで提供することができる。
【0028】
本発明のある実施形態によれば、斥力発生部は、固定部のうちの可動部と対向する位置に設けられており、可動部と斥力発生部とに同じ電圧を印加することで、上記斥力を発生させる。これにより、電磁気力による斥力を利用して可動部の不具合動作を抑制することができる。
【0029】
本発明のある実施形態によれば、斥力発生部の少なくとも一部は、ヒンジよりも櫛型電極側に位置する可動部の端部と対向している。これにより、不具合動作発生時に、変位量が最も大きい可動部の箇所に対して斥力を働かせることができるので、効率よく不具合動作を抑制することができる。また、斥力発生部の少なくとも一部は、可動部の中心から最も離れた可動部の端部と対向していてもよく、このような構成によっても同様に効率よく不具合動作を抑制することができる。
【0030】
本発明のある実施形態によれば、可動部と斥力発生部との間の空隙の一部は、可動部の回動軸に平行な方向における可動部の櫛型電極と固定部の櫛型電極との間の空隙よりも狭い。これにより、大きな不具合動作が発生した場合でも、櫛型電極同士が接触する前に可動部と斥力発生部とが接触するので、櫛型電極同士の固着を防止することができる。可動部と斥力発生部とに同じ電圧を印加して互いに同電位とすることで、可動部と斥力発生部とは固着することは無い。
【0031】
本発明のある実施形態によれば、斥力発生部は、可動部の回動軸を基準として対称に設けられている。これにより、可動部の回動軸を基準として均一な斥力を発生させることができ、可動部をより安定して動作させることができる。
【0032】
本発明のある実施形態によれば、可動部と斥力発生部との間の空隙の一部は、ヒンジの延びる方向と平行な方向における可動部の櫛型電極と固定部の櫛型電極との間の空隙よりも狭い。これにより、大きな不具合動作が発生した場合でも、櫛型電極同士が接触する前に可動部と斥力発生部とが接触するので、櫛型電極同士の固着を防止することができる。
【0033】
本発明のある実施形態によれば、可動部の直進方向と平行な方向において、可動部のうちの斥力発生部と対向する部分と斥力発生部との間の距離は、可動部の櫛型電極と固定部の櫛型電極との間の距離以下である。これにより、可動部を大きく直進させた場合でも、櫛型電極同士が接触する前に可動部と斥力発生部とが接触するので、櫛型電極同士の固着を防止することができる。
【0034】
本発明のある実施形態によれば、斥力発生部は、ヒンジに沿った軸を基準として対称に設けられている。これにより、ヒンジに沿った軸を基準として均一な斥力を発生させることができ、可動部をより安定して動作させることができる。
【0035】
本発明のある実施形態によれば、斥力発生部は、可動部の一部を取り囲んでいる。これにより、可動部に対してより大きな斥力を発生させることができる。
【0036】
本発明のある実施形態によれば、固定部は、可動部を取り囲んでいる。これにより、固定部がアクチュエータの外枠も兼ねるので、構造的に強度が高いアクチュエータを提供することができる。
【0037】
本発明のある実施形態によれば、可動部の少なくとも一部は、平板状のシリコン層から形成されている。これにより、シリコン層をエッチングするだけで、可動部、斥力発生部、ヒンジおよび駆動電極部を形成することができるので、製造工程をシンプルにすることができる。
【0038】
本発明のある実施形態によれば、固定部は、絶縁層を介して第1および第2シリコン層を接合したSOIウエハから形成されている。これにより、アクチュエータの製造工程において、間に絶縁層を配置したシリコン層構造を形成する必要がないので、製造工程をシンプルにすることができる。
【0039】
また、本発明の画像投射装置は、上記アクチュエータを備える。これにより、安定して動作する信頼性の高い走査ユニットを備えた画像投射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0041】
(実施形態1)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態によるアクチュエータを説明する。図1は、本実施形態のアクチュエータ1を示す斜視図である。図2は、本実施形態のアクチュエータ1を示す平面図である。アクチュエータ1は、1軸回動型のアクチュエータである。
【0042】
アクチュエータ1は、二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層2を介して2つのシリコン層を接合したウエハ、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを加工して製造される。アクチュエータ1は、マイクロマシニング技術を応用して作製される微小機械構造体である。
【0043】
2つのシリコン層のうち、平板状の第1シリコン層にはPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープして導電性を持たせ、デバイス層3と称する。第2シリコン層はウエハ本体を成す厚い部分で、ハンドル層4と称する。
【0044】
アクチュエータ1は、可動部5、ヒンジ7、固定部10を備える。可動部5は櫛型電極9を備える。固定部10は、アンカー部6と櫛型電極8とを備える。固定部10は、可動部5の周りを取り囲んでいる。可動部5の表面にはミラー面5aが形成されており、入射した光を反射する。デバイス層3に対し、後述するエッチングによるパターニングを行うことによって、これらの構成要素が形成される。
【0045】
アンカー部6はヒンジ7を介して可動部5を連結支持しており、可動部5はヒンジ7を軸にして回動可能である。このヒンジ7はX方向に延びており、これにより可動部5の回動軸7xはX方向に延びている。可動部5の外周部のうちの回動軸7xから遠いエッジに沿って可動櫛型電極9が形成されている。可動櫛型電極9の複数の櫛歯はX方向に沿って並んでおり、櫛歯の1本1本はY方向に延びている。固定部10には固定櫛型電極8が形成されている。固定櫛型電極8の複数の櫛歯はX方向に沿って並んでおり、櫛歯の1本1本はY方向に延びている。可動櫛型電極9と固定櫛型電極8とは対向しており、可動櫛型電極9の櫛歯と固定櫛型電極8の櫛歯とは空隙を隔てて互いに噛み合っている。可動櫛型電極9と固定櫛型電極8とをまとめて駆動電極部と称し、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差により可動部5は駆動される。
【0046】
アンカー部6は、ヒンジ7に接続された位置から可動櫛型電極9と対向する位置までY方向に延びている。可動櫛型電極9のアンカー部6と隣接するエッジ部分は、可動部5の中心22から最も離れた可動部5のエッジ部分に相当する。アンカー部6のエッジ部分は、可動櫛型電極9のそのエッジ部分と隣接して平行に延びている。これら隣接するエッジ部分同士は等しい距離を隔てて延びている。可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部6gは、回動軸7xに平行な方向(X方向)における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙8gよりも狭い。アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。斥力を発生させる動作の詳細は後述する。
【0047】
デバイス層3には分離溝13が形成されおり、空隙および分離溝13によりデバイス層3は電気的に2つの領域に分割されている。アンカー部6とヒンジ7と可動部5とは電気的に接続されている。アンカー部6は固定部10の構成要素の一部であるが、分離溝13によって固定櫛型電極8とは電気的に絶縁されている。
【0048】
アンカー部6に設けられた可動電極パッド11に駆動電圧Vを印加すると、その駆動電圧Vは、アンカー部6およびヒンジ7を介して可動部5に印加される。また、一対のアンカー部6の一方に印加された駆動電圧Vは、可動部5およびヒンジ7を介して他方のアンカー部6にも印加される。固定部10に設けられたグランドパッド12をグランドレベル(GND)に設定すると、その駆動電圧Vが可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差となる。駆動電圧Vを適切に制御すると、可動部5はその共振周波数で共振動作する。
【0049】
図3は、アクチュエータ1の動作状態を示す斜視図である。可動部5は、固定部10に対してヒンジ7周りに回動する。これにより、可動部5で反射した光は1次元走査される。
【0050】
また、アンカー部6と可動部5とには同じ駆動電圧Vが印加されるので、アンカー部6と可動部5との間には斥力が働く。この斥力は、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力である。このように、アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。
【0051】
可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させることにより、可動部5を大きく変位させた場合でも不具合動作を抑制し、動作安定性の高いアクチュエータ1を実現することができる。図5を参照して、不具合動作とは、例えば、可動部5の平面方向(XY方向)に垂直な軸(Z方向軸)を中心とする可動部5の回転21であり、斥力はそのような回転21を抑制する方向に働く。また、斥力により可動部5と固定部6との接触を抑制することができ、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との固着を抑制することができる。
【0052】
また、アンカー部6の少なくとも一部は、ヒンジ7よりも可動櫛型電極9側に位置する可動部5の端部と対向している。より具体的には、アンカー部6の少なくとも一部は、可動部5の中心22から最も離れた可動部5の端部と対向している。これにより、不具合動作発生時に、変位量が最も大きい可動部5の箇所に対して斥力を働かせることができるので、効率よく不具合動作を抑制することができる。
【0053】
アンカー部6は、可動部5の回動軸7x(図1)を基準として対称の形状となっている。これにより、回動軸7xを基準として均一な斥力を発生させることができ、可動部5をより安定して動作させることができる。
【0054】
また、可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部6g(図2)は、X方向における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙8gよりも狭い。これにより、大きな不具合動作が発生した場合でも、櫛型電極同士が接触する前に可動部5とアンカー部6とが接触するので、櫛型電極同士の接触および固着を防止することができる。可動部5とアンカー部6とに同じ駆動電圧を印加して互いに同電位とすることで、可動部5とアンカー部6とが接触した場合でも互いを引き離そうとする斥力が働くので、可動部5とアンカー部6とは固着することは無い。
【0055】
次に、図4を参照して、アクチュエータ1の製造方法を説明する。図4(a)〜図4(i)は、アクチュエータ1の製造方法を示す断面図であり、図2に示すアクチュエータ1のA−A断面に対応している。
【0056】
図4(a)を参照して、SOIウエハ20を用意する。デバイス層3の厚さは可動部5の厚さとなり、可動部5の共振周波数や駆動電圧に対する振動振幅、剛性等を考慮して決定する。ここでは、デバイス層3を50μm、絶縁層2を2μm、ハンドル層4を300μmとする。
【0057】
まず、デバイス層3にPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープし導電性を持たせる。
【0058】
次に図4(b)を参照して、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、デバイス層3表面に酸化物層14を形成し、液状のフォトレジストをスピンコーティングにより成膜し、露光および現像を経て、レジストパターン15を形成する。フォトレジストとしては、例えば、AZP4210やAZ1500(クラリアントジャパン製)を使用することができる。以降のレジストパターンについても、このようなフォトレジストの成膜およびその後の露光・現像を経て形成される。
【0059】
次に図4(c)を参照して、レジストパターン15をマスクとして酸化物層14をBHF(バッファードフッ酸)によりエッチングする。
【0060】
次に図4(d)を参照して、レジストパターン15を除去し、酸化物層14をマスクとしてデバイス層3のシリコンをDeep−RIE(Reactive Ion Etching)により、絶縁層2まで貫通エッチングする。これにより、可動部5、アンカー部6、ヒンジ7、固定櫛型電極8、可動櫛型電極9および固定部10が形成される。
【0061】
Deep−RIEでは、エッチングと側壁保護を交互に行うBoschプロセスとして、SF6ガスによるエッチング、C4F8ガスによる側壁保護を行う。以降のシリコン層に対するDeep−RIEについても、この条件を採用することができる。
【0062】
次に図4(e)を参照して、液状のフォトレジストを用いてスピンコーティングにより保護層16を形成する。ハンドル層4の表面に酸化物をCVDで堆積させて酸化物層17を形成し、液状のフォトレジストをスピンコーティングにより成膜し、露光および現像を経て、レジストパターン18を形成する。
【0063】
次に図4(f)を参照して、レジストパターン18をマスクとして酸化物層17をBHFによりエッチングする。
【0064】
次に図4(g)を参照して、レジストパターン18を除去し、酸化物層17をマスクとしてハンドル層4のシリコンをDeep−RIEにより、絶縁層2まで貫通エッチングする。これにより、ハンドル層4から固定部10のハンドリングフレーム19が形成される。
【0065】
次に図4(h)を参照して、保護層16を除去する。また、露出した絶縁層2および酸化膜パターン14および17を除去して可動部5をリリースする。固定部10の固定櫛型電極8が形成されている部分とアンカー部6との間には分離溝13が形成されており、固定櫛型電極8とアンカー部6とは電気的に分離されている。固定部10の固定櫛型電極8が形成されている部分とアンカー部6とは絶縁層2に固定されており固定部10を構成している。
【0066】
次に図4(i)を参照して、可動部5の表面に厚さ50nmのアルミ、金または銀を真空蒸着して、光を反射するミラー面5aを形成する。ミラー面5aを形成する光反射膜の材料は、使用する光の波長と必要な反射率によって適切に選定する。
【0067】
このように、デバイス層3を貫通エッチングして分離溝13を形成するというシンプルな製造工程によって得られるデバイス構造で、図5に示すような不具合動作21を抑制することができる。
【0068】
次に、図6、図7および図8を参照して、可動部5およびアンカー部6の形状の別の例を説明する。図6、図7および図8は、アクチュエータ1を示す平面図である。
【0069】
図6に示す例では、可動部5とアンカー部6との間の空隙が一定ではなく、不具合動作21が発生した時に互いに接近した可動部5とアンカー部6との間の空隙が均一に狭まるように形成されている。この形状により、可動部5とアンカー部6とが接近したときに、広い範囲に渡って均一に斥力を発生させることができる。
【0070】
図7に示す例では、中心22からより離れた可動部5の一部9aは、その周りをアンカー部6に取り囲まれている。これにより可動部5が固定櫛型電極8に静電引力で引き寄せられることを抑制することができる。仮に可動部5が固定櫛型電極8に静電引力で引き寄せられても、固定櫛型電極8より先にアンカー部6が可動部5の一部9aと接触するので、可動部5と固定櫛型電極8との固着を防止することができる。また、可動部5の一部9aをアンカー部6で取り囲むことにより、可動部5の回転21に対してより敏感に斥力を作用させることができる。また、接触により変形した可動部5が元に戻ろうとする弾性力も、可動部5と固定部10とを離そうとする斥力として作用する。例えば、可動部5の一部9aは弾性を有し、可動部5の一部9aとアンカー部6とが接触した場合に可動部5の一部9aが変形し、可動部5の一部9aとアンカー部6とを離そうとする方向に弾性力が発生する。
【0071】
図8に示す例では、図7に示す例と比較して、アンカー部6に取り囲まれている可動部の部分9aが大きく、これにより、可動部5の不具合動作21に対してさらに敏感にかつより大きく斥力を作用させることができる。
【0072】
このように、アンカー部6と可動部5とに同じ駆動電圧を印加して得られる斥力により、可動部5を安定して動作させることができる。
【0073】
次に、図9および図10を参照して、斥力発生部を備える2軸回動型のアクチュエータを説明する。図9は、2軸回動型のアクチュエータ34を示す斜視図である。図10は、2軸回動型のアクチュエータ34を示す平面図である。デバイス層3に対し前述したエッチングによるパターニング工程によって可動部5と中間フレーム部25とが形成される。
【0074】
中間フレーム部25はX軸アンカー部23を備え、X軸アンカー部23はX軸ヒンジ28を介して可動部5を連結支持している。可動部5の外周および中間フレーム部25の内周には、X軸櫛型電極26が形成されている。可動部5のX軸櫛型電極26と中間フレーム部25のX軸櫛型電極26とは空隙を隔てて互いに噛み合っている。
【0075】
固定部10はY軸アンカー部24を備え、Y軸アンカー部24はY軸ヒンジ29を介して中間フレーム部25を連結支持している。中間フレーム部25の外周および固定部10の内周にはY軸櫛型電極部27が形成されている。中間フレーム部25のY軸櫛型電極部27と固定部10のY軸櫛型電極部27とは空隙を隔てて互いに噛み合っている。
【0076】
図10の右側のY軸アンカー部24には、X軸可動電極パッド31が設けられており、X軸アンカー部23および可動部5と電気的に接続されている。図10の左側のY軸アンカー部24にはY軸可動電極パッド32が設けられており、中間フレーム部25のX軸櫛型電極26と電気的に接続されている。固定部10にはグランドパッド33が設けられている。
【0077】
固定部10と中間フレーム部25との間、および中間フレーム部25と可動部5との間に分離溝13が形成されており、デバイス層3は電気的に3つの領域に分割されている。グランドパッド33をグランドレベル(GND)に設定し、X軸可動電極パッド31とY軸可動電極パッド32とに別々の駆動電圧を独立に印加することにより、可動部5および中間フレーム部25は回動する。なお、可動部5を第1可動部、中間フレーム部25を第2可動部と称することもある。
【0078】
図11は、2軸回動型のアクチュエータ34の裏打ち部を示す平面図である。アクチュエータ34の製造時には、中間フレーム部25下部の斜線部分の絶縁層2をエッチングせずに残す。この斜線部分の絶縁層2が裏打ち部である。中間フレーム部25内の分離溝13はこの裏打ち部の存在する領域内に設けられている。中間フレーム部25の構成要素同士は必要に応じて分離溝13によって電気的に分離されているが、各構成要素は裏打ち部に固定されているので、各構成要素は中間フレーム部25として一体となって回動する。
【0079】
図12は、アクチュエータ34の動作状態を示す斜視図である。可動部5は、X軸可動電極パッド31に印加される駆動電圧に応じて、中間フレーム部25に対してX軸ヒンジ28周りに回動する。中間フレーム部25は、Y軸可動電極パッド32に印加される駆動電圧に応じて、固定部10に対してY軸ヒンジ29周りに回動する。可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とが直交関係にあることで、2軸回動型のアクチュエータが実現される。
【0080】
可動部5とX軸アンカー部23とには同じ駆動電圧が印加されるので、可動部5とX軸アンカー部23との間には斥力が働く。X軸アンカー部23は、可動部5と中間フレーム部25との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能し、可動部5の不具合動作を抑制する。
【0081】
中間フレーム部25のうちのY軸アンカー部24と対向する部分と、Y軸アンカー部24とには同じ駆動電圧が印加されるので、中間フレーム部25とY軸アンカー部24との間には斥力が働く。Y軸アンカー部24は、中間フレーム部25と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能し、中間フレーム部25の不具合動作を抑制する。
【0082】
なお、図9に示した2軸回動型のアクチュエータ34の構成は一例であって、これに限定されない。例えば、可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを平行にすることで、1方向により大きく回動させることができる。可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを同軸にし、1方向に同時に回動させることで、アクチュエータ34の駆動電圧を抑えた低電圧駆動が可能となる。
【0083】
上述のアクチュエータ1および34は、例えば、光走査型の画像投射装置、レーザープリンター、スキャナー、バーコードリーダー、光走査型のセンサーシステム等の光走査部として用いることができる。
【0084】
また、上述のアクチュエータ1および34では、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力を利用したが、対向する構成要素同士を同じ磁極にすることによって生じる磁気的な斥力を利用してもよい。
【0085】
(実施形態2)
図13は、本発明の第2の実施形態による1軸回動型のアクチュエータ38を示す図である。図13の左側はアクチュエータ38の平面図を示しており、右側は平面図のB−B断面に対応した断面図を示している。
【0086】
図13を参照して、アクチュエータ38は二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層2を介して2つのシリコン層を接合したウエハ、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを加工して製造される。
【0087】
2つのシリコン層のうち、第1シリコン層にはPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープし導電性を持たせ、デバイス層3と称する。第2シリコン層はウエハ本体を成す厚い部分で、ハンドル層4と称する。デバイス層3に対しエッチングによるパターニングを行うことによって、可動部5、ヒンジ7、固定部10が形成される。
【0088】
アンカー部6はヒンジ7を介して可動部5を連結支持しており、可動部5は、ヒンジ7を軸に回動可能である。可動部5の外周部のうちの回動軸から遠いエッジに沿って可動櫛型電極9が形成されている。固定部10は、可動櫛型電極9と空隙を隔てて噛み合う固定櫛型電極8を備える。可動櫛型電極9と固定櫛型電極8とには独立して駆動電圧が印加される。
【0089】
アクチュエータ38では、デバイス層3の厚さ方向において、固定櫛型電極8が可動櫛型電極9より低くなっている。このような構造はDeep−RIEによるエッチング工程において、2段階にエッチングを行うことで形成できる。
【0090】
固定櫛型電極8には固定電極パッド35が設けられており、アンカー部6には可動電極パッド36が設けられている。固定部10のうちのアンカー部6および固定櫛型電極8以外の部分(外枠部)にはグランドパッド37が設けられている。可動電極パッド36には駆動電圧V1が印加される。2つの固定電極パッド35のうちの一方には駆動電圧V2が印加され、他方には駆動電圧V3が印加される。グランドパッド37はグランドレベル(GND)に設定される。駆動電圧V1と駆動電圧V2との間の電位差、または駆動電圧V1と駆動電圧V3との間の電位差が、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差となる。
【0091】
可動櫛型電極9のアンカー部6と隣接するエッジ部分は、可動部5の中心22から最も離れた可動部5のエッジ部分に相当する。アンカー部6のエッジ部分は、可動櫛型電極9のそのエッジ部分と隣接して平行に延びている。これら隣接するエッジ部分同士は等しい距離を隔てて延びている。可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部は、可動部5の回動軸に平行な方向における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙よりも狭い。アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。
【0092】
デバイス層3には分離溝13が形成されており、分離溝13により構成要素同士が必要に応じて電気的に分離されている。固定櫛型電極8と固定部10の外枠部とは電気的に分離されている。2つの固定櫛型電極8同士も電気的に分離されている。アンカー部6とヒンジ7と可動部5とは電気的に接続されている。
【0093】
可動部5とアンカー部6に同じ駆動電圧V1を印加することによって生じる斥力で、可
動部5を安定して動作させることができる。可動部5は、固定部10に対してヒンジ7周りに回動し、これにより、可動部5で反射した光は1次元走査される。固定櫛型電極8と可動櫛型電極9との間の電位差を任意に設定することで、可動部5を任意の位置に回動させることができる。
【0094】
また、図13に示した可動部5およびアンカー部6の形状は一例であって、これに限定されない。例えば、図6に示したように、可動部5とアンカー部6との間の空隙が一定ではなく、回転21が発生した時に互いに接近した可動部5とアンカー部6との間の空隙が均一に狭まるように形成されていてもよい。この形状により、可動部5とアンカー部6とが接近したときに、広い範囲に渡って均一に斥力を発生させることができる。
【0095】
また、例えば、図7および図8に示したように、可動部5の一部がアンカー部6内に入り込んでいるような形状でもよく、このような形状により可動部5の回転21に対してより敏感に斥力を作用させることができる。
【0096】
次に、アクチュエータ38を備えた光ファイバ型4チャンネル光スイッチを説明する。図14は、光ファイバ型4チャンネル光スイッチ110を示す平面図である。光スイッチ110は、アクチュエータ38と、コリメートレンズ40と、5本の光ファイバ39をアレイ状に固定した光ファイバアレイ41とを備え、入力1系統、出力4系統の光スイッチの構成となっている。
【0097】
入力に対応した光ファイバ39に入射した光は、コリメートレンズ40で略平行光束となってアクチュエータ38に入射する。アクチュエータ38で反射された光が、出力111、112、113および114のうちのいずれかに対応した光ファイバ39に入射されるように、アクチュエータ38の可動部5の回動位置を調整することで、4チャンネル光スイッチの動作が実現される。
【0098】
なお、図14に示した光ファイバ型4チャンネル光スイッチの構成は一例であって、これに限定されない。例えば、光スイッチ110は、図9に示したような2軸回動型のアクチュエータ34を備えてもよく、この場合は、光ファイバ39を2次元アレイ状に配置することで、より多チャンネルの光スイッチが実現される。
【0099】
また、例えば、アクチュエータ34の可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを同軸にすることで、可動部5を1方向により大きく回動させてもよく、この場合は、配列する光ファイバ39の数をより増やすことができる。
【0100】
また、アクチュエータ34の可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを同軸にすることで、アクチュエータ34の駆動電圧を抑えた低電圧駆動が可能となる。
【0101】
また、アクチュエータ38は、例えば、光走査型の画像投射装置、レーザープリンター、スキャナー、バーコードリーダー、光走査型のセンサーシステム等の光走査部として用いることができる。
【0102】
また、アクチュエータ38では、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力を利用したが、対向する構成要素同士を同じ磁極にすることによって生じる磁気的な斥力を利用してもよい。
【0103】
(実施形態3)
図15は、本発明の第3の実施形態による1軸回動型のアクチュエータ44を示す図である。図15の左側はアクチュエータ44の平面図を示しており、右側は平面図のC−C断面に対応した断面図を示している。
【0104】
図15を参照して、アクチュエータ44は二酸化シリコン(SiO2)から成る絶縁層2を介して2つのシリコン層を接合したウエハ、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを加工して製造される。
【0105】
2つのシリコン層のうち、第1シリコン層にはPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープし導電性を持たせ、デバイス層3と称する。第2シリコン層はウエハ本体を成す厚い部分で、ハンドル層4と称する。デバイス層3に対しエッチングによるパターニング工程を行うによって、可動部5、ヒンジ7、固定部10が形成される。アクチュエータ44の可動部5は、光学フィルタ部30を備える。
【0106】
アンカー部6はヒンジ7を介して可動部5を連結支持しており、可動部5はヒンジ7を軸に回動可能である。可動部5の外周部のうちの回動軸から遠いエッジに沿って可動櫛型電極9が形成されている。固定部10は、可動櫛型電極9と空隙を隔てて噛み合う固定櫛型電極8を備える。
【0107】
アクチュエータ44では、デバイス層3の厚さ方向において、固定櫛型電極8の一方が可動櫛型電極9より低くなっている。回動軸を基準として反対側に位置する他方の固定櫛型電極8は、デバイス層3の厚さ方向において、可動櫛型電極9より高くなっている。このような構造はDeep−RIEによるエッチング工程において、2段階にエッチングを行うことで形成できる。
【0108】
アンカー部6には可動電極パッド42が設けられており、固定部10にはグランドパッド43が設けられている。グランドパッド43をグランドレベル(GND)に設定し、可動電極パッド42に駆動電圧Vを印加すると、可動電極パッド42に印加された電圧Vが可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差となる。
【0109】
可動櫛型電極9のアンカー部6と隣接するエッジ部分は、可動部5の中心から最も離れた可動部5のエッジ部分に相当する。アンカー部6のエッジ部分は、可動櫛型電極9のそのエッジ部分と隣接して平行に延びている。これら隣接するエッジ部分同士は等しい距離を隔てて延びている。可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部は、可動部5の回動軸に平行な方向における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙よりも狭い。アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。
【0110】
デバイス層3には分離溝13が形成されており、分離溝13により構成要素同士が必要に応じて電気的に分離されている。アンカー部6と固定櫛型電極8とは電気的に分離されている。アンカー部6とヒンジ7と可動部5とは電気的に接続されている。
【0111】
可動部5とアンカー部6に同じ駆動電圧Vを印加することによって生じる斥力で、可動部5を安定して動作させることができる。可動部5は、固定部10に対してヒンジ7周りに回動し、これにより、可動部5の光学フィルタ部30で反射した光は1次元走査される。固定櫛型電極8と可動櫛型電極9との間の電位差を任意に設定することで、可動部5を任意の位置に回動させることができる。
【0112】
また、図15に示した可動部5およびアンカー部6の形状は一例であって、これに限定されない。例えば、図6に示したように、可動部5とアンカー部6との間の空隙が一定ではなく、回転21が発生した時に互いに接近した可動部5とアンカー部6との間の空隙が均一に狭まるように形成されていてもよい。この形状により、可動部5とアンカー部6とが接近したときに、広い範囲に渡って均一に斥力を発生させることができる。
【0113】
また、例えば、図7および図8に示したように、可動部5の一部がアンカー部6内に入り込んでいるような形状でもよく、このような形状により可動部5の回転21に対してより敏感に斥力を作用させることができる。
【0114】
次に、アクチュエータ44を備えた光分波器を説明する。図16は、光分波器120を示す平面図である。光分波器120は、光ファイバ39と、アクチュエータ44と、レンズ45と、光ファイバのコリメータ46とを備える。アクチュエータ44の光学フィルタ部30に入射する光の角度に応じて、光学フィルタ部30で反射および透過する光の特性が変化する。
【0115】
入射側のコリメータ46からアクチュエータ44の光学フィルタ部30に斜めに入射した光の反射光は、レンズ45により光路調整がされ、コリメータ46に集光されて出力121が得られる。アクチュエータ44の光学フィルタ部30に斜めに入射した光の透過光は、コリメータ46に集光され出力122が得られる光分波器となる。
【0116】
なお、可動部5の回動方向を1方向に制限してもよく、この場合は、発生する駆動力を全て同一の回動方向に利用できるので、2方向に回動させる方式より低電圧で駆動することができる。
【0117】
なお、図16に示した光分波器120の構成は一例であって、これに限定されない。例えば、光分波器120は、図9に示したような2軸回動型のアクチュエータ34を備えてもよく、この場合は、コリメータ46を2次元アレイ状に配置することで、より多チャンネルの光スイッチが実現される。光分波器120がアクチュエータ34を備える場合、アクチュエータ34の可動部5は光学フィルタ部30を備える。
【0118】
また、例えば、アクチュエータ34の可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを同軸にすることで、可動部5の光学フィルタ部30を1方向により大きく回動させてもよく、この場合は、より広帯域の光分波器が得られる。
【0119】
また、アクチュエータ34の可動部5の回動軸と中間フレーム部25の回動軸とを同軸にすることで、アクチュエータ34の駆動電圧を抑えた低電圧駆動が可能となる。
【0120】
また、入力に対して、可動部5の光学フィルタ部30で反射した光もしくは透過した光のいずれか1つが出力として得られる構成にしてもよい。
【0121】
また、アクチュエータ44では、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力を利用したが、対向する構成要素同士を同じ磁極にすることによって生じる磁気的な斥力を利用してもよい。
【0122】
(実施形態4)
図17は、本発明の第4の実施形態による1軸直進型のアクチュエータ50を示す斜視図である。図18は、アクチュエータ50を示す平面図である。
【0123】
アクチュエータ50は、二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層2を介して2つのシリコン層を接合したウエハ、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを加工して製造される。
【0124】
2つのシリコン層のうち、第1シリコン層はPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープし導電性を持たせ、デバイス層3と称する。第2シリコン層はウエハ本体を成す厚い部分で、ハンドル層4と称する。デバイス層3に対しエッチングによるパターニングを行うことによって、可動部5と、ヒンジ7と、固定部10が形成される。アクチュエータ50の可動部5は、ヒンジ7が延びる方向(X方向)とは垂直な方向(Y方向)に沿って往復直線運動をする。
【0125】
アンカー部6はヒンジ7を介して可動部5を連結支持しており、可動部5はヒンジ7を軸にして直進可能である。可動部5の外周部のうちのヒンジ7から遠いエッジに沿って可動櫛型電極9が形成されている。固定部10は、可動櫛型電極9と空隙を隔てて噛み合うように形成された固定櫛型電極8を備える。2つの固定櫛型電極8同士は電気的に分離されており、互いに別々の電圧を独立して印加することができる。
【0126】
デバイス層3には分離溝13が形成されており、分離溝13により構成要素同士が必要に応じて電気的に分離されている。固定櫛型電極8と固定部10の外枠部とは電気的に分離されている。2つの固定櫛型電極8同士も電気的に分離されている。アンカー部6とヒンジ7と可動部5とは電気的に接続されている。
【0127】
可動櫛型電極9のアンカー部6と隣接するエッジ部分は、可動部5の中心から最も離れた可動部5のエッジ部分に相当する。アンカー部6のエッジ部分は、可動櫛型電極9のそのエッジ部分と隣接して平行に延びている。これら隣接するエッジ部分同士は等しい距離を隔てて延びている。可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部は、ヒンジ7の延びる方向に平行な方向における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙よりも狭い。アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。
【0128】
固定櫛型電極8には固定電極パッド53が設けられており、アンカー部6には可動電極パッド52が設けられている。固定部10のうちのアンカー部6および固定櫛型電極8以外の部分(外枠部)にはグランドパッド54が設けられている。可動電極パッド52には駆動電圧V1が印加される。2つの固定電極パッド53のうちの一方には駆動電圧V2が印加され、他方には駆動電圧V3が印加される。グランドパッド54はグランドレベル(GND)に設定される。駆動電圧V1と駆動電圧V2との間の電位差、または駆動電圧V1と駆動電圧V3との間の電位差が、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差となる。
【0129】
固定櫛型電極8と可動櫛型電極9との間の電位差を任意に設定することで、可動部5はY方向に沿った2方向(前後)に直進する。可動部5を図19に示すような任意の位置に移動が可能となる。図19は、アクチュエータ50の動作状態を示す斜視図である。図19に示す例では、可動部5がY方向に沿って直進している。
【0130】
可動部5とアンカー部6に同じ駆動電圧V1を印加することによって生じる斥力で、可
動部5を安定して動作させることができる。このように、デバイス層3を貫通エッチングして分離溝13を形成するというシンプルな製造工程によって得られるデバイス構造で、可動部5の不具合動作を抑制することができる。
【0131】
また、アンカー部6の形状を、ヒンジ7に沿った軸を基準として対称の形状とすることで、その軸を基準として均一な斥力を発生させることができ、可動部5をより安定して動作させることができる。
【0132】
また、可動部5の直進方向と平行な方向(Y方向)において、可動部5のうちのアンカー部6と対向する部分とアンカー部6との間の距離は、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の距離以下である。これにより、可動部5を大きく直進させた場合でも、櫛型電極同士が接触する前に可動部5とアンカー部6とが接触するので、櫛型電極同士の固着を防止することができる。
【0133】
また、図17に示した可動部5およびアンカー部6の形状は一例であって、これに限定されない。図20を参照して、可動部5およびアンカー部6の形状の別の例を説明する。図20は、アクチュエータ50を示す平面図である。図20に示す例では、可動部5の中心からより離れた可動部5の一部9aは、その周りをアンカー部6に取り囲まれている。これにより、可動部5の不具合動作に対してより敏感に斥力を作用させることができる。
【0134】
また、図17に示した構成は一例であって、これに限定されない。例えば、アクチュエータ50が、図9に示したような中間フレーム部25を備えていてもよい。この場合は、例えば、可動部5をX方向に沿って直進させ、中間フレーム部25をY方向に沿って直進させることで、光を2次元に走査させることができる。また、可動部5を支持するヒンジと中間フレーム部25を支持するヒンジとを同じ方向に沿うように延ばしてもよい。このような構成において、可動部5と中間フレーム部25とを同じ方向に同時に移動させることで、固定部10に対する可動部5の移動可能距離をより長くすることができる。
【0135】
また、アクチュエータ50に印加する駆動電圧を適切に制御することで、可動部5を回動させてもよい。
【0136】
また、アクチュエータ50では、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力を利用したが、対向する構成要素同士を同じ磁極にすることによって生じる磁気的な斥力を利用してもよい。
【0137】
(実施形態5)
図21は、本発明の第5の実施形態による1軸直進型のアクチュエータ55を示す図である。図21の左側はアクチュエータ55の平面図を示しており、右側は平面図のD−D断面に対応した断面図を示している。
【0138】
アクチュエータ55は、二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層2を介して2つのシリコン層を接合したウエハ、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを加工して製造される。
【0139】
2つのシリコン層のうち、第1シリコン層はPやAsなどのn型不純物やBなどのp型不純物をドープし導電性を持たせ、デバイス層3と称する。第2シリコン層はウエハ本体を成す厚い部分で、ハンドル層4と称する。デバイス層3に対しエッチングによるパターニングを行うことによって、可動部5、ヒンジ7、固定部10が形成される。アクチュエータ55の可動部5は、レンズ部56を備える。
【0140】
アンカー部6はヒンジ7を介して可動部5を連結支持しており、可動部5はヒンジ7を軸にして直進可能である。可動部5の外周部のうちのヒンジ7から遠いエッジに沿って可動櫛型電極9が形成されている。固定部10は、可動櫛型電極9と空隙を隔てて噛み合うように形成された固定櫛型電極8を備える。2つの固定櫛型電極8同士は電気的に分離されており、互いに別々の電圧を独立に印加することができる。
【0141】
デバイス層3には分離溝13が形成されており、分離溝13により構成要素同士が必要に応じて電気的に分離されている。固定櫛型電極8と固定部10の外枠部とは電気的に分離されている。2つの固定櫛型電極8同士も電気的に分離されている。アンカー部6とヒンジ7と可動部5とは電気的に接続されている。
【0142】
可動櫛型電極9のアンカー部6と隣接するエッジ部分は、可動部5の中心から最も離れた可動部5のエッジ部分に相当する。アンカー部6のエッジ部分は、可動櫛型電極9のそのエッジ部分と隣接して平行に延びている。これら隣接するエッジ部分同士は等しい距離を隔てて延びている。可動部5とアンカー部6との間の空隙の一部は、ヒンジ7の延びる方向に平行な方向における可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の空隙よりも狭い。アンカー部6は、可動部5と固定部10との間に働く斥力を発生させる斥力発生部として機能する。
【0143】
固定櫛型電極8には固定電極パッド53が設けられており、アンカー部6には可動電極パッド52が設けられている。固定部10のうちのアンカー部6および固定櫛型電極8以外の部分(外枠部)にはグランドパッド54が設けられている。可動電極パッド52には駆動電圧V1が印加される。2つの固定電極パッド53のうちの一方には駆動電圧V2が印加され、他方には駆動電圧V3が印加される。グランドパッド54はグランドレベル(GND)に設定される。駆動電圧V1と駆動電圧V2との間の電位差、または駆動電圧V1と駆動電圧V3との間の電位差が、可動櫛型電極9と固定櫛型電極8との間の電位差となる。
【0144】
固定櫛型電極8と可動櫛型電極9との間の電位差を任意に設定することで、可動部5は2方向(前後)に直進し、レンズ部56を通過した光は1次元に走査される。
【0145】
可動部5とアンカー部6に同じ駆動電圧V1を印加することによって生じる斥力で、可
動部5を安定して動作させることができる。このように、デバイス層3を貫通エッチングして分離溝13を形成するというシンプルな製造工程によって得られるデバイス構造で、可動部5の不具合動作を抑制することができる。
【0146】
また、図21に示した構成は一例であって、これに限定されない。例えば、図20に示したように、可動部5の一部がアンカー部6内に入り込んでいるような形状でもよく、このような形状により可動部5の不具合動作に対してより敏感に斥力を作用させることができる。
【0147】
また、例えば、アクチュエータ55が、図9に示したような中間フレーム部25を備えていてもよい。この場合は、例えば、可動部5を所定の方向に沿って直進させ、その所定の方向と垂直な方向に沿って中間フレーム部25を直進させることで、レンズ部56を通過した光を2次元に走査させることができる。
【0148】
また、可動部5を支持するヒンジと中間フレーム部25を支持するヒンジとを同じ方向に沿うように延ばしてもよい。このような構成において、可動部5と中間フレーム部25とを同じ方向に同時に移動させることで、固定部10に対する可動部5の移動可能距離をより長くすることができる。これにより、レンズ部56を通過した光を広範囲に走査することが可能となる。
【0149】
また、可動部5を支持するヒンジと中間フレーム部25を支持するヒンジとを同じ方向に沿うように延ばし、可動部5と中間フレーム部25とを同じ方向に同時に移動させることで、アクチュエータ55の駆動電圧を抑えた低電圧駆動が可能となる。
【0150】
また、アクチュエータ55に印加する駆動電圧を適切に制御することで、可動部5を回動させてもよい。
【0151】
また、アクチュエータ55では、同じ極性の電荷同士の間に働く斥力を利用したが、対向する構成要素同士を同じ磁極にすることによって生じる磁気的な斥力を利用してもよい。
【0152】
(実施形態6)
図22は、本発明の第6の実施形態による画像投射装置100を示す図である。
【0153】
画像投射装置100は、アクチュエータ34と、光源57と、コリメートレンズ58と、ダイクロイックプリズム59と、制御部62と、光源変調回路63と、駆動部64とを備える。アクチュエータ34の可動部5はミラー面を備え、光を走査する光走査部として機能する。コリメートレンズ58およびダイクロイックプリズム59は、光源57が出射した光ビームをアクチュエータ34に導く光学系である。
【0154】
制御部62は、画像投射装置100に入力される画像信号61に応じて、光源変調回路63および駆動部64の動作を制御する。駆動部64はアクチュエータ34に駆動電圧を印加してアクチュエータ34を駆動する。光源変調回路63は画像信号61に応じた変調信号を生成し、3つの光源57は、変調信号に応じて、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光ビーム65を出射する。
【0155】
光ビーム65は、コリメートレンズ58で略平行光束となり、ダイクロイックプリズム59によって合波され、アクチュエータ34に入射される。アクチュエータ34に入射して反射する光ビーム65は、アクチュエータ34によって2次元に走査され、開口部60から出射され投射領域66に画像を表示する。
【0156】
このように光走査型の画像投射装置100の光走査部として、駆動安定性に優れたアクチュエータ34を用いることで、小型で安価で且つ動作安定性の高い光走査型の画像投射装置を得ることができる。
【0157】
また、画像投射装置100の構成は一例であって、これに限定されない。例えば、光走査部の2軸の回動のうちの1軸の回動はアクチュエータ1で実現し、もう1軸の回動はポリゴンミラーで実現してもよい。また、アクチュエータ1を2つ用いて2軸の回動を実現してもよい。また、光走査部内に、光を合分波する光学素子や投射レンズ等がさらに組み込まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、光の進行方向を変更する技術分野で特に有用である。例えば、レーザープリンター等に用いられる光走査装置、バーコードリーダー等の読み取り装置、レーザープロジェクタなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態によるアクチュエータの動作状態を示す斜視図である。
【図4】(a)から(i)は、本発明の実施形態によるアクチュエータの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態によるアクチュエータの不具合動作を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態による2軸回動型のアクチュエータを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態による2軸回動型のアクチュエータを示す平面図である。
【図11】本発明の実施形態による2軸回動型のアクチュエータの裏打ち部を示す平面図である。
【図12】本発明の実施形態による2軸回動型のアクチュエータの動作状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図および断面図である。
【図14】本発明の実施形態による光ファイバ型4チャンネル光スイッチを示す平面図である。
【図15】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図および断面図である。
【図16】本発明の実施形態による光分波器を示す平面図である。
【図17】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す斜視図である。
【図18】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図19】本発明の実施形態によるアクチュエータの動作状態を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図である。
【図21】本発明の実施形態によるアクチュエータを示す平面図および断面図である。
【図22】本発明の実施形態による画像投射装置を示す図である。
【符号の説明】
【0160】
1、34、38、44、50、55 アクチュエータ
2 絶縁層
3 デバイス層
4 ハンドル層
5 可動部
6 アンカー部
7 ヒンジ
8 固定櫛型電極部
9 可動櫛型電極部
10 固定部
11、36、42、52 可動電極パッド
12、33、37、43、54 グランドパッド
13 分離溝
14、17 酸化物層
15、18 レジストパターン
16 保護層
19 ハンドリングフレーム
20 SOIウエハ
21 不具合動作
22 可動部中心
23 X軸アンカー部
24 Y軸アンカー部
25 中間フレーム部
26 X軸櫛型電極部
27 Y軸櫛型電極部
28 X軸ヒンジ
29 Y軸ヒンジ
30 光学フィルタ部
31 X軸可動電極パッド
32 Y軸可動電極パッド
35、53 固定電極パッド
39 光ファイバ
40 コリメートレンズ
41 光ファイバアレイ
45 レンズ
46 コリメータ
56 レンズ部
100 画像投射装置
110 光ファイバ型4チャンネル光スイッチ
120 光分波器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
前記可動部を支持する固定部と、
前記可動部を駆動する駆動電極部と、
前記可動部と前記固定部との間に働く斥力を発生させる斥力発生部と
を備えた、アクチュエータ。
【請求項2】
前記斥力発生部は、前記固定部のうちの前記可動部と対向する位置に設けられており、
前記可動部と前記斥力発生部とに同じ電圧を印加することで、前記斥力が発生する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記斥力は、前記可動部の平面方向に垂直な軸を中心とする前記可動部の回転を抑制する方向に働く、請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記可動部と前記固定部とを連結するヒンジをさらに備え、
前記駆動電極部は、
前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、
前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極と
を備え、
前記斥力発生部の少なくとも一部は、前記ヒンジよりも前記第1櫛型電極側に位置する前記可動部の端部と対向している、請求項1から3のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記斥力発生部の少なくとも一部は、前記可動部の中心から最も離れた前記可動部の端部と対向している、請求項1から4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記駆動電極部は、
前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、
前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極と
を備え、
前記可動部と前記斥力発生部との間の空隙の一部は、前記可動部の回動軸に平行な方向における前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の空隙よりも狭い、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記可動部の少なくとも一部は弾性を有し、前記可動部と前記斥力発生部とが接触した場合に、前記可動部と前記斥力発生部とを離そうとする方向に弾性力が発生する、請求項1から6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記斥力発生部は、前記可動部の回動軸を基準として対称に設けられている、請求項1から7のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記可動部と前記固定部とを連結するヒンジをさらに備え、
前記駆動電極部は、
前記可動部に設けられた第1櫛型電極と、
前記固定部に設けられ、前記第1櫛型電極と対向する第2櫛型電極と
を備え、
前記可動部は、前記ヒンジの延びる方向と垂直な方向に沿って直進し、
前記可動部と前記斥力発生部との間の空隙の一部は、前記ヒンジの延びる方向と平行な方向における前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の空隙よりも狭い、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記可動部の直進方向と平行な方向において、前記可動部のうちの前記斥力発生部と対向する部分と前記斥力発生部との間の距離は、前記第1櫛型電極と前記第2櫛型電極との間の距離以下である、請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記斥力発生部は、前記ヒンジに沿った軸を基準として対称に設けられている、請求項9または10に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記斥力発生部は、前記可動部の一部を取り囲んでいる、請求項1から11のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記固定部は、前記可動部を取り囲んでいる、請求項1から12のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記可動部の少なくとも一部は、平板状のシリコン層から形成されている、請求項1から13のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記固定部は、絶縁層を介して第1および第2シリコン層を接合したSOIウエハから形成されている、請求項1から14のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載のアクチュエータと、
光ビームを出射する光源と、
前記光ビームを前記アクチュエータへ導く光学系と、
前記アクチュエータを駆動する駆動部と
を備えた、画像投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−3429(P2009−3429A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124564(P2008−124564)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】