説明

アクティブマトリクス基板及びアクティブマトリクス表示装置

【課題】静電気による不良発生を抑制し、配線間のリークによる表示ムラを発生させない保護回路を備えたアクティブマトリクス基板を提供する。
【解決手段】本発明の一態様にかかるTFTアレイ基板は、スイッチング素子に接続された信号配線1と、第1の保護回路7と、信号配線1と第1の保護回路7を介して接続される第1のショートリング3とを備えるアクティブマトリクス基板であって、第1の保護回路7は、第1のショートリング3から信号配線1に電流を流す整流素子である第1の半導体素子9と、信号配線1から第1のショートリング3に電流を流す整流素子である第2の半導体素子10とを有し、第1の半導体素子9と第2の半導体素子10とは並列に接続され、第1の半導体素子9の抵抗特性と第2の半導体素子10の抵抗特性とは異なるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチング素子がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板及びアクティブマトリクス表示装置に関し、特に素子領域内にショートリングを備えたアクティブマトリクス基板及びアクティブマトリクス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、高表示品位、薄型、軽量、低消費電力のなどの優れた特徴を有している。特に、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)素子を用いた液晶表示装置(TFT−LCD)は、その品質やコストの面から、アクティブマトリクス型の液晶表示装置として現在最も広く用いられている。
【0003】
一般的に、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に用いられる液晶表示パネルは、対向配置された2枚の基板間に液晶などの表示材料を挟持するとともに、この表示材料に選択的に電圧を印加するように構成されている。液晶表示パネルを構成する2枚の基板のうちの一方は、アクティブマトリクス基板(TFTアレイ基板)と呼ばれている。TFTアレイ基板上には、TFT素子と各TFT素子に信号を供給するための信号配線及び走査配線が形成されている。
【0004】
しかしながら、TFTアレイ基板は、一般的に静電気に対して弱い。このため、液晶表示装置の製造工程において発生する静電気により、TFTアレイ基板の特性が劣化してしまうことがある。例えば、液晶表示装置の製造工程において、液晶の配向方向を決定するために、基板上に形成されたポリイミド膜を布によって一方向に擦って配向膜を形成するラビング工程がある。このラビング工程において発生する静電気がアレイ基板上の信号配線又は走査配線に蓄積されると、TFT素子に悪影響を及ぼす。例えば、TFT素子の閾値電圧が数Vシフトしてしまうと、静電気が印加された部分の画素が欠陥画素として認識されるという不良が発生する。また、静電気によって、TFTアレイ基板上の信号配線と走査配線間の絶縁膜が破壊され、短絡するという不良も発生する。
【0005】
そこで、従来から、これらの不良を改善するため、TFTアレイ基板の周辺領域にショートラインと呼ばれる金属配線を形成し、全ての信号配線及び走査配線を短絡している。このTFTアレイ基板の周辺領域に設けられたショートラインは、液晶パネル組み立て後には、基板の切断により切り離される。しかし、ショートラインを除去した後の工程であっても、例えばFPCの取り付け工程での摩擦帯電や、液晶表示パネルを電子機器に実装する際の外部からの電荷供給による帯電などに起因して、TFTアレイ基板の特性劣化が生じることがある。
【0006】
このため、TFTアレイ基板の周辺部に設けられたショートラインとは別に、TFTアレイ基板の素子領域にショートリングが設けられている。通常、信号配線及び走査配線の各配線とショートリングとは、それぞれ非線形抵抗体からなる保護素子を介して接続され、また、他の方法としては、信号配線及び走査配線の各配線とショートリングとを接続する保護素子を比較的高抵抗の材料(例えば、a−Si)を用いて形成する方法が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。特許文献1においては、信号配線及び走査配線をショートリングに直接接続するのではなく、保護素子として非線形素子であるダイオードを用いて接続している。これにより、信号配線及び走査配線等に帯電した静電気を逃がし、TFT素子の閾値シフトや信号配線と走査配線間の短絡等の不良を改善している。
【特許文献1】特開昭63−220289号公報
【特許文献2】特開平9−90428号公報
【特許文献3】特開平3−296725号公報
【特許文献4】特開平11−271722号公報
【特許文献5】特開2004−273732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において、隣接する信号配線又は隣接する走査配線間における保護素子の抵抗値が小さい場合には、隣接配線間で大きなリーク電流が流れることがある。例えば、保護素子の抵抗値が数MΩの時には、数十〜数百μA程度のリーク電流が流れてしまう。このリーク電流値が、ドライバICの駆動能力に対して大きい場合には、所望の電圧を信号配線又は走査配線に印加させることができず、その結果、表示ムラが発生するという問題が生じていた。
【0008】
また、逆に保護素子の抵抗値が大きい場合には、静電気が発生した場合に静電気を除去することができず、スイッチング素子の閾値シフトや信号配線と走査配線間の短絡などの問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような問題を背景としてなされたものであり、静電気による不良発生を抑制し、かつ、配線間のリークによる表示ムラを発生させない十分な抵抗値を有する保護回路を備えたアクティブマトリクス基板及びアクティブマトリクス表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様にかかるアクティブマトリクス基板は、基板上にマトリクス状に形成された複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子にそれぞれ接続された複数の第1の配線と、前記複数の第1の配線に対応して設けられた複数の第1の保護回路と、前記複数の第1の配線のそれぞれと前記第1の保護回路を介して接続される第1のショートリングとを備えるアクティブマトリクス基板であって、前記第1の保護回路は、前記第1のショートリングから前記第1の配線に電流を流す第1の整流素子と、前記第1の配線から前記第1のショートリングに電流を流す第2の整流素子とを有し、前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とは並列に接続され、前記第1の整流素子の抵抗特性と前記第2の整流素子の抵抗特性とは異なるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、静電気による不良発生を抑制し、かつ、配線間のリークによる表示ムラを発生させない十分な抵抗値を有する保護素子を備えたアクティブマトリクス基板及びアクティブマトリクス表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る表示装置について図1及び図2を参照して説明する。ここでは、表示装置の一例として液晶表示装置100について説明する。図1は、液晶表示装置100の構成を示す平面図である。また、図2は、液晶表示装置100の構成を示す断面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、液晶表示装置100は、液晶表示パネル200とバックライト300とを備えている。液晶表示パネル200は、入力される表示信号に基づいて画像表示を行う。バックライト300は、液晶表示パネル200の反視認側に配置されており、液晶表示パネル200の背面側から光を照射する。液晶表示パネル200は、TFTアレイ基板101、対向基板102、シール材103、液晶104、スペーサ105、走査配線2、配向膜106、対向電極107、偏光板108、ゲートドライバIC109、ソースドライバIC110を備えている。本発明において注目すべき点はアクティブマトリクス基板であるTFTアレイ基板101であり、後に詳述する。
【0014】
なお、図1においては図示しないが、TFTアレイ基板101には、水平方向に走査配線(ゲート線)、垂直方向に信号配線(ソース線)がそれぞれ形成されており、走査配線と信号配線の交差点付近にはTFTが設けられている。また、走査配線と信号配線との間には、複数の画素電極が形成されている。これにより、TFTアレイ基板101上には、画素電極がマトリクス状に形成されている。TFTのゲートが走査配線に、ソースが信号配線に、ドレインが画素電極に、それぞれ接続される。画素電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性薄膜から形成されている。この画素電極が形成されている領域が、表示領域である。
【0015】
図2に示すように、液晶表示パネル200は、TFTアレイ基板101と、TFTアレイ基板101に対向配置される対向基板102と、両基板を接着するシール材103との間の空間に液晶104を封入した構成を有している。両基板の間は、スペーサ105によって、所定の間隔となるように維持されている。TFTアレイ基板101及び対向基板102としては、例えば、光透過性のあるガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂などの絶縁性基板が用いられる。
【0016】
TFTアレイ基板101において、上述した各電極及び配線等の上には配向膜106が形成されている。一方、対向基板102のTFTアレイ基板101に対向する面には、カラーフィルタ(不図示)、対向電極107、配向膜106が順次積層形成されている。
【0017】
また、TFTアレイ基板101及び対向基板102の外側の面にはそれぞれ、偏光板108が貼着されている。液晶表示パネル200は、外部から入力される画像データに基づいて、画像の表示に必要な各種の制御信号、走査信号及び表示信号などを出力するゲートドライバIC109、ソースドライバIC110によって駆動される。各ドライバIC109、110は、COG(Chip On Glass)技術を用いて、基板上に直接実装されている。なお、各ドライバIC109、110を実装したフレキシブル基板を液晶表示パネル200に接続する場合もある。
【0018】
液晶表示パネル200の背面には、バックライト300が備えられている。バックライト300は、液晶表示パネル200の反視認側から当該液晶表示パネル200に対して光を照射する。バックライト300としては、例えば、光源、導光板、反射シート、拡散シート、プリズムシート、反射偏光シートなどを備えた一般的な構成のものを用いることができる。
【0019】
ここで、上述の液晶表示装置100の駆動について説明する。各走査配線2には、ゲートドライバIC109から走査信号が供給される。各走査信号によって、1つの走査配線2に接続されているすべてのTFTが同時にオンとなる。そして、ソースドライバIC110から各信号配線1に表示信号が供給され、画素電極に表示信号に応じた電荷が蓄積される。表示信号が書き込まれた画素電極と対向電極107との電位差に応じて、画素電極と対向電極107間の液晶の配列が変化する。
【0020】
ここで、図3を参照して、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一例であるTFTアレイ基板101の構成について説明する。図3は、実施の形態1に係るTFTアレイ基板101の構成を示す図である。本発明に係るアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置等、他の表示装置にも好適に用いられるものである。
【0021】
図3に示すように、TFTアレイ基板101は、信号配線1、走査配線2、第1のショートリング3、第2のショートリング4、ソース端子5、ゲート端子6、第1の保護回路7、第2の保護回路8を有している。基板上に形成される複数の信号配線1は、所定の間隔を隔てて垂直方向に形成されている。また、複数の走査配線2は、信号配線1と交差するように、所定の間隔を隔てて水平方向に形成されている。上述したように、表示領域においては、信号配線1と走査配線2の交差点付近にTFT(不図示)が形成されている。信号配線1と走査配線2との間には、マトリクス状に形成された複数の画素電極(不図示)を有している。TFTのゲート電極が走査配線2に、ソース電極が信号配線1に、ドレイン電極が画素電極に、それぞれ接続されている。
【0022】
複数の信号配線1のそれぞれの一端にはソース端子5が設けられている。ソース端子5には図1に示すソースドライバIC110が実装されている。あるいは、ソースドライバIC110がフレキシブル基板上に実装され、フレキシブル基板の接続端子とソース端子5とが接続されている場合もある。また、複数の走査配線2のそれぞれの一端にはゲート端子6が設けられている。ゲート端子6には図示しないゲートドライバIC109が実装されている。あるいは、ゲートドライバIC109がフレキシブル基板上に実装され、フレキシブル基板の接続端子とゲート端子6とが接続されている場合もある
【0023】
第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、基板上の信号配線1、走査配線2等に蓄積された静電気を逃がし、表示領域内のTFT素子の閾値シフトや信号配線1と走査配線2間の短絡等の不良を改善するために設けられている。第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、複数の画素や端子等が形成された素子領域に形成される。具体的には、第1のショートリング3は、ソース端子5と表示領域との間に設けられる。また、第2のショートリング4は、ゲート端子6と表示領域との間に設けられる。すなわち、第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、TFTアレイ基板101の表示領域を囲むように形成されている。従って、第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、切断後のTFTアレイ基板101上に存在するものである。このため、切断前のTFTアレイ基板の周辺領域に形成され、全ての信号配線1及び走査配線2を短絡するショートラインと呼ばれる金属配線と、第1のショートリング3及び第2のショートリング4とは異なるものである。
【0024】
第1のショートリング3は、走査配線2に平行に設けられている。また、第1のショートリング3は、複数の信号配線1に絶縁膜を介して交差するように形成されている。第1のショートリング3は、第1の保護回路7を介してそれぞれの信号配線1に接続されている。一方、第2のショートリング4は、信号配線1に平行に設けられている。また、第2のショートリング4は、複数の走査配線2に絶縁膜を介して交差するように形成されている。第2のショートリング4は、第2の保護回路8を介してそれぞれの走査配線2に接続されている。なお、第1のショートリング3と第2のショートリング4とを合わせて、1つの配線により表示領域を取り囲むようにリング状に形成してもよい。また、第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、それぞれ接地電位に接続されている。また、第1のショートリング3及び第2のショートリング4を対向電極電位に接続してもよい。
【0025】
上述したショートラインは、TFTアレイ基板101を製造する際に、複数のTFTアレイ基板101が形成されたマザー基板から個々のTFTアレイ基板101に切断した後には除去される。一方、第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、切断後においてもTFTアレイ基板101上に存在する。
【0026】
ここで、図4を参照して、実施の形態1に係るTFTアレイ基板に用いられる第1の保護回路7及び第2の保護回路8の構成について説明する。図4は、第1の保護回路7及び第2の保護回路8の構成を示す等価回路である。なお、第1の保護回路7及び第2の保護回路8は略同一の構成を有しており、図4においてはかっこ内の符号が第2の保護回路8に対応するものである。すなわち、第1の保護回路7及び第2の保護回路8は、それぞれ第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10を備えている。
【0027】
まず、第1の保護回路7について説明する。図4に示すように、第1の保護回路7は、第1の半導体素子9と第2の半導体素子10を有している。第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10は、それぞれその抵抗値が非線形で変化する整流素子である。ここでは、薄膜トランジスタ(TFT)にて形成した場合について説明する。第1の保護回路7においては、第1の半導体素子9のゲート電極及びソース電極が第1のショートリング3に接続されており、ドレイン電極が信号配線1に接続されている。すなわち、第1の半導体素子9は、TFTのゲートを当該TFTのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる。また、第2の半導体素子10のゲート電極及びソース電極が信号配線1に接続されており、ドレイン電極が第1のショートリング3に接続されている。すなわち、第2の半導体素子10は、TFTのゲートを当該TFTのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる。また、第1の保護回路7においては、第1の半導体素子9と第2の半導体素子10とが並列に接続されている。
【0028】
第1の保護回路7においては、第1の半導体素子9は、第1のショートリング3が信号配線1より高電位となったときにオン状態となり、第1のショートリング3から信号配線1へと電流を流す。また、第2の半導体素子10は、信号配線1が第1のショートリング3より高電位となったときにオン状態となり、信号配線1から第1のショートリング3へと電流を流す。すなわち、第1の保護回路7において、第1の半導体素子9の整流方向は、第2の半導体素子10の整流方向と逆方向である。
【0029】
次に、第2の保護回路8について説明する。図4のかっこ内の符号で示すように、第2の保護回路8は、第1の半導体素子9と第2の半導体素子10を有している。第2の保護回路8においては、第1の半導体素子9のゲート電極及びソース電極が第2のショートリング4に接続されており、ドレイン電極が走査配線2と接続されている。すなわち、第1の半導体素子9は、TFTのゲートを当該TFTのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる。また、第2の半導体素子10のゲート電極及びソース電極が走査配線2に接続されており、ドレイン電極が第2のショートリング4に接続されている。すなわち、第2の半導体素子10は、TFTのゲートを当該TFTのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる。また、第2の保護回路8においては、第1の半導体素子9と第2の半導体素子10とが並列に接続されている。
【0030】
第2の保護回路8においては、第1の半導体素子9は、第2のショートリング4が走査配線2より高電位となったときにオン状態となり、第2のショートリング4から走査配線2へと電流を流す。また、第2の半導体素子10は、走査配線2が第2のショートリングより高電位となったときにオン状態となり、走査配線2から第2のショートリング4へと電流を流す。すなわち、第2の保護回路8において、第1の半導体素子9の整流方向は、第2の半導体素子10の整流方向と逆方向である。
【0031】
一例として、1行目の信号配線1が静電気により第1のショートリング3よりも高電位になった場合について説明する。1行目の信号配線1が第1のショートリング3よりも静電気により高電位になると、当該信号配線1に対応する第1の保護回路7の第2の半導体素子10がオン状態となる。これにより、1行目の信号配線1と第1のショートリング3とが第2の半導体素子10を介して接続され、信号配線1に蓄積されていた電荷が第1のショートリング3へと移動する。このため、画素電極に接続されたTFT素子の閾値シフトや、信号配線1及び走査配線2との間の絶縁膜の破壊による短絡を防止することができる。
【0032】
また、第1の保護回路7は、同じ電位差において第1のショートリング3から信号配線1に電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値と、信号配線1から第1のショートリング3に電流を流す方向の第2の半導体素子10の抵抗値とが非平衡である。すなわち、第1の保護回路7を構成する第1の半導体素子9と第2の半導体素子10の抵抗特性が異なる。例えば、第1のショートリング3から信号配線1へと電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値を、信号配線1間のリーク電流が発生しないよう高い値とする。第1の半導体素子9の抵抗特性は、TFTのW/Lで調整することができる。これにより、信号配線1間のリーク電流に起因して発生する表示ムラを抑制することができる。また、信号配線1から第1のショートリング3へと電流を流す第2の半導体素子10の抵抗値は、従来と同様に、静電気による不良を軽減できるように低い値とする。
【0033】
このように構成されたTFTアレイ基板101においては、製造工程中にソース端子5から正極性の静電気が供給された場合、第2の半導体素子10により信号配線1から第1のショートリング3へ電流が流れ、静電気により不良発生を軽減することが可能であるだけでなく、信号配線1間の第1のショートリング3を介したリーク電流による表示ムラを抑制することが可能である。
【0034】
また逆に、製造工程中にソース端子5から供給される静電気が主に負極性である場合には、第1の保護回路7の、第1のショートリング3から信号配線1へ電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値を静電気による不良を軽減するように低い値にする。第2の半導体素子10の抵抗値は、信号配線1間のリーク電流が発生しないよう高い値とする。このため、効果的に静電気を除去することができ、画素電極に接続されるTFTの閾値シフトや、信号配線1と走査配線2との短絡などの問題を解決することができる。従って、リーク電流によって発生する表示ムラの改善を行うことができ、高品位の液晶表示装置100を提供することができる。
【0035】
さらに、第2の保護回路8は、同じ電位差において第2のショートリング4から走査配線2に電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値と、走査配線2から第2のショートリング4に電流を流す方向の第2の半導体素子10の抵抗値とが非平衡である。すなわち、第2の保護回路8を構成する第1の半導体素子9と第2の半導体素子10の抵抗特性が異なる。例えば、第2のショートリング4から走査配線2へと電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値を、走査配線2間のリーク電流が発生しないよう高い値とする。これにより、走査配線2間のリーク電流に起因して発生する表示ムラを抑制することができる。また、走査配線2から第2のショートリング4へと電流を流す第2の半導体素子10の抵抗値は、従来と同様に、静電気による不良を軽減できるように低い値とする。
【0036】
このように構成されたTFTアレイ基板101においては、製造工程中にゲート端子6から正極性の静電気が供給された場合、第2の半導体素子10により走査配線2から第2のショートリング4へ電流が流れ、静電気により不良発生を軽減することが可能であるだけでなく、走査配線2間の第2のショートリング4を介したリーク電流による表示ムラを抑制することが可能である。
【0037】
また逆に、製造工程中にゲート端子6から供給される静電気が主に負極性である場合には、第2の保護回路8の、第2のショートリング4から走査配線2へ電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値を静電気による不良を軽減するように低い値にしている。第2の半導体素子10の抵抗値は、走査配線2間のリーク電流が発生しないように高い値とする。このため、効果的に静電気を除去することができ、画素電極に接続されるTFTの閾値シフトや、信号配線1と走査配線2との短絡などの問題を解決することができる。従って、静電気による不良の軽減とともに、表示ムラの改善を行うことができ、高品位の液晶表示装置100を提供することができる。
【0038】
ここで、図5を参照して、図4に示す第1の保護回路7、第2の保護回路8を構成する第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10の構成を説明する。図5は、第1の半導体素子9の構成を示す断面図である。なお、第1の保護回路7及び第2の保護回路8を構成する第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10は略同一の構成を有している。
【0039】
図5に示すように、第1の半導体素子9は、TFTアレイ基板101、ゲート電極12、ゲート絶縁膜13、ソース電極14、ドレイン電極15、ノンドープアモルファスシリコン層16、リンドープアモルファスシリコン層17、保護膜18などを備えている。
【0040】
TFTアレイ基板101上には、ゲート電極12が形成されている。また、ゲート電極12上には、ゲート絶縁膜13がゲート電極12を覆うように形成されている。ゲート絶縁膜13上の、ゲート電極12に対応する位置には、ノンドープアモルファスシリコン層16が設けられている。ノンドープアモルファスシリコン層16の一部には、不純物としてリンがドープされたリンドープアモルファスシリコン層17が形成されている。リンドープアモルファスシリコン層17は、ノンドープアモルファスシリコン層16上において、2つの領域に分かれて形成されている。また、ゲート絶縁膜13及び一方のリンドープアモルファスシリコン層17上には、ソース電極14が形成されている。また、ゲート絶縁膜13及び他方のリンドープアモルファスシリコン層17上には、ドレイン電極15が形成されている。
【0041】
上記の構成の第1の保護回路7を構成する第1の半導体素子9においては、ゲート電極12は、図3に示す第1のショートリング3に接続されている。また、ソース電極14は第1のショートリング3に接続され、ドレイン電極15は信号配線1に接続されている。また、第1の保護回路7を構成する第2の半導体素子10においては、ゲート電極12は、図3に示す信号配線1に接続されている。また、ソース電極14は信号配線1に接続され、ドレイン電極15は第1のショートリング3に接続されている。従って、第1の保護回路7を構成する第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10は、信号配線1と第1のショートリング3との間にダイオード接続されている。
【0042】
また、第2の保護回路8を構成する第1の半導体素子9においては、ゲート電極12は、図3に示す第2のショートリング4に接続されている。また、ソース電極14は第2のショートリング4に接続され、ドレイン電極15は走査配線2に接続されている。また、第2の保護回路8を構成する第2の半導体素子10においては、ゲート電極12は、図3に示す走査配線2に接続されている。また、ソース電極14は走査配線2に接続され、ドレイン電極15は第2のショートリング4に接続されている。従って、第2の保護回路を構成する第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10は、走査配線2と第2のショートリング4との間にダイオード接続されている。
【0043】
図6に従来の半導体素子の構成を示す。図6に示す半導体素子において図5に示す半導体素子と同一の構成要素には同一の符号を付している。図6と比較すると、図5に示す本発明に係るTFTアレイ基板101に用いられる第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10において、金属膜からなるゲート電極12は、ノンドープアモルファスシリコン層16及びリンドープアモルファスシリコン層17からなる半導体層よりも大きく形成されている。このため、TFTアレイ基板101側から照射された光は、半導体層の下層膜であるゲート電極12により遮光され、半導体層に到達しない。
また、図5では図示していないが、半導体素子の上層に遮光膜を形成しても良い。あるいは、図2に示す対向基板102上に、カラーフィルタ(不図示)の着色層間、及び表示領域の周囲に配置されるBM(Black Matrix)などの遮光膜を、TFTアレイ基板101上の半導体素子に対応して形成しても良い。これにより、TFTアレイ基板101の半導体素子形成面側から照射された光は、半導体層の上層膜である遮光膜により遮光され、半導体層に到達しない。
【0044】
このため、光の影響による第1の保護回路7及び第2の保護回路8の抵抗値の変化を抑制することができる。従って、本発明のTFTアレイ基板によれば、使用時において光の影響による保護回路7、8の抵抗特性変動を抑制することができる。このように、光リークによって生じる保護回路7、8の抵抗特性の変化を低減することができる。
【0045】
ここで、本発明に係るTFTアレイ基板及び液晶表示装置100の製造方法について図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係るTFTアレイ基板の製造方法を説明するためのフロー図である。図7に示すように、まず、TFTアレイ基板101上にスパッタリング法等を用いて第1の金属薄膜を成膜し、走査配線2、第1のショートリング3、ゲート電極12を所定のパターンで形成する(ステップS1)。なお、ゲート電極12の形成と同時に、表示領域中のTFT素子のゲート電極を同時に形成する。
【0046】
次に、プラズマCVD法を用いて、ゲート絶縁膜13を形成する。そして、アモルファスシリコン膜を成膜した後リンをドープして、ノンドープアモルファスシリコン層16及びリンドープアモルファスシリコン層17を形成し、ノンドープアモルファスシリコン層16及びリンドープアモルファスシリコン層17を所定のパターンにパターニングする(ステップS2)。続いて、スパッタリング法等を用いて、第2の金属薄膜を成膜し、信号配線1、第2のショートリング4、ソース電極14及びドレイン電極15を所定のパターンで形成する(ステップS3)。なお、ソース電極14及びドレイン電極15の形成と同時に、表示領域中のTFT素子のソース電極及びドレイン電極15を同時に形成する。
【0047】
その後、ゲート絶縁膜13、ノンドープアモルファスシリコン層16、ソース電極14、及びドレイン電極15の上に保護膜18を成膜する(ステップS4)。このようにして、第1の保護回路7及び第2の保護回路8が形成される。そして、その上に画素電極を形成する(ステップS5)。画素電極は、保護膜18に形成されるコンタクトホールを介して、第2の金属薄膜からなる表示領域中のTFTのドレイン電極を接続される。
【0048】
そして、画素電極を形成すると同時に、第1の保護回路7と第1のショートリング3及び信号配線1、第2の保護回路8と第2のショートリング4及び走査配線2との接続を行う(ステップS5)。このようにして、形成されたTFTアレイ基板においては、信号配線1が第1の保護回路7によって第1のショートリング3と接続される。また、走査配線2が第2の保護回路8を介して、第2のショートリング4と接続される。従って、第1のショートリング3及び第2のショートリング4は、TFTアレイ基板の切断工程後においても、液晶表示パネル中に残っている。このため、TFTアレイ形成工程後の切断工程、モジュール実装工程において発生する静電気による絶縁破壊の発生を抑制することができる。また、第1の保護回路7及び第2の保護回路8を構成する第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10は、表示領域中のTFTと同一の工程により形成される。これにより、製造工程の増加を抑制することができる。
【0049】
そして、切断工程、実装工程において発生する静電気の極性及びドライバICの駆動能力を考慮し、第1の半導体素子9及び第2の半導体素子10のW/Lを調整することにより、静電気による不良の発生を軽減するだけでなく、隣接する信号配線1間の第1のショートリング3を介したリーク電流、隣接する走査配線2間の第2のショートリング4を介したリーク電流を抑制することができ、表示ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0050】
そして、上述したように形成したTFTアレイ基板101と対向電極等を形成した対向基板102とを対向配置して、一定の間隔をもってシール材により貼り合せる(ステップS6)。この両基板とシール材とで形成される空間に液晶104を注入して、注入口を封止する(ステップS7)。これにより、液晶表示パネル200が形成される。そして、液晶表示パネル200の周辺領域にゲートドライバIC109及びソースドライバIC110、バックライト300等その他の周辺機器を実装して(ステップS8)、液晶表示装置100が完成する。
【0051】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るアクティブマトリクス基板について図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態に係るTFTアレイ基板の第1の保護回路7及び第2の保護回路8の構成を示す等価回路である。本実施の形態に係るTFTアレイ基板において、図4に示す実施の形態1と異なる点は、第1の半導体素子9、第2の半導体素子10にそれぞれ直列に接続した第3の半導体素子19、第4の半導体素子20をさらに接続した点である。なお、図8において、図4と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。また、第1の保護回路7及び第2の保護回路8は略同一の構成を有しており、図8においてはかっこ内の符号が第2の保護回路8に対応するものである。
【0052】
まず、本実施の形態にかかる第1の保護回路7について説明する。図8に示すように、第1の保護回路7は、第1の半導体素子9、第2の半導体素子10、第3の半導体素子19、第4の半導体素子20を有している。第1の半導体素子9、第2の半導体素子10、第3の半導体素子19、第4の半導体素子20は、それぞれその抵抗が非線形で変化する整流素子である。ここでは、薄膜トランジスタ(TFT)にて形成した場合について説明する。従って、第1の半導体素子9、第2の半導体素子10、第3の半導体素子19、第4の半導体素子20は、TFTのゲートを当該TFTのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる。
第1の保護回路7においては、第1の半導体素子9のゲート電極及びソース電極が第1のショートリング3に接続されており、第1の半導体素子9のドレイン電極が第3の半導体素子19のゲート電極及びソース電極に接続されている。また、第3の半導体素子19のドレイン電極は、信号配線1と接続されている。すなわち、第1の半導体素子9と第3の半導体素子19とは、信号配線1と第1のショートリング3との間に直列にダイオード接続されている。ここで、第1の半導体素子9と第3の半導体素子19とを第1の電流制御素子21とする。
【0053】
また、第4の半導体素子20のゲート電極及びソース電極が信号配線1に接続されており、第4の半導体素子20のドレイン電極が第2の半導体素子10のゲート電極及びソース電極に接続されている。また、第2の半導体素子10のドレイン電極が、第1のショートリング3に接続されている。すなわち、第2の半導体素子10と第4の半導体素子20とは、信号配線1と第1のショートリング3との間に直列にダイオード接続されている。ここで、第2の半導体素子10と第4の半導体素子20とを第2の電流制御素子22とする。第1の半導体素子9及び第3の半導体素子19からなる第1の電流制御素子21と、第2の半導体素子10及び第4の半導体素子20からなる第2の電流制御素子22とは並列に接続されている。また、第1の電流制御素子21の整流方向と第2の電流制御素子22の整流方向とは逆向きに接続されている。
【0054】
第1の保護回路7においては、第1の半導体素子9は、第1のショートリング3が高電位となったときにオン状態となる。そして、第3の半導体素子19がオン状態となり、第1のショートリング3から信号配線1へと電流が流れる。また、第2の半導体素子10は、信号配線1が高電位となったときにオン状態となる。そして、第4の半導体素子20がオン状態となり、信号配線1から第1のショートリング3へと電流が流れる。
【0055】
次に、本実施の形態にかかる第2の保護回路8について説明する。図8のかっこ内の符号に示すように、第2の保護回路8は、第1の半導体素子9、第2の半導体素子10、第3の半導体素子19、第4の半導体素子20を有している。第2の保護回路8においては、第1の半導体素子9のゲート電極及びソース電極が第2のショートリング4に接続されており、第1の半導体素子9のドレイン電極が第3の半導体素子19のゲート電極及びソース電極に接続されている。また、第3の半導体素子19のドレイン電極は、走査配線2と接続されている。すなわち、第1の半導体素子9と第3の半導体素子19とは、走査配線2と第2のショートリング4との間に直列にダイオード接続されている。ここで、第1の半導体素子9と第3の半導体素子19とを第1の電流制御素子21とする。
【0056】
また、第4の半導体素子20のゲート電極及びソース電極が走査配線2に接続されており、第4の半導体素子20のドレイン電極が第2の半導体素子10のゲート電極及びソース電極に接続されている。また、第2の半導体素子10のドレイン電極が、第2のショートリング4に接続されている。すなわち、第2の半導体素子10と第4の半導体素子20とは、走査配線2と第2のショートリング4との間に直列にダイオード接続されている。ここで、第2の半導体素子10と第4の半導体素子20とを第2の電流制御素子22とする。また、第1の半導体素子9及び第3の半導体素子19からなる第1の電流制御素子21と、第2の半導体素子10及び第4の半導体素子20からなる第2の電流制御素子22とは並列に接続されている。また、第1の電流制御素子21の整流方向と第2の電流制御素子22の整流方向とは逆向きに接続されている。
【0057】
第2の保護回路8においては、第1の半導体素子9は、第2のショートリング4が高電位となったときにオン状態となる。そして、第3の半導体素子19がオン状態となり、第2のショートリング4から走査配線2へと電流がれる。また、第2の半導体素子10は、走査配線2が高電位となったときにオン状態となる。そして、第4の半導体素子20がオン状態となり、走査配線2から第2のショートリング4へと電流が流れる。
【0058】
また、第1の保護回路7は、第1のショートリング3から信号配線1に電流を流す方向の抵抗値と、信号配線1から第1のショートリング3に電流を流す方向の抵抗値とが非平衡である。すなわち、第1の保護回路7を構成する第1の電流制御素子21と第2の電流制御素子22の抵抗特性が異なる。例えば、第1のショートリング3から信号配線1へと電流を流す方向の第1の電流制御素子21の抵抗値を、信号配線1間のリーク電流が発生しないよう高い値とする。これにより、信号配線1間のリーク電流に起因して発生する表示ムラを抑制することができる。また、信号配線1から第1のショートリング3へと電流を流す第2の電流制御素子22の抵抗値は、従来と同様に、静電気による不良を軽減できるように低い値とする。
【0059】
このように構成されたTFTアレイ基板101においては、製造工程中にソース端子5から正極性の静電気が供給された場合、静電気により不良発生を軽減することが可能であるだけでなく、信号配線1間の第1のショートリング3を介したリーク電流による表示ムラを抑制することが可能ある。
【0060】
また、製造工程中にソース端子5から供給される静電気が主に負極性である場合には、第1の保護回路7の抵抗値を、信号配線1から第1のショートリング3へ電流を流す方向の第1の電流制御素子21の抵抗値を静電気による不良を軽減するように低い値にする。このため、効果的に静電気を除去することができ、画素電極に接続されるTFTの閾値シフトや、信号配線1と走査配線2との短絡などの問題を解決することができる。よって、リーク電流による表示ムラを改善することができる。
【0061】
さらに、第2の保護回路8は、第2のショートリング4から走査配線2に電流を流す方向の抵抗値と、走査配線2から第2のショートリング4に電流を流す方向の抵抗値とが非平衡である。すなわち、第2の保護回路8を構成する第1の電流制御素子21と第2の電流制御素子22の抵抗特性が異なる。例えば、第2のショートリング4から走査配線2へと電流を流す方向の第1の電流制御素子21の抵抗値を、走査配線2間のリーク電流が発生しないよう高い値とする。これにより、走査配線2間のリーク電流に起因して発生する表示ムラを抑制することができる。また、走査配線2から第2のショートリング4へと電流を流す第2の電流制御素子22の抵抗値は、従来と同様に、静電気による不良を軽減できるように低い値とする。
【0062】
このように構成されたTFTアレイ基板101においては、製造工程中にゲート端子6から正極性の静電気が供給された場合、静電気により不良発生を軽減することが可能であるだけでなく、走査配線2間の第2のショートリング4を介したリーク電流による表示ムラを抑制することが可能ある。
【0063】
また、製造工程中にゲート端子6から供給される静電気が主に負極性である場合には、第2の電流制御素子22の抵抗値を、第2のショートリング4から走査配線2へ電流を流す方向の第1の半導体素子9の抵抗値を静電気による不良を軽減するように低い値にする。このため、効果的に静電気を除去することができ、画素電極に接続されるTFTの閾値シフトや、信号配線1と走査配線2との短絡などの問題を解決することができる。従って、静電気による不良の軽減とともに、表示ムラの改善を行うことができ、高品位の液晶表示装置100を提供することができる。このように、リーク電流による表示ムラを改善することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、第1の電流制御素子21を直列に接続した第1の半導体素子9と第3の半導体素子の2つの半導体素子から形成し、第2の電流制御素子22を直列に接続した第2の半導体素子10と第4の半導体素子20の2つの半導体素子から形成している。これにより、第1の電流制御素子21及び第2の電流制御素子22の静電気の耐圧性を向上させることができる。また、パターン欠陥による信号配線1と第1のショートリング3との、走査配線2と第2のショートリング4との短絡に対する冗長性を増加させることができる。このため、TFTアレイ基板の歩留りを上げることが可能となる。
【0065】
実施の形態3.
図9及び図10に、本発明の実施の形態3に係るアクティブマトリクス基板の構成を示す。図9及び図10において、図3と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。図9に示すように、第1のショートリング3にはソースドライバIC110の1つのCOG端子23が接続されている。また、第2のショートリング4には、ゲートドライバIC109の1つのCOG端子24が接続されている。このような構成とすることにより、各ドライバICから入力する電位を調整して、ドライバIC実装後の第1の保護回路7及び第2の保護回路8の抵抗値を容易に制御することができる。なお、ここでは、ドライバICを信号配線1用と走査配線2用とで別々に構成したが、1つのドライバICにより構成することも可能である。
【0066】
また、図10に示すように、第1のショートリング3にFPC端子25を接続し、第2のショートリング4に他のFPC端子26を接続してもよい。また、この場合、FPCにはドライバICが実装されている。このような構成とすることにより、各ドライバICからFPCを介して入力する電位を調整して、ドライバIC実装後の第1の保護回路7及び第2の保護回路8の抵抗値を容易に制御することができる。
【0067】
このように、ドライバICの実装後に、ドライバICから第1のショートリング3、第2のショートリング4にそれぞれ入力される電位により、第1の保護回路7及び第2の保護回路8の抵抗値を任意に制御することができる。また、第1のショートリング3及び第2のショートリング4の電位を一定に維持することが容易となる。これにより、静電気による不良の低減とともに、配線間のリークによる表示ムラの発生を抑制することができる。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、ショートリングに接続する保護回路の抵抗値を、所望の値に調整することで、配線間のリークによる表示不良を低減することができ、さらに静電気によるスイッチング素子の閾値シフトや、信号配線と走査配線間の絶縁膜の破壊による短絡などの不良を大幅に抑制することが可能となる。
【0069】
また、保護回路の半導体層をゲート電極等の下層膜又は遮光膜、BM等の上層膜によって遮光することにより、光の影響による保護回路の抵抗特性の変化を低減できる。このように、本実施の形態にかかるTFTアレイ基板によれば、使用時において光の影響による保護回路7、8の抵抗特性変動を抑制することができる。さらに、保護回路としてそれぞれ直列に接続した2つの半導体素子からなる2つの電流制御素子によりショートリングに接続することにより、保護回路のパターン欠陥等による信号配線とショートリングとの短絡に対する冗長性を増加させることができるとともに、静電気に対する耐圧性を向上させることができる。さらに、保護回路を構成する半導体素子のゲート電極の電位を、ドライバICから直接、又はFPCを介して入力される入力信号により制御することで、保護回路の抵抗値を容易に制御することが可能となり、また、配線間のリーク電流による表示ムラを抑制することが可能となる。
【0070】
なお、上記の実施例においては、保護回路を構成する整流素子として薄膜トランジスタの2端子半導体素子を用いたが、これに限定されない。例えば、MNR(Metal oxide Non linear Resistor)バリスタなどの非線形整流素子を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る液晶表示装置の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態1に係る液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1に係るTFTアレイ基板の構成を示す等価回路図である。
【図4】実施の形態1に係るTFTアレイ基板の保護回路の構成を示す等価回路図である。
【図5】実施の形態1に係るTFTアレイ基板の保護回路を構成する半導体素子の断面図である。
【図6】従来のTFTアレイ基板の保護回路を構成する半導体素子の断面図である。
【図7】実施の形態1に係る液晶表示装置の製造方法を示すフロー図である。
【図8】実施の形態2に係るTFTアレイ基板の保護回路の構成を示す等価回路図である。
【図9】実施の形態3に係るTFTアレイ基板の構成を示す等価回路図である。
【図10】実施の形態3に係るTFTアレイ基板の構成を示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0072】
1 信号配線
2 走査配線
3 第1のショートリング
4 第2のショートリング
5 ソース端子
6 ゲート端子
7 第1の保護回路
8 第2の保護回路
9 第1の半導体素子
10 第2の半導体素子
11 ガラス基板
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 ノンドープアモルファスシリコン層
17 リンドープアモルファスシリコン層
18 保護膜
19 第3の半導体素子
20 第4の半導体素子
21 第1の電流制御素子
22 第2の電流制御素子
23 第1のショートリングへの電位入力用COG端子
24 第2のショートリングへの電位入力用COG端子
25 第1のショートリングへの電位入力用FPC端子
26 第2のショートリングへの電位入力用FPC端子
100 液晶表示装置
101 TFTアレイ基板
102 対向基板
103 シール材
104 液晶
105 スペーサ
106 配向膜
107 対向電極
108 偏光板
109 ゲートドライバIC
110 ソースドライバIC
200 液晶表示パネル
300 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマトリクス状に形成された複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子にそれぞれ接続された複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線に対応して設けられた複数の第1の保護回路と、
前記複数の第1の配線のそれぞれと前記第1の保護回路を介して接続される第1のショートリングとを備えるアクティブマトリクス基板であって、
前記第1の保護回路は、
前記第1のショートリングから前記第1の配線に電流を流す第1の整流素子と、
前記第1の配線から前記第1のショートリングに電流を流す第2の整流素子とを有し、
前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とは並列に接続され、
前記第1の整流素子の抵抗特性と前記第2の整流素子の抵抗特性とは異なるアクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記第1の整流素子又は前記第2の整流素子は、薄膜トランジスタのゲートを当該薄膜トランジスタのソース又はドレインに接続した2端子素子からなる請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記第1の整流素子又は前記第2の整流素子の半導体層の下層膜は、その半導体層よりも大きく、
前記半導体層は、前記下層膜により遮光されている請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記第1の整流素子又は前記第2の整流素子の半導体層は、その上層膜により遮光されている請求項3に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記第1の保護回路は、
前記第1の整流素子と直列に接続された第3の整流素子と、
前記第2の整流素子と直列に接続された第4の整流素子とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記第1のショートリングは、当該第1のショートリングに所望の電位を供給するための端子を有している請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板を備えるアクティブマトリクス表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−310131(P2007−310131A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138995(P2006−138995)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】