説明

ウェハチャックの検査方法

【課題】装置に組み込んだ状態での検査が可能なウェハチャックの検査方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る検査方法は、上面において半導体ウェハを吸着保持するウェハチャック31の検査方法であって、ウェハチャック31の上面に所定のテストウェハW2を載置するとともに、テストウェハW2の上面にオプティカルフラット40を重ねて載置し、テストウェハW2の上面に重ねて載置されたオプティカルフラット40に現れる干渉縞の所定の状態からの変化よりウェハチャック31の上面における欠陥を検出し、オプティカルフラット40を用いてウェハチャック31の上面における欠陥が検出された場合に、ウェハチャック31の上面において干渉縞の変化が生じた箇所を顕微鏡で観察することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハを吸着保持するウェハチャックの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハの研磨に用いられる研磨装置は、例えば、ウェハよりも径が小さい研磨パッドを用いる研磨装置や、ウェハよりも径が大きい研磨パッドを用いる(コンベンショナルの)研磨装置が知られている。ウェハよりも径が小さい研磨パッドを用いる研磨装置においては、研磨パッドがウェハに対して揺動運動しながら研磨を行うため、ウェハの裏面をウェハ保持部の吸着面に真空吸着させて、ウェハがウェハ保持部より脱落しないようにした状態で研磨を行っている。
【0003】
ウェハ保持部は、回転自在な円盤状のウェハチャックを有して構成され、ウェハチャックの上面にウェハの裏面が接触するようになっている。ウェハチャックは、いわゆるピンチャックと称されるものであり、上面に多数のピン形状の凸部が形成されている(例えば、特許文献1を参照)。また、チャック上面の凸部の間に位置する凹部には、真空源に繋がる多数の吸着穴が開口して設けられており、ウェハの裏面をウェハチャック(凸部)の上面に接触させて、多数の吸着穴に負圧を作用させることで、ウェハの裏面がウェハチャックの上面に真空吸着されるようになっている。このようにして、ウェハの裏面(すなわち、被吸着面)がウェハチャックの上面(すなわち、吸着面)に真空吸着された状態で、ウェハがウェハ保持部に吸着保持される。
【0004】
また、各凸部の上面は同一高さとなるように形成され、ウェハの裏面が各凸部の上面に真空吸着されたときに、ウェハが各凸部の上面に倣って平坦に保持される。そのため、各凸部の上面(すなわち、ウェハチャックの上面)には高い平面度が要求され、ウェハチャックの製造時においてこの平面度の検査も行われている。
【特許文献1】特開平10−50810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェハチャックを研磨装置(ウェハ保持部)に組み込んだ後は、研磨後のウェハに何らかの不具合が生じた場合に、ウェハチャックを研磨装置から取り外して調べていたため、作業が煩雑となっていた。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、装置に組み込んだ状態での検査が可能なウェハチャックの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明に係る検査方法は、上面において半導体ウェハを吸着保持するウェハチャックの検査方法であって、ウェハチャックの上面に所定のテストウェハを載置するとともに、テストウェハの上面にオプティカルフラットを重ねて載置し、テストウェハの上面に重ねて載置されたオプティカルフラットに現れる干渉縞の所定の状態からの変化よりウェハチャックの上面における欠陥を検出し、オプティカルフラットを用いてウェハチャックの上面における欠陥が検出された場合に、ウェハチャックの上面において干渉縞の所定の状態からの変化が生じた箇所を顕微鏡で観察することを特徴とする。
【0008】
また、上述の発明において、ウェハチャックは、円盤状に形成されてウェハチャックの上面を含む平面内で回転自在に構成されており、オプティカルフラットを用いてウェハチャックの上面における欠陥が検出された場合に、オプティカルフラットおよびテストウェハをウェハチャックの上面から取り除くとともに、顕微鏡設置手段を用いて顕微鏡をウェハチャックの上方にウェハチャックの径方向へスライド移動可能に設置し、ウェハチャックを回転させるとともに、顕微鏡設置手段を用いて顕微鏡をウェハチャックの径方向へスライド移動させることにより、顕微鏡をウェハチャックの上面において干渉縞の所定の状態からの変化が生じた箇所の上方に移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置に組み込んだままの状態でウェハチャックの上面を検査することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明が適用されるウェハチャックを備えた研磨装置として、半導体ウェハW1を3ステージの研磨工程で精密に平坦研磨するCMP装置(以降の説明では単に「研磨装置1」と呼ぶ)の構成について説明する。この研磨装置1は、その全体構成を図1に平面図として示すように、大きくカセットインデックス部100、ウェハ洗浄部200、研磨部300、およびこの研磨装置の作動を制御する制御装置(図示せず)からなり、装置全体が一体のクリーンチャンバを構成するとともに各部が小室に仕切られて構成されている。
【0011】
カセットインデックス部100には、複数のウェハW1を保持したカセット(キャリアとも称する)C1〜C4を載置するウェハ載置テーブル120、ウェハW1のノッチまたはオリエンタルフラットを一定方向に配向させるアライナー機構130、カセット内の未加工ウェハW1を取り出して洗浄部200の洗浄機仮置き台211に搬入し、また、洗浄部200で洗浄された加工済みウェハW1をカセットに収納する第1搬送ロボット150等が設けられている。
【0012】
第1搬送ロボット150は2本の多関節アームを有する多関節アーム型のロボットであり、基台151上に水平旋回および昇降作動が自在に取り付けられた旋回台152、旋回台152に屈伸作動自在に取り付けられた2本の多関節アーム153a,153b、各アームの先端部に伸縮自在に取り付けられたAアーム155aおよびBアーム155b(Bアーム155bはAアーム155aの下方にオフセット配置され、図1において上下に重なって位置している)等から構成されている。Aアーム155aおよびBアーム155bの先端部には、ウェハW1を裏面側から支持して吸着保持する保持部が形成されている。基台151には直線移動装置が設けられており、床面に配設されたリニアガイド160に沿って水平移動自在に構成されている。
【0013】
ウェハ洗浄部200は、第1洗浄室210、第2洗浄室220、第3洗浄室230および乾燥室240の4室構成からなり、研磨加工済みのウェハW1が第1洗浄室210→第2洗浄室220→第3洗浄室230→乾燥室240のように順次送られて研磨加工部300で付着した研磨加工液(スラリ)、研磨摩耗粉等の除去洗浄が行われる。
【0014】
各洗浄室の構成は種々の公知手法を用いることができるが、本実施例では第1洗浄室210での粗洗浄として回転ブラシによる両面洗浄、第2洗浄室220での中洗浄として超音波加振下での表面ペンシル洗浄、第3洗浄室230での仕上げ洗浄として純水によるスピナー洗浄、乾燥室240では窒素雰囲気下における乾燥処理を行うように構成している。なお、洗浄工程は研磨加工を行ったウェハについて行い、未加工ウェハは洗浄機仮置き台211を介してウェハ洗浄部200を通過し研磨部300に搬入される。
【0015】
研磨部300は、研磨加工を行う領域であり、中央に円盤状のインデックステーブル340が設けられている。インデックステーブル340は90度ごとの4区画に等分割され、区画ごとにウェハW1を吸着保持する4つのウェハ保持部30,30,…が設けられるとともに、内蔵するステッピングモータの作動によりテーブル全体を90度ごとに回動送りさせる。インデックステーブル340の周囲には、このテーブルの位置決め停止位置に対応して外周から取り囲むように、第1研磨ステージ310、第2研磨ステージ320、第3研磨ステージ330の3つの研磨ステージと、ウェハ保持部30に未加工ウェハW1を搬入し、また、研磨加工が終了した加工済みウェハW1をウェハ保持部30から取り出して搬送する搬送ステージ350とが形成されている。
【0016】
インデックステーブル340に設けられたウェハ保持部30は、図2に示すように、上面においてウェハW1を吸着保持するウェハチャック31を主体に構成される。また、詳細な図示を省略するが、ウェハ保持部30には、ウェハチャック31の上面にウェハW1の裏面を真空吸着させる吸着保持機構、ウェハチャック31をインデックステーブル340に対して水平面内(ウェハチャック31の上面を含む平面内)で高速回転させるチャック回転機構、研磨加工時に使用するスラリが乾燥固着しないようにウェハチャック31に純水を供給して洗い流すチャック洗浄機構等が設けられている。
【0017】
ウェハチャック31は、ステンレスやセラミック等の高い剛性を有する材料を用いて円盤状に形成され、チャック回転機構に構成される回転軸32の上端に取り付けられてほぼ水平姿勢に保持される。また、詳細な図示を省略するが、ウェハチャック31の上面には多数のピン形状の凸部が形成され、チャック上面の各凸部の間に位置する凹部には多数の吸着穴が開口して設けられており、ウェハW1の裏面をウェハチャック31(凸部)の上面に接触させて、吸着保持機構を用いて吸着穴に負圧を作用させることで、ウェハW1の裏面がウェハチャック31の上面に真空吸着されるようになっている。
【0018】
ウェハチャック31の直径はウェハ直径よりもわずかに小径に形成されており、ウェハチャック31上へのウェハW1の搬入やウェハチャック31からの搬出時にウェハW1の外周端部を把持可能に構成されている。このため、ウェハW1をウェハチャック31上に搬入して吸着保持させ、上面においてウェハW1が吸着保持されたウェハチャック31をチャック回転機構により高速回転および停止保持させることが自在に構成されている。
【0019】
図1に示すように、第1研磨ステージ310、第2研磨ステージ320、第3研磨ステージ330の3つの研磨ステージには、それぞれ、インデックステーブル340に対して水平方向に揺動自在かつ鉛直方向に上下動自在な研磨アーム311,321,331が設けられている。各研磨アームの先端部にはこの研磨アームから垂下して水平面内に高速回転自在な研磨ヘッドが取り付けられており、その下端面にウェハW1との相対回転によりウェハ表面を平坦研磨する研磨パッドを有している。
【0020】
このため、例えば第1研磨ステージ310において研磨加工を行うときには、研磨アーム311を揺動させて研磨ヘッドをウェハチャック31の上方に移動させ、研磨ヘッドおよびウェハチャック31を相対回転させるとともに研磨アーム311を降下させて研磨パッドをウェハW1上に押圧させ、研磨パッド中心部からスラリを供給しながら研磨アームを揺動往復させることにより、ウェハチャック31上に吸着保持されたウェハW1の表面を平坦に研磨加工することができる。
【0021】
また、各研磨ステージ310,320,330には、研磨パッドの揺動軌跡上に、研磨パッドの表面(研磨加工面)をドレスアップするパッドドレッサ317,327,337が設けられている。パッドドレッサ317,327,337は、ウェハW1を研磨加工することによって研磨パッドの表面に生じる目詰まりや目の不揃いを修正(ドレッシング、目立て)する装置であり、表面にダイヤモンド砥粒が固着されて回転自在なディスクと、ドレッシング後の研磨パッドの表面に純水を噴射して研磨パッド表面を純水洗浄するノズルとを有して構成されている。研磨パッドのドレッシングは研磨アーム311,321,331を揺動させて研磨パッドをパッドドレッサ上に移動させ、研磨パッドとディスクとを相対回転させながら押圧させることにより行われる。
【0022】
搬送ステージ350には、ウェハW1の搬送を行う第2搬送ロボット360と第3搬送ロボット370およびこれらの搬送ロボット間でウェハW1の受け渡しを仲介するA仮置き台381およびB仮置き台382とが配設されている。第2搬送ロボット360は、前述した第1搬送ロボット150と同様の多関節アーム型ロボットであり、水平旋回および昇降作動自在な旋回台362上に揺動自在に取り付けられた2本の多関節アーム363a,363bおよび各多関節アームの先端部に伸縮自在に取り付けられたAアーム365aおよびBアーム365bから構成されている。Aアーム365aとBアーム365bとは上下にオフセットして配置されるとともに、両アームの先端部にはウェハW1を裏面側から支持して吸着保持する保持部が形成されている。
【0023】
第3搬送ロボット370は、インデックステーブル340に対して水平方向に揺動自在かつ鉛直方向に上下動自在な揺動アーム371と、揺動アームの先端部にこの揺動アームに対して水平旋回自在に取り付けられた回動アーム372、回動アーム372の両端部に懸吊されてウェハW1の外周端部を把持するAクランプ375aおよびBクランプ375b等から構成されている。Aクランプ375aとBクランプ375bとは回動アーム372の回動中心から同一距離の回動アーム端部に配設されている。図1に示す状態は第3搬送ロボット370の待機姿勢を示しており、図におけるAクランプ375aとBクランプ375bとの下方に、それぞれ未加工のウェハW1を載置するA仮置き台381と、研磨加工済みのウェハW1を載置するB仮置き台382とが設けられている。
【0024】
このため、第3搬送ロボット370の揺動アーム371を揺動作動させ、回動アーム372を旋回作動させることによりAクランプ375aまたはBクランプ375bのいずれをもインデックステーブル340におけるウェハチャック31の上方に移動させることができ、当該位置で揺動アーム371を下降させてAクランプ375aまたはBクランプ375bでウェハチャック31上のウェハW1を外周クランプして受取り、あるいは、ウェハチャック31上に新たなウェハW1を載置保持させることができる。
【0025】
なお、研磨加工後のウェハW1にはスラリを含んだ研磨加工液が付着していることから、研磨装置1では研磨加工前のウェハW1を搬入するアームおよびクランプと、研磨加工後のウェハW1を搬出するアームおよびクランプとを区別して用いている。すなわち、上下にオフセットされたA,Bアームのうち上方に位置するAアーム365aを未加工ウェハの搬入用アーム、下方に位置するBアーム365bを搬出用アームに、また、Aクランプ375aを搬入用クランプ、Bクランプ375bを搬出用クランプとして規定し作動させている。
【0026】
続いて、上述のように研磨装置1に組み込まれた状態のウェハチャック31の検査方法について説明する。このウェハチャック31の検査は、比較的スペースのある搬送ステージ350で行われる。まず、図3に示すように、ウェハチャック31の上面に所定のテストウェハW2を載置する。このテストウェハW2には、平坦度が約0.5μmに仕上げられたスーパーフラットネスウェハを用いることが好ましい。
【0027】
次に、テストウェハW2の上面にオプティカルフラット40を重ねて載置する。オプティカルフラット40とは、波長の1/10以下の平坦度に仕上げられた平面を有する光学素子であり、本実施形態においては、いわゆる青ガラスを用いてウェハチャック31とほぼ同じ径を有する円板状に形成される。なお、オプティカルフラット40の材料として石英ガラスやパイレックス(登録商標)等を用いてもよく、また、オプティカルフラット40の径はウェハチャック31の径より大きくてもよい。
【0028】
続いて、テストウェハW2の上面に重ねて載置されたオプティカルフラット40を照明装置41により上方から照明し、照明によりオプティカルフラット40に現れた干渉縞をデジタルカメラ42により撮影する。次に、予め撮影しておいた比較用の(例えば、未使用時の)オプティカルフラット40の干渉縞と、今回撮影したオプティカルフラット40の干渉縞とを比較して、オプティカルフラット40に現れる干渉縞に変化がないかどうか目視で調べる。
【0029】
このとき、ウェハチャック31の上面が正常な状態(すなわち、比較用)の干渉縞は、例えば、図4に示すような干渉縞45となる。一方、ウェハチャック31の上面に異物が付着した状態では、例えば、図5に示すような干渉縞46となる。この干渉縞46を比較用の干渉縞45と比較することにより、図5に示す干渉縞46から、干渉縞の変化が著しい箇所X1において異物が付着している等の欠陥が生じていることが推測される。
【0030】
このように、オプティカルフラット40に現れる干渉縞の変化よりウェハチャック31の上面における欠陥を検出し、干渉縞の変化、すなわちウェハチャック31の上面における欠陥が検出された場合には、オプティカルフラット40およびテストウェハW2をウェハチャック31の上面から取り除いて、図7に示すように、ウェハチャック31の上面において干渉縞の変化が生じた箇所X2(図5の干渉縞46における干渉縞の変化が著しい箇所X1に該当する)を顕微鏡70で観察する。
【0031】
このとき、顕微鏡設置ユニット50(顕微鏡設置手段)を用いて顕微鏡70をウェハチャック31の上方に設置した状態で、顕微鏡70によるウェハチャック31上面の観察が行われる。顕微鏡設置ユニット50は、図6および図7に示すように、ウェハチャック31の上方に配置されるベース板51と、シャフト54を介してベース板51の下方に連結された支持リング55と、ベース板51上で顕微鏡70をスライド移動自在に保持する顕微鏡保持部60とを主体に構成される。
【0032】
ベース板51には、ベース板51の中央部から一方の端部まで延びるように逃げ部52が形成されており、顕微鏡保持部60に保持された顕微鏡70がベース板51と干渉しないようになっている。ベース板51の外縁部近傍には、取っ手53が2つ取り付けられており、顕微鏡設置ユニット50を持ち運びしやすいようになっている。ベース板51の下面側には複数のシャフト54が連結されており、シャフト54の下端部には支持リング55が連結される。
【0033】
支持リング55は、ウェハチャック31の側部を覆うカバー部材33の形状に合わせた円筒状に形成され、ウェハチャック31と干渉しないようにカバー部材33の上部に嵌合して取り付けられるようになっている。なお、ウェハ保持部30に構成されるカバー部材33は、ウェハチャック31の中腹部より下側の部分を覆う円筒状に形成され、カバー部材33の上部中央に設けられた開口部からウェハチャック31の上面が外部露出するようになっている。このように、カバー部材33の上部に取り付けられた支持リング55およびシャフト54に支持された状態で、ベース板51がウェハチャック31の上方に配置される。なお、支持リング55の向きは、位置決めピン56を用いて位置決めされる。
【0034】
ベース板51の上面側における逃げ部52の近傍には、リニアガイド57が逃げ部52の延びる方向と平行に取り付けられており、このリニアガイド57に顕微鏡保持部60がスライド移動自在に取り付けられる。これにより、顕微鏡保持部60は、ベース板51に対して逃げ部52の延びる方向と平行にスライド移動自在となる。
【0035】
顕微鏡保持部60は、リニアガイド57にスライド移動自在に取り付けられたスライダ61と、スライダ61の上面に取り付けられて上方に延びるブラケット62と、ブラケット62の側部に取り付けられた第1プレート部材63と、第1プレート部材63に対して上下移動可能に取り付けられた第2プレート部材64と、顕微鏡70を第2プレート部材64に取付保持するための顕微鏡取付部材65とを有して構成される。そのため、第2プレート部材64に取付保持された顕微鏡70は、ベース板51に対して、逃げ部52の延びる方向と平行にスライド移動自在になるとともに、逃げ部52を通過するように上下移動可能となる。なお、顕微鏡70の上部には、顕微鏡70による像を撮像可能なCCDカメラ71が取り付けられる。
【0036】
また、支持リング55がカバー部材33の上部に嵌合して取り付けられた状態では、逃げ部52がウェハチャック31の径方向(ウェハチャック31の中心線Lの方向)と平行に延びるようになっている。そのため、顕微鏡保持部60に保持された顕微鏡70は、支持リング55がカバー部材33の上部に嵌合して取り付けられると、ウェハチャック31の上方に位置してウェハチャック31の径方向へスライド移動可能となる。このように、支持リング55をカバー部材33の上部に嵌合させて顕微鏡設置ユニット50をカバー部材33の上部に設置することで、顕微鏡70をウェハチャック31の上方にウェハチャック31の径方向へスライド移動可能に設置することができる。
【0037】
顕微鏡設置ユニット50を用いて顕微鏡70をウェハチャック31の上方に設置した後、ウェハチャック31を回転させるとともに、顕微鏡設置ユニット50を用いて顕微鏡70をウェハチャック31の径方向へスライド移動させることにより、顕微鏡70をウェハチャック31の上面において干渉縞の変化が生じた箇所X2の上方に移動させる。そして、(第2プレート部材64とともに)顕微鏡70を上下移動させてピントを合わせ、顕微鏡70を用いてウェハチャック31の上面における干渉縞の変化が生じた箇所X2の観察を行う。なお、顕微鏡70による観察が終了した後は、顕微鏡設置ユニット50をウェハチャック31の上方から簡単に取り外すことができる。
【0038】
このようなウェハチャック31の検査方法によれば、ウェハチャック31を研磨装置1(ウェハ保持部30)から取り外す必要がなく、装置に組み込んだままの状態でウェハチャック31の上面を検査することが可能になる。さらに、この検査方法は、ウェハチャック31の製造工程での良否判定にも有効である。
【0039】
また、ウェハチャック31を回転させるとともに、顕微鏡設置ユニット50を用いて顕微鏡70をウェハチャック31の径方向へスライド移動させることにより、顕微鏡70をウェハチャック31の上面において干渉縞の変化が生じた箇所X2の上方に移動させる構成であるため、顕微鏡設置ユニット50がウェハチャック31の上面において顕微鏡70を一方向に移動させる機構を備えるだけで、顕微鏡70をウェハチャック31の上面全体に(二次元的に)移動させることが可能になり、顕微鏡設置ユニット50の構造を単純にすることができる。
【0040】
なお、上述の実施形態においては、ウェハチャック31の上面の一部に生じた欠陥を検出する場合について説明しているが、これに限られるものではなく、ウェハチャック31の上面全体の劣化を検出することも可能である。ウェハチャック31の上面全体が劣化した場合、オプティカルフラット40に現れる干渉縞は、比較用の干渉縞と比較して全体的に変化することになる。
【0041】
また、上述の実施形態において、ウェハチャック31としていわゆるピンチャックを用いているが、これに限られるものではなく、上面がフラットの(凸部のない)ウェハチャックを用いる場合でも本発明を適用することができる。
【0042】
さらに、上述の実施形態において、リニアガイド57を用いて顕微鏡70をスライド移動可能に構成しているが、これに限られるものではなく、ボールネジ等を用いるようにしてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態において、顕微鏡70の上部にCCDカメラ71が取り付けられているが、これに限られるものではなく、顕微鏡70による像を直接目視で観察するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明が適用されるウェハチャックを備えた研磨装置の平面図である。
【図2】ウェハチャックの側面図である。
【図3】ウェハチャックの上面にテストウェハおよびオプティカルフラットが載置された状態を示す側面図である。
【図4】オプティカルフラットに現れる干渉縞の例を示す平面図である。
【図5】干渉縞が変化した例を示す平面図である。
【図6】ウェハチャックの上方に顕微鏡が設置された状態を示す側面図である。
【図7】ウェハチャックの上方に顕微鏡が設置された状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 CMP装置(研磨装置)
30 ウェハ保持部 31 ウェハチャック
40 オプティカルフラット
45 干渉縞 46 干渉縞
50 顕微鏡設置ユニット(顕微鏡設置手段) 70 顕微鏡
W1 半導体ウェハ W2 テストウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面において半導体ウェハを吸着保持するウェハチャックの検査方法であって、
前記ウェハチャックの上面に所定のテストウェハを載置するとともに、前記テストウェハの上面にオプティカルフラットを重ねて載置し、
前記テストウェハの上面に重ねて載置された前記オプティカルフラットに現れる干渉縞の所定の状態からの変化より前記ウェハチャックの上面における欠陥を検出し、
前記オプティカルフラットを用いて前記ウェハチャックの上面における欠陥が検出された場合に、前記ウェハチャックの上面において前記干渉縞の所定の状態からの変化が生じた箇所を顕微鏡で観察することを特徴とするウェハチャックの検査方法。
【請求項2】
前記ウェハチャックは、円盤状に形成されて前記ウェハチャックの上面を含む平面内で回転自在に構成されており、
前記オプティカルフラットを用いて前記ウェハチャックの上面における欠陥が検出された場合に、前記オプティカルフラットおよび前記テストウェハを前記ウェハチャックの上面から取り除くとともに、顕微鏡設置手段を用いて前記顕微鏡を前記ウェハチャックの上方に前記ウェハチャックの径方向へスライド移動可能に設置し、
前記ウェハチャックを回転させるとともに、前記顕微鏡設置手段を用いて前記顕微鏡を前記ウェハチャックの径方向へスライド移動させることにより、前記顕微鏡を前記ウェハチャックの上面において前記干渉縞の所定の状態からの変化が生じた箇所の上方に移動させることを特徴とする請求項1に記載のウェハチャックの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−255957(P2007−255957A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78032(P2006−78032)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】