説明

ガス供給ユニット及び化学気相蒸着装置

【課題】本発明は、化学気相蒸着工程時に発生する反応副産物を素早く排出することにより、被蒸着体の表面に高品質の薄膜を形成でき、チャンバ内部のクリーニングサイクルが延ばされ、生産性を向上させることができるガス供給ユニット及び化学気相蒸着装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るガス供給ユニットは、化学気相蒸着工程時に反応ガスを供給するユニットであって、反応ガスを熱分解する熱線部と、熱線部を向かって反応ガスを噴射する噴射部と、熱線部に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス供給ユニット及び化学気相蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被蒸着体に薄膜を蒸着する方法には、物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition: PVD)方法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition: CVD)方法などがある。この中、化学気相蒸着方法は、反応ガスをチャンバ内に流入させ、適当な活性及び熱エネルギーを加えて分解した後、被蒸着体上で所定の化学反応を起こして被蒸着体の表面に薄膜を蒸着する方法である。
【0003】
図1は、従来技術による化学気相蒸着装置の概略図である。従来技術による化学気相蒸着装置は、外部と遮断された減圧状態のチャンバ1と、チャンバ1の内部に反応ガスを噴射するシャワーヘッド7と、シャワーヘッド7を通して噴射された反応ガスに熱を加えて反応ガスを分解する熱線8と、被蒸着体4が安着されるチャック5及びチャンバ1の一側に、チャンバ1の内部に拡散している反応ガスを排出するための排気管2などを含む。
【0004】
従来技術による化学気相蒸着装置では、反応ガスがシャワーヘッドを通して噴射され、噴射された反応ガスが熱線により熱分解しながら、分解された反応ガスの一部が被蒸着体の表面で化学反応を起こして薄膜が形成される。
【0005】
この場合、シャワーヘッドを通してチャンバ内部に流入される反応ガスの全てが熱線により熱分解されず、また分解された反応ガスの全てが被蒸着体の表面に蒸着されることではない。よって、分解されなかった反応ガスや分解された反応ガスの一部がチャンバ内部に拡散し、このような反応副産物のため被蒸着体の表面に形成される薄膜が汚染されて製品に不良を起こしたり、チャンバ内壁に吸着されて、チャンバ内部をしばしばクリーニングしなくてはならいという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解決するために、チャンバ内部に拡散している反応副産物をチャンバ外部に排出するためにチャンバの一側に排気管を設置したが、反応副産物を完全に排出せず、依然として製品不良やチャンバ内壁に吸着される問題点が残っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、化学気相蒸着工程時に発生する反応副産物を素早く排出することにより、被蒸着体の表面に高品質の薄膜が形成でき、チャンバ内部のクリーニングサイクルが延ばされ、生産性を向上させることができるガス供給ユニット及び化学気相蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、化学気相蒸着工程時に反応ガスを供給するユニットであって、反応ガスを熱分解する熱線部と、熱線部を向かって反応ガスを噴射する噴射部と、熱線部に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部とを含むガス供給ユニットが提供される。
【0009】
噴射部は、反応ガスが均一に噴射されるように、複数のノズルが形成されている噴射器を含むことができる。
【0010】
また、本発明の他の実施形態によれば、化学気相蒸着工程時に被蒸着体に薄膜を蒸着する装置であって、チャンバと、チャンバ内部に収容され、被蒸着体を支持する支持部と、チャンバ内部に着脱が可能であり、被蒸着体に対向して被蒸着体に反応ガスを供給するガス供給ユニットとを含み、ガス供給ユニットは、反応ガスを熱分解する熱線部と、熱線部を向かって反応ガスを噴射する噴射部と、熱線部に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部とを含むことを特徴とする化学気相蒸着装置が提供される。
【0011】
噴射部は、反応ガスが均一に噴射されるように複数のノズルが形成されている噴射器を含むことができる。
【0012】
支持部とガス供給ユニットとは、互いに相対的に移動可能である。
【0013】
支持部は、被蒸着体を加熱するヒータを含むことができる。
【0014】
ガス供給ユニットは複数配置されることができる。この場合、複数のガス供給ユニットは互いに異なる反応ガスを噴射することができる。また、複数のガス供給ユニットはインラインに配置されることができ、支持部は、インラインに配置されたガス供給ユニットに沿って移動することができる。
【0015】
複数のガス供給ユニットのそれぞれに隣接してアニーリングユニットが配置されることができる。
【発明の効果】
【0016】
化学気相蒸着工程時に発生する反応副産物を素早く排出することにより、被蒸着体の表面に高品質の薄膜を形成でき、チャンバ内部のクリーニングサイクルが延ばされて生産性を向上させることができる。
【0017】
また、ガス供給ユニットと被蒸着体とを互いに相対的に移動させて蒸着速度を調節することができ、均一な薄膜を得ることができる。
【0018】
また、複数のガス供給ユニットをインラインに配置して一定厚さの薄膜を素早く蒸着することができかつ多層薄膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0021】
以下、本発明に係るガス供給ユニット及び化学気相蒸着装置の実施例を添付図面に基づいて詳しく説明し、添付図面に基づき説明することにおいて、同一であるか対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複される説明は省略する。
【0022】
図2は、本発明の一実施例によるガス供給ユニットの一側面図であり、図3は、本発明の一実施例によるガス供給ユニットの他側面図である。
【0023】
図2及び図3を参照すると、ガス供給ユニット10、熱線部12、噴射部14、吸入部16、ガス流入口18、ガス流出路20、ノズル22、噴射器24が示されている。
【0024】
本実施例のガス供給ユニット10は、化学気相蒸着工程時にチャンバ内に反応ガスを供給するユニットであって、反応ガスを熱分解する熱線部12と、熱線部12を向かって反応ガスを噴射する噴射部14と、熱線部12に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部16とを構成要素とし、化学気相蒸着工程時に発生する反応副産物を素早く排出することにより被蒸着体の表面に高品質の薄膜を形成することができ、チャンバ内部のクリーニングサイクルが延ばされて生産性を向上させることができる。
【0025】
本実施例によるガス供給ユニット10は、噴射部14を通して反応ガスが噴射されると、噴射された反応ガスが熱線部12により熱分解しながら、分解された反応ガスの一部が被蒸着体の表面で化学反応を起こして薄膜を形成する。この時、反応ガスの反応副産物を吸入部16を通して素早く吸入することにより、チャンバ内に反応副産物が過度に拡散することを防止して反応副産物による製品の不良を防止することができる。また、チャンバ内壁に反応副産物が吸着することを防止してチャンバ内部のクリーニングサイクルが延ばされ、生産性を向上させることができ、反応ガスの使用率を極大化して必要以上に消耗される反応ガス量を低減することができる。
【0026】
噴射部14を通してチャンバ内部に流入される反応ガスの全てが熱線部12により熱分解されることではなく、また分解された反応ガスの全てが被蒸着体の表面に蒸着されることではない。よって、分解されなかった反応ガスや分解された反応ガスのうち被蒸着体の表面に蒸着されなかった反応ガスが、反応副産物としてチャンバ内部に拡散し、問題を起こし得る。
【0027】
本実施例によるガス供給ユニット10は、反応ガスの反応副産物を、熱線部12に隣接して配置されている吸入部16を通して素早く吸入してチャンバ外部に排出することにより、反応副産物による問題を解決できる。
【0028】
熱線部12は、噴射部14を通して噴射された反応ガスに高温の熱を加えて、これをイオンやラジカルの状態に分解する。熱線部12はフィラメント(filament)及びフィラメントに電源を供給する電源供給装置を含むことができる。電源供給装置からフィラメントに電源を供給してフィラメントに熱を発生させ、これにより反応ガスを熱分解する。
【0029】
反応ガスとしては、被蒸着体に蒸着しようとする薄膜に応じて多様な種類のガスを用いることができる。例えば、被蒸着体にシリコン(Si)薄膜を蒸着しようとする場合、反応ガスとして、SiH、SiH、SiHClを使用可能である。
【0030】
噴射部14は、反応ガスを熱線部12に噴射するためのものであって、噴射部14を通して噴射された反応ガスは、熱線部12から供給される高温の熱により熱分解される。噴射部14は、被蒸着体に対向して配置され、噴射部14を通して噴射された反応ガスは、熱線部12を経て熱分解され、被蒸着体の表面で化学反応を起こし、薄膜を形成する。
【0031】
噴射部14は、反応ガスを被蒸着体の表面に均一に噴射できるように複数のノズル22が形成されている噴射器24を含むことができる。一方、噴射部14は反応ガスが貯蔵されるガス貯蔵部と、ガス貯蔵部と噴射器24とを連結するガス流入口18とを含むことができる。
【0032】
吸入部16は、反応ガスの反応副産物を吸入してチャンバ外部に排出するためのものであって、熱線部12に隣接して配置され、反応ガスの反応後に反応副産物を素早く吸入し、チャンバ外部に排出する。一方、吸入部16は、反応副産物を吸入するための真空ポンプと、真空ポンプを通して反応副産物を外部に排出するガス流出路20とを含むことができる。
【0033】
従来には図1に示されたように、チャンバ内部に拡散している反応副産物をチャンバ外部に排出するために、チャンバの一側に結合される排気管を用いたが、依然としてチャンバ内部には反応副産物が広がっており、大した効用はなかった。よって、本実施例では、反応後の反応ガスの反応副産物を吸入部16を通して素早く外部に排出することにより、反応副産物がチャンバ内部に過度に拡散することを防止して製品不良率を低減でき、チャンバ内壁のクリーニングサイクルが延ばされて生産性を向上させることができる。
【0034】
一方、噴射部14を熱線部12に隣接して配置して、熱線部12、噴射部14、及び吸入部16を一体型にモジュール化することができる。
【0035】
図4は、本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置の概略図である。図4を参照すると、熱線部12、噴射部14、吸入部16、ガス流入口18、ガス流出路20、チャンバ26、支持部28、ヒータ30、被蒸着体32、排気部34が示されている。
【0036】
本実施例の化学気相蒸着装置は、化学気相蒸着工程時に反応ガスを供給して被蒸着体32に薄膜を蒸着する装置であって、チャンバ26と、チャンバ26内部に収容され、被蒸着体32を支持する支持部28と、チャンバ26内部に着脱が可能であり、被蒸着体32に対向し、被蒸着体32に反応ガスを供給するガス供給ユニット10とを含み、ガス供給ユニット10は、反応ガスを熱分解する熱線部12と、熱線部12を向かって反応ガスを噴射する噴射部14と、熱線部12に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入して排出する吸入部16とを構成要素とする。本実施例の化学気相蒸着装置は、化学気相蒸着工程時に発生する反応副産物を素早く排出することにより被蒸着体32の表面に高品質の薄膜を形成することができ、チャンバ26内壁のクリーニングサイクルが延ばされて生産性を向上させることができる。
【0037】
本実施例の化学気相蒸着装置は、前述した一実施例によるガス供給ユニット10をモジュール化し、これをチャンバ26内部に着脱可能にして、使用者の必要により、薄膜を大面積で蒸着したり、多層で薄膜を蒸着することができる。
【0038】
チャンバ26には外部と遮断された反応空間が形成されており、チャンバ26内部にて化学気相蒸着方法により被蒸着体32の表面に薄膜が蒸着される。
【0039】
支持部28は被蒸着体32を支持する。本実施例では、図4に示すように、チャンバ26下端に支持部28が設けられ、その上端にガス供給ユニット10が設置されているが、図1に示されたように、ガス供給ユニット10がチャンバ26下端から上端へ反応ガスを噴射し、その上端に支持部28を設けて被蒸着体32を支持することも可能である。
【0040】
支持部28は、被蒸着体32を加熱するヒータ30を含む。
【0041】
被蒸着体32に蒸着される薄膜の結晶は、化学反応時の被蒸着体32の温度と関係があり、蒸着しようとする薄膜に応じて被蒸着体32の温度を調節することができる。例えば、ガラス基板にシリコン薄膜を蒸着する場合、基板の温度が摂氏600℃以上では結晶質、摂氏600℃以下では非晶質構造のシリコン薄膜が形成されることが知られている。
【0042】
ガス供給ユニット10は被蒸着体32に対向して被蒸着体32に反応ガスを供給する。この場合、ガス供給ユニット10はモジュール化されているため、チャンバ26内部に着脱可能にできる。
【0043】
ガス供給ユニット10は、反応ガスを熱分解する熱線部12と、熱線部12を向かって反応ガスを噴射する噴射部14と、熱線部12に隣接して配置され、反応ガスの反応副産物を吸入しチャンバ26の外部に排出する吸入部16とを構成要素とする。ガス供給ユニット10の構成要素は、前述した一実施例と同様であるため、その説明は省略する。
【0044】
一方、支持部28とガス供給ユニット10とは、互いに相対的に移動可能である。ここで、相対的移動とは、支持部28に対してガス供給ユニット10が移動したり、ガス供給ユニット10に対して支持部28が移動すること以外にも、支持部28とガス供給ユニット10とが互いに独立的に移動することも含む概念である。
【0045】
支持部28とガス供給ユニット10とが互いに相対的に移動可能にすることは、大面積の被蒸着体32に薄膜を蒸着する場合や均一な薄膜を蒸着する場合に有用である。これについては、図5から図10を参照して詳しく説明する。
【0046】
一方、必要により、チャンバ26の内部が減圧状態になるようにするために、チャンバ26の一側に排気部34を設けることができる。薄膜の蒸着条件に応じてチャンバ26の内部を加圧または減圧状態にする必要がある場合、排気部34を通してチャンバ26の内部圧力を調節することができる。
【0047】
図5から図10は、本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法の流れ図である。図5から図10を参照すると、ガス供給ユニット10、基板32a、薄膜36が示されている。
【0048】
本実施例では、被蒸着体として板状基板32aを用い、基板32aが大面積の場合に基板32aの一面に薄膜36を形成する方法について説明する。本実施例の化学気相蒸着装置は、チャンバ(図示せず)内にガス供給ユニット10が固定されており、被蒸着体を支持する支持部(図示せず)がガス供給ユニット10に対して相対的に移動するように構成されている。
【0049】
説明の便宜上、図5から図10には支持部に安着された基板32aとガス供給ユニット10だけが示されている。
【0050】
大面積基板32aの表面に薄膜36を蒸着する方法は、図5及び図6に示すように、先ず、大面積基板32aの下端部に薄膜36を蒸着するために支持部を用いて基板32aの下端部をガス供給ユニット10方向に移動させる。ガス供給ユニット10の下部を通過する基板32aの表面にはガス供給ユニット10により薄膜36が蒸着され、基板32aの下端部がガス供給ユニット10の下部を通過しながら、図7に示すように、基板32aの下端部に薄膜36が形成される。次に、図8に示すように、基板32aの残りの上端部に薄膜36を形成するために、基板32aがガス供給ユニット10に対して下方向に移動する。次に、図9及び図10に示すように、基板32aの上端部をガス供給ユニット10の方向に移動させる。基板32aの上端部がガス供給ユニット10の下部を通過しながら基板32aの上端部に薄膜36が形成される。このような過程を繰り返して行うことにより、大面積の基板32aに薄膜36を均一に形成することができる。
【0051】
本実施例では、ガス供給ユニット10が固定され、支持部を移動させながら薄膜36を蒸着する方法について説明するが、支持部を固定し、ガス供給ユニット10を支持部に対して相対的に移動させて大面積の基板32aに薄膜36を蒸着することも可能である。また、薄膜36蒸着の効率性を高めるために、支持部とガス供給ユニット10とを共に移動させながら薄膜36を蒸着することも可能である。
【0052】
図11は、本発明のまた他の実施例による化学気相蒸着装置の概略図である。図11を参照すると、ガス供給ユニット10、アニーリングユニット38、支持部28、被蒸着体32が示されている。
【0053】
本実施例の化学気相蒸着装置は、チャンバ(図示せず)内にガス供給ユニット10が複数設置された場合で、これにより、被蒸着体32の表面に薄膜を素早く蒸着したり、同時に互いに異なる薄膜層を多層蒸着することができる。
【0054】
チャンバ内に配置される複数のガス供給ユニット10は、インラインで配置されることができ、複数のガス供給ユニット10のそれぞれに隣接して複数のアニーリングユニット38が配置されることができる。
【0055】
本実施例の化学気相蒸着装置には、チャンバ内に複数のガス供給ユニット10がインラインに配置され、複数のガス供給ユニット10のそれぞれと対をなすアニーリングユニット38に配置されている。
【0056】
アニーリングユニット38は、ガス供給ユニット10を通して被蒸着体32に蒸着された薄膜の後処理装置であって、薄膜にレーザーやイオンビームを照射したり、プラズマ表面処理、熱処理を行う。
【0057】
インラインに配置された複数のガス供給ユニット10に沿って支持部28が被蒸着体32を移送させ一定厚さの薄膜を素早く蒸着したり、多層で互いに異なる薄膜層を形成することができる。この場合、複数のガス供給ユニット10からは、同一の反応ガスが噴射されたり、互いに異なる反応ガスが噴射されたりすることができる。
【0058】
図12は、本発明のまた他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を説明するための図である。図12を参照すると、ガス供給ユニット10、アニーリングユニット38、支持部28、被蒸着体32、第1薄膜36a、第2薄膜36bが示されている。
【0059】
複数のガス供給ユニット10とアニーリングユニット38とがインラインで配置されており、それに対向して被蒸着体32が支持部28上に安着され、支持部28と被蒸着体32とがインラインで配置されたガス供給ユニット10に沿って移送されながら、被蒸着体32に素早く薄膜が蒸着されたり、同時に互いに異なる薄膜層を形成することができる。
【0060】
図12を参照して説明すると、複数のガス供給ユニット10がインラインで配置されており、インラインの一側(図12の左側)から他側(図12の右側)に支持部28と被蒸着体32とが移送され、先に通過したガス供給ユニット10により被蒸着体32に第1薄膜36aが蒸着され、第1薄膜36aは隣接したアニーリングユニット38により即刻後処理される。そして、支持部28が連続的に移動することにより、次に配置されているガス供給ユニット10により第2薄膜36bが蒸着され、対応するアニーリングユニット38により第2薄膜36bが後処理される。このように、インラインで配置されたガス供給ユニット10に沿って支持部28と被蒸着体32とが移送されながら、多層の薄膜を形成することができる。
【0061】
本実施例の化学気相蒸着装置には、三つのガス供給ユニット10と、それらに対応する三つのアニーリングユニット38が配置されており、被蒸着体32が3対のガス供給ユニット10とアニーリングユニット38とを1回通過する場合、3層の薄膜を蒸着することができる。この場合、複数のガス供給ユニット10に同一な反応ガスを供給すると、一定した厚さの薄膜を素早く蒸着することができ、互いに異なる反応ガスを供給すると、互いに異なる多層の薄膜を蒸着することができる。勿論、ガス供給ユニット10のそれぞれに供給される反応ガスは、設計に応じて多様に変更できる。
【0062】
なお、図2に示す実施例において、噴射部14における熱線部12に対向する領域が窪んでいてもよい。さらに、当該窪みに向けてガス流入口18およびガス流出路20が開口していてもよい。さらに、ガス流入口18およびガス流出路20が互いに対向するように開口していてもよい。
【0063】
前記では本発明の好ましい実施例に基づいて説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来技術による化学気相蒸着装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施例によるガス供給ユニットの一側面図である。
【図3】本発明の一実施例によるガス供給ユニットの他側面図である。
【図4】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置の概略図である。
【図5】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図6】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図7】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図8】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図9】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図10】本発明の他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を示す工程図である。
【図11】本発明のまた他の実施例による化学気相蒸着装置の概略図である。
【図12】本発明のまた他の実施例による化学気相蒸着装置を用いた薄膜蒸着方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
10 ガス供給ユニット
12 熱線部
14 噴射部
16 吸入部
18 ガス流入口
20 ガス流出路
22 ノズル
24 噴射器
26 チャンバ
28 支持部
30 ヒータ
32 被蒸着体
34 排気部
36 薄膜
38 アニーリングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学気相蒸着(chemical vapor deposition)工程時に反応ガスを供給するユニットであって、
前記反応ガスを熱分解する熱線部と、
前記熱線部を向かって前記反応ガスを噴射する噴射部と、
前記熱線部に隣接して配置され、前記反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部と、
を含むガス供給ユニット。
【請求項2】
前記噴射部は、
前記反応ガスが均一に噴射されるように、複数のノズルが形成されている噴射器を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス供給ユニット。
【請求項3】
化学気相蒸着工程時に被蒸着体に薄膜を蒸着する装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内部に収容され、前記被蒸着体を支持する支持部と、
前記チャンバ内部に着脱が可能であり、前記被蒸着体に対向して前記被蒸着体に反応ガスを供給するガス供給ユニットと、を含み、
前記ガス供給ユニットは、
前記反応ガスを熱分解する熱線部と、
前記熱線部を向かって前記反応ガスを噴射する噴射部と、
前記熱線部に隣接して配置され、前記反応ガスの反応副産物を吸入し排出する吸入部と、
を含むことを特徴とする化学気相蒸着装置。
【請求項4】
前記噴射部は、
前記反応ガスが均一に噴射されるように、複数のノズルが形成されている噴射器を含むことを特徴とする請求項3に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項5】
前記支持部と前記ガス供給ユニットとは、互いに相対的に移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項6】
前記支持部は、
前記被蒸着体を加熱するヒータを含むことを特徴とする請求項3に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項7】
前記ガス供給ユニットは、複数配置されることを特徴とする請求項3に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項8】
前記複数のガス供給ユニットは、互いに異なる反応ガスを噴射することを特徴とする請求項7に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項9】
前記複数のガス供給ユニットは、インライン(in-line)に配置され、前記支持部は、前記インラインに配置されたガス供給ユニットに沿って移動することを特徴とする請求項7に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項10】
前記複数のガス供給ユニットのそれぞれに隣接してアニーリングユニット(annealing unit)が配置されることを特徴とする請求項7に記載の化学気相蒸着装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−191355(P2009−191355A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185301(P2008−185301)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】