説明

クォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法

【課題】生産性が高く、見栄えのよいクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法の提供。
【解決手段】クォーター部材成形金型40は、ガラスキャビティー44と、ウエザストリップキャビティー43とが設けられる。ガラスキャビティー44に、ガラスダミー部材50と、ガラスダミー部材50の上にコーティング部材30を重ねては位置し、ウエザストリップキャビティー43内に、ガラスダミー部材50とコーティング部材30の外周部を突出させる。クォーターウエザストリップ20をガラスダミー部材50とコーティング部30材の外周を覆って形成する。ガラスダミー部材50を外し、ガラスキャビティー44へ合成樹脂を注入してクォータードアガラス6を成形したクォータードアガラス6とクォーターウエザストリップ20の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインとで形成された空間に固定されるクォーターガラスと、そのクォータードアガラスの外周を保持しシールするクォーターウエザストリップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図6に示すように、ドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にパーティションサッシュ3が延設されている。そして、リヤドア1bのパーティションサッシュ3のリヤ側の部分には固定して装着されるクォータードアガラス106が装着され、パーティションサッシュ3のフロント側にはドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図7に示すように、クォータードアガラス106とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、クォーターウエザストリップ120が装着されてその間をシールしている。また、ドアガラス5とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、ガラスラン110が装着されてその間をシールしている。
【0004】
クォーターウエザストリップ120は、図7に示すように、クォータードアガラス106の外周を全周に亘り取り囲んで取付けられている。
従来、このクォータードアガラス106は、無機ガラスにより形成されていた。しかしながら、車輌の軽量化のために合成樹脂製の樹脂ガラスが用いられるようになってきた。
【0005】
図8に示すように、この樹脂ガラス製のクォータードアガラス206においても、クォータードアガラス206を車体に取付け、シールするためにその外周にはクォーターウエザストリップ220が取り付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、この樹脂ガラス製のクォータードアガラス206は、従来の無機ガラスに比べてやわらかく、表面が傷付きやすかった。そのため、樹脂ガラス製のクォータードアガラス206の表面に、ハードコート層を有するフィルムを取り付けるものがある(例えば、特許文献2及び3参照。)。
【0007】
この場合に、クォーターウエザストリップ320をクォータードアガラス306の外周に取付け、クォータードアガラス306の表面にコーティング部材330を接着する。そうすると、図9に示すように、コーティング部材330の先端331とクォーターウエザストリップ320との間に隙間が生ずることとなり、いわゆる見切りがよくなく、見栄えがよくなかった。隙間を完全になくそうとすると、コーティング部材330をクォーターウエザストリップ320に沿わせてカッティングする必要があるが、手間がかかり、カットされた材料が無駄であり、生産性がよくなかった。
【0008】
また、硬質のコーティング部材330を吹き付け塗装使用とすると、塗布される部分以外の部分にマスキングが必要であり、手間がかかり、生産性がよくなかった。
【特許文献1】特開平6−190867号公報
【特許文献2】特開2000−71380号公報
【特許文献3】特開2000−210973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、生産性が高く、見栄えのよいクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインで形成された空間に固定されるクォーターガラス、及びクォーターガラスの外周を保持しシールするクォーターウエザストリップとをクォーター部材成形金型を使用して製造する製造方法において、
クォーター部材成形金型には、合成樹脂製のクォータードアガラスを成形するガラスキャビティーと、ガラスキャビティーの周囲にクォーターウエザストリップを成形するウエザストリップキャビティーとを設け、
クォーター部材成形金型の第1型のガラスキャビティーに対応する位置に、クォータードアガラスと同じ形状と厚さを有するガラスダミー部材を配置し、ガラスダミー部材の第2型側にクォーターガラスの表面を保護するコーティング部材を重ねては位置し、クォーター部材成形金型の第2型を閉じて、ウエザストリップキャビティーを形成するとともに、該ウエザストリップキャビティー内に、ガラスダミー部材とコーティング部材の外周部を突出させ、
ウエザストリップキャビティー内にクォーターウエザストリップを形成する材料を注入してクォーターウエザストリップを形成し、クォーターウエザストリップは、ガラスダミー部材とコーティング部材の外周を覆って形成され、
クォーター部材成形金型の第1型を外した後に、ガラスダミー部材をコーティング部材とクォーターウエザストリップから外し、クォーター部材成形金型の第1型を閉じて、ガラスキャビティーを形成するとともに、ウエザストリップキャビティー内へ合成樹脂を注入してクォータードアガラスを成形したクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法である。
【0011】
請求項1の本発明では、クォーター部材成形金型には、合成樹脂製のクォータードアガラスを成形するガラスキャビティーと、ガラスキャビティーの周囲にクォーターウエザストリップを成形するウエザストリップキャビティーとを設けた。このため、クォーターウエザストリップを成形すると同時に、クォータードアガラスの周囲にクォーターウエザストリップを取り付けることができる。クォータードアガラスの外周全周を完全に包むことができ、環状のため、クォータードアガラスに勘合、保持されて、ドアフレーム等にクォータードアガラスを組みつけて、クォータードアガラスから外れにくくなる。
【0012】
クォーター部材成形金型の第1型のガラスキャビティーに対応する位置に、クォータードアガラスと同じ形状と厚さを有する第3型(中型)としてのガラスダミー部材を配置し、ガラスダミー部材の上にクォーターガラスの表面を保護するコーティング部材を重ねては位置した。このため、クォーターウエザストリップを成形するときに、クォータードアガラスのスペースを確保して、コーティング部材とクォーターウエザストリップとを隙間無く、密着させて成形することができる。
【0013】
クォーター部材成形金型の第2型を閉じて、ウエザストリップキャビティーを形成するとともに、ウエザストリップキャビティー内に、ガラスダミー部材とコーティング部材の外周部を突出させたため、クォーターウエザストリップを成形すると同時に、クォータードアガラスとコーティング部材の外周に、その全周に亘り、クォーターウエザストリップを密着して形成することができる。
【0014】
ウエザストリップキャビティー内にクォーターウエザストリップを形成する材料を注入してクォーターウエザストリップを形成し、クォーターウエザストリップは、ガラスダミー部材とコーティング部材の外周を覆って形成された。このため、クォーターウエザストリップは、コーティング部材の外周を隙間無く覆い、コーティング部材とクォーターウエザストリップとの間に隙間がなく、見栄えがよい。
【0015】
クォーター部材成形金型の第1型を外した後に、ガラスダミー部材をコーティング部材とクォーターウエザストリップから外し、クォーター部材成形金型の第1型を閉じて、ガラスキャビティーを形成するとともに、ウエザストリップキャビティー内へ合成樹脂を注入してクォータードアガラスを成形した。このため、ガラスダミー部材があった場所にクォータードアガラスを形成する合成樹脂を注入することができ、クォータードアガラスを確実にガラスダミー部材の大きさに合わせて形成することができる。また、クォータードアガラスとコーティング部材及びクォーターウエザストリップとクォータードアガラスを密着させることができる。
【0016】
請求項2の本発明は、ガラスダミー部材は、分割して形成され、分割されたガラスダミー部材が順にコーティング部材とクォーターウエザストリップから外されるクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法である。
【0017】
請求項2の本発明では、ガラスダミー部材は、分割して形成され、分割されたガラスダミー部材が順にコーティング部材とクォーターウエザストリップから外されるため、クォーターウエザストリップとコーティング部材の形状を維持したまま、分割されたガラスダミー部材を順番に外すことができ、ガラスダミー部材の取り外しが可能であり、ガラスダミー部材の取り外しが容易であるとともに、成形作業が容易である。なお、クォーター部材成形金型の一方を外さなくてもガラスダミー部材の取り外しが可能である。
【0018】
請求項3の本発明は、クォータードアガラスは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂[PMMA(ポリメチルメタクリレート)]のいずれか1つの樹脂で形成されたクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法である。
【0019】
請求項3の本発明では、クォータードアガラスは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂[PMMA(ポリメチルメタクリレート)]のいずれか1つの樹脂で形成されたため、無機ガラスと比べて軽く、また無機ガラスと同等の透明度を有し、耐衝撃性に優れ、耐熱性も高く、炎天下においても無機ガラスと同様に使用することができる。
【0020】
請求項4の本発明は、クォーターウエザストリップがコーティング部材の外周を覆っている部分の複数個所のクォーター部材成形金型にゲートを形成し、ゲートからガラスキャビティーへ合成樹脂を注入し、クォータードアガラスを成形し、ゲートの反対側のキャビティー面に合成樹脂の注入の流れが直接当たる面を形成し、又は、コーティング部材の合成樹脂の注入の流れが当たる部分を保持するためにキャビティーの反対側にコーティング部材を支える面を形成したクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法である。
【0021】
請求項4の本発明では、クォーターウエザストリップがコーティング部材の外周を覆っている部分に対応する複数個所のクォーター部材成形金型にゲートを形成し、ゲートからガラスキャビティーへ合成樹脂を注入して、クォータードアガラスを成形した。このため、クォータードアガラスのゲート跡は、クォーターウエザストリップの部分にあり、クォータードアガラスの外から見える部分には存在しないので見栄えがよい。
【0022】
ゲートの反対側のキャビティー面に合成樹脂の注入の流れが直接当たる面を形成したため、合成樹脂の注入の流れが、まず金型のキャビティーの面に当たるため合成樹脂によりクォーターウエザストリップが変形したりすることがなく、コーティング部材が変形したりすることがない。
【0023】
コーティング部材の合成樹脂の注入の流れが当たる部分を保持するためにキャビティーの反対側にコーティング部材を支える面を形成したため、コーティング部材に合成樹脂の注入の流れが当たっても、コーティング部材を金型の面が支えて、コーティング部材が変形することがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記のように、クォーター部材成形金型の第1型のガラスキャビティーに対応する位置に、ガラスダミー部材を配置し、ガラスダミー部材の第2型側にクォーターガラスの表面を保護するコーティング部材を重ねては位置したため、クォーターウエザストリップを成形するときに、コーティング部材とクォーターウエザストリップとを隙間無く、密着して成形することができる。
クォーターウエザストリップは、ガラスダミー部材とコーティング部材の外周を覆って形成されたため、コーティング部材とクォーターウエザストリップとの間に隙間がなく、見栄えがよい。
【0025】
クォーター部材成形金型の第1型を外した後に、ガラスダミー部材をコーティング部材とクォーターウエザストリップから外し、ガラスキャビティーを形成するとともに、ガラスキャビティー内へ合成樹脂を注入してクォータードアガラスを成形したため、クォータードアガラスを確実にガラスダミー部材の大きさに合わせて形成することができる。また、クォータードアガラスとコーティング部材及びクォーターウエザストリップを密着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図1〜図7に基づき説明する。
本発明を自動車のリヤドア1bにはめ込まれるクォータードアガラス6に使用されるクォーターウエザストリップ20を例に取り説明するが、本発明はフロントドア1aに使用されるクォータードアガラスについても使用することができる。
【0027】
図6は、自動車の側面図である。図6に示すように、自動車の側面のドア1であるフロントドア1aとリヤドア1bの両方のベルトラインよりも上部には、ドアガラス5、5が昇降可能に設けられている。
リヤドア1bには、パーティションサッシュ3のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、パーティションサッシュ3のリヤ側と、ドアフレーム2と、リヤドア1bのドアパネルの上端で形成される三角形の部分に固定されたクォータードアガラス6が設けられている。
【0028】
パーティションサッシュ3は、図7に示すように、ドアフレーム2の上辺部の下面から下方に延出され、リヤドア1bのドアパネル内の部分にまで延出されて装着されている。すなわち、ドアのベルトライン位置よりも上方部分では、外部に露出しており、パーティションサッシュ3の下端は、リヤドア1bのドアパネルのパネル内部に固定され、上端はエンドキャップ4を介してドアフレーム2の車内側側壁と車外側側壁の下面に接続され、ブラケットによりドアフレーム2の上辺部の底壁下面に固定されている。
【0029】
リヤドア1bにおいて、図6に示すように、ドアフレーム2の上辺部と、フロント側の縦辺部及びパーティションサッシュ3のフロント側溝部には、ガラスラン10が装着されて、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2およびパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0030】
リヤドア1bのドアガラス5のリヤ側において、図6に示すように、ドアフレーム2の上辺部とパーティションサッシュ3のリヤ側溝部とリヤドア1bのドアパネル上端には、クォーターウエザストリップ20が装着されて、クォータードアガラス6をドアフレーム2の上辺部と、パーティションサッシュ3、リヤドア1bのドアパネルの上端であるベルトラインに固定するとともに、クォーターウエザストリップ20とドアフレーム2、リヤドア1bの上端であるベルトライン及びパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0031】
クォータードアガラス6は、合成樹脂で形成される。このため、無機ガラスで形成されたものよりも軽く形成することができ、車輌の軽量化に貢献することができる。
クォータードアガラス6は、ポリカーボネート樹脂で形成されることが好ましい。この場合には、無機ガラスと比べて軽く、また無機ガラスと同等の透明度を有し、耐衝撃性に優れ、耐熱性も高く、炎天下においても無機ガラスと同様に問題なく使用することができる。
【0032】
クォーターウエザストリップ20は図1に示すように、全体として型成形で形成される。即ち、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる上辺部20aと、パーティションサッシュ3に取付けられる縦辺部20bと、リヤドア1bの上端であるベルトラインに取付けられる底辺部20cの直線部と、それぞれを接続するコーナー部から構成される略三角形状に形成されている。
【0033】
クォーターウエザストリップ20の直線部とコーナー部は、合わせて全体として一体に同時に型成形で成形される。
なお、クォーターウエザストリップ20のコーナー部は、ドアフレーム2の上辺部とパーティションサッシュ3とリヤドア1bの上端との間で形成される三角形状のコーナー部の部分に装着されるように、コーナー部の角度等を規定して形成されている。
【0034】
次に、クォータードアガラス6とクォーターウエザストリップ20の製造方法について説明する。
まず、クォータードアガラス6とクォーターウエザストリップ20の製造に使用するクォーター部材成形金型40について、図2に基づいて説明する。クォーター部材成形金型40は、第2型41と第1型42から形成され、第2型41と第1型42の間に、クォータードアガラス6を成形するガラスキャビティー44と、ガラスキャビティー44の周囲にクォーターウエザストリップ20を成形するウエザストリップキャビティー43を形成している。
【0035】
このため、クォーターウエザストリップ20を成形すると同時に、クォータードアガラス6と後述するコーティング部材30の周囲にクォーターウエザストリップ20を取り付けることができる。即ち、クォータードアガラス6とコーティング部材の外周全周をクォーターウエザストリップ20により完全に包むことができる。また、クォーターウエザストリップ20は、環状に形成されているため、ドアフレーム2、パーティションサッシュ3、リヤドア1bに嵌合されると、その弾性によりクォータードアガラス6を締め付けるように保持して、クォータードアガラス6がドアフレーム2等から外れにくくなる。
【0036】
その成形方法は、まず、図2に示すように、クォーター部材成形金型40の第1型42のガラスキャビティー44に対応する位置に、クォータードアガラス6と同じ形状と厚さを有するガラスダミー部材50を配置する。そして、ガラスダミー部材50の第2型側の面にクォータードアガラス6の表面を保護するコーティング部材30と重ねて位置する。
【0037】
クォータードアガラス6は、合成樹脂で形成されるため、表面が傷付き易く、そのためコーティング部材30が使用される。コーティング部材30は、クォータードアガラス6の表面を保護するために使用されるものであり、クォータードアガラス6と同じ大きさを有し、厚さはクォータードアガラス6よりも薄いものが使用される。
【0038】
コーティング部材30は、0.5mm〜1.0mmの厚さのポリカーボネート樹脂フィルムにシリコーン等の無機材を塗布したもので形成することが好ましい。この場合、無機材の塗布によりその表面が傷付き難く、クォータードアガラス6が傷付くのを防止し、充分な強度を有する。さらに肉厚が0.5mm〜1.0mm程度のシート材であるため、クォータードアガラス6とコーティング部材30と合わせた重量を増加させることがない。
【0039】
ガラスダミー部材50は、クォータードアガラス6と大きさも厚さも同じものを使用する。ガラスダミー部材50により、クォーターウエザストリップ20を成形するときに、後から成形するクォータードアガラス6のスペースを確保するとともに、コーティング部材30とクォーターウエザストリップ20とを隙間無く、密着させて成形することができる。ガラスダミー部材50については、後述する。
【0040】
次に、クォーター部材成形金型40の第2型41を閉じる。この状態で、ウエザストリップキャビティー43内の少し内部まで、ガラスダミー部材50とコーティング部材30の外周部が突出している。そうすると、ガラスキャビティー44は、ガラスダミー部材50とコーティング部材30により完全に満たされて、ウエザストリップキャビティー43が形成される。
【0041】
そして、ウエザストリップキャビティー43内にクォーターウエザストリップ20を形成する材料を注入してクォーターウエザストリップを形成する。この材料については後述する。これによって、クォーターウエザストリップ20は、ガラスダミー部材50とコーティング部材30の外周を覆って形成される。このため、ガラスダミー部材50とコーティング部材30の外周に、その全周に亘り、クォーターウエザストリップ20を密着して形成することができる。クォーターウエザストリップ20は、コーティング部材30の外周を隙間無く覆い、クォーターウエザストリップ20との間に見切りが良く、見栄えがよい。
【0042】
次に、クォーター部材成形金型40の第1型42を外した後に、ガラスダミー部材50をコーティング部材30とクォーターウエザストリップ20から外す。このとき、クォーター部材成形金型40の第2型41をコーティング部材30とクォーターウエザストリップ20から外さなくても、ガラスダミー部材50を外すことができる。また、クォーター部材成形金型40の第2型41を外した場合は、よりガラスダミー部材50を外し易いが、再度クォーター部材成形金型40の第2型41を嵌める必要がある。
【0043】
ガラスダミー部材50を外す方法を図3から図5に基づき説明する。図3は、ガラスダミー部材50の外周にクォーターウエザストリップ20が形成された後で、クォーター部材成形金型40の第1型42が外された状態である。図4は、図3におけるA−A線に沿ったガラスダミー部材50の断面図であり、図5は、図3におけるB−B線に沿ったガラスダミー部材50の断面図である。
【0044】
ガラスダミー部材50は、図3に示すように、本実施の形態では4つに分割されている。ガラスダミー部材50を外すには、まず、ガラスダミー部材50の中央左部51を図3の斜め右上方向(図4における矢印C方向)に移動させて、クォーターウエザストリップ20から外す。
【0045】
このとき、ガラスダミー部材50の中央左部51と中央右部52とは、図4に示すように斜めに重なっているため、中央左部51を中央右部52方向(図4における矢印C方向)にズラスことにより、中央左部51は、中央右部52の上に重なり、そして、中央左部51の全体をクォーターウエザストリップ20から外すことができる。
【0046】
さらに、中央右部52を中央左部51方向(図4における矢印D方向)にズラしてその右端を外し、中央右部52の全体をクォーターウエザストリップ20から外す。その後、下部53と上部54をそれぞれ中央方向(それぞれ図5における矢印EとF方向)にズラして、その全体をクォーターウエザストリップ20から外す。
このとき、コーティング部材30は、クォーターウエザストリップ20と密着し、コーティング部材30自身も剛性を有するため、ガラスダミー部材50を外すときにずれることはない。
【0047】
このように、ガラスダミー部材50は、分割してコーティング部材30とクォーターウエザストリップ20から外されるため、クォーターウエザストリップ20とコーティング部材30の形状を維持したまま、分割されたガラスダミー部材50を順番に外すことができる。このとき、上記のように、クォーター部材成形金型40の第2型41は外しても外さなくてもよい。外さない場合においても、ガラスダミー部材50の取り外しが可能であり、ガラスダミー部材50の取り外しが容易であるとともに、成形作業が容易である。
【0048】
次に、クォーター部材成形金型40の第1型42を閉じて、ガラスキャビティー44を形成する。ガラスダミー部材50が取除かれているため、ガラスキャビティー44は、ガラスダミー部材50が取除かれた大きさと同じ大きさに形成されている。このとき、ウエザストリップキャビティー43は、クォーターウエザストリップ20で満たされているので、ガラスダミー部材50の外周が存在した隙間のみ空間を有する。
【0049】
そして、ガラスキャビティー44へ合成樹脂を注入してクォータードアガラス6を成形する。このようにして、ガラスダミー部材50があった場所にクォータードアガラス6を形成する合成樹脂を注入することができ、クォータードアガラス6を確実にガラスダミー部材50の大きさに合わせて形成することができる。また、ガラスダミー部材50の外周による空間部分までクォータードアガラス6が形成されるため、クォータードアガラス6とコーティング部材30を密着させることができる。
【0050】
ガラスキャビティー44への合成樹脂の注入においては、クォーターウエザストリップ20がコーティング部材30の外周を覆っている部分に相当する複数個所のクォーター部材成形金型40に、図2に示すように、ゲート45を形成し、ゲート45からガラスキャビティー44へ合成樹脂を注入することが好ましい。この場合には、クォータードアガラス6のゲート跡は、クォーターウエザストリップ20の部分にあり、クォータードアガラス6の外から見える部分には存在しないので見栄えがよい。
【0051】
ゲート45の反対側のキャビティー面に合成樹脂の注入の流れが直接当たる面46を形成し、この部分はコーティング部材30を取除いてもよい。この場合には、合成樹脂が直接コーティング部材30に当たらなく、合成樹脂の注入の流れによりコーティング部材30やクォーターウエザストリップ20が変形したりすることがない。また、コーティング部材30を取除かずに、合成樹脂の注入の流れが当たる部分の裏面を保持する面46をクォーター部材成形金型40のウエザストリップキャビティー43に形成してもよい。この場合は、合成樹脂の注入の流れが当たる部分のコーティング部材30の保持面46がコーティング部材30が変形することを防止できる。
【0052】
なお、クォーターウエザストリップ20の成形材料は、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態における、クォーターウエザストリップの正面図である。
【図2】本発明の実施の形態における、クォーター部材成形金型の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における、ガラスダミー部材がクォーターウエザストリップにはまった状態を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態における、ガラスダミー部材の分割面を示し、図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における、ガラスダミー部材の分割面を示し、図3のB−B線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における、自動車の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態における、自動車のリヤドアのコーナー部の側面図である。
【図8】従来のクォータードアガラスにクォーターウエザストリップを取り付けた状態の断面図である。
【図9】従来の他のクォータードアガラスにクォーターウエザストリップを取り付ける金型の断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ドア
6 クォータードアガラス
20 クォーターウエザストリップ
30 コーティング部材
40 クォーター部材成形金型
43 ウエザストリップキャビティー
44 ガラスキャビティー
50 ガラスダミー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアフレームと、該ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインで形成された空間に固定されるクォーターガラス、及びクォーターガラスの外周を保持しシールするクォーターウエザストリップとをクォーター部材成形金型を使用して製造する製造方法において、
上記クォーター部材成形金型には、合成樹脂製のクォータードアガラスを成形するガラスキャビティーと、上記ガラスキャビティーの周囲に上記クォーターウエザストリップを成形するウエザストリップキャビティーとを設け、
上記クォーター部材成形金型の第1型のガラスキャビティーに対応する位置に、上記クォータードアガラスと同じ形状と厚さを有するガラスダミー部材を配置し、該ガラスダミー部材の第2型側に上記クォーターガラスの表面を保護するコーティング部材を重ねては位置し、上記クォーター部材成形金型の第2型を閉じて、上記ウエザストリップキャビティーを形成するとともに、該ウエザストリップキャビティー内に、上記ガラスダミー部材と上記コーティング部材の外周部を突出させ、
上記ウエザストリップキャビティー内に上記クォーターウエザストリップを形成する材料を注入して上記クォーターウエザストリップを形成し、上記クォーターウエザストリップは、上記ガラスダミー部材と上記コーティング部材の外周を覆って形成され、
上記クォーター部材成形金型の第1型を外した後に、上記ガラスダミー部材を上記コーティング部材とクォーターウエザストリップから外し、上記クォーター部材成形金型の第1型を閉じて、上記ガラスキャビティーを形成するとともに、該ウエザストリップキャビティー内へ合成樹脂を注入してクォータードアガラスを成形したクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法。
【請求項2】
上記ガラスダミー部材は、分割して形成され、分割された上記ガラスダミー部材が順に上記コーティング部材と上記クォーターウエザストリップから外される請求項1に記載のクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法。
【請求項3】
上記クォータードアガラスは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂[PMMA(ポリメチルメタクリレート)]のいずれか1つの樹脂で形成された請求項1又は請求項2に記載のクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法。
【請求項4】
上記クォーターウエザストリップが上記コーティング部材の外周を覆っている部分に対応する複数個所の上記クォーター部材成形金型にゲートを形成し、該ゲートから上記ガラスキャビティーへ合成樹脂を注入して、上記クォータードアガラスを成形し、
上記コーティング部材の上記ゲートに対応する部分を貫通孔とし、上記ゲートの反対側のキャビティー面に合成樹脂の注入の流れが直接当たる面を形成し、又は、上記コーティング部材の合成樹脂の注入の流れが当たる部分を保持するために、上記ゲートの反対側のキャビティーに上記コーティング部材を保持する面を形成した請求項1乃至請求固3のいずれかに記載のクォータードアガラスとクォーターウエザストリップの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−83161(P2010−83161A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251071(P2008−251071)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】