説明

グルタミン酸受容体を強化する化合物および医学におけるその使用

式(I)


[式中、
は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
各Rは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
pは、0、1または2であり;
nは、1または2であり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;および
Hetは、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、キノリル、チアゾリルまたはフリルであり、その各々は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アセチル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノおよびジC1−4アルキルアミノからなる群から独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよい]
で示されるグルタミン酸受容体を強化する化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、および医学におけるその使用、該化合物の製法、医学、例えば、統合失調症の治療におけるその使用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタミン酸受容体を強化する新規な化合物に関する。本発明は、また、グルタミン酸受容体の強化によって媒介される疾患および状態の治療における該誘導体の使用、該誘導体を含む組成物、およびその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の中枢神経系(CNS)における迅速な興奮性神経伝達の大部分を仲介するグルタミン酸受容体は、興奮性アミノ酸、L−グルタメートによって活性化される(概説として、Watkins JC, Krogsgaard-Larsen P, Honore T (1990) Trends Pharmacol Sci 11: 25-33を参照のこと)。
【0003】
グルタミン酸受容体は、2つの別個のファミリーに分けることができる。G−タンパク質または第2メッセンジャー結合型「代謝型(metabotropic)」グルタミン酸受容体ファミリーは、配列ホモロジーおよび細胞内変換メカニズムに基づいて3の群(I群、mGlu1およびmGlu5;II群、mGlu2およびmGlu3;III群、mGlu4、mGlu6、mGlu7、mGlu8)にさらに分けることができる(概説として、Conn PJ and Pinn JP (1997) Ann Rev Pharmacol Toxicol 37: 205-237を参照のこと)。リガンド依存性カチオンチャンネルに直接結合する「イオンチャンネル型(ionotropic)」グルタミン酸受容体ファミリーは、選択的アゴニストN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)およびカイニン酸(KA)による脱分極活性化に基づいて少なくとも3つのサブタイプにさらに分けることができる(概説として、Dingledine R, Borges K, Bowie, Traynelis S (1999) 51: 7-61を参照のこと)。
【0004】
天然AMPA受容体(AMPAR)は、4つの異なるタンパク質サブユニニット(GluR1−4)の組み合わせからなる異種4量体として存在する(概説として、Bettler B and Muller C (1995) 34: 123-139を参照のこと)。受容体サブユニット多様性は、各サブユニットが第4膜貫通ドメインM4の直前の細胞外領域における38アミノ酸配列の選択的(alternative)スプライシングを受けるので、さらに増加する。かかるエディティングは、運動論的特性および薬理学的特性の異なるいわゆる「フリップ(flip)」および「フロップ(flop)」受容体イソ型をもたらす(Sommer B, Keinanen K, Verdoon TA, Wisden W, Burnashev N, Herb A, Kohler M, Takagi T, Sakmann B, Seeburg PH (1990) Science 249: 1580-1585)。
【0005】
さらに、GluR2 mRNAの転写後エディティングは、M2内で中性グルタミンを正荷電アルギニンに変化する。正常なヒトでは、>99%のGluR2がこのようにエデティングされる。このようにエディティングされたGluR2サブユニットを含有するAMPARは、低カルシウム透過性を示す(Burnachev N, Monyer H, Seeburg PH, Sakmann B (1992) Neuron 8: 189-198)。しかしながら、ある種の疾患に付随する状態において、高いカルシウム透過性を有するAMPARの数が上昇するという示唆がある(Weiss JHおよびSensi SL (2000) Trends in Neurosci 23: 365-371)。
【0006】
AMPAR脱分極は、NMDA受容体の電位依存性Mg2+遮断を除去し、次いで、長期増強(Long Term Potentiation)の誘導において不可欠な段階であるNMDA受容体活性化を導く(Bliss TVP, Collingridge GL (1993) Nature 361: 31-9)。長期増強は、例えば、学習の間に起こるような、反復刺激または活性後に増加したシナプス強度の生理学的尺度である。
【0007】
アゴニストによるグルタミン酸受容体の直接的な活性化は、グルタミン酸受容体機能が減少した状態において、興奮毒性および付加的なニューロン損傷の危険性を増加する。AMPAR陽性アロステリックモジュレーターは単独で、該受容体を直接活性化しない。しかしながら、リガンド(L−グルタメートまたはAMPA)が存在するとき、AMPARモジュレーターは受容体活性を増加する。かくして、AMPA受容体モジュレーターは、単に、グルタメートが放出され、シナプス受容体部位に結合できるときにシナプス機能を強化するだけである。
【0008】
AMPAR陽性アロステリックモジュレーターとして作用する化合物は、該受容体に対するリガンドアフィニティーを増加すること(Arai A, Guidotti A, Costa E, Lynch G (1996) Neuroreport. 7: 2211-5)、受容体脱感作を減少し、受容体不活性化を減少すること(Arai AC, Kessler M, Rogers G, Lynch G (2000) 58: 802-813)、ならびにイン・ビトロ(Arai A, Guidotti A, Costa E, Lynch G (1996) 7: 2211-5)およびイン・ビボ(Staubli U, Perez Y, Xu F, Rogers G, Ingvar M, Stone-Elander S, Lynch G (1994) Proc Natl Acad Sci 91: 11158-11162)の両方でLTPの誘導を容易にすることが示された。かかる化合物は、また、げっ歯動物(Zivkovic I, Thompson DM, Bertolino M, Uzunov D, DiBella M, Costa E, Guidotti A (1995) JPET 272: 300-309, Lebrun C, Pilliere E, Lestage P (2000) Eu J Pharmacol 401: 205-212)、ヒトに近い霊長類(Thompson DM, Guidotti A, DiBella M, Costa E (1995) Proc Natl Acad Sci 92: 7667-7671)およびヒト(Ingvar M, Ambros-Ingerson J, Davis M, Granger R, Kessler M, Rogers GA, Schehr RS, Lynch G (1997) Exp Neurol 146: 553-559)において、種々の認識課題の学習および遂行を増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
グルタミン酸受容体機能を調節する化合物は、下記の状態および疾患の治療において有用であると考えられる:精神病および精神障害(統合失調症、統合失調症性感情障害、統合失調症型疾患、短期反応精神病、小児発症統合失調症、「統合失調症スペクトル」障害、例えば、統合失調症性人格障害、急性精神病、アルコール性精神病、薬物誘導性精神病、自閉症、せん妄、躁病(急性躁を包含する)、躁鬱性精神病、幻覚、内因性精神病、器質性精神症候群、偏執および妄想障害、産褥期精神病、およびアルツハイマー病などの神経変性疾患に付随する精神病を包含する);認識障害(例えば、注意、順応、記憶を包含する認識機能の障害(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘障害および加齢による記憶障害)および言語機能の障害の治療、ならびに卒中、アルツハイマー病、AIDSに関連する認知症または他の認知症状態ならびに、せん妄または鬱のような認識力低下を引き起こし得る他の急性または亜急性状態(偽認知症状態)、外傷、加齢、卒中、神経変性、薬物誘導性状態、神経毒性剤の結果としての認識障害を包含する)、軽度認識障害、加齢による認識障害、自閉症に関連する認識障害、ダウン症候群、精神病に関連する認識低下、電気ショック療法後の認識障害;不安障害(全般性不安障害、社会不安障害、興奮、緊張、精神病患者における社会的または感情的離脱、パニック障害、および強迫障害を包含する);神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、運動ニューロン疾患および他の運動障害、例えば、パーキンソン病(意図的動作におけるゆっくりと増加する能力障害、震え、動作緩慢、運動過剰症(中程度および重篤)、無運動、硬直、バランスおよび調整の障害、および姿勢の障害を包含する運動力欠損および/または運動不能の軽減を包含する)、パーキンソン病における認知症、ハンチントン病における認知症、神経遮断薬誘導性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジー、卒中、心臓停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷などの後の神経変性、および脱髄疾患、例えば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症);鬱病(該用語は、双極性(躁病)鬱病(I型およびII型を包含する)、単極性鬱病、または精神病的特徴、カタトニー特徴、メランコリー特徴、不定型特徴(例えば、無気力、過食/肥満、睡眠過剰)または産後発症を伴う、もしくは伴わない単発性もしくは再発性大鬱エピソード、季節性情動障害および気分変調、鬱病関連不安症、精神病的鬱、および限定するものではないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎を包含する一般的な医学的状態からもたらされる抑鬱障害を包含する);外傷後ストレス症候群;注意欠陥障害;注意欠陥多動障害;薬物誘導性(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)障害;ハンチントン舞踏病;遅発性ジスキネジー;ジストニア;ミオクローヌス;痙性;肥満;卒中;性機能不全;および睡眠障害。さらに、グルタミン酸受容体機能を調節する化合物は、感覚運動および認識課題における遂行および記憶コード化を増加するための非欠陥対象における治療において有用であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、グルタミン酸受容体を強化する新規な化合物のクラスを見出した。
【0011】
第一の態様によると、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
各Rは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
pは、0、1または2であり;
nは、1または2であり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;および
Hetは、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、キノリル、チアゾリルまたはフリルであり、その各々は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アセチル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノおよびジC1−4アルキルアミノからなる群から独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよい]
で示される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
「C1−4アルキル」なる語は、全ての異性体において、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルをいう。「C1−6アルキル」なる語は、全ての異性体において、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロチル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチルおよびヘキシルをいう。別記しない限り、いずれのアルキル基も、直鎖または分枝鎖であってもよく、1〜6個の炭素原子、例えば、1〜4または1〜3個の炭素原子からなる。
【0013】
「ハロ」なる語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいう。
【0014】
「ハロC1−6アルキル」なる語は、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置き換わっているC1−6アルキル基をいう。かかる基の例は、フルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチル等を包含する。
【0015】
「C2−6アルケニル」なる語は、1以上の炭素−炭素二重結合を含有し、かつ、2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。別記しない限り、C2−6アルケニル基は、共役されうる3個までの二重結合を含有していてもよい。かかる基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ビニル、アリルおよびブタジエニルを包含する。
【0016】
「モノC1−4アルキルアミノ」なる語は、C1−4アルキル基によって置換されたアミノ基をいい、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノまたはブチルアミノをいう。「ジC1−4アルキルアミノ」なる語は、2個のC1−4アルキル基によって置換されたアミノ基をいい、例えば、ジメチルアミノまたはメチルエチルアミノをいう。
【0017】
「C1−4アルコキシ」なる語は、−OC1−4アルキル基をいい、ここに、C1−4アルキルは本明細書に記載のとおりである。「C1−6アルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−OC1−6アルキル基をいい、ここに、C1−6アルキルは本明細書に記載のとおりである。C1−4アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシを包含する。C1−6アルコキシ基の例は、さらに、ペントキシおよびヘキトキシなどを包含する。
【0018】
「ハロC1−6アルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置き換わっている本明細書に記載のとおりのC1−6アルコキシ基をいう。かかる基の例は、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシなどを包含する。
【0019】
1の具体例において、Rは、C1−6アルキル、例えば、イソプロピルである。
1の具体例において、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲンまたはC1−6アルキル、例えば、水素、フッ素またはメチルである。
【0020】
1の具体例において、pは0である。
1の具体例において、各Rは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキルまたはハロゲン、例えば、メチルまたはフッ素である。
【0021】
1の具体例において、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルである。例えば、RおよびRは、独立して、水素、フッ素またはメチルである。
1の具体例において、nは1である。
【0022】
1の具体例において、Hetは、ピリジル(例えば、3−ピリジル)、ピリミジニル(例えば、5−ピリミジニル、2−ピリミジニル)、チエニル(例えば、3−チエニル、2−チエニル)、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、イミダゾリル(例えば、1H−4−イミダゾリル)またはピラゾリル(例えば、1H−4−ピラゾリル)であり、その各々は、C1−6アルキル(例えば、メチル)、アセチル、シアノ、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、ハロC1−6アルキル(例えば、CF)およびC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)からなる群から独立して選択される1〜3個の基によって置換されていてもよい。
【0023】
1の具体例において、本発明は、式(Ia):
【化2】

[式中、HetおよびRは、式(I)の定義のとおりである]
で示される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0024】
誤解を避けるために、別記しない限り、「置換」なる語は、1以上の所定の基での置換を意味する。基がいくつかの別の基から選択されうる場合、選択された基は、同一または異なっていてもよい。誤解を避けるために、「独立して」なる語は、1以上の置換基がいくつかの可能な置換基から選択され、該置換基が同一または異なっていてもよいことを意味する。
【0025】
式(I)の化合物の適当な医薬上許容される塩は、酸性塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびテトラアルキルアンモニウムなど、および適当な酸、例えば、有機カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、およびコハク酸;有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸、および無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸などとのモノ−またはジ−塩基性塩を包含する。本発明の化合物のいくつかは、水性および有機性溶媒などの溶媒から結晶化または再結晶化されうる。かかる場合、溶媒和物が形成されてもよい。本発明は、その範囲内に、水和物を包含する化学量論量の溶媒和物、ならびに凍結乾燥などの工程によって生じうる種々の変化量の水を含有する化合物を包含する。
【0026】
式(I)の化合物のある種の保護誘導体が最終的な脱保護段階の前に製造されてもよく、それ自体は薬理学的活性を有さなくてよいが、例えば、経口または非経口投与された後に、体内で代謝されて、薬理学的に活性な本発明の化合物を形成することは、当業者に明らかであろう。かかる誘導体は、したがって、「プロドラッグ」と記載される。さらに、本発明のある種の化合物は、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用しうる。本発明の化合物の全ての保護誘導体およびプロドラッグは、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物に適当な保護基の例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499 538 and in Topics in Chemistry, Chapter 31, pp 306-316および「Design of Prodrugs」by H. Bundgaard, Elsevier, 1985, Chapter 1(出典明示により、本明細書の一部とされる)において記載されている。さらに、例えば、H. Bundgaard,「Design of Prodrugs」(出典明示により本明細書の一部とされる)に記載されるような「プロ−基」として当業者に明らかなある種の基は、適当な官能基が本発明の化合物に存在する場合、かかる官能基上に置かれていてもよいことは、当業者に明らかであろう。本発明の化合物の適当なプロドラッグは、エステル、炭酸エステル、ヘミエステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバマート、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールを包含する。
【0027】
以下、本発明のいずれかの態様において定義される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグを(化学的プロセスにおける中間体化合物を除いて)「本発明の化合物」と称する。
【0028】
本発明の化合物は、1以上の互変形態において存在しうる。全ての互変体およびその混合物が本発明の範囲内に包含される。
【0029】
本発明の化合物は、少なくとも1つのキラル中心が存在するために、光学異性体、例えば、ジアステレオ異性体およびあらゆる比率における異性体の混合物、例えば、ラセミ混合物:
【化3】

の形態で存在しうる。
【0030】
本発明は、全てのかかる形態、特に、純粋な異性体を包含する。異なる異性体は、常法によって1を他から分離または分割してもよく、またはいずれかの所定の異性体を従来の合成法または立体特異的もしくは不斉合成によって得てもよい。また、ほとんどの生物学的に活性な分子と同様に、生物学的活性レベルは、所定の分子の個々の立体異性体間で変化しうることは、明らかであろう。本発明の範囲は、個々の立体異性体(ジアステレオ異性体およびエナンチオマー)の全て、および限定するものではないが、ラセミ混合物を包含するその全ての混合物を包含することが意図され、それらは、本明細書に記載の手順に関し、適当な生物学的活性を示す。
【0031】
本発明の化合物の場合、キラル中間体(2S)−5−ブロモ−2−アミノインダン:
【化4】

は、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸を分割剤として、Prashad et al, Adv. Synth. Catal. 2001, 343, No. 5, pp 461-472に開示されるように調製された。かくして得られた(2S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩の絶対配置は、単結晶X−線分析によって確認された。該化合物は、N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(中間体6)の調製に使用された。
【0032】
本発明のさらなる具体例において、S配置が豊富な式(I)の化合物の立体化学異性体に相当する式(Ib):
【化5】

[式中、R、R、R、R、R、R、n、pおよびHetは、式(I)の定義のとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが提供される。
【0033】
別の具体例において、本発明は、S配置が豊富な式(Ia)の化合物の立体化学異性体に相当する式(Ic):
【化6】

[式中、HetおよびRは、式(I)の定義のとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0034】
本発明の化合物に関連し、S配置が豊富な立体化学異性体は、1の具体例において、少なくとも90%エナンチオマー過剰に相当することが意図される。別の具体例において、該異性体は、少なくとも95%エナンチオマー過剰である。また別の具体例において、該異性体は、少なくとも99%エナンチオマー過剰である。
【0035】
本発明の化合物は、医薬組成物での使用が意図されるので、各々、好ましくは、実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも60%純粋、より適当には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%、特別には少なくとも98%純粋(%は重量対重量に基づく)な形態において提供されることは、容易に理解されるであろう。該化合物の不純な調製物を、医薬組成物において使用されるより純粋な形態を調製するために使用してもよく、これらのあまり純粋でない化合物の調製物は、少なくとも1%、より適当には少なくとも5%、好ましくは10〜59%の本発明の化合物を含有すべきである。
【0036】
本発明が上記の特徴のどの組み合わせを有する化合物も包含することが意図されることは、明らかであろう。
【0037】
式(I)の化合物の例は:
N−[5−(2−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−ピリミジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−チエニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−チエニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(4−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−シアノ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−アセチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
【0038】
N−[5−(5−シアノ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−フルオロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−フルオロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−メチル−4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−メチル−3−ピリダジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−ピリミジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−フルオロ−4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
【0039】
N−[5−(6−フルオロ−2−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(1H−イミダゾール−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−メチル−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−メチル−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−クロロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{5−[6−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
【0040】
N−[5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(2−フルオロ−6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(2,6−ジフルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
およびその医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグを包含する。
【0041】
本発明の化合物は、既知の方法において、種々の方法で調製されうる。下記の反応スキームおよびそれ以後において、別記しない限り、R〜R、n、pおよびHetは、式(I)の定義のとおりである。これらの製法は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0042】
本明細書をとおして、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)などで示される。これらの一般式のサブセットは、(Ia)、(Ib)、(Ic)など、・・・(IVa)、(IVb)、(IVc)などで示される。
【0043】
式(I)の化合物は、反応スキーム1にしたがって、Xが脱離基、例えば、ヨウ素である式(II)の化合物を、Rが水素、アルキルであるか、または2つのR基が環を形成する式(III)のボロン酸またはボロン酸エステル誘導体と反応させることによって調製されうる。典型的なカップリング条件は、塩基(例えば、水性炭酸セシウム)、パラジウム(II)触媒およびトリフェニルホスフィンの存在下、高温(例えば、80℃)における(II)と(III)の反応を含む。式(III)のボロン酸またはボロン酸エステル誘導体は、対応するハロゲン化物(典型的には、ヨウ化物または臭化物)から容易に調製されうる。典型的な反応条件は、塩基(例えば、酢酸カリウム)およびパラジウム(II)触媒、例えば、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリドの存在下、高温(例えば、80℃)におけるハロゲン化物と適当なボロン酸エステルとの反応を含む。
【0044】
スキーム1
【化7】

【0045】
別法では、式(I)の化合物は、反応スキーム2にしたがって、Rが水素、アルキルであるか、または2つのR基が環を形成する式(IV)のボロン酸またはボロン酸エステル誘導体を式(V)の化合物(ここに、Xは脱離基、典型的には、ヨウ素または臭素である)と反応させることによって調製されうる。典型的なカップリング条件は、反応スキーム1の記載と同様である。
【0046】
スキーム2
【化8】

【0047】
式(IIa)の化合物、すなわち、Xがヨウ素である式(II)の化合物は、反応スキーム3にしたがって、式(VI)の化合物から調製されうる。典型的な反応条件は、(VI)を強酸、例えば、硫酸および氷酢酸で処理し、次いで、過ヨウ素酸およびヨウ素で処理することを必要とする。
【0048】
スキーム3
【化9】

【0049】
式(VI)の化合物は、反応スキーム4にしたがって、式(VII)の化合物から調製されうる。典型的な反応条件は、スルホニルクロリド(VIII)を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中における(VII)および塩基(例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の氷冷混合物に加え、次いで、該混合物を徐々に室温に加温することである。
【0050】
スキーム4
【化10】

【0051】
式(VII)の化合物は、式(IX)の化合物から標準的な手法によって調製されうる(反応スキーム5参照)(Sukanta Bhattacharyyaら、Synlett 1999, 1781参照)。
【0052】
スキーム5
【化11】

【0053】
、R、RおよびRが水素であり、pが0である式(VII)の化合物は、市販されており、例えば、2−アミノインダン塩酸塩は、Sigma−Aldrich Company Ltd.から得ることができる。
【0054】
、R、RおよびRのうち少なくとも1つが水素以外である式(IX)の化合物は、反応スキーム6にしたがって、式(X)の化合物から、当該分野で既知の合成手法によって調製してもよく、次いで、適当な精製、典型的にはクロマトグラフィーによって精製されうる。例えば、R、R、RまたはRがアルキルである場合、典型的な反応条件は、(X)の適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中氷冷溶液を攪拌し、次いで、水素化ナトリウムなどの塩基およびハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤で連続処理することを含む。別法では、R、R、RまたはRがフルオロである場合、典型的な反応条件は、アセトニトリルなどの溶媒中、(X)を標準的なフッ素化剤、例えば、AccuflourTM(登録商標)と反応させることを含む(Tetrahedron Letters 1996, 3591参照)。R、R、RまたはRがブロモである場合、典型的な反応条件は、(X)の適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中氷冷溶液を攪拌し、次いで、水素化ナトリウムなどの塩基およびN−ブロモスクシンイミドなどの臭素化剤で連続処理することを含む。各々、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中における水酸化ナトリウム/ナトリウムアルコキシドでの処理によって、これらのブロモ中間体をさらに対応するヒドロキシアルコキシ化合物に変換できることは、当業者に明らかであろう。
【0055】
スキーム6
【化12】

【0056】
式(X)の化合物の別の製法は、Organic Letters 2002, Vol. 4, 2465に記載されている。
【0057】
式(I)の化合物の製法についてのさらなる詳細は、本明細書中に下記する実施例のセクションに見られる。
【0058】
かくして、別の態様において、本発明は、請求項1記載の化合物の製法であって、
(a)式(II):
【化13】

[式中、R〜R、nおよびpは、式(I)について定義したとおりであり、Xは脱離基である]
で示される化合物を式(III):
Het−B(OR)
(III)
[式中、Hetは、式(I)の定義のとおりであり、Rは、水素、アルキル(例えば、C1−6アルキル)であるか、または2つのR基が環(例えば、5または6員環)を形成する]
で示されるボロン酸またはボロン酸エステル誘導体化合物と反応させるか、または
(b)式(IV):
【化14】

[式中、R〜R、nおよびpは、式(I)の定義のとおりであり、Rは、水素、アルキル(例えば、C1−6アルキル)であるか、または2つのR基が環(例えば、5または6員環)を形成する]
で示されるボロン酸またはボロン酸エステル化合物を式(V):
Het−X
(V)
[式中、Hetは式(I)の定義のとおりであり、Xは脱離基である]
で示される化合物と反応させ;次いで、工程(a)または工程(b)の後、
・いずれかの保護基を除去してもよく;および/または
・塩を形成してもよく;および/または
・式(I)の1の化合物を式(I)の別の化合物に変換してもよい
ことを特徴とする製法を提供する。
【0059】
工程(a)において、式(II)中のXは、例えば、ハロゲン、例えば、臭素またはヨウ素であってもよい。Rは、水素、アルキル(例えば、C1−6アルキル)であってもよく、または2つのR基が環(例えば、5または6員環)を形成してもよい。例えば、式(III)の化合物は、Het−B(OH)であってもよい。
【0060】
工程(b)において、例えば、式(IV)中の基−B(OR)は、4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルであってもよい。式(V)中のXは、ハロゲン、例えば、BrまたはIであってもよい。
【0061】
本発明の化合物は、単独で調製されてもよく、または少なくとも2個、例えば、5〜1,000個の化合物、より好ましくは、10〜100個の化合物を含む化合物ライブラリーとして調製されてもよい。本発明の化合物のライブラリーは、コンビナトリアル「スプリットおよびミックス」アプローチによって、またはマルチプルパラレル合成によって、溶液相または固相化学のいずれかを用いて、当業者に既知の手法によって調製されうる。かくして、さらなる態様によると、少なくとも2個の本発明の化合物を含む化合物ライブラリーが提供される。
【0062】
本発明の化合物は、本発明の化合物を標準的な医薬担体または希釈剤と組み合わせることによって、当該分野で周知の従来の手法にしたがって調製される従来の投薬形態において投与すればよい。これらの手法は、成分を適宜、混合、造粒および圧縮、または溶解して所望の製剤を得ることを含みうる。
【0063】
本発明の医薬組成物は、いずれかの経路によって投与するために処方されてもよく、ヒトを包含する哺乳動物への経口、局所、非経口投与に適応させた形態におけるものを包含する。
【0064】
該組成物は、いずれかの経路による投与のために処方されうる。該組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または滅菌非経口溶液または懸濁液の形態であってもよい。
【0065】
本発明の局所的処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼用軟膏および点眼剤または点耳剤、含浸した包帯およびエーロゾルとして提供されてもよく、適当な従来の添加剤、例えば、保存料、薬物浸透を助けるための溶剤、ならびに軟膏およびクリーム中における皮膚軟化剤を含有していてもよい。
【0066】
該処方は、また、適合性の従来の担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。かかる担体は、該処方の約1%〜約98%の割合で配合されうる。より普通には、それらは、処方の約80%までを構成する。
【0067】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位投与形態であってもよく、従来の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、またはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、糖類、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;または許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬習慣においてよく知られた方法にしたがって、被覆してもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または使用前に水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供されてもよい。かかる液体製剤は、従来の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素添加食用油脂、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を包含しうる)、例えば、アーモンド油、油性エステル、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、またはエチルアルコール;保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルあるいはソルビン酸、および必要ならば、従来のフレーバーまたは着色料を含有していてもよい。
【0068】
座剤は、従来の座剤基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有する。
【0069】
非経口投与の場合、流体単位投与形態は、該化合物および滅菌ビヒクル(好ましくは、水)を用いて調製される。該化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度にもよるが、ビヒクル中に懸濁または溶解することができる。溶液の調製において、該化合物を注射用水に溶解し、次いで、フィルター滅菌後、適当なバイアルまたはアンプル中に充填し、密封することができる。
【0070】
有利には、局所麻酔剤、保存料および緩衝化剤などの剤をビヒクル中に溶解することができる。安定性を高めるために、該組成物をバイアル充填後に凍結させ、真空下で水分除去することができる。該凍結乾燥粉末を次いで、バイアルに密封し、使用前に液体を復元するために注射用水の添付バイアルを提供してもよい。非経口懸濁液は、化合物をビヒクル中に溶解する代わりに懸濁し、ろ過滅菌できないことを除き、実質的に同じ方法で調製される。該化合物は、エチレンオキシドに曝露することによって滅菌した後、滅菌ビヒクル中に懸濁することができる。有利には、該化合物の均一な分散を容易にするために、界面活性剤または湿潤剤が該組成物中に含まれる。
【0071】
該組成物は、投与方法にもよるが、0.1重量%、好ましくは10〜60重量%の活性材料を含有しうる。該組成物が投与単位からなる場合、各単位は、好ましくは50〜500mgの活性成分を含有する。成人の治療のために用いる場合、該投与量は、投与経路および頻度にもよるが、好ましくは、100〜3000mg/日、例えば、1500mg/日である。かかる投与量は、1.5〜50mg/kg/日に相当する。適当には、投与量は、5〜20mg/kg/日である。
【0072】
本発明の化合物の個々の投与量の最適な量および投与間隔が治療される病態の性質および程度、投与形態、経路および部位、ならびに治療される特定の哺乳動物によって決定されること、かかる最適条件は通常の技術によって決定できることが、当業者によって理解されるであろう。また、最適な治療方針、すなわち、所定の日数、1日に与えられる本発明の化合物の投与回数は、治療決定試験の通常の方針を用いて当業者が確定できることは、当業者に明らかであろう。
【0073】
限定するものではないが、本明細書中に引用される特許および特許出願を包含する全ての出版物は、あたかも個々の出版物が出典明示により本明細書の一部とされることが詳細かつ個別に示されているかの如く、出典明示により、本明細書の一部とされる。
【0074】
本発明が下記のさらなる態様を包含することは明らかである。第一の態様に関して記載される特徴および具体例は、これらのさらなる態様に及ぶ。
i)本発明の化合物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
ii)哺乳動物においてグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用。
iii)哺乳動物においてグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防において使用するための本発明の化合物。
iv)医薬として使用するための本発明の化合物。
v)有効量の本発明の化合物を投与することを特徴とする、哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防方法。
vi)本発明の化合物と抗精神病薬との組み合わせ。
【0075】
態様ii)、iii)およびv)の場合、関連する疾患または状態は:精神病および精神障害(統合失調症、統合失調症性感情障害、統合失調症型疾患、短期反応精神病、小児発症統合失調症、「統合失調症スペクトル」障害、例えば、統合失調症性人格障害、急性精神病、アルコール性精神病、薬物誘導性精神病、自閉症、せん妄、躁病(急性躁を包含する)、躁鬱性精神病、幻覚、内因性精神病、器質性精神症候群、偏執および妄想障害、産褥期精神病、およびアルツハイマー病などの神経変性疾患に付随する精神病を包含する);認識障害(例えば、注意、順応、記憶を包含する認識機能の障害(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘障害および加齢による記憶障害)および言語機能の障害の治療、ならびに卒中、アルツハイマー病、AIDSに関連する認知症または他の認知症ならびに、せん妄または鬱のような認識力低下を引き起こし得る他の急性または亜急性状態(偽認知症状態)、外傷、加齢、卒中、神経変性、薬物誘導性状態、神経毒性剤の結果としての認識障害を包含する)、軽度認識障害、加齢による認識障害、自閉症に関連する認識障害、ダウン症候群、精神病に関連する認識低下、電気ショック療法後の認識障害;不安障害(全般性不安障害、社会不安障害、興奮、緊張、精神病患者における社会的または感情的離脱、パニック障害、および強迫障害を包含する);神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、運動ニューロン疾患および他の運動障害、例えば、パーキンソン病(意図的動作におけるゆっくりと増加する能力障害、震え、動作緩慢、運動過剰症(中程度および重篤)、無運動、硬直、バランスおよび調整の障害、および姿勢の障害を包含する運動力欠損および/または運動不能の軽減を包含する)、パーキンソン病における認知症、ハンチントン病における認知症、神経遮断薬誘導性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジー、卒中、心臓停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷などの後の神経変性、および脱髄疾患、例えば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症);鬱病(該用語は、双極性(躁病)鬱病(I型およびII型を包含する)、単極性鬱病、または精神病的特徴、カタトニー特徴、メランコリー特徴、不定型特徴(例えば、無気力、過食/肥満、睡眠過剰)または産後発症を伴う、もしくは伴わない単発性もしくは再発性大鬱エピソード、季節性情動障害および気分変調、鬱病関連不安症、精神病的鬱、および限定するものではないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎を包含する一般的な医学的状態からもたらされる抑鬱障害を包含する);外傷後ストレス症候群;注意欠陥障害;注意欠陥多動障害;薬物誘導性(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)障害;ハンチントン舞踏病;遅発性ジスキネジー;ジストニア;ミオクローヌス;痙性;肥満;卒中;性機能不全;および睡眠障害である。
【0076】
本発明中で、本明細書中で使用される適応症を記載する用語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。下記に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0077】
本発明中では、「精神障害」なる語は、
サブタイプ妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能(undifferentiated)型(295.90)および残遺型(295.60)を包含する統合失調症;統合失調症様障害(295.40);サブタイプ双極型および抑鬱型を包含する統合失調性感情障害(295.70);サブタイプ恋愛(Erotomanic)型、誇大(Gradiose)型、嫉妬(Jealous)型、迫害(Persecutory)型、身体(Somatic)型、混合(Mixed)型および不特定(Unspecified)型を包含する妄想障害(297.1);簡単な精神障害(298.8);共通の精神障害(297.3);妄想を伴うサブタイプおよび幻覚を伴うサブタイプを包含する一般的健康状態に起因する精神障害;妄想を伴う(293.81)および幻覚を伴う(293.82)サブタイプを包含する物質誘導性精神障害;および不特定の精神障害(298.9)を包含する。
【0078】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩および溶媒和物は、また、下記の障害の治療において有用でありうる:
【0079】
大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを包含する抑鬱および気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、不特定の抑鬱性障害(311)を包含する抑鬱性障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および不特定の双極性障害(296.80)を包含する双極性障害;鬱病性特徴、大鬱病様エピソード、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する一般的健康状態に起因する気分障害(293.83)を包含する他の気分障害、物質誘導性気分障害(鬱病性特徴、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する)および不特定の気分障害(296.90):
【0080】
パニック発作;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21)を包含するパニック障害;広場恐怖症;パニック障害の病歴をもたない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液注入傷害(Blood−Injection−Injury)型、状況型および他の型のサブタイプを包含する特定恐症(300.29、以前の単一恐怖症(Simple Phobia))、社会恐怖症(社会不安障害、300.23)、強迫障害(300.3)、外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般的健康状態に起因する不安障害(293.84)、物質誘導性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)および不特定の不安障害(300.00)を包含する不安障害:
【0081】
物質依存、物質渇望および物質濫用などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘導性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール濫用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および不特定のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン濫用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および不特定のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および不特定のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻濫用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神障害、大麻誘導性不安障害および不特定の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン濫用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および不特定コカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤濫用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および不特定の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤濫用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および不特定吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および不特定のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド濫用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および不特定オピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン濫用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および不特定のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤濫用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性精神障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性不安障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性睡眠障害および不特定の鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害;多物質依存(304.80)などの多物質関連障害;およびアナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素などの他の(または未知の)物質関連障害を包含する物質関連障害:
【0082】
睡眠異常(Dyssomnias)などの原発性睡眠障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および不特定の睡眠異常(307.47);睡眠時異常行動などの原発性睡眠障害、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、夢中歩行障害(307.46)および不特定の睡眠時異常行動(307.47);別の精神障害に関連した睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連した不眠症(307.42)および別の精神障害に関連した過眠症(307.44);一般的健康状態に起因する睡眠障害、特に、神経学的障害、ニューロパシー痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺疾患のような疾患に関連する睡眠障害;および不眠型、過眠型、睡眠時異常行動型および混合型のサブタイプを包含する物質誘導性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差症候群を包含する睡眠障害:
【0083】
自閉障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)および不特定の広汎性障害(299.80、非定型自閉症を包含する)を包含する自閉症領域の障害:
【0084】
混合型の注意欠陥/多動性障害(314.01)、不注意型の注意欠陥/多動性障害(314.00)、多動−衝動型の注意欠陥/多動性障害(314.01)および不特定の注意欠陥/多動性障害(314.9)サブタイプを包含する注意欠陥/多動性障害;多動障害;破壊的行動障害、例えば、幼児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定発症型(312.89)サブタイプを包含する行為障害、反抗的行動障害(313.81)および不特定の破壊的行動障害;およびトゥーレット障害(307.23)などのチック障害:
【0085】
妄想性人格障害(301.0)、統合失調症的人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、非社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および不特定の人格障害(301.9)サブタイプを包含する人格障害:
【0086】
統合失調症、双極性障害、鬱病、認識障害、例えば、アルツハイマー病に関連した他の精神障害および精神異常などの他の疾患における認識障害の治療を包含する認識の強化:および
【0087】
性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)および性的嫌悪障害(302.79);性的刺激障害、例えば、女性性的刺激障害(302.72)および男性勃起障害(302.72);オルガニスム障害、例えば、女性オルガニスム障害(302.73)、男性オルガニスム障害(302.74)および早漏(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51);不特定の性的機能不全(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、摩擦愛好症(302.89)、ペドフィリア(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および不特定の性的倒錯(302.9);性的自己同一性障害、例えば、子供の性的自己同一性障害(302.6)および青年または成人における性的自己同一性障害(302.85);および不特定の性的障害(302.9)を包含する性的機能不全。
【0088】
本明細書中に挙げられる障害の種々の型およびサブ型の全ては、本発明の一部を構成する。
【0089】
本発明中で、「認識障害」なる語は、例えば、注意、順応、学習障害、記憶を包含する認識機能の障害(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘障害、一過性全健忘症症候群および加齢による記憶障害)および言語機能の障害;卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症または多重梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下関連認知症、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症などの他の変性障害に関連する認知症などの他の認知症状態の結果としての認識障害;せん妄または鬱のような認識力低下を引き起こし得る他の急性または亜急性状態(偽認知症状態)、外傷、頭部外傷、加齢に関連する認識低下、卒中、神経変性、薬物誘導性状態、神経毒性剤の結果としての認識障害、軽度認識障害、加齢による認識障害、自閉症に関連する認識障害、ダウン症候群、精神病に関連する認識低下、および電気ショック療法後の認識障害;およびパーキンソン病、神経遮断薬誘導性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジーなどの運動障害の治療を包含する。
【0090】
本発明の化合物は、精神障害を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)抗精神病薬(例えば、オランザピン(olanzapine)、リペリドン(risperidone)、クロザピン(clozapine)、ジプラジドン(ziprazidone)およびタルネタント(talnetant));ii)錐体外路系副作用のための薬剤、例えば、抗コリン作用薬(例えば、ベンズトロピン(benztropine)、ビペリデン(biperiden)、プロシクリジンおよびトリヘキシフェリジル)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)およびドーパミン作用薬(例えば、アマンタジン(amantadine));iii)抗鬱剤;iv)不安緩解剤;およびv)認識強化剤、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン(tacrine)、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)およびガランタミン(galantamine))。
【0091】
本発明の化合物は、鬱病および気分障害を治療または予防するために抗鬱剤と組み合わせて使用してもよい。
本発明の化合物は、双極性疾患を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)気分安定剤;ii)抗精神病薬;およびiii)抗鬱剤。
【0092】
本発明の化合物は、不安障害を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)不安緩解剤;およびii)抗鬱剤。
本発明の化合物は、ニコチン離脱を改善およびニコチン渇望を減少させるために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)ニコチン置換療法、例えば、ニコチンベータシクロデキストリンの舌下処方およびニコチンパッチ;およびii)ブプロピオン。
【0093】
本発明の化合物は、アルコール離脱を改善およびアルコール渇望を減少させるために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、アカムプロサート(acamprosate);ii)GABA受容体アゴニスト、例えば、テトラバマート(tetrabamate);およびiii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン(naltrexone)。
【0094】
本発明の化合物は、アヘン離脱を改善およびアヘン渇望を減少させるために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)オピオイドミュー受容体アゴニスト/オピオイドカッパ受容体アンタゴニスト、例えば、ブプレノルフィン(buprenorphine);ii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン;およびiii)血管拡張性抗高血圧剤、例えば、ロフェキシジン(lofexidine)。
【0095】
本発明の化合物は、睡眠障害を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)ベンゾジアゼピン、例えば、テマゼパム(temazepam)、ロルメタゼパム(lormetazepam)、エスタゾラム(estazolam)およびトリアゾラム(triazolam);ii)非ベンゾジアゼピン睡眠薬、例えば、ゾルピデム(zolpidem)、ゾピクロン(zopiclone)、ザレプロン(zaleplon)およびインジプロン(indiplon);iii)バルビツール酸塩、例えば、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタおよびフェノバルビタール;iv)抗鬱剤;v)他の睡眠鎮静薬、例えば、抱水クロラールおよびクロルメチアゾール。
【0096】
本発明の化合物は、食欲不振を治療するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)食欲刺激剤、例えば、シプロヘプチジン(cyproheptidine);ii)抗鬱剤;iii)抗精神病薬;iv)亜鉛;およびv)月経前薬、例えば、ピリドキシンおよびプロゲステロン。
本発明の化合物は、病的飢餓を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)抗鬱剤;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト;iii)制吐剤、例えば、オンダンセトロン;iv)テストステロン受容体アンタゴニスト、例えば、フルタミド;v)気分安定剤;vi)亜鉛;およびvii)月経前薬。
【0097】
本発明の化合物は、自閉症を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)抗精神病薬;ii)抗鬱剤;iii)不安緩解剤;およびiv)興奮薬、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン製剤およびペモリン。
本発明の化合物は、注意欠陥多動障害を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)興奮薬、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン製剤およびペモリン;およびii)非興奮薬、例えば、ノルエピネフリン再取込阻害剤(例えば、アトモキセチン(atomoxetine))、アルファ2アドレノレセプターアゴニスト(例えば、クロニジン(clonidine))、抗鬱剤、モダフィニル(modafinil)、およびコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミン(galantamine)およびドネゼピル(donezepil))。
【0098】
本発明の化合物は、人格障害を治療するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)抗精神病薬;ii)抗鬱剤;iii)気分安定剤;およびiv)不安緩解剤。
本発明の化合物は、男性性機能不全を治療または予防するために下記の剤と組み合わせて使用してもよい。i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えば、バルデナフィル(vardenafil)およびシルデナフィル(sildenafil);ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミン輸送阻害剤、例えば、アポモルフィン(apomorphine)およびブプロプリオン;iii)アルファアドレノレセプターアンタゴニスト、例えば、フェントラミン;iv)プロスタグランジンアゴニスト、例えば、アルプロスタジル(alprostadil);v)テストステロンアゴニスト、例えば、テストステロン;vi)セロトニン輸送阻害剤、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤;v)ノルアドレナリン輸送阻害剤、例えば、レボキセチン;およびvii)5−HT1Aアゴニスト、例えば、フリバンセリン(flibanserine)。
本発明の化合物は、女性性機能不全を治療または予防するために男性性機能不全のために特定されたのと同じ薬剤と組み合わせて、さらに、エストラジオールなどのエストロゲンアゴニストと組み合わせて使用してもよい。
【0099】
抗精神病薬は、典型的な抗精神病薬(例えば、クロルプロマジン(chlorpromazine)、チオリダジン(thioridazine)、メソリダジン(mesoridazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、チオチキシン(thiothixine)、ハロペリドール(haloperidol)、モリンドン(molindone)およびロキサピン(loxapine));および非典型的な抗精神病薬(例えば、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、リスペリドン(risperidone)、ケチアピン(quetiapine)、アリピラゾール(aripirazole)、ジプラシドン(ziprasidone)、アミスルプリド(amisulpride)、ジプラジドン(ziprazidone)およびタルネタント(talnetant))を包含する。
【0100】
抗鬱剤は、セロトニン再取込阻害剤(例えば、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、パロキセチンおよびセルトラリン(sertraline));セロトニン/ノルアドレナリン再取込二重阻害剤(例えば、ベンラファキシン(venlafaxine)、ドゥロキセチン(duloxetine)およびミルナシプラン(milnacipran));ノルアドレナリン再取込阻害剤(例えば、レボキセチン(reboxetine));三環式抗鬱剤(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン(clomipramine)、イミプラミン(imipramine)、マプロチリン(maprotiline)、ノルトリプチリンン、およびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド(moclobemide)、フェネルジン(phenelzine)およびトラニルシプロミン);およびその他(例えば、ブプロピオン、ミアンセリン(mianserin)、ミルタザピン(mirtazapine)、ネファゾドン(nefazodone)およびトラゾドン(trazodone))を包含する。
【0101】
気分安定剤は、リチウム、ナトリウムバルプロエート/バルプロ酸/ジバルプロエクス(divalproex)、カルバムアゼピン、ラモトリジン(lamotrigine)、ガバペンチン(gabapentin)、トピラマート(topiramate)およびチアガビン(tiagabine)を包含する。
不安緩解剤は、ベンゾジアゼピン類、例えば、アルプラゾラム(alprazolam)およびロラゼパム(lorazepam)を包含する。
【実施例】
【0102】
本発明は、下記の実施例によって説明される。
【0103】
出発材料は、別記しない限り、商業上の供給元から入手され、さらに精製することなく用いた。フラッシュクロマトグラフィーは、静止相としてプレパックIsolute FlashTMまたはBiotageTMシリカゲルカラム、および溶出液として分析等級溶媒を用いて実施した。キャッチ・アンド・リリース精製は、スルホン酸官能基を有する結合相シリカからなるSCX(強カチオン交換)カートリッジを用いて実施した。マス・ディレクテッド分取HPLCは、19mm x 100mmまたは30mm x 100mm、5μm逆相Waters Atlantisカラムを静止相として用い、水+0.1%ギ酸からアセトニトリル+0.1%ギ酸の勾配を溶出液として用いて実施した。該溶出液は、Waters 996フォトダイオードアレイおよびMicromass ZQ質量分光計によってモニターした。実施例化合物の場合、報告される全収量は、精製して単離した物質についてである。NMRスペクトルは、別記しない限り、298Kにて、BrukerTM DPX400またはOxford InstrumentsTM 250MHz機のいずれかを用いて記載の周波数にて得られ、CDClの希釈溶液として実施した。全NMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS δ 0, δ 0)を基準とした。全カップリング定数は、ヘルツ(Hz)で報告され、多重度は、s(シングレット)、bs(幅広シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブレットのダブレット)、dt(トリプレットのダブレット)およびm(マルチプレット)で標識する。
【0104】
LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分光測定)データは、4.6mm x 50mm、3μm逆相Waters AtlantisTMカラムを静止相として有するAgilentTM1100HPLCシステムを用いて得られた。97%水+0.05%ギ酸/3%アセトニトリル+0.05%ギ酸〜97%アセトニトリル+0.05%ギ酸の3分間の勾配およびさらに1分、流速1.5mL/分で該混合物を連続溶出する勾配溶出を溶出液として用いた。保持時間は、分(関連ピークについてDA/ELSDの強度パーセンテージで)として報告される。分光計モニタリングは、AgilentTM1100ダイオードアレイ(DA)検出器またはSedexTM蒸発光散乱検出器(ELSD)を用いて実施した。全イオン電流追跡は、エレクトロスプレー正および負イオン化(ES+/ES−)および大気圧化学正および負イオン化(AP+/AP−)について得られた。
【0105】
中間体1: N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド
【化15】

2−アミノインダン塩酸塩(5.16g,30mmol,Sigma−Aldrich Companny Ltd)を乾燥ジクロロメタン(100ml)中に懸濁し、アルゴン下、攪拌しながら0℃に冷却した。該懸濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(3当量,約14ml,約90mmol)を加え、次いで、イソプロピルスルホニルクロリド(6.8ml,60mmol)を滴下した。冷却浴を外し、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を1M塩酸(2x50ml)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下(すなわち、減圧下)で蒸発させて、黄色油を得た(11.8g)。粗生成物を50g IsoluteTMフラッシュシリカゲルカラム上、石油エーテル中における20−50%酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色固体として得た(6.88g,96%)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ1.39 (6H, d, J = 7 Hz), 2.91 (2H, m), 3.18 (1H, m), 3.31 (2H, m), 4.31 (2H, m), 7.21 (4H, m).
【0106】
中間体2: N−(5−ヨード−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド
【化16】

中間体1(1.75g,7.32mmol)を氷酢酸(30ml)中に溶解し、次いで、濃硫酸(0.8ml)、次いで、水(2.8ml)で攪拌しながら処理した。次いで、該混合物を過ヨウ素酸(0.23当量,0.38g,1.67mmol)、次いでヨウ素(0.43当量,800mg,3.15mmol)で処理し、混合物全体を60℃で3〜4時間攪拌した。反応混合物を冷却し、次いで、酢酸エチルと10%水性メタ重亜硫酸ナトリウムとの間に分配した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて、標題化合物を黄色油として得た(2.95g)。
質量スペクトル(ES):実測値364(MH)。C1216INOSの計算値365; 1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ1.39 (6H, m), 2.90 (2H, m), 3.18 (1H, m), 3.28 (2H, m), 4.28 (1H, m), 4.63 (1H, m), 6.97 (1H, d, J = 8 Hz), 7.51 (1H, m), 7.56 (1H, m).
【0107】
中間体3: N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化17】

ジクロロメタンを伴う(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド錯体(3mol%,200mg,0.27mmol)、酢酸カリウム(2.64g,26.9mmol)およびビス(ピナコラート)ジボロン(1.1当量,2.3g,9.1mmol)のジメチルスルホキシド(60ml)中混合物をアルゴンを用いて5分間、脱気した。中間体2(3.0g,8.22mmol)のジメチルスルホキシド(20ml)中溶液を加え、得られた混合物をアルゴン下、80℃で3時間攪拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈した。該溶液を水(3x)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、暗色油を得(3.25g)、それを、石油エーテル中における0−50%酢酸エチルで溶出する50g IsoluteTM Flashシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を茶色油として得た(2.60g,87%)。
質量スペクトル(API−):実測値364(MH−),C1828BNOSの計算値365; 1H-NMR (250MHz, CDCl3)δ1.34 (12H, s), 1.39 (6H, d, J=7Hz), 2.90 (2H, m), 3.18 (1H, m), 3.32 (2H, m), 4.27 (2H, m), 7.26 (1H, m), 7.65 (2H, m).
【0108】
中間体4: トリフルオロメタンスルホン酸5−メチル−3−ピリジニル
【化18】

二口丸底フラスコ中、窒素雰囲気下、3−ヒドロキシ−5−メチルピリジン(500mg,4.58mmol)を10mlの乾燥塩化メチルレン中に懸濁した。トリエチルアミンを加え(2.5ml,18.32mmol,4当量)、得られた溶液を0℃に冷却した。次いで、無水トリフルオロメタンスルホン酸(triflic anhydride)(1.15ml,6.87mmol,1.5当量)の10mlの乾燥塩化メチレン中における溶液を滴下した。該溶液は紫色に変化した。添加終了後、混合物を0℃に維持して1時間攪拌し、次いで、室温に温めた。溶媒を真空下で除去した。得られた粗油を少量のDCM中に溶解し、25gシリカカートリッジ(IST)上に負荷した。該カラムを純粋なシクロヘキサンで洗浄し、生成物をシクロヘキサン/AcOEt 9/1混合物で回収した。該生成物を2つのフラクションにおいて得た:1つは純粋なフラクション(オレンジ色液体,260mg)であり、1つはあまり純粋でないフラクション(オレンジ色液体,372mg,TLCにおいて付加的な小さなスポット、および1H−NMRにおいてわずかな脂肪族性不純物)であった。全部で〜2.6mmol,57%収率。
質量スペクトル(ES):実測値242(MH+).CNOSの計算値241. 1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ2.44 (3H, s), 7.46 (1H, s), 8.43 (1H, s), 8.50 (1H, s)
【0109】
中間体5: (S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(カンファースルホン酸塩)
【化19】

標題化合物は、Prashadら、Adv. Synth. Catal. 2001, 343, No. 5, pp 461-472に記載の方法と同様に調製された。すなわち、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸を用いるラセミ化合物5−ブロモ−2−アミノインダンの遊離塩基形態の分割によって、(S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩が得られた。
(S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩の絶対配置は、X−線結晶学によって確認された。さらに、(S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩のエナンチオマー純度は、下記の条件を用いるHPLCによってチェックされた。
カラム:キラルパックAD−H5um,250x4.6mm
移動相:A:n−ヘキサン;B:エタノール+0.1%イソプロピルアミン
勾配:定組成8%B
流速:0.8ml/分
UV WL範囲:200−400nm
分析時間:17分
エナンチオマー1は、ラセミ化合物から0.84%a/aで回収された。Rt.=11.9分。エナンチオマー2は、ラセミ化合物から99.16%a/aで回収された。Rt.=12.8分
【0110】
中間体6: N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化20】

中間体5の遊離塩基形態を得るために、中間体5を、溶媒として酢酸イソプロピル中におけるNaOH(1M水溶液,少なくとも1当量でpH=10に達する)で処理した。中間体1の調製と類似の方法によって、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンおよびイソプロピルスルホニルクロリドを用いて、中間体5の遊離塩基形態をN−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドに変換した。
【0111】
中間体7: N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化21】

中間体6を、ジクロロメタンを用いないことを除き中間体2からの中間体3の調製と類似の方法を用いて、中間体7に変換した。
【0112】
中間体8: (R)−5−ブロモ−2−アミノインダン
【化22】

標題化合物は、Prashadら, Adv. Synth. Catal. 2001, 343, No. 5, pp 461-472に記載の方法と類似の方法を用いて調製された。すなわち、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸を用いるラセミ化合物5−ブロモ−2−アミノインダンの遊離塩基形態の分割によって、(R)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸塩が得られた。(R)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸塩のエナンチオマー純度は、下記の条件を用いるHPLCによってチェックされた。
カラム:キラルパックAD−H5um,250x4.6mm
移動相: A:n−ヘキサン;B:エタノール+0.1%ipa
勾配:定組成8%B
流速:0.8ml/分
UV波長範囲:200−400nm
分析時間:20分
エナンチオマー1は、ラセミ化合物から98.6%a/aで回収された。Rt.=11.9分。エナンチオマー2は、ラセミ化合物から1.4%a/aで回収された。Rt.=12.9分
【0113】
中間体9: N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド
【化23】

標題化合物は、5−ブロモ−2−アミノインダン臭化水素酸塩(Prashadら, Adv. Synth. Catal. 2001, 343, No. 5, pp 461-472)から、中間体1の調製と類似の方法によって調製された。
質量スペクトル(ES):実測値316(MH).C12H1679BrNOSの計算値317; 1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ1.39 (6H, m), 2.88 (2H, m), 3.18 (1H, m), 3.28 (2H, m), 4.30 (2H, m), 7.08 (1H, d, J = 8 Hz), 7.31 (1H, m), 7.35 (1H, m).
【0114】
実施例1: N−[5−(2−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化24】

1,4−ジオキサン:水の3:1混合物(4ml)中における中間体2(65mg,0.18mmol)および炭酸セシウム(1.5当量,88mg,0.27mmol)の混合物をアルゴンを用いて5分間脱気した。次いで、該混合物を(2−フルオロ−3−ピリジニル)ボロン酸(1.1当量,28mg,0.20mmol,Asymchem International Inc.)に加えた。次いで、酢酸パラジウム(2mg,0.01mmol−別法では、固相支持されたパラジウムを用いてもよい)およびトリフェニルホスフィン(9mg,0.03mmol)を加え、混合物全体を16時間還流下で攪拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(10ml)と水(10ml)との間に分配した。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させた。得られた生成物をマスディレクテッド分取HPLCを用いて精製して、標題化合物を得た(22mg,37%)。
質量スペクトル(API+):実測値335(MH+), C1719FNSの計算値334; 1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ1.41 (6H, d, J=7Hz), 2.98 (2H, m), 3.21 (1H, m), 3.38 (2H, m), 4.35 (2H, m), 7.38 (3H, m), 7.66 (1H, m), 7.84 (1H, m), 8.19 (1H, m).
【0115】
実施例2: N−[5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化25】

標題化合物は、混合物を通常の還流下で16時間攪拌する代わりに、反応混合物をマイクロ波反応器中、160℃で20分間攪拌することを除き、実施例1の調製と類似の方法によって、中間体2から出発し、(6−フルオロ−3−ピリジニル)ボロン酸を用いて調製された。
質量スペクトル(API+):実測値 335(MH+),C1719FNSの計算値334; 1H-NMR (250MHz, CDCl3):δ1.41 (6H, d, J=7Hz), 2.98 (2H, m), 3.21 (1H, m), 3.38 (2H, m), 4.40 (2H, m), 7.00 (1H, m), 7.32 (3H, m), 7.93 (1H, m), 8.37 (1H, m).
標題化合物はまた、中間体9から出発し、実施例1の調製と類似の方法によって、(6−フルオロ−3−ピリジニル)ボロン酸を用いて調製された。
質量スペクトル(ES+):実測値335(MH+), C1719FNSの計算値334; 1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ1.41 (6H, d, J=7Hz), 2.98 (2H, m), 3.21 (1H, m), 3.38 (2H, m), 4.35 (1H, m), 4.45 (1H, m), 7.00 (1H, dd, J = 8 & 2 Hz), 7.34 (3H, m), 7.93 (1H, m), 8.37 (1H, m).
ラセミ化合物を分離して、下記の条件を用いるHPLCによって2つのエナンチオマーを得た。
カラム:キラルパックAS−H5um,250x4.6mm
移動相:A:n−ヘキサン;B:エタノール
勾配:定組成30%B
流速:0.8ml/分
UV WL範囲:200−400nm
分析時間:20分
エナンチオマー1は、ラセミ化合物から51.4%a/aで回収された。Rt.=16.2分。エナンチオマー2は、ラセミ化合物から48.6%a/aで回収された。Rt.=17.7分
実施例2のエナンチオマーは、エナンチオマー的に純粋な中間体を用いて調製することができる。
【0116】
実施例2a: N−[(2S)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
混合物を通常の還流下で16時間攪拌する代わりに、反応混合物をマイクロ波反応器中160℃で20分間攪拌したこと、および酢酸パラジウムおよびトリフェニルホスフィンの代わりに、ポリマー結合型テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウムを用いたことを除き、実施例1の調製と類似の方法において、中間体6を(6−フルオロ−3−ピリジニル)ボロン酸と反応させて、N−[(2S)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドを得た。得られたN−[(2S)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドのエナンチオマー純度は、上記のラセミ化合物の分離に関するのと同じ条件を用いるHPLCによってチェックされた。エナンチオマー1は、ラセミ化合物から2.08%a/aで回収された。Rt.=16.3分。エナンチオマー2は、ラセミ化合物から97.92%a/aで回収された。Rt.=17.7分、エナンチオマー2は、X線結晶学によって、N−[(2S)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであることが確認された。
【0117】
実施例2b: N−[(2R)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
標題化合物は、実施例2aと類似の製法を用いて、まず、中間体8を用いて対応するプロパンスルホンアミドを調製することによって調製された。得られたN−[(2R)−5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドのエナンチオマー純度は、分析時間が22分であったことを除き、上記実施例2のラセミ化合物の分離と同じ条件を用いるHPLCによってチェックされた。エナンチオマー1は、ラセミ化合物から99.04%a/aで回収された。Rt.=16.62分。エナンチオマー2は、ラセミ化合物から0.96%a/aで回収された。Rt.=18.29分。
【0118】
下記の式(A)の化合物(表1参照)、すなわち、Rがイソプロピルであり、nが1であり、RおよびRが水素であり、pが0である式(I)の化合物は、実施例1の調製と類似の方法によって、中間体2から出発して、適当なボロン酸を用いて調製された。ボロン酸は全て、1以上の下記の供給元から入手可能である。Asymchem International Inc., Frontier Scientific IncおよびSigma Aldrich Company Ltd.
【0119】
【化26】

【0120】
【表1】

【0121】
実施例7: N−[5−(4−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化27】

1,4−ジオキサン:水の3:1混合物(4ml)中における中間体3(80mg,0.22mmol)、3−ブロモ−4−メチルピリジン(1当量,38mg,0.22mmol)および炭酸セシウム(1.5当量,108mg,0.33mmol)の混合物をアルゴンを用いて5分間脱気した。次いで、酢酸パラジウム(2mg,0.01mmol)、次いで、トリフェニルホスフィン(12mg,0.04mmol)を加え、混合物全体を160℃で20分間、マイクロ波反応器中で攪拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を分離し、減圧下で蒸発させた。得られた生成物を石油エーテル中における0−40%酢酸エチルで溶出する5g IsoluteTM Flashシリカゲルカラム上で精製して、標題化合物を黄色油として得た(38mg,52%)。
質量スペクトル(API+): 実測値331(MH+), C1822Sの計算値330; 1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ1.41 (6H, d, J=7Hz), 2.73 (3H, s), 2.99 (2H, m), 3.21 (1H, m), 3.38 (2H, m), 4.36 (1H, m), 4.74 (1H, m), 7.12 (1H, dd, J=8Hz and 1Hz), 7.17 (2H, m), 7.29 (1H, d, J=8Hz), 8.30 (1H, s), 8.43 (1H, d, J=5Hz)
【0122】
下記の式(A)の化合物(表2参照)、すなわち、Rがイソプロピルであり、nが1であり、RおよびRが水素であり、pが0である式(I)の化合物は、実施例7の調製と類似の方法によって、中間体3から出発して、適当なピリジル、ピリミジニル、イミダゾリルまたはピリダジニルハロゲン化物を用いて調製された。かかるハロゲン化物は全て、1以上の下記の供給元から入手可能である。Apollo Scientific Ltd.およびLancaster Synthesis Ltd.
【0123】
【化28】

【0124】
【表2−1】

【0125】
【表2−2】

【0126】
【表2−3】

【0127】
【表2−4】

【0128】
【表2−5】

【0129】
実施例30: N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【化29】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(190mg,0.52mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(5ml)中溶液に、ポリマー支持されたPd(PPh(10mg,0.5mmol/g,0.005mmol)を5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(176mg,0.78mmol)および500μlの2M NaCO水溶液と共に加えた。得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCMで溶解し、水で洗浄し、25M+シリカカートリッジ上に負荷し、シクロヘキサン/AcOEt 75/25混合物で溶出した。白っぽい固体として150mgの標題化合物を回収した(75%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値385(MH+), C1819Sの計算値384; 1H-NMR (500MHz, DMSO-d6):1.26 (6H, d, J=7Hz), 2.92 (2H, m), 3.23 (3H, m), 4.14 (1H, m), 7.37 (1H, d, J=8Hz), 7.48 (1H, d, J=8Hz), 7.59 (1H, d, J=9Hz), 7.65 (1H, m), 7.95 (1H, d, J=9Hz), 8.31 (1H, m), 9.05 (1H, m)
【0130】
実施例31: N−[(2S)−5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化30】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(1g,2.74mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(15ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(54 g,0.5mmol/g,0.027mmol)を2−ブロモ−5−クロロピリジン(1.05g,5.48mmol)および3.5mlの2M NaCO水溶液と共に加え、得られた混合物を次いで、90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をAcOEtおよび水に溶解した。水相を分離し、3N HClで酸性化し、AcOEtで抽出した。次いで、pHをNaHCOの添加によって塩基性に逆転させ、AcOEtでの別の抽出を行った。有機抽出物の全てを収集し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。粗生成物を最終的に、シクロヘキサン/AcOEt 80/20混合物で溶出する40M+シリカカートリッジ上で精製した。682mgの標題化合物を白っぽい固体として回収した(71%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−[(2S)−5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値351(MH+), C171935ClNSの計算値350; 1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):1.25 (6H, d, J=7Hz), 2.90 (2H, m), 3.24 (3H, m), 4.14 (1H, m), 7.31 (1H, d, J=8Hz), 7.46 (1H, d, J=8Hz), 7.86 (1H, m), 7.90 (1H, m), 7.96 (2H, m), 8.66 (1H, m)
【0131】
実施例32: N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【化31】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(190mg,0.52mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(5ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(10mg,0.5mmol/g,0.005mmol)を2−ブロモ−6−トリフルオロメチルピリジン(174mg,0.78mmol)および500μlの2M NaCO水溶液と共に加え、得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCMに溶解し、水で洗浄し、25M+シリカカートリッジ上に負荷し、シクロヘキサン/AcOEt 75/25混合物で溶出した。95mgの標題化合物を白っぽい固体として回収した(47%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値385(MH+), C1819Sの計算値384; 1H-NMR(500MHz, DMSO-d6): 1.26 (6H, d, J=7Hz), 2.92 (2H, m), 3.23 (3H, m), 4.14 (1H, m), 7.36 (1H, d, J=8Hz), 7.47 (1H, m), 7.81 (1H, d, J=8Hz), 7.92 (1H, d, J=8Hz), 7.95 (1H, m), 8.14 (1H, t, J=7Hz), 8.24 (1H, d, J=8Hz)
【0132】
実施例33: N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化32】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(250mg,0.68mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(5ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(70mg,0.11mmol/g,0.0068mmol)をトリフルオロメタンスルホン酸5−メチル−3−ピリジニル(241mg,1.026mmol)および680μlの2M NaCO水溶液と共に加え、得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCMに溶解し、水で洗浄し、25M+シリカカートリッジ上に負荷し、シクロヘキサン/AcOEt 75/25混合物で溶出した。95mgの標題化合物を白っぽい固体として回収した(42%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値331(MH+), C1822Sの計算値330; 1H-NMR (400MHz, CDCl3): 1.43 (6H, d, J=7Hz), 2.43 (3H, m), 3.01 (2H, m), 3.23 (1H, m), 3.40 (2H, m), 4.38 (1H, m), 4.65 (1H, m), 7.34 (1H, d, J=8Hz), 7.40 (1H, d, J=8Hz), 7.43 (1H, m), 7.71 (1H, m), 8.44 (1H, m), 8.56 (1H, m)
【0133】
実施例34: N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化33】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(700mg,1.92mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(15ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(38mg,0.5mmol/g,0.019mmol)を3−ブロモ−5−フルオロピリジン(675mg,3.83mmol)および2.7mlの2M NaCO水溶液と共に加え、得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をAcOEtおよび水に溶解した。水相を分離し、3N HClで酸性化し、AcOEtで抽出した。次いで、pHをNaHCOの添加によって塩基性に逆転させ、AcOEtでの別の抽出を行った。有機抽出物の全てを収集し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。粗生成物を最終的に、シクロヘキサン/AcOEt 80/20混合物で溶出する40M+シリカカートリッジ上で精製した。270mgの標題化合物を白っぽい固体として、240mgのわずかに純粋でないフラクションと共に回収した(全体として収率79%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES):実測値335(MH+), C1719FNSの計算値334; 1H-NMR(400MHz, CDCl3): 1.43 (6H, d, J=7Hz), 3.01 (2H, m), 3.23 (1H, m), 3.42 (2H, m), 4.30 (1H, d, J=8Hz), 4.39 (1H, m), 7.37 (1H, d, J=8Hz), 7.42 (1H, d, J=8Hz), 7.45 (1H, m), 7.61 (1H, d, J=9Hz), 8.48 (1H, m), 8.66 (1H, m)
【0134】
実施例35: N−[(2S)−5−(2−フルオロ−6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化34】

N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(250mg,0.68mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(5ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(14mg,0.5mmol/g,0.007mmol)を3−ブロモ−2−フルオロ−6−メチルピリジン(194mg,1.02mmol)および680μlの2M NaCO水溶液と共に加えた。得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCMに溶解し、水で洗浄し、25M+シリカカートリッジ上に負荷し、シクロヘキサン/AcOEt 75/25混合物で溶出した。175mgの標題化合物を白っぽい固体として回収した(74%)。キラル中間体7の使用のため、最終化合物は、N−[(2S)−5−(2−フルオロ−6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値349(MH+), C1821FNSの計算値348; 1H-NMR(400MHz, CDCl3): 1.42 (6H, d, J=7Hz), 2.55 (3H, s), 2.98 (2H, m), 3.21 (1H, m), 3.39 (2H, m), 4.33 (2H, m), 7.11 (1H, d, J=8Hz), 7.31 (1H, d, J=7Hz), 7.37 (1H, d, J=8Hz), 7.41 (1H, s), 7.73 (1H, m)
【0135】
実施例36: N−[(2S)−5−(2,6−ジフルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【化35】

(2,6−ジフルオロ−3−ピリジニル)ボロン酸(2g,12.56mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(30ml)中溶液に、ポリマーに支持されたPd(PPh(126mg,0.5mmol/g,0.063mmol)をN−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(2g,6.28mmol)および7.3mlの2M NaCO水溶液と共に加え、得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで、冷却後、樹脂をろ過によって除去し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をAcOEtおよび水に溶解した。水相を分離し、3N HClで酸性化し、AcOEtで抽出した。次いで、pHをNaHCOの添加によって塩基性に逆転させ、AcOEtでの別の抽出を行った。有機抽出物の全てを収集し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。粗生成物を最終的に、シクロヘキサン/AcOEt 80/20混合物で溶出する40M+シリカカートリッジ上で精製した。798mgの標題化合物を白っぽい固体として回収した(36%)。キラル中間体6の使用のため、標題化合物は、N−[(2S)−5−(2,6−ジフルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドであると考えられる。
質量スペクトル(ES): 実測値353(MH+). C1718Sの計算値352. 1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):δ1.25 (6H, d, J=7Hz), 2.90 (2H, m), 3.22 (3H, m), 4.13 (1H, m), 7.27 (1H, d, J=7Hz), 7.34 (2H, m), 7.41 (1H, m), 7.47 (1H, d, J=8Hz), 8.26 (1H, m)
【0136】
生物学的アッセイ
本発明の化合物のグルタミン酸受容体媒介性応答を強化する能力は、a)蛍光カルシウム−インジケーター色素、例えば、FLUO4を用いることによって、さらにいくつかの実施例化合物の場合、b)ヒトGluR2フリップがエディティングされていないHEK293細胞から記録されたグルタメート誘発性電流を測定することによって、決定された。
【0137】
a)カルシウム流入蛍光アッセイ
ヒトGluR2フリップ(エディティングされていない)AMPA受容体サブユニットを安定に発現しているか、またはヒトGluR2フリップ(エディティングされていない)AMPA受容体サブユニットで一時的にトランスフェクトされているHEK293細胞のコンフルエントな単層を含有する384ウェルプレートを調製した。これらの細胞は、機能的なホモ4量体AMPA受容体を形成する。該ウェル中における組織培養培地を捨て、ウェルを各々、安定な細胞系統のための標準バッファー(80μL)(145mM NaCl,5mM KCl,1mM MgCl,2mM CaCl,20mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES),5.5mMグルコース,pH7.3)または、一時的トランスフェクト細胞のためのNa−不含バッファー(NaClの代わりに145mM N−メチル−グルカミン)で3回洗浄した。次いで、プレートを暗所中、2μM FLUO4−AM色素(Molecular Probes, Netherlands)と共に、室温で60分間インキュベートしてFLUO−4AMの細胞取り込みを可能にし、それは次いで、細胞を離れることができない細胞内のエステラーゼによってFLUO−4に変換される。インキュベーション後、各ウェルをバッファー(80μL)で3回洗浄した(洗浄後、30μLのバッファーが各ウェルに残った)。
本発明の化合物(またはシクロチアジドなどの参照化合物)をジメチルスルホキシド(DMSO)中、10mMのストック濃度で溶解した。これらの溶液をさらに、384化合物プレート中、Biomek FX(Beckman Coulter)を用いて、DMSOで希釈した。各希釈液(1μL)を別の化合物プレートに移し、バッファー(50μL)を加えた。アゴニスト刺激(グルタメート)プレートは、グルタミン酸ナトリウムを水中に溶解して100mMの濃度にすることによって調製した。該溶液をバッファーで希釈して、最終濃度500μMにし、マルチドロップ(Multidrop)(Thermolabsystems)を用いて別の384−ウェルプレートに分注した(50μL/ウェル)。
次いで、細胞プレートを蛍光イメージングプレートに基づく読み取り機[例えば、FLIPR384 (Molecular Devices)]中に移した。ベースライン蛍光読み取りは、10〜240秒間にわたって行い、次いで、標準バッファー溶液中で作成された本発明の化合物を含有する各プレート(濃度範囲100μM〜10pM)由来の10μLを加えた(最終濃度範囲が30μM〜3pMになった)。蛍光を5分間読み取った。500μMグルタメート溶液(10μL)を加えた(最終濃度100μMになった)。次いで、蛍光を4分間読み取った。本発明の化合物および参照化合物の活性を、最終添加後のピーク蛍光を測定することによって決定した。該活性は、また、最大応答(すなわち、30μM以上)のシクロチアジドによって誘導される蛍光増加に相対的に表された。
全実施例化合物は、アッセイa)を用いてスクリーンされ、4.0以上のpEC50を与え、シクロチアジド(最大応答での)の少なくとも40%の活性を示した。いくつかの化合物は、4.7以上のpEC50を示した。実施例4は、5.0のpEC50を示した。
【0138】
b)全細胞電圧固定電気生理学アッセイ
該アッセイは、機能的ホモ4量体AMPA受容体を形成するヒトGluR2フリップ(エディティングされていない)サブユニットを安定に発現しているHEK293細胞を用いる、AMPA受容体の正のモジュレーターの電気生理学的特徴付けを含んだ。細胞外記録溶液は、135mM NaCl、2mM KCl、1mM MgCl、2mM CaCl、12mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES)、10mM D−グルコース、pH7.35を含有した。細胞内溶液は、150mM CsCl、10mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES)、2mM エチレングリコール−ビス(g−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N,−テトラ−酢酸(EGTA)、pH7.3を含有した。アンフォテリシンB(240μg/ml)を含有する細胞内溶液を用いてピペットをバックフィル(backfill)し、同時に、細胞内溶液だけを用いて先端だけを満たした(パッチクランプピペットは、2−5MΩの抵抗を有する)。アンフォテリシンBは、電極下の細胞膜に小孔を作成し、それにより、第2メッセンジャー分子を細胞外に透析することなく、小さなイオンの細胞膜通過が可能になり(したがって、細胞の電気的調節が可能)、それは、矛盾した受容体活性化を導く細胞の代謝減少をもたらすことができる(Virginio C, Giacometti A, Aldegheri L, Rimland JM, Terstappen GC (2002) Eur J Pharmacol 445: 153−161)。細胞の膜ポテンシャルは、−60mVで維持され、有孔(perforated)−パッチクランプ電気生理学をHEKAハードおよびソフトウェア(Germany)を用いて実施した。細胞は、16個の直線状に並べたチャンネルの最初のチャンネルの前に配置された。該系は、1つのチャンネルを単一のパッチ−クランプ細胞の前に動かし、次いで、その次のチャンネルを該細胞の前に動かして、溶液の迅速な交換および正確なアプライを可能にする(より詳細には、http://www.cellectricon.se/参照のこと)。最初のチャンネルは、ベースライン電流測定のための通常のバッファーを含有した。第2のチャンネルは、3mMグルタメートを含有し、対照(アゴニストのみ)応答を記録するために500ms間細胞にアプライされた。第3のチャンネルは、1〜3分間グルタメートを洗浄する通常のバッファーを含有した。第4のチャンネルは、本発明の化合物または参照化合物を含有し、1分間、細胞の前に移動された。第5のチャンネルは、試験(または参照)化合物の存在下のグルタメートを含有し、500ms間細胞にアプライされた。第6のチャンネルは、1〜3分間グルタメートおよび試験(または参照)化合物を洗浄する通常のバッファーを含有した。該手順は、本発明の化合物または参照化合物の濃度を増加させて繰り返した。本発明の化合物の活性は、本発明(または参照)化合物の存在下でのグルタメート応答に関するピーク電流増幅または曲線(500ms)下の面積を測定することによって決定され、グルタメートのみの応答(本発明の化合物(または参照化合物)の不在下でのグルタメートの応答)と比べた強化%として表された。別法では、該活性は、最大応答濃度のシクロチアジドの存在下でグルタメートによって誘導される応答に相対的な、本発明の化合物(または参照化合物)の存在下でのグルタメートの活性として表すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
各Rは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;
pは、0、1または2であり;
nは、1または2であり;
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、シアノ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノまたはジC1−4アルキルアミノであり;および
Hetは、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、キノリル、チアゾリルまたはフリルであり、その各々は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アセチル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノC1−4アルキルアミノおよびジC1−4アルキルアミノからなる群から独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよい]
で示される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
がC1−6アルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRが同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルである請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
pが0である請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
各Rが同一または異なっていてもよく、C1−6アルキルまたはハロゲンである請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
およびRが同一または異なっていてもよく、水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルである請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
nが1である請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Hetがピリジル(例えば、3−ピリジル)、ピリミジニル(例えば、5−ピリミジニル、2−ピリミジニル)、チエニル(例えば、3−チエニル、2−チエニル)、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、イミダゾリル(例えば、1H−4−イミダゾリル)またはピラゾリル(例えば、1H−4−ピラゾリル)であり、その各々が、C1−6アルキル(例えば、メチル)、アセチル、シアノ、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、ハロC1−6アルキル(例えば、CF)およびC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)からなる群から独立して選択される1〜3個の基によって置換されていてもよい請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
式(IA):
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、R、n、pおよびHetは、請求項1〜8のいずれか1項に記載のとおりである]
で示される請求項1記載の化合物、または医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項10】
式(Ic):
【化3】

[式中、HetおよびRは、請求項1〜8のいずれか1項に記載のとおりである]
で示される請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項11】
N−[5−(2−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−ピリミジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−チエニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−チエニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(4−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−シアノ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−アセチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−シアノ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−フルオロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−フルオロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−メチル−4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−メチル−3−ピリダジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−ピリミジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−フルオロ−4−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−フルオロ−2−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(1H−イミダゾール−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(3−メチル−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−メチル−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(6−クロロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{5−[6−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−{(2S)−5−[6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(5−フルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(2−フルオロ−6−メチル−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド、
N−[(2S)−5−(2,6−ジフルオロ−3−ピリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである請求項1記載の化合物。
【請求項12】
(a)式(II):
【化4】

[式中、R〜R、nおよびpは、請求項1記載のとおりであり、Xは脱離基である]
で示される化合物を式(III):
Het−B(OR)
(III)
[式中、Hetは請求項1記載のとおりであり、Rは、水素、アルキル(例えば、C1−6アルキル)であるか、2つのR基が環(例えば、5または6員環)を形成する]
で示されるボロン酸またはボロン酸エステル誘導体化合物と反応させるか、または
(b)式(IV):
【化5】

[式中、R〜R、nおよびpは、請求項1記載のとおりであり、Rは、水素、アルキル(例えば、C1−6アルキル)であるか、または2つのR基が環(例えば、5または6員環)を形成する]
で示されるボロン酸またはボロン酸エステル化合物を式(V):
Het−X
(V)
[式中、Hetは請求項1記載のとおりであり、Xは脱離基である]
で示される化合物と反応させ;
次いで、工程(a)または工程(b)の後:
・いずれかの保護基を除去してもよく;および/または
・塩を形成してもよく;および/または
・式(I)の1の化合物を式(I)の別の化合物に変換してもよい
ことを特徴とする請求項1記載の化合物の製法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物においてグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項15】
疾患が統合失調症である請求項14記載の使用。
【請求項16】
哺乳動物においてグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防のための請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
疾患が統合失調症である請求項16記載の化合物。
【請求項18】
医薬として使用するための請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする、哺乳動物においてグルタミン酸受容体機能の減少または不均衡によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防方法。
【請求項20】
疾患が統合失調症である請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2008−509180(P2008−509180A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525236(P2007−525236)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008562
【国際公開番号】WO2006/015828
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】