説明

ゲート−ソースフィールドプレートを含むワイドバンドギャップトランジスタ

本発明に係るトランジスタは、チャネル層を有する活性領域を含み、この活性領域と接触してソースおよびドレイン電極が形成され、このソース電極とドレイン電極との間にあって活性領域と接触したゲートが形成される。ゲートとドレイン電極との間およびゲートとソース電極との間の複数の活性領域の表面の少なくとも一部分上にスペーサ層がある。このスペーサ層上にはフィールドプレートがあり、活性領域の上のスペーサ上をドレイン電極に向かって延びる。このフィールドプレートはさらに、活性領域の上のスペーサ層上をソース電極に向かって延びる。少なくとも1つの導電性経路が、フィールドプレートをソース電極またはゲートに電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、トランジスタに関し、より詳細には、性能を向上させるためにフィールドプレート(field plate)を利用したトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
AlGaN/GaN半導体材料の製造における改良は、高周波数、高温および高電力用途向けの高電子移動度トランジスタ(HEMT)などのAlGaN/GaNトランジスタの開発を促進するのに役立った。AlGaN/GaNは、大きなバンドギャップ(bandgap)、ならびに高いピークおよび飽和電子速度値を有する(非特許文献1参照)。AlGaN/GaN HEMTはさらに、1013cm-2を超える2DEGシート密度、および比較的に高い電子移動度(最高2019cm2/Vs)を有することができる(非特許文献2)。これらの特性によって、AlGaN/GaN HEMTは、RF、マイクロ波およびミリメートル波周波数において超高電圧/高電力動作を提供することができる。
【0003】
サファイヤ基板上にAlGaN/GaN HEMTを成長させることが実施され、それらは電力密度4.6W/mm、全電力7.6Wを示した(非特許文献3参照)。より最近には、SiC上に成長させたAlGaN/GaN HEMTが、8GHzで電力密度9.8W/mm(非特許文献4参照)、9GHzで全出力電力22.9W(非特許文献5参照)を示した。
【0004】
バッファ(buffer)および基板上に成長させたGaN/AlGaNベースのHEMTは開示されている(特許文献1参照)。また、別のAlGaN/GaN HEMTおよび電界効果トランジスタ(FET)も開示されている(非特許文献6および7参照)。これらのデバイスのいくつかは、100ギガヘルツもの高い利得帯域幅積(fT)(非特許文献8参照)、およびXバンドにおける最高10W/mmの高い電力密度(非特許文献9および10参照)を示した。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5192987号明細書
【特許文献2】米国特許第6586781号明細書
【特許文献3】米国再発行特許発明第34861号明細書
【特許文献4】米国特許第4946547号明細書
【特許文献5】米国特許第5200022号明細書
【特許文献6】米国特許第5290393号明細書
【特許文献7】米国特許第5686738号明細書
【特許文献8】米国特許第5393993号明細書
【特許文献9】米国特許第5523589号明細書
【特許文献10】米国特許第5739554号明細書
【特許文献11】米国特許第6316793号明細書
【特許文献12】米国特許第6548333号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2002/0167023号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/0020092号明細書
【特許文献15】米国特許第5296395号明細書
【非特許文献1】B. Gelmont, K. Kim and M. Shur, Monte Carlo Simulation of Electron Transport in Gallium Nitride, J. Appl. Phys. 74., (1993), pp. 1818-1821
【非特許文献2】R. Gaska, et al., Electron Transport in AlGaN-GaN Heterostructures Grown on 6H-SiC Substrates, Appl. Phys. Lett. 72, (1998), pp. 707-709
【非特許文献3】Y.F. Wu et al., GaN-Based FETs for Microwave Power Amplification, IEICE Trans. Electron. E-82-C, (1999). pp. 1895-1905
【非特許文献4】Y.F. Wu, et al., Very-High Power Density AlGaN/GaN HEMTs, IEEE Trans. Electron. Dev. 48, (2001), pp. 586-590
【非特許文献5】M. Micovic, et al., AlGaN/GaN Heterojunction Field Effect Transistors Grown by Nitrogen Plasma Assisted Molecular Beam Epitaxy, IEEE Trans. Electron. Dev. 48, (2001), PP. 591-596
【非特許文献6】Gaska et al., High-Temperature Performance of AlGaN/GaN HFET's on SiC Substrates, IEEE Electron Device Letters, 18, (1997), pp. 492-494
【非特許文献7】Wu et al., High Al-content AlGaN/GaN HEMTs With Very High Performance, IEDM-1999 Digest, pp. 925-927, Washington DC, Dec. 1999
【非特許文献8】Lu et al., AlGaN/GaN HEMTs on SiC With Over 100 GHz ft and Low Microwave Noise, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 48, No. 3, March 2001, pp. 581-585
【非特許文献9】Wu et al., Bias-dependent Performance of High-Power AlGaN/GaN HEMTs, IEDM-2001, Washington DC, Dec. 2-6, 2001
【非特許文献10】Wu et al., High Al-Content AlGaN/GaN MODFETs for Ultrahigh Performance, IEEE Electron Device Letters 19, (1998), pp. 50-53
【非特許文献11】S. Kamalkar and U.K. Mishra, Very High Voltage AlGaN/GaN High Electron Mobility Transistors Using a Field Plate Deposited on a Stepped Insulator, Solid State Electronics 45, (2001), pp. 1645-1662
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子トラッピング(trapping)、およびその結果生じるDC特性とRF特性との差は、上述のデバイスの性能の制限因子であった。このトラッピングの問題を緩和するために、窒化シリコン(SiN)パッシベーション(passivation)が使用されて成功を収め、その結果、10Ghzにおいて10W/mmを超える電力密度を有する高性能デバイスが得られた。例えば、GaNベースのトランジスタのトラッピング効果を低減させる方法および構造が開示されている(特許文献2参照)。しかし、これらの構造内に存在する高い電場のため、電荷のトラッピングは依然として問題である。
【0007】
マイクロ波周波数におけるGaNベースのHEMTの性能を向上させるため、フィールドプレートが使用された(非特許文献11参照)。しかしこれらの方法は、ドレイン側のチャネルの上にあって、トランジスタのゲートに接続されたフィールドプレートを含む。その結果、トランジスタのゲート−ドレイン側の電場が低減し、それによって、破壊電圧が増大し、高電場トラッピング効果が低減する。しかし、ゲート−ドレインフィールドプレートを有するトランジスタは、比較的に劣った信頼性しか示さず、特に、ゲートのソース側の電場が重要となるクラスC(またはより高次のクラスの)動作においてそうであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ゲートのソース側の低い電場で動作するトランジスタを提供する。本発明に基づくトランジスタの一実施形態は、チャネル層を有する活性領域(active region)を含む。ソースおよびドレイン電極がこの活性領域と接触し、ソース電極とドレイン電極の間に、活性領域と接触してゲートがある。ゲートとドレイン電極の間およびゲートとソース電極の間の前記活性領域の表面の少なくとも一部分上にスペーサ層(spacer layer)がある。このスペーサ層上にはフィールドプレートがあり、活性領域の上のスペーサ上をドレイン電極に向かって延びる。このフィールドプレートはさらに、活性領域の上のスペーサ層上をソース電極に向かって延びる。少なくとも1つの導電性経路(conductive path)が、フィールドプレートをソース電極またはゲートに電気的に接続する。
【0009】
本発明に基づく高電子移動度トランジスタ(HEMT)の一実施形態は、基板上に連続して配置されたバッファ層およびバリア層を含み、バッファ層と前記バリア層の間のヘテロ界面に2次元電子ガス(2DEG:two dimensional electron gas)チャネル層がある。ともに2DEGチャネル層と接触したソース電極およびドレイン電極が含まれ、ソース電極とドレイン電極との間のバリア層上にゲートが含まれる。ゲートとドレイン電極の間およびゲートとソース電極の間のバリア層の表面の少なくとも一部分上にスペーサ層がある。このスペーサ層上に、バリア層の上のスペーサ上をドレイン電極に向かって延び、バリア層の上のスペーサ層上をソース電極に向かって延びるフィールドプレートがある。少なくとも1つの導電性経路が、フィールドプレートをソース電極またはゲートに電気的に接続する。
【0010】
本発明に基づく金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)の一実施形態は、基板上のバッファ層と、バッファ層上のチャネル層とを含み、バッファ層は、チャネル層と基板との間に挟まれている。チャネル層と電気的に接触してソース電極があり、同様にチャネル層と電気的に接触してドレイン電極がある。ソース電極とドレイン電極との間でやはりチャネル層と電気的に接触したゲートが含まれる。ゲートとドレイン電極との間およびゲートとソース電極との間のチャネル層の表面の少なくとも一部分上にスペーサ層がある。このスペーサ層上に、チャネル層の上のスペーサ上をドレイン電極に向かって延び、チャネル層の上のスペーサ層上をソース電極に向かって延びるフィールドプレートがある。少なくとも1つの導電性経路が、フィールドプレートをソース電極またはゲートに電気的に接続する。
【0011】
当業者には、以下の詳細な説明と添付図面から、本発明のこれらの特徴および利点、ならびに他の特徴および利点が明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に基づくゲート−ソースフィールドプレートの配置は、バンドギャップの広い材料から形成されたトランジスタ構造など、多くの様々なトランジスタ構造とともに使用することができる。トランジスタは一般に、そのうちの1つがチャネル層である複数の半導体層を有する活性領域、該活性領域と接触して形成されたソースおよびドレイン金属電極、ならびに該活性領域内の電場を調節するためにソース電極とドレイン電極との間の活性領域上に形成されたゲートを含む。この活性領域の上方の、ゲートとドレインとの間の活性領域の表面の少なくとも一部分の上に、第1のスペーサ層が形成される。第1のスペーサ層は、1つの誘電層または複数の誘電層の組合せを含むことができ、ある実施形態では、エピタキシャル成長層などの他の材料を含むことができる。一実施形態では、第1のスペーサ層がゲートを覆い、かつゲートとドレイン電極との間、およびゲートとソース電極との間の活性領域の一番上の表面を覆う。後述する他の実施形態では、このスペーサ層が、活性領域の表面の全体ではない部分を覆うことができる。他の実施形態では、このスペーサ層が、ゲートとソースおよびドレインとの間の活性領域の一番上の表面だけを覆い、ゲートを覆わない。
【0013】
この第1のスペーサ層上に第1の導電性フィールドプレートが形成され、第1のスペーサ層は、このフィールドプレートとその下の活性領域との間の分離を提供する。第1のフィールドプレートは、スペーサ層上を、ゲートの縁からドレイン電極に向かって距離Lfsだけ延び、スペーサ層上をソース電極に向かって距離Lfsだけ延びる。第1のフィールドプレートは、ソース電極またはゲートに電気的に接続することができる。本発明に基づく様々な実施形態では、追加のスペーサ層/フィールドプレート対をさらに含むことができる。
【0014】
このフィールドプレート配置は、デバイス内のゲートのソース側とドレイン側の両方のピーク電場(electric field)を低減させることができ、その結果、破壊電圧が増大し、トラッピングが低減する。電場の低減はさらに、漏れ電流の低減、信頼性の向上など、別の利点を生むことができる。ゲートのソース側とドレイン側のフィールドプレートはともに、ゲートのソース側の電場が低減されるように配置され、このことは、より負にバイアスされたゲート条件を必要とする用途の性能および堅牢性(robustness)を向上させる。これは、クラスCおよびより高次の他の動作クラス(例えば、E、F)を含む。同様にドレイン側にフィールドプレートを有することによって、トランジスタはさらに、ドレイン側のピーク電場の低減を経験する。
【0015】
本発明に基づくゲート−ソースプレート配置を利用することができる1つのタイプのトランジスタが、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、これは一般にバッファ(buffer)層と、このバッファ層上のバリア(barrier)層とを含む。バッファ層とバリア層との間のヘテロ界面に2次元電子ガス(2DEG)チャネル層が誘導される。ソース電極とドレイン電極との間のバリア層上にゲート電極が形成される。このHEMTはさらに、前述の多重スペーサ層/フィールドプレート配置を含む。
【0016】
本発明に基づくゲート−ソースフィールドプレートの配置を利用することができる他のタイプのトランジスタが、電界効果トランジスタ、特に金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)であり、これは一般にバッファ層と、このバッファ層上のバリア層とを含む。ソース電極とドレイン電極との間のチャネル層上にゲートが形成され、このMESFETはさらに、前述の多重スペーサ層/フィールドプレート配置を含む。
【0017】
ある要素または層が、別の要素または層「上にある」、「に接続されている」、「に結合されている」または「と接触している」と記述されているとき、その要素または層は、直接にその別の要素または層上にあり、接続されており、結合されており、または接触していることができ、あるいは介在要素または層が存在することができることが理解される。対照的に、ある要素が、別の要素または層「上に直接にある」、「に直接に接続されている」、「に直接に結合されている」または「と直接に接触している」と記述されているとき、介在要素または層は存在しない。同様に、第1の要素または層が、第2の要素または層に「電気的に接続されている」または「電気的に結合されている」と記述されているときは、第1の要素または層と第2の要素または層との間を電流が流れることを可能にする電気経路がある。この電気経路は、コンデンサ、結合されたインダクタ、および/または導電性要素間に直接の接触がなくとも電流が流れることを可能にする他の要素を含むことができる。
【0018】
図1および2は、本発明に基づくHEMTの一実施形態10を示し、このHEMTは、III族窒化物に基づくことが好ましいが、他の材料システムを使用することもできる。III族窒化物は、窒素と、周期表のIII族の元素、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびインジウム(In)との間に形成された半導体化合物を指す。この用語はさらに、AlGaN、AlInGaNなどの3元化合物および第3級化合物を指す。
【0019】
HEMT10は基板12を含み、基板12は、炭化シリコン、サファイヤ、スピネル(spinel)、ZnO、シリコン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、あるいはIII族窒化物材料の成長を助ける能力を有する他の任意の材料または材料の組合せから製作することができる。基板12とHEMT10の次の層との間の格子不整合を低減させるために、基板12上に核生成層(nucleation layer)14を形成することができる。核生成層14の厚さは約1000オングストローム(Å)でなければならないが、他の厚さを使用することもできる。核生成層14は、多くの様々な材料を含むことができ、適当な材料はAlzGa1-zN(0≦z≦1)であり、金属有機化学蒸着(MOCVD)、水素化物蒸気相エピタキシ(HVPE)、分子線エピタキシ(MBE)などの周知の半導体成長技法を使用して基板12上に形成することができる。
【0020】
基板12は、多くの様々な材料から製作することができ、適当な基板は4Hポリタイプの炭化シリコンであるが、3C、6Hおよび15Rポリタイプを含む他の炭化シリコンポリタイプを使用することもできる。炭化シリコンは、サファイヤよりもIII族窒化物にはるかに近い結晶格子整合を有し、その結果、より高い品質のIII族窒化膜を与える。炭化シリコンはさらに、非常に高い熱伝導率を有し、そのため、炭化シリコン上のIII族窒化物デバイスの全出力電力は、基板の熱放散によって限定されない(サファイヤ上に形成された一部のデバイスでは、それによって限定されることがある)。さらに、炭化シリコン基板のアベイラビリティ(availability)は、市販デバイスを可能にするデバイス分離能力および低い寄生容量を提供する。SiC基板は、本件特許出願人から入手可能であり、それらを製作する方法は、科学文献ならびに特許文献3、4および5に記載されている。
【0021】
核生成層14の形成は、基板12に対して使用される材料によって異なり、様々な基板上に核生成層14を形成する方法が知られている(特許文献6および7参照)。炭化シリコン基板上に核生成層を形成する方法も、開示されている(特許文献8、9および10)。
【0022】
HEMT10はさらに、核生成層14上に形成された高抵抗率のバッファ層16を含む。バッファ層16は、ドープまたは非ドープのIII族窒化物材料層を含むことができ、好ましいバッファ層16は、AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)などのIII族窒化物材料から形成される。その一部にFeがドープされた厚さ約2μmのGaNなどの他の材料を、バッファ層16に対して使用することもできる。
【0023】
バッファ層16上にバリア層18が形成され、バッファ層16は、バリア層18と核生成層14との間に挟まれる。バッファ層16と同様に、バリア層18も、ドープまたは非ドープのIII族窒化物材料層を含むことができる。バリア層は、1つまたは複数のAlxGa1-xN層から形成することができ、xは0〜1の範囲をとり、xは、バリア層18を徐々に変化する層とすることができるように深さの関数とすることができる。バッファ層16とバリア層18との間のヘテロ界面に2DEGチャネル層26が誘導され、バッファ層16、2DEGチャネル層26およびバリア層18は、全体としてHEMT活性領域を形成する。
【0024】
例示的なHEMT構造が、開示されている(特許文献11、2、12、13および14)。窒化物ベースの他のHEMT構造は、特許文献1および15に示されている。バッファ層およびバリア層16、18は、核生成層14を成長させるために使用した方法と同じ方法を使用して形成することができる。デバイス間の電気分離は、メサエッチ(mesa etch)または活性HEMTの外側でのイオンインプリメンテーション(ion implementation)よって達成される。
【0025】
バリア層18と接触してソースおよびドレイン金属電極20、22が形成され、ソース電極20とドレイン電極22との間のバリア層18上にゲート24が形成される。ゲート24が適当なレベルにバイアスされると、バッファ層16とバリア層18との間の2DEGチャネル層26を通って、ソース電極20とドレイン電極22との間に電流が流れることができる。ソースおよびドレイン電極20、22の形成は、これまでに挙げた文献に詳述されている。
【0026】
ソースおよびドレイン電極20、22は、これらに限定はされないが、チタン、アルミニウム、金またはニッケルの合金を含むさまざまな材料から形成することができる。ゲート24も、これらに限定はされないが、金、ニッケル、白金、チタン、クロム、チタンタングステン合金またはケイ化白金(platinum silicide)を含むさまざまな材料から形成することができる。ゲート24は、多くのさまざまな長さ(Lg)を有することができ、適当なゲート長は0.1から2.0ミクロン(μm)だが、他のゲート長を使用することもできる。本発明に基づく一実施形態では、好ましいゲート長(Lg)は約0.5ミクロンである。
【0027】
ゲート24の上、ならびにゲート24とソースおよびドレイン電極20、22との間のバリア層18の表面の少なくとも一部分の上に、第1の非電導性スペーサ層28が形成される。図2に示されるように、スペーサ層28は、ゲート24とソースおよびドレイン電極22、24との間のバリア層18全体を覆う。スペーサ層28は、1つの誘電層または複数の誘電層の組合せを含むことができる。SiN、SiO2、Si、Ge、MgOX、MgNX、ZnO、SiNX、SiOX、これらの合金または層配列など、さまざまな誘電材料を使用することができる。スペーサ層は多くの様々な厚さを有することができ、厚さの適当な範囲は、約0.03から0.5ミクロンである。図1に最もよく示されるように、ゲート24は、ゲートコンタクト30のところで接触される。
【0028】
ゲート24の上のスペーサ層28上に第1のフィールドプレート32が形成され、この第1のフィールドプレートは、スペーサ層28上をドレイン電極22に向かって距離Lfdだけ延び、ソース電極20に向かって距離Lfsだけ延びる。スペーサ層28は、第1のフィールドプレート32とバリア層18およびゲート24との間の分離を提供するために配置されるものであり、そのため、スペーサ層28は、ゲート18と、第1のフィールドプレート32の下のバリア層18とだけを覆えばよい。しかし、製造を容易にするため、スペーサ層は一般にバリア層18全体を覆う。Lfdは様々な距離とすることができ、距離の適当な範囲は、0.1から5ミクロンである。同様に、Lfsも様々な距離とすることができ、距離の適当な範囲は、0.1から2ミクロンである。他の実施形態では、フィールドプレートを不連続とすることができ、希望に応じて穴(hole)または中断(interruption)を有することができる。
【0029】
フィールドプレート32は、多くの様々な導電材料を含むことができ、適当な材料は、標準メタライゼーション(standard metallization)法を使用して付着させた金属である。本発明に基づく一実施形態では、フィールドプレート30は、フィールドプレート30が電気的に接続される後述のフィーチャ(feature)と同じ金属を含む。
【0030】
第1のフィールドプレート32は、ソース電極20またはゲート24に電気的に接続することができる。図1は、第1のフィールドプレート32がソース電極20に接続された本発明に基づく一実施形態を示し、選択可能な2つの接続構造が示されている。第1のフィールドプレート32とソース電極20との間に延びる第1の導電性バス34を、スペーサ層26上に形成することができる。様々な数のバス34を使用することができるが、使用されるバス34の数が多いほど、それらのバスによって導入されうる不必要な静電容量も大きくなる。バス34は、ソース電極20と第1のフィールドプレート32との間で電流が効果的に広がるように十分な数なければならないが、その一方で、できるだけHEMT活性領域を覆わないようにしなければならない。適当なバス34の数は、図1に示すように3とすることができる。
【0031】
HEMT10の活性領域の外側を通り、ソース電極20に接続された第1の導電性経路36によって、第1のフィールドプレート32をソース電極20に電気的に接続することもできる。図1に示されるように、経路36は、ゲートコンタクト30とは反対側の縁のHEMTの活性領域の外側を通る。本発明に基づく代替実施形態では、この導電性経路が、ゲートコンタクト30と同じ側のHEMT10の活性領域の外側を通ることができ、あるいはHEMT10は、HEMT10の一方または両方の側を通る2つ以上の導電性経路を含むことができる。一実施形態では、導電性経路34、36を、ソース電極20と同じ材料から製作することができ、他の実施形態では、これらを異なる材料から製作することができ、ソース電極20の形成後に製造プロセス中の異なるステップで形成することができる。
【0032】
第1のフィールドプレート32は、多くの様々な方法によってゲート24に電気的に接続することもでき、ここでは適当な2つの方法を説明する。第1の方法では、HEMT10の活性領域の外側を第1のフィールドプレート32とゲート24との間を通る第2の導電性経路38によって、フィールドプレートをゲート24に接続することができる。導電性経路38は、ゲートコンタクト30に接続し、またはゲートコンタクト30とは反対側のゲート24の部分など、HEMT活性領域の外側のゲート24の部分に接続することができる。あるいは、2つ以上の導電性経路を使用して、フィールドプレート32とゲート24を接続することもできる。
【0033】
代替の接続構造は、導電性バイア(via)(図示せず)の形態の導電性経路を含み、これは、第1のフィールドプレート32から第1のスペーサ層28を貫いてゲート24まで通るように形成することができる。これらのバイアは、ゲート24と第1のフィールドプレート32との間の電気的な接続を提供し、最初にエッチングなどによって第1のスペーサ層28に穴を開け、次いで別個のステップでまたは第1のフィールドプレート32の形成時にそれらの穴に導電材料を充填することによって形成することができる。ゲート24からフィールドプレート32に広がる有効な電流を提供するために、これらのバイアは、第1のフィールドプレート32から下に周期的に配置することができる。
【0034】
図3は、図1および2のHEMT10と似ているが、第1のフィールドプレート32の少なくとも一部分の上に形成された第2の非電導性スペーサ層42をさらに含むHEMT40を示し、図示された好ましい第2のスペーサ層42は、第1のフィールドプレートと、第1のスペーサ層28の露出した表面とを覆っている。第2のスペーサ層42は、第1のスペーサ層28と同じ材料または同じ材料の複数の層から形成することができ、0.05から2ミクロンの範囲の全厚を有することができる。
【0035】
次いで、第2のスペーサ層42上に第2のフィールドプレート44を付着させることができる。本発明に基づく様々な第2のフィールドプレートは、様々な被覆範囲を提供することができ、図示された第2のフィールドプレート44はゲート24と部分的に重なり合う。本発明に基づく他の第2のフィールドプレートは、ゲート24の縁と第2のフィールドプレートの開始縁との間に空間を有することができる。第2のフィールドプレート44の他の部分は、ゲート24の縁からドレインコンタクト22に向かって距離Lfd2だけ延び、距離Lfd2は、0.2から5ミクロンの範囲とすることができる。第2のスペーサ層42が第1のフィールドプレート32およびスペーサ層28を完全には覆わない実施形態では、第1のフィールドプレート32と第2のフィールドプレート44との間の電気的な分離を提供するため、第2のスペーサ層42は、第1のフィールドプレート32を十分に覆わなければならない。
【0036】
第2のフィールドプレート44はソース電極20またはゲート24に接続することができ、多くの様々な接続構造を使用することができる。第2のスペーサ層42上に、第2のフィールドプレート44とソース電極20との間に延びる第2の導電性バスを形成することができる。ソース電極20から第2のフィールドプレート44の中へ電流が効果的に広がるが、不必要な静電容量が導入されるほどには活性領域を覆わない、様々な数のバスを使用することができる。第2のフィールドプレート44も、HEMT40の活性領域の外側を通り、ソース電極20に接続された第3の導電性経路によってソース電極20に電気的に接続することができる。
【0037】
第2のフィールドプレート44の付着およびソース電極20へのその接続の後に、窒化シリコンなどの誘電性パッシベーション層(図示せず)によってこの活性構造を覆うことができる。誘電性パッシベーション層を形成する方法は、これまでに挙げた文献に詳述されている。図1および2のHEMT10、ならびに後述するHEMTおよびMESFETも、スペーサ層(1つまたは複数)およびフィールドプレート(1つまたは複数)の形成後に誘電性パッシベーション層によって覆うことができる。
【0038】
図4は、HEMT10のフィーチャと同様の多くのフィーチャを有する本発明に基づくHEMTの他の実施形態60を示しており、これらの同様のフィーチャに対しては同じ参照符号が使用されている。HEMT60は、基板12、核生成層14、バッファ層16、バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22、ゲート24および2DEGチャネル層26を含む。前述のものと同様、ゲート24の幅Lgは0.1から5ミクロンである。
【0039】
しかし、HEMT60は、ゲート24を覆わず、その代わりにゲート24とソースおよびドレインコンタクト20、22との間のバリア層18を覆うスペーサ層62を含む。他の実施形態では、このスペーサ層が、前述のとおり、バリア層18の表面を完全には覆わない。その被覆範囲は、第1のフィールドプレート64とバリア層18との間の電気的な分離を提供するのに十分でなければならない。第1のフィールドプレート64はゲート24と一体に形成され、スペーサ層62上をドレインコンタクト22に向かって、0.2から5ミクロンの範囲である距離Lfdだけ延び、ソースコンタクト20に向かって、0.2から2ミクロンの範囲である距離Lfsだけ延びる。HEMT60では、ゲート24との第1のフィールドプレートの一体成形によって、第1のフィールドプレートがゲート24に電気的に接続される。フィールドプレート64はゲートと完全に一体とすることができ、あるいは、ゲート24とフィールドプレート64との間で電流を効果的に広げるために十分な導電性経路が使用可能である限りにおいて、コンタクトのソース側またはドレイン側あるいはその両方の側のその一体接続中に穴による中断を有することができる。
【0040】
HEMT60では、デバイスメタライゼーションの前に第1のスペーサ層62を形成することができ、それらの場合には、スペーサ層がエピタキシャル材料、例えば様々なIII族元素を有するAl、GaまたはIn合金などのIII族窒化物材料を含むことができ、適当なスペーサ層材料はAlxGa1-xN(0≦x≦1)である。バリア層18のエピタキシャル成長の後、同じエピタキシャル成長法を使用して、第1のスペーサ層62を成長させることができる。次いで、ゲート24、ソース電極20およびドレイン電極22のための開口を形成するため、第1のスペーサ層62がエッチングされる。メタライゼーションの間に、バリア層18と電気的に接触したゲート24が形成され、スペーサ層62上を延びるゲートと一体の第1のフィールドプレート64が形成される。この同じメタライゼーションステップの間に、ソースおよびドレイン電極20、22を形成することができる。
【0041】
他の実施形態では、最初に活性領域上に第1のゲート24をメタライゼーションによって形成することができ、ゲート24とソースおよびドレインコンタクト20、22との間の活性領域上に、誘電材料のスペーサ層を形成することができる。次いで、ゲート24と一体のフィールドプレート64を形成することができる。ソース電極20とゲート電極22の両方に向かってフィールドプレート64を延ばすことによって、HEMT60は、図1および2のHEMT10と同じ動作上の利点を経験する。
【0042】
図5は、図4に示されたHEMT60と同様のHEMTの他の実施形態70を示し、このHEMTは、基板12、核生成層14、バッファ層16、バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22、ゲート24、2DEGチャネル層26、第1のスペーサ層62および第1のフィールドプレート64を有する。しかし、HEMT70はさらに、第2の誘電スペーサ層72および第2のフィールドプレート74を有し、第2のスペーサ層は、第1のフィールドプレート64と第2のフィールドプレート74との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけ、第1のフィールドプレート64を覆う。図示されるように、このスペーサ層は、第1のフィールドプレート64と、第1のスペーサ層62の露出面とを覆う。第2のフィールドプレート74は、HEMTの活性領域の外側を通る前述の導電性経路を含む様々な方法を使用して、ソースコンタクト20またはゲートに電気的に接続することができる。
【0043】
HEMT40および70(ならびに後述するHEMTおよびMESFET)はさらに、第2のフィールドプレート72および第2のスペーサ層74の上に、追加のスペーサ層/フィールドプレート対を含むことができる。図5は、第3のスペーサ層76(破線で描かれている)および第3のフィールドプレート78(破線で描かれている)を含むHEMT70上の追加の対を示しており、スペーサ層76は、第2のフィールドプレート74と第3のフィールドプレート78との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけ、第2のフィールドプレート74を覆う。第3のフィールドプレート78(および後続の任意のフィールドプレート)も、前述の方法によってソース電極またはゲートに電気的に結合することができる。
【0044】
好ましい一実施形態では、一番上のフィールドプレートがソース電極に接続され、その下の中間フィールドプレートをソース電極またはゲートに接続することができる。例えば、本発明に基づくトランジスタは3つのフィールドプレートを有することができ、一番上のフィールドプレートがソース電極に接続され、その下の残りのフィールドプレートがソース電極またはゲートに接続される。
【0045】
この多重フィールドプレート配置は、デバイス内のピーク電場をさらに低減させることができ、その結果、破壊電圧が増大し、トラッピングが低減する。これにより、ゲートに接続されたフィールドプレートによって否定的な影響を受けることがある利得および安定性を向上させることができる。本発明に従って配置されたとき、ソースに接続されたフィールドプレートの遮蔽効果がCgdを低減させることができ、このことが入力−出力分離を強化する。
【0046】
図6は、図1および2のHEMT10と同様の本発明に基づくHEMTの他の実施形態80を示し、図7は、図5のHEMT70と同様の本発明に基づくHEMTの他の実施形態90を示す。HEMT80および90はそれぞれ、基板12、核生成層14、バッファ層16、バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22および2DEGチャネル層26を含む。HEMT80は、ゲート82、第1の誘電スペーサ層84および第1のフィールドプレート86を有するが、図1および2のゲート24とは異なり、ゲート82がバリア層18の中に落ち込んでいる。第1のスペーサ層84は、ゲート82とフィールドプレート86との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけゲート82およびバリア層を覆い、フィールドプレートは、ゲートの一方の側のスペーサ層84上をドレイン電極20に向かって延び、もう一方の側をソース電極22に向かって延び、延びる距離はともに前述の範囲内にある。前述のとおり、追加のスペーサ層/フィールドプレート対を含め、それらを電気的に接続することができる。HEMT80は第2の対88(破線で示されている)を有する。
【0047】
HEMT90は、ゲート92、スペーサ層94および一体型のフィールドプレート96を有し、ゲート92はバリア層18の中に落ち込んでいる。スペーサ層94は、図5に示された前述のスペーサ層62と同じ材料から形成することができ、フィールドプレート96とバリア層との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけ、バリア層18を覆うことができる。他の実施形態では、ゲートの下面を部分的に落ち込ませることができ、またはゲートの様々な部分を、バリア層18内の様々な深さまで落ち込ませることができる。前述のとおり、追加のスペーサ層/フィールドプレート対を含め、それらを電気的に接続することができる。HEMT90は第2の対98(破線で示されている)を有する。
【0048】
図8は、図1および2に示されたHEMT10と同様の本発明に基づくHEMTの他の実施形態100を示し、このHEMTは、基板12、核生成層14、バッファ層16、バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22、ゲート24、2DEG26および第1のスペーサ層28を有する。しかし、HEMT100は、単一の第1のフィールドプレートを有する代わりに、ソースフィールドプレート102とドレインフィールドプレート104とに分離された第1のフィールドプレートを有する。ソースフィールドプレート102は、ゲート24のソース側と部分的に重なり合い、スペーサ層28上をソース電極20に向かって、前述の距離の範囲内にある距離Lfsだけ延びる。ドレインフィールドプレート104は、ゲート24と部分的に重なり合い、スペーサ層28上をドレインコンタクト22に向かって、前述の距離の範囲内にある距離Lfdだけ延びる。ソースおよびドレインフィールドプレート102、104はそれぞれ、ソースコンタクト20またはゲート24に(前述の方法を使用して)接続することができ、あるいは、一方をソースコンタクト20に接続し、もう一方をゲート24に接続することができる。
【0049】
様々な実施形態では、ソースおよびドレインフィールドプレート102、104が、ゲート24と部分的に重なり合う必要がなく、一方または両方のフィールドプレートが、ゲートの縁とそのフィールドプレートの縁との間に隔たりを有することができる。ゲートの重なりは、否定的な影響を性能に与えうる追加の静電容量を導入する可能性がある。ソースおよびドレインフィールドプレートが電場を効果的に低減させるためには、ゲートの縁とフィールドプレートとの間の隔たりが比較的に小さくなければならず、このことは、製造中にいくつかの困難を生じさせる可能性がある。フィールドプレート102、104をゲート24と部分的に重なり合わせることによって、この小さな隔たりの許容範囲内の条件を満たす必要なしにHEMTを製造することができる。部分的に重なり合うフィールドプレートを使用するのか、または重なり合わないフィールドプレートを使用するのかを決定する際には、製造の容易さと静電容量の低減との間のバランスを考慮する。
【0050】
本発明の構造を、様々な材料システムから製作された他のタイプのトランジスタで使用することもできる。図9は、本発明に基づく炭化シリコンベースのMESFETの一実施形態110を示す。MESFET110は、その上に炭化シリコンバッファ114および炭化シリコンチャネル層116が形成された炭化シリコン基板112を含み、バッファ114は、チャネル層116と基板112との間に挟まれている。バッファ114およびチャネル層116は全体としてMESFETの活性領域を形成する。チャネル層116と接触してソースおよびドレイン電極118、120が形成され、ソース電極118とドレイン電極120との間のチャネル層116上にゲート122が形成される。この好ましい実施形態では、ゲート122がチャネル層116の中に落ち込んでいるが、これら2つの間に十分な電気的接触が得られる限り、落ち込みなしにゲート122がチャネル層116の表面にあってもよい。ゲート122を部分的に落ち込ませて、ゲート122の下面の一部分だけがチャネル層116の中に落ち込むようにすることもできる。
【0051】
ゲート122の上、ならびにゲート122とソースおよびドレイン電極118、120との間のチャネル層116の表面に、非電導性(誘電性)スペーサ層124が形成される。図1および2に示された前述のスペーサ層28と同様に、スペーサ層124は、誘電体などの1つの非電導性材料層、または様々な誘電体などの複数の様々な非電導性材料層を含むことができる。
【0052】
ゲート122の上のスペーサ層124上に、第1のフィールドプレート126が形成され、第1のフィールドプレート126は、スペーサ層124上をソース電極118に向かって距離Lfsだけ延び、ドレイン電極120に向かって距離Lfdだけ延び、これらの距離はともに前述の距離の範囲内にある。フィールドプレート126も、前述の接続構造と同じ構造を使用してソース電極118またはゲート122に接続することができる。この第1のフィールドプレートも、前述の2片(two piece)ドレインフィールドプレート/ソースフィールドプレート配置など、2つ以上のフィールドプレートを含むことができる。
【0053】
第1のフィールドプレート126および第1のスペーサ層124の上に、第2の非電導性スペーサ層128(破線で示されている)を形成することができ、これは、図3に示された前述の第2のスペーサ層42と同様である。同様に、第2のスペーサ層128上に第2のフィールドプレート130(破線で示されている)が提供され、これも、図3に示された前述の第2のフィールドプレート44と同様であり、同様に接続される。
【0054】
図10は、本発明に基づく炭化シリコンMESFETの他の実施形態140を示し、このMESFETは、基板112、バッファ114、チャネル層116、ソース電極118、ドレイン電極120を含む図9のMESFET110と同様のフィーチャを有する。ソース電極118とドレイン電極120との間のチャネル層116上に、落ち込んだゲート142が形成されているが、これは、チャネル層116の表面に形成することもできる。MESFET140はさらにスペーサ層144を含み、これはゲート142と重なり合わず、ゲート142とソースおよびドレイン電極118、120との間のチャネル層116の表面の少なくとも一部分を覆う。ゲート142と一体のフィールドプレート146が形成され、これは、スペーサ層144上をソース電極118に向かって距離Lfsだけ延び、ドレイン電極120に向かって距離Lfdだけ延び、これらの距離はともに前述の距離の範囲内にある。スペーサ層144は誘電材料とすることができ、デバイスメタライゼーションの前にスペーサ層144が形成される場合には、このスペーサ層は、前述のエピタキシャル材料を含むことができる。
【0055】
図11は、ゲート−ソースフィールドプレートを持たないGaNベースのHEMT(デバイスA)の動作特性と、長さ0.2ミクロンのゲート−ソースフィールドプレートを有するGaNベースのHEMT(デバイスB)の動作特性とを比較した表130を示す。デバイスAおよびBの測定値は、1デシベル(dB)圧縮に駆動された4ギガヘルツ(GHz)、Vg=−7V、10時間の200CクラスC動作におけるパワーデグラデーション(power degradation)に関してとられたものである。測定値はデバイスAの破壊を示しており、一方、デバイスBは同じ条件下で破壊を経験しない。
【0056】
このフィールドプレート配置は、HEMTおよびMESFET以外の他のトランジスタに適用することができ、その一例が金属酸化物半導体ヘテロ構造電界効果トランジスタ(MOSHFET)であることが理解される。MOSHFETでは、ゲートとMOSHFET活性領域との間にスペーサ層を形成することができる。ゲートの下からスペーサ層を部分的に除去して、ゲートが薄いスペーサ(絶縁体)層上にあり、フィールドプレートがより厚いスペーサ(絶縁体)層上にあるようにすることができる。ゲートはこの絶縁体層を介して依然として活性領域と「接触」していると考えられ、このMOSHFET配置はゲート漏れを低減させるように設計される。
【0057】
以上の実施形態は、マイクロ波およびミリメートル波周波数におけるパワーが向上したワイドバンドギャップトランジスタを提供する。このトランジスタは、より高い入力−出力分離により、高利得、高電力およびより安定な動作を同時に示す。より低い周波数における高電圧用途向けに、この構造をより大きな寸法に拡張することができる。
【0058】
いくつかの好ましい構成に関して本発明を詳細に説明したが、他の変形構成も可能である。多くの様々なデバイスで、このフィールドプレート配置を使用することができる。このフィールドプレートはさらに、多くの様々な形状を有することができ、多くの様々な方法でソースコンタクトに接続することができる。例えば、接続が、バスまたは導電性経路による接続の代わりに、フィールドプレートとソースコンタクトとの間で連続した接続となるように、フィールドプレートは、HEMT活性領域の上から延びることができる。しかしこの配置は、極端に高い静電容量を構造に導入する可能性がある。したがって、本発明の趣旨および範囲を、上述の本発明の好ましい構成に限定してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に基づくHEMTの一実施形態の平面図である。
【図2】図1に示されたHEMTの断面図である。
【図3】本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図4】本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図5】複数のフィールドプレートを有する本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図6】複数のフィールドプレートを有する本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図7】複数のフィールドプレートを有する本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図8】本発明に基づくHEMTの他の実施形態の断面図である。
【図9】本発明に基づくMESFETの一実施形態の断面図である。
【図10】本発明に基づくMESFETの他の実施形態の断面図である。
【図11】本発明に基づくHEMTとゲート−ソースフィールドプレートを持たないHEMTとの動作特性を比較した表を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル層を有する活性領域と、
前記活性領域と接触したソースおよびドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間にあって、前記活性領域と接触したゲートと、
前記ゲートと前記ドレイン電極との間および前記ゲートと前記ソース電極との間の前記活性領域の表面の少なくとも一部分上にあるスペーサ層と、
前記スペーサ層上にあって、前記活性領域の上の前記スペーサ上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記活性領域の上の前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延びるフィールドプレートと、
前記フィールドプレートを前記ソース電極または前記ゲートに電気的に接続する少なくとも1つの導電性経路と
を含むことを特徴とするトランジスタ。
【請求項2】
前記フィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ゲートの縁から前記ドレイン電極に向かって距離Lfdだけ延びることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
前記フィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ゲートの縁から前記ソース電極に向かって距離Lfsだけ延びることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項4】
前記スペーサ層は前記ゲートを覆い、前記フィールドプレートは、前記ゲートと部分的に重なり合い、前記スペーサ上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延びることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電性経路は、前記フィールドプレートと前記ソース電極との間を通り、前記経路はそれぞれ前記活性領域の外側を通り、前記フィールドプレートに前記ソース電極との電気的接続を提供することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電性経路は、前記フィールドプレートと前記ソース電極との間を通り、前記スペーサ層の上を通ることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電性経路は、前記フィールドプレートと前記ゲートとの間を通り、前記経路はそれぞれ前記活性領域の外側を通り、前記フィールドプレートに前記ゲートとの電気的接続を提供することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの導電性経路は、前記フィールドプレートと前記ゲートとの間を、前記スペーサ層を貫いて通る導電性バイアを含むことを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項9】
前記スペーサ層は、前記ゲートから前記ドレイン電極まで、および前記ゲートから前記ソース電極までの前記活性領域の表面の少なくとも一部分を覆い、前記フィールドプレートは、前記ゲートと一体に形成され、前記スペーサ層上を、前記ソース電極および前記ドレイン電極に向かって延びることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項10】
複数の前記活性領域は、基板上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項11】
複数の前記活性領域は、III族窒化物ベースの半導体材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項12】
前記スペーサ層は、1つの誘電材料または複数の誘電材料層を含むことを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項13】
前記ゲートは、前記活性領域の中に少なくとも部分的に落ち込んでいることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項14】
前記フィールドプレートは、前記ゲートの前記ドレイン側および前記ゲートの前記ソース側の前記HEMTのピーク動作電場を低減させることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項15】
前記ピーク動作電場の低減は、前記トランジスタの破壊電圧を増大させることを特徴とする請求項14に記載のトランジスタ。
【請求項16】
前記ピーク動作電場の低減は、前記HEMTのトラッピングを低減させることを特徴とする請求項14に記載のトランジスタ。
【請求項17】
前記ピーク動作電場の低減は、前記トランジスタの漏れ電流を低減させることを特徴とする請求項14に記載のトランジスタ。
【請求項18】
高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含むことを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項19】
電界効果トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項20】
1つまたは複数のスペーサ層/フィールドプレート対をさらに含み、前記対のそれぞれのスペーサ層は、その対のフィールドプレートとその下のフィールドプレートとの間の電気的分離を提供し、前記対のそれぞれのフィールドプレートは、前記ソース電極または前記ゲートに電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項21】
前記フィールドプレートは、別個のソースおよびドレインフィールドプレートを含み、前記ソースフィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延び、前記ドレインフィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記ソースおよびドレインフィールドプレートは、前記ソース電極または前記ゲートに電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項22】
前記フィールドプレートは、別個のソースおよびドレインフィールドプレートを含み、前記ソースフィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延び、前記ドレインフィールドプレートは、前記スペーサ層上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記ソースフィールドプレートは、前記ソース電極と前記ゲートのうちの一方に電気的に接続され、前記ドレインフィールドプレートは、前記ソース電極と前記ゲートのうちのもう一方に接続されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項23】
基板上に連続して配置されたバッファ層およびバリア層と、
前記バッファ層と前記バリア層との間のヘテロ界面にある2次元電子ガス(2DEG)チャネル層と、
ともに前記2DEGチャネル層と接触したソースおよびドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の前記バリア層上にあるゲートと、
前記ゲートと前記ドレイン電極との間および前記ゲートと前記ソース電極との間の前記バリア層の表面の少なくとも一部分上にあるスペーサ層と、
前記スペーサ層上にあって、前記バリア層の上の前記スペーサ上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記バリア層の上の前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延びるフィールドプレートと、
前記フィールドプレートを前記ソース電極または前記ゲートに電気的に接続する少なくとも1つの導電性経路と
を含むことを特徴とする高電子移動度トランジスタ(HEMT)。
【請求項24】
基板上のバッファ層と、
前記バッファ層上のチャネル層であって、前記バッファ層が、該チャネル層と前記基板との間に挟まれたチャネル層と、
前記チャネル層と電気的に接触したソース電極と、
前記チャネル層と電気的に接触したドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間で前記チャネル層と電気的に接触したゲートと、
前記ゲートと前記ドレイン電極との間および前記ゲートと前記ソース電極との間の前記チャネル層の表面の少なくとも一部分上にあるスペーサ層と、
前記スペーサ層上にあって、前記チャネル層の上の前記スペーサ上を前記ドレイン電極に向かって延び、前記チャネル層の上の前記スペーサ層上を前記ソース電極に向かって延びるフィールドプレートと、
前記フィールドプレートを前記ソース電極または前記ゲートに電気的に接続する少なくとも1つの導電性経路と
を含むことを特徴とする金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2008−533717(P2008−533717A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500703(P2008−500703)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/001058
【国際公開番号】WO2006/098801
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】