説明

シート供給装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】特別な装置を付加することなく、リフターの異常動作に伴う破損等の構成部材へのダメージを未然に防止することができるシート供給装置及びこれを用いた画像形成装置を簡易な構成で安価に提供する。
【解決手段】複数の記録シートPを収容する給紙トレイ5と、該給紙トレイ5内において記録シートPを下方から支持するボトムプレート60と、給紙トレイ5内の最上位記録シートPが所定の位置に配されるように、所定のリフトアップ動作によりボトムプレート60を上昇させるリフター70と、リフトアップ動作の際の故障を検出する故障検知センサ67と、リフトアップ動作の際の故障履歴を記録した故障履歴データベースDBとを備え、装置電源投入後のスタンバイ状態において、故障履歴データベースDBを参照し、故障が継続している場合には、給紙トレイ5の挿抜表示を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置に用いられるシート供給装置に係り、詳細には、給紙トレイに収容された記録シートを最上位のものから1枚ずつ引き抜いて画像形成部に給紙を行うシート供給装置及びこれを用いた画像形成装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−341852号公報
【0003】
従来、複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置に記録シートを供給するためのシート供給装置としては、略矩形状に形成された給紙トレイの内部に揺動自在なボトムプレートを配置し、給紙トレイ内に収容された記録シートをこのボトムプレートで上方に向けて押し上げ、それによって最上位の記録シートをピックアップロールに当接させるように構成したタイプのものが知られている。このような構成のシート供給装置においては、ボトムプレートが記録シートを適切に押し上げることで、給紙トレイ内の最上位の記録シートとピックアップロールとが確実に接触し、かかるピックアップロールの回転によって記録シートを最上位のものから順番に画像形成装置に向けて送り出すことができるようになっている。
【0004】
また、近年の高速複写機等においては、より正確な給紙動作を実現するため、記録シートの消費状況や給紙トレイの使用状況等に応じて制御される駆動モータを備えたリフターを設け、状況に応じたボトムプレートの昇降を可能としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、特許文献1には、ボトムプレートの上昇速度(すなわち、リフターの上昇速度)を、給紙トレイの装着時と、画像形成手段に対する記録シートの供給時とで異ならせたシート供給装置が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が目的とするところは、特別な装置を付加することなく、リフターの異常動作に伴う破損等の構成部材へのダメージを未然に防止することができるシート供給装置及びこれを用いた画像形成装置を簡易な構成で安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のシート供給装置は、複数の記録シートを収容する給紙トレイと、該給紙トレイ内において前記記録シートを下方から支持するボトムプレートと、前記給紙トレイ内の最上位記録シートが所定の位置に配されるように、所定のリフトアップ動作により前記ボトムプレートを上昇させるリフターと、前記リフトアップ動作の際の故障を検出する故障検知センサと、前記リフトアップ動作の際の故障履歴を記録した故障履歴データベースとを備え、装置電源投入後のスタンバイ状態において、前記故障履歴データベースを参照し、故障が継続している場合には、前記給紙トレイの挿抜表示を行うことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、スタンバイ状態とは、装置の定格動作を行う前の待機状態をいうものとする。
【0009】
請求項2に記載のシート供給装置は、請求項1に記載の構成において、前記給紙トレイの抜き挿しを検知する挿抜センサを備え、前記挿抜表示後、前記給紙トレイの挿抜が行われた場合には、さらに前記所定のリフトアップ動作を行うことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載のシート供給装置は、請求項2に記載の構成において、前記所定のリフトアップ動作が正常に行なわれた場合には、前記故障履歴データベースを更新し、スタンバイ状態とすることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載のシート供給装置は、請求項2に記載の構成において、前記所定のリフトアップ動作後、故障が復旧していない場合には、所定の回数以内で前記給紙トレイ挿抜後のリフトアップ動作を繰り返すことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載のシート供給装置は、請求項4に記載の構成において、前記所定の回数以内での給紙トレイ挿抜後のリフトアップ動作により故障が復旧しない場合には、装置故障を表示することを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のシート供給装置と、記録シートに所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載の画像形成装置は、記録シートに画像形成を行う画像形成手段と、所定の駆動部の故障履歴を記録した故障履歴データベースとを備え、電源投入後の画像形成待機時において、前記故障履歴データベースを参照して、故障が継続している前記駆動部が存在している場合には、該駆動部を駆動しないように制御すると共に、該駆動部に対する復旧処置を促す表示を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、トレイの挿抜を促すことにより、故障状態の目視確認による適切な復旧処置及び故障復旧の可能性の増大を図ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、給紙トレイの挿抜により故障が復旧したか否かの簡易的な検証が可能となり、ユーザーの利便性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、故障の継続/復旧を確認するためのリフトアップ動作の不要な継続を省略し、生産性の向上に寄与することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、周辺部材に過大なダメージを与えない範囲内で、簡易な繰り返し動作により故障復旧の可能性を増大させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、リフトアップ動作の繰り返しによるギア破損等の周辺部材への過度なダメージを未然に防止することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本発明を上記いずれかのシート供給装置を備えた画像形成装置にも適用することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本発明に係る制御内容を任意の駆動部に適用することにより、構成機器の破壊等のダメージを簡易な構成で未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。ここで、図1は、本発明に係る画像形成装置としてのデジタル複写機の一例を示すものであり、図2は、本発明に係るシート供給装置の概要を説明するための模式図である。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る画像形成装置は、プラテン10上に置かれた原稿11の画情報を光学的に読み取ってこれをCCDセンサ12で電気的な画像データに変換する画像入力部(IIT)1と、この画像入力部1から転送された画情データに基づいて記録シートP上に画像形成を行う画像出力部(IOT)2とから構成されており、さらに、上記画像入力部1にはプラテン10に対して原稿11を自動給送するADF13を取り付けることができるようになっている。
【0024】
上記画像出力部2は画像入力部1から転送された画像データに基づいて感光体ドラム20上にトナー像を形成した後、かかるトナー像を無端状の転写ベルト3に一次転写し、さらに転写ベルト3上のトナー像を記録シートPに二次転写することで該記録シートP上に記録画像を形成しており、トナー像が二次転写された記録シートPは定着器4を経て排出トレイ50上に排出されるようになっている。
【0025】
また、上記感光体ドラム20は所定のプロセス速度で矢線方向に回動しており、その周囲には、かかる感光体ドラム20の表面を所定の背景部電位にまで一様帯電する帯電コロトロン21と、画像データに基づいて変調されたレーザビームで感光体ドラム20を露光し、該感光体ドラム20上に静電潜像を形成するレーザビームスキャナ22と、感光体ドラム上の静電潜像を現像する現像器23と、転写ベルト3に対するトナー像の一次転写に先立って感光体ドラム20上の電位を除去する転写前処理コロトロン24と、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム20上の残留トナーを除去するクリーナ25とが配置されている。
【0026】
一方、上記転写ベルト3は複数のロールに掛け回されて矢線方向に回動しており、感光体ドラム20上に形成されるトナー像はこの転写ベルト3に転写された後に、かかる転写ベルト3から記録シートPへ二次転写されるようになっている。この転写ベルト3を挟んで感光体ドラム20と対向する位置には該感光体ドラム20との間に転写電界を形成する一次転写ロール30が配設される一方、トナー像の二次転写位置には二次転写ロール31及び対向電極ロール32が転写ベルト3を挟んで配設されており、記録シートPは上記二次転写ロール31と転写ベルト3との間に挿通されてトナー像が転写されるように構成されている。また、転写ベルト3の回動経路のうち、二次転写位置と一次転写位置との間には、二次転写が終了した転写ベルト3の表面から紙粉や残留トナーを除去するベルトクリーナ33が設けられている。
【0027】
また、上記画像出力部2の下方は、該画像出力部に対して記録シートPを供給するための給紙部となっており、サイズの異なる記録シートPを収容した4段の給紙トレイ5a〜5dが装備されている。そして、複写作業で選択されたサイズの記録シートPがピックアップロール51の回動により、いずれかの給紙トレイから画像出力部2へ送り出されるようになっている。各給紙トレイ5a〜5dからトナー像の二次転写位置へ至る記録シートPの搬送経路上には複数のシート搬送ロール52が配設されていると共に、二次転写位置の直前にはレジストレーションロール53が配設されており、かかるレジストレーションロール53は給紙トレイ5a〜5dから送り出された記録シートPを感光体ドラム20に対する静電潜像の書き出しタイミングに同期した所定のタイミングで二次転写位置に送り込むようになっている。
【0028】
なお、図1中において、符号26は画像入力部1から画像出力部2に転送されてきた画像データを複写作業の内容に応じて処理した後に上記レーザビームスキャナ22に供給する画像処理部、符号54は記録シートPの手差し給紙に用いる手差しトレイ、符号55はトナー像が二次転写された記録シートPを定着器4へ給送するためのシート搬送ベルト、符号56は記録シートPの両面コピーの際に該記録シートPを反転させて定着器4から二次転写位置へ給送するためのインバータ通路である。また、符号CRは、各構成機器の所定の制御動作を司る装置コントローラである。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態に係る画像形成装置では、画像入力部1によって取り込まれた原稿の画情報に基づいてレーザビームスキャナ22が感光体ドラム20を露光し、感光体ドラム20上には画情報に対応した静電潜像の書き込みが行われる。この静電潜像は現像器23によってその書き込みタイミングから少し遅れて現像される。そして、このようにして形成されたトナー像は一次転写ロール30によって転写ベルト3上に一次転写され、転写ベルト3はトナー像を担持したまま回転する。転写ベルト上に一次転写されたトナー像は所定のタイミングでレジストレーションロール53から送られてきた記録シートPに二次転写され、未定着トナー像が転写された記録シートPは定着器4を経て排出トレイ50に排出される。
【0030】
さらに、本実施の形態に係る画像形成装置においては、例えば、給紙部や搬送部といった駆動部を構成する構成部材の駆動状態を、各種センサや装置コントローラCR等を介して監視して故障箇所の特定を行うと共に、当該故障箇所及びその履歴(例えば、後述するシート供給装置に関する故障発生の有無や当該故障に対する復旧の有無等の故障履歴)に関する情報を、不揮発性メモリに記憶格納した故障履歴データベースDBを備えている。
【0031】
また、本実施の形態に係るシート供給装置は、画像形成装置の給紙部を構成し、記録シートPの収容空間を有して略矩形状に形成された給紙トレイ5a〜5d(各給紙トレイ5a〜5dは基本的に同構造であるため、以下、給紙トレイ5と総称表記する)等を備え、この給紙トレイ5は、図2(a)に示すように、画像形成装置の筐体に対してフロント側(図1の紙面手前側)から挿入し得るように構成されている。また、給紙トレイ5の内部には記録シートPを搭載すると共に、該記録シートPの先端を上方へ向けて押し上げるボトムプレート60が設けられており、このボトムプレート60は記録シートPの後端側に対応した後端部61を支点として揺動するように構成されている。さらに、このボトムプレート60の下側には該ボトムプレート60の先端を上方へリフトアップさせるための、回転軸62S回りに回転自在に形成されたリフトアーム62が配設されており、図2(b)に示すように、このリフトアーム62が回転することによってボトムプレート60が後端部61を中心として揺動し、記録シートPの先端が持ち上がるようになっている。
【0032】
そして、この給紙トレイ5が挿入される画像形成装置の筐体側には、給紙トレイ5内に位置決めされた記録シートPの先端に対応して前述のピックアップロール51が設けられており、ボトムプレート60の上昇によって記録シートPの先端が持ち上がると、給紙トレイ5内で最上位に位置する記録シートPの先端がピックアップロール51と圧接するようになっている。これにより、ピックアップロール51が回転すると、記録シートPとピックアップロール51との間に所定の摩擦力が作用し、最上位の記録シートPが給紙トレイ5から引き出される。また、給紙トレイ5から引き出された記録シートPが多数枚重なった状態で搬送される、いわゆる重送を防止するため、画像形成装置の筐体側には上記ピックアップロール51に隣接してフィードロール63及びリタードロール64が設けられている。給紙トレイ5から引き出された記録シートPはこれらフィードロール63及びリタードロール64の間を通過する際に一枚ずつに分離される。なお、フィードロール63とピックアップロール51は共通のモータ(図示せず)によって回転駆動される一方、リタードロール64は回転することなくフィードロール63と対向している。
【0033】
次に、本発明に係るシート供給装置の一部を構成するリフターについて図3を参照してさらに説明する。ここで、図3はリフターの制御構成を示す模式的ブロック図である。
【0034】
図3に模式的に示すように、本発明に係るリフター70は、ボトムプレート60をリフトアップさせるリフトアーム62、このリフトアーム62の回転軸62Sを回転駆動するアーム駆動モータ65、IOT動作情報等よりモータ65の回転速度を制御するモータ制御部66、記録シートPを検知するリフトアップセンサ67等より構成されている。
【0035】
アーム駆動モータ65は、例えば、給紙トレイ5が挿入される画像形成装置の筐体のリア側に設けられており、給紙トレイ5を画像形成装置の筐体にフロント側から挿入すると、ギヤ列(図示せず)を介してアーム駆動モータ65とリフトアーム62の回転軸62Sとが連結されるようになっている。本実施の形態において、上記アーム駆動モータ65はステッピングモータであり、モータ制御部66が生成する駆動信号に応じて所定量だけ所定速度で回転し、リフトアーム62を回転させてボトムプレート60を所定の位置までリフトアップさせる。また、ボトムプレート60をリフトアップさせた結果として、給紙トレイ5内の記録シートPが、ピックアップロール51に確実に接触する所定の位置までリフトアップされたことを確認するため、画像形成装置の筐体側には記録シートPを検知するリフトアップセンサ67が設けられており、このリフトアップセンサ67の出力信号が上記モータ制御部66に取り込まれるようになっている。なお、このモータ制御部66には画像出力部(IOT)2の動作情報も取り込まれており、これらの情報によってモータ制御部66はボトムプレート60のリフトアップ速度を決定し得るようになっている。そして、モータ制御部66はこのリフトアップセンサ67の出力信号及びIOT動作情報を参照しながらアーム駆動モータ65の駆動信号を生成することにより、記録シートPがピックアップロール51に対して適度に圧接する所定の位置までボトムプレート60をリフトアップさせ、当該所定の位置にて停止させるようになっている。
【0036】
さらに、給紙トレイ5が挿入される画像形成装置の筐体側には、給紙トレイ5の着脱(抜き挿し)を検出する不図示の着脱センサSが設けられていると共に、モータ制御部66には、所定のリフトアップ動作を何回行ったかを記録する不図示のリフトアップカウンタCTが設けられている。なお、このモータ制御部66は、シート供給装置専用に設けてもよいし、画像形成装置の装置コントローラCRに兼用させてもよい。
【0037】
ここで、リフター70の動作の正常/異常の判定は、モータ制御部66から駆動指令がアーム駆動モータ65に出力された後、所定の時間内にリフトアップセンサ67が動作するか否かにより判定される。すなわち、本実施の形態において、リフトアップセンサ67は、所定のリフトアップ動作の正常/異常を判定するための故障検知センサとして機能し、具体的には、リフター70動作後、所定の時間内にリフトアップセンサ67が動作しない場合には、リフター故障が発生したものとし、例えば装置コントローラCRを介して前述した故障履歴データベースDBに故障発生を記録すると共に、当該故障が復旧(処置)されているか否かの状態(復旧済み/未復旧)も記録しておく。なお、本実施の形態において、故障が復旧されているか否かの状態判定は、後述するように、給紙トレイ5の挿抜動作の後、リフター70を再び駆動して、所定の時間内にリフトアップセンサ67が動作するか否かにより簡易に判定することができる。
【0038】
そして、本発明に係るシート供給装置においては、次のような手順により、特別な装置を付加することなく簡易な構成にて、リフター70の構成部材や周辺部材へのリフトアップ動作による過度なダメージを未然に防止している。以下に、本発明に係るシート供給装置の制御内容について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、画像形成装置本体の装置電源をONした際の所定の画像形成待機(スタンバイ)時(例えば、定着ロールが所定の温度に到達するまでの待機動作時や制御プログラムの初期確認動作時等の、電源投入後の各構成機器の定格動作を可能とする所定の待機動作時)に、例えば、装置コントローラCRを介して、故障履歴データベースDBを参照する。
【0040】
次に、この故障履歴データベースDB中に、シート供給装置に係る未処置(未復旧)のリフター故障が存在するか否かを判断し(ST1)、未処置のリフター故障が存在する場合には、給紙トレイ5の抜き挿しを行うように促す挿抜表示を操作パネル上に表示する(ST2)。一方、故障履歴データベースDB中に、未処置のリフター故障が存在しない場合には、通常のリフトアップ動作を行い(ST10)、リフトアップセンサ67の出力に基づいて、リフター70の故障判定を行う(ST11)。具体的には、リフター70を動作させた後、所定の時間内にリフトアップセンサ67が動作する場合には、故障が発生していないと判断し、通常の画像形成のスタンバイ状態とする(ST12)。一方、所定の時間内にリフトアップセンサ67が動作しない場合には、何らかの故障が発生していると判断し、給紙トレイ5の抜き挿しを行うように促す挿抜表示を操作パネル上に表示する(ST2)。
【0041】
このように故障が発生していると判断される場合に、挿抜表示を行って、給紙トレイ5を画像形成装置から一旦引き出すことにより、給紙トレイ5の状態を目視にて確認することができ、例えば、給紙トレイ5内の記録シートPのセッティングに異常がある場合には、オペレータによる迅速な復旧が可能となる。また、一般に、リフター異常が発生するケースとしては、ボトムプレート60等が、機械的に引っ掛って異常検出されるケースが多いが、このようなケースでは、給紙トレイ5を一旦画像形成装置から引き出すことにより、リフトアーム62の回転軸62Sがアーム駆動モータ65のギア列から分離されて、ボトムプレート60が自重により降下して、引っ掛りによるロック状態が解除され易くなるので、故障が復旧される可能性が増大する。
【0042】
そこで次に、給紙トレイ5の着脱センサSの検知結果に基づいて、給紙トレイ5の抜き差しが行われたか否かを判断し(ST3)、トレイの挿抜が検出された場合には、リフトアップカウンタCTを参照して、リフトアップ回数が、所定の値(例えば、5回)以内であるか否かを判断する(ST4)。
【0043】
そして、リフトアップ回数が所定の値以内である場合には、リフトアーム62を駆動して、ボトムプレート60のリフトアップを行うと共に、リフトアップカウンタCTを更新(カウンタ回数+1)する。なおこの際、リフトアップカウンタCTが所定の値(本例では、5回)を超えている場合には、操作パネル上にトレイ故障表示を行い、例えば、画像形成装置を停止させる(ST7)。これにより、給紙トレイ5の抜き差しだけでは回復できない重度故障の場合に、リフトアップ動作の繰り返しによる周辺部材への不測のダメージを未然に防止することができる。
【0044】
ボトムプレート60をリフトアップさせた後、所定の時間経過後に、リフトアップセンサ67の出力に基づいて、ボトムプレート60(記録シートP)の正常なリフトアップ動作が行われたか否かを判断(ST6)し、正常動作が行われた場合には、故障が復旧回復したものと判断して、故障履歴データベースDBを更新すると共に、通常の画像形成のスタンバイ状態とする(ST8)。
【0045】
一方、正常なリフトアップ動作が確認できなかった場合(所定の時間内でリフトアップセンサ67の出力が変化しなかった場合)には、故障が継続していると判断して、再び、トレイ挿抜表示(ST2)を行い、同様な手順(ST2〜ST8)を所定の回数(例えば、5回)以内で繰り返す。
【0046】
このような手順により、トレイの挿抜という簡易な操作で、シート供給装置の迅速な故障復旧を図ると共に、リフター70の簡易な故障判定を行うことが可能となる。一方、トレイの挿抜という簡易操作では復旧できない重度故障については故障表示を行うことによって、シート供給装置の構成部材に破損等の過大なダメージが加わることを未然に防止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、シート供給装置を構成するリフター部の制御内容について説明してきたが、本制御内容の適用対象は、上記リフター部に限定されるものではなく、画像形成装置を構成する任意の駆動部に適用することができる。例えば、シート排出部のオフセットキャッチトレイ(記録シートPの帳合いをするために、所定のタイミングでシート排出方向と直交する方向にスライドするトレイ)等に見られるような、駆動軸が、順次シフトして駆動源と接続され動力伝達を行う機構において、本制御内容を適用してもよい。これにより、例えば、何らかの原因により駆動軸の位置を検出するセンサが動作しなかった場合等に、当該駆動軸の駆動源を停止させて、ギア等の破損を未然に防止することができる。すなわち、本発明に係る制御内容を任意の駆動部に適用して、電源投入の直後に故障履歴データベースDBを参照することにより、機器を駆動する前に被駆動部材の故障状態が把握できる。そして、この把握状態に基づき、故障が継続している被駆動部材に対しては、駆動禁止とすると共に、当該駆動部に対する復旧処置を促す表示を行うことにより、構成部材等に対する不測のダメージを簡易な構成で確実に防止することが可能となる。
【0048】
また、本発明のシート供給装置が適用可能な画像形成装置は、前述した構成のモノクロ画像形成装置に限定されるものではなく、いわゆるタンデム型、ロータリー型等の任意の構成のカラー画像形成装置にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にシート供給装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係るシート供給装置のリフターの動作を説明するための模式的ブロック図である。
【図4】本発明に係るシート供給装置の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
3:転写ベルト、4:定着器、5:給紙トレイ、20:感光体ドラム、21:帯電コロトロン、22:レーザビームスキャナ、23:現像器、24:転写前処理コロトロン、25:クリーナ、30:一次転写ロール、31:二次転写ロール、33:ベルトクリーナ、51:ピックアップロール、53:レジストレーションロール、60:ボトムプレート、62:リフトアーム、63:フィードロール、64:リタードロール、65:アーム駆動モータ、66:モータ制御部、67:リフトアップセンサ、70:リフター、CR:装置コントローラ、DB:故障履歴データベース、P:記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録シートを収容する給紙トレイと、
該給紙トレイ内において前記記録シートを下方から支持するボトムプレートと、
前記給紙トレイ内の最上位記録シートが所定の位置に配されるように、所定のリフトアップ動作により前記ボトムプレートを上昇させるリフターと、
前記リフトアップ動作の際の故障を検出する故障検知センサと、
前記リフトアップ動作の際の故障履歴を記録した故障履歴データベースと
を備え、
装置電源投入後のスタンバイ状態において、前記故障履歴データベースを参照し、故障が継続している場合には、前記給紙トレイの挿抜表示を行うことを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記給紙トレイの抜き挿しを検知する挿抜センサを備え、前記挿抜表示後、前記給紙トレイの挿抜が行われた場合には、さらに前記所定のリフトアップ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記所定のリフトアップ動作が正常に行なわれた場合には、前記故障履歴データベースを更新し、スタンバイ状態とすることを特徴とする請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記所定のリフトアップ動作後、故障が復旧していない場合には、所定の回数以内で前記給紙トレイ挿抜後のリフトアップ動作を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項5】
前記所定の回数以内での給紙トレイ挿抜後のリフトアップ動作により故障が復旧しない場合には、装置故障を表示することを特徴とする請求項4に記載のシート供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のシート供給装置と、記録シートに所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
記録シートに画像形成を行う画像形成手段と、
所定の駆動部の故障履歴を記録した故障履歴データベースと
を備え、
電源投入後の画像形成待機時において、前記故障履歴データベースを参照して、故障が継続している前記駆動部が存在している場合には、該駆動部を駆動しないように制御すると共に、該駆動部に対する復旧処置を促す表示を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−110861(P2008−110861A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296425(P2006−296425)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】