説明

スピンヘッド

【課題】全てのチャックピンが基板との接触を高速回転時にも維持でき、スピンヘッド本体の熱変形によるチャックピンの設定位置のずれを防止できるスピンヘッドを提供する。
【解決手段】本体と、本体から上方に突出して設置されるチャックピンと、本体上に置かれた基板の側部を支持する支持位置及び本体の中心から支持位置より離れた待機位置の間でチャックピンを移動させ、且つチャックピンが待機位置にある場合には本体上に基板を着脱可能に置く余地を与えるように、チャックピンと固定結合される移動ロッド620、回転可能で支持位置に位置したチャックピンが待機位置に移動できるように外側面に突起720を有するカム720、及びチャックピン各々が互いに独立して待機位置から支持位置に向かう方向へ移動できるように、移動ロッド620各々に独立して復元力を印加するチャックピン復元器780を有するチャックピン移動ユニットと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に適用されるスピンヘッドに係り、さらに詳細には、半導体製造工程の基板処理装置において、基板を載置、支持しつつ回転可能なスピンヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、ウエハなどの基板上の、薄膜、異物、パーティクルなどをエッチング又は洗浄する工程を含む。このような工程は、パターン面が上又は下に向かうように基板をスピンヘッド上に置き、スピンヘッドを高速で回転させ、基板上に処理液を供給することによってなされる。スピンヘッド上には、基板がスピンヘッドの側方向(回転軸に直角な方向)に離脱することを防止するために、基板の側部を支持するチャックピンが設置される。チャックピンは、基板がスピンヘッド上にローディング又はアンローディングされる時に基板が置かれる空間を提供する待機位置と、スピンヘッド上に置かれた基板が回転しつつ工程が行われる時に基板の側部と接触する支持位置との間を移動する。従って、待機位置に置かれたチャックピン間に提供された空間は、支持位置に置かれたチャックピン間に提供された空間より広い。
【0003】
一般に、待機位置から支持位置へ移動するとき、チャックピンは、単一の駆動メカニズムにより全て共に移動する。従って、チャックピンなどの製造時に加工公差などがある場合、全てのチャックピンが支持位置に移動したとしても、一部のチャックピンは、基板の側部と接触しない。その場合、回転時に基板の支持が不安定で、かつ基板と接触した一部のチャックピンに力が集中してチャックピンが破損しやすい。
【0004】
また、スピンヘッドが高速で回転する場合、支持位置にあるチャックピンは、遠心力により待機位置に向かう方向へ移動し、これによって基板の支持が不安定である。
【0005】
また、一般に、スピンヘッドは、ネジにより固定結合された上板と下板とを含み、チャックピンは、上板を介して上方に突出するように下板に設置される。基板処理工程では、処理液として薬液が使用されるので、一般に、上板は、腐食に強いポリ塩化ビニール材からなる。しかしながら、高温の薬液を使用する場合、ポリ塩化ビニールは、熱変形しやすくなる。上板が熱変形により膨脹する場合、上板とネジ結合された下板も共に膨脹し、これによって下板に結合されたチャックピンの設定位置を変更して、ずらしてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板を安定的に支持することができる構造を有したスピンヘッドを提供する。
【0007】
また、本発明は、全てのチャックピンが基板との接触を維持できる構造を有したスピンヘッドを提供する。
【0008】
また、本発明は、高速回転時にもチャックピンが安定的に基板の側部と接触できる構造を有したスピンヘッドを提供する。
【0009】
また、本発明は、高温の薬液を使用する際にスピンヘッド本体の熱変形によりチャックピンの設定位置がずれることを防止できる構造を有したスピンヘッドを提供する。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上述の範囲に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者には明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態は、基板が置かれるスピンヘッドを提供する。本発明の一実施の形態によれば、スピンヘッドは、本体と、前記本体から上方に突出するように前記本体に設置されるチャックピンと、前記本体上に置かれた基板の側部を支持する支持位置及び前記支持位置に比べて前記本体の中心からより遠く離れた待機位置の間で、前記チャックピンを移動させるチャックピン移動ユニットと、を備え、前記チャックピン移動ユニットは、前記チャックピンが前記待機位置にある場合には前記本体上に基板を着脱可能に置く余地を与えるように、前記チャックピンと固定結合される移動ロッドと、回転可能であり、かつ前記支持位置に位置した前記チャックピンが前記待機位置に移動できるように外側面に突起を有するカムと、前記チャックピン各々が互いに独立して前記待機位置から前記支持位置に向かう方向へ移動するように、前記移動ロッド各々に独立して復元力を印加するチャックピン復元器と、前記チャックピンが前記支持位置にある場合に、前記本体の中心に向かう方向に前記移動ロッドを押し、前記チャックピンが前記支持位置から前記待機位置へ移動する場合に、前記移動ロッドの移動を妨げない位置に移動可能な接触保持部材を備えることを特徴とする。
【0012】
一例によれば、前記接触保持部材は、前記移動ロッドから突出するように、前記移動ロッドに固設される固定ピンと、前記本体に対して回転可能なように、前記本体に結合される中央部、前記移動ロッドに向かう方向に前記中央部から延び、前記固定ピンを押す押さえ部、及び前記本体の外側に向かって前記移動ロッドから遠ざかる方向に前記中央部から延びる案内部を有する保持バーを備える。
好ましくは、前記案内部は、前記押さえ部に比べて重く提供される。
好ましくは、前記案内部の重心と前記押さえ部の重心を各々、前記中央部の回転軸心と結ぶ線がなす夾角は、鈍角として提供される。
【0013】
好ましくは、前記スピンヘッドは、前記支持位置を調節する距離調節器をさらに備える。
さらに、前記距離調節器は、中央に上下方向に貫通したスリット形状の貫通孔が形成された調節ブロックと、前記調節ブロックの貫通孔を介して前記本体に結合されて、前記調節ブロックを前記本体に固定する固定具と、を備え、前記移動ロッドには、前記調節ブロックと接触して前記移動ロッドの移動を制限するストッパーが提供される。
【0014】
好ましくは、前記チャックピン移動ユニットは、前記カムを第1回転方向に回転させるカム駆動器と、復原力により前記カムを前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に回転させるカム復元器と、をさらに備える。
さらに、前記支持位置から前記待機位置への前記チャックピンの移動のための回転は、前記カム駆動器により行われ、前記待機位置から前記支持位置への前記チャックピンの移動のための回転は、前記カム復元器により行われるように前記カム復元器が提供される。
【0015】
好ましくは、前記本体は、上板と、前記チャックピン移動ユニットが設置される下板と、前記上板と下板とを結合する押さえ具と、を備え、前記下板には、スリット形状の溝が形成され、前記押さえ具は、前記溝に挿入されて前記上板にネジ結合される挿入部と、前記挿入部から延び、前記挿入部が前記上板にネジ結合されることによって前記下板を前記上板に向かって押す頭部と、を備える。
好ましくは、前記上板は、前記下板に比べて腐食に強い材質からなり、前記下板は、前記上板に比べて熱変形の少ない材質からなる。
【0016】
本発明の他の実施の形態によれば、スピンヘッドは、回転可能な本体と、前記本体から上方に突出するように前記本体に設置されるチャックピンと、前記チャックピンを移動させるチャックピン移動ユニットと、を備える。前記チャックピン移動ユニットは、前記チャックピンと固定結合される移動ロッドと、前記移動ロッドを前記本体の半径方向に沿って直線移動させる直線移動器と、前記本体が回転される間に、前記本体の中心に向かう方向に前記移動ロッドを押す接触保持部材と、を備える。
【0017】
また、さらに他の実施の形態によれば、スピンヘッドは、本体と、前記本体から上方に突出するように提供されるチャックピンと、前記チャックピンを前記本体の半径方向に沿って直線移動させるチャックピン移動ユニットと、を備え、前記チャックピン移動ユニットは、前記本体の中心に向かう方向に前記チャックピンの移動が復原力により互いに独立して行われるようにするチャックピン復元器を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板の側部を、チャックピンを使用して支持する際、全てのチャックピンが基板の側部と接触する。従って、基板の位置が安定的で、かつ一部のチャックピンに力が集中することを防止できる。
【0019】
また、本発明によれば、高速で基板が回転される場合にも、チャックピンが基板の側部と接触する支持位置に維持できる。
【0020】
また、本発明によれば、スピンヘッドの上板が熱変形により膨脹しても、チャックピンが結合された下板は膨脹・変形しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付した図1〜図17を参照して、さらに詳細に説明する。本発明の実施の形態は、様々な形態に変形でき、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものと解釈されてはならない。本実施の形態は、当業界における通常の知識を有した者に対して、本発明の範囲をさらに完全に説明するために提供されるものである。なお、図面での要素の形状は、より明確な説明を強調するために誇張されている場合がある。
【0022】
以下の実施の形態では、本発明によるスピンヘッドを、薬液、リンス液、そして乾燥ガスを使用して基板(W)を洗浄する装置に適用した場合を例に挙げて説明する。しかしながら、本発明の技術的思想は、これに限定されず、エッチング工程などのように基板(W)を回転しつつ処理工程を行う多様な種類の装置に全て適用できる。
【0023】
図1は、本発明の好ましい一実施の形態による基板処理装置1を概略的に示す平面図である。図1に示すように、基板処理装置1は、流体供給ユニット10、容器20、昇降ユニット30、及びスピンヘッド40を有する。
基板Wはスピンヘッド40上に載置され、以下、図5、6には図示したが、その外の図には本図(図1)を含めて煩雑を避けるため図示していない。
流体供給ユニット10は、基板処理のための処理液又は処理ガスを基板Wに供給する。スピンヘッド40は、工程進行時に基板Wを支持しつつ、基板Wを回転させる。容器20は、工程に使用された薬液及び工程時に発生したヒューム(fume)が外部に飛び散るか、又は流出することを防止する。昇降ユニット30は、スピンヘッド40又は容器20を上下に昇降させ、容器20内と、容器20内のスピンヘッド40との間の相対的な高さを変更する。
【0024】
流体供給ユニット10は、上部ノズル部材100aと下部ノズル部材(図4の100b)を有する。上部ノズル部材100aは、スピンヘッド40に置かれた基板Wの上面に処理液又は処理ガスを供給し、下部ノズル部材100bは、スピンヘッド40に置かれた基板Wの下面に処理液又は処理ガスを供給する。基板Wは、スピンヘッド40の上面から一定の距離だけ離隔してスピンヘッド40上に置かれ、下部ノズル部材100bは、スピンヘッド40と基板Wとの間の空間に処理液又は処理ガスを供給する。
【0025】
上部ノズル部材100aは、薬液供給ノズル120a、リンス液供給ノズル140a、及び乾燥ガス供給ノズル160aを有する。薬液供給ノズル120aは、複数の種類の薬液を基板Wに供給する。薬液供給ノズル120aは、複数の噴射器121、支持バー122、及びバー移動器125を有する。噴射器121は、容器20の一側に配置される。噴射器121は、薬液貯蔵部(図示せず)と連結されて、薬液貯蔵部から薬液を供給される。各々の噴射器121は、互いに異なる種類の薬液を貯蔵する薬液貯蔵部と連結される。噴射器121は、一方向に並列して配置される。各々の噴射器121は、上方に突出した突起121aを有し、突起121aの側面には、溝(図示せず)が形成され得る。薬液は、硫酸、窒酸、アンモニア、フッ酸などであるか、又はこれらと脱イオン(deionized)水との混合液であり得る。各々の噴射器121の終端には、吐出口が形成される。
【0026】
支持バー122は、複数の噴射器121のうちの何れか一つと結合し、これをスピンヘッド40に置かれた基板Wの上方に移動させる。支持バー122は、長いロッド状を有し、支持バー122は、その長さ方向が噴射器121の配列される方向と直角に配置される。支持バー122の下面には、噴射器121との結合のためのホルダー(図示せず)が提供され、ホルダーは、噴射器121の突起121aに形成された溝に挿入可能なアーム(図示せず)を有する。アームは、突起121aの外側から突起121aの溝に向かう方向に回転又は移動できる構造で提供され得る。
【0027】
バー移動器125は、スピンヘッド40に置かれた基板Wの上方位置と薬液供給ノズル120aのステムの上方位置との間を、噴射器121を1個保持する支持バー122に直線移動させる。バー移動器125は、ブラケット123、ガイドレール124、及び駆動器(図示せず)を有する。ガイドレール124は、噴射器121の外側から容器20の外側まで、噴射器121及び容器20に沿って長く一直線に延びる。ガイドレール124には、これに沿って移動可能なようにブラケット123が結合され、ブラケット123には、支持バー122が固定結合される。駆動器は、ブラケット123を直線移動させる駆動力を提供する。ブラケット123の直線移動は、モータとスクリューとを有するアセンブリーにより行われる。選択的に、ブラケット123の直線移動は、ベルトとプーリ、及びモータを有したアセンブリーにより行われ得る。選択的には、ブラケット123の直線移動はリニアモータにより行われる。
【0028】
容器20の他の一側には、リンス液供給ノズル140aが配置され、容器20のさらに他の一側には、乾燥ガス供給ノズル160aが配置される。リンス液供給ノズル140aは、噴射器141、支持バー142、及び駆動器144を有する。噴射器141は、支持バー142の一終端に固定結合される。支持バー142の他の終端には、駆動器144により回転される回転軸(図示せず)が固定結合される。噴射器141は、リンス液貯蔵部(図示せず)からリンス液を供給される。乾燥ガス供給ノズル160aは、リンス液供給ノズル140aと概して類似の構造を有する。乾燥ガス供給ノズル160aは、イソプロピルアルコールと窒素ガスとを供給する。窒素ガスは、加熱した窒素ガスでありうる。
【0029】
下部ノズル部材100bは、噴射ヘッド(図4の180b)を有する。噴射ヘッド180bは、頭部(図5の182)と挿入部(図5の184)とを有する。頭部182は、上部に凸形状を有し、スピンヘッド40から上方に突出する。頭部182には、複数の吐出口が形成される。例えば薬液吐出口120b、リンス液吐出口140b、乾燥ガス吐出口160bは各々、複数の薬液のうちの何れか一つ、リンス液、イソプロピルアルコール蒸気や窒素ガスのような乾燥ガスを噴射する。挿入部184は、頭部182の下端の直径より小さく、長さ方向に一定の直径を有し、頭部182から下へ延びる。挿入部184は、スピンヘッド40の中央に形成されている通孔に挿入される。
【0030】
上部ノズル部材100aと下部ノズル部材100bとから供給された薬液、リンス液、及び乾燥ガスは、スピンヘッド40の回転により基板Wの上面又は下面中央領域からエッジ領域に拡散され、基板Wを洗浄する。
【0031】
図2は、容器20の断面図で、図3は、容器20を縦方向に切断した斜視図である。図2と図3に示すように、容器20は、内部に上方が開放され、基板Wをそこで処理する空間32を有し、空間32には、スピンヘッド40が配置される。スピンヘッド40の下面には、スピンヘッド40を支持し回転させる回転軸42が固定結合される。回転軸42は、容器20の底面に形成された開口を介して容器20の外部まで突出する。回転軸42には、これに回転力を提供するモータのような駆動器44が固定結合される。
【0032】
図3は、容器20の内部構造を示す切断斜視図である。図2と図3に示すように、容器20は、工程に使用された薬液を分離して回収できる構造を有する。これは、薬液の再使用を可能にする。容器20は、複数の回収筒220、240、260を有する。それぞれの回収筒220、240、260は、工程に使用された処理液のうち、互いに異なる種類の処理液を回収する。本実施の形態にて容器20は、3個の回収筒を有する。それぞれの回収筒を内部回収筒220、中間回収筒240、及び外部回収筒260と称する。
【0033】
内部回収筒220は、スピンヘッド40を取り囲むリング形状を有し、中間回収筒240は、内部回収筒220を取り囲むリング形状を有し、外部回収筒260は、中間回収筒240を取り囲むリング形状を有する。それぞれの回収筒220、240、260は、容器20内で容器内の空間42と通じる流入口227、247、267を有する。それぞれの流入口227、247、267は、スピンヘッド40を取り囲むリング形状を有する。基板Wに噴射されて工程に使用された薬液は、基板Wの回転による遠心力により、流入口227、247、267を介して回収筒220、240、260に流入する。外部回収筒260の流入口267は、中間回収筒240の流入口247の垂直上方にあり、中間回収筒240の流入口247は、内部回収筒220の流入口227の垂直上方にある。即ち、内部回収筒220、中間回収筒240、及び外部回収筒260の流入口227、247、267は、互いに高さが異なるように配置される。
【0034】
内部回収筒220は、外壁222、底壁224、内壁226、及び案内壁228を有する。外壁222、底壁224、内壁226、及び案内壁228のそれぞれは、リング状を有する。外壁222は、スピンヘッド40から遠ざかる方向に下方傾斜した傾斜壁222aと該傾斜壁222aの下端から下方向に垂直に延びる垂直壁222bを有する。底壁224は、垂直壁222bの下端からスピンヘッド40に向かう方向に水平に延びる。底壁224の終端は、傾斜壁222aの上端と同じ(水平)位置まで延びる。内壁226は、底壁224の内側終端から上の方向に垂直に延びる。内壁226は、その上端が傾斜壁222aの上端と一定距離だけ離隔する位置まで延びる。内壁226と傾斜壁222aとの間の上下方向に離隔した空間は、上述した内部回収筒220の流入口227として機能する。
【0035】
内壁226には、円形をなす配置で複数の開口223が形成される。各々の開口223は、スリット形状を有する。開口223は、内部回収筒220に流入したガスをスピンヘッド40内の下部空間を介して外部に排出する排気口として機能する。底壁224には、排出管225が結合される。内部回収筒220を介して流入した処理液は、排出管225を介して外部の薬液再生のためのシステムに排出される。
【0036】
案内壁228は、内壁226の上端からスピンヘッド40から遠ざかる方向に下方傾斜した傾斜壁228aとその下端から下へ上下方向に垂直に延びる垂直壁228bを有する。垂直壁228bの下端は、底壁224から一定距離だけ離隔して位置する。案内壁228は、流入口227を介して流入した処理液を、外壁222、底壁224、内壁226により取り囲まれた空間229に円滑に流れこむように案内する。
【0037】
中間回収筒240は、外壁242、底壁244、内壁246、及び突出壁248を有する。中間回収筒240の外壁242、底壁244、及び内壁246は、内部回収筒220の外壁222、底壁224、及び内壁226と概して類似した形状を有するが、中間回収筒240が内部回収筒220を取り囲むように内部回収筒220に比べて大きなサイズを有する。中間回収筒240の外壁242の傾斜壁242aの上端と内部回収筒220の外壁222の傾斜壁222aの上端とは、上下方向に一定の距離だけ離隔して位置し、離隔した空間は、中間回収筒240の流入口247として機能する。突出壁248は、底壁244の終端から下方向に垂直に延びる。中間回収筒240の内壁246の上端は延伸されて、内部回収筒220の底壁224の終端と接続される。中間回収筒240の内壁246には、ガスを排出するためのスリット形状の排気口243がリングをなして配列される。底壁244には、排出管245が結合され、中間回収筒240を介して流入した処理液は、排出管245を介して外部の薬液再生のためのシステムに排出される。
【0038】
外部回収筒260は、外壁262と底壁264とを有する。外部回収筒260の外壁262は、中間回収筒240の外壁242と類似した形状を有するが、外部回収筒260が中間回収筒240を取り囲むように中間回収筒240に比べて大きいサイズを有する。外部回収筒260の外壁262の傾斜壁262aの上端と中間回収筒240の外壁242の傾斜壁242bの上端とは、上下方向に一定の距離だけ離隔して位置し、離隔した空間は、外部回収筒260の流入口267として機能する。
底壁264は、概して円板形状を有し、中央に回転軸42が挿入される開口が形成される。底壁264には、排出管265が結合され、外部回収筒260を介して流入した処理液は、排出管265を介して外部の薬液再生のためのシステムに排出される。外部回収筒260は、容器20全体の外壁として機能する。外部回収筒260の底壁264には、排気管263が結合され、外部回収筒260に流入したガスは、排気管263を介して外部に排気される。また、内部回収筒220の内壁226に設けた開口223及び中間回収筒240の内壁246に設けた排気口243を介して流れ出たガスは、外部回収筒260に連結した排気管263を介して外部に排気される。排気管263は、底壁264から上方に一定の長さが突出するように設置される。
【0039】
昇降ユニット30は、容器20を上下方向に直線移動させる。容器20が上下に移動することによって、スピンヘッド40に対する容器20の相対高さが変更される。昇降ユニット30は、ブラケット31、移動軸34、及び駆動器36を有する。ブラケット31は、容器20の外壁に固設され、ブラケット31には、駆動器36により上下方向へ移動する移動軸34が固定結合される。基板Wをスピンヘッド40に載置するか、又はスピンヘッド40から取り外すとき、スピンヘッド40が容器20の上方に突出するように容器20は下降する。また、工程が進められる時には、基板Wに供給された処理液の種類に応じて処理液が既設定された回収筒220、240、260に流入できるように容器20の高さを調節する。上述したこととは反対に容器20の位置を固定して、昇降ユニット30によりスピンヘッド40を上下方向へ移動してもよい。
【0040】
次には、図4と図5を参照して、スピンヘッド40の構造について説明する。図4は、スピンヘッド40の平面図であり、図5は、図4のI−I線に沿うスピンヘッド40の断面図である。スピンヘッド40は、本体300、支持ピン400、チャックピン500、及びチャックピン移動ユニット(図9、10の600)を有する。
【0041】
支持ピン400は、本体300の上部面から基板Wが一定距離離隔するように基板Wの背面のエッジ領域で基板Wを支持する。支持ピン400は、全て同じ形状及び大きさを有する。支持ピン400は、下へ行くほど次第に直径が増加する上部(図6の420)と、これから下へ延びて同じ直径を有する下部(図6の440)とを有する。下部440の延伸された下方には、外周面にネジ山が形成されたネジ部460が設けられる。下部440とネジ部460との間には、下部440及びネジ部460より大きな直径のラッチ部480が提供される。ネジ部460は、ネジ結合により本体300のネジ溝324(図6参照)に固定結合され、ラッチ部480の下面は、本体300の上部面と密着される。ラッチ部480は、支持ピン400が本体300に挿入される長さを制限して、支持ピン400の高さを全て同一にする。
【0042】
チャックピン500は、本体300のエッジ領域に本体300の上部面から上方に突出するように本体300に設置される。チャックピン500の数は、例えば6個である。チャックピン500は、スピンヘッド40が回転するとき、基板Wが正位置から側方へ離脱しないように基板Wの側部を支持する。チャックピン500は、全て同じ形状及び大きさを有する。チャックピン500は、支持部520、中央部540、締結部560、及びラッチ部580を有する。
支持部520は円柱状で、平らな上面と、上面から下へ行くほど直径が一旦次第に減少した後、再度下へ行くほど直径が次第に増加する形状の側面を有する。従って、支持部520は、正面から見るとき内側へ凹んだ凸部522を有する。凹部522には、支持ピン400に置かれた基板Wの側部が接続される。中央部540は、支持部520の下端から延伸されて、下端と同じ直径で下方向に延びる。締結部560は、中央部540からさらに下方向に延伸される。締結部560には、後述するチャックピン移動ユニット600との締結のためのネジ孔が形成される。ラッチ部580は、中央部540と締結部560の境界部から外側に延伸され、リング状である。ラッチ部580は、本体300の上部面と密着され、チャックピン500が全て同じ高さに突出するようにする。
【0043】
本体300は、上板320、下板340、及び押さえ具360(図6参照)を有する。上板320は、上方から見るとき、概して円形の上部面を有する。下板340は、上板320の下に配置され、チャックピン移動ユニット600が配置される空間を提供する。上板320には、支持ピン400が固設されるネジ溝324(図6参照)が形成される。また、上板320のエッジ領域には、チャックピン500が挿入されるピン孔322が形成される。各々のピン孔322は、スリット形状で形成される。ピン孔322は、その長さ方向が上板320の半径方向に沿うように形成される。ピン孔322の幅は、チャックピン500の中央部540の直径と同一又はこれより少し広く形成され、ピン孔322の長さは、チャックピン500の半径方向への移動を案内できる長さに形成される。ピン孔322の長さは、チャックピン500のラッチ部580の直径より短く提供されることができる。上述したこととは異なり、ピン孔322は、円状に形成されることができる。この場合、ピン孔322の直径は、チャックピン500の中央部540の直径より大きく、ラッチ部580の直径より短い。上板320と下板340との中央には、上述した噴射ヘッド180bが挿入される通孔が形成される。
【0044】
図6と図7とは、上板320と下板340との結合構造を示すための図である。図6は、図4のII−II線に沿うスピンヘッド40の断面図である。図7は、図6の「A」方向から見た下板340の底面図である。図6と図7に示すように、基板Wに対する処理工程進行時に、上板320は薬液に露出するので、上板320は薬液に対して腐食に強い材質を用いて製造される。また、高温の薬液を基板Wに供給して工程を行うとき、下板340の熱膨張によりチャックピン500の設定位置がずれないように、下板340は熱に強い材質を用いて製造される。即ち、本発明において上板320は下板340に比べて腐食に強い材質からなり、下板340は上板320に比べて熱変形の小さな材質からなる。例えば、上板320はポリ塩化ビニール材からなり、下板340はアルミニウム材からなる。上板320と下板340とは押さえ具360により結合される。上板320の底面にはネジ溝328が形成され、これと対応する下板340の領域には本体300の半径方向に沿ってスリット形状の溝342が形成される。
【0045】
押さえ具360は、下板340から上板320に向かう方向に下板340に形成したスリット形状の溝342を介して上板320に結合されて下板340を上板320に対して押さえる。押さえ具360は、中央に上下に貫通した貫通孔362cが形成された押さえ板362とネジ364とを有する。ネジ364は、押さえ板362の貫通孔362c、スリット形状の溝342、及び上板320のネジ溝328に下板340から上板320に向かう方向に挿入されて、上板320と下板340とを結合する。押さえ板362は、スリット形状の溝342に挿入される挿入部362bと挿入部362bから下方へ延伸されて下板340を押さえる頭部362aとを有する。押さえ板362の挿入部362bは、スリット形状の溝342の幅と概して類似した直径を有し、押さえ板362の頭部362aは、スリット形状の溝342の幅より大きい直径を有する。
【0046】
図8は、本実施の形態に係る上板320と下板340との結合構造を使用する際の利点を示す。図8にて実線は、上板320が熱膨張する前の状態を示し、点線は、上板320が熱膨張した後の状態を示す。図8に示すように、高温の薬液を使用して工程を行う際、上板320が熱変形して膨脹しても、押さえ具360がスリット形状の溝342に沿って下板340とは独立して移動する。従って、上板320の熱膨張変形により下板340が変形されることを防止できる。下板340には、後述するように、チャックピン500の位置を決定する多様な構成要素が結合されているので、下板340の変形防止は、チャックピン500が設定位置から外れるのを防止する。
【0047】
チャックピン移動ユニット600は、チャックピン500を支持位置と待機位置との間で移動させる。支持位置は、工程進行時にチャックピン500が基板Wの側部と接触する位置であり、待機位置は、基板Wがスピンヘッド40に置かれうるように基板Wより広い空間を提供する位置である。従って、支持位置は、待機位置に比べて本体300の中央により近い。
【0048】
図9は、チャックピン移動ユニット600の構造を示す底面図であり、図10は、図9の「B」の拡大図である。チャックピン移動ユニット600は、移動ロッド620、ガイド部材640、距離調節器660、接触保持部材680、及び直線移動器700を有する。
【0049】
チャックピン移動ユニット600は、チャックピン500と同じ数だけ備えられ、各々の移動ロッド620には、一つのチャックピン500が結合される。移動ロッド620は、本体300の半径方向と同じ方向に下板340内の空間に配置される。上述した上板は、エッジから下方向へ突出した側部(図5、6参照)を有し、側部には、外側から内側まで貫通孔329が形成され(図5参照)、貫通孔329は、上板320に提供されたピン孔322と通じる(図5参照)。移動ロッド620の外側の一端は、貫通孔329内に位置する。移動ロッド620の外側の一端には、ネジ溝628が形成され、チャックピン500と移動ロッド620は、ネジ590を、チャックピン500の締結部560に設けた上述のネジ孔を通じて移動ロッド620のネジ溝628に締結することにより互いに固定結合される。また、貫通孔329内には、移動ロッド620を取り囲み、かつ外部と下板340内の空間をシーリングするシーリング部材330が設置される。シーリング部材330としては、Oリングが使用される。移動ロッド620は、内側の一端にローリングボール622を有する。ローリングボール622は、移動ロッド620に対して回転可能に移動ロッド620に結合される。
【0050】
各々の移動ロッド620の移動経路上には、移動ロッド620が半径方向に直線移動するように案内するガイド部材640が備えられる。ガイド部材640としては、滑りベアリング(図示せず)を使用できる。滑りベアリングは、本体300に固定結合される。
【0051】
直線移動器700は、チャックピン500が待機位置と支持位置との間を移動できるように、移動ロッド620を本体300の半径方向に直線移動させる。直線移動器700は、カム720、カム駆動器730、カム復元器760、及びチャックピン復元器780を有する。カム720は、概して円形のリング形状を有する。カム720は、その外周面から外側方向に突出するように延びた突起740を有する。突起740は、移動ロッド620の数と同一数だけ備えされ、これらの各々と対応できる位置に形成される。突起740は、概して緩やかな傾斜を有した前面742と急傾斜を有した後面744を有する。カム駆動器730(図9参照)は、カム720を第1回転方向82に回転させ、カム復元器760は、カム720を第1回転方向82と反対方向である第2回転方向84に回転させる。カム駆動器730としては、カム720を一定角度回転させるロータリーシリンダーが使用される。ロータリーシリンダーは、回転軸(図示せず)を回転させ、回転軸は、カム720に固定結合される。突起740の一側には、カム720の回転角を制限するようにカムストッパー750が本体300に固設されて提供される。カム復元器760としては、復原力として弾性力を提供するスプリング762が使用される。カム720には、スプリング762の一端が固定結合される第1ラッチ764が提供され、下板340には、スプリング762の他端が固定結合される第2ラッチ766が提供される。第1ラッチ764は、第2ラッチ766に比べてこれに相応する突起740により隣接するように配置される。
【0052】
一例によれば、カム駆動器730は、ローリングボール622がカム720の外側面を、突起740の前面742の傾斜に沿って回転しながら上がるように、カム720を回転させる。カム720が第1回転方向82に回転することにより、チャックピン500は、支持位置から待機位置へ移動し、カム復元器760のスプリング762は引張られる。カム駆動器730からの駆動力が除去されると、カム720は、スプリング762の弾性力により第2回転方向84に回転され、ローリングボール622は、カム720の突起740の前面742から遠ざかる。本例によれば、チャックピン500が支持位置にあるとき、スプリング762が平衡状態にあるので、工程進行中にカム駆動器730にエラーが生じた場合にも、基板Wは、チャックピン500により安定的に支持される。
【0053】
これとは異なり、カムの復原力を磁力により提供してもよい。この場合、図12のように、カム720に第1磁石762aが配置され、本体300に第2磁石762bが提供され、第1磁石762aと第2磁石762bとは、カム720の駆動力が除去されるとき、チャックピン500が待機位置から支持位置へ移動できるように配置される。一例によれば、第1磁石762aは、これに相応する突起740と第2磁石762bとの間に配置され、第1磁石762aと第2磁石762bとは、異極が互いに対向するように配置される。
【0054】
他の例によれば、カム駆動器730は、チャックピン500が待機位置から支持位置へ移動するようにカム720を回転させ、カム復元器760は、チャックピン500が支持位置から待機位置へ移動するようにカム720を回転させる。
【0055】
さらに他の例によれば、待機位置から支持位置へのチャックピン500の移動及び支持位置から待機位置へのチャックピン500の移動は、カム駆動器730の回転及び逆回転により行われる。
【0056】
上述のように、カム720が第1回転方向82に回転するとき、ローリングボール622が突起740の前面742の傾斜に沿ってカム720から遠ざかる方向へ移動する。チャックピン復元器780は、カム720が第2回転方向84に回転されるとき、復原力によりチャックピン500が待機位置から支持位置へ移動するようにする。一例によれば、図10に示すように、チャックピン復元器780は、スプリング782のような弾性部材を有し、復原力としては、弾性力が使用される。スプリング782の一端は、移動ロッド620の一側から延びた第1ラッチ784に固定結合され、スプリング782の他端は、本体300に固設された第2ラッチ786に固定結合される。第2ラッチ786は、第1ラッチ784とカム720との間に配置される。従って、移動ロッド620がカム720の中心から遠ざかる方向へ移動する時にスプリング782は引張られる。そして、カム720が復原力により第2回転方向84に回転するとき、移動ロッド620は、スプリング782の弾性力によりカム720の中心に向かう方向へ移動する。これによって、チャックピン500は、待機位置から支持位置へ移動する。
【0057】
他の例によれば、図11のように、第2ラッチ786は、第1ラッチ784に比べて本体300の中心から遠く配置されうる。この場合、チャックピン500が支持位置から待機位置へ移動すれば、スプリング782は圧縮される。
【0058】
これとは異なり、チャックピン500を待機位置から支持位置へ移動させる復原力は、磁力により提供してもよい。この場合、移動ロッド620に第1磁石782aが配置され、本体300に第2磁石782bが提供され、第1磁石782aと第2磁石782bの極性は、カム駆動器730の駆動力が除去される時にチャックピン500が待機位置から支持位置へ移動できるように提供される。図13のように、第2磁石782bが第1磁石782aに比べて本体300の中心により近く位置する場合、第1磁石782aと第2磁石782bとは、異極が対向するように配置される。これとは異なり、第1磁石782aが第2磁石782bに比べて本体300の中心により近く位置する場合、第1磁石782aと第2磁石782bとは、同極が対向するように配置される。
【0059】
従来技術によれば、全ての移動ロッド620が単一の力により本体300の中心に向かう方向へ移動する場合、チャックピン500は、独立的に移動することができない。チャックピン500、移動ロッド620、及びカム720などの構成部材には加工誤差があるので、支持位置においても一部のチャックピン500は、基板Wの側部と非接触し、残りの一部のチャックピン500のみが基板Wの側部と接触する。そうすると、スピンヘッド40の回転時に基板Wと接触する一部のチャックピン500のみに荷重が集中して、チャックピン500が破損しやすい。
しかしながら、本発明によるチャックピン復元器780は、それぞれの移動ロッド620に設置されるので、各々の移動ロッド620は、他の移動ロッド620と関係なく復原力を受けて、本体300の中心に向かう方向へ移動される。従って、たとえチャックピン500、移動ロッド620、及びカム720などの構成部材に加工誤差があるとしても、各々のチャックピン500は、これに該当する復原力により基板Wの側部と接触する位置まで移動する。
【0060】
図14と図15は、カム720の回転方向、カム復元器760及びチャックピン復元器780の状態、そして移動ロッド620の移動方向間の関係を示す図である。図14に示すように、カム駆動器730によりカム720が第1回転方向82に回転されると、カム復元器760のスプリング762は引張られ、移動ロッド620は、支持位置から待機位置へ移動し、チャックピン復元器780のスプリング782は引張られる。以後、図15のように、カム駆動器730から動力が除去されると、カム復元器760の弾性力によりカム720が第2回転方向84に回転され、チャックピン復元器780の弾性力により移動ロッド620が待機位置から支持位置へ移動する。
【0061】
スピンヘッド40が高速で回転する場合、遠心力によりチャックピン500が本体300の外側に半径方向に沿って移動する。これによって、工程進行中にチャックピン500による基板Wの支持が不安定になる。
本発明による接触保持部材680は、スピンヘッド40が回転時にも、チャックピン500が支持位置にあって基板Wの側部と接触を維持し続けるようにする。接触保持部材680は、固定ピン680aと保持バー680bとからなる。固定ピン680aは、移動ロッド620から突出するように移動ロッド620に固設される。保持バー680bは、スピンヘッド40が回転する時に本体300の中心に向かう方向に固定ピン680aを押す。
【0062】
一例によれば、保持バー680bは、スピンヘッド40の回転時に発生する逆遠心力により固定ピン680aを押すように形状づけられる。即ち、図14に示すように、保持バー680bは、中央部682、押さえ部684、及び案内部686を有する。中央部682は、軸ピン681により本体300に結合され、本体300に対して回転可能である。
押さえ部684と案内部686とは、それぞれロッド形状を有し、押さえ部684は、中央部682から一方向に延び、案内部686は、押さえ部684と鈍角をなすように中央部682から延びる。
押さえ部684と案内部686とがもっと一般的な形状を有する場合は、案内部686の重心と押さえ部686の重心の各々を中央部682の回転軸心と結ぶ線がなす夾角が、鈍角であればよい。
スピンヘッド40が回転するとき、押さえ部684は、本体300の中心に向かう方向に固定ピン680aを押し、案内部686は、押さえ部684が固定ピン680aに向かう方向へ移動するように案内しなければならない。
【0063】
即ち、スピンヘッド40が回転する時に案内部686は、押さえ部684に比べて本体300の外側方向へ移動させようとする遠心力がより大きくなければならない。
例えば、案内部686は、押さえ部684に比べて重くするとよい。具体的には、上方から見るとき、案内部686は、押さえ部684に比べて広い幅を有するように形成する。又は、案内部686の自由端は、押さえ部684に比べて厚い部分を有するように形成すればよい。
【0064】
接触保持部材680は、押さえ部684が移動ロッド620に向かい、案内部686が移動ロッド620から遠ざかるように配置される。押さえ部684は、固定ピン680aを基準にカム720の反対側に配置される。案内部686は、本体300の半径方向から遠ざかるほど、移動ロッド620との間隔が遠ざかるように配置される。
【0065】
図16は、接触保持部材680が動作する過程を示す。スピンヘッド40が回転していない時には、押さえ部684には、力が印加されない。移動ロッド620がカム720の回転により本体300の中心から遠ざかる方向へ移動するとき、固定ピン680aは、押さえ部684を本体300の半径方向の外側に押し、それにつれて押さえ部684は、移動ロッド620の移動を妨げない位置まで回転される。このとき、案内部686が設定範囲以上回転されないように、案内部686を基準に移動ロッド620の反対側には、本体300に固定結合されるストッパー687が提供される。チャックピン500が支持位置にあって、スピンヘッド40が回転すると、案内部686は遠心力を受け、移動ロッド620に向かう方向に回転される。押さえ部684は、案内部686に固結されているので、案内部686とともに回転する。即ち、押さえ部684は、逆遠心力により固定ピン680aに向かう方向に回転され、固定ピン680aを本体300の中心に向かう方向に押す。これにより、スピンヘッド40が回転する間も、チャックピン500が継続的に基板Wの側部との接触を維持する。
【0066】
上述した例にて接触保持部材680は、スピンヘッド40の回転による逆遠心力により固定ピン680aを押すので、接触保持部材680の回転のための別途の駆動器が要らなく、装置構造が単純である。しかしながら、本実施の形態とは異なり、接触保持部材680に対して別途の駆動器を用意し、スピンヘッド40が回転する時に移動ロッド620を本体300の中心に向かう方向に押すように構成してもよい。
【0067】
前の工程にて基板Wに対して行われた処理の種類に応じて、基板Wの直径が変わる場合がある。例えば、前工程にて基板Wに熱処理が行われる場合、基板Wが膨脹して基板Wの直径が変化する。このような基板直径の変動に対して、距離調節器660は基板Wの支持位置を調節する。距離調節器660は、調節ブロック662と固定具664を有する。調節ブロック662は、上下方向にスリット形状の貫通孔が形成され、その長手方向が移動ロッド620の移動方向と並列に配置される。固定具664は、調節ブロック662を本体300に固定させる。固定具664は、頭部664aとこれから延びる挿入部664bからなり(図示せず)、頭部664aは貫通孔の幅より広い断面積を有し、挿入部664bは貫通孔を通過した後、本体300に形成されたネジ溝(図示せず)と結合される。挿入部664bが本体300に挿入されることによって、頭部664aは、調節ブロック662を本体300に対して押し、これにより調節ブロック662は、本体300に固定される。固定具664は本例では2個ある。一方、移動ロッド620には、ストッパー666が提供される。ストッパー666は、調節ブロック662がストッパー666とカム720との間に位置するように移動ロッド620に備えられる。ストッパー666は、チャックピン復元器780の復原力により移動ロッド620が本体300の中心に向かう方向へ移動するとき、調節ブロック662の一端と接触して、移動ロッド620の移動距離を制限する。
【0068】
チャックピン500の支持位置を変更しようとする場合、まず作業者は、固定具664を解き、頭部664aが調節ブロック662を押さえる力を除去する。次に、作業者は、調節ブロック662を移動させる。調節ブロック662が本体300の半径方向に外側に向かって移動すると、チャックピン500の支持位置が本体300の中心から遠ざかる方向へ変更される。調節ブロック662が本体300の半径方向の内側へ移動されると、チャックピン500の支持位置が本体300の中心に近づく方向に変更される。この後、作業者は、再度固定具664を締めて、調節ブロック662を本体300に固定する。図17は、調節ブロック662の位置が変更される時にチャックピン500の支持位置が変更された状態を示す。実線は、調節ブロック662の位置が変更される前の状態であり、点線は、調節ブロック662の位置が変更された後の状態である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の基板処理装置を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の容器を示す断面図である。
【図3】図2の容器内部を示す、縦方向に切断された容器の斜視図である。
【図4】スピンヘッドの平面図である。
【図5】図4のI−I線に沿うスピンヘッドの断面図である。
【図6】図4のII−II線に沿うスピンヘッドの断面図である。
【図7】図6の「A」から見た下板を示す図である。
【図8】上板が膨脹する際の上板と下板との間の関係を示す図である。
【図9】チャックピン移動ユニットを示すために、下から見た下板の内部構造である。
【図10】図9の「B」部分の拡大図である。
【図11】図10のチャックピン移動ユニットの変形された例を示す図である。
【図12】図9のカム復元器の他の例を示す図である。
【図13】図9のチャックピン復元器の他の例を示す図である。
【図14】チャックピンが待機位置と支持位置との間に移動する時にチャックピン移動ユニットの構成に作用する力と構成の移動方向を示す図である。
【図15】チャックピンが待機位置と支持位置との間に移動する時にチャックピン移動ユニットの構成に作用する力と構成の移動方向を示す図である。
【図16】接触保持部材が逆遠心力によりチャックピンが基板と接触されるようにする過程を示す図である。
【図17】調節ブロックの位置変更によりチャックピンの支持位置が変更される過程を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 基板処理装置
10 流体供給ユニット
20 容器
30 昇降ユニット
31 ブラケット
34 移動軸
36 駆動器
40 スピンヘッド
42 回転軸
44 駆動器
100a 上部ノズル部材
100b 下部ノズル部材
120a 薬液供給ノズル
120b 薬液吐出口
121、141 噴射器
122、142 支持バー
123 ブラケット
124 ガイドレール
125 バー移動器
140a リンス液供給ノズル
140b リンス液吐出口
144 駆動器
160a 乾燥ガス供給ノズル
160b 乾燥ガス吐出口
180b 噴射ヘッド
182 頭部
184 挿入部
220 内部回収筒
222、242、262 外壁
222a、228a、242a、262a 傾斜壁
222b、228b 垂直壁
223 開口
224、244、264 底壁
225、245、265 排出管
226、246 内壁
227、247、267 流入口
228 案内壁
229 空間
240 中間回収筒
243 排気口
248 突出壁
260 外部回収筒
263 排気管
300 本体
320 上板
322 ピン孔
324、328 ネジ溝
329 貫通孔
330 シーリング部材
340 下板
342 溝
360 押さえ具
362 押さえ板
362a 頭部
362b 挿入部
362c 貫通孔
364 ネジ
400 支持ピン
420 上部
440 下部
460 ネジ部
480 ラッチ部
500 チャックピン
520 支持部
522 凹部
540 中央部
560 締結部
580 ラッチ部
600 チャックピン移動ユニット
620 移動ロッド
622 ローリングボール
628 ネジ溝
640 ガイド部材
660 距離調節器
662 調節ブロック
664 固定具
664a 頭部
664b 挿入部
666 ストッパー
680 接触保持部材
680a 固定ピン
680b 保持バ−
681 軸ピン
682 中央部
684 押さえ部
686 案内部
700 直線移動器
720 カム
730 カム駆動器
740 突起
742 前面
744 後面
760 カム復元器
762、782 スプリング
764、784 第1ラッチ
766、786 第2ラッチ
762a、782a 第1磁石
762b、782b 第2磁石
780 チャックピン復元器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が置かれるスピンヘッドであって、
本体と、
前記本体から上方に突出するように前記本体に設置されるチャックピンと、
前記本体上に置かれた基板の側部を支持する支持位置及び前記支持位置に比べて前記本体の中心からより遠く離れた待機位置の間で、前記チャックピンを移動させるチャックピン移動ユニットと、を備え、
前記チャックピン移動ユニットは、
前記チャックピンが前記待機位置にある場合には前記本体上に基板を着脱可能に置く余地を与えるように、
前記チャックピンと固定結合される移動ロッドと、
回転可能であり、かつ前記支持位置に位置した前記チャックピンが前記待機位置に移動できるように外側面に突起を有するカムと、
前記チャックピン各々が互いに独立して前記待機位置から前記支持位置に向かう方向へ移動するように、前記移動ロッド各々に独立して復元力を印加するチャックピン復元器と、
前記チャックピンが前記支持位置にある場合に、前記本体の中心に向かう方向に前記移動ロッドを押し、前記チャックピンが前記支持位置から前記待機位置へ移動する場合に、前記移動ロッドの移動を妨げない位置に移動可能な接触保持部材を備えることを特徴とするスピンヘッド。
【請求項2】
前記チャックピン移動ユニットは、
前記チャックピンが前記支持位置にある場合に、前記本体の中心に向かう方向に前記移動ロッドを押し、前記チャックピンが前記支持位置から前記待機位置へ移動する場合に、前記移動ロッドの移動を妨げない位置に移動可能な接触保持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスピンヘッド。
【請求項3】
前記接触保持部材は、前記スピンヘッドの回転時に逆遠心力により前記移動ロッドを押す形状を有することを特徴とする請求項2に記載のスピンヘッド。
【請求項4】
前記接触保持部材は、
前記移動ロッドから突出するように、前記移動ロッドに固設される固定ピンと、
前記本体に対して回転可能なように、前記本体に結合される中央部、前記移動ロッドに向かう方向に前記中央部から延び、前記固定ピンを押す押さえ部、及び前記本体の外側に向かって前記移動ロッドから遠ざかる方向に前記中央部から延びる案内部を有する保持バーを備えることを特徴とする請求項2に記載のスピンヘッド。
【請求項5】
前記案内部は、前記押さえ部に比べて重いことを特徴とする請求項4に記載のスピンヘッド。
【請求項6】
前記案内部の重心と前記押さえ部の重心を各々、前記中央部の回転軸心と結ぶ線がなす夾角は、鈍角であることを特徴とする請求項5に記載のスピンヘッド。
【請求項7】
前記本体には、前記保持バーが前記固定ピンを押す方向と反対方向に前記案内部の回転範囲を制限するストッパーが設置されたことを特徴とする請求項4に記載のスピンヘッド。
【請求項8】
前記チャックピン復元器は、
前記復元力が磁力によりなされるように前記移動ロッドに固定結合される第1磁石と前記本体に固定結合される第2磁石とを有する磁力部材を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のスピンヘッド。
【請求項9】
基板が置かれるスピンヘッドであって、
回転可能な本体と、
前記本体から上方に突出するように前記本体に設置されるチャックピンと、
前記チャックピンを移動させるチャックピン移動ユニットと、を備え、
前記チャックピン移動ユニットは、
前記チャックピンと固定結合される移動ロッドと、
前記移動ロッドを前記本体の半径方向に沿って直線移動させる直線移動器と、
前記本体が回転される間に、前記本体の中心に向かう方向に前記移動ロッドを押す接触保持部材と、を備えることを特徴とするスピンヘッド。
【請求項10】
前記接触保持部材は、前記本体の回転による逆遠心力により前記移動ロッドを押すように形状づけられたことを特徴とする請求項9に記載のスピンヘッド。
【請求項11】
前記接触保持部材は、
前記移動ロッド上に設置される固定ピンと、
前記本体に対して回転可能なように前記本体に結合される中央部、前記移動ロッドに向かう方向に前記中央部から延び、前記固定ピンを押す押さえ部、及び前記本体の外側に向かって前記移動ロッドから遠ざかる方向に前記中央部から延びる案内部を有する保持バーと、を備えることを特徴とする請求項9に記載のスピンヘッド。
【請求項12】
前記案内部は、前記押さえ部に比べて重いことを特徴とする請求項11に記載のスピンヘッド。
【請求項13】
前記案内部の重心と前記押さえ部の重心の各々を前記中央部の回転軸心と結ぶ線がなす夾角は、鈍角であることを特徴とする請求項12に記載のスピンヘッド。
【請求項14】
前記チャックピン移動ユニットは、
回転により前記チャックピンが前記本体の中心から遠ざかる方向へ移動できるように外側面に突起を有するカムと、
前記チャックピン各々が互いに独立して前記本体の中心に向かう方向へ移動されるように、前記移動ロッド各々に独立して復元力を印加するチャックピン復元器と、を備えることを特徴とする請求項11に記載のスピンヘッド。
【請求項15】
前記チャックピン復元器は、
前記復元力が弾性によりなされるように、前記移動ロッドに固定結合される一端と前記本体に固定結合される他端とを有する弾性部材を備えることを特徴とする請求項14に記載のスピンヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−33938(P2012−33938A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170953(P2011−170953)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2008−257948(P2008−257948)の分割
【原出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(598123150)セメス株式会社 (76)
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#278,Mosi−ri,Jiksan−eup,Seobuk−gu,Cheonan−si,Chungcheongnam−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】