説明

タイヤ表面の評価方法

本発明は、タイヤ(P)の表面の外観を評価する装置であって、リニアカラーカメラ(1)を有し、カメラ(1)が、タイヤ(P)の表面により反射されてカメラ(1)に入った光ビーム(F)を所与の波長の少なくとも2つの基本色(R,G,B)に分離し、基本色の各々についてグレーレベルの基本的画像(41,42,43)を得ることができる等しい数のセンサ(11,12,13)に光ビームを差し向けるようにする手段(14,15,16)と、基本色と同数の照明手段(21,22,23)とを有し、照明手段は、互いに異なる角度で評価されるべき表面を照明するよう差し向けられ、照明手段(21,22,23)の各々は、その他の照明手段の光とは異なる光(R,G,B)を発生させ、この光の波長は、カメラにより選択された基本色のうちの1つの波長に実質的に一致していることを特徴とする装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析及び処理後に所与の物体の画像、通常はディジタル画像を検査及び制御の目的で用いる目的のためにこの画像を捕捉しようとする物体の目視検査の分野に関する。これら画像は、基準面に関する情報、例えば色又はグレーレベル、テキスチャ、輝度又は凹凸を与えるよう設計されている。
【0002】
本発明は、横揺れ中の車両に取り付けられるようになったタイヤの視覚画像の収集分野に関する。これらタイヤは、通常、タイヤの製造に利用されるエラストマー混合物を補強するために炭素を用いているので、黒色を呈している。
【背景技術】
【0003】
ところで、タイヤの表面での光の反射に敏感なセンサにより収集された画像を解釈することは、特に厄介である。タイヤの凹凸、油で汚れた状態のマーク、種々のマーク、黒色の明度の差又は局部変退色により生じた光の効果を、カメラにより供給される生の画像が識別しにくい状態で分析された場合、容易に分かりにくくすることができる。
【0004】
したがって、この画像を基準画像と比較することができるディジタル処理手段にできるだけ適切なデータを供給する目的で種々の画像収集方法が開発された。その目的は、分析されるべきタイヤのコンフォーミティを判定し又はタイヤの表面上に存在するこの画像中の異常を発見することにある。
【0005】
欧州特許第1120640号明細書は、凹凸に関するデータの収集及び外観に関するデータ、即ち、例えば色、グレーレベル又は輝度の様なデータの収集にそれぞれ専用の2つの別々のカメラを用いることを提案している。タイヤの表面は、各々がカメラに割り当てられた光の2つの源によって照明される。光源相互間の干渉を防止するため、互いに異なる光の波長で動作させること又はカメラとこれらの光源を円周方向にオフセットさせることが提案されている。
【0006】
比較的嵩張った手段を必要とするこの解決策には、2つの収集手段から得られる画像を重ね合わせるために相当大きなコンピュータ処理手段を稼働させなければならないという欠点もある。
【0007】
欧州特許第1477765号明細書は、簡単な収集を実施してそれと同時に検査されるべき表面の凹凸及び輝度を判定するためにスロット照明と関連したマトリックス形式の単一のカメラを含む検査手段を提案することによりこの問題を解決しようとしている。輝度の判定は、タイヤの表面上の着色の差、例えば油で汚れた状態のマークが反射画像の波長の分散度を増減させるという作用効果を有していることの観察に基づいている。
【0008】
それにもかかわらず、この収集方法には、輝度の分析にのみ限定されるということ並びに被写界深度がタイヤの曲率に適合するのが困難でありしかも解像度がリニアカメラの解像度よりも劣るマトリックスカメラを用いることを提案するという欠点がある。さらに、単一の光源には限定されていないので、大きな凹凸のゾーン、例えばトレッドパターンの分析は、不正確さの原因である影のゾーンを放置し、観察角の選択の幅が減少する。
【0009】
この問題を解決するため、国際公開第2005/050131号パンフレットは、2つの代替的な解決策を開示している。第1の代替解決策によれば、分析されるべき表面をこの表面に実質的に垂直に差し向けられたスロット光により照明し、2つのカメラを入射光の方向に対して逆向きの角度を形成する2つの方向に差し向けることが提案されている。第2の代替解決策によれば、反射光を2つの互いに逆の方向に配置された2つの鏡により捕捉することが提案されている。これら2つの鏡から来る光は、次に、単一のカメラの方向に設けられた1組のプリズムにより再び結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1120640号明細書
【特許文献2】欧州特許第1477765号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/050131号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これら解決策では、影のゾーンの全てをなくすことができず、画像が2つのカメラに源を発している場合にはディジタル的に又は鏡の組の微調整により2つの画像を再び結合する必要がある。さらに、上述したように、マトリックスカメラの解像度は、低いままであり、光学チェーンの複雑さと関連した動的性能の低下と組み合わされた状態になる。
【0012】
本発明の目的は、表面の凹凸が不規則な場合に影のゾーンと関連した作用効果を回避しながらタイヤの表面の画像を収集するが、画像処理手段がマーク、色変化及び検査されるべき表面上の凹凸の作用効果と関連した輝度の作用効果を識別することができるようにするのに十分な情報を提供するのを可能にする解決策を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これを行うため、本発明は、カラーディジタルカメラの動作原理を利用している。この種のカメラは、画像を収集しようとする物体から生じた反射光を或る特定の数の基本色に分離することができる手段を有している。一般的にいって、物体は、自然光又は白色光で照明される。
【0014】
これらフィルタは、組をなすプリズム又は三原色で着色されたセルからなり、ベイヤー(Bayer)フィルタという名称で良く知られているフィルタによって形成されるのが良い。これらの機能は、光を基本色又は原色と呼ばれている或る特定の数の色に分離することにある。一般的にいって、これらフィルタは、光を赤色、緑色及び青色の3つの基本色又は原色に分離する。しかしながら、一例として、4色以上の基本色を有するフィルタ、例えば光を赤色、緑色、青色及びシアンから成る4つの基本色に分離することができるフィルタを製作することも可能である。
【0015】
検査されるべき物体から得られた反射画像は、従って、基本色又は原色と同数の単色画像に分解される。次に、これら画像の各々は、感光性フォトサイト(photosite)、例えばCCD又はCMOSセンサの組立体により形成された特定のセンサの方へ差し向けられ、これら光電性フォトサイトは、これらが受け取った量の光を電流に変換することができる。次に、これにより、基本色と同数のグレーレベル画像が与えられる。センサの最大解像度は、最終の画像を形成する画素の数が対応しているフォトサイトの数の関数である。
【0016】
最終のカラー画像の復元は、公知の加法混色原理に従って基本色又は原色の各々の単色画像を同時に組み合わせることによって達成され、これら画像の各々は、例えば対応の基本色のフィルタにより画像をグレーレベルで投影することにより形成できる。
【0017】
本発明の目的は、評価されるべき物体に関する特定の情報を得るためにこの動作モードを利用することから成る。
【0018】
タイヤの表面の外観を評価する本発明の装置は、
‐カラーリニアカメラを有し、カメラが、タイヤの表面により反射されてカメラに入った光ビームを所与の波長の少なくとも2つの基本色に分離し、基本色の各々についてグレーレベルの基本的画像を得ることができる同数のセンサに光ビームを差し向けるようにする手段を有し、
‐基本色と同数の照明手段を有し、照明手段は、所与の角度で評価されるべき表面を照明するよう差し向けられる。
本発明の装置は、照明手段の各々が、その他の照明手段の着色光とは異なる着色光を放出し、この着色光の波長が、色の光ビームを受け入れるよう設計されたカメラのセンサの最大感度に実質的に対応していることを特徴とする。
【0019】
理論的にはマトリックスカメラを用いることが可能であるが、リニアカメラの選択は、形状が通常凸状であるタイヤの表面の評価のためには本発明の装置の使用と関連して好ましい。具体的に説明すると、リニアカメラは、一定の観察角で且つ一定の照明の入射角での画像の収集を実施することが可能である。また、この種のカメラは、被写界深度の調節の良好な正確さ及び良好な解像度の実現を可能にする。
【0020】
このように、評価されるべき物体により反射された光のグレーレベルの画像の各々について光源の出所を突き止めることが可能である。最適調整との関連において、評価されるべき表面により反射された所与の基本色から生じる光は、カメラの入力のところに配置されると共にこの光の波長に対応した唯一のセンサの方に差し向けられた1組のプリズムによって濾波される。さらに、他の光源から来た光は、上述の1組のプリズムによって濾波され、問題のセンサには到達しない。
【0021】
照明手段の各々は、評価されるべき物体を所与の入射角で照明するよう配置されているので、この結果、少なくとも2つの互いに異なる画像を同時に得ることができ、かかる画像の分析により、タイヤの表面の凹凸及び輝度を求めることができる。これは、画像を重ね合わせるのを必要としない。というのは、これら画像は、同一の光線の同一のカメラによる収集に源を発しているからである。さらに、同一の結果を得るのに数個のカメラの組を用いる必要はもはやない。
【0022】
さらに、タイヤの画像を1回の回転で生じさせることができ、このことは、タイヤの検査に必要な処理時間に関して別途利点をもたらすことが観察されよう。
【0023】
評価装置と関連した評価方法により、得られた画像の画素の各々の座標を公知の仕方で計算し、分析されるべき表面の凹凸及び輝度レベルに関するこれら画素値と関連させることが可能である。
【0024】
本発明の第1の用途は、光ビームが2つの色に分離される数値を用いることにある。互いに異なる角度で取られた2つの画像は、影のゾーン及び互いに異なる照明ゾーンを示し、それにより、表面の凹凸の性状及び平均表面レベルに対するその向きを推定することができる。
【0025】
例えば、2つの画像について測定された輝度の平均値を取ることにより輝度に関する情報を得ることができる。
【0026】
しかしながら、本発明の最も有意義な高い用途は、通常三原色、即ち、赤色、緑色及び青色に一致した3つの基本色に従って反射光を分離することができ、これら原色の各々に割り当てられた3つの組をなすセンサを有するカメラを用いることにある。
【0027】
したがって、ユーザは、評価されるべきタイヤの表面を照明するためにそれぞれ赤色、緑色及び青色の3つの色照明手段を有することとなる。
【0028】
本発明のこの特定の使用に応じて、この場合、照明手段のうちの1つが評価されるべき表面をこの表面に実質的に垂直な方向に照明して色がこの照明に対応したセンサで得られる画像が表面の凹凸の背景を示すようにする構成が実現される。他の2つの照明手段は、凹凸を示すと共に検査されるべき表面に垂直な方向とゼロではない角度をなすように配置される。
【0029】
この場合、画像の比較分析により、油で汚れた状態のマークと印又は汚れと関連したマークを識別することにより表面上に観察されるマークの性状を高精度で判定することができ、これについては、以下に詳細に説明する。
【0030】
以下の説明は、本発明の好ましい実施形態に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の装置の概略全体図である。
【図2】RGBカメラのセンサの感度曲線を示す図である。
【図3】凹凸及びマークを分析するモードを示す図である。
【図4】凹凸及びマークを分析するモードを示す図である。
【図5】凹凸及びマークを分析するモードを示す図である。
【図6】一照明角度でのタイヤのトレッドの写真図である。
【図7】別の照明角度でのタイヤのトレッドの写真図である。
【図8】別の照明角度でのタイヤのトレッドの写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示された装置は、入力レンズ10を備えたカメラ1を示しており、検査されるべき物体、この場合、タイヤPのトレッドの表面から来た反射光Fは、入力レンズ10を通過する。タイヤPは、電動式支承ハブ32により軸線D回りに回転するホイール31のリム30に取り付けられている。
【0033】
タイヤの表面は、3つの光源21,22,23によって照明される。第1の照明手段21によって放出された光は、光が評価されるべき表面にこの表面に実質的に垂直な方向で到達するよう配置された半反射性ストリップ20に送られる。
【0034】
第2の照明手段及び第3の照明手段は、表面をこのタイヤの表面に垂直な方向に対してゼロではない入射角α,βをなして照明するよう配置されている。実際には、表面の凹凸を示すことができるグレージング入射光を得ることが有意義であり、かくして、これら角度α,βは、有利には、30°を超える。
【0035】
カメラ1は、受け入れ面に実質的に垂直な方向で反射光Fを受け入れるよう配置されている。反射光Fは、カメラを通過して反射プリズム14,15,16を照明し、これら反射プリズムは、この光を分離すると共に反射してこの光をカメラ内に配置された光度センサ11,12,13の方に差し向け、これらセンサは、正確な波長に従って光を濾波することができる。
【0036】
反射プリズム14により、緑色の光Gは、センサ11が緑色の反射光にのみ相当する表面のグレーレベルの画像を形成するよう通過する。第1の照明手段21によって放出された光の色が図2に示されているようにこのセンサ11の最大感度に相当するようにする構成が実現されており、この場合、緑色Gに関するカメラの最大感度Aは、一例として、カメラの応答が他の2つの色、即ち赤色及び緑色について最小限でもあるほぼ550nmの波長のところに位置している。
【0037】
したがって、光センサ11により形成される画像は、実質的に、表面と直角をなす光により照明される表面の画像に一致する。図6に一例として示されているこの画像41により、トレッドパターンの底部を正確に見ることができる。
【0038】
反射プリズム15により、赤色の光Rは、センサ12が赤色の反射光Rにのみ相当する表面のグレーレベルの画像を形成するよう通過することができる。第2の照明手段22により放出された光の色は、赤色に対するカメラの最大感度、即ち、約690nmに相当し、この最大感度は、一例として、緑色及び青色に対するカメラの最小感度に相当している。
【0039】
したがって、センサ12により形成されるグレーレベルの画像は、表面に垂直な方向と角度αをなす光によって照明される表面の画像に一致する。図7に一例として示されているこの画像42は、表面が第2の照明手段22によって照明されたときに照明ゾーン及び影のゾーンを明らかにすることによりタイヤのトレッドパターンの凹凸を強調する。
【0040】
最後に、反射プリズム16により、青色の光Bは、センサ13が青色の反射光Bにのみ相当するグレーレベルの画像を形成するよう通過することができる。第3の照明手段23により放出された光の色は、青色に対するカメラの最大感度、即ち、約450nmに相当し、この最大感度は、一例として、緑色及び赤色に対するカメラの最小感度に相当している。
【0041】
図8に一例として示されている後者の画像43は、影のゾーン及び第3の照明手段23によって照明されたゾーンを強調している。
【0042】
近赤外線に対応した波長と関連するスプリアス効果を制限するために、750nmを超える波長を持つ光線の入射を制限することができるフィルタをカメラのレンズ上に配置するのが有利である。さらに、スプリアス波長の光の入射を阻止するよう他の通過帯域フィルタを追加するのが良い。また、より一般的にいえば、波長が選択された照明手段によって用いられる波長とは異なる光線の通過を遮るようにすることが必要である。
【0043】
この場合、これにより、グレーレベルの3つの画像が与えられ、これらの分析により、検査されるべき表面の凹凸の特性及び輝度を求めることができる。これら3つの画像を従来型カラー画像を表示するためのスクリーン上で再結合することによっては、タイヤの表面のカラー画像が与えられないということが観察される。具体的に説明すると、光源は、白色光ではなく、この光の成分の各々は、それ自体の向きを持つ源から生じる。
【0044】
本発明の評価装置は、画像を形成する画素の各々の座標を計算することができる分析手段を更に有する。この場合も又、先に得られた3つの画像が互いに一致するようにするための調整を行う必要がないことが観察されよう。というのは、これら画像は、検査されるべき表面によって反射された同一の光線から得られ、これらは、同一のカメラによって収集されるからである。
【0045】
第1の分析では、例えば所与の点のところで得られた輝度の3つの値の平均値を取ることによりグレーレベルの種々の画像をマージする。その結果得られるグレーレベルの画像は、表面の曲率と関連したスプリアス輝度値を減少させるという利点を有する。この簡単な操作により、ノイズレベルの低い黒色及び白色画像を得ることができる。
【0046】
また、簡単な統計学的機能の使用によってこれら画像をマージすることにより、タイヤの曲率と関連した衝撃をなくすと共により均質の収集結果を得ることができる。
【0047】
第2の分析により、影のゾーン及び所与の座標を持つ点のところの光の解釈により凹凸要素を識別することができる。それ自体知られている原理において投影された影の長さと入射光の角度を互いに関連させる「シャドーカービング(shadow carving)」型のアルゴリズムの使用により、平均的な表面に対する凹凸要素の向き及びサイズの推定結果を得ることができる。
【0048】
図3を参照して、この第2の形式の分析方法を説明することができる。照明手段21により反射された光は、弱い。センサ11から得られる凹凸要素pの画像21pは、暗い画像である。センサ12から得られるこの同一凹凸要素pの画像22pは、照明手段22によって照明された凹凸の一方の側部では明るく、他方の側部では暗い。最後に、センサ13から得られる画像23pは、照明手段23によって照明された凹凸の一方の側では明るく、他方の側では暗い。このことから、三角測量の計算により凹凸の高さ及び形状を推定することが容易である。
【0049】
本装置により得られた画像の第3の比較分析によっても、評価されるべきタイヤの表面上に存在するマークの性状を識別することができる。
【0050】
具体的に説明すると、油の性状のマークにより反射された光は、光源の入射角に応じてかなりのばらつきがあり、かかる光を鏡の反射効果にたとえることができるということが知られている。この値は、入射角が観察角に実質的に等しい場合通常は最大であり、これら角度相互間の差が増大するにつれて次第に減少する。この場合、光の反射は、ほぼ全反射であり、拡散は非常に制限される。また、カメラの視軸を表面に垂直な方向に配置することにより、油で汚れた状態のマークにより反射された光の強度は、この同一の垂直方向において最大であろう。
【0051】
図4はこの現象を示している。したがって、センサ11から得られる、マークの表面に垂直な方向に照明された油の性状のマークγの画像21γは、明るいであろう。他方、センサ12,13から得られるこの同一マークγの画像22γ,23γは、暗いであろう。
【0052】
この現象により、油性マークγをマークμ、例えばチョークで生じたマーク又はタイヤを識別するよう設計されたカラーマーク付け手段から識別することが可能である。具体的に説明すると、このマークμの画像は、照明手段の入射角の変化に非常に敏感であるというわけではない。したがって、このマークμは、図5に示されているように3つのセンサ11,12,13により同一レベルの輝度21μ,22μ,23μで見えることになろう。この場合、油で汚れた状態のマークとは異なり、光の散乱度は、反射度よりも非常に高い。
【0053】
上述の説明による本発明の例示の実施形態は、光を三原色、即ち赤色、緑色及び青色に分離する手段を備えた標準型カメラの使用に関している。
【0054】
しかしながら、多くの照明手段から得られる画像の数を多くするよう多数の基本色を備えたカメラを用いることが有意義な場合がある。RGBE形式のカメラを用いることにより、3つのグレージング入射光源をこれらが120°の角度をなす方向に設けて凹凸要素がより円周方向に見えるようにすることが可能である。
【0055】
したがって、本発明を裏付けるために用いられた例は、本発明の用途を限定するものではなく、本発明の原理は、多数の照明手段及び幾何学的形状及び外観を評価しようとし、粗い表面の凹凸及び凹凸と関連した影のゾーンを示すのに非常に好適であるわけではない黒色に近い一様な色を備えた種々の物体に一般化できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(P)の表面の外観を評価する装置であって、カラーリニアカメラ(1)を有し、前記カメラ(1)が、前記タイヤ(P)の前記表面により反射されて前記カメラ(1)に入った光ビーム(F)を所与の波長の少なくとも2つの基本色(R,G,B)に分離し、前記基本色の各々についてグレーレベルの基本的画像(41,42,43)を得ることができる同数のセンサ(11,12,13)に前記光ビームを差し向けるようにする手段(14,15,16)を有する、装置において、前記装置は、前記基本色と同数の照明手段(21,22,23)を有し、前記照明手段は、所与の角度で評価されるべき前記表面を照明するよう差し向けられ、前記照明手段(21,22,23)の各々は、その他の照明手段の着色光とは異なる着色光(R,G,B)を放出し、該着色光の波長は、前記色の光ビームを受け入れるよう設計された前記カメラの前記センサ(11,12,13)の最大感度に実質的に対応している、装置。
【請求項2】
前記カメラ(1)及び前記照明手段(21,22,23)に対する前記タイヤの前記表面の相対運動を設定することができる手段(30,31,32)を更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記画像を形成する画素の各々の座標を計算し、前記画素の各々を分析されるべき前記表面の凹凸及び光強度レベルに関する一情報に関連づけることができる手段を更に有する、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
第1の照明手段(21)は、評価されるべき前記表面に実質的に垂直な方向に差し向けられている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項5】
前記カメラ(1)は、3つの基本色(R,G,B)を互いに分離することができる、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記3つの基本色は、赤色、緑色及び青色である、請求項5記載の装置。
【請求項7】
第2の照明手段(22)及び第3の照明手段(23)の光ビームは、前記方向とゼロではない角度(α,β)をなす方向に差し向けられている、請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
前記第2及び前記第3の照明手段の光ビームと垂直方向とのなす角度(α)は、30°を超える、請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記カメラ(1)のレンズは、波長が前記選択された照明手段により用いられる波長とは異なる光ビームの通過を遮断することができる入力フィルタを有する、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記カメラ(1)のレンズは、波長が約750nmを超える光ビームの通過を遮断することができる入力フィルタを有する、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記請求項4〜9のうちいずれか一に記載の装置が用いられたタイヤの表面を評価する方法において、前記照明手段(21,22,23)の各々の照明角度の各々から見える前記表面の画像に対応した前記センサ(11,12,13)の各々から生じたグレーレベルの画像(41,42,43)の各々を分析することにより評価されるべき前記表面の画像を判定する、評価方法。
【請求項12】
凹凸情報を確認するために、波長が前記照明手段(22,23)に対応した前記センサ(12,13)により形成されたグレーレベルの前記画像(42,43)を用い、前記照明手段(22,23)の光ビームは、分析されるべき前記表面に垂直な方向とゼロではない角度(α,β)をなしている、請求項10記載の評価方法。
【請求項13】
所与の座標を持つ前記画像の一点のところで同一の座標を持つ前記一点のところでの前記画像の各々について得られた輝度値の平均値を出すことにより輝度値を得る、請求項10記載の評価方法。
【請求項14】
油で汚れた状態のマーク(γ)が前記第1の照明手段(21)から生じた光に敏感な前記センサ(11)から得られる基本画像に関してのみ見える場合、前記油で汚れた状態のマーク(γ)を識別する、請求項10記載の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−511932(P2011−511932A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538680(P2010−538680)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067646
【国際公開番号】WO2009/077534
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】