説明

ナイアシン受容体アゴニスト、このような化合物を含有する組成物、および治療方法

式(I)の化合物、ならびに医薬的に許容される塩および溶媒和物が開示される。これらの化合物は、脂質異常症の治療、特に血清LDL、VLDL、およびトリグリセリドの低下、ならびにHDL値の上昇に有用である。医薬組成物および治療方法も含まれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素化合物、組成物、および脂質異常症に関連する哺乳動物における治療または予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質異常症は、血清脂質が異常な状態である。高いコレステロールおよび低レベルの高密度リポタンパク質(HDL)は、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患の正常より高いリスクに関連している。血清コレステロールに影響を及ぼすことが知られている要因には、遺伝的素因、食事、体重、身体的活動の度合い、年齢、および性別が含まれる。正常量のコレステロールは、ステロイド、細胞膜、および胆汁酸などの必須有機分子に不可欠な構成要素であるが、過剰のコレステロールは、心血管疾患の一因となることが知られている。たとえば、コレステロールは、冠動脈で蓄積し、アテローム性動脈硬化症と呼ばれる心血管疾患をもたらすプラークの主成分である。
【0003】
コレステロールを低下させるための従来の療法には、スタチン(身体によるコレステロール産生を低減する)などの投薬が含まれる。より最近では、血中コレステロールの低下における栄養および栄養補助食品の価値が大きな注目を集めている。たとえば、可溶性繊維、ビタミンE、ダイズ、ニンニク、ω3脂肪酸、およびナイアシンなどの食事性化合物はいずれも大きな注目を集め、研究資金を受けている。
【0004】
ナイアシンまたはニコチン酸(ピリジン−3−カルボン酸)は、臨床試験で冠動脈イベントを減少させる薬物である。ナイアシンは血清中の高密度リポタンパク質(HDL)値を上昇させる効果のあることが一般に知られている。重要なことに、ナイアシンはまた他の脂質プロファイルに対しても有益な効果を有する。具体的には、ナイアシンは低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、およびトリグリセリド(TG)を低下させる。しかしながら、ニコチン酸の臨床での使用は、フラッシング(flushing)と呼ばれることもある皮膚血管拡張を含むいくつかの有害な副作用のため限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血清コレステロール、血清トリグリセリドなどを制御するための従来の手段および代替手段に注目が集まっているにもかかわらず、かなりの割合の人々が約200mg/dlを超える総コレステロール値を有し、したがって脂質異常症治療の候補である。したがって、総コレステロール、血清トリグリセリドなどを低下させ、HDLを上昇させる化合物、組成物、および代替方法が、当分野において依然として求められている。
【0006】
本発明は、血清脂質レベルの変更に効果を有することが見出されている化合物に関する。
【0007】
したがって本発明は、記載の方法に従って、総コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、ならびにHDLの上昇をもたらす組成物を提供する。
【0008】
したがって本発明の一目的は、ナイアシン治療に伴う副作用を最小限に抑えながら、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、メタボリックシンドローム、および関連する状態を治療するために用いることのできるニコチン酸受容体アゴニストを提供することである。
【0009】
さらに他の目的は、経口で用いる医薬組成物を提供することである。
【0010】
これらの目的、および他の目的は、本明細書に記載される説明から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
式Iの化合物、
【0012】
【化7】

または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物が開示され、式中、
Xは、炭素または窒素原子を表し、
【0013】
【化8】

は、1から2個の窒素原子を含有する5から7員複素環を表し、
Xが窒素原子を表すとき、Dは結合を表し、Bは不在であり、
Xが炭素原子を表すとき、BおよびBは、一緒になるか、または個別であることができ、
BおよびBが一緒になっているとき、Dは結合を表し、BおよびBは一緒に、5から6個の原子を含有し、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、および窒素から選択される1個のヘテロ原子または基を場合により含有するスピロ環を表し、前記スピロ環は、1個のオキソ基で場合により置換されており、フェニル環に場合により縮合されており、前記スピロまたは縮合フェニル環は、3個のR基を有し、
BおよびBが個別であるとき、Dは、結合、酸素原子、または−(CH1−3−を表し、Bは水素を表し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
3個のR基が存在し、この1から3個は、水素およびハロからなる群から選択され、この0から2個は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
はそれぞれ独立して、水素、ハロ、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、もしくはOHを表すか、または2個のR基が結合して5から6員縮合環を形成することができ、2個のこのような環が可能であり、
は、−COH、または
【0014】
【化9】

を表し、
はそれぞれ独立して、H、ハロ、メチル、または1から3個のハロ原子で置換されたメチルを表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、他に指定のないかぎり、下に定義される用語を用いて本明細書において詳細に記載される。
【0016】
「アルキル」、ならびにアルコキシ、アルカノイルなど接頭辞「alk」を有する他の基は、指示された数の炭素原子を含有する、直鎖、分枝鎖、もしくは環式、またはこれらの組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。数が指定されていない場合、直鎖アルキル基では1から6個の炭素原子、分枝鎖アルキル基では3から7個の炭素原子が意図される。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが含まれる。シクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、原子数が指定されていない場合、3から7個の炭素原子が意図され、縮合している1から3個の炭素環を形成する。「シクロアルキル」はさらに、結合点が非芳香族部分にある、アリール基に縮合した単環式環を含む。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどが含まれる。
【0017】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、直鎖もしくは分枝鎖、またはこれらの組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが含まれる。
【0018】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有し、直鎖もしくは分枝鎖、またはこれらの組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどが含まれる。
【0019】
「アリール」(Ar)は、6から10個の炭素原子を含有する、単環式および二環式芳香環を意味する。アリールの例には、フェニル、ナフチル、インデニルなどが含まれる。
【0020】
「ヘテロアリール」(HAR)は、他に指定のないかぎり、O、S、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、それぞれの環が5から6個の原子を含有する、単環式または二環式芳香環または環系を意味する。例には、これに限定されるものではないが、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル、イソインドリル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどが含まれる。ヘテロアリールはさらに、非芳香族または部分芳香族である複素環に縮合した芳香族炭素環または複素環基、たとえばインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ならびにシクロアルキル環に縮合した芳香族複素環基を含む。ヘテロアリールはまた、荷電形態のこのような基、たとえばピリジニウムを含む。
【0021】
「ヘテロシクリル」(Hetcy)は、他に指定のないかぎり、N、S、およびOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式および二環式飽和環および環系を意味し、前記環はそれぞれ3から10個の原子を有し、結合点は炭素または窒素であってよい。「ヘテロシクリル」の例には、これに限定されるものではないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、テトラヒドロフラニル、ベンゾオキサジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニルなどが含まれる。この用語はまた、芳香族ではない部分不飽和単環式環を含み、たとえば窒素を介して結合した2−もしくは4−ピリドン、またはN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)などである。ヘテロシクリルはさらに、荷電形態のこのような部分、たとえばピペリジニウムを含む。
【0022】
「ハロゲン」(Halo)は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0023】
「実質的なフラッシングがない」という語句は、治療量のニコチン酸が投与されたとき、しばしば見られる副作用に関連する。ニコチン酸のフラッシング作用は通常、治療用量の薬物に対して患者が耐性を獲得するにつれて頻度が減少し、重症度が低下するが、依然としてある程度フラッシングは生じ、一過性であり得る。したがって、「実質的なフラッシングがない」とは、フラッシングが生じたときの重症度の低下、または他の状態で起こるよりフラッシングイベントが少ないことを指す。好ましくは、フラッシングの発生(ナイアシンに関連して)が少なくとも約3分の1低減され、より好ましくは発生が半分低減され、もっとも好ましくはフラッシングの発生が約3分の2以上低減される。同様に、重症度(ナイアシンに関連して)は、好ましくは少なくとも約3分の1低減され、より好ましくは少なくとも半分低減され、もっとも好ましくは少なくとも約3分の2低減される。明らかに、フラッシングの発生および重症度が100%低減されることがもっとも好ましいが、必要ではない。
【0024】
本発明の一態様は、式Iの化合物に関し、
【0025】
【化10】

または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物が開示され、式中、
Xは、炭素または窒素原子を表し、
【0026】
【化11】

は、1から2個の窒素原子を含有する5から7員複素環を表し、
Xが窒素原子を表すとき、Dは結合を表し、Bは不在であり、
Xが炭素原子を表すとき、BおよびBは、一緒になるか、または個別であることができ、
BおよびBが一緒になっているとき、Dは結合を表し、BおよびBは一緒に、5から6個の原子を含有し、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、および窒素から選択される1個のヘテロ原子または基を場合により含有するスピロ環を表し、前記スピロ環は、1個のオキソ基で場合により置換されており、フェニル環に場合により縮合されており、前記スピロまたは縮合フェニル環は、3個のR基を有し、
BおよびBが個別であるとき、Dは、結合、酸素原子、または−(CH1−3−を表し、Bは水素を表し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
3個のR基が存在し、この1から3個は、水素およびハロからなる群から選択され、この0から2個は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1から2個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
はそれぞれ独立して、水素、ハロ、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、もしくはOHを表すか、または2個のR基が結合して5から6員縮合環を形成することができ、2個のこのような環が可能であり、
は、−COH、または
【0027】
【化12】

を表し、
はそれぞれ独立して、H、ハロ、メチル、または1から3個のハロ原子で置換されたメチルを表す。
【0028】
対象となる本発明の一態様は、Dが結合、酸素原子、−CH−、または−CHCH−を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0029】
より詳細には、対象となる本発明の一態様は、Dが結合を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0030】
対象となる本発明の他の態様は、Xが炭素原子を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0031】
対象となる本発明の他の態様は、Xが窒素原子を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0032】
対象となる本発明の他の態様は、
【0033】
【化13】

が、1から2個の窒素原子を含有する7員複素環を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0034】
対象となる本発明の他の態様は、RがCOH基を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0035】
対象となる本発明の他の態様は、Rがそれぞれ、水素またはフッ素原子を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0036】
対象となる本発明の他の態様は、Rがそれぞれ、水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、1または2個のこのような環が存在する式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0037】
より詳細には、対象となる本発明の他の態様は、Rがそれぞれ、水素原子およびCHから選択される式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0038】
さらに詳細には、対象となる本発明の他の態様は、Rがそれぞれ水素原子を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0039】
さらに詳細には、対象となる本発明の他の態様は、1から2個のR基がメチルを表し、残りが水素を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0040】
対象となる本発明の他の態様は、2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在する式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0041】
対象となる本発明の他の態様は、BおよびBが個別であり、Bは水素原子を表し、Bは6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0042】
より詳細には、対象となる本発明の他の態様は、BおよびBが個別であり、BはHを表し、Bは6から10員アリール基を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0043】
さらに詳細には、対象となる本発明の他の態様は、Bがナフチル基を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0044】
さらにより詳細には、対象となる本発明の他の態様は、BおよびBが個別であり、BはHを表し、Bは5から10員ヘテロアリール基を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0045】
対象となる本発明の他の態様は、BおよびBが一緒になり、5から6個の原子を有するスピロ環を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0046】
より詳細には、対象となる本発明の他の態様は、BおよびBが一緒になり、この1つが酸素原子である5または6個の原子を有するスピロ環を表す式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0047】
対象となる本発明の他の態様は、2から3個のR基は、水素原子およびハロから選択される式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0048】
より詳細には、対象となる本発明の他の態様は、0から1個のR基が、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りのR基が水素である式Iの化合物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0049】
さらに詳細には、対象となる本発明の他の態様は、0から1個のR基が、フェニルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りのR基が水素である式Iの化合物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0050】
さらに特に対象となるのは、Xが窒素原子を表し、Dが結合を表し、Bが不在であり、Bが10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する9から10員ヘテロアリール基を表し、前記基Bは3個のR基(この1つはOHであり、残りは水素またはハロ原子である)で置換されている式Iの化合物である。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0051】
より詳細には、対象となる本発明の一態様は、式I−Aの化合物、
【0052】
【化14】

または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関し、式中、
Dは、結合、酸素原子、−CH−、または−CHCH−を表し、
はそれぞれ、水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在し、
BおよびBは、一緒になるか、または個別であることができ、
BおよびBが一緒になっているとき、BおよびBは一緒に、5から6個の原子を含有し、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、および窒素から選択される1個のヘテロ原子または基を場合により含有するスピロ環を表し、前記スピロ環は、1個のオキソ基で場合により置換されており、フェニル環に場合により縮合されており、前記スピロまたは縮合フェニル環は、3個のR基を有し、
BおよびBが個別であるとき、Bは水素を表し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
0から1個のR基は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールから選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りの2から3個のR基は、Hおよびハロから選択される。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0053】
より詳細には、対象となる本発明の一態様は、式I−Bの化合物、
【0054】
【化15】

または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関し、式中、
Dは結合を表し、
はそれぞれ、水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
0から1個のR基は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)から選択され、
残りの2から3個のR基は、Hおよびハロから選択される。本発明のこのサブセットにおいて、他のすべての可変記号は、式Iに関して初めに定義されたとおりである。
【0055】
本発明の範囲内である化合物の例を、下記の表1に示す。
【0056】
【表3】



【0057】
医薬的に許容されるこれらの塩および溶媒和物も含まれる。
【0058】
式Iの化合物の多くは不斉中心を含有し、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして生じることができる。このようなすべての異性体が含まれる。
【0059】
さらに、一般式Iの1つの立体中心を持つキラル化合物は、当業者に知られている方法を用いて、キラル環境でこれらのエナンチオマーに分割することができる。複数の立体中心を持つキラル化合物は、当業者に知られている方法を用い、これらの物理的特性に基づいて、アキラル環境でこれらのジアステレオマーに分離することができる。ラセミ体で得られる単一ジアステレオマーは、上述のとおりこれらのエナンチオマーに分割することができる。
【0060】
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。この分離は当分野でよく知られている方法で行うことができ、たとえば式Iの化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成し、これを分別結晶またはクロマトグラフィーなどの標準的な方法で、個々のジアステレオマーに分離する。このカップリング反応は多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。その後、付加したキラル残基をジアステレオマー化合物から開裂することによって、ジアステレオマー誘導体を実質的に純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0061】
式Iの化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を用いるクロマトグラフ法によって直接分離することもでき、これらの方法は当分野でよく知られている。
【0062】
または、一般式Iの化合物のエナンチオマーは、光学的に純粋な出発材料および試薬を用いて、立体選択的合成によって得ることもできる。
【0063】
本明細書に記載のいくつかの化合物は、1つ以上の二重結合シフトを伴う水素の異なる結合点を有する互変異性体として存在する。たとえば、ケトンとこのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である。または、たとえば2−ヒドロキシキノリンは、互変異性2−キノロン型で存在できる。個々の互変異性体、ならびにこれらの混合物が含まれる。
用量情報
【0064】
式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物の用量は、広い範囲内で多様である。任意の特定の患者に対する具体的な用量計画および用量レベルは、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、および患者の状態の重症度を含む様々な要因によって決まることになる。これらの要因を検討することは、状態を予防する、状態に対抗する、または状態の進行を阻止するのに必要とされる治療上または予防上有効な用量を決定するための通常の技能を有する臨床医の権限の範囲に充分含まれる。一般に化合物は、単回用量または分割用量で、約0.01mg/日から約2000mg/日までの量で投与される。代表的な用量は、約0.1mg/日から約1g/日である。任意の不都合な作用をさらに最小限に抑えるために、最初はより低い用量を用い、用量を増やすことができる。適切な用量の例には、約0.1mg、1mg、2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、600mg、750mg、900mg、1000mgなどが含まれる。本明細書に記載の化合物は、この患者に関連する医学的状態を治療または予防するのに適切な期間にわたって毎日投与されることが予期され、これには数カ月、数年、または患者の生涯続く治療過程が含まれる。
併用療法
【0065】
1種以上の追加の活性剤を、本明細書に記載の化合物と共に投与することができる。1種または複数の追加の活性剤は、脂質変更化合物、もしくは他の医薬活性を有する薬剤、または脂質変更作用と他の医薬活性の両方を有する薬剤であることができる。用いることのできる追加の活性剤の例には、これに限定されるものではないが、以下のものが含まれる。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、これにはラクトン化またはジヒドロキシオープンアシド体のスタチン、ならびに医薬的に許容されるこれらの塩およびエステルが含まれ、これに限定されるものではないが、ロバスタチン(米国特許第4,342,767号参照)、シンバスタチン(米国特許第4,444,784号参照)、ジヒドロキシオープンアシドシンバスタチン、特にこのアンモニウムまたはカルシウム塩、プラバスタチン、特にこのナトリウム塩(米国特許第4,346,227号参照)、フルバスタチン、特にこのナトリウム塩(米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチン、特にこのカルシウム塩(米国特許第5,273,995号参照)、NK−104とも称されるピタバスタチン(PCT国際公開番号WO97/23200参照)、およびCRESTOR(登録商標)とも称されるロスバスタチン(米国特許第5,260,440号参照)が含まれる;HMG−CoAシンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンテターゼ阻害剤(別称スクアレンシンターゼ阻害剤)、ACAT−1またはACAT−2の選択的阻害剤、ならびにACAT−1および−2の二重阻害剤を含むアシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤;内皮リパーゼ阻害剤;胆汁酸封鎖剤;LDL受容体誘発剤;血小板凝集阻害剤、たとえば糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニストおよびアスピリン;一般にグリタゾンと呼ばれる化合物、たとえばピオグリタゾンおよびロシグリタゾンを含み、チアゾリジンジオンとして知られる構造のクラスに含まれる化合物、およびチアゾリジンジオン構造クラスに含まれないPPARγアゴニストを含む、ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト;クロフィブラート、微粉化フェノフィブラートを含むフェノフィブラート、およびゲムフィブロジルなどのPPARαアゴニスト;PPAR二重α/γアゴニスト;ビタミンB(別称ピリドキシン)およびHCl塩などの医薬的に許容されるこの塩;ビタミンB12(別称シアノコバラミン);葉酸またはナトリウム塩およびメチルグルカミン塩などの医薬的に許容されるこの塩もしくはエステル;ビタミンCおよびEならびにベータカロテンなどの抗酸化ビタミン;β遮断薬;ロサルタンなどのアンギオテンシンIIアンタゴニスト;エナラプリルおよびカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤;レニン阻害剤、ニフェジピンおよびジルチアゼムなどのカルシウムチャネル遮断薬;エンドセリンアンタゴニスト;ABCA1遺伝子発現を増強する薬剤;コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害化合物、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害化合物、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害化合物、ファルネソイドX受容体(FXR)リガンド(アンタゴニストとアゴニストの両方を含む);肝臓X受容体(LXR)−アルファリガンド、LXR−ベータリガンド、アレンドロ酸ナトリウムなどのビスホスホネート化合物;ロフェコキシブおよびセレコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;ならびに血管炎症を軽減する化合物。
【0066】
コレステロール吸収阻害剤も本発明に用いることができる。このような化合物は、腸管腔から小腸壁の腸上皮細胞へのコレステロールの移動を遮断し、これによって血清コレステロール値を低下させる。コレステロール吸収阻害剤の例は、米国特許第5,846,966号、第5,631,365号、第5,767,115号、第6,133,001号、第5,886,171号、第5,856,473号、第5,756,470号、第5,739,321号、第5,919,672号、ならびにPCT出願WO00/63703、WO00/60107、WO00/38725、WO00/34240、WO00/20623、WO97/45406、WO97/16424、WO97/16455、およびWO95/08532に記載されている。もっとも注目に値するコレステロール吸収阻害剤は、米国特許第5,767,115号および第5,846,966号に記載されている、1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンとも称されるエゼチミブである。
【0067】
コレステロール吸収阻害剤の治療上有効な量には、1日当たり約0.01mg/体重kgから約30mg/kg、好ましくは約0.1mg/kgから約15mg/kgの用量が含まれる。
【0068】
糖尿病患者の場合、本発明に用いられる化合物は、従来の糖尿病薬と共に投与することができる。たとえば、本明細書に記載のとおり治療を受ける糖尿病患者は、インスリンまたは経口の抗糖尿病薬も摂取することができる。本発明に有用な経口の抗糖尿病薬の一例は、メトホルミンである。
【0069】
これらのナイアシン受容体アゴニストがある程度の血管拡張を誘発するイベントにおいて、式Iの化合物は血管拡張抑制剤と共投与することができる。したがって、本明細書に記載の方法の一態様は、フラッシングを低減する化合物と組み合わせた、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物の使用に関する。アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、他のNSAID、COX−2選択的阻害剤などの通常の化合物が、通常の用量でこれに関して有用である。または、DPアンタゴニストも有用である。DP受容体アンタゴニストの用量および選択性は、DPアンタゴニストが実質的にCRTH2受容体を調節することなくDP受容体を選択的に調節するような用量および選択性である。詳細には、DP受容体アンタゴニストは、理想的にはCRTH2受容体での親和性に比べて、DP受容体において少なくとも約10倍高い(数値的には低いK値)親和性(すなわちK)を有する。これらの指針に従ってDPと選択的に相互作用するいずれの化合物も「DP選択的」と見なされる。
【0070】
本明細書に記載されるDPアンタゴニストの用量は、哺乳動物患者、特にヒトにおいて、フラッシング作用を低減または予防するのに有用な量であり、単回または分割日用量で投与される約0.01mg/日から約100mg/日までの用量が含まれる。好ましくは、用量は単回または分割日用量で約0.1mg/日から約1.0g/日である。
【0071】
選択的にDP受容体をアンタゴナイズし、フラッシング作用を抑制するために特に有用な化合物の例には以下の化合物、ならびに医薬的に許容されるこれらの塩および溶媒和物が含まれる。
【0072】
【表4】



【0073】
式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、およびDPアンタゴニストは、本発明から逸脱することなく、単回または複数回(たとえば、1日2回、1日3回、または1日4回)日用量で、一緒にまたは連続的に投与することができる。24時間を越える放出プロファイルを示す持続放出製品など、持続放出が所望である場合、用量を1日おきに投与することができる。しかしながら、単回日用量が好ましい。同様に、朝または夕方の投薬を用いることができる。
塩および溶媒和物
式Iの化合物の塩および溶媒和物も本発明に含まれ、ニコチン酸の多数の医薬的に許容される塩および溶媒和物がこれに関して有用である。アルカリ金属塩、特にナトリウムおよびカリウムは、本明細書に記載のとおり有用な塩を形成する。同様にアルカリ土類金属、特にカルシウムおよびマグネシウムは、本明細書に記載のとおり有用な塩を形成する。アミンの種々の塩、たとえばアンモニウムおよび置換アンモニウム化合物なども、本明細書に記載のとおり有用な塩を形成する。同様に、式Iの化合物の溶媒和形態も本発明において有用である。例には、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、およびセスキ(1.5)水和物が含まれる。本発明の化合物はまた、医薬的に許容されるエステル、ならびに代謝的に不安定であるエステルを含む。代謝的に不安定なエステルには、C1−4アルキルエステル、好ましくはエチルエステルが含まれる。多くのプロドラッグ化法が当業者に知られている。このような一方法は、遊離酸を遊離し、これら自体が環化できるリシンなどのペンダント求核基を有する改変されたアミノ酸無水物を用いる。同様に、アセトン、酸、および活性酸に分解され得るアセトン−ケタールジエステルを用いることができる。
【0074】
本発明で用いられる化合物は、通常の任意の投与経路によって投与することができる。好ましい投与経路は経口である。
医薬組成物
本明細書に記載の医薬組成物は一般に、医薬的に許容される担体と組み合わせた式Iの化合物、または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物からなる。
【0075】
適切な経口組成物の例には、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ、懸濁剤、分散性粉末剤または顆粒剤、エマルション、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。担体成分の例には、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤、保存剤などが含まれる。希釈剤の例には、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウムが含まれる。造粒剤および崩壊剤の例には、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸が含まれる。結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、およびアカシアが含まれる。滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、およびタルクが含まれる。錠剤は、被覆されていなくても、既知の方法で被覆されていてもよい。このようなコーティングは崩壊を遅らせる、したがって胃腸管での吸収を遅らせることができ、これによってより長い期間にわたる持続作用を提供することができる。
【0076】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物は、固定併用製品を形成するために、他の治療剤および担体と組み合わせられる。この固定併用製品は、経口で用いる錠剤またはカプセル剤であってよい。
【0077】
より詳細には、本発明の他の実施形態において、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物(約1から約1000mg)、および第2の治療剤(約1から約500mg)は、医薬的に許容される担体と組み合わせられ、経口で用いる錠剤またはカプセル剤を提供する。
【0078】
より長い時間にわたる持続放出は、この製剤において特に重要である可能性がある。モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を用いることができる。投与形態は、制御放出するための浸透圧性治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号、および第4,265,874号に記載されている技法で被覆することもできる。
【0079】
他の制御放出技法も利用することができ、本発明に含まれる。持続放出錠剤においてニコチン酸の放出を遅らせるのに有用である典型的な成分には、種々のセルロース化合物、たとえばメチルセルロール、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、デンプンなどが含まれる。種々の天然および合成材料も持続放出製剤において有用である。例には、アルギン酸および種々のアルギン酸塩、ポリビニルピロリドン、トラガカント、ローカストビーンガム、グアーガム、ゼラチン、セチルアルコールなどの種々の長鎖アルコール、および密ろうが含まれる。
【0080】
場合により、さらに対象となるのは、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物からなり、さらにシンバスタチンまたはアトルバスタチンなどのHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を含有する上述の錠剤である。この特定の実施形態は、場合によりDPアンタゴニストも含有する。
【0081】
本発明による持続放出錠剤の典型的な放出時間枠は、約1時間から約48時間、好ましくは約4時間から約24時間、より好ましくは約8時間から約16時間である。
【0082】
硬質ゼラチンカプセル剤は、経口で用いるための別の固体投与形態を構成する。このようなカプセル剤は同様に、上記の担体材料と混合された活性成分を含む。軟質ゼラチンカプセルは、プロピレングリコール、PEG、およびエタノールなどの水混和性溶媒、または落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油などの油と混合された活性成分を含む。
【0083】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤を製造するのに適切な賦形剤と混合された活性材料を含有することも企図される。このような賦形剤には、懸濁化剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント、およびアカシア;分散化剤または湿潤剤、たとえばレシチン;保存剤、たとえばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル、着色剤、香味剤、甘味剤などが含まれる。
【0084】
水を添加することにより水性懸濁剤を調製するのに適した分散性粉末剤および顆粒剤は、分散化剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種以上の保存剤と混合された活性成分提供する。適切な分散化剤または湿潤剤、および懸濁化剤は、すでに上に挙げたものなどである。
【0085】
シロップ剤およびエリキシル剤も製剤化することができる。
【0086】
より詳細には、対象となる医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせた式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、および化合物AからAJからなる群から選択されるDP受容体アンタゴニストからなる持続放出錠剤である。
【0087】
さらに対象となる別の医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせた式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、および化合物A、B、D、E、X、AA、AF、AG、AH、AI、およびAJからなる群から選択されるDPアンタゴニスト化合物からなる。
【0088】
さらに特に対象となる別の医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせた式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、化合物A、B、D、E、X、AA、AF、AG、AH、AI、およびAJからなる群から選択されるDP受容体アンタゴニスト、ならびにシンバスタチンまたはアトルバスタチンからなる持続放出錠剤に関する。
【0089】
用語「組成物」は、上述の医薬組成物を包含することに加えて、任意の2種以上の成分、活性剤、もしくは賦形剤の化合、複合体化、もしくは凝集から、または1種以上の成分の分離から、または1種以上の成分による他の種類の反応もしくは相互反応から、直接または間接的に得られる任意の生成物も包含する。したがって、本発明の医薬組成物は、本化合物、任意の追加の活性成分、および医薬的に許容される賦形剤を混合するか、または別の方法で合わせることによって製造される任意の組成物を包含する。
【0090】
本発明の他の態様は、薬剤の製造における、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、およびDPアンタゴニストの使用に関する。この薬剤は本明細書に記載された用途を有する。
【0091】
より詳細には、本発明の他の態様は、薬剤の製造における、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物、DPアンタゴニスト、およびシンバスタチンなどのHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の使用に関する。この薬剤は本明細書に記載された用途を有する。
【0092】
本発明の化合物は、抗高脂血症活性を有し、LDL−C、トリグリセリド、アポリポタンパク質、および総コレステロールの低下、ならびにHDL−Cの上昇をもたらす。したがって、本発明の化合物は、脂質異常症の治療に有用である。したがって本発明は、この状態を治療、予防、または逆転するのに有効な量で式Iの化合物、または医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することによって、アテローム性動脈硬化症、ならびに本明細書に記載の他の疾患および状態を治療、予防、または逆転することに関する。これはヒトにおいて、頻度および/または重症度に関してフラッシング作用を予防、低減、または最小限にしながら、前記状態を治療または予防するのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を投与することによって達成される。
【0093】
対象となる本発明の一態様は、実質的なフラッシングなしに、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法である。
【0094】
対象となる本発明の他の態様は、血清HDL値を上昇させるのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において血清HDL値を上昇させる方法に関する。
【0095】
対象となる本発明の他の態様は、脂質異常症を治療するのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において脂質異常症を治療する方法に関する。
【0096】
対象となる本発明の他の態様は、実質的なフラッシングなしに、血清VLDLまたはLDL値を低下させるのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において血清VLDLまたはLDL値を低下させる方法に関する。
【0097】
対象となる本発明の他の態様は、血清トリグリセリド値を低下させるのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において血清トリグリセリド値を低下させる方法に関する。
【0098】
対象となる本発明の他の態様は、血清Lp(a)値を低下させるのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において血清Lp(a)値を低下させる方法に関する。本明細書では、Lp(a)はリポタンパク質(a)を指す。
【0099】
対象となる本発明の他の態様は、糖尿病を治療するのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において糖尿病、特に2型糖尿病を治療する方法に関する。
【0100】
対象となる本発明の他の態様は、メタボリックシンドロームを治療するのに有効な量で、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者においてメタボリックシンドロームを治療する方法に関する。
【0101】
特に対象となる本発明の他の態様は、式Iの化合物または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物およびDP受容体アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記組み合わせが、実質的なフラッシングなしに、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病、または関連する状態を治療するのに有効な量で投与される、このような治療を必要としているヒト患者においてアテローム性動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、または関連する状態を治療する方法に関する。
【0102】
特に対象となる本発明の他の態様は、DP受容体アンタゴニストが、化合物AからAJ、ならびに医薬的に許容されるこの塩および溶媒和物からなる群から選択される上記方法に関する。
式Iの化合物の合成方法
式Iの化合物は以下の代表的な反応スキームに従って調製される。有機合成分野の技術者は類似の試薬、条件、またはこれらの構造クラスを合成する他のアプローチを考えられることが理解される。したがってこれらの反応スキームは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての置換基は、他に指示のないかぎり、上に定義されたとおりである。
【0103】
【化16】

【0104】
式Iの化合物は、熱条件下でクロロキノキサリンをピペラジンで処理して、1のような中間体を生成することによって、スキーム1に例示のとおり調製することができる。アントラニル酸メチルをこのイソシアナートに変換し、次いで、アミン1と反応させて、尿素2を生成できる。鹸化によって、この尿素モチーフにおいて3のような酸を生成できる。
【0105】
【化17】

【0106】
式Iの化合物は、酸素置換キノキサリンを得るために、スキーム2に例示のとおり調製することもできる。中間体4、5、および6は、適切に置換されたジアミノベンゼンをグリオキシル酸エチルで縮合し、その後、ヒドロキシルキノキサリンを塩素化することによって合成できる。このメトキシクロロキノキサリン4をピペラジンなどのアミンと反応させ、得られたアミンをアントラニル酸メチルのイソシアナートでアシル化して、7を生成できる。このエステル7を鹸化し、当業者に知られている方法でエーテルを脱メチル化して、8のような化合物を得ることができる。
【0107】
【化18】

【0108】
スキーム3に示すのは式Iの窒素置換キノキサリンの調製である。出発材料ヒドロキシキノキサリンを硝酸で処理し、ヒドロキシル基を塩素化して、中間体9を生成できる。次いで、クロリド9をピペラジンなどのアミンと反応させ、得られたアミンをアントラニル酸メチルのイソシアナートでアシル化して、10を得ることができる。鹸化、これに続くニトロ部分の還元によって、11のような生成物を得ることができる。
【0109】
【化19】

【0110】
式Iの化合物は、スキーム4に例示のとおり調製することもできる。中間体12および13は、適切に置換されたジアミノベンゼンをグリオキシル酸エチルで縮合し、その後、ヒドロキシルキノキサリンを塩素化することによって合成できる。このシアノクロロキノキサリン12をピペラジンなどのアミンと反応させ、得られたアミンをアントラニル酸メチルのイソシアナートでアシル化して、鹸化の後、14のような化合物を生成できる。同様に、シアノクロロキノキサリン13をニトリル14の位置異性体に変換し、その後、15のような第一級カルボキサミドを生成できる。
【0111】
【化20】

【0112】
式Iの他の位置異性酸化キノキサリン誘導体は、スキーム5に例示した化学に従って得ることができる。中間体16および17は、最初にメチルエーテルを形成し、ジアミノベンゼンに還元、その後、グリオキシル酸エチルで縮合し、次いで塩素化することによって、ジニトロフェノールから得ることができる。このメトキシクロロキノキサリン16をピペラジンなどのアミンと反応させ、得られたアミンをアントラニル酸メチルのイソシアナートでアシル化して、18を生成できる。18のエステルを19に鹸化し、エーテルを脱メチル化して、20のような化合物を形成できる。
【0113】
【化21】

【0114】
スキーム6は、式Iの化合物を製造するために用いられる固相合成法の概要を示すものである。樹脂固定化アントラニラート21をイソシアナート22に変換できる。この固相求電子体22を種々のアミンと反応させ、ナフチル中間体23のような尿素を生成できる。当業者に知られている酸性条件を用いて、尿素生成物を樹脂から開裂し、24のような化合物を得る。
【0115】
本明細書で用いられる種々の有機基変換および保護基は、上記以外のいくつかの手順によって行うことができる。本明細書に開示の中間体または化合物を調製するために用いることができる他の合成手順に関する参考文献は、たとえば、M.B.Smith、J.March Advanced Organic Chemistry、第5版、Wiley−Interscience(2001);R.C.Larock Comprehensive Organic Transformations,A Guide to Functional Group Preparations、第2版、VCH Publishers,Inc.(1999);T.L.Gilchrist Heterocyclic Chemistry、第3版、Addison Wesley Longman Ltd.(1997);J.A.Joule、K.Mills、G.F.Smith Heterocyclic Chemistry、第3版、Stanley Thornes Ltd.(1998);G.R.Newkome、W.W.Paudler Contempory Heterocyclic Chemistry、John Wiley and Sons(1982);またはWuts,P.G.M.;Greene,T.W.;Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons(1999)に見出すことができ、これら6つの文献はすべてこの全体を参照により本明細書の一部とする。
【0116】
代表的実施例
以下の実施例は本発明をより詳細に例示するために提供されるものであり、どのような形でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。他に指示のないかぎり、以下のとおりである。
(i)すべての操作は、室温または周囲温度、すなわち18から25℃の範囲の温度で行った。
(ii)溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレータを用い、減圧下(4.5から30mmHg)、50℃までの浴温で行った。
(iii)反応の経過は、薄層クロマトグラフィー(TLC)および/またはタンデム高速液体クロマトグラフィー(HPLC)後質量分析(MS)(本明細書ではLCMSと呼ぶ)によって追跡したが、反応時間は例示のためにのみ示される。
(iv)収率が示される場合、例示のためにのみ示される。
(v)すべての最終化合物の構造は、以下の少なくとも1つの技法:MSまたはプロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光法で確認し、純度は以下の少なくとも1つの技法:TLCまたはHPLCで確認した。
(vi)1H NMRスペクトルは、指示された溶媒を用い、500または600MHzで、Varian UnityまたはVarian Inova計器で記録した。NMRデータが列挙されるとき、データは主要な診断プロトンのデルタ値の形式であり、残留溶媒ピークに対する百万分率(ppm)で示される(多重度および水素数)。シグナルの形状に用いる通常の略号は以下のとおりである。s.シングレット;d.ダブレット(見かけ);t.トリプレット(見かけ);m.マルチプレット;br.ブロードなど。
(vii)MSデータは、Hewlett−Packard(Agilent 1100)HPLC計器と連動し、MassLynx/OpenLynxソフトウェアで作動するWaters Micromassユニットで記録した。陽イオン(ES+)または陰イオン(ES−)検出でエレクトロスプレーイオン化を用いた。LCMS ES+の方法は、1から2ml/分、5.5分で10から95%B直線勾配(B=0.05%TFA−アセトニトリル、A=0.05%TFA−水)であり、LCMS ES−の方法は、1から2ml/分、5.5分で10から95%B直線勾配(B=0.1%ギ酸−アセトニトリル、A=0.1%ギ酸−水)であった。Waters XTerra C18−3.5um−50×3.0mmIDおよびダイオードアレイ検出。
(viii)分取逆相HPLCによる化合物の自動精製は、0から50%アセトニトリルの水溶液(0.1%TFA)を用いて20ml/分で溶出し、YMC−Pack Pro C18カラム(150×20mm内径)を用いて、Gilsonシステムで行うか、またはライブラリー設定では、分取逆相HPLCによる化合物の自動精製は、次のとおり(20%3分、次いで90%14分、次いで10%1分)xx%アセトニトリルの水溶液(0.1%TFA含有)の段階勾配溶出で18分かけて10ml/分で溶出し、Agilent Combi、SB−C18カラム(100×21.2mm内径)を用いて、Agilentシステムで行い、画分はダイオードアレイおよびELSD検出と共に質量に基づいて採取した。
(ix)カラムクロマトグラフィーは、Biotageカートリッジシステムで行った。
(x)化学記号は通常の意味を有する。以下の略語も用いた。v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、l(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eqまたはequiv(当量)、IC50(最大可能阻害の50%をもたらすモル濃度)、EC50(最大可能有効性の50%をもたらすモル濃度)、uM(マイクロモル)、nM(ナノモル)。
(xi)頭字語の定義は以下のとおりである。
THFは、テトラヒドロフランである。
DMFは、ジメチルホルムアミドである。
NMPは、N−メチル−2−ピロリジノンである。
TFAは、トリフルオロ酢酸である。
DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンである。
DMSOは、ジメチルスルホキシドである。
【0117】
樹脂のアシル化
【0118】
【化22】

【0119】
Wang樹脂(1.21mmol/g、200mg、0.24mmol)をDMF(1ml)で膨潤させ、DMF(1ml)溶液として無水物(195mg、1.2mmol)を添加し、次いでDMAP(15mg、0.12mmol)を添加した。反応混合物を封管で、時折攪拌しながら80℃で3時間加熱し、室温に冷却し、樹脂を濾過し、DMF、塩化メチレン、およびヘキサンを用いて、それぞれ3回洗浄した。
【実施例】
【0120】
(実施例1)
【0121】
【化23】

【0122】
スキーム6に示したアシル化樹脂(200mg、0.2mmol)を36SPEカートリッジに秤量して入れた。p−ニトロフェニルクロロホルマート(16.2g、80mmol)の溶液を50%塩化メチレン−THF(150ml)に溶解し、0℃に冷却した。ヒューニッヒ塩基(14ml、80mmol)をゆっくり添加し、このフラスコを室温まで温めた。各カートリッジで樹脂をTHF(1ml)で予め膨潤させ、短時間熟成した。上で調製したp−ニトロフェニルクロロホルマート溶液(4ml、0.5M、2mmol、10当量)を各カートリッジに添加し、反応カートリッジを一晩回転させた。その後、カートリッジをドレインし、無水THF(3ml)で2回洗浄し、次いで、1つのカートリッジ(たとえば)の樹脂をN−2−ナフチルピペリジン(1mmol)のNMP(3ml)溶液で処理した。反応カートリッジを一晩回転させ、ドレインし(不溶性材料を含むカートリッジは、個々に氷酢酸で洗浄した)、得られた樹脂をDMF、THF、次いで塩化メチレンを用いて、それぞれ3回洗浄した。その後、樹脂をTFA(1.5ml)で洗浄し、1時間熟成し、カートリッジをドレインして回収し、濾過した樹脂をTFA(0.75ml)で洗浄し、合わせたTFA画分を真空で濃縮した。メタノールに再び溶解して、LCMS分析を行った。この粗生成物のメタノール溶液を、自動Agilent分取HPLCシステムで精製した。LCMS m/z375(M)。
【0123】
(実施例2から20)
上記実施例1に記載し、スキーム6に例示したものと類似の条件下で、以下の化合物を調製した。
【0124】
【表5】



【0125】
選択した実施例のNMRデータ
【0126】
(実施例13)
【0127】
H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.63(1H,d)、8.15(2H,m)、8.01(1H,d)、7.53(3H,m)、7.04(2H,m)、3.81(4H,m)、3.61(4H,m)。
【0128】
(実施例21)
【0129】
【化24】

【0130】
DMF2ml中のクロロキノキサリン(165mg、1mmol)とジメチルピペラジン(570mg、5mmol)の混合物を、マイクロ波(Pmax=300W)で10分間加熱した。逆相HPLCで精製して、淡褐色の固体として生成物を得た。この中間体(50mg、0.14mmol)のジクロロメタン4ml溶液を、アントラニル酸メチルのイソシアナートの貯蔵溶液(0.2M、2ml、0.40mmol)(アントラニル酸メチル(907mg、6mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(3.1g、4.2ml、24mmol)、およびジクロロメタン30mlを0℃でp−ニトロフェニルクロロホルマート(1.21g、6mmol)と共に混合し、一晩室温に温め、鮮黄色のイソシアナート貯蔵溶液(〜0.2M)を得ることによって調製)で処理した。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌し、その後、真空で濃縮した。残留物をDMSOに溶解し、逆相HPLCで精製して、黄色の油として生成物を得た。このメチルエステルをTHF:メタノール:水(3:1:1)に溶解し、水酸化リチウム(1ml、1N水溶液)で処理した。混合物を1時間攪拌し、その後、真空で濃縮した。残留物をクロロホルムで洗浄し、その後、pH=3まで濃HClで酸性化した。混合物をクロロホルム中30%イソプロパノールで抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、黄色の固体として生成物を得た。H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.86(1H,s)、8.42(1H,d)、7.98(1H,d)、7.84(1H,d)、7.57(2H,m)、7.55(1H,t)、7.42(1H,t)、7.03(1H,t)、4.96(1H,bs)、4.48(1H、bs)、4.33(1H,d)、4.13(1H,bs)、3.86(1H,d)、3.78(1H,m)、1.26(6H,m);LCMS m/z406(M+1)。
【0131】
(実施例22から25)
上記実施例21に記載し、スキーム1に例示したものと類似の条件下で、以下の化合物を調製した。
【0132】
【表6】

【0133】
選択した実施例のNMRデータ
【0134】
(実施例22)
H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.89(1H,s)、8.71(1H,d)、8.10(1H,d)、7.87(1H,t)、7.67(3H,m)、7.32(1H,t)、7.05(1H,t)、4.89(1H,d)、4.71(1H,d)、4.55(1H,m)、3.67(1H,m)、3.37(2H,m)、1.52(3H,d)、1.43(3H,d)。
【0135】
(実施例23)
H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.79(1H,s)、8.67(1H,d)、8.11(1H,dd)、7.85(1H,d)、7.62(3H,m)、7.42(1H,m)、7.07(1H,t)、5.07(2H,s)、4.56(2H,s)、1.96(4H,m)、1.83(4H,m)。
【0136】
(実施例24)
H NMR(DMSO−d,500MHz)δ8.85(1H,s)、8.41(1H,d)、8.12(1H,d)、7.96(1H,dd)、7.83(1H,d)、7.62(2H,m)、7.52(1H,t)、7.41(1H,t)、7.01(1H,t)、6.92(1H,d)、3.90(2H,m)、3.67(2H,m)、1.96(2H,m)、1.83(2H,m)。
【0137】
(実施例25)
H NMR(DMSO−d,500MHz)δ11.1(1H,br)、10.9(1H,s)、8.71(1H,s)、8.31(1H,d)、7.90(1H,d)、7.76(1H,d)、7.53(2H,s)、7.42(1H,t)、7.33(1H,m)、4.03(2H,m)、3.84(2H,m)、3.60(2H,m)、3.25(2H,m)、2.02(2H,m)。
【0138】
(実施例26)
【0139】
【化25】

【0140】
ジアミノメトキシベンゼン(2.1g、10mmol)の水25mlおよびエタノール10ml中の懸濁液に、重炭酸ナトリウム(1.7g、20mmol)を添加して中和した。得られた混合物にグリオキシル酸エチル(2.04g、2ml、11mmol)を添加し、次いで、混合物を2時間還流した。混合物を冷却し、濾過した。固体をDMSOに溶解し、RP−HPLCで精製して、スキーム2に示したとおり、立体異性アルコールの混合物(4:1:1)を得た。このアルコール混合物(1.76g、10.0mmol)に、POCl40mlを添加した。得られた混合物を1時間還流した。溶媒を留去して、混合物を濃縮した。残留物を氷に注ぎ、炭酸ナトリウムで塩基性化した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物をヘキサン中5%酢酸エチルで溶出してフラッシュクロマトグラフィーで精製し、単一異性体クロリドを分離した。単一異性体クロリド(220mg、1.13mmol)、ピペラジン(440mg、5.1mmol)、およびブタノール4mlの混合物をマイクロ波で15分間、150℃で加熱し、次いでマイクロ波でさらに15分間、170℃で加熱した。混合物をRP−HPLCで精製して、黄色の油として生成物を得た。尿素の調製に関して実施例21に記載したものと同じ手順に従い、その後の加水分解によって、黄色の固体として所望のメチルエーテル生成物を得た。H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.80(1H,m)、8.42(1H,d)、7.96(1H,d)、7.58(2H,m)、7.29(2H,d)、7.03(1H,t)、3.86(3H,s)、3.81(4H,m)、3.65(4H,m);LCMS m/z408(M+1)。
【0141】
(実施例27)
【0142】
【化26】

【0143】
水素化ナトリウム(10mg、0.25mmol、60%)のDMF3ml溶液に、0℃でドデカンチオール(25mg、0.25mmol)を添加した。混合物を室温に温め、15分間攪拌した。この混合物に実施例26(10mg、0.025mmol)のDMF3ml溶液を添加した。混合物を120℃で6時間加熱した。混合物を濾過し、Gilsonで精製して、褐色の油として所望のヒドロキシル生成物を得た。H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.80(1H,m)、8.66(1H,d)、8.00(1H,s)、7.59(2H,m)、7.28(2H,d)、7.05(1H,t)、3.90(m,4H)、3.78(m,4H);LCMS m/z394(M+1)。
【0144】
実施例26で生成した立体異性中間体から、上記実施例26および27に記載したものと同じ反応条件に従って、実施例28を調製した。
【0145】
【表7】

【0146】
(実施例29)
【0147】
【化27】

【0148】
ヒドロキシキノキサリン(4.38g、30mmol)の濃硫酸50ml攪拌溶液に、0℃で強化(powered)硝酸カリウムを迅速に添加した。0℃で30分間、さらに室温で2時間後、混合物を粉砕した氷(〜250ml)に0℃でゆっくりと注ぎ入れた。沈殿物を水15mlで洗浄した。酢酸(200ml)で結晶させ、白色固体としてニトロ生成物を得た。このヒドロキシ中間体(502mg、2.63mmol)にPOCl8mlを添加した。得られた混合物を110℃で2時間加熱した。溶媒を蒸留して、混合物を濃縮した。残留物を氷に注ぎ、pH>8まで炭酸ナトリウムで塩基性化した。混合物を酢酸エチル(200ml×10)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して、濃いピンク色の固体としてニトロクロリド生成物を得た。このニトロクロリド(385mg、1.84mmol)、ピペラジン(600mg)、およびエタノール2mlの混合物をマイクロ波で10分間(Pmax=100W)、120℃で加熱した。混合物を濃縮し、DMSOに溶解し、その後、RP−HPLCで精製して、暗褐色の油として生成物を得た。尿素の調製に関して実施例21に記載したものと同じ手順に従い、その後の加水分解によって、黄色の固体として所望のニトロ生成物を得た。このニトロ中間体(20mg、0.047mmol)のDMF/水(10:1)1ml溶液に、室温で塩化スズ(II)水和物(23mg、0.12mmol)を添加した。混合物を16時間攪拌し、その後、飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチした。混合物をセライトで濾過し、30%イソプロパノール/クロロホルムで洗浄した。濾液を濃縮し、Gilsonで精製して、赤褐色の固体として所望の生成物を得た。H NMR(アセトン−d,500MHz)δ8.96(1H,s)、8.64(1H,d)、8.09(1H,dd)、7.99(1H,d)、7.83(1H,d)、7.72(1H,dd)、7.58(1H,t)、7.06(1H,t)、4.09(m,4H)、3.82(m,4H);LCMS m/z393(M+1)。
【0149】
(実施例30)
【0150】
【化28】

【0151】
ジアミノシアノベンゼン(1g、7.5mmol)のエタノール10ml中の懸濁液に、重炭酸ナトリウムを添加して、混合物を中和した。得られた混合物にグリオキシル酸エチル(1.7g、1.64ml、8.3mmol、トルエン中50%)を添加し、次いで、混合物を2時間還流下で攪拌した。混合物を冷却し、濾過し、固体をDMSOに溶解し、RP−HPLCで精製して、シアノ立体異性体の混合物として生成物を得た。この混合物(1.15g、6.7mmol)に、POCl15mlを添加した。得られた混合物を1時間還流下で攪拌した。溶媒を蒸留して、混合物を濃縮した。残留物を氷に注ぎ、炭酸ナトリウムで塩基性化し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物の小さい画分を、ヘプタン中5%イソプロパノールで溶出して(40分/ラン)、HPLC−ADカラム(4.6×250mm Chiralpak AD、2.1ml/分、1500psi、10%メタノール/CO)で精製し、単一立体異性クロリドを分離した。尿素の調製に関して実施例21に記載したものと同じ手順に従い、その後の加水分解によって、黄色の固体として所望のニトリル生成物を得た。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ10.97(1H,s)、8.96(1H,s)、8.41(1H,d)、8.38(1H,s)、7.96(1H,d)、7.88(1H,d)、7.68(1H,d)、7.54(1H,t)、7.03(1H,t)、3.99(m,4H)、3.69(m,4H);LCMS m/z403(M+1)。
【0152】
(実施例31)
【0153】
【化29】

【0154】
ヒドロキシルアミン塩酸塩(17mg、0.25mmol)のDMSO2ml溶液に、カリウムt−ブトキシド(28mg、0.25mmol)を添加した。30分後、この混合物に実施例30の立体異性シアニド(5mg、0.012mmol)を添加した。14時間後、混合物を直接Gilsonで精製して、黄色の油として第一級カルボキサミド生成物を得た。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ8.91(1H,s)、8.41(1H,d)、8.17(2H,d)、7.96(1H,d)、7.87(2H,q)、7.50(2H,m)、7.01(1H,t)、3.92(m,4H)、3.68(m,4H);LCMS m/z419(M−1)。
【0155】
(実施例32)
【0156】
【化30】

【0157】
ジニトロフェノール(1g、5.43mmol)のメタノール15ml溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(20ml、40mmol、ヘキサン中2M)を添加した。反応混合物を室温で2時間熟成させた後、ガスの発生が止まるまで、酢酸を数滴添加した。溶媒を除去して、粗生成物としてメチルエーテルを得て、これを続く還元に供した。ジニトロ中間体のメタノール30ml溶液に、Pd/C(100mg)を添加した。このスラリーを1気圧の水素下で一晩攪拌した。混合物をセライトで濾過し、アセトン(50ml)で洗浄した。赤色の反応混合物を濃縮して、暗赤色の油としてジアミノメチルエーテルを得た。このジアミンを次のキノキサリンヒドロキシおよびクロリド立体異性体に変換した後、実施例30に記載のものと類似の手順に従って、所望の尿素最終生成物に変換した。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ10.96(1H,s)、8.72(1H,s)、8.41(1H,d)、8.11(1H,dd)、7.96(1H,dd)、7.53(2H,m)、7.18(1H,d)、7.03(1H,t)、6.92(1H,dd)、6.88(1H,d)、3.92(3H,s)3.87(m,4H)、3.66(m,4H);LCMS m/z408(M+1)。
【0158】
上の実施例32に記載したものと同じ反応条件に従って、実施例32で生成した立体異性中間体から実施例33を調製した。
【0159】
【表8】

【0160】
選択した実施例のNMRデータ
【0161】
(実施例33)
H NMR(DMSO−d,500MHz)δ10.96(1H,s)、8.82(1H,s)、8.41(1H,d)、7.96(1H,dd)、7.55(1H,td)、7.42(1H,d)、7.33(1H,t)、7.11(1H,d)、7.03(1H,t)、3.92(3H,s)、3.87(m,4H)、3.66(m,4H)
【0162】
(実施例34)
【0163】
【化31】

【0164】
水素化ナトリウム(48mg、1.2mmol、60%)のDMF7ml溶液に、0℃でドデカンチオール(243mg、1.2mmol)を添加した。混合物を室温に温め、15分間攪拌した。この混合物に実施例32(35mg、0.086mmol)のDMF3ml溶液を添加した。混合物を130℃で4時間加熱した。混合物を濾過し、Gilsonで精製して、黄色の固体として所望の生成物を得た。H NMR(アセトン−d,500MHz)δ11.1(1H,s)、8.71(1H,s)、8.65(1H,d)、8.09(1H,d)、7.56(1H,t)、7.49(1H,t)、7.16(1H,d)、7.06(1H,t)、6.84(1H,d)、3.99(4H,m)、3.78(4H,m);LCMS m/z394(M+1)。
【0165】
DPアンタゴニスト化合物の合成
多数のDP受容体アンタゴニスト化合物が公表されており、本発明の方法に有用であり、本発明の方法に含まれる。たとえば、DP受容体アンタゴニストは、2001年10月25日公開のWO01/79169、2003年5月2日公開のEP1305286、2002年11月28日公開のWO02/094830、および2003年7月31日公開のWO03/062200に従って得ることができる。化合物ABは、2001年9月13日公開のWO01/66520A1に記載の説明に従って合成することができ、化合物ACは、2003年3月20日公開のWO03/022814A1に記載の説明に従って合成することができ、化合物ADおよびAEは、2003年9月25日公開のWO03/078409に記載の説明に従って合成することができる。
【0166】
本明細書に開示した残りのDPアンタゴニスト化合物の合成は、2004年12月2日公開のWO2004/103370に記載の説明を用いて行うことができる。
【0167】
生物学的アッセイ
ナイアシン受容体の親和性および機能に関する本発明の化合物の活性は、以下のアッセイを用いて評価することができる。
H−ナイアシン結合アッセイ
1.膜:膜調製物を液体窒素中、下記に貯蔵する。
20mM HEPES、pH7.4
0.1mM EDTA
受容体膜を急速に解凍し、氷上に置く。激しく上下にピペット操作して再懸濁し、すべての管をプールし、充分に混合する。清浄(clean)ヒト調製物15μg/ウェル、清浄マウス調製物10μg/ウェル、汚染(dirty)調製物30μg/ウェルを用いる。
1a.(ヒト):結合バッファで希釈する。
1b.(ヒト+4%血清):最終濃度4%とするために、100%ヒト血清ストック(−20℃で貯蔵)5.7%を添加する。結合バッファで希釈する。
1c.(マウス):結合バッファで希釈する。
2.洗浄バッファおよび希釈バッファ:氷冷結合バッファ10lを作製する:
20mM HEPES、pH7.4
1mM MgCl
0.01% CHAPS(w/v)
分子グレードまたはddHO水を使用
3.[5,6−H]−ニコチン酸:American Radiolabeled Chemicals,Inc.(カタログ#ART−689)。ストックは〜50Ci/mmol、1mCi/ml、エタノール中総量1ml→20μM。
7.5%EtOHおよび0.25μMトレーサーを含有する中間H−ナイアシン使用溶液を作製する。この溶液40μlを各ウェルで総量200μlに希釈する→1.5%EtOH、50nM最終トレーサー。
4.非標識ニコチン酸:
100mM、10mM、および80μMのストックを作製する。−20℃で貯蔵する。DMSOで希釈する。
5.プレートの調製:
1)アリコートを手作業でプレートに入れる。すべての化合物を二重反復で試験する。各実験は10mM非標識ニコチン酸を試料として含まなければならない。
2)10mMの化合物をプレート全体にわたって1:5希釈(8μl:40μl)に希釈する。
3)中間プレートのすべてのウェルに結合バッファ195μlを添加して、使用溶液を作製する(250μM→0)。各薬物プレートに対して1つの中間プレートが存在することになる。
4)薬物プレートから5μlを中間プレートに移す。4から5回混合する。
6.手順:
1)適切に希釈した19CD膜140μlを各ウェルに添加する。各薬物プレートに対して3つのプレートとなる:ヒト1、ヒト+血清1、マウス1。
2)適切な中間プレートから化合物20μlを添加する。
3)0.25μMのH−ニコチン酸40μlをすべてのウェルに添加する。
4)プレートを密封し、アルミニウムホイルで覆い、スピード2、タイタープレートシェーカーで3から4時間、室温で振とうする。
5)濾過し、氷冷結合バッファ8×200μlで洗浄する。最終プレート後、必ず装置を>1リットルの水で洗い流す。
6)フード内で一晩、空気乾燥する(空気が通過できるようにプレートを立てる)。
7)プレートの底部を封止する。
8)Microscint−20 40μlを各ウェルに添加する。
9)シーラーで上部を封止する。
10)Packard Topcountシンチレーションカウンタでカウントする。
11)算出プログラムにデータをアップロードし、さらにPrismで実数をプロットし、生じたグラフとIC50値の一致を判定する。
【0168】
本発明の化合物は一般に、H−ニコチン酸競合結合アッセイにおいて、約100nMから約25μMの範囲のIC50を有する。
35S−GTPγS結合アッセイ:
ナイアシン受容体またはベクターコントロールを安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞から調製した膜(7μg/アッセイ)をWallac Scintistripプレートでアッセイバッファ(100mM HEPES、100mM NaCl、および10mM MgCl、pH7.4)に希釈し、40μM GDP(最終[GDP]は10μMであった)を含有するアッセイバッファに希釈した試験化合物と共に〜10分間プレインキュベートし、その後35S−GTPγSを添加して0.3nMとした。起こり得る化合物の析出を回避するために、すべての化合物を最初に100%DMSOで調製し、次いでアッセイバッファで希釈して、アッセイでの最終濃度3%DMSOとした。結合を1時間進行させ、その後プレートを室温で15分間、4000rpmで遠心分離し、続いてTopCountシンチレーションカウンタでカウントした。結合曲線の非線形回帰分析をGraphPad Prismで行った。
膜の調製
材料:
CHO−K1細胞培養培地:10%FBS、2mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、および400μg/ml G418を含むF−12 Kaighn改変細胞培養培地
膜擦過(scrape)バッファ:20mM HEPES
10mM EDTA、pH7.4
膜洗浄バッファ: 20mM HEPES
0.1mM EDTA、pH7.4
プロテアーゼ阻害カクテル:P−8340(Sigma、St.Louis、MO)
手順:
(調製を通じてすべて氷上に保持する;バッファおよび細胞プレート)
15cmプレートから細胞培養培地を吸引除去し、冷PBS5mlで洗浄し、吸引する。
膜擦過バッファ5mlを添加し、細胞を擦り取る。擦過物を50mlの遠心分離管に移す。プロテアーゼ阻害カクテル50μlを添加する。
4℃で17分間、20,000rpmで遠心する。
上澄みを吸引除去し、ペレットを膜洗浄バッファ30mlに再懸濁する。プロテアーゼ阻害カクテル50μlを添加する。
4℃で17分間、20,000rpmで遠心する。
膜ペレットの上澄みを吸引除去する。ペレットは後で用いるために−80℃で凍結させることができ、またはすぐに用いることもできる。
アッセイ
材料:
グアノシン5’−二リン酸ナトリウム塩(GDP、Sigma−Aldrich カタログ#87127)
グアノシン5’−[γ35S]チオ三リン酸、トリエチルアンモニウム塩([35S]GTPγS、Amersham Biosciecesカタログ#SJ1320、〜1000Ci/mmol)
96ウェルScintiplate(Perkin−Elmer#1450−501)
結合バッファ:20mM HEPES、pH7.4
100mM NaCl
10mM MgCl
GDPバッファ:結合バッファ+GDP、0.4から40μM、アッセイ前に新しく作製
手順:
(アッセイ総容量=100μウェル)
化合物含有または化合物不含GDPバッファ 25μl(最終GDP 10μM、そのため40μMストックを使用)
結合バッファ中の膜 50μl(0.4mgタンパク質/ml)
結合バッファ中の[35S]GTPγS 25μl。[35S]GTPγSストック5μlを結合バッファ10ml(このバッファはGDPを含まない)に添加することによって作製する。
スクリーニングする化合物プレートを解凍する(5μl化合物@100%DMSO中2mMを含む娘プレート)
2mMの化合物をGDPバッファ245μlで1:50に希釈して、2%DMSO中40μMとする(注:GDPバッファ中のGDPの濃度は受容体によって決まり、最大シグナル対ノイズを得るように最適化するべきである)。
凍結膜ペレットを氷上で解凍する(注:これらはこの時点で実際には膜であり、細胞は膜調製ステップ中に塩を含まない低張性バッファで破壊され、細胞タンパク質の大部分は洗い流された)
POLYTRON PT3100(プローブPT−DA3007/2、設定7000rpm)を用いて、懸濁するまで膜を短時間ホモジナイズする(数秒。膜を温かくしないこと。そのためホモジナイズの破砕間は氷上に保持する)。膜タンパク質濃度をBradfordアッセイで求める。
膜を希釈して、タンパク質濃度を結合バッファ中0.40mg/mlとする(注:最終アッセイ濃度は20μg/ウェルである)。
Scintiplateにウェル毎25μlのGDPバッファ中化合物を添加する。
Scintiplateにウェル毎50μlの膜を添加する。
室温で5から10分間、プレインキュベートする(化合物が光感受性である可能性があるため、プレートをホイルで覆う)。
希釈した[35S]GTPγS 25μlを添加する。室温で60分間、シェーカー(Lab−Lineモデル#1314、設定4で振とう)でインキュベートする。一部の化合物が光感受性である可能性があるため、プレートをホイルで覆う。
プレートカバーで密封したプレートを22℃で20分間、2500rpmで遠心して、アッセイを停止する。
TopCount NXTシンチレーションカウンタ−35Sプロトコルで読み取る。
【0169】
本発明の化合物は一般に、インビトロ機能GTPγS結合アッセイにおいて、約1μM未満から約100μMの範囲のEC50を有する。
【0170】
レーザードップラーによるフラッシング
雄C57B16マウス(〜25g)を、10mg/ml/kgのネムブタールナトリウムを用いて麻酔する。アンタゴニストを投与する場合、ネムブタール麻酔と同時に注射する。10分後、動物をレーザー下に置き、耳を折り返して腹側を暴露する。レーザーを耳の中央に配置し、8.4−9.0Vの強度に焦点を合わせる(一般に耳の上〜4.5cm)。データ収集は、15×15画像フォーマット、自動間隔、画像数60、時間遅延20秒、中解像度で開始する。10番目の画像後、腹膜腔注射によって試験化合物を投与する。画像1−10はこの動物の基準と見なし、データは基準平均強度の平均に正規化する。
【0171】
材料および方法−Laser Doppler Pirimed PimII;ナイアシン(Sigma);ネムブタール(Abbott labs)。
【0172】
本発明の化合物は、このアッセイにおいて100mg/kgの高用量でフラッシングを示さなかった。
【0173】
さらに、ニコチン酸受容体は、2002年10月24日公開のWO02/084298A2、ならびにSoga,T.等、Tunaru,S等、およびWise,A.等(上で引用)において同定され、特徴が明らかにされている。
【0174】
本明細書に引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、これらの全体を参照により本明細書の一部とする。いくつかの好ましい実施形態を本明細書に詳しく記載したが、多数の別の実施形態が本発明の範囲内であると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Xは、炭素または窒素原子を表し、
【化2】

は、1から2個の窒素原子を含有する5から7員複素環を表し、
Xが窒素原子を表すとき、Dは結合を表し、Bは不在であり、
Xが炭素原子を表すとき、BおよびBは、一緒になるか、または個別であることができ、
BおよびBが一緒になっているとき、Dは結合を表し、BおよびBは一緒に、5から6個の原子を含有し、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、および窒素から選択される1個のヘテロ原子または基を場合により含有するスピロ環を表し、前記スピロ環は、1個のオキソ基で場合により置換されており、フェニル環に場合により縮合されており、前記スピロまたは縮合フェニル環は、3個のR基を有し、
BおよびBが個別であるとき、Dは、結合、酸素原子、または−(CH1−3−を表し、Bは水素を表し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
3個のR基が存在し、この1から3個は、水素およびハロからなる群から選択され、この0から2個は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
はそれぞれ独立して、水素、ハロ、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、もしくはOHを表すか、または2個のR基が結合して、5から6員縮合環を形成することができ、2個のこのような環が可能であり、
は、−COH、または
【化3】

を表し、
はそれぞれ独立して、H、ハロ、メチル、または1から3個のハロ原子で置換されたメチルを表す]の化合物、または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
Dが結合、酸素原子、−CH−、または−CHCH−を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Dが結合を表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが炭素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xが窒素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
【化4】

が1から2個の窒素原子を含有する7員複素環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がCOH基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素またはフッ素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がそれぞれ水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がそれぞれ水素原子およびCHから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1から2個のR基がCHを表し、残りが水素を表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がそれぞれ水素原子を表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在する、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
BおよびBが個別であり、BはHを表し、Bは6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
BおよびBが個別であり、BはHを表し、Bは6から10員アリール基を表す、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Bがナフチル基を表す、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
BおよびBが個別であり、BはHを表し、Bは5から10員ヘテロアリール基を表す、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
BおよびBが一緒になり、5から6個の原子を有するスピロ環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
BおよびBが一緒になり、この1つが酸素原子である5または6個の原子を有するスピロ環を表す、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
2から3個のR基がHおよびハロから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
0から1個のR基が、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りのR基は水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
0から1個のR基が、フェニルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りのR基は水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
式I−A:
【化5】

[式中、
Dは、結合、酸素原子、−CH−、または−CHCH−を表し、
はそれぞれ、水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在し、
BおよびBは、一緒になるか、または個別であることができ、
BおよびBが一緒になっているとき、BおよびBは一緒に、5から6個の原子を含有し、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、および窒素から選択される1個のヘテロ原子または基を場合により含有するスピロ環を表し、前記スピロ環は、1個のオキソ基で場合により置換されており、フェニル環に場合により縮合されており、前記スピロまたは縮合フェニル環は、3個のR基を有し、
BおよびBが個別であるとき、Bは水素を表し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
0から1個のR基は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)、フェニル、ヘテロアリール、−O−フェニル、および−O−ヘテロアリールから選択され、前記フェニルおよびヘテロアリール基および部分は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
1−3アルキルおよびOC1−3アルキルのアルキル部分は、1から3個のハロ原子、および1個のフェニルまたはヘテロアリール基で場合により置換されており、前記フェニルおよびヘテロアリール基は、1から3個の基(この1から3個はハロ原子であり、1から2個は、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、OH、NH、およびCNからなる群から選択される)で場合により置換されており、
残りの2から3個のR基は、Hおよびハロから選択される]によって表される請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項24】
式I−B:
【化6】

[式中、
Dは結合を表し、
はそれぞれ、水素原子およびCHから選択されるか、または2個のR基が一緒になり、5員環を表し、2個のこのような環が存在し、
Bは、6から10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する5から10員ヘテロアリール基を表し、
0から1個のR基は、OH、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、CN、C(O)NH、C(O)NH(C1−3アルキル、C(O)N(C1−3アルキル)から選択され、
残りの2から3個のR基は、Hおよびハロから選択される]によって表される請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項25】
Bが10員アリール基、または1から4個のヘテロ原子(この0から4個は窒素であり、0から2個は酸素であり、0から1個は硫黄である)を含有する9から10員ヘテロアリール基を表し、前記基Bは3個のR基(この1つはOHであり、残りは水素またはハロ原子である)で置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
表1に示した請求項1に記載の化合物、
【表1】



または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項27】
医薬的に許容される担体と組み合わせた請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項28】
アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法。
【請求項29】
脂質異常症を治療するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において脂質異常症を治療する方法。
【請求項30】
糖尿病を治療するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者において糖尿病を治療する方法。
【請求項31】
メタボリックシンドロームを治療するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者においてメタボリックシンドロームを治療する方法。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物およびDP受容体アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記組み合わせが、実質的なフラッシングなしに、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病、または関連する状態を治療するのに有効な量で投与される、このような治療を必要としているヒト患者においてアテローム性動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、または関連する状態を治療する方法。
【請求項33】
請求項1に記載の化合物、および化合物AからAJ、
【表2】


または医薬的に許容されるこの塩もしくは溶媒和物からなる群から選択されるDP受容体アンタゴニストを患者に投与することを含む、このような治療を必要としているヒト患者においてアテローム性動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病、または関連する状態を治療する方法。

【公表番号】特表2009−507791(P2009−507791A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529136(P2008−529136)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033304
【国際公開番号】WO2007/027532
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】