説明

ナビゲーションシステム、及び車載ナビゲーション装置

【課題】車両の特定ガス排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことが可能なナビゲーションシステム、及び車載ナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、該作成した走行計画に基づく走行案内を行なうナビゲーションシステムであって、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する特定ガス排出量算出手段を備え、該特定ガス排出量算出手段により算出された特定ガス排出量を参照し、車両の特定ガス排出量が少なくなるように前記車両の走行計画を作成する、ナビゲーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、これに基づく走行案内を行なうナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや地球温暖化防止の観点から、自動車産業等、種々の産業界において、COの排出量を抑制するための研究が進められている。
【0003】
これに関連し、車載ナビゲーション装置であって、出発地から目的地に至る経路を探索(生成)する際に、COその他の温室効果ガスの排出量を最小にするような経路を生成する装置についての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−30823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の装置においては、リンク(ナビゲーションシステムの地図データにおける道路区間をいう)毎に温室効果ガスの排出量を算出する際に、時間帯による変動を考慮していない。従って、深夜に交通量が少ない場合でも渋滞しやすい道路を避けてしまう等の非効率な経路生成を行なってしまう場合がある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両の特定ガス排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことが可能なナビゲーションシステム、及び車載ナビゲーション装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、該作成した走行計画に基づく走行案内を行なうナビゲーションシステムであって、
複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する特定ガス排出量算出手段を備え、
該特定ガス排出量算出手段により算出された特定ガス排出量を参照し、車両の特定ガス排出量が少なくなるように前記車両の走行計画を作成する、
ナビゲーションシステムである。
【0007】
この本発明の第1の態様によれば、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出し、算出した車両の特定ガス排出量が少なくなるように車両の走行計画を作成するため、車両の特定ガス排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことができる。
【0008】
本発明の第1の態様において、
複数の道路区間について、時間帯毎の運転条件に関する情報を取得する運転条件情報取得手段を備え、
前記特定ガス排出量算出手段は、該運転条件情報取得手段により取得された時間帯毎の運転条件に関する情報を用いて、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する手段であるものとしてもよい。
【0009】
本発明の第1の態様において、
前記車両の走行計画は、車両の特定ガス排出量が少なくなる車両の発進時刻を含むものとすると、好適である。
【0010】
また、本発明の第1の態様において、
気象条件を取得する気象条件取得手段を備え、
該気象条件取得手段により取得された気象条件を加味して前記車両の走行計画を作成するものとすると、好適である。
【0011】
本発明の第2の態様は、
出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、該作成した走行計画に基づく走行案内を行なう車載ナビゲーション装置であって、
複数の道路区間に関する時間帯毎の運転条件に関する情報を、通信により車外設備から取得する運転条件情報取得手段と、
該運転条件情報取得手段により取得された時間帯毎の運転条件に関する情報を用いて、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する特定ガス排出量算出手段と、を備え、
該特定ガス排出量算出手段により算出された特定ガス排出量を参照し、車両の特定ガス排出量が少なくなるように前記車両の走行計画を作成する、
車載ナビゲーション装置である。
【0012】
この本発明の第2の態様によれば、複数の道路区間に関する時間帯毎の運転条件に関する情報を通信により車外設備から取得し、これを用いて、複数の道路区間について時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出し、算出した車両の特定ガス排出量が少なくなるように車両の走行計画を作成するため、車両の特定ガス排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことができる。
【0013】
本発明の第2の態様において、
前記車両の走行計画は、車両の特定ガス排出量が少なくなる車両の発進時刻を含むものとすると、好適である。
【0014】
また、本発明の第2の態様において、
気象条件を取得する気象条件取得手段を備え、
該気象条件取得手段により取得された気象条件を加味して前記車両の走行計画を作成するものとすると、好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の特定ガス排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことが可能なナビゲーションシステム、及び車載ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の一実施例に係るナビゲーションシステム1、及び車載ナビゲーション装置10について説明する。図1は、ナビゲーションシステム1、及び車載ナビゲーション装置10の全体構成の一例を示す図である。ナビゲーションシステム1は、車載ナビゲーション装置10と、情報センター100と、を有する。
【0018】
車載ナビゲーション装置10は、主要な構成として、通信装置20と、エンジンECU(Electronic Control Unit)30と、GPS(Global Positioning System)受信機40と、入出力装置42と、記憶装置44と、ナビゲーション装置用ECU50と、を備える。
【0019】
通信装置20は、例えば無線基地局70及びネットワーク80を介して情報センター100との通信を行なう。通信装置20と無線基地局70との間では、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話、ビーコン等を利用した無線通信が行なわれる。また、無線基地局70と情報センター100を接続するネットワーク80は、例えば、公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線ネットワークである。通信装置20は、例えば、データ通信アンテナや通信モジュール等を備える。また、Bluetooth対応の携帯電話機が用いられてもよいし、機械的に携帯電話機を連結して用いてもよい。更に、上記以外の通信態様に対応するものとして、ビーコン送受信機やFM多重放送受信機を含んでもよい。
【0020】
情報センター100は、例えば自動車メーカーの情報サービス施設や公的機関の施設であり、各種統計処理を行なう情報処理装置や、統計結果である交通情報が格納される交通情報データベース102等を備える。情報センター100の設置場所やハードウエアの具体的態様については特段の制限は存在せず、如何なるものを用いてもよい。情報センター100との通信内容については後述する。
【0021】
エンジンECU30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターであり、その他、I/Oポート、タイマー、カウンター等を備える。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。エンジンECU30は、車両のエンジン制御を集中して行なっており、車速センサー31、エアフローメーター(排気側)32、クランク角センサー33、スロットル開度センサー34、その他の車載センサーの出力データが入力されている。これらのセンサーから入力される出力データはエンジン制御に用いられる他、必要に応じてナビゲーション装置用ECU50に出力される。
【0022】
車速センサー31は、例えば、車両の各車輪に取り付けられた車輪速センサーとスキッドコントロールコンピューターからなり、車輪速センサーが出力する車輪速パルス信号をスキッドコントロールコンピューターが車速矩形波パルス信号(車速信号)に変換して出力する。エアフローメーター(排気側)32は、車両のエキゾースト機構における任意の位置に設置され、瞬間排気量を検出する。クランク角センサー33はエンジンの出力軸であるクランクシャフトの回転角を検出するものであり、エンジンECU30はクランク角センサー33の出力データに基づいてエンジン回転数を算出する。スロットル開度センサー34は、スロットルモータにより開閉程度が調節されるスロットルバルブの開度を検出する。
【0023】
GPS受信機40は、複数のGPS衛星が送信している電波を受信し、これを復調して当該電波に含まれる航法メッセージ(衛星信号)をナビゲーション制御用ECU50に出力する。航法メッセージは、衛星軌道に関する情報や衛星時計の補正値、電離層の補正係数、衛星自身の動作状態を示すヘルスメッセージ等を含む。
【0024】
入出力装置42は、例えば、マイク、スピーカー、ブザー、表示装置、入力スイッチ等を含む。表示装置は、例えばタッチパネルとして構成され、画面上の所定の位置にGUI(Graphical User Interface)スイッチを設定し、電圧変化等を検出してユーザーのタッチ位置を認識する。
【0025】
記憶装置44は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、その記憶媒体には地図データ45が記憶されている。地図データ45は、例えば、交差点等を表し、座標(緯度、経度)を有するノード点と、ノード点を接続し、区間距離や道路幅、車線数、道路曲率等が付随して記憶されたリンクと、により道路形状を表現している。また、地図データ45は、車載ナビゲーション装置10が案内する目的地の候補となる主要な施設、交差点、地名等の座標を含む情報を地点情報として有している。
【0026】
ナビゲーション装置用ECU50は、例えばエンジンECU30と同様のハードウエア構成を有するマイクロコンピューターである。ナビゲーション装置用ECU50は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、特定ガス排出量算出部51と、現在位置特定部52と、目的地設定部53と、走行計画作成部54と、案内部55と、を備える。なお、これらの機能ブロックが明確に別のプログラムに基づくものである必要はなく、同一プログラムの中に各機能ブロックを実現する複数の部分が含まれていてもよい。
【0027】
特定ガス排出量算出部51は、車両の走行に応じて原則として常時作動する機能ブロックであり、運転条件に応じた車両の特定ガス排出量を算出する。本実施例において特定ガスは二酸化炭素(CO2)である。以下、その具体例について述べる。
【0028】
まず、特定ガス排出量算出部51は、エンジンECU30から入力されるエンジン回転数やエンジン出力トルクに基づいてエネルギー効率をリアルタイムに算出し、これに基づいて現在の車両の排気量の何割が二酸化炭素であるか(二酸化炭素濃度)を算出する。これらの算出に関しては、所定の関数を用いてもよいし、予め算出用マップをROM等に記憶しておいてもよい。そして、エアフローメーター(排気側)32が出力する瞬間排気量に上記算出した二酸化炭素濃度を乗じることにより、瞬間二酸化炭素排出量を算出する。
【0029】
このように算出した瞬間二酸化炭素排出量は、計測期間の間、積分される。こうして計測期間における二酸化炭素排出量を得ることができる。計測期間は、地図データ45のリンクとするのが適切であり、以下、これを前提として説明する。そして、計測期間における二酸化炭素排出量を計測期間で除した平均二酸化炭素排出量(平均瞬間二酸化炭素排出量と換言してもよい)を、平均速度(上記「運転条件」の一例である)に対応付けて、記憶装置44の記憶媒体等に記憶させる。図2は、平均速度に対応付けられた平均二酸化炭素排出量のデータ(以下、二酸化炭素排出量テーブルと称する)を示す図である。なお、二酸化炭素排出量テーブルにおいて、「運転条件」を更に細分化し、計測期間における停止回数や速度値の分散等に対応付けて二酸化炭素排出量を記憶してもよい。
【0030】
この二酸化炭素排出量テーブルは、車載ナビゲーション装置10が搭載された車両に特有の特定ガス排出傾向を示すデータテーブルである。従って、後述する如くリンク毎の運転条件を取得し、これに二酸化炭素排出量テーブルを適用することにより、あるリンクをこれから走行する場合に排出される二酸化炭素の量を推定することができる。
【0031】
現在位置特定部52は、複数のGPS衛星からの航法メッセージを解析し、車両の現在位置(緯度、経度、及び高度をいう)を特定する。具体的には、航法メッセージに含まれる衛星軌道の情報等から各GPS衛星のワールド座標系(例えばWGS84)における位置(Xs,Ys,Zs)を算出し、電波の到達時間(到達時刻−発信時刻)に光速を乗じて各GPS衛星と車両との間の擬似距離を算出し、複数のGPS衛星について算出される擬似距離及び位置を用いて、三角測量の原理により車両の現在位置を算出する。なお、車両の現在位置は、車速センサー31やジャイロセンサー等の各種センサーの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。
【0032】
目的地設定部53は、乗車時等の所定のタイミングで入出力装置42を用いて目的地設定をユーザーに促し、音声又はタッチ操作等によりユーザーが目的地を設定すると、これを地図データ45の地点情報から検索し、発見された目的地の座標を走行計画作成部54に出力する。
【0033】
走行計画作成部54は、目的地設定部53から目的地の座標を取得したときに処理を開始し、現在位置特定部52により特定された車両の現在位置から目的地に至る推奨経路を生成する。通常の車載ナビゲーション装置では、ダイクストラ法等を用いて総走行時間が短くなるように推奨経路を生成するが、本実施例の走行計画作成部54は、車両の二酸化炭素排出量が少なくなるように推奨経路を生成する。以下、その具体例について説明する。
【0034】
まず、走行計画作成部54は、車両の現在位置から目的地に到達可能な経路(推奨経路候補)を複数本(n本)、生成する。そして、各推奨経路候補について、経路に含まれるリンクを抽出し、抽出したリンクを特定する情報(リンクにおける進行方向を含む)を情報センター100に送信するように通信装置20を制御する。
【0035】
これを受信した情報センター100では、受信した情報に含まれる各リンクについて、現時点、及び各所定時間後(例えば、10分後、20分後、30分後、…3時間後等)における走行所要時間を交通情報データベース102から抽出して車載ナビゲーション装置10に返信する。なお、走行所要時間は、例えばプローブ情報システム(プローブカーで計測されたデータを情報センターに送信させ、情報センターにおいて統計処理を行なって情報を生成するシステムをいう)により、時間帯毎の統計情報として生成される。図3は、交通情報データベース102に格納されている走行所要時間情報を示す図である。この場合のプローブカーは、車載ナビゲーション装置10を搭載する車両であってもなくてもよい。また、これに限らず、公的に発表される各種データが用いられてもよい。
【0036】
以下、情報センター100との間で送受信されたデータに含まれるリンクのリンクナンバーをk(=1〜n)とする。各リンクに関する走行所要時間Tk(0)を取得した走行計画作成部54は、各リンクについて区間距離(地図データ45に含まれる)Dkを現時点の走行所要時間で除して平均速度Vk(0)を算出する(なお、走行に応じて時間が経過することに鑑み、経路における後の方に走行するリンクについては所定時間後の走行所要時間を用いてよい)。括弧内の「0」は、現時点のデータを扱うことを示す係数である。そして、算出した平均速度Vk(0)に二酸化炭素排出量テーブルを適用して現時点における各リンクについての平均二酸化炭素排出量Ck#(0)を導出し、導出した平均二酸化炭素排出量Ck#(0)にそのリンクの現時点における走行所要時間Tk(0)を乗じて、直ぐに出発した場合の、各リンクを走行した際の二酸化炭素排出量Ck(0)を算出する。以上の関係を、次式(1)〜(3)に示す。
【0037】
Vk(0)=Dk/Tk(0) …(1)
Ck#(0)=f(Vk(0)) …(2)
Ck(0)=Ck#(0)×Tk(0) …(3)
【0038】
そして、前述の如く生成した各推奨経路候補について、経路に含まれるリンクを全て走行した際の二酸化炭素排出量を加算し、現時点における、各推奨経路候補を走行した際の二酸化炭素排出量を算出する。続いて、これらのうち二酸化炭素排出量が最少のものを選択し、直ぐに出発した場合に最も二酸化炭素排出量が少ない経路が決定される。
【0039】
同様に、走行計画作成部54は、各リンクについて区間距離Dkを各所定時間後の走行所要時間で除して、各所定時間後の平均速度Vk(i)を算出する。なお、括弧内の「i」は、何分後のデータによるものかを示す係数であり、i=1〜mとする。そして、算出した各所定時間後の平均速度Vk(i)に前述した二酸化炭素排出量テーブルを適用して、所定時間後の各リンクについての平均二酸化炭素排出量Ck#(i)を導出し、平均二酸化炭素排出量Ck#(i)に各所定時間後の走行所要時間Tk(i)を乗じて、所定時間後の、各リンクを走行した際の二酸化炭素排出量を算出する。以上の関係を、次式(4)〜(6)に示す。
【0040】
Vk(i)=Dk/Tk(i) …(4)
Ck#(i)=f(Vk(i)) …(5)
Ck(i)=Ck#(i)×Tk(i) …(6)
【0041】
そして、前述の如く生成した推奨経路候補のそれぞれについて、且つ各所定時間後について、経路に含まれるリンクを走行した際の二酸化炭素排出量を加算し、各推奨経路候補を走行した際の二酸化炭素排出量を算出する。続いて、各所定時間後について、二酸化炭素排出量が最少のものを選択し、各所定時間後に出発した場合に最も二酸化炭素排出量が少ない経路がm本決定される。
【0042】
最後に、直ぐに出発した場合に最も二酸化炭素排出量が少ない経路と、各所定時間後に出発した場合に最も二酸化炭素排出量が少ないm本の経路とを比較し、これらのうち最も二酸化炭素排出量が少ない経路を選択して、推奨経路とする。なお、必ずしも最も二酸化炭素排出量が少ない経路に拘泥する必要はなく、走行所要時間が極めて短い経路が存在するような場合にはこれを選択するように、柔軟に経路選択を行なっても構わない。
【0043】
このように生成された推奨経路は、二酸化炭素の排出量を少なくするために、最適な経路及び出発時刻が選択されたもの(走行計画)である。従って、本実施例の車載ナビゲーション装置10は、車両の二酸化炭素排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことができる。
【0044】
案内部55は、走行計画作成部54が生成した推奨経路に沿って自車両が走行できるように、入出力装置42を用いたナビゲーション表示や音声案内を制御する。具体的には、交差点における右左折の案内や、高速道路の利用案内、目的地が近づいてきた旨の案内等を行なうように、入出力装置42を制御する。
【0045】
図4は、車載ナビゲーション装置10において目的地が設定された際に、ナビゲーションシステム1により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、ナビゲーション装置用ECU50は、推奨経路候補をn本作成し(S200)、これらに含まれるリンクを特定する情報を情報センター100に送信するように通信装置20を制御する(S202)。
【0047】
情報センター100では、係る情報を受信し(S204)、受信した情報に含まれる各リンクについて、現時点、及び各所定時間後における走行所要時間を交通情報データベース102から抽出し(S206)。抽出した情報を車載ナビゲーション装置10に送信する(S208)。
【0048】
通信装置20は、係る情報を受信してナビゲーション装置用ECU50に出力する(S210)。ナビゲーション装置用ECU50は、係数iが0からmまで変化するまでの間、繰り返し以下の処理を実行する(S212〜S220)。なお、係数iは、初期値として0が設定されている。
【0049】
まず、各リンクについて区間距離Dkを現時点の走行所要時間で除して平均速度Vk(i)を算出する(S212)。そして、算出した平均速度Vk(i)に二酸化炭素排出量テーブルを適用して各リンクについての平均二酸化炭素排出量Ck#(i)を導出し(S214)、導出した平均二酸化炭素排出量Ck#(i)に走行所要時間Tk(i)を乗じて、各リンクを走行した際の二酸化炭素排出量Ck(i)を算出する(S216)。これらが終了すると、係数iに1を加算する(S218)。
【0050】
係数iがを超えると(S220のYes)、生成した複数の経路のうち最も二酸化炭素排出量が少ない経路を選択して、推奨経路とする(S222)。
【0051】
本実施例のナビゲーションシステム1、及び車載ナビゲーション装置10によれば、車両の二酸化炭素排出量を少なくする走行計画の作成を、より精度よく行なうことができる。
【0052】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、実施例のナビゲーションシステム1では情報センター100においてリンク毎の走行所要時間を算出し、車載ナビゲーション装置10において走行計画の作成を行なうものとしたが、情報センター100がリンク毎の走行所要時間算出と走行計画の作成の双方を行なって、作成した走行計画を車載ナビゲーション装置10に送信する構成であってもよい。また、各車両が自車両に関する運転条件に応じた車両の特定ガス排出量を算出するのではなく、車種毎に予め収集された運転条件に応じた車両の特定ガス排出量を、情報センター100が保持する構成であってもよい。
【0054】
また、気象状況や事故情報等を反映させて走行計画の作成を行なってもよい。具体的には、運転条件に応じた車両の特定ガス排出量を気象状況毎に算出してもよいし、事故情報や気象状況に応じてリンク毎の走行所要時間をリアルタイムに補正してもよい。
【0055】
また、最適な出発時刻の案内を行なわず、直ぐに出発した場合に車両の二酸化炭素排出量を少なくする推奨経路を選択して案内を行なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ナビゲーションシステム1、及び車載ナビゲーション装置10の全体構成の一例を示す図である。
【図2】平均速度に対応付けられた平均二酸化炭素排出量のデータ(二酸化炭素排出量テーブル)を示す図である。
【図3】交通情報データベース102に格納されている走行所要時間情報を示す図である。
【図4】車載ナビゲーション装置10において目的地が設定された際に、ナビゲーションシステム1により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 ナビゲーションシステム
10 車載ナビゲーション装置
20 通信装置
30 エンジンECU
31 車速センサー
32 エアフローメーター(排気側)
33 クランク角センサー
34 スロットル開度センサー
40 GPS受信機
42 入出力装置
44 記憶装置
45 地図データ
50 ナビゲーション装置用ECU
51 特定ガス排出量算出部
52 現在位置特定部
53 目的地設定部
54 走行計画作成部
55 案内部
70 無線基地局
80 ネットワーク
100 情報センター
102 交通情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、該作成した走行計画に基づく走行案内を行なうナビゲーションシステムであって、
複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する特定ガス排出量算出手段を備え、
該特定ガス排出量算出手段により算出された特定ガス排出量を参照し、車両の特定ガス排出量が少なくなるように前記車両の走行計画を作成する、
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
複数の道路区間について、時間帯毎の運転条件に関する情報を取得する運転条件情報取得手段を備え、
前記特定ガス排出量算出手段は、該運転条件情報取得手段により取得された時間帯毎の運転条件に関する情報を用いて、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する手段である、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記車両の走行計画は、車両の特定ガス排出量が少なくなる車両の発進時刻を含む、
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
気象条件を取得する気象条件取得手段を備え、
該気象条件取得手段により取得された気象条件を加味して前記車両の走行計画を作成する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
出発地から目的地に至る車両の走行計画を作成し、該作成した走行計画に基づく走行案内を行なう車載ナビゲーション装置であって、
複数の道路区間に関する時間帯毎の運転条件に関する情報を、通信により車外設備から取得する運転条件情報取得手段と、
該運転条件情報取得手段により取得された時間帯毎の運転条件に関する情報を用いて、複数の道路区間について、時間帯毎の車両の特定ガス排出量を算出する特定ガス排出量算出手段と、を備え、
該特定ガス排出量算出手段により算出された特定ガス排出量を参照し、車両の特定ガス排出量が少なくなるように前記車両の走行計画を作成する、
車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記車両の走行計画は、車両の特定ガス排出量が少なくなる車両の発進時刻を含む、
請求項5に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
気象条件を取得する気象条件取得手段を備え、
該気象条件取得手段により取得された気象条件を加味して前記車両の走行計画を作成する、請求項5又は6に記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−265039(P2009−265039A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117821(P2008−117821)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】