説明

ナビゲーションシステム、経路案内方法及び経路案内プログラム

【課題】グループ走行を支援するナビゲーションシステム、経路案内方法及び経路案内プログラムを提供する。
【解決手段】経路案内サーバ2は、グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得し、経路を変更し、経路外地点を経由する経路変更車両を検出する。また、経路変更車両を検出した際に、その経路変更車両以外のグループに属する車両が、経路外地点を経由する場合の増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出し、経路変更車両の検出を通知するとともに増加コストに基づく経路案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、経路案内方法及び経路案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
グループに属する複数の車両が同じ目的地に向かう際に、グループでの円滑な走行を支援するナビゲーション装置が提案されている。
一方、グループに属する各車両が同じ経路を走行している際に、そのうちの一台が給油や休憩等の突発的な目的で、経路沿いのサービスエリア又はパーキングエリア(以下、SA/PAと略す)に立ち寄ることがある。従来のシステムでは、この突発的事態に対応することができず、各車両が目的地に到着する前にはぐれることがある。
【0003】
これに対し、特許文献1には、突発的事態に対応するためのナビゲーションシステムが記載されている。このシステムでは、グループに属する車両のカーナビにおいて、「給油ボタン」等が押下されると、動態管理サーバが、ボタン情報に応じた施設のうち、グループの先頭を走行する先頭車両が経由できる施設を検索し、経由情報として各カーナビに送信する。
【特許文献1】特開2002−296041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、先頭車両に後続する後続車両が、通りがかったSA/PA等に突発的に立ち寄る場合も考えられる。この場合、上記システムでは、グループに属する各車両に対して最適な案内をすることはできない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、グループでの円滑な走行を支援することができるナビゲーションシステム、経路案内方法及び経路案内プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出するコスト算出手段と、前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行う案内手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内手段は、前記増加コストが基準値よりも大きい場合に、前記地点と異なる最寄りの経由地点を検索し、検索した経由地点を案内することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、自車両と同じグループに属する他車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記自車両が前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを算出するコスト算出手段と、前記自車両に対して前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増
加コストに基づく案内を行う案内手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、グループを構成する複数の車両の走行を支援する制御手段を用いた経路案内方法において、前記制御手段が、グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得し、予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出するとともに、前記経路変更車両を検出した際に、前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由した経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出し、前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行うことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、グループを構成する複数の車両の走行を支援する制御手段を用いた経路案内プログラムにおいて、前記制御手段を、グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出するコスト算出手段と、前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行う案内手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、経路変更する車両を検出するとともに、その経路変更車両に合わせて経路変更する場合の増加コストが各車両毎に算出される。さらに経路変更車両の検出及び増加コストに応じた案内が行われるので、円滑なグループ走行を支援することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、増加コストが基準値よりも大きい場合に、他の車両が経由した経由地点と異なる最寄りの経由地点が検索される。このため、各車両が同じ経由地点を経由することが難しい場合でも、一時的に異なる経由地点を経由することができ、グループに属する各車両がはぐれてしまうことを防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、自車両と同じグループに属する車両であって、経路変更する車両を検出するとともに、その経路変更車両に合わせて経路変更する場合の自車両の増加コストが算出される。さらに経路変更車両の検出及び増加コストに応じた案内が行われるので、円滑なグループ走行を支援することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、経路変更する車両を検出するとともに、その経路変更車両に合わせて経路変更した場合の増加コストが各車両毎に算出される。さらに経路変更車両の検出及び増加コストに応じた案内が行われるので、円滑なグループ走行を支援することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、経路案内プログラムに従って、経路変更する車両を検出するとともに、その経路変更車両に合わせて経路変更する場合の増加コストが各車両毎に算出される。さらに経路変更車両の検出及び増加コストに応じた案内が行われるので、円滑なグループ走行を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1は、本実施形態のグループ走行支援システム1の概略図である。グループ走行支援システム1は、ナ
ビゲーションシステムとしての経路案内サーバ2と、中継装置3と、グループを構成するメンバーの車両Cに搭載されたナビゲーション装置10(図2参照)とを備えている。
【0017】
経路案内サーバ2は、各メンバーの車両Cの車両挙動データを管理し、目的地までの経路や経由地点を案内する。経路案内サーバ2及び中継装置3は、専用線又は公衆回線網からなるネットワークNを介して各種データを送受信可能に接続されている。経路案内サーバ2は、この中継装置3を介して、予め登録されたグループに属する車両Cの現在位置を、車両Cに搭載されたナビゲーション装置10から取得する。
【0018】
ナビゲーション装置10は、現在位置等を含む車両挙動データを生成し、所定のタイミングで中継装置3に送信する。中継装置3は、取得したデータを経路案内サーバ2に送信する。
【0019】
次に、ナビゲーション装置10のハードウェア構成について、図2に従って説明する。ナビゲーション装置10は、制御部11を備え、この制御部11は、CPU12、RAM13、ROM14、車両側インターフェース(I/F)11A、通信インターフェース(I/F)16を備えている。
【0020】
CPU12は、車両側I/F11Aを介して、GPS(Global Positioning System)
受信部30、車速センサ31及びジャイロセンサ32から取得した検出信号に基づき、電波航法及び自律航法によって自車位置を特定する。
【0021】
また、ナビゲーション装置10は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体からなる地理情報記憶部17及びPOI(Point Of Interest)情報記憶部18から
各種データをそれぞれ読み出し可能となっている。
【0022】
地理情報記憶部17には、経路ネットワークデータ(以下、経路データ19という)及び地図描画データ20が格納されている。経路データ19は、リンクID、接続ノード、道路種別、進行方向、リンクコスト等を有している。また、経路データ19は、有料道路の料金を示す料金データを有している。
【0023】
地図描画データ20は、全国の地図を分割したメッシュ毎に格納され、背景データ、道路の形状を示す道路形状データ等を有している。制御部11は、この道路形状データと走行軌跡とを照合してマップマッチングを行う。
【0024】
また、上記したように、制御部11は、車両挙動データを生成する際、識別データ記憶部15に記憶された車両ID15A、現在位置、現在時刻、進行方向等を取得し、これらの情報を車両挙動データとして中継装置3に送信する。
【0025】
POI情報記憶部18には、POIデータ21が格納されている。POIデータ21は、エリア毎に、SA/PA、インターチェンジ(I/C)等の地点情報を有しており、例えばジャンル、名称、座標等を有している。
【0026】
また、ナビゲーション装置10は、画像プロセッサ22及び音声プロセッサ23を備えている。画像プロセッサ22は、地図描画データ20や他の描画データを読み出して、地図画面24等をディスプレイ25に表示する。また、音声プロセッサ23は、車室に設けられたスピーカ26から案内音声を出力する。
【0027】
次に、経路案内サーバ2のハードウェア構成について、図3に従って説明する。経路案内サーバ2は、制御部40を備え、この制御部40は、CPU41、RAM42、ROM
43、通信I/F44を備えている。制御部40は、経路案内プログラムを格納しており、位置取得手段、検出手段、コスト算出手段、案内手段及び制御手段を構成する。また、経路案内サーバ2は、挙動データ記憶部45、グループ情報記憶部46、経路情報記憶部47及びPOI情報記憶部48を備えている。
【0028】
挙動データ記憶部45には、ナビゲーション装置10から送信された車両挙動データ50がグループ毎に蓄積されている。
また、グループ情報記憶部46には、登録グループデータ51が格納されている。登録グループデータ51は、グループのメンバーとして選択された車両Cの車両ID等を有している。
【0029】
経路情報記憶部47には、経路データ52が格納されている。この経路データ52は、ナビゲーション装置10に格納された経路データ19と同じデータ値を有するが、データ構成は異なっていてもよい。
【0030】
POI情報記憶部48には、POIデータ53が格納されている。POIデータ53は、ナビゲーション装置10に格納されたPOIデータ21と同じデータを有するが、データ構成は異なっていてもよい。
【0031】
次に、本実施形態の処理手順について、図4及び図5に従って説明する。図4は、経路案内サーバ2のグループ管理処理を示すフローチャート、図5はグループ走行の初期設定及び車両位置取得の手順を示すフローチャートである。
【0032】
図4に示すように、経路案内サーバ2の制御部40は、グループ登録が行われたか否かを判断する(ステップS1−1)。例えば、グループの代表者が用いるナビゲーション装置10でグループ設定操作が行われた際に、グループ登録が行われたと判断する。この場合、代表者は、装置に格納されたデータベースから、グループに含める車両Cを指定し、目的地を指定する。この操作が行われると、ナビゲーション装置10は、メンバーに指定された車両Cの車両IDを上記データベースから抽出し、メンバーの車両ID及び目的地を経路案内サーバ2に送信する。或いは、代表者が用いるコンピュータ端末により、予めこのようなグループ登録を行ってもよい。
【0033】
経路案内サーバ2の制御部40は、ナビゲーション装置10から送信されたメンバーの車両IDを取得する(ステップS1−2)。また、制御部40は、ナビゲーション装置10から送信された目的地の座標を取得するとともに(ステップS1−3)、グループに属する各車両Cの出発地を取得する(ステップS1−4)。この出発地は、各メンバーのナビゲーション装置10から取得した車両挙動データ50に基づき判断してもよいし、代表者により設定された出発地でもよい。取得した車両ID、目的地及び出発地は、登録グループデータ51としてグループ情報記憶部46に記憶する。
【0034】
制御部40は、各車両Cの出発地と目的地とを取得すると、車両毎に同じグループに属する車両Cと合流して同じ目的地に向かうための初期経路を探索する(ステップS1−5)。探索した初期経路を示すリンクデータは、グループ情報記憶部46に記憶する。また、初期経路を示すリンクデータは、各メンバーの車両Cに搭載されたナビゲーション装置10にそれぞれ送信して、初期経路を各メンバーに通知してもよい。
【0035】
次に、制御部40は、グループ走行が開始されたか否かを判断する(ステップS1−6)。具体的には、グループ登録が完了した際に、直ちにグループ走行が開始されたと判断してもよいし、車両挙動データ50に基づき、グループに属する車両Cのいずれかが走行を開始したと判断した際に、グループ走行が開始されたと判断しても良い。
【0036】
グループ走行が開始されたと判断すると(ステップS1−6においてYES)、制御部40は、車両挙動データ50に基づき、走行に伴い変化する車両Cの位置を逐次取得し(ステップS1−7)、各メンバーの現在位置を追跡する。
【0037】
そして、制御部40は、グループ走行が終了したと判断するまで(ステップS1−8においてNO)、ステップS1−7を繰り返す。制御部40は、各車両Cが目的地に到着した際にグループ走行が終了したと判断してもよいし、メンバーによりグループ走行を中止する操作が行われた際に、グループ走行が終了したと判断しても良い。
【0038】
グループ走行が終了したと判断すると(ステップS1−8においてYES)、制御部40は、グループを初期化する(ステップS1−9)。例えば、RAM42等に一時記憶した目的地や、グループ情報記憶部46に格納された初期経路等を削除する。
【0039】
また経路案内サーバ2は、上記した処理を行いながら、経路変更車両検出処理を同時に行う。図5に示すように、制御部40は、ステップS1−5で探索した初期経路のリンクデータと、各車両Cの位置とを比較して、初期経路から外れた車両Cがあるか否かを判断する(ステップS2−1)。
【0040】
例えば、図6(a)に示すように、車両C1〜C3がグループ走行を行っているときに、一台の車両C2が初期経路である高速道路の本線車道100からSAへの進入路101に進入した際、制御部40は、経路変更車両としての車両C2から送信された車両挙動データ50に基づき、車両C2の初期経路からの離脱を検出する。
【0041】
また例えば、図6(b)に示すように、グループに属する車両C2が、進行方向において前方に渋滞列104を検出し、渋滞を回避するために、初期経路である本線車道100から、I/Cに接続した退出路102に進入した場合にも、制御部40は、車両C2の初期経路からの離脱を検出する。
【0042】
ステップS2−1において、各車両Cが初期経路上にあると判断した場合には(ステップS2−1においてNO)、ステップS2−1の処理を繰り返す。
一方、初期経路から外れた車両Cを検出した場合には(ステップS2−1においてYES)、その車両Cの経由地点を特定する(ステップS2−2)。経由地点とは、本実施形態では、初期経路外の地点であって、POIデータ53に登録されている地点である。尚、初期経路から外れた車両C2を検出したときの車両C2の位置等、POIデータ53に登録されていない地点に経由地点を設定してもよい。
【0043】
例えば図6(a)において、車両C2の位置がSAへの進入路101にマッピングされた場合或いは車両C2がSAに進入した場合などには、経由地点をSAに設定する。また、図6(b)において、車両C2の位置がI/Cに接続する退出路102にマッピングされた際或いはI/C103を通過した際などには、経由地点をI/C103に設定する。
【0044】
また、制御部40は、グループに属し、ステップS2−1で検出した車両以外の各車両Cのうち、経路を再探索する対象となる車両Cを一台選択する(ステップS2−3)。再探索対象の車両Cを選択すると、その車両Cの現在位置から上記経由地点を経由して目的地に到達するまでの経路を探索する(ステップS2−4)。
【0045】
例えば、図6(a)に示すように、SAに進入した車両C2に後続し、SAが進行方向前方にある車両C3をステップS2−3で選択した場合には、車両C3がSAを経由する場合の経路を探索する。また、SAを既に通過した車両C1をステップS2−3で選択し
た場合には、車両C1がSAを経由する場合の経路を探索する。
【0046】
また、図6(b)に示すように、I/C103を経由した車両C2に後続する車両C3をステップS2−3で選択した場合、車両C3がI/C103を経由する場合の経路を探索する。また、I/C103を通過した車両C1をステップS2−3で選択した場合、車両C1がI/C103を経由する場合の経路を探索する。
【0047】
経由地点を経由した経路を再探索すると、制御部40は、再探索した経路の増加コストを初期経路を基準として算出する(ステップS2−5)。本実施形態では、制御部40は、料金コスト、距離コスト及び時間コストのうち少なくとも一つの増分を算出する。料金コストは、有料道路の通行料等、料金に相関するコストである。距離コストは、走行距離に応じて増加するコストである。時間コストは、走行時間に応じて増加するコストである。
【0048】
次に、制御部40は、増加コストが基準値以下であるか否かを判断する(ステップS2−6)。ステップS2−5において、料金コストの増分を算出した場合には、基準値を「0円」等に設定する。また、距離コストの増分を算出した場合には、制御部40の図示しないメモリ内に記憶された基準値を抽出するか、或いは初期経路の距離の所定率(例えば5%)を基準値として算出する。例えば、初期経路が20kmであるとすると、その所定率(5%)の距離1kmに相当するコストを基準値とする。
【0049】
また、時間コストの増分を算出した場合には、制御部40の図示しないメモリに記憶された基準値を抽出するか、或いは初期経路の所要時間の所定率を基準値として算出する。例えば、総所要時間が200分であるとすると、その所定率(5%)の10分に相当するコストを基準値とする。また、ステップS2−5で複数のカテゴリの増加コストを算出している場合には、全ての増加コストが、カテゴリに応じて設定された基準値以下であるか否かを判断してもよいし、少なくとも一つの増加コストが基準値以下であるか否かを判断してもよい。
【0050】
ステップS2−6において増加コストが基準値以下であると判断すると(ステップS2−6においてYES)、制御部40は、ステップS2−2で再探索対象として選択した車両Cに対し、経路変更した車両C2の検出通知及び増加コストの案内を行う(ステップS2−7)。このとき、制御部40は、再探索対象の車両Cのナビゲーション装置10に対し、車両C2の自車位置と経由地点、及びステップS2−5で算出した増加コストを送信する。
【0051】
その結果、上記データを受信したナビゲーション装置10は、画像プロセッサ22を制御して、図7に示す案内画面60をディスプレイ25に出力する。案内画面60には、他車両情報表示部61、経由情報表示部62及び各操作部63A,63Bが表示されている。他車両情報表示部61には、経路変更した車両C2の名称と、経由地点とが表示されている。また、経由情報表示部62には、自車が経由地点を経由した場合の増加コストが表示されている。その車両Cのメンバーは、各表示部61,62を確認し、経路変更を行うと決定した場合には、経路変更のための変更操作部63Aを操作する。この操作を行うと、ナビゲーション装置10から経路案内サーバ2に、経路変更要求が送信される。また、経路を変更せず、初期経路を維持する場合には、操作部63Bを操作する。
【0052】
経路案内サーバ2の制御部40は、ナビゲーション装置10からの経路変更要求の有無に基づき、その車両Cが上記経由地点を経由するか否かを判断する(ステップS2−8)。経路変更要求を受信した場合には、経由地点を経由すると判断して(ステップS2−8においてYES)、その車両Cの経由地点として設定する(ステップS2−9)。このと
き、ステップS2−4で探索した経路を、それ以後の経路としてグループ情報記憶部46に格納し、制御部40は、その経路に基づいて、グループ走行の支援を行う。
【0053】
操作部63B等が操作されることにより、経由地点を経由しないと判断した場合(ステップS2−8においてNO)、又は経由地点を設定すると(ステップS2−8においてYESの場合によるステップS2−9)、制御部40は、グループの全ての車両Cに対して案内を終了したか否かを判断する(ステップS2−14)。即ち、経由地点に進入した車両C2以外の全ての車両Cに対して、上記処理を行ったか否かを判断する。残りの車両Cがある場合には(ステップS2−14においてNO)、ステップS2−2に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0054】
一方、ステップS2−6において、制御部40が、増加コストが基準値超であると判断した場合(ステップS2−6においてNO)、その車両Cが経由地点を経由することが比較的困難であるため、その車両Cの最寄りの経由地点を検索する(ステップS2−10)。例えば、図6(a)に示すように、先頭を走行する車両C1の増加コストが基準値超となる場合、その車両C1に対して、車両C2が経由した経由地点と同じジャンルの経由地点をPOIデータ53を用いて検索する。そして例えば、車両C1の進行方向において前方にあるPA等を検出する。このため、後続する車両C2がSAで休憩をとった場合には、車両C1はその先のPAで合わせて休憩を取ることで、車両C1,C2の位置が大きく離れ、円滑なグループ走行ができなくなることを抑制することができる。
【0055】
また例えば、図6(b)に示すように、先頭を走行する車両C1の増加コストが基準値超となる場合、その車両C1の進行方向において前方にあるI/CをPOIデータ53を用いて検索する。このため、後続する車両C2がI/C103で一般道に進入した場合には、車両C1もその先のI/Cで高速道路を降りることで、その先で速やかに車両C2と合流することができる。
【0056】
最寄りの経由地点を検索すると、制御部40は、経路変更した車両C2の検出通知及び最寄りの経由地点の案内を行う(ステップS2−11)。このとき、車両Cのナビゲーション装置10に対して、車両C2の自車位置と経由地点、及びステップS2−10で検索した最寄の経由地点を送信する。
【0057】
その結果、上記データを受信したナビゲーション装置10は、画像プロセッサ22を制御して、図8に示す案内画面65をディスプレイ25に出力する。案内画面65には、他車両情報表示部66及び経由地点表示部67が表示されている。他車両情報表示部66には、経路変更した車両C2の名称と、経由地点とが表示されている。
【0058】
経由地点表示部67には、最寄りの経由地点の経由を決定するための操作部67Aが表示されている。例えば、自車の進行方向において前方の最寄りのSA/PAが表示されている。メンバーは、操作部67Aを操作して、所望の経由地点を選択する。操作部67Aを操作すると、ナビゲーション装置10から経路変更要求が経路案内サーバ2に送信される。また、操作部67A以外の操作部を操作することにより、初期経路を維持することもできる。
【0059】
経路案内サーバ2の制御部40は、ナビゲーション装置10から経路変更要求を受信したか否か等に基づき、最寄りの経由地点を経由するか否かを判断する(ステップS2−12)。経路変更要求を受信すると(ステップS2−12においてYES)、最寄りの経由地点をその車両Cの経由地点として設定し(ステップS2−13)、ステップS2−14に進む。初期経路を維持することを示すデータを受信した場合には(ステップS2−12においてNO)、ステップS2−14に進む。
【0060】
制御部40は、ステップS2−14において、グループの全ての車両Cに対して案内を終了したか否かを判断し、案内が終了した場合には(ステップS2−14においてYES)、ステップS2−1に戻り、グループ走行が終了するまで処理を繰り返す。
【0061】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、経路案内サーバ2は、グループを構成する複数の車両Cの現在位置をそれぞれ取得し、経路を変更した車両Cを検出する。また、経路変更した車両Cを検出した際に、その車両C2の経由地点を特定し、その車両以外のグループに属する車両Cが、その経由地点を経由した場合の増加コストを該車両毎にそれぞれ算出する。さらに、各ナビゲーション装置10に対して、経路変更した車両Cの検出を通知し、増加コストが基準値以下である場合には、上記経由地点と増加コストを案内し、増加コストが基準値超である場合には、最寄りの経由地点を案内する。このため、メンバーは、経路から離脱した車両Cがあることを確認することができる。また、増加コストに応じて、各車両Cに対して最適な経由地点を案内することができるので、各車両Cは、料金、距離又は時間を初期経路から大幅に変更することなく、円滑なグループ走行を行うことができる。
【0062】
(2)上記実施形態では、経路案内サーバ2は、増加コストが基準値よりも大きい場合に、始めに初期経路から離脱した車両Cの経由地点とは異なる最寄りの経由地点を検索する。このため、各車両Cが同じ経由地点を経由することが困難でも、それぞれ異なる経由地点を経由することにより速やかに合流することができる。
【0063】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、増加コストが基準値超である場合に、ナビゲーション装置10で表示される案内画面65で、増加コストを表示するようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、増加コストが基準値以下である場合に他車両が経由した経由地点を案内し、基準値超である場合に最寄りの経由地点を案内するようにした。これ以外に、増加コストの大小に関わらず、他車両が経由した経由地点と増加コストとを案内して、経由するか否かをメンバーに選択可能にしてもよい。或いは、増加コストの大小に関わらず、各経由地点の両方を案内し、各経由地点をメンバーに選択可能にしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、経路案内サーバ2が初期経路に対する増加コストの算出、増加コストと基準値との比較を行うようにしたが、ナビゲーション装置10が自車に対して、これらの処理を行うようにしてもよい。この場合、例えばナビゲーション装置10は、経路案内サーバ2から、他車両の経由地点を取得し、該経由地点と自車位置とに基づいて増加コストを算出する。つまり、この場合、ナビゲーション装置10は、ステップS2−3において再探索対象の車両を自車両のみとし、上記したステップS2−1〜ステップS2−13の処理を同様に行う。
【0066】
・上記実施形態では、ナビゲーションシステムを経路案内サーバ2に具体化したが、ナビゲーション装置10に具体化してもよい。この場合、例えばナビゲーション装置10の制御部11が、車車間通信により、各メンバーの車両Cの現在位置を取得し、各車両Cの初期経路から離脱したか否かを判断する。このとき、制御部11は、位置取得手段、検出手段、コスト算出手段、案内手段及び制御手段を構成し、経路案内プログラムを格納する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】グループ走行支援システムの概略図。
【図2】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】経路案内サーバのハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】グループ走行の初期設定及び車両位置取得の手順を示すフローチャート。
【図5】経路を変更した車両検出処理を示すフローチャート。
【図6】(a)は車両がSA/PAを経由する概念図、(b)は車両がI/Cを経由する概念図。
【図7】案内画面の画面図。
【図8】案内画面の画面図。
【符号の説明】
【0068】
1…グループ走行支援システム、2…ナビゲーションシステムとしての案内サーバ、10…ナビゲーションシステムとしてのナビゲーション装置、40…位置取得手段、検出手段、コスト算出手段、案内手段及び制御手段としての制御部、103…経路外地点としてのI/C、C,C1〜C3…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出するコスト算出手段と、
前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行う案内手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記案内手段は、
前記増加コストが基準値よりも大きい場合に、前記地点と異なる最寄りの経由地点を検索し、検索した経由地点を案内することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
自車両と同じグループに属する他車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記自車両が前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを算出するコスト算出手段と、
前記自車両に対して前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行う案内手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
グループを構成する複数の車両の走行を支援する制御手段を用いた経路案内方法において、
前記制御手段が、
グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得し、予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出するとともに、
前記経路変更車両を検出した際に、
前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由した経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出し、前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行うことを特徴とする経路案内方法。
【請求項5】
グループを構成する複数の車両の走行を支援する制御手段を用いた経路案内プログラムにおいて、
前記制御手段を、
グループを構成する複数の車両の現在位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
予め設定されている設定経路を変更し、経路外の地点を経由する経路変更車両を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記経路変更車両を検出した際に、前記グループに属する車両のうち、前記経路変更車両以外の前記車両に対して、前記地点を経由する経路の前記設定経路に対する増加コストを、該車両毎にそれぞれ算出するコスト算出手段と、
前記増加コストを算出した前記車両に対して、前記経路変更車両の検出を通知するとともに前記増加コストに基づく案内を行う案内手段として機能させることを特徴とする経路案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−229294(P2009−229294A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76148(P2008−76148)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】