説明

ナビゲーション装置、レーン案内方法

【課題】地図データに料金所のレーン情報が含まれていなくても、車両を走行すべきレーンに誘導する。
【解決手段】ナビゲーション処理部100は、料金所から所定距離の地点から、ETC受領信号受信部114がETC受領信号を受信するまでの間、車両軌跡算出部112に車両の走行軌跡を算出させる。そして、走行軌跡からETCレーンの概略位置を算出して記憶装置に蓄積する。また、ナビゲーション処理部100は、車両が料金所から所定距離内に接近すると、その料金所のETCレーンの概略位置を記憶装置から取得し、表示処理部106を介して表示させ、ユーザをETCレーンへ誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるナビゲーション装置に関し、特に、料金所のETC(Electronic Toll Collection)レーンの案内を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ITS(Intelligent Transport Systems)の発展とともに、高速道路などの有料道路には、車両を停止させることなく料金を自動で収受するシステム(ETCシステム)が導入されている。そのため、料金所には、ETCに対応したレーン(以下、「ETCレーン」という)が設けられている。
【0003】
しかしながら、全ての車両がETC車載器を搭載しているとは限らないし、ETC車載器を搭載していても、ETCカードが未装着である場合も想定される。そこで、料金所には、従来通り人間を介して料金を収受する一般レーンも設けられている。
【0004】
このように、ETCレーンと一般レーンとが混在することに鑑みて、レーンの配置情報を、予め記憶しておき、若しくは、料金所との通信により取得し、その配置情報を用いて車両をETCレーンに誘導する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−146598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような技術では、ナビゲーション装置は、料金所のレーン配置に関する情報や、各レーンへの経路情報(リンクなど)などを含む地図データを、予め備える必要がある。
【0007】
そのため、上記のような地図データを備えていないナビゲーション装置は、車両を走行すべきレーンへと誘導することができない。また、既に備えられている地図データに新たに上記の情報を組み込むには、地図データを変更する必要があり、時間とコストがかかる。
【0008】
また、ETCシステムがレーン配置に関する情報を送信する技術では、ETCシステム自身が、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などによる通信を行うアンテナを備える必要がある。
【0009】
そのため、ETCシステムが上記のようなアンテナを備えていない場合、ナビゲーション装置は、車両を走行すべきレーンへと誘導することができない。また、ETCシステムが上記のようなアンテナを備えるようにするには、時間とコストがかかる。
【0010】
現在のようなETCシステムの普及期においては、十分なレーン情報を有する地図データを予め準備することは難しく、全国のETCシステムに対応するには時間とコストがかかる。また、全国のETCシステムがレーン配置に関する情報を送信するように整備されるには、時間とコストがかかる。
【0011】
そこで、本発明は、ナビゲーション装置において、レーン情報が含まれていない地図データが使用されている場合であっても、車両を走行すべきレーンに誘導する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための装置に係る発明は、車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出手段と、前記所定のレーンの概略位置を記憶する記憶手段と、前記記憶手段から前記所定のレーンの概略位置を取得して出力する出力手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置である。
【0013】
ここで、上記のナビゲーション装置は、ETCレーンに設置されたETCシステムと通信を行ったことを示すETC信号を受信するETC信号受信手段を有し、前記算出手段は、前記ETC信号を受信した場合、前記車両の位置に基づき、ETCレーンの概略位置を算出し、前記出力手段は、指定された料金所のETCレーンの概略位置を前記記憶手段から取得して出力することを特徴としていてもよい。
【0014】
また、上記のナビゲーション装置は、道路の交通規制に関する情報を受信する交通情報受信手段を有し、前記算出手段は、車両が走行中の道路の所定のレーンに、交通規制されている規制レーンがある場合、前記車両の位置に基づき、前記規制レーンと異なるレーンの概略位置を算出し、前記出力手段は、前記規制レーンと異なるレーンの概略位置を前記記憶手段から取得して出力することを特徴としていてもよい。
【0015】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記概略位置は、右もしくは左を含む情報であることを特徴としていてもよい。
【0016】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記出力手段は、前記レーンの概略位置を用いて、当該レーンへの進行方向が右側もしくは左側であることを示す案内画面を表示することを特徴としていてもよい。
【0017】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記出力手段は、前記車両の進行方向に対して右側および左側にあるレーンと、前記レーンのうち前記概略位置に対応するレーンを案内する図形とからなる案内画面を表示することを特徴としていてもよい。
【0018】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記出力手段は、前記レーンの概略位置を用いて、当該レーンへの進行方向が右側もしくは左側であることを案内する音声を出力することを特徴としていてもよい。
【0019】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記車両の進行方向に関する情報は、所定の地点間の、車両の現在位置の経時変化から求めた軌跡であり、前記算出手段は、前記車両が走行中の道路に対応するリンクから、前記軌跡が外れた方向に前記レーンの概略位置を算出することを特徴としていてもよい。
【0020】
上記の課題を解決するための装置に係る発明の他の態様は、車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出手段と、算出した前記所定のレーンの概略位置を所定の外部装置に送信するレーン位置送信手段と、所定の外部装置から前記所定のレーンの概略位置を受信するレーン位置受信手段と、算出した前記所定のレーンの概略位置と、受信した前記所定のレーンの概略位置とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段から前記所定のレーンの概略位置を取得して出力する出力手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置である。
【0021】
上記の課題を解決するための方法に係る発明は、ナビゲーション装置におけるレーン案内方法であって、前記ナビゲーション装置は、車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出ステップと、前記所定のレーンの概略位置を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップにおいて記憶した前記所定のレーンの概略位置を取得して出力するステップとを実行することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態が適用された、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0024】
本図に示すように、本システムでは、ナビゲーション装置1とETC車載器2が接続される。また、ナビゲーション装置1は、情報センター3と接続される。
【0025】
ETC車載器2は、料金所のETCシステム(図示せず)と無線通信を行い、料金精算に必要な情報(車両の情報、ETCカードの番号、入口料金所、出口料金所、通行料金など)を交換して、料金の精算などの処理を行うための装置である。また、ETC車載器2は、例えば、料金情報などをナビゲーション装置1に送信する。送られた情報は、ナビゲーション装置1に表示される。
【0026】
情報センター3は、ナビゲーション装置1と無線通信を行い、渋滞情報、天気情報、電子メールなどをナビゲーション装置1に送信するための装置である。また、渋滞情報などをナビゲーション装置から収集して統計的に分析し、渋滞情報を補完する。
【0027】
ナビゲーション装置1は、地図情報、経路情報や渋滞情報などを表示したり、ETCに関する情報を表示したりすることにより、ユーザに情報を提供して経路誘導などのナビゲーション処理を行うための装置である。ナビゲーション装置1は、制御装置10と、記憶装置15と、表示装置20と、入力装置21と、音声入出力装置22、GPS(Global Positioning System)受信装置23と、各種センサ24と、通信装置25とが接続されて構成される。
【0028】
制御装置10は、上述した各装置を制御し、様々な処理を行う中心的ユニットである。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ12などを備える。
【0029】
制御装置10は、例えば、GPS受信装置23や各種センサ24から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報16を記憶装置15から読み出す。また、読み出した地図情報16をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねて表示装置20へ表示する。また、地図情報16を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を算出して、表示装置20へ表示する。
【0030】
また、制御装置10は、記憶装置15に記憶されている料金所レーン情報17や、ETC車載器2から受信した情報を用いて、ETCレーンに関する情報を表示する。また、音声入出力装置22を用いて、ユーザを誘導するための音声を出力する。また、入力装置21を介して、ユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。また、通信装置25を介して、情報センター3から渋滞情報などを受信して、表示する。
【0031】
記憶装置15は、制御装置10が各種処理を実行するために必要なプログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報16や料金所レーン情報17、音声認識に使用される音声辞書(図示せず)などを格納する。記憶装置15は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。
【0032】
地図情報16は、図2に示すように、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)1611ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ1620を含んでいる。
【0033】
リンクデータ1620は、リンクID1621ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報1622、リンクを含む道路の種別情報1623、リンクの長さを示すリンク長情報1624、リンク旅行時間1625、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)1626、リンクに含まれる車線の数を示す車線数1627などを含んでいる。リンクの道路種別には、有料道路か否かの情報が格納されている。
【0034】
また、地図情報16は、料金所データ1630を含んでいる。料金所データ1630には、料金所ごとに、料金所を識別するためのコード(料金所ID)1631と、料金所のノードの座標情報1632と、料金所名1633とが対応付けられた情報が格納されている。
【0035】
料金所レーン情報17には、後述するETCレーン学習処理により算出された、レーンの位置情報が蓄積され、制御装置10によるナビゲーション処理に使用される。料金所レーン情報17は、図3に示すように、料金所レーン履歴情報171と料金所レーン表示情報172を有する。
【0036】
料金所レーン履歴情報171には、料金所ごとに、車両が通過したETCレーンの概略位置が格納される。具体的には、料金所を識別するためのコード(料金所ID)1711ごとに、通過日時1712とETCレーン位置1713が対応付けられた情報が、1以上結びつけられて格納される。概略位置の算出方法については後述する。
【0037】
料金所レーン表示情報172には、料金所レーン履歴情報171のETCレーン位置1713に基づいて、所定の方法(例えば、格納されている数が最も多い位置を採用する)により決定された位置が、ナビゲーション処理に用いられるETCレーン位置として格納される。具体的には、料金所ごとに、料金所ID1721とETCレーン位置1723が格納される。料金所レーン表示情報172は、ETCレーンの概略位置を表示してユーザを案内するために使用される。
【0038】
図1に戻って説明する。表示装置20は、制御装置10で生成されたグラフィックス情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置などからなる。
【0039】
入力装置21は、ユーザからの指示を受け付けるための装置である。入力装置21は、例えば、表示装置20の画面上に貼られたタッチパネル、ジョイスティック、キーボードなどのハードスイッチなどで構成される。
【0040】
音声入出力装置22は、制御装置10で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し制御装置10にその内容を転送する処理を行う。
【0041】
GPS受信装置23は、GPS衛星からの信号を受信して、車両の現在位置を示す位置情報を生成するための装置である。生成された位置情報は、制御装置10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
【0042】
センサ24は、車両の現在位置の算出するためのデータを収集する装置であり、例えば、車速センサ、ジャイロセンサなどからなる。収集されたデータは、制御装置10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
【0043】
通信装置25は、情報センター3と通信を行うための装置である。通信装置25は、例えば、一般的な携帯電話などで構成され、渋滞情報、天気情報、電子メールなどの情報の送受信を行う。
【0044】
図4は、ナビゲーション装置1が備える機能の構成を示すブロック図である。
【0045】
本図に示すように、ナビゲーション装置1は、ナビゲーション処理部100と、テレマティクス処理部102と、ユーザ操作解析部104と、表示処理部106と、現在地算出部108と、経路算出部110と、車両軌跡算出部112と、ETC受領信号受信部114と、ETCカード検出部116とを備える。これらの機能部は、CPU11が、記憶装置15からプログラムやプログラムの実行に必要なデータをメモリ12上にロードし、プログラムを実行することにより構築される。
【0046】
テレマティクス処理部102は、通信装置25を用いて情報センター3と通信を行う。具体的には、渋滞情報、天気情報、電子メールなどの情報を情報センター3から受信して、ナビゲーション処理部100に送る。また、指定された情報を情報センター3に送信する。渋滞情報などは、表示装置に表示されてナビゲーション処理に使用される。
【0047】
ユーザ操作解析部104は、入力装置21を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、音声入力装置22を介して入力され音声認識された語句から、対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログなどを表示する処理を、ナビゲーション処理部100に要求する。
【0048】
表示処理部106は、他の機能部の指示を受け付け、表示装置20に画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。
【0049】
現在地算出部108は、所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)に、GPS受信装置23と各種センサ24から出力される情報を用いて現在地を算出する。算出された現在地情報は、ナビゲーション処理部100、経路算出部106、車両軌跡算出部112などに送られてそれらの処理に使用される。
【0050】
経路算出部110は、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路の探索を行う。具体的には、まず、現在地算出部108から現在地を、入力装置21を介して受け付けた目的地を取得する。そして、ダイクストラ法等を用いて、2地点(現在地と目的地)間を結ぶ経路を、所定の地点(ノード)を結ぶ道路(リンク)をリンクコスト(例えば、距離や旅行時間)に換算して、経路上の総コストが他の経路に対して最少となる経路を探索する。テレマティクス処理部102を介して取得した交通情報などを経路の探索に用いてもよい。
【0051】
車両軌跡算出部112は、車両が料金所まで所定範囲内(例えば、500m以内)に入った地点から、料金所を通過するまでの間、車両の走行軌跡を算出する。具体的には、地図情報16と、現在地算出部108が出力する現在位置情報とを用いて、車両が右もしくは左側の車線に移動したか、右もしくは左側に斜めに進行したかなどを監視する。なお、ここでは、ナビゲーション処理のバックグラウンドで車両軌跡を算出する処理を別に行うものとする。
【0052】
ETC受領信号受信部114は、ETC車載器2から、料金の支払いが実行されたことを示す信号(以下、「ETC受領信号」と呼ぶ)を受信し、ナビゲーション処理部100へ通知する。
【0053】
ETCカード検出部116は、ETC車載器2からETCカードが装着されているか否かを示す情報を取得し、ETCカード装着状況として、ナビゲーション処理部100に送る。
【0054】
ナビゲーション処理部100は、ユーザを誘導するためのナビゲーション処理を行う。具体的には、現在地算出部108が算出した現在地情報に基づいて、その現在地周辺の地図情報を記憶装置15から読み出す。そして、読み出した地図情報に、現在地情報と、経路算出部110が算出した経路情報とを重ねて表示装置20に表示する。テレマティクス処理部102を介して情報センター3から取得した渋滞情報などを表示してもよい。また、音声入出力装置22を用いて、車両の走行方向などを案内する音声を出力する。
【0055】
また、ナビゲーション処理部100は、ETCカードを装着した車両をETCレーンへと誘導する処理を行う。具体的には、現在地算出部108が算出した現在地情報とその現在地周辺の地図情報16(リンクデータ1620や料金所データ1630)を用いて、車両の現在地から料金所まで所定範囲内(例えば、500m以内)になったことを検出して、その料金所の料金所レーン表示情報172を記憶装置15から読み出す。そして、読み出した料金所レーン表示情報172のETCレーン位置1723に従って、車両が走行すべき進行方向を案内する画像を表示装置20に表示する。また、音声入出力装置22を用いて、車両の進行方向などを案内する音声を出力する。
【0056】
また、ナビゲーション処理部100は、通過した料金所のETCレーン位置を学習する。具体的には、現在地算出部108が算出した現在地情報とその現在地周辺の地図情報を用いることにより、車両の現在地から料金所まで所定範囲内(例えば、500m以内)になったことを検出すると、車両軌跡算出部112に車両の軌跡を監視させる。そして、ETC受領信号受信部114を介して料金の支払いの完了を検知すると、車両軌跡に基づいて、ETCレーンの概略位置を求め、記憶装置15上の料金所レーン履歴情報171に格納する。また、料金所レーン履歴情報171を用いて、所定の方法(例えば、格納されている数が最も多い位置を採用する)により位置を決定し、料金所レーン表示情報172に格納する。
【0057】
次に、図5〜図8を参照して、ナビゲーション装置1の特徴的な2つの動作(ETCレーン案内処理、ETCレーン学習処理)について説明する。
【0058】
図5は、ユーザをETCレーンへ誘導する処理(ETCレーン案内処理)の流れを示すフロー図である。
【0059】
イグニッションスイッチのオンなどにより、ナビゲーション装置1およびETC車載器2が起動されると、まず、ナビゲーション処理部100は、ETCカード検出部116を介してETCカード装着状況を取得し、ETCカードが装着されているか否か判定する(S110)。ETCカードが装着されていると判定した場合(S110でYES)、S120に進む。一方、ETCカードが装着されていないと判定した場合(S110でNO)、一般レーン案内処理(S200)を開始する。
【0060】
車両の走行中、ナビゲーション処理部100は、料金所が車両から所定範囲内に接近したか否かを監視する(S120)。具体的には、定期的(例えば、所定時間毎、所定距離毎など)に、現在地算出部108が算出した現在地情報とその現在地周辺の地図情報16を取得し、料金所が所定距離内(例えば、500m以内)にあるか否かを判定する。そして、料金所が所定距離内に接近したと判定した場合(S120でYES)、S130に進む。一方、料金所が所定距離内に接近していないと判定した場合(S120でNO)、S120に戻る。
【0061】
料金所が所定距離内に接近したと判定した場合(S120でYES)、ナビゲーション処理部100は、ユーザをETCレーンへ誘導すべく、接近した料金所の料金所レーン情報17を検索する(S130)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、地図情報16の料金所データ1630から、接近した料金所の料金所ID1631を取得する。そして、取得した料金所ID1631と一致する料金所ID1721を料金所レーン表示情報172から検索する。なお、料金所レーン表示情報172は、後述するETCレーン学習処理により生成される。
【0062】
そして、ナビゲーション処理部100は、一致する料金所ID1721があるか否かを判定する(S140)。一致する料金所ID1721があると判定した場合(S140でYES)、S150に進む。一方、一致する料金所ID1721がないと判定した場合(S140でNO)、S170に進む。
【0063】
一致する料金所ID1721があると判定した場合(S140でYES)、ナビゲーション処理部100は、当該料金所ID1721のETCレーン位置1723を料金所レーン表示情報172から取得する(S150)。
【0064】
ETCレーン位置1723を取得すると(S150)、ナビゲーション処理部100は、車両が走行すべき進行方向を案内する画像を表示してユーザを誘導する(S160)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、取得したETCレーン位置1723が示す位置(右若しくは左)に従って、図7(A)に示すような画面を表示するように表示処理部106に指示する。また、ナビゲーション処理部100は、音声入出力装置22を用いて、ETCレーンが右側若しくは左側にあることを知らせる音声を出力する。
【0065】
図7(A)は、表示装置20に表示される画面例を示す図である。本図に示すように、表示処理部106は、例えば、画面を分割して、地図画面701とレーン案内画面711を表示する。もちろん、地図画面701を画面全体に表示したまま、レーン案内画面711を割り込みウィンドウやポップアップとして、地図画面701の上に重ねて表示するようにしてもよい。地図画面701には、地図情報に重ねて料金所マーク703や、車両位置マーク704などを表示する。道路702は有料道路を表している。
【0066】
レーン案内画面711には、表示処理部106は、ETCレーン位置をおおまかに示す(ETCレーンの方向をおおまかに示す)画像を表示する。ここでは、ETCレーン位置1723が「右」である場合の画像を表示しており、道路画像712に重ねて、ETCレーンマーク713と、一般レーンマーク714と、方向715を表示する。また、料金所名716と料金所までの残距離717を表示する。料金所名716には、料金所データ1630から取得された料金所名1633を、残距離717には、現在地情報および地図情報16を用いて算出された距離を用いればよい。なお、ETCレーン位置1723が「左」である場合、レーン案内画面711には、図7(B)に示すような画像を表示する。
【0067】
おおまかな表示は、地図画面701に表示される標準的な地図情報のように、現実の道路や建物の配置を忠実に再現した表示ではなく、例えば、簡略化(デフォルメ)した図形を組み合わせて画像を生成することで実現できる。
【0068】
ユーザは、ETCレーンのおおよその位置を認識できればよいので、おおまかな表示がされれば十分である。例えば、特定のETCレーンまでの詳細な経路が表示されると、ユーザは、車両を進める方向(走行させる経路)を意識的に制限され、却って混乱する場合がある。おおまかな表示にすることにより、ユーザは、おおよそのETCレーン位置を認識しつつ、自由に運転することができる。
【0069】
以上の目的から、レーン案内画面711には、車両の現在位置を表示しない。また、現実の料金所のレーン数が複数(例えば、図8に示すように6レーン)であっても、左右を区別できる2つのエリア(ETCレーンマーク713、一般レーンマーク714)として表示する。また、車線(車線境界線)なども明確に表示しない。もちろん、表示の態様は、おおまかであれば上記に限定されない。
【0070】
図5に戻って説明する。一方、一致する料金所ID1721がないと判定した場合(S140でNO)、ナビゲーション処理部100は、料金所が接近したことを知らせるための画像を表示する(S170)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、図7(C)に示すような画面をレーン案内画面711に表示するように表示処理部106に指示する。また、ナビゲーション処理部100は、音声入出力装置22を用いて、料金所が接近していることを知らせる音声を出力する。図7(C)に示すように、表示処理部106は、レーン案内画面711に、道路画像712に重ねて、料金所名718を表示する。また、料金所までの残距離717を表示する。もちろん、このような画面を表示しないようにしてもよい。
【0071】
S160またはS170を実行後、ナビゲーション処理部100は、料金所の通過を検出するとレーン案内画面711の表示を消し、S120に戻る。
【0072】
以上のようにして、ETCレーン案内処理(図5)が実行される。なお、一般レーン案内処理(S200)は、S120〜S170と同様の処理の流れで実現できる。すなわち、料金所レーン表示情報172のETCレーン位置1723の代わりに一般レーン位置を格納するようにしておき、S150において一般レーン位置を取得し、S160において一般レーン位置を案内するようにすればよい。
【0073】
図6は、ETCレーンの概略位置を学習する処理(ETCレーン学習処理)の流れを示すフロー図である。ETCレーン学習処理は、上記のETCレーン案内処理と並行して実行される。
【0074】
S310、S320は、それぞれS110、S120(図5)と同様なので説明を省略する。なお、ETCカードが装着されていないと判定した場合(S310でNO)、ナビゲーション処理部100は、一般レーン学習処理(S400)を開始する。
【0075】
料金所が所定距離内に接近したと判定した場合(S320でYES)、ナビゲーション処理部100は、ETCレーンの位置を求めて記憶するための処理(S330〜S360)を開始する。
【0076】
まず、車両軌跡算出部112は、ナビゲーション処理部100の指示により、車両の軌跡の算出を開始する(S330)。具体的には、料金所から所定距離の地点(現在地)から、ETC受領信号受信部114がETC受領信号を受信した地点(ETCレーン位置)までの車両の走行軌跡を算出する。走行軌跡は、地図情報16と、現在地算出部108が所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)にGPS受信装置23や各種センサ24(車速センサ、ジャイロセンサなど)から出力される情報などから算出した位置情報と、を用いて算出される。そして、車両軌跡算出部112は、車両が右もしくは左側の車線に移動したか、進行方向が変化したかなどを検知する。
【0077】
車両軌跡算出部112が車両軌跡を算出している間(S330)、ETC受領信号受信部114は、ETC車載器2からETC受領信号を受信したか否かを判定する(S340)。ETC受領信号を受信していないと判定した場合(S340でNO)、S330に戻る。一方、ETC受領信号を受信したと判定した場合(S340でYES)、ナビゲーション処理部100に通知し、S350に進む。
【0078】
ETC受領信号の受信の通知を受け付けると(S340でYES)、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡算出部112が算出した車両軌跡を用いて、ETCレーン位置情報を算出する(S350)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡からETCレーン位置(右若しくは左)を特定する。また、GPS受信装置23から出力される情報を用いて算出された時刻情報を通過日時として取得する。
【0079】
ここで、図8を参照して、車両軌跡からETCレーン位置を特定する方法について説明する。
【0080】
図8は、現実の料金所の一例を模式化した図である。本図に示すように、料金所802は、6レーンを備えて道路801上に設置されている。レーンは、進行方向右側から順に、ETCレーン803が2つ、一般レーン804が3つ、ETCレーン803が1つ配置されている。車両811の車両軌跡812を例にとって説明する。
【0081】
まず、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡の算出を開始した地点と料金所802を通るリンクの情報を地図情報16から取得する。そして、例えば、リンクが一本である場合、リンクから車両軌跡が右側もしくは左側に離れたかを判定する。このようにして、ナビゲーション処理部100は、ETCレーンの概略位置を特定する。本図に示す場合、ETCレーン位置は「右」となる。なお、リンクが2本以上である場合、ETC受領信号を受信したリンクが右側若しくは左側であるかで、ETCレーンの概略位置を特定する。
【0082】
上記のようにして、ETCレーン位置が特定される。もちろん、上記の方法に限られず、例えば、ハンドルの回転方向や回転量を検出するセンサが出力する情報を用いることができる。例えば、車両811の車両軌跡812の場合、a地点およびb地点でのハンドル操作を検知することで、車両が右側の車線に移動したことを検出し、ETCレーンの概略位置を特定することができる。また、リンクの情報を使用しない場合、車両の軌跡を用いて、車両の進行方向がどのように変化したかを分析することにより、ETCレーンの概略位置を特定することができる。
【0083】
図6に戻って説明する。ETCレーン位置を特定すると(S350)、ナビゲーション処理部100は、その位置情報を、料金所レーン情報17として記憶する(S360)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、車両が通過した料金所の料金所ID1711を、料金所レーン履歴情報171に追加する(既に、記憶されている場合は追加しない)。また、料金所ID1711の履歴として、取得した通過日時1712とETCレーン位置1713を対応させて追加する。なお、通過日時1712とETCレーン位置1713は、車両が同じ料金所を通過する度に追加されて蓄積される。
【0084】
また、ナビゲーション処理部100は、料金所レーン履歴情報171から料金所レーン表示情報172を生成する。具体的には、まず、ナビゲーション処理部100は、車両が通過した料金所のETCレーン位置1713に基づいて、所定の方法(例えば、格納されている数が最も多い位置を採用する)によりETCレーン位置を一つ決定する。そして、料金所ID1721と、決定したETCレーン位置1723とを対応付けて、料金所レーン表示情報172に追加する。なお、対応する料金所のレーン表示情報が既に記憶されている場合、ETCレーン位置1723のみを更新すればよい。以上のような処理を実行後、S320に戻る。
【0085】
以上のようにして、ETCレーン学習処理(図6)が実行される。なお、一般レーン学習処理(S400)は、S320〜S360と同様の処理の流れで実現できる。異なる点について、以下説明する。
【0086】
まず、料金所レーン履歴情報171のETCレーン位置1713と、料金所レーン表示情報172のETCレーン位置1723の代わりに、一般レーン位置を格納するようにする。S340では、ナビゲーション処理部100は、例えば、車速センサや窓の開閉を検知するセンサを用いて、料金所において、車両が停車し、かつ、運転席の窓が開かれているか否か、すなわち、料金の支払いが行われたか否かを判定する。S350では、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡などを用いて一般レーンの位置情報を算出する。S360では、ナビゲーション処理部100は、算出した位置情報を、料金所レーン情報17として記憶する。
【0087】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。この実施形態によれば、ナビゲーション装置は、レーン情報が含まれていない、若しくは、十分に含まれていない地図データを使用している場合であっても、車両を走行すべきレーンに誘導することができる。
【0088】
すなわち、ナビゲーション装置は、車両の軌跡とETCの受領信号を用いて、通過した料金所のETCレーンの位置を記憶する。そして、車両が再び同じ料金所を通過する際に、記憶されたETCレーン位置を用いて、ETCレーン位置を案内することができる。
【0089】
また、同一の料金所について、ETCレーン位置の履歴を蓄積するため、案内するETCレーン位置の精度を向上させることができる。
【0090】
また、上記実施形態によれば、ナビゲーション装置は、ETCレーンが存在するおおまかな方向を案内する。このような案内表示は、ユーザにとっては判り易いものであり、ユーザは、車両を左右のどちらに寄せるべきかを簡単に認識できる。また、ETCレーンのおおまかな位置を認識しつつ、かつ、自由に運転することができる。
【0091】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【0092】
例えば、本発明は、算出したETC若しくは一般レーン位置を、ナビゲーション装置1上だけでなく、情報センター3上に記憶する構成とすることもできる。
【0093】
具体的には、料金所レーン情報17を情報センター3上の記憶装置に格納する。そして、ナビゲーション処理部100は、指定された料金所のレーン情報が記憶装置15上に格納されていない場合、テレマティクス処理部102を介して、情報センター3上の料金所レーン情報17から検索する。また、ナビゲーション処理部100は、算出したETC若しくは一般レーン位置を、テレマティクス処理部102を介して、情報センター3上の料金所レーン情報17に格納する。
【0094】
上記の変形例によれば、複数の車両で、ETC若しくは一般レーン位置の情報を共有することができる。すなわち、自車両が通過したことがない料金所であっても、他車両が通過したことがある料金所であれば、ETCもしくは一般レーン位置を案内することができる。また、同一の料金所について、各車両が算出したレーン位置の履歴を蓄積することにより、より精度の高いETC若しくは一般レーン位置を案内できる。
【0095】
なお、情報センター3を使用せずに、車両間で直接通信、もしくは、道路上に設定されたアンテナなどを介して車両間で通信を行い、ETC若しくは一般レーン位置の情報を共有するようにしてもよい。
【0096】
<第1の実施形態の補足説明>
図9を参照して、車両軌跡からレーンの移動方向を特定する方法について補足説明を行う。図9は、リンク方向および絶対位置の関係を説明するための図である。
【0097】
本図に示すように、本実施形態では、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡算出部112が算出した絶対位置の軌跡が、リンク方向から右側もしくは左側に外れているか否かを判定する。そして、絶対位置の軌跡がリンク方向から右側もしくは左側に外れている場合、車両が右側もしくは左側のレーンに移動したと判定する。リンク方向とは、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報から特定される方向である。
【0098】
ナビゲーション処理においては、地図画像の道路上に現在地を表示させるため、現在地がリンク上に位置するようにマップマッチング処理が行われる。しかし、マップマッチング処理により算出された位置(マップマッチング位置)は、リンク上に位置するため、レーン間の車両の移動を検出するために用いることができない。
【0099】
そこで、車両軌跡算出部112は、マップマッチング処理のバックグラウンドで、絶対位置の軌跡を算出する処理を行う。ここで、絶対位置とは、GPS受信装置23から出力された情報を用いて算出された位置(GPS位置)、GPS位置および各種センサ24から出力された情報を用いて算出された位置、マップマッチング位置および各種センサ24から出力された情報を用いて算出された位置などである。すなわち、マップマッチング位置以外の位置である。
【0100】
上記のようにして算出された絶対位置の軌跡を用いて、ナビゲーション処理部100は、リンク方向から、絶対位置の軌跡が右側もしくは左側に外れているか否かを判定する。本図の例では、リンク方向から絶対位置の軌跡が右側に外れているため、車両が右側のレーンに移動したと判定することができる。そして、この移動方向から、ETCもしくは一般レーンのおおよその位置(方向)を特定することができる。
【0101】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0102】
第2の実施形態は、料金所において、交通が規制されているレーンをユーザに通知する構成である。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0103】
図10は、本発明の第2の実施形態が適用された、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0104】
第1の実施形態(図1参照)と異なり、ナビゲーション装置1は、ビーコン受信装置26、FM多重放送受信装置27、車々間通信装置28を有する。また、記憶装置15に、料金所レーン情報18を格納する。なお、第1の実施形態においても、ナビゲーション装置1は、ビーコン受信装置26、FM多重放送受信装置27、車々間通信装置28を備えていてもよい。
【0105】
ビーコン受信装置26は、道路などに設置されたビーコンから送られてくる電波信号や光信号を受信する。ビーコンから送られてくる信号には、例えば、渋滞情報、交通規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報などの交通情報が含まれる。
【0106】
FM多重放送受信装置27は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送信号には、例えば、渋滞情報、交通規制情報、SA/PA情報、駐車場情報、天気情報、ラジオ局が提供する文字情報などの交通情報が含まれる。
【0107】
車々間通信装置28は、他の車両4との間で、無線通信を行う。車々間通信装置28は、例えば、DSRCや無線LANなどの通信方式により、他の車両4に搭載された車々間通信装置と通信を行う。車々間通信装置28は、例えば、渋滞情報、交通規制情報などの交通情報を送受信する。
【0108】
制御装置10は、通信装置25、ビーコン受信装置26、FM多重放送受信装置27を用いて、交通情報、料金所レーンに関する情報などを情報センター3から受信し、記憶装置15に格納する。また、制御装置10は、車々間通信装置28を用いて、交通情報、料金所レーンに関する情報などを他の車両4から受信し、記憶装置15に格納する。また、制御装置10は、交通情報、料金所レーンに関する情報などの各種情報を、情報センター3や他の車両4に送信する。
【0109】
地図情報16について、図11を参照して説明する。第1の実施形態(図2参照)と異なり、リンクデータ1620は、リンクID1621ごとに、交通情報1628を格納できるように構成される。なお、第1の実施形態においても、地図情報16は、交通情報1628を格納してもよい。
【0110】
料金所レーン情報18について、図12を参照して説明する。第1の実施形態の料金所レーン情報17(図3参照)と異なり、料金所レーン情報18は、ETCレーン位置1713、ETCレーン位置1723の替わりに、規制レーン位置1813、規制レーン位置1823を格納する。規制レーン位置は、料金所において、車両の交通が規制されているレーンの概略位置を示す情報である。
【0111】
料金所レーン履歴情報181の料金所ID1811、通過日時1812は、料金所レーン履歴情報171の料金所ID1711、通過日時1712と同様である。料金所レーン表示情報182の料金所ID1821は、料金所レーン表示情報172の料金所ID1721と同様である。
【0112】
情報センター3は、料金所レーン情報31を有する。図12に示すように、料金所レーン情報31の構成は、料金所レーン情報18と同様である。料金所レーン履歴情報311の料金所ID3111、通過日時3112、規制レーン位置3113は、料金所レーン履歴情報181の料金所ID1811、通過日時1812、規制レーン位置1813と同様である。料金所レーン表示情報312の料金所ID3121、規制レーン位置3123は、料金所レーン表示情報182の料金所ID1821、規制レーン位置1823と同様である。
【0113】
情報センター3は、複数の車両と無線通信を行って、料金所レーン履歴情報311を収集、記憶装置に格納する。そして、料金所レーン履歴情報311を統計的に分析して、料金所レーン表示情報312を生成する。また、情報センター3は、生成した料金所レーン表示情報312を、ビーコン、FM多重放送、無線電話通信回線などにより、車両に配信する。なお、情報センター3は、一般的なサーバコンピュータなどで構成され、上記のような情報処理を行うことができる。情報センター3は、複数あってもよい。
【0114】
図13は、ナビゲーション装置1が備える機能の構成を示すブロック図である。
【0115】
第1の実施形態(図4)と異なり、ナビゲーション装置1は、交通情報収集部118を有する。なお、第1の実施形態でも、ナビゲーション装置1は、交通情報収集部118を有していてもよい。
【0116】
交通情報収集部118は、情報センター3が配信する交通情報や料金所レーン表示情報を、通信装置25、ビーコン受信装置26、FM多重放送受信装置27を介して受け付ける。また、他の車両4から送られてくる交通情報や料金所レーン表示情報を、車々間通信装置28を介して受け付ける。また、交通情報収集部118は、受け付けた交通情報や料金所レーン表示情報を、要求に応じていつでも取り出して使用できるように、記憶装置15に格納する。RAMなどのメモリ12に格納するようにしてもよい。
【0117】
具体的には、交通情報収集部118は、リンクデータを含む交通情報を、対応するリンクID1621の交通情報1628として、地図情報16に格納する。リンクデータを含む交通情報は、例えば、渋滞情報、交通規制情報などである。渋滞情報には、例えば、リンクデータ、渋滞の開始位置および終了位置、渋滞の混雑度、原因などを示す情報が含まれる。交通規制情報には、例えば、リンクデータ、交通規制の区間、原因などを示す情報が含まれる。
【0118】
また、交通情報収集部118は、受け付けた料金所レーン表示情報を、料金所レーン表示情報182として記憶装置15に格納する。
【0119】
また、交通情報収集部118は、記憶装置15に格納された交通情報や料金所レーン履歴情報181を、通信装置25を介して情報センター3に送信する。また、交通情報や料金所レーン表示情報182を、車々間通信装置28を介して他の車両4に送信したりする。
【0120】
なお、交通情報や料金所レーン表示情報は、情報センター3により所定の時間間隔で配信されるようにしてもよいし、交通情報収集部118から所定の条件に応じて取得されるようにしてもよい。
【0121】
次に、図14〜17を参照して、料金所における、規制レーン案内処理、規制レーン学習処理について説明する。
【0122】
図14は、料金所において、ユーザに規制レーンを通知する処理(規制レーン案内処理)の流れを示すフロー図である。
【0123】
S520〜570は、ETCレーン案内処理(図5参照)のS120〜170と基本的に同様の処理で実現されるので、説明を省略する。なお、S560では、ナビゲーション処理部100は、以下のような処理を行う。
【0124】
具体的には、ナビゲーション処理部100は、取得した規制レーン位置1823(S550)が示す位置(右若しくは左)に従って、例えば、図16(A)に示すような画面を表示するように表示処理部106に指示する。また、ナビゲーション処理部100は、音声入出力装置22を用いて、規制レーンが右側若しくは左側にあることを知らせる音声を出力する。もちろん、規制レーンでないレーンを知らせる音声を出力するようにしてもよい。
【0125】
図16(A)に示すように、地図画面701には、表示処理部106は、交通が規制されているリンクに対応する道路702に重ねて規制マーク705を表示する。また、レーン案内画面711には、表示処理部106は、規制レーン位置をおおまかに示す画像を表示する。
【0126】
ここでは、規制レーン位置1823が「左」である場合の画像を表示しており、道路画像712に重ねて、ETC兼一般レーンマーク720と、規制レーンマーク721と、方向715を表示する。方向715は、車両が通行可能な方向を案内するように、規制レーンマーク721と逆側のETC兼一般レーンマーク720の方向を指す画像である。
【0127】
なお、規制レーン位置1823が「右」である場合、レーン案内画面711には、表示処理部106は、図16(B)に示すような画像を表示する。
【0128】
図15は、料金所における規制レーンの概略位置を学習する処理(規制レーン学習処理)の流れを示すフロー図である。
【0129】
S620は、ETCレーン学習処理(図6参照)のS320と同様なので、説明を省略する。
【0130】
料金所が所定距離内に接近したと判定した場合(S620でYES)、ナビゲーション処理部100は、進行方向の道路が規制されているか否かを判定する(S625)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、まず、現在地算出部108が算出した現在地情報と、地図情報16とを用いて、接近した料金所ノード(S620)の車両の進行方向側に接続されているリンクを特定する。
【0131】
それから、ナビゲーション処理部100は、特定したリンクのリンクID1621に関連付けられた交通情報1628に、交通規制情報が格納されているか否かを判定する。そして、交通規制情報が格納されている場合、進行方向の道路が規制されていると判断し(S625でYES)、S630に進む。一方、交通規制情報が格納されていない場合、進行方向の道路が規制されていないと判断し(S625でNO)、S620に戻る。
【0132】
なお、接近した料金所ノードの手前のリンクに交通規制情報が対応付けられているか否かを判断するようにしてもよい。
【0133】
S630は、ETCレーン学習処理(図6参照)のS330と同様なので、説明を省略する。なお、車両軌跡算出部112は、ETCカードが装着されている場合、料金所から所定距離の地点(現在地)から、ETC受領信号が受信された地点までの車両軌跡を算出する。一方、ETCカードが装着されていない場合、車両軌跡算出部112は、料金所から所定距離の地点(現在地)から、例えば、車両が停車し、かつ、運転席の窓が開かれた地点までの車両軌跡を算出する。
【0134】
車両軌跡算出部112が車両軌跡を算出している間(S630)、ナビゲーション処理部100は、車両が料金所を通過したか否かを判定する(S640)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、ETC受領信号受信部114からETC受領信号の受信を示す通知を受け付けたか否か、または、車両が停車し、かつ、運転席の窓が開かれたか否か、を判定する。
【0135】
ETC受領信号の受信を示す通知を受け付けた場合、または、車両が停車し、かつ、運転席の窓が開かれた場合、ナビゲーション処理部100は、車両が料金所を通過したと判定し(S640でYES)、S650に進む。その他の場合、車両が料金所を通過していないと判定し(S640でNO)、S630に戻る。
【0136】
料金所を通過したと判定した場合(S640でYES)、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡算出部112が算出した車両軌跡を用いて、規制レーン位置情報を算出する(S650)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡からETCまたは一般レーン位置(右もしくは左)を特定する。そして、ETCまたは一般レーン位置の反対側の位置を、規制レーン位置として特定する。また、GPS受信装置23から出力される情報を用いて算出された時刻情報を通過日時として取得する。
【0137】
例えば、現実の料金所が、図17のように構成される場合について説明する。本図に示すように、料金所802は、6レーンを備えて道路801上に設置されている。レーンは、進行方向右側から順に、ETCレーン803が1つ、一般レーン804が1つ、規制レーン805が4つ配置されている。ここで、道路801の左側の2レーンは、何らかの原因(例えば、事故、工事)により、交通規制が行われている。そのため、料金所802の左側には、規制レーン805が4つ配置されている。
【0138】
上記のような場合、料金所802から進行方向(リンク方向)側の道路801では、交通規制が行われている。また、車両831の車両軌跡832と、車両841の車両軌跡842は、進行方向(リンク方向)から右側に離れている。そのため、規制レーン位置は「左」と判定される。
【0139】
図15に戻って説明する。規制レーン位置を特定すると(S650)、ナビゲーション処理部100は、料金所レーン履歴情報を情報センター3に送信する(S655)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、通過した料金所の料金所IDと、取得した通過日時と、規制レーン位置とを対応付けた料金所レーン履歴情報を生成し、交通情報収集部118を介して情報センター3に送信する。そして、S660に進む。
【0140】
料金所レーン履歴情報を送信した後(S655)、ナビゲーション処理部100は、料金所レーン情報18を更新する(S660)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、生成した料金所レーン履歴情報を、料金所レーン履歴情報181として格納する。それから、料金所レーン履歴情報181から、料金所レーン表示情報182を生成する。料金所レーン履歴情報181の格納方法、料金所レーン表示情報182の生成方法は、第1の実施形態(図6のS360)と同様である。以上のような処理を実行後、S620に戻る。
【0141】
一方、情報センター3は、料金所レーン履歴情報を受信すると、料金所レーン情報31を更新する(S670)。具体的には、まず、情報センター3は、受信した料金所レーン履歴情報を、料金所レーン履歴情報311として格納する。それから、情報センター3は、料金所レーン履歴情報311から、料金所レーン表示情報312を生成する。料金所レーン履歴情報311の格納方法、料金所レーン表示情報312の生成方法は、第1の実施形態(図6のS360)と同様である。
【0142】
料金所レーン情報31を更新すると(S670)、情報センター3は、料金所レーン表示情報312を送信(配信)する(S680)。情報センター3は、例えば、ビーコン、FM多重放送、ETC無線電話通信回線などにより、料金所レーン表示情報312を送信(配信)する。なお、配信のタイミングは、例えば、所定の時間毎でもよいし、ナビゲーション装置1からの要求があったときであってもよい。
【0143】
料金所レーン表示情報312を受信した場合、交通情報収集部118は、料金所レーン表示情報182を更新する(S690)。具体的には、受信した料金所レーン表示情報312を、料金所レーン表示情報182に追加する。なお、受信した料金所レーン表示情報312に対応する料金所レーン表示情報182が既に記憶されている場合、規制レーン位置1823のみを更新する。
【0144】
以上のようにして、料金所における規制レーン学習処理(図15)が実行される。
【0145】
なお、料金所レーン表示情報は、情報センター3だけでなく、他の車両4から送信されるようにしてもよい。この場合、例えば、交通情報収集部118は、現在地が料金所から所定距離内になったときに、車々間通信装置28を介して、自車の付近を走行する他の車両4から料金所レーン表示情報を取得する。また、料金所レーン表示情報は、ETCシステムから送信されるようにしてもよい。
【0146】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。この実施形態によれば、料金所における規制レーンに関する情報が、人間による作業により予め準備されなくても、自動的に生成される。そのため、ナビゲーション装置は、料金所における規制レーンに関する情報が含まれていない、若しくは、十分に含まれていない地図データを使用している場合であっても、料金所において、車両を走行すべきレーンに誘導し、規制レーンを回避させることができる。
【0147】
また、情報センターは、同一の料金所について、複数の車両が算出した規制レーン位置情報の履歴を蓄積し、統計的に分析する。そのため、案内する規制レーンの位置の精度を向上させることができる。
【0148】
また、情報センターから規制レーン情報が配信されるため、ユーザの車両が始めて通過する料金所であっても、規制レーンの位置を案内することができる。
【0149】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0150】
第3の実施形態は、交通が規制されているレーンをユーザに通知する構成である。本実施形態は、料金所の有無に係わらず、規制レーンを案内する構成である。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0151】
図18は、本発明の第3の実施形態が適用された、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0152】
第2の実施形態(図10参照)と異なり、ナビゲーション装置1は、記憶装置15に、規制レーン情報19を格納する。
【0153】
制御装置10は、通信装置25、ビーコン受信装置26、FM多重放送受信装置27を用いて、交通情報、規制レーン表示情報などを情報センター3から受信し、記憶装置15に格納する。また、制御装置10は、車々間通信装置28を用いて、交通情報、規制レーン表示情報などを他の車両4から受信し、記憶装置15に格納する。また、制御装置10は、交通情報、規制レーン情報などの各種情報を、情報センター3や他の車両4に送信する。
【0154】
規制レーン情報19は、図19に示すように、規制レーン履歴情報191と規制レーン表示情報192を有する。
【0155】
規制レーン履歴情報191には、リンクごとに、規制レーンの概略位置が格納される。具体的には、リンクID1911ごとに、通過日時1912と規制レーン位置1913が対応付けられた情報が、1以上結びつけられて格納される。なお、リンクID1911は、地図情報16のリンクID1621と対応する。
【0156】
規制レーン表示情報192には、規制レーン履歴情報191の規制レーン位置1913に基づいて、所定の方法(例えば、格納されている数が最も多い位置を採用する)により決定された位置が、ナビゲーション処理に用いられる規制レーン位置として格納される。具体的には、リンクごとに、リンクID1921と規制レーン位置1923が格納される。規制レーン表示情報192は、規制レーンの概略位置を表示してユーザを案内するために使用される。
【0157】
情報センター3は、規制レーン情報32を有する。図19に示すように、規制レーン情報32の構成は、規制レーン情報19と同様である。規制レーン履歴情報321のリンクID3211、通過日時3212、規制レーン位置3213は、規制レーン履歴情報191のリンクID1911、通過日時1912、規制レーン位置1913と同様である。規制レーン表示情報322のリンクID3221、規制レーン位置3223は、規制レーン表示情報192のリンクID1921、規制レーン位置1923と同様である。
【0158】
情報センター3は、複数の車両と無線通信を行って、規制レーン履歴情報321を収集し、記憶装置に格納する。そして、規制レーン履歴情報321を統計的に分析して、規制レーン表示情報322を生成する。また、情報センター3は、生成した規制レーン表示情報322を、ビーコン、FM多重放送、無線電話通信回線などにより、車両に配信する。
【0159】
次に、図20〜23を参照して、規制レーン案内処理、規制レーン学習処理について説明する。
【0160】
図20は、ユーザに規制レーンを通知する処理(規制レーン案内処理)の流れを示すフロー図である。
【0161】
車両の走行中、ナビゲーション処理部100は、車両が走行中の道路が規制中か否かを監視する(S725)。具体的には、定期的(例えば、所定時間毎、所定距離毎など)に、現在地算出部108が算出した現在地情報とその現在地周辺の地図情報16を取得する。そして、車両が走行中のリンクが別のリンクに変わったことを検知する。
【0162】
それから、ナビゲーション処理部100は、走行中のリンクのリンクID1621に関連付けられた交通情報1628に、交通規制情報が格納されているか否かを判定する。そして、交通規制情報が格納されている場合、走行中の道路が規制中であると判断し(S725でYES)、S730に進む。一方、交通規制情報が格納されていない場合、走行中の道路が規制中でないと判断し(S725でNO)、監視を継続する。
【0163】
もちろん、走行中のリンクに交通規制情報が関連付けられているか否かを判定しないように構成してもよい。この場合、車両が走行中のリンクが変わったか否かを単に判定する。そして、リンクが変わったと判定された場合に、S730に進む。また、走行中のリンクでなく、進行方向のリンクが規制中であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0164】
S730〜770は、料金所における規制レーン案内処理(図14参照)のS530〜570と基本的に同様の処理で実現されるので、説明を省略する。
【0165】
なお、S730では、ナビゲーション処理部100は、S725において規制中と判定したリンクのリンクIDをキーとして、規制レーン表示情報192の検索を行う。S725において規制中か否かを判定しない場合は、走行中のリンクのリンクIDがキーとして用いられる。S740では、一致するリンクID1921があるか否かを判定する。
【0166】
また、S750では、ナビゲーション処理部100は、検索の結果得られたリンクID1921に対応する規制レーン位置1923を、規制レーン表示情報192から取得する。
【0167】
また、S760では、ナビゲーション処理部100は、以下のような処理を行う。
【0168】
具体的には、ナビゲーション処理部100は、取得した規制レーン位置1923が示す位置(右若しくは左)に従って、例えば、図22(A)に示すような画面を表示するように表示処理部106に指示する。また、ナビゲーション処理部100は、音声入出力装置22を用いて、規制レーンが右側若しくは左側にあることを知らせる音声を出力する。もちろん、規制レーンでないレーンを知らせる音声を出力するようにしてもよい。
【0169】
図22(A)に示すように、地図画面701には、表示処理部106は、交通が規制されているリンクに対応する道路702に重ねて規制マーク705を表示する。また、レーン案内画面711には、表示処理部106は、規制レーン位置をおおまかに示す画像を表示する。
【0170】
ここでは、規制レーン位置1923が「左」である場合の画像を表示しており、道路画像712に重ねて、通行可能レーンマーク730と、規制レーンマーク731と、方向715を表示する。方向715は、車両が通行可能な方向を案内するように、規制レーンマーク731と逆側の通行可能レーンマーク730の方向を指す画像である。また、進行方向に規制中のレーンがある旨を示すメッセージ719を表示する。
【0171】
なお、規制レーン位置1923が「右」である場合、レーン案内画面711には、表示処理部106は、図22(B)に示すような画像を表示する。
【0172】
また、S770では、ナビゲーション処理部100は、以下のような処理を行う。
【0173】
具体的には、ナビゲーション処理部100は、例えば、図22(C)に示すような画面を表示するように表示処理部106に指示する。また、ナビゲーション処理部100は、音声入出力装置22を用いて、進行方向に規制があることを知らせる音声を出力する。
【0174】
図22(C)に示すように、表示処理部106は、レーン案内画面711に、道路画像712に重ねて、規制マーク740を表示する。また、進行方向に規制があることを示すメッセージ741を表示する。
【0175】
S760またはS770を実行後、ナビゲーション処理部100は、車両が走行中のリンクが別のリンクに変わったことを検出すると、レーン案内画面711の表示を消し、S725に戻る。
【0176】
図21は、規制レーンの概略位置を学習する処理(規制レーン学習処理)の流れを示すフロー図である。
【0177】
S825は、S725(図20参照)と同様なので説明を省略する。またS830は、S630(図15参照)と同様なので説明を省略する。なお、車両軌跡算出部112は、車両が規制中であるリンクを走行している間、車両軌跡を算出する。
【0178】
車両軌跡算出部112が車両軌跡を算出している間(S830)、ナビゲーション処理部100は、車両が規制中の道路を通過したか否かを判定する(S840)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、車両が走行中の規制中であるリンクが別のリンクに変わったか否かを判定する。そして、リンクが変わったと判定した場合(S840でYES)、S850に進む。一方、リンクが変わっていないと判定した場合(S840でNO)、S830に戻る。
【0179】
車両が規制中の道路を通過したと判定した場合(S840でYES)、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡算出部112が算出した車両軌跡を用いて、規制レーン位置情報を算出する(S850)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、車両軌跡からレーンの移動方向(右側もしくは左側)を特定する。そして、特定した方向の反対側の方向を、規制レーン位置として特定する。また、GPS受信装置23から出力される情報を用いて算出された時刻情報を通過日時として取得する。
【0180】
例えば、現実の道路が、図23のように構成される場合について説明する。本図に示すように、道路801は、4つのレーンから成る。そして、進行方向左側の3つのレーンは、規制レーン807であり、進行方向右側の1つのレーンは、通行可能レーン808である。
【0181】
上記のような場合、車両851および車両861が走行中の道路801では、交通規制が行われている。また、車両851の車両軌跡852と、車両861の車両軌跡862は、進行方向(リンク方向)から右側に離れている。そのため、規制レーン位置は「左」と判定される。
【0182】
なお、ハンドルの回転方向や回転量を検出するセンサが出力する情報を用いて、レーンの移動方向を判定するようにしてもよい。例えば、車両軌跡862の場合、c地点およびd地点でのハンドル操作、もしくは、e地点およびf地点でのハンドル操作を検知することで、車両が右側のレーンに移動したことを検出し、規制レーンの概略位置を特定することができる。ハンドル操作がレーン移動のための操作であることを推定するため、ハンドルを切り始めてから、ハンドルが元の状態に戻るまでの時間(例えば、4秒)を考慮してもよい。
【0183】
図21に戻って説明する。規制レーン位置を特定すると(S850)、ナビゲーション処理部100は、規制レーン履歴情報を情報センター3に送信する(S855)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、規制レーン位置を特定したリンクのリンクIDと、取得した通過日時と、規制レーン位置とを対応付けた規制レーン履歴情報を生成し、交通情報収集部118を介して情報センター3に送信する。そして、S860に進む。
【0184】
規制レーン履歴情報を送信した後(S855)、ナビゲーション処理部100は、規制レーン情報19を更新する(S860)。具体的には、ナビゲーション処理部100は、生成した規制レーン履歴情報を、規制レーン履歴情報191として格納する。それから、ナビゲーション処理部100は、レーン移動があったリンクの規制レーン位置1913に基づいて、所定の方法(例えば、格納されている数が最も多い位置を採用する)により規制レーン位置を一つ決定する。そして、リンクID1921と、決定した規制レーン位置1923とを対応付けて、規制レーン表示情報192に追加する。なお、対応するリンクのレーン表示情報が既に記憶されている場合、規制レーン位置1923のみを更新すればよい。以上のような処理を実行後、S825に戻る。
【0185】
一方、情報センター3は、規制レーン履歴情報を受信すると、規制レーン情報32を更新する(S870)。具体的には、まず、情報センター3は、受信した規制レーン履歴情報を、規制レーン履歴情報321として格納する。それから、規制レーン履歴情報321から、規制レーン表示情報322を生成する。規制レーン履歴情報321の格納方法、規制レーン表示情報322の生成方法は、S860と同様である。
【0186】
規制レーン情報32を更新すると(S870)、情報センター3は、規制レーン表示情報322を送信(配信)する(S880)。なお、配信のタイミングは、所定の時間毎でもよいし、ナビゲーション装置1からの要求があったときであってもよい。
【0187】
規制レーン表示情報322を受信した場合、交通情報収集部118は、規制レーン表示情報192を更新する(S890)。具体的には、受信した規制レーン表示情報322を、規制レーン表示情報192に追加する。なお、受信した規制レーン表示情報322に対応する規制レーン表示情報192が既に記憶されている場合、規制レーン位置1923のみを更新する。
【0188】
以上のようにして、規制レーン学習処理(図21)が実行される。
【0189】
なお、規制レーン表示情報は、情報センター3だけでなく、他の車両4から送信されるようにしてもよい。この場合、例えば、交通情報収集部118は、走行中の道路が規制中であると判定されたときに、車々間通信装置28を介して、自車の付近を走行する他の車両4から規制レーン表示情報を取得する。
【0190】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。この実施形態によれば、規制レーンに関する情報が、人間による作業により予め準備されなくても、自動的に生成される。そのため、ナビゲーション装置は、規制レーンに関する情報が含まれていない、若しくは、十分に含まれていない地図データを使用している場合であっても、車両を走行すべきレーンに誘導し、規制レーンを回避させることができる。
【0191】
また、情報センターは、同一のリンクについて、複数の車両が算出した規制レーン位置情報の履歴を蓄積し、統計的に分析する。そのため、案内する規制レーンの位置の精度を向上させることができる。
【0192】
また、情報センターから規制レーン情報が配信されるため、ユーザの車両が始めて通過する道路であっても、規制レーンの位置を案内することができる。
【0193】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【0194】
例えば、第1〜3の実施形態は、適宜組み合わせることができる。すなわち、ナビゲーション装置1を、ETCレーン、一般レーン、料金所における規制レーン、道路における規制レーンのうち、少なくとも1つ以上を案内するように構成してもよい。
【0195】
また、ナビゲーション装置1にカメラなどの車載センサを接続してもよい。そして、車載センサから送られてくる情報を用いて、制御装置10は、画像認識処理を行う。このようにすれば、ナビゲーション装置1は、道路標識や路面に描かれたマーク(路面マーク)などを画像認識して、ETCレーンの位置、一般レーンの位置、規制レーンの位置、レーンの移動方向などを検知することができる。
【0196】
また、ナビゲーション装置1が、画像認識処理により、道路上の水溜り、落下物などの障害物を認識するようにしてもよい。そして、ナビゲーション装置1は、このような障害物に関する情報を情報センタ3に送信する。このようにすれば、情報センタ3に、障害物が発見された道路について交通規制情報が登録されていなくても、交通規制情報を生成することができる。また、ナビゲーション装置1が、障害物に関する情報と併せて、障害物が存在するレーン位置情報を情報センタ3に送信するようにしてもよい。このようにすれば、情報センタ3は、料金所レーン表示情報や規制レーン表示情報を生成することができる。
【0197】
また、レーンの移動を特定するための特徴的な車両軌跡のパターンを予めデータベース化して、ナビゲーション装置1や情報センタ3で保持しておいてもよい。このようにすれば、レーン移動や移動方向をより精度よく検知することができる。また、レーンの移動でない車両軌跡を誤ってレーンの移動として検知する可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】第1の実施形態に係る、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図。
【図2】地図情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図3】料金所レーン情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図4】ナビゲーション装置が備える機能の構成を示すブロック図。
【図5】ユーザをETCレーンへ誘導する処理(ETCレーン案内処理)の流れを示すフロー図。
【図6】ETCレーンの概略位置を学習する処理(ETCレーン学習処理)の流れを示すフロー図。
【図7】表示装置に表示される画面例を示す図。
【図8】現実の料金所の一例を模式化した図。
【図9】リンク方向および絶対位置の関係を説明するための図。
【図10】第2の実施形態に係る、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図。
【図11】地図情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図12】料金所レーン情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図13】ナビゲーション装置が備える機能の構成を示すブロック図。
【図14】料金所において、ユーザに規制レーンを通知する処理(規制レーン案内処理)の流れを示すフロー図。
【図15】料金所における規制レーンの概略位置を学習する処理(規制レーン学習処理)の流れを示すフロー図。
【図16】表示装置に表示される画面例を示す図。
【図17】現実の料金所の一例を模式化した図。
【図18】第3の実施形態に係る、システム構成およびナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図。
【図19】規制レーン情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図20】ユーザに規制レーンを通知する処理(規制レーン案内処理)の流れを示すフロー図。
【図21】規制レーンの概略位置を学習する処理(規制レーン学習処理)の流れを示すフロー図。
【図22】表示装置に表示される画面例を示す図。
【図23】現実の道路の一例を模式化した図。
【符号の説明】
【0199】
1:ナビゲーション装置、2:ETC車載器、3:情報センター、4:車両、10:制御装置、11:CPU、12:メモリ、15:記憶装置、16:地図情報、17:料金所レーン情報、18:料金所レーン情報、19:規制レーン情報、20:表示装置、21:入力装置、22:音声入出力装置、23:GPS受信装置、24:センサ、25:通信装置、26:ビーコン受信装置、27:FM多重放送受信装置、28:車々間通信装置、31:料金所レーン情報、32:規制レーン情報、
100:ナビゲーション処理部、102:テレマティクス処理部、104:ユーザ操作解析部、106:表示処理部、108:現在地算出部、110:経路算出部、112:車両軌跡算出部、114:ETC受領信号受信部、116:ETCカード検出部、118:交通情報収集部、
701:地図画面、702:道路、703:料金所マーク、704:車両位置マーク、705:規制マーク、711:レーン案内画面、712:道路画像、713:ETCレーンマーク、714:一般レーンマーク、715:方向、716:料金所名、717:残距離、718:料金所名、719:メッセージ、720:ETC兼一般レーンマーク、721:規制レーンマーク、730:通行可能レーンマーク、731:規制レーンマーク、740:規制マーク、741:メッセージ、
801:道路、802:料金所、803:ETCレーン、804:一般レーン、805:規制レーン、807:規制レーン、808:通行可能レーン、811:車両、812:車両軌跡、821:車両、822:車両軌跡、831:車両、832:車両軌跡、841:車両、842:車両軌跡、851:車両、852:車両軌跡、861:車両、862:車両軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出手段と、
前記所定のレーンの概略位置を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記所定のレーンの概略位置を取得して出力する出力手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
ETCレーンに設置されたETCシステムと通信を行ったことを示すETC信号を受信するETC信号受信手段を有し、
前記算出手段は、
前記ETC信号を受信した場合、前記車両の位置に基づき、ETCレーンの概略位置を算出し、
前記出力手段は、
指定された料金所のETCレーンの概略位置を前記記憶手段から取得して出力すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
道路の交通規制に関する情報を受信する交通情報受信手段を有し、
前記算出手段は、
車両が走行中の道路の所定のレーンに、交通規制されている規制レーンがある場合、前記車両の位置に基づき、前記規制レーンと異なるレーンの概略位置を算出し、
前記出力手段は、
前記規制レーンと異なるレーンの概略位置を前記記憶手段から取得して出力すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記概略位置は、右もしくは左を含む情報であること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置であって、
前記出力手段は、
前記レーンの概略位置を用いて、当該レーンへの進行方向が右側もしくは左側であることを示す案内画面を表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置であって、
前記出力手段は、
前記車両の進行方向に対して右側および左側にあるレーンと、前記レーンのうち前記概略位置に対応するレーンを案内する図形とからなる案内画面を表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置であって、
前記出力手段は、
前記レーンの概略位置を用いて、当該レーンへの進行方向が右側もしくは左側であることを案内する音声を出力すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記車両の進行方向に関する情報は、所定の地点間の、車両の現在位置の経時変化から求めた軌跡であり、
前記算出手段は、
前記車両が走行中の道路に対応するリンクから、前記軌跡が外れた方向に前記レーンの概略位置を算出すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出手段と、
算出した前記所定のレーンの概略位置を所定の外部装置に送信するレーン位置送信手段と、
前記所定の外部装置から前記所定のレーンの概略位置を受信するレーン位置受信手段と、
算出した前記所定のレーンの概略位置と、受信した前記所定のレーンの概略位置とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記所定のレーンの概略位置を取得して出力する出力手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
ナビゲーション装置におけるレーン案内方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
車両の進行方向に関する情報を用いて、前記車両の進行方向における所定の種類のレーンの概略位置を算出する算出ステップと、
前記所定のレーンの概略位置を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶した前記所定のレーンの概略位置を取得して出力するステップと、
を実行することを特徴とするレーン案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2009−42225(P2009−42225A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183911(P2008−183911)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】