説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム

【課題】ユーザから遠い側の表示を見やすくする。
【解決手段】図1(a)は、ディスプレイ42を中央から標準領域61と拡大領域62の2つに区分した場合を示している。ユーザ位置60は、ディスプレイ42に対して斜めの位置に存在し、標準領域61は、ユーザ位置60に近い側に形成され、拡大領域62はユーザから遠い側に形成されている。ナビゲーション装置は、ディスプレイ42に案内情報を表示する際に、標準領域61に表示するものに関しては標準の倍率で表示し、拡大領域62に表示するものに関しては拡大表示する。このように、ユーザ位置60から遠い側の表示が拡大されるため、ユーザにとって、ディスプレイ42の遠い側の案内情報が見やすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムに関し、例えば、案内情報を画面に表示するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置によって車両を誘導することが盛んに行われている。
ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能、GPS(Global Positioning System)衛星やジャイロなどのセンサを用いて自車両の位置を検出する機能、及び目的地までの経路と自車両の現在位置を地図上に表示する機能などを備えている。
【0003】
ナビゲーション装置は、表示画面に案内情報を表示するが、より多くの情報を表示するため、ワイド画面などと呼ばれる幅の広いディスプレイが求められている。
ワイド画面は、従来の表示画面に対して、例えば、横幅が1.5倍〜2倍程度広いものであって、運転席と助手席に対面し、運転席と助手席の間に位置する領域に設置される。
ワイド画面では、従来サイズの画面をそのまま並べて表示、もしくは表示範囲を広げることによって、より多くの情報を1画面内に表示することができる。
このようなワイド画面を有するナビゲーション装置に関する技術としては、次の特許文献1の「カーナビゲーションシステム」がある。
【特許文献1】特開平11−258983号公報
【0004】
この技術は、ワイド画面を回転可能に軸支し、ワイド画面の長手方向を横にしたり縦にしたりできるようになっている。
そして、ナビゲーションシステムは、ワイド画面が横の時は横長の地図を表示し、縦の時は縦長の地図を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車内では、ディスプレイを斜めから見る機会が多いため、ワイド画面の近い側の表示は見やすいが、遠い側の表示は遠方から見るために見にくいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザから遠い側の表示を見やすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ユーザに対して案内情報を表示する表示装置と、案内情報を取得する案内情報取得手段と、ユーザに近い側に表示する案内情報よりもユーザから遠い側に表示する案内情報が拡大表示されるように、前記取得した案内情報を前記表示装置に表示する表示手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、ユーザの位置を取得する位置取得手段を具備し、前記表示手段は、前記取得した位置を用いて、前記表示装置のユーザに近い側とユーザから遠い側を判断することを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記案内情報には、それぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、優先度が低い案内情報を削除して表示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記案内情報には、それぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、前記優先度が低いものの拡大率を、優先度が高いものの拡大率よりも小さくすることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、前記案内情報が前記表示画面に表示される範囲内で前記案内情報を拡大することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記表示手段は、前記案内情報が前記表示画面に表示されるように前記案内情報の表示形態を変更することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、案内情報を取得する案内情報取得機能と、ユーザに近い側に表示する案内情報よりもユーザから遠い側に表示する案内情報が拡大表示されるように、前記取得した案内情報を表示装置に表示する表示機能と、をコンピュータで実現するナビゲーションプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、ユーザに近い側よりも遠い側で案内情報を拡大表示することにより、ユーザに遠い側の表示も見やすくなる。
請求項2に記載の発明では、ユーザの位置を取得することにより、ユーザが表示画面の何れの側にいる場合でも、ユーザから遠い側の案内情報を拡大表示することができる。
請求項3に記載の発明では、案内情報が拡大によって表示しきれなくなる場合に、優先度が低いものを削除することができる。
請求項4に記載の発明では、案内情報が拡大によって表示しきれなくなる場合に、優先度が低いものの拡大率を小さくすることができる。
請求項5に記載の発明では、表示画面に納まるように案内情報を表示することができる。
請求項6に記載の発明では、案内情報の表示形態を複数用意して適宜変更することにより、表示スペースを省略しながら見やすい案内情報を表示することができる。
請求項7に記載の発明では、ユーザに近い側よりも遠い側で案内情報を拡大表示する機能をコンピュータで実現するコンピュータプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)実施の形態の概要
図1の各図は、本実施の形態に係るナビゲーション装置のディスプレイを示している。
ディスプレイ42は、運転席と助手席の間の前方に、運転者と助手席の乗客に面するように設置されている。
ディスプレイ42は、通常のディスプレイよりも横幅が1.5倍〜2倍程度あり、所謂ワイド画面を構成している。
ディスプレイ42には、地図や道路のほか、方位、目的地までの残距離、到着予定時刻、地名、施設名称、施設マークなど、各種の案内情報が表示される。
【0010】
図1(a)は、ディスプレイ42を中央から標準領域61と拡大領域62の2つに区分した場合を示している。
ユーザ位置60は、ディスプレイ42に対して斜めの位置に存在し、標準領域61は、ユーザ位置60に近い側に形成され、拡大領域62はユーザから遠い側に形成されている。
【0011】
ナビゲーション装置は、ディスプレイ42に案内情報を表示する際に、標準領域61に表示するものに関しては標準の倍率で表示し、拡大領域62に表示するものに関しては拡大表示する。
このように、ユーザ位置60から遠い側の表示が拡大されるため、ユーザにとって、ディスプレイ42の遠い側の案内情報が見やすくなる。
【0012】
図1(b)は、ディスプレイ42を3つの領域に区分した場合であって、ユーザに近い側から標準領域63、拡大領域(大)64、拡大領域(特大)65となっている。
ナビゲーション装置は、表順領域63においては、案内情報を標準倍率で表示し、拡大領域(大)64では、標準領域63よりも大きい倍率で案内情報を表示し、拡大領域(特大)65では、拡大領域(大)64よりも大きい倍率で案内情報を表示する。
この例でも、ユーザ位置60から遠くなる程、案内情報が拡大されるため、ユーザ位置60から遠い側の案内情報が見やすくなる。
また、ディスプレイ42を更に多くの区分に分けたり、あるいは、ユーザ位置60に近い側から遠い側に行くに従って拡大率を連続的に大きくするなど、各種の変形が考えられる。
【0013】
(2)実施の形態の詳細
図2は本実施形態が適用されるナビゲーション装置1のシステム構成図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、この図に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50を備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両が何れの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0014】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリュームあるいは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。
つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0015】
GPS受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。
特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、現在位置取得(検出)手段を備えている。
【0016】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0017】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43又はスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0018】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1ROM22は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、目的地までの経路を案内するのに必要な地点情報の検索、及び検索した地点情報を画像表示や音声出力するためにRAM24などに出力したり、地点情報データファイル58などを用いて地点の名称を読みから検索したりするナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0019】
RAM24は、目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、又は情報記憶装置50から読み込まれた地図情報(地点情報も含まれる)を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0020】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。
画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0021】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像や案内情報などを表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
ディスプレイ42は、ワイド画面のディスプレイであって、水平方向が長手方向となるように、運転席と助手席の中央前方付近に運転席と助手席に対面するように設置されている。
ディスプレイ42は、ユーザに対して案内情報を表示する表示装置として機能している。
【0022】
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
タッチパネルはディスプレイ42の上に設置された透明電極などにより構成されており、ユーザがディスプレイ42をタッチした位置を検出できるようになっている。
【0023】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、地点情報データファイル58、ユーザ位置データファイル59、その他のデータファイルを格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、書き換え可能な記憶媒体であるハードディスク、フラッシュメモリなどで構成されるが、CD−ROM、DVD−ROMなどのROMと併用してもよい。
【0024】
地図データファイル51には、全国道路地図、任意地域の道路地図又は住宅地図等の地図データが記憶されている。
道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路(比較的狭い道路)等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形、及び道路名称等が表示される市街図である。
【0025】
交差点データファイル52には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。
ノードデータファイル53には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等が記憶される。
道路データファイル54には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。
【0026】
写真データファイル55には、各種施設や観光地、又は主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データやコンピュータグラフィックス画像データなどが記憶されている。
目的地データファイル56には、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータが記憶されている。
案内地点データファイル57には、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等の案内が必要とされる地点の案内データが記憶されている。
【0027】
地点情報データファイル58は、地点情報を格納したファイルである。地点情報は、POI(Point of Interest)情報とも呼ばれ、例えば、競技場、劇場、レストランやデパートなどの店舗、学校、行政施設、福祉施設、民間会社の本支社や営業所、観光地など、ユーザが経路案内などで興味を持つと考えられる地点の、地点の名称の表示文字列、表示文字列の読み、表示文字列と読みの対応情報、座標、住所、電話番号、その他の事項に関する情報である。地点情報は、検索の対象として機能している。
【0028】
ユーザ位置データファイル59は、ユーザ位置データを記憶したファイルである。ユーザ位置データは、ユーザがディスプレイ42に対面して何れの側に位置しているのかを特定する情報である。
ナビゲーション装置1は、ディスプレイ42において、ユーザ位置データで特定される側から遠い側を拡大領域に設定し、近い側を標準領域に設定する。
【0029】
ユーザ位置データは、ユーザが手動で設定するように構成することもできるし、あるいは、自動で設定するように構成することもできる。
自動で設定する場合は、例えば、ディスプレイ42の両端に、赤外線などを用いた人体センサを備えておき、ディスプレイ42上のタッチパネルがタッチされた際に、何れの側から手が差し出されたかを検知してユーザの位置を判断することができる。
また、予め固定的に運転者側を標準領域とし、助手席側を拡大領域に設定し、変更ができないように構成することもできる。
【0030】
次に、図3の各図を用いて、ディスプレイ42に表示される案内情報について説明する。
ナビゲーション装置1では、ディスプレイ42の全体を標準領域とする標準モードと、ユーザに近い側を標準領域とし、ユーザから遠い側を拡大領域とする拡大モードをユーザが選択できるようになっている。
【0031】
図3(a)は、ユーザが標準モードを選択し、ディスプレイ42の全体を標準領域とした場合を示している。
ナビゲーション装置1は、情報記憶装置50に記憶されている各種データを用いて、画像を形成し、ディスプレイ42に表示する。
【0032】
図3(a)の例では、ディスプレイ42上に、地図、自車マーク71、方位マーク72、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大表示ボタン76、「安城市」などの各種地名が表示されている。
また、図示しないがレストランなどの施設を図形や記号などによって表す施設マークも表示可能である。
【0033】
これらの表示要素は、ナビゲーション装置1が情報記憶装置50に記憶されている各種データを用いてディスプレイ42に表示したものであって、ナビゲーション装置1は、これらの表示要素の表示位置や大きさ、表示非表示を個別に独立して制御することができる。
これら表示要素は、車両を経路案内するための情報であるため、案内情報として機能している。
【0034】
自車マーク71は、現在走行している自車両の位置を表しており、ルート上に表示される。自車マーク71は、円の中に三角形を有しており、三角形の頂点によって進行方向を表している。
【0035】
画面左には、方位マーク72、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大表示ボタン76が表示されている。
方位マーク72は、自車両が進行している方位を表している。
距離マーク73は、例えば、交差点で右折するなど、進路変更を行う地点までの距離を表している。
【0036】
到着予想マーク74は、目的地への到着予想時刻と、目的地までの距離を表している。
拡大表示ボタン76は、拡大モードに移行する際にユーザがタッチするボタンである。
各種地名は、「安城市」、「岡崎市」、「北野町」、「松橋町」、「東町」など、地名を表す文字である。
【0037】
ディスプレイ42の表示画面には座標系が設定されており、表示画面上の位置が座標値によって特定できるようになっている。
一方、案内情報には、案内情報を含む最小の矩形領域が付与されていると共に、矩形領域の頂点の1つ(例えば、左下の頂点)が基準点として付与されている。
ナビゲーション装置1は、表示画面の座標系に案内情報の基準点を配置することにより、ディスプレイ42上での案内情報の表示位置を規定する。
【0038】
図3(b)は、ユーザが拡大モードを選択し、ディスプレイ42の右半分が標準領域61に設定され、左半分が拡大領域62に設定された場合を示している。
本実施の形態では、一例として、ユーザに遠い側からディスプレイ42の幅を45:55に区分する位置(点線90)を標準領域61と拡大領域62の境界線とした。
なお、これは一例であって、両者を区分する位置は、例えば、50:50の位置にしたり、60:40にしたりなど、各種の場合が可能である。
【0039】
例えば、文字列「松橋町」、「岡崎市」や自車マーク71など、標準領域61に表示されている案内情報の表示倍率は、標準モードと同じ標準倍率となっているが、拡大領域62に表示されている文字列「北野町」、「東町」、「安城市」や、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大解除ボタン75などは、標準倍率よりも拡大された拡大倍率にて表示されている。
【0040】
なお、拡大解除ボタン75は、標準モードに移行する際にユーザがタッチするボタンである。
拡大解除ボタン75などのボタン類も、拡大領域62に表示される際には拡大倍率にて表示される。
【0041】
ナビゲーション装置1は、案内情報の基準点の座標値により、案内情報が標準領域61と拡大領域62の何れかに表示されるかを判断し、以上のように、標準領域61に表示される場合は標準倍率を適用し、拡大領域62に表示される場合は拡大倍率を適用する。
このため、ユーザから遠い側の表示が拡大表示され、ユーザは、自身から遠い側の案内情報をより容易に視認することができるようになる。
【0042】
なお、図3(b)の例では、案内情報のうち、地図を拡大領域62で拡大すると、標準領域61と拡大領域62で地図の連続性が損なわれるため、地図に関しては拡大領域62で拡大しないこととした。
このように、ナビゲーション装置1は、拡大領域62に属する案内情報を一律に拡大するのではなく、選択的に拡大することが可能である。
【0043】
次に、図4の各図を用いて、拡大領域62に案内情報を表示する際に、表示状態を調節する方法について説明する。
図4(a)は、案内情報に拡大倍率を適用して、何ら調節をせずに拡大領域62に表示した場合を示している。
この例では、方位マーク72の上部と拡大解除ボタン75の下部の表示位置がディスプレイ42の外となっており、表示されていない。
【0044】
このように、案内情報を拡大して拡大領域62に表示する場合、案内情報の全てがディスプレイ42に表示しきれない場合がある。
このような場合、ナビゲーション装置1は、次のようにして案内情報の表示状態を調節することが可能である。
【0045】
図4(b)は、方位マーク72を削除して表示スペースを確保し、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大解除ボタン75を表示したものである。
先に説明したように、案内情報には当該案内情報を含む最小の矩形領域が付随している。
そして、ナビゲーション装置1は、案内情報を表示画面上に配置した場合、矩形領域の全てが表示画面内にあるか、矩形領域の一部が表示画面内にあるか、あるいは、矩形領域の全てが表示画面の外にあるかを確認し、これによって、それぞれ、案内情報の全てが表示画面に表示されていること、案内情報の一部が表示画面に表示されていること、案内情報が表示画面に表示されていないことを検出する。
【0046】
この検出機能を用いて、ナビゲーション装置1は、図4(a)において、方位マーク72と拡大解除ボタン75が一部しか表示されていないことを検出することができる。
案内情報には、優先度が設定してあり、ナビゲーション装置1は、表示されていない案内情報が存在したり、あるいは、一部しか表示されていない案内情報が存在する場合、優先度の低い案内情報を削除して表示スペースを確保する。
【0047】
このように、ナビゲーション装置1では、案内情報にそれぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が表示装置(ディスプレイ42)の表示画面外となる場合、ナビゲーション装置1は、優先度が低い案内情報を削除して表示する。
【0048】
図4(b)の例では、方位マーク72の優先度が、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大解除ボタン75よりも低く設定されており、このため、方位マーク72が削除されている。
案内情報を1つ削除した後に、まだ少なくとも一部が表示されていない案内情報がある場合は、更に、最も優先度が低いものを1つ削除する。
最も優先度が低い案内情報が複数ある場合は、例えば、画面の上の方にあるものを削除するなど、何らかの順序づけを行って削除する。
【0049】
以上の例は、優先度の低い案内情報を削除するものであったが、優先度の低い案内情報の拡大率を他の案内情報よりも小さく設定することにより表示スペースを確保することも可能である。
図4(c)は、方位マーク72の優先順位が他の案内情報よりも低いため、方位マーク72の拡大率が他の案内情報よりも小さく設定されている。
これによって、他の優先度が高い案内情報を拡大表示するための表示スペースが確保できる。
また、到着予想マーク74も、縦方向の拡大率が横方向の拡大率よりも小さく設定されており、表示スペースの確保に寄与している。
【0050】
このように、ナビゲーション装置1では、案内情報にそれぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が表示装置(ディスプレイ42)の表示画面外となる場合、ナビゲーション装置1は、優先度が低いものの拡大率を、優先度が高いものの拡大率よりも小さくする。
更に、縦方向や横方向の拡大率を変更することにより、案内情報を変形して表示することもできる。
【0051】
また、図示しないが、案内情報の全てが拡大領域62に表示される範囲内で拡大率を設定するように構成することもできる。
案内情報の全てが表示される範囲内で拡大率を設定する場合、案内情報の全てが表示される最大の拡大率で案内情報を表示すると、案内情報を可能な範囲で最大限に拡大することができる。
このようにして、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が表示装置(ディスプレイ42)の表示画面外となる場合、ナビゲーション装置1は、案内情報が表示画面に表示される範囲内で案内情報を拡大するように構成することもできる。
【0052】
また、図4(d)に示したように、画像の拡大率を小さく抑えても見やすいくなるように案内情報の表示形態を変更することによって表示スペースを確保することも可能である。
このために、ナビゲーション装置1は、拡大率ごとの案内情報と表示形態の組合せを記憶したデータベースを情報記憶装置50に記憶している。
そして、ナビゲーション装置1は、各案内情報の拡大率を設定した後、当該拡大率に係る表示形態を当該データベースから読み取ってディスプレイ42に表示する。
拡大率の設定は、例えば、案内情報に優先順位を設定し、全ての案内情報が表示されるように、優先委順位の大きいものから大きな拡大率を割り当てることにより行うことができる。
【0053】
例えば、図4(d)の方位マーク72は、北方向を示す特徴部位である三角形と文字Nが案内情報の表示形態のうち大きな部分を占めており、案内情報で当該部分が拡大されているため、案内情報自体の拡大率が大きくなくても遠方から容易に北方向を認識することができる。
これによって表示スペースを節約すると共に遠方からも認識しやすくすることができる。
【0054】
また、到着予想マーク74では、当直予想時刻の表示をアナログ時計表示からデジタル表示とすることにより、拡大率が大きくなくても遠方から見やすい形態となっている。
このように、拡大率に応じて見やすい表示形態を用意することにより、案内情報の拡大率と表示形態の組合せが可能となり、ナビゲーション装置1は、これを用いて適切な表示画面をユーザに提供することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、案内情報が表示画面(ディスプレイ42)に表示されるように案内情報の拡大率を設定し、当該設定した拡大率に応じた表示形態を表示することができる。
【0055】
次に、他の例に係るディスプレイ42の表示形態について説明する。
図5(a)の例では、ディスプレイ42に、残距離表示領域66、詳細表示領域67、広域表示領域68の3つの領域が形成されている。
なお、広域表示領域68がユーザから遠い側に位置するものとする。
残距離表示領域66は、残距離表示計81により、交差点などの方向転換する地点までの距離を表示している。
【0056】
詳細表示領域67は、自車マーク71aによって自車両の現在位置近辺を表示すると共に、経路に沿って進路を案内する。
広域表示領域68は、自車マーク71bによって自車両の現在位置周辺を表示すると共に、方位マーク72、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大表示ボタン76なども表示される。
図5(a)は、標準モードによる表示であり、広域表示領域68は、拡大表示されていない。
そして、ユーザが拡大表示ボタン76をタッチすると、ナビゲーション装置1は、広域表示領域68を拡大表示する。
【0057】
図5(b)は、拡大モードにて広域表示領域68を拡大表示したところを示している。
広域表示領域68は、方位マーク72が低優先度のため削除され、距離マーク73、到着予想マーク74、拡大解除ボタン75が拡大表示されている。
残距離表示領域66、詳細表示領域67の表示は、標準モードと同じになっている。
【0058】
また、近年デュアルディスプレイと呼ばれるものが開発されている。
これは、ディスプレイ上に1の画像と他の画像の2つの画像を同時に形成し、ディスプレイを1の側から見るユーザには1の画像が見え、他の側から見るユーザに対しては他の画像が見えるようにするものである。
この場合、ナビゲーション装置1は、1のユーザに対しては、他の側の案内情報を拡大表示し、他のユーザに対しては1の側の案内情報を拡大表示する。
【0059】
次に、図6のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置1が案内情報を表示する手順について説明する。
なお、ディスプレイ42は拡大モードに設定されているものとする。
まず、ナビゲーション装置1は、ユーザ位置データファイル59のユーザ位置データからユーザの位置を取得する(ステップ5)。
このように、ナビゲーション装置1は、ユーザの位置を取得する位置取得手段を備えている。
【0060】
次に、ナビゲーション装置1は、ディスプレイ42において、ユーザの位置からユーザに近い側と遠い側を特定し、これによってディスプレイ42に標準領域61と拡大領域62を設定する(ステップ10)。
このように、ナビゲーション装置1は、取得したユーザの位置を用いて、表示装置(ディスプレイ42)のユーザに近い側とユーザから遠い側を判断している。
【0061】
次に、ナビゲーション装置1は、ディスプレイ42に表示すべき案内情報を情報記憶装置50から取得する(ステップ15)。
このように、ナビゲーション装置1は、案内情報を取得する案内情報取得手段を備えている。
次に、ナビゲーション装置1は、案内情報の基準点が、標準領域61と拡大領域62の何れに位置するかを確認することにより、案内情報を表示する領域を個々の案内情報について判断する(ステップ20)。
【0062】
次に、ナビゲーション装置1は、拡大領域62に表示する案内情報については所定の拡大率を設定する(ステップ25)。
ナビゲーション装置1は、案内情報を拡大した場合に、少なくとも一部が表示画面の外に位置する案内情報が存在するか(即ち、画面からはみ出す案内情報が存在するか)確認し、少なくとも一部が表示画面の外に位置するものがある場合、例えば、優先順位の低いものを削除するなどして表示スペースを確保し、案内情報の表示位置を変更するなどして拡大領域62の案内情報の表示状態を調節する(ステップ30)。
【0063】
ナビゲーション装置1は、以上のようにして、拡大領域62に表示する案内情報の表示位置と拡大率を設定すると、拡大領域62に関しては当該表示位置と拡大率にて、標準領域61に関しては通常の表示位置と表示倍率にて案内情報を表示する(ステップ35)。
このように、ナビゲーション装置1は、ユーザに近い側に表示する案内情報よりもユーザから遠い側に表示する案内情報が拡大表示されるように案内情報を表示装置(ディスプレイ42)に表示する表示手段を備えている。
以上のようにしてナビゲーション装置1は、ディスプレイ42への案内情報の表示処理を完了する。
【0064】
以上に述べた本実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)ナビゲーション装置1は、ユーザから遠い側の表示を拡大するため、ユーザがディスプレイ42を斜めに見た場合に、ユーザから遠い側の表示の視認性を向上させることができる。
(2)ナビゲーション装置1は、案内情報を拡大表示すると案内情報が表示画面に納まらない場合に、案内情報の表示位置や表示状態を調節して、必要な案内情報が表示されるように表示内容を調節することができる。
(3)ナビゲーション装置1は、ユーザがディスプレイ42の何れの側に位置しても、ユーザから遠い側の案内情報を拡大表示することができる。
【0065】
(4)ナビゲーション装置1は、ディスプレイ42に対し、見る側からの距離に合わせて案内情報の表示サイズを設定する(即ち、遠い側の表示を拡大する)ことができる。
(5)ナビゲーション装置1は、センサなどを用いてユーザの位置が特定、又は推定できる場合は、ユーザの位置を見る側と判断することができる。
(6)デュアルディスプレイの場合、ナビゲーション装置1は、それぞれ見える方向にあわせて案内情報を拡大させることができる。
(7)ナビゲーション装置1は、案内情報の全部もしくは一部が表示画面からはみ出さないような拡大率に合わせて案内情報を拡大表示することができる。
(8)ナビゲーション装置1、拡大表示する案内情報が表示画面からはみ出る場合は、画面中のより重要と判断できる部分がはみ出さないように、案内情報を取捨選択したり、表示位置や拡大率を変更したりして調整することができる。
(9)表示画面の遠くに位置する部分も見やすくなり、ボタンも拡大されれば操作も容易にできるようになる。
【0066】
なお、本実施の形態では、ディスプレイ42をワイド画面として説明したが、これは、ディスプレイ42をワイド画面に限定するものではなく、本実施の形態による案内情報表示技術は、通常のディスプレイに適用することも可能である。
また、例えば、レーザー光線などを用いてディスプレイ42からユーザまでの距離を測定し、ユーザまでの距離が大きいほど拡大率を大きくするなど、ユーザまでの距離に応じて拡大率を変化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ナビゲーション装置のディスプレイを示した図である。
【図2】ナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図3】ディスプレイに表示される案内情報を説明するための図である。
【図4】案内情報の表示状態を調節する方法を説明するための図である。
【図5】ディスプレイの表示形態の変形例について説明するための図である。
【図6】案内情報を表示する手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 ナビゲーション装置
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
41 入力装置
42 ディスプレイ
50 情報記憶装置
58 地点情報データファイル
59 ユーザ位置データファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して案内情報を表示する表示装置と、
案内情報を取得する案内情報取得手段と、
ユーザに近い側に表示する案内情報よりもユーザから遠い側に表示する案内情報が拡大表示されるように、前記取得した案内情報を前記表示装置に表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
ユーザの位置を取得する位置取得手段を具備し、
前記表示手段は、前記取得した位置を用いて、前記表示装置のユーザに近い側とユーザから遠い側を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内情報には、それぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、優先度が低い案内情報を削除して表示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記案内情報には、それぞれ優先度が設定してあり、ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、前記優先度が低いものの拡大率を、優先度が高いものの拡大率よりも小さくすることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
ユーザから遠い側の案内情報の表示位置が前記表示装置の表示画面外となる場合、前記表示手段は、前記案内情報が前記表示画面に表示される範囲内で前記案内情報を拡大することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記案内情報が前記表示画面に表示されるように前記案内情報の表示形態を変更することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
案内情報を取得する案内情報取得機能と、
ユーザに近い側に表示する案内情報よりもユーザから遠い側に表示する案内情報が拡大表示されるように、前記取得した案内情報を表示装置に表示する表示機能と、
をコンピュータで実現するナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−42187(P2009−42187A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210389(P2007−210389)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】