説明

ナビゲーション装置およびシステム

【課題】 本発明は、使い勝手を向上したナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係るナビゲーション装置は、第1の携帯端末および第2の携帯端末から、情報を受信する通信部と、記第1の携帯通信端末から送信された情報に含まれる目的地情報と、を備える。またこのナビゲーション装置は制御部を備える。この制御部は、前記第2の携帯通信端末から送信された情報に含まれる目的地情報が共通する目的地を示す場合に、前記目的地情報の示す場所を目的地として設定する。またこのカーナビゲーション装置は、現在地から前記設定された目的地までの進路を表示する表示部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムに関し、特に、目的地の設定に携帯端末に記憶された情報を利用するカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、携帯電話に記憶された、目的地と到着予定時刻を示すスケジュールデータを、近距離通信手段を用いて携帯電話からナビゲーションシステムに送信して目的地情報と到着希望時刻を設定するナビゲーションシステムが提案されている。この技術を用いれば、携帯電話に記憶されている情報を送信することで目的地及び到着時刻を設定することができるので、目的地設定の入力の手間が省かれる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−267478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
会社や家庭などでは、一台の車両に複数人で搭乗し、ナビゲーション装置を複数人で利用することが考えられる。複数人が各々にナビゲーション装置に情報を送信すると、不具合が生じる場合がある。例えば、同じ到着予定時刻に複数の目的地が設定される場合である。この場合、単に新しく入力された情報を優先させ目的地として設定しても、設定された目的地がユーザが望むものでなければ、入力操作を改めて行わなければならず、使い勝手が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、使い勝手を向上したナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナビゲーション装置は、第1の携帯端末および第2の携帯端末から、情報を受信する通信部と、記第1の携帯通信端末から送信された情報に含まれる目的地情報と、を備える。また、このナビゲーション装置は、制御部を備える。この制御部は、前記第2の携帯通信端末から送信された情報に含まれる目的地情報が共通する目的地を示す場合に、前記目的地情報の示す場所を目的地として設定する。またこのカーナビゲーション装置は、現在地から前記設定された目的地までの進路を表示する表示部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、使い勝手を向上したナビゲーション装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。携帯端末の記憶しているユーザ利用情報としてはメール、若しくは、PIM(Personal Information Manager:個人情報管理ソフト)情報等を用いる。PIM情報とはPIMで利用される個人のスケジュールやToDoリスト等の情報である。PIM情報は、個人のスケジュール等に限らず、グループウェア等によって管理されている集団の行動予定情報でもよい。メールとは、電子メールだけではなく、公衆網を通じて送受信されるショートメッセージ等を含む。
【0009】
このナビゲーション装置は、例えば、車両に搭載して用いられる。以下このナビゲーション装置を、車に搭載し、カーナビゲーション装置として用いる場合を例にとって説明する。
【0010】
図1は、ナビゲーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1において、制御装置110は、例えば演算処理等を行うCPU111や、プログラムを格納するROM112、ワーキングメモリとして機能するRAM113等を有する装置であり、以下の各装置と接続する。
【0012】
帯端末通信装置120は制御装置110の要求に応じ携帯端末と通信する。携帯端末通信装置120は、Bluetooth・Wireless LAN(Wireless Local Area Network)などの近距離通信・狭域通信を実現する。ここでは、Bluetooth及びWireless LAN の双方を備えているものとする。
【0013】
位置検出装置130は、制御装置110の要求に応じ、車両の現在位置を検出する。位置検出装置130としてはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)131を用いる。他に、受信するビーコンから現在位置を認識する装置でもよい。
【0014】
記憶装置140は例えばハードディスク141、光ディスク等によるものであり、地図情報等を記憶しており、制御装置110の要求に応じ要求された地図情報等を制御装置110に転送する。また記憶装置140は、入力された移動予定情報を記憶しておく。移動予定情報とは、目的地情報、あるいは目的地情報と到着予定日時情報の両方とを含むものである。
【0015】
表示装置150は液晶ディスプレイ(LCD)151や有機ELによるディスプレイであり、制御装置110の要求に応じて制御装置110が検索した経路、または進路、進行方向などと記憶装置140から取得した地図情報、現在位置、目的地、到着希望時刻等を表示する。
【0016】
入力装置160は、ユーザが直接ナビゲーション装置に情報を入力するときに使用する。入力装置160としては、例えばキーボード、各種釦、ソフトキー、タッチパネル、音声入力装置等を用いる。
【0017】
図1に示した例では、ナビゲーション装置が表示装置を備えているが、これに限定するものではない。ナビゲーション装置とは別に、表示装置や音声出力装置を設けてもよい。この場合、表示装置や、音声出力装置に経路情報を出力する出力装置をナビゲーション装置に設ける。
【0018】
図2は、本発明の第1実施形態により携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。図2において、制御装置210は例えばCPU211やMPU等の演算装置、ROM212やRAM213等を有する制御装置であり、携帯端末通信装置210から目的地情報要求が来たことを通知されたとき、記憶装置230が記憶している目的地情報を、携帯端末通信装置210を用いて送信する。
【0019】
また、制御装置210は、広域無線網通信装置250で目的地情報を受信した場合、それを記憶装置230に記憶させ、表示装置240に表示させる。広域無線網通信装置250で受信する目的地情報とは地名、住所、緯度経度、場所の通称等、場所を特定するための文字列を含む受信メールである。制御装置210は、入力装置260に入力された目的地情報を記憶装置230に格納し、表示装置240に表示する。入力装置260に入力された目的地情報とは、広域無線網通信装置250により送信される特定の文字列を含む電子メール、または、PIM情報である。携帯端末通信装置220は、目的地情報要求の受信の有無を確認し、それが来ていれば制御装置210に通知し、制御装置210の要求に応じて目的地情報を送信する。
【0020】
携帯端末通信装置220としてはBluetoothまたはWireless LAN(Wireless Local Area Network)等を用いる。記憶装置230は例えばメモリ等の記憶デバイスであり、制御装置210の要求に応じ目的地情報を格納し、また、制御装置210の要求に応じ目的地情報を送信する。
【0021】
表示装置240は液晶ディスプレイ241や有機ELディスプレイ等によるものであり、制御装置210の要求に応じ、電子メールの内容やPIMの内容を表示する。
【0022】
広域無線通信装置250は制御装置210の要求に応じ、メールの送受信を行う。広域無線通信装置230としては、例えば携帯電話無線システム251を用いる。
【0023】
入力装置260は、キーパッド261であり、ユーザからの入力を制御装置210に通知する。
【0024】
本ナビゲーションシステムで使用する携帯端末は、最初にナビゲーションシステムの一部として使用するときに、ナビゲーション装置との間で初期設定が必要になる。これは携帯端末通信装置120にBluetoothを使うときのペアリングに相当し、Wireless LANを使うときの共通の暗号キーを設定することに相当する。
【0025】
ペアリング等の初期設定を行うことにより、以降ユーザは、メールアドレス等のナビゲーション装置固有のアドレス入力をすることなくナビゲーション装置との通信を確立することができる。これにより使い勝手が向上する。なお、1台のナビゲーション装置に対して、複数の携帯端末が初期設定を行うことができる。ナビゲーション装置は、初期設定をした各々の携帯端末に、IDを割り当てる等の処理を行い、個別の携帯端末を区別する。
【0026】
ナビゲーションシステムを利用するにあたり、ユーザは、目的地を設定するためのメールを、どれにするか決めている場合がある。この場合、ユーザは、目的地を設定するために利用するメールに、印を付けておくことができる(図3)。図3の例では受信メールを閲覧しているときに、ソフトキー「印付加」を用いて印を付加している様子を示している。また、サブメニューの項目の中に、「印付加」を加えてもよい。受信メールの一覧を表示している際にも印を付加をしてもよい。ユーザが印を付加する方法は、この例に限定されない。
【0027】
また、携帯端末に送信するメールを作成する者は、メールに特定の文字列を含めることができる。例えば、メールを作成するときに、メールの文章のうち、集合場所や時刻を示す文字列の前に「(場所)」、「(日時)」という文字列をメール中に入力することができる。この特定の文字列が、本システムにおいて利用される態様は、後に説明する。
【0028】
次に携帯端末200の電子メールのデータを用いて、目的地や経由地を設定する処理の一例を図4および図5を用いて説明する。
【0029】
ナビゲーション装置の目的地が設定されていないとき、制御装置110は携帯端末通信装置120としてBluetoothとW-LANとのどちらを使用するか選択する(S401)。デフォルトではBluetoothを用い、それでは携帯端末と通信ができない場合はW-LANを使用する。BluetoothとW-LANとのどちらを優先して使用するかはユーザが決めても良いし、両方使用してもよい。また、通信相手の携帯端末に応じてBluetoothとW-LANのどちらを使うかを決めても良い。
【0030】
ナビゲーション装置の制御装置110は、携帯端末通信装置120を通じて、初期設定が済んでいて本システムの一部として利用できる携帯端末が通信可能な範囲に存在するか調べる(S402)。
【0031】
ここで、通信可能な範囲を車体の内部としてもよい。携帯端末通信装置120から送信される信号の強度を調整して通信可能な範囲を変更する。これにより、携帯端末200を身に着けたユーザが車両に乗った場合に、携帯端末通信装置120から情報の送信要求が携帯端末200に届き、通信が行われることとなる。また、通信可能な範囲を車体の内部に限らず、車体の近傍かつ通信可能な距離としてもよい。車体の近傍とは、例えば携帯端末通信装置120から3m以内の距離にある空間とする。通信可能な距離とは、携帯端末通信装置120からの信号が届く範囲とする。携帯端末200を身に着けたユーザが車に搭乗する前に情報の送受信を行うことができ、早く目的地の設定処理を開始することができる。
【0032】
本システムの一部として利用できる携帯端末200が存在するなら、制御部110は、その携帯端末200と通信ができるかを調べる。通信可能なら、携帯端末200に情報を送信するように要求を送信し、携帯端末200の記憶装置230に記憶されている受信メールを、最新のものから所定の件数受信する(S403)。ナビゲーション装置100は、携帯端末200が複数あるならば、各々の携帯端末200から所定の数のメールを受信する。ここでは、所定の件数とは10件とするが、ユーザはこの件数を任意に設定することもできる。ユーザは、印が付加されたメールだけをナビゲーション装置が受信するように設定してもよい。受信したメールは記憶装置140に格納される。また通信が行えないならS412の処理に移る。
【0033】
次にナビゲーション装置は、受信メールから目的地を示す情報、またそれと到着予定日時を示す情報を抽出し、抽出された情報の中から目的地や経路の設定に利用するものを選択する(S404)。抽出できない場合はS411の処理に移る。
【0034】
ここで、制御装置110が、受信メールから目的地情報を抽出する処理の一例について説明する。制御装置110は、メールの中の件名、本文にあたる箇所を解析することによって抽出を行う。解析は、目的地情報の解析、到着予定日時の解析に分けられる。目的地情報の解析は、制御装置110がメール本文を形態素解析、及び構文解析をし、地名、建物の名前、住所、店の名前、緯度経度等場所を示している可能性のある文字列を抽出して行う。
【0035】
抽出するにあたり、ユーザによって印が付加されている受信メールが存在すれば、制御装置110が印は付けられたメールのみを対象に解析する構成をとってもよい。この構成により、カーナビゲーション装置は、目的地の設定に利用するメールの選択処理を確実に、速く行うことができる。
【0036】
図6は、メール中に含まれる特定の文字列の一例を示している。メール中に特定の文字列、例えば「(場所)」等の文字列が含まれている場合は、その特定文字列の後の文字列を、メール中の他の箇所に優先して解析を行う。図6のように、メールに「(場所)横浜駅」、「(日時)12:00」と記載されていたら、制御装置110は、本文の他の箇所に優先してこの部分を解析する。そして「横浜駅」「12:00」という場所や時間を示す文字列を抽出する。ユーザは、特定の文字列が含まれるメール本文だけを解析するように、ナビゲーション装置100に設定することもできる。メール中に特定の文字列が含められていた場合は、その直後の文字列は場所を示している可能性が高い。一般的に、検索操作に時間がかかるが、このように解析することによって、制御装置110は受信したメールから速く、確実に目的地を示す文字列を抽出することができる。また、メールの作成者は特定の文字列を使用することによって、目的地の設定に利用される情報を通常の文章に混入させることができる。
【0037】
メール中に「に集まれ」「行こう」等の文字列を含む一文には、場所を示す文字列が含まれている可能性が高い。ナビゲーション装置100はその一文を他の箇所に優先して解析する。
【0038】
ナビゲーション装置100は、抽出された文字列と、記憶装置140に記憶されているデータベースの内容を比較して、場所を特定する。データベースには、図7に示されるように住所の情報が、都道府県、市区町村、番地等の住所・所番地を示す文字列が記憶されている。市区町村を示す文字列の数は場所によって異なる。住所・所番地を示す文字列は、広い範囲を示す文字列から順に記憶されている。よって、例えば「戸塚○○町」という文字列で表現される場所は「横浜市」という文字列が示す場所に含まれるということを、制御装置110がデータベースを参照して判断することもできる。
【0039】
また図7のデータベースには、その場所に付けられた場所の通称、地名、略称、通称、建物の名称、建物の通称等、が記憶されている。この名称等は、ユーザが登録したものでもよい。ユーザが登録する名称の例として「自宅」「○○さん宅」「○○学校」等がある。場所の名称やユーザが登録できる名称は一つに限られない。場所を経路探索に用いるための位置情報も記憶されている。位置情報としては、例えば緯度経度を示す情報を用いる。メール中の文字列と、データベースに格納された文字列を比較することによって、メールから、目的地の位置情報を求める。
【0040】
一つの文字列から、一意的に場所が特定できない場合がある。例えば「白山駅」という名の駅は、東京都、香川県、新潟県のどの県に存在する駅なのかを「白山駅」という文字列のみからは判定できない。このような場合、位置検出装置130が取得した現在位置等と文字列が示す場所の候補を比較して、より近い場所を目的地として設定するようにしてもよい。
【0041】
到着予定時刻を示す文字列は、110が数字や「:」等の記号、「時」「分」「日」等の文字列を基にして抽出する。
【0042】
制御装置110は、メールを解析して得られた目的地情報等を、記憶装置140に移動予定情報として記憶する。この移動予定情報には、目的地、到着予定日時、とともにその情報を入力した携帯端末200のID等が含まれる。このIDによって、その目的地情報、到着予定時刻情報がどの携帯端末200から入力されたか、を識別する。また携帯端末200から受信したメールから目的地情報等を解析できず、移動予定情報が記憶されなかった場合は、S411の処理に移る。
【0043】
制御装置110は、記憶された移動予定情報の中から、目的地を設定するために利用する情報を選択する(S406)。選択にはユーザに付加された印があれば、それを優先させる。到着予定日時が近いものがあれば、それを優先させる。また複数の端末から入力された情報に共通するものがあれば、それを優先させる。以下図5を用いて、移動予定情報の選択処理の一例を説明する。
【0044】
まず制御装置110は、受信した移動予定情報の中から印の付加されているものがあるか判定する(S501)。もしあれば、制御装置110は、それ以外の移動予定情報を、目的地の候補から除外する(S502)。
【0045】
次に制御装置110は、記憶した移動予定情報のうち印が付加されたものが一件だけかどうかを判定する(S503)。もし一件だけなら、制御装置110は、それを目的地として設定する(S515)。
【0046】
移動予定情報が複数存在する場合は、制御装置110は印が付加された移動予定情報のうち、到着予定日時も記憶され、さらに到着予定時刻が現在から24時間以内である移動予定情報の有無を判定する(S504)。なおこの24時間という数字は、ユーザの設定により変更してもよい。
【0047】
到着予定日時が直近24時間の移動予定情報がなければ、移動予定情報のうち、複数の端末によって共通する目的地が入力されたものの有無を判定する(S510)。もし存在すれば、そのうち携帯端末200が受信した日時が最新のものを目的地の設定に利用する(S513)。目的地が共通する場合とは、片方の目的地と同一の場合に限らず、ある目的地が別の目的地を包含する場合も含む。例えば、ある端末から入力された目的地が「横浜市」であり、別の端末から入力された情報が「戸塚区」である場合は、制御装置は目的地を戸塚区に設定する。この包含関係は、制御装置110が図7のデータベースを参照して判断する。
【0048】
S510において移動予定情報のうち、複数の端末によって共通する目的地が入力されたものが無ければ、携帯端末200がメールを受信した日時が最新のものを目的地として設定する(S514)。
【0049】
S504において、到着予定日時が24時間以内の情報が存在する場合は、制御装置110はその情報を利用して、仮の目的地または経由地を仮設定する(S505)。S505において、到着予定時刻が24時間以内のものが複数存在する場合がある。この場合、制御装置110はすべての移動予定情報を満たすように目的地及び経由地を設定する。制御装置110は、到着予定時刻が近い目的地から順に経由して到着予定時刻が一番遠いものを最終目的地に設定して経路を探索する。例えば「到着予定時刻、12:00。目的地、東京都」と入力されている移動予定情報と、「到着予定時刻、15:00。目的地、横浜駅」という移動予定情報が入力されていれば、制御装置110は東京駅を経由して横浜駅に向かう経路を設定する。
【0050】
制御装置110は、全ての目的地、経由地に到着予定日時通りに到達できるかを計算する(S505)。全ての目的地や経由地に到達できるなら。目的地や経由地を仮設定の通り設定する(S512)。
【0051】
ここで、移動予定情報を取捨選択しなければ経路を設定できない場合がある。例えば、到着予定時刻が同一で目的地情報が異なる移動予定情報が入力されている場合がある。また例えば、複数の目的地があるが、到着予定時刻の差がその複数の目的地まで行くには短すぎる場合がある。具体例として、「到着予定時刻、12:00。目的地、東京駅」という移動予定情報と、「到着予定時刻、12:05。目的地、横浜駅」という移動予定情報が入力されている場合がある。この場合、複数の移動予定情報のうち、どちらかを選択する必要がある。
まず制御装置110は、複数の携帯端末200により、共通する目的地を示す移動予定情報が入力されていないかを調べる(S507)。到着予定時刻が近く、目的地情報が共通するものがあれば、制御装置110は、その移動予定情報を利用して目的地を設定する(S512)。個々の携帯端末200の識別は、図7のデータベース内の携帯端末200のIDによって行う。本機能を用いれば、複数人で一台の車を利用する場合にでも、少ない操作で目的地の設定が行われる。例えば、ある携帯端末200から入力された移動予定情報が、「到着予定時刻、12:00。目的地、東京駅」であり、別の携帯端末200から入力された移動予定情報が、「到着予定時刻、12:00。目的地、東京駅」であり、また別の携帯端末200から入力された移動予定情報が、「到着予定時刻、12:00。目的地、横浜駅」であるとする。この場合、制御装置110は、「到着予定時刻、12:00。目的地、東京駅」という移動予定情報を用いて、目的地を設定する。例えば、同じ内容のメールを複数の利用者が受信している場合等に、そのメールに含まれる目的地情報が示す場所が目的地に設定される。
【0052】
制御装置110は、ナビゲーション装置100の利用頻度の多い順に、携帯端末200ごとに優先順位を付け、記憶装置140に記憶する。S507にて制御装置110が目的地情報を取捨選択できなければ、優先順位の高い携帯端末200から入力された移動予定情報を目的地の設定に利用する(S508)。ここで利用頻度とは、所定の期間に何度その携帯端末200からナビゲーション装置100への情報の送信されたかを数えて決定する。
【0053】
S508において目的地の設定ができなければ、到着予定時刻が一定の範囲に含まれる複数の移動予定情報を表示装置150に表示させ、ユーザに選択させる。(S509)
以上の処理により、移動予定情報の中から目的地を設定するものとして望ましいものが、目的地に設定され、経路に設定される(S407)。経路の探索にはダイクストラ法やAアルゴリズム等を用いる。
【0054】
次に、表示装置150に目的地までの経路・進路を案内する経路情報を表示する(S408)。
【0055】
経路が設定されても、ナビゲーション装置100の利用者がその目的地を変更したい場合は、その目的地を取り消すようにナビゲーション装置100に入力することができる(S409)。また経路情報が表示される前に目的地をユーザに確認させる構成をとってもよい。
【0056】
ユーザから変更を入力されると、制御装置110は表示装置150を通じて、ユーザに目的地設定に利用するメールを直接選択するかどうかを問い合わせる(S411)。
【0057】
直接選択する場合、制御装置110は表示装置150にメール件名一覧を表示させる(S421)。図8はS421における表示の一例であり、メールの件名、携帯端末200がメールを受信した日時、携帯端末200にメールを出した差出人等のリストおよびカーソル等が表示される。ユーザは、その一覧から目的地設定に使用したいメールを、入力装置160により選択する(S422)。次に、制御装置110は、取得したメールの本文を表示装置150に表示する(S423)。ユーザは表示装置150に表示されたメールの本文の内容から目的地情報を取得し入力する(S424)。S424において、ユーザが目的地情報を入力する一例を、図9を用いて説明する。S422において選択されたメールが、表示装置150に表示される(図9(a))。表示装置150には、メールの本文等や、入力する文字列を指示するためのカーソルが表示される。ユーザは入力に用いる文字列の始点をカーソル及び入力装置160によって指示し(図9(b))、文字列の範囲を定めて(図9(c))、終点を指示し入力を確定する(図9(d))。同様に到着予定時刻も指示・確定する(図9(e))。また、入力装置160として、表示装置150とともに用いられるタッチパネルを用い、表示しているメール本文から目的地情報として入力する文字列の始点から終点まで、指等をディスプレイに押し付けたまま移動させることにより指示し、それを目的地情報としても良い(図10(a)(b))。
【0058】
メールを直接選択しない場合、ユーザ入力装置160を用いて直接目的地情報を入力する(S412)。
【0059】
以上の結果、目的地情報が入力されたら、確認画面が表示される。図11は確認画面の一例であり、目的地、到着予定時刻、確認操作を求めるメッセージ等が表示装置150に表示される。ユーザにより確認操作が行われたら、制御装置110は、記憶装置140に記憶されている地図情報と、位置検出装置130によって検出する車両の現在位置と、目的地位置情報とから、到着希望時刻までに到着するのに最適な経路を検索する(S413)。その後、検索した経路と地図情報と車両現在位置と目的地位置情報と到着希望時刻とを表示装置150に表示する(S414)。
【0060】
またカーナビゲーション装置の利用が終了した場合も、記憶装置130に記憶された移動予定情報のうち、到着予定時刻を伴う目的地情報は、所定の期間保存されるようにしてもよい。所定の期間とは、到着予定日時が含まれている移動予定情報については、現在その到着予定日時を経過するまでの期間としてもよい。また、到着予定日時が含まれていない移動予定情報については、入力されてから168時間としてもよい。後日ユーザが車両に乗った場合は、その時に入力される移動予定情報と、以前記憶装置140に記憶された移動予定情報と、を利用して目的地を設定してもよい。
【0061】
本実施例によればユーザは何も操作を行わなくとも、カーナビゲーション装置の目的地の設定できる。もし目的地の設定が行えなくとも、ユーザは少ない操作で目的地の設定を行うことができる。また、ユーザ携帯端末200を操作するときに、あらかじめ目的地設定に使用するメールにつけておけば、少ない操作で、適切な目的地の設定ができる。また、目的地情報を、特定の文字列が含まれるメールで、携帯端末200が受信していれば、ナビゲーション装置100が、より確実に目的地情報の解析を行える。また、携帯端末200から複数の情報が送られた場合、また複数のユーザから情報が送られた場合等に、ナビゲーション装置100が、その複数の情報から、目的地の設定に用いるのに好適な情報を選択できる。
【0062】
また、S403において、メールを所定の件数受信する際に、「件名」に係る部分、また印の有無を示す部分だけを、受信する構成にしてもよい。この場合、ユーザによって特定の文字列が件名に含められていれば、また印が付加されたメールがあれば、ナビゲーション装置100そのメール本文を取得する構成にする。ここにおける特定の文字列とは、例えば「(集合)」「(集まれ)」である。メールの一部分を先に受信することにより、通信時間や消費電力を低減することができる。
【0063】
また、本実施例では、特定の文字列がメールに含められている場合について説明している。ユーザによって、メール中の場所を示す文字列の箇所を示す情報をメールに付加する構成としてもよい。この場合、制御装置110は、付加された情報に基づいて、場所を示す文字列の箇所を判別し、目的地情報等の抽出を行う。
【0064】
また、携帯端末通信装置120に代わり、取り外し可能な広域無線網通信用のモジュールを使用してもよい。図12はこの場合のナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。図1と同じ部分は同一の符号と名称を用い説明を省略する。制御装置110は、ナビゲーション装置100に接続された広域無線網通信モジュール170を使用して広域無線網通信を利用でき、広域無線網通信モジュール170に割り当てられた電子メールアドレス宛に送信された電子メールを利用することができる。広域無線網通信モジュール170は、制御装置110の要求に応じ広域無線網を通して通信を行う。
【0065】
広域無線網通信モジュール170が使用する広域無線網通信システムとしては、携帯電話無線システムを用いる。目的地の設定に使用する電子メールは、広域無線網通信モジュール170に割り当てられた電子メールアドレス宛に送信された電子メールだけでなく、携帯端末通信装置120が通信可能な携帯端末200に記憶されている電子メールでも良い。具体的な動作は、図4の携帯端末通信選択(S401)において、通信方法の選択肢に広域無線網通信モジュール170との通信が加わることを除いて第1実施形態と同一である。広域無線通信モジュール170はカーナビゲーション装置と、ハーネス等を利用して接続された携帯端末そのものでもよい。
【0066】
以上の実施例では電子メールを利用する場合を想定したが、PIM情報を利用する場合も同様であり、広域無線網を用いてPIM情報を携帯端末200に送信する場合は電子メールに添付して送信する。PIM情報は特定のフォーマットで記述されている場合が多い。よって制御装置110は到着予定日時や、目的地情報を抽出することが、メールから抽出するのに比べて容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ナビゲーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】受信メールに印を付加する一例を示す図である。
【図4】目的地の設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】移動予定情報の選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】電子メール本文およびそれから取得される目的地情報の一例である。
【図7】データベースの一例を示す図である。
【図8】件名一覧の表示例を示す図である。
【図9】メール本文を利用して目的地の設定を行う一例を示す図である。
【図10】メール本文を利用して目的地の設定を行う一例を示す図である。
【図11】入力された情報の確認画面の一例を示す図である。
【図12】ナビゲーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
100 車両に搭載されるナビゲーション装置
110 車両に搭載されるナビゲーション装置の制御装置
111 CPU
112 ROM
113 RAM
120 車両に搭載されるナビゲーション装置の携帯端末通信装置
130 車両に搭載されるナビゲーション装置の位置検出装置
131 GPS位置検出装置
140 車両に搭載されるナビゲーション装置の記憶装置
141 ハードディスク
150 車両に搭載されるナビゲーション装置の表示装置
151 液晶ディスプレイ
160 車両に搭載されるナビゲーション装置の入力装置
170 車両に搭載されるナビゲーション装置に接続される広域無線網通信モジュール
200 携帯端末
210 携帯端末の制御装置
211 CPU
212 ROM
213 RAM
220 携帯端末の携帯端末通信装置
230 携帯端末の記憶装置
231 メモリ
240 携帯端末の表示装置
241 液晶ディスプレイ
250 携帯端末の広域無線網通信装置
251 広域通信モジュール
260 携帯端末の入力装置
261 キーパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の携帯端末および第2の携帯端末から、情報を受信する通信部と、
前記第1の携帯端末から送信された情報に含まれる目的地情報と、前記第2の携帯端末から送信された情報に含まれる目的地情報が共通する目的地を示す場合に、前記目的地情報の示す場所を目的地として設定する制御部と、
現在地から前記設定された目的地への進路を出力する出力部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
ナビゲーション装置であって、
第1の携帯端末及び第2の携帯端末から、目的地情報及び到着予定日時情報を含む移動予定情報を受信する通信部と、
このナビゲーション装置を利用した前記第1の携帯端末の利用頻度および第2の携帯端末の利用頻度を記憶する記憶部と、
前記第1の携帯端末から送信された移動予定情報と、前記第2の携帯端末から送信された移動予定情報の両方とを満たす経路を設定できないとき、前記記憶部に記憶された利用頻度の高い携帯端末から送信された移動予定情報が示す場所及び日時を目的地及び到着予定日時として設定する制御部と、
現在地から前記設定された目的地への進路を出力する出力部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項3】
携帯端末から情報を受信する通信部と、
前記情報に含まれる所定の情報をもとに目的地情報を抽出する制御部と、
現在位置から前記目的地情報が示す場所への進路を出力する出力部と、
を備えたナビゲーション装置。
【請求項4】
前記受信される情報は文字列データを含み、
前記所定の情報は特定の文字列又は特定の記号列であり、
前記制御部は、前記特定の文字列又は前記特定の記号列の後に記載された文字列を、目的地の設定に利用する請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ナビゲーション装置は、
前記出力部により出力された進路を表示する表示部を備え、
前記通信部により受信する情報は、電子メールあるいはPIM情報であり、
前記通信部は、近距離無線通信または狭域無線通信を行う狭域通信部であり、
前記表示部は、液晶ディスプレイを有し、
前記制御部はCPU等を有すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記携帯端末が車体の近傍かつ通信可能な場所に存在する場合に、前記携帯端末と通信することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記携帯端末が車体の内部に存在する場合に、前記携帯端末と通信することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
携帯端末とナビゲーション装置を有するナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末は、情報を記憶する携帯端末記憶部と、
前記情報を前記ナビゲーション装置に送信する携帯端末通信部と、
前記情報に印を付加する入力部とを備え、
前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話からユーザ利用情報を受信する通信部と、
前記携帯端末により送信された情報に、前記ユーザによって印が付加されていた場合に、前記情報に含まれる目的地情報が示す場所を目的地として設定する制御部と、
現在地から前記設定された目的地までの進路を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記携帯端末から送信される情報は、電子メールまたはPIM情報であり、
前記携帯端末通信部は、近距離無線通信または、狭域無線通信を行う狭域携帯端末通信部であり、
前記通信部は、近距離無線通信または狭域無線通信を行う狭域通信部であり、
前記表示部は、液晶ディスプレイを有し、
前記制御部はCPU等を有すことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記通信部は、前記携帯端末が車体の近傍かつ通信可能な場所に存在する場合に、前記携帯端末と通信することを特徴とする請求項8または9に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
前記通信部は、前記携帯端末が車体の内部に存在する場合に、前記携帯端末と通信することを特徴とする請求項8または9に記載のナビゲーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−107938(P2007−107938A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297080(P2005−297080)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】