説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラム

【課題】ナビゲーション装置において、文字の手書き入力を受け付ける機能を利用して、ユーザの間の双方向性・エンターテイメント性を実現することを目的とする。
【解決手段】ナビゲーション装置が、ユーザの手書き入力による文字の筆跡、筆圧、筆速度から、ユーザの心理的または肉体的状態、および飲酒の有無を特定し(210)、特定した状態に応じて各種処理内容を変更し、また、飲酒の対策となる処理を行う(220。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は啓蒙期と普及期を終えて成熟期を迎え、現在では年齢・嗜好に限定されない誰でも使用する可能性がある一般的な存在となった。
【0003】
そんな車両用ナビゲーション装置は、現在、道路案内という基本的な機能以外にも、音楽、映像、通信、車両情報表示、他の機器との連携など多種多様な機能を担うようになっている。
【0004】
その一方で、近年様々な分野の製品において機能性や性能に加えてユーザと機器の間の双方向性が求められるようになってきている。今後のナビゲーション装置は前述のように年齢・嗜好に限定されず誰でも使用する製品であるため、道路案内だけでなく、双方向性・エンターテイメント性を提供することが求められるであろう。
【0005】
ところで、ナビゲーション装置の中には、乗員による文字の手書き入力を受け付けることができるようになっているものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開2004−325322号公報
【特許文献2】特開2003−166843号公報
【特許文献3】特開2005−62044号公報
【特許文献4】特開2002−195849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景のもと、本発明は、ナビゲーション装置において、文字の手書き入力を受け付ける機能を利用して、ユーザの間の双方向性・エンターテイメント性を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、ナビゲーション装置が、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせ、その照らし合わせの結果に基づいて、当該ナビゲーション装置または他の機器の作動の内容を変化させるようになっていることである。
【0008】
ここで、手書き入力とは、ペンを用いた文字入力、指による直接文字入力等、文字の形状を表すようにユーザが自らの手を動かすことによって実現する入力をいう。また、運筆とは、入力された文字そのものの意味内容ではなく、筆跡、筆圧、筆速度等の、手書き入力時に入力される文字を表す線の入力形態をいう。
【0009】
なお、筆跡とは、手書き入力時にユーザによって描かれる線の軌跡をいい、筆圧とは、手書き入力時にユーザが手書き入力装置に加える圧力をいい、筆速度とは、手書き入力時にユーザが線を描くスピードをいう。
【0010】
また、ここでいう文字とは、漢字、ひらがな、カタカナ、数字、アルファベット、記号、数字等を包含する概念である。
【0011】
このようになっていることで、ナビゲーション装置は、ユーザが手書きで入力した文字の運筆に基づいて、種々の作動内容を変化させるので、ユーザとの間の双方向性、および、ユーザに対するエンターテイメント性を実現することができるようになる。
【0012】
また、ナビゲーション装置は車両に搭載されるものであってもよい。この場合、ナビゲーション装置は、ユーザによってあらかじめ手書き入力で入力された、比較対照用の文字の運筆が、ユーザの手書き入力による文字の運筆と大きく異なっているか否かを判定し、大きく異なっている場合、ユーザが飲酒していることに対する対策の処理を行うようになっていてもよい。
【0013】
このようにすることで、文字入力時のユーザの運筆が通常時の運筆と大きく異なっているか否かで、ユーザが飲酒しているか否かを判定し、その判定に応じた対策処理を行うことができる。したがって、飲酒運転が行われる危険性が低下する。
【0014】
また、ナビゲーション装置は、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、また、特定した状態を、ユーザに報知するための処理を行うようになっていてもよい。
【0015】
このように、入力された文字の運筆から特定したユーザの心理的なまたは肉体的な状態をユーザに報知することで、ユーザは自分でも気づかなかった自らの状態を認識することができるようになる。したがって、ユーザの移動の安全性(例えば車両の運転の安全度)が高まる。
【0016】
また、ナビゲーション装置は、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、また、特定した状態に応じて、当該ナビゲーション装置または他の機器の、ユーザに直接影響する作動の内容を、変化させるようになっていてもよい。
【0017】
これによって、当該ナビゲーション装置または他の機器の作動の内容に、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を反映させることができる。
【0018】
なお、本発明の特徴は、本発明に係るナビゲーション装置に用いるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。
【0020】
図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0021】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0022】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザ(本実施形態においてはドライバに該当する)に表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0023】
操作部13は、ユーザによる入力操作を受け付ける装置である。具体的には、操作部13は、メカニカルスイッチ13a、タッチパネル13b、手書き入力用パネル13cを含んでいる。
【0024】
タッチパネル13bは、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられ、当該タッチパネル13bに対してユーザが自らの指またはスティックを用いてタッチ操作を行うことで、そのタッチされた位置およびタッチの圧力を検出し、検出した情報を制御回路17に出力する装置である。
【0025】
手書き入力用パネル13cは、タッチパネル13bと同様、当該手書き入力用パネル13cに対してユーザが自らの指またはスティックを用いてタッチ操作を行うことで、そのタッチされた位置およびタッチの圧力を検出し、検出した情報を制御回路17に出力する装置である。
【0026】
このように、タッチパネル13bおよび手書き入力用パネル13cは、ユーザの手書き入力を受け付けることができる。例えば、これらタッチパネル13bおよび手書き入力用パネル13cのいずれかに対してユーザが文字を描くと、描かれた文字の軌跡上のタッチ位置の位置情報およびタッチの圧力情報が、当該点がタッチされたタイミングで、制御回路17に出力される。
【0027】
地図データ取得部16は、HDD等の書き込み可能な不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ、楽曲データ等を記憶している。
【0028】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0029】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、およびスピーカ14と信号の授受を行い、また、車室内温度調整装置(以下、エアコンという)、エンジンECU等の、車両内の他の機器を制御する。
【0030】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、楽曲再生処理等がある。
【0031】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。誘導経路算出処理は、操作部13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0032】
経路案内処理は、地図データ取得部16から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力させる処理である。
【0033】
楽曲再生処理は、地図データ取得部16中に記録された複数の楽曲および音データのうちから1つを読み出して、その楽曲の音をスピーカ14に出力させる処理である。
【0034】
なお、制御回路17は、ユーザの入力に基づいた処理を行う際、その入力がタッチパネル13bまた手書き入力用パネル13cに対する手書き入力であった場合には、図3にフローチャートで示すようなプログラム100を実行することで、当該処理を実現する。
【0035】
すなわち、まずステップ110で、タッチパネル13bまたは手書き入力用パネル13cが受け付けた手書き入力の軌跡に基づいて、当該手書き入力の示す文字等を認識する。
【0036】
続いてステップ120で、認識した文字等の意味内容に応じた処理を行う。例えば上記の誘導経路算出処理における目的地の入力の受け付けの際に、タッチパネル13bまたは手書き入力用パネル13cに対して手書き入力があった場合、ステップ110で認識した文字に対応する地点を、目的地の候補とする。認識した文字に対応する地点としては、例えば認識した文字がひらがなの「え」であった場合、「え」から始まる名称を有する施設を、目的地の候補としてもよい。
【0037】
また、制御回路17は、上記のような処理に加え、運筆対応処理および設定処理を実行する。図3に、運筆対応処理のために制御回路17が実行するプログラム200のフローチャートを示し、図4に、設定処理のために制御回路17が実行するプログラム300のフローチャートを示す。
【0038】
制御回路17は、タッチパネル13bおよび書き入力用パネル13cのうちいずれか1つ(以下、単にパネルと総称する)に対して手書き入力があったときに運筆対応処理を実行する。そして、この運筆対応処理において、図3に示すように、まずステップ210で運筆判定を行い、続いてステップ220で、運筆判定の結果に応じた処理を実行する。
【0039】
ステップ210の運筆判定において、制御回路17は、パネルが受け付けた手書き文字の運筆を、あらかじめ定められた判定基準に照らし合わせることで、ユーザの心理的または肉体的状態を特定する。ここで、運筆とは、手書き入力された文字の意味内容ではなく、筆跡、筆圧、筆速度等の、手書き入力時に入力される文字を表す線の入力形態をいう。なお、筆跡とは、手書き入力時にユーザによって描かれる線の軌跡をいい、筆圧とは、手書き入力時にユーザがパネルに加える圧力をいい、筆速度とは、手書き入力時にユーザが線を描くスピードをいう。
【0040】
制御回路17は、パネルから連続的に受けた位置情報に基づいて、手書き入力された文字の筆跡を特定する。また、パネルから連続的に受けた圧力情報に基づいて、手書き入力された文字の筆圧を特定する。また、パネルから連続的に受けた位置情報および当該位置情報を受けたタイミングに基づいて、手書き入力された文字の筆速度を特定する。
【0041】
また、ステップ210の運筆判定において制御回路17は、特定した運筆が比較対照用の文字の運筆(以下、基準運筆という)と大きく異なっているか否か(すなわち、所定のずれ度よりも大きく異なっているか否か)を判定する。
【0042】
ステップ210の判定結果に応じたステップ220の処理においては、制御回路17は、運筆判定による特定結果を画像表示装置12またスピーカ14を用いて画像または音声でユーザに報知する。また、ステップ220の処理において制御回路17は更に、ステップ210の特定結果に基づいて、車両用ナビゲーション装置1または車両内の他の機器の、当該ユーザに直接影響する作動の内容を、変化させる。
【0043】
また、ステップ220においては、直前に手書き入力された文字の運筆と基準運筆とが大きく異なっているとステップ210で判定された場合に、ユーザが飲酒していることに対する対策の処理を行う。
【0044】
ユーザが飲酒していることに対する対策の処理としては、(1)画像表示装置12またはスピーカ14を用いて、運転中止を指示する通知を、画像または音声で表示する処理、(2)エンジンECUを制御して、エンジンを始動させないようにする処理、(3)あらかじめ地図データ取得部16に記憶された、飲酒運転事故被害者遺族の声の音データを強制的に再生してスピーカ14から出力する処理、(4)あらかじめ地図データ取得部16に記録された飲酒運転事故現場の写真画像を画像表示装置12に表示させる処理、(5)エアコンによる温度制御の機能を停止する処理、(5)画像表示装置12による画面表示の機能を停止する処理、(6)経路案内処理の機能を停止する処理等がある。
【0045】
ここで、入力された運筆に基づいてステップ210で特定するユーザの心理的または肉体的状態を例示し、それら心理的または肉体的状態のそれぞれを特定するための、入力された運筆に対する判定基準を示す。まず、特定する心理的または肉体的状態としては、(1)緊張度、(2)集中度、(3)疲労度、(4)大胆度、(5)焦り度、(6)性格、等がある。
【0046】
緊張度については、制御回路17は、入力された文字の筆圧の代表値(例えば、平均値、最大値、中央値等)が高いほど緊張度が高いと判定する。より具体的には、入力された文字の筆圧の代表値が、基準運筆の筆圧の代表値よりも高ければ、ユーザが通常より緊張していると判定し、そうでなければ、ユーザが通常よりリラックスしていると判定する。
【0047】
集中度については、制御回路17は、入力された文字の筆跡と、基準運筆の筆跡との位置の一致度を、最小自乗法等の周知の技術を用いて算出し、算出した一致度が高いほど、ユーザの集中力が高いと判定する。具体的には、算出した一致度が所定の集中度用基準値より高いと、ユーザの集中力が通常よりも高いと判定する。
【0048】
疲労度については、制御回路17は、入力された文字の筆跡から震え度を算出し、算出した震え度が高いほど、ユーザの疲労度が高いと判定する。具体的には、算出した震え度が所定の震え度用基準値より高いと、ユーザの疲労度が通常よりも高いと判定する。
【0049】
ここで、震え度は、以下のようにして特定する。すなわち、入力された文字の筆跡の、基準運筆の筆跡に対する位置ずれを、フーリエ解析等によって周波数分析し、分析の結果、人間の震えに該当する周波数帯域における強度の代表値(平均値、最大値、中央値等)を、当該震え度とする。なお、人間の震えに該当する周波数帯域は、あらかじめ実験等によって決定しておく。
【0050】
大胆度については、制御回路17は、入力された文字の筆跡から、文字の「はね」の部分の文字全体に対する大きさを判定し、それが大きいほど、大胆度が高いと判定する。具体的には、「はね」の大きさが、基準運筆の筆跡におけるはねの大きさよりも高ければ、ユーザが通常よりも大胆であると判定し、そうでなければ、ユーザが通常よりも繊細であると判定する。
【0051】
焦り度については、制御回路17は、入力された文字の筆速度の代表値(例えば、平均値、最大値、中央値等)が高いほど焦り度が高いと判定する。より具体的には、入力された文字の筆速度の代表値が、基準運筆の筆速度の代表値よりも高ければ、ユーザが通常よりも焦っていると判定し、そうでなければ、ユーザが通常よりも心の余裕があると判定する。
【0052】
性格については、制御回路17は、あらかじめ定められた性格―運筆対応関係に、入力された運筆を照らし合わせることで、当該運筆に対応する性格を判定する。
【0053】
次に、特定された心理的または肉体的状態と、当該特定された状態に応じた制御回路17の処理との関係を説明する。
【0054】
(1)緊張度が通常よりも高いと判定された場合に対応する処理
楽曲再生処理によって再生する音楽を、人をリラックスさせやすい音楽に切り替える。このようにすることで、ユーザの緊張をほぐすことができる。地図データ取得部16中の楽曲データには、どの楽曲がリラックスしやすいかの情報が含まれている場合、その情報に基づいてリラックスさせやすい音楽を抽出するようになっていてもよい。
【0055】
また、画像表示装置12に、緊張をほぐす効果のあるつぼを示す画像を表示させる。このようにすることで、ユーザが緊張していることを当のユーザに気づかせると共に、緊張をほぐす方法をユーザに教示することができる。
【0056】
また、画像表示装置12に表示させる文字のフォントを、通常のフォント(例えば、ゴシック体フォント、明朝体フォント)から、より丸みのあるフォント(例えば、丸文字フォント)に切り替える。このようにすることで、ユーザに安心感を与えることができ、ひいては、ユーザの緊張をほぐすことができる。
【0057】
また、緊張度が通常よりも高いと判定された場合は、スピーカ14に出力させる音声を通常の音声(例えば、標準語による音声)から、赤ちゃん言葉(例えば「30m先を右でちゅ。」等)の音声に変更する。このようなユーモラスな演出により、ユーザの緊張をほぐすことができる。
【0058】
また、誘導経路算出処理のための目的地として、自動的に癒し施設(例えば、マッサージ店、温泉、高速道路のパーキングエリア、サービスエリア等)を設定し、その癒し施設に対して経路案内処理を行うようになっていてもよい。このようにすることで、ユーザは自動的に癒し施設に案内され、そこで休息を取ることで、緊張をほぐすことができる。
【0059】
(2)集中度が通常よりも低いと判定された場合に対応する処理
楽曲再生処理によって楽曲が再生されている場合は、その再生を中止する。このようにすることで、ユーザの運転への集中力を高めることができる。
【0060】
また、画像表示装置12またはスピーカ14を用いて、集中を促すメッセージを、映像または音声でユーザに伝える。このようにすることで、ユーザの集中力が低下していることを当のユーザに気づかせることができる。
【0061】
また、エアコンを制御して、車室内の温度を現在の値よりも低くする。また、送風方向を制御して、ドライバ席の頭部部分に現在の温度よりも低い冷気を吹き付ける。このようにすることで、ユーザの感覚を鋭敏にし、ユーザの運転への集中力を高めることができる。
【0062】
また、画像表示装置12の表示輝度を通常よりも高くする。このようにすることで、集中力の低下にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0063】
また、画像表示装置12に表示させる文字のフォントのサイズを通常よりも大きくする。このようにすることで、集中力の低下にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0064】
また、画像表示装置12に表示させる画像の表示色数を通常よりも減らすことで、画像の表示をシンプルにする。このようにすることで、集中力の低下にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0065】
また、誘導経路算出処理のための目的地として、高速道路のパーキングエリア、サービスエリアを頻繁に設定し、それらの施設に対して経路案内処理を行うようになっていてもよい。このようにすることで、ユーザは自動的にそれらの施設に案内され、そこで休息を取ることで、集中度を高めることができる。
【0066】
(3)疲労度が通常よりも高いと判定された場合に対応する処理
科学的に癒し効果が実証されている1/f周波数を含む音を含む曲(例えば、川のせせらぎ音のみを流す曲)を再生する。このようにすることで、ユーザの疲れを軽減することができる。
【0067】
また、ユーザが疲れていることを示すメッセージを、映像または音声で、ユーザに通知する。このようにすることで、ユーザが疲れていることを当のユーザに気づかせることができる。
【0068】
また、画像表示装置12の表示輝度を通常よりも高くする。このようにすることで、疲労にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0069】
また、画像表示装置12に表示させる文字のフォントのサイズを通常よりも大きくする。このようにすることで、疲労にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0070】
また、画像表示装置12に表示させる画像の表示色数を通常よりも減らすことで、画像の表示をシンプルにする。このようにすることで、疲労にもかかわらず、ユーザが画面表示の内容を容易に確認することができる。
【0071】
また、誘導経路算出処理のための目的地として、高速道路のパーキングエリア、サービスエリアを頻繁に設定し、それらの施設に対して経路案内処理を行うようになっていてもよい。このようにすることで、ユーザは自動的にそれらの施設に案内され、そこで休息を取ることで、疲れを癒すことができる。
【0072】
(4)大胆度が通常よりも高いと判定された場合に対応する処理
運転に細心の注意を払うよう促すメッセージを、映像または音声で、ユーザに通知する。このようにすることで、ユーザが過度に大胆な運転をしてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0073】
(5)焦り度が通常よりも高いと判定された場合に対応する処理
科学的に癒し効果が実証されている1/f周波数を含む音を含む曲(例えば、川のせせらぎ音のみを流す曲)を再生する。このようにすることで、ユーザの焦りを軽減することができる。
【0074】
また、焦って心に余裕のない時は事故が起こりやすい旨のメッセージを、映像または音声で、ユーザに通知する。このようにすることで、ユーザは、自らが焦っていることを知り、安全運転を心がけるようになる。
【0075】
また、画像表示装置12に表示させる文字のフォントのサイズを通常よりも大きくする。このようにすることで、表示画面の内容を確認させるためにユーザが費やす労力を低減することができる。
【0076】
また、画像表示装置12に表示させる画像の表示色数を通常よりも減らすことで、画像の表示をシンプルにする。このようにすることで、表示画面の内容を確認させるためにユーザが費やす労力を低減することができる。
【0077】
また、経路案内処理においては、通常提供している情報のうち、目的地への経路の案内以外の付加情報(例えば、周辺施設の情報等)の提供を禁止する。このようにすることで、経路案内に対してユーザが費やす注意を低減することができる。
【0078】
以上のような運筆対応処理のために必要なデータをユーザによって設定させるために、制御回路17は、図4に示す設定処理用のプログラム300を、ユーザの操作部13に対する起動操作に応じて開始する。ユーザは、自らが好調なとき、すなわち、体調が良好で、かつ心理的に落ち着いて充実しているときに、上述の起動操作を行う。
【0079】
制御回路17は、この設定処理において、まずステップ310で、上述の比較対照用の文字の手書き入力を受け付ける。このようにして入力された比較対照用の文字の運筆は、地図データ取得部16に記録される。このように、好調時のユーザの運筆と、上述したような運転時等におけるユーザの運筆とを比較することで、より個々のユーザに適した運筆対応処理を行うことができる。
【0080】
続いてステップ320で、運筆対応処理に必要なデータの入力を受け付ける。ここで受け付けるデータとは、例えば、上述の集中度用基準値のデータ、震え度用基準値のデータ、性格―運筆対応関係を示すデータ、リラックスさせやすい音楽を指定するデータ、および、運筆対応処理のステップ220における、特定された性格と、当該性格に対応する処理との関係を示すデータがある。
【0081】
このように、性格と処理との対応関係等を、ユーザが自主的に設定することで、より個々のユーザに適した処理を実現することができる。
【0082】
以上説明したとおり車両用ナビゲーション装置1は、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせ、その照らし合わせの結果に基づいて、当該ナビゲーション装置または他の機器の、当該ユーザに直接影響する作動(音声表示、画像表示、車室内温度制御、目的地設定等)の内容を変化させる。
【0083】
このようになっていることで、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザが手書きで入力した文字の運筆に基づいて、種々の作動内容を変化させ、その変化が直接ユーザに影響を与えるので、ユーザとの間の双方向性、および、ユーザに対するエンターテイメント性を実現することができるようになる。
【0084】
また、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザによってあらかじめ手書き入力で入力された、比較対照用の文字の運筆が、ユーザの手書き入力による文字の運筆と大きく異なっているか否かを判定し、大きく異なっている場合、ユーザが飲酒していることに対する対策の処理を行う。
【0085】
このようにすることで、文字入力時のユーザの運筆が通常時の運筆と大きく異なっているか否かで、ユーザが飲酒しているか否かを判定し、その判定に応じた対策処理を行うことができる。したがって、飲酒運転が行われる危険性が低下する。
【0086】
また、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、また、特定した状態を、ユーザに報知するための処理を行う。
【0087】
このように、入力された文字の運筆から特定したユーザの心理的なまたは肉体的な状態をユーザに報知することで、ユーザは自分でも気づかなかった自らの状態を認識することができるようになる。したがって、ユーザの移動の安全性(例えば車両の運転の安全度)が高まる。
【0088】
また、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、また、特定した状態に応じて、当該ナビゲーション装置または他の機器の、ユーザに直接影響する作動の内容を、変化させる。
【0089】
これによって、当該ナビゲーション装置または他の機器の、ユーザに直接影響する作動の内容に、ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を反映させることができる。
【0090】
なお、ユーザの状態を判定する装置として生体センサが広く知られている。これに比して、ユーザの手書き入力に基づいてユーザの状態を特定することは、効率面のみを見れば手間がかかる。しかし、ユーザの感性に訴える性能である感性性能面から考えると、ユーザに手書き入力をさせるという段階を踏む処理は、無くてはならない演出であるといえる。
【0091】
すなわち、生体センサに体調を判断されるより、「自分が書いた文字から体調を判断されるからこそ説得力があっていい」というニーズが見込まれる。
【0092】
このように、「心理的または肉体的状態の特定」という目的を有する点では、本実施形態と生体センサは同じであるが、本実施形態においては、目的とする処理に至るまでのプロセスを重視している点が異なる。
【0093】
さらに、ユーザ参加型である実施形態の方が、生体センサよりも高いエンターテイメント性を有する、
また、単純に機能・性能の観点で見ても、生体センサでは判定が難しい集中力について、本発明では判定することが可能となる。
【0094】
なお、上記実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1がナビゲーション装置の一例に相当し、タッチパネル13bおよび手書き入力用パネル13cのそれぞれが手書き入力装置の一例に相当する。また、制御回路17がプログラム200のステップ210を実行することで運筆判定手段の一例として機能し、ステップ220を実行することで作動内容制御手段の一例として機能する。
【0095】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0096】
例えば、制御回路17は、登録された比較対照としてのユーザの文字の基準運筆の情報を、簡易個人認証に用いてもよい。すなわち、手書き入力を受け付けたとき、このユーザの文字と、登録された比較対照としてのユーザの文字の運筆の情報とが大きく異なっている場合は、正規のユーザが使用してないと判定し、車両用ナビゲーション装置1の機能を停止するようになっていてもよい。
【0097】
また、制御回路17は、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザによる手書き入力文字の基準運筆の情報を、地図データ取得部16に記録するようになっていてもよい。その場合、制御回路17は、車両の運転時等において手書き入力を受け付けたときに、その入力による運筆と、各ユーザの基準運筆と比較して、最も一致度の高い運筆に対応するユーザを、現在のユーザとして特定し、その特定したユーザについての各種設定を読み出して各種処理に反映させるようになっていてもよい。
【0098】
また、プログラム300のステップ310、320において入力されるデータは、地図データ取得部16に限らず、他の、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、地図データ取得部16の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
【0099】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、船舶や飛行機に搭載されるものであってもよいし、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機も、本発明のナビゲーション装置に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】制御回路17が実行するプログラム200のフローチャートである。
【図4】制御回路17が実行するプログラム300のフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作部、13a…メカニカルスイッチ、13b…タッチパネル、
13c…手書き入力用パネル、14…スピーカ、16…地図データ取得部、
17…制御回路、100、200、300…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手書き入力を受け付ける手書き入力装置と、
前記手書き入力装置が受け付けた文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせる運筆判定手段と、
前記運筆判定手段による照らし合わせの結果に基づいて、当該ナビゲーション装置または他の機器の作動の内容を、変化させる作動内容制御手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ナビゲーション装置は車両に搭載されるものであって、
前記運筆判定手段は、前記ユーザによってあらかじめ手書き入力で入力された、比較対照用の文字の運筆が、前記ユーザの手書き入力による文字の運筆と大きく異なっているか否かを判定し、
前記作動内容制御手段は、前記比較対照用の文字の運筆が、前記ユーザの手書き入力による文字の運筆と大きく異なっていると前記判定手段が判定したことに基づいて、前記ユーザが飲酒していることに対する対策の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記運筆判定手段は、前記ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、前記ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、
前記作動内容制御手段は、前記運筆判定手段が特定した状態を、前記ユーザに報知するための処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記運筆判定手段は、前記ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせることで、前記ユーザの心理的なまたは肉体的な状態を特定し、
前記作動内容制御手段は、前記運筆判定手段が特定した状態に応じて、当該ナビゲーション装置または他の機器の作動の内容を、変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
ナビゲーション装置に用いるプログラムであって、
ユーザの手書き入力による文字の運筆を、所定の判定基準に照らし合わせる運筆判定手段、および
前記運筆判定手段による照らし合わせの結果に基づいて、当該ナビゲーション装置または他の機器の作動の内容を変化させる作動内容制御手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−32147(P2009−32147A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197198(P2007−197198)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】