ナビゲーション装置
【課題】バイブレータの強度的、時間的に過剰な振動を抑制しながら、案内ポイントを正確に運転者に認識させ得るナビゲーション装置を構成する。
【解決手段】走行経路の案内ポイントの手前側の所定位置に車体が達した際に、運転座席に備えた左振動体VLと右振動体VRとのうち、案内処理手段26が案内ポイントでの案内方向に対応したものを駆動し、振動センサ18で車体の振動状態が基準値を超えることを判定した場合には、補正処理手段25が振動体の強度を高める制御を行う。
【解決手段】走行経路の案内ポイントの手前側の所定位置に車体が達した際に、運転座席に備えた左振動体VLと右振動体VRとのうち、案内処理手段26が案内ポイントでの案内方向に対応したものを駆動し、振動センサ18で車体の振動状態が基準値を超えることを判定した場合には、補正処理手段25が振動体の強度を高める制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えているナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたナビゲーション装置として、特許文献1に記載されるものが存在する。この特許文献1では、GPS電波に基づいて取得した測位情報から自動車が走行すべき移動経路(走行ルート)を設定してディスプレイに表示すると共に、交差点や分岐点等の案内ポイントに車体が達する以前に案内ポイントまでの距離の報知を音声によって行い、運転者用のシートに備えた右振動体と左振動体とのうち案内方向に対応するものを作動させる処理を行う。
【0003】
この特許文献1では、右振動体と左振動体とのうち案内ポイントで案内する方向に対応するものを作動対象に設定し、車体が案内ポイントに接近するほど音声による報知インターバルと、振動体の作動インターバルとを短くし、また、この振動体の駆動ゲインを増大させるように処理形態が設定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000‐221051号公報 (段落番号〔0027〕〜〔0062〕、図1〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにバイブレータの振動を運転者の身体に伝えることで、運転者に対して案内ポイントを認識させるものでは、例えば、音声によって報知を行うナビゲーション装置と比較した場合、特許文献1にも記載されるように、カーラジオやカーオディオからの音楽や、車外の騒音等に影響されず、また、難聴の運転者であっても、バイブレータの振動に基づいて交差点等の案内ポイントを認識し得るものである。
【0006】
しかしながら、悪路を走行する場合のように車体が振動する状況では、運転者がバイブレータからの振動を認識し難い面もある。特に、車体に伝わる振動の周期や振幅が近似する場合には振動を一層認識し難い面があり改善の余地がある。このような不都合を解消するために、バイブレータを強く振動させることも考えられるが、このようにバイブレータを強く振動させた場合には、運転者の認識性を高める反面、路面状態が良好で振動を招くことのない道路を走行する際にも、バイブレータが必要以上に強く振動することになり、運転者に煩わしさを感じさせることが想定される。
【0007】
また、特許文献1にも記載されるように、車体が案内ポイントに接近する際にバイブレータを反復して作動させるものでは、複数回の振動のうち初期の振動の段階で運転者が案内ポイントを正確に認識する状況においても、この後に継続してバイブレータが作動を繰り返すため煩わしさを感ずる場合もあり、この点にも改善の余地がある。特に、バイブレータが振動する以前に運転者が視覚によって案内ポイントを認識した場合を考えると、このように案内ポイントを運転者が認識した後にも必要以上にバイブレータが作動することに煩わしさを感ずることもある。
【0008】
この不都合を解消するために、バイブレータを停止させるスイッチ類を備えることも考えられるが、スイッチ操作が煩わしく、スイッチを備えることで部品コストを上昇させ、故障も招きやすくなる点において改善の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、バイブレータの強度的、時間的に過剰な振動を抑制しながら、案内ポイントを適正に運転者に認識させ得るナビゲーション装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記車体の振動状態を判定する振動状態判定手段を備え、この振動状態判定手段で基準値を超える振動状態を判定した際に前記バイブレータの振動を補正制御する補正処理手段を備えている点にある。
【0011】
この構成により、車体の振動状態が基準値を越えたことを振動状態判定手段が判定した場合には、補正処理手段がバイブレータの振動を制御することにより、車体から作用する振動より強い強度で、しかも、その強度が過剰にならない程度でバイブレータを振動させることが可能となる。その結果、バイブレータの強度的に過剰な振動を抑制して、適正な強度の振動によって案内ポイントを運転者に認識させ得るナビゲーション装置が合理的に構成された。特に、バイブレータの振動を停止させるスイッチ類を備えるものと比較すると、スイッチ操作を行う必要がなく、部品点数を増大させず、故障を発生し難いものとなる。
【0012】
本発明の特徴は、前記振動状態判定手段が、車体から作用する振動状態が、前記基準値を超えると判定した際には、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める点にある。
【0013】
この構成により、車体からの振動状態が基準値を越えて作用する状況にある場合には、補正処理手段がバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0014】
本発明は、前記車体の振動を計測する振動センサによって前記振動状態判定手段が構成され、この振動状態判定手段で計測される振動の強度に基づいて前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強めても良い。
【0015】
この構成により、振動センサとして機能する振動状態判定手段によって計測する振動の強度に基づいて補正処理手段がバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0016】
本発明は、前記車体における車輪の懸架部に設定された緩衝特性に基づき前記振動状態判定手段が振動状態を判定し、前記緩衝特性が所定の状態にある際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強めても良い。
【0017】
この構成により、懸架部のバネのプリロードの設定や、ショックアブソーバの調節によって緩衝特性が変更された場合には、この緩衝特性の変更に起因する振動状態を振動状態判定手段が判定し、この判定結果に基づいてバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0018】
本発明は、前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動しても良い。
【0019】
この構成により、車体が案内ポイントに対して設定距離まで接近した際には、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できる。
【0020】
本発明は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記案内ポイントを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による操作を判別した際には、前記バイブレータの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えても良い。
【0021】
この構成により、運転者がバイブレータの振動から案内ポイントを認識し、この認識に基づいて運転者が通常行う操作を行ったことを認識操作判別手段が判別した場合には、補正処理手段がバイブレータの振動を弱める、又は、停止することになり、バイブレータが反復して振動する状況でも運転者に対して時間的に過剰な振動を作用させないものにできる。その結果、バイブレータの時間的に過剰な振動を抑制し、適正な振動によって案内ポイントを運転者に認識させ得るナビゲーション装置が合理的に構成された。
【0022】
本発明は、前記車体のブレーキ操作を判別するブレーキセンサによって前記認識操作判別手段が構成され、この認識操作判別手段がブレーキ操作を判別した際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止しても良い。
【0023】
この構成により、ブレーキセンサとして機能する認識操作判別手段が、ブレーキ操作があったことを判別した際に補正手段がバイブレータの振動を弱める、あるいは、停止させることになり運転者にバイブレータの振動を継続的に作用させる不都合を抑制できる。
【0024】
本発明は、前記バイブレータが、運転座席の左側に備えた左振動体と、右側に備えた右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、前記左振動体と右振動体のうち、案内ポイントにおいて車体を向かわせる案内方向に対応したものを駆動しても良い。
【0025】
この構成により、車体が案内ポイントに対して設定距離まで接近した際には、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できる。
【0026】
本発明は、前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動するように構成され、
前記認識操作判別手段がウインカーの作動方向を判別するように構成され、この認識操作判別手段が、前記案内ポイントでの車体の案内方向に対応するウインカーの作動を判別した場合に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止しても良い。
【0027】
この構成により、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できると共に、ウインカーの作動方向を検出する機能を有する認識操作判別手段が案内ポイントの案内方向に対応するウインカーの作動を判別した際に、バイブレータの振動を弱める、あるいは、停止させることになり運転者にバイブレータの振動を継続的に作用させる不都合を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成・第1実施形態〕
図1及び図2には乗用車の運転座席1の近傍位置を示しており、運転座席1の前方位置にはステアリングホイール2と、メータパネル3とが配置され、このメータパネル3の側部位置のコンソール4の上部にナビゲーション装置Nが備えられている。前記運転座席1の前方位置にはアクセルペダル5とブレーキペダル6とが配置され、前記ステアリングホイール2の近傍位置にはウインカーレバー7を備えている。
【0029】
前記ナビゲーション装置Nは、図4に示すように、アンテナ11Aを備えたGPS受信器11と(GPSとは Global Positioning Systemの略)、アンテナ12Aを備えたVICS受信機12と(VICSとは Vehicle Information and Communication Systemの略: 登録商標)、方位センサ13と、車速センサ14とで取得した情報をナビコントローラ20に入力するナビ情報の取得系を備えると共に、このナビコントローラ20に対して、車体の振動を計測する振動センサ18(振動状態判定手段の一例)と、図3に示すように車輪(前車輪FWと後車輪RWとの上位概念)の懸架部SUの緩衝特性を取得する特性センサ19(振動状態判定手段の一例)とからの信号取得系を備えている。
【0030】
更に、このナビコントローラ20からの情報をディスプレイ15と、スピーカ16と、左振動体VL及び右振動体VRで成るバイブレータVとに出力するナビ情報の出力系を備え、更に、ナビコントローラ20に対して複数の入力スイッチ17、ディスプレイ15の表示面に形成したタッチパネル15Tからの人為操作情報の取得系を備え、ハードディスクHD、メディアドライブMDとの間で情報のアクセス系を備えている。
【0031】
前記ディスプレイ15は、カラー表示が可能な液晶型のものが用いられ、車体を経路に沿って走行させる際の案内情報が表示される。前記スピーカ16は音声情報を出力する。尚、ディスプレイ15として液晶型を用いているがCRTやプラズマディスプレイを用いて良い。また、スピーカ16は図1、図2に示す如く、車体の左右のドアーの内面側に備えたものを用いているが、ナビゲーション装置Nの本体に備えても良い。
【0032】
前記振動センサ18は車体の振動を数値化して出力するように構成されたものであり、例えば、前記方位センサ13がジャイロセンサを用いているものであれば、この方位センサ13を振動センサ18に兼用しても良い。前記特性センサ19は、前車輪FWと後車輪RWとの懸架部SUのバネのプリロードの設定や、懸架部SUのショックアブソーバの設定から緩衝特性を数値化して取得するように構成されている。
【0033】
前記左振動体VL及び右振動体VRは、電動モータの出力軸に偏芯ウエイトを連結し、出力軸の回転により振動を発生させる構造のものを用いているが、電磁石のコイルに間歇的に電力を供給することや、コイルに交流電力を供給することで振動を発生させる構造のものを使用しても良い。
【0034】
このナビゲーション装置Nは、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信器11で受信することにより、車体(自車輌)が存在する位置情報(経度・緯度で示される測位情報)をリアルタイムで取得し、この位置情報と、方位センサ13で取得する車体の走行方向情報と、車速センサ14で取得する車速情報とからディスプレイ15に表示された地図上に車体(自車輌)の位置と、走行方向とを表示する位置表示処理を実現する。
【0035】
このナビゲーション装置Nは、目標地設定モードにおいて前記複数の入力スイッチ17、あるいは、タッチパネル15Tの操作によって目的地を指定することにより、その目的地に至るために走行すべき走行経路R(推奨走行経路・図6を参照)がナビゲーション装置Nでの処理によって求められる。前記目的地は、個人の住所や、特定の地番、郵便番号を入力すること、あるいは、目的地を含む地図をディスプレイ15に表示し、その地図上の目的地を直接的に指定する等の操作によって指定が可能である。前記走行経路R(推奨走行経路)は、走行距離が最短となるもの、走行時間が最短になるもののうち運転者が選択したもの、あるいは、運転者が指定したルートを含むものを探索して求めるように処理形態が設定されている。
【0036】
そして、車体の走行時には、ディスプレイ15に地図を表示し、この地図上に走行経路Rと、車体の位置を表示する。更に、走行経路上に存在する交差点や分岐点等の案内ポイントGP(図6を参照)に車体が達する以前に、その案内ポイントに関連する情報をディスプレイ15に表示し、スピーカ16に出力し、左振動体VL及び右振動体VRの何れかを駆動することにより、運転者に対して案内ポイントGPに接近したことを認識させ、案内ポイントGPでの案内方向(左折や右折の方向)を報知する経路案内処理を実現する。
【0037】
このナビゲーション装置Nは、走行時において前記VICS受信機12によってVICS用の電波ビーコン(光ビーコンに対応するものでも良い)や、FM放送に多重されたVICS信号を受信することで走行経路Rの渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等の各種交通情報を取得してディスプレイ15やスピーカ16に出力する周辺情報出力処理を実現する。
【0038】
前記方位センサ13は、地磁気センサやジャイロセンサ等を備えることにより車体の走行方向の情報を出力する。前記車速センサ14は車輪の単位時間内の回転数から車体の走行速度の情報を出力する。
【0039】
図1及び図2に示すように、前記運転座席1は、シートクッション部1Aと、シートバック部1Bと、ヘッドレスト部1Cとで構成され、シートクッション部1Aに前記左振動体VLと右振動体VRとを左右に振り分けて配置している。このように左振動体VLと右振動体VRとを備えることにより、案内ポイントGPでの案内方向が、例えば、右折である場合には、右振動体VRを駆動し、その振動を運転者の右脚に伝えることで案内方向を運転者に認識させ得るものにしている。
【0040】
本発明では、前記左振動体VLと右振動体VRとを運転座席1のシートクッション部1Aに備えなくても良く、例えば、直進姿勢におけるステアリングホイール2の左右に備えることや、シートベルトのように運転者の体に直接的に接触させるものに備えても良い。
【0041】
前記タッチパネル15Tは、前記ディスプレイ15の表示面に形成され、運転者が指等を接触させることにより、その接触位置の情報を出力する。前記複数の入力スイッチ17は人操作によって選択や設定を実現する。
【0042】
前記ハードディスクHDは、情報記憶手段として機能するものであり、地図情報のデータベースと、道路情報のデータベース等が予め記憶されている。これらのデータベースは前記メディアドライブMDにセットされたCD−RやDVD等から取り込まれ、ナビコントローラ20がハードディスクHDに記憶する。
【0043】
前記メディアドライブMDは、CD−RやDVD等のディスク型のメディアに対応したものに限らず、コンパクトフラッシュ(登録商標)・スマートメディア(登録商標)・メモリースティック(登録商標)、SDメモリカード( SanDisk、松下電器産業、東芝の3社が共同開発したメモリカードの規格)等のフラッシュメモリとの間で情報のアクセスを実現する構造のものであっても良い。
【0044】
〔ナビコントローラの構成〕
前記ナビコントローラ20は、図面には示していないが、情報処理を行うCPU(central processing unit )、情報を記憶する半導体メモリ、入出力用のインタフェース等のハードウエアを備えると共に、半導体メモリに展開されたプログラム、このプログラムを管理するOS(operating system)等のソフトウエアを備えている。
【0045】
このナビコントローラ20での処理を実現する処理系の概要を図5のように示すことが可能である。つまり、このナビコントローラ20には、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて車体の現在位置を取得する現在位置取得手段21と、現在位置に対応する地図情報と走行経路Rとを抽出するマッチング処理手段22と、マッチング処理手段22が抽出した地図情報と走行経路Rとからディスプレイ15に表示可能な情報を生成する表示処理手段23とで成る位置表示処理系を備えている。
【0046】
この位置表示処理系での処理を行う際に地図上に表示される走行経路R(推奨走行経路)の情報は、前述したように、目標地設定モードにおいて指定された目標値に目標地と、運転者が選択した条件等と、車体の現在位置と、道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する。
【0047】
このナビコントローラ20には、前記振動センサ18、特性センサ19夫々からの信号が入力する補正処理手段25を備え、この補正処理手段25と、前記現在位置取得手段21とからの信号が入力する案内処理手段26で成る経路案内処理系を備えている。
【0048】
図7に示すように、前記走行経路Rにおいて案内ポイントGPより手間側には報知領域Fが形成され、この報知領域Fには複数の報知ポイントT(Ta〜Td・Tは複数の報知ポイントの上位概念)が設定される。この経路案内処理系では、車体が交差点等の案内ポイントGPの手前側から案内ポイントGPの方向に走行した場合には、前記報知ポイントTに達する毎に報知を行うものである。この報知出力については後述する。
【0049】
このナビコントローラ20には、前記VICS受信機12から渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等の各種交通情報を取得する情報取得手段27で成る周辺情報出力処理系を備えている。
【0050】
このナビコントローラ20には、前記ディスプレイ15に画像情報を出力する画像出力回路31、前記スピーカ16に音声情報を出力する音声出力回路32、前記左振動体VLと右振動体VRとを駆動する振動体駆動回路33夫々を備えている。尚、振動体駆動回路33はデューティ制御によって左振動体VLと右振動体VRとに供給する電圧を調節できるように構成されている。
【0051】
このナビコントローラ20では、前記現在位置取得手段21、マッチング処理手段22、表示処理手段23、走行経路設定手段24、補正処理手段25、案内処理手段26の夫々が前述した如く半導体メモリに展開したプログラム(ソフトウエア)で構成されるものであるが、ロジック等のハードウエアで構成することや、ハードウエアとの組み合わせによって構成するものであっても良い。
【0052】
〔制御形態・メインルーチン〕
本発明のナビゲーション装置Nによる基本的な処理形態を図9のフローチャートに示している。つまり、走行経路Rに基づいて案内ポイントと案内方向とを設定する(#01ステップ)。
【0053】
この処理を実行する際には、前述したように目的地を指定することにより、前記現在位置取得手段21で取得した車体の現在位置と、ハードディスクHDに記憶されている道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって走行経路R(推奨走行経路)を求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する処理を予め行う必要がある。
【0054】
このように走行経路RがハードディスクHDに記憶された後には、前記案内処理手段26が走行経路RをハードディスクHDから取得し、この案内処理手段26が、走行経路Rに存在する交差点や分岐点を案内ポイントGPに設定し、その案内ポイントGPでの走行方向(左折や右折)を設定してハードディスクHDやメモリ等に保存する。
【0055】
次に、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて前記現在位置取得手段21が車体の現在位置を取得し、この現在位置に基づいて、車体の現在位置と走行経路Rとが対応する位置の地図情報と重ね合わせた状態でディスプレイ15に表示され、案内ポイントGPに接近した際に報知処理を行い、これらの処理を反復して行う(#02、#100、#03ステップ)。
【0056】
前記マッチング処理手段22は、現在位置取得手段21で取得した現在位置に対応した地図情報と、走行経路情報とを前記ハードディスクHDから取得し、この地図情報と経路情報とから表示処理手段23がディスプレイ15の画面に表示可能な画像データを生成し、このように生成された画像データが前記画像出力回路31を介してディスプレイ15に出力される。
【0057】
この位置表示処理系の処理を行う状況において車体を走行させた場合には、車体の表示位置が固定された状態でディスプレイ15に表示される地図情報がスクロールされる表示形態となる。
【0058】
〔制御形態・タイミングチャート〕
報知領域Fでの報知を行うタイミングチャートを図7のように示すことが可能である。その一例として一般道路では、案内ポイントGPを基準から300m手前側に最初の報知開始ポイントTsが設定され、報知領域Fに複数の報知ポイントTa〜Tdが設定される。初期の3つの報知ポイントTaのうち最初のものは報知開始ポイントTsと一致する。また、複数の報知ポイントTにおいて出力される駆動信号に対応した振動の強さを振動強度Qとしてグラフ化して表している。
【0059】
この先頭の3つ報知ポイントTaの相対的な報知間隔W1が33mに設定され、これに続く4つの報知ポイントTbの相対的な報知間隔W2が25mに設定され。これに続く3つの報知ポイントTcの相対的な報知間隔W3が17mに設定されている。尚、最終の報知ポイントTdと案内ポイントGPとの距離が50mになる。
【0060】
最初の3つの報知ポイントTaでは、バイブレータVを設定された駆動時間P1で設定された強度で駆動する。次の4つの報知ポイントTbでは、直前の報知ポイントTaと等しい駆動時間P1で、これらより強くバイブレータVを駆動する。更に次の3つの報知ポイントTcでは、これ以前の報知ポイントTa、Tbの2倍となる駆動時間P2で、これらより強くバイブレータVを駆動する。最後の報知ポイントTdでは、直前の報知ポイントTcとより長い駆動時間P3で最も強くバイブレータVを駆動する。
【0061】
尚、最初の3つの報知ポイントTaにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が5Vに設定され、次の4つの報知ポイントTbにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が6Vに設定され、次の3つの報知ポイントTcにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が7Vに設定され、最後の報知ポイントTdにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が8Vに設定されている。これにより案内ポイントGPに車体が接近するほど左振動体VLと右振動体VRとの振動強度が高くなる。
【0062】
〔制御形態・サブルーチン・基本出力モード〕
前記報知処理ルーチン(#100ステップ)は、図10のフローチャートに示すように、補正処理手段25が、振動センサ18と特性センサ19からの信号を取得し、振動状態が基準値を超えた場合にのみ、信号値に対応した(正比例した)駆動係数を設定する(#101〜#103ステップ)。尚、振動とは、振動の周期、振動の強さ(加速度)、振動の振幅で表されるものであるが、振動状態とは、振動センサ18で計測される振動の強さと振幅との少なくとも一方、又は、夫々を含むものを指し、また、特性センサ19で緩衝を抑制する状態にあることを判別した際に、この緩衝の抑制によって誘引される振動の強さと振幅との少なくとも一方を指す。
【0063】
次に、報知出力を既に開始している(報知開始ポイントTsを既に通過している)場合を除いて、報知開始ポイントTsに達していることを判定した場合にのみ、最初の報知出力を行う(#104〜#106ステップ)。尚、この処理では、案内ポイントGPに向けて車体を右側(右折方向)に案内するものとして説明する。
【0064】
この最初の報知出力(#106ステップ)では、図7に示すように、音声によって「およそ300m先、右方向です」とのメッセージを出力し、拡大地図をディスプレイ15に表示し、案内方向に対応して右振動体VRを設定時間(P1)だけ、設定強度で駆動する。特に、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を増大させることで、振動の強度を高めて運転者の認識性を高めることになる。
【0065】
この後(車体が報知開始ポイントTsを車体が既に通過している場合)には、車体が報知ポイントTに達する毎に報知出力を行う(#107、#108ステップ)。
【0066】
この報知出力(#108ステップ)では、各報知ポイントTに達する毎に右側の右振動体VRを設定時間だけ、設定強度で駆動し、複数の報知ポイントTのうち中間に存在する報知ポイントTにおいて、音声によって「まもなく右方向です」とのメッセージを出力し、最後の報知ポイントTdにおいて側の右振動体VRを設定時間(P3)だけ、設定強度で駆動すると同時に、前記スピーカ16から電子音(チャイム)を出力する。
【0067】
特に、この報知出力(#108ステップ)の処理で、右振動体VRを駆動する際に、#103ステップで駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を増大させることで、振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。
【0068】
尚、左振動体VLと右振動体VRとに供給する駆動電力を増大させて、振動の強度を高めた場合には、図8に示すタイミングチャートの各報知ポイントTに示した振動強度Qが、電力を増大させたものについて、上方にXだけ伸張する形態で表される。
【0069】
このように第1実施形態では、悪路での走行時のように車体が振動する場合のように、車体の振動で振動体VLと右振動体VRとの振動が抑制される(認識し難い)状況では、その振動が基準値を越えた場合に、振動の大きさに基づいて左振動体VLと右振動体VRとの振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。これと同時に、車輪の懸架部のバネのプリロードの設定や、ショックアブソーバの調節によって緩衝特性が緩衝を抑制する状況(所定の状態)にある場合のように、路面からの振動を車体に伝えやすい状況においても、その緩衝特性の抑制の程度が基準値を越えている場合には、左振動体VLと右振動体VRとの振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。
【0070】
〔第1実施形態の別実施例〕
(a)振動センサ18で車体の振動の周期を取得し、この振動の周期が比較的大きく、運転者が運転座席1において上下に大きく動揺する状況では、運転者が上方に浮き上がるタイミングでバイブレータVの振動を認識し難く、運転者が下方に沈むタイミングではバイブレータVの振動を適正に認識できる。このような理由から車体の上下振動の周期と振幅とを正確に取得するための加速度センサを用い、運転者が上方に浮き上がるタイミングでバイブレータVの振動を強くし、運転者が座席に押さえ付けられるタイミングでバイブレータVの振動を弱めるようにバイブレータの振動の強さを調節しても良い。
【0071】
(b)振動センサ18で基準値を越える振動を取得した際に、例えば、車体の走行速度が高い場合には、振動の強度が更に高まる可能性があることを考慮して、バイブレータVの振動を強く設定しても良い。
【0072】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態において第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通の番号、符号を付している。
【0073】
この第2実施形態では、ナビゲーション装置Nの基本的な構成は第1実施例と殆ど変わるところはないが、走行経路Rに案内ポイントGPに車体が接近し、案内ポイントGPを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による認識を判別した際には、バイブレータVの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えた点において異なるものである。
【0074】
〔ナビゲーション装置の基本構成〕
ナビゲーション装置Nは、図11に示すように、アンテナ11Aを備えたGPS受信器11と(GPSとは Global Positioning Systemの略)、アンテナ12Aを備えたVICS受信機12と(VICSとは Vehicle Information and Communication Systemの略: 登録商標)、方位センサ13と、車速センサ14とで取得した情報をナビコントローラ20に入力するナビ情報の取得系を備えると共に、このナビコントローラ20に対して、ブレーキペダル6の操作を判別するブレーキセンサ6S(認識操作判別手段の一例)と、ウインカーレバー7の操作方向(ウインカーの作動方向)を判別するウインカーセンサ7S(認識操作判別手段の一例)とからの信号取得系を備えている。
【0075】
この制御系ではナビコントローラ20が、ブレーキセンサ6Sとウインカーセンサ7Sからの信号を直接取得するように信号系が形成されているが、例えば、ブレーキセンサ6Sとウインカーセンサ7Sからの信号がECU(Electric Control Unit)に入力されるものでは、このECUからブレーキ、ウインカーの操作情報を取得するように処理形態を設定しても良い。
【0076】
更に、このナビコントローラ20からの情報をディスプレイ15と、スピーカ16と、左振動体VL及び右振動体VRで成るバイブレータVとに出力するナビ情報の出力系を備え、更に、ナビコントローラ20に対して複数の入力スイッチ17、ディスプレイ15の表示面に形成したタッチパネル15Tからの人為操作情報の取得系を備え、ハードディスクHD、メディアドライブMDとの間で情報のアクセス系を備えている。
【0077】
〔ナビコントローラの構成〕
前記ナビコントローラ20は、図面には示していないが、情報処理を行うCPU(central processing unit)、情報を記憶する半導体メモリ、入出力用のインタフェース等のハードウエアを備えると共に、半導体メモリに展開されたプログラム、このプログラムを管理するOS(operating system)等のソフトウエアを備えている。
【0078】
このナビコントローラ20での処理を実現する処理系の概要を図12のように示すことが可能である。つまり、このナビコントローラ20には、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて車体の現在位置を取得する現在位置取得手段21と、現在位置に対応する地図情報と走行経路Rとを抽出するマッチング処理手段22と、マッチング処理手段22が抽出した地図情報と走行経路Rとからディスプレイ15に表示可能な情報を生成する表示処理手段23とで成る位置表示処理系を備えている。
【0079】
この位置表示処理系での処理を行う際に地図上に表示される走行経路R(推奨走行経路)の情報は、前述したように、目標地設定モードにおいて指定された目標値に目標地と、運転者が選択した条件等と、車体の現在位置と、道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する。
【0080】
このナビコントローラ20には、前記ブレーキセンサ6S(認識操作判別手段の一例)と、前記ウインカーセンサ7S(認識操作判別手段の一例)とからの信号が入力する補正処理手段25を備え、この補正処理手段25と、前記現在位置取得手段21とからの信号が入力する案内処理手段26で成る経路案内処理系を備えている。
【0081】
〔制御形態・タイミングチャート〕
本発明のナビゲーション装置Nによる基本的な処理形態は前記第1実施例の図9のフローチャートと同じであり、サブルーチン(#100ステップ)が第1実施例と異なっている。また、報知領域Fでの報知を行うタイミングチャートも前記第1実施例の図7において示したものと同じであるため、説明は省略する。
【0082】
〔サブルーチン〕
報知処理ルーチン(#100ステップ)では、図13に示すように、前記ブレーキセンサ6Sでブレーキペダル6が操作されたことを検出した場合に予め設定された駆動係数を設定し、また、案内ポイントGPでの案内方向に対応した方向にウインカーレバー7が操作されたことをウインカーセンサ7Sで検出した場合に予め設定された駆動係数を設定する(#101〜#104ステップ)。これらの駆動係数はバイブレータVの振動強度を低下させる値が与えられる。
【0083】
次に、報知出力を既に開始している(報知開始ポイントTsを既に通過している)場合を除いて、報知開始ポイントTsに達していることを判定した場合にのみ、最初の報知出力を行う(#105〜#107ステップ)。尚、この処理では、案内ポイントGPにおいて車体を右側(右折方向)に案内するものとして説明する。
【0084】
この最初の報知出力(#107ステップ)では、音声によって「およそ300m先、右方向です」とのメッセージを出力し、拡大地図をディスプレイ15に表示し、案内方向に対応して右振動体VRを設定時間(P1)だけ、設定強度で駆動する。特に、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を低減することで、振動の強度を弱めて運転者に対する煩わしさを解消している。
【0085】
このように振動の強度を弱める際には、振動を弱める以外に、振動を停止させるように制御形態を設定することが可能であり、また、車体が案内ポイントGPに接近するほど、振動を弱くするように制御形態を設定しても良い。
【0086】
この後(車体が報知開始ポイントTsを車体が既に通過している場合)には、車体が報知ポイントTに達する毎に報知出力を行う(#108、#109ステップ)。
【0087】
この報知出力(#109ステップ)では、各報知ポイントTに達する毎に右振動体VRを設定時間だけ、設定強度で駆動し、複数の報知ポイントTのうち中間に存在する報知ポイントTにおいて、音声によって「まもなく右方向です」とのメッセージを出力し、最後の報知ポイントTdにおいて右振動体VRを設定時間(P2)だけ、設定強度で駆動すると同時に、前記スピーカ16から電子音(チャイム)を出力する。
【0088】
特に、この報知出力(#108ステップ)においても、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を低減することで、振動の強度を弱めて運転者に対する煩わしさを解消している。
【0089】
尚、左振動体VLと右振動体VRとに供給する電力を低減して、振動の強度を弱めた場合には、図14に示すタイミングチャートの各報知ポイントTに示した振動強度Qが、電力を低減させたものについて、下方にYだけ収縮する形態で表される。
【0090】
このように第2実施形態では、走行経路Rを走行し、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、運転者がブレーキペダル6の操作で減速を行った場合には、運転者が案内ポイントGPの位置を認識してブレーキペダル6を操作したと判断できるので、車体が報知領域Fに達する以前であっても、報知領域Fの内部に存在しても、左振動体VLと右振動体VRとの振動を弱める、又は、振動を停止することにより、運転者に対して左振動体VLと右振動体VRとの振動の煩わしさを解消できるものにしている。
【0091】
また、走行経路Rを走行し、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、運転者が、案内ポイントGPの案内方向と対応する(一致する)ウインカーレバー7を操作した場合には、運転者が案内ポイントGPの案内方向を認識してウインカーレバー7を操作したと判断できるので、車体が報知領域Fに達する以前であっても、報知領域Fの内部に存在しても、左振動体VLと右振動体VRとの振動を弱める、又は、振動を停止することにより、運転者に対して左振動体VLと右振動体VRとの振動の煩わしさを解消できるものにしているのである。
【0092】
特に、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、案内ポイントGPの案内方向と逆方向に誤ってウインカーレバー7を操作した場合には、対応する振動体が弱められない状態で振動することになるので、運転者は振動状況からウインカーレバー7の誤操作を把握することも可能となる。
【0093】
〔第2実施形態の別実施例〕
(a)ブレーキ操作を判別した際に、VICS受信機12で渋滞情報を取得した場合には、車体を加速することは考えられないので、バイブレータVの振動の強度を一層低下させる、又は、振動を停止するように処理形態を設定する。
【0094】
(b)特に、車体の前方の状況を把握するためにカメラと、カメラからの画像処理を行う画像処理システムを備え、この画像処理システムで、前方が渋滞していることを判別した場合、あるいは、前方の信号が赤である場合において、ブレーキ操作があったことを判別した際にも、バイブレータVの振動の強度を一層低下させる、又は、振動を停止するように処理形態を設定する。
【0095】
(c)ブレーキペダル6とウインカーレバー7の操作とが同時(連続して)に行われた場合には、バイブレータVの振動を停止するように制御形態を設定する。このように処理形態を設定することによりバイブレータVの振動による運転者の煩わしさを解消できる。
【0096】
(d)実施形態では、案内処理等の各種処理をナビコントローラ20で行っていたが、特にこれに限定する必要なはく、例えば、案内処理についてはナビコントローラ20と別のコントローラにおいて処理しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態の乗用車の運転座席の近傍位置の平面図
【図2】第1実施形態の乗用車の運転座席の近傍位置の斜視図
【図3】第1実施形態の乗用車の構造を模式的に示す平面図
【図4】第1実施形態の制御系のブロック回路図
【図5】第1実施形態のナビコントローラの構成を示すブロック図
【図6】第1実施形態の走行経路と案内ポイントとを模式的に示す図
【図7】第1実施形態の報知領域における報知形態を示す図
【図8】第1実施形態のバイブレータの強度の変化を示す図
【図9】第1実施形態のナビゲーション処理のフローチャート
【図10】第1実施形態の報知処理ルーチンを示すフローチャート
【図11】第2実施形態の制御系のブロック回路図
【図12】第2実施形態のナビコントローラの構成を示すブロック図
【図13】第2実施形態の報知処理ルーチンを示すフローチャート
【図14】第2実施形態のバイブレータの強度の変化を示す図
【符号の説明】
【0098】
1 運転座席
6S ブレーキセンサ・認識操作判別手段
7 ウインカー
7S 認識操作判別手段(ウインカーセンサ)
18 振動センサ・振動状態判定手段
19 振動状態判定手段(特性センサ)
25 補正処理手段
26 案内処理手段
GP 案内ポイント
FW・RW 車輪(前車輪・後車輪)
SU 懸架部
V バイブレータ
VL 左振動体
VR 右振動体
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えているナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたナビゲーション装置として、特許文献1に記載されるものが存在する。この特許文献1では、GPS電波に基づいて取得した測位情報から自動車が走行すべき移動経路(走行ルート)を設定してディスプレイに表示すると共に、交差点や分岐点等の案内ポイントに車体が達する以前に案内ポイントまでの距離の報知を音声によって行い、運転者用のシートに備えた右振動体と左振動体とのうち案内方向に対応するものを作動させる処理を行う。
【0003】
この特許文献1では、右振動体と左振動体とのうち案内ポイントで案内する方向に対応するものを作動対象に設定し、車体が案内ポイントに接近するほど音声による報知インターバルと、振動体の作動インターバルとを短くし、また、この振動体の駆動ゲインを増大させるように処理形態が設定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000‐221051号公報 (段落番号〔0027〕〜〔0062〕、図1〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにバイブレータの振動を運転者の身体に伝えることで、運転者に対して案内ポイントを認識させるものでは、例えば、音声によって報知を行うナビゲーション装置と比較した場合、特許文献1にも記載されるように、カーラジオやカーオディオからの音楽や、車外の騒音等に影響されず、また、難聴の運転者であっても、バイブレータの振動に基づいて交差点等の案内ポイントを認識し得るものである。
【0006】
しかしながら、悪路を走行する場合のように車体が振動する状況では、運転者がバイブレータからの振動を認識し難い面もある。特に、車体に伝わる振動の周期や振幅が近似する場合には振動を一層認識し難い面があり改善の余地がある。このような不都合を解消するために、バイブレータを強く振動させることも考えられるが、このようにバイブレータを強く振動させた場合には、運転者の認識性を高める反面、路面状態が良好で振動を招くことのない道路を走行する際にも、バイブレータが必要以上に強く振動することになり、運転者に煩わしさを感じさせることが想定される。
【0007】
また、特許文献1にも記載されるように、車体が案内ポイントに接近する際にバイブレータを反復して作動させるものでは、複数回の振動のうち初期の振動の段階で運転者が案内ポイントを正確に認識する状況においても、この後に継続してバイブレータが作動を繰り返すため煩わしさを感ずる場合もあり、この点にも改善の余地がある。特に、バイブレータが振動する以前に運転者が視覚によって案内ポイントを認識した場合を考えると、このように案内ポイントを運転者が認識した後にも必要以上にバイブレータが作動することに煩わしさを感ずることもある。
【0008】
この不都合を解消するために、バイブレータを停止させるスイッチ類を備えることも考えられるが、スイッチ操作が煩わしく、スイッチを備えることで部品コストを上昇させ、故障も招きやすくなる点において改善の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、バイブレータの強度的、時間的に過剰な振動を抑制しながら、案内ポイントを適正に運転者に認識させ得るナビゲーション装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記車体の振動状態を判定する振動状態判定手段を備え、この振動状態判定手段で基準値を超える振動状態を判定した際に前記バイブレータの振動を補正制御する補正処理手段を備えている点にある。
【0011】
この構成により、車体の振動状態が基準値を越えたことを振動状態判定手段が判定した場合には、補正処理手段がバイブレータの振動を制御することにより、車体から作用する振動より強い強度で、しかも、その強度が過剰にならない程度でバイブレータを振動させることが可能となる。その結果、バイブレータの強度的に過剰な振動を抑制して、適正な強度の振動によって案内ポイントを運転者に認識させ得るナビゲーション装置が合理的に構成された。特に、バイブレータの振動を停止させるスイッチ類を備えるものと比較すると、スイッチ操作を行う必要がなく、部品点数を増大させず、故障を発生し難いものとなる。
【0012】
本発明の特徴は、前記振動状態判定手段が、車体から作用する振動状態が、前記基準値を超えると判定した際には、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める点にある。
【0013】
この構成により、車体からの振動状態が基準値を越えて作用する状況にある場合には、補正処理手段がバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0014】
本発明は、前記車体の振動を計測する振動センサによって前記振動状態判定手段が構成され、この振動状態判定手段で計測される振動の強度に基づいて前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強めても良い。
【0015】
この構成により、振動センサとして機能する振動状態判定手段によって計測する振動の強度に基づいて補正処理手段がバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0016】
本発明は、前記車体における車輪の懸架部に設定された緩衝特性に基づき前記振動状態判定手段が振動状態を判定し、前記緩衝特性が所定の状態にある際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強めても良い。
【0017】
この構成により、懸架部のバネのプリロードの設定や、ショックアブソーバの調節によって緩衝特性が変更された場合には、この緩衝特性の変更に起因する振動状態を振動状態判定手段が判定し、この判定結果に基づいてバイブレータの振動の強度を高めることになる。
【0018】
本発明は、前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動しても良い。
【0019】
この構成により、車体が案内ポイントに対して設定距離まで接近した際には、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できる。
【0020】
本発明は、測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記案内ポイントを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による操作を判別した際には、前記バイブレータの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えても良い。
【0021】
この構成により、運転者がバイブレータの振動から案内ポイントを認識し、この認識に基づいて運転者が通常行う操作を行ったことを認識操作判別手段が判別した場合には、補正処理手段がバイブレータの振動を弱める、又は、停止することになり、バイブレータが反復して振動する状況でも運転者に対して時間的に過剰な振動を作用させないものにできる。その結果、バイブレータの時間的に過剰な振動を抑制し、適正な振動によって案内ポイントを運転者に認識させ得るナビゲーション装置が合理的に構成された。
【0022】
本発明は、前記車体のブレーキ操作を判別するブレーキセンサによって前記認識操作判別手段が構成され、この認識操作判別手段がブレーキ操作を判別した際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止しても良い。
【0023】
この構成により、ブレーキセンサとして機能する認識操作判別手段が、ブレーキ操作があったことを判別した際に補正手段がバイブレータの振動を弱める、あるいは、停止させることになり運転者にバイブレータの振動を継続的に作用させる不都合を抑制できる。
【0024】
本発明は、前記バイブレータが、運転座席の左側に備えた左振動体と、右側に備えた右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、前記左振動体と右振動体のうち、案内ポイントにおいて車体を向かわせる案内方向に対応したものを駆動しても良い。
【0025】
この構成により、車体が案内ポイントに対して設定距離まで接近した際には、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できる。
【0026】
本発明は、前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動するように構成され、
前記認識操作判別手段がウインカーの作動方向を判別するように構成され、この認識操作判別手段が、前記案内ポイントでの車体の案内方向に対応するウインカーの作動を判別した場合に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止しても良い。
【0027】
この構成により、バイブレータを構成する左振動体と右振動体とのうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動することにより、振動に基づいて案内方向を報知できると共に、ウインカーの作動方向を検出する機能を有する認識操作判別手段が案内ポイントの案内方向に対応するウインカーの作動を判別した際に、バイブレータの振動を弱める、あるいは、停止させることになり運転者にバイブレータの振動を継続的に作用させる不都合を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成・第1実施形態〕
図1及び図2には乗用車の運転座席1の近傍位置を示しており、運転座席1の前方位置にはステアリングホイール2と、メータパネル3とが配置され、このメータパネル3の側部位置のコンソール4の上部にナビゲーション装置Nが備えられている。前記運転座席1の前方位置にはアクセルペダル5とブレーキペダル6とが配置され、前記ステアリングホイール2の近傍位置にはウインカーレバー7を備えている。
【0029】
前記ナビゲーション装置Nは、図4に示すように、アンテナ11Aを備えたGPS受信器11と(GPSとは Global Positioning Systemの略)、アンテナ12Aを備えたVICS受信機12と(VICSとは Vehicle Information and Communication Systemの略: 登録商標)、方位センサ13と、車速センサ14とで取得した情報をナビコントローラ20に入力するナビ情報の取得系を備えると共に、このナビコントローラ20に対して、車体の振動を計測する振動センサ18(振動状態判定手段の一例)と、図3に示すように車輪(前車輪FWと後車輪RWとの上位概念)の懸架部SUの緩衝特性を取得する特性センサ19(振動状態判定手段の一例)とからの信号取得系を備えている。
【0030】
更に、このナビコントローラ20からの情報をディスプレイ15と、スピーカ16と、左振動体VL及び右振動体VRで成るバイブレータVとに出力するナビ情報の出力系を備え、更に、ナビコントローラ20に対して複数の入力スイッチ17、ディスプレイ15の表示面に形成したタッチパネル15Tからの人為操作情報の取得系を備え、ハードディスクHD、メディアドライブMDとの間で情報のアクセス系を備えている。
【0031】
前記ディスプレイ15は、カラー表示が可能な液晶型のものが用いられ、車体を経路に沿って走行させる際の案内情報が表示される。前記スピーカ16は音声情報を出力する。尚、ディスプレイ15として液晶型を用いているがCRTやプラズマディスプレイを用いて良い。また、スピーカ16は図1、図2に示す如く、車体の左右のドアーの内面側に備えたものを用いているが、ナビゲーション装置Nの本体に備えても良い。
【0032】
前記振動センサ18は車体の振動を数値化して出力するように構成されたものであり、例えば、前記方位センサ13がジャイロセンサを用いているものであれば、この方位センサ13を振動センサ18に兼用しても良い。前記特性センサ19は、前車輪FWと後車輪RWとの懸架部SUのバネのプリロードの設定や、懸架部SUのショックアブソーバの設定から緩衝特性を数値化して取得するように構成されている。
【0033】
前記左振動体VL及び右振動体VRは、電動モータの出力軸に偏芯ウエイトを連結し、出力軸の回転により振動を発生させる構造のものを用いているが、電磁石のコイルに間歇的に電力を供給することや、コイルに交流電力を供給することで振動を発生させる構造のものを使用しても良い。
【0034】
このナビゲーション装置Nは、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信器11で受信することにより、車体(自車輌)が存在する位置情報(経度・緯度で示される測位情報)をリアルタイムで取得し、この位置情報と、方位センサ13で取得する車体の走行方向情報と、車速センサ14で取得する車速情報とからディスプレイ15に表示された地図上に車体(自車輌)の位置と、走行方向とを表示する位置表示処理を実現する。
【0035】
このナビゲーション装置Nは、目標地設定モードにおいて前記複数の入力スイッチ17、あるいは、タッチパネル15Tの操作によって目的地を指定することにより、その目的地に至るために走行すべき走行経路R(推奨走行経路・図6を参照)がナビゲーション装置Nでの処理によって求められる。前記目的地は、個人の住所や、特定の地番、郵便番号を入力すること、あるいは、目的地を含む地図をディスプレイ15に表示し、その地図上の目的地を直接的に指定する等の操作によって指定が可能である。前記走行経路R(推奨走行経路)は、走行距離が最短となるもの、走行時間が最短になるもののうち運転者が選択したもの、あるいは、運転者が指定したルートを含むものを探索して求めるように処理形態が設定されている。
【0036】
そして、車体の走行時には、ディスプレイ15に地図を表示し、この地図上に走行経路Rと、車体の位置を表示する。更に、走行経路上に存在する交差点や分岐点等の案内ポイントGP(図6を参照)に車体が達する以前に、その案内ポイントに関連する情報をディスプレイ15に表示し、スピーカ16に出力し、左振動体VL及び右振動体VRの何れかを駆動することにより、運転者に対して案内ポイントGPに接近したことを認識させ、案内ポイントGPでの案内方向(左折や右折の方向)を報知する経路案内処理を実現する。
【0037】
このナビゲーション装置Nは、走行時において前記VICS受信機12によってVICS用の電波ビーコン(光ビーコンに対応するものでも良い)や、FM放送に多重されたVICS信号を受信することで走行経路Rの渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等の各種交通情報を取得してディスプレイ15やスピーカ16に出力する周辺情報出力処理を実現する。
【0038】
前記方位センサ13は、地磁気センサやジャイロセンサ等を備えることにより車体の走行方向の情報を出力する。前記車速センサ14は車輪の単位時間内の回転数から車体の走行速度の情報を出力する。
【0039】
図1及び図2に示すように、前記運転座席1は、シートクッション部1Aと、シートバック部1Bと、ヘッドレスト部1Cとで構成され、シートクッション部1Aに前記左振動体VLと右振動体VRとを左右に振り分けて配置している。このように左振動体VLと右振動体VRとを備えることにより、案内ポイントGPでの案内方向が、例えば、右折である場合には、右振動体VRを駆動し、その振動を運転者の右脚に伝えることで案内方向を運転者に認識させ得るものにしている。
【0040】
本発明では、前記左振動体VLと右振動体VRとを運転座席1のシートクッション部1Aに備えなくても良く、例えば、直進姿勢におけるステアリングホイール2の左右に備えることや、シートベルトのように運転者の体に直接的に接触させるものに備えても良い。
【0041】
前記タッチパネル15Tは、前記ディスプレイ15の表示面に形成され、運転者が指等を接触させることにより、その接触位置の情報を出力する。前記複数の入力スイッチ17は人操作によって選択や設定を実現する。
【0042】
前記ハードディスクHDは、情報記憶手段として機能するものであり、地図情報のデータベースと、道路情報のデータベース等が予め記憶されている。これらのデータベースは前記メディアドライブMDにセットされたCD−RやDVD等から取り込まれ、ナビコントローラ20がハードディスクHDに記憶する。
【0043】
前記メディアドライブMDは、CD−RやDVD等のディスク型のメディアに対応したものに限らず、コンパクトフラッシュ(登録商標)・スマートメディア(登録商標)・メモリースティック(登録商標)、SDメモリカード( SanDisk、松下電器産業、東芝の3社が共同開発したメモリカードの規格)等のフラッシュメモリとの間で情報のアクセスを実現する構造のものであっても良い。
【0044】
〔ナビコントローラの構成〕
前記ナビコントローラ20は、図面には示していないが、情報処理を行うCPU(central processing unit )、情報を記憶する半導体メモリ、入出力用のインタフェース等のハードウエアを備えると共に、半導体メモリに展開されたプログラム、このプログラムを管理するOS(operating system)等のソフトウエアを備えている。
【0045】
このナビコントローラ20での処理を実現する処理系の概要を図5のように示すことが可能である。つまり、このナビコントローラ20には、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて車体の現在位置を取得する現在位置取得手段21と、現在位置に対応する地図情報と走行経路Rとを抽出するマッチング処理手段22と、マッチング処理手段22が抽出した地図情報と走行経路Rとからディスプレイ15に表示可能な情報を生成する表示処理手段23とで成る位置表示処理系を備えている。
【0046】
この位置表示処理系での処理を行う際に地図上に表示される走行経路R(推奨走行経路)の情報は、前述したように、目標地設定モードにおいて指定された目標値に目標地と、運転者が選択した条件等と、車体の現在位置と、道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する。
【0047】
このナビコントローラ20には、前記振動センサ18、特性センサ19夫々からの信号が入力する補正処理手段25を備え、この補正処理手段25と、前記現在位置取得手段21とからの信号が入力する案内処理手段26で成る経路案内処理系を備えている。
【0048】
図7に示すように、前記走行経路Rにおいて案内ポイントGPより手間側には報知領域Fが形成され、この報知領域Fには複数の報知ポイントT(Ta〜Td・Tは複数の報知ポイントの上位概念)が設定される。この経路案内処理系では、車体が交差点等の案内ポイントGPの手前側から案内ポイントGPの方向に走行した場合には、前記報知ポイントTに達する毎に報知を行うものである。この報知出力については後述する。
【0049】
このナビコントローラ20には、前記VICS受信機12から渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等の各種交通情報を取得する情報取得手段27で成る周辺情報出力処理系を備えている。
【0050】
このナビコントローラ20には、前記ディスプレイ15に画像情報を出力する画像出力回路31、前記スピーカ16に音声情報を出力する音声出力回路32、前記左振動体VLと右振動体VRとを駆動する振動体駆動回路33夫々を備えている。尚、振動体駆動回路33はデューティ制御によって左振動体VLと右振動体VRとに供給する電圧を調節できるように構成されている。
【0051】
このナビコントローラ20では、前記現在位置取得手段21、マッチング処理手段22、表示処理手段23、走行経路設定手段24、補正処理手段25、案内処理手段26の夫々が前述した如く半導体メモリに展開したプログラム(ソフトウエア)で構成されるものであるが、ロジック等のハードウエアで構成することや、ハードウエアとの組み合わせによって構成するものであっても良い。
【0052】
〔制御形態・メインルーチン〕
本発明のナビゲーション装置Nによる基本的な処理形態を図9のフローチャートに示している。つまり、走行経路Rに基づいて案内ポイントと案内方向とを設定する(#01ステップ)。
【0053】
この処理を実行する際には、前述したように目的地を指定することにより、前記現在位置取得手段21で取得した車体の現在位置と、ハードディスクHDに記憶されている道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって走行経路R(推奨走行経路)を求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する処理を予め行う必要がある。
【0054】
このように走行経路RがハードディスクHDに記憶された後には、前記案内処理手段26が走行経路RをハードディスクHDから取得し、この案内処理手段26が、走行経路Rに存在する交差点や分岐点を案内ポイントGPに設定し、その案内ポイントGPでの走行方向(左折や右折)を設定してハードディスクHDやメモリ等に保存する。
【0055】
次に、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて前記現在位置取得手段21が車体の現在位置を取得し、この現在位置に基づいて、車体の現在位置と走行経路Rとが対応する位置の地図情報と重ね合わせた状態でディスプレイ15に表示され、案内ポイントGPに接近した際に報知処理を行い、これらの処理を反復して行う(#02、#100、#03ステップ)。
【0056】
前記マッチング処理手段22は、現在位置取得手段21で取得した現在位置に対応した地図情報と、走行経路情報とを前記ハードディスクHDから取得し、この地図情報と経路情報とから表示処理手段23がディスプレイ15の画面に表示可能な画像データを生成し、このように生成された画像データが前記画像出力回路31を介してディスプレイ15に出力される。
【0057】
この位置表示処理系の処理を行う状況において車体を走行させた場合には、車体の表示位置が固定された状態でディスプレイ15に表示される地図情報がスクロールされる表示形態となる。
【0058】
〔制御形態・タイミングチャート〕
報知領域Fでの報知を行うタイミングチャートを図7のように示すことが可能である。その一例として一般道路では、案内ポイントGPを基準から300m手前側に最初の報知開始ポイントTsが設定され、報知領域Fに複数の報知ポイントTa〜Tdが設定される。初期の3つの報知ポイントTaのうち最初のものは報知開始ポイントTsと一致する。また、複数の報知ポイントTにおいて出力される駆動信号に対応した振動の強さを振動強度Qとしてグラフ化して表している。
【0059】
この先頭の3つ報知ポイントTaの相対的な報知間隔W1が33mに設定され、これに続く4つの報知ポイントTbの相対的な報知間隔W2が25mに設定され。これに続く3つの報知ポイントTcの相対的な報知間隔W3が17mに設定されている。尚、最終の報知ポイントTdと案内ポイントGPとの距離が50mになる。
【0060】
最初の3つの報知ポイントTaでは、バイブレータVを設定された駆動時間P1で設定された強度で駆動する。次の4つの報知ポイントTbでは、直前の報知ポイントTaと等しい駆動時間P1で、これらより強くバイブレータVを駆動する。更に次の3つの報知ポイントTcでは、これ以前の報知ポイントTa、Tbの2倍となる駆動時間P2で、これらより強くバイブレータVを駆動する。最後の報知ポイントTdでは、直前の報知ポイントTcとより長い駆動時間P3で最も強くバイブレータVを駆動する。
【0061】
尚、最初の3つの報知ポイントTaにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が5Vに設定され、次の4つの報知ポイントTbにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が6Vに設定され、次の3つの報知ポイントTcにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が7Vに設定され、最後の報知ポイントTdにおいて左振動体VLと右振動体VRとに供給される電圧が8Vに設定されている。これにより案内ポイントGPに車体が接近するほど左振動体VLと右振動体VRとの振動強度が高くなる。
【0062】
〔制御形態・サブルーチン・基本出力モード〕
前記報知処理ルーチン(#100ステップ)は、図10のフローチャートに示すように、補正処理手段25が、振動センサ18と特性センサ19からの信号を取得し、振動状態が基準値を超えた場合にのみ、信号値に対応した(正比例した)駆動係数を設定する(#101〜#103ステップ)。尚、振動とは、振動の周期、振動の強さ(加速度)、振動の振幅で表されるものであるが、振動状態とは、振動センサ18で計測される振動の強さと振幅との少なくとも一方、又は、夫々を含むものを指し、また、特性センサ19で緩衝を抑制する状態にあることを判別した際に、この緩衝の抑制によって誘引される振動の強さと振幅との少なくとも一方を指す。
【0063】
次に、報知出力を既に開始している(報知開始ポイントTsを既に通過している)場合を除いて、報知開始ポイントTsに達していることを判定した場合にのみ、最初の報知出力を行う(#104〜#106ステップ)。尚、この処理では、案内ポイントGPに向けて車体を右側(右折方向)に案内するものとして説明する。
【0064】
この最初の報知出力(#106ステップ)では、図7に示すように、音声によって「およそ300m先、右方向です」とのメッセージを出力し、拡大地図をディスプレイ15に表示し、案内方向に対応して右振動体VRを設定時間(P1)だけ、設定強度で駆動する。特に、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を増大させることで、振動の強度を高めて運転者の認識性を高めることになる。
【0065】
この後(車体が報知開始ポイントTsを車体が既に通過している場合)には、車体が報知ポイントTに達する毎に報知出力を行う(#107、#108ステップ)。
【0066】
この報知出力(#108ステップ)では、各報知ポイントTに達する毎に右側の右振動体VRを設定時間だけ、設定強度で駆動し、複数の報知ポイントTのうち中間に存在する報知ポイントTにおいて、音声によって「まもなく右方向です」とのメッセージを出力し、最後の報知ポイントTdにおいて側の右振動体VRを設定時間(P3)だけ、設定強度で駆動すると同時に、前記スピーカ16から電子音(チャイム)を出力する。
【0067】
特に、この報知出力(#108ステップ)の処理で、右振動体VRを駆動する際に、#103ステップで駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を増大させることで、振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。
【0068】
尚、左振動体VLと右振動体VRとに供給する駆動電力を増大させて、振動の強度を高めた場合には、図8に示すタイミングチャートの各報知ポイントTに示した振動強度Qが、電力を増大させたものについて、上方にXだけ伸張する形態で表される。
【0069】
このように第1実施形態では、悪路での走行時のように車体が振動する場合のように、車体の振動で振動体VLと右振動体VRとの振動が抑制される(認識し難い)状況では、その振動が基準値を越えた場合に、振動の大きさに基づいて左振動体VLと右振動体VRとの振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。これと同時に、車輪の懸架部のバネのプリロードの設定や、ショックアブソーバの調節によって緩衝特性が緩衝を抑制する状況(所定の状態)にある場合のように、路面からの振動を車体に伝えやすい状況においても、その緩衝特性の抑制の程度が基準値を越えている場合には、左振動体VLと右振動体VRとの振動の強度を高めて運転者の認識性を高めている。
【0070】
〔第1実施形態の別実施例〕
(a)振動センサ18で車体の振動の周期を取得し、この振動の周期が比較的大きく、運転者が運転座席1において上下に大きく動揺する状況では、運転者が上方に浮き上がるタイミングでバイブレータVの振動を認識し難く、運転者が下方に沈むタイミングではバイブレータVの振動を適正に認識できる。このような理由から車体の上下振動の周期と振幅とを正確に取得するための加速度センサを用い、運転者が上方に浮き上がるタイミングでバイブレータVの振動を強くし、運転者が座席に押さえ付けられるタイミングでバイブレータVの振動を弱めるようにバイブレータの振動の強さを調節しても良い。
【0071】
(b)振動センサ18で基準値を越える振動を取得した際に、例えば、車体の走行速度が高い場合には、振動の強度が更に高まる可能性があることを考慮して、バイブレータVの振動を強く設定しても良い。
【0072】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態において第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通の番号、符号を付している。
【0073】
この第2実施形態では、ナビゲーション装置Nの基本的な構成は第1実施例と殆ど変わるところはないが、走行経路Rに案内ポイントGPに車体が接近し、案内ポイントGPを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による認識を判別した際には、バイブレータVの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えた点において異なるものである。
【0074】
〔ナビゲーション装置の基本構成〕
ナビゲーション装置Nは、図11に示すように、アンテナ11Aを備えたGPS受信器11と(GPSとは Global Positioning Systemの略)、アンテナ12Aを備えたVICS受信機12と(VICSとは Vehicle Information and Communication Systemの略: 登録商標)、方位センサ13と、車速センサ14とで取得した情報をナビコントローラ20に入力するナビ情報の取得系を備えると共に、このナビコントローラ20に対して、ブレーキペダル6の操作を判別するブレーキセンサ6S(認識操作判別手段の一例)と、ウインカーレバー7の操作方向(ウインカーの作動方向)を判別するウインカーセンサ7S(認識操作判別手段の一例)とからの信号取得系を備えている。
【0075】
この制御系ではナビコントローラ20が、ブレーキセンサ6Sとウインカーセンサ7Sからの信号を直接取得するように信号系が形成されているが、例えば、ブレーキセンサ6Sとウインカーセンサ7Sからの信号がECU(Electric Control Unit)に入力されるものでは、このECUからブレーキ、ウインカーの操作情報を取得するように処理形態を設定しても良い。
【0076】
更に、このナビコントローラ20からの情報をディスプレイ15と、スピーカ16と、左振動体VL及び右振動体VRで成るバイブレータVとに出力するナビ情報の出力系を備え、更に、ナビコントローラ20に対して複数の入力スイッチ17、ディスプレイ15の表示面に形成したタッチパネル15Tからの人為操作情報の取得系を備え、ハードディスクHD、メディアドライブMDとの間で情報のアクセス系を備えている。
【0077】
〔ナビコントローラの構成〕
前記ナビコントローラ20は、図面には示していないが、情報処理を行うCPU(central processing unit)、情報を記憶する半導体メモリ、入出力用のインタフェース等のハードウエアを備えると共に、半導体メモリに展開されたプログラム、このプログラムを管理するOS(operating system)等のソフトウエアを備えている。
【0078】
このナビコントローラ20での処理を実現する処理系の概要を図12のように示すことが可能である。つまり、このナビコントローラ20には、前記GPS受信器11からの測位情報、方位センサ13からの方位情報、車速センサ14からの車速情報に基づいて車体の現在位置を取得する現在位置取得手段21と、現在位置に対応する地図情報と走行経路Rとを抽出するマッチング処理手段22と、マッチング処理手段22が抽出した地図情報と走行経路Rとからディスプレイ15に表示可能な情報を生成する表示処理手段23とで成る位置表示処理系を備えている。
【0079】
この位置表示処理系での処理を行う際に地図上に表示される走行経路R(推奨走行経路)の情報は、前述したように、目標地設定モードにおいて指定された目標値に目標地と、運転者が選択した条件等と、車体の現在位置と、道路情報のデータベースとに基づいて走行経路設定手段24が探索処理によって求め、前記ハードディスクHDや半導体メモリに記憶する。
【0080】
このナビコントローラ20には、前記ブレーキセンサ6S(認識操作判別手段の一例)と、前記ウインカーセンサ7S(認識操作判別手段の一例)とからの信号が入力する補正処理手段25を備え、この補正処理手段25と、前記現在位置取得手段21とからの信号が入力する案内処理手段26で成る経路案内処理系を備えている。
【0081】
〔制御形態・タイミングチャート〕
本発明のナビゲーション装置Nによる基本的な処理形態は前記第1実施例の図9のフローチャートと同じであり、サブルーチン(#100ステップ)が第1実施例と異なっている。また、報知領域Fでの報知を行うタイミングチャートも前記第1実施例の図7において示したものと同じであるため、説明は省略する。
【0082】
〔サブルーチン〕
報知処理ルーチン(#100ステップ)では、図13に示すように、前記ブレーキセンサ6Sでブレーキペダル6が操作されたことを検出した場合に予め設定された駆動係数を設定し、また、案内ポイントGPでの案内方向に対応した方向にウインカーレバー7が操作されたことをウインカーセンサ7Sで検出した場合に予め設定された駆動係数を設定する(#101〜#104ステップ)。これらの駆動係数はバイブレータVの振動強度を低下させる値が与えられる。
【0083】
次に、報知出力を既に開始している(報知開始ポイントTsを既に通過している)場合を除いて、報知開始ポイントTsに達していることを判定した場合にのみ、最初の報知出力を行う(#105〜#107ステップ)。尚、この処理では、案内ポイントGPにおいて車体を右側(右折方向)に案内するものとして説明する。
【0084】
この最初の報知出力(#107ステップ)では、音声によって「およそ300m先、右方向です」とのメッセージを出力し、拡大地図をディスプレイ15に表示し、案内方向に対応して右振動体VRを設定時間(P1)だけ、設定強度で駆動する。特に、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を低減することで、振動の強度を弱めて運転者に対する煩わしさを解消している。
【0085】
このように振動の強度を弱める際には、振動を弱める以外に、振動を停止させるように制御形態を設定することが可能であり、また、車体が案内ポイントGPに接近するほど、振動を弱くするように制御形態を設定しても良い。
【0086】
この後(車体が報知開始ポイントTsを車体が既に通過している場合)には、車体が報知ポイントTに達する毎に報知出力を行う(#108、#109ステップ)。
【0087】
この報知出力(#109ステップ)では、各報知ポイントTに達する毎に右振動体VRを設定時間だけ、設定強度で駆動し、複数の報知ポイントTのうち中間に存在する報知ポイントTにおいて、音声によって「まもなく右方向です」とのメッセージを出力し、最後の報知ポイントTdにおいて右振動体VRを設定時間(P2)だけ、設定強度で駆動すると同時に、前記スピーカ16から電子音(チャイム)を出力する。
【0088】
特に、この報知出力(#108ステップ)においても、右振動体VRを駆動する際に、前記駆動係数が設定されている場合には、駆動係数に基づいて右振動体VRに供給する電力を低減することで、振動の強度を弱めて運転者に対する煩わしさを解消している。
【0089】
尚、左振動体VLと右振動体VRとに供給する電力を低減して、振動の強度を弱めた場合には、図14に示すタイミングチャートの各報知ポイントTに示した振動強度Qが、電力を低減させたものについて、下方にYだけ収縮する形態で表される。
【0090】
このように第2実施形態では、走行経路Rを走行し、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、運転者がブレーキペダル6の操作で減速を行った場合には、運転者が案内ポイントGPの位置を認識してブレーキペダル6を操作したと判断できるので、車体が報知領域Fに達する以前であっても、報知領域Fの内部に存在しても、左振動体VLと右振動体VRとの振動を弱める、又は、振動を停止することにより、運転者に対して左振動体VLと右振動体VRとの振動の煩わしさを解消できるものにしている。
【0091】
また、走行経路Rを走行し、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、運転者が、案内ポイントGPの案内方向と対応する(一致する)ウインカーレバー7を操作した場合には、運転者が案内ポイントGPの案内方向を認識してウインカーレバー7を操作したと判断できるので、車体が報知領域Fに達する以前であっても、報知領域Fの内部に存在しても、左振動体VLと右振動体VRとの振動を弱める、又は、振動を停止することにより、運転者に対して左振動体VLと右振動体VRとの振動の煩わしさを解消できるものにしているのである。
【0092】
特に、案内ポイントGPに車体が接近する状況において、案内ポイントGPの案内方向と逆方向に誤ってウインカーレバー7を操作した場合には、対応する振動体が弱められない状態で振動することになるので、運転者は振動状況からウインカーレバー7の誤操作を把握することも可能となる。
【0093】
〔第2実施形態の別実施例〕
(a)ブレーキ操作を判別した際に、VICS受信機12で渋滞情報を取得した場合には、車体を加速することは考えられないので、バイブレータVの振動の強度を一層低下させる、又は、振動を停止するように処理形態を設定する。
【0094】
(b)特に、車体の前方の状況を把握するためにカメラと、カメラからの画像処理を行う画像処理システムを備え、この画像処理システムで、前方が渋滞していることを判別した場合、あるいは、前方の信号が赤である場合において、ブレーキ操作があったことを判別した際にも、バイブレータVの振動の強度を一層低下させる、又は、振動を停止するように処理形態を設定する。
【0095】
(c)ブレーキペダル6とウインカーレバー7の操作とが同時(連続して)に行われた場合には、バイブレータVの振動を停止するように制御形態を設定する。このように処理形態を設定することによりバイブレータVの振動による運転者の煩わしさを解消できる。
【0096】
(d)実施形態では、案内処理等の各種処理をナビコントローラ20で行っていたが、特にこれに限定する必要なはく、例えば、案内処理についてはナビコントローラ20と別のコントローラにおいて処理しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態の乗用車の運転座席の近傍位置の平面図
【図2】第1実施形態の乗用車の運転座席の近傍位置の斜視図
【図3】第1実施形態の乗用車の構造を模式的に示す平面図
【図4】第1実施形態の制御系のブロック回路図
【図5】第1実施形態のナビコントローラの構成を示すブロック図
【図6】第1実施形態の走行経路と案内ポイントとを模式的に示す図
【図7】第1実施形態の報知領域における報知形態を示す図
【図8】第1実施形態のバイブレータの強度の変化を示す図
【図9】第1実施形態のナビゲーション処理のフローチャート
【図10】第1実施形態の報知処理ルーチンを示すフローチャート
【図11】第2実施形態の制御系のブロック回路図
【図12】第2実施形態のナビコントローラの構成を示すブロック図
【図13】第2実施形態の報知処理ルーチンを示すフローチャート
【図14】第2実施形態のバイブレータの強度の変化を示す図
【符号の説明】
【0098】
1 運転座席
6S ブレーキセンサ・認識操作判別手段
7 ウインカー
7S 認識操作判別手段(ウインカーセンサ)
18 振動センサ・振動状態判定手段
19 振動状態判定手段(特性センサ)
25 補正処理手段
26 案内処理手段
GP 案内ポイント
FW・RW 車輪(前車輪・後車輪)
SU 懸架部
V バイブレータ
VL 左振動体
VR 右振動体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記車体の振動状態を判定する振動状態判定手段を備え、この振動状態判定手段で基準値を超える振動状態を判定した際に前記バイブレータの振動を補正制御する補正処理手段を備えているナビゲーション装置。
【請求項2】
前記振動状態判定手段が、車体から作用する振動状態が、前記基準値を超えると判定した際には、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車体の振動を計測する振動センサによって前記振動状態判定手段が構成され、この振動状態判定手段で計測される振動の強度に基づいて前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記車体における車輪の懸架部に設定された緩衝特性に基づき前記振動状態判定手段が振動状態を判定し、前記緩衝特性が所定の状態にある際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動する請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記案内ポイントを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による操作を判別した際には、前記バイブレータの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えているナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車体のブレーキ操作を判別するブレーキセンサによって前記認識操作判別手段が構成され、この認識操作判別手段がブレーキ操作を判別した際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止する請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記バイブレータが、運転座席の左側に備えた左振動体と、右側に備えた右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、前記左振動体と右振動体のうち、案内ポイントにおいて車体を向かわせる案内方向に対応したものを駆動する請求項6又は7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動するように構成され、
前記認識操作判別手段がウインカーの作動方向を判別するように構成され、この認識操作判別手段が、前記案内ポイントでの車体の案内方向に対応するウインカーの作動を判別した場合に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止する請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記車体の振動状態を判定する振動状態判定手段を備え、この振動状態判定手段で基準値を超える振動状態を判定した際に前記バイブレータの振動を補正制御する補正処理手段を備えているナビゲーション装置。
【請求項2】
前記振動状態判定手段が、車体から作用する振動状態が、前記基準値を超えると判定した際には、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車体の振動を計測する振動センサによって前記振動状態判定手段が構成され、この振動状態判定手段で計測される振動の強度に基づいて前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記車体における車輪の懸架部に設定された緩衝特性に基づき前記振動状態判定手段が振動状態を判定し、前記緩衝特性が所定の状態にある際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を強める請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動する請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
測位情報に基づいて車体の現在位置を取得し、この現在位置が走行経路上の案内ポイントに接近したことを判別した際に、バイブレータを駆動することにより運転者に案内ポイントを認識させる案内処理手段を備えると共に、
前記案内ポイントを認識したことに伴い運転者が通常行う操作を判別する認識操作判別手段を備え、この認識操作判別手段によって、運転者による操作を判別した際には、前記バイブレータの振動を弱める又は停止する補正処理手段を備えているナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車体のブレーキ操作を判別するブレーキセンサによって前記認識操作判別手段が構成され、この認識操作判別手段がブレーキ操作を判別した際に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止する請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記バイブレータが、運転座席の左側に備えた左振動体と、右側に備えた右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、前記左振動体と右振動体のうち、案内ポイントにおいて車体を向かわせる案内方向に対応したものを駆動する請求項6又は7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記バイブレータが、運転者の左側に振動を伝える左振動体と、運転者の右側に振動を伝える右振動体とで構成され、前記案内処理手段は、前記案内ポイントと車体との距離が設定距離まで接近した際に、左振動体と右振動体のうち、案内ポイントでの車体の案内方向に対応したものを駆動するように構成され、
前記認識操作判別手段がウインカーの作動方向を判別するように構成され、この認識操作判別手段が、前記案内ポイントでの車体の案内方向に対応するウインカーの作動を判別した場合に、前記補正処理手段が前記バイブレータの振動を弱める又は停止する請求項6記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−249355(P2008−249355A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87732(P2007−87732)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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